第1回 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会 議事録

日時

2025年3月5日(水)15:00~17:04

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(専門委員)
【会議室】
坂東座長、池本委員、柿野委員、葛山委員、加藤委員、柴田委員、瀧委員、谷本委員、永沢委員、山本委員
【テレビ会議】
森下座長代理、井上委員、岩澤委員、滝澤委員、宮園委員
(オブザーバー)
【会議室】
黒木委員長代理
【テレビ会議】
柿沼委員
(参考人)
【会議室】
山田茂樹 司法書士
(事務局)
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、江口企画官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    ①専門調査会の運営について
    ②検討の背景及び検討事項案
    ③山本委員プレゼンテーション及び有識者ヒアリング(山田茂樹司法書士)
    ④意見交換
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会≫

○江口企画官 本日は、皆様、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、消費者委員会第1回「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を開催いたします。

本専門調査会の座長につきましては、1月28日の消費者委員会本会議において、鹿野委員長から指名された坂東委員に務めていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

次に、本日会議に御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。

本日は坂東座長、池本委員、柿野委員、葛山委員、加藤委員、柴田委員、瀧委員、谷本委員、永沢委員、山本委員には会議室で、井上委員、岩澤委員、滝澤委員、宮園委員、森下委員は、テレビ会議システムにて御出席いただいております。

また、消費者委員会から鹿野委員長、黒木委員長代理、大澤委員、柿沼委員、星野委員にオブザーバーとして御参加いただく予定です。

本日は、黒木委員長代理は会議室で、鹿野委員長、柿沼委員はテレビ会議システムにて御出席いただいております。

大澤委員、星野委員は所用により御欠席との御連絡をいただいております。

本専門調査会には、構成員とオブザーバーの皆様がいらっしゃいますが、会議においては、呼称を委員に統一させていただきます。

議事に入る前に、配付資料の確認をさせていただきます。

お手元、議事次第に配付資料を記載してございます。

もし、不足等がございましたら事務局までお知らせください。

本日、テレビ会議システムを活用して進行いたします。一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ、会議室で傍聴いただいております。

議事録については、後日公開いたしますが、議事録が掲載されるまでの間は、本日の会議の模様をホームページにて配信いたします。

それでは、ここから坂東座長に議事進行をよろしくお願いいたします。

○坂東座長 このたび、消費者委員会の鹿野委員長から御指名を受けました、坂東と申します。専門調査会の座長を務めさせていただきます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

≪2.①専門調査会の運営について≫

○坂東座長 まず、事務局より、専門調査会の運営に関する説明をお願いします。

○江口企画官 配付資料の参考2として「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会設置・運営規程」がございます。令和6年12月20日開催の第449回消費者委員会本会議の審議において決定された規定でございます。

また、参考資料3として、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定されました「下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせ」をおつけしています。

本専門調査会につきましては、これらの規程及び申し合わせに沿って運営をしていきたいと思います。

以上です。

○坂東座長 今、御説明のあった内容について、御質問等ございますでしょうか。

よろしいでしょうか。それでは、次に、座長代理についてですが、本専門調査会の設置運営規程第2条第4項によりますと、座長から、あらかじめ座長代理の指名をすることとなっています。

私としましては、上智大学法学部教授の森下哲朗委員にお願いをしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

森下委員、一言お願いいたします。

○森下座長代理 上智大学の森下でございます。

どうぞよろしくお願いいたします。

○坂東座長 どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.②検討の背景及び検討事項案≫

○坂東座長 それでは、改めまして、2つ目の議題に移りたいと思います。

検討の背景及び検討事項案について、事務局から御説明をいただきたいと思っております。

その後、山本委員及び司法書士の山田茂樹先生から御発表いただいた後、まとめて意見交換を実施することとしたいと思います。

では、よろしくお願いいたします。

○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。「支払手段の多様化と消費者問題について(論点メモ)」としております。

「1 検討の背景」でございます。

支払手段の多様化が進展しております。現金、預金、電子マネー、暗号資産などございます。

また、支払いの方法といたしましても、銀行振り込み、カード決済、QRコード決済、コンビニ決済、キャリア決済、プリペイド式電子マネーなど、多様化が見られます。

キャッシュレス決済比率については、足元40パーセント程度に達しております。こうしたキャッシュレス決済などの進展は、消費者に一定の利便性をもたらしていると言えます。

他方で、支払手段の多様化などが消費者にもたらす影響等として、以下のことが挙げられるとしております。

第1といたしまして、インターネットやSNS上で詐欺的な消費者問題が生じた場合、その決済がインターネット空間における多様な支払手段などで行われております。

それにより、決済が即時終了、場合によっては支払った相手方が所在不明により、被害が拡大、未然防止、救済が難しくなっているという面も考えられます。

他方で、キャッシュレス決済の場合には、決済記録が残るといった側面もございます。

第2といたしまして、キャッシュレス決済等、支払手段等の仕組みは複雑多様化しており、消費者には理解しづらいものとなっております。金融サービスの提供者と消費者の間にどのような契約がなされているか、本来であれば示される必要がございます。

そのサービスの提供を受けるために消費者どのような対価を支払っているか、対価に見合ったサービスが消費者に提供されているか、明らかにされる必要があるが、それが適切に行われているのかという点でございます。

第3に、決済方法に応じて、割販法、銀行法、資金決済法と適用法令が異なっており、また、規制が及ばない決済方法があると見られます。

決済サービス提供者による加盟店調査が不十分なケースがあるのではないか、BNPLは後払いと考えられるが、割販法その他の規制が及ばないという点もございます。

こうした中で、支払手段、キャッシュレス決済等に関する消費生活相談は総じて増加傾向にございます。

また、クレジットカードの不正利用被害額も、さらに足元は悪化しております。そして、PIO-NETに登録された多重債務に関する相談件数は依然として増加を続けております。

こうしたことを検討の背景といたしまして、2番として「検討事項案」でございます。

まず、最初のマルでございますが、支払手段の多様化、複雑化やキャッシュレス決済等の進展に関連して、消費者がどんなことに不安を抱いているか、どんな消費者被害が発生しているか、被害実態等の把握を行い、その原因や構造について分析することが、そうした被害に対して効果的に対処する上で重要であると考えられます。

他方で、被害金額のみだけを捉えてしまうと、もちろん利用が大きくなれば、被害金額も大きくなるといったこともございますので、その点、留意が必要であるということでございます。

キャッシュレス決済などは、対面の空間とインターネット空間が融合したシステムで行われているということにより、被害が拡大している、救済が難しくなっているという仮説のもと、被害実態の把握を行うことが重要と見られるが、その点どう考えるかというのが1つ目の検討事項案でございます。

2つ目といたしまして、決済手段と決済方法が組み合わせることにより、多様で複雑な支払手段、キャッシュレス決済の仕組みが存在しております。それらを消費者が理解することは難しくなっております。

他方で、こうした重要なサービスについて、消費者がその仕組みを十分理解できずに利用していることは、必ずしも望ましいとは言えないのではないかということでございます。

例えば、ある決済サービスを利用する際に、どんな仕組みが使われているか、決済サービスを提供する主体と消費者の間にどのような契約がなされているか、また、その契約の中のサービスの内容はどのようなものか、そして、消費者はそのサービスの提供を受けるため、どんな対価を支払っているか、また、消費者の支払った対価に見合ったサービスが消費者に提供されているかを、消費者に示すことがとても重要だと考えられますが、その約款や契約書はどのようになっているかということでございます。こうした点について、どう考えているかということでございます。

他方で、消費者は利用しているあらゆるサービスに関して、必ずしもいつもその仕組みを全て理解しているわけではありません。こうした点も含めて、この点についてどう考えるかということでございます。

その次の検討事項でございますが、様々な支払手段、キャッシュレス決済の仕組みを分解して、それぞれの関連法制度、加盟店調査の程度、決済に係る資金等の保全制度、決済手段の不正利用等における消費者被害の防止策、法的責任関係を明らかにし、消費者が理解できるように示していくことは重要と考えられるが、その点どう考えるかということでございます。

こうした仕組みを分解していく中で、規制の欠如、曖昧さ、規制レベルの不統一、消費者保護ルールの差異がある場合、その違いが消費者被害を発生させる原因となっていることがあり得るが、その点どう考えるかということでございます。

様々な支払手段、キャッシュレス決済が存在しておりますが、どのような消費者保護措置が備わっているか、その実効性を明らかにし、消費者が理解できるように示していくことが重要であると考えられますが、その点どう考えるかということでございます。

また、決済と与信についてどう考えるかということを、次の検討事項として挙げております。

与信を利用した決済の仕組みもあり得るのではないか、分割払い、リボ払い等は決済と与信双方の性質を併せ持つものとして考えることもできます。

マンスリークリアのカード決済は決済に含まれるという整理もあり得るが、与信という見方もできないか、または、消費者保護の観点から少なくとも与信と捉え得るもの、決済サービスの中に与信が含まれるものについて、横断的な民事ルールを設けることがあり得るか、その点どう考えるかということでございます。

次に、生じている消費者被害は支払手段の多様化、複雑化、キャッシュレス決済比率の高まりに起因する問題なのか、あるいは消費者保護法の法制度や執行の問題なのか、どちらに原因があるのか、その点どう考えるかということでございます。

また、多重債務に係る消費生活相談は増加を続けておりますが、10代、20代の若年層からの相談が増えております。本来、貸金業法や割販法により実現されるはずの厳格な与信管理による過剰与信の防止について、現状どうなっているのかと、どう考えるかということでございます。

最後に、決済事業者は、決済や与信に係る情報を取得、保有しております。消費者に係る情報について、どの事業者がどのような情報を取得、保有しているか、消費者に明らかにする必要があると考えられますが、それは適切に行われているか、その点どう考えるかといったことでございます。

以上の検討事項などにつきまして、最後のマルでございますが、支払手段の多様化が消費者にどのような影響をもたらしているのか、その状況が生じている要因はどこにあるのかなどについて、様々な観点から御意見をいただき、スケジュール的なものといたしましては、令和7年夏頃を目途に、まずは中間的な整理を行うということでお願いできればと思っております。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございました。

検討の背景、それから、私どもがこれから検討していく、言わば項目について詳細に整理をいただいたのかなと思います。

あと、最後に中間的整理に対するスケジュールについても御説明がありました。

以上の御説明について、御質問等がある方はおられますでしょうか、もし御質問があれば、挙手をいただければと思います。

それでは、今の御説明を前提に進めていきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

≪2.③山本委員プレゼンテーション及び有識者ヒアリング(山田茂樹司法書士)≫

○坂東座長 それでは、続きまして、多様化する支払手段と法規制等についての現状の整理を、山本委員及び山田先生にお願いしております。

本日及び第2回の3月10日の2回にわたって、お二人の先生から御報告をいただくことと準備をしております。

本日は、まず、山本委員から30分程度でキャッシュレス決済の現状等について御説明をいただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○山本委員 音声大丈夫でしょうか、坂東先生、ありがとうございます。私、山本より、解説をさせていただきたいと思います。今、画面の共有を準備しておりますので、少しだけお時間をいただきたいと思います。

多分画面に出ていますかね、ありがとうございます。

事前に、御提供させていただいた資料を、今、画面に共有の状態で表示しているものでございます。

こちらを中心に、私、お時間をいただいたのが、今回1回目と2回目もいただいておりますので、ボリュームの関係で、そこはうまく時間の関係で区切りまして、今日と次回に説明をさせていただきたいと思っております。

初めに、この資料の解説を進める前に、いきなりで恐縮なのですが、今日になって委員の皆様に共有させていただいた、大きい絵といいますか、画面に表示をしておりますが、これは、細かく今見ていただくのが意図ではなくて、ここから何かを理解するという目的ではなくて、いかにたくさん支払い手段が生じていて、資金の流れあるいは重層化というのが起こっているかというのを、何となく直感するという目的でございまして、せっかく表示させていただいておりますので、これは紙に出しますとA3になるはずで、私も小さく出すと、自分でも見えないぐらい小さくなっている点は、おわびをいたしますが、要は、キャッシュレス決済そのものが、重層化の御指摘などもあった、複雑化の御指摘もありました。基本的には、銀行口座を起点にお金が流れていると整理していいと思っております。

その一部が大きい先がクレジットカード、これは時系列ではなくて、お金の流れだけを言っております。やはりクレジットカードが、後で説明をしますが、利用額、決済額が一番多いということがありまして、まず、クレジットカードにお金が動いている。

そこから、今回の議題とは少し外れておりますので、今日は少し触れるだけになりますけれども、前払い型の支払手段というのがたくさん出てきておりまして、前払いにつきましては、別のところでも整理をされておりますし、今回の議題に上がっていないということで、そこは中心にはならないのですが、クレジットでチャージをするという流れ、あとは銀行口座からチャージする流れというのがある。要は、銀行、クレジットを経て、別の支払手段に行くというお金の流れ方をしているということでございます。

それと、右側のほうのいろいろな色の枠のほうは、支払手段の中でも、例えば前払い式の電子マネーは、前払い式だという支払い方法が限定されるのですけれども、例えば、VISA、MastercardやJCBなどのカードは、皆様消費者の方も普通に使っていらっしゃると思うのですけれども、このカードの仕組みというのは、実はクレジットではなくて、支払手段としていろいろな支払方法、前払い、後払い、後でこれを解説しますが、そういったものを消費者が選んで使えるという、ある意味では、決済システム、サービスと言えると。

似たようなものがコード決済でございまして、コード決済も、コード決済は何者かというと、サービスによっては前払い式になるし、別のものでは後払い式にもなるし、場合によっては即時払いにもなるのですね。

そのように仕組みとサービスの兼ね合い、それとお金の流れ、あと、たくさんの種類がある、そんな雑な整理をしてみると、これを少し眺めていると何となく見えることもあるかなという、そういう整理の資料でございます。

これは参考までに、あくまで参考の続きですけれども、一応、これは実務的な視点で見ているのですけれども、既存の法律、制度が、どこを規制しているか、そういった矢印を引いているのが、2枚目のページでして、これは、割賦販売法から矢印を引きますと、こんな感じになりますよと、国際カードの一部とコード決済の一部も規制されます。

コンビニで払う後払いも、一部は、割賦販売法の規制を受けるものがあるのですが、そうではないものもあるという、そういう大ざっぱな整理でございます。

それと、今回議題にあまり出てこないかもしれませんけれども、資金決済法の流れは、割とたくさんの種類の支払手段を規制しておりまして、コード決済とか、電子マネーとか、あとは、少し今回の整理の中でも出てきております、お金を送ってしまう代替手段として、資金移動というサービスが使われることもある。そういったものも、実は、資金決済に関する法律、資金決済法で規制されるという、そういう矢印を引いて結びつけられるサービスに当たるということでございます。

最後の1枚が、これが、ちゃんと規制を受けていないでしょうという、そういう線がないところですね、この辺の整理は、多分、山田茂樹先生にも、次回とかで少し触れていただけるかもしれませんけれども、ざっくりとした整理ということでございます。

参考資料は以上でございまして、それを前提に、前提といいますか、少し枕にというか、キャッシュレス決済に関する仕組みの整理を進めていきたいと思います。

まず、アジェンダといいますか、この資料で解説をさせていただきます順番としては、総論のところ、今日は総論を中心に考えております。

その次に、時間があれば、代表的な支払手段の少しぐらいまで、今日はお話しできたらなと、今回と来週にかけて、代表的な支払手段、例えばクレジットカード、VISAやMastercardのカードはどうなっているか、後払い決済などというのがあるねとか、コード決済はどうなっているのですかと、そういうのをまとめております。

3番目に、やはり消費者問題をひも解いていくときに不可欠な、運営事業者、どこがどういう責任や役割を担っているのかという、その辺の分解をしておりますので、その整理を3番目に、あとは、今回も御指摘がありました決済データとか、あとは、消費者がキャッシュレスを使うことで何を得ているのか、何を失っているのか、失うというのはないので、その辺の整理をしておりますので、この辺を私の役割として御説明をさせていただきたいと思っております。

不足の部分とかがありましたら、御指摘をいただいて、次回あるいはそれ以外にときに触れさせていただけたらと考えております。

まず、総論のところから、最初の絵は、たくさんありますと、先ほど風呂敷を広げたところですけれども、よく消費者が意識する支払手段というのは、こんな感じで、結構、実は増えているのですよと。

消費者から見た呼び方で言うと、やはりクレジットカードやデビットカードという表現になるかと思います。これは、支払手段といいますか、仕組みで言うと国際カード、VISAとかMastercardなどの印がついているところが象徴的なところですけれども、クレジット、デビットカードというのは、よく使われるし、それに附随して、プリペイド型のVISA、Mastercardがついたカードなどというのも出てきております。

あと、その下にコード決済、これは説明するまでもないかもしれませんけれども、QRコード、バーコードなどを表示して、店舗等で、そこで認証して支払う方法ですけれども、これは、今日も触れますが、爆発的な普及というか、勢いがすごいということです。

あとは、使い方の側面から消費者が表現する言葉として、タッチ決済という言い方が、これがコード決済とは対比的に、消費者の認識の中に入っているように思います。

タッチ決済というのは、あくまでタッチする行為だけを示していますので、支払手段を象徴していないのです。ただ、利用者から見ると、お店ではタッチ決済で払ったと言うと、それがカード方式とスマホレットに入ったものがあるのです。

それは、ひも解いていくと、中身は国際カードのクレジットの方式であったり、国際カードのデビットの方式だったりするので、本当の支払手段をタッチ決済で払ったと言っても、クレジットカードかデビットカードで、その仕組みは国際カードというか、その時点で、もう既に消費者からすると複雑になっているということだと思うのですが、そういう状況を共有させていただく。

あと、ICカード型の電子マネーというのも代表的にはよく使われていると思いますので、挙げさせていただきました。これは、乗車券のタイプのものとか、あとは流通業が出しているような銘柄もあるかと思います。

あと、もう一つ、この上の絵(写真を指して)に描いたほうは、本当に一般論からすると、これはよく使われているという表現になって間違いないと私は思うのです。

ただ、もう一つ、その下のほうに文字だけで書いてある支払手段というのも、実は案外これも使われていて、比率が明確に出ているかというのは、後で、若干その関連するデータを御紹介しますけれども、そこは不詳なところはあるのですが、例えばで言いますと、コンビニ後払いという支払手段は、割と若年層から、これは事業者の言う言葉をそのまま言えば、30代とか40代ぐらいで、女性のかたで、例えば、クレジットカードを持っていらっしゃるかたでも、クレジットを使いたくないというニーズがあって、コンビニ後払いを使うなどという表現がされていることをよく聞くのですけれども、そういうコンビニの後払い、詳しくは、今日解説します。

あとは、通信事業者の通信料と合算をして払うという、いわゆるキャリア決済と呼ばれているものも、これは見えないところでよく使っていて、スマホの課金の支払手段の割と主要的な支払手段になっている。

あとは、プリペイドギフトでPOSAカードと表現したもの、これは、コンビニなどで商標を購入して現金で払って、そのコード番号というのを入手して払うようなものでして、これもこれで被害もありますけれども、こういったものも、結局、いろいろ多様化した中で、消費者は自分で主体的に選んでいるかどうかは分からないのですけれども、自分の面前に現れた支払手段が幾つかあって、その中で、これがいい、これがいいと思って選んでしまう。

場合によっては、商店なり販売する事業者が特定の支払手段に限定して提供しているような場合もある。

そういった場合は問題が多いケースである可能性があるわけですが、そうすると、そこに誘導されて、制度で規制されていなかったり、消費者保護に弱いような、支払手段が、そういうところで用いられたりするような傾向があるのかなと、雑感として、ここでは、そういう情報を共有させていただきました。

これはこれで、後に述べますと言っていたデータでございますけれども、これは、事務局からの御説明にもありましたけれども、金額面など、いろいろデータから引っ張ってきております。

やはりキャッシュレス決済がどう使われているかというものの見方として、1つの軸が決済額、もう一つが、どれだけの回数なり、機会、チャンスがあるか、どういうものを使っているか、この2つの両側面を見て立体的に見ていかないといけないと思うのです。

1つ、左側に示しました、金額に関するもの、これは、もういろいろなところで出てきているデータの焼き直しでございますけれども、若干時世が22年と23年と、ものによって違ったりする点は御容赦いただきながら、イメージとして、やはりクレジットカードの決済額が100兆円を超えているというのは、これは、まさにエポックメイキングといいますか、要は、個人消費が300兆円と少しぐらいのところで、その3分の1の金額がクレジットで払われているという実態は、これは、誰もが認識すべき事態だと思うのです。

それに対して、銀行で引き落とすデビットとかICカード型電子マネーというのは、少ないのですね、意外に普及しているように見えるのですが、デビットは、そこまで普及しているような感覚は持ちにくいかもしれませんが、電子マネーのように日常的によく使っているICカード型のものを見ても、これは6兆円ぐらいしかないということを見ますと金額は少ない。

それに対して、1つだけ私が注目をしておりますのが、このコード決済でございます。コード決済は4年か5年の間に、15兆円ぐらい、多分、新しい数字はもう少しいっているのではないかと、少し時世が合っていないというのは、コード決済は毎年割と新しく最新のデータを更新していらっしゃるので、少し時世がずれているのですけれども、短い期間で、これだけ利用が増えた支払手段というはないのですね、例を見ない。

例えば、電子マネーの6兆円というのは、2000年頃に始まって、25年間かけて6兆円ですが、このコード決済というのは、恐らく2017年前後に始まっていますので、10年たたない数年間の間に、電子マネーのそれをしのぐぐらいの勢いで伸びているということで、そこは、あくまでも金額で見ているのですけれども、そこも、やはり認識をすべき。

つまり、金額面で見ると、いろいろな意味で、キャッシュレス決済で使われているものは、クレジットカードとコード決済の2つということなのです。これは、あくまで金額です。

ただ、もう一つすごく大事な点が、何回使っているのですかということなのですね。単価が少なければ、利用頻度が高くなるので、それだけ利用者がトラブルに遭う機会も増えるということになりますので、そこで見ますと、正確なデータはないのですけれども、右側で、これは消費者庁さんの以前アンケートを、そのまま使わせていただきましたけれども、アンケートを取ったとったときに、これは、オンラインに限定させていただきましたが、オンラインで使った決済手段は、何に使っていますかと選ばせると、もちろんクレジットカードが8割なのですが、2番目がコード決済、3番目にキャリア決済、プリペイド、後払い決済、5番目ぐらいまでというのは、やはり注目すべきではないかと、私は個人的に考えます。

もう一つ、これはデータがあるわけではないのですが、単価で見ますと、これは、私が個人的に調べたものですので、公式なデータではないのですが、ざっくりとした数字を申し上げますと、クレジットカードは、データによっても違うのですが、5,000円から7,000円、場合によってはカード会社によっては、もう少し多い場合もあるはずです。それに対して、電子マネーを大体1,000円前後と言われています。コード決済は、すみません、ちゃんと統計で割り算すれば出てくるのですが、恐らく電子マネーと同じぐらいだろうと私は思うのです。つまり1,000円とか2,000円ぐらいの少額で推移していると。

そういう少額のものというのは、当然若い方もよく使っているという表現もできるということになる。

あとは、オンラインですので、どうしても「キャリア決済」、あとはオンラインで何か物販を求めるときに、実は、誰でも使える「後払い決済」なども使われるようになっていて、その辺が、右側の使ったことのある支払手段の上位5種類ぐらいまでに現れているのだなと、これは少し主観的な解釈なのですが、そのように思っております。

次に、ここから仕組みの整理に入っていくのですけれども、重要な点、普遍的なところが、まず、お金の流れとそのタイミングなのですね。6番のスライドですが、キャッシュレス決済を運営する会社というのが、これについても、後でまとめて整理するのですが、それと、実際には、右下の消費者がいて、左下に販売者、事業者なのか、個人なのか分からないけれども、販売者がいて、左に販売者、右に消費者がいるという関係で、取引は直接行われるわけですね。

ところがお金は、キャッシュレス決済システムそのもの、あるいはキャッシュレスサービスあるいはシステムを運営する事業者を経て流れていくということです。これは当然のことなのですが、その中で、もう一つ重要な点が、流れの点、時系列なのですね。

まず、消費者がキャッシュレスシステムに対して代金を支払うタイミングと、販売者がキャッシュレス決済システムから代金を受け取るタイミングというのが、完全に離れ離れになっていて、そこの分離が、いろいろなトラブルなり何なり、要はお金を盗むというよりは、時間差を使ってだます、だまされるといったことに、残念ながら使われているということが見え隠れするということだと思います。

今日の残った時間は、まず1つ目が、このタイミングについて整理をする。もう一つは、上のほうの箱のキャッシュレス決済システム及びその運営会社というところの整理をする、そこまで今日できたらなと考えております。

そういう意味で、まず、次の丸を書きましたけれども、取引を起点にAというタイミングは、消費者からキャッシュレスシステムへお金が流れるタイミング、払うタイミング、Bというタイミングが、販売者に対してキャッシュレス決済システムからお金が流れるタイミング、この取引を起点にAとBがいつ行われるかというのを支払い手段に沿ってというのですかね、支払い手段ごとに整理していきたいと思っておりまして、そのように整理をしてきたのです。

それで、まず大ざっぱな整理が、よく言われる前払い、後払い、即時払いと言われる整理の方法ですね。この整理の方式は、やはり法制度とも整合する場合が多いので、一番腑に落ちる方が多いし、私もこの整理で進めていいのではないかと考えております。

大事な点は、前払いとは何か、後払いは何かというのは、取引に対して、それより前に代金を払っていれば前払い、取引に対して取引が終わった後で代金を払っていれば後払い、取引を払うのと同時に代金が流れるような仕組みであれば、即時払いになるということなのですが、1つだけ罠といいますか、分かりにくい点がありまして、それはどういうことかといいますと、例えば、前払いというのは、明らかにお金が先に払われていると特定できますし、後払いは明らかに後なのですけれども、では、即時払いで払ったときというのは、デビットカードで払ったときには、お店にはいつお金が流れるのですかというのが意外に分からない方(かた)、消費者もいらっしゃる。

実は、そこはBのほうのタイミングと、Aのタイミングが切り離されているということを、認識をいただく必要がありまして、ここに書いてあるAのほうは、今、御説明したとおりなのですが、Bのキャッシュレスシステムから販売者に対するお金の流れを見ますと、消費者が前払いだと思っていても、後払いだと思っていても、即時払いだと思っていたとしても、その支払いが事業者に流れるタイミングというのは、多くの場合、中間に入っている事業者によって、一定の期限後に払われているので、全て後払いになっているということなのです。

では、全部後払いに、事業者に払われるのですかというと、基本そうだという答えがあると思いますので、それで、別枠で集金、収納をする事業者というのもいて、そういう人たちも、原則としては、Aの消費者からは即時に払うのですが、やはりBの事業者に払うタイミングというのは遅れるということになる。

その辺を全部御説明するというよりも、タイミングチャートというか、ちょっと稚拙なチャートで恐縮なのですけれども、取引を中に置きまして、時間軸を左から右に流れるように置きまして、前払い方式は、前払いというのは事前にチャージをしておりますので、Aのタイミングが取引の前にあって、Bのタイミングというのは、実はBのタイミングは支払い手段を統一して同じタイミングにあえて書いているのですけれども、恐らく前払いと後払いの大きな違いは、当然前か後かなのですが、特に後払い方式というのは、取引のときにお金が動かなくて、その後で事業者にお金が流れて、さらに、その後、厳密に言うと、その同じタイミングに、消費者が払っている場合もあるのですけれども、そのタイミングがかなり後ろのほうにまで流れるということ、時間が経過してから払われる場合があるという点です。

あと、即時払いに関しましても、1つ前のスライドでお伝えしたとおりでして、消費者からキャッシュレス決済の事業者には、即時にお金が引き去られて流れているにもかかわらず、事業者に対する支払いというのは一定期間たってからということになっておりますので、やはり遅れている。

あとは、集金や収納と言っているサービスというのは、これは原則論で言いますと、取引が発生するときに、あるいはその直前に代金を収納していて、そして、それを事業者に払うということが行われているので、表現すると取引の時点に、大体直前直後に代金が払われる。これはあくまで整理で、もちろん例外的なものも中にはありますから、例外まで話していると切りがないので、原則論としては、そのように整理をさせていただいております。

これと全く別枠に、送金や為替、銀行で口座から振り込んでしまう払い方、あとは資金移動という枠組みを用いて、代金をそのまま相手に送ってしまうやり方がありまして、これを用いられると、もう即時に、実は相手にもお金の価値が流れていく。

ただ、送金、為替が用いられる場合というのは、その原因となるべき取引の存在と切り離されてシステムが運営されていますので、ここの部分は、制度上も非常に実務的に、何に使われているかを問わずに、お金の移動だけをするような業務設計がなされた事業者、例えば銀行がそうですし、資金移動業者という業者がそういうのに携わっているから、お金は即座に相手に届いてしまうという、これは少し例外として記させていただきましたけれども、それも1つのキャッシュレス決済的に使われているということでございます。

その辺で、この前々のページですかね、そこの方式、プリペイド方式、後払い方式、即時払い方式などに合わせて、それに実在するサービスをはめ込んで見たのが、こちらの図でございます。

具体的な名前を出せていないところもありますが、見てのとおりでして、プリペイドで言えば、Suica、ICOCA、WAONとか、御存じの銘柄に対してVISAやMastercardもプリペイドのものを出している。どういうことかというと、プリペイド型のブランドプリペイドと呼ばれているものです。あとは、コード決済のPayPayやd払いやauPayなども、プリペイド方式を取っているものが多い。AppleギフトやGooglePlayギフトなどのプリペイドギフトと呼ばれるものも、今回の議題の本題とは少し外れるかもしれませんが、それもプリペイド方式の1つに入る。

あと、後払い方式というのは、もちろんクレジットというのが中心的だと考えがちですが、タイミングだけで後払いと言ってしまいますと、それはキャリア決済であるとか、ここはサービス例として、NP後払いと書いてありますが、代表的な銘柄でコンビニ後払いと呼ばれているものも、この方式に当てはまると思います。

制度が当てはまる、当てはまらないというのは、また別の整理とさせていただいて、後払いの方式に、それが当てはまるだろうということです。

あと、即時払いのところは、大きく2つしかなくて、いわゆるVISAやMastercardがついたブランドデビットカードというものと、あとはBankPayなどと聞いたことがある方、J-CoinPayとか幾つか種類があるのですが、要は、銀行が提供しているスマホデビット、コード決済が即時払い方式に分類されます。こういったものが実際にあるということです。

あとは、キャッシュレス決済とは言わない集金・収納あるいは送金という分類になりますと、まず、送金サービス、決済サービス、これは、いろいろな事業者の名前でサービスを提供している場合が多いので、少し抽象的に書かせていただきましたが、多いのはクレジットカード会社や信販会社が収納サービスあるいは集金サービス、決済サービスなどと称して提供しているものが見受けられます。

それに対して、送金や為替になりますと、銀行が、いわゆる為替と呼ばれる、お金を輸送せずに、お金の価値が移動するというのを(という解釈を)、私は採用して言っておりますが、制度上の根拠があるわけではありませんが、それは銀行がその代表例で、あとはPayPay、PayPalとかよく登場する銘柄なのですけれども、こういった銘柄、メルペイなどというのもそうなのですけれども、コード決済とか支払い決済サービスの中に、為替と呼ばれる、送金サービスの枠組みのコンプライアンスを持っているサービスというのもかなり出てきておりまして、知らないうちに、それをよく使っているような消費者もいらっしゃるという状況が生まれています。

次に、最後の今日の御説明として、決済システムを運営する事業者というのが、どういう役割、どういう分類があるのかというのが、次の御説明でございます。

要は、キャッシュレス決済システムの私のこの図の箱は、2つの事業者のようなイメージを書いていますけれども、ここが複数の事業者が絡むことがあるので、そこが少し見えにくい、分かりにくいという問題があるという御指摘をいただいています。

大きく分類していくと、私は2つに分類をしています。

1つは、この絵にありますように、右と左の表現なのですが、右側に、カラーですと字が実は赤になっているのですが、キャッシュキャッシュレス決済事業者、つまりキャッシュレス決済の当事者、かつ、キャッシュレス決済を自ら提供している事業者というのが、その分類の1番目の類型に当たる。

それに対して、左側の「取次・仲介事業者」と整理をさせていただいた事業者というのは、自ら決済を担うというと、その役割にもよるのですが、例えばクレジットカード会社はクレジットカードを与信して発行している。当然キャッシュレス決済の提供事業者になるのですけれども、例えば、決済代行会社という属性の事業者というのは、自ら与信をしたり前払いの残高を担保したりはしていないわけで、要は従属的あるいは取次ぎ、仲介をする立場の事業者と整理されると思うのです。

そういう事業者、決済代行会社と収納代行会社という表現で2分類、今はあるのです。また、ここがどういうことかというのも、次の御説明でしたいと思っております。これは、まず、前提の整理です。

今日のところは、この右と左の事業者の役割というのは、支払い手段によっても違ってくるので、今日は、まず、支払い手段個別の話は、次回に送らせていただき、全体的な共通事項で分類を整理していきたいと思っております。

それが、まず、一覧表で少し細かくて見にくくて申し訳ない、13番のスライドなのですけれども、まず、上のほうの項番1にキャッシュレス決済事業者と入れておりまして、ここは、皆様どなたも、この事業者はこっちだねというのは、多分直感的に分かるはずなのですね。要はクレジットカード会社、プリペイド会社、あとは銀行、コード決済提供会社、あとは後払い決済会社、通信会社、通信会社は、決済を提供していますかというと、キャリア決済という決済手段を提供しているので、誰かが公式にそれを認定したかどうかは別として、私の整理はキャッシュレス決済の主体的に提供する事業者に整理をします。

あと、若干コード決済のところは、次回に少し御説明ができたらと思っているのですが、仕組みの提供と、あとは残高の担保だったり、資金移動のコンプライアンスだったり、複合的に備わっている場合が多い、例えば代表的なPayPayという銘柄はその全てを持っていますので、必ずしもキャッシュレス決済事業者だけと言えない側面もあるのですが、ただ当然コード決済は、キャッシュレス決済事業者としての属性は確実に持っているので、ここに入れさせていただいております。

あと、ここにない事業者というので言いますと、国際カードという、これは来週の御説明にしたほうがいいかなと思うのですけれども、国際ブランド会社、VISAとかMastercardは時々登場してくるかと思います。

それにつきましては、私の分類では、1つ戻った12番のスライドのキャッシュレス決済事業者とキャッシュレス決済の取次ぎ、仲介事業者とはまた別に、システム事業者のような位置づけを担っておりまして、そこをうまく表現できなかったなと、今、説明しながら気づいたものですから、その辺の補足は、次週は国際カード、VISA、Mastercardというのは、このようになっているというところから入る、時間的にもそうかなと思っておりますので、そこだけ少し資料に不足していた分をおわびして補足させていただきました。

恐らく時間的にも今日は、ここで一旦切らせていただいて、一応予定としても、2の代表的なところは次週にというつもりでおりましたので、そんなところで、いかがでしょうか、よろしいでしょうか。

○坂東座長 山本委員、どうもありがとうございました。

私たちが対象とするキャッシュレス形態というフィールドは、大変広そうで、いろいろな人が関わっているのだなということはよく分かりました。

これから次回にかけて、また御報告をいただくことになっておりますので、さらに深めていきたいなと思っております。

≪2.④意見交換≫

○坂東座長 今から山本委員の今の御報告も踏まえつつ、それぞれの先生方に、それぞれの御関心のことも含めて、あるいは山本委員に対する、次回、続けての御報告もありますので、御質問もあれば、それも含めて御発言をいただきたいと思っております。

それから、山田先生にも次回の報告との関係もございますから、御発言をいただきたいと思っておるのですが、今日、座長代理の森下先生が、時間的な限界があると伺っております。

そこで、まず、最初に森下委員のほうから、一言、問題関心も含めて御発言をいただきたいと思っております。

森下先生、どうでしょうか。

○森下座長代理 ありがとうございます。山本先生、詳細に御説明をいただきまして、大変ありがとうございました。

今日は時間との関係で、そろそろ失礼しなければいけないために申し訳ございません。

多様な決済手段があること、また、様々な性格の事業者が関与してキャッシュレス決済が成り立っているということを、本当に分かりやすく御説明いただいたかと思っております。

今回は、消費者問題に関する専門調査ということですので、今、お話をいただいたこととの関係で言えば、例えば、AとBをしっかりと分けて考える必要があるというお話があったと思いますけれども、消費者との関係では、そこが分かれていること、あるいはAとBのタイミングが違うということが、どういった意味を持ってくるのか、トータルで考えたときに、消費者との関係で一番決め手になってくるところはどこなのだろうかということを、しっかりと見極めていくことが大事ではないかと思っております。

様々な事業者の方が、いろいろ組み合わせて、よりよいサービスの提供を工夫されるということは、これからもどんどんなされていくことだと思うのです。その際、細かなことを分解して考えないと、本当に消費者との関係での真の問題が分からないということではなく、トータルで考えて、消費者との関係で一番ポイントとして担保しなければいけない部分は何なのだろうかということを、今後、いろいろお話を伺ったり、議論をしていきながら見極めていくことが、この調査会の仕事との関係では重要なのではないかと考えております。

今日の時点では、以上のような感想を抱きました。どうもありがとうございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

それでは、引き続いて、せっかくなので、次回の御報告のことも踏まえて、今までの山本委員の報告を踏まえて、もし、御意見等がありましたら、山田先生から一言いただきたいと思いますが、いかがでしょうか。

○山田司法書士 次回、主に報告を担当させていただく司法書士の山田です。よろしくお願いいたします。

私からは、次回の予告みたいになりますが、次回の私の報告内容は、今日、山本先生のほうから御報告をいただいた支払手段を、もう少し細かく分けて報告するつもりです。この際、本日の山本先生のご報告で直接取り上げていない支払手段等として、決済機能付販売プラットフォームであるとか、代引収納代行、送金代行業、それから貸金業も取り上げる予定です。これらも含めて、実態のトラブルも前提にした上で、主に法制の当てはめと、後払い決済の一部にはなりますが、若干の規約の内容の分解というか、特徴の抽出と、それからユーザーインターフェース等についても取り上げ、本専門調査会の対象となる支払手段に関する現状の整理ということで、今後の議論の素材を提供していきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。

以上となります。

○坂東座長 ありがとうございます。

今回と次回で私たちが検討すべきフィールドについて共通認識ができれば、大変いいなと思いつつ、これは、なかなか大変だなと改めて思っております。

それはともかくとして、今日は第1回でございますので、今から委員の皆様に御発言をいただきたいと思います。

そこでは、どういう形でキャッシュレス決済と今まで関わってきたかといったこと、広い意味での自己紹介も含めて、問題意識であるとか、とりわけ、この領域の中で御関心を持っておられる分野であるとか、それから、今後どういった検討をしなければいけないかといったような御意見も含めて、自由に御発言をいただければと思っています。

順番ですが、これは、誰を先にするとかというのは、私には判断がつきませんので、名簿順にいきたいと思っています。突然当てられるみたいになって大変恐縮ですが、特に先輩を最初に当てるので、今、少しプレッシャーがかかっておるのですが、きっと大丈夫だろうと思っております。

今から私が指名させていただきますので、3分程度で御発言をいただけると大変ありがたく思います。

まず、池本委員、よろしくお願いします。

○池本委員 大変光栄であります。

私は弁護士ですが、以前から、経済産業省で割賦販売小委員会というクレジット決済のことについての審議に、法改正とか制度見直しの議論に参加させていただいておりました。

その議論と、今日の山本委員からの非常に整理された全体像を出していただいたのは、これは、すばらしい資料で、それを重ねながら感じたところを申し上げたいと思います。

クレジット決済は、昔は消費者、販売者、そして、カード会社あるいは個別信販会社という三角形で描いていました。その後、国際ブランドを経由して、イシュアー、アクワイアラー、カード発行会社と加盟店契約会社、これは、お互い様だと一般には言われているのですが、役割分担をしているために、以前のカード発行会社に消費者が苦情を申立て、以前だったら直接自分のところの加盟店に問い合わせして調査して、問題があればキャンセル処理するとかをしていたけれども、イシュアー、アクワイアラーと分かれて、場合によっては、海外アクワイアラーを経由したりすると、カード発行会社は、うちから連絡のしようがないと、その加盟店を説得しようがないのだという議論の中で、アクワイアラー側について加盟店調査義務、カード発行会社の側は苦情の伝達、こういう制度設計に切り替えたというのが、一番印象深い法制度の見直しですが、そのときに既にあったのが決済代行業者なのです。

決済代行業者も入れないと、実際に加盟店契約を結んでいるのは、決済代行業者ではないですかといっても、決済代行といってもいろいろな業態があって、一律に決済代行というわけにもいかぬのだと、それこそデジプラの運営事業者も、ある意味では取り次ぎをしている、自らもやっているけれども、取り次ぎもしているし、様々なものがある。

さらに言うと、決済代行業者は、プリペイドも、あるいは資金移動も総合決済代行の形を取っているところが、今、増えています。

そういう形で問題が起きているので、今回紹介された様々なシステムのところも、ある事業者に全部責任を負わせるというよりは、加盟店を開拓し、加盟店を調査対処できる人は誰なのか、それから消費者との窓口になるものは誰なのか、その両者が連携、協働して安心・安全なシステムにしていくことが必要ではないかという問題意識があります。

それから、もう一点だけ、事務局から最初に問題提起がありました。取引高が多いところでは苦情が多数出るのもしようがないというところを、もう少し掘り下げていくと、例えば、カード発行会社は、アクワイアラーを経由し、決済代行業者を経由するから、どこで問題が出るかは見えない。

ところが、加盟店を開拓しているほうのアクワイアラーもしくは決済代行は、問題があるところをいっぱいかき集めるところと、きちんと審査するところで違いが出るはずなのです。

そうだとすると、加盟店契約を取っているところの中で、問題が多いところとそうでないところの違いは何なのか、どういうことをしていれば問題がないのかというところを掘り下げていく必要があるかなと思います。

すみません、少し長くなりました。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

先ほどの山本先生の資料にもあった、いわゆる決済代行という仕組みが1つのキーワードとして検討対象になるのではないかという問題意識を御提示いただけたのかなと思います。

続いて、そうしましたら、井上委員、たしかオンラインですかね。

○井上委員 すみません、ちょっと今しゃべれなくて、後ろに回していただくことは可能でございましょうか。

○坂東座長 はい、分かりました、そうしたら最後にさせていただきます。

○井上委員 すみません、ちょっと後ろのほうでしゃべります。

○坂東座長 はい、よろしくお願いします。

それでは、急に御指名して本当に申し訳ないのですが、岩澤委員は、たしかオンラインで御参加いただいていると思いますが、いかがでしょうか。

○岩澤委員 全国消費生活相談員協会の理事の岩澤信子です。よろしくお願いします。

全国消費生活相談員協会は、全国の自治体等の消費生活相談窓口で、相談業務で担っている消費生活相談員を構成員とする団体なのですけれども、私もふだんは、都内の消費生活センターの相談員として勤務しています。

日々消費者からの多岐にわたる相談に対応していますけれども、やはり年々販売形態が複雑化するとともに、決済手段の多様化、複雑化していると感じています。

取引の主要の場がオンラインになって、決済手段のキャッシュレス化も進んでいて、顔の見える相手に直接お金を渡すのではなくて、山本委員の資料にもありますとおり、電磁的な仕組みの中で消費者が知り得ないところで、幾つもの事業者が関わりながらお金が流れていく複雑なシステムになってきていますけれども、反面、購入手続の中では、ボタン1つでクレジットカードや、コンビニ後払いなど、手軽に好きな決済手段を選べたり、販売事業者から送られてきたメールのリンクにアクセスして、決済手段の手続を取ったりと、キャッシュレス決済を簡単に利用できるようになっていて、消費者はキャッシュレス決済を提供している事業者が、販売事業者と異なるという認識を持つことなく決済ができてしまっています。

そのため、消費者は、決済も曖昧なままの契約ができてしまっていて、トラブルになった際に、どこに連絡してよいのか分からないといった事態に陥ることも多くて、消費者が自力で解決することを困難にしていると考えています。

相談メンバーにおいても、少しのヒントから販売事業者や決済業者を突き止めて、複数の事業者から交渉相手は誰か、どのような順番で交渉するかを見極めて、規制する法律は何か、何が主張できるのかを調べて、解決を図るために知識や経験が必要な上、時間と労力も非常にかかるようになっています。

また、クレジットカード、デビットカード、電子マネー、コンビニ後払い、代引きなど、いろいろありますけれども、それぞれ規律する法律の有無や、規律する法律が異なること、その特性、仕組みなどを理解した上で、選択して利用することは非常に難しいと思うのですけれども、決済手段によって支払い停止ができたりできなかったり、保証制度があったりなかったりして、被害回復に差が出ている、消費者にとっては思わぬ結果、不公平な結果になってしまっていますし、被害回復が難しい決済手段を悪質業者に利用されている現状もあるかと思います。

このたびの専門調査会では、まず、キャッシュレス決済の現状を把握することを主眼とするということでして、トラブルの現状を伝える立場として責任を感じていますけれども、消費者トラブルの解決を困難にしている一因であるキャッシュレス決済について、相談現場の生の声をなるべく多くお届けできるように努めて、今後の法整備や制度の明確化につながることを期待しています。

よろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

相手をイメージして、キャッシュレス決済を具体的に利用することが、実は現場では言うほど簡単な話ではないということ。また、当事者間の権利義務関係が必ずしも分かりやすく整理がされていないのではないかという御指摘をいただいたのだと思います。とても大切な御指摘かと思います。

それでは、次に柿野委員からお願いします。

○柿野委員 柿野と申します。

法政大学の大学院で、教員をする傍ら、消費者教育支援センターという組織で、四半世紀ほど、消費者教育の普及推進ということで長く活動をしてきた立場となります。

消費者教育支援センターは1990年に、その当時、学習指導要領の中に消費者教育の内容が充実してきたということを1つのきっかけとしてできた団体でありますけれども、今、ちょうど中央教育審議会のほうで、次期の学習指導要領の方向性について議論するというタイミングになっております。

今後、中央教育審議会の答申が出た後に、各教科の学習内容の検討に入っていく段階になるわけなのでが、今から約10年前に改訂された小学校家庭科の学習指導要領に、私も関わらせていただいていました。そこでは、小学校では現金を中心とした取引を、中学校ではキャッシュレス決済や、これまで高等学校で学んできたクレジットの三者間契約も学習内容に加わりました。そして、高等学校では、長期的な経済計画の中で、資産形成や多重債務問題についても扱うといった整理がされて、各学校種において実践されています。

とはいえ、教科書を見ていますと、小学校でもキャッシュレス決済の内容も触れられています。今日の山本先生のお話の整理が非常に分かりやすかったのですが、将来、子供たちが自立した消費者になるために、どういったリテラシーを身につけていけばいいのか、クレジットの三者間契約ということが、キャッシュレスの代表のような形になって、今、教えられているわけなのですけれども、それだけでいいのか、あるいはもっと違うアプローチが必要なのかという、そんな観点について、私自身は非常に関心を持っています。

この専門調査会を通じて、私自身も学ばせていただきながら、どんな問題が起こっているのかというところの整理から、消費者保護につなげていくような整理や、先ほど申し上げたような消費者のリテラシーをどう高めていくかというような、そんな広がりが出るような検討になっていったらいいなと思っております。

どうぞよろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

キャッシュレス決済は、確かに小学生、中学生でも使っていますものね。それをどうちゃんと伝えれば、いわゆるリテラシーというところにつながっていくのかというのは、恐らく基本的な整理をする中でも、とても大切な視点になるのかなと思います。どうぞよろしくお願いします。

そうしましたら、続けてになりますが、葛山委員、御発言をお願いできますでしょうか。

○葛山委員 弁護士の葛山と申します。よろしくお願いします。

今回、決済に係る検討会ということで機会をいただいたのですけれども、私の立場としましては、消費者被害の現場の弁護士という立場でお話をさせていただきたく思っております。

私なのですけれども、常設の弁護団、あと特設の弁護団、複数の弁護団に入っておりまして、また、実際の消費生活センターのアドバイザーということもやらせていただいていて、本当被害の現場で裁判実務を複数扱っているということで、この検討会では、弁護団で問題になっているところ、こういう制度上の問題があって被害救済できないのではないかというところのお話をさせていただければありがたいなと思っております。

消費者被害のうち、どういう事例が多いのかということを簡単に申し上げさせていただきますと、今、ロマンス詐欺、SNS型投資詐欺、これは、とんでもないぐらいの金額の被害が出ておるというところで、これは、1、2年前に警察庁から統計が出たのですけれども、当弁護団では、もう5年ぐらい前から激増しておりまして、検討チームをつくっております。

この検討チームに、私は当初から参加していて、問題意識として非常に強く持っておるというところでございます。

あと、クレジットカードに関するところで言うと、サクラサイト、情報商材、これは、被害はまだ減っていなくて、このサクラサイト、情報商材関連の弁護団の事務局長とかもやらせていただいております。

あと、そのほかに個別の大規模投資被害の全国弁護団等でも担当させていただいております。

特にロマンス詐欺については、何で激増しているのかというと、海外からの詐欺が非常に多いと。これは何でかというと、今まで日本語という障壁に守られていた日本があると。一方で、翻訳ソフトがこれだけ発展すると、ロマンス詐欺は、愛の言葉を翻訳ソフトでささやけてしまう。これほど高度に発展していて、これは明らかに今後もっと進展していくと。そうすると、今後明らかに激増していく被害に、対策しなければならぬと思っております。

ここで1点強く申し上げたいのが、決済に係る専門調査会ということなのですけれども、新しい決済というのは、当然、対策が必要ですと、当然暗号資産とか、海外に対する送金というのは本当に問題になっていて回収が難しいというところがございますが、それだけではなくて、銀行振込みといった古くからある決済、その運用とか制度について、端的に言うと、日本のお金が年間1000億、日本の銀行口座を経由して海外に流れているという状況がございますから、これに対してきちんと光を当てて検討しなければ、消費者被害に関する決済の検討としては、少し足りないところが出てしまうと思っておりますので、その点は本当に強く思っております。

この点について、私としては強く申し上げたいということと、あと先ほど、山田先生の方から収納代行のお話も示唆がありましたけれども、銀行振り込みに関連して収納代行の問題というところは全く手つかずでいるのかなと思っておりますので、この辺りも含めて、現在起きている大きな消費者被害に急遽対応をしなくてはいけないということと、明らかに今後増えていくであろう外国からの詐欺に対して、どうやって対応していくかというところも決済の問題として対応していくという、こういった実りのある議論ができればありがたいなと思っておりまして、これを自己紹介に代えさせていただければと思います。

よろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

被害救済の現場から見たミクロの問題とマクロの問題というのが、きっとあるのかなと思いながら、改めて考えさせていただいたところです。

それに関わる当事者も結局どういう責任を持つのかというのは、とても大切な視点かなと思います。

そうしましたら、続けまして、加藤委員。

○加藤委員 東京大学の加藤です。よろしくお願いいたします。

本専門調査会の検討事項との関係では資金決済法や銀行法を研究しております。

資料1の論点メモで支払手段の多様化についての言及がございました。この点に関して、2点ほど私の問題意識を述べさせていただきます。

支払手段の多様化の実態を理解するための基礎となる非常に有益な資料を、本日、山本委員に御提供いただきまして、私も改めて多くの気づきを得ることができました。ありがとうございます。

その上で、まず、最初に、ある事業会社が複数のサービスを提供している場合があるということを意識する必要があると思います。

さらに、山本委員の資料の13ページにありますとおり、キャッシュレス決済の中には、規制があるものとないものが混ざっております。この点に加えて、規制があるものの中でも、保護のレベルに相当差がございます。

そのため、同じ事業会社の提供するサービスを消費者が選んでいたとしても、保護のレベルに差異があり、それが消費者にとっての分かりにくさをもたらしている可能性があると思います。

2点目は、複数の事業者が提供する異なるサービスの組み合わせによって、キャッシュレス決済の仕組みが提供されているということです。

これは、先ほど御指摘があった、クレジットカード会社と決済代行会社との関係にも当てはまりますが、そのほかにも、クレジットカードは他のサービスと組み合わされる場合が多いように思われます。例えば、プリペイド会社が提供する前払い式支払手段をクレジットカードで購入する場合や、通信会社のキャリア決済を利用する消費者が通信料をクレジットカードで支払う場合が挙げられます。

このように複数の異なるサービスが組み合わされることによって、個々のサービスが単独で提供されていた場合には機能した規制の実効性が損なわれている部分があるのではないかを考える必要があると思います。

私の意見は以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

今、漠然とキャッシュレス決済というのは多様だなと困っていた頭を、今、先生に整理していただけたかなと。改めて、なるほどと、そういう形での議論を整理していかなくてはいけないのだなということを気づかせていただきました。

引き続きまして、柴田委員、お願いします。

○柴田委員 私、神戸大学法学研究科の柴田と申します。よろしくお願いいたします。

決済に関しては、直接研究の対象とはしておりませんで、専ら競争法、独占禁止法を専門にしております。

中でも事業者、消費者を含めた劣位にあるものの取引上における競争の問題ということで取り組んでおりまして、そういった場合、取引においては、ちゃんと選択肢があるかどうか、取引条件はきちんと透明かどうか、ちゃんと自主的な、任意な、自由な決定ができるかどうかというところを中心に見てきております。

最初にこのお話をいただいたときも、消費者がその仕組みを理解できずに利用していることは望ましくないと、まさにおっしゃるとおりで、やはりここの問題は非常に大きな問題で、競争法でも考えていかなければいけないのかなと思っているところでございます。

また、今日のお話をお聞きして、これもメモにもございましたけれども、こういった消費者の問題については、キャッシュレスの手段が多様化しているかどうか、あとルールの整備が不十分かどうかという話もあり、やはりルールが、規制がきちんと行き届いていないと、今日お聞きして思ったところであります。例えば、プラットフォームについても少し研究しているのですけれども、特にプラットフォームの決済については、今日、ほとんどルールがないという御紹介をいただいて、やはりルールのアンバランスというものもあるのかなと思っております。

私のほうでは、少し大きな視点になってしまいますけれども、今のルール、規制が事業者の目線になっていないか、やはり消費者目線でどうやってルールを形成していけるかということについて、皆さんの現場のお話等をお聞きして考えていきたいと思っております。

最後に、特に決算に関する情報も今後重要になってくると思いますので、この辺についても少しどういった形で情報が取られたり、利用されているかということを教えていただければありがたいなと思っております。

もう一つだけ、消費者の問題ということではあるのですけれども、例えば、決済事業者間の力のバランスはどうなっているのか、関係者が同じような力を持っているのか、あるいは誰がどうルールを決めているかという点が少し分かれば、ありがたいかなと思っております。

また、どうぞいろいろと教えていただくことばかりかと思いますけれども、よろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

競争法が本来実現している理念に基づく市場が、ひょっとしてキャッシュレス決済では欠けているのではないかと、そういう貴重な問題の指摘かなと思います。

そのことも、恐らく消費者をきちんと位置づけていくために、忘れてはならないとても大切な御指摘かなと思って聞かせていただきました。

だんだん論点が増えてきて大変だなと思っておりますが、すみません、柴田先生の問題ではなくて、本当にそれぞれのところが、みんな大切なのだと改めて思っている次第です。

そうしましたら、次に瀧委員、お願いします。

○瀧委員 このたびは、どうぞよろしくお願いいたします。マネーフォワードの瀧でございます。

私は日本で恐らく一番大きな家計簿サービスを創業して運営してきたという立場と、同時に電子決済等代行業と呼びます銀行口座をベースとした支払いを便利にしていく、そういう銀行法上の団体を運営しているという、そういう二重の立場で参っているのかなと思います。あと、FinTechの研究者としても、多分日本で初期にそれをとなえた人として、その面も少し頑張らせていただこうと思っています。

私からは、主に3点を申し上げます。

1点目は、本検討会の非常に重要なスコープとして、1つは、今、制度や規制の網にかかっていないところを丁寧に描くというのがあると思うのですが、既に制度の対象になっている、規制の対象になっている中でも、やはり支払手段であったり、購買活動そのものが変わってきているという要素があるのだと思っています。

具体的に申し上げると、20年前の私が大学生だった頃は、コンビニでクレジットカードを使っている時点で、大変なのだねみたいなことを言われたわけですね。

ただ、今は、多分そんなことはなくて、ポイントのために、むしろ使わないほうが、何かいけていないみたいなぐらいの会話があるわけでして、少額化していますと、多頻度少額化しつつ、多数の手段を使っているので、宣伝めいてしまいますけれども、やはり家計簿サービスで自動連携しないと管理ができないみたいな状況が、現にうちの業だけではなく発生しているのかなというポイントがあると思います。

購買活動自体も、ECやサブスクで、1人で全部買い物が可能になってしまうので、昔であれば、通販で物がたくさん家に届くから家族が止めるみたいな、そういう第三者ないし家族の関与によって熟慮のゆえの購買というものの要素が、デジタル時代というのは厳しくなる要素があると思っていますので、やはりこの活動を総じて捉えていかないと、多分問題の大きさにたどり着けないのかなと思っています。

現金だけだった頃は、袋分け予算みたいな表現をして、家計管理は非常に簡単だったのですね。先日、保育園に授業をしに行って、お金って何と言うと、みんな紙幣やコインのことを言うのですけれども、親がそれで払っているのを見たことがあるかと言うと、ないと言うので、親がいつも払っているものをあげようかと言って、私、デビットカードを保育園児配って回ってみたのです。1回触ってみたかったみたいなことを皆さんおっしゃるのですけれども、このギャップをどうしていけばいいかというのがあります。現金だとできたことが、今はEC化とキャッシュレス化でできなくなっているというポイントが、1つ目で非常に重要かなと思っています。

2つ目は、少し専門的なことを申し上げますが、FinTechの世界を研究していると、今日、山本先生が非常に、お金を払ってもいいくらいのいい資料で御説明をいただいた決済サービスの中が、非常に細かいレイヤーで違う会社が担うみたいなことが生まれてきています。消費者さんは、払えた、うれしいで済んでいるのですけれども、中では、例えば、カードネットワークの会社さんが課しているレギュレーションにちゃんと応えたシステムをつくるのが難しいので、専業特化して、システムが何社も挟まっていると。そうすると、何かよからぬことが起きたときに、誰をガバナンスすればいいのかというのは、結構研究していて難しいなと思っていますし、かつ人間の今のトレンドとして、便利なところに決済機能と与信機能が吸い込まれていくという要素があります。これは、Apple Payとかを取っていただくと分かりやすいのですが、生活に密着しているAppleを私たちは決済会社と思っていませんけれども、便利なものの中に決済や信用力をある意味格納していくことで、非常に消費が伸びるのだと、そういう側面が発揮されており、むしろ金融の世界では、これはいいことのように伝えられる側面もあると思います。

これは、二重の意味で、やはりちゃんと研究をするべきだと思っていまして、1つは担い手が多様化していますと、普通の会社が実は決済機能を持っているように見られていく側面があるので、先ほど述べた総合的観点でいうと、見る相手はめちゃくちゃ広がるので、どこにそのアンカーといいますか、規制手段を持つべきかというところを、少し広く捉えなくてはいけないなという問題は、この検討会の大変重要な意義だと思っているというのが2点目でございます。

3点目は、消費者委員会さんでこの会議を置かれる意義は非常に大きいと思っていまして、平時、私たちはよく金融庁さんであり、経済産業省さんであるなり、この支払手段とか、決済の高度化といった会議があるわけなのですが、これらを統合する会議を持ってくれというと、なかなか動きが生まれないというのはあったりするところです。

先ほどの表現で言うと、さらに景表法とか、公取さんまで含めた取組とかも必要になってくるところ、それをまず総合してみましょうということになります。アメリカには、今、CFPBと呼ばれる金融専門の消費者庁があります。残念ながら、予算を止められてしまったばかりなのですけれども、ただ、それがつくられてもおかしくないぐらい大きな統合問題であると思っていますので、その辺をちゃんとエビデンスベースで、問題が起きそうなところから、ぜひ取り組めていけるようにできればと思っております。

長くなりましたが、以上でございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

とても分かりやすい整理を、また、聞かせていただいて、にもかかわらず、恐らく、今、御提示いただいた問題の整理は、そんな簡単ではないなと思いながら、聞かせていただいた次第です。でも、何かすごくほっとしたのは、今日先生方からお話を聞いていると、なるほど問題の領域というのは、それぞれこういう形で考えていけば見えてくるのではないかというヒントは、今までの先生方の御発言からも、とても感じることができました。それをどうこれから私たちが整理していくかと、そういう議論なのかなと思っております。ありがとうございました。

それでは、続きまして「あいうえお」順がだんだん分からなくなっておるのですが、次は。

○友行参事官 滝澤委員です。

○坂東座長 滝澤委員です、すみません、よろしくお願いします。

○滝澤委員 ありがとうございます。学習院大学の滝澤美帆と申します。

山本先生をはじめ、皆様分かりやすく御説明をいただきまして、大変ありがとうございました。

私自身、経済学を専門としておりまして、特にマクロ経済に関する実証分析に取り組んでおります。具体的には、日本の長期停滞の要因ですとか、生産性に関する研究を行っております。

本日は、マクロ経済的な視点からコメントをさせていただきますので、何とぞ御容赦いただければと思います。

御承知のとおり、消費活動についてですけれども、GDPに占める消費の割合、55パーセント程度、300兆円を超える規模に達しておりまして、そのうち、キャッシュレス決済による消費活動は4割近くということで、山本先生の資料の中にも、キャッシュレス決済に関するデータをお示しいただきましたが、経済の動向を大きく左右する重要な要素であると考えております。

消費活動に伴う問題としては、既に御整理いただいておりますけれども、支払手段が多様化することで、消費者にとって各手段の違いが分かりにくくなって、最適な選択が困難になる問題が生じ得ると、例えば、後払い決済においては、実質金利を把握しづらいといった課題があるかと思います。

それから、行動経済学の視点で、現在バイアスといいますか、今すぐ支払不要という短期的な便益を過大評価して、長期的なコスト、つまり後の支払い負担を軽視する傾向が強まるということが指摘されていて、こうした意思決定のゆがみが生じる可能性を考慮する必要があるかと思います。

それから、サーチコストの観点からも、決済手段の多様化は、消費者にとって新たな課題をもたらしたと思います。各決済手段のコスト、手数料とか、ポイント還元率、与信条件とか、そういったものが十分に開示されないと、消費者が適切な選択を行うことが難しくなって、事業者間の価格比較も困難になるということで、結果的に消費者が不利な契約に誘導されるというリスクが高まります。

ただ、一方で、キャッシュレス決済というのは、現金の管理コストを削減して、経済全体の取引コストを低下させる要因にもなると、例えば、電子マネー、QRコード決済は、小規模事業者の決済手段を簡便化して、取引の円滑化というのに寄与するかと思います。

日本は、ベンチャーですとか、それから中小企業の参入率の低さというのが問題視されていますけれども、多様な決済手段を事業者が選択できるということは、こうした小規模事業者の新規参入を促進する可能性があるかと思います。

それから、経済学では欲望の二重一致の問題というのがありますけれども、それらを解消して、異なる市場プレイヤーが効率的に交換できる環境を整えるという面でもメリットがあると思いますし、FinTech企業の参入が増加すると、いろいろな競争が活性化して、手数料の低下とか、新たな金融サービスの創出が促進されるということも期待できるかなと思います。

それから、ポイント還元制度、キャッシュしたキャンペーンというのは、短期的に消費を押し上げる効果というものもあって、景気刺激の一因となるというように思います。

ですから、何を申し上げたいかというと、決済手段の多様化というのには、もちろん課題もあるかと思いますが、利点といいますか、よい点と両面があって、それをバランスよく評価するということが重要であると考えます。

ですから、理解を深めて、悪徳業者とそうでない業者を明確に区別することですとか、消費者保護と企業活動のバランスというのが求められているかと思います。

取引の透明性を高める技術の活用や、消費者の金融リテラシーの向上も不可欠であると思います。

最後に、私自身の興味を申し上げますと、資料1にありましたが、支払手段の多様化が消費者行動や市場に与える影響の分析というものに強い関心を持っております。

特に、どのような要因が消費者被害を引き起こしているのかを明確にするということが重要かと思います。例えば、資料によれば、多重債務に関する相談件数の増加が指摘されているのですけれども、これは決済手段の多様化によるものなのか、あるいは長期的な経済停滞による影響で、債務不履行、デフォルトが増えた結果なのか、そういった点、慎重に分析する必要があるかと思います。

定量的な指標の整備も重要な課題であると、私自身は思っておりまして、どのような属性の消費者が、どのような課題に直面しているのか、それがどの程度の経済規模で発生しているのかというのをある程度定量的に把握しないと、限られた政策資源をどこに配分すべきか、適切に判断することが難しくなるかと思います。

ですから、可能な限り、私自身の考えといたしましては数字も示していただけますと、政策議論がより実効性のあるものになるかと思います。

いずれにしましても、支払手段の多様化に伴う消費者の課題を整理して、適切な対応策を検討するという、そういった方針に賛成しているところです。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

キャッシュレス決済の普及が、様々な当事者にとって利益をもたらす可能性があること、一方で、それを具体的な利益としていくために、どういう課題があるのかということを、整理していくことが必要だという御指摘だと思います。これも大切な御指摘をいただいたと思います。ありがとうございました。

それでは、続きまして、谷本委員。

○谷本委員 立命館大学の谷本と申します。大学では、民法と消費者法を教えております。この調査会で検討させていただくことを、非常にありがたく思っております。

これまで私自身は、契約法において消費者概念が果たす法的意義とかを検討してまいりました。また、消費者信用取引における様々な法的課題についても検討してきたところです。

それとの関連で、この調査会でも信用取引に関わる検討も行うことになるかと思いますので、私もできるだけ有意義なものとなるように、検討、発言をしていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。

私自身の関心事としましては、既にほかの委員からもいろいろ出てきましたので、非常に関心の高いところとしては、まず、やはり与信取引というか、信用取引に関連して関心を持っております。

これに関連しましては、特に販売与信についてなのですけれども、消費者が対面とかオンラインで契約をするときには、サービス、商品の提供者とのトラブルがあるというときに、実は支払いとか決済というのは、今回問題になっているような決済事業者という第三者が関わっているというところが問題になるのではないかと思っております。

この問題について、従来から割賦販売法も対応をしてきたところなのですけれども、今回、山本委員の御報告にもありましたように、様々な事業者が、適用外の取引をオンラインで行っているという、そういう法の適用外であるために問題が生じているのか、適用外である中で、決済事業者というのは、法と同様のルールというものをつくって適用しているのかどうかというところにも関心を持っております。

実際に、被害の生じている原因というのがどこにあるのかというところを、私自身も実態として知りたいと思っているところですので、この調査会で検討させていただければと思っております。

実態としては、第2番目なのですけれども、ほかの委員からも出ておりましたし、山本委員もおっしゃっておりましたけれども、額の問題なのか、どうなのかというところです。つまり、オンラインで取引が行えるようになったということで、膨大な数の取引や決済が少額多量に行うことができるようになったと。

これは、結局消費者にとっては、一つ一つの取引というものについて、これが少額だからいいということになるのか、少額だからリスクが低いという言い方も今までされてきたわけなのですけれども、ここのところを全体として捉えたときにどう考えたらいいのかというところにも関心を持っております。

3番目ですけれども、結局、様々な決済手段が、前払い、後払い、即時払いと存在する中で、消費者としては、先ほどほかの委員からもありましたけれども、多様な決済を安心してシームレスに行うことができるというのが、理想的な状態であるわけで、そのときに前払いとか、即時払い、後払いについて、消費者に生じるリスクというのは、様々違う側面があると思いますので、それぞれについてどう考えていったらいいのか、あるいは決済という方法に着目して、何か共通したようなインターフェースというものをつくる必要があるのかどうかというところも関心があるところでございます。

ということですので、今後よろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

消費者信用に関わる御研究をずっと続けてきておられるので、その問題も含めて、今後、キャッシュレス決済を消費者が安心して使えるようにするために、具体的なリスクに基づいて検討していくという御指摘をいただいたのかなと思います。ありがとうございます。

それでは、続きまして、永沢委員、お願いします。

○永沢委員 ありがとうございます。

良質な金融商品を育てる会という金融に特化した消費者市民グループの世話人をしております、永沢でございます。皆様には、NACSの永沢のほうが知られているかと思いますが、私は2004年から投資信託を中心とした資産形成のための金融商品の分野の消費者問題について、いろいろと意見提言を行う活動をしております。

今回の専門研究会にお声がけいただきました背景として、おそらく、金融庁の金融審議会の下に決済ワーキンググループが設置されておりました。そちらに、森下先生や加藤先生と共に、私も委員として審議に参加しておりましたので、その関係で、こちらに参加させていただいているのであろうと思っております。

NACSからは、私と同じくNACSで活動されている宮園さんが参加されていますが、私は相談員ではございませんので、具体的なトラブルは間接的にしか知りません。そんな私に期待されている役割は、一般消費者の方にも分かるように伝えることであり、今日の山本先生のお話は、とても分かりやすかったですけれども、この後、問題の所在などを、一般の消費者の皆様に分かるようにかみ砕いていくことが必要で、そのための質問をしていく役割をさせていただきたいと思います。

その上で、私の関心事でございますが、私ももちろん決済トラブルの実情や解決方法に関心を持っておりますが、私は次のようなことに関心を持っております。

まず、私たちが20代、30代の頃には、決済のためのお財布は、まさに見える形のお財布と銀行口座で支払うと2つでしたが、今日では、見えないお財布というのが出てきています。マルマルペイとかです。

それから、銀行口座についても、以前は自分で送金指示をして支払っていたわけですけれども、今日では、銀行口座にいろいろなものがつながっていて、いつの間にか支払いが行われていくというような状況が起きていて、これは決済分野の大きな変化だと思っています。

本日の山本先生のお話をお聞きして、見えないお財布に入っていたはずのお金が盗まれてしまうリスクとか、勝手に使われてしまうリスクとか、それから支払ったはずなのに決済完了とならないリスクとか、いろいろなリスクが顕在化しているという問題が、今、決済をめぐるところで出てきているのではないかと感じましています。その中でも特に関心があるのが、決済のシステムはどうなっているのかとか、それぞれを結んでいるシステムというのは、どのようになっているのかを、システムの専門家も委員として参加いただいておりますので、お聞きできたらと思っております。

あとはポイントを巡る問題にも関心があります。ポイントの延長上で、最近、断捨離をしておりまして、サイトで使わなくなった物を売りますと暗号資産をいただけたりするような時代になっていまして、ポイントでも決済できますし、暗号資産でも決済できるようになっています。これが、この後どのような影響を及ぼしてくるのか等、それらの存在はまだまだ小規模ですが、気にかけておくべき問題のように思います。

また、ポイントによって私たちの消費行動が相当左右されているということも起きていますし、クレジットカードのポイント還元競争が過激になっており、マルマル経済圏という言葉もあるくらい、消費者行動に影響を与えています。さらに、クレジットカード会社にはセキュリティの構築に向けて設備投資が必要な状況にもある中で、こうした競争がどんな影響を与えているのか、そういったところにも関心がございます。

最後にもう一つ、キャッシュレス化の進展により、私たち消費者の決済行動がデジタルデータとして活用される時代を迎えています。先ほど瀧委員から家計簿サービスの御紹介がありましたが、私もこのサービスを使うようになって、その便利さを日々実感しておりますが、その一方で、デジタルデータが便利である一方、どのように活用されていくのかという将来的なビジョンや、何よりも自身の決済に関するパーソナルデータのセキュリティについても関心があるところでございます。研究会の後半、瀧委員から御報告いただく回の辺りで議論になるのではないかと思っておりますが、決済に関わるデジタル化されたパーソナルデータのセキュリティについて、議論していくことができたらと思っております。

私からは、とりとめもなくお話しさせていただきましたが、以上でございます。よろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

キャッシュレス決済のシステム、それから、ポイントの問題も、言わば、そこに附随してくるとても大きなポイントだと思いますし、それからデータとしての決済がなされたときのセキュリティの問題、これも御指摘いただいた重要な指摘かなと思います。

そうしましたら、宮園委員、続けてお願いします。

○宮園委員 NACSの宮園といいます。NACSでは、金融委員会に所属しております。

私の立場といたしましては、長らく消費生活相談に関わっておりまして、現在は、主に多重債務の相談を対応しております。

その中から、山本先生からの御提出資料の中でも、キャッシュレス決済システムなどの分類があるのですが、後のほうの後払い決済とか、キャリア決済、通信会社ですね、ほぼほぼそこを皆さん漏れなく利用しているという、そういった状況がございます。

だから、私の関心がある領域として、経済的に困窮している方とか、それから、発達障害だったり精神障害がある、消費者もいろいろな消費者がありますので、そういった少し弱い消費者のほうのケアをずっとやっておりますので、どうしてもその方たちの声を代弁するというか、なかなかそういう方たちは、声をパブリックコメントに出すわけでもないでしょうし、届かないと思うのですね。

ですから、そういった方たちのことを、代弁できたらいいなと思っているところでございます。

特に、キャリア決済に関して、NACSの金融委員会でも話題になっているのですけれども、払わなくて通信が止まってしまう、ライフラインがなくなってしまう、そういった問題もありますので、もう一つ何か福祉的なケアも必要なのかなと思うところがあります。

それから、どうしても消費者を保護するためには規制とか、いろいろな救済とかにいくのですけれども、現実、例えば知的障害がある方は家計簿をつけられないのですね。そういう方が債務整理をするときに、キャッシュレス決済しか使っていないと、とても簡単につくれるのです。データが全部ダウンロードできますので、その辺りがすごくありがたいところもありますので、そういういい面、悪い面を捉えながら、弱者と言われる消費者の方が安心して暮らせるような社会ができていくのが、この消費者委員会のすてきなところではないかなと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○坂東座長 ありがとうございます。

瀧委員から家計簿の管理、とても難しいという話もありましたし、滝澤先生からは、多重債務の実態をちゃんと整理して考えなくてはいけない。今、現場で、こういった課題を抱えて、一方で、多重債務の解決のときにはキャシュレスだと分かりやすいなどというのは、ちょっと衝撃的なお話も聞きましたが、そういうことも含めて、弱い消費者に対してどのようにちゃんとした配慮をしながら、システムを考えていくかというのも、とても大切な御指摘かなと思いました。

それでは、井上委員、御発言いただけますでしょうか。

○井上委員 日本IBMの井上でございます。後ろのほうに移していただいて、大変申し訳ございません、ありがとうございます。

先ほどから皆様の御発言を聞かせていただきまして、思いましたところは、私からの発言としては、やはりデジタルの仕組みという観点での発言になるわけですけれども、多様な決済の仕組みというものは、全てデジタル技術によってつかさどることができますので、技術としては、そういった多様な決済の仕組みをつくることができる一方で、利用者側の視点で見ますと、今や高齢化社会も進んでおりますし、デジタルの技術としては加速していく一方で、デジタルの不慣れな方への配慮ですとか、社会環境への変化対応ができているかどうかですとか、特に地域で行われましても、窓口といいますか、相談する先の担い手があるか、または、高齢化社会においては、見守りとか、多様な決済を活用していただきたいという啓発的な地域とのつながりがあるかですとか、バランスが、やはり難しいところで、問題が起きてくるのかなと思った次第でございます。

また、便利になり、デジタル化の進展というものが加速する一方、それだけ接点が多くなるという観点でございますと、どうしてもSNSであったり広告等々でありましたりという形で消費者につながるリスクも増えてくるところでございます。

ですので、セキュリティの重視も鑑みながらデジタル技術が提供するプラットフォームは、今後も加速していくと思っているのですけれども、先ほどデジタルデータの活用の仕方がどうであるかとか、セキュリティの守り方がどうであるか、またはこういったものにAIを活用していくのかというところもコメントでもあられたかと思うのですけれども、いかに便利になる仕組みも、一方でデジタルの接点が広がるといったときに、全ての多様な方々が、デジタルに精通している方も、そうでない方も含めて、同じだけの恩恵を受け、またはリスクをそれぞれの多様な方々に渡さないような、そういった仕組みづくりが網羅されているのかということに気をつけなければいけないと思っております。

AIもそうですし、チェック機能を強化するということは当然できますし、入口のセキュリティのところでも強化することができるのですけれども、それが多岐にわたるということと、技術がかなりのスピードで進展しておりますので、実際の使い手で何が問題になっているのかといったところを洗い出しながら、デジタル技術でちゃんとカバーすべきところはする、最終的には、人でちゃんとチェックできるような、そういう体制を組むといったところを考えていかなければならないのではないかと考えてございます。

私からは以上でございます。

○坂東座長 ありがとうございます。

恐らく技術的なところについては、井上委員からも様々教えてもらうことがたくさんあるのではないかと思っております。

また、どうぞよろしくお願いします。

○井上委員 はい、ぜひよろしくお願い申し上げます。

○坂東座長 それでは、せっかくなので、今までの委員の皆さんの御発言を聞いて、聞いていないよと怒られそうですが、山本委員、せっかくなので御感想あるいは今回の御報告は、とても分かりやすかったという御指摘があったと思いますが、そのことも含めて、今度の第2回に向けて、お考えのことなどについてお話をいただければと思います。

○山本委員 ありがとうございます。ハードルが上がりました。

あと、自己紹介をしていなかったというのもありまして、すみません、この場でというのも何ですけれども、直近は、私は事業を営む立場とコンサル業を営む立場と、あとは行政とか、消費者行政というのでしょうかね、そちらで、キャッシュレス決済が絡むトラブルのところで、もとは仕組みが分からぬというところからお答えしていきながら、いろいろ相談員さんの皆さんとかと接して、事例ごとにいろいろ解決するお手伝いをしたりとか、そんなことをしている立場でございます。

そういう意味では、事業者側はよく見えていますという点と、消費者のトラブルも割とよく見えていますという割と恵まれた立場にいて、そういうことから、こういうところに呼ばれたのかなと、すみません、自己紹介というか、感想のような表現なのですが、そんなものでございます。

あと、今日は感想、質問、御意見をいただいた中で幾つか気になったというよりも、私も同感ですというのが幾つかありまして、実は今日の御説明は、どちらかというと主観的なところを殺してり、少し理性をあれしてしゃべったつもりなのですが、主張したい主観的な意見というのはかなりありまして、そんな中で1つ申し上げますと、まさに池本先生が最初に御指摘された、私の表現でいうと、消費者が払うところは与信がされている入り口、それと出口がまさに加盟店というところで、池本先生がおっしゃられた、決済代行会社などの、そういう売る人たちと契約している人たちのところを、きちんと管理しなくてはいけないという点は、非常に重要な点だとかねがね思っておりまして、そこが抑制されているのが、完全にうまくいっているという表現ではなく、ある程度、法的に抑制されるのが唯一クレジットカードの取引だと、それ以外は抑制されていない、そういう問題がある。

入り口のほうも与信という考え方があって、そこに割賦販売法が入ってくると、そこの与信が、制度根拠が出てきて信用情報とかの照会とかになってくるわけですが、そうではない短期的な与信がされていて、その両側面というのがあるのだろうなと。

特に、技術的にも大変だけれども、加盟店をどう管理するかという問題は、あらゆる支払手段に共通して問題と、私は主観的には思っております。

あとは、いろいろな御意見があった中で、コメントということではないのですけれども、被害回復が難しいものと、割とうまくいく違いが出てきていますねという御指摘があって、私もそれをすごく強く感じているのです。

2つ側面があると思っていまして、1つは、ここでも議論できることかなというのは、やはり、制度根拠があるかないかというところで、被害回復できている、できていないとつながっているというところはあると思うのです。

もう一つは、例えばクレジットカード会社というのは、まとめた存在の中で、A社、B社、C社で全然対応が違うという問題もある、その辺はどうしてかというのは、また議論が難しいところではあるのですけれども、いろいろな事情があってそうなるのですけれども、そういう2つの問題がある。

前者に関しては、例えば規制が全くないような支払手段もある中で、そこの足並みがそろうようにしていくことが必要ではないかなと感じました。

そんなに長くしゃべるつもりはないのですが、気になった点で、これは、ここでの議論になってくのかというのは、少し分からない点なのですが、競争上の問題というのも幾つか御指摘があったと思っていまして、実は、これはかなりあると、実務的には思っています。

例えば、公取委も問題視をした国際ブランドと言われているVISAとかMastercard、私は、もともとそこの職員だったという経緯があるのですが、二十何年か前ですが、あると思います。支配的立場で、そこが崩せないという問題と、逆にそこに迎合してしまったような仕組みがあったり、あと、キャッシュレス決済の仕組みというのは、特定の事業者が割と仕切っているという状態は否定できない事実だと思うのです。それは、同じカード会社が横並びで、登録業者だけでも二百何十社がいるわけですけれども、その中ですごく力を持っているところと、そうでないところでは、まるで、その事業者の都合でどうこうしていくというところにおいて大きな違いが出ているという実態は、良いか悪いかではなく、事実として存在すると思っております。

あと、最後の点で、まだ、いろいろあるのですが、来週もお時間があるので、ここで最後に1つだけ、私も同感ですという点で言いますと、啓発の重要性のところなのです。消費者とか、そこに関しては少し論点がずれるかもしれないのですが、私も御依頼を受けて、学校とか学校の先生方あるいは教育啓発に携わる方々向けのコンテンツをつくったり御一緒したりするのですけれども、やはりキャッシュレスという概念が大ざっぱに金融みたいなところに入っていて、それは少し違うかなというのは、私は感じているところでして、金銭教育、要は、見えないお金になっていくという御指摘もいただいて、そうすると、金銭感覚というのですかね、金銭教育みたいなところというのは非常に大きく影響している。それが見えなくなって、お金を使うことのハードルが下がっていることが、やはりトラブルを増やすことに1つ寄与しているのではないかなと思いますので、そういった啓発的なヒントも、ちょっと欲張るとあれなのですけれども、こちらでまとめた中で、結果的に、そういう示唆ができるようになっていくといいのかなと、ちょっと思いました。

あと、細かく今日の資料に出てこなかったところの御関心が出てきた部分は、次の説明でも幾つか触れているところもありますので、そこで説明させてくださいと、すみません、長くしゃべりましたが、以上でございます。

○坂東座長 ありがとうございました。

山本先生の今日の御報告が出発点になる意味で、とても大きな意味があったように思います。

少しだけ私も話をさせてください。

京都産業大学の法学部で民法と消費者法を担当しております、坂東と申します。

今日、本当にいろいろなことを聞かせていただいて、なるほどなと思って頭の整理が随分できました。ただ、すごく素朴な感覚として、例えば、先ほど瀧委員からのお話にもあったと思うのですが、現金というのは減ってくのが比較的見える、つまり現金は、ある種の、現金が持っている力みたいなのがありまして、したがって、ないものは、ない袖は振れないとか、あるいは1万円を1,000札にくずした途端に何となく、なくなるのが早いとか、全然論理的根拠はないのですけれども、でも、何か皆さん、そういうところで支出をするということについて、何かの管理ができていた。

ところが、キャッシュレスというのは、先ほど来お話があるように、なかなかなくなるのが見えにくいのですね。ですから、そうした性質を一体私たちはどう考えたらいいだろうかという問題意識がすごく頭の中にあります。

一方で、案外若い学生に聞いても、そこそこ現金は、いまだに日本人は好きみたいで、コンビのキャッシュレスをどのぐらいやっていますかと聞いたら、大学生だから9割ぐらい行っているのかといったら、調査すると5割ぐらいだったので、なかなかこの辺はどう考えたらいいのだろうとも思います。

少し法律家のお話をすると、池本先生からあった、いわゆる加盟店管理義務、これは本当に重要な話で、山本委員からも御指摘のあったとおりだと思います。

もう一つ入り口のところで行くと、適正な、いわゆる与信の議論をするときに、本人確認義務というのも、実はとても大切で、そのキャッシュレスの行使をしている方が本人であるということをどう考えるかというのが、やはり入り口のところでは、キャッシュレス決済でもとても大切なのかなと。

ただ、この問題は、いわゆる法的な義務なのか、それとも技術の発展によって一定の、言わばクリアができながら、その義務をどう調整していくのかという議論なのか、それは利便性も含めてどうやって評価するのかという、とても難しい課題があるなと思っています。

ただ、キャッシュレス決済を使っている方が、本人だということを前提として物事が動いていかなければ、やはりそれは信用できるシステムにならないという部分があって、そこもぜひ考えてみることができればいいなと思っています。

今日、委員の皆さん方からのお話を聞いて、全ての御発言の中から私は気づきがありました。

ただ、一方で、すごく今少し震えが来ているぐらいなのは、宿題がいっぱい出たなと感じています。この宿題は一体誰が解決するのだろうと、人ごとみたいに言っていますが、それは、きっとそれぞれでもう一度考えてこないと、これは仕方ないぞというのが、今日の感覚です。

もちろん、消費者委員会として、それをどうやって整理していくかということを、これから考えていかなくてはいけないと思いますが、それぞれの御専門の領域で、今日いろいろ出た宿題をどういう形で分かりやすく整理をして議論に乗っけていくかということを、ぜひ先生方にお力を貸していただきたいなと、改めて思いました。

ということを話すと、ちょうど5時になるのですが、せっかくの機会なので、あと、どうしてもという御発言を2つぐらいに限って受けたいと思うのですが、いかがでしょうか。

黒木先生、お願いします。

○黒木委員長代理 すみません、お時間のないところで、この専門調査会をつくるという議論をしていたときに、どんな議論をしていたのかということを、先生方のお話を聞きながら思い出しました。

まず、政府は、国民を詐欺から守るための総合対策を策定しています。詐欺ですから、欺罔行為と錯誤と財の交付と財の取得という4段階があるわけですが、SNSを通じた欺罔行為については、表現の自由がとの関係をどう考えるかという論点があって、ここはなかなか、総務省で今やっていますけど難しいと。

しかし、欺罔行為後の財の交付と取得というところは、明らかに始まりが違法なのだから、その段階で、犯罪行為者への財の帰属を止めるということ自体はできるのではないかというのが1つありました。

更に、現在の社会を考えてみると、労働基準法上は、賃金というのは、直接払い、現金払い、月一払いとされています。しかし、これが賃金の支払について現金に替えてキャッシュレスを認めるとなっていて、社会の中ではそういう形で実装されているという現実を突きつけられています。

では、キャッシュレスによる決済がなされたからとして、債権が消滅するのかということを考えたときに、債権の消滅は、民法の債権総則にあるんですけど、弁済と相殺と更改と免除と混同しかありません、債権消滅の原因は、民法上は以上の5つです。従って、決済制度については複数の関係者による契約関係の連鎖によって債権が消滅すると理解しなければならない。

では、複数の契約の相互の関係で他の契約にどのような影響があるのか。平成2年2月の最高裁判所が割賦販売法の抗弁権の接続について、これは割賦販売法による特別の創造なのだという判決を行ったわけですね。これは、先生とかは、まさに釈迦に説法なんですけれども、だから、クレジットカードを利用した場合でもマンスリークリアは弁済みたいなもで、抗弁権の接続はないが、割賦販売になったら、抗弁権に接続するのだよという前提で割販法ができ上がっていると。

平成2年の頃は個品割賦で、例えばテレビとかを買うときに、3枚つづりの契約書があって、何とか信販とかというところの立替払をしてもらうという話でした。それが平成2年、20世紀の話です。今は全く違っています。

技術の進歩による変化は、平成2年の頃とは全く違う。技術は価値中立的だと思います。そして、技術がどんどん進んでいったときに、全く法律制度が追いついていないという現実を突きつけられました。これをどう考えるかという点がありました。

そして、消費者委員会というのは、どこの省庁に対しても消費者問題だという切り口であれば、いろいろなことを検討すべきと申し入れる権限があります。それで、今のような話をしていくと、割賦販売は経産省ですし、それから、資金移動業とか、銀行法とかになると金融庁になってしまう、キャリア決済だと総務省になると、こういう形で各省庁にいろいろな権限と問題点が散在しているわけです。

これだけの債権の消滅に向けた様々な問題がFinTechという名前の中のマジックワードの中に包み込まれてしまっていることを受けて、これをもうもう一度、民法の複数契約は相互に無因であるということも含めて、技術と法律の両面から、やはり考えていかなくてはいけない。最終的にはシステム責任みたいな議論も含めて考えていかなくてはいけないのではないかと考えています。

これだけの大きな論点は、到底本委員会ではやれないし、それだけの時間もないし、また、多くの専門家を集めて、重層的な議論をするためには、やはり専門調査会でないと難しいねということで、専門調査会を設置すべしということを述べたところがあります。

ということで、今日、山本委員からのお話も非常に分かりやすかったと思いますし、今の最先端の議論がよく分かりましたので、今後ともこの議論を、できるだけオブザーバーとして参加させていただきたいと思っています。

以上です。

○坂東座長 ありがとうございます。

どなたかお一人に限って、どうですか。

皆さん、協力的ですね、ありがとうございます。

そうしましたら、今日は、おなかいっぱいになったということで、以上で本日の議論は終わりにしたいと思います。

山本委員におかれましては、大変整理のできた分かりやすい報告をありがとうございました。ただ、これで終わりではなくて、もう一回ありますので、続けてよろしくお願いします。

また、山田先生にも、次回、どうぞ御報告をよろしくお願いいたします。

また、委員の皆さんからは率直な御意見をいただきまして、大変ありがとうございました。議論をいただいた内容も踏まえて、次回以降も継続的にこの問題についての議論を進めていきたいと思います。

≪3.閉会≫

○坂東座長 事務局のほうから、何かございますでしょうか。

○江口企画官 本日は長時間にわたり、ありがとうございました。

次回の会合は3月10日月曜日、13時からを予定しております。

以上です。

○坂東座長 それでは、本日は、お忙しい中御参集いただきまして、ありがとうございました。

本日の会議は、以上にて終わりにしたいと思います。御苦労さまでした。

(以上)