第2回 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 議事録

日時

2025年3月10日(月)13:00~15:09

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(専門委員)
【会議室】
坂東座長、池本委員、柿野委員、葛山委員、加藤委員、柴田委員、瀧委員、谷本委員、山本委員
【テレビ会議】
森下座長代理、井上委員、岩澤委員、滝澤委員、宮園委員
(オブザーバー)
【テレビ会議】
黒木委員長代理、柿沼委員
(参考人)
【会議室】
山田茂樹 司法書士
(事務局)
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、江口企画官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    ①山本委員プレゼンテーション及び有識者ヒアリング(山田茂樹司法書士)
    ②意見交換
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1. 開会≫

○坂東座長 本日はお忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございます。ただいまから、消費者委員会第2回「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を開催いたします。

本日、会議に御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。本日は、池本委員、柿野委員、葛山委員、加藤委員、柴田委員、瀧委員、谷本委員、山本委員及び私、坂東が会議室で、森下座長代理、井上委員、岩澤委員、滝澤委員、宮園委員はテレビ会議システムで御出席いただいています。永沢委員は所要により御欠席という連絡をいただいています。

また、消費者委員会からオブザーバーとして、本日は鹿野委員長、黒木委員長代理、柿沼委員はテレビ会議システムにおいて御出席をいただくことと聞いております。なお、大澤委員、星野委員は御欠席という連絡をいただいております。

それでは、本日の会議の進め方について、事務局より御説明をお願いします。

○江口企画官 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

それでは、本日の会議の進め方について、事務局より御説明をお願いします。

○江口企画官 議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし不足等がございましたら、事務局までお知らせください。

本日、テレビ会議システムを活用して進行いたします。一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。議事録につきましては、後日公開いたしますが、議事録が掲載されるまでの間は本日の会議の模様をホームページにて配信いたします。

以上でございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

≪2. 山本委員プレゼンテーション及び有識者ヒアリング(山田茂樹司法書士)≫

○坂東座長 それでは、第1回の専門調査会に続きまして、多様化する支払手段と法規制に対する現状の整理について議論を始めたいと思います。本日は山本委員、それから司法書士の山田茂樹先生の順で御発表をいただくこととなっております。先生方、大変立派な資料をお作りいただいて大変恐縮なのですが、お二人とも30分をめどにそれぞれ御報告をいただければと思います。

それでは、山本委員からよろしくお願いします。

○山本専門委員 それでは、私、山本より、今日の最初の解説をさせていただきます。

前回の資料の途中を画面に共有しております。14番、15番辺りのスライド番号から説明を開始させていただきたいと思います。若干時間の都合で前回の解説よりも少しスピードが速い感じになるかと思いますので、御承知おきいただければと思います。また、広げる幅と深さに関しましては、私のほうで判断をさせていただき今回の趣旨に多少絞っておりますことも御了承いただければと思います。

早速でございますが、まず今日の御説明のところからですけれども、支払手段ごとの仕組みや資金の流れの御説明と、事業者の役割を支払手段との兼ね合いで見ていくということが中心になりますが、もう一つ、最後にデータの関係で言いますと、消費者がどういう対価を払っているか、あるいはどういう情報がどこを通っているか、概略的に御説明する御用意をしております。

早速でございますが、今、既に画面に表示しておりますページはざっと行くだけなのですけれども、国際カード、これは前回も少し触れたかと思います。いわゆるVISA、MasterCardなどの従来はクレジットカードと呼んでいたものの方式がクレジットだけではなくデビット、プリペイド方式もありますよということで「国際カード」と呼んでおりますという御説明をさせていただきましたが、こんな感じで絵にありますように、店舗で利用する場合はICチップを使ってガッチャンと差す、あるいはタッチをする。右側のインターネットではカード番号等を入れる、その後、セキュリティーコードという裏側、あるいは券面の表にある3桁あるいは4桁の数字を入れる場合もあれば、最近はカード会社が行う認証が2段階的な認証になっていて、あれ、終わったのかなと思ったら送られたコードを入れてくださいと言われるものも増えていると思います。これは右側のカード会社による認証を行っている。これは割とカード会社が導入の努力をして加盟店などでも導入が進んでいる認証サービスというものでございまして、これがあるのとないのとでは大きな違いがあります。ないもの、つまりセキュリティーコード、あるいは番号だけで支払いが済んでしまうものというのは、クレジットカード会社などのイシュアー、発行会社から見ると本人確認ができていないめくら判の取引であるのに対して、最近は認証サービスというのが行われると、カード会社がちゃんと伝聞を受けて本人であるという確認をしているという点で大きな違いがありまして、セキュリティー対策が大分進んできた結果、一番右側のような方式も増えていますという感じでございます。

あとは、タッチ決済というのが割と増えてきていて、この位置づけなのですが、まずカードそのものにタッチ決済の機能がついております。これはVISA、MasterCardなどの仕組みを提供している会社が義務づけておりますことから、恐らく今後、全てのカードにガッチャンと差すものとタッチするものがつく。さらにタッチするものに関しては、その機能をそのままiPhoneやAndroidなどのスマートフォンのウォレットに登録して使うこともできる、同じくタッチ決済という関係になってきていると思います。

使い方のところはそれぐらいにしまして、次に、国際カードを担う事業者を簡単に整理した図がこちらでございます。右下のカードの利用者が直接カード会社に申し込んでカードを取得しますので、そのカード会社というのは右上のイシュアー、発行する会社という意味でイシュアーと呼んで整理をしています。それに対して左側にアクワイアラー、決済代行会社、加盟店という固まりがございますけれども、先週の御説明では、要するにアクワイアラー、決済代行会社というのは決済を仲介している事業者に当たり、加盟店は販売者に当たるという関係がございまして、この国際カードではイシュアー、つまりカードを発行している側と、あとは加盟店の取引を取り次いでいる、あるいは担っている側、この絵では左側、そこにまた断絶があるということになる。断絶というと大げさですけれども、そこをVISA、MasterCardなどの国際ブランド会社などと呼ばれている事業者が接続をしているという関係が成り立っております。

それぞれ説明書きが次のスライドにありまして、これは資料としてとどめ置いておきまして、参照していただければと思っております。

取引の流れでございますが、これは特に国際カードの流れなのですが、2段階に分けて理解するのがいいと思います。まず、こちらのページにあります第1段階、20番のスライドですけれども、これはカードの決済を承認する流れ、誰がカード決済を行って誰がそれを承認するのかということです。まず販売者の加盟店がこのカードでこの取引を行っていいですかということをイシュアーのカード会社に送って承認を得るというのが左から上のほうにかかっている往復の矢印で、承認の手続、オーソリゼーションなどと呼ばれています。

それが終わった後で商品・サービスを提供し、その後で②の四角の中にある矢印が走るのですけれども、加盟店からの代金を請求する、要は請求行為、売上げデータと呼ぶ人もいますけれども、それが行われるという2ステップ。さらに、ここまでではお金が流れずに、それを受けて、前回お話をしました、特にBのキャッシュレス決済を担う事業者間の相互でのお金の流れが始まります。つまり、イシュアー、カードを発行した会社から、中間事業者であるアクワイアラーや決済代行会社などを通して加盟店に対してBの脈で流れる。それはタイミングとしてはアクワイアラーや決済代行会社が加盟店、販売者と月に何回払いましょうか、1回にしますか、2回にしますかという契約をしておりますので、そのタイミングで払われる。

それと別に、カード利用者とイシュアーの間では、クレジットカードであれば翌月にまとめて請求が来るので払う、デビットカードであれば、利用した時点で一旦口座から引き落としてあるので、その資金をイシュアーがBの流れに持っていくということになります。プリペイドの場合は事前にチャージされていたのでAが先に起こる。ここでもそういうAとBの分断が起こっているという関係があるというのが国際カードの特徴で、ちょっと複雑だということも言えるかと思います。この辺は突っ込みどころがいっぱいあるのですが、今日のところの解説は総論のところで、少し抑制させていただきたいと思っております。

一旦、国際カードの取引の御説明はこれまでにしまして、同じ後払いの中でもコンビニで支払うもの、最近よくこれが聞かれるようになりましたので、どんな使われ方をしているのかというところを少し御説明したいと思います。

まず、よくコンビニ後払いなどと呼ばれているものは、利用シーンがインターネットでの決済に限定されています。例外はあるかもしれませんがという前提になりますが、スマホなどから非対面で決済されて、場面としてはスマホ、インターネットに限定されているということです。取引時の支払いというのは消費者、利用者が支払いの画面で後払い決済を選択します。その際に、ここからは事業者によっても違うかもしれませんが、おおむね共通項を言いますと、住所、氏名、電話番号などの個人情報を入力し、審査を受けることになっています。ただ、審査というのは通常即時に結果が返ってきて、駄目だったら駄目だと、オーケーだったらオーケーとなるので、オーケーの場合には取引が成立して商品が発送されたりするということになります。代金の支払いは、それとは別にその際に発行される請求書、あるいは請求番号などが送られてきますので、それをコンビニエンスストアに持っていって現金で払うということになっている。これが一般的なよくあるコンビニ後払いの流れです。

少しだけ問題提起の示唆的なところではあるのですが、インターネットで販売するときに消費者が一番何を使うかといえば、間違いなくVISAカード、MasterCardなどの国際カードなわけですね。ところが、最近、この後払い決済に対応する事業者の中に、要は国際カードの扱いがなくてコンビニ払いや銀行口座で払うことだけを認めているような事業者も存在してきていることが事実として確認されております。そこの裏に、恐らく国際カードの扱いが認められなかったような事業者がこの後払い決済で資金を得ているのを示唆するような現象も起こっていると思います。

あと、資金の流れは比較的シンプルでございまして、さっき御説明した流れが外側の矢印なのですが、そこは省略させていただきまして、内側の資金の流れというのが当然おりまして、後払い決済会社は通常、国際カードなどと同じように月に1回なのか、週に1回なのか、月に2回なのか、定められた期日までにまとまった代金を払っている。それに対して、申し訳ありません、「カード利用者」は「消費者」に訂正で、クレジットカードとはちょっと違うので「消費者」ということになりますが、消費者は、コンビニエンスストアにはおおむね1か月後ぐらいに設定された期限までの間にいつか行けるときに行って支払うということですので、ここもAとBは分断されているということになります。これが後払いでございます。

次に、利用シーンの説明は省いておりますが、似たような後払いでキャリア決済も最近は普及が進んでおりまして、キャリア決済の利用場面というのは原則コンテンツ、要はアプリ、あとはそれで課金するようなときの支払いというのが前提だったのですけれども、最近はキャリア決済も決済代行会社などの仲介事業者を介して普通の物販などでも利用できるようになっているという点と、あとはこのお金の流れとは別に、キャリア決済の場合は通信料、通話料とコンテンツ利用料を合わせて通話料の支払いと同時に支払うという契約をもって払っているという特徴がございます。これも参考として後払いのところに加えさせていただきました。

最後にといいますか、後払いの最後といいますか、24番のスライドにクレジット等後払い、ここはもう国際カードなどから外れているのですが、要は後払い全体の整理をしますと、このブロック図は後で見ていただくという意味で参考としていただいて、ここで御説明したい点は、クレジットカードの場合と真ん中の後払い決済の場合、右側のキャリア決済の場合で、あえて後払いの支払いを認めることを与信だというならば、その与信の仕方が違うというその仕方を区別しているためにこの3つを書いております。

クレジットカードは御存知のとおり、入会なり最初にカードの利用を始める際に包括的に与信枠というのが消費者に与えられる、つまり最初に一回審査する。あとの利用は確認をするだけであるということです。

それに対して、本題から少しずれるのですが、ショッピングクレジットといっている分割払い、個別信用購入あっせんといっているものは、基本的には使うごとにその金額を何回で払うかということの承認を得て、そこが与信になるということで、実は後払い決済なども包括的ではなく個別的に与信を与えているというふうに実務的には見えております。

右側のキャリア決済でございますが、こちらは利用者に対しては包括的に枠を与えているという認識をしております。この個別的なのか包括的なのかという違いが後払いの中でも生じておりますので、法制度の分類などをどこに当てはめるかという際のヒントになるのかもしれないと思い、分類させていただきました。

次は同じことを一覧表示にしておりますが、ここはざっと、クレジットカードは初期に包括的に審査、ショッピングクレジットは支払いの都度個別に審査、後払い決済は支払いの都度個別に審査、ただし、後払い決済の場合は分割という設定をしていないので1回で支払いが済むようになっている。キャリア決済も同様で、まず審査としては初期に包括的に審査をしているけれども、利用はおおむね1か月以内に支払いが生じるようになっている。

それを特に割賦販売法の規定の有無で整理しますと、一番上のクレジットカードの一括払いは規定されていない。それに対して2か月以上経過するリボ払い等はされているという見方をしまして、ここでは規定されていないものというのが課題かという意味で御指摘申し上げますと、後払い決済で1か月以内に支払われるもの、あと、キャリア決済などは規定がない支払手段と言えるのではないか。規定のない与信的な行為とみなすどうかはあれですが、そのように見えております。

もう一つ大事な点は、これまではどちらかというと利用者を承認するというか、与信をするというところに若干フォーカスを当てた御説明になりましたが、もう一つ重要な点として、これは前回の議論の中でも御指摘がありましたように、販売する業者をどのように審査するのかというか、管理するのかというポイントで、そういった視点も必要でございまして、そこで申し上げますと、加盟店の調査という概念があるわけです。これはクレジットカードなどではといいますか、国際カードなのですが、特に制度上はクレジットカード取引のクレジットカード番号等取扱契約締結事業者という属性の事業者には求められていることの一部ですが、初期にどう調査するか、加盟店の資質や経営者属性、商材、販売方法などを見て審査をし、加盟店として認めるかどうかをチェックしている。あとは、途上というのは加盟店という地位を維持している過程で取引をずっと見続けるモニタリングを適度な頻度で行う。さらに、外部情報などから問題がないかを見る。

それがモニタリングや調査の仕方で、もう一つ大事なのは対処でございまして、対処とは何かというと、一番典型的な対処というのは加盟店に対し支払いを停止するということで、停止をしなくてもした場合でもどちらでも加盟店を指導する、あるいは最大級になると加盟店契約を解除するなどといったことを組織の中できちんとやる。

これは割賦販売法の規制を受ける事業者であれば、経済産業省が登録時にどういう調査内容なのかということをチェックしていることと、あとは立入検査などで実効的に行われているかどうかがチェックされるわけです。それに対して後払い決済やキャリア決済などはそういう規制、規定がないために、任意に行っているという違いがあるということが言えると思います。加盟店に関しては以上です。

あと、コード決済はあくまで参考として載せておりますので、触れる点としては、コード決済には実は送金機能が備わっていて、それが犯罪などへの悪用で資金をだまし取るときに使われているような傾向が見られる点ぐらいかと思います。ここも次回などに事例などでもしかしたら国民生活センターさんの発表等でそういったヒントがあるかもしれません。制度上の枠組みの当てはめも3から4パターンぐらいございますので、これは参考として資料のみ御提示させていただきます。

次に、若干時間が押しておりますので事業者の整理に進めさせていただきたいと思います。まず、2つに分けていきますが、最初にキャッシュレス決済の関連事業者と、あとはそうでない送金や収納という事業者の2段階に分けて御説明をしますが、まずキャッシュレス決済の関連事業者のほうは、左側に支払手段、その隣の真ん中に事業者、それと一番右に主な役割とあって、国際カードを担う事業者というのが、イシュアーはカードを発行する会社と申し上げましたけれども、クレジットカードを発行する場合には当然与信をするということになります。国際カードの会社、クレジットカード会社などはよくアクワイアラー属性とイシュアーという属性の両方の機能を同時に併せ持っているところが多いということになります。イシュアー、アクワイアラーは、以前はクレジットカード会社に限定されていたのですが、最近ではデビットカードを発行するのに銀行がイシュアーになる場合、ブランドでプリペイドを発行するプリペイド会社がイシュアーになる場合も増えているということと同時に、アクワイアラー側でも、日本国内でもクレジットカード会社だけではなく銀行がアクワイアラーを行う例も見られるようになってきております。

次に、後払い決済会社はシンプルに後払い決済会社が利用者との契約と加盟店との契約を担う関係です。キャリア決済は通信会社が全て担う、コード決済はコード決済の会社が担うというところはシンプルなのですが、ただ、その下の枠の「支払手段共通」というところの中に決済代行会社、あるいは加盟店・販売者と販売プラットフォームなどが存在しております。特に決済代行会社というのは様々な支払手段をまとめて面倒を見るという位置づけですので、国際カードだけ、あるいはキャリア決済だけという選び方ではなく、上にある複数の支払手段の例えば全てを担うという形態も多く生まれてきています。

あともう一つ特徴的なのが「販売プラットフォーム」と呼ばれるもので、別の法律では「デジタルプラットフォーム」、あるいは「取引デジタルプラットフォーム」などと呼ばれる制度があるかと思いますけれども、コンテンツなどを販売するプラットフォームを持ちながら、実は決済も仲介する立場にあるという機能を持つ事業者も増えてきています。スマホのプラットフォーム、インターネット大手のサイトなどはこれに当たる場合があるということでございます。

めくって次のページなのですが、これは今後の議論の種として、網のかかった部分は現状何らかの形で規制を受けるもので、網というか白い網のアクワイアラーのところも実は規制は受けておりますが、当初、網のかかった部分は実務的に相談員さんなどが交渉相手にしているというところで網をかけているつもりなのですが、ちょっとその趣旨が少しぶれておりまして申し訳ありません。この赤い反転の右のほうに示しているところというのが、具体的に例えば苦情処理に関する規定がある、あるいは加盟店調査に関する規定があるなどの、要は何らかの法律に規定がある。割賦販売法、あるいは資金決済法がそれに当たります。それで見て分かるとおり、後払い決済とキャリア決済というのは全く規制を受けないということが明らかなわけでございます。

次が集金・収納でございまして、実は集金・収納というのは近年すごくサービスの幅を広げています。特に収納代行と呼ばれたものがここに示させていただいただけでも3種類ぐらい発生してきている。最初は従来型という主に公金等をコンビニ払いで収納するような事業者、あるいは銀行口座の引き落としなどを取り次ぐような事業者といったものが従来の収納代行会社でございました。

ただ、収納代行とは何かという厳密な定義がないので、一般的にそう言われているという整理にとどまるのですが、それが最近は拡大してきたものがありまして、拡大型の収納代行会社、要は自ら収納代行会社と言っていながら、実は収納・集金と言いながら国際カード、クレジット、デビット、プリペイドなどで代金を利用者から徴収して請求した人に対して支払うような方式の収納代行も増えてきております。

あとは、誰から誰に収納を行うか、誰に集金をする、誰に収納をするかというところがBtoBの方式の収納代行会社、これは仕入れに使うような目的なのですが、仕入業者から購入する事業者の間でその収納代行業務を行うような事業者も現れています。

さらに、それとは少し別で、先ほど少し触れたプラットフォーム的なものとしまして、モバイル・インターネットマーケットプレイスに付随する決済サービスが、決済の部分だけをいろいろな利用者に提供しているケースというのが見受けられるわけです。AmazonというプラットフォームでいえばAmazonPayというものがあり、あとはそれの専業であるStripeという事業者もあり、そういったものも増えてきていて、事業者自身は彼らの主張としてそれらは収納であると言うことが多いと認識しています。

あと、送金や為替等も、実は送金業者というのは資金移動業なのですけれども、最近増えているのが、プリペイド事業者が残高を相手に譲渡する形の残高譲渡型の送金というのも行われているということでございます。

次のページは、規制がある部分に網をかけております。何が規制を受けるかを失念して書き忘れておりますが、モバイル・インターネットプレイスに付随する決済サービスは、大元の事業者はDPF、いわゆる取引デジタルプラットフォームに当てはまる場合にはその規制を受ける可能性があるということと、送金事業者及びプリペイド事業者は資金決済法の規制を受けるということになるかと思います。ここは割と雑な整理で恐縮でございますが、全体像ということで御了承いただきたいと思います。

もう一つ、幾つか御質問も多かった点で、決済代行会社と収納代行会社の違いです。これはもともとは全然違って、収納代行会社は集金のみに限定していたものでございます。それに対して決済代行会社は、左側の絵にありますように、いわゆる加盟店となるたな子を抱える、下に店子(たなこ)を持っていくという機能ですので、加盟店になる店子の事業者から見ると決済機能が提供されるという点が特徴になります。つまり、決済機能の提供を受けて、店子が加盟店としてカード決済などでその決済代行会社が提供する支払手段で代金を得て商売を行うという設定になるかと思います。

これは昔からあまり変わらないと思うのですが、他方で、右側の収納代行会社と自ら呼んでいる、あるいはカード会社の人たちがよく呼ぶ定義としては、あくまで加盟店という属性は持たずに利用する事業者がいて、その事業者が集金してほしい、収納してほしいということが発生したときに収納代行会社に依頼をする。もちろん包括的に最初にそういう依頼を受けることを申し込んでおくということで、都度そういう請求をすると、それに伴い資金を払ってくれる、要は利用者から資金を回収して集めてくれる。回収という言い方は良くないと思うのですが、払われた資金をそのまま納める。

収納代行会社で共通しているのは、支払者である購入者なり消費者が代金を払わなかったときにどうなるかというところがありまして、多くの場合、代金が払われないものは収納をしないという原則がもともとはございました。ただ、最近はその枠を超えて、例えばクレジットカード、デビットカードなどの国際カードで収納をするような事業者も現れておりますので、そういった事業者になると、代金というのは自動的に払われますので、消費者が払った・払わないにかかわらず収納が行われるということになります。

そういう御説明をしていきますと、実は収納代行というのは当初は全然違ったのだけれども、決済代行に限りなく近づいているという表現もできるのではないかと考えています。もちろんやり方によってそこは違ってくるということかと思いますが、ただ、これも厳密に誰かが定義したものではないので、これは実態からそうなっているということを御説明申し上げたのですけれども、制度根拠的に収納代行がこうであるというエビデンスというのは、事実からそう言えますということであるということも御承知おきいただければと思います。

以上までが大まかな事業者の役割まででございまして、最後に、少し時間が超過しており申し訳ございませんが、ここは少しテーマの異なるデータや消費者の負担に関して総論的なところをまずまとめさせていただきました。あくまで総論ですので、これを議論の一つの種にできればと考えております。ここは時間かからずに終わります。

まず前提としてよく言われるのが、決済サービス、決済システムにかかる費用を誰が維持し、維持されているそのシステムを結果的に誰が負担していることになっているのか。もちろんクレジットカード会社や決済システムを運営する会社、あるいは仲介する会社は一定の資金をそこに投入しているわけでございますけれども、当然商売ですので、収益を得てそこから捻出していくということになるわけです。

そうしますと、まず一番肝心なのが、ここに書いております①の販売者から得る決済手数料というのがあらゆる資金の原資になっているということなのですね。これは条件や支払い手段によって異なりますが、加盟店手数料がおおむね0.8パーセントぐらいから3.5パーセント、昔はもっと高いところもありましたが、この範囲で最終的に販売者からキャッシュレス決済のシステムの運営会社に流れていく。そこから消費者に向けては、カード会社などのキャッシュレス決済運営会社から消費者に対して実は平均すると0.5パーセント、多いところでは1パーセント程度のポイントなどの形で還元されていくという流れがございます。

ここは実は欧米などと真逆になっている関係だという点も付け加えておきたいと思います。どういうことかといいますと欧米は例えばクレジットカードに関して言えば100パーセントリボ払いしか選べないということから、その手数料は消費者側が負担しておりまして、アメリカやイギリスなどは20パーセントを超える手数料を負担しておりますので、その負担分が結局決済システムの費用を賄っているような形に結果的になっているという側面がございます。もちろん海外でも消費者が負担しないデビットカードなどの存在もある中での話ではあります。

日本は、消費者は原則としてそこは負担しないでいいとことになっており、もちろんリボ払いを使う人も年会費を払う人もいるのですけれども、十分それが支えになっているかというと、そこまでは言えない状態であるということが前提にございます。

次に、データの流れでございますが、まず当然のことながら、カードを申し込んだ時点で個人情報というのはカード会社やキャッシュレス決済の運営会社に取得されているわけですけれども、それともう一つ、販売したときに販売者はこのお客さんがどういうものを買っているかという情報というのがたくさんそこに存在するわけですが、断絶がありまして、販売者とキャッシュレス決済システムの間で相互に消費者の個人情報、あるいは販売者の販売情報が交わされることはまずないのですね。ただ、例外は販売者とキャッシュレス運営会社が同一グループ会社内などで賄われている場合には、そういうことも一部にはあるという整理になっております。

決済データなのですが、実は一般の方が想像するよりも非常に原始的なものしかなくて、ここに書いているように、例えば基本的には決済日時と決済金額と、付加的に対面取引なのか非対面取引なのかみたいな属性の情報と、販売者の業種・業態を示すコードであったり、その他の情報などが非常に短い伝聞でカード会社などに送られております。電子マネーなどはさらに少なかったり、あるいは国際カードでもこれぐらいのデータというのが販売者からキャッシュレス決済システムを通じて最終的にキャッシュレス決済の運営会社、カード会社などに送られております。

ここでも結局販売者とキャッシュレス決済システムの間というのは一定の情報の断絶というのがあるので、少ない決済情報と、実際の販売情報というのは販売店のPOSシステムなどに集積されますけれども、そこが一緒くたになるリスクというのは今のところそんなにはないのかもしれないなと思っているのですけれども、そこら辺は消費者からするとどこかに情報を取られているのではないかという疑念を持ちかねない部分にはなるのではないかと思っております。

最後にまとめなのですが、消費者が受ける影響というか、決済データと個人情報について、まず左側に決済関連のデータとして、決済が行われたことによってそれに関連するデータという意味で言いますと、キャッシュレス決済事業者が取得し得るのは、もちろんクレジットの場合は消費者の信用情報などを持っておりますし、消費者がどこで買っているかみたいな情報は当然カード会社が持っているわけですね。ところが、カード会社などのキャッシュレス決済提供事業者は実際に何を買ったのか、あるいは特定の店でその人がどれだけ買っているのかという情報はほぼ入手できない状況にある。

それに対して販売者のほうは、消費者の当該店における詳細な消費利用動向などは、特にアカウント設定がなされるインターネットショップなどでは詳細に分かるわけですが、一方で、利用者が他のお店で使った動向や信用情報などは取得することができないという先ほどの断絶がある。

それを受けて、消費者にどういう影響があるのかなと考えると、消費者がちゃんと認識しておいたほうがいいと思われる事実として、同一グループ企業間での情報共有がなされる可能性があるということ。ただ、これも当然了解を得ていますので、消費者は注意して見ているとどこかでそれを「了解します」とやっているわけですけれども、インターネットショップとインターネットショップ系列のカード会社、電子マネー会社、あるいは通信事業者と通信事業者が運営する販売サイトなどの間では、誰かしらが情報を俯瞰的に見ている可能性があるということですが、絶対にそうとは言い切れないです。

あともう一つは、これも消費者の合意が前提にはなっていますが、消費者の情報が特定事業者に開示されている場合があります。例えば販売店に対する開示であったり、保険会社に対する開示であったり、その結果、知らない会社から何か案内が来るということは、カード会社などの個人情報を持っているところは一応消費者の了解を得て提供していますので、そういうことが起こる。

あとは、信用情報に関しては、クレジットカードの場合は個人信用情報機関に登録された信用情報というのが、消費者が契約していないと思っていたほかのクレジットカード会社からもそこを照会することができるようになっているという点です。

ただ、この辺をどう捉えるかというのは別なのですが、海外と日本で何か対価を払ってそういう消費者の情報を出してしまっているかみたいな議論がもしあるかといえば、これは私の個人的な見解になってしまうかもしれませんが、諸外国は特にリボの高い金利を払った上で個人情報を提供していて、日本はそこを負担しないで提供しているというところを単純に比較すると、実は日本のキャッシュレス決済の消費者というのは、比較的情報に関しては保護されているとは言わないのですけれども、何か対価を払うことなく、むしろカード会社からポイントなどをもらう立場にあるというところは指摘ができるのだろうという意味では、実は経済条件的に見るとキャッシュレス決済の利用に対しては日本の消費者のほうが特に欧米などと比べると恵まれているというのは事実かなと考えております。

すみません、10分の超過をしてしまったのですが、私の御説明は以上で、次は山田先生に引き継ぎたいと思います。ありがとうございました。

○坂東座長 山本委員、ありがとうございました。

そうしましたら、引き続き山田先生からの御報告をお願いします。

○山田司法書士 御紹介いただきました、司法書士の山田です。よろしくお願いいたします。画面に従いながら進めていきたいと思います。よろしくお願いいたします。

時間の関係もありまして、山本先生から御紹介いただいているところと重複するところについては基本的に省略をさせていただきまして進めていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

最初に、スライドの1枚目でございます。今日の私の報告の内容のあらましを書いてあります。1番目のキャッシュレス支払手段と法律等の適用関係の概要につきましては表にまとめてありますので、説明は全部割愛させていただいて、おおむねこんな形になっていますよという概観をつかんでいただければと思っております。

2枚目の複数の支払手段の重層的利用と横断的なサービスの提供の点ですが、こちらにつきましては、前回、加藤委員から御指摘がありました、複数の支払手段の組合せをすることによって規制されるべきものが規制されなくなるという御指摘の代表例がまさにこの重層的利用の場面だと思いますので、若干実例を踏まえて御紹介させていただきたいと思っております。

3以降からは個別の支払手段ごとに法律の当てはめ等について簡単に整理してあります。とりわけ3番目の後払い決済のところにつきましては、実際の消費生活相談の現場でも相談の事例が多いということも聞いておりますので、法律の適用関係、取引類型といったほかの決済・支払手段のところでも共通して取り上げてる項目に加え、典型的なユーザー・インターフェースの点でありますとか、りますが、主な規約の内容や特徴についても言及する予定です。

では、早速中身に入っていきたいと思います。先ほど申し上げたとおりでございまして、Ⅰの「キャッシュレス支払手段と法律等の適用関係の概要」の部分につきましては、割愛いたします。

そこで、今日の私の説明は9ページのⅡ「複数の支払手段の重層的利用・横断的なサービスの提供」というところから始めさせていただきます。

では、スライドの10枚目を御覧ください。まず、法律等の適用関係ということになりますけれども、重層的適用関係の場面の代表例ということで、1ページ進んでいただいて11ページをごらんください。これは先ほどの山本先生の説明の中でいうところのブランドプリペイドのケースを図示してあるものになりますが、真ん中を見ていただきますと電子マネー発行業者がいまして、この電子マネーのチャージ方法については、後払い決済でチャージをする方法とクレジットカードでチャージする方法といった2種類がございます。

問題は、販売業者との商品の売買契約等でトラブルが起きてしまった、商品が届かなかった、商品に瑕疵があった、あるいは詐欺的な勧誘によって買わされてしまったといったトラブルがあったときに、当該利用者は、吹き出しに書いてありますけれども、そういう理由をもって各種支払手段に関する支払いはどうなるのか。当該トラブルがあったので後払い決済事業者に対しては払わなくていいと言えるのか、あるいはクレジット会社に対して支払いを拒むことができるのかという問題が生じてくるというところがまず1つ目の重層的利用の場面の典型例として挙げられるかと思います。

それからもう一つが、次のページに行っていただいて、横断的な利用の場面、ビジネスの展開ということになりますけれども、例えば占いサイトやサクラサイト等、実際の消費生活相談の現場等でもかいま見られる一つの決済代行業者が複数の支払手段の提供をしているという場面についてです。例えばこのケースで言いますと、サイト内のポイントを購入する手段として前払い式支払手段でも購入することができます、クレジットカードでも購入することができますとなったときに、同じ決済代行業者でありながら、クレジットの部分に関しては、海外のアクワイアラーという事案を前提としますと、この場合の決済代行業者は多くの場合は割販法上の「クレジット番号等取扱契約締結事業者」に該当するということになり、その結果、割販法に基づく加盟店調査措置義務を負うという位置づけになってきます。

他方で、これを電子マネーの場面で見てみますと、資金決済法上はこの決済代行業者そのものについて何かを規律するものはない状態ということになってしまいます。こうした背景からか、全てとは言いませんけれども、事業者によってはクレジットカードについては積極的に返金処理等に応じるけれども、電子マネーについては知りませんと、当事者間で解決してくださいといわれるケースもあると聞いております。

次は、13ページ目から後払い決済について触れていきたいと思います。まず、14ページ目は山本先生の図と同じものですのでそのまま飛ばしまして、15枚目の法律の適用関係について見てまいります。ここで後払い決済と申し上げておりますが、これは山本先生から前回・今回の説明にもありましたとおり、後払い決済事業者の提供しているサービスの中では支払期限を2か月超とするサービスを提供している場合もあり、こうした場合は当然ながら割賦販売法の対象になるわけでありまして、ここで言っているのはおおむね支払期限が2週間程度といた、支払期を2ヶ月以内とし、金額も少額というものを前提にお話をしております。

基本的な整理でありますけれども、今、言ったような種類の契約については、割販法の対象にもなりませんし、資金決済法、貸金業法等のいずれの対象事業にも当てはまらないという先ほどの山本先生の整理のとおりということになります。

ただ、例外はないかというと、ないわけではありませんということでありまして、あくまでも調べた限りですが、東京都消費者被害救済委員会の若干古いあっせんの事例ではありますが、同ケースは、経済産業省が個別信用購入あっせんに該当するかどうかというところでいわゆる密接牽連性の考え方というものを挙げておりますけれども、ここに当てはまる限りにおいてはいわゆる形式上は後払い決済ということで、割販法の対象にならないということであったとしても、実質から見て個別信用購入あっせんに該当する可能性はあるといった解釈自体が示された例となります。

では、スライドの16枚目にいきます。続きまして、当事者間の法律関係について見てまいりたいと思いますけれども、これはいろいろ規約などを見ていきますと、まずは、支払手段の法的性質につきましては、まず17枚目の債権譲渡型構成があります。これは特徴としては、ここにも書いてありますが、債権の同一性を保持している状態のままといった話になるわけであります。それから、次の18枚目に参りまして立替払い型というものがありまして、これも御案内のとおりだと思いますけれども、債権譲渡型とは異なりまして別債権が立っているという状態になっているということであります。

では、16枚目にもう一度戻っていただきたいと思います。こういう形でありまして、債権譲渡型と立替払い型というのに分かれているところでありますけれども、2番目の利用者/後払い決済会社間の関係というところをいろいろ見てまいりますと、債権譲渡型については契約関係が消費者と後払い決済業者の間になくても成立してしまいますので、実際のサービスを調べていきますと、もともと規約などの契約関係を前提としないモデルというものも債権譲渡型についてはあります。この場合は、例えば、後払い決済業者のウェブサイトに例えば注意事項や御留意いただきたい点という形で表示されているというケースがあるということになります。

3つ目ですけれども、販売業者と後払い決済会社間でありますが、これはいわゆる加盟店契約が結ばれているということになります。幾つか公表されているものもありますが、おおむね公表されていないということもありますので、私の調査には限界があるということでご容赦いただきたいと思います。必要に応じて山本先生から補足もいただきたいところですけれども、加盟店契約の具体的な内容につきましては、ここに書いてあるような経産省の「クレジットカード番号等取扱契約締結事業者の申請等について」とそれに関連するチェックシートや、日本後払い決済サービス協会の「加盟店審査に係る自主ルール」あたりのものを恐らく参照にして、個々の事業者において内容を定めているのではないかなと思われます。

では、スライドが22枚目まで飛びます。今度は少し視点を変えまして、ユーザー・インターフェースのところについて見てまいりたいと思います。これは幾つかの実際の後払い決済に関連するウェブサイトなどの画面遷移を参考にしつつ、適宜私のほうでイメージして作ったものとなります。

見ていただきますと、まずショッピングサイト上で後払い決済事業者のサービスが選択肢の中にあります。これを選択していただきますと、2番目のところですけれども、メールアドレスや携帯電話番号等の所定の情報を入力して注文をします。この際に、この画面でもリンクの青いアンダーラインが入っていますけれども、利用規約やプライバシーポリシーについてはここをタップしていただくと後払い決済業者のウェブサイトに飛びまして利用規約等を見ることができるという仕組みになっているものが多いと思われます。最終的に注文完了画面に行きまして、後日、商品が届きましたら請求書が送付されますので、それに応じてコンビニ等でお支払いをしていただくというのが典型的な後払い決済のユーザー・インターフェースということになるわけであります。

では、次のページに参りまして、その規約などには一体どういうことが書かれているのかなということを見ていきたいと思います。なお、本報告について念のために申し上げますと、本来であれば、可能な限りすべての後払い決済事業者の規約や注意事項を仔細に調査したいところですが、本日の報告に際してということになりますと、物理的にも限界がありましたので、適宜インターネット上で入手できる規約や注意事項ということで、規約として4種類、注意事項として3種類を拾ってきまして、この7つのものをこちらで整理したところであります。今後、もしまた必要に応じてここを深掘りするということであれば、対象範囲を広げたうえで精緻に調査をしてという形は考えておりますが、今日は入り口部分ということで御了承いただければと思います。

おおむね主な構成というところで、規約に本当に入っているなというのは大体こういった項目でありまして、具体的なところで4点ほど見てまいりたいと思います。

1点目が、役務の内容・債権譲渡等の承諾・立替払いの申込みというものでありまして、例えばAサービスの規約というのを見ていただくと、法律上、債権譲渡なのか立替払い型なのかというのは非常に大きな違いが本来あるはずではあるのですが、実際の規約を読んでみると、Aにあるように、消費者側が見る利用規約上においては債権譲渡または立替払いのいずれもあり得ますよと書いてあって、実際どちらなのかというのが一読しただけでは分からないというケースも存在します。この点につきましては、個人的には気になるところです。

それから、次の24枚目に行きまして、複数の規約でみられましたが、抗弁の放棄の条項が入っていました。これを見ますと昭和59年の割販法改正前のときのクレジット契約の抗弁切断条項の時代を思い起こすようではあるわけですけれども、標準装備で債権譲渡型についてはこういった規律が存在しているケースがあるかなという印象を持ちました。一つ例としてAサービスの規約を見てみますと、加盟店に対して保有する一切の抗弁を放棄するものとしますというものが入っております。

他方で、いろいろ調べていくと、いわゆる加盟店規約にあたるのですが、立替払い型のサービスの規約を読んでみると、免責という規定がある中で後払い決済業者側が支払いを免れることができる例外規定を設けていて、例えばその事由には販売店が消費者に対して物品を引き渡していないとか、販売店が瑕疵ある商品を消費者に引き渡したとか、いわゆる割販法でいうところの抗弁対抗事由に当たり得るような場合があげられている例もありました。実際にトラブルが発生した場合のながれについては、利用者・後払い決済事業者間の規約だけでは必ずしも明らかではなく、ここは業者間によって様々な対応があるのかと思います。

では、次の25枚目をお願いいたします。加盟店とのトラブルについてということで、これはおおむね一致していて、基本的には加盟店との間で解決するものとするというものが見られますということでありまして、例えば、Cサービスの規約には、「お客様は、受領された商品等に関するお問合せ・苦情等につきましては販売店に連絡いただくものとし、販売店との間で解決するものとします」と記載されています。

それから、26ページのところは山本先生から後払い決済事業の仕組みの中で加盟店から後払い決済業者の間に購入者に関する情報を提供するという矢印があったかと思うのですが、それについて具体的に規約でどういったものを提供するのかというものが書かれているものを幾つか抽出してありますので、ここの辺りは御参照いただければと思います。以上が後払い決済に関する点ということになります。

続きまして、27ページでキャリア決済のほうに移りたいと思います。キャリア決済につきましても、図については山本先生の図を基本的に参照していますので、次に行きまして29枚目の「法律との適用関係」というところに行きたいと思います。ここの法律の適用関係につきましても山本先生から先ほど言及があったとおりでありまして、キャリア決済自体は割販法、資金決済法、貸金業法等のいずれの対象にも入っていないということがあります。

「特徴」というところを見ていただきますと、基本的には後払い決済と近い仕組みを取っているというところですけれども、異なる点として大きいのが真ん中の2つ目であるように、通話料金と物販の商品代金等の支払いを分離して行うことができないという点です。このため、矢印で書いてありますが、物品購入でトラブルが発生したとしても、その代金相当額の支払いだけを拒むことは原則としてできない。ただ、全部払わないということになると通話料金も不払いになってしまう。その結果どうなるかといえば、通話料金についての「不払い者情報交換制度」に登録されてしまうというリスクを負わなければいけないという状態となってしまうというところはぜひ指摘をさせていただきたいなと思います。

3つ目の黒丸は、もう若干古くなってしまいましたけれども、令和元年にキャリア決済の不正利用問題が発生した際に業界の皆さんが規約の変更をしていただきまして、クレジットカードの不正利用の場合とほぼ準ずるような改定が行われたというところが経緯として分かりましたという整理が書いてあります。

以上がキャリア決済です。

続きまして、30枚目、決済機能付販売プラットフォームに移りたいと思います。こちらにつきましては、まず割販法上の立場としてスライドの32ページ目を御覧いただきたいと思います。位置づけとしてはこのような位置づけにありますので、典型的なオフアスの図でいうところの、決済代行業者のような位置づけに近いようなものにも見えるのですけれども、実際の法律の適用関係ということになりますと、ここにも書いてあるとおりでして、33枚目に移っていただけますでしょうか。この決済機能付販売プラットフォームは割販法上でいうとクレジットカード番号等取扱業者に該当するという整理になりますので、クレジットカード番号等の適切な管理義務というものは当然対象になります。

他方でクレジットカード番号等取扱契約締結事業者には該当しないという整理になっている場合が多いと思われ、そうなりますと、決済機能付販売プラットフォームには、割販法上の加盟店調査措置義務が直接的にはここにかかってこないということになってしまうということになります。そうなってきますと、会員である販売業者の不正な取引の未然防止調査等というものを法制上どうやって確保していくのかというものが課題になっていくのかなと思います。

他方で、2番目です。これも山本先生から言及がございましたが、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」、長いので取引DPF消費者保護法といいますけれども、これもモデルによっては取引DPF消費者保護法の「取引デジタルプラットフォーム提供者」に該当する場合があり得ると考えます。もっとも、公表されている同法に関する資料のみでは、決済機能付販売プラットフォームのうち、どのような事業者が同法の「取引デジタルプラットフォーム提供者」に当てはまる・当てはまらないという基準がどうも必ずしも明確ではなくて、グレーな部分があります。この点を検討する実益になりますが、矢印で書いてございますけれども、もし取引デジタルプラットフォーム提供者に該当するとすれば、努力義務ではあるものの、様々な苦情処理の体制等々について書かれている努力義務(3条)であるとか、あるいは情報開示請求権の対象になるといった面で、消費者がトラブルに遭った際の解決に資する部分があると考えられるわけでございます。

以降、34ページからの細かいところは検討の際の細かい資料になりますので、説明については割愛をいたします。

続きまして、38ページ目でコード決済について見てまいりたいと思います。コード決済につきまして、山本先生の資料にありましたとおり、支払手段が残高チャージ型、国際カードひもづけ型、デビットチャージ型などの様々な分類がされますので、法律の適用関係についてはまちまちということになりまして、当然残高チャージ型ということであれば資金決済法上の前払い式支払手段、あるいは資金移動に該当することになりますし、クレジットカードにひもづけてくれば割販法の対象になってくるわけであります。

次のページの資料39ページ目で示してあるのは、残高チャージ型の場合の基本的な流れの説明となりますので、御参照いただければと思います。

41ページに行きます。規約のほうを少し見ていきますけれども、こちらも加盟店契約は必ずしもオープンにされているわけではありませんので、参考になるものとしまして、例えば前払い式支払手段であるならば、金融庁のウェブサイトに公表されている、前払い式支払手段発行者の事務ガイドラインで加盟店調査措置であるとか苦情処理体制に関する具体的な記述がありますので、この辺りがベースにつくられているのかなと思います。

2番目ですが、コード決済業者・利用者間の契約ということに関してですけれども、ここに規約の一例が載せてありますが、例えばコード決済の場合だとアカウント残高の減算時点で債務が消滅する旨だとか、販売店とのトラブルは当事者間で解決する旨だとか、返金は電子マネーのチャージ加算による旨などが記載されているというものが見受けられるところであります。

それから、次は42枚目に行きまして、代引きと収納代行について見ていきたいと思います。まず、43ページに代引きの仕組みというところがありますが、黄色くマーカーがしてありますけれども、ポイントとしては代引き業者に利用者がお金を払った時点で代理受領権限を持っているということで、ここで弁済の効果が発生するという仕組みを取っているという点です。

続きましての44枚目のコンビニ収納代行についても同じような仕組みが取られているというところでありまして、支払手段に関わる事業者に弁済の受領権限があるかどうかというのはそれだけではないと言われているものの、資金決済法の適用関係では大きなキーワードになっているところであるということが言えるかと思います。

それから、45ページ目を御覧ください。法律との適用関係ということでありますけれども、まず基本的な整理でありますが、代引き・収納代行の仕組み自体については様々な議論があったところではありますが、現時点においてはいずれも資金決済法の対象にはならないという整理になっています。とはいえ、各事業者団体がとりまとめたガイドラインがありまして、上が代引きの事業者団体のガイドライン、それから下が収納代行業者さんのガイドラインということでありまして、不正な使われ方をしないように一定程度の対応がガイドラインで示されているところでありまして、実例をみていただくと、46ページを見ていただきまして、代表的な代引きの業者と販売業者間の規約のいわゆる加盟店契約ですけれども、最初の条で代理受領権限が書いてありまして、一番下の「第マル条(返送)」というところを見ていただきますと、乙(運送者)は、運送人の運送約款に定める場合の以下の場合、商品を甲(加盟店)に返送できるものとしますということで、1番で顧客が商品の受け取りを拒絶したとき、つまり何かトラブルがあって買わされてしまって物が送られてきたというときに、これは受け取りたくないのだということになれば、それは荷物を持ち帰りますよという形になっているという形で、これは恐らくガイドラインに準じた対応の例なのかなと思います。

続きまして、送金代行業です。47ページを御覧ください。これは葛山先生なども御指摘をされていた、詐欺的な投資詐欺事案などに悪用されている国内の金融機関口座を提供する事業者のようなものを想定しているものになりますけれども、この送金代行業についての法律上の整理というものをしていきたいと思います。

49枚目を御覧ください。法律との適用関係であります。為替取引に該当するのであれば、資金決済法の「資金移動業」になり得るということであります。もっとも、この点については、資料にあるとおり、下級審を見てみますと、結論的には為替取引該当性を否定しているという東京高裁判決が出ているということでありまして、法律上の解釈としては明確ではないわけであります。

この点については今年1月、金融庁の金融審議会の資金決済制度に関するワーキング・グループの報告書でクロスボーダー収納代行についての言及があるところではあるのですが、この書きぶりも結構慎重に書かれていて、今、ここでカバーしているようなものが仮に海外向けであったとしても、全部カバーできるかどうかも必ずしも明らかではないし、ましてや国内でやっている場合に関しては恐らく射程として入っていないとも読めてしまうというところもありますので、大きな課題になっているのかなと思います。

ただ、とりわけここの部分で重要なのは、詐欺的行為など悪質な事案にこの仕組みが利用されている場合、どういった人間が関与してやっているのかということを後で特定できるような体制にしておく、すなわち、例えば犯罪収益移転防止法の「特定事業者等」に位置づけるという処理をしていく必要性というのもあるのではないかと考えています。

2番目の「その他」というところを見ていただきますと、実際にこういった事業者の法人の登記簿を取ってみると、会社の目的欄を見てみますと「収納代行業」や「決済代行業務」と書かれているものが多いということをあげています。もっとも、実際の裁判例を見てみますと、普通のいわゆる収納代行全般ではちょっとイレギュラーな、要は振り込まれたお金を現金で下ろしてわざわざ渡しているという場面の事案に関しては、これが犯収法の「他人に使用させる目的で預金口座を利用させる行為」に該当するという形で不法行為責任を認めた裁判例というものも少なからずあるというところではあるといった状況となります。

それから、最後に貸金業について見ていきたいと思います。52枚目を御覧ください。これはここ数年来問題になっている副業、もうけ話系の事案で、特にリモートデスクトップアプリ、遠隔操作アプリのようなものをダウンロードさせて、悪質業者が次々に指示をして、クレジットカードを持てないような消費者に対して消費者金融からどんどん借入れをさせて、例えば一日の間でA、B、C社と3社から50万ずつ借りさせて指定口座に振り込ませるという事案というものがあるということが指摘されているところであります。

こういった問題などもある中でありますが、まず問題なのが、52ページの破線部分にありますが、通常、貸金業者と販売業者は何らのつながりもないのだというところがありますので、貸金業者の販売店に対する、加盟店責任という話では基本的にはないという整理になってしまうということです。

53ページです。先ほどの後払い決済と同じように割販法の関係で言いますと、個別信用購入あっせん該当性の判断基準になる「密接牽連性」の要件を充足しているようであれば、消費者金融の貸金業の契約であったとしても個別信用購入あっせんに該当するとして支払い停止の抗弁を認めた下級審の判決というものは極めてレアではあるのですが、存在しないわけでもありませんし、銀行のローンに関しても同じようなものがございます。ただ、これは例外的であって、少なくとも、今、紹介したような事案には当てはまっていないということになるわけです。

そうすると、結局のところ歯止めをかけるということだとしますと、まずは過剰貸付けの禁止の部分への対応ということになってくるわけであります。貸金業法の黒丸の1つ目のところでありますけれども、「もっとも」のところで、「収入を証する書面」提出不要の限界(50万円)を借りさせた上で、信用情報機関に反映されない間に他の消費者金融からも借りさせるなどの手口の存在と書いてあります。

現在、実は夜中にお金を借りさせるタイプになりますと、消費者金融業者の方が信用情報機関に登録をするのは翌日になってしまうということでありまして、どこに根拠があるのかなというところでありますけれども、これは法律に直接書かれているわけでもなく、規則に書かれているわけでもなくて、実は金融庁の貸金業者向けの総合的な監督指針の中に出てくるわけでありまして、それによれば、原則は個人信用情報の取得当日に提供しなさいと。ただ、それが困難な場合、代表例として深夜などの場合については、翌日の信用情報機関の情報提供開始時までに提供せよということになっています。これを受けて、指定信用情報機関である、CICやJICCのホームページの説明では最大翌日までには登録することになっていますという表現になっているわけであります。

ただ、この点については恐らく今の技術革新の中でいけば即日にうまく提供するという技術も可能なはずであって、そうであれば、ここでブロックすることによって多額の負債を負う前にブロックをかけることも可能ではないのかなと思うところであります。

駆け足になりましたけれども、私の報告は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○坂東座長 山本委員、山田先生、どうも本当に貴重な御報告をありがとうございました。


≪2. ②意見交換≫ 

○坂東座長 どこという指定をせずに、また、御質問もあれば御意見もあろうかと思います。その辺りもあまり気にせずに自由に御発言いただければと思います。

それでは、意見交換に移りたいと思います。御発言のある方は挙手をお願いします。あるいはオンラインでの御参加の方はチャットでお知らせをいただけるとありがたいですが、画面を映していただいて話したいという意思表示をしていただければ、それで結構かと思います。どうぞよろしくお願いします。

○谷本専門委員 山本委員、山田先生、非常に分かりやすい報告をありがとうございました。とても勉強になると同時に、抗弁の放棄のところを山田先生が24ページで実態を御説明いただいているところなのですけれども、一般的に後払い決済サービスについて、割販法の適用がないものについて、債権譲渡型と立替払い型について、立替払い型については法適用がないという前提で話が進んで、債権譲渡型につきましては民法で抗弁の主張ができるだろうということが一般的に言われてきたように思います。

私の記憶に間違いがなければ、今、確認しているのですけれども、2021年の消費者委員会の消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書の20ページの注のところにも掲載されているのを確認したのですけれども、ヒアリングが行われた際に、債権譲渡型については利用者と加盟店との間にトラブルがあったときに民法上の抗弁が主張できるのだということを事業者さん側が言っておられたということもこの報告書の中に記載されていたと思います。

そのようなことが報告されていたのですけれども、実態としては、現在、幾つか後払い決済事業者がいる中でこういう抗弁放棄の規約を置いているところが、山田先生の御報告によると標準装備しているということなのですけれども、ここら辺は2021年の段階と現在の状況とは変わってしまったのか、それとも、ヒアリングの段階でもこういう規約はあったのだけれども、一部の事業者さんはこういう規約は別に置いていなかったという状況なのかというのを知りたいなとまず思った次第です。

○坂東座長 山田先生、せっかくですから、恐らく2021年にも関わっておられたのではないかと勝手に推測をしておりますが、御発言いただけますでしょうか。

○山田司法書士 御質問ありがとうございます。

実は以前、もうちょっと丁寧に利用規約の調査をしたことがあって、そのときもやはり抗弁の放棄条項というのは多く入っていました。今回も標準的と言ったのは、全部ではありませんけれども入っているものが多かったということで、使わせていただきました。

改めてルール形成のときの議論から3年ぐらいたっていて、今回もこのことを調べるに当たって新しい規約を確認してみたのですけれども、抗弁の放棄条項というのは依然として入っています。

そして、これは次回や次々回以降で消費生活相談の現場からの報告などもあると思うのですけれども、事例として私が聞いている限りだと、債権譲渡型なのに支払いを拒むことができなかったという報告を耳にしています。それが多数かどうかというのは分かりませんが、実際の声として存在しています。

ただ、この辺はまた山本先生にも補足いただきたいのですけれども、加盟店契約上などでトラブルが起きた場合に、例えば債権を再譲渡して販売業者と消費者間の契約に戻してしまった上で処理させるという形を取ってみたり、あとは様々な形で実質上こういう規約を入れているけれども、加盟店契約上ですとか、その他の実態運用としてはこういう場面に衝突しないように運用しているという側面もあるのかも分かりませんとはいえ、今、リアルにネット上でダウンロードできる規約を拝見した限りでは、既に述べたとおり、抗弁放棄条項が規定されている例が存在するわけです。ご指摘のルール形成WGの際のヒアリング対象事業者においては先生ご指摘の対応をされていたのだと思いますが、それが業界全体の統一した扱いということではないのだと思います。仮に、ここが大きな問題になってくるようであれば、きちんと整理したほうがいいところかなとは思います。ありがとうございます。

○谷本専門委員 ありがとうございます。

ちょっと正確なところで、報告書でいうと2021年の報告書の20ページの脚注の42のところにワーキング・グループ第24回の資料、議事録を参照されたいというところで事業者側が言っているということが示されていますので、御参照いただければと思います。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

山本委員もせっかくですからコメントを。特に加盟店のところとの関係も出てくると思うので。

○山本専門委員 実務的な側面からということでコメントさせていただきます。これは想像もちょっとあるのですけれども、要は契約上、債権譲渡になっている、あるいは立替払いになっているというのは大きな違いではあるのですけれども、加盟店と契約を締結している立場、あるいは消費者と契約している立場の実務的な点で言うと、実はあまり業務運用には差が出てこないのですね。

そういう意味で、恐らくそれがきちんと執行されないという問題があって、雑な整理になってしまうのですけれども、要は、結局事業者は苦情処理の義務があるかないかみたいなところに伴って業務設計していくではないですか。そこの部分がお客様相談、苦情処理の実務にひもづいていないような側面がちょっと見られるように私は思っていまして、その辺が山田先生がおっしゃられた実務的なところで、あるいは表現を見るとあまり区別していないように見えるというところにつながっているのでいるのではないかなと。民法的な解釈できちんと抗弁できるということであれば、そこの部分を制度根拠がないにしてももう少しきちんと主張して事業者に対して認識させるような努力は必要かもしれないなとちょっと感じました。

○坂東座長 ありがとうございます。

割販法の適用がない決済ですから、民法に戻ってその基本的なところの議論というのがどういう形で整理できるのか。割販法の規制が及ばないとの現状を考えた上で、及ばないのがいいのかという話もまた一方であって、そうすると、この辺りもどう整理していけばいいのかというのは簡単ではないなと改めて思いました。今の山本委員からの苦情処理をしなくてはいけないということが法的に義務づけられているかどうかというのは、確かに直接は違うのだけれども、実際のところには大きな影響を与えるのかなと思ったり、なかなか難しいなと改めて思わされたところであります。

岩澤さんがネットの中で手を挙げていただいていますが、御発言いただけますか。

○岩澤専門委員 ありがとうございます。全相協の岩澤です。

先ほどの債権譲渡と立替払いの違いと加盟店管理の関係というところと関連する話だと思うのですけれども、実際に相談現場において立替払いと債権譲渡で確かにあまり違いを感じないというところはあります。ただ、両先生方も後払い決済において加盟店管理が主な役割だということで掲げられているところだと思うのですけれども、先ほどもそういった話があったかと思うのですけれども、相談現場では後払い決済業者の加盟店管理や指導、消費者対応は極めて不十分というのが実態だと受け止めているところです。

協会では昨年9月に意見書を提出しているのですけれども、特にコンビニ後払い決済サービスが詐欺的な定期購入業事業者に悪用される事例が多くなってきていて、加盟店審査の甘さが問題視されているところではないかと思っております。特商法改正後もトラブルが増加していてとどまるところを知らないという感じのところで増加しているのですけれども、問題業者に関する苦情が消費者から決済事業者のほうに多く寄せられているとは思われるのですけれども、適切な対策を講じないまま加盟店契約を継続させている現状と、さらに加盟店業者との交渉は消費者任せになっていて、和解が成立しない場合は決済業者は請求を継続し、先ほど販売会社に戻しているというお話もあったのですけれども、昔、ちょっとそういうお話は聞きましたけれども、最近の研修では戻さず決済事業者のほうでここだけ使わせているという話を聞いてくるのですけれども、決済業者も基本的には請求を継続して、手数料や督促状が消費者に追加負担を取らせているような現状があるかと思うのですね。こうした対応で結果的に詐欺的商法を支えて助長させていると考えるのですけれども、先生方のお考えはいかがでしょうかというところです。お願いします。

○坂東座長 ありがとうございます。

恐らく現実の様々な問題との接続を今から私たちも考えていかなくてはいけないのですが、山田先生、せっかくですから今の御発言を聞いて何かコメントをいただけませんか。

○山田司法書士 現場からの報告、御意見をありがとうございます。僕も現場にはいるのですけれども、この問題は恐らく基本的なベースになってくるのが個別信用購入あっせん、昔の個品割賦購入あっせんのときの議論と基本的にスキーム自体も示していただくと分かるとおり大ざっぱなことを言えばほぼ同じ話であって、そういった中で当然ながら理屈的に加盟店調査をし、加盟店の管理という言い方がどうか分かりませんが、不正な加盟店というものを未然に防止する、あるいは被害が発生した際にきちんと紛争解決に向けて対応するというのは、本来、基本法的にも導かれるはずであろうとは思っているところであります。

他方で、割販法の際に昭和59年改正、その後の最高裁の平成2年という経路をたどってきたときに、そういった基本法の考え方の一つとしてはあり得るといたような言わば脆弱というか、非常に危うい中で支えていくことが妥当なのかは、確認的なのか創設的なのかということは置いておいても、やはり特別法できちんとルールとして引いたほうがそれはワークするのではないかとは思っているところでありますので、そういう方向というのも一つの検討の方向なのかなとは思うところであります。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。恐らく次回以降、これも大切な議論の一つになるのかなと思います。

あまり僕がしゃべっては駄目なのですが、私も加盟店契約という消費者からは見えない契約の中に業者の義務が書かれていて、それは業者の義務でしょうとどうしたら言えるのだろうというのがいつもつかまえどころのないところです。でも、みんなシステムとして機能しているはずだよなという考え方とのその距離感がなかなかつかみ切れません。だから業者の法的義務とは何ですかと言われると、何か曖昧な言葉に終始してしまうというのがとても私ももやもやしているところなので、この問題も同様の性質を持っているのかなと改めて頭の中で理解をしました。

さて、せっかくですのでほかにも御意見があればと思いますが、池本先生。

○池本専門委員 ありがとうございます。池本です。

私の質問は2人に共通するというか、それぞれの角度でコメントいただければと思うのですが、まず山本委員のレジュメで言いますと30ページの一番下に、販売プラットフォーム、取引デジタルプラットフォームの中の決済機能を提供しているようなものという趣旨だと思うのですが、そこの決済機能を外部事業者に提供という言葉の「外部事業者」というのはプラットフォームの出店者に提供という意味なのか、だとすると、決済代行業務そのものではないか、あるいはそうではないということになるのか、あるいはデジプラ業者自身ではなくて自分の関連会社に決済事業関係を委託しているという趣旨で記載されているのか、ここの仕組みをどのように捉えればよいのかという点をお伺いしたいところです。

それから、山田先生には、33ページの決済機能付販売プラットフォーム事業者について、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者には該当しないと思われるというコメントが記載されております。実はこれがなぜそういう判断なのかというところがいま一つ理解できないところがあるのですが、クレジットカード決済を取り次ぐ機能を持ち、なおかつ、その下の加盟店を承認するかしないかの権限を自分のところで保有しているというところから言えば、決済代行事業者の中の特に取扱契約締結権限のある事業者と見てよいのではないか。しかも一括払いの場合も適用対象ですから、そのようになっていくのではないか。

あるいは、先ほど山本委員に質問したことに関連するのですが、プラットフォーム事業者自身が決済代行業務をやるのではなくて、別業者、関連業者に流しているから当たらないと見るのか、どういう点でそれが直接には該当しないとおっしゃったのか、あるいはその仕組みの理解をどう考えればいいのかというお二人に共通するというか、観点は違うのですが、御意見をいただければと思います。

以上です。

○坂東座長 そうしたら、これはまず仕組みのところで山本委員からお話をいただいて、それで山田先生からコメントをいただいて、さらにもしそれで両先生に例えば少し見ていたところが違うみたいな話があるのだったら、また両先生から一言ずついただければと思います。

○山本専門委員 それでは、最初に御質問いただいたポイントの、私の資料で言いますと30番のスライドの下の部分で販売プラットフォームの「決済機能を外部事業者に提供」という部分の御質問だったと思います。まずこの意味としまして、決済機能そのものを使いたい人を募っていて、それが出店者、出店者でない利用者にかかわらず、その決済機能が使いたいという事業者が手を挙げて申し込んで、所定の審査のようなことは受けるのですが、使えるとなったら使えるという形で提供しているところが増えているので、その点をここに書かせていただきました。

○坂東座長 僕が言うのもあれですが、つまり取引デジプラの中の加盟店さんだけではなくて、もちろん加盟店でそういう意思を出す方もおられるわけですね。

○山本専門委員 むしろ決済機能として切り離されているようにすら見える。つまり、誰から見てもそこの決済機能を使って販売ができるのだという形になっているということを表現したのがこちらなのですね。

お答えになっていますか。

○坂東座長 恐らくそこもまた後で整理するとして、山田先生、今の池本委員の御質問について。

○山田司法書士 御質問ありがとうございます。

こちらは33ページの図の整理のところにあるのですけれども、私も正式に直接クレジット会社や決済機能付販売プラットフォームに確認したわけではありませんけれども、国内のアクワイアラーが決済機能付販売プラットフォーム、と、いわゆる包括加盟の契約をしているという中で、包括加盟の下に個別の会員企業が存在しているという立場になりますので、そうなりますと、割販法の契約締結事業者の考え方として、そこに網がかぶってくるのはむしろアクワイアラーのクレジット会社のほうであって、そのクレジット会社の加盟店というのが決済機能付のプラットフォームだという整理になるので、池本先生のおっしゃるとおりで、本当はこの決済機能付プラットフォームが実際に販売店と会員契約などもしているわけですし、会員契約を見るとこういうものを売ってはいけませんなどと結構いろいろと規定されている側面があって、言わば加盟店管理的な側面でビジネスの実態としては恐らくやっていると思われるのですけれども、割販法上の整理で言うと、上にあるアクワイアラーの部分のほうでアクワイアラーのほうがクレジットカード番号取扱契約締結事業者になるという関係で加盟店になるので、このような整理になるのかなということであります。

以上です。

○坂東座長 山本委員。

○山本専門委員 今のに少しだけ補足をさせていただくと、割とここは各論で細かい話ではあるのですけれども、今、仮にプラットフォームと呼ぶとすると、恐らくその事業者についてはいろいろな意見があって、決済代行をやっているではないかという意見も当然あります。

ただ、これは契約上、例えばアクワイアラーと契約をしてカード等で販売行動をしている事業者に当たる番号等取扱業者ではあるわけですけれども、その契約の内容が例えばプラットフォーム自身がそのものの一つの加盟店を形成しているような構成で契約をしている場合がありまして、実務的な話なのですが、そういう場合、例えばこうなるのではないかというお話をしますと、経済産業省さんに登録をしようというときに、どういう業態ですかというときに、カード決済を仲介するという説明をせずにうちは加盟店であるという説明をすると、そこが違うふうに見えてしまうというところで、実態がどうかという議論は別にして、これは海外ではマーチャントオブレコードという方式として、一つの加盟店がその加盟店の権利を使って販売行為をすることを全部管理する責任を持たせるような代理店的な位置づけの加盟店を認める枠組みが特にVISAやMasterCardの中でございまして、それが知らないうちに日本に入って契約をして、そうすると、山田先生が御紹介されたように、実は仲介しているのではなくて加盟店なのですという属性を持っていると事業者の人たちが思っている、主張しているということからも当てはまらないことになったという経緯もあるように認識しております。

○坂東座長 先生の問題意識も含めて御発言ください。

○池本専門委員 御回答ありがとうございました。

これは今回の前半戦では規制の在り方論ではない実態の認識の問題なので、あまり踏み込むべきではないのかもしれないのですが、現在の割販法は一つの決済ルートの中で取扱契約締結業者が一方にいれば、その下は登録していなくてもよいというやり方を取っていますが、結局のところ販売店と直接加盟店契約をし、切るかどうかの判断権限がある者が調査しなければいけないということから考えれば、一番直近のものもその位置づけになければいけないのではないかというのが、割販法上、今、アクワイアラーが末端の加盟店を調査・指導できていない原因ではないか。その意味では、実態として審査・決定権限がある者がその位置づけとして見るべきではないかという点が一つです。

それから、山本委員から御説明されたところで言いますと、実は従来型の決済代行業者のネット上の立てつけとしては、利用者が住所や名前を入れるときには、販売業者のサイトというよりは決済代行業者のサイトに移ってそこへ入力をしているというふうになれば、どちらが主体で宣伝しているかは別ですけれども、デジプラ業者の場合と役割としては本質的にそんなに違わないのではないかという受け止め方をしています。この辺りはその役割をどう見るかというところの議論として今後、検討していきたいと私自身も思っております。

以上です。

○坂東座長 決済の中でデジプラ業者さんが占める考え方をどう整理するかというのもどうやらとても大きな課題になるかもしれません。

そうしたら、葛山委員、お願いします。オンラインの方は少しお待ちください。

○葛山専門委員 葛山ですが、いろいろいっぱい手が挙がっていて、言いたいことはいっぱいあったのですが、ちょっと短めにまとめるようにさせていただきます。

私からは、頂いた資料は本当によく勉強になりまして、3点大きく申し上げたいところがございまして、1つ目が、山田先生の資料で時間の関係で飛ばしていただいたのですけれども、3ページから4ページのまとめというのが本当に非常に分かりやすくて、こちらを前提に本調査会のタイトルである消費者問題がどこにあるのかというところを議論するための基礎的な地図になるのではないかなと思っております。

私がよく接している詐欺的取引、消費者被害の観点で言うとクレジットカード、個別クレジット、あと銀行送金、収納代行も含むのですけれども、あと電子マネー、借入れの問題というのをよく実務で目にしております。この枠組みの中で1点だけ申し上げておきたいのが、これに加えて暗号資産の送金というところが決済としては問題になっているのかなと思っておりまして、これを検討の対象にできるのかどうかというところも検討していただければと思っております。

といいますのも、海外からの詐欺の場合、結構な割合で暗号資産送金が利用されておって、その被害単位が莫大なのですね。数千万単位の被害というのが非常に多い。ここは強く強調したいのですけれども、取り返せた事例はほぼゼロです。弁護士間の全国の研究会に私は全部出ているのですけれども、全く取り返せていない。今後、海外からの詐欺が間違いなく増えるというのは第1回でもちょっと申し上げたのですけれども、その際に暗号資産送金もどんどん増えていくことは間違いないということもありますので、すぐに有効な手だてというのは思いつかないと思うのです。ただ、今後の検討課題としては項目として挙げていただく必要があるのではないかなというところがございまして、これに関して御意見をいただければというのが1点目です。

2つ目が、送金代行業については山田先生にいろいろと御指摘いただいたところで、今後、被害事例として調査会の中で議論になっていくと思うのですが、本当に送金代行業者の責任追及というのは現場で難儀しておりまして、責任を認めた裁判例があるという積極的なプラスの御意見をいただいているのですが、これは引き出し方の自然性とか、裁判官が当たりだったなどのいろいろな状況があって、この問題点は解決されずに残っているという理解ですので、この点は一応申し上げるとともに御意見いただきたいなと思っておりまして、関連して、山田先生の資料の52ページで、これは今の一時的なトレンドなのかもしれないのですけれども、第3回、第4回で出てくると思いますが、副業セミナー詐欺と呼ばれる被害がこの数年で被害現場としては激増しておりますとか、被害のボリュームが大体150から200万円で、借入れが本来50万なのに3から4社なのでその3から4倍になっていますと。これは口座貸しというのが非常によく使われていまして、SNS型投資詐欺やロマンス型投資詐欺と同じく、送金代行については今、海外の送金代行の規制が始まっているとありましたけれども、国内の中で転々として海外に行くという場合も結構あったりするので、その辺りはきちんとより被害の実態を明らかにしていく必要があるのかなと思っております。

あと、短くまとめますが、最後に、先ほど議論のあったクレジットカード番号取扱契約締結事業者に関連して、ここについてももちろんプラットフォームの問題はあるのですけれども、現場で問題となっているのが、複数の決済代行が入っている場合に、情報商材やサクラサイトなどの場合において、最終決定権限がうちにはないのですよという主張が非常に多い。今後、プラットフォーマーについても同じような議論が出てきてしまうと大変困ると思っておりますので、この点については問題意識として非常に大きく持っているということを申し上げたいと思います。

すみません、長くなりましたが、以上です。御意見もいただければと思いますのでお願いします。

○坂東座長 ありがとうございます。

先に忘れないうちに、オンラインの皆さん、すみません。後で宮園さん、井上さん、岩澤さんの順番でお話しいただこうと思っております。山田先生、せっかくですから今の御質問に対するコメントをいただけませんか。

○山田司法書士 ありがとうございます。

まず暗号資産の点に関しては、もちろん今の先生が扱っているような事件に関しても非常に使われていて、回収が不能だということもいろいろな報告会などでも耳にしているところであって、恐らく今後の推移からすればどんどん翻訳アプリなどもいろいろ発達してきて簡単にアクセスできることになりますので、現在は件数の割合としてはそれほど大きくないかもしれないですけれども、将来的に増えてくる可能性が大きいというのは御指摘のとおりだと思います。

送金代行の件に関しては、たしか私も前に裁判例を調べたときに、幇助の関係は認められるけれども過失までは認められないとか、あとは仮に損害賠償を認めたとしても、最近そうではないものも出ていますけれども、認容された損害額は、各口座名義人については振込金額を限度とするという形だったりとか、要は千差万別で回収に至っていないケースがもちろん自分が扱った事件も含めて存在しますので、その点についても現状でよいという考えはありませんので、その点は先生と意識は一緒なのかなと思います。

あと、プラットフォーム事業者の責任関係問題のところで、あまりこのキーワードに引きずられ過ぎてはいけないのかなと思うのが、最終決定権限が誰か、頭は誰かということだけでやっていってしまうと、個別に今みたいにいわゆる責任分解をしていって細かく契約を切り分けてしまうと誰も誰もが知らない、知らないという形になってしまうというアンバンドリングの問題点というのを齋藤雅弘先生なども御指摘されていたと思いますけれども、まさにそのとおりで、そこのところは過失の転換ということで取引に関与している事業体についてはすべからく責任を負うという柔軟な考え方というのもグループの先生方も含めて御議論いただけるといいテーマかなと思いました。

以上です。ありがとうございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

それでは、宮園委員、御発言ください。お願いします。

○宮園専門委員 NACSの宮園と申します。よろしくお願いいたします。

私から2点お尋ねしたいことがございまして、1点目は、山本先生のレジュメの22ページの後払い決済のところなのですが、その都度審査をするというものなのですが、私の知っている範囲では、後払いの分割のものは恐らく免許証だったり何らかの本人確認をすると思うのですが、1回払いのものは携帯電話とメールアドレスぐらいでも大丈夫だったような気がするのですが、その辺りはどういった利用審査、本人確認なのかというのがもし分かれば、教えていただければと思います。

それから、山田先生にはキャリア決済のことをお尋ねしたいところがあるのですが、スライドの29ページに、支払いができなかった場合、通話料金で不払い者情報交換制度となってしまうという記載があるのですが、この不払い者情報交換制度に入る通信会社は携帯電話会社4社なのか、それとももっとたくさん格安もあるのかどうか、もし分かれば教えていただければありがたいです。

以上です。

○坂東座長 山本先生からお願いしていいですか。

○山田司法書士 まとめて全部山本先生から回答いただいた方がよいかと思います。

○坂東座長 そうですか、分かりました。よろしくお願いします。

○山本専門委員 振られました。まず、後払い決済の都度審査しているというところでございますけれども、これはもちろん事業者が独自にやっていますので開示されているわけではないのですけれども、よく言われている、また、認識できていることで言いますと、基本的にその都度一応審査の形を取っているというのは統一されているように思います。

それと、その際にどういう情報を使っているのかという点に関しては、一番多いのが住所、氏名、電話番号を使って審査をしているというのが実態として確認されています。その際に、ここからは本当に任意に聞き取れた情報ではありますけれども、その電話番号を適正な方(かた、人)が使っているのかどうかというものを確認できるようなシステムを使っているようなケースというのが以前、私が一つ確認できた審査方法で、それともう一つはやはり住所、氏名などで、これはどこまでやっているかというのはちょっと不特定ですけれども、こんなことをやっていますという説明を受けた中で多少私の想像が入ることを申し上げますと、同じ世帯の中で使われて過去に問題があったような場合には、場合によってはネガ情報的に、同じ事業者が審査する場合にはマイナスの審査をしているようなこともあると聞いたことがあります。

ざっくりそういうことをやっていて、ただ、これも恐らく守秘というほどではないかもしれませんが、独自のノウハウでやっているという主張を事業者はするでしょうから、なかなかどういうことをやっているかという開示が受けられないという問題はあると思います。ただ、全てそうかというと、基本今言いましたのは2か月以内に支払いを終える方式のものはそういう任意の方式でやっていると思いますが、これは山田先生からも御説明があったとおり、例外的な2か月後、あるいは分割払い、個別信用購入あっせんになるようなものに関しては信用情報の照会なども含めてやっている場合もございます。そんな回答でよろしいでしょうか。

それと、2つ目は不払い者情報交換制度ですね。すみません、私もそれは明確に回答を持っておりませんので、まず移動通信といういわゆるキャリアと言われている4社は確実に入っておりまして、あとは格安SIMなどのいわゆるMVNOと呼ばれている事業者がそこに入っているのか、御存じの方がいたら教えていただきたいなと。次までに確認をしてくる必要があるかもしれませんので、宿題とさせていただく必要があるかなと思いました。申し訳ございません。

○坂東座長 ありがとうございます。そうしたら、宿題とさせていただければと思います。

続きまして、井上委員から御発言いただけますか。

○井上専門委員 お世話になっております。日本IBMの井上でございます。発言の機会をいただきましてありがとうございます。

私はシステムの観点からコメントを差し上げたいと思っております。支払いの手段が多様化するに従って、当然ながらシステムもそこにつながるだけ多様化した仕組みがつくられます。このシステムの仕組み自体は拡大の一途を辿ると思うのですけれども、コンタクトポイントが増えるということと、支払いにおいても支払者だけではなくて代行する方々などといったステークホルダーが増えれば増えるほど入口が広がりますので、そこにおけるセキュリティーのリスクは当然増えていくところでございます。

システムをつくるときにも入口からどういうリスクが考えられるのかという情報セキュリティーのリスクと、人が悪いことをするという観点でのリスク等々もありますけれども、そういった多くのリスクをどのように防ぐのかシステム面でセキュリティー対策を実施していきます。例えばAIでモニタリングするとか、このトランザクションが怪しいといったところを常に学びながら見ていく技術も上がっていくわけですけれども、全体としてのガバナンス、システム的に配慮すべきセキュリティー的なガバナンスを講じる必要があると思った次第でございます。

それぞれのシステムでは当然その対策を講じられていると思うのですけれども、暗号資産の入口があるとか、決済の仕組みの種類がどんどん増えていきますとなりますと、ユースケースは莫大に広がっていきますので、全てを100パーセントカバーすることは難しいし、いたちごっこなのですけれども、AIだったらAIの倫理、AIガバナンスがつくられるので、この決済の仕組みの中で全体の倫理的な、またはセキュリティー対策が全体で見られる仕組みがあるとよいと思いました。

コメントになりますが、以上でございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

そうですね、逆に言えば、全体のセキュリティーを上げていくための誘因として私たちは一体どういう全体像を描けばいいのかということも絶えず考えなければいけないし、そこで技術の対応で何ができるのかということもまた共通認識を持たないといけないのだろうなと思います。とても貴重な御指摘だと思います。また、私も十分知識がないので詳しく教えていただければと思います。よろしくお願いします。

それでは、岩澤委員。

○岩澤専門委員 ありがとうございます。再度の質問をありがとうございます。

池本先生と葛山先生からも御質問のあった事項の決済機能付販売プラットフォーム、デジプラの話だったのですけれども、こちらは私のコメントというところになりますけれども、デジプラでクレジット決済などをされた場合に、加盟店調査義務のあるアクワイアラーは決済プラットフォームで決済されていることしか把握できていない様子があって、加盟店調査に限界があって、イシュアーもチャージバック申請をしてくれないので、デジプラのほうもなかなか規約にのっとってどこまで対応してくれるのかというところで、既に責任の押しつけ合いが少し出てきているのではないかなと思っております。

なので、枠組みの整理が行われて、消費者が販売事業者と連絡が取れなかったり、決済を止めたいと思ったときにどこに苦情を持ち上げて、その苦情処理がどのような流れでされるのかというのは明確にしていっていただければなと思っているところになります。

あと、質問なのですけれども、決済手段について、山本先生の39ページなのですけれども、決済手段とちょっと離れる質問になるかなとは思うのですけれども、決済機能付販売プラットフォーム業者の決済手段のみ提供した場合、外部のECサイトでの購入商品等の情報を入手・利用できない仕組みになっているのでしょうかというところがちょっと疑問だったというところです。

あともう一点、山田先生の43ページの収納代行のつくりについて、いわゆる詐欺サイトで代引きサービスを利用した場合に配送代行会社や通関手続会社が関係してくることが多くあるのですけれども、仕組み図の中でどのような関係にあるのかというところを教えていただければと思います。お願いします。

○坂東座長 山本先生からお願いします。

○山本専門委員 では、御質問いただいた点で、さっき私が表現をした、決済機能付プラットフォーム事業者が決済手段だけを切り離して事業者に使えるよと言っている場合に、要は販売者が何を売ったかとか、その辺の詳細な情報というのはどこまで取れるのかという趣旨でよろしいでしょうかね。これは実は支払手段として単純に機能した場合には、販売者がどういうものを売ったかまでは認識できないのですね。販売者の属性は利用者として、加盟店という表現をするか、要は売った人と表現するかなのですが、売った人と販売者という表現を使えば、その人の個人情報等は、支出やどういう商売をやっているかというところは販売者としてそのプラットフォームの決済を使う際に審査をしているわけなのですけれども、どんな商品なのかという情報というのは販売者の入力次第なので分からないというのがお答えになるかと思います。

その前段でアクワイアラーからプラットフォームの中の取引の詳細がよく見えなくてあっせんがなかなかうまくいかないこともあるということを御指摘いただいたと思いますが、決済手段だけ提供された場合もそれは同じようなことがあって、さらに言うと、プラットフォーム上で売られた場合よりもばらばらに特定の事業者や個人が販売者だった場合というのは、さらにもう一段情報量のレベルが下がってくるというのは実態としてあるかと思います。

○坂東座長 山田先生、お願いします

○山田司法書士 すみません、最後の誰の立場がというのがうまく聞き取れなかったので、もう一度そこの部分だけお願いできますか。

○岩澤専門委員 代金引換サービスを利用した場合に、配送代行会社や通関手続会社が関係してくるのですけれども、それが販売会社の位置づけに近いのではないかと思うのですけれども、仕組み図の中でどのような関係にあるのかというところをお伺いしたいと思います。

○山田司法書士 再送代行業者というのはどういう役割をする事業者のことを指していますか。

○岩澤専門委員 配送代行です。

○山田司法書士 配送代行業者ですね。代引き業者でもなくて、さらにそこから委託を受けている配送の代行をしているところということですか。

○岩澤専門委員 販売会社から委託できるのかとは思うのですけれども。

○山田司法書士 直接消費者のお宅に行っている業者さんということで。

○岩澤専門委員 いえ、送付状のところに配送元として名前が載ってくる事業者になります。そういった会社が代引きの場合にお金を収納しているのかどうかというところ、お金が流れてきているのかどうかというところもあるのですけれども。

○山田司法書士 販売業者とは別の配送業者として出ている業者が別にある場合ということですね。

○岩澤専門委員 はい。配達業者のほうで加盟店としてそこの会社の名前が出てきたり、通関手続会社の名前が出てきたりすることがあるのですけれども、それがどういう関係になっているのかというところです。

○山田司法書士 具体的な例を基にしないと何とも説明し難いところ、回答もしづらいところがあるのですけれども、販売業者との間に一定の契約関係があるのと、恐らく代引き業者との間でもある意味位置づけとしては中間的な間に立っているということになりますかね。

○岩澤専門委員 多分、はい。

○山田司法書士 そういうことですね。それは何らかの委託関係があるという前提に立つならば、そういう立場なのかなと思いますけれども、もうちょっと詳しい事例等があれば、こちらで調べてまた別の機会に回答させていただきたいと思いますので、一回引き取らせてください。すみません。

○岩澤専門委員 はい。申し訳ありません。

○坂東座長 ありがとうございました。

いつの間にか予定の時間が来ておるのですが、宮園さんの手が挙がっておるのですが、宮園委員、御発言をもう一回ということでしょうか。

○宮園専門委員 私の操作ミスでございました。失礼いたしました。

○坂東座長 申し訳ありません。

そうしましたら、そろそろ最後の御発言に行きたいと思っておるのですが、どうぞ。

○瀧専門委員 マネーフォワードの瀧でございます。1点コメントと、お二人に1つ質問がございます。

コメントとしては、これは結構金融の制度でよくあることだと思うのですけれども、BtoBとBtoCのテーマが混ざる要素があるなというのは一つ思っておりまして、特に昨今だとPayfac as a serviceみたいな表現をするのですけれども、マネーフォワードもBPSPなどをやっていますので疑似加盟店的なことをやってはいるのですが、相手方が事業であれば、そこはどちらかというと法人カードの普及みたいな意味であまり問題が起きないのですが、今日出ましたとおり、それがBtoCになったときにはいろいろな付随課題が広くなるのだなという認識をいたしました。ただ、法律がなかなかきれいに分かれていなかったりする点をちゃんと扱っていく必要があるなとは思いました。これは利息制限などのより厄介なテーマもあったりはするのですが、法人のほうの決済はそれはそれで結構進んでいるイノベーションを止めるなみたいな意見もあったりはしますので、そこを丁寧に扱わないといけないのだなというのが一つコメントでございます。

クイックで結構なのですが、2人にお聞きしたいのが、今日の後払いの話の中で手数料の話があまり触れられていなかった印象がございまして、アメリカでBNPLの課題というと大体2つで、一つはマイクロ多重債務化、いろいろな人たちがデットを出すことでどこに何を返せばいいか分からない問題というのが一つ発生しています。

もう一つが、表面で加盟店手数料を12パーセント取るみたいなケースがあって、その裏側にはすごく粗利益の高いプロダクト、スマートフォンであったり、Pelotonというフィットネスマシンなど粗利益の高いツールをBNPL業者がかなり高い加盟店手数料を取り、裏側では疑似的にリボ払いで回収していくようなモデルがあります。通常で言われているほかの加盟店手数料よりも結構高い水準であることを起因に、ある意味利益率の高い商材をえいやで売っていくような勢いがあり得るのかなとか、回収する方法についてもある意味消費者に対する負荷が非常に高いものになっていく可能性があるなという雑感を持っていたのですけれども、この論点は日本では今のところ当たっているのか、当たっていないのかだけ教えていただければと思います。

以上です。

○山本専門委員 瀧委員の御指摘でございますが、後払いで特に加盟店手数料がばか高いとか、消費者にすごく負担させているという問題がアメリカであった後で、まず結論を申し上げますと、日本と少し違うような気がしています。何が違うかというのを整理してみますと、アメリカの場合はまずクレジットが全てリボなので、当然信用情報を伴うし、そこで払えなかったときにはネガティブ情報が入ってしまう中で、この後払いというのは気軽に一発勝負で取りあえず簡単に使えるというのが一つ。

もう一つは、クレジットヒストリーを持っていない人でも使えることから属性の低い人の支払手段になってきて、そうすると当然そこに「どうせ払えないやつだからたくさん取ってやろう」みたいな経済条件が発生していたことで、結果的に非常に高い手数料を加盟店が負担しているのですよ。それは値段に転嫁していますから、結局消費者が負担するということが起こったという。

似たような話で、ブランドプリカも実は日本ですとみんな無料で使えていますけれども、アメリカのブランドプリカというのは高い年会費を払わないと使えない場合が多いわけで、それとちょっと似た社会的な課題をアメリカには感じていて、日本の場合は多少似た側面もあるのですけれども、一つは、すごく雑に整理してしまうと、事業者視点で見るとクレジットカードよりも格安にコスト安に提供できるのが「後払い」と表現できると思います。(日本では)加盟店手数料もアメリカのように極端に高い手数料を取らずに、クレジットカードよりもちょっとだけ高いぐらいのところで営業していると思いますので、トータルするとすごく似ているのですね。だけれども、細かいところが少し違う点は、日本は提供する事業者側のメリットが少しあったのではないか。それと、(従前からある)コンビニ払いのニーズが日本の場合にあったことから、コンビニ払いに付加価値がついたコンビニ払いという、代金を回収したい事業者からするとコンビニ払いの収納代行型というのは利用者が払ってくれない限り代金が入ってこないけれども、それよりも(後払い方式決済の場合は)代金は確実に入ってくるというビジネスモデルで、相対的に今までのコンビニ払いよりも有利なコンビニ後払いになったという、すみません、ちょっと長くしゃべってしまいましたが、そんな経緯があったかと思います。

あと一点だけ補足させていただくと、BPSPという言葉を瀧委員はおっしゃられて、これは私も説明していなくて反省しておりますが、収納代行の中でカード決済などを担う事業者で、ビジネスPSPというのを略した事業者ですので、私の資料の中でもBtoBのところの収納代行業者が一部それに当たるということになります。ありがとうございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

山田先生。

○山田司法書士 さっきから御指摘のあったBtoCとBtoBのことでございますけれども、特に今回の整理についてはBtoCを意識して作っているわけではなくて、システム自体について整理をさせていただいているわけでございます。例えば最終的に普遍的な形ではなくてBtoCに関して特別ルールを設けるほうがいいという方向であれば、そういう議論をしていくことになると思いますけれども、今、現場的に気をつけなくてはいけないのが形式上BtoBの形を装ってしまう形で、結果として実質Cが救済されないという事案が「営業のため」とか、「事業性」と評価される可能性がある内容であるとか、この辺のところの境目を狙ってくるというのがどうしてもこれまでの経緯の中で出てきているところがあって、先ほど話題に出てきたBPSPに関しても形式上事業者間の取引だということにしてしまうというケースが、副業の案件で見られているところでありますが、この辺のところも十分に留意しながら議論していく必要性があるのかなと思います。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

恐らくまだまだ議論があるのですが、黒木先生からお時間があればと御質問が来ておるので、せっかくですからぜひお願いします。

○黒木委員 ありがとうございます。お時間のない中すみません。

山田先生の資料の29ページのキャリア決済の仕組みのところです。特徴の2の黒丸の2番目のところで「分離して行うことはできない仕組み」と書いてありますけれども、この仕組みというのは法的なことなのか、それとも電気通信事業法19条で総務省に事前届出をしているはずのキャリアの約款に分離できないという規定が定められているのかということです。

電気通信事業法19条では、基礎的電気通信役務に関する契約約款を総務省に届け出なくてはいけないはずなのですけれども、基礎的電気通信役務に関する契約約款上にキャリア決済についての根拠があるのか、あるいは、それとも電気通信事業法上、キャリア決済に関して何か法的な規制が入っているのか、「分離して行うことはできない仕組み」の法的根拠、規範のレベル感について教えていただきたいと思って質問させていただきました。時間のないところすみません。よろしくお願いします。

○山田司法書士 ありがとうございます。

また補足を山本先生にいただきたいところでありますけれども、確かに通信事業に関しては電気通信事業法という形になりますけれども、キャリア決済のところは同じ事業体が行っていますから、サービスとしては電気通信事業法の射程から外れてしまっているという形になりますので、法律の規制みたいなものは根拠が全くないということになります。

以上です。

○黒木委員 ありがとうございます。

そうすると、キャリアが定めている規約を変えれば、「分離して行うことはできない仕組み」という点は変えられる可能性が高いということですね。ありがとうございます。

○坂東座長 そうしましたら、そろそろ予定の時間を過ぎてしまいましたので、このあたりで今日の議論は終わりにしたいと思います。活発な御議論をいただきましてありがとうございます。それも山本委員、山田先生が丁寧な御報告をいただいたからだと心から感謝申し上げます。

本日、様々な議論、御指摘がありました。これに基づいて、次回以降、具体的な問題についてまた活発に御議論をいただきたいと思います。


≪3.閉会≫ 

○坂東座長 そうしたら、事務局から何かございますでしょうか。

○江口企画官 本日は長時間にわたりありがとうございました。

次回の会合につきましては、確定次第、御連絡させていただきます。

以上です。

○坂東座長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきたいと思います。お忙しい中、御参集いただきまして本当にありがとうございました。

(以上)