第7回 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 議事録
日時
2025年7月2日(水)15:30~17:15
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (専門委員)
- 【会議室】
坂東座長、森下座長代理、柿野委員、葛山委員、瀧委員、谷本委員、山本委員 - 【テレビ会議】
池本委員、井上委員、加藤委員、柴田委員、細谷委員、宮園委員 - (オブザーバー)
- 【会議室】
鹿野委員長 - 【テレビ会議】
黒木委員長代理、柿沼委員 - (事務局)
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官、江口企画官、事務局担当者
議事次第
- 開会
- 議事
中間整理素案 - 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:55KB)
- 【資料1】 中間整理(素案)(PDF形式:3,375KB)
- 【資料2-1】 支払手段の多様化等に関するアンケート調査(消費生活相談員向け)(PDF形式:702KB)
- 【資料2-2】 支払手段の多様化等に関するアンケート調査(消費者向け)(PDF形式:568KB)
- 【資料3】 池本委員提出資料(PDF形式:390KB)
≪1. 開会≫
○坂東座長 本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第7回「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を開催いたします。
本日、会議に御出席いただいています委員の皆様を御紹介いたします。
本日は、森下座長代理、柿野委員、葛山委員、瀧委員、谷本委員、山本委員及び私、坂東は会議室で、池本委員、井上委員、加藤委員、柴田委員、細谷委員、宮園委員はテレビ会議システムにて御出席をいただいております。なお、滝澤委員と永沢委員は、所用により御欠席との御連絡をいただいております。
また、消費者委員会のオブザーバーとして、黒木委員長代理、柿沼委員にはテレビ会議システムで御出席をいただいております。なお、鹿野委員長は、16時頃より御出席の予定と伺っております。大澤委員、星野委員は、御欠席との連絡をいただいております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いいたします。
○江口企画官 本日、テレビ会議システムを活用して進行いたします。
一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。
議事録については後日公開いたしますが、議事録が掲載されるまでの間は、本日の会議の模様をホームページにて配信いたします。
配付資料は議事次第に記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
≪2.中間整理素案≫
○坂東座長 本専門調査会の審議と並行しまして、支払手段の多様化等に関するアンケート調査を消費生活相談員及び消費者に対して令和7年3月に実施をいたしました。消費生活相談員を対象としたアンケートについては、公益社団法人全国消費生活相談員協会を通じ、消費生活相談員の方々に、消費者を対象としたアンケートについては、一般の消費者にウェブ調査を実施いたしました。
アンケートの結果は、本専門調査会の調査審議において大変重要な資料となるものと考えております。アンケートに御協力いただいた皆様に、この場をお借りして御礼申し上げます。
集計結果については、委員の皆様には既にお送りをしていますが、中間整理の参考資料として添付したいと考えており、本日はこれについても意見交換を行うことといたします。
それでは、支払手段の多様化等に関するアンケート調査について、事務局より御説明をお願いいたします。
○江口企画官 資料2-1、2-2を使って御説明したいと思います。
まず資料2-1を御覧ください。消費生活相談員向けのアンケート調査でございます。
回答者数は441名、質問数は23問でございます。
まず2ページの問4、利用されていた支払手段はどれですかということで、一番多かったのがクレジットカード、2番目がキャリア決済、3番目が後払い決済サービスとなっております。
次に、3ページ目の問5を御覧ください。クレジットカードの支払手段としての相談内容と課題でございます。問5につきまして、クレジットカード利用の相談内容につきましては、不正利用、身に覚えのない請求、アカウントの乗っ取りなどという項目が一番多くございました。
次に、問6でございます。クレジットカードを支払手段とする場合の課題は何ですかという質問に対して、同じ相談内容でもクレジット会社により対応が違うという回答が一番多くございました。
続きまして、9ページの問12を御覧ください。キャリア決済を支払手段とする消費者トラブルに関する課題は何ですかという質問に対し、キャリア決済と通信・通話料の分離ができず、支払停止ができないという項目が一番回答が多かったものでございます。
次に、問13でございます。後払い決済サービスについて相談や内容で多かったものはということでは、定期購入についての相談が一番多くございました。
次に11ページ、問14でございます。今の後払い決済サービスを支払手段とする消費者トラブルに関する課題は何ですかという問いに対し、加盟店審査が適正に行われていない、どんな事業者でも加盟店になっているという回答が一番多くございました。
続きまして、14ページでございます。問19、支払手段についての課題は何ですかという質問に対し、一番多かったのがキャッシュレス決済に関わる事業者の複雑化、どこに申出すればよいか不明、次にキャッシュレス決済のプラットフォーム事業者との対応、第3に契約先や契約内容は同じでも決済手段により対応に違いがあるという回答が多くございました。
次に、17ページでございます。問22、その前の設問で、相談対応に当たって法律の改正や制度改正に取り組むべきという選択をした方々に聞いた設問でございます。その中で具体的な内容があればということで、法改正・新たな法制度の制定に続きまして、決済事業者による加盟店管理というのが多くございました。
また、その次の23番、各支払手段における課題について、考えられる具体的対策・方策についても、法改正・新たな法制度の制定と並びまして、同数で決済事業者による加盟店管理という回答が多くございました。
資料2-1については以上でございます。
次に、資料2-2を御覧ください。消費者向けのアンケートでございます。
回答者数は3,668人、問いの数は39問でございます。
まず5ページの問8を御覧ください。現金以外の支払手段を使っている理由は何ですか。これに対しては、支払いが簡単で早いからというのが一番多い回答でございました。
次の問9、現金以外の支払手段にどのような方法でチャージ・精算を行っていますかという問いについては、銀行口座やクレジットカードの利用ということが1番、2番を占めておりまして、銀行口座やクレジットカードとひもづけて利用されている方が多いという回答結果になりました。
続きまして、9ページの問18でございます。商品やサービスの購入時のトラブルの際、どこに相談しましたかという設問に対し、1番が実際に物やサービスを取引した相手、2番目がショッピングモールサイト、オークション・フリマサイトなどの運営者、3番が支払手段を提供する事業者、4番目として役所・公共機関となっております。
続きまして、14ページを御覧ください。問29、後払いの支払手段を利用し、後日支払えないほどの請求に気がついた際に利用していた支払手段はどれですかということで、クレジットカード決済が一番多く、2番目に後払い決済サービスとなっております。
次に、問30、支払えないほどの請求になってしまった主な原因は何だと思いますかという問いに対し、一番多かったのが収入や預金の状況を把握・管理できていなかったから、2番目として限度額が反映される前に複数回の支払いを行ったため、限度額を超える金額での購入ができてしまったからという回答になっております。
続きまして、15ページの問32でございます。消費者トラブルに遭ったことが分かり取引のキャンセルと返金を申し出たものの、結果的に送金や引き落としを止めることができなかった際に利用していた支払手段はどれですかということで、現金、クレジットカード、デビットカード、それぞれ手段を列記しておりますが、どの手段についても該当する回答があったということで、ほぼ全てが当てはまっているという回答になりました。
続きまして、問33、送金や引き落としを止められなかった主な原因は何だと思いますかという問いに対しては、一番多かったのが販売事業者が取消しに応じてくれなかったから、2番目がそもそも返品・返金ができない商品・サービスだったから、3番目が支払手段を提供する事業者が定める返金・補償の基準に合致しなかったから、4番目がキャリア決済の場合、通話料と一緒に精算されるので、支払わなければならなかったからという回答結果になっております。
続きまして、16ページ、問34、現金以外の新しい支払手段の利用を開始する際、約款・契約書に目を通していいますかという質問に対しては、目を通していないという回答が23.4パーセントございました。
また、その次の問35、支払手段を提供する事業者との約款・契約書の内容をよく理解していると思いますかという問いに対しては、あまり理解していない、全く理解していないを合わせますと48パーセントの回答になりました。
続きまして、問36、支払手段を提供する事業者との約款・契約書の内容を理解できない主な理由は何だと思いますかという問いに対して、一番多かったのは長過ぎて目を通す時間がないというものでした。
次に、問37、支払手段を提供する事業者があなたのどのような情報を保有し、利活用しているか知っていますかという問いに対しては、知らないという回答が74.1パーセントでございました。
事務局からの説明は以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございました。
大変貴重なデータを御回答いただいたのではないかと思います。
それでは、まず全国消費生活相談員協会の消費生活相談員でもある細谷委員、柿沼委員から、調査結果を踏まえた御意見、御発言をいただきたいと思います。
まず細谷委員から、どうぞよろしくお願いいたします。
○細谷委員 細谷でございます。
このアンケートは、全相協の会員に向けてこの冬、春にかけてやったものなのですけれども、2つ目の消費者のアンケートの結果に比べると、相談員のほうが実際に被害に遭った方の相談を受けているということで、より深い内容になっていると思います。
内容については、今回出されています中間整理での内容とかなり内容はダブっているというか、合致しているなと思っております。法律の改正を求めるという強い意見が多いということと、今、規制がないところについて、ぜひ何らかの手当てをしてほしいというのが相談員の意見なのかなと思っておりますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
○坂東座長 ありがとうございます。
それでは、続けて柿沼委員からも御意見をいただければと思います。
○江口企画官 まだ御参加されていないようです。
○坂東座長 分かりました。すみません。
そうしましたら、本来、このアンケートについても各委員の皆様から御意見や御質問をいただきたいところではありますが、今日は議論すべき課題が随分たくさんあるものですから、時間の関係もありますので、アンケートについては各委員の先生方に御確認いただくとして、次の課題に移らせていただきたいと思います。
次に、中間整理(素案)についての意見交換に移りたいと思います。
前回の専門調査会では、これまでの議論の整理としてお示しをいただきました。今回は、中間整理(素案)としています。前回からの変更点としては、第1と第2の部分は構成を大きく変えてはいません。第3は内容を盛り込みました。第4は構成を変えつつ、これまでの議論を踏まえた記載を記入しております。
それを踏まえて、それでは事務局より御説明をお願いしたいと思います。
○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。中間整理の素案となっております。
今、座長から御説明がございましたように、第1と第2のところは構成は変えておりません。ただ、図表につきましては、それぞれ四角囲みでコメントを入れております。それぞれの図表がどのような事実を説明しているのかということを、より分かるようにするというような趣旨でございます。
それから、第3のところでございますが、「支払手段の多様化にかかる消費者問題の要因を分析する際の視点」というような表題を今のところ置かせていただいております。第3の部分の中間整理における位置づけでございますけれども、第1や第2の委員の先生方のそれぞれの御発表を中心とした記載の部分を踏まえまして、調査審議の中で出されました主な御意見を中心に、先生方の言葉を生かすような形で整理しております。今後さらに具体的に議論を深めていく際の観点というような位置づけで整理させていただいております。
それから、第4のところは、前回は項目だけを並べておりました。今回は1、2、3という仕立てにしております。1のところでは、支払手段の多様化に際して課題が生じており検討が必要な消費者問題ということにしております。これまでの御議論の中で上がってきた項目を整理しております。
2番といたしましては、消費者問題に対応するための方策としております。1つ目に民事ルール、2つ目に行政規制、3つ目に金融技術の活用、4つ目に事業者・事業者団体の対応としております。
また、3番目といたしまして、決済に関する情報、それから支払事業者と消費者の契約関係という部分につきましても整理させていただいております。
それぞれのところで、おおむね意見の一致を見た点、それから今後さらに議論を深めていく点というような形で、おおよそのところを2つに分けた形で整理させていただいております。
事務局からの御説明は以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
この後の議論についてですが、中間整理の素案の項目ごとに区切って御意見を承りたいと思っております。具体的には、第1と第2の部分を最初に全体として、それから第3の部分をその次に、その後、要点整理の第4の部分については、1の(1)から(2)まで、それから(3)から(5)まで、それから第4の2の(1)から(2)まで、第4の2の(3)(4)、そして最後に第4のその他の部分について、それぞれ10分程度をめどに御意見を承りたいと思っております。それぞれのところで限られた時間で大変申し訳ないのですが、積極的に御意見をいただければと思います。
それでは、最初に第1と第2について、御意見、御発言をお願いします。御意見、御発言のある方は挙手、あるいはオンラインの方はチャットでお知らせをください。よろしくお願いします。
井上委員から御発言をお願いします。
○井上委員 お世話になります。日本アイ・ビー・エムの井上でございます。
先ほどまとめていただきました要点のところなのですけれども、いろいろな支払いの決裁の多様化という題目でございますので、多様化をしている何の支払手段であるかというところを要点としてまとめるときに、ぜひ技術的なというか、どういう支払いをしている技術と結びついているのかといったところも争点になるのではないかなと思っております。ですので、題目としてはその内容で構わないのかなと思うのですけれども、要点をまとめられるときの議論にぜひ、私の観点からしますとデジタル技術としてどういう実装方法で行われることが例えばリスクが大きいのか、または、このつくりは非常に支払いとしては国民の皆様にとってはやりやすいのかというポイントにもなるかなと思いますので、そういった要素が予定の裏側にくっついているといいのではないかなと思いました。
簡単ではございますが以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
キャッシュレス決済の普及の背景にあるものを指摘しておく必要があるのではないかという御意見かと思います。ぜひ考えてみていただければと思います。
第1、第2の部分というのは、今までの御報告を土台にして書いておるものですから、本来書いておくべきかもしれないのに、今、御指摘いただいたように抜けている部分があるかもしれません。もしそういうことがあれば、遠慮なく御指摘をいただければと思います。
いかがでしょうか。
○森下座長代理 森下でございます。
第1と第2、非常に重要な御指摘ですとか発見事項というものもあるかと思いますが、非常に多岐にわたって分散していろいろなことが書かれていますので、第1と第2の一番最後でも構わないと思うのですけれども、少しまとめを置いておくのがいいのではないかと思います。その中に例えば今、井上委員のおっしゃったような技術的観点からのまとめですとか、あるいはそうではない構造的な観点からのまとめですとか、そういうようなものがあると後の議論につなげやすいのではないかと思いますので、そのようなことを少し御検討いただければと考えております。
○坂東座長 ありがとうございました。
ぜひこの機会に、今まで御報告をいただいた先生方も含めてぜひ御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
山本委員、お願いします。
○山本委員 第1、2の章は最後につながる重要な章ですので、今後、事務局もチェックされると思います。私もチェックしたいと思いますが、用語のぶれとかはもう一度見直したほうがいいかなと思います。私も責任がありまして、各発表資料の表現が、例えば加盟店審査、加盟店調査、加盟店管理とか、与信も、制度根拠のある与信と、全部後払いは与信と言っている場合、その辺の見直しというのを頭のほうできちんと委員全員でチェックしなければいけないかなと思いました。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
これも大変貴重な指摘かなと思います。この領域、様々な言葉が使われていて、それぞれがそれぞれの場面では適切な言葉であったりするものですから、なかなか難しいところがあるのですが、御指摘の点はごもっともだと思いますので、ぜひちゃんと整理をしたいと思います。
もう少し第1、第2の部分について御意見いただけると大変ありがたいです。
柿野委員。
○柿野委員 ありがとうございます。
18ページの(2)多重債務の側面から見るキャッシュレス決済という括弧書きの項目があって、その中がそれ以上の項目立てはされていないのですが、ここのところ見ると、BNPLの問題と、キャリア決済の話が20ページから始まるということで、内容が整理できるようなところもあると思ったので、小見出しをつけられるところはつけて整理していくと、読み手としても分かりやすいのかなと感じました。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
1、2、3という形で書かれているわけですが、まだ全体として全てが整理できているわけではないので、そこも含めて検討してみたいと思います。
1番、2番のところは、従来の議論の整理で、もちろん御指摘いただいたとおり用語の統一であるとか、あるいは今、柿野委員から御指摘をいただいた、そもそもそこでどういうものを整理して記載をするのかという点についても、もう少し考えなければいけないところかと思いますので、今の御意見を承った上で、事務局に御努力をお願いすることになりますが、また整理をしてみたいと思います。
中身の議論も重要だと思いますので、次に移らせていただきたいと思います。ここから今回の中間整理の素案という形で、新たに踏み込んだ形で記載がなされておるところでありますが、第3について御意見や御発言をお願いしたいと思います。どうぞ御自由に御発言ください。よろしくお願いします。
池本委員、お願いします。
○池本委員 ありがとうございます。池本でございます。
発言レジュメをお送りしたのですが、それを開いてページをめくっていたら時間がありませんので、後でお読み取りいただくとして、ポイントだけ申し上げます。
意見メモで言えば1ページ目に当たるところですが、問題の消費者問題の要因の分析ということで、取引の仕組みや取引環境から来る要因と法制度の要因と分けてみてはどうかと。取引環境、仕組みのことで言えば、これはこれまでも皆さんも議論されていたように、インターネットとか携帯電話、スマホという、まさにデジタル技術によって匿名性の高い取引が広がっている。しかもそこにデジタル技術を利用したキャッシュレス決済が利用されるということで、取引の開始から決済まで、全て匿名性の高い状態で進むということと、それから、レジュメには書いていませんが、複数当事者、事業者が関与しているということも、まさに瞬時にリンク先に移動して、誰と取引しているか分からないという問題です。これはコード決済とか決済代行とか様々な問題で、これも取引の環境でデジタル化の中で複数当事者で連絡先が分からないというところへつながるのではないか。
それから、法制度の面では、割賦販売法が制定以来、割賦払い、あるいは現在で言えば2か月を超える後払いですが、そういう形の法律としてずっと来ていたために、2か月以内の支払いについて規制対象として基本的になっていない。そのことが、キャリア決済とかBNPLなどが何の規制もなくどんどん広がっているというところなのではないか。
もう一方は、資金決済法がもともと為替取引というものを対象にした法律という想定があったために、資金を預かって送金・決済をするというために、非常に重装備のものになっている。そのことが例えば収納代行でみると、ようやく最近、一部対象になりましたけれども、そういう為替取引の性質ではないものも含めた現代の決済の仕組みということで、議論を今後していく必要があるという辺りが規制の欠落とか濃淡があるという背景ではないか。
そういうことから、今後は割賦払いの誘引力とか為替取引の安全確保という観点ではなくて、デジタル技術を利用する取引にデジタルを通じて決済手段を提供する場合に、取引の安全とか悪質加盟店の排除・是正というようなことに一定の責任を負うべきではないか。しかも、共通する項目については隙間がないようにするということと、取引の特徴に応じて規制をさらに追加したり、最小限にとどめたりと考えていくということではないかと思います。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございました。
分析の視点として少し付け加えてはどうかという御提案ではないかなと思います。また検討してみたいと思います。
第3の視点はとても大切だと思うのですが、ぜひ積極的に御意見をいただければと思います。いかがでしょうか。
谷本委員、お願いします。
○谷本委員 ありがとうございます。
第3のところは、要因ではなくて、要因をこれから分析するときの視点ということで理解をしております。その中で、法規制の隙間に落ちているような決済手段というか取引について、さらに検討すべきとの意見が多くの委員から出ております。データを分析して、果たして法規制の隙間に落ちているのか、法適用がないことが消費者問題の原因になっているのかということは、今後検討する必要はあると思うのですけれども、分析する際の視点としては、例えば割賦販売法のところでも意見は多々出ていると思うのですが、信用取引がどこまでなのかというようなところは議論になるかもしれないのですけれども、明確に適用除外とされている取引として2か月払いが様々な委員から指摘されてきたと思います。そういう割賦販売法等で適用除外となっているような取引について、適用除外になっていることが消費者問題の要因になっている可能性については、意見が発せられてきましたので、それもどこかに加えていただけたらと思います。
もちろん決済を規制する統一的なルールが必要ではないかという視点もあると思うのですけれども、それプラス、従来からある法の適用範囲から除外されている取引というものについて、それを適用範囲に含めるべきではないかという意見もずっとあったと思いますので、それを取り入れていただけたらなと考えた次第です。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
論点整理のところの前提として、御指摘いただいた点の記載があったほうが、流れとして理解がしやすいのではないかという御提案かなと思います。少し考えてみる必要があるかなと思います。後ほど第4のところの要点整理でも、恐らく詳細の議論がきっとあるのかなと思っておりますので、また改めてそことの関係も含めて整理をいたしたいと思います。
第3のところは言わば中間整理のある種総論みたいなところでありまして、その問題意識に基づいて、具体的な要点整理がきっと第4のところでなされていくという構造かなと考えております。
そのときに、先ほど御説明もありましたが、この文書を読んでくださった方が、全体として何が問題であるのかを理解していただくために、どういう御指摘があれば整理ができるのか。
さらにもう一つ言うと、第3のところの問題整理は、できることならば第4のところではまだいろいろな整理がついていない課題として残っているにしても、総論としてはこれが課題だと捉えられるかどうかというのも大切な視点かなと思っておりまして、そこも含めて御議論いただければと思います。
第3のところでこういう観点を指摘してはいかがかとか、あるいは逆に、こういう観点で書くと少し総論としては行き過ぎているのではないかとか、そういったいろいろな御意見があり得ると思うので、せっかくですので御意見いただければと思いますが、いかがでしょうか。
森下先生、お願いします。
○森下座長代理 何度も申し訳ございません。
もし第3のところが、今、座長がおっしゃったような第4につながる要因の視点を指摘するという観点が大切なのであれば、もう少し抽象度を上げて記載をするということが考えられるのではないかと思いました。
先ほど池本委員から、例えば仕組みに起因するものと、あと法制度に起因するものというお話がありましたけれども、法制度に関してまとめて言うと、対象の話と、手法の話と、あとは立てつけの話のような話が大きく3つぐらい問題になるのかなという気がしまして、視点を示すということで言えば、それぐらいでも場合によっては十分かもしれず、例えばおおむね意見の一致を見た点の②番目に正当な原因関係がない資金移動を巻き戻せるようにすべきではないかというニーズ、これはただ、現在の最高裁判例との関係もあったりもしますし、あとはその後の為替取引のことなんかにつきましても、細かいというのですか、そこまで今の時点で視点として立ち入る話でもないようなものもあったりしますので、全体として第4からバックキャストして、第3で視点として示すべきものが漏れないようにすると。その中には、本当に今後長い目で考えるものもあれば、短期で考えるものもあると思いますけれども、第3の部分はもう少し全体として整理をし直すということがあったほうが第4につながりやすいのではないかという印象を抱いております。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございました。
その整理の仕方をどうするかというところがすごく悩ましいところで、逆に言うと、第4のところにどれだけ書き込むかというところにもつながる、そういうお話かなと思います。この点については、きっといろいろな整理の考え方があるので、さらに御意見があれば承っておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
瀧委員からお願いします。
○瀧委員 マネーフォワードの瀧でございます。
今の森下先生の表現にインスパイアされて思いましたのは、私のプレゼンのときにも少し述べたのですけれども、新しい支払手段とかが、2つポイントがあると思っています。
1つは、人間の買物自体が変容してきているという点をもうちょっと捉えたほうがいいかなと思いました。要は従来からあるものを違う手段で買っているだけではなくて、典型的にはデジタルグッズとかよく呼ばれるものですけれども、バーチャル空間上で消費をしているものであったりとか、情報商材とかもそうなのかもしれないですけれども、極めて情報だけで本当は購入が完了しているようなものがあって、そういうものに対して新しい暗号資産であったりとか、新しい支払手段が生み出されているようなところがあると思っています。
これは2つ課題があると思っていて、1つは、バーチャルグッズとかデジタルグッズを買うときの人間が、ほかのケースよりも違う消費者的な脆弱性を露呈している可能性があるのかなという話と、あとは当然、新しい支払手段がなければ払われなかったかもしれないみたいな、従来の例えばクレジットカードとか電子マネーとかであれば起きなかったかもしれないものにその脆弱性が利用されている可能性があるというのがあると思いますので、特にエクストリームなというか、ちょっと極端なケースかもしれないですけれども、10年前とか20年前であれば到底なかったような財の購入が起きているケースというのが一つ着眼点にはなるのかなと思いました。
もう少しそれのマイルドなバージョンで言うと、ECサイトとかだと思うのですけれども、私たちも昔だったらスーパーで買うものを、ECサイトでどんどん買うようになっている中で、新しい支払手段がそこで導入されているというときに、そうすると従来だったら買わなかったボールペンとかをECサイトで買っている可能性であったりとか、マイルドな形でも人間の買物自体が恐らく一部脆弱になっている要素があると思うのです。その要素がこの諸問題を助長させる要素があると思いますので、第3のところのまとめというのは、そういう社会と消費者の本体の形がちょっと変わってきているというのを含めてみてもいいのかなと思いました。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
山本委員。
○山本委員 ありがとうございます。
抽象度を上げるというところに私もヒントを得まして、特に論点の中で支払いイコールお金の移動というような記載があったと思うのですけれども、ここは見方によってはお金の移動というところが資金移動とか為替というのを連想する方がいるかなと。逆に私の頭で見ると、お金の移動はすごく限定的な為替のほうにどうしても見てしまう。そういう人はほかにもいるかなと。そういう意味では、実務的に言うと、決済という言葉をどこかに入れていただきたいと思います。決済は、要はお店でぴっとやったりネットで支払った瞬間の行為だけを言っていて、お金がどう流れるかを取りあえず考えずに、最初の行為だけを言っているという認識なのですが、支払いイコールお金の移動というような同じレベル感で言うと、そこに支払いイコール決済あるいはお金の移動みたいな表現にしてもいいのではないかなと、個人的な意見なのですが思いました。
○坂東座長 ありがとうございます。
これも報告書の全体を通してのとても大きな課題だと思いますが、私どもの調査会は、新しい支払手段のという名前になっていまして、ところが委員の先生方からの報告は決済という言葉を使われている御報告が圧倒的に多くて、この2つの言葉を私たちはどう整理すればいいのだろうというところで、正直申し上げると、七転八倒しておったのです。そのことも含めて、改めてもう少し精緻に報告書の中でそれをどう表現できるかということを考えてみたいと思います。ありがとうございます。
いずれにしても、第3のところは、今、森下先生からもお話がありましたが、第1、2で我々が検討してきたことを受けて、それと第4の課題とをつなぐ、ある意味ではとても大切なところであり、そこにどれだけのことを盛り込んでおくと、全体の整理として理解ができる書き方になるのかというところがとても大切だと思いますので、先ほどの御指摘も踏まえて、改めて検討してみたいと思います。ありがとうございました。
時間の限りがあるものですから、次のいよいよ一番柱になる第4、要点整理のところに議論を移したいと思います。
それでは、第4の一番最初、1の(1)、すなわち既存の規制の対象となっているものというタイトル、それから(2)既存の規制の対象となっていないものというのが要点整理の一番最初に出てきますが、この部分について御意見、御質問等がありましたら承りたいと思います。よろしくお願いします。
池本先生、お願いします。
○池本委員 会場の雰囲気が分からないで、いきなり手を挙げてすみません。
この部分については、これも意見ペーパーの2ページから3ページ、あと4ページには資料もつけて、メモを作ったのですが、適用対象になっているものとなっていないものというところで、クレジット契約の2か月以内、マンスリークリアが具体的な項目として挙がっていないことに違和感を覚えました。というのが、そこにもちょっと数字を出しました。4ページに日本クレジット協会のクレジット統計からピックアップしたものと、国民生活センターのPIO-NET情報を並べてみたのですが、マンスリークリアについては、分けて統計を出した2015年から2023年までが37兆円から85兆円と2.3倍くらいに増えています。ところが、相談件数で言いますと、2月内払いが、2015年は4万件だったのが16万8000件、ただし、この前、BNPLについて国民生活センターが約5万件あるという報告があったときに、そこに2月内払いが入っているのではないかという話をほかでも聞きましたので、そこは確認を取る必要があるのですが、仮にそうだとすると、控え目に見ると12万3000件くらいになると。それでも3.03倍なのです。
要するに、5割増しでトラブルのほうが増えているというのは、取引が増えたから連動して増えたというだけでは説明がつかない、こういうものについても何か要因なのか、あるいは法制度的な課題もあるのではないかということをもっと掘り下げていく必要があるのではないかという意味で、こういう項目もぜひ立てていただきたいと。
その場合に、(1)の規制対象になっているものの範囲なのか、クレジットは入っているけれども、マンスリークリアは外されているというのは、どっちへ区別するのかというのが分からなくて、どちらに置くにしてもそれでよいのではないかという意味でこういう記述の仕方をいたしました。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
確かにマンスリークリアには、今、池本委員の御指摘のとおり、具体的な検討すべきデータも含めてあるのではないかという御指摘かなと思います。この枠組みの中でどう整理するかというのは、確かに議論が難しいところではあると思いますが、検討しなければいけない課題であると私も思います。
次に、瀧委員、お願いします。
○瀧委員 今の池本先生の御意見に完全に乗っかりたいのですけれども、いろいろな決済の在り方がいろいろな法律で所管されているという一覧が欲しいなとは思っていまして、それが前払い的なものと、その場で決済が完了するものと、後払いになるもので、空白ゾーンが見えるものがあると思うのです。願わくは縦軸で今いただいた決済額とかを面積で見えるようにすると、いやらしく見るとここが大きい空白だなと見えてしまうようになるかもしれないですけれども、いろいろなペイメントの方法がいろいろな法律によって所管されていたり、されていなかったりするというのは、ここまでやってきたからには、今出ているものだけでも何か一覧の絵にできるといいのかなと。それがややバズり過ぎる可能性もある気もするのですが、整理としては、この委員会でだからこそできることではないかなと思うという提言でございます。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
全体のキャッシュレス決済をどうつかまえて、そこにどういう言葉をつけて、決済のレベルでいくと、おっしゃったように前払いとリアルタイムと後払いという形で、それを全体として整理をしてみてはどうかということだと思います。考えてみなければいけないところかなと思います。
宮園委員が先に手を挙げておられるので、宮園委員、御発言をお願いします。
○宮園委員 宮園です。
私も今のお二人の意見、そうだと思っていて、この資料これだけを見るとBNPLとキャリア決済だけが問題のようにも思えてしまうので、その辺りの書きぶりを精査して慎重にしていただきたいのと、小見出しのところなのですが、アが救済レベルの相違と書いていて、9行目のおおむね意見の一致を見た点のところで、保護レベルに相当な差があると。救済レベルと保護レベルは、救済だと返金なのでしょうけれども、保護はもっと広いような気もするので、この辺り、言葉の定義の部分とか、もうちょっと合わせていかれたほうがいいような気がします。
以上です。
○坂東座長 言葉の問題は本当に宿題が多くて、なかなか大変なところでありますが、今、宮園委員から問題提起がありましたが、キャリア決済と後払い決済は、この委員の中の認識としても、それが法律の規制の対象になっていない、すべきであるけれどもなっていないというのは問題であるということはほぼ共通認識かなと思っています。一方で、それが論点として提示をしやすいがゆえに、それ以外のものとの関係をどう考えるか。書きぶりを含めて難しい問題です。
つまり、もっと広くいろいろなものを整理して、見直してはどうだろうか。それが我々の仕事なのだという御意見と、一方で、明らかに被害が多くて明らかに問題がある取引を浮き出させるべきではないかという御意見があると思うのです。その辺りはどう考えたらいいでしょうか。
山本委員、どうぞ。
○山本委員 前回、黒木先生が優先づけみたいなお話、重みづけとおっしゃっていましたでしょうか。されて、問題が起こっているものを見落としてしまうというのは避けるべきなので、とはいえ全部平等に扱うということでもないという、その辺の兼ね合いを図る必要があるところが難しいのだと思うのですけれども、そういう点で言うと、宮園委員がおっしゃった後払いとキャリア決済というのは、過去からずっと引きずっていて、多くの人が重要ではないかと捉えている課題なのかなと思うのです。ただ、それをAとかBとかとするのかというのは、根拠をどうするかというところがあるというところがデータで示さなければいけないところかなと思うのです。その辺の兼ね合いの整理はすごく難しくて、私も答えを持っているわけではないのですけれども、ただ、一つは相談件数と取引ボリュームというか、総額が幾らという2つの数値をうまく掛け合わせて、重要性を表すみたいなことを1個、表かなんかを作ってみてもいいかなというのはちょっと思ったところなのです。やるのは大変かもしれないのですが、やったほうがいいというのは簡単でございまして、あくまでか意見の一つでございますが、思いました。
○坂東座長 ありがとうございます。
瀧委員からも同様の御指摘をいただいていると思うので、少し考えてみようと思います。
細谷委員、御発言をお願いします。
○細谷委員 細谷です。
先ほどの2か月払いの件なのですけれども、キャッシュレス決済と後払い決済はもちろん重要なポイントだと思っています。先ほど私どもの全相協の相談員のアンケートでもあったように、クレジットカードの相談が一番多いとなっておりまして、特にカードの相談のほとんどは、国センの数値からも出ているように、2ヶ月内払いの問題です。そういう意味でも、2か月内払いを落とすというのはちょっと不自然だなと思います。
もう一つは、今後どのような方向になるか分かりませんが、キャリア決済と後払い決済を何かしら法規制というのをつくっていった先には、それが成立すると逆に2か月払いにそういうのは入ってこないというか、不自然になってしまうのではないかなと思いますので、当然後払い決済とキャリア決済で何か法律をつくったら、じゃあ何でクレジットカード2か月払いには苦情の調査義務がないのみたいなことになる可能性が高いのではないかなという意味でも、2か月払いがここに入ったほうが自然なのかなと思いました。
○坂東座長 ありがとうございます。
森下委員。
○森下座長代理 まとめるような発言かもしれませんけれども、この趣旨からすれば、いろいろ問題関心を持つものを取りあえず並べた上で、このうち特にこういったようなものは喫緊の対応が必要であるとか、そのような記載の仕方をするのがこの報告書の性格からするといいのではないのかなと思います。
そのこととの関係で、私の理解が正しければ、一つの傾向としてプレーヤーが多様化しているというような御指摘もあったと思いますので、決済の手段だけではなく、決済に携わるプレーヤーの観点から何か指摘しておくべきことがないかですとか、あるいはアンケートの中で挙げられている決済手段で、本来であれば言及しておくべきであるにもかかわらず見落としているものがないかというのを、この場ではなくてもいいと思うのですけれども、早めにお気づきの点があれば、事務局にメールで御連絡いただいた上、次回の資料までに整理、反映するということではいかがかなと思いました。
○坂東座長 ありがとうございます。大変助かりました。
マンスリークリアについては、2か月払いについては、いろいろな議論があり得るというのは御指摘のとおりかと思いますが、改めてその点も含めて具体像の整理をするということで、皆さんからも追加の御意見をいただければと思います。
それでは、谷本委員、お願いします。
○谷本委員 ありがとうございます。
先ほどの池本先生の御発言には、私も全面的に賛成ではあるのですけれども、瀧委員から、法規制の適用関係の一覧表があったらいいだろうというところなのですが、割賦販売法に関しては一応私が表を規制手段と共に出していますが、ほかの法律についてもあったほうが絶対いいだろうなと思っているところです。
池本先生の2か月払いカード決済に関連しての話なのですけれども、これは規制手段とも関わると思うのですが、結局2か月払いについても、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者との関連というのがやはり重要になってきて、加盟店調査義務とか苦情適切処理義務については、それが観念できるということであれば、そこで義務を履行してもらったらいい、義務を果たしてもらったらいいということになりますので、以前、池本先生からもまとめていただきましたけれども、キャリア決済についてはクレジットカード番号等取扱契約締結事業者に当たるということであれば、そこの問題をクリアできるのですけれども、そこ自体も一応この調査会としてはまだ明確ではないという立場ではないかなとは思ったりもしています。
2か月払いカード決済についても、結局オフアスの場合のみが苦情適切処理義務を負担しないということになるので、そこが問題だということであれば、場合によっては苦情適切処理義務だけを課すことで足り、全体的に規定を全て課していく必要まではないとの考えもあり得るかなと思うところです。
それと先ほどの第3のところで山本先生から御指摘があった、決済という言葉を使うか、支払いという言葉なのかという点なのですけれども、私自身は、この専門調査会に支払手段の多様化と消費者問題という名称がつけられていること自体については、そもそも支払手段というのは消費者の立場から見たときの話だと理解していますので、消費者が何か財を手に入れるときに金銭債務を負いこれを履行することを支払いと呼んで、そこに着目する調査会だと思うので、支払いという言葉は非常に重要かなと認識しております。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
今、谷本先生が言われた前段の部分は、私も個人的には全く同感なのですが、ただ、要はそれをどういう形で今回の文書の中に落とし込んでいくかというところかなと思います。つまり、カード番号取扱事業者の議論というのが本当にこの調査会だけでなく、広く共通認識になっているのかというのは、僕はなってほしいと思うけれども、なかなかいろいろなハードルがあるのも事実のような気もしますので、そこの点をどう指摘して、この文書の中に取り込んでいくかというところも、また少し御相談させていただく必要があるのかなと思います。
いろいろな議論があるわけですが、たくさん課題がありますので、次に進めさせてください。
葛山委員。
○葛山委員 すみません。最後に発言させていただきましてありがとうございます。
先ほど一覧でやって、優先順位をつけた上でやっていくと。取引量だけではなくて被害のところを見るという話があったと思うのですけれども、最後、谷本先生がおっしゃったところで、全面規制ではなくて、規制する場合に、被害についてどの規制があれば救済できるのかという視点が結構私は大事だと思っていて、私も現場の弁護士なので、この規制があってくれればというところは本当に痛感するところがあったりしますので、優先順位をつけるというときにも、被害回復につながり得るという観点、被害を見て、どれがあれば被害回復につながり得るかという観点、これはどこまで行けるか分からないのですけれども、そういう視点も持っていただけるとありがたいなと思っております。
○坂東座長 ありがとうございます。とても大切な御指摘だと思います。
続きまして、第4の要点整理の1の(3)過剰与信、(4)詐欺的な原因取引、(5)詐欺的な金銭の詐取という、少し今までの(1)(2)とは趣が異なるものがここに出てきますが、この点に関してもせっかくですので御意見を承りたいと思います。よろしくお願いします。
葛山委員。
○葛山委員 続けて葛山です。
頂いたペーパーでどこまで修正があるのかあまり把握できていなかったもので、これにこういう形で追記したほうがいいのではないかということで検討してきたところがございまして、50ページの19行目の詐欺的な原因取引というところと詐欺的な金銭の詐取というところで書いていただいたのですけれども、これに関して検討いただきたい観点を3つ申し上げたいと思うのです。
1つ目のところとして、クレジットカードを支払手段とする消費者トラブルと書いていただいておるのですが、これはクレジットカードだけではなくて、いろいろな決済手段において、同じようなトラブルが生じているという中で、決済関係が複雑になればなるほど、資金の受取人を消費者が把握できなくて、責任追及が困難になっているというところ、これを今後さらに議論を深める点として記載していただければありがたいというところ。
2つ目としては、受取人の情報を中間者すら把握していないということが結構ございまして、そうすると被害回復に至らない。被害者側に情報提供されなければ、被害回復は成し得ないということ、これはぜひ記載いただきたいと。
3つ目としては、特徴という形になるのですけれども、原因関係の違法性が明らかな事案こそ加害者が匿名性を求めますので、被害金の真の受取人、加害者が把握しづらいという特徴がございますので、そういう形で加害者側はこの決済手段を利用しようとしていることというのは検討課題として入れていただければと思っております。
あとは、これはもう検討していただけるかというところなのですけれども、被害類型に関連して、「クレジットカードを支払い手段とする消費者トラブル」と書いていただきましたけれども、令和6年の警察公表資料ですと、SNS型詐欺、ロマンス詐欺の被害において暗号資産が使われている割合が20.6パーセントであると言われております。年間1000億円の被害があります。それを20.6パーセント、ざっくり200億円ぐらい、これに関しては、クレジットカードとかほかの被害類型と全く違くて、一件も被害回復されていないということがございますから、これがこの中間整理でどこまで検討できるかというところもございますけれども、消費者被害として今後の課題となっていることはぜひ検討いただけるとありがたいなと思っております。
もうちょっとしゃべってもいいですか。すみません。これは次のところでしゃべりたいと思いますので、まずここまでで。
○坂東座長 分かりました。ありがとうございます。
具体的な問題を提起いただいたと思います。
宮園委員、御発言をお願いします。
○宮園委員 多重債務のところの部分、50ページの3行目から6行目の部分なのですが、表現を少し変えていただけたらと思うことがございますので発言させていただきます。
「信用調査も不十分なままスマホで簡単に決済できることから、多重債務に陥るケースもある」とあるのですが、後払い決済とかキャリア決済を使うから多重債務に陥るというのとはちょっと違う感じがしていて、もともと多重債務状態であった方が、こういうキャリア決済、BNPLが使えるので、結局、生活再建が遅れ、多重債務が深刻化するケースもあるとしていただけると、現実に近い表現になるのかなと思いましたのでお話しさせていただきました。
○坂東座長 ありがとうございます。なるほどと思います。
このテーマもとても大きなテーマで、実際の被害額などを考えるととても大きなあれなのですが、ただ、一方で、さっき葛山委員からもあったように、被害の中に暗号資産というものが入っていて、暗号資産というのを今回の私どもの支払手段の中でどうするかという問題も含めて、悩ましいところは率直に申し上げてあることはあるのですが、先ほど来御指摘があるように、できるだけ多くのものの指摘はした上で、その中でどうやって重さに違いをつけるかというのがどうも仕事のようでありますから、そこも含めてどういうふうに考えるか、また御意見をいただけると大変ありがたいなと思います。
この部分もまだまだ本来御意見を賜らなければいけないのですが、本当に情けないですが、時間管理ばかりやって恐縮なのですが、まだまだいろいろな論点が残っております。次に少し進ませていただいて、第4の部分の2のほうに入りたいと思います。消費者問題に対応するための方策です。最も重要なところかと思います。その中の(1)民事ルールと(2)行政規制という形で整理をされて、アとイという形で規制のかかる主体と規律の手法という形で整理をしていただいておるのですが、この部分について御意見をいただきたいと思います。
葛山委員。
○葛山委員 度々葛山で申し訳ないのですが、発言させていただきたいと思います。
何点か申し上げたいと思うのですけれども、民事ルールのところで、記載内容についてはまだまだ修正があると思うのですが、52ページの9行目、民事ルールとして抗弁権の接続、信用契約の解除、損害賠償責任等とありますが、ここはもう少し分厚く書いたほうがいいのではないかなと思っておりまして、私、まだそんなに修正ができるとは思っていなかったので、少なくとも情報の開示とか、資金関係の凍結とか、実際に具体的に今あるルールのところで追加ができる部分は追加して、こここそ分厚く書くべき項目だと強く思っております。
これに加えて、関連してなのですけれども、決済手段の関与者がどの程度の関わりをするかによって、加盟店管理責任まで負わせられるのか、仮にそこまで負わせられなくても、情報開示義務だけ負わせることとか、資金の追跡に協力させるとか、被害回復の協力は検討し得ると思いますので、どのような関与があるのかを書くことによって今後のルール形成において有益だと思いますので、決済手段の関与者がどういう関係に立つのか検討した上で規制を検討すべきだという観点も追記を検討いただければありがたいなと思っております。
あと、今回の項目は言いたいことがいっぱいあるのですけれども、52ページの17行目以下の規律のかかる主体と規律の手法という見出しなのですけれども、これはちょっと気になっておりまして、決済代行会社と収納代行会社と2点挙げていただいているのですけれども、これは読み方の問題なのかもしれないのですが、BNPL事業者とかキャッシュレス事業者というのはここに規律のかかる主体として入っていないのが若干気になっていて、この辺り、対象がこれだけで本当にいいのか、それともそういう趣旨ではないのか、ちょっとそこが気になっております。
あと、決済代行会社という記載があるのですけれども、通常の解釈ですとデジプラは多分入りづらいのかなと思っている一方で、規律の手法で議論されるような加盟店管理というのは、デジプラについて問題になり得るという問題意識が示されていたと思いますので、項目の立て方と記載の仕方について検討いただければなというところを思っております。
続けてなのですけれども、52ページの32行目以下のところで収納代行と書いていただいておるのですけれども、ここについてなかなか意見の一致を見たところはないというところなのですが、追加でさらに議論を深めていただきたいという点について、日弁連の意見書が2019年に出ておるのですけれども、悪質事業者というのは基本的に規制回避のために収納代行を利用しようとするということなどを踏まえまして、原則としては規制対象とすべきだという意見書が出ているということは付言させていただきたいと思います。
例外的に規制対象としない場合であっても、これは真に利用者保護の観点から適切、また実効的な対応ができている場合に限ると。恐らくクロスボーダー収納代行の規制が入った場合にも、まず包括規制をかけて、問題ないところには外していくという規制の仕方をしておりますから、この辺りは検討すべきなのかなと思っております。
あと53ページなのですけれども、3行目以下のところで、加盟店管理という形で規律の手法として挙げていただいております。もう一つ挙げていただいているのは、苦情の適切な取扱いというのを54ページに挙げていただいているのですけれども、最終的な見え方の問題としてこれで尽きているのかというところ、これだけではなくて、ほかの手法もあるんだよという形が残るような形で書いていただけると、加盟店管理と苦情伝達だけで全てですよという形の書き方は、従前の議論とはずれるのかなと思いますので、この点は申し上げさせていただきたいと思います。
最後に、細かいところかもしれないのですけれども、53ページの17行目以下の加盟店管理の具体的なところなのですが、決済代行が複数入るケースです。加盟店管理義務をどの主体が負うかというところについては、現行、規制がある割販法についても、最終決定権限がどの主体にあるのかというところで、現場では結構問題になっているというところがございますので、今後、加盟店管理を様々な主体に当てはめていく際に、同じような議論が必ず重層的な決済関係としては出てきますから、その点については追加を検討いただきたいなと思っております。
ばーっとしゃべってしまいましたが、私から申し上げたいことは以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
重要な点、幾つも御指摘をいただいたと思います。そうしましたら、ここは様々な御議論があるのではないかと思うのですが、御意見があればぜひ承りたいと思いますが、いかがでしょうか。
池本委員、お願いします。
○池本委員 度々すみません。
ペーパーを出しているので、要点だけを申し上げて、見ていただければと思うのですが、まず民事ルールのところは、私ももう少し厚く論じていただきたい。その中では、現在、法制度のある抗弁接続というものが、そもそも全体に一律に適用対象が広がる性質のものではないと思いますので、どういう趣旨でどういうものには当てはまるか、という横の広がりが今後の検討課題であるということと、それから、信用契約の解除とか損害賠償責任は、どちらかというと、どういう注意義務を負うかということとの関係になりますので、抽象的な民法上の注意義務ではなくて、行政規制の中でどういう調査義務、注意義務を負うかということの反映になっていく。以前から私、申し上げていますが、消費生活センターでも活用できるようなルールを定めるとなると、行政規制のルールとの兼ね合いで、民事ルールにどういう課題をどこまでつなげるかということを検討する必要があるのではないかと感じております。
その関係で、53ページの加盟店管理というところですが、加盟店管理という言葉よりは、現在、イシュアーとアクワイアラー、あるいは決済代行というふうに複数当事者が関与しているという形態が増えていて、その場合のそれぞれの役割との関係で言いますと、私のレジュメで言うと10ページほどに書いているのですが、消費者から相談・苦情を受け付ける、言わばカード発行会社のような消費者向けに決済手段を提供する事業者が相談を受け付けたら、その内容を踏まえて、中間の決済代行あるいは加盟店に向けて提供している者に伝達し、調査をしてもらう。それでそれを受け止めて、1つの決済代行ではない、複数あるとしても、そのルートをしっかりたどって加盟店を調査し、その結果、是正すべきものは是正して、その結果をイシュアー側に戻すということ。これがあって初めて本当の意味で消費者との間で問題解決につながっていくわけです。
実はその情報を伝達し、連携して、また戻してくるという中には、先ほど葛山委員から言葉がありましたが、間にどういうものが入っているかすら分からないというものについて、決済に関与した者のどういうルート、誰が関与しているかという情報開示ということも、苦情を受け付けて伝達し、調査し、それを返していくという苦情を適切に処理するという連携の中に含まれる、情報開示というものも含まれるものではないか。そういう形でここは一番鍵になる部分だろうと思いますので、ぜひその辺りは触れていただきたいし、その関係では、海外アクワイアラーを経由した場合にどうするかというのは、以前に第4回で少し発言しましたVISAなどのブランドルールなどのことも一言触れていただけるといいのかなと思います。
あと1点だけ、これは形式的なところですが、52ページで収納代行と決済代行だけが書いてあるというのは違和感を覚えます。収納代行は、ある意味では消費者に対しても提供している立場です。加盟店にだけ提供しているという意味で言うと、決済代行はまさにそうですし、あるいはプラットフォーム事業者もそういう性質のものがあり、しかも消費者にも窓口になっているという、両方に関わっているのだとすると、両方に触れる必要があると思います。
あるいは、コード決済事業者というのは、厳密な意味では、決済の資金移動そのものに関わるというよりは、それを最も簡略にやる、QRコードで手助けするという、まさに関与者ということになりますから、ちょっと性質は違うけれども、そういうところも含めて、触れていただくといいのかなと思います。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
総論みたいな部分と、その中で、しつこく同じことを言っていますが、重点的に何が議論になるのかという部分と、この部分でも整理するというのが宿題なのだなというのを改めて今の御発言などを聞きながら思いました。少し考えてみたいと私も思います。
あっという間に時間がなくなってくるわけですが、せっかくですので、委員の皆様から、この部分について、もうお一人、お二人。
加藤先生、よろしくお願いします。
○加藤委員 私も52ページの(イ)行政規制の規律のかかる主体の書き方は工夫が必要かと思いました。規律のかかる主体の拡大については、解決すべき問題の特徴を踏まえて、既存の業規制の範囲を拡大していくという方向性や新しい業規制を設ける(業規制の柔構造化)といった選択肢があることに言及することが考えられます。決済代行会社については、その機能に着目すると、既存の業規制の拡大というよりも、別の業規制をつくるほうが適切かもしれません。収納代行会社についても、資金移動業の規制の及ぼすべき範囲を拡大していくことの他に、業規制の柔構造化もあり得ます。
つまり、規律のかかる主体を拡大する手段には選択肢があり、解決すべき問題の特徴を踏まえて使い分けていくことを示してはどうかということです。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
この部分では、葛山委員からもお話があったように、民事ルールのところの書き方をどうしていくか。池本委員からもお話があったのですが、行政規制のところと民事ルールの接合みたいな議論は必ずあり得る話で、ただし、この調査会として民事ルールというものがそこで議論されなければいけないのだという点の組立てと、行政規制のところの義務内容をどう書くかというのをうまく分かりやすく表現するという方法も、少し知恵を絞らないといけないのかなと改めて思いました。考えてみたいと思います。
この部分は恐らくまだまだ御意見があると思うのですが、あっという間に残された時間も10分程度になっておりまして、どうしようか迷っておりますが、続いて、この部分の議論を本来もう少しきっちりできればいいのですが、第4の2の(3)、(4)の部分、つまり、金融技術の活用であるとか、事業者・事業者団体の対応という部分も記載をしておるのですが、この部分については必ずしも十分な議論ができているとは思っておりませんが、この機会に御意見をいただけると大変ありがたいのですが、いかがでしょうか。
瀧委員、お願いします。
○瀧委員 技術担当の瀧でございます。クイックに。
私のプレゼンのときにもいろいろ申し上げましたけれども、ここまでの整理は基本的に何か被害が出ているとか、不正が起きているという明確な被害に対する回復であるのに対して、技術の活用は当然そういうことに使うこともできるのですけれども、もう少し広く安心してキャッシュレスが使える状況をつくるというところへ寄与するものが多いのかなと思っています。
そういうことをすると、不正予備軍を減らすことができるという意味で、全体的な貢献をするものなのかなと思いますので、安心して使えるような技術にしていくという方向性のことが入っていれば、私としては記載として割と十分なのかなと思っている次第です。
○坂東座長 これは必ずしも十分議論できていないのですが、技術的な対応によって安心が増加したり、今まで見えなかった主体がそれで見えるような仕組みが何か準備できないのだろうかということがあって、したがって、本来であればそこも深掘りしたいところなのですが、ただ、限られた時間の中で、今回の報告書にどこまでそれを書けるのかというのは、少し整理しながら考えざるを得ないのかなとは思っています。ただ、視点としてはとても大切だと思っております。
柿沼委員、御発言いただけますでしょうか。
○柿沼委員 オブザーバーとして、専門家の皆様から多岐にわたる御意見を伺い、大変参考になりました。ありがとうございました。
この場をお借りして、私からも、オブザーバーですけれども、中間案に盛り込んでいただきたい視点がございますので、4点ほどありますが発表させていただいてよろしいでしょうか。
○坂東座長 お願いします。
○柿沼委員 まず1つ目なのですけれども、今回のお話の中で、どちらかというと法制度の整備に加えた多層的なアプローチについてのお話が多く議論の中にありました。被害回復の視点からの法規制に関しましては、池本委員及び弁護士の先生などの御意見に深く賛同いたします。加えて、ぜひ未然防止の観点からも御検討いただきたいですし、中間案に盛り込んでいただきたいと思います。
4つございまして、1つ目はキャッシュレス決済に関するリテラシーの向上です。高齢者や若年層、外国人など多様な背景を持つ人々に対して、キャッシュレス決済の基本的な仕組みや留意点を分かりやすく伝える教育・啓発活動の強化が不可欠です。特に決済手段の高度化・多様化が進む中、学校教育がこうした変化に十分対応できているのかについて懸念を抱いています。現行の学習指導要領を見ても、日常生活に即した決済トラブルの予防策や情報提供を含む総合的な学習内容が十分に対応できているか。また、教員が新しい決算手段や関連リスクを正しく理解し、児童・生徒に適切に指導できるのかについても懸念がございます。これらの点について、課題があれば中間案に反映していただきたく存じます。
2つ目です。情報提供のユニバーサルデザイン化です。誰もがキャッシュレス決済を安心して利用できるようにするには、多言語対応、音声案内、図解、標準化されたインターフェースなどによる、分かりやすく統一された情報提供の仕組みが不可欠です。特に高齢者層においては、チャージ、アプリ連携などに不安を抱え、利用を控えるケースも多く見られます。そのため、標準化の指針や好事例を示すことも重要と考えます。
3つ目です。セキュリティ対策についてです。キャッシュレス決済の普及に伴い、決済事業者は多要素認証の導入、通信の暗号化、不正検知システムの強化、カード情報のトークン化など、様々なセキュリティ対策を講じていることは理解しています。しかし、フィッシング詐欺、不正ドメインといったリスクは依然としてあるのが現状で、毎日のように消費生活センターに相談が寄せられています。こうしたリスクに対して、決済事業者がどのような対策や取組を行っているのか、また、課題について具体的に明示していただきたいです。
経済産業省のクレジットカード・セキュリティガイドラインで、国内事業者に対し、2025年3月末までに3Dセキュア2.0を導入することが求められていましたが、しかしながら、中小規模のネットショップでは、技術面、コスト面の課題から、まだ導入が進んでいなかったり、未導入が残るとされています。しかし、このような状況が続くことで、十分な本人認証が行われない取引が増え、不正利用によるカード被害が発生しやすくなり、消費者の金銭的損失のリスクが高まる懸念があります。こちらについてももう少し深掘りして記載していただければと思います。
最後、4点目です。加盟店情報交換データベース、日本クレジット協会のJDMセンターの有効活用についてです。相談事例に「ほかの通販サイトよりも安価であったために注文し、クレジットカードで決済したが、粗悪品が届いた」といった事例については、加盟店情報交換データベースを活用し、該当事業者の情報を適切にクレジットカード会社が共有・管理していくことが極めて重要と思います。それによって、悪質な加盟店を排除できるからです。
とりわけ、割賦販売法の適用対象外となるマンスリークリア取引のようなケースにおいては、有効に機能する手段の一つと考えられます。今後、決済事業者による積極的な情報登録と活用が一層進むことを強く期待しますので、そちらについても事業者(事業者団体)のところに記入していただけるとありがたいです。
また、今回の議論の中で気になった点があります。マンスリークリアと割販法の包括信用などについての相談数ですが、総数が多い取引数によって、相談数というのはおのずと多くなると思いますので、その辺りについても、ただの数値だけではなく、取引数から見た数値を盛り込んでいただく必要があるのかなと思いました。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
いろいろな場面に関わるところの御意見かなと思いますが、改めて整理し、どういう形でできるかも含めて検討したいと思います。
金融技術の活用、事業者・事業者団体の対応みたいな部分での議論というのは、恐らく今、柿沼委員から御指摘いただいたことも含めて、調べなければいけないことがたくさんあるかなという気がしておるのですが、少し時間的に厳しいかなと思っております。ですので、その点も含めて、どういう書きぶりが必要なのかを少しまた考えてみたいと思います。
細谷委員、手を挙げておられますか。
○細谷委員 時間がない中で申し訳ないですけれども、事業者団体のことについてお話しさせていただきたいのですが、相談員からの意見として、事業所団体に入っていたとしても、例えば日本クレジット協会さんとかも、カード会社によって対応が違うというのが多いということと、後払い決済の事業者団体もできているけれども、実質的には効果が見えないというようなことで、事業者団体に何らか求めたいことは多いのですけれども、実際有効になぜ動かないのかというようなところを今後もう少し深掘りしたいなと思っておりますので、事業者団体がどういうことをやっているかというところではなくて、どういう問題点があって、もう少し事業者団体にどういうふうに運営していただきたい、こういうふうになっていただきたい、どうして有効に動いていかないかというところを言及してきていただきたいなと思っております。
○坂東座長 事業者団体の部分等については課題がどうもたくさんあるようですが、そのことも含めてもう一度整理をしたいと思います。
大変恐縮ですが、その他の部分として、3番のところに決済に関する情報の話と、それからいわゆる契約関係の話を取り上げて、2つ出しております。今、柿沼委員からあったお話は、そこに関わるその他かなと思いながら聞いておったのですが、この部分についても御意見いただいておきたいと思っていますので、時間がない中恐縮ですが、御意見いただければと思います。
池本委員、お願いします。
○池本委員 何度もすみません。簡単に申し上げます。後でペーパーでお読み取りいただければと思いますが、決済に関する情報ということについては、その情報がどう使われるか分からないことを明確にすべきだということプラス、最終的には自己情報コントロール権を尊重すると。特に自分の借金とか購入履歴というようなものは、それに関連する情報が来て便利だと思う人もいるし、そこまで知られているのかと抵抗を感じる人もいるわけで、それをちゃんと選択できるようにするというのが不可欠ではないかという点です。
2番目の契約関係というところで、中間整理(素案)では契約関係についての情報の開示ということが触れてあります。もちろんそれも重要な課題でありますが、もう一つは、後段にちょっと触れてありますクレジット手数料の徴収の有無と、不適正与信防止の責任との関係はどうかという課題があるかと思います。これは、これまでも少し話題になったかと思いますが、ビジネスモデルとして、消費者から手数料を取る形で、ヨーロッパとかそういうところのように広げていくのか、それともシェアを大きく広げるために、消費者からは取らないで、取らないといっても無料のボランティアでやっているわけではなくて、加盟店契約会社側から一定の配分を受ける形になっているはずですから、そこはビジネスモデルの問題と、それから、決済手段を双方に提供するものが連携して責任を負うということとは区別する必要があるのではないか。
そして最後に、消費者に直接決済手段を提供している者は、直接の契約関係があって、そこで注意義務があるというのは認定しやすいのですが、中間の加盟店契約会社、決済代行業者、こういう者と消費者との間は果たして契約関係があるのか、ないのか。単に取り次いでいるだけですというのが事業者の訴訟などでは必ず出てくる弁解です。その場合に、いやいやそれは連帯して責任がある、契約関係として責任があると考えるべきだと見るのか、それとも消費者向けの決済手段提供事業者の履行補助者として、その先の業者の不履行は、消費者に向けたカード発行会社側が責任を負うと見るのか、こういう辺りの捉え方の論点ということが重要になってくるのではないかと思います。もちろんこれは今後の検討課題ということで申し上げました。
この後すぐに移動しなければいけないので、お先に失礼します。
○坂東座長 ありがとうございました。
限られた時間の中で議論を進めてきて、いろいろな先生方から御報告をいただいて、様々な点についていろいろな知見を提供していただけたと思っておるのですが、それにもかかわらず、キャッシュレス決済に関わる議論というのは幅が広くて、先ほどの柿沼委員との関係でいけば、2段階認証のお話も出てきまして、入り口のところでの議論も実はあるのですけれども、そこは今回あまり議論してこなかった気が個人的にもしております。そこは置いておいていいのかどうなのかというのも今、悩んでおります。
御指摘いただけることがあれば、この機会ですので、もう時間も来ておりますが、御発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
谷本委員。
○谷本委員 時間のないところですみません。手短に。
ちょっと気になったところで、戻ってしまうのですけれども、事業者団体の対応のところに関連して、2021年でしたか、消費者委員会のワーキング・グループで後払い決済についての自主規制の方向性についての報告書が出て、それを受けて消費者委員会が意見を発出しているという状況があったと思います。そのときに業界団体もできたところだから、その自主規制の方向性を検討した上で、それが功を奏しなかった場合には行政規制も考えられるというような意見が発出されていたと思います。こちらに今後さらに議論を深める点として、金融審議会での見解というものが示されていますが、消費者委員会として、消費者委員会のワーキング・グループ報告と意見については触れないでもいいのかなというところが気になりました。
支払事業者と消費者の契約関係のところでは、初めのほうで山田先生から報告があって、消費者との関係においては決済事業者は責任を持たないというようなことを特約の中で入れていることについて、それも議論に出ていたので、何か書いていただく必要はないのかなというところも気になりました。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
柴田委員も御発言をお願いします。
○柴田委員 柴田です。
私のほうからは簡単に、もちろん事業者団体の規制というのも必要だと思うのですけれども、まず行政規制のところで、もうちょっと原則を打ち出してもいいのではないかなと思っております。消費者が用いる支払手段に対しては、事業者としてこうあるべきという、そういった行為に少し絞った規制と言ったらあれかもしれませんけれども、あるべき行為というものも示していく。それによって多分それが民事ルールにも影響を及ぼしていくのではないかなと思っております。今回、決済代行会社とかかなり絞った形で書かれているのですけれども、行政規制としてもう少し広く、原則というか、そういったものについて言及しておくというのもよいのかなと思っております。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございました。
山本委員、最後に。
○山本委員 時間のないところすみません。
報告書全体というところと、少し今までの議論の脈と違うのですけれども、同じ時間に国民生活センターさんが後払い決済で苦情が非常に多いというようなプレス発表をされて、私も手元にメールで来ていて、発表された内容にそれは入っていなかったのですけれども、例えば今回の報告書にそこの部分を引用するなどしてもいいのかなと思いました。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。とても貴重な御指摘かと思います。
改めて、全体をこうやって議論すると、それぞれの場所にまた戻って、この部分についてはどうだろうかといった御意見がきっとあるのだろうと思います。
ただ、一方で、中間整理、あるいは時間的な枠組みの中でどこまでできるのだろうかということとも率直に言うと考えていかないと、まとまりがつかなくなるかなと思います。
友行さん、どうぞ。
○友行参事官 事務局から申し訳ありません。
本日御欠席されている永沢委員から発表してほしいという意見をお預かりしておりますので、3点お預かりしておりますので、3点御発表させていただきます。
主には第4の要点整理のところにいただいております。
1つ目は48ページという御指摘がございまして、後で御確認いただければいいと思っておりますが、検討が必要な消費者問題の1つ目の既存の規制の対象となっている点の救済レベルの相違の箇所のところでございますが、おおむね意見の一致を見た点の記述の中に、クレジットカードの2か月払いの利用者保護のための規制の見直しをすべきという意見が大勢であったと思われ、その点、明記をお願いいたしますという意見が1点目。
それから、同じく48ページの12行目のところで、金融審の規制の重構造化の大前提のところでございますが、規制体制をより機能別、横断的なものとし、同一機能、同一リスクには同一ルールを適用することが重要であるということの金融規制の見直しを現在進めていますと、注釈でも構いませんので加筆していただくことを要望いたしますという御意見の内容でございます。
また、3つ目でございますが、55ページの9行目の記載で、ここでも金融審の記載ぶりを引用しているところでございます。引用している部分は、報告書に当面はと記載されていますが、それは2019年のことであって、当時、委員として審議に参加していたが、2019年のその前の年にキャッシュレス推進協議会が立ち上がった場合でもあって、民間での利用者保護の在り方をいろいろと頑張ってくれているので、しばらく様子を見ようということでこういう記載ぶりになったというような認識をしていると。既にそこから時間が経過しているので、この文章に続いて、その後の事業者による自主的な対応状況や対応の検証を行うという文言を加えてはどうかと思いますと。
以上3点でございます。
○坂東座長 ありがとうございました。
今日は大変豊富な議論をしていただけたと思います。ただ、これを残された時間の中でどう整理して、我々の中間整理として多くの方に読んでいただくか、これもとても大切な視点かと思います。本日の議論を今後の中間整理の案に生かしていく努力をもう少し続けてみたいと思います。
それでは、時間も参りましたので、議論は以上にして、最後に事務局のほうから事務連絡をお願いいたします。
≪3.閉会≫
○江口企画官 本日は長時間にわたりありがとうございました。
次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。
以上です。
○坂東座長 それでは、本日はこれにて閉会といたします。
お忙しいところお集まりいただきまして、また、活発に御議論いただきまして、本当にありがとうございました。
(以上)