第6回 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 議事録
日時
2025年6月12日(木)15:00~17:00
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (専門委員)
- 【会議室】
池本委員、葛山委員、加藤委員、永沢委員、山本委員 - 【テレビ会議】
坂東座長、森下座長代理、井上委員、柿野委員、柴田委員 滝澤委員、谷本委員、細谷委員、宮園委員 - (オブザーバー)
- 【テレビ会議】
黒木委員長代理 - (事務局)
- 小林事務局長、友行参事官、江口企画官、事務局担当者
議事次第
- 開会
- 議事
中間整理骨子
- 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
≪1. 開会≫
○坂東座長 それでは、定刻になりましたので、会議を始めたいと思います。
本日は、皆様、大変お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。ただいまから、消費者委員会の第6回「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を開催いたします。
本日、会議に御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。
本日は、池本委員、葛山委員、加藤委員、永沢委員、山本委員は会議室で、森下座長代理、井上委員、柿野委員、柴田委員、滝澤委員、谷本委員、細谷委員、宮園委員及び私、坂東はテレビ会議システムで御出席をいたしております。なお、瀧委員は、所用により御欠席との連絡をいただいております。
また、消費者委員会からのオブザーバーとして、本日は、黒木委員長代理、柿沼委員にはテレビ会議システムにて御出席いただいております。なお、鹿野委員長、大澤委員、星野委員は御欠席との連絡をいただいております。
本日の進行についてですが、途中で、私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間は座長代理に、座長代理の回線も併せて切れた場合には、事務局に進行をお願いすることにいたします。
続きまして、本専門委員会専門委員についての報告です。
事務局から御説明をお願いいたします。
○江口企画官 「支払手段の多様化委員と消費者問題に関する専門調査会」につきましては、このたび御事情により、岩澤信子専門が辞任される運びとなり、新たに細谷佳世美専門委員が指名されましたので御報告いたします。
現在の構成員は、参考資料1の委員名簿にて御確認ください。
○坂東座長 では、新たに専門委員となられました細谷委員より、一言御挨拶をお願いいたします。
○細谷委員 細谷佳世美です。どうぞよろしくお願いします。
岩澤委員の後任として、全国消費生活相談員協会から参りました。協会では、理事と北海道支部長をしております。
相談現場で働いておりますので、相談者の声と啓発活動などで得た消費者の声を、この調査委員会で生かしたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○坂東座長 細谷委員、どうもありがとうございました。
任期が終わる8月末まで、あと3か月弱ではありますが、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、本日の会議の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いいたします。
○江口企画官 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
本日、テレビ会議システムを活用して進行いたします。一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。議事録については、後日公開いたしますが、議事録が掲載されるまでの間は、本日の会議の模様をホームページにて配信いたします。
以上でございます。
≪2.中間整理骨子≫
○坂東座長 ありがとうございます。
それでは、本専門委員会は、これまで5回の会議において、毎回、委員の皆様、そのほかの方々から、それぞれの御専門の立場から発表をいただき、その内容について議論を深めてまいりました。
本日は、これまでの議論を踏まえ、中間整理の取りまとめに向けての議論を始めることになります。
それでは、これまでの議論を踏まえて作成した中間整理の骨子案等について、事務局より御説明をお願いいたします。
○友行参事官 それでは、御説明いたします。
本日の議事、中間整理骨子につきましてということに関連いたしまして、事務局より資料1として「これまでの議論の整理」というペーパーを御用意しております。資料の1を御覧いただけますでしょうか。
第1回から第5回まで、これまで御議論をいただいております。その間、委員の先生方から御発表をいただいております。それを基にいたしまして、これまでの議論の整理という形で、こちらのペーパーを用意させていただいております。
現時点、この中での書きぶりについては、委員の皆様の言葉遣いなども大切にしながら記載しているところでございます。
構成については、第1から第4のとおりでございます。
第1、第2のところは、委員の皆様の御発表の資料や、その際のコメント、また、その各会で議論をいただきましたことなどを中心に整理しております。
第4には要点としております。1から9まで掲げております。
これまでの御議論の中で、委員の皆様がとても気になっていると思われるところを記載しております。現時点におきましては、項目のみ記載しているところでございます。
それでは、内容につきまして、簡単になるかとは思いますが、御説明いたします。
ページをおめくりいただきまして、3ページ目を御覧いただけますでしょうか。
第1の「問題意識と現状」のところでございます。
1の「本専門調査会の問題意識」のところ、脚注もつけておりますが、この専門調査会の設置の背景や検討事項につきましては、第1回の専門調査会におきます資料の1として、詳細にしているところでもございます。
3ページ目のところの2つ目のマルでございますが、消費者委員会では、この件に関しましてアンケート調査を実施したところ、現金以外の支払手段を使っている理由として、支払いが簡単で安い、現金を持ち運ばなくて済むといった回答が多く見られました。支払手段の多様化は、消費者に一定の利便性をもたらしていると言えるということでございます。
「他方」というところで、支払いが対面でなくインターネット空間で行われることなどにより被害が拡大し、未然防止、救済が難しいということや、キャッシュレス決済の仕組みが複雑化・多様化し、消費者には理解しづらいものとなっているなど、様々な影響を与えているということも考えられます。
18行目のところに参りますが、本専門調査会では、まず、支払手段の多様化が消費者にどのような影響や消費者問題をもたらしているか、その事実をデータ、エビデンスとともに明らかにする。そして、その消費者問題等が生じている要因、構造を可能な限り明らかにしていく、その要因を取り除くため、どのような方策があり得るか、新規立法を含む法制度なのか、いわゆる加盟店管理といったものなのか、決済代行会社への規律なのか、金融技術の活用なのか、事業者の取組強化などを検討し、取りまとめていく、その過程で、以下の点についても議論していくということでございます。
支払手段の多様化に関し、消費者との関係で一番のポイントは何なのか。支払手段の多様化によって新たな問題が生じている可能性がある。例えば、具体的な取引において、消費者及び事業者が選択可能な支払手段の選択肢が増える中で、消費者が合理的な選択をできるのか。
4ページ目に参ります。
支払手段の多様化が消費者行動や市場に与える影響の分析、また、どのような要因が消費者被害を引き起こしているのか、こういったことも議論していきながら、夏頃を目途に中間的な整理を行っていただくというスケジュール感で検討していっていただいているところでございます。
5ページ目でございます。2の「支払手段の多様化の現状」でございます。
こちらにつきましては、これまで委員の先生方から御発表いただいた資料などを中心に整理しております。
5ページ目は、様々な支払手段の利用実態等となっております。
6ページ目、7ページ目につきましても、同様の関連の資料となっております。
8ページ目、そして、9ページ目のところでございます。
6行目でございますが、決済手段の多様化は消費者にとって新たな課題をもたらしている。例えば、各決済手段のコスト、手数料、ポイント還元率、与信条件等が十分開示されないと、消費者が適切な選択を行うこと、事業者間の価格比較が困難であり、結果的に消費者が不利な契約に誘導されるリスクが高まる。あるいは、支払手段の多様化により、クレジット審査に通らなくても、利用可能な支払手段が提供されるようになっているという御指摘もございました。
10ページ目からは「複雑化・多様化する仕組み」でございます。
11ページも同様の図でございます。
13ページに参ります。
支払手段を選択する観点ということで、消費者委員会におきまして、消費者向けアンケート調査を実施し、そこでのアンケート結果を記載しております。
15ページ目でございます。
第2「支払手段の多様化に関わる消費者問題」でございます。
1として「主に相談現場で生じていること」ということでございます。「多様な支払手段と消費者相談」という題名をつけております。
17ページでございます。
4行目に記載しておりますところは、消費者が簡易に利用できる一方で、仕組みが複雑で分かりにくく、トラブルに遭うと自力で解決することが難しくなっている。消費者は多くの支払手段からその特性等を理解した上で、選択、利用することは困難になっているという御指摘がございました。
また、10行目のところには、支払手段の法律や仕組みが異なり、複雑なため、相談現場においても解決を図るためには、知識や経験が必要な上、時間と労力がかかる。
また、新たな決済手段によって消費者が被害を受けないよう、事業者によるシステム整備、法整備も必要と考えられる。苦情受付窓口を明確にし、被害回復につながるよう、苦情の適切な処理が行われることを望むという御指摘もございました。
18ページ目からは「多重債務の側面から見るキャッシュレス決済」でございます。
21ページ目を御覧いただけますか。
3行目は、BNPLについて、収入確認、信用情報機関の利用、支払い可能見込み額の調査義務がないといった御指摘がございました。
16行目でございます。
キャリア決済の上限額は、各社それぞれ異なるが、初期設定で二十歳以上の場合、10万円程度となっている。1か月に10万円、その次の月も10万円使える形になっており、ギャンブルに使用している場合もあったという御指摘がございました。
多重債務については、信用調査、参入規制、紛争解決の枠組み、加盟店管理、払い戻し等、何らかの法規制があると被害解決が進むと思うという御指摘もございました。
22ページ目からは「主に被害救済の現場で生じていること」でございます。「クレジット決済における決済代行会社の位置づけと問題点」。
また、23ページ目では、割賦販売法の適用・不適用の一覧についての御説明もいただきました。
24ページ目でございます。
4行目で、クレジット会社について2か月を超える後払いについては、登録制や苦情適切処理義務があるのに、2か月内のマンスリークリアについては、登録制、苦情の適切処理義務がないという御指摘。
また、10行目ですが、加盟店契約を締結した当事者に加盟店調査措置義務を課すべきであるが、当事者からはそのような義務を負わないと主張され、結局誰も責任を負わないというケースが生じているということもございました。
25ページ目からは、具体的な被害の状況について、図表を入れております。
25ページ目は、国際ロマンス詐欺でございます。
26ページ目には、下の図表では、銀行振り込みにおける対応方法等といった図表を入れております。
27ページでは、副業・セミナー詐欺の模様、また、大規模投資詐欺被害類型について掲載しております。
28ページからは「事業者の視点」となっております。
FinTechの変化でございますとか、29ページ目の下の図では、今後の可能性として認知力の低下に備えた補助ツールの仕組みの図の御紹介がございました。
30ページでございます。
支払手段の多様化は、決済代行会社やプラットフォーム運営会社など、新たなサービス提供の層によって促されてきた金融技術により、1つの事業者の業務をばらばらにしたときに、幾つかの業務が非常に安く営めるようになっており、そこだけ切り出して専門業者に任せることが進んでいる。金融技術はアンバンドリングによって進展する特性上、複層化すること自体は不可避であるという御指摘。
また、14行目のところでは、被害に遭いそうな兆候というのは、FinTechのアカウントを持っている人が一番最初に気づくのではないか、そういったアラートを消費者に対して出すことは可能となっているが、事業者にも連携できたらよい。そうした取組がデータの利活用の問題があって難しいのか、進めていける可能性があるのか、関心があるといった御議論もございました。
31ページからは「アンケート調査の結果概要」を記載しております。
(1)は、消費生活相談員さんに行ったアンケートの結果でございます。
32ページ、33ページ、34ページ、35ページと続いております。
36ページに考察を記載しております。
3行目でございます。キャッシュレスは複雑で、内容も変わっていく。特にコード決済は多数の事業者が存在し、ポイントなどで消費者を奪い合っている状況である。それが消費者のためになっているか分からない、デジタル弱者は置いていかれているといった相談員さんからのコメントがございます。
また、16行目では、カード会社に電話をかけてもなかなかつながらない。最近はメールやチャットでの問い合わせにしか対応していないカード会社も存在。高齢者等は自力ではメールやチャットを利用できないため、必然的に消費生活センターを通さないとやり取りができない。カード会社に無理やり電話で問い合わせしようとすると、専門外の窓口が対応することになって、余計にやり取りに時間がかかる。電話で専門の部署に問い合わせをすることができるようにすべきといった御意見もあったところでございます。
37ページの12行目からは、消費者向けアンケートを記載しております。
38ページ、39ページと続きます。
40ページの7行目から考察となっております。
支払手段の多様化について消費者がどのように感じているか、支払手段の多様化により、利便性が高まっている。ポイントも貯めることができる。また、自分に合った支払い方法を選択・決定できるのがよい。現金管理の手間が省ける安全面から見てもプラスではないかという御指摘もございました。
41ページに行きますと、2行目のところから、セキュリティーや信頼性について、どこまで信用できるか分かりにくいといったことや、高齢者には対応できない場合がある。便利ではあるが複雑、不安な気持ちになることがあるといったコメントもございました。
次に、第3のところでございます。「消費者問題の要因」として、現時点で段落名だけ記載しております。
支払手段の多様化に関して、どうして、こうした問題が生じているのだろうという視点や、俯瞰的な視点、もしくは、今まで気づかなかった視点、キャッシュレス決済以前では生じていなかった事象などの視点などについて、消費者問題の要因として様々な御議論をいただきました。
現時点では項目のみとなっておりますけれども、そういった様々な視点があったことを踏まえて、第3の消費者問題の要因という項目を今のところ立てております。
課題4のところは「要点整理」としております。
現時点では項目だけとなっておりますけれども、繰り返しになりますが、これまでの御議論の中で、委員の皆様が、恐らくとても気になっていると思われるところを、今、1から9まで掲げております。規律の対象外となっている支払手段、加盟店管理や決済代行会社のこと、支払手段と規制・救済レベルの相違があること、また、多過剰与信に関わること、民事ルールに関わること、金融技術の活用、事業者の取組、決済に関する情報、支払事業者と消費者の契約、約款関係などでございます。
事務局からの説明は以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございました。
今までの多様な議論を、これまでの議論の整理という形でまとめていただきました。御苦労に感謝いたします。
それでは、今回は主に、第3、第4に見出しだけが立っておりますが、それを踏まえて、支払手段の多様化に関連した消費者問題が生じている要因、あるいは今後掘り下げるべきだと考えられるような点について、委員の皆様から率直な御意見をいただきたいと思っております。
それに先立ちまして、本来、議長があまりいろいろしゃべるべきではないのでしょうが、少しだけお願いがあります。私どもに残された期間というのは、あと2か月と少しで、中間整理案にまで、これまでの議論の整理というものをバージョンアップしていかなければいけないという課題があります。
中間整理というのは、次の議論へのバトンを渡すという趣旨もありますし、あるいは、例えばアンケートに答えていただいた現場の皆様に対して、何らかの形できちんとしたメッセージを届けるという観点もあろうかと思います。
したがって、何らかの形で中間整理案が大きな意味を持つものとしてまとめていきたいと私も考えております。
ただ、先ほど申し上げたように、第4の要点として書かれているものは、まだ項目だけでありまして、さらに議論を深めなければならないことも多数あるように思います。例えば、加盟店管理と決済代行会社というのが並んでおりますが、加盟店管理というものを一体どういう形で検討すれば、今後の議論に資することになるのかという点については、現場からの御意見は随分出ていますが、まだまだ検討すべき課題というのは残っているように思います。
また、本当に決済代行会社が加盟店管理をどういう形でできるのか、また、その前提として、アクワイアラーと代行業者の契約関係は一体どうなっているのか、最終的には、問題がある加盟店を誰がどういう手段で把握できるのか、法的な枠組みは、その際どうあったらいいのか、あるいはそれに対する実際の技術的な対応はどうかといった点については、恐らく、我々の場で議論が尽きるわけではなくて、次の議論も含めて課題として整理をしておく必要があるかなと思っています。
その意味で、例えば、今後の課題としてこういう点についても検討すべきだ、あるいは、この点は宿題になるといった御指摘も含めて、御意見をいただくことができれば大変ありがたいと思っています。
また、何が解決されれば、結局、どの問題の解決につながるのかといった観点も、第4の議論をする上ではとても重要だと思っておりまして、その点についても委員の皆様から忌憚のない率直な御意見を伺えればと思っております。
以上を踏まえて、委員の皆様から積極的な御意見をいただきたいと思っています。
まず、最初に、座長代理から少し整理についての御意見も承っておるので、一言御発言をいただきたいと思っていますが、森下先生、御発言いただけますでしょうか。
○森下座長代理 ありがとうございます。
今、座長からお話があったように、本当にいろいろな御意見や、あるいはデータですとか、そういうものが数多く提示されて、そういう意味では、今後の中間整理の取りまとめに向けた、すごく豊富な素材が、今、我々の目の前にあるのかなと思っております。
他方で、素材の中には、本当に争いのない事実というのか、データというもの、これまで必ずしもいろいろな立法作業ですとか、あるいは対策作業の際に十分に光が当ててこられなかった事実として、この機会により広く知らしめるべきものもあると思うのですけれども、そういった事実を前提にすると、こう考えるべきであるという意見ですとか、あるいはそういった事情を改善するためには、こういう可能性も考えられるのではないかという、1つの可能性ですとか、いろいろなレベルのものがあるかと思いますので、最終取りまとめをしていく際には、そういったもののレベル感がクリアになるような形で仕上げていくことが、すごく大事なのではないかと思っております。
例えば、施策などにしても、皆さんが一致できるものもあれば、必ずしも今の段階では御意見が分かれるものもあろうかと思いますので、そのような点も含めて、今後、最終的に仕上げていくことが大事なのかなと思っています。
もう一点は、座長のお話にあったように、限られた時間の中での検討だったわけですけれども、例えば、こういう点を今後解明していく必要があるといったことというのは、やはりここである程度クリアにしておくことは、相当意義があるのではないかと考えております。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございました。
今日からの議論が、これまでと違った形で取りまとめに向けて議論を進めていくために、少しだけ座長と座長代理としてのお願いをさせていただいた次第であります。特に、具体的に先生方に何か制限をお願いするというわけではもちろんございません。
それでは、御発言のある方は挙手、あるいは、オンラインの方は、チャットに発言がある旨を御記載いただければと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
そうしましたら、池本委員、御発言をよろしくお願いいたします。
○池本委員 御指名ありがとうございます。
まず、私のほうからは、先ほど事務局から提示された配付資料1の第3の「消費者問題の要因」というところ、これは、たしか第1回目でしたか、事務局からの問題提起として、現金取引の中では発生しなかった消費者問題が、キャッシュレス決済の拡大によって問題が拡大していると言えるのかどうか。
それから、そういった消費者問題の責任を、その支払手段を提供するキャッシュレス決済の事業者に負わせるべきなのかという一番根本の問題提起があったかと思います。そのことについて、どう捉えるかというところに絞って、まず、発言させていただきたいと思います。
まず、結論的に言いますと、銀行の送金は、取引とは無因性である、クレジットのうちの2か月を超えるクレジットについては、割賦販売法で抗弁接続という有因的な扱いがある。
そういう100か0かの問題ではなくて、現在、送金分野についても様々な手当が行われ、詐欺業者、悪質なものを食い止めるという方策が増えてきていますし、クレジットだけではないキャッシュレス決済の分野についても、100パーセントの有因か、無因か、100か0かではなくて、加盟店調査、排除あるいは苦情の適切処理という実質的なところで何か共通項が見いだせないか。そう考えていくことによって、現在起きているものを捉えることができるのではないかということを申し上げたいと思います。
と申しますのが、キャッシュレス決済に関連してトラブルが増えてきている、あるいは、送金についてトラブルが増えてきているというのは、携帯電話が普及して所在不明のところからでも、詐欺業者でも連絡ができる、それが振り込め詐欺などにも発展しましたし、インターネットの匿名性を悪用して、様々な悪質業者が横行するというものもあります。
そして何よりも、スマートフォンが普及していくことによって、スマートフォンが本格的に普及したのは、2007年に初めて登場して2010年頃からと言われていますけれども、まさにそれ以降、一気にキャッシュレス決済が増えているわけです。つまり、スマートフォンがあり、ネットに国民誰でもそこにアクセスして取引ができる。
しかも、これは2016年から17年、18年頃だと言われていますが、スマホ上の決済アプリというものが登場してきて、ネットの画面、スマホの画面で取引をして、そのまま決済にまで進むことができる。以前、訪問販売で個別式のクレジットのときは訪問販売業者がノンカーボン複写式の用紙に住所、名前を書いて、それで商品や役務の取引について契約書をつくるとともに、下の用紙がクレジット会社に回ると、まさに1つの手続で両方の契約が進むというのと同じように、1つの画面で、少なくとも消費者から見た目では、販売業者のサイト、そこで実はリンクを張って一旦別の事業者に変わっている、そして、また戻っているのかもしれませんが、手続としては情報を共有することによって、不可分一体の手続で取引と決済ができてしまう。
そういう仕組みがあるからこそ、この問題が出ていますし、何よりも、もう一つは、ネット取引の匿名性という問題。しかも、この頃のキャッシュレス決済は、それにさらに乗っかっている関係で、独自の本人確認をその都度やるわけでもない。そうすると、ネット上のサイト業者で、その後連絡先もよく分からないという、その匿名性が、キャッシュレス決済も同じ手続の中で、不可分一体に進むことによって匿名性も完結してしまうと、そういう問題になってしまうわけです。
そうだとすると、消費者と事業者との間の取引をつないで、どちらからどれだけ手数料を取るかという取り方の問題は、ビジネスモデルはいろいろあるでしょうけれども、その取引によって事業を展開し、収益を得ている、その決済手段を提供する、消費者に提供あるいは加盟店に提供する事業者は、単独であれ複数であれ、その間では連携しながら不適正な取引は行わないように排除していくことが求められるのではないか。
そのことが、例えば、銀行送金の分野でも、口座凍結とか、あるいは被害回復の分配金制度とか、疑わしい取引は警察に通報すると、そういう制度も入ってきているように、全く無因で済むのではない、やはり不適正なもの、犯罪収益の移転をどう防ぐかというのが、預金の分野、銀行送金の分野でもあるのと同じように、こちらの販売代金の決済についても、その決済手段を提供するものとして、できれば事前に食いとめる、少なくとも発生したときにはそれを確認して、再発の防止だし、その取引について適正な解決ができるようにしていくと、そういう決済手段提供事業者としての責任があるのではないかと、このように考えるところです。
取りあえず、私からの総論的な意見です。
○坂東座長 ありがとうございました。
引き続いて、御意見を多数承りたいと思っています。
山本委員から御発言の御希望があると記載されています。山本委員、どうぞよろしくお願いします。
○山本委員 機会をいただき、ありがとうございます。
私からは、多少実務的な視点から、これからのまとめに少し寄与できるかできないか分からないのですが、そういったまとめるというところの視点で、4点ばかり発言をさせていただきたいと思います。
事務局に御説明いただいた要点整理の中で、キーワードを挙げていただいたと思います。このキーワードは、これからも、いろいろ絞り込んでいったり、まとめていくという作業になるかと思うのですが、私なりに幾つか重要だと思っておりますキーワードも、こちらの要点のところに書いていただいておりますが、まず、その1つが加盟店管理、つまり、加盟店を管理するという行為、これは、そもそも加盟店とは何なのだろうということと、誰がそれをやるべきなのかというポイントがあるかと考えております。
なぜ、それを言うかといいますと、加盟店的な属性で物を販売している事業者との契約を締結している業者というのがたくさん増えていて、決済代行会社が王道だったわけですが、アクワイアラーというのが入り、ただ、最近はプラットフォームであるとか、収納代行という業者さんが、そういう似たような行為をしているというところも捉えますと、加盟店とは何だろうというところを、もう一度整理ぐらいはしておく必要があるのかなと。それを管理する行為というのは、誰がどのようにやるべきなのかという、全部規制する、しないというところとは別に、また、行為としての管理というのも明確にできたらいいなと、どこまでやるかというのはともかくとして必然性を感じます。
それが1つ目でして、もう一つ目が、与信というところなのです。これは、恐らく御指摘は現場から過剰与信ですね、信用情報センターへの紹介がリアルタイムにぽんと反映されないとか、いろいろな御指摘があったと思うのですが、まず、ここは過剰に繰り返し与信されてしまうということの以前に、与信の考え方というのが、やはりもう少し整理してもいいのかなと思いました。
というのは、現状ですと、包括的なクレジットカード、包括信用購入あっせん、それと分割払いにしていく個別信用購入あっせん、それぞれ包括的に消費者を与信する場合と、支払いの都度、与信を審査していく方法がありますが、それに当てはまらないと言われている2か月以内というのもあると。
あとは、2か月以内でやっているから、制度がないのだと言っている、例えば、コンビニ後払いやキャリア決済、この点を池本先生が言われて、次のポイントにはなるのですが、無因か有因かで区別するのではなくて取引全体で見ていくと、与信もそういう全体で見ていく考え方というのが必要ではないかなと思いまして、そうすると、2か月以内というのは、だから関係ないではない、個別包括だからではないという、そういう根本的に与信という行為が何のために行われていて、どういう効果をもたらすのかというところも少し整理が必要なのではないかなと思いました。
それと3点目のポイントが、これは、池本先生と同意見の部分ですが、送金が無因だから何も面倒を見ないというのはあり得ないなというのは私も全く同意見でして、では、クレカが有因だから、要は取引が見えるから規制されているのだと、これもやはり、有因か無因か、送金だから送り手、受け手という、何か非常に無機質な2者しかいないということではなくて、その上位に必ず取引という関係性がありますので、もっと取引とか、前段の契約なりをもう少し配慮すべきだというところを、もう少し整理してもいいのかなと思っております。
最後に、以上が3点なのですが、共通して、もう一つ、これは、より実務的な発言になるかと思うのですが、例えば、2か月以内の信用販売をどうするのだという御指摘もいろいろな場面から出ているのですけれども、例えば、クレジットカード会社というのは、実務的には、包括信用購入あっせんを行っているので、リボ払いという行為において、規制を受けるようなコンプライアンスを敷いている。
ところが、そういう事業者も規制の対象ではない一括払いをやっている。その場合、総論、恐らく事業者さんから見ると、規制されたコンプライアンスで全てを運用していると考えていらっしゃる、あるいはそういう説明をされるし、だから、そこの規制されていないところを追加的に規制していくところが合理的なのかどうかというところは、クレジットカードの一括払いを追加的に規制するということではなく他の形で事業者さんに積極的に協力していただこうとするときに、少し配慮が必要な点ではないかなと考えているのです。
とはいえ、クレジットカード会社は規制のない取引をやっていても、ほかで規制をやっているからいいのではないかと言ったかもしれませんが、他方で、コンビニ後払いであるとか、キャリア決済の場合には、全ての取引が規制の対象から外れていると、これは、おかしいという論点があっていいだろうと思っておりまして、そういう意味でも、より包括的というのは、バランスよくうまく規制論なりに結びつけていく、コンビニ後払いとキャリア決済は規制すべきであると考えます。
その際に、例えば、実務的な点でもう一点付け加えさせていただきますと、クレジットカード会社などの規制をどうこうするという議論というのは、当然出てくるとは思いますけれども、例えば一括払いなどの点については、まだ、規制とは別の点でできることもないかという視点があってもいいのではないか。
これは、どういうことかというと、消費者行政と事業者を協力してもらうような関係性をきちんと構築していく、それを義務づけるのに法律が必要だという考え方もあるのかもしれないのですが、要は、規制の一歩前に、一旦行政とか相談現場とうまく連携できるような何かを提言するということもあるのではないか、そのように少し思った次第でございます。
すみません、長くしゃべってしまいましたけれども、3つのポイントと、最後に少し全体的なところで、規制が既にされている業者と、そうでない業者に少し配慮が必要ではないかなと、規制ではないやり方というのも提言してはどうか、そういったポイントで発言させていただきました。ありがとうございました。
○坂東座長 ありがとうございます。
大変貴重な御指摘をいただいたと思います。
それでは、葛山委員、御発言をお願いできますか。
○葛山委員 ありがとうございます。葛山です。
被害現場でやっている立場からということで、どこまで拾っていただけるかというところはあるのですけれども、御意見をさせていただければと思っております。
まず、全体についてなのですけれども、中間整理については、被害現場の実情を踏まえた上で、法制度運用、これが被害予防救済にどういう支障があるのかと、これが、まず、入り口だと思っておりまして、これに対して、これを救済するためにどういう価値があって、どういうメニューがあるのか、これがまず大枠なのかなと思っております。
あとは、被害救済の観点からだけでは、あり得る手段だとしても、あと、その手段を取っても構わないかという許容性の観点というのは、まず、ネクストステップであるのかなと、こういう理解を前提としております。
従前の専門調査会において、委員間の議論を拝聴しておりまして、一定の価値観、先ほども言っていただきましたけれども、消費者、被害者側と、悪質加盟店、加害者側、間に入った決済会社について一定の責任を取るべきだと、単純化するとこういう価値観が示されているのかなと思っておりまして、池本委員からもありましたけれども、ネットの詐欺になると、会ったことのない者らからの詐欺と、これを助けるのがキャッシュレス決済、そうなってしまっているという観点があるので、現場で被害回復をやっていると、本当にこれが実感としてはよく感じられるところです。
先ほどの間に入った決済関与者の責任ということなのですけれども、これは見方としては、民事的な責任として詐欺の加害者に関与したものを過失による幇助と、これは割と広がった概念になってきていまして、こういう責任の負わせ方をしてきたという裁判実務上の観点、価値判断にもなじむのかなと思っております。
それだけではなくて、消費者、悪質加盟店、間に入った決済関与者について、一定の責任を取るべきだという考え方を基礎づける価値観というのを明確化して、広く周知していくと。これだけでも本当に非常に大きな中間報告としては意味があるのではないかなと思います。
具体的に示唆していただいているのが、公平な被害分担、責任分担ですね、あと海外法制度、あとは加盟店に対する管理可能性、先ほど山本委員からも御示唆がございましたけれども、管理は誰がするのかと。
あとは、報償責任、決済制度で業者が便益を得ているという点、それに加えて、先ほど申し上げましたけれども、裁判所の司法的な信義則上の義務の考え方、この辺りというのは、1つ方向性として示すことには意味があるのかなと個人的には思っております。
それを前提として、あとは横断的ルールとして、被害者が救済、予防されるツールとしてどういうことがあるのか、これはメニューとして、今、加盟店管理義務というのを項目として入れていただいているのですけれども、それだけではなくて、苦情伝達、抗弁対抗、いろいろあると思いますので、これらを各決済手段において問題となっているものを拾っていくという形の検討、これは時間の関係もあるので、どこまでできるのかはあるのですけれども、あり得るのかなと思っております。
最終的な記載方法は別として、こういうメニューを項目として立てて、各決済手段ごとに、ここからは、先ほど座長からもお話ありましたが、被害事例を中心に、その要否、可否を検討して、法制度運用の改正、創設で何の被害が解決するのかという観点から検討するというのは、非常にいいことなのかなと個人的には思いました。
この観点からすると、先ほど山本委員からも御指摘があったのですけれども、プラットフォームですね、DPFが関与するケースについても、これは項目として検討することは非常に大きな意味があるのかなと思っております。
あと、被害救済の現場の目線で問題意識を有している点というのを、改めてざっと申し上げさせていただきますと、暗号資産という分野、これは、どこまで取り上げられるかというのはありますけれども、被害予防のための累計検知とか被害者のアラート、あとはグローバルな暗号資産交換所への対応の検討を始めるということ。
あと、銀行振り込みについては、移転先口座の凍結の徹底、これは、取り上げていただいておりますけれども、あとは情報の開示、端的に言うと、被害者のお金がどこに行ったのかを追跡できるような形にするというのが必要な観点なのではないかと思っております。
また、クロスボーダー収納代行については、先週ですかね、資金決済法の改正が国会で通りましたが、ただ、国内の収納代行、代引きについて、これは詐欺、悪質商法に利用されていることがございますので、この観点は、私としては重要かなと思っております。
あと、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者については、細かい問題なのかもしれませんが、現行法上の問題として、最終決定権限の問題、登録の要否、あとは海外の無登録の決済代行業者の規制の必要性、この辺りは、現場として問題意識は持っております。
最後になりますが、電子マネーについて、これは決済代行業者として登録されていないと、登録の規制がないということについての登録の必要性、また、規制はありますが電子マネーのチャージによる移転の規制の問題と、この辺りが現場として、リアルに問題になっていることが目線としてありますので、方向性に関して細かい点を申し上げましたが、私からの意見として申し上げさせていただきたいと思います。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございました。
池本委員、葛山委員からは、これまでの整理についての御意見をいただけたものと思います。また、その整理も文書としてもしていただいている資料がありますので、大変貴重な御意見をいただけていると思っております。ありがとうございました。
どうしても現場の苦情との関係での御意見が増えるわけですが、率直にそれぞれの専門の領域、多様な専門の先生方に来ていただいておりますので、そこから見て、今までの議論の整理の仕方として、こういう点について考えてみるのは必要ではないかとか、あるいはこれは課題としてまだ残っているのではないかといった御意見があれば、率直に伺えれば大変ありがたいと思っておりますが、先生方いかがでしょうか。
○加藤委員 加藤ですけれども、よろしいでしょうか。
○坂東座長 はい、どうぞよろしくお願いします。
○加藤委員 私からコメントを2点したいと思います。
1点目は消費者問題の表れ方の違いという点です。これまでいろいろな事例を説明していただきまして、決済代行業者などが存在することにより、多様な支払手段の選択肢が消費者に提供されている場合と、そうではなくて、言わば、特定の支払手段のみしか消費者に提供されていない場合を分けることができるのではないかなと考えます。
前者の多様な支払手段の選択肢が消費者に提供されている場合については、まさに、消費者の選択が合理的になされているのか、合理的になすことができる環境になっているのか、が問題になります。
この点に加えて、様々な支払手段の選択肢の中で、保護のレベルに差異があるということも問題になるかと思います。
一方、特定の支払手段しか利用することができないという場合も、当然あり得ると思います。
こういった場合には、消費者が、自分が望ましい、使いたい、理解していると考えている支払手段を選択できないことが問題となり得るでしょうし、また、ある決済サービス事業者から何らかの理由でサービスの提供を拒否された事業者、もしくは拒否される可能性が高い事業者に対して、別の決済サービス事業者が決済サービスを提供することによって取引が可能となる点が問題となり得ると思いました。
こういった消費者問題の表れ方の違いというものは、既に、本日の中間整理の骨子でもいろいろなところで言及されているかと思いますが、もう少し整理して、具体的な施策を検討することが考えられるのではないかと思いました。
2点目は、決済代行会社の位置づけです。端的に申し上げますと、代行という言葉が非常にうまいなという気がしております。つまり決済サービスを提供するのは、別の事業者であって、自分たちは代行しているだけであると、こういった主張と結び付きやすいからです。決済代行という言葉をそのまま真に受けていいのかというのが、問題となっているように思います。
決済代行会社という表現を見直すこと、決済システムの中で、現在、決済代行会社と呼ばれている事業者が果たしている機能とか役割に照らしてふさわしい言葉でそのような事業者を表現することによって、様々な問題の認識や共有が進むのではないかなと思いました。
私からは以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
とても整理された御意見をいただけたのではないかと思います。
今までの各委員の御意見に対しての御意見でも結構ですし、全く新たな違った観点からでも結構です。どうぞ積極的に委員の先生方、御発言をいただければと思います。よろしくお願いします。
谷本委員、よろしくお願いします。
○谷本委員 ありがとうございます。
私からは、4点あるのですけれども、時間のこともあると思いますので、特に気になる点を3点発言させていただきたいと思います。
先ほど森下先生からも御発言があったように、全体的なところなのですけれども、決済に関わる事業者の提供するサービス形態によって、その適用されるルールの範囲、種類は、もちろん異なることがあり得るので、提供されるサービスの形態ごとに、どのようなルールが必要であるのか、適切であるのかという点を消費者問題の実態を含めて個別に、今後検討する必要があるのだろうと思いました。その点では、葛山先生の御発言と通ずるところがあるのかなと思っています。
これが1点目なのですけれども、2点目は、要点整理のところの加盟店管理と、あと過剰与信に関連してなのですけれども、これらには同じ側面があるわけで、実態として考えたときに、その規制の対象外となる支払手段が社会のデジタル化によって通常化しているという事実が存在していて、後払いであるという点はあるのですけれども、その説明もなく契約を締結して、過剰与信防止策もなく消費者に簡易な支払いを認容して、それによって消費者の支払不能の危険を負う必要もないということであれば、販売業者のほうは、かご落ち防止とか取引への誘い込みのために加盟店となって、後払い決済事業者は利益を増やすことができるという構造になっていると思います。
これは、池本先生や葛山先生からも御指摘のあったところですけれども、悪質販売業者であればあるほど、法による加盟店コントロールが及ばないということを利益として、加盟店になるという悪循環が生まれているというのが、現在の消費者問題ではないかと、これは経験則から考えるところです。
しかも法規制の及ばない後払い決済のBNPLにつきましては、銀行も直接ではありませんが、提携によってBNPL業界に参入しているという状況で、今後その市場拡大も予測されています。
それは、現在の法状況が続けば、法規制の対象外であることから生み出される市場拡大であって、法規制の及ぶ業者との関係では、競争のゆがみが生じているとも言えるのではないかという懸念もございます。これが2点目です。
3点目は、今後調査すべき点についてなのですけれども、日本の法制度において、法規制の対象外となる2か月内払いの取引につきまして、オンラインの世界では世界中で普及している取引を問題とするわけなので、世界の法制度はどうなっているのかという点も参考にするため、調査の必要性があるのではと考えるところです。
例えば、先ほど山本先生から御発言がありましたけれども、2か月内払いが信用と呼べるのかという点なのですが、日本では、割賦販売法は、この2か月内払いを適用除外としていて、それで、信用という言葉を外しているので、これが信用なのかというところに、何か懸念が出てくるところもあるとは思うのですけれども、例えば、EUでは1986年から、その指令でもって消費者信用契約を規制していますが、信用契約の定義としては、支払いについての期間の長短では区別せず、様々な信用契約を全て包括的に取り込んだ上で、適用除外規定を置いています。例えば、2008年の消費者信用指令では、3か月以内の返済で少額手数料の信用契約とか、200ユーロ未満の信用契約は完全に適用除外されるという状況にありました。
しかし、先頃2023年に採択されました新しい消費者信用指令では、日本と同じようにBNPLの台頭によって多重債務問題への懸念というのが生じていまして、その適用除外の考え方が変わっています。例えば、40日以内返済かつ少額手数料の信用契約については、加盟国の判断で適用除外とすることができるというオプションとして示したりして、加盟国の判断で適用除外とすることができるという方向に転換しています。
加盟国の国内法化期限は本年の11月なので、どう判断するのかはまだ分からないわけですけれども、そもそも今回のEU指令の改正の趣旨というものも少し見ると、EU指令は完全調和が原則だったわけですけれども、適用除外規定を設けているにもかかわらず、それを適用範囲に取り込む国内法を制定する国もあるという状況も加味されているということが分かるわけです。
あと、私は専門ではないのですけれども、米国やイギリスでも、やはり同じようにBNPLを気軽に利用した結果、複数業者を利用して遅滞に陥って、債務額が増大するという多重債務問題が発生したために、法規制の対象とする動きが見られるということは、日本でも既に紹介されているところであります。
また、EUでは民事ルールについても、御承知の方も多いと思いますけれども、2008年指令のときから信用契約については、情報提供を前提とした14日間の撤回権が認められてきましたし、随分前から別の指令によりオンライン取引、つまり通信取引については同様の撤回権が認められているわけです。
通信取引を撤回すれば、それと連動して与信契約、信用契約にも拘束されないと定められているということで、民事ルールが幅広く定められているという点も、今後調査して参考にするということが考えられるのではないかと思います。
さらに付け加えると、信用契約であることへの注意とか説明についても、その情報過多を回避するために、視覚に訴えるような情報提供の工夫が行われていますので、これも参考になると思います。
以上のような状況もありますので、諸外国での改正に至った経緯とか、日本と同様のトラブルの実態があるのかなど、調査をすることで参考にすることもあるのではないかと思いました。
以上です。すみません、長くなりました。
○坂東座長 ありがとうございます。
比較法の観点というのが、私どもも頭に置いておかなければいけないということで、以前から谷本委員から指摘いただいていますが、ぜひまた考えてみたいと思います。
井上委員に御発言をいただこうと思ったのですが、時間の限界があって、チャットのところに井上委員が御意見をお書きいただいております。一応私のほうで読ませていただきます。
IBMの井上ですが、16時までの参加ですので申し訳ございませんが、文字で起こしての発言で失礼いたします。
支払決済手段の多様化の中で、複数チャンネルの仕組みにより、どのチャンネルが、特に問題が発生しているのか、その支払手段により被害が起きているのかなどの、そもそも特徴があるのかどうかの分析が必要ではないかと思っています。
例えばAIでも、今、支払手段のユースケースを見ている中で、この動きは危ないのではないか、同じような過去のエラーケースを参照にリスクを上げる、アラートを上げるなど、よりアテンションを払っているように見いだすことはできるのではないかと思っておりますという御意見をいただいています。
恐らく、我々が検討している問題については、そういった技術的な対象で、例えば加盟店の問題がある行為をどうチェックできるのかということも、長い目で見たときには、やはりきちんと整理をしておく必要が、本当はあるのだろうということを思っておるのですが、なかなか限られた時間の中で厳しいものがあります。
ただ、少なくともそういった観点が重要であるということは、やはり私どもとして共通の認識ができるかどうかも含めて御検討いただければと思います。
すみません、井上委員、申し訳ありませんでした。
それでは、続けて細谷委員から御発言の御希望があると思いますが、お願いできますでしょうか。
○細谷委員 私からは、今まで皆様、委員の方々が意見を述べられたことについての補足というか、私なりのコメントになってしまうのですけれども、そちらのほうでお話しします。
まず、事務局からあった中間整理の件なのですが、これらの問題点の指摘というのが突然始まっているという形に私は思っておりまして、やはり、現場で言いますと、このキャッシュレス決済のトラブルを起こしている業者というのは、ごくわずかでございまして、いわゆる極悪層とか、そういうコンプライアンスのない業者さんでして、ほとんどの業者のほうは、きちんとやっていらっしゃると思うのですね。
その中で、この極悪層が、そのツールとして、このキャッシュレス決済を使っていることにより、健全で成長する経済社会が妨げられると、国民の安全も妨げられている、非常に経済的にもマイナスであるということを1つ入れていただきたいと思っております。
そのようにして、この中間的な要点が、ただトラブルの被害防止だけではなく、それが、その善の方向に動くということを入れるとよろしいのかなと思います。
あと、葛山先生がおっしゃっていた件なのですけれども、この要点整理の中には、あまり主として取り扱っておられない暗号資産なのですが、昨今のSNS投資詐欺とか、特に被害が多くなりがちなものには非常に多用されています。ただ、その暗号資産が金融商品として取り扱われることもありますし、決済手段として取り扱っておられるのかというのは、私どものほうでは、あっせん中に判別できないところはあるのですが、やはりこれは将来的にも、まだまだ伸びていく手段だと思いますし、非常に被害は高額で、その方の人生も狂わせかねないようなキャッシュレス決済になっているので、今回どこまでできるかというところはあるかもしれないのですけれども、何か1つ枠を設けていただきたいなと思います。
あと、加藤先生がおっしゃっていたキャッシュレス決済の多様化ということについての分析が、私も非常に腑に落ちまして、確かに現場で相談していますと、悪い極悪の業者さんこそ、代引きしか使わせなくするとか、定期購入だったらBNPLがメインと、手段によって使いやすさというか、商品役務サービスによって使い分けられているところがありますので、消費者にとっては多様になって選べるからトラブルになっているというところと、分からなくてトラブルになっているというところと、相手方によって誘導されて、そのツールしか駄目だよとなってトラブルになっているところもあるので、現場としての腑に落ちたものでございます。
あと、要点整理の中に、消費生活相談員の現場で使えるようなものにすべきだと御意見をいただいているのですが、それは非常にありがたいというか、確かにキャッシュレス決済は少額取引が多いので、なかなか裁判というところに行けないところがありますので、そうなるべきだと思うのですが、次の段階のタームになってくるかもしれませんが、実際、消費生活相談の現場で使えるものというのは、具体的にどういうものなのかということの考察というと、私どももちゃんと取り組んでいかなくてはいけないのかなと思うのですけれども、例えば、被害者側、相談者側に立証責任を負わせられたりとかすると、非常にまずいようなものになってしまうとか、そういう類型的なものをつくっていかなくては、次の段階ではいけないのかなと思いました。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
そうしましたら、御意見を御希望の方がおられますので、御発言いただければと思います。
次に、宮園委員、お願いします。
○宮園委員 よろしくお願いいたします。
私のほうは、多重債務という部分で、焦点を当ててお話をさせていただきたいと思いまして、3点ほどあります。
発表のときに言えなかった1つとしては、ポイントのこと、終わりのほうの技術の問題と同じになるのかもしれないのですが、現金でないから多重債務が広がったという観点でいきますと、今の私たち消費者というのは、あまり金利の重みというのをよく理解していないところがありまして、その中で、例えば、クレジットのマンスリークリアを利用した後に、ポイントをつけるからリボ払いをしようとか、最初からポイントが高いからリボ払いをしようという誘導がされていくのです。
そうしますと、ポイントが幾らつくからとリボ払いを選択しますが、結果的に総支払額というのは、そのポイントでは賄えないぐらいの高いものを払ってしまう。それが、ある意味、うまくスマートフォンの中で誘導されて広告が出てくる。だけれども、どうも、それは景表法にも引っかからないとか、そういった部分で、どんどん借金が増えていくというのを、相談を受けながら感じておりますので、その点を新しく追加いただければと思います。
それから、もう一点は、発表でも申し上げましたように、BNPLの分なのですが、高校生が使えてしまうと、18歳以上の高校生が、これをきっかけに借りることを覚えて、さらに、中には払えないほどのBNPLを使ってしまうと、そういったこともありますので、どこかに、高校生もというのが入っているとありがたいなと思います。
それから、3つ目なのですが、山本委員がおっしゃられたのですが、規制の前に何かできることはないのかという点、非常に相談現場にいますと、今、困っている方、今、お金が払えない方、今日の御飯が食べられない方、そういう方と接することが多うございます。
それで、法も大事です。ですが、今すぐやれる何かという点で、何か法ではないものを探っていくということもあってほしいなと思います。
以上です。ありがとうございました。
○坂東座長 ありがとうございます。
皆さんから、いろいろ様々な御意見をいただいて、なるほどなと思いながら頭の整理をしている最中です。
それでは、次に、柿野委員、御発言をいただけますでしょうか。
○柿野委員 よろしくお願いします、柿野です。
今、宮園委員がおっしゃったことと少し重なるのですけれども、私もポイント経済のことについて、もう少しこの中で触れていく必要があるのかなと思っていました。今やポイントが現金と同じように、支払いの方法の1つになっているところもありますので、ポイントに関する内容を深められたらと思いました。
その1つの理由といたしましても、中間取りまとめの37ページの消費者に対するアンケートで、現金以外の支払手段を利用する理由として、1位は「支払いが簡単で早いから」が圧倒的に多いのですが、次いで「現金を持ち運ばなくても済むから」、3番目に「ポイント還元率が高い等、お得のオプションがついている」と過半数が回答しているところからも、このポイントを巡る問題について、この調査会でもこのあと議論ができたらいいなと感じたところです。
以上です。
○坂東座長 宮園委員、それから、柿野委員から、ポイントについてもキャッシュレス決済との関係で一度きちんと整理してはどうかとのご意見をいただきました。
また、柿野委員からは、消費者のほうのアンケートから出てきたデータからしても、その部分についての考え方を、ここで少し議論をする必要があるのではないかという御指摘をいただいたかと思います。大変重要な御指摘かと思います。
引き続きまして、滝澤委員から御発言をいただければと思います。よろしくお願いします。
○滝澤委員 御指名ありがとうございます、滝澤です。
今後の整理につきまして、私の専門性に関連して、3つコメントを申し上げたいと思います。
1つ目は、現在の中間整理でも指摘されています、支払手段によって法的な規律水準に差があるという問題ですけれども、それをどのような原則に基づいて埋めていくべきか、つまり、制度横断的な最低水準をどう設計すべきかという視点については強調される点かと思いました。
消費者の視点から見ますと、支払手段がクレジットカードであれ、コード決済であれ、あるいは後払いサービスであれ、トラブル時に受けられる保護が異なるというのは、やはり納得し難い状況で、これは、制度の整合性と公平性の観点からも、今後の制度設計において避け難い論点かと思います。
海外では、リスクの高さや取引の性質に応じて、段階的な規制を導入するという制度原理が示されているというものも聞いておりますけれども、我が国においても、今後は取引リスクですとか消費者の被害可能性に応じて、段階的に義務を課すという枠組みが検討されるべきと考えました。
また、そうした設計原理が制度として明示されることで、事業者にとっても予見可能性が高まって、結果的に市場の健全性向上にもつながるのではないかと考えました。
2点目なのですけれども、本中間整理では、PIO-NET等の相談件数を通じて、支払手段に関する課題の一端が可視化されていると思います。政策的な対応を本格化させていくに当たっては、より精緻の実証データに基づいてリスク評価をするという、そういったステップが不可欠であると考えます。
現状では、手段別の被害発生率ですとか、誤選択、与信トラブルの発生要因が、どういった属性に偏っているのかといった分析等、まだ行える余地があると思います。
キャリア決済、BNPLといった新しい手段において、どういった層が、どのような場面で誤った判断をしやすいのかとか、いろいろな切り口でミクロデータに基づく分析が求められるかと思います。
それから、経済学ではよくやられるのですけれども、政策介入をしたときに、事前と事後の行動パターンを比較するということで、費用対効果も検証できるかと思います。
制度介入が効いているのか、どの層に効いていないのかということを定量的に示すことができて、政策の妥当性ですとか、あるいは優先順位というのを明確にできるのではないかと思いました。
最後に3点目ですけれども、消費者保護と競争政策を統合的に捉える視点が必要なのではないかと思いました。
中間整理の中では、規律の対象外となっている支払手段や制度的ギャップによる消費者被害の問題が非常に丁寧に整理されているのですけれども、一方で、キャッシュレス決済市場そのものの構造変化、例えば大手プラットフォームへの集中が進んでいるとか、それらとの関係についても、より深く議論していく必要があろうかと思いました。
決済というのは、典型的にネットワーク外部性がある市場で、集中すればするほど大規模事業者にとって競争優位が高まって、事実上のロックインといいますか、独占が発生しやすくなる。こうした構造の中で、利用者がほかの手段に移ろうとしても、コストが高くて、結果として情報の非対称性とか、不当な契約条件を受け入れざるを得ないといった、そういった事態が生じる可能性があるかと思いますので、支払市場における競争環境の健全性をどう確保するかといった視点での議論というのも必要であるように思いました。
私からは以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
大変重要な御指摘をたくさんいただいたかと思います。実証データのつくり方というのは、なかなか法律や消費者問題をやっていますと本当に難しくて、例えば、とりわけ消費者レベルの決済の問題でも、先ほど弁護士の先生の場所に出てくる具体的なデータと、それから消費生活相談員の皆さんのところで議論なるデータとか、なかなか必ずしもぴったりこないという問題もあります。今後私たちがどういうところを見ればいいのかという点についても、また、先生、御示唆をいただければ大変ありがたいと思っております。どうぞよろしくお願いします。
そうしましたら、永沢委員、御発言をお願いできますでしょうか。
○永沢委員 ありがとうございます。
私は、専門性はないので、読み手として事務局でお取りまとめをいただきました中間報告案に目を通しましての感想ということで、発言をさせていただきたいと思います。
その件に入る前に、先ほど加藤先生から決済代行業者の定義というのか、こちらについて表現をもう少し詰めたほうがいいという御意見がありましたが、私も同感です。ポンチ絵を示して工夫をいただいておりますけれども、この業に規制を課すべきかどうかという議論をしているわけですが、この決済代行業者というものについて具体的にご理解いただくことが必要です。また、代行という言葉が誤解を招いているようにも思います。何らかの説明を補足するなり、表現を改めるなりしておくことが、今後の規制の可否を検討していただく上では必要なのではないか。その点を最初に申し上げたいと思います。
さて、報告書の構成についてなのですけれども、冒頭で、私どもの調査会の問題意識を挙げていただいております。エビデンスとともに明らかにしたいということとか、それから、要因、構造をできる限り可能に明らかにしていくということを書いていただいていますが、読み進めていって、その後の展開がそうなっておらず、説得力が弱いと感じています。
その一因として、確かにアンケートは重要なエビデンスだと思うのですけれども、このアンケートについて、ここにこのようにたくさん掲載する必要があるのかしらと、私はまず感じました。整理をしていただいて、全体は後ろのほうに参考資料として載せていただいたてもいいのではと思っています。
といいますのも、相談員さんに比べて消費者からのアンケートの回答からは強い問題意識が感じられない点が気になりました。
私の認識では、この調査会が立ち上がった背景には、特に相談員協会等から意見書が出されて、現在の規制ではトラブル防止や被害解決ができないという課題があるということだったと思っています。匿名性とか、ネット取引だからこそ生じている、相手が分からない、捕まらないという問題が生じていて、そこが大きな課題で、本来は、取引、商流の中で問題解決が測られるべきところ、解決できないので、決済のほうで止めてもらえないかということになっているわけです。何とかならないかという問題意識からこの調査会が立ち上げられたと私は思っておるのですけれども、その強い問題意識が読み手に伝わらないように感じるのです。具体的な事例を出して、その事例に基づいて何が要因、何が構造なのかというところを書いていただいたほうがいいようにも思います。先ほど、構造だとか要因について、具体的にもう少し記述したほうがいいのではないかというご意見も出ましたので、関連した意見ということで述べさせていただきました。
それから、BNPLについて私も問題があると思っておりますけれども、相談員の方々から具体的トラブルが発生しているとして寄せられている領域と、それから、今後じわりじわりと、これは大きな問題になるぞと抽象的いん懸念される領域とを並列的に並べている点も気になりました。緊急さによる整理という視点があってもいいのではないかと、読んでいて感じました。
最後に、葛山先生等から、消費者と悪質な事業者の間に入った決済業者や決済に関連する事業者は責任を負うべきではないのかというご意見がありました。私も同じように感じていますが、このような価値観が、多くの方々から支持していただけるためには何が必要なのかという議論をもう少し掘り下げてしておくことが必要であろうと思っています。
もう一点、申し上げさせてください。私は、今後起こりうること、抽象的な懸念についても、こういう先を読む報告書の中では押さえておくべきだと思っておりまして、暗号資産とポイントは外してほしくないと思っております。
ポイントは、消費者にとっては、もらって嬉しいもの、喜んでいますけれども、これが大きく日本の決済をゆがめている一因かもしれないという声を聞いたりいたします。次の消費者委員会で具体的に解明、審議をしていただくことを期待し、今回の報告書では、暗号資産とポイントについて導入的に取り上げていただきたいと思います。
暗号資産について、1点、補足させてください。金融庁が4月にディスカッションペーパーを取りまとめており、その中で、暗号資産を取引していると回答したアンケート回答者は7パーセントもいて、この数字は既にFX取引や債券を上回ってきていると報告していました。金融庁のペーパーでは、決済としての利用は現状ほぼないが、投機対象として活発に取引をされているので、金融商品と位置付けて規制強化をという方向で整理されていましたが、暗号資産が将来的に、決済の領域でも使われるようになり存在感を増すこともあり得るということを想定しておくべきではないでしょうか。こちらで取りまとめる報告書の最後のところで、暗号資産に関する懸念についても入れておいていただくことを希望します。
私からは以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
今、滝澤委員も永沢委員からも御指摘があった、どういう具体的なエビデンスに基づいて、どういう形で中間報告のところにそれを入れ込んでいくか、また、いわゆる懸念で示されるような課題について、どうそことの関係で整理していくかというのは、とても大きな宿題だと思います。続けて議論が進んでいく中でも、御指摘をいただければ大変ありがたいと思っております。
それでは、池本委員、御発言をお願いします。
○池本委員 まだ委員の方で御発言のない方があったら、2巡目というか、発言するのは早過ぎたかもしれないのですが、ここまで出た御意見の中で、幾つか感想あるいは補足をさせていただきたいと思います。
加藤委員あるいは永沢委員から出た決済代行業者という言葉が、実態をもう少しクリアにする必要があるのではないかというのは、まさしく私もずっと思っているところです。
もともと、クレジット決済が三者間の契約としてやっていた頃には、自ら加盟店とも契約し、消費者にも与信をし、加盟店調査というのは、自らが開拓した加盟店について調査し、是正を促すと、こういう時代だったわけです。
そこへVISA、マスターの国際ブランドの系列ができて、日本中、世界中のカード会社がお互いに使えるようになって、自分のところの直接加盟店ではないところの契約が回ってくるので、うちではできないという話が、2016年のカード発行会社と加盟店契約会社です。これは、まだお互い様で、お互いにそれを融通し合う代わりに、お互いに苦情が出たら、それを伝達し、それを受け止めて加盟店を調査し、改善を促したり、それをまた返事をするということです。ところが、決済代行業者というのは、まさに、普通のカード会社が受けてくれないようなところに隙間産業として登場した。個人で立ち上げて、ネットでサイトを開きたいけれどもクレジット決済ができなければ仕事にならないので、何とか導入したいというニーズです。
それで、カード会社では受けてくれないようなところを、うちでやりますよと、その代わり加盟店手数料が非常に高いわけです。そうやって隙間産業でやってきて、カード会社相互の信頼関係や加盟店調査のレベルではないところをかき集めるので、どうしても問題の事業者もかき集めてしまうと、そのようになってきています。私は、むしろ決済手段提供事業者という意味では両方同じで、そこの中の加盟店に向けた提供者と消費者向けの提供者、相互に両方やっているところが多数だったのだけれども、加盟店の方への提供専業者型が出てきている。
そして、そうやって捉えれば、実は、デジタルプラットフォームの事業者というのは、そのプラットフォームの中で消費者にも利用してください、自らも、クレジット決済の役割も果たすけれども、他社も利用できますよとしていて、両方へ提供もするし、片や取り次ぎもすると、そうなっているわけです。
それから、キャリア決済は、電気通信事業者ですが、これも最初の頃には、自分のところで本当に信頼のできる公共料金とか、大手の確実なところだけを直接加盟店にしていたのですね。そこに決済代行業者が広がって、総合決済代行業で何でも決済手続につなぎますといって、キャリア決済にぶら下がっていったら、いろいろなものが入ってきた。キャリア決済は、うちに上がってきた加盟店といっても、うちは分かりませんと、決済代行に言ってくださいといって、自分のところが本来審査するのが出発点だったはずなのに、どこかへ飛んでしまっている。
その意味では、役割分担しているか、あるいはクレジットとデジタルプラットフォームとなると、決済手段の中で複数が関与しているのも含めて、事業者と消費者の間の決済手段を提供する、どちらに向けて主にやっているのかが違うだけで、役割としては共通であると、こういう認識でよろしいのではないかと思います。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
決済代行会社の具体的な課題、それから、それが登場してくる具体的な場面、それから、今回は議論になっていないようですが、形の上からは任意ですが、登録制度というのもあって、そういった出てくるいろいろな代行業者のイメージを共有化する必要が、どうも中間報告の段階でもありそうな気がいたしております。御指摘のとおりだと思います。
それでは、山本委員、御発言をお願いします。
○山本委員 また、2回目の発言をありがとうございます。
池本先生にかなり言っていただいたのですけれども、まず、決済代行会社の呼び方は、私もおかしいと思っていましたということと、これは、英語では、ペイメント・サービス・プロバイダー、あるいはペイメント・ファシリテーターという2つの用語を区別して使っているのですね。
ペイメント・サービス・プロバイダーと言ったら、訳すと決済サービス提供者なので、まさにそうだと、ファシリテーターというと、もしかすると少し下がった感じに聞こえるニュアンスあるのですが、ペイメント・サービス・プロバイダーだとすれば、決済サービス提供者であるという認識は、少なくともこの場では共通認識として持っていいのではないかと私は思いました。
それと、それに関連して、私が一番最初に御提供させていただいた資料、まとめのところにも実は、6ページの上に貼っていただいているのですね。実は、6ページの上のほうのスライドを見ていただくと、クレジットカード会社などはキャッシュレス決済をやっている事業者であると、それに対して左側に加盟店に向かって、取り次いだり仲介しているのであるという表現、今、表示をしていただいている6ページの上のほう、ここにありますように、左側に取り次ぎと書いているのですが、これは、あくまで機能的な意味で、これは池本先生が整理された点のような認識が、私も腑に落ちていて、要は消費者に対して提供する提供者と、加盟店に対して提供する提供者という属性に分けてしまったほうが、より実態を正確に表現していて、誰が見てもそのように認識してもらえるのかなと思いました。
その上で、私も差し替えではないのですけれども、この辺の表現も変えさせていただけたらいいかなと思った次第でございます。
あと、決済代行に関しての点と、もう一つ、暗号資産のところで、これは確かに重要なテーマだと思うのですが、暗号資産というのは非常に幅広になってしまうので、この委員会でのテーマに整合するところに少し絞ってもいいかなと。
そういう意味で言いますと、より送金的に使われているところを少しフォーカスしてもいいのではないか、つまり、無因の取引である送金の中には暗号資産もあって、それが簡易であることから、よく使われて問題になっているという、そういった文脈の中からまとめると、多分この委員会の中でのテーマにも整合するような気がいたしました。
また、将来にわたっては、無因取引といえる暗号資産の送金等については、もっと深く検討が必要かなと確かに思いました。
私からは、すみません、2回目の発言としてありがとうございました。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
それでは、続けて、森下座長代理、御発言をお願いします。
○森下座長代理 ありがとうございます。いろいろな御意見お伺いしておりまして、大変勉強になりました。
本当にいろいろな問題意識というものが、様々な角度からこの場で示されて、このキャッシュレス決済の話というのは、本当に多角的で幅広いのではないかという気がしております。
それで、もしお許しいただきましたら、少しだけ画面を共有することをお認めいただければと思うのですけれども、よろしいでしょうか。
○坂東座長 事務局、共有の権限を先生にお願いします。
○森下座長代理 これが、正しいか全く分からないのですけれども、今まで本当に幅広い、それこそ送金から、クレジットカードから、ポイントから幅広な対象についてお話がありましたけれども、まず、既存の規制の対象となっているもので、規制の不整合、既存の規制の対象にはなっているのだけれども、現象にうまく対応できていないとか、あるいは既存の規制の対象になっていないので、そもそも困るだとか、あるいはそこら辺が引っついていて誰の責任なのかよく分からないから困るとか、まず、現象は一度、いろいろなものがあるのだったら、いろいろなものを整理したらいいのかなとは思います。
ただ、その現象も、これが正確な理解かどうか分からないのですけれども、今まで出てきたお話ですと、過剰与信、あとは詐欺的な原因取引でお金だけ取られてしまって、そのお金の後始末か、そうでなかったら、本当に違法な取引のツールとしてキャッシュレスが使われていたので、そのお金を何とか取り戻せないかとか、大体そのような3類型なのかなという気がしてお話をお伺いしていました。使われるキャッシュレスツールは何にしてもです。
あと、対策ですけれども、事前規制と事後救済、事後対処ということ、これは、やはり双方必要だというお話がなされたと思うのですけれども、事前規制の対象としても、誰が適切なのか。あとは、手法として何がいいのかということは、それぞれあるのかなと思っています。
このときに既存のメニュー、既存の日本法が持っている規制の手法だけで大丈夫なのかどうかというのは、これは1つ、やはり議論しなければいけないところで、現在発生している現象ですとか、対象との関係で規制のツールが不十分なのであれば、それは比較法を参考にでもいいですし、日本が発明してもいいと思うのですけれども、適切な規制の手法というものを考えるべきなのかなとは思っています。
あと、事後救済も、誰にどのような請求を立てることができるのか、これもお伺いしていると、義務から解放してあげる、抗弁権の抗弁を切断しないということは、原因関係が無効だからお金も払わなくていいという形で義務から解放するということなのかと思いますけれども、義務からの解放だけではなくて、資金の取り戻しまでしたいということになると、ここは、結構私的には頑張らなければいけないところかなと思いますので、あるいはほかのより適切な事後救済の手法があるのか、これは、場合によってはキャッシュレス決済手段のタイプによって違うのかもしれませんけれども、そういうようなこと、あとは事業者にもっと頑張ってもらうべきこと。もう既に頑張っていらっしゃるということもあるかもしれないのですけれども、少し似ている部分を抽出して整理するということも、どこかでできると、まとまりが出てきていいのかなという気がいたします。
その中で、先ほども少し申し上げたのですけれども、規制論をするときに、今の例えば為替取引として規制をするのがいいのかとか、今の割販法のもとで規制をするのが一番いいのかというのは、少し考えてみてもいいのかなと、今の規制の手法がベストだということでもないですし、あとは、やはり規制論をするときに、為替ですか、どうですかというと、どうしても為替になると物すごく大きな規制がかかるので、金融の規制のほうでも、もう少し柔軟にできないかという議論もしていますから、今回の消費者保護との関係での規制の在り方を考える際も、本当に効果がある必要な範囲の規制の在り方というものを具体的に提案できれば、事業者の方とも折り合いがつきやすくなるのではないかという気はいたします。
今のまとめが正しかったかどうかも、整理が的確だったかどうかも自信がないのですけれども、お話をお伺いしていて、今、申し上げたような点で1つ整理をしていくというのは、今後の取りまとめの方向としてあり得るのではないかと感じました。
以上でございます。お時間ありがとうございました。
○坂東座長 大変ありがとうございました。
示唆的に整理をしていただいて、きっとこれから議論をしていく上での、それこそプラットフォームとして、とても有意義な整理をしていただけたのではないかなと思っております。
あと、まだわずかですが、時間がございます。この機会に、ぜひ多くの委員の皆様から、それぞれの専門の立場から、この点についても考えたらどうだ、あるいは、私はとにかく頭の中でめぐっているのは、それぞれのところについてのエビデンスの重さの違いというのが若干あるような気がしていて、今の最初の森下先生のお話との関係でいけば、規制が全くないところでの問題点と、規制はあるのだけれどもという問題点と、それから、そこは、加藤先生からの指摘があった、決済手段の選択ができる場合と、できない場合とか、そういったものも踏まえてエビデンスをどうやって、そこに中間報告として整理していくのかというところが、すごく悩んでいるところでもあります。あと数回ありますから、もちろん今日ではなくても結構ですので、どうぞご意見をよろしくお願いします。
池本委員が御発言ということですので、よろしくお願いします。
○池本委員 すみません、3巡目は少し早過ぎるのかもしれないのですが、先ほどの森下座長代理から御指摘のあった割賦販売法と資金決済法のことで、資金決済法というのは為替取引としての資産保全ということで非常に重たい規律であると、あの言葉、前にもそういうことを指摘されたことがあると思うのですが、それにヒントを得て、クレジット契約の割賦販売法の規制というのがどんなものがあって、それから、2か月払いや、それ以外のBNPLや、キャリア決済や、そういうところに広げていくときに、何が不可欠で、この辺りはぜひ必要だ、この辺りは少し検討課題、この辺はそれほどでもないのか、実態を見て考えると、あるいはこれはもう必要ないとか、少し考えてみたところがあるのです。
一つ一つ申し上げると時間がないのですが、割賦販売法では、もともとその名のとおり分割後払い、実は前払い取引も割賦販売には規定があるのですが、月々の負担が安くて、それを積み重ねることで高額商品が買えると、そういうものについて、スタートは、むしろその産業育成のためにつくっていたのです。その後トラブルが増えていったので、抗弁接続とか様々な消費者保護の規定が順次入ってきたという経緯があります。
そういう中で、例えば取引条件表示義務は、月額ばかり表示しては駄目だと、必ず現金価格と支払総額とか、比較できるように出しなさいとか、あるいはクレジットの手数料が実質年率で言えば何パーセントになるかも表示しなさいとか、そういう規定です。
あと、分割払いですから、どういう場合に、期限の利益喪失をする、1回でも断ったら喪失というのでは、これは実際の取引にそぐわないので、20日以上の期間を定めて、まず、催告をしなさいとか、そういうところは、一括払いのものについてはそもそも必要ないはずです。
それ以外も書面交付義務の書面の記載内容も14、15項目あるのですが、この項目は要らないだろうというのがたくさんあります。
それから、どうしても必要だというのは、今回議論しているクレジット会社のうち消費者に向き合うところについては、苦情が寄せられたときには適切に処理しなさいという規定と、自らの加盟店であれば、自ら加盟店も調査してフィードバックするし、他のところと提携していれば、そちらへ苦情伝達して処理しなさいというものです。
そして、加盟店契約会社について、2016年に規制対象にしたときには、加盟店調査義務というものが正面から入りました。
それから、登録制度が必要かどうかという議論との関係で参考になるのが、2016年にアクワイアラー側について加盟店調査義務を入れる前提として、登録制度も入れています。これは後払いですから、預り資産の保全という問題は、およそないのですが、2つありまして、1つは、海外アクワイアラーが海外の決済代行と直接つながって日本の加盟店を受け入れて進めるというのは、ネット社会ですから幾らでもできるのですね。
そこで、国内の加盟店を募集してやる場合には、国内にちゃんと事務事業所を設けなさいと、そうしないと違反行為があっても行政処分もできないということになりますから。それから、加盟店調査などの業務適正化の体制整備義務と、そのほか暴力団排除とか典型的なものもありますけれども、今のようなところで登録制というのを入れています。
登録制がないと、収納代行について自称収納代行ですと言いながら、全然関係ない第三者の口座を使って、そこへ振り込ませて、収納代行を経由しているのだから安心だと見せかけるというものもあるので、それはやはり必要なのではないか。
もちろん、そこに資産を保全しなくてはいけないような取引の場合と、そうではないもの、あるいは細々したところまで入れなくてはいけないのと、そうではないものというので、取引の類型によって審査項目は変わってくるのだろうと思います。
そういう形で、その辺りはリスクに応じた規制の区別ということは、当然あろうかと思うのですが、苦情の適切処理と加盟店調査、それを実効あらしめるための登録制度という辺りは必要ではないか。
それから、民事的なことでいうと、これは皆さんの中からも出ていますが、抗弁接続という、要は無過失責任の制度がどこまで入っていくか、それこそ分割後払いの非常に取引そのものの誘引力が強い後払いについて、ある意味では、えいやと入れたものが、仮に入る可能性あるとしても、BNPLというのは、まさに後払いそのものを個別にやっているわけですから、それは少し検討の必要があるかなという気はするのですが、そのほかの部分について、一律に入れる性質のものでは、私はないと思っています。やはりそれに見合うリスクの高いもので、これを入れる必要があるというものは、慎重に見極める必要があるのだろうと思います。
それに対して、今の苦情の適切処理とか加盟店調査という義務づけがあれば、それの違反ということで、この先が私もまだ答えが見つかっていないのですが、苦情の適切処理と言っても、決済代行というのは、消費者は直接つながっていないですから、そこをきちんとやっているかどうか、調査を尽くしているかというのは、弁護士が訴訟をやってもなかなか立証できないというところがあります。
そうすると、消費者に向けて決済手段を提供している者と、加盟店に向けて決済手段を提携している者が連携して悪質業者を排除し、問題を是正していくという役割の中で、そのいずれかが不十分なときに、まずは、例えば消費者に向き合っているところが第一次的責任を持って、そこから求償してもらうとか、内部の責任分担の在り方は、これはビジネスモデルの問題として考えてもらうとか、何か消費者の側から立証できる課題で過失責任を構成するとか、この辺りは、私もまだ未整理ではありますが、考えていくべき1つの選択肢ではないかなと思います。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
御発言の希望がまだありますので、できる限り御発言いただきたいと思っております。
葛山委員から御発言の御希望があります。よろしくお願いします。
○葛山委員 葛山です。2巡目ありがとうございます。
すみません、暗号資産については、本当に議論にさせてしまって非常に心苦しいところはございますが、ただ、暗号資産は金融商品ではなくて、決済手段という観点で着目して、消費者被害を防ごうというのは、消費者被害の現場からだと思うので、その点は改めて申し上げたいと思っております。
あと、意見に賛成ということなのですけれども、決済代行業者の概念整理というのは、非常に私としては大賛成ということは申し上げたいと思います。
あと、また全体の整理で、生の現場の観点でざっくりということなのですけれども、被害救済で問題になるのが、だました者の本名、住所はわからぬ、だましたときの金、被害者の金がどこに行ったのかわからぬと、どこに文句を言ったら金が返ってくるのか、制度が無いせいで中間者、決済会社が情報を持っていてくれない、開示してくれない、制度がないせいで文句を言った中間者が責任を負わないと、この観点が大きくざっくりと言えると思っていて、その観点で言うと、加盟店管理とは別に、苦情の窓口の設置とか、情報開示とか、あとは金の流れの明確化というところ、この辺りが大きな枠組みというか、観点として、それがあると、被害救済の現場としてはありがたいなというのがありますので、1つの視点だと思うので申し上げたいと思いまして、発言させていただきました。
ありがとうございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
仲介者のあぶり出しについては、僕も同じ問題意識を持っていますが、本当に、少しつらいなと思うのは、その間、当事者間で契約関係とかいろいろなのがあるのだと思うのですが、それが全然見えてこないというのが厳しいところではあります。したがって、中間報告に、どの範囲まで書き得るのかというのが、今、すごい正直言うと、悩みを抱えているところではあります。ですので、何とか事業者間の契約についてもないずれ調査する必要もあるのかなと思っております。
谷本委員に御発言をいただきますが、その前に、柴田委員がネットの接続が悪くて、御発言ができなくて退席をなさりましたので、御発言をチャットに書いていただいております。読ませていただきます。
決済制度として、消費者は様々な形で被害をもたらす。多様な決済手段が出ていることにも鑑みて、統一的な決済自体を規制するルールが必要ではないか。今後も様々な決済手段が出てくるかもしれない。これをカバーできるような一般的なルールを策定することは可能ではないだろうか。
特に、消費者が直接接することになる決済の主体を捉えることが必要ではないか。決済業務に従事する者は、その名称、決済の方法を問わず、消費者に直接直面する決済業者を捉えるということである。
また、その点、プラットフォームでの実態を前提として、プラットフォームには別のルールが必要かどうかは検討課題になるかもしれない。
その中で、既に存在する加盟管理などの考え方、苦情の申立ての制度など、規制の漏れのないように、決済業者全体に課していくことが必要であるように思われる。
海外の規制対応で参考になりそうなものはないのかどうかも、今後の検討課題かと思われるという御意見をいただいております。
割販法の枠組みでどこまでできて、それ以外のところで法律の規制としてどういう考え方が必要かという点についても、我々としてどこまで整理ができるかというのは、とても大きな宿題だなと思っているところでもございます。
さて、そうしましたら、谷本委員、御発言をいただけますでしょうか。
○谷本委員 すみません、時間のないところ申し訳ないです。
2点あるのですけれども、1点目は、先ほど言えなかったことなのですが、今後の調査対象として、以前に森下先生の御発表のときにも言及されましたEUのPSD2について、今後調査することも必要ではないかと思いました。
それは、決済を軸とした総合的な規制というものを考えるときには、大いに参考になるのではないかということです。
2点目は、要点整理の項目の中で、8番目の決済に関する情報に関連してなのですけれども、この点、もしかして次回以降にも議論がされるのかもしれませんが、消費者の決済情報について、割賦販売法は信用情報機関での信用情報の集積を通じて、過剰与信防止のツールとしてきたということはあるのですけれども、この点とは別に、この消費者データの集積というのは、消費者の個人情報のプロファイリングに用いられて不適切に利用される可能性も生じさせているという点も加味して検討する必要があるのではないかと考えます。
実際、令和2年の改正割賦販売法によって導入された認定包括信用購入あっせんと登録少額信用購入あっせんについては、プロファイリング、つまり信用スコアリングを前提とする信用力調査が法律上認められることになりましたが、その情報利用については、施行規則によって、不当に利用していないことが要求されているわけです。
法規制の対象となっていない後払い決済事業者は、消費者データを分析して信用力分析を行っていると推測されるのですけれども、その中身がブラックボックスであるという点についても、今後検討する必要があるのではないかと考えるところです。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
私どもが様々な形で、現に出てきている問題を検討するときに、本当であれば、この部分が分かると、もっと当事者の権利義務などの議論ができるのではないかと感じている部分があるかと思います。
ところが、その部分が今の谷本先生の御発言を借りれば、ブラックボックスであるがゆえに、我々として、実はそこに一歩踏み込むことがとても難しいという問題が残っているように思います。それをこの中間報告で全て整理するのは、至難の業かと思いますが、少なくとも、それらがブラックボックスであるという点については、何らかの形で共通理解ができれば、次の方に宿題ばかり残すと後で怒られそうですが、貴重なバトンを渡すことができるのかなと思ったりしております。その点も、また、今後の議論で御指摘をいただければと思っております。
さて、予定をしておりました時間が、ほぼこれで尽きておりますが、ぜひこの機会に御発言ということがありましたら、手を挙げていただければと思いますが、いかがでしょうか。
黒木先生からオブザーバーですが、御発言をということですので、そうしましたら、ぜひ、よろしくお願いします。
○黒木委員長代理 どうもお時間のないところ、ありがとうございます。
専門調査会の委員の方々には大変幅広い議論をしていただいていることがよく分かります。たくさんの論点を出していただいているのですが、この中間整理が出た後に、第9次の消費者委員会で最終報告書という形で一定の成果をまとめることが前提になっていると思います。
そこで、どの論点がAクラスなのか、どれがB、Cなのかを、ある程度ランク分けしていただいた方が、第9次の内閣府消費者委員会の本委員会としても、専門調査会の議論内容が分かりやすいのではないでしょうか。ですので、この中間整理の段階でも「これはAAA」「これはA」「B」「C」という形で、ある程度整理していただければ、それを受けての委員会の議論もスムーズに進むと思います。
以上です。お時間をいただき、ありがとうございました。よろしくお願いいたします。
○坂東座長 ありがとうございます。御指摘のとおりかと思います。
もう少し私どものところで、それぞれの議論の重さについても議論をさせていただければ大変ありがたいなと思っています。
また、たしか池本委員からの御発言にもあったような気がしますが、この問題を解決すれば、この点については、ついてくるという言い方はよくないですが、要するに、この問題の解決が、この問題の解決の入り口にもなるといったことも、ひょっとしたらあるかもしれませんので、そういった点も含めて、今後、整理をしていきたいなと思います。
今日の御発言の中で、そのための視点は、様々な形で御指摘をいただいたのではないかと思います。
それでは、予定の時間がまいりましたので、本日の議論は、これで終わりにしたいと思います。
委員の皆様方におかれましては、活発な御議論をいただきまして、大変ありがとうございます。
また、中間整理の取りまとめに向けた具体的な御提案もいただいたと思います。その点についても、今後の議論に生かしていきたいと思います。
本日の御議論を踏まえて、次回以降も積極的に委員の皆様に、御議論に御参加いただきたいと思います。
≪3. 閉会≫
○坂東座長 それでは、最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
○江口企画官 本日は長時間にわたり、ありがとうございました。
次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございました。
それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただき、また、活発に御議論いただき、大変ありがとうございました。
(以上)