第83回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2024年5月27日(月)15:00~16:49

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、太田委員、城所委員、郷野委員、後藤委員、長尾委員、長田委員
【消費者委員会担当委員】
小野委員、柿沼委員
【総務省総合通信基盤局電気通信事業部】
料金サービス課 井上課長
【消費者庁】
浪越参事官(公益通報・協働担当)
【事務局】
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会・事務連絡
  2. NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更について
  3. 事務連絡・閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会・事務連絡≫

○友行参事官

本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまより「消費者委員会第83回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日、野村座長をはじめ委員の皆様はテレビ会議システムにて御出席いただいております。ただし、小野委員は会議室にて御参加いただいております。

また、本日の議題の説明のため、消費者庁から公益通報・協働担当の浪越参事官にオンラインで御参加いただいております。

総務省からは、総合通信基盤局電気通信事業部の井上料金サービス課長にオンラインで御参加いただいております。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

一般傍聴者にはオンラインで傍聴いただき、報道関係者のみ会場に御参加いただいております。

議事録については後日公開いたします。

なお、配付資料につきましては、お手元の議事次第下部に記載しているとおりでございます。

それでは、野村座長、以降の進行をよろしくお願いいたします。

≪2.NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更について≫

○野村座長 本日はよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れてしまった場合には、復旧するまでの間、座長の代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には、事務局に進行をお願いすることといたします。よろしくお願いいたします。

本日の議題ですが、「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基本料金指数の算出方法の変更について」でございます。

NTT東西が提供する加入電話等の料金に関しましては、平成12年10月より、プライスキャップ制による料金規制が導入されております。同制度における料金水準の上限を示す基準料金指数の算出方法につきましては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等とされております。付議に先立ちまして、参考資料でお示ししていますとおり、消費者庁より消費者委員会の意見を求められております。

なお、長田委員におかれましては、総務省の上限価格方式の運用に関する研究会の構成員を兼務されており、基準料金指数の算定にも関わっておられたということを伺っております。したがいまして、長田委員には、調査審議の過程では、その御知見に基づく御意見等を頂戴したいと存じますが、これまでの消費者委員会本会議や当専門調査会における対応に倣いまして、当専門調査会としての意見を取りまとめる段階では、その取りまとめの作業から外れていただくこととさせていただきます。

それでは、議事に入らせていただきます。

最初に消費者庁様より、公共料金の改定の流れと今回の付議事項を簡潔に御説明いただき、その後、総務省様より詳細を御説明いただきたいと思います。

まず、消費者庁の浪越参事官から御説明をお願いいたします。おおよそ5分程度でよろしくお願いいたします。

○浪越参事官 消費者庁の浪越でございます。

今日は、お時間をいただきまして、ありがとうございます。

私から、資料に基づいて御説明申し上げます。

まず、1ページでございます。

公共料金等の新規設定・変更における消費者庁の関与についてでございます。公共料金等とは、料金等の新規設定・変更に当たって政府が決定・認可等を行うもの、政府が関与しているものでございます。

公共料金等につきましては、通常でありますと事業者が所管省庁に申請をし、所管省庁は自分のところの審議会等の意見を聴いた上で認可をするという流れが通常でございますけれども、公共料金等のうち重要なものにつきましては、所管省庁の認可の前に消費者庁に協議をかけ、消費者庁から消費者委員会に付議をして、意見を聴いた上で物価問題に関する関係閣僚会議に付議をし、その後、所管省庁が認可を行うという流れになっております。消費者基本法の第16条の考え方に基づきまして、関係省庁の申合せで決めているところでございます。

続いて2ページをお願いいたします。

所管省庁から消費者庁への協議が必要となる公共料金等の例を挙げさせていただいております。左側が物価問題に関する関係閣僚会議に付議するもの、右側が消費者庁協議のみでよいものでございます。

左側の関係閣僚会議に付議するものを御覧いただきますと、例でございますけれども、経産省関係であれば大手電力9社のいわゆる規制料金や、東京ガス・大阪ガス・東邦ガスの6大都市の規制料金などが該当いたします。

国土交通省関係では、JRや大手民鉄等の運賃上限の変更のうち重要なものや、大手民営バス9社等の旅客運賃の上限の変更のうち重要なもの、東京都特別区に係るタクシー事業者の基本運賃がございます。

今回対象になってきますのは総務省関係でございまして、前回は、①の25グラム以下の定形郵便物の料金の上限について消費者委員会で御議論いただきましたけれども、今回は②のNTT東日本・西日本の固定電話の通話料金の上限(プライスキャップ)の算出方法の変更が協議対象でございます。

詳細は後ほど総務省様から御説明がございますけれども、この算出方法、具体的には3年に一度変更してございますNTT東日本・西日本の生産性向上見込率を何パーセントにするのか、今回であれば0パーセントと総務省様から協議いただいておりますが、その0パーセントが妥当なのかどうかということについて消費者委員会の先生方に御議論いただきたいと思ってございます。

続きまして、3ページをお願いいたします。

消費者庁が公共料金の変更について協議を受けた際の基本的な考え方、いわゆるチェックポイントでございます。大きく分けて3つございます。1つ目が決定過程の透明性の確保、所管省庁の審議会等における審議過程が公表されているかということや、2つ目が消費者参画の機会の確保、パブコメをかけるなどにより意見を聴いているか、所管省庁の審議会等において消費者団体等を参画させているかといった点でございます。最後、3つ目が料金の適正性の確保ということで、こちらは法令等に基づいた適切な料金が算出されているか、具体的には料金が能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを超えていないかという点や、料金の算定に賃上げが適正に見込まれているかなどでございます。また、料金の算定基準等が公表されているかという点でございます。これらを満たしている場合、消費者庁としては問題ないと判断をしてございます。

おめくりいただきまして、4ページをお願いいたします。

消費者委員会様にも付議をした上で関係閣僚会議に付議をしているものの直近の開催状況を挙げさせていただいております。この1年ほどでございますと、一番下のほうになりますけれども、昨年、令和5年5月ですと大手電力7社の規制料金の料金改定や、今年の5月ですと定形郵便物等の上限料金の改定について、関係閣僚会議に付議をしてございます。

私からの御説明は以上でございます。

○野村座長 どうもありがとうございました。

それでは、引き続き、総務省料金サービス課長よりお願いいたします。時間はおおよそ20分を目安にしていただくと幸いです。よろしくお願いいたします。

○井上料金サービス課長 総務省総合通信基盤局電気通信事業部料金サービス課の井上でございます。

それでは、説明させていただきます。

先ほど消費者庁さんからも御説明がありましたように、今般、御審議をいただく案件は、NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更についてでございます。

後ほど詳しく説明いたしますけれども、資料2の1ページ目中央の四角囲みにございます基準料金指数の算定の一要素でございます生産性向上見込率、括弧の中の3つ目の項目でございますけれども、これについては、3年に1回見直すこととしておりまして、今般、それを0パーセントにさせていただきたいというものでございます。

詳細は資料3で御説明させていただきたいと思います。資料3にお移りください。

表紙をめくっていただきまして、1ページ目でございます。

改めまして、今般の協議事項でございます。NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更でございます。

具体的には、下の表にございます生産性向上見込率、いわゆるX値でございますが、3年前に協議させていただいたものについて、今般、令和6年10月~令和9年9月の3年間に適用されるものを0パーセントに変更させていただきたいというものでございます。

繰り返しになりますけれども、この生産性向上見込率は、青枠の下に「基準料金指数=」というところがございますけれども、基準料金指数を算定するための一要素となってございます。

生産性向上見込率の計算方法につきましては、そこから伸びている矢印のとおりでございますが、ここに書かれている緑枠のとおりでございます。この算出式につきましては、今般変更するものではございません。

それでは、詳しく説明させていただきたいと思います。

まず、プライスキャップの対象となるメタル回線による加入電話等の市場の状況、それからプライスキャップ制度の概要、そして変更したX値の算定について説明させていただきたいと思います。

3ページで御覧いただいておりますのが、プライスキャップの対象となります加入電話の契約数の推移でございます。平成12年11月に携帯電話、平成25年9月にIP電話の契約数と逆転しているものでございます。下のグラフでいきますとオレンジの点線、今、1277万となっておりますが、こちらが加入電話の契約数でございます。

4ページでございます。

音声トラヒックの推移でございます。音声トラヒックは通信回数、通信時間とともに減少してございます。

その減少幅でございますけれども、加入電話等に関しましては、平成12年度と令和4年度を比較いたしますと、通信回数で91パーセント減、通信時間で96パーセント減となってございます。

5ページでございます。

加入電話及びISDNの契約数におけるNTT東西のシェアでございます。

固定電話でございます加入電話、ISDNとも契約数は減少し続けてございます。

一方で、シェアで見ますと、右側のグラフにございますようにオレンジの棒グラフに当たるところがNTT東西の合計分でございますけれども、引き続き82パーセントという状況でございまして、ISDNも含めると91パーセントとなってございます。

6ページが改めてそのシェアを示したものでございますが、特に円グラフの左上、固定電話契約数のシェアで見ますと、NTT東西が6割、メタル電話ではNTT東西が9割という状況になってございます。

以上、市場の状況を踏まえまして、ページを少し飛ばしますが、続いてプライスキャップ制度の概要について、説明させていただきたいと思います。

11ページを御覧ください。

まず、電気通信役務の利用者料金規制全体についてお話しさせていただきたいと思います。

枠囲みにございますとおり、利用者料金その他の提供条件につきましては、累次の規制緩和を経て、原則、事前規制がかかってございません。ただ、国民生活に不可欠であるため、あまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供が確保されるべき電気通信役務等の役務については、一部の役務については契約約款届出などの最小限の事前規制が課せられてございます。

事前規制といたしましては、その他の事業者との間の不当な競争を引き起こすものであり、その他社会的経済的事情に照らして著しく不適当であるため、利用者の利益を阻害しているときには契約約款の変更命令や業務改善命令を課すことができる規定がございます。

そのうち電気通信役務に関する利用者料金の規制の枠組みとしては、下に3つございます。

1つ目の基礎的電気通信役務は、いわゆるユニバーサルサービスを確保するためのものでございます。国民生活に不可欠であまねく日本全国における適切、公平かつ安定的な提供が確保されるべき電気通信役務に関する料金規制でございます。

今般、協議申し上げているのは下のグループ、とりわけオレンジに関するところでございます。

まず、青いところを申し上げますと、指定電気通信役務のうち一部を特定電気通信役務、オレンジを指定するという仕組みでございますけれども、その根っこにある発想については、ボトルネック設備を設置する電気通信事業者が、それらの設備を用いて提供するサービスについて、ほかの電気通信事業者による代替的なサービスが十分に提供されない、そのような場合には独占の弊害もあるということで規制をしております。

オレンジのところでございますが、指定電気通信役務であって利用者の利益に及ぼす影響が大きいものについては、プライスキャップ規制の対象としてございます。

12ページが電気通信役務の全体像でございまして、13ページがプライスキャップ制度の概要でございます。

上限価格方式のことをプライスキャップと申しておりますが、上限価格方式については、1つ目の箱ですが、料金水準を規制する手法の一つでございます。行政側がその上限価格をあらかじめ設定し、物価上昇率や生産性向上率、費用情報等に基づき上限価格をあらかじめ設定いたしまして、それに関連するサービスを提供する電気通信事業者は、その料金水準が上限価格以下であれば自由に料金を設定することを可能とするものでございます。言わばコストが上限以下であれば電気通信事業者がその分だけ超過利潤を得られるという仕組みでございますので、ボトルネック設備のような独占的なマーケットにおいて自主的な効率化努力の誘因・動機づけを与える、いわゆるインセンティブ規制でございます。

導入の経緯等は、冒頭、座長からもお話がございましたように平成12年から導入されてございます。2つ目のポツでございますけれども、市場メカニズムを通じた適正な料金の水準の形成が困難であることが想定される指定電気通信役務のうち、利用者の利益に及ぼす影響が大きいサービスに対して料金水準の上限を定めるものでございます。

現在、プライスキャップの対象となっているサービスにつきましては、3つ目の箱でございますけれども、NTT東日本・西日本が提供する音声伝送サービスということで、加入電話、ISDN、公衆電話でございまして、音声伝送バスケットということで、その他のものを加えて特定電気通信役務の基準料金指数を設定してございます。

プライスキャップ制度の対象サービスの料金設定、繰り返しになりますけれども、実際の料金指数がその種別ごとに基準料金指数を下回るものであれば、個々の料金は届出で設定が可能でございます。仮に基準料金指数を超える場合には総務大臣の認可が必要という制度になってございます。

14ページでございますが、基準料金指数と生産性向上見込率の計算の仕方でございます。基準料金指数については、先ほど見ていただいたような黒囲みのところでございますけれども、こちらについては1年ごとに数字を更新してございます。今般、協議させていただいております生産性向上見込率、下の箱につきましては、3年ごとに生産性の伸びやコスト動向を基に算定してございます。現在のX値は、令和3年10月~令和6年9月まで適用されますが、今回、協議をさせていただくのは、令和6年10月~令和9年9月まで適用されるものでございます。数式等についてはまた後ほど説明させていただきます。

18ページに飛んでいただきまして、これが今般、御審議をいただきますX値の算定方法でございます。1ページお戻りいただきまして、X値の算定に当たりましては、「上限価格方式の運用に関する研究会」、消費者団体の方も構成員として参加いただいております有識者の会議によって検討した結果でございます。

18ページでございます。

X値の算定方法につきましては、ミックス生産性準拠方式を用いてございます。過去の研究会においても採用してきた事業者の収入、費用データの予測値に基づき、次期X値の適用期間3年間の最終年度、今回の場合は令和8年度に特定電気通信役務の収支が相償する水準にX値を算定する方式を採用してございます。

収支を相償する仕組みといたしまして「収入×(1+消費者物価指数変動率-X値)3√=費用+適正報酬額+利益対応税額」と成り立つようにいたしまして、それをX値に戻しております。「X値=1+消費者物価指数-3√(費用+適正報酬額+利益対応税額)÷収入」という形でX値を計算してございます。

19ページでございますけれども、ここの計算に当たりましては、先ほどの関数式の項目といたしまして収入、費用がポイントになりますので、一定の仮定の下、収入と費用を予測してございます。

まず、このページの上のほうにつきましては、収入の基盤となります回線数の予測を計算してございます。回線数の予測につきましては、この表にございますように2通りのパターンを用意して計算してございます。それぞれについてNTT東西がどの程度回線数が減るかといったものを計算してございます。それぞれ過去のデータに基づきまして、そのトレンドを基に推測しているものでございます。トレンドを長く取るか短く取るかによって、その下げ幅が直近のほうがより厳しくなりますので、短いほうがより回線数が減るというものになってございます。

その上で、回線数をベースといたしまして収入予測と費用予測をしてございますが、まず収入予測につきましては、回線数の予測にそれぞれの1回線当たりどれぐらいの収入が得られるかといった、回線数等に単金を乗じるなどの算定方法により行ってございます。

一方、費用予測につきましては、こちらも将来の予測になっておりますが、これも淡々と伸ばすだけではなくて、人員減による人件費の削減といった経営効率化施策を盛り込んだ上で費用を予測してございます。

このように、収入と費用の予測を行いまして、それぞれパターン1とパターン2におきまして、このようにNTT東西それぞれで対前年度マイナスの収入・費用の予測を立てているところでございます。

20ページでございますが、もう一つの計算式の要素でございます適正報酬額についても計算してございます。適正報酬額につきましては「レートベース×適正報酬率」で計算してございます。レートベースについては、特定電気通信役務に係る正味固定資産に一定の率をかける貯蔵品、投資等、運転資本としてございます。

報酬率につきましては2つの項に分けまして、1つ目のほうが他人資本比率に関するもので利子が発生するものでございます。「他人資本比率×有利子負債比率×有利子負債利子率」としてございます。

2つ目のほうにつきましては、自己資本比率×自己資本利益率と、他人資本のうち利子のかからないものを足してございます。他人資本比率×有利子負債以外の負債比率×国債利回りとしてございます。

報酬率につきましては、【1】と【2】を足したものの下限値、上限値の幅がございますけれども、これまでの慣習等も踏まえまして、利用者利益、事業者利益、経済動向等を総合的に勘案して、その間、中間値を目安としてこれまでやってまいりましたので、今回も中間値とさせていただきました。そうすると、NTT東西につきましては、それぞれ2.40パーセントと1.78パーセントになってございます。

利益対応税につきましては、上記【2】の自己資本費用と有利子にならない他人資本に関する部分に利益対応税率を課したものを利益対応税として計算してございます。

21ページでございますが、計算に当たっての構成要素となります消費者物価指数につきましては、令和5年度、6年度、7年度を基に計算いたしますが、令和5年度については実績値がございますので、令和6年度、7年度については、政府、日銀、日本経済研究センターから出ているデータを基に3か年平均値を出して、消費者物価指数変動率を設定してございます。

22ページ、最後でございますが、X値算定の考え方でございます。

先ほど18ページで見ていただきました算式に、今まで申し上げた算式の青枠の下の「X値=1+消費者物価指数-3√(費用+適正報酬額+利益対応税額)÷収入」のところにそういった予測値を当てはめたものを計算したのが22ページでございます。

22ページにつきまして、1つ目のチェックについては、X値を算定するに当たりましては、これまでどおりミックス生産性準拠方式を採用してございます。

下の表にございます①は、NTT東西の費用データに基づいて推計した収支予測に、NTT東西の費用を削減するための効率化施策を盛り込んで算定したものでございます。

次のチェックでございますが、さらにDEAによる経営効率分析を行いまして、最も効率的な支店を基準とし、非効率的な支店の非効率性についてはコスト削減可能とみなしまして、非効率性の解消を加味して算定したものが②でございます。①に加えまして②のDEA分析によって非効率性を排除した結果、NTT東西合計といたしまして、それぞれX値がマイナス1.8パーセント、マイナス2.2パーセントとなります。

ここで3つ目のチェックでございますが、X値がマイナスとなりますと、端的に言えばプライスキャップが上がることになりますが、今般、これにつきましては先ほど申し上げた「上限価格方式の運用に関する研究会」の第一次報告書、1年前に行われたものでございますけれども、こちらであらかじめそういったことが想定されたので、検討してございます。

こちらについて、次期、今般御相談している令和6年10月~令和9年9月までのX値の算定に際しまして、マイナスの値が得られた場合にはX値を「ゼロ」として扱うことが適当としてございます。

ただし、ゼロにするというのは、今、物価上昇局面であることと、NTT東西におきましては、公衆網、PSTNからIP網への移行という過渡期にございます。そういった意味で、PSTNとIP網の一部の設備が重複している面もございまして、そういった期間限定の特殊事情がございます。IP網についてはそこまでデータがそろっていないので、IP網のみで推測することはできないといった特殊事情があることを踏まえまして、X値をゼロとして取り扱うとしてございます。

NTT東西の経営効率化に加えてDEA分析を含めたもので②が計算されてございますが、いずれもマイナスの値となっておりますので、次期X値についてはゼロとさせていただきました。

以上がX値の算定の考え方でございまして、繰り返しになって恐縮でございますけれども、X値の算定に当たりましては、まず数値としては「上限価格方式の運用に関する研究会」で御審議をいただきまして、毎年計算する基準料金指数も含めて情報通信行政・郵政行政審議会電気通信事業部会に諮りまして、今般、パブリックコメントを経ましてX値をゼロということで、特に問題なかったので、結論を得て協議させていただいているものでございます。

何とぞ御審議のほど、よろしくお願いいたします。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、ここからの時間を質疑応答、意見交換に使わせていただきます。最終5時までですので60分以上ございます。御自由に発言していただきたいと思います。必要に応じて総務省様から御回答いただくという進め方にしたいと思います。挙手もしくはチャットでお名前を入れていただくと助かります。よろしくお願いいたします。

太田委員、よろしくお願いいたします。

○太田委員 御説明ありがとうございました。

まずはX値の算定方式とレートベースについて、具体的なところをお伺いしたいと思うのですが、18ページに戻りまして、資料3の第2章、3乗がかかっているというのは、適用3年間の最終年度ということなので、1足すとなっているので成長率の3乗を掛けているということだと思うのですけれども、右側が3年後の費用と適正報酬額と利益対応税額になっていないといけないという理解でよろしいでしょうか。

○野村座長 井上様、お願いいたします。

○井上料金サービス課長 御質問ありがとうございます。

おっしゃるとおりでございます。

○太田委員 そうすると、3年後の費用等を予測しているということですね。収入は普通に営業収益と理解していいですか。本当のキャッシュフローではなくて売上げといいますか、営業収益のことを収入と言っていると。

○井上料金サービス課長 対象となっております特定電気通信役務、加入電話の収入でございます。

○太田委員 分かりました。収入と収益を分けるというのは会計の分野では基本なので、収入だとお金が入ってくるということで、収益だと純資産が増えるということで、意味が違うのですが、恐らく収益の意味で収入を使われているのだろうと推測したのですけれども、そういう理解でよろしいですか。

○井上料金サービス課長 はい、収益でございます。

○太田委員 ありがとうございます。

そこを確認しまして、さらに20ページの適正報酬額、レートベースのところが、用語が幾らか省略されていて具体的に分からないところがございまして、正味固定資産というのは、減価償却累計額を控除したという意味ですか。

○料金サービス課 総務省料金サービス課の柴田でございます。

正味固定資産額は簿価でございますので、御指摘のとおり減価償却分が除かれたものと考えたものでございます。

○太田委員 ありがとうございます。

固定資産は無形固定資産も入っているのですか。具体的には、のれんが入っていたりするのですか。NTTはあまり買収されていないかもしれないですね。

○料金サービス課 特定電気通信役務にかかっているものですので、のれんとかが入っているとは認識していないものでございます。

○太田委員 この事業に使っているもの個別の資産が特定されて、それが入っていると。

○料金サービス課 特定電気通信役務に帰属する資産として計算していると見込んでございます。

○太田委員 そうすると全社的なものは必ずしも入らない。具体的な有形固定資産が入っていて、無形固定資産はよほどこれに特化したものでない限りは入らないと。

○料金サービス課 そう認識しております。

○太田委員 貯蔵品はどういったものでしょうか。

○料金サービス課 故障対応のための物品等が入っているということでございまして、電気通信設備用品として保管している貯蔵品の在庫額などを基に貯蔵品比率というものを計算しておりまして、その額を正味固定資産額にかけて推測しているものでございます。

○太田委員 棚卸資産のうち使用目的のもの、通常の貯蔵品と同じ理解ですね。使うつもりの棚卸資産ということですね。

○料金サービス課 おっしゃるとおりで、故障対応のための物品として使うためのものです。

○太田委員 ありがとうございます。

投資等は何が入っていますか。

○料金サービス課 収益性の見込まれない出資金、補償金、負担金などを指しているものでございまして、電気通信事業を行う上での建造物の敷金などが入っているものでございます。

○太田委員 敷金、補償金等なのですね。いわゆる普通の投資その他の資産である長期保有目的の有価証券とか投資有価証券は入っていないという理解でいいですか。株式とかは入っていないと。

○料金サービス課 保証金、負担金、敷金の範囲になります。

○太田委員 運転資本、定義はいかがでしょうか。

○料金サービス課 運転資本は、特定電気通信役務の営業費用に対して料金収納までの平均日数、具体的には1か月半を乗じて金額を入れているものでございます。

○太田委員 では、普通で言う運転資本とは全然違うものなのですね。普通、運転資本と言うと、決済用資金と売掛金と棚卸資産、マイナス買掛金とされているのですが、そういうものとは違う。

○料金サービス課 営業費用に先ほど申し上げたような比率を掛けた金額でございます。

○太田委員 比率というのは、回収サイトみたいなものですか。

○料金サービス課 営業費用×平均収納日数÷365の数字です。

○太田委員 平均回収日数というのはどういうものですか。

○料金サービス課 料金ですので、役務の提供の月から料金が収納されるまでが平均1.5か月、翌月末に料金が収納されますと、当月を真ん中としまして翌月末に料金が収納されるとして平均1.5か月という計算になります。

○太田委員 ありがとうございます。回収サイトなのですね。それをなぜ営業費用に掛けるのでしょう。普通、売掛金とか売上債権に掛けるのは分かるのですが、これを営業費用に掛ける理由は何ですか。しかもレートベースの計算で。

○料金サービス課 特段、特定電気通信役務のみこのような措置を取っているわけではなくて、全般的にNTT東西の事業会計においてやられている方法と認識していたところです。

○太田委員 事業会計でやられている。

○料金サービス課 電気通信事業会計規則に基づいた処理としてやっているというところでございます。

○太田委員 売上げに回転を掛けて売掛金の額を出すみたいな、それは直接BSで売掛金の額を見ればいいと思うのですけれども、運転資本は営業費用に回収サイトを掛ける。何を計算しているのでしょうね。通常の運転資本ならば分かるのですけれども、通常の運転資本だと実はその下の報酬率で有利子負債以外の他人資本の比率を掛けているのが、通常は相殺しているので、整合性が取れないなと思って、それで伺ったのです。かなりテクニカルに細かいことを伺っているのは、運転資本がもし借入債務を引いているのだとしたら、下の報酬率で最後のプラスのところが出るのはおかしいという質問をしようと思って細かく伺ったのです。通常の運転資本ではないということなのですね。それは細かい話なので、また次回までにお分かりであればということですが、報酬率は、通常で言う加重平均資本コストを計算しているという理解でよろしいでしょうか。

○料金サービス課 【1】+【2】を全体で考えた場合にはそうなると考えております。

○太田委員 私も暗黙のうちに【2】まで出しておりました。おっしゃるとおりで、他人資本ということは、有利子負債以外の通常の事業負債も入れているのですね。

○料金サービス課 そうですね。他人資本のうち有利子ではないものについても。

○太田委員 通常は国債利回りを足していると。

○料金サービス課 数字としては大きくないですけれども。

○太田委員 そうですね。国債利回りは小さいですから、額としては小さいですけれども、通常の事業負債も資金調達に入れると。特にこういう計算をするのは一般的なのでしょうか。通常のコーポレートファイナンスからするとかなり奇妙な計算の仕方なのです。

○料金サービス課 先生の御存じのところかと存じますが、【1】の部分と【2】の後段が結局他人資本利子率になると認識しておりまして、そのうち特に有利子負債の部分を下限値として分けていると、残りの部分ですけれども、NTT東西の設備に関する利潤の出し方では、特定電気通信役務以外であっても他人資本比率×他人資本利子率で計算しているところが、特定電気通信役務ですと、上限と下限を設けるに当たって、【1】と有利子負債以外を分けているという措置を取ってきたものでございます。実際には【2】)を全部入れるわけではなくて、【2】)に対して中間的な値まで加味するというやり方を取っています。

○太田委員 一定の数式を頭に浮かべてこの文字を読んでいるので、それと本当に対応しているかどうかを確認しているのですが、恐らく通常のWACC、加重平均資本コストの計算をしていると。

○料金サービス課 そうですね。それの他人資本比率の項をさらに2つに分けている。

○太田委員 そういうことですね。事業負債も入っていると。

○料金サービス課 はい。

○太田委員 ここで事業負債も入るのであれば、上のレートベースのほうの運転資本で買入債務を控除しているのはおかしいのではないですかと訊こうと思ったのですけれども、どうもそれとは違う計算をされているということで、分からなくなってしまいました。また、下の他人資本比率は本当は時価でやるべきですね。株式時価総額足す負債時価分の負債時価であるはずなのですが、負債の時価は分からないので、負債は簿価でやることが多いですけれども、下は時価総額のウエートというのは、NTT東日本さんも西日本さんも上場していないので、時価総額は各社分からないですね。そうすると、他人資本比率はどう計算されているのですか。帳簿上の簿価でやっているということですか。

○料金サービス課 はい。基本的に帳簿上の簿価と認識しております。

○太田委員 そうするとこれは加重平均資本コストの計算としてはそもそも正しくやらないということなのですね。やりようがないので簿価でやっているということですね。法人税率は考えていないのですか。1引く法人税率は。他人資本比率は簿価ベースだということが分かりました。有利子負債比率は、負債の中に占める有利子負債の比率ですね。

○料金サービス課 おっしゃるとおりでございます。

○太田委員 有利子負債利子率は、約定利子率の加重平均を使っていると。

○料金サービス課 有利子負債のところは、借入金の平均利子率です。

○太田委員 簿価でウエートをつけて平均を取っていると。

1引く法人税率は掛けないのですか。

○料金サービス課 法人税率の影響は、下の利益対応税において計算しているところでございます。

○太田委員 そうすると、下でやっているから、上ではやらないということですか。

○料金サービス課 下で利益対応税を計算するので、上では1-法人税率という計算はしていないです。

○太田委員 文字で、漢字で書かれているので、具体的に何を計算しているか全然これの御説明では分からず、細かいことを伺っているのです。利益対応税のほうで調整すると、通常と同じになりますか。

○料金サービス課 まさに他人資本の有利子分以外には利益対応税率としてそれを掛けた分を足した状態が適正報酬率の上限値になる形に設定するということになります。

○太田委員 利益対応税のほうもよく分からないです。自己資本費用は何でしょうか。資本コストですか、株主資本コストですか。

○料金サービス課 自己資本費用なので。

○太田委員 自己資本費用とは何ですか。

○料金サービス課 自己資本比率×自己資本利益率です。

○太田委員 自己資本比率掛ける自己資本利益率。自己資本利益率は普通で言う東京証券取引所のROEという理解でいいですか。

○料金サービス課 自己資本利益率はCAPMで計算しています。

○太田委員 CAPMを使って、株主資本コストをシングルファクターで予測しているということですか。

○料金サービス課 そのとおり、CAPMでの予測です。

○太田委員 CAPMを使う場合に、東日本さんと西日本さんは上場していないですけれども、NTT全体でやっているということですか。

○料金サービス課 CAPMは、NTTのものではなく、主要企業の値を用いているもので、主要企業のリスクプレミアムで計算しているものです。

○太田委員 リスクプレミアムはそれでいいですけれども、ベータはどうやって計算しているのですか。

○料金サービス課 ベータはNTT持株会社の数字です。

○太田委員 ベータはNTT、親会社の数字を使っている。親会社の数字を使ったベータを使って、CAPMで株主資本コストを計算している。だから、東日本さんと西日本さんは同じ数字を使っている。

○料金サービス課 同じになります。

○太田委員 他人資本費用のうち係るものというのは何ですか。他人資本費用のうち有利子負債以外の負債に係るものですが。

○料金サービス課 他人資本比率×有利子負債以外の負債になると。

○太田委員 掛ける国債利回りということですか。

○料金サービス課 そのとおりです。

○太田委員 国債の利子率を掛けると。利益対応税率は何ですか。

○料金サービス課 利益対応税率は、法人税などを支払う分を想定して、法人税などを支払った分に相当する利益の分を掛けるということで計算をして、その分の額も利益対応税として含めておくと。それによって本来得ている利益の額に合わせるために。

○太田委員 これは分数だと思いますが、具体的に分子は何で分母は何でしょうか。率というからには分数でしょう。

○友行参事官 事務局でございます。野村座長、発言を求めます。

○野村座長 お願いします。

○友行参事官 今、太田委員から御質問がございまして、総務省様のほうから御回答もいただいております。

この部分は数字の話で、とても細かい話だということでございます。企業様のほうから対外公表はしていない数字もあったりなかったりというところで今、お話が進んでおりまして、総務省様のほうも説明に苦慮されているところもあったりとか、太田委員の御理解もなかなか進まないところももしかしたらあるのかもしれません。

そのために、委員の先生方には御参考資料としてお送りしている資料がございます。こちらについても併せながら今の御議論を聞いていただいたりとか、太田委員におかれましても御質問されるような形でお願いできれば幸いでございます。

よろしくお願いします。

○太田委員 すみません、それは質問がテクニカル過ぎるので、多少控えよと理解すべきでしょうか。

○友行参事官 控えよということではございません。事前に委員の先生方に御参考資料としてお送りしております資料も踏まえた上での御質問をいただければ幸いですということでございます。

○太田委員 分数でいろいろ定義されているものが、全部何とか率、何とか率というふうに漢字でまとめられているので、具体的にどういう計算をしているか分からないために、適正報酬率というのが適正に決められているのかどうかが分からないということです。

もちろん厳密に計算することが難しい場合に、どこかで鉛筆をなめないといけないのですけれども、その鉛筆のなめ方が妥当かどうかみたいなことを評価したくて、具体的にいろいろ伺っていたということでございます。基本的にはレートベースに適正報酬率を掛けるというやり方自体に異論があるものではございません。

○料金サービス課 先ほどの利益対応税率でございますけれども、分母は税引後利益で分子は税額になります。

○太田委員 分子が税額で、下は何でしょうか。

○料金サービス課 税引後利益です。

○太田委員 そうすると、実効税率ということですか。

○料金サービス課 はい。

○太田委員 でも、そうすると自己資本費用と利子に掛けるのはなぜですか。

○料金サービス課 本来であればそれに関して利益を得られていた分と認識しております。

○太田委員 これを2に足すのですか。

○料金サービス課 【2】の中に含めて上限値とするというイメージです。

○太田委員 2の有利子負債以外の負債比率に掛けるということですか。

○料金サービス課 【2】の中に含めた状態が上限値であるというイメージです。

○太田委員 2の中に含めた額が上限値と。

○料金サービス課 今回の報酬率の上限値の値になるという計算方式です。利益対応税の分も含めて【2】を計算した値で、プラス1で上限値として、【1】のみを下限値として、その真ん中の値を使っているというものでございます。

○太田委員 それは分かるのです。1のみと1足す2のみの中間値を取っているということですね。

○料金サービス課 2を計算するときに、【1】+【2】の上限値を出しているときの【2】というのは、最終的には利益対応税も足した数字で上限値にしているというものでございます。

○太田委員 1引く実効税率ではなくて、実効税率を掛けるのですか。

○料金サービス課 【2】の式プラス実効税率分ということです。

○太田委員 分かりました。テクニカルになるのでこれぐらいでやめますが、正直に言うとよく分かりませんでしたということです。もし分かるようでしたら、別途紙でもいいので具体的に式を、場合によって公開できないようであれば機密扱いでもいいので、出していただけると理解が深まるかと思います。

取りあえず今のところ、この式が妥当かどうか私にはよく分かりませんでしたということで、ここで収めたいと思います。

ありがとうございました。

○野村座長 テクニカルということで、回答が完璧にはできていない部分もございますが、もし総務省様のほうで今の太田委員からの漢字表記のものに具体的に数字を入れてということで、非公式で結構でございますので、ある程度詳細が分かるものをおつくりになるようであれば、後日お知らせいただきたいと思います。

ただ、今回のここでの審議内容はX値の算出方法でございますので、今の議論はその中に入ってくる適正報酬額の部分でございますので、やや本論からは外れているのですが、それはそれでこの規制産業の一番重要な根幹でもありますので、ほかの委員の皆さんも関心があるかと思いますので、御協力いただきたいと思います。

○太田委員 座長、その点について、X値の計算に適正報酬額は入っていますので、マイナスになるかどうかということと関わっていますので、取りあえず本筋から外れているということはないかと思います。

○野村座長 分かりました。ただ、今回この場で審議すべきことは算出方法に関してということでございますので、そういう言い方をさせていただきました。

○太田委員 適正報酬額がもし小さければ、マイナスにならないかもしれないですね。したがって、適正報酬額がどのように計算されているかということは、本件にとって関心対象外ということにはならないかと思います。

○野村座長 この場でこの計算方法を云々するということはちょっとできないというふうに私は見ております。それは総務省さんの審議会でやるべき話だということで御理解いただきたいと思います。

○太田委員 テクニカルですのでこれぐらいでやめますけれども、説明資料に適正報酬額、レートベースその他出ていますから、それについて説明を求めるということはごく通常のやり取りであると理解しております。

○野村座長 分かりました。私はそれを質問されたことに関して批判しているわけではございません。ただ、この内容に関しては、総務省様のほうからフォローするペーパーもしくは非公式文書をもし可能であれば頂くということにさせていただきたいと思います。

18ページ、20ページの今の内容でまだ御議論があるということでありましたら御発言いただきたいと思います。なければ、小野委員、後藤委員の順番で進めてまいります。

18ページ、20ページに関してはよろしいですか。

そうしましたら、小野委員から質問をお願いいたします。

○小野委員 質問をさせていただきます。

3年ごとにこれまでNTT東日本・西日本の基準料金指数の算出方法の変更があったとのことですが、私からお尋ねをしたいのは、今回、算出の方法が変わったことで、一般的な消費者にとって実際にどのくらいの金額の変動が生じるものなのかというところが、あまりそういったテクニカルなことが分からないので気になりました。

例えばモデル事例を挙げていただくとか、そういった形で最終的には消費者への周知を図っていただく形がいいのかなと思います。心配していますのは、先ほどパブリックコメントでも特に問題はなかったという御説明があったかと思いますが、私のようにコメントをしたくてもよく分からなくてコメントができていない人もいるのではないかというおそれもありまして、具体的にこういったケースですと金額がこれぐらい上がる、あるいは下がるといったような御説明をいただけると、今回も議論もしやすくなってありがたいなと思いますし、今後のことも関連しますので、質問、それからコメントも併せてさせていただきました。

以上でございます。

○野村座長 それでは、井上様、よろしくお願いいたします。

○井上料金サービス課長 御質問ありがとうございます。

先ほどの資料3の最後のページを御覧いただければと思います。

青の線がいわゆるプライスキャップの話でございまして、緑と赤の線が実際のNTT東西の数字でございます。今般、皆様に御審議いただいていますのは青の線でございます。行政側といたしましては、プライスキャップを当てはめて上限を決めてございます。その上で、NTT東西がその中でどういう価格を設定するかというところは、制度の趣旨としては、NTT東西の自主的な経営効率努力によるということになってございます。

その意味で、先生から御質問いただきました、実際にこれによってどうやって料金が変わるかといったことについては、大変恐縮でございますけれども、我々としては予測し得ないという状況でございます。我々はあくまでも行政としての上限値を定めるという趣旨でございます。

○野村座長 2点目はいかがでしょうか。パブリックコメントがどのようなものであったか。

○料金サービス課 パブリックコメントにつきましては、個人の方から1件のみございまして、X値の算定に用いている消費者物価指数変動率について、どのような値を使っているのかに関するものでございまして、3年間の予測であるということから、総務省統計局の数字のほか、日銀等の数字も使っているといったところのお話があったのみでございます。

と申しますのも、先ほどありましたように、消費者の方から見たときに、別にこれはNTT東西の固定電話の通話料金を幾らにするとか、直接的にそれを変えるというようなものではなく、基準料金指数、まさに上限を設定するものでございますので、そういう意味では、基準料金指数の設定に関して出てきたのはその意見一つだけという状況でございました。

○野村座長 ありがとうございました。

小野委員、よろしいでしょうか。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

お仕事の範疇ではないということはよく分かりましたけれども、正直、このままではあまり理解ができないままでテクニカルな検討が進むだけかなと思いまして、残念に思いました。

以上です。

○料金サービス課 補足をさせていただければと存じますけれども、利用者の料金という点で申し上げますと、今般、基準料金指数が上がることに際しましてNTT東西から何らか利用者料金を変えるというお話は出ておりません。3分8.5円という通話料金、あるいは基本料金1,700円について変えるというお話は出ておりません。ルール上はもちろん上げることができます。ただ、ルール上、上げられる状態というのは、このグラフを見ていただければわかりますように、これまでも幾らか上げられる状態にありました。そういう状況の中でNTT東西は、通話料金に関して3分8.5円、基本料金1,700円というところから変えてこなかったという状況にありますということで、行政の立場から、NTT東西が料金をどのようにするかということを確定的に申し上げることはできませんけれども、今回もNTT東西が即座に金額を上げるというような状況には見えないというのが行政としての感触でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

小野委員、よろしいでしょうか。

○小野委員 失礼しました。私が料金といったところで自分自身がちゃんと説明し切れていなかったなと思いました。

料金というのは、確かにおっしゃるとおり電話料金と言うのが正しいですね。一方で、総額みたいなところもイメージしての話であったのですが、仕事の範疇ではない、今回の議論の範疇ではないというところで承知をいたしました。

ありがとうございました。

○野村座長 先ほど最後のページの御説明はなかったのですが、今、口頭で御説明いただいた内容などをどこかで発信していただくと非常にありがたいなと思いました。また消費者委員会のほうでもそれは触れていくべきかなとも感じております。

そうしましたら、次の質問に移らせていただきます。

後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 ありがとうございます。

質問がございます。

追加説明事項の3ページです。DEAの具体的な効率化の効果の折り込みのために使った手法について、今回追加の資料を頂きまして、大分理解が進んだところです。ありがとうございます。

ちょうど今、お示しいただいている資料は過去の検討経緯が示されておりますけれども、第3期、第4期、第5期、第6期、第7期、第8期があり、第3期では再編後のデータ、2000~2004年度までの全国33支店の複数年のデータを使って分析をされたということです。それから、今回使われたDEAに加えて、SFAも使われたといった内容であるわけですけれども、第4期、第5期、第6期、第7期と進むにしたがって、支店の数がかなり減ってきている。手法もDEAとSFAを両方使っていたところが、第8期になりますとDEAのみの分析になっていて、支店数も12支店ということです。DEA分析の実施についてという説明のところに、支店の集約等によって必要な費用データのサンプル数が減少しているということで、分析に使っているデータの数がかなり減ってきてしまっているという状況かと思います。

また、データが減ったということで、統計的に意味のある数値が出せないおそれがあるということで、DEA分析だけという御説明なのですけれども、DEAはデータの数が減ってしまうと、今回のように10前後のデータポイントで分析をなさっているということなのですが、そうしますと効率値の判別力が落ちてしまうという特徴があります。そこは非効率の深掘りをもう少しできたのではないのかなという気がいたします。

質問としましては、そういった議論がなされたのかどうかというところについて教えていただければと思います。

○野村座長 井上様、よろしくお願いいたします。

○井上料金サービス課長 先生、どうも御質問ありがとうございます。

まさに我々もそういった問題意識がございまして、見ていただいているのが今回取りまとめた「上限価格方式の運用に関する研究会」報告書の25ページです。まさにそういった問題意識のまとめをしてございまして、(2)のところでございますが、先生がおっしゃったように支店数が減少する中で、比較的少数のサンプル数で非効率の計測が可能なDEA分析が、学術的信頼性も高いことから採用されてきており、本研究会においても、その基本的な考え方を維持したところであります。

一方で、その次のところで、総務省においては、DEA分析を用いることを原則とした上で、他の経営効率分析手法についても引き続き調査するとともに、有意な経営効率性分析の結果が得られる手法があった場合には、その結果の妥当性、その位置づけ等について検証を行うことが必要とございまして、先生の問題意識と共通するかと思いますけれども、今後に当たりましてはそういったことも検討していきたいということは研究会でも議論されて、報告書でも言及されているところでございます。

以上です。

○後藤委員 ありがとうございます。

まさに今のような御議論かと思いますけれども、分析ツールですので、長所、短所がいろいろな手法にありまして、特に短所のほうは気をつけて使わないといけないというのがあるかと思います。

今回のようにDEAを用いて客観的なデータとツールを使って分析をされたという御努力は非常に評価しておりますけれども、データの数が減ってきますと効率値の差別化ができないということがよく知られている短所としてあります。データの加工などによって複数年のデータを用いた分析を試みるなど、もう少し工夫の余地はあったのではないかという気がしております。

ですので、これは過去の検討資料ということになりますけれども、効率値の妥当性に関わる点ですので、データの数が少ない中での分析についての注意や工夫というのがもう少しあってもよかったのかなという気がしております。

以上、コメントと併せて質問ということでさせていただきました。

○野村座長 ありがとうございます。

総務省様、今の御発言、また今後の参考にしていただきたいと思います。もし追加で御回答がありましたらお願いいたします。

○井上料金サービス課長 コメントありがとうございました。

問題意識は共通しておりますので、次のときにはよく検討したいと思います。

ありがとうございます。

○後藤委員 ありがとうございました。

○野村座長 それでは、次の質問に進みたいと思います。

城所委員、よろしくお願いいたします。

○城所委員 ありがとうございます。

先ほど座長からくぎを刺されていますけれども、私もミックス生産性準拠方式というのはおかしいと思っていて、18ページに行っていただけますでしょうか。3年の値を取れば3乗根が取れますので、基本的にX値は1プラス消費者物価指数変動率マイナス収入分の費用プラス適正報酬額プラス利益対応税額になるわけですが、それを14ページの上のほうの式に入れると、結局1プラス消費者物価指数変動率が相殺されてしまって、外生的誘因を除くとして、基準料金指数が全適用期間の基準料金指数掛ける収入分の費用プラス適正報酬額プラス利益対応税額によって決まるとなってしまうので、ミックス生産性準拠方式というのはちょっとおかしいのではないかなと思います。

その点を除くとしても、X値イコール1プラス消費者物価指数変動率マイナスの式があるのですけれども、そもそもX値の生産性向上見込率というのは、消費者物価指数変動率とは独立に決まるべきものです。なので、この式に消費者物価指数変動率が入っていること自体がおかしいのではないかと思います。先ほど座長からの御発言がありましたけれども、そうなっているということなので仕方がないようですが、今後検討していただければなと思います。

全要素生産性は過去に調べられていたと思うのですが、それがなかなかうまくいかないということでやめられたと書いてあるのですけれども、日本生産性本部が出している全要素生産性があります。そのような公表されている全要素生産性等を使って計算されていくというのも今後の一つの方向性なのかなと思いました。

また、先ほどの小野委員の御質問は本当にもっともだと思っていまして、この資料を一般消費者に見せるかどうかは分からないと思うのですが、もし見せるとしたらもう少し分かりやすい説明が要ると思うのです。

例えば12ページですけれども、今、考えているのはオレンジのところですと言うのですが、これを見てもよくわからないところがあるので、簡単な例として、携帯電話は入らないよとか、NTTの普通の固定電話の話だけなのだよとか、あとはここで考えているのは上限の価格なので、どこまで値段を上げられるかという話であって、上限の価格が変わったからといって、NTTの料金がただちに変わるわけではないのだよみたいなことを簡単にまとめたものをつくっていただいたほうが一般消費者には分かりやすいのではないかと思います。

最後に1つ質問なのですけれども、12ページですが、昔、KDDIさんやソフトバンクさんはNTTの回線に接続して固定電話を供給されていましたけれども、今はそれはないのですか。接続料というのはこのプライスキャップ規制の対象ではないという理解でよろしいのでしょうか。

○野村座長 3点、御回答をよろしくお願いいたします。

○井上料金サービス課長 最後の質問のほうから申し上げますと、ここはあくまでも小売の料金のところでございまして、接続料については接続料で別途規律がございます。

ちなみに、NTT東西というのは第一種指定電気通信設備制度という厳しい規制にかかっておりまして、先ほど先生におっしゃっていただいたKDDIといった他社と接続する場合の接続料については認可制となってございます。この表はあくまでも小売部分の規律に関するものでございます。

最初のコメントのところは、ありがとうございました。我々も考えていかなければいけないと思っていまして、一方で、今回について申し上げますと、「上限価格方式の運用に関する研究会」報告書の6ページで、生産性向上見込率の算定方法をどうするかは研究会でも議論してございます。そのときに今回採用させていただきましたミックス生産性準拠方式と、先生の御指摘に近いかと思いますけれども、フル生産性準拠方式、TFPを用いたものでございます。それについて比較考量いたしまして、算定方法としていずれを採用するかについてはこれまでの研究会でも検討されているが、フル生産性準拠方式については、基準年の採り方によって試算される数値が変動する可能性があり、またサービスごとの費用構造や生産性の差異を反映できないことなどから、これまでのミックス生産性準拠方式を採用してきており、今回についても基本的に当てはまるものなので、ミックス生産性準拠方式を採用することが適当ということで、研究会で検討してございます。

先生におっしゃっていただいたように、平均値を取る等々いろいろな対策があるかと思いますけれども、今般の研究会ではこういった検討をした結果、ミックス生産性準拠方式を採用してございます。

○野村座長 ありがとうございます。

2点目に関しては何かコメントございますか。小野委員の御発言との関連です。

○井上料金サービス課長 失礼いたしました。

小野先生からおっしゃっていただいた今回のケースは分かりやすさというか、この政策がどういう効果をもたらすかということは全くおっしゃるとおりでございます。これに限らず我々として、ちゃんと政策を消費者の方に御理解いただくというのは、常にそれを旨としてやっていきたいと思っております。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

それこそ本論ではないかもしれないのですが、スマホは別ですよとかその辺り、書ける範囲でお示しいただくのがよろしいかと思います。我々消費者委員会のほうでも、そういう利用者への分かりやすいコメントを入れさせていただくこともあろうかと思っております。

城所委員、よろしいでしょうか。

○城所委員 研究会の報告書でミックス生産性準拠方式が妥当だというお話があったのですが、根拠となる学術論文とかはあるのでしょうか。それがあるならば、それを書いていただければわかりやすいと思うのです。

○野村座長 総務省様、もしくは後藤委員、御存じでしたらお願いいたします。

○後藤委員 後藤です。

ミックス生産性準拠に関しては、特に今すぐ思いつくものがございません。

○野村座長 分かりました。そうしましたら、先ほど城所委員から指摘のありました日本生産性本部の全要素生産性のデータが使えるのかという辺りを総務省様のほうで御検討いただくということにしたいと思います。

城所委員、よろしいでしょうか。

○太田委員 座長、一言だけよろしいでしょうか。

○野村座長 お願いします。

○太田委員 消費者に分かりやすい説明という観点で言いますと、私、会計学者で割に会計の細かいことは分かっているのですが、この説明ではちょっとよく分からなかったということです。よって、この資料で説明をして、恐らくレートベース、適正報酬率の計算が消費者の方で分かりやすいなと思って理解される方はそんなに多くないのではないかと思います。その点、工夫をしていただければということを要望として申し上げます。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

おっしゃるとおりだと思いますので、総務省様、一般利用者がうなずくのがなかなか難しい用語がありますし、技術革新がどんどん進んでいる中での作業でございますので大変かとは存じますが、よろしくお願いしたいと思います。

ほかにこの関連で御質問があればどうぞ。

○城所委員 先ほど私が日本生産性本部のデータを用いて全要素生産性が計算できるのではないかと申し上げたのは、こういったX値の計算をしなくても、もっと簡単に出せる方法はあるという一つの例示で申し上げました。なので、日本生産性本部のデータを用いて全要素生産性を計算することを総務省さんに検討してほしいということではありません。

○野村座長 分かりました。そういう事例がありますよということでございますので、作業の効率化を進める上でほかのものもお探しくださいという御趣旨のようでございました。失礼いたしました。

それでは、長田委員、よろしくお願いいたします。

○長田委員 長田です。ありがとうございます。

プライスキャップの算定についての委員も重なってしておりまして、先生方からの厳しい御指摘を伺って、本当にそうだったのだなと思いながら、総務省としては今後、また御参考にいろいろな方式を考えていっていただければいいのかなと思いました。

今回の御説明の中であまり強調はされなかったのですけれども、今かかっているプライスキャップ制度、特定電気通信役務というのは非常に狭い範囲の通信料金、つまりメタルの固定電話が主です。ISDNのほうもサービスがどんどん縮小していっているものですし、公衆電話も利用率が非常に下がってはきてるけれども大切なものではありますが、そういうものの中で、プライスキャップそのものが随分長い間上限の規制でありながら、実際にNTTがサービスで提供しているものはもっと低い料金に抑えられていて、全然プライスを抑えているものにはなっていないというような、いろいろな課題がこの制度にはあったと思います。

特に今回、NTTさんからも、メタルの固定電話そのものについては10年後までには縮退をしたいということで公に考え方が発表されていますし、メタルそのものの寿命が本当に切れてしまうというのも事実だと思いますので、それに向けて新たな電話の提供はどうしていくべきかというのが今、総務省でも同時期に検討されてきていて、その中にプライスキャップ制度もどうしていくべきかということも含めて今、検討がされているところだと思いますので、この仕組みがいつまでも続くものではないということは前提に考えていかなければいけないなと思っています。

それから、消費者に分かりやすく説明する。本当にこの話はなかなか難しいのですけれども、その意識もきちんと持ちながら、きちんとした説明もしていくべきだなと思いました。

以上、感想です。よろしくお願いします。

○野村座長 ありがとうございました。

特に総務省様に御質問ということではなく。

○長田委員 そういうわけではなく、私も検討の中におりましたけれども、もう電話というものがどんどん変わっていく、特にメタルの固定電話が縮退していかなければならない。それはもうどうしようもないことだということの中での検討であったということはお伝えしたいなと思いました。

○野村座長 ありがとうございました。

ほかにこの関連で御質問はないでしょうか。

よろしいですか。

先ほど12ページ、概要図、基本的枠組みのところも話題になりました。この辺りが現状から将来どういうふうに構図が変わっていくのかというようなことも、利用者に何か違う場で、ホームページでも結構でございます。分かりやすくお示しいただくのも一案かなと思いました。長田委員、ありがとうございました。引き続きまた情報提供していただくと助かります。

○長田委員 ありがとうございます。

○野村座長 そうしましたら、郷野委員、よろしくお願いいたします。

○郷野委員 御説明どうもありがとうございました。

私も小野委員の御質問に重なるところがあるのですが、今回の協議事項は3年ごとに見直すNTT東西の生産性向上見込率の変更について、0パーセントとすることが妥当であるかということなのですけれども、これまでの御説明やほかの委員の皆様の御意見を伺い、一消費者として学んでいる状態です。

公共料金の仕組みや設定については複雑で、一般消費者にはとても分かりづらい部分がございまして、誰にでも全てを明解に分かりやすく説明してほしいとまでは申しませんけれども、この変更が私たちの暮らしにどのような影響があるのかということは、分かりやすく伝えていただければと思いました。

前回の令和3年10月~令和6年9月の生産性向上見込率が0.1パーセントで、今回は0パーセントということは、基準料金指数が若干変わるわけですけれども、それがどのくらい料金に影響するのかということが消費者の関心の集まるところだろうかと思っています。

先ほど総務省からの回答の中にも、上限の話であって、料金が変わる変わらないというところはNTT東西が決める範疇であるという御回答でしたので、そこはそうなのだろうと思いますが、上限内で例えば事業努力をされて、電話料金については今までそんなに変わってきていないとか、あるいは今後変わる予定はないということが消費者に伝わるということは、NTT東西においても悪いことではないのかなと思いました。城所委員からも分かりやすい消費者への情報発信をしたほうがいいのではとか、野村座長からもどこかで発信をしていただくほうがいいのではということがございましたので、ぜひ消費者としても分かりやすい発信をしていただけたらと思いました。

以上、感想です。

○野村座長 ありがとうございました。

そのような御指導をまた総務省様からNTT東西様に向けて発信していただくということを伝えたいと思います。

郷野委員、よろしいでしょうか。

○郷野委員 ありがとうございます。お願いいたします。

○野村座長 そうしましたら、柿沼委員、よろしくお願いいたします。

○柿沼委員 柿沼です。

一言、今のスライドで表示されているところなのですけれども、今般、メタル回線を変更し、IP網のほうに移行して、今年の1月から距離により通話料金が変動する料金制度から、全国一律料金になったというところもあるかと思うのです。以前の御説明のときに、この料金は元の3分幾らというところで表示しているということですけれども、その辺りも踏まえてきちんと分かりやすく説明をしていただくと、さらに消費者のほうで料金の体系などについても理解が進むのではないかということと、料金が上がるか、それとも下がるかというところが一番消費者の関心だと思いますので、分かりやすくというところと、あとは専門的な人たちがきちんとテクニカルの部分も含めて計算した数式に基づいて算定しており、信頼があるというところを強調して、このような制度になるという説明をしていただけると、消費者としては大変納得いくのではないかなと思います。

あとは、この金額があくまでも今すぐ消費者側が支払う料金ではなく、NTT東西が設定可能な上限値であるということ。これはガスとか電気とかと同じだと思うのですけれども、その辺りも含めて、公共料金制度というのはこういうことなのですよということも的確に伝えていただけるとよろしいのではないかなと思いました。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

今日の議論をまとめていただいたような形で御発言いただき助かりました。ありがとうございます。

今の御発言に関して、総務省様、何か御意見、御感想があればどうぞ。

○井上料金サービス課長 先生方、御意見ありがとうございます。おっしゃっていただきましたように、この政策によって、実際、消費者の方、利用者の方がどういう影響があるかが最大の関心事だと思っております。

プライスキャップによって料金が下がる面もあれば、その他様々な競争によって下がる面もあると思います。ただ、それは消費者、利用者の方からすると、どちらでもいいので安く使いやすくなることが必要だと思いますので、どういうやり方、どういう見せ方をするかというのはこちらでも考えたいと思いますが、座長にもおっしゃっていただいたように、NTT東西ともよく相談しながら利用者の方に分かりやすくお示ししていきたいと思います。

ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございました。

ただ、最初に御発言いただいた太田委員のように、プロ中のプロの方がちょっと疑問を持っているということも、東西の関係者プラス審議会の委員の先生方にはお伝えいただいて、改善の余地があるのではないかということも今後御議論できるような場がつくれるものかどうか御検討いただきたいと思っておりますので、総務省様、その辺りをよろしくお願いしたいと思います。

そうしましたら、長尾委員と、最後になりますが若林委員と、御発言いただく順番にしたいと思います。

まず、長尾委員、どうぞ。

○長尾委員 長尾でございます。

御説明、詳細にありがとうございます。

私も専門外のところが多く、数値、算出方法、数式、算定率についての専門的なコメントはしにくいところがあるのですけれども、リーガルなところで言いますと、今回、生産性向上見込率の算定に関しては、手がかりとなるものが電気通信事業法施行規則第19条の5第4項ということになりまして、第4項に生産性向上見込率の算定方法についての基準が書いてあるということで、今般、一定の方式に従って算出を行った上で、さらにそれをゼロとみなすという御判断がされたということで、言葉の問題かもしれませんが、第19条の5第4項に基づく3年ごとに現在の生産性に基づく将来原価及び今後の生産性向上を見込んだ将来原価から算定するということと、算定されたものをゼロとみなすということが、第19条の5第4項から読替えが許容されるものなのかということについて、御見解を一応伺っておきたいという点でございます。

2点目は素人めいた感想ですけれども、今回、生産性向上見込率をゼロとすることによって、上限についてプライスキャップがそのまま維持されて、プライスを抑える効果があるということはよく分かったのですが、生産性向上見込率がマイナスないしゼロなのだということを認めてしまうと、今後、このX値の定め方によると、事業者が経営効率化によって料金を下げていこうというモチベーションというかインセンティブというのか正確になっていなくて申し訳ないのですが、そういった力は働きにくいのではないかと。今後、生産性向上しないと言ってしまうと、料金が今回議論されたようなX値の定め方によって上がり過ぎないということは確保されたのですが、下げるインセンティブが働くようなX値の定め方にはなっていないということなのですかという素人めいた素朴な質問でございますが、以上2点でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

総務省様、2点御回答をお願いいたします。

○井上料金サービス課長 1つ目は、今見ていただいているのが今回の報告書ですが、もう一個前の「上限価格方式の運用に関する研究会」第一次報告書、X値がマイナスになった場合にゼロとすることを決めたものでございますけれども、令和5年6月に取りまとめた報告書でございます。33ページの考え方のところでございますけれども、まず、X値というかこの制度の趣旨のところでございますが、1年前からマイナスになる可能性が高いというのが分かっておりました。しかし、マイナスのX値を適用することは経営効率化努力等による増加した利益を自己の取り分とするインセンティブ規制であるプライスキャップ制度として望ましくない。このため、次期X値でマイナスの値が得られた場合には、物価上昇に伴う価格転嫁は許容しつつ、IP網への移行に伴う設備重複分といった現時点において予測が難しいコスト増については事業者負担とすること、すなわちX値をゼロとして扱うことが適当としてございます。

先ほど長田先生のお話もございましたように、今ちょうどNTT東西のネットワークが古い交換網からIP網への移行ということになりまして、言わば2種類のネットワークが混在しているという特殊な状況を踏まえて、IP網への移行に伴う設備重複分といった現時点において予測が難しいコスト増云々としています。

その上で、「ただし」のところでございますが、X値をゼロとすることは生産性向上見込みがないと判断するものであることから、物価上昇局面にあり、かつ、今申し上げた設備的に生産性を向上させることが困難なPSTNからIP網への移行という期間限定の特殊事情下である時期に限った選択肢とすることが適当としてございます。

言わば、ここで認識しているのは、例外的にIP網への移行という特殊事情を踏まえてX値が計算したらマイナスであったので、ゼロということを定めたものでございます。先生に御指摘いただいた電気通信事業法施行規則第19条の5第4項について、「算定するものとする」とありますので、これは原則としては、算定して、それを適用するということだと思います。今回は、算定した上で、研究会等で透明性を確保した中で、プライスキャップ制度の趣旨、それからIP網への移行という事情を踏まえて検討し、言わば例外的に適用するものと考えておりますので、第19条の5第4項に違反するとは考えておりません。

2つ目の生産性向上見込率をマイナスやゼロにしてしまうと経営効率化により価格を下げるインセンティブが働かなくならないかというところについては、複雑で恐縮でございますけれども、本来であればマイナスになる、普通にやっておればDEA分析による経営効率化の圧力を含めてもマイナスになるというところに対して、言わば上限を上げることを認めないで、そこをゼロにするということでございますので、NTT東西からすれば、ある意味マイナス分は経営効率化せよとみなせますので、その分については彼らとしては経営効率化をしようとなると思います。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございます。

長尾委員、追加で御発言があるでしょうか。

○長尾委員 ありがとうございます。

第19条の5第4項にすると、算定するものとするというところに今言われたような例外的な解釈の幅が読み込まれるものという御説明と伺いました。

2点目に関してはなるほどと思いましたが、私のほうでも考えを深めてみたいと思います。

御説明ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございます。

補足ですが、プライスキャップはBT、ブリティッシュ・テレコムの公益事業に適用された制度ですけれども、もともとの原案はイギリスの独禁法上、価格引下げ命令として使われていた方式でございますので、公益事業に完璧に機能するとは私はあまり思っておりません。とりわけインフレ時とデフレ時で全く異なってきまして、価格引下げ命令みたいになってしまう可能性もあり得るということです。X値が今日の論点でございますので脇道にそれてしまいますが、今後、技術革新のこともどういうふうに入れ込んでいくかということが総務省様の検討課題になるのかなという感想を持っております。法的に今の1つ目の論点では問題ないという判断をされているということで御理解ください。

そうしましたら最後になりますが、若林委員、御発言をお願いいたします。

○若林座長代理 御説明ありがとうございました。

私の質問は、今の長尾委員の御質問の箇所と同じような部分なのですけれども、X値をマイナスなのだけれどもゼロとするという部分についてでございます。その根拠としては、今、御説明いただいたように、そもそもの趣旨としてマイナスというのは望ましくないということも理解しました。

もう一つ、今回につきましてはIP網への移行に伴う設備重複分のコスト算定が難しいというような御説明をいただいたかと思うのですけれども、私が誤解していなければ、IP網への移行というのは来年早々に完了すると理解をしているのですけれども、少なくとも予定としてはそのように理解しておりまして、そうだとすると来期の期間は完了した後のほうがずっと長くなるのかなと理解しております。そうだとしてもしばらくは設備が重複する、それが残るということでこのような御判断になったのかという辺り、よく分かりませんでしたのでお教えいただきたいと思います。

もう一つ確認としましては、時期については今後のプライスキャップ制度の在り方を検討する際に併せて議論ということになっている。そのように研究会では述べられているようですけれども、今後は、需要の減少はどんどんと進むということで、マイナスになる可能性も高くなるのかなと思っております。それをどうするかというのは、現時点ではいろいろな状況も動いているということから、方向性の検討はまだ始まっていないという理解でよろしいでしょうか。お教えいただきたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 2点、御回答をよろしくお願いいたします。

○井上料金サービス課長 ありがとうございます。

「上限価格方式の運用に関する研究会」第一次報告書18ページを御覧いただければと思います。先生御指摘のとおり、今回のX値が適用される期間は令和8年度まででございます。IP網への移行期間もおっしゃるとおり来年の1月を目途にやっております。そういう意味では、適用期間としてはIP網のほうが一定程度あるかと思います。それについても議論いたしまして、ここにございますとおり、費用予測において、2行目、現在の決算値を見ますと、IP網ではない、PSTNの決算値しかないということでございます。どうしても推計ということになりますが、推計のところにつきまして、2段落目でございますけれども、事業者負担に鑑みれば、算定方法は合理的であることが望ましく、また、推計を重ねるよりも、正確なデータに基づき整合的に計算することが望ましいということでございまして、そういう意味でPSTNの決算値、確定している決算値を用いて計算させていただいたというのが理由、事情でございます。

申し訳ございません。2つ目につきまして、もう一度、ポイントだけ御質問をおっしゃっていただけると助かります。

○若林座長代理 今後の見通しと言うのでしょうか、今後の議論についてはまだ始まっていないという理解でよろしいでしょうかという質問です。

○井上料金サービス課長 大変失礼いたしました。

おっしゃるとおりでございます。今後については、我々の「上限価格方式の運用に関する研究会」では、報告書25ページ以降に今回残された論点的に課題を御指摘いただいております。この課題についてどうやって対処するかについては、まだ検討が始まっていないというのが正直なところでございます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございました。

将来のコスト等を推計するということの難しさを考えると、現在あるコストからというのも分からなくはないと思いました。どのように判断するかというのは難しいところだなと素人ながらというか、その辺の計算についてはあまり詳しくはないのですけれども、理解いたしました。どうもありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

全ての委員の御発言が終わったと理解しておりますが、間違いないでしょうか。

そうしましたら、まだ追加で御質問、御意見がございますようでしたら、2度目、3度目の御発言でも結構でございます。手短にしていただくとありがたいのですが、いかがでしょうか。

よろしいでしょうか。

なかなかテクニカルなところから、もっともっと平易に消費者に理解しやすくという両局面の要望を総務省様に出してしまったような感がございます。どちらも重要だと思っておりますが、ぜひとも利用者、消費者へ丁寧に、分かりやすい言葉に置き換えて、あるいは事例を出して御説明いただくということは早急にしていただきたいと思っております。順次いろいろな段階で、時間軸で変わってくるかとは思うのですが、それはしていただきたいと思っております。

それから、城所委員、太田委員、後藤委員が御専門のところで、かなりいろいろなやり方がほかにもあるのではないか、補足的にもっと考慮すべきではないかというような御発言がございましたので、その点も酌んでいただきたいと思っております。

事務局からほかにございませんでしょうか。

○友行参事官 本日の議論については特にございません。

○野村座長 分かりました。

本日、皆様からいただきました御意見を参考にしながら、専門調査会の意見を固めていくというプロセスを取ってまいりたいと思います。引き続き、総務省様にはいろいろな資料を求めることも多いかと思いますが、御協力のほど、よろしくお願いいたします。

≪3.事務連絡・閉会≫

○野村座長 そうしましたら、事務手続に関して事務局から御発言ください。よろしくお願いいたします。

○友行参事官 本日はいろいろと御熱心に御議論いただきまして、誠にありがとうございます。

次回の日程などにつきましては、改めまして事務局より御連絡させていただきます。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

最初にはたっぷり時間があると思っておりましたが、いろいろな御発言、御議論でちょうど時間になるまで使うことになって、有意義な議論ができたかと思います。

回答が全てすんなりと腑に落ちたということではない部分もございましたが、こういう議論を重ねていくことが重要なのかなと感じておりますので、御理解いただければと思います。

本日は、長時間、御協力いただきまして、ありがとうございました。

これにて第83回の専門調査会を終了したいと思います。

長時間にわたりまして、ありがとうございました。

(以上)