第3回 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 議事録
日時
2025年3月28日(金)13:00~15:11
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (専門委員)
- 【会議室】
坂東座長、池本委員、岩澤委員、葛山委員、加藤委員、瀧委員、谷本委員、永沢委員、山本委員 - 【テレビ会議】
井上委員、柴田委員、宮園委員 - (オブザーバー)
- 【会議室】
鹿野委員長、黒木委員長代理 - 【テレビ会議】
大澤委員、柿沼委員 - (参考人)
- 【会議室】
独立行政法人国民生活センター相談情報部 小林部長
独立行政法人国民生活センター相談情報部 加藤相談第2課長 - (事務局)
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、江口企画官、事務局担当者
議事次第
- 開会
- 議事
①国民生活センターヒアリング
②岩澤委員プレゼンテーション
③宮園委員プレゼンテーション - 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:167KB)
- 【資料1】 国民生活センター提出資料(PDF形式:2234KB)
- 【資料2】 岩澤委員提出資料(PDF形式:1916KB)
- 【資料3】 宮園委員提出資料(PDF形式:1657KB)
≪1.開会≫
○坂東座長 本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。今から、消費者委員会第3回「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を開催いたします。
本日、会議に御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。本日は、池本委員、岩澤委員、葛山委員、加藤委員、瀧委員、谷本委員、山本委員及び私、坂東が会議室で、なお、永沢委員は少し遅れるというお話ですが、間もなくお見えになると思います。
それから、井上委員、柴田委員、宮園委員はテレビ会議システムにおいて御出席いただいています。なお、森下座長代理、柿野委員、滝澤委員は、所要により御欠席との連絡をいただいています。
また、消費者委員会からのオブザーバーとして、本日は鹿野委員長、黒木委員長代理には会議室で、大澤委員、柿沼委員にはテレビ会議システムにおいて御出席をいただいております。なお、星野委員は御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○江口企画官 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。
本日、テレビ会議システムを活用して進行いたします。一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。議事録につきましては、後日公開いたしますが、議事録が掲載されるまでの間は、本日の会議の模様をホームページにて配信いたします。
以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
大変失礼しました、柿沼委員がテレビ会議で御出席をなさっていると思います。失礼しました。先生、申し訳ありません。
≪2.①国民生活センターヒアリング≫
○坂東座長 それでは、本日の会議を今から始めたいと思います。
本日は、国民生活センターヒアリングとして、相談事例から見て、多様な支払い手段に関して、独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第2課長の加藤様に御発表をお願いしております。
大変短い時間で恐縮ですが、20分程度の時間で御報告を、どうぞよろしくお願いいたします。
○小林部長 冒頭少し御挨拶をさせていただければと思います。国民生活センター相談情報部の小林と申します。
本日は、このような報告の機会をいただき、誠にありがとうございます。
また、本専門調査会の委員の先生方、また、この会議を傍聴されておられる皆様におかれましては、日頃から当センターの業務の内容に御理解、また御支援をいただいておりますこと、この場をお借りして御礼申し上げます。本当にありがとうございます。
当センターは、消費者庁所管の独立行政法人ということで、消費者基本法において消費者問題における中核的な機関ということで位置づけられております。
日頃から全国の地方公共団体に設置されている消費生活センターや、国と連携して消費者トラブルに対応することとともに、全国に寄せられる相談情報をPIO-NETというデータベースで収集し、消費者への注意喚起や関係機関への情報提供を行うことで、日々消費者トラブルの未然防止、拡大防止に役立てていただいているという組織でございます。
本日、当センターからは、そういった業務を通じて得た情報や、特に相談情報部に設置されている、2課長が所属している窓口、経由相談窓口は、各地センターの相談員の方々や職員の皆様から解決困難な事案に対応されているときに、どういう対応方法ができるか、指針等をどのようにすればいいかという相談を受け付ける窓口ですが、この窓口に寄せられる事例等を、幾つか御紹介させていただきたいと考えております。
また、当センターは今回のみの出席ということでございますが、これまでの議論等を踏まえて、より詳しい事例等が、この後、全国消費生活相談員協会様、また、日本消費生活アドバイザーコンサルタント相談員協会様より、御紹介される予定だとお聞きしております。
当センターといたしましても、本調査会での御議論を参考にさせていただきながら、より多くの消費者が、今後もより一層便利に、また、積極的にキャッシュレス決済を利用していけるような環境をつくるために、引き続き、消費者と契約関係のある事業者の皆様はもちろんのことですが、間接的に決済に関わられている事業者の皆様とも、積極的な対話を大切にしながら、皆様とともに悪質な販売店等を早期に排除していく仕組みというのを考えていきたい、模索していきたいと考えております。
そういった意味でも、私どもの報告が少しでも生かしていただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料に基づきまして、相談2課の加藤課長より御報告をさせていただきます。よろしくお願いいたします。
○加藤課長 加藤でございます。
それでは、資料にのっとりまして御説明をさせていただきます。
まず、資料の2ページを御覧ください。
今回、発表の機会をいただきまして、多様化するキャッシュレス決済ということでしたので、どういった事例を取り上げるのか非常に迷いました。後払い決済ですとか、プリペイド式電子マネーとか、幾つかカテゴリーに分けて事例をまとめております。
まず、1つ目が後払い決済、後でコンビニで支払うものと補足をしております。
相談現場におきまして、後払い決済は定期購入のトラブルで非常によく見られております。当然ながら、後払い決済は、非常に便利に世の中で使っておられると思うのですけれども、消費生活相談には、何かトラブルに遭ったときに相談が来るものですから、やはり背景として定期購入のトラブルが依然として多いというのが実情としてございます。
そもそものトラブルの相談を聞いていると、お支払いは何にしたのですかと聞くと、いわゆるBNPLを使っているというパターンが、非常に現場としては目立っているなと思います。
事例1の方の相談もよくある相談でございます。SNSを見ていたところ、育毛剤の広告が表示されたと。通常1万2000円の商品が1,980円で購入できるとあったので、これはいいなと思って申し込まれたそうです。支払いはコンビニ、後払い決済にしたと。
それで、すぐに申込完了メールが届いたが、2回受取が条件の定期購入ですと記載があったということです。
この相談者の方が見た広告には、2回受取が条件とは書いていなかったと思うとのこと。事業者を調べたところ、以前に行政処分を受けていたことが分かったということで、キャンセルしたいという形で御相談に入ったものでございます。これは、2月のものです。
この相談者の方は、40代男性ということで、平均年齢が定期購入トラブルの場合は、60代ぐらいで年齢層が高めなので、たまたま40代の方です。BNPLは、クレジットカードをよく知らないサイトに入力したくないとか、カードを持っていないとか、あと、やはり高齢者の方では、コンビニで払うのが便利だということで使われています。後払いの決済の相談の平均年齢は高めというのが実情としてございます。
もう一つの事例としまして、第三者による不正利用で前回も少しお話もあったかと思いますが、住所とか名前とか、連絡先、電話番号とかを入れると、それで、申し込みが完了するので、たまにですけれども、全然申し込んでいないのに自分のところに商品が来たとかという相談も寄せられております。
事例2のケースは、自分宛てにコンビニ後払い業者からメールが届いたというものです。
アウトレットサイトでワイドパンツを購入したというショッピングの請求書だったと、御相談者の方には覚えがなく、商品も届いていないので、無視されていたそうなのです。
そうしましたところ、弁護士事務所から電話とショートメッセージで連絡があったと、どうしたらいいのでしょうかということで、消費生活センターに御相談が入りました。
3ページを御覧ください。
相談の特徴と課題を整理いたしました。繰り返しになりますけれども、まず1点目、消費生活相談の現場では、定期購入事業者との契約トラブルが目立っております。
定期購入トラブルにおきましては、後払い決済事業者における販売サイドのチェックが甘いのではないかと思われるケースがあります。実際問題、我々は経由相談ということで、各地の消費生活センターから、解決困難な事例について御相談を受けているのですけれども、次々と新しい定期購入の事業者が出てくるのです。
そうしますと、一応センターとして販売事業者に連絡を入れるのですけれども、「このように書いてあります」とか、相談者の方は見た覚えはないと言っているのですけれども、「ちゃんと書いてあるのですよ」みたいな形で、消費生活センターへの対応に非協力的で、問題のある事業者、トラブルを発生していることについて問題意識がなく、書いてあるからいいだろうという事業者が依然としています。何でこういう事業者を加盟店にしているのだろうか、やはり販売サイトのチェックが甘いのではないかと現場としては思うことがあります。
点目です。契約相手の事業者と交渉が難航する場合には、後払い決済事業者に協力を仰ぐことは通常やっているのですけれども、積極的に働きかけをしていただけないケースというのもございます。
お話はできる事業者なので、お話合いのためのコンタクトを入れます。例えば、「1回のつもりだったのに、4回購入しないと解約できないとのことだが、相談者の方は見て覚えがないと言っています。もう少し販売サイトのチェックというのを見せてくれないか」とそういった働きかけも、後払い決済事業者にお願いしてみるのですけれども、「言ってみますね」と言ってくれるところはまだしも、そうではないところもあるという感じで、依然として課題はあるなと思っています。
4点目、後払い決済事業者から契約を切られたとしても、別の後払い決済事業者と契約して販売を続ける。昔の個別クレジットの問題もあったかと思うのですけれども、いろいろ苦情の波というのが結構あって、恐らくSNS広告の出稿量が増えると、その事業者の相談がわっと増えるのですけれども、それで、当然ながら後払い決済事業者にもセンターは連絡を入れていると思うのです。そうすると、しばらくしたら加盟店契約を切ると、いつの間にか、また違う後払い決済業者に変わっているということがあります。
次ですけれども、決済の上限額が5万円と比較的少額なので、トラブルが長引くのを嫌がる消費者は、諦めて支払ってしまうということもあります。
最後ですけれども、個人名・住所が分かれば申し込めるため、第三者による不正利用に関する相談も一定数あると思っています。
相談者の方の先ほどの事例ですと、督促が届いているということなのですけれども、1回のつもりで思い込んでいるので、2回目来て、そのまま送り返して放置してしまうという方も一定数います。そうすると、そのうち弁護士事務所から督促が来て、さすがにこれはおかしいとなって相談に来るということもあって、そういう方が、「もういいです、数万円払って終わりにしてしまいます」という方と、両方いらっしゃるなと感じております。
続きまして、4ページを御覧ください。プリペイド式電子マネーの事例でございます。
事例3につきましては、出会い系サイトの事例を取り上げています。もう10年以上前のサクラサイトの被害が非常に多発していた頃に比べますと、出会い系サイトの相談は、おとなしくなったかなという感じはしますけれども、やはり詐欺的なサクラサイトみたいなものは依然としてあります。
その中で、プリペイド式電子マネーのものの事例を取り上げております。
この相談は、SNSを通じて男性の相談に乗るだけで報酬がもらえるということで、出会いを目的にというよりは、副業目的、相談に乗るだけだったらということで登録すると、男性から家族関係について相談があり、聞いてあげたところ、報酬として、あなたに50万円受け取ってほしいと言われたと。受け取るために口座情報を送ったが、いろいろ理由をつけられて、エラーになってしまうのです。それで、カスタマーセンターのほうから、やり取りをするためには、ポイントを購入して会員になる必要があると言われていたので、相談者の方は、コンビニで電子マネー3,000円分を購入して、ポイント交換して、そうすると、また、エラーになると。これを続けていって、さすがにおかしいということで相談が入るといったパターンが寄せられています。
事例4です。こちらは、サポート詐欺です。
こちらも高齢者の方からの相談が多く入っています。パソコンを使用中に突然OSのロゴと警告画面が出ますと。表示された番号に電話をすると、片言の日本語を話す外国人から、あなたのパソコンはウイルスにやられていますよと、それを防ぐためには、8万円のセキュリティーサポートプランに入ったほうがいいですということで、オンラインでリアルにお話ししながらやり取りをするのです。電話をつないだまま、パソコンを遠隔操作されて、いろいろこういった説明を受けたりするわけです。サポート代金として、コンビニでプリペイド式電子マネーを5万円分買ってくるようにと言われたので、こういう状況になって、皆さん、すごく慌てておられるのですね。それで、そのままコンビニへ行って、指示どおりコード番号を伝えるけれども、番号が違っていますとか言われて、また、追加で購入したりということで、総額、この方のケースですと56万円を支払ってしまったというトラブルです。
この事例では、プリペイド式電子マネーになっているトラブルを挙げておりますけれども、最初の頃はクレジットカードだったかなと思います。それから、プリペイド式電子マネーのパターンが増えてきて、増えてくると、コンビニのほうでも注意喚起なり、ラックのところに御注意くださいという注意があったり、あるいは店員による声かけをしてくれたり、さすがに店に行ったり来たりしている間に本人も冷静になっておかしいと気づくようになるので、最近は、ネットバンキングですかね、それで、振り込ませるというパターンも出てきていて、国センとしては注意喚起をしているところです。
5ページ目を御覧ください。相談の特徴と課題でございます。
出会い系サイトや占いサイト、サポート詐欺等の相談の支払方法として、相談現場では、これが登場してきますと。コードを教えてしまうと、すぐ相手が使えるような状況になってしまうので、一旦支払ってしまった金銭を取り戻すことは非常に困難だなと思います。
事例2のようなサポート詐欺でも、すぐ気づいて、すぐに自分のIDにチャージし直すことができるのだったらいいのですけれども、高齢の方なので難しい。もう番号を教えた途端に使われてしまい、非常に被害救済は困難ということになっております。
6ページを御覧ください。コード決済でございます。
こちらは、非常に使っておられる方が増えてきて、それに伴って、いろいろな取引でコード決済を使われる相談も登場してきたなと、現場としては思っております。
事例5です。こちらは、マルマルペイ返金詐欺ということで、私どもでも注意喚起をしております。
この相談者の方のケースですと、ネット検索で見つけたサイトで7,000円のシャンプーを購入しました。しばらく待っても商品が届かないので、問い合わせたところ、販売サイトのほうから、配達業者が紛失した、完売商品なので返金しますと言われた。ただ、返金方法をQRコード決済アプリで返金すると言うのです。詐欺的な通販サイトというトラブルは非常に多い中で、返金してくれるからよかったと、消費者のほうは思うわけです。それで、指示に従い、無料通話アプリで通話しながら、言われるままに番号を入力して、タップしているうちに、QRコード決済アプリにひもづいた口座や、クレジットカードから総額70万円を送金してしまっていたと。自分のスマホで、自分で送金していることから、救済は難しいと判断されてしまったということになっています。なかなか電話を通話しながら、こちらをあれしてください、これをしてくださいと言われるので、受け取るための手続を自分がしていると思っていたら、結果的に自分が送っていたというパターンでございます。
事例6です。こちらは、個人間のチケット転売です。こちらもやめてくださいねということで注意喚起をしているのですけれども、やはり10代や20代の方で、依然としてこういうパターンも見られております。
この相談者の方は、SNSでライブチケットを探していますと書き込んだところ、相手からメッセージが届いて、チケット2枚、4万6000円を取引することになった。コード決済のIDが送られてきて代金を送金するように言われて、送金したのだけれども、約束だった電子チケットが届かなく相手にも連絡が取れなくなってしまったというケースでございます。 巧妙なケースですと、あらかじめ免許証の画像を送ってきたりするケースもあって、それは偽造なのかもしれないのですけれども、それで相手のことを信用してしまったという、そういった相談もあります。
事例7です。情報商材です。
SNSで知り合った相手から副業で収入を得るための情報商材を勧められた。その人がサポートもしてくれるというので、コード決済で2万円を支払ったということです。
情報商材の内容は、SNSの運用方法なのだけれども、誰でも知っているような内容で、金額に見合っていなかったし、サポートもしてくれないと。ですので、支払った2万円を返金してほしいという御相談でございます。
こういった形で、この方は2万円で済んでいるのですけれども、この後、よくあるのは、高額なサポートをもっとしますとか、そういう形での高額なサポート契約につながっていくというパターンがよくあります。
では、7ページを御覧ください。相談の特徴と課題でございます。
マルマルペイ返金詐欺の手口なのですけれども、返金手続を誘導されているうちに、返金してもらうはずが、いつの間にか送金してしまったもので、相談が増加しております。
メッセージアプリを使って、通話と画面共有をしながら消費者に指示されるので、消費者は自分が何の操作をしているのか理解しないまま、送金してしまったという事態になっています。
これは、国民生活センターのほうで注意喚起等もしていまして、その後、注意表示などが出るようになったりと、一応決済事業者からも取組等はされておりまして、一時よりは減ってきたかなと思っております。けれども、まだまだ、新しい決済手段なので、消費者がまだ慣れていない部分もあるのかなと、そういったところにつけ込まれてしまったのかなと思っています。
2点目です。コード決済事業者の規約上、消費者自身が操作しているケースでは補償が受けられない場合が多くて、支払った金銭を取り戻すことは非常に困難と記載をしています。
また、3点目、SNS上での個人間のチケット売買や情報商材などにも悪用されています。
最後ですけれども、相談現場の感覚として、マルマルペイに口座をひもづけているケースですとか、クレジットカードをひもづけているケースとかもあって、なかなか相談対応時に、相談員として聞き取らなくてはいけないことが、非常に複雑になってきているというのを現場として感じております。
8ページは、我々が注意喚起をした資料でして、流れがなかなか理解してもらえなかったりしたので、漫画にしてつくったということで、御参考までに掲載しているものでございます。
9ページを御覧ください。代引配達でございます。これは、3つ挙げております。
まず、事例8なのですけれども、海外の悪質通販サイトでございます。
大手国内の家電メーカーのログが掲載された、ポータブルファンヒーターをSNS広告で見つけて、この方は御注文されています。
2点注文して、代引配達で8,000円を支払って受け取りましたと。広告では、すぐに暖まると書かれていたが、全く暖まらないと。家電メーカーに問い合わせたところ、このポータブルファンヒーターは製造していませんと。同様の苦情がたくさん寄せられていて、海外の詐欺サイトから購入したのではないですかと言われたということです。それで、発送元の事業者に返品を希望する旨を申し出たが、返答はないということでした。このトラブルは、特に2024年度に非常に増加しているトラブルでございます。広告に大手のメーカーのロゴなどを出していたりとかするので、その事業者の製品なのかなと思うと、全くの粗悪品が届くというトラブルでございます。
事例9です。ダイエット漢方薬です。
プロのダイエットチームが相談に乗ってくれるというネット広告を見て、メッセージのやり取りをしています。自分専用のダイエットプランを立てて、調合してくれるという説明を受けたということです。6万8000円のプランを申し込んで、代引で商品を受け取ったのだけれども、全然自分専用に調合されたものではないし、日本製のものが届くと思っていたのに違うようだと。中国のものなのかと尋ねたけれども、反応はなかったというトラブルです。
それから、事例10が海産物の電話勧誘のトラブルでございます。
一時よりは、海産物の電話勧誘のトラブルは減ってきていますけれども、2023年度が2,800件ほどで、今年度は、同程度か少し下がるかなということで、まだまだ注意をしなくてはいけないトラブルかなと思っています。
このトラブルは電話勧誘でして、以前お買い上げいただいた事業者です、みたいな感じで電話をかけてきて、カニを購入しないかと電話をかけてきます。1万5000円の商品を申し込んで代引で受け取ったところ、カニの契約書だけではなくて、最近はよく分からない会員制の割引サービスがサブスクになってついてきていると、そういったトラブルがあります。
10ページを御覧ください。相談の特徴と課題を整理しました。
広告とは異なるような粗悪品が届くような悪質な海外通販サイトの決済方法でよく見られているほか、ダイエットの痩身効果をうたう商品の勧誘する手口ですとか、海産物の電話勧誘トラブルでも見られますと。
事例8や9のような、海外から荷物が代引で送られてきた事案では、荷札に契約購入先とは違う事業者名が掲載されているケースが多くあります。
また、3点目のところですけれども、その記載されている事業者というのが、どうも荷受け代行だったり、コールセンターだけを受託している事業者なので、本来全額返金されるべきではないかというケースでも、お話し合いが進まないと。返ってきても一部だけみたいな感じになり、8,000円だったりと数千円なので、結構な方が諦めて泣き寝入りされているのではないかということを危惧しております。
11ページを御覧ください。
その他の決済として、今回は広過ぎたので、クレジットカードとキャッシング関係も少し入れさせていただいております。事例はないのですが、現場として課題に思っていることを記載しております。
まず、クレジットカード決済のほうですけれども、特に気になっているところとしまして、副業のトラブルが依然として多うございます。稼ぐためには必要だからと高額なコンサルティング契約を勧誘されるというケースが多いのですけれども、その支払い方法として、クレジットカードが利用されることがあります。
その場合におきまして、決済プラットフォーム等が介在する場合は、解決が難航するというのを、現場の感覚としては感じております。
2つ目、投資詐欺事案においては、相手方から指示されて、投資サイトに初回の登録料をカード決済するように指示されるケースがあるのですが、カード会社によっては、悪質加盟店の排除に向けた対応に違いが見られるところもあるかなと思っております。
キャッシングにつきましては、副業のトラブルでお金がないのでと断りますと、金事業者からお金を借りるよう誘導されるというケースが、依然としてあります。すぐもうかるので、その利益からすぐ返せるようになるなどと説得をされます。
その際に、キャッシングアプリを通じて、複数社に同じ日に立て続きにキャッシングサービスの申込みを行うように指示されます。質問に対しての回答も、このように言うのだ、とノウハウを指示されるのです。通話しながら一気に言われるので、短時間に借入れができてしまうと、いわゆる借り回りなどと現場では言っていますけれども、そういったことが可能というか、そういう実態がありますということを、お伝えさせていただきます。
12ページは、年度別の相談件数を記載しています。この前提としまして、消費者白書にも記載があるとおり、何かトラブルに遭ったときに、消費生活センターに相談する人の割合というのは8.6パーセントにすぎないという状況があります。
ですので、今、この件数というのは、ほんのトラブルに遭った一部分を捉えているものでしかないのだということを付言させていただければと思います。
見方としまして、色が変わっているところなのですが、この2024年度の件数は、2025年の2月末までの登録分の件数なのです。前年度の同じ時期はどれぐらいでしたかというのが、この色が変わっている部分でございますので、例えばコード決済ですと、前年と同時期と比べると増えていますという見方をしていただければと思います。
国民生活センターからの発表は以上でございます。
○坂東座長 加藤課長、どうもありがとうございました。
後ほど、意見交換の時間を設けますが、今の御報告に関して、どうしても確認しておきたいなどの御質問がありましたら、少数受け付けたいと思いますが、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。そうしましたら、後ほどの意見交換の段階で、また、御意見を賜れればと思います。どうも本当にありがとうございました。
≪2.②岩澤委員プレゼンテーション≫
○坂東座長 それでは、引き続きまして、支払い手段の多様化に関連する消費生活相談の現状に関して、岩澤委員に御発表をお願いしております。大変短い時間で、これも恐縮ですが、20分程度で御報告をいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
○岩澤委員 全国消費生活相談員協会の岩澤です。
「相談事例からみた多様な支払手段」として御報告申し上げます。
この報告書の相談事例は、全相協の週末相談事例から取り上げておりますけれども、全相協では自主事業として、東京、関西、北海道の3か所で週末電話相談を行っております。昨年度は2,597件、例年約2,500件前後の相談を受けております。
本週末電話相談の相談事例から、事例における支払い手段の問題点、また、相談員として交渉等に苦慮している点を御報告していきたいと思います。
では、早速ですけれども、クレジットカードで決済代行業者が絡んでいるマンスリークリア決済についての事例になりますけれども、時間の関係上、事例の読み上げは割愛させていただければと思います。
事例1のような、いわゆるレスキュー商法になるのですけれども、レスキュー商法や副業など、トラブルが非常に多い相談事例において、利用されている決済代行業者は、連絡先が分からなかったり、連絡が取れたとしても、事例1はクーリングオフの適用対象となると考えられる事案になっているのですけれども、クーリングオフを認めず、協力を得られないなど、対応が悪いことが非常に多くなっています。
また、事例2は最近多く入ってきている相談で、だまされてクレジットカードのIDとセキュリティコードを第三者に渡してしまって、プリペイド電子マネーへのチャージに不正利用されてしまうという内容なのですけれども、次に、だまされる流れ図をつくってみましたというところなのですが、このような形で最終的にチャージされるという図になっているのですが、オレンジ色の網掛け部分なのですけれども、なぜ不正利用につながるのか、問題点としてまとめてみました。
クレジットカードが発行されるまで、簡易な手続で、与信審査でごく短時間で手続が終了してしまいます。
バーチャルクレジットカードで、プラスチックカードがなくても、インターネット上で手続してすぐに使えるようになってしまいます。
そして、プラスチックカードがないので、消費者側として、クレジットカードの認識が非常に薄い、クレジットカードを発行したという認識がないという問題があると考えられます。
さらに、このような詐欺の手法で実質的にクレジットカードの現金化がされているのではないかと懸念しております。
次ページに移ります。
上が、カード利用者がクレジットカードを第三者に不正利用されるまでの流れ図になっていますけれども、下の図で、利用者からクレジットカードやプリペイド電子マネー会社に不正利用を申し立てても、不正利用なので何か対応してくださいという形で申立てをしても、クレジットカード会社からは、自分で手続を行っているので、何も対応できない、苦情の伝達もしません、電子マネー会社と話し合うしか方法がありませんとして断られてしまいます。
電子マネー会社からは、クレジットカード会社から調査してもらわないと、取引も特定できないので、クレジットカード会社と話し合ってほしいと、やはりこちらでも拒否をされてしまって、結局どちらからも何の対応も得られずに、被害回復が得られないということが問題になっているのではないかと考えられます。
次のページに行きます。
こちらは、クレジットカード決済で決済代行会社や決済プラットフォームが介在している仕組み図になっているのですけれども、少し複雑な図というところで、カード利用者は、販売サイトから決済代行業者のサイトに遷移して、決済したり、販売会社からのメールで送られてきた決済用のURLからアクセスしたフォームにクレジットカード情報を入力したりして決済をするのでは、消費者のほう、カード利用者は、販売会社しか認識していないことが多く、決済代行業者や決済プラットフォームの存在を認識しないまま決済していることが多くなっております。
イシュアーは、請求元として決済プラットフォーム業者の存在を把握することができることもありますけれども、それでも連絡先が分からなかったりということがあります。
決済プラットフォームのほかに、決済プラットフォームが決済代行業者を利用しているという関係になるのですけれども、それが絡んでいる場合があったりすることもあるのですけれども、こういった場合、イシュアーのほうでは、決済代行会社が介在していることが分からないということがあったりしますので、分かったとしても連絡先が分からないということがあります。
そのため、イシュアーが調査や苦情の伝達ができないということで、被害回復を図ることが難しくなっている現状があります。
次、決済プラットフォーム会社です。メールリンクで決済リンクが送られてきているときの図になりますけれども、こちらは、購入者の横に決済用のURLからアクセスしたクレジットカード情報を入力するフォームの一例を挙げましたけれども、入力確認ボタンの下に、小さく決済プラットフォームの事業者名が書かれていることがありますけれども、説明がなければ、見逃して気づかないという状況になりますし、一定期間が過ぎるとフォームにアクセスできなくなることも多いので、改めて確認することが難しくなっています。
ですので、決済プラットフォームが入っているのか、どこの事業者なのか、後から調べることも困難であって、苦情の申出窓口となり得るとは思うのですけれども、決済プラットフォーム事業者を消費者が自分で探すことが難しくなっています。
相談現場においても、そういう状況なので消費者が分かっていないというところで相談に来られるので、いろいろな資料の中から探し出すことになっていて、そこに経験、知識、あと、探す労力の時間が必要になっている事案になります。
次の7ページ、こちらは、プラットフォーム提供事業者、大手通販モール事業者やアプリストア運営事業者などの決済機能も提供している大手取引DPFなのですけれども、そちらで、クレジットカードで決済した場合の事例となります。
取引DPF、大手通販モール事業者なのですけれども、事例1、販売会社と連携して対応してくれないといった事例。
事例2としては、大手通販モール事業者とクレジットカード事業者の双方で相手に連絡や補償を求めると、責任の所在が不明確になってしまっているような事例。
あと、クレジットカード会社からは、大手通販モール事業者や、アプリストア運営事業者などの存在しか把握できないことがあるため、事例3のようにチャージバックなど成立しないとして、補償やチャージバックの対象としないと断られてしまって、被害回復が、プラットフォーム事業者が間に入っていると、難しくなる場合が多くなっております。
次ですけれども、こちらは、プラットフォーム提供事業者でクレジットカードを利用したときの仕組み図となっておりますけれども、先ほども述べましたように、クレジットカード会社は、プラットフォーム提供事業者が介在していると、チャージバック等とか、販売業者に連絡をするようにということで、対応してくれないのですけれども、そうなると、粗悪品などが届いて、利用者が販売事業者に苦情を伝えようとしても、販売業者のほうは、連絡先が分からなかったりとか、返事がなかったり、あとメール対応で、なかなか返事が遅かったりとか、対応が悪かったりすることがあります。
その場合、プラットフォーム提供事業者に利用者としては対応を求めますけれども、プラットフォーム提供事業者からは、やはり販売店と話し合いをするようにと断られてしまって、調査や苦情の伝達を、まずはしてくれません。
最終的に、プラットフォーム提供事業者の返金制度で対応してくれたり、販売会社への苦情の伝達などの介入をプラットフォーム事業者がしてくれる場合もあるのですけれども、そこにたどり着くまでに大変な労力がかかってしまって、途中で諦めてしまうという方も多いかと思っております。そのため、被害回復にばらつきが出ているのではないかと思われるという問題があるかと思います。
こちらは、クレジットカードの問題点をまとめました。
イシュアーの対応としては、イシュアーに対応してほしいと連絡をすると、その回答として、海外アクワイアラーや、海外決済代行業者を介在する場合は、苦情の伝達ができないので、販売業者と交渉するか、チャージバックするしか手段がないという形で言われます。
チャージバックをしても、契約書などに解約できない、返金できないとあれば、反証が来てしまって、チャージバックが成立しないので、最初からチャージバック申請はしませんと断られてしまうことも多いです。
クレジットカード会社によっては、支払いの代行しかしていないので、何も対応できない、調査や苦情の伝達はしませんと、請求元や販売会社と直接交渉してもらうしかないと言われてしまうこともあります。
クレジットカード会社による被害回復が、一定数図れないことがあるという現状になっております。
そうすると、消費者が認識していない決済代行業者の存在によって、イシュアーが調査できないなど、被害回復に差が出るとか、あと、メールリンクなどによって決済するため、苦情の申出窓口となり得るも決済代行会社や決済プラットフォームの存在が分かりにくかったり、苦情の伝達がマンスリークリアでは自主規制となるため、事業者によって対応が大きく違ってくるとか、取り大手取引DPFが介在する場合は、クレジットカード会社が対応しないことにより、被害回復がされないことがある。
あと、簡易な申込み方法で、与信審査、バーチャルカード発行が短時間で行われるなど、新しいやり方に消費者が慣れておらず、そこを悪質な業者に利用されていることがあるといったことが、問題点としてまとめられるのではないかと考えております。
駆け足ですみません。次は、コンビニ後払いになります。
国センさんのほうからも報告があったように、相談現場においては、特商法改正後においても、定期購入の相談が非常に多く入っております。そして、その多くが定期購入と分かりにくい表示や、事例1のように、一旦購入した後に特別割引クーポンを利用するためにボタンを押したというところなのに、条件の厳しいコースへ変更されてしまったといった表示に問題があると考えられる、いわゆる詐欺的な定期購入で、その支払い手段としてコンビニ支払い決済が対応されてしまっているという状況になっています。
コンビニ後払い決済は、2か月を超えない支払い手段と考えられていますけれども、事例1や事例2のように継続した購入回数が決まっていて、中途解約ができない場合、事例1では、4回継続購入が決まっているということなので、実質4か月の契約。
事例2では、1年間のコースということになっていますので、1年間の契約となると考えることができますけれども、その代金は、商品が送られてくる都度に後払いすることになりますので、2か月以上にわたる分割払いとなるのではないかと考えられるケースや、また、結果的に事例2のように、未成年者でも高額な契約ができてしまうケースもあって、支払い手段としても問題と思われる相談が入ってきていると思われます。
次になりますけれども、こちらは、支払いに納得できない消費者が、まず、販売業者に言うのですけれども、販売業者は、国センさんのほうからもお話があったように、表示しているから対応しませんというのが、ほとんどです。ほぼ対応されないということが多くあるのですけれども、そのため、コンビニ後払い会社に苦情を申し立てても、後払い会社からは、販売会社と話し合いをするようにと、再度もう少し話をしなさいと断られてしまい、また、販売業者への苦情の伝達も行われないケースが、やはり、ほとんどと感じられておりますので、自主ルールが守られていないのではないかと思われる実態があると考えられます。
すみません、次へ行きます。
次ページで、コンビニ後払いの問題点になりますけれども、まず、相談事例のような事例に対して、後払い事業者の対応としては、決済会社なので、商品の販売には関与していないので、販売会社と話し合うように、あとは、問題は理解したけれども、販売会社から請求が取り消されない限りは、請求を止めることはできませんとか、販売会社と話し合いがつくまで支払いをしなくてもよいけれども、請求書は規定どおり送り続けますと言われてしまって、コンビニ後払い事業者としての督促手数料、約300円ぐらいになるのですけれども、督促状を送るごとに加算して、3回ほど続けて送られてくることが決まっています。
そうした場合、極端な場合、500円の商品代金請求に対して、900円督促手数料になったりとか、あと、国センの報告にもあったように、納得できないまま支払ったりすることになるといった問題があると考えられます。
また、そういった詐欺的定期購入商法に多く利用されていて、商品代金の未回収リスクを保証してしまっている。
つまり、詐欺的定期購入商法を行う事業者に対して、立替払い、債権譲渡によって、代金を販売業者に支払って、回収は決済業者を行うことで、販売業者が商品代金を回収できないリスクをなくし、販売業者自らは、苦情対応しなくても支払いが滞らないシステムを提供する結果になってしまっているのではないかと考えられるかと思っております。
また、日本後払い決済サービス協会の自主ルールによる加盟店管理及び苦情の適切処理が十分でないということが考えられるのと、継続購入回数が決まっていて中途解約が認められない場合でも、総額に対する与信をしていないことが問題点としてまとめられると考えられます。
次、代金引換配達についての相談事例になっております。
事例1は、国センの御報告の事例とほぼ同じ内容になっております。こちらは、粗悪品が送られてきた事例ということになりますけれども、送り主の依頼主が発送代行業者になっていて、販売業者の連絡先などが分からなくなったりする問題が、代引きでは、やはり多く発生しております。
また、詐欺サイトでは、代金引換配達しか選べないことが多くて、事例3のような形は詐欺サイトと考えられるのですけれども、支払い手段としては、代引きしか選べなかったといったサイトが多く、出前講座なのでは代引配達しか選べないサイトでは買い物をしないようになどと注意喚起するほど、詐欺サイトなど、悪質な業者に狙われているというか、利用されてしまっている支払い手段になっていると考えられます。
次に行きます。
こちらは、代金引換配達の仕組み図になりますけれども、問題のある販売業者は、海外や所在不明などで連絡ができないことが多く、依頼主欄に記載のある発送代行会社などは、基本は発送の代行しかしておらず、販売に関わっていないと、返金対応してくれないことが多いのですけれども、ただ、恐らく販売業者との契約内容によってだと思うのですけれども、発送代行会社が返金対応などをしてくれることも一定数あります。
そのため、発送代行会社などの連絡先が分かれば、解決につながる場合もありますが、今度は代引事業者とかに問い合わせをしても、連絡先を知らない、教えられないと答えてくれなかったり、販売業者や発送代行業者会社に苦情の伝達をしてくれないことがほとんどになっています。
そのため、下のガイドライン取扱商品の適性及び事業所所在地並びに集荷場所を確認し、返品または苦情等に適切に対応できる取引環境を整えますといった、ガイドラインに即していないのではないかと思われると感じております。
次、代引の問題点としては、まず、配達事業者の対応としては、配達時に商品の内容に不安があるので確認したい、問題がなければ受け取りたいと消費者が要望したとしても、開封のためには代金の支払いが必要で、開封したら受取拒否はできません、代金も返金できませんとされてしまうことが多いです。
依頼主欄の電話番号で連絡が取れないため、配達業者に連絡の取れる番号を問い合わせても、知らない、教えないと答えられたり、商品代金を受け渡す事業者等の把握をしている連絡先を問い合わせても、答えない、分からないとか、販売には関係ない業者なので、意味がないと対応されることが多いです。
ただ、苦情の伝達をしっかりしてもらえれば、解決に至ることもあり、配達業者のところから、苦情が上がっていかないのは、問題ではないかと考えております。
また、海外から荷物が届く詐欺サイトでの決済手段に利用されることが多くなっており、コンビニ後払いと同様に、販売業者が商品代金を回収できないリスクをなくし、販売業者自らは苦情対応をしなくても、支払いが滞らないシステムを提供する結果になっているのではないかと考えられます。
そして、配達業者の加盟店管理及び苦情の適切処理が不十分ではないかと思われる点が問題と考えられます。
次、キャリア決済に行きます。
キャリア決済ですけれども、多い相談としては、未成年者の高額ゲーム課金です。事例1のような未成年者の高額ゲーム課金や、事例2のようなフィッシング詐欺などの支払い手段に利用されてしまうといったものが、まだ、一定数入ってきているのではないかと思われます。
あと、キャリア決済でサブスク登録、非常に簡単にできるので、キャリア決済はサブスクに利用されることが多いのですけれども、そのサブスクの事業者が販売業者になるかと思いますが、販売業者との解約や販売業者と連絡が取れないなど、悪質な販売店が、一定数入り込んでいることによるトラブルも、相当数見受けられると考えられます。
次へ行きます。
キャリア決済事業者の対応の一番の問題と考えられるのは、請求の内容に異議があるとしても、月額通信料金との分離請求は、規約においてもシステム的にもできないとして、問題のある請求に対して、一時保留をしてくれないという点があります。
あと、未成年者取消しに該当するようなケースでも、プラットフォーム事業者、アプリ運営事業者になりますけれども、そこと交渉し、請求取下げがされない限りは請求するという対応をされることが問題になっているのではないかと思われます。
キャリア決済は、未成年者のオンラインゲームの高額課金や、不正利用をされることが多くて、支払いの一部に異議があっても、一旦全額支払いをしなければならず、返金対応となっても、原則、月額、通信料金と相殺となってしまって、返金に時間がかかるので、そのため、その間、通信会社との契約を継続しなければならないので、いわゆる囲い込みにつながっているのではないかといった点が問題になると考えられます。
次、コード決済の相談事例になります。
こちらは、国センの報告されていたマルマルペイで返金するといった、だまされて送金されてしまった事例を挙げております。
あと、プリペイド電子マネーの事例1も、だまされて支払い手段として利用させられてしまった事例になっております。
コード決済もプリペイド電子マネーも、仕組みが複雑だったり、新しい支払い手段だったりしていますので、消費者がリスクなどの特徴を把握し切れないことから、トラブルが発生しているのではないかと考えております。
また、プリペイド電子マネーの事例2も、やはりサービス内容が複雑だったり、電子マネーの特徴が分かっていないことによるトラブルと考えられるのですけれども、総合サービスの共通アカウントを退会したところ、事前にチャージした電子マネーも使えなくなってしまった事例となりますけれども、給料を電子マネーで受け取ることができるようになったので、被害回復ができないと、今後、深刻な問題に発展しないのかと、懸念が考えられるかと思います。
こちらは、マルマルペイで、国センの報道発表の図になっております。
次へ行きます。
コード決済と電子マネーの問題点ですけれども、コード決済では、やはり国センのほうにも発表がありましたけれども、補償されないことが多いと感じられます。
苦情申請窓口がコード決済業者なのか、ひもづいている決済手段の事業者か、複雑で分かりにくく、対応も各決済事業者、コード決済事業者や、ひもづいている決済手段、それぞれいろいろあるので、そこの決済手段の各決済事業者で異なったり、対応できないとされたりするので、被害回復にばらつきが非常に出ていることになっております。
アカウントの停止や退会をしてしまった場合、ひもづいた電子マネーの補償がされないことがあるといった点や、プリペイド電子マネーは詐欺に利用されることが多く、被害回復も難しいところが問題点としてまとめられるかと考えております。
次に借金、消費者金融等からの借金契約の相談事例になります。
事例1のように、遠隔操作アプリで指示を受けながら、消費者金融課から借り、事業者の口座に振り込むところまで、全てオンライン上で、今はできてしまうので、遠隔操作アプリで、すごく密着指示をされてしまって、途中で止められないなどの離脱ができず、望まない、支払いができない、高額な借金をさせられてしまうといった相談が多く入っていると思います。
また、事例2の場合、オンライン上ではなくてもセミナー会場、リアル会場でもその場でスマホ操作の指示を受けながら消費者金融から借りて、自分のネット銀行の口座から相手の口座に送金するなどをしてしまうので、やはり相手事業者がいる場で、全てが完結してしまう問題点は、事例1と共通していると思われます。
最後の事例は、銀行ローンの口座を遠隔アプリでつくらされた事案になりますけれども、消費者金融の場合と同様の方法で銀行ローンも利用されているとうかがわれる事案になっていると考えられます。
こちらは、事例の共通した特徴として、販売業者から遠隔操作アプリなどで借入れのための詳細の指示を受けながら、借入れや送金が全てオンライン上で簡単に完結することから、悪質な事業所に狙われる構図になっているのではないかと思われます。
借金の問題点としては、オンライン上で簡単、即時に手続ができ、悪質業者に悪用されやすくなったこと。
信用情報機関に登録がされる前に、数社からの借入手続が同じ日にできてしまい、過剰与信につながりやすいことが問題と考えられます。
こちらは、遠隔操作の流れ図になっております。
最後に、以上から相談員の視点から見た多様な支払い手段の問題点のまとめになりますけれども、仕組みが複雑で分かりにくいけれども、消費者が認識しないまま簡易に利用ができる一方で、トラブルに遭うと自力で解決することが難しくなっていること。
支払い手段が多く、その特性等を理解した上で、選択、利用することは困難になってしまっていること。
支払い手段ごとに規律する法律、仕組みが異なるため、被害回復の程度が異なってきてしまっていること。
新しい支払い手段であることから、法律の規制がかからなかったり、十分でないために、悪質な事業者に利用されているのではないかと思われること。
支払い手段によって、法律や仕組みが異なり複雑なため、相談現場においても解決を図るためには、知識や経験が必要な上、時間と労力がかかるといった問題が考えられております。
そのため、新たな決済手段でも消費者が被害を被らないよう、事業者によるシステム整備や構築、加えて法整備も必要と考えます。
また、苦情受付窓口を明確にして、被害回復につながる苦情の適切な処理が行われることを望みます。
非常に駆け足で申し訳なかったのですけれども、以上になります。
○坂東座長 ありがとうございました。
それでは、国民生活センター及び岩澤委員の御発表を踏まえまして、意見交換を行いたいと思います。
ただ、後ほど、宮園委員の御発表もございますので、時間を大体20分から最大で25分間に区切って行わせていただきたいと思っております。御意見のある方、御発言のある方は挙手をお願いします。また、オンラインの方は、チャットでお知らせいただくか、あるいは挙手を画面上でしていただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
加藤先生。
○加藤委員 御説明ありがとうございました。1点質問、1点コメントをさせていただきます。
質問は、岩澤委員の資料の12ページについてです。
資料の12ページで、日本後払い決済サービス協会の自主ルールの問題について御説明いただきました。
私の質問ですが、本日の御報告で言及していただきました、コンビニ後払い決済事業者の様々な問題ですが、これらは日本後払い決済サービス協会に加盟している事業者によって引き起こされているのでしょうか。もう少し一般的な言い方をしますと、日本後払い決済サービス協会の加盟率はどれくらいでしょうか。この点は非常に重要であると私は思っております。
最近、事業者による自主規制を重視する傾向があるかと思います。しかし、自主規制が成り立つためにはいくつかの前提条件があります。日本後払い決済サービス協会の加盟率は、そのような前提条件の1つであると考えます。もし、お手元に何か情報などがありましたら、御説明いただければ幸いです。
次にコメントですが、本日の資料の1と2の御説明を伺って感じたことですけれども、様々な消費者問題と決済サービスの関係は、大きく2つに分類できるような気がいたしております。1つは、いわゆる加盟店管理の問題です。
もう一つは、プリペイド型の電子マネーであるとか、コード決済のように、加盟店管理というよりは、非常に簡単に価値移転を行うことができる手段が発展していることに伴い発生する問題であると思いました。
その一方で、たしか資料の2で言及があったかと思いますが、こういった様々な決済サービスが、資金力の乏しい個人や小規模な団体、法人でも販売業者になれるということと結び付いています。これについては、いい面と悪い面があり、悪い面が、今、非常に問題になっているということを改めて認識することができました。
私からは以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
業界団体の加盟率や実態等については、どうですか、岩澤委員、お答えできますか、もし、あれでしたら山本委員のほうがひょっとすると、そういうところは、お詳しいかと思うので、もし、可能であれば、お答えいただければと思います。
○山本委員 それでは、私が認識できているレベルでとなりますが、いわゆるコンビニ後払いといいますか、クレジットではない後払い業者、いわゆる日本後払い決済サービス協会でよろしかったですかね、そちらの加盟というのは、多分調べるとすぐ分かりますが、8事業者とか9事業者ぐらい(発言後に確認・7社)だったと記憶しております。
それに対して、これは、登録制度もないので、実態として何社あるかという正確な把握はできないのですけれども、およそ20社以上程度、全国に同業がいるということはよく聞いておりますので、加盟率は半分か半分以下かなと思います。
もう一つは、実は、後払い決済サービス自体も重層化しておりまして、一次受け、二次受けのような、本当の後払い決済の本業をやっているところと、いないで取り次いでいるようなところもありますので、それも含めて20社から、もう少しぐらいということだと思います。正確な数字ではなくて、恐縮なのですが、私の認識の範囲でお答えいたしました。
○坂東座長 ありがとうございます。
一体誰が本当の実態を分かっているのかというのは、なかなか難しい話だなと、改めて思わされるお話であります。
ほかに御意見がございましたら、遠慮なく発言いただければと思いますが、いかがでしょうか。
柿沼委員、御発言ください。よろしくお願いします。
○柿沼委員 柿沼です。オブザーバーですが、すみません、お伺いしたいと思います。
皆様、御報告ありがとうございます。
私は、国民生活センター様に、御質問をさせていただきます。
PIO-NET情報を基に、決済事業者の問題点について、いろいろ御報告いただきましたが、国民生活センター様から、各決済事業者に対して、連携や対応をどのように行われているのでしょうか。例えば、悪質な定期購入業者が、コンビニ後払い決済業者を次々と変更して、繰り返し同じような事業を行っているというケースを先ほど伺いましたが、このような事例において、情報提供や連携が適切に行われているのか、もしも行われているのであれば、業者の悪質行為を抑止することが可能ではないかと考えます。
この点について、まず、教えてください。
そして、2点目です。副業の手口について、クレジットカードや消費者金融を利用し、お金を借りさせると、そういう行為があるということですけれども、これは、総量規制において、利用者がお金を借り過ぎたり、貸す側が過剰な貸し付けを行ったりすることは、法律で禁止されていることなのですけれども、その制度をうまくかいくぐって、タイムラグによって、その規制を超えるお金を貸し付けるという行為が、ずっと前から行われております。
個人信用情報機関や、クレジットカード会社、それから、貸金業者などに手立てはないかということをお尋ねしたり、何かこういうことが起こらないようにということで、連携や対応を求めたりすることを行っているのでしょうか。行った場合には、決済事業者のほうから、どのような回答があったのかについて教えていただければと思います。
以上です。
○坂東座長 お願いします。
○加藤課長 御質問ありがとうございました。
私ども、日本後払い決済サービス協会さんとは意見交換をしております。ただ、先ほど加盟率の話も出ましたけれども、現場として、加盟の会社さんが苦情がなくて、非加盟会員会社が多いかというと、そんなことはなくて、どっちも入っているというのが現状なのです。
ですので、私どもとしても、先ほど、岩澤委員からの御発表にありましたとおり、やはり加盟店管理をやっていますよと言っているけれども、やはり甘いのではないかなとは、はっきり言って思っております。
A社が契約を切ったら、また次のB社が入るということで、結局販売事業者は、ずっとビジネスをやっているような状態で、それはそれでどうなのだろうかと。加盟率の問題と、クレジットカード会社ほどの加盟店管理というのは、実態としてできていないのではないかなと思っています。
ですので、同じように問題意識を持っているので、設立して数年たってはおりますけれども、私どもとしても、この協会さんにも、よりもっとやっていただく必要があるのではないかと。実際問題、複数回にわたって定期購入事業者の行政処分がでております。その行政処分が入る前には、当然、事業者は苦情を把握していただろうと思うのです。だけれども、行政処分が行われているということに関して、どう思っているのかなと、私どもとして疑問に思っていますので、そういった問題をもっと継続的に申し入れていきたいと思っております。
借り回りのほうなのですけれども、今度は貸金業協会様とも定期的に意見交換をやっていまして、あちらも相談窓口を持っておりますので、そういったことがあり得るということは把握されております。
我々も要望したりもしていますので、各貸金業者様に対して、こういうトラブルがあるので注意喚起をしてくださいとお伝えいただき、各社それぞれアプリを見ると、副業のこういったトラブルがあるので、御注意くださいとか、若い人からの申込みに対しては、場合によっては電話をかけて、こういえと指示をされているのではないですか、問いあわるといった取組をされています。
ですので、中には、A社、B社で、C社は、さすがに申込みの履歴は即日見られるので、3社目ぐらいになると、あれとなってお電話をすると、そこで、自分が始めて、まずかったのだと思って、3社目の与信、それは止めることができたというケースは、中にはあるのです。けれども、全件やっているわけではないのと、貸金業協会様からお話を聞くと、A社がどのように言ってくるかなど、悪質な事業者側は分かっているらしくて、このように聞いてくるから、車を買うのだと言いなさいとか、いたちごっこみたいな話を聞いております。やはりシステム自体を変えないといけないのではないかなとは思っていて、そこら辺りは、今後の課題かと思っております。
以上です。
○柿沼委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。
すみません、私のほうで少し言葉足らずだったかと思うのですけれども、消費者側に対しての抑止をお尋ねしたわけではなく、最後のところ、個人信用情報機関などの情報をタイムラグなく、すぐに反映して見られるような取組を求めているのか、その求めたことに対して、どういう回答を得られているのかということをお尋ねしたかったのですが、いかがでしょうか。
○加藤課長 JICCさんになろうかと思うのですけれども、そちらには、まだ明確に申し入れていないです。
○柿沼委員 そうなのですね、分かりました。
その点が、一番今回の事例を通して問題点かなと、私は思いましたので、今後、もしも機会がありましたら、問題点についてお話しいただければと思います。ありがとうございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
個人情報機関への登録のタイミングの問題、あるいはそれをどうやって確認していただくかという問題もとても大きい議論かなと思います。ありがとうございます。
あと1、2件受けたいと思いますが、いかがでしょうか。
谷本委員、お願いします。
○谷本委員 ご報告ありがとうございました。
非常に実態がよく分かって、検討の基礎になると思いました。
先ほど加藤委員からお話があった自主規制についてですが、私もずっと気になっていて、日本後払い決済サービス協会に加盟する会員の数なのですけれども、発足当時から7社でずっと変わっていないのではないかと思っています。発足は2021年だったと思うのですけれども、その加盟会員数が増えないというのも非常に気になっているところで、ネットとかを見ていますと、「審査なしの後払いアプリ36選」とかが出てきたりして、実態がどれだけあるのか私も分からないのですけれども、消費者側から見ると、そういう実態があるのかなと見ております。
今、自主規制がそういう状況の中で、消費者の視点から見ると、やはり簡便な決済手段で、簡便なオンライン取引で完結するというところが魅力で、これだけ普及してきたのだと思います。
ところが、加盟店と問題が発生すると、そのときには、この簡便さがリスクに変化するというところが問題だと思っております。
決済事業者は、様々な事業者がおりますけれども、決済の簡便さによって利益が増大しているのだと思いますし、多数の高額にのぼる取引で利益を得たいという希望の下でそこに参入しているというところはあると思います。
他方、加盟店側を見ても、オンライン取引とか、決済の簡便さによって利益を増大させたいという希望があるのだろうと。
様々な通常の問題のない取引もありますし、詐欺的な悪質加盟店もそこに加わっているということになるかと思います。
この加盟店については、やはり詐欺的な悪質加盟店というものについては非常にリスクが大きくて、普通の加盟店であってもリスクは中ぐらいあるだろうと、もちろん優良加盟店はリスクが小さいのだろうと考えるわけなのですけれども、こういう状況の中で、リスクは現在どうなっているのかというと、消費者側のみがリスクを負担しているという構造になっているのではないかと思いました。
やはり生じてしまう加盟店のリスクについては、一定の分散が必要だろうと、このやり方として、どのようにやるのかということなのですけれども、割賦販売法は、そのリスクの分散のやり方の1つのモデルを示していると思います。
それは、信用取引という側面から見ると、信用供与者側に加盟店管理を義務づけたり、関係者にも加盟店管理を義務づけるとか、消費者には、一定の信用供与者側への権利を認容するというような様々な方策を内に持っているのが割賦販売法だと思っています。
そうすると、割賦販売法をモデルとしながら、それに近いような一定の法規制というものを及ぼさないと、やはりこのリスクの分散というのは、なかなかできないのではないかと感じたところです。
すみません、コメントですけれども、以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
恐らく全体の利益とリスクの分配をどういう形でルール化していけば、最も寄与するのかという我々に課せられたとても大きな問題の御指摘かなと思います。
あと1点だけ、山本委員、御発言ください。
○山本委員 すみません、手短に、発表をいろいろお聞きして幾つか感じたことなのですけれども、幾つかあるかなと思っております。例えば、クレジットの問題をかなり御指摘されていたと思います。これは、規制が既に存在する中で問題が生じている。これは、(そもそも決済の)金額が大きいから問題が大きくないと、私、最初には言ったのですが、ただ、クレジットというのは、取扱いが100兆円を超えているということを考えますと、当然いろいろ多様化が進んで、新たなトラブルが生じているという指摘もあるのだろうなと思います。
それに対して、後払いに関しては、御指摘もあったとおり、規制がない中でトラブルが多いのではないかと。私は、国民生活センターさんの資料の中の12ページ、年度別相談件数というところをちらっと拝見しまして感じたことがあります。
これは、相談件数が後払い決済4万8800件というのが、正しく読めていればなのですが、2024年度ですね。
その下にコード決済が2024年度で5,475件であります。つまりコード決済より、はるかに後払い決済のほうが、要は相談件数が多いということです。
他方、コード決済は幾ら使われているのかというと15兆円を超えている。恐らく後払いはデータがないのですが、1兆円前後ではないかというのが私の見積もりなのですね、これは、まだ、ちゃんと調べる必要があるのですが、そこだけ見ますと、(後払い決済は)異常に苦情が多いと、私には映ります。
そこで、少し御発表いただいたことに、もし、コメントをいただければと思うのですが、やはり後払いの苦情、あっせんするということが、ほかの支払い手段に比べて大変なこと、主観みたいな話なのですけれども、そういう意見を私はいろいろ聞いておりますので、そこは、少しお言葉をいただけたらなと思っています。
もう一つ、これはコメントなのですが、DPFの部分の苦情もかなり来ていて、これは、私も前回、前々回の発表の反省もございます。もともと用語が体系化されていないために、それぞれ正確に御報告をいただいても、理解が少しばらつくかなと、かなり用語のばらつき、これは私の資料にももともとそうなっておりますので、そこの整理の機会を一旦いただいて、私なりにもう少しまとめさせていただくというのは必要かなと思いました。
私の小さな質問とコメントは以上でございます。
○坂東座長 ありがとうございます。
そうしましたら、先ほどの御意見に、コメントをいただけますでしょうか。
○加藤課長 御質問ありがとうございます。現場の交渉の感じはどうかという御質問だと思うのですけれども、やはり法律上、このように規制がかかっているでしょうと、何か根拠を言ってもっていけるところがないのが非常に弱いなと。
先ほどの協会がありましたけれども、その加盟社であれば、一応自主ルールはあるねと、それで、どうなっているのですか、みたいな話になりますけれども、さらにそこの非加盟企業の場合は、話ができるだけましという感じで、何かしっくりこないと言いますか、根拠がないというところですごく弱いなと思っています。ですので、件数の多さで何とかしてくれと言っていくしかないと、そんな感じになっています。
○坂東座長 ありがとうございました。
岩澤委員、お願いします。
○岩澤委員 私も同じような感想を受けているところなのですけれども、やはり、まず販売店との交渉が、連絡がつかないことが非常に多くて、まず、販売店とは電話が混んでしまっていて全然つながらないのですね、販売店との交渉は非常に困難な状況になってしまっているという現状があるかと思います。
それで支払いをどうにかしてほしいと思って、後払い事業者に電話をするというパターンになってくるかと思うのですけれども、後払い事業者のほうも電話がつながりにくいという苦情は一定程度あって、あと、やはり対応はしてくれない、その加盟店率というのが、何か先ほどからあるのですけれども、感覚として日本後払い決済サービス協会のほうに加盟しているのは大手さんが多いので、感覚として相談に来る、そういった後払い事業者は、加盟店に入っている事業者が結構多いなと感じております。
ですので、そういった自主ルールがあるでしょうという交渉をしたとしても、なかなかそうは言っても、こちらとしては何もできないので、販売事業者と話し合えという一点張りになってしまっているという感覚があるかなと感じております。
○坂東座長 どうもありがとうございました。
現場での御苦労、本当に大変だなと思って聞かせていただきました。用語の統一に関しては、また、山本委員とも御相談をさせていただいて、また、皆さんに提供できればと思っております。
≪2.③宮園委員プレゼンテーション≫
○坂東座長 それでは、宮園委員からの御発表をお願いしたいと思います。
本当に恐縮なのですが、20分という時間で御報告をいただければと思います。どうぞよろしくお願いします。
○宮園委員 NACSの宮園と申します。
10分ですかね、20分と伺っていたので、かなりはしょりながらお話をさせていただきます。
○坂東座長 20分使っていただいて大丈夫です。
○宮園委員 そうですか、すみません。
私のほうは、多重債務の側面から見るというキャッシュレス決済です。なかなか多重債務の実際の方たちの声が届くことが少ないと思いますので、今回は、いい機会を与えていただきまして、大変感謝しております。
NACSのメンバー、特にこの金融委員会のメンバーは、消費者紛争の解決支援だったり、消費者教育とか、金融経済教育、学校教育、生活困窮者の自立支援、多重債務の解決支援、企業、研究などに関わる者たちでございます。
本日挙げさせていただきます事例は、個別のというよりは、ここのメンバーの中で実際の事例を基に、こういう問題があるのだということを検討しながら、幾つかは、複数の事例を1つにしたりとか、そういうデフォルメを多少加えた事例がございます。
最初に、キャッシュレス決済と借金について御説明します。
これは、金融庁から出されたデータなのですが、2024年に発表がありました。ここで、クレジットカード会社のキャッシング、カードローン利用者について、借金の理由を聞いたものがございます。
2つ目のところで、後払い決済の利用代金を支払うためという回答が、そこそこあるという、特にこれは、専門職や学生に多かったというデータがあります。
それから、今度は消費者金融から借りたという方の借金の理由、これは後払い決済を支払うためというのが、実は、1001万円以上の高収入者でもあると、高いというデータもありました。
それから、次のキャッシュレス決済のための借入れについてのデータですが、これを見ますと、現在の借入残高と、1回の平均的な借入金額、どちらもそれほど高くはない、5万円未満のところがかなり多くて、10万円未満にすると、もっと多いですね。ですから、手軽に借り入れている、借金が日常化しているのではないかと思います。
それから、次に、貸し金業で希望どおりの借入れができなかったときの対応というのを伺った質問では、クレジットカード、ネットショッピングにおける後払い決済を利用して支払いを後回しにしたと、貸金業で借りられなかったので、後払い決済を利用して支払いを後回しにしたという回答が多いことからも、貸金業者から借金できなくても、BNPLは利用できるということもうかがわれるかと思います。
ここで、BNPLについて御説明したいと思います。
私ども、多重債務の方たちのことを思いながら考えるときに、信用調査、支払可能見込み額の調査義務がないということが気になっております。信用情報機関の利用はないのです。
この事例は、自己破産して数年後、精神疾患により休職したときに、電話占い10社、総額20万を利用した。クレジットカードが使えないのでBNPLを利用したが、支払いが困難という事例でした。
ただ、1件1件は本当に数万円とか何千円とかの話ですので、なかなか弁護士を使って任意整理というのも割に合わないので、非常に債務整理という部分では扱いにくい事例でありました。
これは、山田先生のイラストをお借りしているのですが、BNPLを利用するときに、収入の確認はほぼないということになります。支払いのときに、後払いを選んで、メールアドレスと携帯電話番号を入れます。その後、ショートメッセージで届いたコードを入力するという、少しその段階を踏みますけれども。それで、支払いはコンビニで払ったり、銀行振込みだったり、口座引き落としをしたりというものになります。
他に後払いもあります。後払いのほうも利用規約を見ると、携帯電話番号とメールアドレスと、運転免許証またはマイナンバーカードというので利用できるとなっていましたので、収入の確認はないままに利用できるという感じがいたします。
ここの運用のところで気になっていますが、高校生でも利用できるのですね。利用規約を確認しました。それぞれ会社によって違いますが、一括払いであれば、年齢制限はないという会社が結構たくさんありまして、未成年は利用できないと書いているところもあります。18歳以上とか、分割払いであれば成人とか、1社は、高校生は利用できないというのがありましたけれども、ただ、成人というのは、18歳以上なのですね。そうすると、高校生も18歳ですから、成人ですから利用できます。
この事例は、ネット通販で何度もBNPLを利用していたと、その後、分割払いで18万円のSIMフリーのスマートフォン、機器だけを購入した。延滞していたら、法律事務所から訴訟予告通知が届いたというものなのです。ただ、高校生は、スマートフォンを手放すという選択肢はないということだったので、別のBNPLの任意整理という話も検討しましたけれども、やはり弁護士を入れて任意整理をするには、弁護士費用を考えると、なかなか厳しいという、そういったものでありました。
このBNPLの手数料と延滞料、利用規約を幾つかの会社から拾ってみました。そうすると、手数料が、ここに書いているような、各社それぞれあるのですが、気になりましたのがF社です。3,000円から1万とか、ここでは最初と最後しか書いていないのですが、金額によってそれぞれあるのですが、手数料510円とか1,830円とか書いてあると、そんなに大した手数料ではないと思うのですが、これを私が日本クレジット協会のシミュレーションで計算しますと、実質年利が40パーセントを超えるという、結構な手数料だと思います。
さらに延滞しますと、各社遅延損害金に回収の手数料が入っているということがあって、それぞれの会社によって手数料が様々あるのですが、年14.6パーセントにプラスアルファーした金額を払うことになるという実態がございます。
それから、キャリア決済に参ります。
これは、電話料金合算払いといいまして、携帯電話の料金と一緒に支払うもので、先ほど国民生活センターさんからも、岩澤委員さんからも発表がありました。ここで気になりましたのが、やはり信用調査の部分です。携帯電話のサービスとして契約するときには収入証明は要らないのです。電話機を個品割賦するときは、それなりの審査はあります、割賦販売法で、ただ、個品割賦しなくて、電話サービスだけだと、収入証明は特に必要ありません。
それで使えるわけなのですが、クレジットカードを延滞して利用停止になったという多重債務の方が、食品や日用品の購入のためにキャリア決済を利用したと。しかし、キャリア決済も延滞してしまった。それで、携帯電話の利用ができなくなってしまったと。
携帯電話がなくなると、求職活動もままならない。さらに弁護士に相談したら、結果的に自己破産をしたような事例なのですが、弁護士との連絡もなかなか取るのが大変だったという、そういった自分の生活基盤が脅かされるような、そんな状況になったというケースは少なくありません。
キャリア決済の上限額は、各社それぞれありますが、初期設定で二十歳以上だと、10万円程度は毎月使えるのですね。1月に10万使ったら、2月もまた10万使えるという形になります。
この中で最近驚きましたのが、ギャンブルでも使えるところがあると。オンライン競輪とオートレースでは車券を、ポイントをチャージしてポイントで投票するのですが、そのポイントをキャリア決済で買えると。ギャンブルで借金を返そうと思っていてキャリア決済を使ったものの、結果的に借金を返していなかったのですけれども。
それから、キャリア決済の部分、現場では、どうしても携帯電話を使いたいので、レジュメには書いていませんが、携帯電話が使えなくなったら困るというので、ほかの借金があってもキャリア決済を優先して返済するという方が多いです。
それから、スマホ決済です。このスマホ決済が非常に複雑になっています。いろいろなところにひもづけてありますので、これは、マルマル払いとか、マルマルペイという携帯電話会社がやっているものです。それに、自分のクレジットカードをひもづけていたといった事例なのですが、最初、御本人さんは、不正請求だということを言っていた。ところが、本人さんは利用明細を確認できなかったのですが、相談員と一緒に電話でクレジットカード会社に利用明細を尋ねると、どうもコンビニエンスストアとか、自分の子の住んでいる生活エリアの店で使われていることが分かったと。それで支援員さんが確認していくと、実は自分名義のスマホを子供に、成人しているのですが渡していて、使わせていて、その子供がどんどんスマホ決済を重ねていて、何十万円も何か月も使っていたという、そういった事例でした。
こういった利用明細の把握について、事業者の方はいろいろな方法を準備してくださっています。ところが消費者のほうは、その必要性を理解していなかったりとか、確認する方法を認識していない、ログインパスワードを忘れてしまったとか、そういう方が少なくありません。
次の総量規制、これは、先ほどの国民生活センター様と岩澤様でも御紹介がありましたので、中身は簡単に済ませますが、まず、総量規制が何かだけ補足して御説明させていただきます。
これは、貸金業法に規制されていまして、平成22年からやっているのですが、年収の3分の1を超える貸付けは、原則禁止しますと。
適用されるのは、貸金業法ですので、貸金業者とか、クレジットカードのキャッシングなどに適用されます。ただし、今まで借りているものと合わせて、今回借りるのを含めて50万円以下であれば、収入の証明は必要ありません。もう一つ、それと今までの借入れと、ほかの信用情報機関に照会した、ほかの貸金業者からの残高を合算して、100万円以下だったら収入証明は要りませんとか、そういったルール、規制があります。
この辺りのほうを少し悪用したというか、抜け穴を使ったというのが、消費者トラブルになっているというのが先ほどのお話でした。
私のほうは、中身はほぼ同じですので話しませんが、消費者側の事情だけお話しします。
この方は、消費生活センターで相談しても、あっせん不調でした。それで入社数年目の給料では、140万は、とてもではないけれども返済ができないので、食費を削っていったそうなのです。そのうち体調を崩して仕事を休みがちになり、最終的に多重債務として弁護士に相談したので自己破産を勧められましたが、非常にショックが大きかったと、そういった方です。
こういった消費者の行動を、最後にお伝えいたしますが、借金が日常化している、利用するのはとても簡単なのです。ですから、普通に日々キャリア決済だったり、BNPLを使ったりと日常化していて、その際、延滞のときの負担とか、延滞したらどうなるのかとか、手数料、延滞料も意識していないと。
特に、生活困窮者の場合は、クレジットカードは使えないのだけれども、これは使えてしまったという感覚で、ラッキーというところで、最終的には、日々の給料は借金返済に充てて、日頃の食品や日用品をBNPLやキャリア決済で買うと、これは、御本人さんたちにお話を聞くと、自分のお金という感覚で使ってしまったとおっしゃる方が多いです。
これは、多重債務の現場で、よく貸金業者のATMで借金を重ねた方が、ATMのお金は自分の銀行口座にあるお金を引き出していたと思いましたという方が大変多いのです。同じような感覚ではなかろうかと思います。
それから、お金が大変見えづらいのです。お札や小銭がありませんので、お金が増えるか、減るとかは分からないので、この辺りを見える化するというのが大事です。
これについては、先ほども申し上げましたように、取引履歴をアプリで確認できたりとか、ダウンロードできて、すぐそれをエクセルにして、そのまま家計収支ができるような、そういうサービスを事業者側は提供してくださっているのですね。ですので、弁護士のところに行って自己破産の資料を書くときには、それを弁護士事務所に渡して、何とか家計収支がつくれるかなというところはあるのです。
ところが、あまりにも多様で重層的です。前払いがあったり、即時払いがあり、後払いとか、その上、ポイントで払うものもあります、支払い時期もたくさんあるし、1人の方がたくさんの決済があります。例えば、自己破産の手続をして、家計収支をつくろうと思ったら、その方たちもBNPLが使えるのですね。ですので、なかなか一気に家計管理をするというのは、簡単ではない。ただ、最近では支援機関の支援を受けながら、少数の1枚とか2枚とか、特定の前払いとか、即時払いだけを支援者の支援を受けながら利用するという動きも出てはきているようなのですが、そういった動きがございます。
最後に、私どもNACSの金融委員会のメンバーで話し合いながら、今後の課題を挙げさせていただきました。
消費者教育、金融経済教育、非常に大事なところです。これに関して、手数料とか延滞料とか、あと金利について、実際どれだけというのは、なかなか身に染みて感じている消費者が少ないような気がします。延滞したときの影響とか、さらに、キャッシュレス決済、BNPLを入れた金銭管理という教育が今後必要ではないかという意見が、メンバーの中で出ました。ただし、どうしても普及するのに時間がかかってしまうということもございます。
企業の行動というところで、やはり消費者の安心・安全を担保していただきたくて、業界団体の自主行動基準は非常に大事だとは思いますが、加入していない事業者も存在するし、BNPLの視点では、先ほど国民生活センターや岩澤様からもお話がありましたように、加入していてもトラブルが多いとか、いろいろあります。
それから、消費者へ情報提供してくださる、大事です。ただ、あまりにも情報が多過ぎると、消費者は理解ができなくなるということがありますので、その辺りも、ダークパターンであったり、いろいろなことも考えながら検討する必要があるのかなと思います。
さらに規制の問題です。多重債務に関しましては、信用調査をしていただきたいというのが切なる願いでございます。あと、できれば、消費者の利益擁護のための参入規制もあるほうが、消費者側としては望ましいと思います。
また、紛争解決、加盟店管理とか、払い戻しとか、そういったことも何らかの法規制があると、より解決が進むのではないかと思っているところです。
以上です。どうもありがとうございました。
○坂東座長 ありがとうございました。
それでは、宮園委員の御発表を含む全体について、御意見を承りたいと思います。
加藤委員、お時間があると思うのですが、もし何か一言ありましたら。
○加藤委員 御説明ありがとうございました。
キャリア決済について、コメントをさせていただきます。
御説明いただきましたとおり、通信契約は電気やガスや水道と同じくライフラインですので、収入証明がないのは当然であるというか、あってはならない、収入証明はなくてよいと思います。ただ、通信契約にプラスアルファーで、キャリア決済、すなわち、金融サービスが合わせて提供される際には、御指摘のとおり、収入証明がないとのは、理論的に整理できているわけではありませんが、不思議な印象を持ちました。
さらに、私の知識が誤っている可能性もありますが、最近の通信会社は、おおむねクレジットカードも発行しているかと思います。通信会社による金融サービスの提供の発展の中で、これも私のイメージにすぎませんが、まず、キャリア決済があって、その後、クレジットカードを発行するようになったのではないかとの印象を持っております。
そうすると、通信会社のビジネスモデルの中で、キャリア決済とクレジットカードなどのほかの決済サービスの関係や位置付けを明らかにした上で、様々な要望や要請をしていくことが重要であると思いました。
ありがとうございました。
○坂東座長 ありがとうございます。
加藤委員は、今日45分で御退室の予定と伺っていましたので、それでは、皆さんからも積極的に御意見をいただければと思います。
まず、瀧委員、お願いします。
○瀧委員 どうもありがとうございました。
質問ではなく、コメントになります。今の加藤先生のコメントに乗っかる形なのですけれども、これは初めて私もこの分野に入って理解したのは、決済手段に向けて規律する法律が割販法・資金決済法が経産省、金融庁にはある一方に対して、私も総務省さんの仕事をいろいろやっているのですけれども、キャリア決済に向けては明確にはないとお聞きしております。
電気、ガス、水道、全部大事なのですけれども、最近はスマホがないと支援を求める声も上げられないという意味では、かなり重要な生活上の手段を押さえられてしまうというものと、ほかの債務が、コミングルされている状況があるのは、一消費者感覚として、あまり解せない状況だと思っています。ある意味、携帯キャリア提供されている会社さんは皆さん、決済手段を何らか御提供されているという実態に即して、それ全体としてイノベーションとしていいのか、悪いのかという判断とは別に、生活上必需であるがゆえに、必ず払うという、かなり強い要請を持っている債務と、それ以外の債務が一緒になっていることは、この検討会で割とちゃんと取り扱うべきポイントではないかと思いました。
それが携帯の支払い代と、キャリア決済で負っている債務を、もう少し明確に分けるということをやったほうがいいという帰結なのかもしれないですし、もう少し延ばすと、どういう監督をここに対して効かせるべきなのかとか、議論が必要な状況ではないかと率直に思いました。
そのような形も含めて、今日は、本当に丁寧にいろいろな類型の問題といいますか、被害というのをまとめていただいたと思っておりまして、3名の皆様の御発表、大変参考になりました。どうもありがとうございます。
以上、コメントです。
○坂東座長 ありがとうございました。
ほかにも、黒木先生。
○黒木委員長代理 すみません、オブザーバーでありながら、お時間をいただきます。岩澤委員の今のキャリア決済のところについてですが、17ページに「請求内容に異議があるとしても、月額通信料の分離請求は規約においても、システム的にもできない」と書いてあることが、実は実務的に大問題になっています。
先ほども少し出てきましたが、これが自己破産などになった場合、仮にBNPLだったら過去債、すなわち倒産債権になってしまうので、これは支払が禁止されます。他方、通信料金は双方未履行双務契約ですので、これは共益債権あるいは財団債権として、自由財産からの支払いが可能ということで、法律上は分離されるはずなんです。
ところが、キャリアは倒産債権を支払わないと、通信料金の支払についても両方止めてしまいます。キャリアの電気通信に関する約款は規制約款です。電気通信事業法19条でそこの規制約款になっていて、電気通信事業法27条では、苦情等処理について電気通信事業者に義務づけています。
同時に、総務省では、総務省の中の総合通信基盤局消費者行政課の中で、消費者行政に関する苦情窓口があるのですが、総務省のここは、基本的には通信業務に関することすなわち電話のかかる、かからないだけなんです。この新しいサービスとひもづけていて、破産法などとの関係がどうなっているのかについては、管轄外ということのようです。
しかし、法律家の理解では、約款は契約の条項に過ぎないわけで、強行法規である倒産法の規律を約款で変更するなどということはあり得ないわけです。しかし、そこがこの新しいサービスの中で全然理解されていないという非常に大きな問題です。
更に、別の案件を指摘すると、キャリア決済は第2種資金移動業で100万円までは、一応滞留することもできるわけですから、悪い破産者だと、隠してしまって、100万円キャリア決済にチャージして、そのままということも分からない。先ほど宮園さんがおっしゃったとおり、非常に分かりにくくなっていますので、それもできてしまうという問題がありますし、そのようにチャージされたところに関しての返金作業はできないというのが、第二種資金移動業の払戻しの原則禁止ということになっているんです。
この辺りのところで、キャリア決済ということが、今後新しい事業として増えてきたときに、様々な法的な制度との関係を踏まえて問題点を見つけていかないと、新しいサービスの問題点が見えてこないので、大変重要な問題だと思います。
考えてみると、携帯電話というサービスを提供しているキャリアは、例えば地震速報情報が携帯電話サービスを介して来るじゃないですか。しかし、「請求内容に異議があるとしても、月額通信料の分離請求は規約においても、システム的にもできない」ということで、もしもキャリアが止まっていたら、地震速報情報に接せられないということにもなるわけです。このように携帯電話サービスが大変重要な社会のインフラとなっている現状を踏まえると必要的なインフラの問題と、それからキャリアが行っているビジネスモデルとしての利用の問題が混在している状況は、早めにクリアにしなければならないのではないかと思っているところです。
以上です。
○坂東座長 ありがとうございます。
大変貴重な御指摘をいただきました。
どうぞ。
○池本委員 池本でございます。
多重債務の問題について感想というか、コメントと、それから全体をということですので、前半のことについて少し質問も1つ加えさせていただきたいと思います。
まず、多重債務の問題について、宮園委員から、その信用情報にアクセスする制度になっていないので、ほかにたくさん債務があっても、これが簡単に利用できてしまうというケースと、利用しやすさで少額だからというので簡単に利用して、それが多重債務につながるという両方あるのだという話がありました。
その話をお聞きしていて、以前、これは、もう15、16年前、貸金業法とか割賦販売法に過剰与信規制が厳しく入った当時、こんな議論がありました。
業界単位ではなくて信用情報を統合して、全体の数字を把握できるようにできないかという議論がありました。その当時、消費者団体側から、当時の貸金業者は本当に何もかもが入る状態だったこともあり、クレジットカードでどんな買い物したかも含めて消費者金融に知られるのではかなわないという、こういう反対意見があったのです。
ただ、今の情報の統合は、どこで幾ら使ったかということは必要ないわけで、束ねた数字の合計額なり何社幾らかに束ねた数字の範囲でアクセスできるとか、やりようは幾らでもあると思うのです。
ただ、信用情報にアクセスするということは、自ら貸したものも登録する義務はあるし、目的外で照会をかけてはいけないし、目的外使用はしてはいけないという、やはり一定のルールのもとになければいけないので、誰でも申請すれば認められるということであってはいけない。一定の参入規制がないと信用情報を統合したところへアクセスすることはできなくなるのではないか。その辺りも含めて、全体のありようを議論する必要があると思います。
それから、前半の国民生活センターと岩澤委員の御説明の中で、私も、もやもやと感じていながら、なぜそうかということが見えないところなので、答えはないのかもしれないのですが、デジタルプラットフォーム事業者と、クレジット決済がつながっている場合に、お互いに相手にやってくれということで、ちゃんと対応してくれないと、ということがそれぞれ報告の中にありました。
クレジット決済からすれば、カード発行会社は苦情を伝達し、加盟店契約会社あるいは決済代行業者側で調査し、対応を求める、というのが自主ルールではあるけれどもマンスリークリアにもあるわけで、その相手がたまたまデジプラ業者だからといって、そこを除くという理由はどこにもないはずなのですが、なぜそうなのか。あるいは、デジプラ業者と加盟店との間の経済的な力関係の問題なのか、それとも一定のすみ分けなどのようなことをしているのか、そこが見えないのですが、何かお考えなり、あるいはこれまでの情報なりがあれば、教えていただきたいと思います。
○坂東座長 後者の御質問については、どちらから御回答をいただくのがいいか、まず、岩澤さんのほうから少しコメントがあればいただいて、その後、国センからお話しいただければと思います。
○岩澤委員 私からは、感覚の話になってしまうかと思うのですけれども、報告のほうでもお伝えしていた内容にはなるのですけれども、やはりカード会社のほうからは、販売店、DPFのほうからしか見えないというところで、DPF自体が大きいと、やはり力関係というのはあるのではないかとは思っています。
ですので、何かしらをやるというと、苦情の伝達をしたとしても、DPFの判断というのが、やはり大きく影響してくるので、まずは、そこと連絡がつくのだからということで、そことまずは話し合いという話になってきてしまっているのではないかと感じています。
あと、やはり一番業界のブランドのルールとしてやっているチャージパックとかも、やはり必ず反証が来てしまっているような状況になるので、あそこは、もう絶対にそういったものには対応しないという話にはなってきているのかと感じております。
○加藤課長 国民生活センターです。
我々も、この決済プラットフォームと、その言い方がいいかどうかというのは置いておきまして、この業態について、なかなかまだ対話がきちんとできていないのが現状です。
海外の事業者もいれば国内の事業者もいて、国内の事業者であれば、これから、なるべくコンタクトを取ってセンターの相談対応を理解していただきたいと思っているところなのです。
イシュアーに言って、苦情連携してくださっているのかどうか、そのBとBの間の流れというのは、私たちからは全然見えないので、してくれているのか、してくれているけれども駄目なのか、全然分からない。
確かに先ほどの御発表にありましたように、決済プラットフォーマーに言ってくださいみたいに言われることもあります。だから言うではないですか、でも言おうと思っても、メールしか対応ない、センターも直接電話したいのだけれども、メールができないところも、まだあったりするので、もどかしさが残る。
それで、決済プラットフォーマーと、そこの契約している悪質な販売店の力関係については、先ほどは、もしかしたらプラットフォームはするのではないかとおっしゃったけれども、もしかしたら逆なのかもしれない。プラットフォーマーは幾つかあるので、そんなにうるさく言うのだったら、ほかに行くよというところもあるかもしれない。そこら辺は、我々も、彼らがどういう考えで、こういうビジネスをやっていて、販売店でのチェックというのはどのようにしているのか、では、何でそこは、我々からすれば何もできないのですかと。例えば、実際あったのは、お客様と販売店との間の契約について、「我々はどうこうすることはできないのです。決済について取消しという権限はないのです」ということを言われることがあるのです。
でも、それは何でなのだろう、どういうお考えで、そういったビジネスをされているのだろうと、そこをもう少し、これから国センとしては対話をしていって、そうではなくて、もちろん真っ当なビジネスの中で、悪質事業者が紛れ込んでいるところが実際にあるのだから、もう少しこういうトラブルについて理解を求めて、排除するために、ぜひ御協力いただきたいという、そういった姿勢で、働きかけを国センとしては、今後していきたいと思っているところです。
○坂東座長 ありがとうございます。
時間は、そろそろ3時になってしまったのですが、そうしたら永沢委員。
○永沢委員 ありがとうございます。
丁寧な御説明をありがとうございました。
私もNACSのメンバーであり、宮園委員とは金融委員会で一緒に活動しております。NACSは相談室を持っておりますので、常々いろいろな相談事例に接しているわけですけれども、先ほど池本先生がもやもやすると表現されていましたが、何がトラブルの原因なのか、そもそもトラブルの実態がよく分からないだけに、私ももやもや感がずっとつきまとっておりましたところ、本日、加藤先生や瀧委員、谷本先生から提示いただいた視点や分析をお聞きして、霧が晴れて全体が見えてきたように思いました。
谷本先生の、消費者側にだけ一方的にリスク負担がさせられていて、本来、ビジネスであるならば、応分に分担すべきものが、適正に分担されていないのではないかというご指摘には、私は、なるほどと思い強く共感いたしました。
また、加藤先生が、大きく2つに分けられるのではないかというご指摘をされましたが、そういう整理の仕方もなるほどと思いました。決済の多様化に伴い消費者周りで起きている諸問題をこれから、消費者周りで活動している以外の方々に対して、問題提起を行い、解決方法を提案し、賛同を呼びかけていくことがこの調査会に期待されていると私は考えていますが、加藤先生のお示しになった整理はとても説得力があり大切な切り口であると思いました。自分たち消費者団体が、幾ら事例を挙げて大変だ、大変だと申し上げても、外の方々にはあまり伝え切れていないと感じておりましたが、本日の調査会で、その点は一歩前進したのかなと思っております。
以上、総論的な意見ですが、最後に、国民生活センター様の資料に関連して、一言申し上げさせていただきたいと思います。
先ほど、12ページの資料について山本先生が解説してくださったので、疑問は相当程度解消したのですが、私は、このデータを最初に拝見したときに、同じようなグラフが並んでいますが、縦軸の件数のスケールが違う、それもかなり違うのではないかと内心思っておったのです。一般的に、この資料だけを見たら、プリペイド式電子マネーや代引き配送は減っていて、問題は解決されつつあると思ってしまうのではないかと思います。
なぜ増えているのか、なぜ減っているのかという背景も知りたいと思います。何よりも、それぞれの分類において被害額の実態の把握は本当に難しいにしても、その深刻度を伝えていくためには、件数や金額の推移は客観的事実として重要な意味を持つと思います。それから、減少傾向にあるのであれば、なぜ減っているのかという分析や考察が必要であろうと思います。実態が深刻であることは、本日の御報告から分かっていただけると思いますが、こういった分析については、国民生活センター様にはもう一段深くやっていただく必要がありますし、特にこれから外に対していろいろ訴えかけていくときには必要なのではないかと思いました。
もう一点、これは加藤先生の御指摘に関係するところですけれども、こうしたトラブルは、特定の悪質事業者と言われる人たちの累積結果なのか、それとも広くその業界に一般的に起こっていることなのか、そういった分析や考察もしていただけたらありがたいなとは思っております。そうした分析が、今後規制改革を求めていく場合には特に必要になろうと思います。
本当に最後になりますが、総務省へ申し入れていく必要があるという黒木先生のご指摘は、目から鱗で本当にそうだと強く共感いたしました。
私からは以上となります。
○坂東座長 ありがとうございます。
時間のこともありますので、お答えをいただくというよりは、先に進めさせていただきます。
柴田委員からお手が挙がっておりますし、それから、葛山委員からも御発言のお申出がありますので、まず、柴田委員にお話をいただいて、それから、葛山委員に一言いただければと思います。
それから、柿沼委員も最後に一言という形で、何とかあと10分以内で締めたいと思っておりますので、御協力よろしくお願いします。
では、柴田委員、お願いします。
○柴田委員 ありがとうございます。
それでは、手短に、私は最後に、宮園委員ですか、御報告いただいたページで、消費者の利益に基づいて参入規制、これがすごく必要なのかなと、今日全体の話を聞いて思っておりました。
決済について、そもそも非常に、いろいろな業者が決済の分野に進出しているという印象を受けています。
その中で、一体誰が、どの主体が鍵となっているのかというのがよく分からない決済手段が増えてきている。ただ、少なくとも消費者と直面するようなところは、きちんと決済の仕組みを把握している必要があると思うのです。その辺り、全体としてどういう決済手段か、あと、消費者が苦情を申し立てるところがはっきりしない、これをきちんとはっきりさせることも必要なのかなと思いました。
今日は、すみません、以上で私のほうは終わります。ありがとうございました。
○坂東座長 ありがとうございます。
すみません、発言を急がせたみたいで申し訳ありません。
それでは、葛山委員、お願いします。
○葛山委員 すみません、時間がないところ、私も現場の人間なので、今日の事例については、本当によく見ているところが多かったのですけれども、弁護士のところに来ないような累計の案件、今日、後払いの話とか、スマホ決済の話とか、新しい類型について御質問をいただいたのですけれども、質問の出ていないところ、1点コメントをしたいところございまして、国民生活センターさんの資料の10ページ、あと、岩澤委員の14ページ、代引きですね。めちゃくちゃ件数があるということがよく分かっていて、海外からの詐欺の通販とかで、今もよく使われるだろうというところ、ここについては、昔からある手法ではあると思うのですけれども、宅急便事業者と発送代行業者と販売事業者と、これは3社出てくると思っておるのですけれども、お話によると、宅急便の代引事業者、ほとんど対応しないという状況があって、発送代行事業者、これは確認できればということなのですけれども、詐欺ばかり扱っているような発送代行業者なのか、それとも一般的な普通の事業も担当しているよう発送代行なのか。
これが、もし仮に分かりやすく違法なところ、これはコメントなのですけれども、放置されている現状があるとすると、代引事業者については、今、何ら規制が、特段多くはないというところの状況の中で、やはり今回の専門調査会の中で取り上げていくべき事例なのではないかなというのが意見として、新しい類型については、もちろんそうなのですけれども、現状被害を生んでいるのであれば、そこはやはり取り上げるべきだというのが意見として申し上げたい点でございます。
幾つかあったのですが、手短にさせていただきました。
○坂東座長 ありがとうございます。本当に申し訳ありません。
それでは、柿沼委員にも、せっかくですので御発言いただければと思います。
○柿沼委員 すみません、オブザーバーなのに申し訳ございません。
同じ商品を買っても、支払い方法によっては被害回復ができる場合と難しい場合があるというのが現状です。
支払い方法に応じて、異なる規制が存在し、そのために消費者が不利益を被っているという実情がございます。
消費者の保護とガバナンスを強化する必要があるのではないかということで、この専門調査委員会が立ち上がったのではないかと思っております。
1点、山本委員に質問なのですけれども、次回に御回答いただければと思うのですが、キャリア決済の上限額について、携帯電話会社によっても上限額がばらばらであり、また、年齢層も基準はなく、ばらばらなのですけれども、特に子供に対して、12歳以下、500円とか2,000円となっていますが、この金額を設定するに当たり、それぞれの携帯電話会社が、どのような基準で、このような金額を設定しているのか、分かれば教えていただきたいです。
次回以降の回答で構いませんので、よろしくお願いいたします。
○坂東座長 山本委員、どうですか、もしコメントがあれば、今の段階で。
○山本委員 確認事項もありますので、次回までに整理させていただきたいと思うのですが。
○坂東座長 分かりました。ありがとうございます。
それでは、時間が参っておるのですが、宮園委員もいろいろな御質問を事実上受けるみたいな形で、ところが御発言をお願いできなくて大変申し訳ないです。一言だけ何かストレス発散しますか。
○宮園委員 また、よろしくお願いいたします。
○坂東座長 分かりました。御協力いただきまして、ありがとうございます。大変申し訳ありません。
それでは、予定時間を10分ほど過ぎましたので、今回の議論は、これで延長線にしたいと思います。決してこれで何かまとまった感じではありませんが、ただ、改めてもやもやしたところの実態みたいなところと、それから、私たちが何をそこから分からなければいけないのかというところについては、大分議論ができたのではないかなと思います。
そうなったのも国民生活センターの加藤課長の御報告、岩澤委員の御報告、宮園委員の御報告のおかげだと思います。大変貴重な御知見をいただきまして、誠にありがとうございました。
≪3.閉会≫
○坂東座長 本日の会議は以上ですが、事務局のほうから何か御案内がありますでしょうか、よろしくお願いします。
○江口企画官 本日は長時間にわたり、ありがとうございました。
次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。
以上です。
○坂東座長 それでは、本日の会議は、これにて閉会とさせていただきます。
お忙しい中お集まりいただきまして、ありがとうございました。また、時間を超過して大変申し訳ありません。
(以上)