第80回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2024年3月15日(金)10:00~12:00

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、城所委員、郷野委員、後藤委員、長尾委員、長田委員
【消費者委員会担当委員】
小野委員、柿沼委員
【総務省郵政行政部】
郵便課 折笠課長
信書便事業課 藤井課長
【日本郵便株式会社】
郵便・物流事業企画部 斎藤執行役員
【消費者庁】
浪越参事官(公益通報・協働担当)
【事務局】
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、事務局担当者

議事次第

  1. 開会・事務連絡
  2. 25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会・事務連絡≫

○友行参事官 それでは、定刻となりましたので始めたいと思います。

本日は、お忙しい中お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、「消費者委員会第80回公共料金等専門調査会」を開催いたします。

本日は、柿沼委員が会議室にて御出席でございます。

野村座長をはじめ、その他委員の皆様はテレビ会議システムにて御出席、太田委員が御欠席となっております。

また、本日の議題の説明のため、消費者庁から浪越参事官、総務省から情報流通行政局郵政行政部の折笠郵便課長、藤井信書便事業課長にオンラインで御参加いただいております。

加えまして、質疑応答への御対応のため、日本郵便株式会社の斎藤執行役員にオンラインで御参加いただいております。

本日は、テレビ会議システムを活用して進行していただきます。

なお、一般傍聴者にはオンラインにて傍聴いただき、報道関係者のみ会場にて御参加いただいております。

議事録については後日公開いたします。

配付資料につきましては、お手元の議事次第の下部に記載しております。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願いいたします。

○野村座長 おはようございます。本日はよろしくお願いいたします。

本日の進行についてですが、途中で私の回線が切れた場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には事務局に進行をお願いいたします。

まずは、当専門調査会の構成員についてですが、資料1のとおりでございます。昨年11月13日に開催いたしました第79回公共料金等専門調査会以降、当専門調査会の構成員として新たに情報通信消費者ネットワークの長田三紀委員が指名されました。御紹介したいと思います。

長田委員から、簡単に一言、御挨拶をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○長田委員 長田でございます。御紹介ありがとうございます。

かつては消費者委員会委員としても務めさせていただいたことがありますし、こちらの調査会にも前に参加もさせていただいておりました。またどうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

≪2.25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定について≫

○野村座長 本日テーマになっておりますのは、「25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定について」でございます。これについて御議論いただきたいと思っております。

25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定につきましては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金等となっております。付議するに当たり、本日の参考資料としてお示ししておりますとおり、消費者庁より消費者委員会の意見を求められております。

最初に、消費者庁様より公共料金の改定等について御説明いただきたいと思います。その後に、総務省様より重ねて御説明をいただきたいと考えております。

それでは、まず消費者庁の浪越参事官より、御説明を5分程度でお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○浪越参事官 おはようございます。消費者庁参事官の浪越でございます。

今回は、郵便料金の上限の改定に当たりまして、消費者委員会の先生方に審議の機会をいただきましてありがとうございます。何とぞよろしくお願いいたします。

それでは、私から資料2「公共料金の改定等について」に基づきまして、消費者庁の公共料金への関与などについて、制度を御説明させていただきます。

1ページをお願いいたします。

公共料金の改定における消費者庁の関与のイメージ、全体像でございます。

事業者から公共料金の改定の申請が所管省庁にあった場合、その公共料金のうち重要なものにつきましては、所管省庁は認可の前に消費者庁に協議をする必要がございます。協議を受けた消費者庁におきましては、内閣府消費者委員会に意見を伺いまして、その意見を付して物価問題に関する関係閣僚会議に付議をし、その結果を踏まえて所管省庁が認可等を行うという流れになっております。

続いて、公共料金のうち重要なものに当たらないその他一定のものにつきましては、所管省庁は認可の前に消費者庁に協議を行うが、消費者庁から消費者委員会や関係閣僚会議への付議は必要ないという流れになってございます。

重要なもの、その他一定のものが具体的に何かというのが次の2ページでございます。

表でございますけれども、左側が物価問題に関する関係閣僚会議に付議する必要がある重要な公共料金、真ん中が消費者庁へ協議する必要があるその他一定の公共料金でございます。

物価問題に関する関係閣僚会議に付議する公共料金の例といたしましては、例えば経済産業省関係であれば、「東京電力等大手電力9社の供給約款料金」と書いておりますけれども、いわゆる電気の規制料金でございます。国土交通省関係でございますと、例えば、①ということで大手の鉄道会社の旅客運賃の上限の変更のうち、重要なものについては関係閣僚会議付議が必要となってございます。

今回、消費者委員会の先生方に審議をお願いしてございますのは、赤枠で囲わせていただいております総務省が所管している定形郵便物(25g以下)、いわゆる封書の料金の上限でございます。

続きまして、3ページでございます。

公共料金の改定に当たって、消費者庁が所管省庁からの協議を受けた場合に、どういう基本的な考え方でチェックをしているのか、確認をしているのかというものでございます。大きく3つございまして、1つ目が①決定過程の透明性の確保ということで、所管省庁の審議会等における審議過程が公表されているか。

続いて、②消費者参画の機会の確保ということで、パブリックコメント等の実施により利用者等の意見を聴取しているか、所管省庁の審議会等において消費者団体等を参画させているか、認可等の後、改定内容に関して消費者に分かりやすく丁寧な説明に努めることとしているか、このようなことを確認してございます。

3つ目が、③料金の適正性の確保ということで、法令等に基づいた適切な料金が算出されているか。具体的には、能率的な経営の下における適正な原価に適正な利潤を加えたものを料金収入が超えていないかという点や、不当な便乗値上げとなっていないか、料金の算定に賃上げが適正に見込まれているかなどを確認してございます。また、法令等に基づいた適切な料金が算出されているかという点と密接に関係してございますけれども、料金の算定基準等が公表されているか。このような3つの大きな点を消費者庁では確認をしてございます。

このように確認いたしますよ、所管省庁においてもこれを踏まえて対応してくださいということを、3ページの右下になりますけれども、令和4年8月19日に消費者庁から関係省庁に通知をしてございます。

続いて、4ページでございます。

「物価問題に関する関係閣僚会議の直近の開催状況」ということで、平成24年度(2012年度)以降の関係閣僚会議に付議したものの一覧を挙げさせていただいてございます。12年間で17件関係閣僚会議に付議してございまして、電気の規制料金や郵便料金、タクシー運賃などを挙げてございます。

郵便料金につきましては、平成25年11月と令和元年6月に、消費税率の引上げに伴う郵便料金の上限料金の改定について付議をしているところでございます。

私からの御説明は以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

引き続き、総務省折笠郵便課長、藤井信書便事業課長様より、順番に御説明をいただきたいと思います。おおよそ40分程度を見込んでおりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

○折笠郵便課長 おはようございます。総務省郵便課長の折笠でございます。

本日はどうぞよろしくお願いいたします。

それでは、25g以下の定形郵便物等の上限料金の改定につきまして、資料3に基づきまして御説明をさせていただきます。

資料が非常に大部で恐縮でございます。最初に簡単に資料の構成について申し上げますと、1ページ、2ページが改正の概要、3ページから8ページまでが郵便法施行規則、信書便法施行規則の改正案、9ページから52ページまでが説明資料になっておりまして、53ページから101ページが総務省の審議会であります情報通信行政・郵政行政審議会におきまして3月7日付でいただきました答申書と、それに付随しまして意見募集の結果、102ページ、103ページが先ほど申し上げました審議会の委員の名簿になっております。

なお、説明資料の中で37ページ、39ページにつきましては非開示の経営情報ということで委員限りの資料となっておりますので、御審議の際におかれましてもこの部分の記載内容につきましては直接触れることがないようにお願いできればと存じます。

それでは、初めに改正の概要から御説明申し上げます。1ページの下段から2ページにかけてのところでございます。

今回の諮問に係る省令案におきましては、郵便法施行規則第23条に定めております定形郵便物、これは25g以下の封書の郵便物でございます、それの料金の上限額、それから、民間事業者による信書の送達に関する法律施行規則第23条に定めております定形郵便物に相当するような信書便物の料金の上限額のそれぞれにつきまして、現行で84円と定められております上限額を110円に改正しようとするものでございます。

改正案4ページ、7ページにございますけれども、いずれも「八十四円」を「百十円」に改めるのみの改正でございます。

9ページからが説明資料になりますので、まず、こちらのうち9ページ以降の郵便法施行規則の一部を改正する省令案につきまして御説明をさせていただきます。

まず、10ページ以降が関連制度等と郵便事業の現状についてでございまして、11ページを御覧ください。こちらは、現在の郵便法における郵便料金に関する制度等の概要についてでございます。

1ポツでございますけれども、郵便法第3条におきましては、郵便料金に関する原則といたしまして、「郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならない」と定められておりまして、郵便事業の中で収支のバランスを取る料金とすることが定められております。

また、2ポツでございますけれども、郵便料金につきましては、郵政民営化に伴いまして日本郵便株式会社の自主性をできる限り尊重する制度にするということで、原則として届出制の制度になっております。ただし、政策的な理由で、より低い料金を義務づけられております第三種・第四種郵便物につきましては認可制とされているところでございます。

3ポツです。さらに、第一種郵便物の中で25g以下の定形郵便物の料金額につきましては、軽量の信書の送達の役務が果たす役割の重要性や、国民の負担能力、物価などを勘案いたしまして、総務省令におきまして上限額を定めることとされております。こちらが現在84円となっているということでございます。

4ポツでございますけれども、この省令の上限額を制定・改廃するときには、郵便法上、総務省の審議会である情報通信行政・郵政行政審議会への諮問が義務づけられているということになっております。

下段の図が全体の手続の流れでございます。12月18日に情報通信行政・郵政行政審議会へ諮問をいたしまして、12月19日から1月22日までの間、パブリックコメントの募集を行いました。このパブコメの結果も含めまして、先月29日の郵政行政分科会、3月7日の情報通信行政・郵政行政審議会の総会におきまして御審議をいただきまして、53ページに添付しております答申をいただいたところでございます。

その上で、先ほど浪越参事官からの御説明にございましたように、物価担当官会議の申合せ等を受けまして、3月11日付で総務省から消費者庁への協議を行いまして、消費者庁から消費者委員会への付議を行っていただき、本日御審議をいただくという流れになってございます。

委員会からの御意見を頂戴しました後には、物価問題に関する関係閣僚会議を経まして総務省令を公布・施行するということ。それから、これに基づきまして、実際に日本郵便から料金の届出等がなされるという流れになりまして、その後、利用者への周知期間等を取った上で、早ければ今年の秋頃の料金改定を想定しているというスケジュールになっております。

12ページを御覧ください。

こちらは、郵便法に定めております各種別の郵便料金が適合すべき条件等についてでございます。先ほど御説明しましたものに加えまして、配達地により異なる額が定められていないこと、定率・定額をもって明確に定められていること、特定の者に対して不当な差別的な取扱いをするものではないことなどが定められているところでございます。

また、第二種郵便物の通常はがきの料金の額につきましては、定形郵便物の料金のうち最も低いもの、今で言いますと25g以下の84円になりますけれども、これより低いものであるということにされております。

13ページを御覧ください。

こちらは、現在の郵便の種別ごとの主な料金でございます。青文字の部分につきましては、昨年10月に料金の改定がされたものでございまして、こちらは届出での改定ということになっております。

また、赤字部分のうち一番上の25g以内の定形郵便物の84円が今回上限額を改定しようとしているものでございまして、また、通常はがきにつきましては、先ほど申し上げましたように間接的に影響を受けるというものでございます。

14ページを御覧ください。

こちらは、郵便物数の推移でございます。デジタル化の進展などによりまして、郵便物数は平成13年度の262億通をピークに毎年減少しておりまして、令和4年度は144億通ということで、平成13年度と比較いたしますと約45パーセントの減少になっているところでございます。年率で申し上げますと、毎年2.8パーセントほどの減少率でございます。

次の15ページは郵便の種別ごとの物数でございますので、御参考までに御覧いただきまして、16ページを御覧ください。

こちらは、郵便事業の収支の推移でございます。郵便物数の減少に伴いまして、営業収益が年々減少する中、日本郵便におきましては、区分作業の効率化とか適正な要員配置の徹底などによりまして、営業費用の削減に努めてきたところでございます。

これによりまして、令和3年度までは郵便事業の収支につきまして黒字を維持してきたところでございますが、令和4年度におきましては、まず収益の面で申し上げますと、デジタル化に伴う郵便物数の減少傾向が継続したことや、あるいは、前年度にありましたワクチン接種券などがなくなったことなどによりまして、内国郵便の収益が159億円の減収となったところでございます。

また、費用の面におきましても、コストコントロールの取組などによりまして費用削減を図った一方で、民営化以降、最大のベースアップとなった賃上げとか特別一時金の支給などによる人件費の増、それから、水道光熱費などの物価上昇の影響などがございまして、内国郵便の費用といたしまして102億円増加したことなどによりまして、郵便事業全体の損益につきましては211億円の赤字となったところでございます。郵便事業全体の損益が赤字となりますのは、平成19年の郵政民営化以降初めてということになってございます。

17ページを御覧ください。

こちらは、郵便事業における営業費用の構造、内訳でございます。人件費が66.4パーセント、集配運送委託費が8.3パーセントでございまして、この両者で全体の約4分の3を占めているということでございます。

また、郵便局窓口営業費のうち75パーセントは人件費でございますので、人件費として計上されている部分と合わせましても、人件費のみでもやはり全体の4分の3程度を占めているということで、非常に労働集約的な費用構造になっているということでございます。

18ページを御覧ください。

こちらは、郵便物数と郵便物流事業に従事しております従業員の数の推移でございます。左側の内国郵便物数につきましては、先ほど申し上げましたように、平成13年度比で令和4年度は約45パーセントの減少となっております一方で、右側でございますけれども、この期間におけます郵便物流事業の従業員数につきましては約30パーセントの減少となっているところでございます。

なお、郵便物流事業の従業員につきましては、郵便・物流いずれの事業にも従事しているということでございまして、実態として郵便に従事する従業員数のみを把握するというのはなかなか困難でございますけれども、郵便と荷物の物数の比でございますが、下の(参考)の箱のところに書いておりますように、平成13年度時点では郵便物が約98.5パーセントを占めていたのに対しまして、令和4年度になりますと郵便物の占める割合が77.9パーセントまで低下しているということでございまして、これに伴いまして、従業員の業務につきましても郵便から荷物へのシフトが一定程度あったものと考えているところでございます。

19ページを御覧ください。

こちらは、郵便事業の人件費単価の推移でございます。日本郵便の正社員は17.6万人ほどおられますけれども、その平均賃金につきまして、厚生労働省の賃金構造基本統計調査におけるほかの大企業の平均賃金と比較しているものでございまして、ほかの大企業に比べますと低い水準となっているところでございます。

また、右側の時給制社員の賃金の推移でございますけれども、地域最低賃金(全国加重平均)とおおむね同様の推移になっているという傾向にございます。

20ページを御覧ください。

先ほど申し上げましたように、物数が減少する中におきまして、日本郵便におきましてもこれまで業務効率化をいろいろ取り組んできておりますが、その主な取組について御説明を申し上げます。

まず、左側にありますように区分作業の機械化を進めておりまして、現在におきましては全国の約99.6パーセントの道順組立て、これは配達順に郵便物を並べ替えることでございますけれども、これの機械化を完了しているところでございます。また、様々な場所におきまして郵便物や荷物などを受け取れる「はこぽす」を設置するとか、LINEによる再配達の受付などの実施によりまして、顧客の利便性向上、再配達の減少を図るということをやってございます。

また、右側でございますけれども、システムであるとかデータ・AIなどを活用することによりまして、適正な要員配置を徹底するなどの業務効率化を行ってきているところでございます。

次の21ページですが、利用拡大に向けて日本郵便が取り組んできた主なこれまでの取組でございます。手紙文化の振興といたしまして、例えば学校に郵便局の社員の方が赴きまして出前授業を行います手紙の書き方体験授業など、年齢層に応じた振興策を実施しておりますほか、ニーズに応じて新サービスを創設する。それから、ダイレクトメールの振興などにも取り組んでいるところでございます。

22ページを御覧ください。

こちらは、平成13年度から令和4年度までの間の郵便事業の営業収益・営業費用の推移を並べたものでございます。この期間中、営業収益が35.4パーセント程度減少する一方で、営業費用も約34パーセント減少しているということで、ほぼ同程度の減少幅となっているということでございます。

23ページ以降が今後の見通しについてということで、24ページを御覧ください。

日本郵便におきましては、後ほどまた触れますけれども、今後も郵便物の利用拡大とか業務効率化に取り組んでいく予定ではございますが、ただ、2023年度以降につきましても、郵便物数の減少などによりまして、引き続き営業収益は大きく減少していくことが見込まれているところでございます。その一方で、人件費あるいは委託費の増加によりまして営業費用は増加していくことが見込まれておりまして、今後、営業損益の赤字は拡大していく見通しになっております。2028年度の見通しといたしましては、約3,439億円の赤字が見込まれているという状況でございます。

25ページを御覧ください。

こちら以降が、今ほど申し上げました郵便事業の収支の見通しを算定するに当たっての考え方でございます。まず、全体的なところで申し上げますと、営業収益につきましては各年度につきまして、それぞれの年度の物数の見込みに平均単価を乗じまして、それに物数連動ではない収益を加えて算定をしているところでございます。このうち、物数見込みの算定の考え方につきましては次ページ以降でまた御説明申し上げます。

それから、営業費用でございますけれども、郵便の種別ごとに、2022年度の費用実績をベースといたしまして、下段の表に掲げているものでございますとか、また後ほど御説明いたします営業費用削減の取組も加味した上で算定をしているということでございます。

下段の表でございますけれども、特に人件費とか集配運送委託費への価格転嫁に関する今後の増加要因など、各年度における増加要因、それぞれの影響額を記載しているところでございます。

それぞれの算定の考え方は、注釈にあるところでございますけれども、例えば一番上の期間雇用社員の賃金の上昇4.3パーセントにつきましては、昨年7月の中央最低賃金審議会の答申における全国加重平均の引上げ率4.3パーセントを基に増加率を算定したものでございます。

26ページを御覧ください。

こちらは、今後の郵便物数の見通しでございます。2022年度におきましては144億通であった郵便物数でございますが、2028年度には約115億通ということで、現在よりもさらに2割程度減少することが見込まれているところでございます。

27ページを御覧ください。

こちらは、物数の見通しを策定するに当たりましての考え方でございます。ある年、n年度の予測物数につきましては、その前年度であります(n-1)年度の予測物数から、(n-1)年度のスポット、これはある年における特別の郵便需要でございますけれども、その物数を除きまして、それに商品別のトレンド、平均の増減率を掛けるということをやっております。その上で、ある年度でありますn年度のスポットの物数を加え、またn年度における利用拡大策に係る物数の増加分を加えるということで算定をしているところでございます。このうち、トレンド平均増減率につきましては、原則といたしまして2020年度から2022年度の2年間の平均増減率を適用しているということでございます。

この考え方といたしましては、デジタル化など直近の事業環境を一番適切に反映することができるという点と、日本郵便が作成しております毎年度の事業計画や、日本郵政グループの中期経営計画の策定におきましても同様の考え方で見通しの試算を行っていることがございまして、この期間での平均増減率を適用することとしております。

一方で、例えばコロナ禍の影響を受けたことが明白な種別の郵便物といたしまして、一例としては、コロナ禍の巣籠もり需要で急増いたしました通信教育などの第四種郵便物や、逆にコロナ禍の経済活動縮小で激減しました広告郵便物など、コロナの影響が明白なものにつきましては、例外的にコロナ禍の影響がない平常時のトレンドを適用するということで算定をしております。

また、【スポットの考え方】のところでございますけれども、ある年度に特別に発生する郵便需要ということで、例えば自治体が発出いたします選挙の入場券とかワクチンの接種券といったものにつきましては、地方選挙で申し上げますと、例えばおおむね4年のサイクルで増減しているといった、これまでの差出傾向を踏まえて見通しを作成しているところでございます。

28ページを御覧ください。

こちらは、日本郵便におきまして、今後、郵便物の利用拡大に取り組むための主な取組を並べたものでございます。

例えば3番でございますけれども、主として法人のお客様を念頭に置きまして、森林保全につながるFSC認証紙を使用した年賀状をPRすることによりまして、年賀状の減少トレンドの抑制を図るということや、4番でございますけれども、フリマサイトでの取引などによりましてトレーディングカードの送付の需要などがありますので、そういった需要の増を図るために、ミニレターと呼ばれております郵便書簡に関するサービス改善などに取り組んでいくことなどとしております。

29ページを御覧ください。

こちらは、日本郵便におきまして、今後、営業費用削減のために取り組む業務効率化策の主なものと、その効果額を並べた表でございます。

日本郵便におきましては、これまでも行ってきましたICTを活用した要員配置の適正化などによる担務別コストコントロールの深化や、区分作業の機械化を引き続き推進していくことに併せまして、再配達の削減や輸送DXによる運送ダイヤの効率化などに取り組んでいくことで、営業費用の削減を図っていくこととしているところでございます。

30ページを御覧ください。

こちらは、郵便事業の収支の変動要因につきまして、2016年度から2022年度、2022年度から2028年度を比較した滝グラフでございます。2016年度から2022年度、左側の部分につきましては、収益が868億円の減、費用が528億円の減ということで、トータルではこの期間は339億円の営業利益の減少となっております。

このうち収益減の868億円でございますけれども、この中には郵便物数がこの期間33億通減少したことによります収益の減少が2300億円ほどある一方で、2017年、2018年におきましては第二種郵便物、はがきの料金の改定を行っておりますので、これによる収益増が1700億円ほど含まれているということで、トータルで868億円の減となっているところでございます。

また、この期間の営業費用の減528億円につきましては、人員の適正配置や、2021年から土曜休配などを行いまして人件費を削減していることなどによる人件費の減465億円などが含まれているところでございます。

また、右側の2022年度から2028年度の収益でございますけれども、まず収益減につきましては、郵便の物数が約29億通減少することによりまして約2,366億円の営業利益が減少する見通しとなっております。

また、営業費用の増862億円につきましては、左下の枠囲いのところにありますように、先ほど御説明したような業務効率化に取り組む減がある一方におきまして、賃金の引上げによる人件費の増が約461億円ございますとか、価格転嫁による集配運送委託費の増の約168億円などが含まれているところでございます。

31ページ以降が、郵便料金の見直しについての考え方でございます。

まず、32ページを御覧ください。

こちらは、第一種・第二種郵便物の主な料金の変遷についてまとめたものでございます。省令において料金の上限を定めております第一種郵便物の25g以下の定形郵便物につきましては、消費税増税に伴う改定を除きますと、平成6年、1994年の改定以降、ほぼ30年間にわたりまして料金が据え置かれてきたところでございます。

また、平成6年における郵便料金全般の見直しや、平成29年、平成30年、2017年、2018年のはがきの料金の見直しの際は、運用上の取扱いといたしまして、料金改定後3年間は赤字が生じないという考え方に基づきまして料金額の改定を行ってきたところでございます。

33ページを御覧ください。

こちらは、今回の検討に当たりましての考え方と方向性をまとめたものでございます。

まず、「基本的な考え方」でございますが、郵便事業は全国2万4千の郵便局ネットワークを通じて全国あまねくサービスを提供しておりまして、国民生活の向上、社会経済の発展などに貢献してきております。今後も、その役割を果たしていくことが重要であると考えております。

「見直しの必要性等」のところでございますけれども、先ほど申し上げましたように、郵便法第3条におきましては郵便事業の中で収支のバランスを図ることとされておりまして、郵便料金の検討に当たりましては、日本郵便が行っておりますゆうパックなどの郵便事業以外のサービスの収支とは別に検討することが必要とされているところでございます。

2つ目のマルでございますけれども、日本郵便におきましては、先ほど御説明申し上げましたような利用拡大の取組や料金見直しなどに取り組んできておりますし、今後も取り組んでいく予定でございますけれども、社会全体のデジタル化が進む中で郵便物数は今後も大きな減少が見込まれるということで、郵便事業の営業収益の減少傾向は継続していくと考えております。

3つ目のマル、コスト面でございますけれども、こちらも業務効率化の取組とか土曜休配などでコスト削減を図ってきたところでございますが、賃金の引上げとか価格転嫁なども今後行っていく必要があるという中で、日本郵便の郵便事業の費用構造といたしましては、人件費が営業費用のおよそ4分の3を占めていることを考えますと、営業費用が大きく今増加しておりまして、また直近で大幅な減少を見込むのはなかなか難しいといった状況にあるところでございます。

4ポツ、5ポツでございますが、こういった状況を改善するためにということで、我が国全体といたしましても「コストカット型経済」から脱却して「成長型経済」への変革を目指している中におきまして、日本郵便におかれましても賃上げや委託事業者への適切な価格転嫁といった取組は継続していただきつつ、抜本的なDXや利便性・付加価値の高いサービスの提供などに取り組んでいく必要があると考えておりまして、総務省といたしましても、日本郵便に対しましてそういった取組をしていくよう求めているところでございます。

一方で、そういった取組を行いながらも、郵便事業の今後の収益の見通しは非常に厳しい状況でございますので、郵便事業の安定的な提供を確保するためには、当面の対応といたしまして早期の郵便料金の見直しが必要であると考えているところでございます。

また、注釈のところでございます。次ページ以降に資料がございますけれども、家計への影響という観点で申し上げますと、今回の郵便料金の値上げが家計に与える影響はあまり大きくないと考えているところでございます。

34ページに行っていただきまして、まず、消費者物価指数の見通しでございます。こちらは、消費者物価指数に関する日銀、それからエコノミストの方による見通しでございます。郵便料金の見直しが、冒頭申し上げましたように最短でも今年の秋になるという見込みでありますところ、令和6年の後半から令和7年にかけましては消費者物価指数の伸び率は低下する見通しであるということが一つございます。

次の35ページに行っていただきまして、こちらは総務省統計局の家計調査結果に基づいて作成した資料でございます。令和4年度の2人以上の世帯における家計消費支出が全体で約349万円となっておりますが、うち、ゆうパックとか郵便局で扱う商品も含めた郵便料が約3,600円で、全体に占める割合は約0.1パーセントにとどまっているところでございます。

また、米印2にございますけれども、世帯主の年齢階級別の消費支出額を確認してみたところ、高齢の世帯ほど郵便料の支出割合は高くなっているところでございますが、最も割合が高い70歳以上の世帯におきましても郵便料の支出割合は約0.15パーセントにとどまっているところでございます。

注釈には記載がないのですけれども、都市規模別でも比率を見ましたが、都市規模によって大きな差はないという結果でございました。

36ページに行っていただきまして、こちらは今回付議させていただきました総務省令改正に当たっての考え方でございます。

まず、郵便法におきましては、25g以下の定形郵便物につきまして省令で料金の上限額を定めることとしておりまして、この省令を定めるに当たりましては、軽量の信書の送達の役務の役割の重要性や、国民の負担能力、物価その他の事情を勘案して定めることとされているところでございます。

また、今回の料金の改定に当たりまして、郵便事業の中で収支のバランスを図る必要がある一方で、やはり利用者に与える影響などを考慮していきますと、可能な限り値上げ幅は抑えていくことが必要であると考えているところでございます。

このため、今回の料金の改定の検討に当たりましては、従来、運用上やっておりました改定後3年間は郵便事業の黒字を維持するという考え方を見直しまして、経営状況に応じましてより短期間に再度の見直しの検討もすることも念頭に置きながら、最小限の値上げ幅とするという考え方を採っております。

そういった考え方の下で、総務省令で定めております定形郵便物の上限額の上げ幅につきましても、先ほど申し上げましたような様々な勘案事項等も勘案いたしまして、最小限の上げ幅としたいということで考えております。

その最小限でございますけれども、具体的には、38ページを御覧いただきまして、こちらは郵便料金の見直しを行った場合の郵便事業の収支の見通しでございます。仮に令和6年の秋に料金の値上げを行った場合には、値上げの影響が通年で発生するのは翌令和7年度になりますが、郵便事業の収支が令和7年度におきまして黒字化する最小限の値上げ幅という考え方を今回は取っているところでございます。

もう一回36ページに戻っていただきまして、こういった上限額の上げ幅を最小限にするという考え方と、利用者にとって分かりやすい料金とするという考え方から、上限額を現行の84円から110円に改定したいと考えているところでございます。

下段は、料金改定の全体像でございます。今回御審議いただきます総務省令において定めておりますのは、あくまで25g以下の定形郵便物の料金の上限額でございまして、実際の料金につきましては、注釈のところにございますように、日本郵便からの届出等によりまして初めて決まるものではございますが、現時点におきまして日本郵便が想定している主な料金の改定額が下段になります。

省令におきまして上限額を規定しております第一種25g以下の定形郵便物につきましては、上限額と同じ26円上げの110円を予定しているということでございます。また、届出制の50g以下の定形郵便物につきましては、これまでは25g以下よりも高い料金94円でございましたが、25gを少し超えた場合に料金が変わってしまうのは不便であるといった声を利用者の方からいただいていることなども踏まえまして、25g以下と重量区分を統合いたしまして、16円上げの同じ110円になることを想定しているということでございます。

また、通常はがきにつきましては22円上げまして85円にするということのほか、その他の定形郵便物、特殊取扱い等につきましては約30パーセントの値上げ率を基本にいたしまして、レターパックや速達などの一部郵便物につきましては、利用者の利便性等の観点からより低い値上げ率を想定していると聞いているところでございます。

また、一番下の注釈でございますけれども、第三種・第四種郵便物、それから昨年10月に料金改定を行いました書留などにつきましては料金の据え置きを想定しているということでございます。

併せまして、日本郵便におきましては、料金改定に伴うサービス改善といたしまして、先ほども御紹介いたしました郵便書簡に関する内容品の制限の撤廃、あるいは受取りの利便性の向上ということで、現在、ゆうパックで提供しておりますお届け予定日や不在連絡についてメールやLINEでのやり取りを可能とするようなe受取アシストシステムを郵便分野にも提供すること、それから、差出しの利便性の向上といたしまして、スマホカメラを利用して送付物を撮影することで、料金とか適切なサービスを簡単に検索・表示できるような仕組みなどを予定しているということで、引き続きサービスとか利便性の向上に努めるものということで聞いているところでございます。

37ページは委員限りの資料ですので御参考までに御覧いただきまして、38ページは先ほど御説明申し上げました収支の見通しでございます。

39ページも委員限りの御参考の資料でございます。

40ページは、今回の値上げを行った場合、行わなかった場合の通数の見通しがどうなるかということを比較したものでございます。

値上げを行った場合につきましては、行わない場合と比較いたしまして、2028年度の時点で内国郵便全体におきまして約2.7億通郵便物数が減少するということを見込んでいるところでございます。先ほどの収支の見通しにおきましても、この減少幅も加味したもので算定をしております。

値上げを行った場合、物数が減少する、その影響の算定に当たっての考え方が次の41ページでございます。

こちらの考え方でございますけれども、郵便種別ごとに過去の値上げの際の郵便物数の減少率から算定いたしました価格弾性値に、今回想定しておりますそれぞれの種別の料金の改定額を掛け合わせまして、郵便物数への影響を算定するということをやっておりまして、そのトータルが先ほど申し上げました2.7億通の減ということでございます。

42ページを御覧ください。

こちらは、今回の上限料金の改定におきまして、郵便法等の関係で適正なものであるかということを確認するに当たっての基本的な考え方についてでございます。

まず、適正な原価につきましては、郵便物数と従業員数との推移の比較や、他業態との人件費単価の推移の比較などを見ているほか、これまでの業務効率化、今後実施する業務効率化等の取組に加えまして、賃上げや適切な価格転嫁の見込み等も確認することで、見直し後の営業費用が適正な原価であることを確認しているところでございます。

適正な利潤につきましては、営業収益の算定につきまして、原則直近の過去の実績に基づきまして算定いたしましたトレンドを基に郵便数数の見込みを算定しておりまして、それに単価を乗じて算定するということをやっております。

上限額の改定につきましても、軽量の信書の役割の重要性とか、負担能力、物価等も勘案いたしまして、値上げ幅は可能な限り抑えるという考え方の下で、従来の考え方も見直しながら最小限の値上げ幅とするということで考えておりまして、見直し後の利潤につきましても最低限の黒字になるという見込みでございまして、適正な利潤であることを確認しているところでございます。

その上で、一番下のところになりますけれども、「公共料金変更に係る認可などに際しての基本的な考え方」なども踏まえまして、今後、より一層透明性・適正性を確保していくという観点から、郵便料金に関する改定の算定要領につきましても、次回の改定までに作成・公表する方向で検討を行ってまいります。

43ページを御覧ください。

こちらは参考資料でございまして、諸外国における郵便料金の変遷についてでございます。日本の25g以下の定形郵便物に相当するような各国における基本的な郵便サービスにつきまして、前回、定形郵便物の値上げを行いました1994年と2023年までの値上げ回数、値上げ率を比較したものでございます。

日本に比べますと、各国ともに値上げ回数、料金上昇率ともに高い値となっておりますことと、今回の値上げ後の110円につきまして各国の料金と比較いたしますと、単純な円換算で申し上げますと、米国の次に安く、購買力平価で見ましても中位程度の料金となっているということで、国際的に見ましても改定後の料金は決して高いものではないと考えております。

44ページ、45ページは、参照条文ですので説明を省略させていただきまして、ひとまず郵便法施行規則の改定に関する説明を終わります。

引き続きまして、信書便法の施行規則につきまして説明をさせていただきますので、よろしくお願いいたします。

○藤井信書便事業課長 総務省信書便事業課長の藤井でございます。よろしくお願いいたします。

私から、信書便法施行規則の一部改正の内容につきまして、資料に沿って御説明をさせていただきます。

資料の47ページを御覧ください。

まず、改正内容の説明に入ります前に、信書便という、聞き慣れない方もいらっしゃるかと思いますので、こちらについて簡単に御説明させていただきたいと思います。

皆様御案内のとおり、かつては郵便というのは国営で、かつ独占的にやっていたものなのですけれども、信書の送達に関する分野につきましても民間事業者の参入を認めるべきではないかといった議論がありまして、平成14年に民間事業者による信書の送達に関する法律、これを我々は略称で「信書便法」と呼んでおりますけれども、こちらが成立いたしまして、翌平成15年から施行されているところでございます。この信書便法が郵便法と相まって、信書の送達の役務についてあまねく公平な提供を確保しつつ、利用者の選択の機会の拡大を図るということで、これまで約20年にわたって運用してきたところでございます。

信書便事業には大きく2つのカテゴリーを設けております。1つ目が、上段にあります一般信書便事業で、手紙やはがきなど、国民生活にとって基礎的な通信サービスとして軽量・小型の信書便物が差し出された場合に、全国において必ず引き受け、配達するサービスの提供を必須として、全ての信書の送達が可能な事業という全国全面参入型の事業です。もう一つは、下段にあります特定信書便事業といいまして、付加価値の高い特定の需要に対応するサービスのみを提供する事業という2つのカテゴリーを設けております。今回の省令改正につきましては、上段の一般信書便事業に係る部分でございます。

続きまして、資料の48ページは参考資料でございますが、一般信書便事業と郵便事業の制度比較でございます。個々の内容の説明につきましては、時間の都合上割愛いたしますが、一般信書便事業につきましては郵便事業とほぼ同等の規律が課されていることは御理解いただけるかと思います。

続きまして、49ページからが今回の制度改正の中身でございます。信書便法の第16条第1項の規定に基づきまして、「一般信書便事業者は、一般信書便役務に関する料金を定め、あらかじめ、総務大臣に届け出なければならない」となっております。

一般信書便役務に関する料金のうち、大きさ及び形状が総務省令で定める基準に適合する信書便物であって、その重量が25g以下のもの、先ほどの郵便法でいうところの定形郵便物と同様のものの料金額につきましては、「軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性、国民の負担能力、物価その他の事情を勘案して総務省令で定める上限を超えてはならない」という料金上限規制が課されているところでございます。

総務大臣は、料金上限規制の対象となります25g以下の信書便物の料金額の上限を定める総務省令を制定・改廃するときは、情報通信行政・郵政行政審議会に諮問することとされておりまして、審議会から答申をいただきました後は、消費者委員会への付議及び物価問題に関する関係閣僚会議への付議などが必要とされております。これらの会議を経た上で、総務省令の公布・施行がされるということでございます。

下段にフローチャートをお示ししております。基本的に先ほど御説明しました郵便料金と同じプロセスをたどっておりますが、一般信書便事業につきましては、現時点におきまして参入しておられる事業者はおられませんので、最終的に総務省令の公布・施行までになるものでございます。

続きまして、50ページでございます。

一般信書便役務に関する料金につきましては、第一種郵便物の料金と同等の条件に適合すべきものとされております。下に比較表を載せているところでございます。信書便法の施行以来、25g以下の定形郵便物と同形状の信書便物の料金につきましては、先ほど御説明しました事情を勘案して、25g以下の定形郵便物の料金の同額を上限額としてきたという経緯がございまして、これまでも消費税率の引上げに伴いまして料金改定を、郵便料金と同じタイミングでこちらも引上げをやってきたところですが、今回も郵便料金における25g以下の定形郵便物と同額を上限額としたいということで省令改正をするという内容でございます。

51ページ、52ページは参照条文ですので、説明を割愛させていただきます。

私からは以上になります。

○折笠郵便課長 続きまして、意見募集の結果、それからの答申案の説明を再び折笠からさせていただきます。

資料の54ページを御覧ください。

上段が意見募集の結果の概要でございます。意見募集につきましては、令和5年12月19日から本年1月22日までの35日間実施いたしまして、法人・団体の方から9件、個人の方から152件の合計161件の御意見をいただいているところでございます。

54ページの下段以降が具体的な御意見でございまして、件数が多いので全てを御紹介することはいたしませんが、同種の意見をまとめた形で考え方を示しているところでございます。

全体の傾向といたしましては、賛成の御意見が全体の6割程度、反対の御意見が2割程度、また、本件の改正案と直接関係がない御意見が2割程度でございます。

賛成の御意見につきましては、例えば郵便のユニバーサルサービス維持のためには料金改定が必要であるという御意見、適切に価格転嫁をして郵便局員の待遇改善につなげてほしいといった御意見などがございました。

反対の御意見につきましては、土曜休配などでサービスが低下する中での値上げには納得ができないという御意見、値上げより前により一層の業務効率化やサービスの見直しが必要ではないかといった御意見などがありました。

その他の御意見としましては、郵便事業の運営形態に関する御意見や、切手の発行に関する御意見などがあったところでございます。

また、改正案の賛否そのもののほかに、政策の方向性に関する御意見もいただいております。例えば、郵便事業の安定的な提供を確保する観点から郵便料金などの制度の見直しが必要ではないかということで、要望する御意見や、今回の値上げを物価上昇、価格転嫁、収入上昇、賃上げによる国民生活と経済の好循環に結びつけていくべきではないかといった御意見、それから、日本郵便に対しまして価格転嫁とか一層のサービス改善、業務効率化なども進めていく必要があるといった御意見などもあったところでございます。

53ページに戻っていただきまして、こういったパブコメの結果も含めて、また審議会での御審議を踏まえていただきました答申書がこちらになっております。

まず1でございますけれども、郵便法施行規則、信書便法施行規則の改正案につきましては、諮問のとおり改正することが適当であると認められるとされているところでございます。

また、1に併せまして、2のとおり総務省に対して2点の要望事項が付されております。要望事項の1点目、(1)といたしましては、郵便事業のより安定的な提供を将来にわたって確保する観点から、今後総務省において利用者を含む関係者や有識者の意見も丁寧に聞きながら、必要に応じて郵便料金に係る制度の見直しも視野に入れ、検討を行うことということでございまして、郵便事業の将来にわたる安定的な提供を確保するための方策について検討してほしいということでございます。

要望事項の2点目、(2)でございますけれども、我が国全体として「コストカット型経済」から脱却し、持続的な賃上げや活発な投資がけん引する「成長型経済」への変革を目指していることも踏まえまして、総務省から日本郵便に対して、適切な価格転嫁等の取組を継続しつつ、抜本的なDXや利便性・付加価値の高いサービスの開発・提供などを適切に実施するよう求めることということでございまして、日本郵便に対して収益力の強化をしっかり図ってほしいということを総務省から求めていくようにということでございます。

総務省におきましても、審議会からのこれらの要望事項も踏まえまして、今後、郵便事業のより安定的な提供の確保の観点から、郵便料金の制度の見直しも視野に入れた検討を今後開始していきたいと考えておりますし、また、適切な価格転嫁などと併せまして、利便性の高いサービスの提供などによりまして、収益力向上の取組を図ってほしいということを日本郵便に対して様々な機会を通じて求めてまいりたいと考えております。

以上、大変駆け足となりまして恐縮でございますけれども、説明を終わらせていただきます。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 どうもありがとうございました。

大部の資料で、100ページを超えております。パブコメが後半部分でございます。

ここから、委員の先生方から御質問をいただきたいと思います。まず、口火をどなたかに切っていただいて、その後、挙手もしくはチャットのほうで手を挙げていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員 東工大の後藤です。

御説明、ありがとうございました。本日、この後、早めに退出させていただきますので、先に意見を2点申し上げさせていただきたいと思います。

まず、2点のうち1点目ですけれども、近年の郵便物数の減少ということで、それに伴う営業収益の減少があり、併せて様々な効率化努力とか費用削減努力を継続してこられたということで、それでも収益の減少を埋めることができず、赤字につながってきている状況ということで御説明いただいたかと思います。

費用の内訳を見てみますと、多くが人件費で、全体の4分の3ほどが人件費である。つまり、固定費の比率が非常に大きいわけでして、これは費用構造が硬直的であるということですので、昨今の社会情勢とか効率化の投資の必要性から見ましても、これをすぐに削減していくことは難しい、むしろ増えていく可能性もあるということが予見されます。

今後、2028年度までの収支見通しを見ますと、38ページのスライドであったかと思いますけれども、値上げを想定すれば、一旦は収支が回復しても、その後また赤字になる見通しであるということで御説明いただきました。ですので、費用構造的な問題が現れていると思います。

こうした想定の下で、事業体としての持続可能であるのかどうか。今回の値上げがやむを得ないものだとしても、今後のさらなる値上げの可能性が収支予測から容易に想像できるわけで、不安感が残ります。

今後、事業を維持していくために、値上げ幅を極力小さくしていくような施策とか改善策が必要であることは、この資料から明らかであるかと思いますので、これについて併せて御議論いただいて、方向性をお示しいただきつつ、値上げについて丁寧に御説明をしていただく必要があるかと思います。

2点目でございますけれども、価格と需要の変化について、価格弾力性の御説明もありましたが、国内のみでは事例データが少なく推計が難しい面もあるとは思いますけれども、例えば他のサービスとの代替関係、補完効果なども考慮した上で、商品間の関係、サービス間の関係なども考慮に入れながら分析を深めることは、今後の見通しの確度を上げるだけでなく、事業の在り方とか改善策を検討する上でも有益ではないかと思います。御検討いただければと思います。

関連しましてもう1点、諸外国の値上げ事例のスライドも御説明いただいたものの中にあったかと思いますけれども、日本に比べてかなりの値上げ幅が示されておりまして、収支見通しの議論でどのようなものがあったのか、なぜ高い価格で維持できているのかを参考情報としてお示しいただけると、より理解が深まるのではないかと思った次第です。併せて御検討いただければと思います。

以上です。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、総務省様からお答えいただけるでしょうか。

○折笠郵便課長 郵便課、折笠でございます。ありがとうございます。

まず1点目でございますけれども、先生がおっしゃられましたように、今後の収支の改善策などにつきましても併せて議論していくことが必要、それから、今回の値上げにつきまして丁寧に説明していく必要があるということは、まさにおっしゃるとおりでございます。

総務省におきましても、今回の答申を受けまして、今後どうやれば郵便事業は持続可能になるかということを制度の面からもですし、それから日本郵便におきましてサービスの面からも検討をしっかりやっていきたいと思っているところでございます。

また、価格弾性値につきましても、他のサービスの代替性や補完性などもということでおっしゃっていただいておりまして、そういったものも込みでの弾性値にはなっているかと思いますが、ほかにどういったものが考えられるかということは、今後さらに新しい検討をしていく上でも役に立つものかと思いますので、どういうことができるかというのは考えていきたいと思っております。

また、他国の状況でございます。他国の状況を我々が把握している限りで申し上げますと、どこの国も郵便単体というよりは郵便と荷物を併せてサービスを提供しているような国が多いとか、英国はまさに今収支が非常に悪化しているということもありまして、サービスの見直しの検討もしていることなどを承知しているところでございまして、そういったものもどういう情報が提供できるかということを今後検討してまいりたいと思います。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

後藤委員、いかがでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

特に弾性値の分析に関しましてはいろいろな手法もあるかと思いますので、ぜひ御検討いただければと思います。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

総務省様、現場のほうで御苦労されていることはよく私も承知しておりますが、持続可能性ということで不安感が残るという御指摘もありましたので、御指導のほどよろしくお願いいたします。

そうしましたら、別の御質問に移らせていただきます。

郷野委員からよろしくお願いいたします。

○郷野委員 全国消団連の郷野です。

御説明、どうもありがとうございました。

私からは、後藤先生と重なる部分もあるのですが、3点質問がございます。

まず、35ページに郵便料が世帯全体の消費支出に占める割合が0.1パーセントとありますけれども、そんなに多くはない、前の33ページのところでも僅少であるという表現がありましたけれども、消費者の中には高齢者など郵便に頼っている方もいらっしゃいます。高齢世帯につきましても0.15パーセントであるという御説明がありましたが、0.15パーセントだからよいだろうというのは少し配慮に欠けていると感じました。

本来は、値上げの前に事業や経営の見直しの徹底や消費者への丁寧な説明が必要と思いますけれども、消費者への説明などはどのような進め方を考えているのでしょうかということが1点。

2点目ですが、42ページの一番下に「郵便料金に関する算定要領について、次回の改定までに作成・公表」とございますが、38ページの収支の見直しのところの試算だと、郵便事業は2025年度は黒字化するけれども、翌年度からは赤字になるというような表だったと思います。次回の値上げ申請は近いうちに見込んでいるのかどうかということと、デジタル化も進む中で郵便事業単独で黒字化を考えること自体がもはや難しいように思いますけれども、算定要領の作成のポイントとか進め方など、お考えがございましたら教えてください。

3点目ですが、43ページの「諸外国の郵便料金の変遷」という資料を拝見しますと、いかにも料金上昇率を低く抑えて、110円は妥当だというように見えますけれども、これまでの日本の料金値上げ率を考えると、26円という値上げ幅は消費者としては大きいと感じてしまいます。郵便事業をユニバーサルサービスとして維持していくことは消費者としても重要だと思いますが、今回の資料だけではこの値上げ幅が妥当なのかどうか、正直判断がつきません。日本郵便や総務省として、この値上げ幅を妥当と判断した根拠を具体的に説明していただきたいと思います。

民間企業などでも、値上げを行う上では経営の合理化の取組などが前提となりますけれども、例えば役員報酬の見直し、管理職の整理、郵便局数の削減などは御検討されたのか、今回の資料からはうかがえなかったので、検討した要素につきましては消費者にも分かりやすく示してほしいと思います。

最後になりますが、再三申し上げますが、消費者が知らないうちに料金改定になっていたということがないように丁寧な説明と周知をお願いいたします。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、総務省様、よろしくお願いいたします。

○折笠郵便課長 ありがとうございます。

1点目の消費者への説明などということでございます。まず、総務省といたしましては、省令改正をする際にはしっかりと報道発表等もしていく形かなと思っているところでございまして、加えまして、日本郵便へ、令和5年度の事業計画の中でも制度変更のときなどにつきましては丁寧な説明をしてほしいということを求めているところでございまして、そういった考え方は引き続きしっかりと継続しながら、日本郵便におきましても具体的な料金改定につきまして適切な説明をしていただくようにということをしっかりお願いしてまいりたいと思っております。

2点目、次回に向けた算定要領の策定ということでございます。御指摘いただきましたように38ページでございますけれども、今想定している見通しのままですと、また令和8年度には赤字化することが想定されているところでございます。このため、まさに審議会におきましても要望いただいたところの2点が必要になるかなと思っております。1つは、制度も含めて今のやり方で郵便事業を維持することが本当に可能なのかどうか、どういう制度改正をやっていく必要があるのかということを考えなければいけないのと、日本郵便におきましても収益力の強化をしっかり図っていただかなければいけないということをやっていく必要があるかと思っております。

実際、策定要領をつくるに当たりましては、もし制度の見直しをすることになりますと、その制度を前提としまして策定要領をつくっていく必要がありますので、そこと連動しながらつくっていくことを今の時点では想定しているところでございます。

あとは、郵便のユニバーサルサービスの維持は必要だという一方で、今回妥当と判断した根拠はということでございます。これは繰り返しになるところもございますけれども、これまでに行ってきました費用効率化とか通数拡大の取組、あるいは日本郵便におけます賃金水準の状況とか価格転嫁等の状況なども含めまして、また、今後の収益の見通しにつきましては、郵便物数の見通しを妥当な考え方に基づいて算定していることでありますとか、それに基づいて収益の判断なども合理的にやられているといったことなど、もろもろ判断して今回妥当だと総務省としては考えたところでございます。

引き続き、消費者に対しても丁寧に分かりやすく示していくようにというお話もいただいておりますので、そこは継続しながらやっていきたいと思っております。

以上です。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございました。

郷野委員、重ねての御質問があればどうぞ。

○郷野委員 ありがとうございました。

最初の質問の家計に占める割合ですけれども、0.1パーセントとか0.15パーセントというのは平均した数字だと思うのですね。やはり世帯によっては郵便の比率が高い世帯もあるかと思いますので、特に福祉的な支援が必要な方では郵便料金の家計に占める割合が高いというお話も聞きますので、そこの部分につきましては説明のところでも構いませんので配慮があったらいいのかなと感じました。

以上で、大丈夫です。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

3点、かなり本質的な御質問だったかと思います。数字で捉えて配慮に欠けてしまうことが起こり得ますので、総務省様のほうでもまた御検討いただきたいということ。それから、算定要領で次回値上げがいつになるのでしょうかという心配を委員の方はされていますので、そこの見通しを明らかにしていただくように努めていただきたいと思います。

そうしましたら、小野委員、長田委員の順番で御質問に入ってください。

まず、小野委員からどうぞ。

○小野委員 小野でございます。

御説明をいただきましてありがとうございました。

郷野委員が先ほどおっしゃっておられましたけれども、私も家計への影響について、高齢者世帯などについて気になっておりまして、その対応ということで確認です。また、都市規模別でも確認をいただいたということで、ありがとうございました。その根拠についてよく分かりました。ただ、「僅少」という表現は工夫の余地があるかなと、事前に送信いただきました資料を見まして、そういった印象を受けました。

私からは確認を1つとコメントを1つさせていただきたいと思います。

まず、今回のパブリックコメントについては、定形郵便物(25g以下)の郵便料金の上限に関するものということでございまして、その賛否であるとか、その理由をお尋ねした、また寄せられたものと認識をしています。

資料の54ページ以降、右上にある「修正の有無」というのは「無」が多いわけですけれども、これは寄せられた内容を編集していないという意味でよかったでしょうか。確認までということでございます。

そして、コメントですが、寄せられたパブリックコメントを拝見しますと、一定の賛同が得られている。先ほどの御説明ですと6割程度賛同が得られているということでよく分かりましたけれども、一方で、一定総務省での政策検討、あるいは日本郵便株式会社の郵便サービスに関するものも含まれているということでございました。

今回は、郵便料金の在り方について、国民にとっては貴重な考える機会でございます。国民感情としましては率直な意見も表明されているものも見受けられますので、今後、説明を求められる機会に、ぜひこういったものを参考資料として反映をいただければありがたいなと思いまして、その活用を望みます。

以上でございます。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、総務省様、お答えください。

○折笠郵便課長 総務省、折笠でございます。ありがとうございます。

1点目の「僅少」という表現は、今後、表現の在り方を考えていきたいと思います。

2点目の御質問でございますけれども、ここの「修正の有無」のところはパブコメ自体の御意見を修正したという意味ではございませんで、省令案で84円を110円に改めるというものを何か修正したかというところでございます。そこは、今おっしゃっていただいたように賛成が全体の6割であるということなども含めまして、審議会のほうで御議論いただいて、原案どおりとなっているところでございます。

パブコメ自体は基本的に極力そのまま載せているところではあるのですけれども、一部個人名などが載っているものもありまして、そういうところは若干加工しているところでございます。

あわせて、実は3月7日の情報通信行政・郵政行政審議会の中でも、3点目におっしゃっていただきました利用者の方の意見もしっかり活用してほしいという御意見もございまして、実は2の(1)の中で関係者のところに利用者を含むという修正が審議会のところでなされまして、しっかりと利用者の意見も聞きながら今後の在り方について考えていく必要があると考えているところでございます。

以上です。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

小野委員、よろしいでしょうか。

○小野委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○野村座長 そうしましたら、長田委員、よろしくお願いいたします。

○長田委員 ありがとうございます。長田でございます。

ほとんど意見のようなことになってしまうわけですけれども、郵便事業というのは非常にコストがかかる事業だと私は思っています。ポストに郵便物が入っているかどうか分からないような地域でも、必ず一定の時間にポストへ郵便物の収集にいらっしゃるし、本当に高コストな地域においては配達にも非常にコストがかかるというのはよく分かっています。

今までの委員の皆様の御意見を伺っても、やはり郵便というのを非常に大切に思っている方たちも大勢いらっしゃることも事実ですし、これはなくしてはいけない事業で、きちんと保障していかなければいけない。ポストの数も、先ほど郷野委員から郵便局という言葉も出ましたけれども、郵便局もなくしてはいけない、その数は確保されていくべきという、ユニバーサルサービスとしての任務を担っているのが日本郵便さんのお仕事かなと思っています。

ビジネスとしての郵便物がどんどん減っているというのもまた現実だし、日本の人口も高齢化している中で、年賀状もおしまいにしますみたいな方々も非常に増えてきているという状況の中で、すごく厳しい状況に置かれていると思います。でも、守らなければいけない郵便事業を今後どうしていくかというのを考えるのは、やはり総務省の皆さんのお仕事かなと思います。

今、固定電話のユニバーサルサービスも同じような状況になっていて、検討の中ではNTTさんは全ての事業の中で、相互補助の中でそれを保障されているわけですけれども、郵便事業だけでユニバーサルサービスを提供していくというのは、もうこれから厳しいのではないかなという気もしていますので、日本郵政さんとしてどう責務を果たしていっていただけるかという視点も含めて、もし今後幅広な視点での検討をしていっていただけるのであれば、私は今回の値上げはやむを得ないなと思っています。今すぐ赤字を解消した上で、その間に次の施策を検討していただくことが重要ではないかと思っていますので、ぜひそれをお願いしたいと思っています。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

日本郵政に触れられましたが、日本郵便のことを指しておられるかと思います。

○長田委員 日本郵政全ての事業の中で相互補助をしていくということが、ゆうパックとかゆうちょもそうですけれども、全ての事業でということです。

○野村座長 了解いたしました。

ゆうちょ、かんぽも含めてということでございます。

それに関しまして、総務省様、あるいは日本郵便様、お答えをよろしくお願いいたします。

○折笠郵便課長 ありがとうございます。総務省、折笠でございます。

今おっしゃっていただきましたように、このままだと郵便サービスを維持していくのはなかなか難しい状況である一方で、やはり郵便サービス自体はなくしてはいけないものであるというのはまさにおっしゃるとおりでございまして、具体的な検討はまさにこれからという状況ではございますけれども、どういうやり方であれば郵便事業を今後もより安定的に提供していけるかというところをしっかり考えてまいりたいと思います。ありがとうございます。

○野村座長 日本郵便様、もし御発言あればお願いいたします。

○斎藤執行役員 ありがとうございます。

郵便局の数を減らしてはいけないというありがたいお言葉をいただきました。郵便局のネットワークは日本郵政グループにとっての貴重な経営資源でございまして、お客様に便利に使っていただけるよう、これからもサービスの多様化や質の向上を行いまして価値を高めてまいりたいと考えてございます。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

長田委員、いかがでしょうか。

○長田委員 ありがとうございます。

郵便局というのは、自分の町から金融機関が撤退しているところもいっぱいありますので、郵便局だけが例えば年金を受け取れるとか現金を下ろせるという地域もたくさんあると思っておりますので、そういう意味でもぜひ守っていっていただきたいと思うので、日本郵政さんは力を挙げて頑張っていただきたいと思っています。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。

内部相互補助のことが出ましたので、ここのところはかなりデリケートな問題ではあるのですが、外部に明らかにしていただくことも必要かなと思います。

それから、御説明の中で、信書の自由化ももう進められていると。それが2002年に法制度的に開始されて、参入者は全国レベルでは全く出てきていないということに触れられました。その時点から内部相互補助の問題も真剣に考えておかないといけなかったのかなというのが個人的な感想としてございます。総務省様、日本郵便様、日本郵政グループとしてどうしていくのかということを早急に考えていただきたいと思います。

そうしましたら、まだ御発言をいただいていない委員の先生方、いかがでしょうか。

城所委員、よろしくお願いいたします。

○城所委員 城所です。よろしくお願いいたします。

私からは、今まで出ていない論点を2つ出させていただきたいと思います。

1点目は、多くの委員の皆さんの御発言と関係するのですけれども、なぜはがきと封書を上げるのかという根拠が弱いのではないかと思います。消費者の方々がいまいち納得できないところがあるとすると、なぜ、はがきと封書を上げるのかというところだと思うのです。

多くの皆さんが御指摘なさっているように、赤字である以上は何とかしないといけない。赤字を解消するにはコストを削減するか収入を増やすかで、コストを削減するということは、今のサービス水準をどうするかとか、いろいろな問題が出てきます。ユニバーサルサービスの問題とかがありますけれども、それは取りあえず置いておくとして、収入を増やすうことだけを考えたとしても、なぜはがきと封書をこれだけ上げるのかという説明がないように思うのです。

例えば、郵便事業単独で収支を均衡しなければいけないのでというところも出てきましたけれども、仮にそうだとしても、実際、我々が郵便を出すときとゆうパックを出すときは窓口が同じなのですよね。どうやってその費用をきちっと分けているのかというところもあって、どうしてここを30パーセント上げなければいけないのかという説明がないので、なかなか難しいのではないかと思います。

もう一点ですけれども、これはお考えがいろいろあると思うのですが、郵便事業を維持しなければいけないというお話があって、内部相互補助の話も出ましたけれども、そこまでして郵便事業を維持しなければいけないかというのは別の論点としてあると思っていて、例えば、江戸時代は飛脚が郵便物を運んでいましたけれども、今、その飛脚を維持すると言ったら、何でそんなことを考えるのですかという話になると思います。

我々は今、情報は電子的に送れるというふうに人類が発展したわけですので、人類の技術水準を基に考えなくてはいけなくて、例えばユニバーサルサービスで固定電話を維持するという話がありましたけれども、それもいつかはなくなると思うのですね。皆さんが一人1台電話を持てるような時代になったときに、果たして固定電話が要るのかという話になっていくと思うのです。

なので、郵便というのが、過渡的には今使っている方が多いので重要というのは分かるのですけれども、将来にわたって維持するべきものなのかどうかというのは、なかなか単純には答えられない問題かなと思います。

郵便局のネットワークが重要だというのは、確かにそうなのですけれども、例えば私が住んでいたアメリカとかカナダですと、コンビニの中に郵便局が間借りをしたりしますし、過疎地にはコンビニがないではないかという話もあるかもしれませんが、そうしたら市役所の中で同じような業務をするとか、いろいろやり方はあると思うので、飛脚の話ではないですけれども、何が何でも今の郵便制度を維持するという前提で考えるのはどうかと思いました。

以上2点です。

○野村座長 ありがとうございます。

では、総務省様、お答えください。

○折笠郵便課長 まず1点目、なぜはがきと封書を上げるのかというところでございますけれども、通数のベースで申し上げますと、実は第一種と第二種を合わせると全体の約95パーセントを占めているということで、やはり収益の面におきましても非常に大きな割合を占めているということがあります。

実際に、例えば平成29年、30年のときについては、省令で定める上限の改定が必要ないはがきの料金改定だけを行って、それで収益の改善を図ったところですけれども、今回、全体として赤字が今後拡大していくというのが見込まれている中で、第一種、第二種といった全体の中で大宗を占める部分も含めて全体の料金の見直しをしなければいけないだろうということがありまして、今回、そこも含めた料金改定を検討しているところでございます。

もちろん、繰り返しになりますけれども、実際、総務省令で変えるのはあくまで定形25gの上限額のところだけでございまして、それ以外のところは日本郵便が届出等を出された段階で決まるものでございますが、そこまで含めた全体の見直しをしなければ郵便事業を維持していくのは現状は難しくなっているということがありまして、はがきや封書も含めた全体の検討を今回行ったところでございます。

また、2点目でございます。郵便事業自体の必要性ということで、おっしゃられたとおり、非常に難しい問題であると思っておりますが、パブコメの意見などを拝見しましても、郵便事業自体は必要だという御意見がほとんどであったと認識しているところでございまして、少なくとも現時点におきましては郵便事業をしっかり維持していくことを前提に考えていかなければいけないのかなと思っております。

その上で、例えばコンビニに郵便局が間借りしているような事例がアメリカでもあるというお話をいただいておりましたけれども、実は日本でも駅の中に郵便局が入っているような事例とか、逆に郵便局の中で市役所の業務を請け負って、その分手数料をいただくような新しいやり方もいろいろありますので、そういったものも含めて、どうやれば郵便局のネットワークや郵便事業を維持できるかということをしっかり考えていく必要があると思っているところです。ありがとうございます。

○野村座長 ありがとうございます。

城所委員、いかがでしょうか。

○城所委員 1点訂正ですけれども、コンビニに間借りをしているのはアメリカではなく、カナダでした。失礼しました。

○野村座長 ありがとうございます。

技術革新の進展に伴って業態がかなり融合化しているところもございますので、ますます内部相互補助の見える化を進めていかないと、利用者も納得できないということかと思います。

デジタル化が進んでいく一方で、「デジタルディバイド」という言葉もありますので、それに乗れないというよりは乗らないという方もおられるかもしれませんので、そこへの配慮も必要かなと感じました。

総務省さんはその辺りを丁寧に御説明いただくことと、それから、1つ前の長田委員の御質問にもありましたように、内部相互補助をグループとしてどうしていくのかというところもございますので、今回のアジェンダよりはさらには大きなテーマになっていきますが、関連する形で御説明をこれからもしていただくことは重要かと感じておりますので、意識していただければ幸いでございます。

そうしましたら、柿沼委員、よろしくお願いいたします。

○柿沼委員 柿沼です。

御説明、ありがとうございました。

値上げがずっとなかった料金ですので、適正な値上げであればやむを得ないと思いますが、しかしながら、料金を改定しても、1年少しで体力がもたずにすぐに料金改定になるということは問題と考えます。価格改定をするということを報道するだけではなく、今後の推移なども含めて丁寧に御説明をしてほしいと思います。物流各社がしのぎを削る中、公益的な事業という使命を持って一層の経営努力をしていただきたいと思っております。

スライドの17、窓口業務の人件費についてですけれども、窓口業務についてはずっと対応方法が変わっていないというところがあると思うのですね。ですので、大きな窓口などでは、人が対応しなくても重さや郵便の種類を自ら選択し、キャッシュレス決済での対応などの機械化も御検討いただきたいなと思いました。また、書留や速達のためにわざわざ窓口に行くということについても、少し消費者寄りに利便性の向上等をさらに検討していただきたいと思います。

しかしながら、全ての人がデジタルを容易に活用できるような社会にはまだなっていないので、特に地方では郵便局の存在はやはり地域をつなぐために貢献していることと思われます。収益を出すことの努力と、その分、全国一律料金での郵便は維持してほしいと思っています。

一つ質問ですけれども、最小限の値上げ幅というお話がありましたが、切手代金として消費者、利用者がいくらなら払えるのか、そのような調査はされたのか、こちらについてお伺いしたいと思います。よろしくお願いします。

○野村座長 ありがとうございます。

総務省様、お答えください。

○折笠郵便課長 ありがとうございます。総務省、折笠でございます。

消費者の方向けに切手代金ならいくら払えるかという調査は、今回の関係では特に実施しているところではございません。

そのほか、おっしゃっていただきました一層の経営努力とか利便性の向上などにつきましては、例えばキャッシュレス化も2020年以降やっておりまして、直近でも例えば口座振替払いを料金別納のときに追加するとか、順次サービス改善を図っているところでございまして、こちらは総務省としても引き続き日本郵便にしっかり求めてまいりたいと思っております。

以上です。ありがとうございます。

○野村座長 柿沼委員、いかがでしょう。

○柿沼委員 やはり、消費者が郵便料金についてどこまで許容できるかというのはとても大事な視点と私は思いますので、こちらについてはぜひ今後御検討いただければと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

郵便局の窓口業務は地方では特に価値が高いということでございますが、効率化していく上では局数を減らすこともあり得るかと思いますし、ジレンマに直面していますので、土曜の集配停止というのもございましたが、そこのジレンマをどう克服するかというのを利用者、国民にかなり丁寧にお示しいただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

それでは、長尾委員の質問に移らせていただきます。どうぞ。

○長尾委員 長尾でございます。

大変丁寧な御説明と詳細な資料をありがとうございました。

私からも何点か、質問とコメントを交えてお話しさせていただきます。

まず1点目、先ほど来ほかの委員からも御指摘がありましたが、30パーセント以上の大幅な値上げを予定している根拠について分かりにくいということ。これについて、値上げに至る収支悪化の要因分析が16ページにも記載されておりまして、令和3年までは黒字で推移していたのに令和4年になって突如赤字に転落したという、ある意味劇的な変化がありまして、その要因分析が簡潔には記載されている。それは、主に賃金上昇、燃料費高騰、物価高騰が原因であろう、それによって総計で102億円の経費上昇があったということはここに書いてあるのですが、それぞれの項目の変動の内訳がここからは読み取ることができませんし、要因が分からないことによって、今後の本当に必要な値上げ幅、あるいは値上げ後の収支状況の改善の予測、この出発点にあるべき要因の分析が精緻でないことによって予測も精緻ではなくなるのではないか、そういった疑問が出てきております。いずれにしても、令和4年にマイナスに推移した原因について、より精緻な分析を説明されると、私も含めてほかの国民にとっても分かりやすいのではないかと思います。

それから、2点目です。先ほど来ほかの委員も御懸念を示されていたと思いますが、値上げによって恐らく通数は減少するであろうと。そもそもの赤字になった原因も通数の減少であると。そうすると、値上げによってさらにまた通数の減少という、いたちごっこになるということですね。

需要減少についても、一定の予測をした上で今後の収支を予測しているという御説明もありました。その場合に使われた価格弾性値については、2019年の消費税改定時の値上げ幅をベースに予測されているという御説明もありました。

ただ、この点について、消費税改定に基づく値上げであれば国民の一定の理解があるところですが、純粋な値上げが行われた平成6年、1994年、つまり、1993年から1994年への値上げがある意味今回に近い純粋な値上げの時期でありますが、このときにこの値上げによってどのように通数に影響が与えられたのかということについて、今回の資料からは十分に読み取ることができませんでした。

14ページにおいても、平成5年から6年、93年から94年への推移が読み取れなかった、記載がなかったこともありまして、これが今後値上げをしたときに予測よりもはるかに通数が減少する、収支も当然さらに悪化した予測になるといったところもありますので、その辺りはどのように分析されたのか。もちろん余りにも過去の数値でありますので、デジタル化が進展した現況において平成6年は参考にならないという御説明もあるのかもしれませんが、この点について疑問がありました。

それから、3点目です。料金の適正性について、法律的な根拠として郵便法3条、もう一つ重要な要件としては67条2項3号というものも参照すべきと考えられます。67条2項3号においては幾つかの考慮要素が列挙されておりまして、この中でも例えば「軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性」という考慮要素がわざわざ挙げられているということですね。これはもちろん持続可能性という意味も含まれているのかもしれませんが、これは私見かもしれませんが、信書の送達サービスと料金が適正に均衡していること、バランスが取れていることとか、あるいは料金の改定が信書の送達あるいは郵便、手紙といった文化的なものに与える影響とか、社会的な影響とか、そういったものも適正に読み込むべきであろうというのが、わざわざ3条以外にも67条2項3号にこのような考慮要素があることの意味かなと、法律家としてそのような私見を持ったところです。

そうしますと、直近で2021年10月から土曜日の送達をなくした、土曜休配が行われるようになり、これによって、私は弁護士業として非常によく郵便を使うものですから、その影響を肌で感じるのです。従前は、木曜に発送したものが金曜には到達しました。これが、現在は木曜に発送したものが月曜日に到達するということで、4日程度の誤差が起きてしまっている。大幅にサービスの内容が悪化するほうに影響があった。サービスは大幅に低下しつつ、それに直近する時期に料金が大幅に値上げされるということで、なかなか理解を得にくいところがある。

これは、先ほども申し上げた「軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性」として十分に読み込まれているのか、サービスの質という点ですね。利便性という言葉は先ほどからありましたが、そういったところが料金とバランスが取れているかということの考慮が十分かなという疑問があります。

それから、67条2項3号には国民の負担能力という考慮要素もございますけれども、これについて先ほど郷野委員とか小野委員からも、35ページの世帯に占める郵便料金の割合という資料についての御質問がありました。

これは、先ほどの両委員からもほかの委員からも御指摘があったように、外出が容易でない高齢者においては非常にたくさん郵便を使う、これは全くそのとおりで、私も成年後見人という業務をたくさん行う中でそのように実感をしているところです。

それから、福祉的な面から見ると、認知症高齢者は2025年には600万人に達すると言われていますが、このような方たちは何度も重要な書類を紛失し、再発行し、再交付を受けるということで、これを郵便で行っていくことが非常に多い。そうすると、実感されている平均的な世帯よりは3倍近い郵便料金がかかっているのではないか。これは私の認識です。そういったところも踏まえて、負担増はそんなに軽微なものではないというのは私からもコメントをさせていただきます。

それから、郵便を多数用いる私のような事業者は、書類の送付が自分の業務の非常に重要なところです。これについては、定形郵便の値上げは経費の増額として重くのしかかります。国民の負担能力というところにこういったものも十分読み込まれているのかということを疑問として挙げさせていただきました。

長くなりましてすみません。以上となります。

○野村座長 ありがとうございます。

3点ほどあったかと思いますので、総務省様、お答えください。

○折笠郵便課長 ありがとうございます。総務省、折笠でございます。

まず1点目の令和4年度の赤字の精緻な分析についてということで、資料のスペースの関係もありまして全部が全部書けているわけではないのはおっしゃるとおりかと思います。

その上で、追加的に紹介させていただきますと、例えば特別一時金による人件費の増の影響額が129億円でありましたとか、水道光熱費等の物価上昇による増分が55億円でありましたとか、業務効率化等により人件費の減が82億円であったなどの一定の分析をしているところでございますが、今後、制度や在り方を検討するに当たりましては、しっかりとその辺りも考えていくようにしたいと思います。

それから、2点目でございます。これは、平成6年のときの価格弾性値みたいなところを考えたのかという御指摘でございまして、まさにおっしゃっていただいたように、実は6年のときの弾性値というのも、資料上は載っていないのですけれども見たのですが、やはり30年前ということもありまして、デジタル化の状況が今とは段違いである。まさにおっしゃっていただいたとおりなのです。

そういうこともありまして、なるべく直近の数値を採用しようということで、はがきにつきましては平成29年、30年という直近のものがあったので、そちらを採用したのですが、定形郵便物等につきましては、直近のものというと消費税増分のものしかなく、それを採用したというのが実際のところでございます。

その上で、最後の3点目、郵便法67条2項3号の考慮要素を考えたのかというところでございます。先ほどお話の中にもありましたけれども、例えば物価であるとか、あるいは負担能力、説明が足りないところはあるのかと思いますけれども、消費支出に占める郵便料金の割合を見たというのはまさにそういうところでございます。

また、軽量の信書の送達の役務が果たす役割の重要性という意味で申し上げますと、定形25gの郵便物がほかの郵便物に比べますとより安いものになっているといった辺りは、67条2項3号があることでそういうことになっているのかなと思っているところでございます。

サービスの低下のところにつきましては、物数が減っていく中で、その一方で人件費という固定費のところを人を減らす形で下げていくというのはなかなか難しい中で、どういうやり方であれば、そういったコストを削減しつつも一定のサービスを維持できるかという検討を当時も行いまして、その結果としてやっているところでございますけれども、やはり料金が上がる一方でサービスが低下することに納得がいかない人が多いという御意見はまさにそのとおりだと思いますので、そこはしっかりとサービスの向上にもつながるような取組を我々としても日本郵便に対してお願いしていきたいと思っているところでございます。

以上です。ありがとうございます。

○野村座長 長尾委員、いかがでしょうか。

○長尾委員 丁寧に御説明いただきまして、ありがとうございました。

そうすると、御質問させていただいたようなところは、恐らく国民一般あるいはパブリックコメントにおいても私に近い疑問があったのかなと思いますので、資料化されていないところも含めて丁寧な説明が求められるのではないかという印象を持っております。ありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、総務省様、要因分析の情報を分かりやすく利用者に示していただくことが重要な点でございますので、今後もそこを御努力いただきたいと思います。よろしくお願いします。

そうしましたら、まだ御発言をいただいていない若林委員からお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。

私の意見も、皆様のこれまでの御意見と問題意識等はおおむね共通しておりますが、3点コメントないしは質問をさせていただきたいと思います。

まず1点目は、通し番号36ページ、今出していただいているものですけれども、25g以下の郵便が31パーセントという、パーセントでいうと非常に大きな値上げになります。これは、そこにも書かれているように、50g以下の郵便物と同じ値段になるということを前提として試算されているのかなと思います。確かに、これはどちらに該当するのだということを一々考えなくていいという意味ではサービス改善ではあるかと思いますけれども、常に複数枚送っているような事業者ユーザーとは違って、消費者のユーザーとしてはいつも25gを超えるような、あるいは超えるかどうか悩むような郵便を送っているかというと、ちょっと疑問かなと思います。

もしかすると、50gとの差をつけておけば、もう少しこれは低く済んだのかなとも思って、そうだとすると、郵便に頼っている消費者ユーザーにとってこれはいいことなのだろうかというのが悩ましいなと思っています。その場合、仮に、価格引き上げのデメリットをサービスの改善のメリットが上回るのだということであれば、そういう説明もしていただきたいなと思っています。これが1点目です。

2点目は、幾つか不明なところがあると考えております。例えば、通し番号の19ページに人件費単価の推移を示していただいたところですけれども、【正社員の平均賃金の推移】というところを見ると、大企業と比べているということになるかと思うのです。例えば、全体の平均と比べたらどうか、中小事業者と比べたらどうか、あるいは同じような物流と比べたらどうかみたいな情報がないと、なかなか納得感が得られないように思います。

同様に、通し番号29ページの「営業費用削減のための取組」ということですけれども、例えば項目7番の「物数減に伴う書状区分機台数が減ることによる保守費の減」というのが取組と言えるのかという辺りは、逆に8番は区分機を増備しているということで、同じように考えると、これによって保守費は増えますよねということもあって、この辺の資料の説得力というか、なかなか難しいなと思いながらお聞きしたところです。

先ほどの御説明をお聞きすると、もちろん料金の適正性の確保というところで不当な便乗値上げになっているということは言えないと思いますし、賃上げも適正に見込まれているということは言えると思うのですけれども、適切な料金が算出されているか、皆様もそのような問題意識をお持ちだったと思いますけれども、適切な料金が算出されているかというところで、厳密にそうだなというような納得感というのでしょうか、それがなかなか難しいかなと思っています。

それは、今の御説明で、42ページ、今後、算定要領等について御考慮いただけるということですので、今後はもう少し厳密な算定がされるのかなと思っておりますけれども、今回も可能な限りの厳密さと御説明をお願いしたいというのが2点目です。

3点目ですけれども、これも皆さんおっしゃっているように、郵便事業というのがデジタル化を考えるとサステーナブルではないというのは自明のことで、他方で、どうしても郵便でないと駄目だというサービスも今のところ存在するということになりますので、ぜひ長期間を見据えたサステーナブルな制度を早急に御検討いただきたいと思っております。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、総務省様、お答えください。

○折笠郵便課長 総務省、折笠でございます。

まず、2点目、3点目のところからお答えさせていただきます。資料として十分に納得が得られないところがあるのではないかという御指摘をいただいたところでございます。人件費単価のところにつきましても、日本郵便の規模が17.6万人の社員がいるということで、大企業との比較のみ今回示していたところでございますけれども、今後、説明をしていくに当たりましては、より納得感が得られるような資料としてどういう情報が必要かというところはしっかり考えていきたいと思っております。

また、今おっしゃっていただきましたように、今後算定要領をつくっていく中におきましては、例えばコストであればこういう要素を見ていくということを算定要領の中でも示していくことによりまして、より透明性が高くて国民の方に納得いただけるようなやり方を模索していきたいと思います。

3点目におっしゃっていただきました今後の検討という中で、郵便として維持すべきものは何なのかみたいな議論もやはり範疇に入ってくるかと思いますけれども、いろいろな方の意見を聞きながら、まさにこれからの話なので確定的なところは何も申し上げられないのですけれども、どうやれば郵便事業を安定的にこれからも維持していけるかというところをしっかり考えていくようにしたいと思います。

私からは以上です。ありがとうございます。

○斎藤執行役員 日本郵便でございます。

1点目の25g以下と50g以下の料金差のお話でございますけれども、御理解いただいているように、25g近辺でどちらの料金にしたほうがいいのか迷うという一般のお客様の声を伺っておりまして、それに対して今回サービスを改善したいというのが趣旨でございます。

50gのほうを上げておけば、25gのほうを抑制できるのではないかという御意見もございましたけれども、定形郵便物の中で大宗を占めますのは25gの重量帯のものでございますので、本来50gのほうも併せて30パーセント引き上げさせていただくほうが妥当かとは思っておりましたけれども、そこは改定率を抑制して25gのほうに料金を合わせたということですので、御理解をいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

若林委員、いかがでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございます。

現状に満足している消費者はなかなかクレームという形では言ってこないと思いますので、その辺のサービスの向上についての検討というときには、現状に満足している消費者の意見等も参考にしていただきたいと思います。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

平成6年の純粋な値上げ以降、デジタル化が一気に進んだということもあるかと思うのですが、長期的な視点からサステーナブルな事業としてどうしていくのかということはお考えいただきたいと思います。

そうしましたら、城所委員、時間が押していますが、端的に手短にお願いしたいと思います。

○城所委員 先ほどの質問で1点お答えいただけていないことに気づいたので、再度質問させていただきます。

ゆうパックと郵便というのは同じ窓口を使っている一つの例なのですが、そうすると、郵便事業と非郵便事業の費用の割り振りはどうなさっているのでしょうか。

以上です。

○野村座長 ありがとうございます。私がきっちりと確認できていなかったということで、失礼いたしました。

そうしましたら、総務省様、今の質問に再度お願いいたします。

○折笠郵便課長 お答えが漏れておりまして大変失礼いたしました。

ゆうパックと郵便はおっしゃるとおり同じ窓口で受けておりますし、輸送につきましても共通する部分があるのはまさにおっしゃるとおりでございます。

その一方で、実は郵便事業の収支につきましては毎年度公表することが義務づけられておりまして、その際には、郵便事業と郵便以外のゆうパックのような、荷物事業と呼んでおりますけれども、それらの事業につきましては、要するコストをABC計算、活動基準原価計算方式によりまして、それぞれに賦課等をしまして、分配をして、郵便に要する費用の部分と荷物等に要する費用の部分を切り分けて算定しております。

今回の値上げの検討に当たりまして使っている資料も、同じ考え方に基づきまして郵便事業に要する費用を切り分けて営業費用ということで計上している形になっているところでございます。

○野村座長 ありがとうございます。

城所委員、いかがでしょう。

○城所委員 それで結構ですけれども、そうすると少しは恣意性が入るということでよろしいのでしょうか。

○囲担当部長 日本郵便の経営企画部の囲と申します。

先ほど折笠課長から御説明ございました郵便事業収支の費用の配賦でございますけれども、それにつきましては郵便法の省令で配賦方法を規定してございまして、その配賦方法に従って郵便と荷物事業に配賦をしております。

その配賦の基準は、例えば郵便の物数と荷物の物数の比率であるとか、会社側の恣意的なものが入らないような規定になってございますので、委員御指摘にありますような恣意性は排除されているものと理解してございます。

日本郵便からは以上でございます。

○折笠郵便課長 併せて補足させていただきますと、毎年7月に郵便事業の収支を公表する際には、どういう算定を受けたかというところを総務省の側におきましても日本郵便にヒアリング等をしながら精査しているところでございまして、基本的に適正な形で行われていると承知しているところでございます。

○野村座長 ありがとうございました。

城所委員、よろしいでしょうか。

○城所委員 ありがとうございました。よく分かりました。

○野村座長 かなり細かいところまで論点が入り込みましたが、やはり国民に分かりやすくそれをお示しいただきたいと思います。どの省令で、どのような配賦基準があるのか。例えば日本郵便が自社で集配している部分、委託している部分、それから、どういう集配手段を使っているのか、恐らくバイク、トラックということになるかと思いますが、その辺りで燃料費とどう影響があるのかというようなところもお示しいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。

そうしましたら、本日、御欠席の太田委員からも事前に質問がございますので、友行参事官のほうから御紹介いただけるでしょうか。

○友行参事官 お手元の資料で資料4といたしまして、本日御欠席の太田委員提出資料ということにしております。

資料は量が多くなっておりますので、本日ここで全部読み上げることはしないということにしたいと思いますが、幾つかについては、総務省もしくは日本郵便の方から御回答いただけるものについてはお願いしたいと思っております。

まず、資料の2ページ目でございますけれども、表題としては1.3といたしまして、「郵便物数の価格弾力性はどのぐらいか」というところから始まっている部分でございます。

ここの一番下の段落のところでございますが、「説明資料によれば」とございます。「今般の110円への値上げでは令和7年度に営業黒字が達成されると予想されているものの、令和8年度以降は再び赤字に沈む。そのままでは郵便事業が持続可能でないので、近い将来、再び値上げが必要とされよう。次回以降の値上げを、いつ、いくらの幅で行い、その結果として郵便物数と営業損益がどうなると予想しているのか、消費者にわかりやすく示す必要があるのではないか」という御指摘でございます。

それから、3ページ目に参りまして1.6でございます。「サービス水準はどこまで下げることができるのか」という表題がついているところでございます。本日の議論にも少しございましたが、2つ目の段落のところで、「営業時間の短縮、土曜日配達の中止、到着までの日数の1日増加などのサービス水準を切り下げることで営業費用を抑制する努力がなされている」というところでございます。最後の行でございますけれども、下から2つ目の行で、「消費者の納得感が得られるかたちで、どこまでサービス水準を落とすかについてコンセンサスを形成する必要がある」というような御指摘でございます。

それから、その次の1.7、全国一律料金についての御指摘でございます。一番下の行でございますが、「全国一律料金を掲げる現在の仕組みのメリット・デメリットをきちんと評価する必要があろう」という御指摘もいただいております。

それから、3ページ目の下のところから4ページ目の頭にかかるところでございます。「郵便サービスの種類ごとにコスト・ビヘイビアは把握されているか」というところでございます。3ページ目の下のところから、「コストの増減を決める活動ごとにどれだけの単位コストがかかり、あるサービスを提供するのにどの活動をどれだけ使わないといけないのかがわかれば、正確なコスト・ビヘイビアがわかっているといえる。サービスの種類ごとに正確なコスト・ビヘイビアがわかることは、適正な価格を設定する上で重要な前提である。これがわかる資料がほしい」という御意見でございます。

最後になりますが、4ページの2.1のところでございます。「株式市場にとって予見可能性ある透明な上限価格設定」という御指摘でございます。2つ目の段落のところでございますけれども、下のほうの文章に行きまして、「予見可能性ある透明な上限価格設定プロセスが望まれるところである」という御意見でございます。

今申し上げたところにつきまして、御回答いただける部分があればお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

予定していた時間になりましたが、5分だけ延長させてください。

総務省様、日本郵便様、お答えいただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○折笠郵便課長 ありがとうございます。手短に申し上げます。

太田委員からいただきましたコメントの前半部分につきましては、まさに今後、郵便事業の安定的な提供を確保するための方策について検討する際の、考えるべきポイントを御指摘いただいたものと理解しているところでございます。

先ほどの説明でも申し上げましたように、情郵審の答申を受けまして、今後、利用者や関係者、有識者の意見なども伺いながら検討を始めていくものでございまして、まだ具体的な論点などが決まっているわけではございませんし、1.3にありましたように、いつ値上げをするかというところも、制度や今後の日本郵便の収益拡大の取組によって変わってくるものかと思いますので、今の時点で確定的にいつというところは申し上げられるものではないのですけれども、しっかりと議論の中身を外向けにも発信しながら議論を進めていくということはやってまいりたいと思っております。

後段のほうにつきましては、上限価格設定プロセスの予見可能性を向上するための算定要領みたいなものをつくる際の御指摘と受け止めておりまして、まさに予見可能性のある透明なプロセスをつくるということで、次回の改定までに制度改正の状況も踏まえながら、算定要領の策定を総務省としてしっかりやっていきたいと思っているところでございます。

○斎藤執行役員 3ページ目にありました「郵便サービスの種類ごとにコスト・ビヘイビアは把握されているか」ということにつきましては、先ほど城所委員にも御説明申し上げたとおりでございまして、法令にのっとって郵便事業における営業収益と営業費用を整理しておりまして、その費用の整理におきましては、ABC、活動基準原価計算を用いております。

その結果につきましては、22年度のものは種類別の収支を公表しておりますので、必要に応じて改めてお送りしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、一通り委員の先生方、皆様御発言いただいたと思うのですが、もし追加でという御意見がございましたらどうぞ。よろしいでしょうか。

ありがとうございます。

私から、それぞれの質問が出たところでコメントさせていただきました。

最終的には、最後にも触れられています42ページの算定要領を今後明確にしていくということで、ここが一番重要なポイントになるかと思います。分かりやすく細分化して、日本郵便さん、あるいは日本郵政グループさんの内部相互補助も含めてお示しいただくことをお願いしたいと思います。

それから、資料3の後段の半分、かなりたくさんのパブリックコメントをいただきました。いろいろなパブリックコメントを私も見てまいりましたが、161通という数で非常にインパクトがありました。ほぼほぼ目を通させていただきました。

最初の御説明で、20パーセントは無関係である、25g以下という、こことは直接関係がないという御指摘でしたが、解釈によっては内部相互補助のことも含めると実は関連してくるところもございますので、その辺りも含めて今後御配慮いただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。

本日は、委員の先生方の御意見を踏まえて、消費者庁からの付議にどのように意見を述べていくかということは引き続き専門調査会で検討していきたいと思っております。まだ委員の先生方には御協力を求めますが、よろしくお願いいたします。

≪3.閉 会≫

○野村座長 最後に、事務局から事務連絡をお願いいたします。

○友行参事官 長時間にわたりまして御議論いただきまして、誠にありがとうございました。

次回の日程などにつきましては、改めて事務局より御連絡させていただきます。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、本日の第80回「公共料金等専門調査会」をこれにて閉会させていただきます。

お忙しいところをお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。

総務省様、日本郵便様、御協力いただきありがとうございました。失礼いたします。

(以上)