第84回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2024年6月10日(月)13:00~14:32

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、城所委員、郷野委員、後藤委員、長尾委員、長田委員
【消費者委員会担当委員】
小野委員、柿沼委員
【消費者庁】
浪越参事官(公益通報・協働担当)
【事務局】
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会・事務連絡
  2. 「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する公共料金等専門調査会意見(案)について
  3. 事務連絡・閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会・事務連絡≫

○友行参事官 本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまより「消費者委員会第84回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、野村座長をはじめ御出席の委員の皆様はテレビ会議システムにて御出席されております。小野委員におかれましてはこちらの会場で出席されております。

なお、御都合により、太田委員は御欠席となっております。

オブザーバーとして、消費者庁から公益通報・協働担当の浪越参事官にオンラインで御参加いただいております。

本日、テレビ会議システムを活用して進行いたしております。

一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会場に御参加いただいております。

議事録については後日公開することといたします。

配付資料につきましては、お手元の議事次第下部に記載してございます。

それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

≪2.「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する公共料金等専門調査会意見(案)について≫

○野村座長 本日はよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れてしまった場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には、事務局に進行をお願いすることといたします。

本日は、前回の専門調査会に引き続き「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」について御議論いただきます。

本日の議論のたたき台としていただくため、前回の専門調査会における委員の皆様からの御意見等を踏まえて、事務局との相談の上、資料1として意見案を準備しております。

それでは、最初に、友行参事官より御説明をお願いいたします。およそ10分程度を目安にしていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する公共料金等専門調査会意見(案)でございます。

1ページ目の柱書きでございますが、5月22日付で消費者庁より諮問を受けたことなどを記載しております。

3行目のところです。変更案の概要は、基準料金指数の算定に必要な生産性向上見込率(以下「X値」という。)に「0パーセント」を採用するというものであるということでございます。

なお、これを踏まえて算定された基準料金指数の設定案は以下のとおりとしております。以下の四角囲みのところに記載しております。

公共料金等専門調査会では、5月27日に総務省からのヒアリングを実施するなど、これまで2回にわたって調査審議を行ってまいりました。その結果を踏まえた当専門調査会の意見は以下のとおりとしております。

1.として結論でございます。変更案については妥当であると認められるとしております。

2ページ目のところでございます。理由です。最初のマルでございます。基準料金指数については、NTT東西の収入予測、費用予測、適正報酬額の予測及び消費者物価指数変動率の予測などに基づき、X値を算定することにより設定される。当専門調査会では、収入面に関しては回線契約数減少を反映した使用料等の収入減、費用面に関しては人件費減などを織り込んだ費用減及び経営効率分析にのっとった非効率性の解消を勘案した費用減に加えて、適正報酬額の水準などについても確認を行い、その予測にはいずれも一定の合理性があると判断したとしております。

2つ目のマルでございます。X値の算定に際しては、物価上昇局面や既存のPSTNからIP網への移行の過渡期にあるという期間限定の特殊事情を考慮し、次期に限って、物価上昇に伴う価格転嫁は許容しつつ、IP網への移行に伴うコスト増については予測が難しいことからこれを事業者負担とすること、すなわちマイナスの値が得られた場合にはX値を「ゼロ」として扱う旨の措置が採用されているという、この取扱いにも一定の合理性があると判断したとしております。

以上の結果により、1.の結論とするとしております。

3.留意事項でございます。総務省及びNTT東西におかれては、以下について留意すべきであるとしております。以下3点挙げております。

1つ目は(1)プライスキャップ制度についてです。国民生活に不可欠である電気通信分野において利用者料金上昇を抑制する仕組みは引き続き必要と考えられる一方、平成17年10月以降、基準料金指数を大きく下回る形で実際の料金指数は推移しております。この点、プライスキャップ規制の対象となる特定電気通信役務については、契約数、音声トラヒックの減少が続いていることに加えて、IP網への移行という大きな環境変化が進行していることを踏まえれば、今後の本制度の在り方に関して、抜本的に検討することが必要と考えられると指摘しております。

2つ目、今回、「上限価格方式の運用に関する研究会」においてX値を算定した結果、マイナスとなり、そのマイナスのX値を適用することは、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ規制として望ましいものではないとのことから、「ゼロ」として扱うこととされております。こうした扱いが、事業者において経営効率化のインセンティブに悪い影響を与え得ることも留意が必要であるとの指摘が前回ございました。この点については少し本日、委員の先生方から補足をお願いしたいと思います。

(2)消費者への分かりやすい説明についてでございます。今回総務省様から御説明がありましたところ、①基礎的電気通信役務・指定電気通信役務・特定電気通信役務の区分、②役務ごとの具体的な料金規制の内容、③競争事業者が提供するサービスとNTT東西が独占的に提供するサービスの区分、④プライスキャップ規制対象役務がどのようなサービスかを図で御説明いただきましたが、それを理解することは消費者にとって困難と考えられます。3ページ目に参ります。そのため、電気通信役務制度について、消費者へ分かりやすい説明資料を作成し、情報提供を行うべきであるとしております。

2つ目のマルです。今般の基準料金指数の算定方法の変更が、実際、電話料金や消費者の生活に及ぼす具体的な影響に関して、適時・適切な広報が行われているとは言い難いと考えられます。そのため、電気通信技術の変化が料金に及ぼす影響などについて、消費者が理解できる情報提供を行うべきであるとしております。

(3)X値の算定方法についてです。X値については、過去の研究会においても採用されているミックス生産性準拠方式に基づき算定されているという御説明がございました。他の生産性の算定方式による検証も並行して実施するなど創意工夫を重ねて、その結果を示していくことも重要であるとの指摘がございました。

また、経営効率化分析については、従前から用いられているDEA分析を適用して支店間の相対的効率性の計測を行い費用効率化の余地を提示されております。ただ、NTT東西の支店統合により費用データサンプル数が減少する中での計測となっております。結果の妥当性や解釈には注意が必要であり、複数年のデータを採取してサンプル数を増やしたり、複数の手法を用いて結果の確認をするなど、支店数の減少を補う工夫によって、非効率のさらなる検証を行うことも重要であるとの指摘がございました。

X値の算定式の項目となっております適正報酬額について、算定方法が複雑となっております。可能な範囲で算定根拠となるデータの開示範囲を拡大するなど、算定プロセスの透明性を高め、より多くの消費者の理解促進につながる取組を行うことも重要であるとの指摘がございました。

取りまとめ意見としては以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、皆様の御議論に移りたいと思います。おおむね90分ぐらいは時間を取っておりますので、御自由に御発言ください。挙手マークをクリックしていただくか、チャットのほうにお名前をお入れください。よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか。できましたら、参事官から補足がありましたように、2ページの3.留意事項の(1)の2つ目のマルの辺りで補足説明いただきたいという御発言がありましたので、城所委員、長尾委員の順序でお願いいたします。

城所委員、どうぞ。

○城所委員 ありがとうございます。今の点とは直接関係していないのですが、消費者物価指数は基本的に相殺されるのではないかということに関して、相殺されないという説明を総務省さんから追加でいただいたのですけれども、それは用いる消費者物価指数の値が違うから違うだけで、例えば仮に消費者物価上昇率が2パーセントで一定である場合、相殺されてしまいます。基本的に基準料金指数が消費者物価上昇率と関係なく決まる、このミックス生産性準拠方式は問題があるのかなと思います。

まずそれを申し上げた上で、留意事項の(1)の2つ目のマルについてです。これは私が今まで誤解していたかもしれないのですが、総務省さんの計算では、マイナスのX値の前にマイナスがついているからプラスになっていると。つまり、値上げを許す形になっているのだけれど、それはよくないので、そこはゼロにしたという話ではなかったかと思うのです。ここの話というのは、総務省さんが値上げを認めるような改定を避けたというように理解していたのですが、違うのでしょうか。これだと全く逆の意味になっていると思うのですが。

○野村座長 2ページの留意事項の(1)の2つ目のマルの上3行辺りを今御指摘いただいているのかと思いますが、この文章は多分、上限価格方式の運用に関する研究会での表記に準じて記載してもらっているかと思うのです。ただ、私も城所委員の御説明の通りと理解しております。マイナス・マイナスでプラスになってしまうと値上げになるので、それはよくないということでゼロにすると。城所委員は、3行目から4行目のところがちょっと腑に落ちないという解釈でしょうか。

○城所委員 普通、マイナスのX値というのは値下げをさせるということだと思うのですが、ここでは、X値が最初からマイナスになっていて、マイナスのX値とは結局、プラスになるということでしょうか。

○野村座長 ここでの表現は、X値そのものがマイナスということではないのですか。

○城所委員 なるほど。だから、マイナス・マイナスでプラスになっているということなのですね。

○野村座長 そこは本当に皆さんに理解していただけるかどうか。私の解釈が間違っていたら、ほかの委員の先生、御指摘ください。この点に関してもう一度再確認しておきましょう。

○城所委員 それと、その次の文章で「経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましいものではない」と書いてあるのですけれども、X値がマイナスだからといって、望ましいものではないとは言えないのではないかと思います。

○野村座長 そうしましたら、事務局、ここの表記が研究会の表記と一致しているかどうか、そこだけまずお教えください。

○友行参事官 事務局でございます。

事務局としては、城所先生が最初におっしゃったような意図で書いておりまして、マイナスのX値を採用することは、式全体としてはプラスになるので、プライスキャップを上げる方向にいくというのは、それはインセンティブ規制としては望ましくないということで、ここはゼロとしたという研究会の結論は妥当であるということを引用してきたものであります。ここの書きぶりは、総務省さんの研究会や総務省さんの資料からそのまま実は引用してきておりまして、城所委員の御理解に沿う方向だと思って事務局としては書いているところでございます。

○野村座長 城所委員、そうしましたら、この3行目の表記がちょっと論理的に間違っているという御指摘があるのならば、我々の表記を若干変えてもよいかなと思っておりますが、いかがでしょうか。

○城所委員 今の事務局の御説明は完全に正しいのですけれども、何かそれとこの文章が一致していない気がするのですよね。

○野村座長 分かりました。ちょっとその御意見をいただいてペンディングにして、長尾委員から先ほどお手が挙がりましたので、もしここの部分での御意見であれば、聞いてから再考するということにさせていただきますが、いかがでしょうか。長尾委員はこの部分に関しての発言でしょうか。

○長尾委員 ここに関して、私に対する御質問は、主にさっきの4行目以降について、私が発言したことに関してもう少し補足をという御趣旨でお尋ねがあったのかなと思いますが、その前段の部分、今、城所委員から御指摘があったところに関しては、私も、負のX値を挿入するとマイナス・マイナスでプラスになって、結果的に最終的な基準料金指数、キャップのところが値上がりするという、その結論が適切でないという趣旨でこの冒頭の3行ぐらいのところは書かれているというふうに私は理解して読んでおりましたので、そういう妥当な結論を導くためにマイナスにしたのだという便宜というか、そこのところは私もこの間まで理解はしていたところでございます。

そして、そういうマイナスの読み替えとかを起こすこと、あとそもそもマイナスのX値が算定された背景も、いろいろ特殊事情があるのだという御説明についても一応納得したというか、不確定事由があると。古いメタル交換網からIP網への移行という時期であるという不確実性のある時期だということも、一応そこは分かったのですが、私が申し上げたところは、プライスキャップ制というのは、この上限規制はその上限の天井を決めるだけではなくて、要するに経営効率化努力を促すとか、値下げとしても機能する規制でなければ本来はいけないのではないかと理解をしております。ところが、今、物価上昇の局面で、X値がゼロだったりマイナスだったりすると、基本的にはさっきのX値でゼロとかマイナスを挿入すると、最終的な基準料金指数は上がるわけですね。消費者物価指数が上がっていけば、そこにゼロとかマイナスを足したとしても、基本的には最後の数値は上がっていくのだと。基準料金指数が高止まりを続けるのだと。そして、基準料金指数と実際料金指数との間には今のところかなり乖離があって、ずっと値上げ可能だけれども、上げていないねみたいな状態が続いているのだという御説明でしたと。そうすると、この状態は事業者に経営効率化を促すことによって料金低廉化を促すというインセンティブ機能は全く働いていないように思われるのだと。そもそもこのX値というのが取り上げられたとき、私も平成10年頃の研究会報告を見ましたけれども、基本的には通信業界においては生産性効率がずっと見込まれるような正のX値、プラスのX値が算定されるということが織り込まれてこのX値の話が出たのだと。そうすると、基本的には正のX値が算定されない限り、基準料金指数が最終的なところで下がることはないのだということになると。

だから、このプライスキャップ制が値下げのインセンティブの規制として働くことは今後もあり得ないのではないかと。この物価上昇の局面では、基本的にはCPIに連動して基準料金指数が決まってしまうのだと。そうすると、ゼロのX値であれば許容されるという、これもちょっとおかしいのではないかと、まずそういうことで一つ申し上げたというのがあります。

あともう一つ、非常に素朴な話ですけれども、さっき城所委員のおっしゃったこととちょっと関係があるのですけれども、要は生産性向上指数が本来はマイナスなのに、それをゼロにかさ上げするというか、生産性向上の余地があるのに、余地がないというふうに勝手に読み替えてしまうわけです。これは条文の読み方としてもやや妥当ではないのではないかと。算定したものを勝手にマイナスをかさ上げして、何かプラスのものを足してゼロに読み替えるというのは、まずそもそも条文とも乖離しているのではないかというのは1つ問題意識を申し上げましたし、要は、これは国民の印象ですけれども、生産性向上のための努力がなされていない。本来マイナスなのに、これをゼロまで持ち上げるんだねという、それに国がお墨つきを与えるんだねという読み方もできますし、あるいはさっき言った生産性向上の本来は余地があるのに、もう余地なしというふうに国がそれにお墨つきを与えてしまっている。そうすると、生産性向上を図るという自助努力とか経営効率化、経費削減とか、そういうインセンティブを素朴にNTTがちゃんと持たなくなるのではないかという印象を国民は持つのではないかと。

そういう印象かもしれないし、言葉遊びかもしれませんが、経営効率化のインセンティブに悪い影響を与える面もある。だから、その2つ、2種類というか、約3種類というか、そういう面で問題があるということを一応申し上げたところです。

○野村座長 分かりました。ありがとうございます。

長田委員も手を挙げておられますが、もしここの点に関してであれば御発言ください。

○長田委員 ありがとうございます。まず、城所委員がおっしゃった御理解で私もこの研究会におりましたけれども、そういうことでこの文章は書かれていると思っています。ただ、メタル電話、公衆電話、ISDN、全てメタルを使っているわけですけれども、それがもう今後10年間で使えなくなるということで、IP網への移管のときにメタルの縮退ももっと早い段階から本当は始めるべきだったのですけれども、なかなか難しいということで、これからの10年の間に縮退していくことが決まっていますので、今後このプライスキャップ制度だけのことについて消費者委員会から意見を申し上げてもなかなか、この件に関しては話が全然違ってきてしまうのかなと思っています。あと、利用者がどんどん減っているということで、また今度、光電話など、それからモバイルとかそういうふうに使うものが変わってきた段階で、またその料金規制の在り方については総務省でも悩んでいくことになると思いますし、競争の中でのコストダウンをどういうふうに求めていくかということも含めて考えていくべきときに今なっていることもあるのだなということを、私は総務省の研究会に出ながらそういうふうに思っていましたということを申し上げようかなと思いました。

ただ、この文章が分かりにくいという御指摘については確かにそうだなと思ったのですけれども、一応趣旨としては、城所委員や皆さんの御理解のとおりだというふうに思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

今、3名の委員の先生方から御発言いただきましたので、消費者庁様、よろしくお願いいたします。その後、皆様から御意見をいただきます。

○浪越参事官 消費者庁の浪越でございます。

今御議論いただいています2ページ目の、マイナスのX値を適用することはインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましいものではないことからゼロとして扱うというところでございますけれども、ここの私の理解といたしましては、先生方がおっしゃっているとおりなのですけれども、今回、効率性が低下をしているという状況でX値がマイナスになったということでございます。X値をマイナスのまま適用してしまうと、基準料金指数の上昇につながるという結果になります。それをなぜやらないのかというと、本来であれば、NTTさんがX値を上回る経営効率化の努力をすれば、その分自分たちの利益が増加する。だから、経営効率化をやっていこうというインセンティブを働かせるための仕組みなのにもかかわらず、X値がマイナスで、それをそのまま適用して基準料金指数を上げると、経営効率化しようという気が起こらない。経営効率性が悪化したとしても、料金を上げられるのだったらいいやというふうに思ってしまう。それではよくないよねということで、今回はゼロにしようというものだと理解をしてございます。

では、X値が今後もずっとマイナスで続くのかというと、総務省さんの研究会のまとめ資料によりますと、今回は、NTTの設備内のメタル回線等からIP網への移行を来年まで実施しておるのですけれども、その移行に伴う設備重複分といった現時点において予測が難しいコスト増については、事業者負担をしてもらいましょうと。これはPSTNというそうなのですけれども、メタル回線のようなものからIP網への移行という期間限定の特殊事情下である次期、この10月からでございますけれども、この次期に限った選択肢としてゼロにしたのだという趣旨のことを報告書には書かれてございますので、総務省さんの研究会としては、X値がマイナスになることがずっと継続的に続くという想定はしていないようでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、今の4名の御発言に関連して、ここの部分、2つ目のマルの部分に関して御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

若林委員、よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。私も先ほどから御指摘のある「マイナスのX値を適用することは、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましいものではない」という部分については、やはり読みながらちょっとつまずいてしまったのですけれども、これが先ほど御説明いただいたように、結果的に上昇になる、それが望ましくないのでゼロにしたということを含意するのであれば、必ずしもこの研究会の記載にこだわらず、もう少し補足をしてその趣旨が分かるように、ここをもう少しいろいろ足すというのはいかがでしょうか。中身は皆さん違っていないよねという今までのお話でしたし、私も皆様と同じように価格の上昇につながるとこれは望ましくないということであると理解をしておりましたので、それが分かるようにというのでしょうか。私たちも、分かりやすく説明をして欲しいと要望しておきながら、この文章自体が分かりにくいというのはどうかなとも思いますので、ちょっと冗長になってしまうかもしれないけれども、この辺りは今の消費者庁さんの御説明なども踏まえて、もう少し書き込んでもいいのかなと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかの委員の先生方、どうぞ。よろしいでしょうか。

なかなかこの公式そのものがかなりハイレベルな形で出てしまって、法的に裏づけを持っているという公式ですが。

城所委員、どうぞ。

○城所委員 私が一瞬誤解したことを避けるには、例えば、マイナスのX値を適用することは、上限価格の上昇を認めることであるといったような、値上げの方向性に動くというようなことを書いていただければ誤解がないと思うのですけれども、それはいかがでしょうか。

○野村座長 確かに。ありがとうございます。

ちょっと先に長尾委員の御意見も頂戴したいと思います。どうぞ。

○長尾委員 長尾でございます。

その前半3行に関しては、若林座長代理、城所委員の御発言のとおり、そういう補足をして、基準指数、上限指数が上昇することになるのでという意味だということを補足すること、そこは私も異論がありません。その話とさっき私がいろいろ申し上げた後半の話はちょっと違う話なのかもしれないとも思いますので、さっき私が話したことがもし十分でなければ、またお尋ねいただいて。ただ、私も十分な理解のないまま話しているところもありますが、そこは話の違うところかなと。私はその3行ぐらいの結論のところは賛成でございますし、言葉を補うところも賛成でございます。

ただ、今回、それはそれとした上で、今後、X値を、そもそもマイナスをゼロと読み替えることとか、ゼロとかマイナスのX値が生まれることについてのネガティブなインセンティブ規制に与える影響ということをさっき私のほうは申し上げたので、ちょっとそこの話を分けたほうがいいのかなとは思いました。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。今のところで非常に表現が、解釈がすっといかない印象を私も持ちました。3の(1)の2つ目のマイナス値の説明の皆さんが御指摘なさっているところですけれども、例えば「マイナスのX値を適用することは、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として」というところまでから、「として望ましいものではない」というふうに続くわけですけれども、そうすると、それで望ましくないということは、経営効率化努力がなされておらず、利益も増加していないというふうに読めばいいのか、また先ほどから出ております「ゼロ」としてというところの恣意性のようなものを感じてしまうので、何かもう少しすっきりした言い方ができないかと思いました。

意図としては、実際にはプラスになってしまう計算結果になっているので、そこをゼロにすることで、その分の経営効率化を促すという意図かと思いますけれども、そういうふうにすっと読めない、この経営効率化のインセンティブに悪い影響というところを、もう少し何か加えたほうがいいということです。全般的に違った解釈になってしまう可能性があるのではないかという印象を持っています。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

どうぞ。

○友行参事官 事務局でございます。

今のところですけれども、2つ目のマルのところが前半と後半でちょっと違う話になっております。前半のところは、委員の先生方、おおむね書いてあることの意図は御理解いただき、皆さん同じ方向性を向いていると思われます。ですので、文章を少し足すということで先ほど城所委員から御提案がありましたような、マイナスのX値を適用することは、例えば値上げ容認となる経営効率化努力等による云々という形の文言を追加するということが一つの案の御提案でございます。

それで、後半の部分、長尾委員から先ほど来御意見いただいているところでございます。ここはもう一回確認させていただきたいのですけれども、前回でも御意見ありました、まず施行規則の規定からいうと、計算した結果をX値と採用するものとするとなっているのに、マイナスをゼロとするということが施行規則との関係で問題ではないのかという御指摘は前回もございました。例えば、施行規則の第90条の5の第4項で、将来原価から算定するものとするということを勝手に変えたような形になっているが、そこはどうかということの御指摘が前回もございました。それに対して前回の総務省からの説明は、算定するものとするは原則の意味であるということと、あと、研究会で検討された結果を踏まえて、その原則の範囲内で収まるような改定ということであるので、ここは特に違法だとは考えておりませんというような御指摘がありました。ここは前回で一旦解決されたと思いまして、事務局では記載しておりません。その点、まずどうするかということを御議論いただければと思います。

次に、長尾委員の2つ目のインセンティブに対してのいい影響か、悪い影響かというところを御議論いただければと思います。お願いします。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、たくさん御意見が出ましたが、まず今、参事官がおっしゃってくれた前段のところの城所委員の値上げにつながるという文言を2行目の最後のカンマのところに入れるという方向なのですが、いかがでしょうか。読み上げると、マイナスのX値を適用することは、値上げにつながるので、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましいものではない。ここで一旦切ったほうが私はよいように思います。望ましいものではない、丸。それで、後段の部分をもう一度、長尾委員の御意見に関して補足があればお願いしますし、ほかの委員から御意見があればお伺いしますしということで進めたいのですが、いかがでしょうか。

城所委員、まず、今の説明で間違っていないかお教えください。

○城所委員 すごく分かりやすいのですけれども、正確性はちょっと欠けているかなと思っています。なぜかというと、今、プライスキャップ規制の上限に料金が張り付いていない状態なのですね。だから、上限価格が上昇しても料金は上がらないかもしれないという状況なので、必ずしも値上げにつながるわけではないというところが悩ましいところです。だから、上限価格の上昇につながりみたいな表現のほうが正確ではあると思うのです。

○野村座長 分かりました。上限価格の上昇につながるため、あるいは値上げにつながる可能性があるためのような文言になるかと思いますね。確かに。なので、ロジカルに言っているのか、現実のNTT東西さんを想定して考えるのかというので表現がかなり変わってきますね。ただ、ここはロジカルに言っているかなと。

ちょっと戻りますが、長田委員がおっしゃってくれたのが、その上の1つ目のマルの最後の「本制度の在り方に関して、抜本的に検討することが必要と考えられる」にも集約されそうに思っていますが、あえて2つ目のマルをつくるならば、城所委員の狙われている方向で、言葉をもう少し付加したいと思うのですが、城所委員、今のところをきれいに、2行目のカンマのところから4行目の「望ましいものではない。」で終わるようにつなげていただけますか。

その間に長尾委員から御意見を頂戴したいと思います。長尾委員、どうぞ。

○長尾委員 今議論になっているところにまず絞ってお話しすると、上限価格というか、基準料金指数という言葉を使っておられるので、それであればそのように特定したほうがいいと思うのです。数式に当てはめると基準料金指数が上がる。これは間違いなくそう言い切れることでありますので。実際の価格が上がるかどうか分からないのは、まさに城所委員がおっしゃるとおりだと思いますので、どちらのことを指しているか、その言葉を特定してちゃんと明確にしたほうがいいのかなと思いました。

○野村座長 ありがとうございます。そうすると、基準料金指数が上昇するためで、長尾委員、よろしいですか。

○長尾委員 そうですね。

○野村座長 城所委員、それも含めてちょっと文言を、こういう案がいけそうですということがあればお願いいたします。

○城所委員 今、長尾委員がおっしゃったように、正確にはここは基準料金指数の上昇につながるためというのが一番いいと思うのですけれども、そうすると基準料金指数って何という話になるのです。

○長尾委員 そうですね。料金の上限を定めるところは別として、上限であるところの基準料金指数ということですよね。国民に分かりにくいということはあるかもしれないのですが、実際料金と区別するための言葉を使ったほうがいいのだろうとは思います。

○野村座長 ただ、2ページの最初の理由のところにも基準料金指数という言葉は出ていますし、もちろん最初の1ページにもきちんと出ているので、特に問題があるとは私は感じないのですが、確かに全体的には利用者には理解は難解かなと。特にこの言葉はとは思います。

○城所委員 すみません、座長。1ページの注1に基準料金指数の説明がありますので大丈夫ですね。

○野村座長 そうですね。それで、もうこのまま通していってしまうというのであれば。

○城所委員 だから、基準料金指数の上昇につながるためというように入れれば大丈夫なのではないかと思います。

○野村座長 分かりました。

長尾委員も前段のところはよろしいでしょうか。

○長尾委員 おっしゃるとおりだと思います。

○野村座長 分かりました。

そうしましたら、ほかの委員は、今の前段のところはそのように、2行目の最後のカンマのところに基準料金指数の上昇につながるためという補足文言を入れることに関して御意見いかがでしょうか。よろしいでしょうか。

若林委員、どうぞ。

○若林座長代理 ここは確認なのですけれども、2つ目のマルの前段部分は全てこの研究会の報告書の文言から抜粋したものと理解しているのですけれども、基準料金指数の上昇を招くためというこちらで理解したような形でこれを書くことは、この研究会もそのような理解であることは確実なのでしょうか。研究会によればというような形で引用していますので、そこをはっきりさせたほうがよいというのか、誰の見解なのかというところをもう少し分かりやすく書いたほうがいいのかなという印象を持ちました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。私もそれは気になりました。私の理解は、2行目の「算出されたものの、」で、ここでこちらの専門調査会のほうの意見をそこから述べていくということで、かぎ括弧つきの1行目の研究会は、「ものの」までが、算出してもらったというところまでだけに限定しているというふうに考えたのです。そこも2文に分けてしまうということであれば、若林委員のように、著作権といいますか、きっちりと誰がどこで何を考えたかというのが明確にはなるかと思います。

事務局、ここはいかがお考えでしょうか。

○友行参事官 事務局でございます。

ここのところ、研究会の報告書では、言葉としては、値上げ容認となるマイナスの値というような言い方をしております。

○野村座長 なるほど。そこを別に丸々引用しなくてはいけないわけでもないし、留意事項なので、こちらの意見を前面に出しても構わないと私は思っているのですが、その点に関しては、事務局、いかがでしょうか。

○友行参事官 趣旨は同じだと思いますので、言葉遣いが違っても大丈夫だと思います。

○野村座長 若林委員、いかがでしょうか。

○若林座長代理 どうもありがとうございます。

○野村座長 御納得いただけたと理解してよろしいですか。

○若林座長代理 これは結局、研究会の考えを全て引用したという形の書きぶりになるということでしょうか。最後に「『ゼロ』として扱うこととされている」という文章があるので、結局、ここまでが全て研究会の見解であるかのようにこの文章は読めると思うのですけれども。

○野村座長 どうぞ。

○友行参事官 事務局でございます。

値上げ容認と書くか、基準料金指数の上昇につながるためと書くかというところは、正確にいえば言葉は違います。その後の「経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ規制として望ましいものではない」というのは、検討会の報告書をそのまま引用した形になっています。

○野村座長 分かりました。ありがとうございます。そこで切るか、「『ゼロ』として扱うこととされている」まで入れるかでも変わってくるかと思いますので、そこはほかの委員の先生方、御意見あればお願いいたします。

お願いいたします。

○城所委員 今の事務局の御説明で、本来この「マイナスのX値を適用することは」の前に、値上げにつながるというような表現がついているのだとしたら、そのままでいいのではないでしょうか。

○野村座長 なるほど。では、事務局、そこをもう一度正確に、2行目の最初のカンマの後に、値上げにつながるマイナスの値でよろしいですか。

○友行参事官 2行目からですが、マイナスの値が算出されたものの、値上げ容認となるマイナスのX値を適用することは、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましいものではないというのは、総務省の研究会報告書の中にこういった記載ぶりがあります。

○野村座長 分かりました。その後段のところも続けて、「とのことから、『ゼロ』として扱うこととされている」も入っておりますか。

○友行参事官 1つの文章としては入っておりません。

○野村座長 分かりました。では、2行目の真ん中の辺りの2つ目のカンマの後に、値上げ容認となるという文言が入っていて、値上げ容認となるマイナスのX値を適用することはという流れになっているということでございます。

それを残して、先ほど城所委員の御提案のところは省くと。どちらでもよろしいように思えますが。

若林委員、どうぞ。

○若林座長代理 もし値上げ容認につながるというもとの報告書の文章を入れるのであれば、これは結局、研究会の考えを全て引用していることになりますので、それはそれで問題ないかなと思っております。

以上です。

○野村座長 分かりました。

後藤委員、どうぞ。

○後藤委員 読みやすさという点だけなのですけれども、もとの研究会の報告書の表現がこのようになっているということで、もちろん間違いではないと思うのですが、経営効率化努力による増加した利益を自己の取り分とする、の辺りをもう少しすっきり書くのであれば、一案として、経営効率化努力を促す趣旨のインセンティブ規制である、というようにしてもいいのかなと思いました。増加した利益を自己の取り分というのが少し伝わりにくいような気もしましたので、表現だけの問題なのですけれども、省いてしまうなど。

○野村座長 分かりました。私もどちらかというとその表現のほうが、むしろよいのではないかなと感じております。

そうすると、若林委員、引用ではなく、ちょっとアレンジした表記になってしまうのですが、そのほうが読みやすいとは私も思うのです。

○若林座長代理 私の懸念は、こちらで読みやすいように書き換えた場合に、それが本当に研究会の趣旨と合致しているかというところで若干懸念がありましたので、だとすると、こちらで書き換えた部分は、こちらがそう読みましたということが分かるように書いたほうが文章としては分かりやすいのではないか、誠実なのではないかと感じたということです。なので、中身について問題があるというよりは、もし書き換えるのであれば、どこまでが引用とか研究会が言っていることで、どこからがこの会議で理解したものであるかというのが分かりやすくなっていると、より伝わりやすいのではないかなということです。

○野村座長 了解しました。そうしましたら後藤委員に提案ですが、この4行は、先ほどのとおり括弧つきの研究会のほうの文言を引用していくということで、ただ、経営効率化を促すことが大事ですよということを強調する文言を残りの2行に入れていくという方向でいかがでしょうか。

○後藤委員 それでもよいかと思います。

○野村座長 ありがとうございます。ただ、そこの部分が、長尾委員の条文のことに触れるほうがよいのかという二択があるかと思うのですが、長尾委員、いかがしましょうか。

○長尾委員 お尋ねは、基準料金指数という言葉を入れるかどうかということでしょうか。

○野村座長 それは前段のところで、基準料金指数の城所委員の御提案を除き、研究会の原版のほうで盛り込まれている値上げ容認となるというのを、マイナスのX値を適用するという文言の前に入れることで、基準料金指数は今ここでは出さずにと。この2つ目のマルの下2行です。下から3行目の「こうした取扱いが」という、ここに後藤委員のおっしゃっている効率化を促すことをもう少し強調した表現の文章を入れておくと。要するに、上の4行は研究会の解釈ですよねと。でも、専門調査会としては、もう少し事業者の経営効率化を促すことを重視してほしいですというこちらからの期待を述べておくというふうにしてよろしいですかという御提案です。

○長尾委員 方向性については異論ございませんが、どのような文言でというのは、これから検討するというところでしょうか。

○野村座長 そうです。

○長尾委員 それであれば異論ございません。

○野村座長 ありがとうございます。ただ、今残っている2行ですね。「事業者において経営効率化のインセンティブに悪い影響を与え得る」というのと置き換えてよろしいですかということを伺いたいのですが、いかがでしょうか。

○長尾委員 この悪い影響という言葉も、私がストレートに申し上げたというよりは、少しそこを要約してくださっているところだとは思いますので、そこに何らかの経営効率化のインセンティブにネガティブな影響を与えないようにする、あるいはよい影響を与えるようにするということが入るのであれば、よろしいのかなと思います。

○野村座長 分かりました。ありがとうございます。

そうしましたら、後藤委員、ちょっとここの文言をどうすべきか、後で伺いたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

その間に、ほかの委員から今の議論、この2つ目のマルのところに関して御意見を頂戴したいと思います。いかがでしょうか。

そうしましたら、事務局、再度、若林委員と私がちょっとやり取りしましたような形で、上の4行は、括弧つきの研究会の意見を受けて表記すると。下の2行に関しては、後藤委員がおっしゃるように、インセンティブ規制の本来の事業者に求めていることを強調して、そういう留意事項として認識していただきたいことを表記するということでいかがでしょうか。そこに関して御意見ください。

○友行参事官 後半の部分なのですけれども、趣旨を確認させていただきたいのですが、今回どこがインセンティブ規制として機能していないのかという点をもう一度お願いします。マイナスというものをゼロにしてしまうことがインセンティブ規制として機能していないのか、それともマイナスが出てしまうような計算方式がインセンティブ規制として機能しないのか。この点については、先ほど庁から、今は特殊事情があるのでマイナスが出るのは一時的かもしれないと、今後ずっと続くわけではないのではないかというような御指摘もございました。なので、どの部分がインセンティブ規制として不適切かもしれないという指摘をするのかという点を、申し訳ありませんが、もう一度お願いします。

○野村座長 後藤委員、どうぞ。

○後藤委員 今、御説明にあった部分と関連する部分で、私も考えていたのですけれども、そもそも計算式ではマイナスの値で、つまりプラスになる、料金上昇になるかもしれないところをゼロに抑えるということなので、その部分のインセンティブを持たせるということだと思うのですけれども、そうしますと、ゼロでいいのかどうか。ゼロにするのだったらプラス1ではどうかとか、その部分の考え方と、この「インセンティブに悪い影響」というのが、例えばゼロではなくて費用削減をもう少し深掘りしたような値にする可能性もあったとすると、ゼロでよかったという悪い影響なのか。この辺りの意味が私も少し明確じゃないなと思っていましたので、少し整理をしたほうがよいのではないかと。

なぜゼロなのかというところと、それが事業者から見て効率化として厳しい数値ということなのか、あるいはもっと深掘りする余地があったとして、それがゼロで済んだというインセンティブへの悪い影響なのか、その辺りはもう少し明確化が必要かなと思います。

○野村座長 分かりました。ありがとうございます。

その辺り、本当はこの研究会と意見交換してもいいぐらいのレベルの話かなと思うのですが、それはちょっと現実的ではないので、今の後藤委員の御意向を酌んで、この下の2行をちょっと変えていきたいと思います。先ほどの城所委員の御提案の部分を省きますと、研究会の表記のほうの値上げ容認となると入れたので、基準料金指数の上昇につながるためというのを落としますと申し上げたのですが、それをここに持ってきて、基準料金指数の上昇につながることは避けられたが、後藤委員の、今後は経営効率化を促すことを重視すべきであるとの指摘があったというような形にできないかなというのが一案でございます。

長尾委員、挙手されていますので、先にそちらの御意見を伺います。

○長尾委員 今、座長がおまとめくださったところに関わると、やはり経営効率化を促すことによって、料金低廉化を促すというインセンティブ機能が働くようにすべきである、その料金低廉化を促すというところを入れていただきたい。

○野村座長 なるほど。ありがとうございます。

後藤委員、いかがでしょうか。ゼロからプラスにどうしてしなかったかとか、ちょっとここでは言えないと思うので。

○後藤委員 そうですね。あまり文章が長くなるのもかえって読みづらいと思いますので、低廉化という言葉だともう少し分かりやすくなるような気もいたします。

○野村座長 そうですよね。

城所委員、そういう形で、基準料金指数の上昇につながることは避けられたがみたいな表現をここへ持ってきてよろしいでしょうか。

○城所委員 今の皆さんのお話を伺っていて、一応、プライスキャップ規制でマイナスのX値に今回なっていますけれども、プラスのX値になることもあり得るわけで、マイナスになったからといってプライスキャップ規制が役に立っていないわけではないのです。だから、なぜゼロとして扱うのかということなのですけれども、これは正直言って学問的理由はないわけですね。本来、値上げしてもいいということなのだけれども、それだとまずいから、ゼロにするということで、逆に言うと強烈な値下げ圧力を促しているわけです。だから、ゼロとして扱うということがものすごく事業者に不利な扱いをしている。そうすると、その点が経営効率化のインセンティブに悪い影響を与え得るとは言えないということがあります。

あともう一つは、そもそもこのプライスキャップ規制というのは、本来、独占企業に対してなされるもので、なぜか今、NTTにかかっていますけれども、固定電話は今、インターネット電話もありますし、ほかの事業者さんも展開されていますので、本来、規制で下げなくても、競争が担保されているのでいいわけです。そういう側面もあるからなかなか難しい。

先ほど長尾委員がおっしゃった、これはどっちみち長期的にはなくなるのだから、過渡的なものなのだからということを考えると、そういうことも含めるとどうなのかなというのは正直思います。ただ、ゼロとして扱うことが経営効率化のインセンティブに悪い影響を与えるわけでは決してないと思います。

○野村座長 ありがとうございます。なので、研究会のほうの文言は触らないほうがよいのではないかと若林委員もおっしゃってくださいましたので、最後の2行に城所委員の御意向も入れたいのですが、事業者にという観点は、消費者委員会としてなかなか取りづらいところもあります。先ほど私が申し上げたような、ちょっと消費者サイドに分かりやすい文言を入れるのであれば、基準料金指数の上昇につながることは避けられたが、事業者に対して今後経営効率化を促すことが重要であるとの指摘があったというふうな表現にして、今入っている悪い影響というのはちょっと分かりにくいので、ここを省かせてもらうという提案でございます。

まだ御発言いただいていない委員の方も、プライスキャップそのものを御理解するにはなかなか難しいということかもしれませんが、御意見賜れればありがたいのですが、いかがでしょうか。

長尾委員、どうぞ。

○長尾委員 今、議長がおまとめくださったところですね。もう一度繰り返しますと、事業者に経営効率化を促すことによって、料金低廉化を促すというインセンティブ機能を十分に果たすよう留意すべきだというような趣旨を入れていただくといいのではないかなと。

○野村座長 ありがとうございます。そうでした。すみません。低廉化という言葉を入れておくべきです。もう一度ゆっくりと今おっしゃった文言をお願いいたします。

○長尾委員 事業者と言っては言いにくいのかもしれませんが、NTTに経営効率化を促すことによって、料金低廉化を促すというインセンティブ機能を十分に果たし得るよう、今後のX値の算定において留意すべきだというような趣旨が入ればいいのかなと。

○野村座長 分かりました。

事務局、今の文言を入れていただくという方向でいかがでしょうか。

○友行参事官 分かりました。その趣旨に沿って文章を考えたいと思います。ここはプライスキャップ規制についてというふうなことでまとめていますので、X値の算定方法についてという話が(3)のところにありますことから、そこと一緒にならないように、そもそものプライスキャップ規制制度の趣旨からいうと、こういうことが指摘されますということでまず(1)は書いてというような形で、文末はそのような形にまとめてみたいと思います。

○野村座長 ありがとうございます。

今、友行参事官が言われた3ページの(3)を(2)と置き換えたほうがよいのではないかなと私は先ほど思っていたのですが、それはまずいですか。(2)を一番後ろへ持ってきて、話の流れ的には、プライスキャップとX値を並べるほうが内容的にもつながりがいいのではないかと感じたのですが、いかがでしょうか。

○友行参事官 事務局でございますが、事務局としては、順番を入れ替えても特段問題ございません。

○野村座長 ありがとうございます。

ほかの委員の先生方、いかがでしょうか。

○若林座長代理 若林です。

賛成です。

○野村座長 ありがとうございます。

○小野委員 小野でございます。

賛成でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、ほかの箇所に関して御意見を求めたいと思います。

御欠席の太田委員からは特に御意見いただいていないでしょうか。確認させてください。

○友行参事官 特に御意見はいただいておりません。

○野村座長 了解いたしました。

郷野委員、どうぞ。

○郷野委員 ありがとうございます。留意事項の(1)のところですけれども、先生方が今まで御議論されていたとおり、修文していただくと、私たち一般消費者にもより分かりやすくなると思いました。やはり難解な文章で、研究会の見解なのか、消費者委員会の見解なのかというところも整理していただけたらと思いました。

それから、消費者への分かりやすい説明についても、前回の議論の内容を反映していただきましたが、公共料金の仕組みや設定については本当に複雑でなかなか理解することが困難でありますので、そこに触れていただいたのはよかったと思っております。

引き続き、消費者に対しては、暮らしに与える影響について分かりやすい説明をできるだけ具体的な数字や例などを示していただきながら進めていただきたいと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。最後におっしゃったところは総務省さんにも伝えていますし、そういう分かりやすい図をお持ちのようですので、それをホームページでアップできるものはしていただくということをまた求めたいと思います。ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。大丈夫そうでしょうか。

そうしましたら、先ほどの2ページの(1)の2つ目のマルのところを修文するという形で、値上げ容認となるというのを2行目の真ん中に入れることと、最後、長尾委員が解説してくださったような趣旨を含んで、後藤委員の経営効率化を促すと、それから料金低廉化ということばを入れた文言に修文する方向で取りまとめていくということでよろしいでしょうか。

ありがとうございます。

ほかに全体を通してなければ、そのようにさせていただきます。

では、前回の専門調査会の冒頭でお伝えしておりましたように、長田委員におかれましては、総務省の上限価格方式の運用に関する研究会の構成委員を兼務されておりますので、消費者委員会の本会議や専門調査会における過去の対応に倣いまして、意見の取りまとめからは外れていただくことにしたいと思います。

長田委員、恐縮ですが、一旦退室いただきたいと思います。取りまとめが終わりましたら、また事務局から連絡して再入室していただきますので、お待ちください。

○長田委員 承知しました。

(長田委員退室)

○野村座長 そうしましたら、今の修正箇所のところ、間違いないかということで、その方向性も含めて、友行参事官からもう一度確認していただけるでしょうか。

○友行参事官 それでは、意見案の2ページ目の3.の留意事項でございます。(1)のプライスキャップ制度について、2つ目のマルのところでございます。2行目ですが、マイナスの値が算出されたものの、値上げ容認となるマイナスのX値を適用することは、経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ規制として望ましいものではない。それ以降の文章は削除いたします。

その代わりにつけ加えます。今般、基準料金指数の上昇は避けられたが、事業者に対し、経営効率化を促すことにより、料金低廉化を図っていくことが重要であるとの指摘があったと修文するということでございます。

そして、その後の現在(2)となっていますところを最後に回し、X値の算定方法についてというところを(2)に持ってくる。順番として、プライスキャップ制度について、X値の算定方法について、消費者への分かりやすい説明についてとするという、以上の修正だったかと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

委員の皆様、今の参事官からの修文でよろしいでしょうか。

長尾委員、よろしくお願いします。

○長尾委員 おおむね異論ございませんが、インセンティブという言葉はもう使われなくなったようにお聞きしましたが、何らかその最後の行にところにあったほうがよいのではないかと思ったのですけれども。

○野村座長 経営効率化を促すインセンティブという。

○長尾委員 そうですね。インセンティブ機能を十分に果たすべきというようなことをさっき私は何度か申し上げて、その言葉自体がなくなったような気がしたので、何かインセンティブという言葉はあったほうがよろしいのではないかと思いました。

○野村座長 了解しました。参事官、それは入れられますよね。

○友行参事官 大丈夫です。

消費者庁様からもお手が挙がっているので、それも踏まえた上でお願いいたします。

○野村座長 消費者庁様、お願いたします。

○浪越参事官 消費者庁でございます。

基準料金指数の上昇は避けられたが、というところですが、どこまで厳密に言うかではありますけれども、物価上昇分を除き基準料金指数の上昇は避けられたが、というほうがより正確かなと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。それも問題ないですよね。

○友行参事官 問題ございません。

○野村座長 皆様もそれで御了解いただけると思います。大丈夫でしょうか。

浪越参事官、貴重な御意見をありがとうございます。

○友行参事官 座長、もう一度読み上げてもよろしいでしょうか。

○野村座長 お願いいたします。

○友行参事官 マルの2つ目の最後のところでございますけれども、今般、基準料金指数の上昇は物価上昇分を除き避けられたが、事業者に対し経営効率化を促すことにより料金低廉化を図り、インセンティブ機能を十分に果たすことが重要であるとの指摘があったとなります。

○野村座長 インセンティブ機能という言い方になりましたが、長尾委員、いかがでしょうか。

○長尾委員 城所委員も挙げていらっしゃいますが、先でしょうか。

○野村座長 長尾委員、まずどうぞ。

○長尾委員 ありがとうございます。恐らく経営効率化を促すというインセンティブ機能とか、料金低廉化を果たすというインセンティブ機能とか、そういう係り方をするのではないかなとは思います。そこが何か今、分断したようなおっしゃり方だったような気もするのですが、「これこれというインセンティブ機能」ということかなとは思いました。

○野村座長 ありがとうございます。私も同感でございます。

城所委員、どうぞ。

○城所委員 ありがとうございます。もともとの物価上昇分を除きという言葉は入れないほうがいいのではないかと思っていて、それは、基準料金指数で確かに物価上昇率分は上がりますけれども、X値の中で物価上昇率分は相殺されるので、物価上昇率分を除き基準料金指数の上昇は避けられたというのは言えないのではないかと思います。

○友行参事官 そこは、消費者庁さん、そういう理解になりますか。脚注1の基準料金指数の式を見ますと、消費者物価指数変動率分の上昇ができるわけです。ですので、物価上昇分を除きとあってもいいかなと思ったのですけれども。

○城所委員 X値も上昇して、結局、物価上昇率分は相殺されるのではないでしょうか。

○友行参事官 ただ、今回、X値は3年間ゼロといたしますので、毎年算定していく基準料金指数については、今後の3年間は物価上昇分のみは上がっていくということかと事務局では理解しておりますけれども。

○野村座長 城所委員、すみません。私は浪越参事官の言われたほうが正確だなというふうに思いましたが、問題ありますか。

○城所委員 分かりました。

○野村座長 括弧の中に1プラスの消費者物価指数変動率ですから、入っていたほうがよいかなと思いますが。

ほかの委員の方も、もし御意見があれば。

○長尾委員 長尾でございますが、今のは私も浪越参事官がおっしゃったことは理解できます。そのとおりかと思います。ただ、言わずもがななこともあるから、あえて言うかとか、そういうことはあるかもしれないというところです。

○城所委員 X値がこのときにゼロとして設定されているのを前提とするなら、確かにそうですね。一般的に相殺されますけれども、ここでX値がゼロなのでということになると、確かに物価上昇率分だけ上がります。ただ、今、長尾委員がおっしゃったように、わざわざそこで物価上昇率分を除きという文言を入れるかという話があると思いますけれども。

○野村座長 分かりました。ありがとうございます。

一応、浪越参事官が言われた正確なほうを私は取りたいと思いますので、いわずもがなかもしれませんが、よろしくお願いいたします。

ほかにお気づきの点はございますでしょうか。よろしいでしょうか。

そうしましたら、皆様の本日の御意見を反映させまして、意見案について修正を施したものをまたお知らせするということで、それは座長である私に一任していただければ幸いでございます。いかがでしょうか。もし御意見ございますようでしたら、挙手もしくはチャットで追加御意見を出してください。

事務局、手は挙がっていないでしょうか。大丈夫でしょうか。

○友行参事官 城所委員、何かございますか。

○城所委員 いいえ、特にありません。

○友行参事官 そうであれば、他の委員の先生方からは特にお手などは挙がっておりません。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、一任していただいたということで、私の責任において意見案をまとめ、修文し、当専門調査会の意見として取りまとめるということにさせていただきます。

そうしましたら、長田委員に再入室していただくということで、少しお待ちください。

(長田委員入室)

○野村座長 長田委員、御退室後の再入室ありがとうございます。今、皆さんから一任していただく御意見をいただきました。先ほどの(1)の2つ目のマルの最後の部分を修文するということで、それは読み上げたほうがよろしいでしょうか。参事官、いかがでしょうか。

○長田委員 私のほうは大丈夫です。

○野村座長 分かりました。

御発言の趣旨を酌んで修正するということで、浪越参事官から御意見がありまして、正確性を入れるということで若干付加した言葉がございますが、大きく趣旨は変わっておりません。それから、(2)と(3)の順番を入れ替えるということで御一任いただきました。それを当専門調査会における意見として、後日、消費者委員会本会議に報告することにさせていただきます。ありがとうございました。

○後藤委員 野村座長、後藤です。すみません。1点のみよろしいでしょうか。

○野村座長 どうぞ。

○後藤委員 X値の算定方法についてというところで、1点だけ文章を検討していただきたい部分があります。(3)のマルの2つ目の5行目、下から2行目になりますけれども、まずはこの部分、懸念点としておまとめいただきましてありがとうございました。下から2行目の「支店数の減少を補う工夫によって」というところなのですけれども、より正確には、支店の統合によるデータ数の減少を補う工夫ということでご検討いただけないでしょうか。支店の減少を補うというよりは、データ数のよりテクニカルな部分のことを言っておりますので、支店が減少してしまうのは仕方ないのですけれども、それによってデータが減少してしまうことのテクニカルな何らかの工夫があってもよいという意味ですので、正確な表現のほうがよいかなと思った次第です。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。そのとおりだと思いますので、ほかの委員の先生方も御理解いただけたと思いますが、いかがでしょうか。大丈夫でしょうか。

問題ないと思います。事務局も大丈夫ですね。

○友行参事官 大丈夫でございます。

○野村座長 後藤委員、ありがとうございました。

万が一細かい表記が気になるということでありましたら、私と事務局にお知らせいただきたいと思います。大きな変更はもう不可能と御理解ください。よろしいでしょうか。

それでは、最後に事務局から事務連絡ということでお願いいたします。

≪3.事務連絡・閉会≫

○友行参事官 御熱心に御議論いただきまして誠にありがとうございます。

次回の日程などにつきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、本日の第84回専門調査会をこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところをお集まりいただきありがとうございました。

(以上)