第10回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会 議事録
日時
2024年9月17日(火)15:00~17:03
場所
消費者委員会会議室・テレビ会議
出席者
- (委員)
- 【会議室】
沖野座長、大屋委員、加毛委員、二之宮委員、野村委員 - 【テレビ会議】
石井委員、河島委員、室岡委員 - (オブザーバー)
- 【会議室】
鹿野委員長 - 【テレビ会議】
大澤委員 - (消費者庁)
- 【会議室】
黒木審議官、古川消費者制度課長、原田消費者制度課企画官、消費者制度課担当者 - (事務局)
- 小林事務局長、友行参事官
議事次第
- 開会
- 議事
中間的な整理に向けた議論 - 閉会
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1. 開会》
○友行参事官 定刻になりましたので、消費者委員会第10回「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」を開催いたします。
本日は、沖野座長、大屋委員、加毛委員、二之宮委員、野村委員には会議室にて、石井委員、河島委員にはテレビ会議システムにて御出席いただいております。なお、室岡委員も少し遅れてテレビ会議システムにて御出席いただく予定となっております。
本日、所用により、山本隆司座長代理、小塚委員は御欠席との御連絡をいただいております。
消費者委員会からは、オブザーバーとして、鹿野委員長には会議室にて、大澤委員にはテレビ会議システムにて御出席いただいております。
配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。
一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会議室で傍聴いただいております。議事録については後日公開いたします。
それでは、ここから沖野座長に議事進行をよろしくお願いいたします。
《2.中間的な整理に向けた議論》
○沖野座長 ありがとうございます。暑い中ですが、本日もよろしくお願いいたします。
早速、本日の議事に入らせていただきます。
本専門調査会では、昨年末に第1回を開催して以来、前半の検討テーマについてヒアリング等を行い、検討を重ねてまいりました。その上で、後半の議論にスムーズに接続するために、前半での議論内容を中間的に整理しておくこととし、前回、前々回とかけて、これまでの会議を振り返りながら議論を進めてまいりました。
今回は、前回までの議論を踏まえて、事務局にて中間整理の案を作成してもらっています。箇条書きになっているものが文章になるといかに大変かというのがよく分かります。事務局には大変御尽力をいただきました。この案を基に、中間的な整理に向けた議論をしたいと思っておりますので、まずは消費者庁より本日の配付資料について御説明をお願いいたします。
○原田企画官 沖野座長、ありがとうございます。消費者庁消費者制度課の原田です。
本日の配付資料につきまして御説明します。
前々回第8回及び前回第9回では、前半の検討テーマについて御議論いただく素材として、第2回専門調査会で御確認いただいた検討テーマに沿って、それまでの御議論内容を整理したものを御用意しました。そちらを基に、第8回及び第9回の専門調査会で行われた御議論の内容を踏まえた加筆などをいたしまして、諮問文等の参考資料を加えて、中間整理(案)を作成しました。中間整理に向けた議論の内容が適切に反映されているかなど、御確認いただければ幸いです。
私からは以上です。
○沖野座長 御説明ありがとうございました。
それでは、資料1、これが中間整理(案)ということになりますけれども、案を取った中間整理を形成していくに当たって、これらの記載について御指摘をいただきたいということでございます。
記述の仕方がこれでいいかとか、並びがこれでいいかとか、これまでの議論を適切に反映しているか、欠けているところがあるのではないかということを、前回、前々回の御指摘を踏まえておりますけれども、そこで十分指摘されなかったこともありましたら、遠慮なく御指摘をいただければと思います。
議論の対象を分かりやすくするために、この中間整理(案)の目次順に区切って進めてまいりたいと思います。
まずは1ページの29行目から始まります「1.消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者取引全体の法制度の在り方について」のうちの「(1)消費者法制度における“脆弱性”概念の捉え方について」という部分、これが5ページまでになります。(1)の部分につきまして御発言がありましたら、挙手、またはオンラインの方はチャットにてお知らせをいただきたいと思います。1ページから5ページまでというところですが、この記述につきまして、気になる点であるとか、不足の点ですとか、お気づきの点がありましたらお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
二之宮委員、お願いします。
○二之宮委員 二之宮です。
一点確認なのですけれども、これはあくまでも後半に向けた中間整理、前半の整理という位置づけであって、後半の議論を踏まえて最終的な取りまとめが行われる段階になって、後半の議論を踏まえて改めて前半部分、中間整理にあたる部分の修正もあり得ると捉えておいてよろしいのでしょうか。
○沖野座長 改めて事務局から補足をしていただければと思いますけれども、御指摘のとおり、前半を受けて、この後後半に入っていくために一旦の取りまとめを行うという形ですので、後半の議論によって、前半についても例えば“脆弱性”概念の捉え方だとか、そういうところが変化をするというのはあり得るという想定ですので、あくまで前半の議論を受けたこの時点での取りまとめ、後半に向けてというものと理解しております。
事務局から何か補足あるいは修正いただく点ございますか。
○黒木審議官 今、座長に御指摘いただいたとおりでございます。その辺り、今は案でございますけれども、この中間整理の位置づけを明らかにするべく、1.の前のところに前文として、この中間整理の位置づけについて、あくまでも今後の議論の便宜のために、これまでの議論を今時点で整理をしたものということで記させていただいているところでございます。
○沖野座長 ありがとうございます。
今、対象として1ページの前文に当たる部分というのを特に指定しておりませんけれども、この性質についての書き方だとか全体にわたっての説明ということになるかと思います。最後にそこを御指摘いただければと思っておりましたけれども、今の時点で12行目から27行目までの書き方だと少し疑義があるというようなことはございますでしょうか。
二之宮委員から、今の応答に関してさらにございますか。
○二之宮委員 ありがとうございます。
5ページまでに関して、今の御意見、今後の在り方を踏まえて確認させてもらったのは、パラダイムシフトの中で、前半、後半、最終的に全体の取りまとめとなった段階で、特に前半部分の議論の肝の部分というか核の部分は、2ページから3ページのイのところで、「消費者の脆弱性」を捉える必要性、この必要性を根本的に正面から捉えるのだというところが出発点だと思っております。
3ページに入って19行目以下で、「以上を踏まえれば、今後の消費者法制度においては」というところで、それまでの要素を踏まえてこう考えるべきだというところが書いてあり、これはそのとおりだと思います。議論のとおりだと思います。
中間整理として修文の必要まではないと思いますが、前半の部分はどうしても分かりにくいというところが、一般の方あるいは消費者問題に携わる方でもやはりあると思います。抽象的な議論だというのもあるのでしょうが、このイの部分の書き方だけだと、ここだけを拾うとなると、どうしても価値判断的な書き方と捉えられないかという心配がある、私としては懸念しているところです。ここは議論に参加している者にとっては共通認識であって、筋立てて書いていただいているので分かりやすいとは思いますが、一見ここだけを見ると分かりにくい面もあるのかなと思って読んでいました。
脆弱性というのをなぜ正面から捉える必要があるのかということに関して、ここではしっかり書いていただいていると思いますが、後半の議論の中でむしろ出てくるのかも分かりませんけれども、第2回のカライスコス先生からEUの状況、法整備の状況を御紹介、御説明いただきました。そこでは、改めて脆弱性を正面から捉える必要があるのだという議論をしているのではなくて、それはもう当然の前提として、具体的にはどういうふうに法整備をしていくのか、進めていくのかという話だったと思います。脆弱性を正面から捉えるべきなのだということは、理屈だけ筋立ててという説明だけではなくて、諸外国の状況がどうなっているかということは、脆弱性を正面から捉える必要性の裏づけになるのだろうと思います。
後半で、いろいろな規範の在り方、実効性の在り方を議論したときに、諸外国の状況はもう一度出てくるのかも分かりませんけれど、そうするとここのさらなる補強材料になるのではないかと思いました。ただ、前半の中間整理で修正とかそこまでは必要ないと思います。
以上です。
○沖野座長 御説明ありがとうございました。
必ずしも修正は必要ないけれども、これを読んだときの受け止め方として、今、二之宮委員がおっしゃった消費者の脆弱性というのを消費者法において正面から捉えるということは、まさに出発点となるべき事項だというところが、そういう考え方もあるとか、なぜそうなるかの分析によってやや薄まっているとすると問題であるという御指摘かと思いました。書きぶりは特に修正は必要ないということでしたが、もしより適切な表現などがあれば、考える余地があるのだろうと思います。ただ、必要性を正面から捉えて、どういう制度設計をするのかとか、法制度として受け止めていくかという議論がまさに後半になされますので、後半の議論においては一層明確になってくるかと思います。
それから、諸外国での状況は、今回は必ずしもその部分を詳細には捉えていなくて、それぞれのヒアリングを見ていただければということにはなっていたかと思います。ただ、EUではむしろ消費者の脆弱性を正面から捉えることがなぜ必要かだとか、それ自体がどういうことなのかということ以上に、それはもう当然であるとして検討がされているのだということですが、しかし日本の状況を見たときに、そこはきちんと踏まえる必要があるということで、ただ、価値判断とおっしゃったのは、いろいろ考え方があるというレベルの話ではなくて、それを共通認識としていこうという点は、まさにここで御指摘されたことだと思いますので、後半につなげていくに当たっても確認はしておきたいと思います。
繰り返しですが、御指摘をいただいて、もし適切な修文があればよりよい方向に考えたいとは思いますけれども、今のところはそこまでの必要はない。しかし、懸案点というか、考えておくべき点、それから、場合によっては後半の検討を踏まえた最終報告においては少しトーンというか書き方が違ってくる余地も十分あり得るということで、御指摘をいただいたということにしたいと思います。
それでは、今の箇所についていかがでしょうか。さきほどは置いておきましたけれども、前文のところも含めて、5ページまでの間で脆弱性関係はいかがでしょうか。
加毛委員、お願いします。
○加毛委員 二之宮委員の御発言にも関わるかと思いますけれども、2ページから3ページにかけて、7点ほど「現代の消費者を取り巻く環境」の変化が挙げられています。ここで挙げられている諸点がどのような関係にあるのかについて、もう少し整理してもよいのではないかと思いました。とりわけ3ページの2行目からの三つの点は、その前の四つの点とやや性格の異なることであるようにも思われます。
まず、2ページ30行目から3ページ1行目までの四点は、デジタル化の進展や技術の発達を背景として様々な情報を収集することができるようになり、その分析に基づいて新たな知見が得られるようになったことに関係する環境の変化なのだろうと思います。そのことを受けて、3ページの10行目の「他方で」から始まる段落では、法制度の基礎に据えられるべき人間の在り方について、従来よりもはるかに精緻に捉えることができるようになったことが指摘されます。技術の進展によって、これまでは一定の類型でしか人の脆弱性を捉えることができなかったところ、より個別的な各人の属性を把握できる状況になったわけです。このことは一方で、その成果を、消費者あるいは個人のよりよき生の実現に結びつけることがあり得るだろうと思います。ソフトロー的な規整を含む消費者法制について、それが消費者・個人のよりよき生の実現に寄与するものであるように、議論を積み重ねていく必要があるものと思います。
他方で、3ページ14行目の「さらに」から始まる段落では、最後のところで、「「消費者の脆弱性」が深刻化する側面もある」とされ、技術の進展による情報の収集・分析の深化の結果として、従前よりもはるかに深刻な問題が起きているという技術進展のマイナスの側面が指摘されています。そのような問題に対して、これまでの法制度による対応が十分でないとすれば、法制度を改めていかなければならないだろうと思います。
このようにデジタル化の進展や技術の進歩による情報収集・分析の深化には、プラスの側面とマイナスの側面があり、それぞれについて消費者法制として考えなければいけない課題があることを、この中間整理(案)は適切に示しているものと理解しました。
その一方で、冒頭で申し上げた3ページ2行目から挙げられている3点のうち、「24時間取引にさらされる状況の拡大」はデジタル化の進展と関わるのかもしれませんが、「高齢化の進展による認知機能が不十分な消費者の割合の拡大」や「コミュニティーの変容(希薄化)」などは、デジタル化の進展・技術の進展による情報の収集・分析の深化とは結びつかない環境の変化であるように思われます。どのような環境変化に対していかなる対処が必要になるのかということが、中間整理の中核的なロジックになると思いますので、この点について、もう少し検討してもよいのではないかとの印象を持った次第です。
もっとも、環境の変化について決め打ちのような分析をするのは望ましくないという考え方もあるだろうと思います。そのような考え方に基づいて、消費者をめぐる環境変化について、現在起きている現象を並列的に説明するにとどめるというのも、一つの立場であることは理解しておりますので、以上の点を強く申し上げる意図はございません。
以上です。ありがとうございました。
○沖野座長 ありがとうございました。
2ページの21行目からのイの部分というのは、消費者の脆弱性を既存の枠組みにとらわれず捉えていく必要性ということで、その出発点の段階では、近代法の強い個人のモデル、それから事業者と消費者の間の情報交渉力に着目した格差、それから問題性の強い取引や契約類型の対象というところからさらに転換あるいは進展させていく事情が生じていると、最終的にはそこにつなげたいということですが、ただ、それをもたらす現象は様々なものがあるということで、デジタル化自体、あるいは情報についてはむしろ後のほうのデジタル化や情報のところで改めてまとめ、例えば2ページの30行目にある消費社会の複雑多様化、あるいは取引の個別化というのは、それ自体むしろ利便性が高まっているというようなところもありますので、しかしながらそれに対応できるかという問題も生じているということで、ここからさらによい面もあるし、そうでない面もある。あるいは、御指摘いただいた3ページ10行目からの展開で、人間の在り方について、従来よりもはるかに精緻に捉えられると、これをどう活用していくかという問題が、いい面に活用していくという面もあるし、悪用される面もあるしというようなことがあるので、これら自体が多様な面を持っているということかと思いまして、そこから問題事象や考えるべき観点をある程度分析できればそれはいいのですけれども、決め打ちもし難いという面も確かにあるかと思います。並びがこれでいいかという問題も少しあるかもしれません。
大屋委員、お願いします。
○大屋委員 例えばということですけれども、高齢化とかコミュニティーの希薄化というのは、従来の消費者法制の枠組みでも問題になる事象であると考えると、イの第1段落でこれまでこうでしたという説明をしましたね。その中で問題になる高齢化やコミュニティーの変容といった要素については、言い方は悪いけれども着実に悪化しているとか、さらに深刻化してきているとまずまとめましょうと。それに加えて、しかし、現代の消費者を取り巻く環境としてはというので、先ほどおっしゃったようなデジタル化関係がまとまってくる。24時間取引についてもデジタル化の影響がかなり大きいと思うので、こちらにまとめてしまっていいかなと思うのですが、そういうふうにやると、要するに従来の問題も深刻化しているという話と、加えて新たな構造の問題が出てきていますという話がしっかり区別されて書けるのでいいのかなと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。一つの書き方や整理の仕方として有力な御提言をいただいたと思います。
デジタル化ということに着目して、その特徴を捉えて行くというのが一つ。この後もそういう整理になっていきますので、そこを抜き書きするので、環境の変化ということからそれを捉えるというのはあり得ることだろうと思います。
一方で、現代の消費者を取り巻く状況というときに、割と3本柱で言われる高齢化、技術の展開、国際化、高齢化は社会構造の変化として少子高齢化がもたらす様々な事象ということでもありますので、消費者契約法制定の頃からそれは言われていたわけなのですけれども、そういう意味では、現代の消費者を捉える、しかも消費者契約法でその部分が十分捉えられていないというのは、一番最初の附帯決議にも表れていたことではあったので、前から問題視されていることなのだけれども、デジタルのところだけをよりフォーカスして取り上げるのがいいのかどうかはさらに検討が必要ではないかと今の御指摘を伺って思いました。
2ページの30行目からのこの並びがどういう並びなのかという問題もあって、取引状況自体の変化と今度は消費者側の変化というようなことも考えられるかと思いまして、並べ方はいろいろあるので、御指摘を踏まえてさらに検討をお願いしたいとは思います。
この点につきまして、あるいはほかの点でも、脆弱性関係の部分についていかがでしょうか。
河島委員、お願いします。
○河島委員 議論の混乱をかえって招いてしまうかもしれませんが、いま議論になっている箇所で高齢化の進展について言及されているのですけれども、若年層の消費者トラブルを踏まえた記載もあったほうがよいのではないでしょうか。成人年齢の引下げに加えて、若い人が自分自身のスマホを持っていて、ゲーム課金などのトラブルに遭うことが非常に多くなっているからです。
さらに障害者も小さなスマホを使っているため、周りの人が状況を把握しにくく、気づいたときには大きな消費者トラブルになっているケースを踏まえると、やはり障害者についても記載があったほうがよいと思います。
○沖野座長 ありがとうございました。
先ほど少子高齢化という話をしましたけれども、年齢の話のときには常に若年層というのが出てくるわけですが、御指摘のとおり取引自体の在り方の変化によって、まさに一つの問題となる消費者の話がそこに出てきていますので、環境と言っていいのかどうか、ここに位置づけるのか、それともデジタル化によってどういうことがもたらされているかのほうなのかもしれませんけれども、うまく入れられればここに入れることの検討をお願いしたいと思います。
今の御指摘に関してでも、あるいはほかの部分についてでも、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、最後に改めて全体についてお伺いしますので、次に進めさせていただきます。
5ページ以下、1のうちの「(2)『客観的価値実現』((取引環境・取引結果の)安全な状態の確保)の位置付けについて」が7ページまでです。5ページから7ページの(2)の部分について、御発言、御指摘をいただければと思います。いかがでしょうか。
この部分は今のところよろしいでしょうか。
加毛委員、お願いします。
○加毛委員 「(2)」についてはこのままでもよろしいのではないかとも思いますが、若干気になった点を申し上げます。まず、5ページから6ページにかけて「選択の実質性を保護するアプローチ」と「結果としての幸福を保護する」という考え方を対比する形で議論が展開されています。この辺りは論旨を追いやすいだろうと思います。
他方、6ページ22行目の「加えて」から始まる段落は「自身の生活を当該消費者に依拠している者の「幸福」」について論じており、7ページ1行目から始まる段落は「他者のニーズにどのように応答すべきか」というケアの理論に関する議論を取り上げています。これら最後二つの段落は、専門調査会における検討内容を踏まえたものであり、その記述があること自体はよいことであるのですが、その直前までの議論とのつながりが読み取りにくくなっている印象を受けました。
なお、最初の発言の冒頭に申し上げるべきだったのですが、この専門調査会では実に様々な考え方や意見が提示されたのであり、この中間整理(案)のように、それらを適切にまとめるのは大変だっただろうと拝察します。中間整理(案)をご用意いただいた事務局には、敬意を表したいと思います。そのことを申し上げた上で、しかし、少し読みにくくなっているところがあるのではないか、というのが、以上の発言の趣旨になります。
○沖野座長 ありがとうございます。
この(2)は小見出しなしで一気に書かれているのですが、御指摘のように、6ページの22行目からの「加えて」というのは、消費者サイドの他の者へ影響していくという話、最後はいわゆるケアの問題なので、それぞれ違う事項を「加えて」というような形で展開しているのですが、それが分かりにくさを生んでいるのかなと思います。ただ、この点はいずれの点も後半の法制度が何を受けるか、それを受け止めていくに当たっては大変重要なことですので、もう少し分かりやすくするのはなかなか文章表現では難しくて、小見出しア、イとかをつけるかどうかという辺りかなとは思っております。もともとこの文章自体もここで一旦切れているということではあるのですが、しかし、読んでいく分には一気に読んでしまうので、分かりにくさは確かに出ていて、もう少しこの部分を分かりやすい表現にできるかというのは検討事項として受け止めるということにさせていただきたいと思います。妙案がなければ、これでいかざるを得ないかなとは思っております。
今の点につきましても、あるいはそれ以外でも、(2)「客観的価値実現」の位置付けについて、いかがでしょうか。
それでは、進めさせていただきまして、次に1の(3)、7ページからになりますけれども、「金銭の支払いに限られない消費者取引の拡大(情報、時間、関心・アテンションの提供)への対応の在り方について」、7ページから9ページの部分につきまして、御指摘、御発言をいただければと思います。いかがでしょうか。
石井委員から御発言のチャットが入っていますので、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます
7ページから9ページまででよろしいですね。
○沖野座長 はい、(3)のところをお願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
いろいろな議論が出る中で、非常にきれいにまとめていただき、ありがとうございます。
私からは、個人情報関係の観点から少しコメントさせていただこうと思います。
まず、8ページ目の真ん中より少し下の段落で、「また」から始まるところがあるかと思います。ここで書いてある文章は、特にその段落の下のほうで「事業者が消費者から有償・無償にかかわらずデータやプロファイルを受け取り」ということも書いてありまして、個人情報に関わる文脈かと思いますが、そうした観点からも、消費者の概念を生活者まで広げるといったときの「生活者」とは何を示しているのだろうかというところがやや分かりにくいという印象を抱いたというのが一点目です。
それから、9ページ目の一番下の段落で、隣接法分野との関係をお書きいただいているのですが、具体的に示しても支障はないような気はします。例えばプライバシー、個人情報保護の分野、それから競争法の分野というように書いていただいても、もう既に交錯する領域で議論になっているものは出てきていますので、個別に挙げても良いだろう思いました。
もう一点、これからの議論に関わるところかもしれないのですが、ヨーロッパのほうでいわゆるconsent or payモデルの議論があると承知しております。欧州司法裁判所の判断を受けてメタが提案したものが、個人情報保護領域の監督機関の集まりである欧州データ保護会議の意見書で、有効な同意ではないと指摘を受けていたり、報道レベル程度ですが、競争法の領域や消費者保護の領域でも当局が執行をかける動きがあるという議論が出てきています。アテンションを提供することを拒否する場合に、金銭的な支払いをする、広告が表示されないようにする対価として費用を払うことの妥当性が議論されているということだと理解していますので、こういう動きも踏まえるということがニュアンスとして入ってもいいのではないかと思いました。
差し当たり以上になります。
○沖野座長 ありがとうございます。
3点にわたって御指摘をいただきまして、最初の8ページの特に一番左側の行数で申し上げますと、28行目から29行目の「そういった観点からも、『消費者』の概念を『生活者』まで広げる」という、対比される消費者の概念と生活者の概念とは何かということが分かりにくいということだと思います。そして、生活者を定義するのは、もともとあまり厳密な意味で使っていないので、ここでいう生活者がどういうことかというよりも、生活全般というような話に着目をして、狭義あるいは古典的な意味での消費者にとらわれずということではないかと考えました。これはビジネスサイドからも自然なことだという御指摘ですので、恐らく生活者を定義するのは非常に難しいので、28行目の消費者の概念を伝統的な消費者とかから生活者のほうに着目をして、概念自体をここまで広げるというよりは、着眼を広げていくとか、それから、そのときにも従来型の消費者が何かという問題はもちろんあるのですけれども、そこに限られずに、「消費者から有償・無償にかかわらずデータやプロファイルを受け取りビジネスに活かしていく」という、この辺りで想定されるようなものに広げていくということだと思いますが、大屋委員、お願いします。
○大屋委員 言っている内容は今、沖野座長がおっしゃったことと同じだと思います。8行目から9行目に、「従来は主に有償の取引、特に消費者が対価として金銭を支払う取引を念頭に置いた規律」という記載がある。これを受けて、これが従来型の狭い伝統的な消費者概念だが、逆に消費者が金銭を受け取るケースもあれば、金銭以外のものがやり取りされるようなケースもあるということで、そういうところを扱う概念として生活者を出してきたという展開からすると、28行目の「そういった観点からも」の後に、消費者の概念を、従来伝統的に想定されてきたような金銭を事業者に支払う者として考えるのではなく、限定的に考えるのではなくみたいなことを入れるとよいのではないかと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
石井委員、いかがでしょうか。生活者を定義するよりも、狭いので捉えるのではなくということをより強調するような形で。
○石井委員 趣旨は理解しました。大屋委員のおっしゃる御提案でより明確化されると思いました。
お聞きしたかったのは、生活者という表現が使われているところでして、ここでいう「生活者」というのは、個人情報の主体である個人も含めて生活者と捉えていいのか、そういう文脈ではなく、消費者との関係でより広く、生活空間における主体全ての生活者として捉えておくということでしょうか。個人情報云々というのはここでは出てこないという理解をしておけばいいのか。お聞きしたかったのはその点でした。
○沖野座長 私の理解が間違っていたら訂正をしていただきたいし、また修文につなげていただきたいと思うのですけれども、ここでは従来型のまさに今、大屋委員から御指摘いただいた主に有償の取引で、消費者はお金を出す、経済的な被害というような話になっていくというのが取引では中心的であるという理解です。もちろん製造物責任で人身に被害が出るということはあるのですけれども、そういった取引としては形態がそうであったのが、むしろ消費者のほうからは、金銭だけではない形のもの、物の場合もありますけれども、情報あるいは関心やアテンションの提供が出てきている。
それから、有償・無償というのも厳密な意味で本当にそれが無償なのか。ポイントの話なんかも出てきたかと思いますけれども、そういうわけで、従来の消費者概念では捉え切れない。それがビジネスサイドから見ても、むしろそういうビジネスとして考えているのは、消費者からいかに金銭を引き出すかとかいうような話ではないということで、その意味で、生活者として捉えるということ自体がアバウトな言い方ではあるのですけれども、従来型でない形で捉えていくということですので、石井委員が今おっしゃっていただいた二つの対比の個人情報の主体としての意味と、よりそれにとどまらない生活領域における取引をしていく主体ということからすると、必ずしも個人情報の主体にはとどまらずに、生活全般にわたって取引をしていくことになる主体ということで考えているのではないかと思うのですが、それが個人情報の主体としての個人というものを排除しているわけではないと思います。これは石井委員の問題の指摘を正確に捉えていないかもしれません。
○石井委員 分かりました。含まれるということだと思いますので、主として生活者のかぎ括弧の前に大屋委員御提案の文言を入れていただけると、より明確にはなるかなとは思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
生活者というのがそれは何だということを問題として浮かび上がらせるようならば、ここでは消費者概念をもっと広げていくということが大事なので、生活者まで広げるという表現のほう自体も見直していいのかもしれません。あるいは、生活者への言及というのは、この限りでは抜いてもいいのかもしれませんけれども、趣旨をより明確にできる表現は何かということで考えていければと思います。
この部分について、さらに指摘をいただくことはございますでしょうか。差し当たりこの記述自体についてです。石井委員からさらに二点御指摘いただいていて、そちらはまた次に御議論いただきたいと思うのですが、差し当たりは今のここの部分の書き方などについてはよろしいですか。表現の工夫ぶりについては御提案もいただいたので、それを踏まえて修文を考えていただければと思います。
それから、御指摘のあった二点目が、隣接分野という9ページの29行目、隣接法分野とはどこだという問題は確かにありますので、プライバシー、個人情報保護、そして競争法などという形かと思いますが、それを具体的に挙げていただいたら、特にこの関係では明確になると思いますので、御指摘のように修文をお願いできればと思います。
3点目のヨーロッパの展開も含めて、同意の取得、それからアテンションの提供自体についての同意や選択、さらにはその場合のそれが拒否されるというときの金銭支払いという形の妥当性の問題ということもあるので、そういった点についても言及をしてはどうかという御指摘をいただきました。これを入れるとしますと、どの辺りにどういう形で入れていくのがよいかという点について、さらに石井委員からイメージなりはありますでしょうか。
○石井委員 余計な発言をしてしまったのかもしれないのですけれども、ニュアンスとして少し入れていただくとすれば、「イ 対応の在り方」の「隣接法分野との関係を意識する」の後ろの段落で、やや抽象的な書き方で、プラットフォーム事業者が広告を表示しない代わりに手数料を支払うというオプションを提供していることについての、同意の有効性がヨーロッパでは議論されています。それも一つの取引ということではあるのですが、それが消費者にとっての真の選択になっているのかが意思決定のところで課題に上がってきて、消費者保護の観点でも、個人情報保護の観点でも、論点になるところだと思います。ヨーロッパではそういう議論がある、論点になっている、という程度の粒度で一番最後に少し頭出ししていただくと、後半の議論でさらに深掘りできるかもしれない、ということでございます。
○沖野座長 ありがとうございます。
今、御提示があったのは。
○石井委員 9ページ目の隣接法分野との関係で、consent or payモデルを具体的に示していただく必要はないと思いますが、広告が表示されない対価として支払いをするというオプションが提供されている例があって、それが同意の有効性に関わる問題ですので、そうした海外の動向も注視しておく必要があるのではないか、書いていただくとすればその程度で良いかと思います。必ずしも入れてほしいというわけでもありませんし、海外動向を注視するというのはほかのところにどこかで書いてあったような気もしますので、それで吸収できるのであれば、全く問題ないかとは思います。
○沖野座長 ありがとうございます。
一般論としては、9ページの10行目から、消費者が安心・安全取引ができる環境の整備、取引の健全性や信頼の確保、それに加えて自律的な意思決定の確保や人格的価値、生活者としての観点も踏まえて規律を整理していくという中には、自律的な意思決定というときに選択肢が提供されて、一定の表示に同意をしないときには、逆に金銭支払いというような選択肢があるような場合に、それが果たして同意としての実質があるのかというような問題なども出てきている。海外では論じられている例もあるということなども捉えてはどうかという言及をしてはどうかということを御指摘いただいたのだと思います。29行目以下のところでどこか組み込めるか。特に隣接法分野の中から出てきていることだということですので、個人情報保護と自主的な選択や決定ということが両方問題になるような、消費者法でも問題になるという場面のことなので、海外の情報についてあまり細かく入れることはできないかもしれないですけれども、最初の二之宮委員のご指摘に対応した点でもあることかと思いますが、少しそういう例も含めて、ここがいいのか、もうちょっと違うところがひょっとしたらあり得るかもしれないのですが、言及なりしてはどうかということを御指摘いただいたと思いますので、うまく接合できるかを考えたいと思います。特に同意について、金銭を払うことによる選択肢という問題は特徴的なことのように思われます。
加毛委員、お願いします。
○加毛委員 三つほど申し上げたいことがあります。第1に、ただ今、石井委員から指摘があった9ページ29行目から34行目は、言いたいことが伝わりにくいと私も思いました。最後のところで、「他の消費者全体にも影響が生じるということを含めて消費者法制度の対象と捉える視点も重要である」と書かれていますが、この表現から私が想起したのは、第5回の競争法に関する滝澤先生のお話でした。消費者保護にとって望ましいと考えられる施策が、別のところで問題を引き起こし、社会全体に望ましくない帰結をもたらし、かえって消費者にとっても不利益となる可能性がある、とのご指摘があったかと思います。このような理解があたっているのかも、9ページの表現からはよく分からないところがありますので、もう少し具体的に記述してもよいのではないかと思いました。
第2に、7ページ13行目では「(3)」として「金銭の支払いに限られない消費者取引の拡大」という形で問題が切り出されています。そしてそれを受けて、金銭は支払っていないものの、情報を提供したり、関心やアテンションが奪われたりしていることを、消費者被害として把握すべきことが指摘されており、重要なポイントであると思います。
他方で、8ページ18行目では、「更には、自律性の侵害等を消費者被害と捉えた場合には、有償・無償という指標によることなく法制の在り方を検討するという考え方も必要である」と書かれています。その内容自体は、そのとおりであると思うのですが、情報の提供などを対価として把えることと、自律性を侵害とは、性格の違う問題であるように思います。そして、自律性の侵害の問題については、9ページ15行目から始まる最初のナカグロにおいて「自律性への影響自体を消費者被害と捉えていくことが考えられること」として論旨が展開されているのですが、この点は、「金銭の支払いに限られない消費者取引の拡大」とは別の問題であるように思われます。そこで、8ページ6行目から始まる段落の最後の文章について、対価の問題とは異なる問題を指摘していることを明らかにすることで、読み手の理解が深まるのではないだろうかと思った次第です。
3点目は表記の問題なのかもしれませんが、8ページ30行目において「事業者と対極にあって事業者との間で」と書かれているのですが、「事業者と対極にあって」という表現が何を意味するのかが私はよく分かりませんでした。「消費者」という表現は、生産と消費の対比を想起させるため、ある個人が自らの情報を提供するなどして一種の「生産」にも寄与しているのだとすれば、「生活者」という表現がよいのか分かりませんけれども、「消費者」とは異なる表現が必要になるのではないかという理解があるのだと思います。そのことを前提として、「対極にあって」という表現は、事業者と消費者を対置して理解する考え方を残存させているような気がいたしまして、少し引っかかりを覚えたことを申し上げておきたいと思います。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
3点御指摘をいただきまして、一点目は、先ほど来からも問題となっている9ページの29行目からの話が、抽象的にはそうなのですけれども、具体的には何のことなのだろうかということを、具体化する、例などあるいは記述を足すなどして、もう少しイメージが湧きやすいように、何を言っているのか、どういうことを捉えているのかということを指摘してはどうかということでしたので、修文をお願いできればと思います。
二点目が特に8ページの18行目の「更には」というところです。消費者が何を出しているのかという話と、同意もなく出させられているというか、意識もせずに出させられているということが自律性の侵害になっているという両面があるのを、ここでいきなり合体させているので、少し分かりにくいのではないかということで、問題を整理してはどうかということです。18行目から20行目の書き方あるいは構成について、自律性の侵害というのが9ページの消費者被害の捉え方にもつながっていくので、何が被害として消費者が出させられているのか、あるいはまさに出させられているという表現にあるように、それを十分意識して、実質的な同意をしてそうしているのかということもそうではないという両面があるので、この両面をもう少し明確にしてはどうかということでした。それは明確に記述できるような形ができないかの検討をお願いできればと思います。
3点目が、30行目から31行目にわたっての「事業者と対極にあって」というのは、単純に削除したほうがいいのではないかということですか。
○加毛委員 その趣旨で申し上げました。
○沖野座長 分かりました。ここでは出させられているという話が、事業者と消費者の間でということで、消費者概念を捉えるに当たっての流れの中での位置づけということでは必ずしもない、取引において、事業者との間の取引ということをなお考えているということかと思いましたけれども、加毛委員のお話は、消費者間取引などもむしろ捉えていくべきではないかという御趣旨ですか。
○加毛委員 その点については、もう一段別の議論が必要になると思います。現在でも既に、プラットフォーマーを利用して消費者同士がとり引きを行うことが広く行われています。そのような場合に、プラットフォーマーと利用者の関係ではなく、利用者同士の関係をどのように捉えるのかは非常に難しい問題だと思います。現時点で、この点に踏み込む用意はありません。先ほど申し上げたかったのは、「対極にあって」という表現が何を意味するのかがよく分からないということでした。その直後に「事業者との間で」という表現があるので、事業者と消費者が取引をする場面を想定していることは明らかであるわけですが、それをさらに強調する形で「対極」という表現が用いられるのはなぜなのだろうかという疑問を持った次第です。
先ほど沖野座長のご質問にお答えしたように、この表現を削除してもよいのではないかと思うのですが、ただ、「事業者」とは「生活者」としての個人に必要な配慮を要しない存在であることを強調する意図で「対極にあって」という表現が用いられているのかもしれません。そのように理解すべきなのかということをお尋ねすべきようにも思います。
○沖野座長 ありがとうございます。
「事業者と対極にあって」というのは何を意味するのか。
大屋委員、お願いします。
○大屋委員 そこのところは問題だと思いまして、逆に私はそれを取ってしまうと、BtoBが全部入ってしまうというふうに読めないかというのがちょっと気になる。場合によって、法人にもある種の脆弱性が生じるのだということは頭のどこかに置いておいてもいい。地面師みたいな、積水ハウスだっけ、そういう事件もあるとは思うのですが、それが消費者庁とか消費者委員会の所管なのですかと言われると、やや広がり過ぎたかもしれないと思うところがある。広げてもCtoC、BtoCあるいはCtoBtoCぐらいまでですよねというところを考えるならば、「対極にあって」と言うかはともかく、事業者ではないという趣旨だったと思うのです。一つは、例えば「事業者と対極にあって」というのは取る。その後で、事業者との間であるいは事業者を介してとやると、CtoBtoCみたいなものが一応カバーできる。最後に、やり取りしている者の者を例えば個人に変えると、大体言いたいことは伝わるかなとちょっと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
具体的な修文もいただきましたが、加毛委員、いかがですか。
○加毛委員 しかるべくご検討いただければ幸いです。検討の結果として、現在の表現を維持するということになれば、それに異存はございません。
○沖野座長 ここはいろいろな捉え方が実はできるところかもしれなくて、「事業者と対極にあって」というのは、現在は消費者法の基本がそういう形になっていますけれども、事業者との間で情報交渉力の格差がある。事業者との間での格差というところを捉えている。その中には、個人が24時間しかない中で生活がある中で意思決定しなければいけないのに対して、事業者というのは組織になっており複数の決定に当たってのいろいろな集約ができるとか、そのための専門的なサービス提供も受けられるとか、そういう違いがあるようなところもあるし、まさに事業者との間でというCtoBが中核なのだけれども、ただ、そこからどこまで広げていくかというのはまた問題で、BtoBそのものは消費者法ではないのだと思うのですけれども、消費者的Bといった話がどうしても出てきます。ただ、ここでは力点がどこかというのをより明確にすることで、大屋委員から具体的な修文の提案もいただきましたので、それも参考にしながら、ここで言いたいことを明確に示しているかという観点から、あまり何を言っているのだろうということにならないように、しかし、他方でここは法技術的な意味での定義をしているわけではないので、あるいはこのままということもあり得るのかもしれませんけれども、表現ぶりをよりよくできないかという検討をお願いしたいと思います。
鹿野委員長、次に二之宮委員、お願いします。
○鹿野委員長 今の御議論、ちょっと悩ましいなと思ってお聞きしていました。大屋委員の御提案、ある意味分かりやすいのですが、ただ、それだと個人と言った場合、個人で事業者である者を今の定義では排除することが難しいような気がいたしまして、生活者という言葉を思わず使いたくなるのですが、その前の段落で生活者と書いていて、そうするとトートロジーになってしまいます。私自身が今これがいいという明確な答えは持っていないのですが、この点も留意していただければと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
特に最後の者を個人と置き換えてしまうことへの懸念ということでしょうか。
○鹿野委員長 個人と置き換えても、事業者をここから排除することはできない。BtoBがやはり入ってしまう可能性があるのではないかという指摘でした。
○沖野座長 分かりました。ありがとうございます。
二之宮委員、お願いします。
○二之宮委員 二之宮です。
先ほど加毛委員が言われていた8ページの18行目の「自律性の侵害を消費者被害と捉えた場合」とか、あるいは19ページの16、17行目の「自律性への影響自体」というところの御議論を聞いておりまして、第8回だったか第9回だったかちょっと忘れましたけれども、消費者取引として位置づけるだけではなくて、被害、損害として位置づけた上でと私はコメントしました。そこで念頭に置いていたのは、第4回で髙先生が言われていた、自己情報をどうコントロールするのか、信任関係を相手に委ねているというご説明で、それが裏切られたときなどを考えると被害、損害として捉えるべきではないかというのが私が考えていたことです。その意味でいうと、自律性と言うと少し狭くなるのかなと私も思いました。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
先ほど自律性の侵害というところから、被害というところに結びつくということを私のほうで申し上げたのですが、消費者被害のほうがそれにとどまらないということですね。だから、自律性のところだけを消費者被害のほうで捉えるというのは狭過ぎるのではないかということですので、対応関係についてより明確にできれば、文章を考え直す形で対応できればと思います。趣旨というか、問題点はよく分かったと思います。
それでは、この部分について、ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
そうしましたら、次の10ページから「2.デジタル化による技術の進展が消費者の関わる取引環境に与える影響についての基本的な考え方について」、お願いしたいと思いますが、(2)がさらに分量もありますので、まずは「(1)デジタル取引の特徴の分析・具体化」、10ページから11ページについてお願いしたいと思います。2の(1)の記述について、いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、(2)のほうに進めさせていただきたいと思います。「デジタル取引について、リアル取引と(次元の)異なる規律が必要となる場面、規律が整備されていない場面の整理」というタイトルになっておるところですが、11ページから14ページまで、小見出し部分も含めて、この部分をまとめてお願いしたいと思います。11ページから最後の14ページにかけての記述ですが、これについてお気づきの点や御発言などございますでしょうか。
石井委員、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
11ページ目から14ページ目まででよろしいですね。
○沖野座長 はい、お願いします。
○石井委員 ありがとうございます。
13ページ目のプロファイリングの表現で若干気になった箇所がありました。「さらに」の行からで、5行目のところで、「認知的な脆弱性を攻撃するような」とあるところ、「認知的な」というように限定しないほうがいいのではないかと思いました。
プラットフォーム事業者規制というのは、消費者保護の分野だけではなくて、いろいろな分野で議論されてはいるところでありますが、ヨーロッパのデジタルサービス法の中に、プロファイリングに基づく広告表示で児童に対するものを制限した、機微データを使って広告表示をするということへの制限規定が入っていたりしますので、「認知的な」と入れてしまうと、少し狭まってしまうと思います。限定しないほうがいいのではないかなというのが一点です。
もう一点、これはどこにどう入れるか、あるいは入れないのかですが、観点として、プラットフォーム事業者に国外の事業者が多いということは、法の適用範囲も含めて課題認識として持っておいたほうがいいという気がしました。特にヨーロッパ、それからアメリカもそうですが、多額の金銭的制裁をプラットフォーム事業者に科すという事例がいろいろな領域で生じていると思いますので、国外の事業者に対していかにルールを守らせていくかが難しいがために、多額の制裁金を科して強制的に守らせているという面もあると思います。11ページ目にありました。失礼しました。ここに書いてあるのであれば、大丈夫ですね。最後のは大丈夫です。「認知的な」のところだけ受けていただければと思います。
○沖野座長 ありがとうございます。
二点御指摘いただきました。二点目については、11ページの5行目にデジタルプラットフォームが海外事業者によるものが多いということに伴う国際化絡みの問題があるということで、差し当たりはこの記述で十分だろうと最終的には御確認いただいたと思います。
一点目の13ページの「プロファイリングにより」というところのセンシティブな情報を使って認知的な脆弱性を攻撃するという5行目から6行目が、認知的な脆弱性に限られないのではないかというので、やや狭過ぎるので、ここは「認知的な」を取って、「脆弱性を」ということがいいのではないかという御指摘ですので、そのように修文させていただければと思います。
チャットのほうで、室岡委員、それから大澤委員からそれぞれお手が挙がっておりますので、この順で御発言をいただきたいと思います。まず、室岡委員からお願いします。
○室岡委員 ありがとうございます。聞こえておりますでしょうか。
○沖野座長 聞こえております。室岡委員、差し当たりは今、11ページから14ページと申し上げていますけれども、ほかの点もありましたら、併せて御指摘をいただくことで結構ですので、お願いします。
○室岡委員 ありがとうございます。
現在議論になっている点で、細かい点なのですが、11ページ目の27~30行目のところ、ダークパターンについては、事業者側もしくは社会全体の経済的損失もありえるということを追記いただけるとよいかと思います。
理由としましては、ダークパターンについて被害を受けるのは消費者だけではなく、極端な例を挙げますと、消費者が一人残らずダークパターンを用いて健全な事業者の財を買わなくなると、健全な事業者もダメージを受けますし、もしダークパターンで相対的に劣悪な材を売りつけているとすると社会全体にも損失があります。ここは消費者の被害だけではなく、社会厚生上も問題になりうるということを、ご追記いただければと思います。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
ダークパターンがもたらす被害が消費者だけではないということで、具体例も挙げていただいて、社会に対して劣悪なサービスあるいは商品の提供、あるいは取引を実現させていくという点もありましたし、事業者に対する被害の点もあるということです。ここに入れるのがよろしいのか、消費者法における取引ということから考えると、事業者にとっても社会にとっても問題だということも含めて、消費者保護における規律においては考えていく必要があるということだと理解してよろしいですか。
○室岡委員 ありがとうございます。
入れる場所は必ずしもここではなくても問題ないと思います。意図としましては、消費者の脆弱性を利用・作出することは、消費者の被害だけではなく、例えば健全な事業者との取引が阻害されるという意味で健全な事業者にも被害がありますし、その結果、消費者が相対的に悪い材をつかむようなことがあれば、社会全体にとっても損失になるといったところを、どこかで強調していただければということです。
○沖野座長 ありがとうございます。
今、御指摘いただいて、健全な事業者を排除していたり、阻害していたり、あるいは劣悪な取引をさせることが社会全体のマイナスにもなるということが、さらには最終的には消費者の被害につながるという面もありますので、ほかのところでうまく入ればそれでいきたいと思いますけれども、この部分にも表現の仕方で入るようならば、ダークパターンの関係のところで書いていただければと思います。
大屋委員、お願いします。
○大屋委員 そこに足してしまうのでいいかなと思いまして、つまり、構造的な消費者の被害、さらには社会全体の厚生の低下を生じさせるとの指摘もなされているということで、室岡委員の御指摘の趣旨は入るのかなと。それは典型的に言うと、話をし始めると厚生は主観的か、客観的かというところになるのですけれども、要するに消費者本人は主観的には非常に満足しているのだけれども、低品質なサービスが横行した結果として社会全体の厚生が低下するというのは、恐らく消費者問題の一環と捉えてよいので、ここに入れておいてそんなに違和感はないかなと。
室岡委員がおっしゃった中で、優良な事業者に影響が出るというところは、狭いところで話をすると、どちらかというと不正競争防止法とかそっちのほうの話になってきてしまうので、ちょっとぼかしておいたほうがいいかなと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
具体的な修正について、室岡委員からも大屋委員からもいただいて、さらには社会全体の厚生の低下というのは、社会全体についてのところを捉えるということになりますけれども、事業者への言及をより明示的に挙げたほうがやはりよろしいでしょうか。室岡委員、いかがですか。
○室岡委員 最後の点も含めて、大屋委員の修正案に異存ありません。ありがとうございます。
○沖野座長 ありがとうございます。
もしほかで適切に書けるものがあれば、優良な事業者が排除されていったりするのは消費者にとっても決してよろしくはないわけなので、今、決め打ちするわけではないですけれども、うまく書けなければ社会全体のマイナスだけでもよろしいということかと思います。今、チャットのほうで大澤委員、河島委員、石井委員から御発言の希望が出ています。
石井委員、これに関連する事項でしょうか。
○石井委員 いえ、先ほどの海外事業者関係で一言だけと思って。
○沖野座長 では、先ほど出た事項でもありますので、先に石井委員から、先ほどの御発言の関連ということで、お願いしたいと思います。
○石井委員 ありがとうございます。
一言だけですが、先ほど11ページ目で海外事業者によるデジタルプラットフォームが多いという御指摘は既にこの中間整理の案の中で入っているということで、これはこれで適切かと思います。ただ、海外事業者に対してのエンフォースメントをどうするかということも重要な観点だと思いますので、それが分かるようにどこかに入れていただくというのも一案かと思った次第です。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。国際化の問題は、エンフォースメントの問題が非常に難しくなってくるということがありますので、その点をより明示的に出せれば、そのこと自体は必ずしもデジタルプラットフォームに限られないようにも思いますが、ここでデジタルプラットフォームに特化してその点を指摘したほうがいいという事情がありますでしょうか。
○石井委員 ありがとうございます。
デジタルプラットフォーム事業者に対して、高額な制裁金を科すというのが海外で特にヨーロッパ中心に事例として蓄積されているところかと思いますので、そういう状況を踏まえると、デジタルプラットフォーム事業者がインターネット上で果たす役割は言うまでもないところですし、そこにきちんと対応していただかないと、デジタル取引の環境が健全にならないというのは自明だろうと思います。
そういったこともあって、デジタルプラットフォーム事業者の役割の大きさ、それから、そういう事業者に対する法執行が厳しいものが事例として蓄積されていますというのは、エンフォースメントのところに利いてくる話ではないかなと思います。
○沖野座長 ありがとうございます。
特に近時のあるいは海外法制においてそれに着目した事項があるので、デジタルプラットフォームあるいはプラットフォーマーについて取り上げてはどうかと。
○石井委員 法執行の動向を踏まえてということだと思います。
○沖野座長 分かりました。これもうまく入れられるかどうかは、海外の事業者から日本の消費者に取引自体が提供されるというような場合に、消費者の権利や救済というのを海外事業者との関係でどう執行していくかという問題が一般的にありますので、その中で、デジタルプラットフォーマーにおいては特にというふうにいえるのか、それとも海外事業者でデジタルプラットフォーマーというのが非常に広く普及しているので、単に例外的な事象ではなく、一般的な取引全般に海外事業者に対する法執行が重要になってくるという面はあるのかなと今、伺っていて思いましたので、法執行の問題、その実効性の問題についてさらに言及をすることができればと思います。これはうまく当てはまるかどうか、少し検討させていただければと思います。
それでは、河島委員、大澤委員の順でお願いできますでしょうか。では、河島委員からさらに御指摘をお願いいたします。
○河島委員 本当に細かな点で恐縮なのですけれども、3点コメントさせていただきます。まず一点目です。11ページの31行目の箇所に「進化的な発展」という語があるのですが、基本的には「進化」は生物学用語ですので、ここでは使わないほうがよいのではないでしょうか。ここは、例えば「目的達成のために継続的に開発することで、悪意がなくても消費者の脆弱性を利用・作出する可能性がある」などとしたほうがよいのではないかと思った次第です。
二点目は、13ページの9行目に(誤推定による不適合)という括弧書きがあるのですが、ここでの不適合は契約の不適合のことではないと思いますし、機械学習の指標のことであれば適合率のことかと解することができますが、そうだとしたら適合率以外の正解率や再現率について記載しないのかということにもなりますので、ここは(誤推定)とだけ書いておくか、もしくはこの括弧自体を全部削除したほうがよいのではないかと思いました。
3点目は、心配し過ぎなのかもしれませんが、14ページの14行目です。リテラシーをいまだに日本語で識字と表現することがあると聞いています。ここで言っているのはメディアリテラシーや情報リテラシーのことだと思いますので、そのように理解される書き方がよいのではないでしょうか。
以上、3点とも細かいところでありますけれども、発言させていただきました。
○沖野座長 ありがとうございます。
まさに表現の問題、御指摘いただきたい点でしたので、3点にわたって御指摘をいただいたと思います。
一点目の進化というところですけれども、もともと趣旨としたのは、それは状況に合わせてどんどん展開していって、もともとの設定者とかの意図を超えて展開していく可能性を持っているという趣旨ではなかったかと思いますので、河島委員からいただいた修文のメモを取り損ねたのですけれども、それを踏まえて表現ぶりを考えていただくということにしたいと思います。河島委員、一点目はそういう形でいいでしょうか。
○河島委員 はい、おっしゃるとおりでお願いできれば幸いです。
○沖野座長 ありがとうございます。
二点目は丁寧に趣旨を御説明いただきまして、誤推定で止めるというのが一番よろしいのかなと思いました。御提案の中で括弧全体を取るか、誤推定で止めるかということでしたので、今伺っていてそう思いましたけれども、やはり括弧全体を取ったほうがいいということであれば、いずれかで対応させていただきたいと思います。
3点目のリテラシーの話ですけれども、ここでメディア、情報リテラシーという点についても検討するとすると、例えばリテラシーのところにそう記載することが考えられます。でも、識字ということもありますか。例えば日本ではない外国語が母国語の人の場合です。リテラシーのところにメディアや情報のリテラシーと書けばいいのかなと思ったのですが、河島委員からはむしろリテラシーとは別に少し書いたほうがいいという御指摘だったのでしょうか。
○河島委員 私としては、メディアと情報のリテラシーだと分かる書き方でよいのかと思っております。
○沖野座長 分かりました。ここの部分は特にデジタル化との関係ですので、識字の問題というのはなおあるし、それを切り捨ててはいけないと思いますけれども、ここはむしろそちらが力点だということで、メディアや情報のリテラシーと書いていただくことにしたいと思います。ありがとうございます。
大澤委員、お待たせしました。御発言をお願いします。
○大澤委員 発言の機会をいただきありがとうございます。
今までの先生方のご発言と違うところなのですが、13ページから14ページの消費者団体のところを拝読していて、少し表現ぶりが分かりづらいところがあると感じました。ここの部分は恐らく前回の第9回の専門調査会で、私が後半のほうを所用で退室しておりましたので、もしかするとそのときに議論があってこういう書き方をされたのではないかなと思いますので、その点だけお断りをしておきたいのですが、どこが少し分かりにくいというか、表現ぶりとしてちょっと気になったかと申しますと、14ページですが、「デジタル化に対応する消費者団体の形成が遅れており、消費者団体の人的リソースの問題も深刻となっている」というところで、デジタル化に対応する消費者団体というのをどういうイメージで捉えるかが、ここの専門調査会で議論されている先生方にはお分かりなのでしょうけれども、これを外に出すときに、やや分かりづらい印象を与えないだろうかというのを感じた次第です。人的リソースの問題も、と書いていますので、デジタル化に対応できるような例えば専門家とかそういう方が消費者団体にあまりいないとか、いろいろなことがこのデジタル化に対応するというところで想像できてしまうのではないかなと思いました。
そのすぐ後ろの文章で、「また、例えばデジタルネイティブ世代であるからといって」というところで、要は消費者問題に適切に対応できているとは限らず、と読みますと、消費者団体のメンバーの中の話なのかと一見思いきや、そうではなくて恐らくいわゆる若い世代でデジタルに対応できていると見えるけれども、実はそうではなくて、実はデジタルに伴う消費者問題にさらされているということがそこに書かれていて、その実態を消費者団体において捉えるかを含めてということで、要するにこの専門調査会の一つの課題でもあると思いますし、恐らく後半に議論されるのではないかと思いますが、消費者団体にどういう役割を消費者法の中で、あるいは消費者制度の中で担ってもらうかということ、あるいはそれを担っていただく上でどういうことを例えば国とかいろいろなところで支援をするかということに関わってくるのではないかと思いますが、実態を消費者団体がどのように捉えるかを含めて課題となっているというのは、意図していることは分かるのですが、ここも少し消費者団体にどういうものを期待しているかというところで、様々な想像をかき立てないだろうかというのが気になった次第です。
その次の段落で、ダークパターン等々による問題については、消費者本人では気づきにくいためというのは、まさに全くそのとおりだと思うのですが、消費者の意見を集約して、活動(提言)する組織がモニタリングしていくというのは、恐らくこの一つが消費者団体と想定されているのではないかと想像はしているのですが、それも上の段落と合わせて読むと、ここでの組織というのが消費者団体のことなのか、それとも全く別の組織なのか、例えば国の行政機関、独立行政機関、いろいろなものを想像してしまいます。あまりここで決め打ち的に書かないほうがいいとも思いますので、この程度でよろしいのかもしれませんが、前回、私が途中で早退しました第9回の消費者法制度のパラダイムシフトの資料1のパワーポイントのスライドを拝見していますと、恐らくモニタリングの主体の一つとして、消費者団体というのを一つ考えているのだろうとこちらでは想像ができますが、消費者団体とあまり決め打ち的に書かないようにという趣旨でこういうふうにされているのか、そこまでではないのか、この部分に関して、消費者団体に今後どのような役割を担っていただくか、特にデジタル化に対してどのように担っていただくかというところが、特に専門調査会のメンバーではない人にとっては少し分かりにくいような印象を持ちました。
繰り返しになりますが、前回、私が早退しておりましたので、全く的外れである可能性もあると思いますが、よろしくお願いします。
○沖野座長 御指摘ありがとうございます。
この部分は確かに分かりにくいところがあると思います。消費者団体の役割というのは一層増していくというのは、特に14ページの7行目以下などもその一つなのですけれども、他方で、それに対応できる消費者団体が育成されているのか、存在しているのかという問題意識があり、あるいは問題状況があるということで、それから人的リソースの問題も、デジタル化だけにとどまらない問題があるのだと思いますけれども、ここも遅れており、さらに問題も深刻になっているというのは、デジタル化対応の人的リソースの点は対応の問題の一つでもあるので、この両者が分かりにくいというところはあったかと思います。
また、「例えば」以下の部分が悩ましかった点なのですけれども、2行目以下はまさに前回御指摘をいただいた点で、消費者自身が小さい頃からスマートフォンだとかを使っており、まさにデジタルネイティブになっていて、デジタルの問題はないのかと、よく手慣れた取引なのかというと、必ずしもそうではないと。ただ、その層の問題とか被害とか自体をうまく受け止められていないというか、その調査だとか実態把握自体ができていなくて、消費者団体に期待するといっても、デジタル関係ではある意味かなり大きな層、特に今後もさらに展開していくような層についての被害実態だとか、その声を吸い上げるような仕組みになっていないという御指摘が前回ありました。
このことは二つの面があり、一つは消費者団体がいろいろ役割を期待されるといっても、消費者の実像自体を捉えられていない大きな部分があるのではないかという問題と、消費者団体を置いても、そもそも消費者の被害の実態を捉えられていないということで、何らかの調査が可能か。ヒアリングといってもなかなかこの層のヒアリングは難しいし、団体が形成されているわけでもないので、さらに消費者団体からヒアリングもできないというか、十分に把握されていないのではないかということなので、実態の把握自体が難しいというのは、実は消費者団体にとどまらない問題であり、それが消費者団体に関連づけて書かれているので、そこはさらに分かりにくさになっているかと思います。
それから、モニタリングについては、まさに個人では難しいところなので、団体の役割が大事になるのだけれども、他方で、リソースの問題なども含めると、例えば行政機関が一定の役割を果たすということも考えられるので、これをどこが担うかという問題があるという御指摘もあったかと思います。それを含めて書かれているのですが、ただ、消費者・消費者団体についての記載としてやや分かりにくいというのは、確かにそのとおりだと思います。
大屋委員、お願いします。
○大屋委員 関連するところも含めて、今の辺りで3点ほど申し上げたいと思います。
一つは、いつ言ったかということが私は全く覚えがないのですが、言ったとは覚えているのは、警察がサイバー警察隊をつくったわけです。つまり、通常の消費者問題というのは物理空間で発生するので、地域的に解決が求められ、したがって、従来の消費者団体というのは割と地域性を持って組織されてきた。ところが、サイバー空間における消費者被害というのは、同種の問題が日本国中、あるは下手をすると国境を越えてどこで起きるか分からないわけであって、それを従来のような属地的な組織によって対応すること自体が一つは難しくなってきているだろうと。そうすると、アメリカでいうとElectronic Frontier Foundation、電子フロンティア財団というのが典型的なのですが、デジタル空間における市民の権利あるいは消費者の権利というものを主たる対象とするような団体が、属地主義的にではなく対応するという組織構造のほうが本来は向いているよねということが考えられるでしょうと。これが第一点だと思います。
第二点は、私、行政事業レビューなんかでよくあちこち言って回っているのですけれども、何か問題があると行政官庁が相談ダイヤルを始めようとするのですが、若者は今、電話をかけないので、つながってくれないのです。やつらはSNS、最近ではLINEでないとつかまりませんみたいなことを申し上げている。そういうことを考えたときに、デジタルネイティブ世代につながる手法をやっておられるのだと思いますけれども、従来の団体がうまく活用できているかというのは、弱いところがあるだろうと。
その両方の意味で、デジタルネイティブ世代あるいはデジタル的なトラブルに対応するような組織構造に対応した消費者団体は要るよねという話は、あったほうがいいだろうと思います。もしあれであれば、そういう話なのだともう書いてしまったほうがいいかもしれない。
第3点は、最後のモニタリングに関わることなのですけれども、消費者側からの意見集約であるとかそういうものを想定すると、一つは消費者団体だということになるのですが、もう一つ前だったか、ヒアリングで武蔵野美術大学の長谷川先生に来ていただいたときに、つくる側のプロフェッショナルはやはり自主規制をやるのか重要なのだということ。彼はそういう取組をやっているのだということを強調しておられたわけです。取引関係の形成に関する専門家が、ダークパターンの利用や発生を自覚的に避けるような自主的取組をするというのも対抗策の一つとしては想定されているところなので、官庁が出てくるといろいろときな臭いハレーションが起きるかもしれないので、取りあえずは消費者団体と今言ったような専門家組織を例として挙げてもいいのかなと思いました。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
今の点について、いかがでしょうか。大澤委員から先に御発言いただいて、次に加毛委員にお願いします。
○大澤委員 遮ってしまって申し訳ないのですが、先ほど沖野座長に整理していただいて、非常によく分かりました。ありがとうございました。
今回これだけの長い文書を御準備いただいておりまして、そのことは本当に心より感謝申し上げます。
この部分に関しては、今、沖野座長のお話を伺っていて思ったこととしては、消費者団体に期待される問題、消費者団体が少なくとも期待される主体の一つになり得る問題と、別に消費者団体の問題に限られない問題、今の大屋委員の発言の二つ目の点にも関わりますが、いわゆるデジタルネイティブ世代向けの話とか、やや混在しているのかなとも思いました。それが今お話を伺った点の感想です。
次に、大屋委員の二点目の話については、ここの部分に限られた話ではないですが、自治体の消費生活審議会等に前入っていたときにも、若者は電話あるいは広告、いわゆる紙ベースの広告とかを見ても反応してくれない、電話ではつながらないと頭を抱えているということでしたので、例えばLINEのアカウントを作ったりとか、そんなことをしていますという話は確かに聞いたことがあります。
そういった問題もここに恐らく含まれてはいるのかなという気もしつつ、しかし、消費者団体の話をここでしているような気もしつつ、13ページのエのところでは「消費者・消費者団体の」と二つ書いていますので、混ざってしまっているのは致し方がないのかなという気もしましたが、消費者団体に関する話と、そうではなくて一般的な例えば一番下の消費者教育の話とかも、別に消費者教育は消費者団体だけがやるわけではないのはもちろんでしょうし、そういうつもりでこちらで書いているわけではないというのは分かりますので、少し整理の必要があるように個人的には思いました。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
では、先に加毛委員から御発言いただきたいと思います。
○加毛委員 ありがとうございます。
ただ今の大澤委員のお話にも関わりますが、13ページの33行目の「エ 消費者・消費者団体の対応力との関係」という見出しが適当であるのか、よく分かりませんでした。大屋委員や大澤委員がご指摘されたように、消費者団体以外にも、例えば専門団体による自主規制などをも想定するのであれば、消費者・消費者団体以外の主体を含める形で、見出しを改める必要があるだろうと思います。
他方、消費者・消費者団体という主体についても、13ページから14ページの記述の内容を整理したり、充実化させたりするのがよいように思われます。
まず、消費者については最後のところで触れられているだけなので、消費者の対応力を高めることを重視するのであれば、もう少し記述を増やしてよいように思います。例えば、消費者教育については、第6回の室岡委員の御報告の中で、その副作用を含めて取り上げられていました。その内容を踏まえて記述の内容を増やすことがあり得るように思います。
次に、13ページから14ページにかけての二つの段落の記述を整理することが考えられます。13ページ34行目から36行目では、問題の所在に関する記述があり、14ページの最初の1文では消費者団体の問題が指摘されています。しかし、続く「また」から始まる第2文では、デジタルネイティブ世代の問題が言及されており、この点は、問題状況の説明として、13ページの記述と一緒にするという書き方もあるのではないかと思います。これに関連して、3ページのところで河島委員が指摘されたように、若年層の問題やスマートフォンというデバイスの普及に関する状況の変化に関する記述を付加するのであれば、それ受ける形で、デジタルネイティブ世代の問題を指摘することができるかもしれません。
第3に、13ページ12行目において、「消費者の認知過程を保護し、自律的な意思決定を支援することが必要である」という記述があります。私は、その主語が消費者団体であると理解していたのですが、直前の議論で疑問が提起されましたので、その点を明確にするのがよいだろうと思います。また、「認知過程を保護」するという表現が何を意味しているかよく分かりませんでした。その点についても、もう少し説明を加えていただくとよいかもしれません。
最後に、消費者の「自律的な意思決定を支援する」ことと消費者団体の関係については、第8回に玉手先生から一定の御指摘があったと記憶しています。本日の中間整理(案)の3ページでもコミュニティーの希薄化という環境変化が指摘されていますが、そのような状況のもとで関係的な自律の実現が困難になっていることを前提として、例えば消費者団体には、コミュニティーに代わって、消費者の自律的な意思決定を支援する役割が期待されるというお話があったと思います。そのような御指摘を踏まえて、この辺りの記述を充実させることは、専門調査会のこれまでの審議内容を反映するとともに、3ページの環境変化に関する記述に対応することにもなるのではないかと思われます。
ただ、以上を申し上げた上で、消費者団体の現状として、このような役割を期待するのは酷であるという評価もあり得ると思います。消費者団体の皆さんは日々の業務に大変に努力されているので、この専門調査会が現実離れした提言をしているような印象を与えることは望ましくないとも思われるところです。私自身が消費者団体の実態をよく存じ上げないことから、以上の発言については留保を付しておきたいと思います。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
今、消費者・消費者団体のデジタル化への対応力との関係ということで、消費者のというのと、消費者団体の、それから消費者を取りまとめるというか、そういう存在としての消費者団体のということなのですが、関連して、しかしそれ以外の第三者機関に期待するものもあるということで、一応その両方を書くということにはなっているのかとは思います。消費者団体に特化する、あるいは二つ項目を分けるよりは差し当たりはその両者について書くということかと思いましたけれども、その中身がいろいろ行ったり来たりしているという面がありますので、整理をしたほうがいいということです。その際、問題状況の指摘の中に、デジタルネイティブの問題を一旦明らかにして入れてくる。
それから、消費者団体がデジタルに対応するときの在り方として、これまでと発想の違うというのですか、さっき大屋委員が属性をむしろ超えた対応が必要だというところからは、恐らく従来の日本の消費者団体の形成とは大分違っているということがありますので、そういう趣旨をもう少し明確にして、具体的に入れていくと、ここがより明確になるのではないかと思われます。
消費者の認知過程を保護するとはどういうことか。認知過程における十全さなのでしょうか、言葉が足りないかもしれません。それから、自律的な意思決定を支援する主体は誰かということも、あえて曖昧にはしてあるところもあるかと思いますけれども、しかし、そこで消費者団体がどういうことを担うのかということを考えたときには、関係的な支援の役割を担うということも考えられるのではないかということです。他方で、全て消費者団体に期待するのはちょっと無理というところもありますので、ただ、言われることではあるのですが、大屋委員、お願いします。
○大屋委員 14ページの12行目から14行目は、最後にまとめみたいな位置づけになって、言い残したこととこれまで言いたかったことをまとめるみたいなことになっているので、消費者団体のところからは切ったほうがいいのではないか。別立てでまとめなり、補遺なり、そういう形にしたほうがいいのではないか。責務としては、これはむしろ政府も含めて社会的に取り組む課題であって、消費者団体も担ってはほしいけれども、そこだけに押しつけるものではないよということは明確にしたほうがいいのではないかという気がするというが一つです。
それから、認知過程の保護について言うと、これはもうちょっと言葉を足したほうがいいのですけれども、こういう表現自体は東大に移った小久保智淳君がやっています神経法学という分野なんかで結構言われるようになっていて、ただ、そこで想定されているのは、要するに統合失調症で責任能力のない刑事事件の被疑者に、本人の同意なく薬物を投与することで意識を回復させていいかどうかみたいな話なのです。だから、今日の議論の流れで言うと、介入をしてよいかどうかということが焦点になっているのですけれども、今回の報告書では、むしろ支援も含めて自律性をきちんとサポートすることが重要ですよねと言っているので、不当な介入がないという意味での保護だけでは十分ではない。さらに積極的な支援によって、真の自律性を保障できるようなシステムをつくっていかなければいけないということを言おうとしているのだと思うのです。なので、ここについては、まとめとして持っていくにしても、今述べたような独立と自律の違いとか、介入と支援の差というものを踏まえて、この報告書が言いたかったことがまとまるような文章に伸ばしてもらったほうがいいのかなと思いました。
○沖野座長 ありがとうございます。
12行目以下の取扱い、あるいはそれだけではなく、加毛委員からも特に言われた13ページの33行目以下の中には、必ずしも消費者団体に限らないこともありますので、この項目で何を書き、その外にどう出すかというのは少し考えさせていただきたいと思います。
さらにこの点について、あるいはほかの点についてでも、御指摘あるいは御提案いただくことがありますでしょうか。
鹿野委員長、お願いします。
○鹿野委員長 先ほど言いそびれたのですが、11ページのところで、たしか室岡委員から、個々の消費者の被害だけではなくて、事業者も含めた社会全体の被害というのがダークパターン等においてもたらされているということについての追記の御指摘がありました。
そのこと自体に反対するわけではないのですが、ただ、考えてみると、不当な表示・広告というのは、いずれにしても競争事業者に対して不利益をもたらし、社会全体に対する悪影響をもたらすと思います。さらに、表示・広告だけではなくて、不公正な取引方法一般においてそういう側面があるということだろうと思います。
書き方の問題だと思うのですけれども、どこに書くのかというところと、確かにダークパターンなど、デジタル化の進展によって影響がより大きくなっているということは確かだと思いますので、一般的な話とデジタル化、特にダークパターン等の問題ということを少しグラデーションをつけて表現していただければよいかなと思いました。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
先ほど言っていただいた11ページの点について、ダークパターンがもたらす問題として書かれているのだけれども、その性格自体は実はダークパターンに限らずというか、不公正な取引方法など一般に、それがとりわけ力を持つようなものに一般に当てはまることでもあるのだけれども、ここでは特にデジタル取引のところですが、ダークパターン自体が非常にそれを加速度的に実現するとか、より一層強めるとか、そのような要素があるということが明確になればもっと明確になるということかもしれないと思いました。
別のところで書かれていたかと思いますけれども、この点もダークパターンに着目して、あるいはデジタル取引について着目しているけれども、デジタル取引以外であってもやはり同じように問題になってくることではないかと。デジタル取引と異なる規律や、規律が整備されていない場面の整理として出していただいているのですが、そこの規律が実は改めて考えたときにもっと一般化されたものになってこないかというのは前回、二之宮委員から御指摘いただいて、ここにも一般的に盛り込んでいただいていると思います。そういう面の御指摘にもつながっていくのかなと思いました。
具体的な11ページの27行目から30行目までの間の書き方については、競争のゆがみや信頼低下による構造的な消費者の被害を生じさせると書かれているのですが、ダークパターンだけがそれをもたらすわけではないということですので、その点も意識した表現ぶりができれば、工夫をしてみるということになるかと思います。
改めまして、全般につきまして御指摘をいただくことがありますでしょうか。
室岡委員、先ほど御指摘いただいた以外のところでも何かありましたらお願いしたいと思いますけれども、よろしいですか。
○室岡委員 現時点では特にございません。
○沖野座長 ありがとうございます。
では、全体についてよろしいでしょうか。
かなりの御指摘をいただいて、何をもって内容面に関わると言うかなのですけれども、構造面に関わる部分も少しありましたので、具体的には今日いただいたもので、あとは事務局と座長一任にしていただくか、もう一回見ていただく機会を既に日程は取っていただいているのですけれども、設けたほうがいいかというのが難しいところです。
今、一瞬考えたいと思いますが、その間に、今までの御指摘の中で事務局のほうで分かりにくかった点などがありましたら御指摘をいただきたいと思いますが、ございますか。
お願いします。
○黒木審議官 先ほど大屋委員から14ページの12行目から14行目のところというのは、この中間整理の全体のまとめとしてと、もう少し切り出してというような御指摘をいただいたかと思います。今の枠組みとすると、13ページの33行目にあるエの表題がよろしくないという御指摘があり、確かにこの表題自体は第2回に設定したものを基にしておりますので、必要があればこの表題は変えるべきかと思いますが、その上で、ご指摘の部分は、大きな中では、2.のデジタル化云々の中でのそれへの対応力というところの中に入るもの、そこでの御議論の内容を入れたということで我々としては考えておりましたので、全体的などこにも入らなかったものを最後の3行にということではなかったのですが、その辺り、どのように整理をしたらいいか、もう一度御指導いただければと思います。
○沖野座長 ありがとうございます。
では、大屋委員からさらにありましたら、まずはお願いします。
○大屋委員 確かにそのとおりで、2.の(2)の最後の位置づけでいいですか。消費者と消費者団体をそもそも切り分けていないので、両面入ってしまっていますというのは、ほかにも御指摘があったわけですが、消費者教育とかリテラシーの向上について、消費者団体だけに期待すべき機能ではなくて、官庁側もそうですし、あるいは逆に消費者側が自分で頑張らなければいけないよみたいなところもあるということになってくると、12~14行目については、それ以前も混在しているのだけれども、さらに役所側の責務が入ってきていて、混在しているよねと。例えばエの中は消費者向けと消費者団体向けで整理するとして、その後の項目として、それこそその他とか、全体的な課題とかいう形で書いてしまってもいいのかなと思いました。
○沖野座長 加毛委員、お願いします。
○加毛委員 ありがとうございます。
現在話題になっている13ページの該当箇所の直前の30行目~32行目において、「情報化の下での法制度が果たすべき役割」として、「関係主体との関係も踏まえながら行政が必要なリソースを効果的に注げるようにしていくこと」の重要性が指摘されており、ここに行政機関の役割についての記述が登場します。大屋委員の御指摘を正面から受け止めて記述の仕方を改めるのであれば、この点も含めて書き方を検討する必要があると思います。個人的には、中間整理(案)において、行政機関の役割についても、もう少し踏み込んだ記述があってもよいかもしれないと思う次第です。
○沖野座長 原田企画官、お願いします。
○原田企画官 確認だけなのですけれども、消費者庁の原田です。
石井委員に御指摘いただいた9ページの29行目辺り、ヨーロッパのデータ関係の状況も書き込むかどうかは別として、踏まえたほうがよろしいのではないかと御指摘いただいたかと思うのですが、consent or payモデルでよろしかったでしょうか。
○沖野座長 石井委員。
○石井委員 石井です。
申し上げたのはconsent or payモデルの例で、ターゲティングに基づく広告の表示をするしないの選択をするときに、広告を受けないのであれば費用を支払って欲しいという話です。ただ、それを今後具体的に取り上げてほしいというよりは、もう少し抽象度の高い形で書いていただくというのが一案としてあるのではないか、というような発言をさせていただいたかと思います。
○原田企画官 ありがとうございました。
モデルの名前が不勉強でしたので、確認させていただきました。ありがとうございます。
○石井委員 consent or payモデルで間違いないです。
○沖野座長 そのモデルに具体的に言及するということが必ずしも必要ではなくて、もう少し抽象度を上げてもいいということについて。
○石井委員 これはヨーロッパの議論ですので、日本に直接影響があるわけでもないので、そういう状況があるというのを少し踏まえた上で後半の議論につなげていければいいのではないかなという意見です。
○沖野座長 言及自体は、同意の取り方というか、同意の実質性の話であったり、あるいはサイバー法制への着目であったりということがあるかと思いますけれども。
○石井委員 おっしゃるとおりです。
○沖野座長 それらを抽象化してということで、イメージが湧きますか。具体的におっしゃったモデルは今、確認していただいたモデルだということです。
○原田企画官 後半で実効性ある取組、全体の規制の在り方を検討するときに、海外の例として見てみるということも一案かなと思いますので、理解できました。ありがとうございます。
○沖野座長 ありがとうございます。
一つ前の御質問の点は、およそ一般的なまとめのほうの話であるのか、それともここは少し消費者団体の問題により力点を置く形で書いたときに、それ以外の行政機関も含めて、あるいは消費者自身も含めた対応ということで、少し切り分けていったときにそちらのほうとして整理し、場合によってはウのところを少し膨らませるのか、エを消費者団体だけではない形にするのかというのがあるかと思います。ただ、デジタル関係で特に出てきているという位置づけで、しかし、問題自体は実はデジタルにとどまらない、リテラシーの向上とか消費者教育とか全てにわたるのですが、およそ一般的にまとめみたいにしてしまうと、これだけではない問題が出てくるので、あくまでこれまでの議論を一旦ここで中間整理として次につなげていくということだから、あまり全部網羅性を持って構成される必要もないのかなとは思いました。そういう意味で、ただ、今、13ページのエのところが混乱が大きいという御指摘だと思いますので、それへの対応の在り方を考えるということかと思います。
ほかに、今の段階で疑問を明らかにしていくことはないでしょうか。
そうすると、まずは事務局でさらに本日の御指摘を踏まえた修文を考えていただきたいのですけれども、次回の開催がやはりあったほうがいいか。かなり大きな修文になるところはあると思うのですけれども、内容自体を大幅に変えるとかいうことではないし、論理的な構造としてどうかということなので、僅かな修正にとどまるわけではなさそうな感じはするのですけれども、ただ、そのために集まっていただくほどではないように思われます。本日の御議論をいただきまして、相当の見直しはありますけれども、事務局において中間整理(案)に必要な加筆・修正をしていただき、私が拝見をして、それでまとめるということでよろしいでしょうか。
事務局の方はそれでよろしいですか。ちょっと不安ですか。
○黒木審議官 そのようにさせていただいて、本日御発言いただいた先生に直接御確認が必要な場合は、それも併せて事務局からお願いをすることになろうかと思いますので、よろしくお願いいたします。
○沖野座長 それでよろしいでしょうか。
書いていると分からなくなるところも結構出てまいりますので、個別にも、それから本日御指摘があった点以外でも、これまでのところの対応を見ていると書き方が分からないということであれば、個別にも御相談をさせていただくことになるかと思います。この中間整理の性格は、最初に二之宮委員が確認してくださったように、あくまで後半の議論を進めるための便宜として、この段階での議論の状況を中間的に整理するということですので、今後の後半の議論を経て最終的な報告書をまとめるということが次の目標になってまいりますけれども、それに当たりましては、前半の検討テーマを含めてさらに議論が深まった内容を盛り込んでいくということもあり得ますし、前半のこの時点での中間整理のトーンとかをもう少し見直すというようなこともあると思います。
中間整理については、こういう位置づけのものであるということを改めて確認をし、あくまでそういう整理であるということですので、修正点はかなりありますけれども、座長一任ということで引き取らせていただきたいと思います。よろしいでしょうか。
(首肯する委員あり)
○沖野座長 ありがとうございます。
それでは、事務局にお願いしまして、私のほうで確認させていただき、加筆・修正し、準備が整いましたら最終的にはホームページ等で公表するということになりますので、そのような扱いにさせていただきたいと思います。
それでは、本日の会議自体はこれで終了ということになります。
委員の皆様におかれましては、活発な御議論をありがとうございました。
最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。
《3.閉会》
○友行参事官 長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございます。
次回の会合につきましては、決まり次第、また御連絡させていただきます。
以上です。
○沖野座長 ありがとうございます。
それでは、本日の専門調査会はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、お集まりくださいまして、ありがとうございました。
(以上)