第1回 消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会 議事録

日時

2023年12月27日(水)10:00~11:00

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

(委員)
【会議室】
沖野座長、山本(隆)座長代理、加毛委員、河島委員、二之宮委員、野村委員
【テレビ会議】
大屋委員、小塚委員、室岡委員
(オブザーバー)
【会議室】
鹿野委員長
【テレビ会議】
大澤委員
(消費者庁)
【会議室】
黒木消費者法制総括官、古川消費者制度課長、原田消費者制度課企画官、消費者制度課担当者
(事務局)
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会
  2. 議事
    ①専門調査会の運営について
    ②専門調査会の進め方について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○友行参事官 それでは、時間になりましたので始めさせていただきます。

本日は、皆様、お忙しいところをお集まりいただきまして誠にありがとうございます。

ただいまから消費者委員会第1回「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会」を開催いたします。

私は消費者委員会事務局の友行と申します。よろしくお願いいたします。

本専門調査会の座長につきましては、去る12月19日に鹿野委員長から指名をされた沖野委員に務めていただくことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

次に、本日会議に御出席いただいております委員の皆様を御紹介いたします。

加毛委員、河島委員、二之宮委員、野村委員、山本隆司委員、以上の委員の方には会議室で御参加いただいております。

また、大屋委員におかれましてはテレビ会議システムにて御出席いただいております。

本日、室岡委員もテレビ会議システムにて御出席いただく予定でございますが、まだ入られておりません。少し遅れているようでございます。

なお、所用により、石井委員におかれましては本日御欠席との御連絡をいただいております。小塚委員におかれましても御欠席という御連絡いただいておりますが、場合によっては途中からオンラインで参加ができる可能性もあるという御連絡をいただいております。

また、消費者委員会から鹿野委員長、大澤委員、山本龍彦委員にオブザーバーとして御参加いただく予定でございます。本日、鹿野委員長には会議室で御出席いただいております。大澤委員にはテレビ会議システムにて御参加いただいております。

本専門調査会には構成員とオブザーバーの皆様がいらっしゃいますが、会議においては呼称を委員に統一させていただきたいと思っております。

なお、本専門調査会の設置・運営規程第8条に、専門調査会は調査審議に当たって消費者庁の協力を得ると定められております。消費者庁からは毎回御出席いただき、その御協力を得ることといたしてございますので、よろしくお願いいたします。

議事に入る前に配付資料の確認をさせていただきます。お手元の議事次第に配付資料を記載してございます。もし、不足等がございましたら事務局までお知らせください。

本日は、報道関係者を除く一般傍聴者の皆様にはオンラインにて傍聴していただいております。議事録については後日公開いたします。

次に、委員の皆様へウェブ会議の御留意事項を申し上げます。

1つ目に、ハウリング防止のため、御発言いただく際以外はマイクをミュートの状態にしていただきますようお願いいたします。

2つ目に、御発言の際はあらかじめチャットでお知らせください。座長に御確認いただき、発言者を指名していただきます。指名された方はマイクミュートを解除して口頭でお名前をおっしゃっていただき、御発言をお願い申し上げます。御発言の際、配付資料を参照する場合は、該当ページも併せてお知らせいただきますようお願いいたします。また、御発言の際などには、可能であればカメラのマークをオンにしていただけましたら幸いでございます。

3つ目に、音声が聞き取りづらい場合には、チャットで聞こえないなどとお知らせいただくようお願いいたします。会場にて御出席の皆様におかれましては、挙手にて御発言をお願いいたします。

それでは、ここからは沖野座長に議事進行をよろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

座ったままで失礼いたします。このたびは消費者委員会の鹿野委員長から御指名をいただきまして、この専門調査会の座長を務めることになりました。大変僭越ですし、力不足ではあるのですが、皆様の御協力をいただいて努めていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

早速でございますけれども、今回の諮問は超高齢化やデジタル化の進展等、消費者を取り巻く取引環境の変化に対応するため、消費者の脆弱性への対策を基軸とし、生活者としての消費者が関わる取引を幅広く規律する消費者法制度のパラダイムシフトについて検討することということでございます。

今後の世の中の変化はこれからも激しく生じることと思われますけれども、これまでの変化、これからの変化に対応していくためにも、非常に重要な内容であると考えております。委員の皆様から忌憚のない御意見をいただきながら、充実した議論ができるよう努めたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

続きまして、座長代理についてでございますが、本専門調査会の設置・運営規程第2条第4項によりますと、座長があらかじめ座長代理を指名することとされています。私といたしましては、東京大学大学院法学政治学研究科教授の山本隆司委員にお願いしたいと思います。どうかよろしくお願いいたします。


《2. 議事》

○沖野座長 それでは、議事に入りたいと思います。

本日の議事でございますが2項目ございまして、1つ目が本専門調査会の運営について、2つ目が専門調査会の進め方についてとなっております。

本日は初回でございますので、専門委員の皆様からお一人ずつ御発言をいただく時間もお取りできればと考えておりますが、時間が限られていることもありまして、2つ目の議題について御意見をいただく際にお願いできればと思います。

まず、本専門調査会の運営につきまして、消費者委員会事務局より御説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、配付資料の参考資料2を御覧いただけますでしょうか。消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会設置・運営規程でございます。令和4年11月4日開催の第415回消費者委員会本会議の審議において決定された規程でございます。

また、参考資料3として、平成26年7月8日の消費者委員会本会議で決定されました下部組織の会議運用の在り方に関する申し合わせをお付けしております。本専門調査会については、これらの規程及び申し合わせに沿って運営をしていきたいと思っております。

以上です。

○沖野座長 ありがとうございます。

今御説明のありました内容について御質問等はございますでしょうか。よろしいでしょうか。それでは、この形で運営をしていきたいと存じますのでよろしくお願いいたします。

次に、専門調査会の進め方についてという2つ目の議事に入りたいと思います。こちらにつきましては消費者庁から御説明をいただきたいと思います。

○原田企画官 沖野座長、ありがとうございます。

消費者庁消費者制度課の原田でございます。資料1から3に基づき御説明します。

資料1はA4縦1枚のものとなっております。消費者法制度のパラダイムシフトにつきまして、本年11月7日に内閣総理大臣、消費者庁から消費者委員会に諮問を行った際の諮問書でございます。本専門調査会は、この諮問内容に対応して設置していただいたものであり、今後の調査審議をよろしくお願いいたします。

続きまして、資料2は消費者取引の環境変化を踏まえた消費者法制の見直しについてと題するパワーポイント資料です。消費者法制度のパラダイムシフトが必要となった経緯や背景事情につきまして説明するものです。

1ページ目で、これまでの消費者法制に係る取組と検討の社会的背景につきまして示しております。高齢化やデジタル化の進展等に伴い、消費者を取り巻く環境が日々変化している現代においては、これまでのように消費者法を個別課題ごとに都度対応すべく改正を行うのでは、消費者取引の安心・安全を十全に実現することが難しいと考えられます。

検討の社会的背景としまして、高齢化の進展により認知機能が不十分な消費者の割合が拡大していること、また、デジタル化の進展等により消費者に不利益・不公正な取引が生じやすい状況となっていること、そして、消費者取引の国際化やいわゆるアテンション・エコノミーの拡大が見られることが挙げられます。

2から7ページ目にかけまして、議論の背景に関する資料をお示ししております。

2ページは飛ばしまして3ページ目でございますが、こちらでは我が国における高齢化につきまして、2022年時点で全人口の約3割が高齢者であり、2045年にはその割合が35パーセントを超える見込みとなっていることを示しております。

4ページ目では、高齢者層における認知症患者の推定数につきまして上昇傾向にあること、一方、成年後見制度は2022年に約24万人が利用していることを示しております。

5ページ目でお示ししておりますように、スマートフォンといったモバイル端末の保有割合は高齢者も8割を超えており、大変身近な存在となっております。

6ページ目では、ネットショッピング、インターネットの利用につきまして、全体、高齢者層ともに増加傾向にあることを示しております。

7ページ目では、電子商取引の市場規模につきまして、特に物販系分野の伸び率が大きいことが見て取れます。

8ページ目で、近年、デジタル、AIと消費者法制度をめぐっては学識経験者の間でも議論が深められ、また、国際機関でも議論され、施策が進展していることをお示ししております。

9ページ目で、今年の夏まで消費者庁で開催し、この専門調査会にも御協力いただいております5名の有識者の皆様に御参加いただきました「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」の概要と議論のポイントを示しております。有識者懇談会の議論の整理につきましては、参考資料4と5を御参照いただければと思います。

最後に、またA4の縦1枚の資料でございますが、資料3の今後の進め方につきまして御説明します。

資料1でお示しした諮問書を一緒に御覧いただければと思いますけれども、諮問書のほうで具体的な検討項目として、1つ目、消費者取引の全体の法制度の在り方、2つ目、実効性の高い規律の在り方、3つ目、デジタル化による影響についての基本的な考え方、この3点を挙げております。このうち1つ目と3つ目は前半に、2つ目は後半に御検討いただくということで考えております。

すなわち、前半におきましては主に概念や場面につきまして、消費者の脆弱性概念の捉え方、アテンション・エコノミーへの対応の在り方、客観的価値実現の位置付けにつきまして、また、デジタル取引の特徴の分析、具体化、リアル取引と異なる規律が必要となる場面等の整理につきまして、令和6年夏から秋頃までに御検討いただければと考えております。今後の御議論状況にもよるかと存じますが、必要に応じて中間的な整理を行っていただくこともあり得るかと考えております。

後半では前半の御検討内容を踏まえまして、政策手法や実施手法につきまして、ハードロー、ソフトロー的手法、民事・行政・刑事法規など、様々な手法をコーディネートした実効性の高い規律の在り方に関連しまして、規律のグラデーションやコーディネート、生活者としての消費者も視野に入れつつ、消費者取引を幅広く捉える規律の在り方、消費者法制度の担い手の在り方を論点として挙げております。

それぞれ前半と後半でヒアリング例を挙げておりますが、委員の皆様からいただく御示唆も踏まえまして今後のヒアリング先を選定していきたいと考えております。その上で、第8次消費者委員会の任期が終わる令和7年8月までに消費者委員会から諮問に対する答申を行っていただくべく、令和7年夏頃に専門調査会の考え方の取りまとめを行っていただくというスケジュール感で記載させていただいております。

私からの説明は以上になります。

○沖野座長 ありがとうございます。

ただいまの消費者庁からいただきました御説明、それから、今後の進め方についての具体的な御提案をいただいておりますので、以上の説明と御提案を踏まえまして、専門委員の皆様から、本専門調査会で検討を予定している内容に関する問題意識や御関心分野、また、今後の抱負などにつきましても一言ずつお願いしたいと思います。

今後の進め方についての御意見をいただきたいところでございますけれども、3つのことをお願いすることになります。今回は初回でございますので、まず自己紹介も兼ねまして一言いただきたい。それから、この問題に関する問題意識、御関心分野、今後の抱負などについても一言いただき、そして、今後の検討会の進め方についても御発言いただければと存じます。多くのことをお願いするわけでございます。しかし、時間は限られてはおります。

それで、順番につきましては、参考資料1が委員名簿となっておりますので、ここに記載されております委員のお名前順でお願いしたいと思います。私のほうから指名させていただきます。時間の関係で一つの目安としまして、お一人3分程度と考えております。

それでは、早速でございますけれども、オンラインでの御参加になりますが、大屋委員からお願いできますでしょうか。

○大屋委員 慶應義塾大学の大屋でございます。よろしくお願いいたします。

私の専門は一応法哲学ということになっておりまして、実定法学者でもないのに何でここにいるのだという話になるわけですけれども、一つの理由としては、情報化社会論が一応専門の一つであって、情報システム・情報技術の発展が法や政治のシステムにどのような影響を及ぼすかということを研究テーマの一つとしてまいりました。その中でも、ここ十何年やっているのですけれども、アーキテクチャーとかナッジとかあの辺、要するに選択環境の変化というもので人々の行動を変容させることができる、このことの社会的評価をどうするかというようなことも研究の対象としてきております。

そのような観点から、今回の検討内容についていうと、デジタル化による技術の進展によって人々の選択環境が大きく変容しているというのは、正に私の専門領域の一つのわけで、懇談会でも扱われた中でいうと、ダークパターンのようなものがナッジとの関係で議論される必要があるだろうと考えているところですし、もう一つはその環境の中での個人の変容、つまり近代的な法制度が前提としていた強い個人、自己決定的で、何が自分の幸福かをちゃんと理解していて、それに向けてきちんと自分に配慮することのできる主体というのは消滅してきている。

その部分は、むしろ電子的な監視とそれに基づくリコメンデーションによって埋められてきているというのも研究対象としてきたところですので、第1のテーマである消費者の変化というのが、この辺りと関係あるトピックになるのかなと思います。基本的に法学部にいる割に実定法がわからない人間ですので、後半はあまり貢献しないことになるのかなと思いつつ、できる限り皆様の御議論の参考になるようなことを申し上げられればと思っております。

私からは以上です。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、引き続き加毛委員からお願いいたします。

○加毛委員 東京大学の加毛と申します。専門は民法です。この専門調査会との関係では、ここ数年、金融規制についてデジタル技術をどのように活用していくのかということについて、勉強を続けてきました。有識者懇談会の議論の整理においても、決済やプラットフォームに関する話が出て参ります。

この専門調査会の検討課題についての問題関心として、3点ほど申し上げたいと思います。

第1に、先ほどの大屋委員の御発言にも関わりますが、技術の進展により、様々な情報が利用できるようになった社会環境の下で、法の在り方がどのように変わっていくのかということに関心があります。私法学は、裁判制度の存在を前提として議論をする傾向があると思いますが、裁判制度とは違うところで勝負がついてしまう社会が到来した場合に、私法学がどのような形で社会に働きかけていくべきなのか、ということが、重要な課題になると考えております。

第2に、専門調査会における検討の一つのキーワードである「消費者の脆弱性」につきまして、例えば有識者懇談会の議論の整理では、一方で、「消費者」という概念を維持しつつ、従前捉えられなかった新たな属性をどのように考慮していくべきなのかが議論されています。他方、AIやビッグデータの利用が進むと、「消費者」というくくりではなく、問題となる「個人」の属性を把握し、それに応じた対応を考えることができるようになる可能性があるのだと思います。その意味で、今回の専門調査会の検討は、「消費者法」という枠組みを超えたインパクトを持ち得るものになるのではないかと考えております。

第3に、そのような新たな法制の下で、国家の関与がどのような形でなされるべきなのかということに関心を持っています。新しい仕組みを作る上では、例えば、情報の真正性をどのようにして確保していくのか、その際に公的機関がどのように関与していくのかなどが重要な課題となるように思います。また、事業者に対する規制との関係では、規制当局がいかなる人物・物的資源を備えることができるのかということが重要なポイントになると考えております。この辺りの問題についても、この専門調査会で議論をすることができればと思います。

最後に、専門調査会の今後の進め方につきましては、先ほど申し上げたとおり、今回の検討課題の設定が「消費者法」という枠組みを超えたインパクトを持ち得ることから、消費者庁や消費者委員会の所管にとらわれることなく、是非、省庁横断的な検討を行うことができればよいと思います。例えば、ある「個人」の属性をとらえるという観点からは、多様な情報の利用の可否や条件という問題を避けて通ることができないように思われます。その辺りも含めて、省庁横断的な検討が必要となるのではないかと考えております。

長くなって申し訳ありません。どうぞよろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、河島委員、お願いいたします。

○河島委員 河島茂生です。デジタルメディア論や情報倫理を専門にしています。

消費者法のパラダイムシフトを論じる必要性が出てきた背景としてはデジタル化がありまして、それに関する発言を要望されているのではないかと捉えています。法学者ではありませんので、基本的にはソフトローについて論じることになるかと思います。お役に立てるかどうか心許ないのですが、どうぞよろしくお願いいたします。

この委員会の前に開かれていた有識者懇談会の資料を見ましたけれども、極めて大胆、かつ的を射た指摘がされています。これを実践に結びつけていくのはかなり大きな仕事であると推察しています。例えば金銭以外の消費を視野に入れるという点は、小学4年生でも3割ほどが自分のスマホをいつでも使えるような状況になっていることを考えると、妥当だろうと思います。

アテンション・エコノミーは、マスメディア中心のころから幾分起きていたのですけれども、先ほどの加毛委員の発言にありましたように、よりデジタル化でアイデンティティーに結びつけられて個別化されています。一般的な消費者像を脆弱と捉えながらも、個別化されている多様性をいかに考えていくかというのが非常に大きなポイントです。多様性をサポートするAIエージェントの話も懇談会では出ていたわけですけれども、AIエージェントは弱点が幾つもありますので、そういった弱点をいかに考えて、事業者にも働きかけていくかということが重要だと思います。

あと、デジタルサービスに関しましては、事業者と消費者との格差の拡大が非常に大きい点が挙げられます。消費者団体の形成が遅れている一方、事業者は巨大なグローバル企業であることが増えています。この辺りをどのように考えていくか、非常に大きな議論になるでしょう。

今後の進め方に関しましての異論はありません。加毛委員がおっしゃったように、デジタル化は消費者サイドだけをみてはいけませんし、事業者や複数の省庁にまたがる話であります。例えばメディアリテラシーの向上は、消費者教育に関わるものでありながら、事業者や他の省庁も取り組んでいることですので、そうした面での連携も議論になるのではと思います。

以上です。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、二之宮委員、お願いいたします。

○二之宮委員 弁護士の二之宮義人といいます。よろしくお願いいたします。長年消費者問題に携わっていまして、日弁連の中では主として消費者契約法の部会に属しています。

そういう意味で言いますと、後半の部分は、むしろなじみがある分野で関心もあることにはなりますけれども、消費者契約法の3度の改正で行き詰まりをひしひしと感じております。そうした中で、どうしても我々弁護士・実務家は、既存の法を使っている関係から、それで不十分、問題があると考えますと、あるべき法というものを考え、それに対し提言をしてきました。そういう意味でいうと、どうしても一つの法という枠にとらわれてしまいがちなところもありますが、今回は消費者法全体を見直すのだと、パラダイムシフトするという意味においては、私も大胆といいますか、正直に申し上げてムーンショット的な審議会だと捉えております。

そうした中で、最終的に全体像を前半で捉えて後半でマッピングしていく、不十分なところは補なう、グラデーションをつけると考えていくとなると、最終的には審議会の中だけではなくて、多くのステークホルダーの意識変化が伴っていないと、結局また元の行き詰まったときのような状態に戻ってしまうのではないかというところを心配しております。そのため、むしろ前半部分で全体像をどれだけ精緻化して分析してきちんと整理できるのか、実情に合ったような形で精緻化できるのかというところが大事だろうと考えております。

もう一つ言いますと、多くのステークホルダーの意識変化を後半部分で伴っていくためには、前半部分をどれだけ分かりやすく議論をしていくのか、多くの人が聞いていて、そう思う、そこはこうではないかとか、いろいろな思いを持ってもらうというところをやっていかないと、後半部分に結びつかないのではというところが、運営面に関しては思うところであります。よろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、野村委員、お願いいたします。

○野村委員 経団連の政策委員会の企画部会の委員をしております。そして、花王の生活者コミュニケーションセンターのセンター長をしております野村と申します。どうぞよろしくお願いいたします。経済、それから、生活者が分かるというところが、ここに私が参加した意味と思っているところです。

まず、花王生活者コミュニケーションセンターというところは、花王の全ての商品の御相談を承っている部署になります。そして、花王も自社ECを持っているということで事業主でもあり、生活者と事業者の両方を知る立場と私自身は捉えております。

私自身の課題として捉えていることは、日々私たちもお客様に接することが多く、そうすると、昔は高齢の方は検索とかが何もできないからお電話をいただくというケースが非常に多かったのですけれども、今は比較的自分である程度調べて、読んでも分からない、WEBを見る気もない気持ちで誤解をされたりとか、分からないことが多かったりということでお電話いただくことも多く、理解のところも結構問題と思っています。あと、若い人たちが逆に全く声を上げなくなってきています。検索をして調べて、そこで分からなければおしまい。例えば商品に不良があったとしても、調べて買った自分の責任なので、クレーマーと言われたくないという思いもあって、高齢の方と若い人たちの意識が、本当にデジタルの社会になって随分違っていると思っています。

ですので、法改正という大きなことで、高齢の方たちも守らないといけない、分かってもらわなくてはいけないと思いますが、若い人たちの意識改革ですとか、そういったところをフォローしていくことも大切ではないかと思っています。

進め方はなかなかよく分からないところもありますけれども、経団連の協力なども得ながら法改正についての専門委員会について、できるだけ尽力していきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○沖野座長 よろしくお願いいたします。

それでは、室岡委員が入られたということで、自己紹介、それから、御自身の問題意識や御関心分野、それから、特に資料3に示されました今後の進め方についても御意見があればということで、3点にわたり御発言をお願いしているところです。よろしくお願いいたします。

○室岡委員 大阪大学の室岡健志と申します。よろしくお願いいたします。

私自身は経済学者でして、特に行動経済学、この専門調査会に関連するところでは限定合理性の研究を専門としておりますので、そこでお声がけいただいたのかなと思います。

ただ、この前段階の有識者懇談会に参加した経験としては、行動経済学の知見ももちろんですが、その前の経済学の知見、いわゆる企業の経済学、組織の経済学、規制の経済学といった伝統的な経済学の知見も消費者政策を考える上で非常に重要になっていると個人的には感じております。行動経済学のみならず経済学一般の知見から、少しでもお役に立てればと思っております。

今後の進め方に関しては、既に何人もの方々からご発言がありましたが、全体像を捉える前半部分が重要になると私自身も感じております。よろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、山本座長代理からお願いいたします。

○山本座長代理 東京大学の山本と申します。専門は行政法でございます。とは申しましても、私は研究科長を今しておりまして、ほとんど研究・教育をする時間がない状態でございまして、ここでの議論についていけるかどうかということがはなはだ不安でございますけれども、皆さんからいろいろ教えていただきながら何とか努めてまいりたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

私の専門は行政法と申しましたけれども、その観点から今後の進め方で申しますと、3の部分が一番直接関係しているかと思います。3の部分に関しましてはいろいろな問題の層がありまして、一つには消費者法に特有の問題があろうかと思います。消費者契約法の規定の仕方などは、そういった問題に属するかと思います。

2番目に、これは消費者法に限らず、日本の法制度全般に関して問題になることがあろうかと思います。経済的な不利益の負荷などは消費者法に限らず、日本の法制全体についてもう少し考えなくてはいけないところがあるのではないかと思います。

3番目は新しい問題で、従来、消費者法の問題がいろいろあったわけですけれども、先ほど来議論がありますようなデジタル化に伴って、それにどう対応するかという新たな問題がさらに付け加わっているかと思います。そして、ここにおいても日本法の対応の特徴のようなものがあって、それは消費者法に独特のものもあれば、あるいは日本法全体の問題もあるということかと思っております。

というわけで、かなりいろいろ問題が複雑で、また、解決が難しいところもあろうかと思いますが、ここでの議論から消費者保護、あるいは日本の法制全体について問題提起ができればよいのではないかと思っております。

今申し上げたこととの関係で進め方について一言申しますと、ヒアリングの部分で、前半で海外の状況とか関連分野の状況とございますが、これは当然3の後半のところにも関わってくるところです。先ほど例えばデジタル化への対応が日本的なところがあると申しましたが、これはEU法と比べますと非常に明確であると思いますし、それから、関連分野の話、この民事、行政、刑事の組み合わせの仕方とか、ハードロー的な手法とソフトロー的な手法の組み合わせ方とか、あるいは団体の利用の仕方とか、この辺りは関連分野にいろいろな知見、制度があるところですので、こういったところは当然関わってくるのではないかと思います。後半の部分でもそういった検討やヒアリング等が必要になるのかなという感じがしております。それでは、どうかよろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

続きまして、オブザーバーとして御参加いただいている皆様にも同様に御発言をお願いいたしたいと思います。

まず、鹿野委員長からお願いできますでしょうか。

○鹿野委員長 初めまして、消費者委員会の委員長を拝命しております鹿野菜穂子と申します。私自身は、慶應義塾大学に勤め、民法を専門としておりまして、民法の延長として消費者取引法などに関しても研究をしてまいりました。このたびパラダイムシフト専門調査会において御検討をいただくことになりました。テーマとしては、今までもお話しいただいたように非常に大きいのですが、今まで、特に消費者契約法の改正などでは、もちろん一歩ずつは前進してきたところですけれども、突破できなかったようないろいろな問題があると認識しております。そこで、個々の法律というより消費者法の全体像に関して改めて基本から考えていくというところが、正にパラダイムシフトという名称の示しているところであろうと認識しているところでございます。

現在第8次の消費者委員会なのですが、もともと私は第4次と第5次に消費者委員会の委員を務めておりました。山本隆司委員とも御一緒させていただいたことがあります。そのときからこのような問題について関心を持っておりまして、消費者法分野におけるルール形成の在り方等に関するワーキンググループで検討をしたこともございます。そのときも、既にデジタル化が進みつつあったのですが、その後現在までに急な速さでデジタル化は進んでいて、そこで顕在化した問題状況を見ても、消費者法の在り方を根本から考えるべき時期に正に来ていると考えているところでございます。

先ほど自己紹介いただきましたように、この専門調査会にはいろいろな専門分野の知見をお持ちの方々がいらっしゃいますので、是非忌憚なく御議論をしていただきたいと思いますし、この問題については有識者懇談会の議論の整理がありますが、それをさらに一歩深め、具体化するような形で進めていただければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、大澤委員からもお願いできますでしょうか。

○大澤委員 おはようございます。法政大学の大澤と申します。私は今、第8次消費者委員会の委員を務めさせていただいておりまして、この専門調査会にオブザーバーとして参加させていただくことになりました。よろしくお願いします。

まず、私自身のこれまでの研究のことを少し申し上げますと、もともと私は民法を専門にしていましたが、博士論文で不当条項規制とか約款規制についての論文を書いた関係で、特にフランス法を専門に比較対象としていた関係で、フランスは既に御案内のとおり、民法と別に消費法典という消費者法をひとまとめにした法典がありますので、その法典間の関係に非常に興味を持って、それ以降、今勤めています法政大学も15年いますが、法政大学が消費者法講座を4単位開講していますので、その関係で消費者法を広く勉強する必要が出てきまして、それで消費者法の研究を始めました。それ以降いろいろ御縁があって、こうやってお仕事をさせていただいています。

特に最近関心を持っておりますのが、デジタル化という言葉が先ほどから何回も出ておりますが、デジタル化にもいろいろな意味があるのだろうなと理解しているのですけれども、特に関心を持っているのはプラットフォームとか、あるいはAIといったものを契機に、従来何となく当然のように考えてきた消費者法に関係する様々な事柄をもう一度問い直してみたいということに関心を持っております。

具体的には、先ほど加毛委員からも御発言がありましたが、そもそも消費者というくくりで消費者法とか消費者委員会というくくりをつくっていますが、そもそも消費者概念というもの自体を根本的に、それは法律の定義だけではなく、消費者というのは一体何をいっているのかということを見直したいと思っていますし、そもそも消費者というくくりで何か法律をつくっていくこと自体を問い直す必要があるのではないかと思っています。例えばプラットフォームですと、C to Cの取引も今盛んに行われていますし、他方でB to Bであっても当然当事者間の取引の能力等では差があるわけですから、単純に消費者というくくりではなくて、脆弱なという言葉も使われていまして、これもいろいろな意味を持っていると思いますが、デジタル化というのは、そういった既存の概念を問い直す契機に来ているのではないかと思っています。

もう一つ言いますと、例えば消費者契約法という法律も今は民事ルール、特に前半部分、団体訴訟より前の部分は民事ルールと努力規定からできていますが、何となく消費者契約法はもともと民法の特別法としてできていますので、民事ルールであると理解されていますが、本当に消費者契約に関するルールを民事ルールだけでいいのかどうかというのは、特定商取引法を見れば、そうではないことが分かると思います。そういったサンクションの関係などにも関心を持っています。

そういったことを契機に、消費者法の体系化ということも先ほどの鹿野委員長と一緒に消費者法学会のほうではシンポジウムで報告をさせていただきました。こういったことに特に関心を持っておりまして、この専門調査会では後半部分にサンクションの話が出てくるようですが、前半部分のデジタル化について申し上げます。もちろんデジタル化への対応は絶対に必要なことだと思いますし、それに応じた法制度の在り方を考える必要があると思っているのですが、もちろんこの点は共有されていると思うので申し上げることでもないと思うのですが、単にデジタル化に対応するだけではなくて、むしろこれを契機に消費者法の在り方、さらに言いますと、消費者というくくりで何か法制度をつくっていること自体を問い直す契機になっていると思います。

デジタル化にとどまらず、消費者法全体、さらには取引等に広く関わる日本の法体系、もしかすると省庁の垣根を越えるかもしれませんが、問い直すような議論をさせていただけるとよろしいのではないかと思っています。

また、私個人はフランス法について比較対象としていますが、フランスは結構デジタル化に対応するための消費者法の在り方ですとか、あるいはサンクションのいわゆるベストミックスと日本で言われておりますが、そういった議論も進展していますので関心を持っております。そういった知見も入れつつ、この専門調査会で委員の皆様に勉強させていただきたいと思っております。どうかよろしくお願いいたします。

○沖野座長 ありがとうございます。

それでは、本日はウェブにて途中で御参加いただけるかもしれないという御連絡をいただいていました小塚委員が入られたようです。

今、それぞれの委員の方から自己紹介を兼ねて一言いただくとともに、御専門等を踏まえてこの今回検討を予定している内容についての問題意識ですとか、あるいは関心のある分野、テーマ、さらには今後の抱負などについても御発言いただきました。

3点目といたしまして、資料3に具体的な今後の進め方を御提示いただいているのですが、これなども参考にしつつ、今後の進め方につきましてもさらに御意見をいただくことがあればお願いしたいということで、合計3項目を一気にやってしまおうというラウンドになっております。恐縮ですが、3点につきましてお願いできますでしょうか。

○小塚委員 学習院大学の小塚です。専門は商法と言っていいのかどうか、最近自信がなくなってきましたが、一応商法を研究したことになっております。それで、恐らく事務局から御説明をいただいたのではないかと思いますが、沖野委員とも御一緒させていただきました「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」に参加しました。そこでいろいろな議論をさせていただきまして、事務局資料に非常に要領よくまとめていただいている3点は特に重要だと思っております。

第1に、高齢化とデジタル化ということが挙げられていて、同質の問題かということはあるのですけれども、とにかく人間の意思決定の在り方にさかのぼる問題提起がされている。それは従来、消費者法でいわれてきたような格差があって、格差を埋めてあげれば正常な取引に帰るのだという考え方自体が既に成り立たなくなってきているのではないかということで、そこのところをもう一つ考え直す。

ここは先ほど申しましたデジタル化という中で明らかになってきているもので、ある意味でいうと人間の本質的なところで、人間の意思に一切働きかけなければ、そもそも消費行動は起きないのではないかというような問題がある反面、高齢化による問題は、本来持っているべき能力の欠損という側面があるのではないか。だから、そこを全く同じに扱えるかどうかという点は留保しますけれども、とにかくそういう人間の意思決定の在り方の根本にさかのぼる制度設計が必要となっているのではないかということです。

2点目は、先ほど大澤委員も触れておられましたけれども、公法とか私法という枠にこだわることが、消費者政策としては有効ではない局面になっているのではないかということです。そういう意味で公法・私法の枠を超えて、有効に消費者問題に対処していく必要があることを考えて制度設計をしていく必要があるということです。

3点目は、特にデジタル化が進んでいくと、全ての消費者問題は国際問題であると言ってよいと思います。このことへの対応が必要になります。ここにも実は公法・私法の問題が効いてきまして、公法と私法で国際的なことに対応するロジックが全く違うものですから、それでいいかということも含めて考えていく必要があるということ、それから、国際的な問題は最終的には執行力の問題になりますので、そういうことまで考えた制度設計をしていく必要があるのではないか。この辺りは取り上げていただく論点というところでも重要だと思っております。

そして、議題の論点についても述べるということなので、今申し上げたようなことを検討する必要がもちろんあります。それから、特に域外の執行という問題はこういう審議会的なところではやや扱いにくいのですが、是非それはやっていただきたい。そうでなければ、実効的な消費者政策にはならないということを強調しておきます。

もう一つ、実はあるところに書いたのですけれども、消費者政策をつくっていく上で常に利害関係者、とりわけ消費者代表との対話は重要なのですが、他方で、既存の消費者団体等が、とりわけデジタル化の問題について敏感に対応してくださっているかというと、そこは海外、特に欧州などと比べて落差があるようにも私は見ているのです。そういう意味で、いわゆるZ世代、デジタルネイティブの世代、そういう消費者の代表で、彼らはデジタルに詳しいですけれども、デジタルの中で逞しく生きているわけではありません。いろいろなところでトラップに引っかかっています。ですから、そういう人たちの声を拾い上げて、そういう方々ともダイアログできるようなルートが開かれるとよいのではないか、それもこの委員会の中でできるとよいのではないかと考えております。

取り急ぎ以上です。

○沖野座長 ありがとうございました。

それでは、本日御出席の皆様からそれぞれ一言いただいたということで、最後に私から一言申し上げたいと思います。

改めまして、沖野でございます。私は東京大学で民法を専攻しております。主として契約法ですけれども、消費者問題、あるいは消費者法に関しましては消費者契約法の制定以来、関心を持って研究をしておるところでございます。これまでの消費者契約法の改正などについても、一定の関係する会議などに出していただいたというようなこともございます。

それから、今回も資料としてお配りいただいております「消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会」につきましても参加させていただいておりました。有識者懇談会自体につきましては、それぞれ具体的には詳細がございますけれども、一つには消費者法や消費者問題を取り巻く社会・経済の変化として既に言われております3つの変化、情報技術の進展と高齢社会、そして、国際化、この変化にどう応えていくかというのはずっと課題だったのですが、それが必ずしも十全にはできないまま、この変化自体はどんどん進んでいく、とりわけ情報通信やデジタル化というのは劇的な変化をしている中で消費者法の在り方が問われている。一方で、それに対応するために様々な法改正がされてきました。個別には立法対応がされてきたのですけれども、それがなかなか十分には手が届いていかないという問題があります。

そして、直近では、二之宮委員も御指摘になりましたけれども、消費者契約法の改正が壁に当たっているという実感もあり、そもそも今までのような形で考えていくこと自体の限界を露呈している。また、社会の変化もそれを要請しているということで、この在り方自体を根本から考え直そうというので、有識者懇談会が一定の議論の整理を行い、半歩なりを踏み出したということだと思います。

それを具体化につなげていくためには非常に多くの段階があるわけですけれども、その次の段階として、そのより具体化に向けた、しかし、根本的な捉え直しが要請されているわけで、このパラダイムシフトに関する専門調査会というのは、このタイトルからして野心的なのですけれども、しかし、そのような野心的な取組を要請されている、その必要性があるということだと考えております。

具体的には様々ございますけれども、若干申し上げますと、私自身が今回とりわけ関心を持っておりますのは、言ってみれば多様化と広がりということでございます。例えば消費者について言えば、これも既にいろいろ御指摘があったところですけれども、消費者契約法が想定していたような市場におけるプレーヤーとして、構造的な格差さえ何とかできれば、市場に降り立っていける消費者ということから、当時の時代背景の基でスタートしておりましたけれども、実際はそうではない。

他方で、実は消費者法、あるいは消費者をどう捉えるかというのは、もともと生身の人間であることから来る弱さというのが消費者法の根本にあって、それ自体は消費者契約法制定のときからあったわけなのですけれども、そういった要素から、法制度として何を捉え、あるいは介入の契機として何を捉えるかというのは、また別の話と考えられます。

それから、生身の人間性の弱さということについても十分な検討がされないまま、しかし、それがより拡大して社会問題を生むようになっているところから、改めて捉え直されている面もあるのかと思っておりますが、捉え方として、画一的な消費者像からより類型的な、そして、恐らくはデジタル化の進展とともに、正に個別化ということがさらに出てくるのかと思っております。

この点は消費者について脆弱性ということでいろいろ言われますけれども、事業者についても様々な事業者があるということで、それ自体も以前から言われておりましたけれども、より正面から取り組んで法制度に反映させてこなかったということもあり、そういったことも改めて検討する必要が出てきているのだと思います。

もう一つは、関係する主体の広がりや多様化でございます。それぞれの消費者・事業者というのは、どうしても取引になりますと消費者と事業者の間ということになるわけですけれども、それぞれの団体、それから、それを支援する団体、あるいはデジタル化ということで技術を活用していくということになりますと、その活用に関わる団体ですとか主体ということも出てくるということで、様々な主体の関わり方の可能性を考えながら検討していくことも必要なのだろうと考えております。

そういった中で、法制度という法自体がリジットな意味での法だけではなくて、この社会に生起する問題やこれからの社会像を考えるときに、どういった仕組みが必要なのかということから根本的に考えていくことが必要だというのが、このパラダイムシフトに込められたことなのだろうと思っております。非常に重複した内容で恐縮ですけれども、そういった観点から具体的に諮問をいただいておりますので、諮問を基軸としつつ進めていければと考えておるところでございます。

一言と言いながら長くなって恐縮ですけれども、本日、一通り専門委員の皆様から御意見をいただきました。非常に時間が限られている中で御無理を申し上げたところでございますけれども、本日御意見をいただいたほかにも、とりわけ今後の進め方につきまして、こういった点が重要ではないかとか、あるいは具体的にこのようなところを聞いてはどうかとか、様々なお考えがあると思いますので、テーマですとか御意見につきまして追加がございましたら、是非お寄せいただきたいと思います。事務局におかれまして、それらを受け付けていただくということでお願いできればと存じます。

以上でございますけれども、最後に、これだけは何か一言というような御発言はございますでしょうか。もし、なければ、事務局のほうから、最後に事務連絡をお願いしたいと思います。よろしいでしょうか。


《3. 閉会》

○沖野座長 それでは、追加しての御意見等を改めて事務局に寄せていただくということで、事務連絡のほうをよろしくお願いいたします。

○友行参事官 委員の皆様方、本日はどうもありがとうございました。

座長からただいま御指示のありました追加での御意見等につきましては、またメール等で詳細を御連絡させていただきますけれども、1月9日火曜日までに消費者委員会事務局宛てにメールを送っていただければと思っております。

また、次回の会合につきましては確定次第、御連絡させていただきます。

以上です。

○沖野座長 ありがとうございます。

本日の議題である今後の進め方につきましては、今御指示がありましたように年末年始に働けというような感じですけれども、1月9日を目安としまして次回会合にフィードバックできるようにしたいと思いますので、どうかよろしくお願いいたします。

それでは、本日はこれで閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりくださいましてありがとうございました。オンラインでの御参加もありがとうございました。

(以上)