第79回 公共料金等専門調査会 議事録

日時

2023年11月13日(月)15:00~17:00

場所

消費者委員会会議室・テレビ会議

出席者

【専門委員】
野村座長、若林座長代理、太田委員、城所委員、郷野委員、後藤委員、長尾委員
【消費者委員会担当委員】
小野委員
【電力・ガス取引監視等委員会事務局】
ネットワーク事業監視課 鍋島課長
取引監視課 下津課長
【消費者庁】
浪越参事官(公益通報・協働担当)
【事務局】
小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 開会・事務連絡
    (野村座長御挨拶、座長代理指名・座長代理御挨拶・委員自己紹介)
  2. 託送料金制度(レベニューキャップ制度・発電側課金の導入等)について
  3. 閉会

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

≪1.開会・事務連絡≫

○友行参事官 本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます

ただいまから、消費者委員会第79回「公共料金等専門調査会」を開催いたします。

今回は、第8次消費者委員会として初めての会合となります。

御出席の状況を御説明いたします。

まず、会議室にて、郷野専門委員が御出席されております。野村専門委員をはじめとするその他の専門委員の皆様は、ウェブ会議システムにて御出席されております。担当委員として、小野委員にウェブ会議システムにて御出席いただいております。担当委員のもう一人でいらっしゃいます柿沼委員は、御欠席でございます。

また、電力・ガス取引監視等委員会事務局の鍋島ネットワーク事業監視課長及び下津取引監視課長が、御説明のため、会議室にて御出席でございます。オブザーバーとして、消費者庁の浪越参事官にも御出席いただいております。

ウェブ会議による開催に当たりまして、御発言時以外はマイクをミュートにしていただくことや、御発言の際は、あらかじめチャットでお知らせいただき、座長からの指名の後、冒頭にお名前をおっしゃっていただくことなどをお願い申し上げます。カメラについては、可能な範囲でオンにしていただければと思います。

一般傍聴者には、オンラインにて傍聴いただいております。報道関係者のみ、会場に御参加いただいております。

議事録については、後日、公開することといたします。

構成員につきましては、先ほど御紹介いたしましたが、お手元に配付しております資料1のとおりでございます。

座長につきましては、鹿野委員長から、第7次に引き続きまして、野村専門委員に務めていただくように指名されております。野村専門委員におかれましては、どうぞよろしくお願い申し上げます。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

それでは、野村座長、以降の議事進行をよろしくお願い申し上げます。

○野村座長 承知しました。

このたび、公共料金等専門調査会の座長を務めることになりました、福山大学経済学部の野村でございます。よろしくお願いいたします。

私の専門分野は、経済政策の中の産業政策で、特に規制経済学を専門としております。これまで、イギリスを中心としながら、公益事業の改革に焦点を絞った研究を進めてまいりました。1980年代のサッチャー政権の改革がとりわけ現在の公益事業改革につながっているわけでございますが、その辺りから、年数だけは長く、エネルギー、交通部門に関しての実態分析を中心に進めてまいりました。昨年、一昨年、我が国は、石油危機以来の燃料高騰、それに伴う消費者物価上昇、コロナの影響によるサプライチェーンの機能不全、ウクライナ問題による燃料費高騰等によって、非常に多大な影響を被っております。この第8次の2年間、どのような問題がここで議論されるかはまだ確定しておりませんが、出てくるいろいろな分野は、恐らく、鉄道、郵便、タクシー等々が含まれてくるかと思いますが、真摯にここで議論して、消費者の物価抑制につながるような施策を編み出していきたいと考えておりますので、御協力のほどよろしくお願いいたします。

さて、座長代理につきましては、設置運営規程第2条第4項により、座長が指名することになっております。

座長代理は、前期に引き続きまして、若林専門委員にお願いしたいと考えております。どうかよろしくお願いいたします。

まず、座長代理から、一言、御挨拶をいただきたいと思います。その後、全メンバーから御挨拶をいただきたいと思います。

若林委員、よろしくお願いいたします。

○若林座長代理 ありがとうございます。ただいま御紹介いただきました、駒澤大学の若林と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私の専門は、経済法でございます。いろいろと関心対象はございますが、この専門調査会との関連では、公益事業分野における規制と競争の在り方について、関心があり、研究対象の一つとしてまいりました。

座長もおっしゃいましたけれども、物価の上昇が社会的にも取り上げられることの多い昨今、本専門調査会の意義もますます大きくなっていると理解しております。設置法が規定します消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会の実現に向けて、充実した議論ができますよう、微力ながら頑張ってまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

引き続き、今期の調査会に専門委員として参加される委員の皆様を御紹介したいと思います。

前期より引き続きお願いしております後藤専門委員、新たに公共料金等専門調査会に御就任いただきました太田専門委員、城所専門委員、長尾専門委員、消費者委員会からオブザーバーとして御参加いただきます小野委員、今後ともよろしくお願いいたします。

そうしましたら、太田委員から、御挨拶のほどよろしくお願いいたします。

○太田委員 慶應義塾大学ビジネス・スクールの太田と申します。よろしくお願いいたします。

専門は会計学でありまして、研究は普通に経済学の理論モデルを使って分析しておりますが、実務サイド、行政サイドで関わったものとしては、会計検査院の特別研究官として防衛装備品の調達と主として原価計算の話をしたものと、こちらの消費者委員会さんでは、震災後の電力料金の値上げのときの原価計算の話と電力託送料金についてもう少し効率化できないかという話で、2回、お世話になっておりまして、今回が3度目であります。ほかでは、防衛調達に関わっておりまして、市場価格のない防衛装備品の原価・適正価格をどう計算したらいいかということを、納入業者のインセンティブや情報の非対称性、そんなことを気にしながら契約をどう工夫するかという議論をお手伝いさせていただいております。

よろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

続きまして、城所委員、お願いいたします。

○城所委員 政策研究大学院大学の城所と申します。よろしくお願いいたします。

私の専門は、応用ミクロ経済学でして、規制産業の分析、交通産業、あとは政策評価全般をやっておりまして、大学では費用便益分析という政策評価の事業を担当しております。

消費者庁との関わりということなのですが、実は消費者庁でお仕事をさせていただくのは初めての機会なので、まだいろいろと慣れないことはあるかと思うのですが、皆様、どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。

続きまして、後藤専門委員、お願いいたします。

○後藤委員 東京工業大学の後藤と申します。前期に引き続き、専門委員を拝命いたしました。

専門は、経済学で、電力など公益事業の生産性分析や費用構造分析など、主に定量的な実証分析を行っております。また、規制緩和、自由化、また、環境への取組が企業の生産性や財務に与える影響について、研究してきております。

本専門調査会での議論を通じて、消費者の皆様、社会のお役に立てればと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございます。

そうしましたら、長尾専門委員から、お願いいたします。

○長尾委員 池田山総合法律事務所の弁護士の長尾愛女でございます。

私は、弁護士の実務では民事法全般の案件を担当しておりますが、若林委員と同じく、経済法の研究者としての活動もしております。それと、日弁連、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会の独禁法部会に所属しておりまして、日弁連では、今年度、電力規制料金の値上げ審査に関して、適正な電力供給・電力価格の実現に向けた競争環境の整備の点に関して意見書を発出しておりまして、この意見書発出などにも関わらせていただいております。日弁連でも、電力については、消費者の利益に直結することから、競争政策的な観点や事業法上の観点、民事法的な約款規制、さらには持続可能性といった観点からも非常に関心を高く持っております。

こちらの調査会は非常に専門性が高く、勉強することばかりなのですが、一生懸命追いついていきたいと思いますので、専門分野の点からなるべく貢献できるように努めてまいりたいと思います。よろしくお願い申し上げます。

○野村座長 ありがとうございます。

最後になりましたが、小野委員から、よろしくお願いいたします。

○小野委員 東京家政学院大学の小野でございます。

私の専門は、消費者教育です。どちらかといいますと、支援の必要な消費者にどのように教育を届けていくか、特別支援学校の生徒などに向けての教材の作成などに注力をしているところでございます。

本調査会の担当委員として、微力ではございますけれども、調査審議に参加をしてまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 皆様、どうもありがとうございました。

○友行参事官 野村先生、失礼いたします。

会場に郷野委員も御参加されていますので、郷野委員からも、一言、お願いいたします。

○郷野委員 全国消費者団体連絡会の郷野と申します。この5月より、事務局長に就任いたしました。

全国消団連は、1956年に設立された消費者団体の全国的な連絡組織です。消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的として活動しております。

本調査会におきましては、消費者の立場から議論に参加できるよう尽力してまいりたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○野村座長 ありがとうございました。画面にとらわれて、申し訳ございませんでした。

そうしましたら、本日の進行に入ってまいりますが、万が一私の回線が切れてしまった場合には、復旧するまでの間、座長代理に、座長代理の回線も併せて切れてしまった場合には事務局に、進行をお願いしたいと思います。

≪2.託送料金制度(レベニューキャップ制度・発電側課金の導入等)について≫

○野村座長 それでは、本日の議題に入らせていただきます。

テーマは、託送料金制度についてということでございます。託送料金制度については、本年4月からレベニューキャップ制度が始まっており、同制度の第1規制期間が2023年度から2027年度ということで既に始まっております。収入見通しは既に決定されているところです。専門調査会においても、昨年11月にこの制度に対する意見を発出しております。

今般、来年、2024年4月から発電側課金の導入が予定されており、託送料金を見直すこととされております。これに合わせて、託送供給に関わる収入計画と実績の乖離が顕著な事項について、事業者から収入見通しの変更申請が出され、電力・ガス取引監視等委員会料金制度専門会合において、審査が行われているところでございます。

本日は、発電側課金制度の導入と託送料金に係る収入の見通しの変更承認の審査状況について、電力・ガス取引監視等委員会事務局から、御説明いただきたいと思っております。

本日お越しいただいております、電力・ガス取引監視等委員会事務局の鍋島ネットワーク事業監視課長及び下津取引監視課長にお願いしたいと思います。

御多忙のところ、御協力いただきまして、ありがとうございます。御説明の時間はおよそ45分程度としておりますので、御協力いただければと思います。よろしくお願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 承知いたしました。

私、御紹介いただきました電力・ガス取引監視等委員会のネットワーク事業監視課長を務めております、鍋島と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

お手元の資料2を使いまして、御説明いたします。

まず、2ページ目、本日の発表の構成です。最初に、制度の概要を申し上げまして、二つ目に、期中調整について御説明します。その後、発電側課金の制度について御説明しまして、簡単に今後のスケジュールについて触れたいと思います。全体で45分を想定しております。最初に、制度の概要について、御説明します。

3ページ目を御覧ください。今回「託送料金」と申しておりますものは電力の託送料金でして、いわゆる電気料金の内数に含まれるものです。電気の流れとしては、発電、その発電された電気を都市部などに送っていく、電気を届けるということで、送配電網を通って需要家に伝わっていきますが、託送料金は、この送配電網の保守・運用、需給調整などに充てられる費用であります。全体の電気代の3割程度を占めるものになっております。1点、下にオレンジ色で書いておりますけれども、この託送料金には、自由化以前に建設した原子力発電所を将来廃炉するための費用、また、そうした原子力損害賠償の積立金も政策的に含めることになっておりまして、全体の1-2%ではありますけれども、これが含まれていることになっております。

続きまして、4ページ目です。託送料金の決定方法でありますが、野村座長からも御紹介がありましたけれども、2023年度、つまり本年度から、レベニューキャップ制度という新制度が始まっております。レベニューキャップ制度においては、各一般送配電事業者が、(1)規制期間、2027年度までですけれども、5年間の収入の見通しを申請し、経産大臣が承認をする、その上で、(2)収入の見通しの範囲内で託送料金単価を設定し、申請し、経産大臣が認可するというものです。ですから、5年間、どれぐらいのコストがかかるか、あらかじめ見積もっていただいて、その範囲の中であれば、料金単価はある程度自由につくっていただいても構わないという制度になっております。この認可や承認は経産大臣が行いますが、その過程において電力・ガス取引監視等委員会に意見聴取を行うことになっております。

5ページ目を御覧いただければと思います。レベニューキャップ制度について、もう少し詳しく説明しております。先ほど5年間に必要な費用を算定すると申し上げましたけれども、まず、やり方としましては、図の左上を御覧いただければと思いますが、事業計画を策定していただきます。5年間に、こういう鉄塔を造っていくとか、このように整備をしていくとか、まず、そういう計画をつくっていただいて、それに必要なコストを割り出します。それを私たちは「収入の見通し」あるいは「収入上限」と呼んでおります。この収入上限の範囲内で単価を設定し、5年間の事業を行っていただいて、その5年間が終わった後、事後に評価を行います。収入上限を超えて収入を得ていないかなどのことも確認しますし、この際に、上の青い枠の中の二つ目にも書いてありますけれども、仮に一般送配電事業者が経営効率化を行った結果として実績費用が下回る場合には、そこで上がった利益の半分を需要家に還元し値下げに使う、もう半分は自分の会社の利益としていいという制度にして、効率化のインセンティブを与えております。

6ページ目は、4月から始まっているこの第1規制期間の収入の見通しを、昨年の秋から冬にかけて検証した際の検証の方法についてです。それぞれ費目が省令などで決まっておりまして、その費目ごとに監視等委員会として最適だと考える方法で査定を行っております。個別査定を行うものもありますし、この審査においては、10社から同時に申請が上がってきますので、その10社の横比較を行って、トップランナーに近い会社の水準に合わせるという形で、コストが余計にかかっている会社の費用を減額査定するといったことも行っております。

7ページですが、検証を行うに当たって重視した事項を書いております。再エネの主力電源化に向けた投資量を確保していくこと、デジタル化といった送配電ネットワークの高度化に向けた取組を支援していくこと、電力の安定供給に向けた対応費用をきちんと手当をすること、コストの徹底的な効率化を図って厳しく査定をすることを、検証に当たって重視いたしました。

続きまして、8ページが、昨年の秋から冬にかけて検証した内容です。当初、各一般送配電事業者からは、一番上の青い枠の中に書いておりますけれども、最初に提出された資料では、それまでの2022年度までの原価比で6.5%値上がりするという申請が出てきておりました。いろいろと検証を行いまして、これを3分の1ぐらい圧縮しまして、結局、4.5%程度の上昇でよしとしたところであります。下を見ていただきますと、会社によって違いがあります。値上がり率が小さいところでいえば、一番下の行ですけれども、東京電力パワーグリッドなどは+1.3%、沖縄電力は+29.1%など、値上がり率に大きな違いが出てきております。これは、その前に料金改定をした時期が遠く離れているような沖縄電力あるいは北陸電力と、数年前、震災後に料金の洗替えをした会社との間で差が出てきております。また、各エリアの需要の減り方や地域特性もこの値上げ額の違いには反映されております。

9ページ目です。そうした収入の見通し、原価のチェックを踏まえて設定された料金単価を掲げております。特別高圧、高圧、低圧で、電圧ごとに値段が変わってきております。低圧は電柱などを通じて送っていく電気でして、一般的には、家庭、小さな商店、八百屋さんとか、そういうところが受ける電気を低圧で送っております。高圧は、もう少し大きな需要、例えば、オフィスビルやデパートに送る電気です。この場合、路地の隅々まで電柱を使って送るというよりはもう少し固まったところに需要がありますので、使う設備が少なくなる分、値段は安くなっております。特別高圧は、工場などの需要でありまして、場合によっては鉄塔などの送電線からすぐ近くのところに変電所などを造って、それで電気を通していきます。これも、電柱などを通っていかなくて済みますので、使う設備が少ないということで、こうした値段になっております。特別高圧、工場向けが2.2円台、高圧、オフィスビルなどが4円台、家庭向けが8-9円台という形になっております。

10ページですが、消費者庁からも御指摘をいただいて、私たちも、規制期間といいますか、そういう事業計画が開始された後も、送配電事業者の取組をチェックする仕組みを設けております。この送配電効率化・計画進捗確認ワーキンググループを大体年に3回か4回ほど開催することにしておりまして、既にもう2回開催しております。こうした会議体で各一般送配電事業者を呼びまして、様々な観点で議論をしております。関係企業、重電メーカーを呼んでみたり、工事の現場に行ったり、いろいろなことを組み合わせながら一般送配電事業者がきちんと努力して費用を圧縮していこうとしているかを確認しております。

11ページから、今回の期中調整の概要について、御説明いたします。

12ページを開いていただければと思います。先ほど御説明したとおり、レベニューキャップ制度においては、基本的には、規制期間、5年間であれば5年間、同じような託送料金で続けていただくことにはしております。その際、事前に査定した収入の見通しに基づいて料金単価を作るということを申し上げたところです。他方で、エネルギー政策の変更や外生的な費用の変動があった場合には、事後調整を行うという仕組みが設けられております。この事後調整を行うということについても、下の図でありますけれども、速やかに、期中、その規制期間の途中であっても、見直しをすることにするか、あるいは、翌期調整で、5年間が終わった後にその見直しをするかという、二つのやり方があります。いずれにしても、こうした事後調整、細かく言えば、期中調整と翌期調整という仕組みが設けられているところです。こうした仕組みがある中で、本年9月29日に、一般送配電事業者から経産大臣に対しまして第1規制期間の収入の見通しの変更申請がありまして、現在、経産大臣から電力・ガス取引監視等委員会が意見聴取をされている状況です。

13ページです。今回各社から期中調整として出てきた費用の項目が書いてあります。いずれも、各事業者の自助努力では圧縮することが難しい、あるいは変更させることが難しいような外生的費用になっております。それぞれ、少し御説明します。

金額の規模感を見る上でも、14ページを御覧いただければと思います。それぞれの項目ごとの費用が書いてあります。各社とも、プラス側、収入の見通しが増える方向での変更申請となったものが、追加kW・kWh公募費用、容量拠出金の稀頻度リスク相当です。

まず、追加kW・kWh公募費用と申し上げるものは、次の15ページに参考資料を入れております。特にウクライナ情勢が緊迫した後などで燃料価格が高くなり、一方で、2022年3月でしたけれども、福島沖で地震が発生し、首都圏を中心に需給ひっ迫警報が発令されたような厳しい需給状況になりました。電力が全体的に厳しいということで、審議会で話し合って、火力発電所を復旧させる、あるいはLNGをタンカー1隻分あるいは2隻分を緊急調達することを決めました。そこに書いてあるような、不足する東北・東京エリアの170万kWと西日本の190万kWを一般送配電事業者の費用において取りあえず立て替えていただいて調達することを決めたものであります。この費用が、少し前の14ページに戻っていただきまして、2021年度と2022年度の2年間で合計1183億円発生しております。これを沖縄電力を除く各社で負担してもらったというものになっております。沖縄電力は負担していないのですけれども、先ほど申し上げた燃料などの追加調達が、基本的には、東日本、西日本の需給を改善させるために調達したものだからでありまして、沖縄は直接送電線がつながっていない、その追加調達の効果が現れないということで、負担額がゼロになっておりますので、これを理由とした期中調整の申請は出てきていないというものです。東日本、特に東京の需給が厳しかったということで、東京が若干多めに負担しております。西日本を中心に幾ら調達したか、東日本を中心に幾ら調達したかということの違いによって、こういう負担額の違いが出てきております。

インバランス収支過不足は、需給がずれたときに電気を供給するものですけれども、昨今の燃料価格の上昇などによって、ずれが出てきております。プラスになっているところとマイナスになっているところがそれぞれあり、地域性などもありますけれども、ずれが生じているということで、申請が出てきているものであります。

最終保障供給対応費用は、関西送配電を除いては三角のマイナスの数字になってきております。これは何の費用かと申しますと、16ページを見ていただければと思います。まず、昨年、2022年4月頃から、いわゆる電力難民問題が生じまして、かつての新電力と契約を行っていた大口の需要家、つまり、昔から自由化をされていた需要家の方々が、新電力から契約を打ち切られる、あるいは新電力が倒産することで供給元が見つからないという状況が生じました。このときに一般送配電事業者が最終保障供給で緊急の供給を行った件数及び契約電力が、ここに掲げられております。昨年9月まで大幅に上昇し、その後、高い水準で高止まりをしておりました。この費用のうち、9月分までは既に算入されているのですけれども、2022年10月から2023年3月分までの6か月分がまだ収入の見通しに反映されていないということであったので、この機会に反映していただくというものです。14ページに戻っていただきますと、昨年の9月から今年の3月までの6か月間において、各社とも、利益、黒字が上がっています。それを反映してもらうと、こういうことになります。東京などですと、最終保障の量が多かった昨年度後半は利益が出たということで、こういう数字になっております。どうして利益が出たか。それは、昨年度後半になって制度的に料金の値上げをしたからであります。そういうこともありました。また、燃料代が昨年後半から下がり始めました。これも模式図を入れており、18ページを御覧いただければと思います。電気料金は、燃料価格を反映させて上がったり下がったりする、いわゆる燃料費調整制度が設けられております。この制度におきましては、電気代は、燃料価格が上がる中で、数か月、2-3か月遅れて、上がっていく仕組みになっておりまして、どうしても、燃料価格が上がっている断面では赤字が出て、下がっていく断面では利益が出ることになります。昨年度後半については、燃料代が下がっていく時期でしたので、18ページの図でいったら、青いところ、利益が出るという局面でした。何度も行ったり来たりして恐縮ですが、14ページに戻っていただきますと、この期間中で、黒字が出たというところがほとんどです。関西電力だけ、ここで赤字が出ているのですけれども、最終保障供給対応費用については、それぞれ送配電が普段から契約している需給調整用の火力発電所を使って供給しているものが多く、関西送配電の場合ですと、ほかのエリアに比べると電源のコストが高いことで赤字が出てしまっているので、ここだけ、関西電力の数字が変わっております。

容量拠出金の関係ですけれども、夏・冬の最大電力に対応する設備の費用です。稀頻度リスク相当、2025年度から2027年度とありますが、これは、最近の審議会において、いざというときのため、緊急時、ピーク電源、最大電力用の発電所を追加で確保しよう、その費用は送配電が負担すべき、ということが決まったことに関連します。2025年度以降、最大電力の1%分、追加で確保しようと決めたということで、その費用をここに追加で計上したいと申請が上がってきております。その下の行、容量拠出金のオークション結果反映などについては、容量拠出金は、市場で決まる、オークションで決まることになっておりまして、一定額を織り込んでいたのですが、実際にかかる費用が変わってきたということで、調整をしているものです。織り込んでいたもの、つまり、見通しよりも安くなったもので、そこで出た利益分といいますか、費用の減額分は反映していただくことにしております。

その下のブラックスタート公募費用も、同じようにオークションに関係するものでして、こういう調整が発生しております。

電源Ⅰ・Ⅰ´公募費用も同じように公募で決まるものでして、これは、2023年度分、今年分なのですけれども、もう既に費用が確定したということで、上がるところもあれば下がるところもありますが、反映していただいております。

なお、沖縄で容量拠出金の項目がない理由ですけれども、沖縄は、制度が特殊になっておりまして、容量市場は創設されておりません。送電線もつながっていないので、沖縄電力が自分で需給を調整することにしております。容量市場といった制度がないので、ここは期中調整がないということになっております。最終保障についても、沖縄エリアは、大口も含めて沖縄電力が供給することになっておりますので、期中調整が発生しておりません。そのようなことでありますが、結果的に、いろいろな費用の入り繰りがあって、残り4年で707億円、単年度で見ますと、オレンジの行になりますが、全体で177億円、原価が上がるという申請になってきております。現行の収入の見通しが4兆6836億円ですので、大体0.4%程度の原価の増加になっております。これが、期中調整についてです。

20ページを御覧いただければと思います。先週行われました電力・ガス取引監視等委員会の料金制度専門会合で、この申請について、審議いたしました。まず、それぞれの費目について、いろいろと書いておりますけれども、ここに掲げられているような検証を行いまして、結論としては、エネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の変化を目的とした申請である、外生的要因によってその費用が変わったもの、ということで、制度上認められる期中調整ではないかということにしております。

21ページにも書いてありまして、その制度上認められるということに加えて、後で御説明しますような発電側課金が来年度から導入されますので、小売事業者などで料金改定への対応がいずれにしても発生するという特殊な状況にあること。レベニューキャップ制度上は、この料金を一定とすることに、一定の合理性がある、利点もある、としています。一方で、こういう状況において早期に期中調整を行うことは、5年後に事後調整を全部「どん」と行うこととの比較において、受益と負担の公平性や負担の平準化の観点から、望ましいということにしております。

二つ目の矢じりですが、ここで言っておりますことは、一般送配電事業者にいろいろな支出などを政策的にお願いしているようなところもありまして、これを一旦精算することで今後また何か新たな問題が出てきたときに一般送配電事業者に円滑に対応していただくことにはメリットがあるのではないかとしております。こうした総合判断を踏まえまして、今回の期中調整については妥当と認められるのではないかとしております。ただ、今回の審査結果は今後の審査方針を何ら拘束するものではないということも確認的に書いております。

次の22ページですが、額についても、先ほど申し上げたようないろいろな細かい点も含めて議論をしまして、問題ないということにしておりまして、今後、電力・ガス取引監視等委員会の本委員会に報告する方向で取りまとめを行っております。

23ページは、レベニューキャップを導入している外国の状況ですが、いずれにしても、こういう規制期間途中での調整は認められる仕組みになっております。以上が、期中調整の関係です。

続きまして、24ページ以降で、発電側課金について、御説明します。

最初に、26ページについて、御覧いただければと思います。発電側課金について、まず、どういうものなのかというコンセプトを御説明します。図の上のところが現行の託送料金ですが、今までずっと御説明してきた託送料金について、現在は、送配電事業者は小売事業者に請求します。小売事業者が託送料金を送配電事業者に納めます。小売事業者は、いずれにしても、需要家の方から電気料金をいただいて、そのお金の一部を送配電事業者に支払います。また、別のお金として、小売事業者から発電事業者に発電費用ということでお支払いします。発電側課金の導入後はどうなるかですが、下の図のようになっておりまして、小売事業者から送配電事業者に引き続き一定分、9割分ぐらいは払っていただくのですが、発電事業者からも送配電事業者に10%分程度のお金をお納めいただく。発電事業者には小売事業者から料金を支払って、小売事業者は、需要家からお料金を支払ってもらいます、託送料金を送配電事業者に納めることになります。納める託送料金の総額は従前と変わらないものになり、収入上限の範囲内で回収することになります。こういう制度の変更を来年度から行うこととしております。

なぜそれを行うか。1ページ戻っていただきまして、25ページを御覧いただければと思います。ここの図で書いてありますのは、発電所を造ると、時には、送電線を増強する、太くする、あるいは、新たな鉄塔を建てるとか、そういうことをしていく必要があります。その場合、この図でいいますと、「増強コスト小」という需要地の近くに建てると、短い送電線を増強すればよいということもある。同じような発電所を遠隔地に造りますと、そこから需要地までの長大な送電線を全部増強しなければいけないということもあり得るということでして、どこに発電所を造るかによって送電線の増強コストは変わってくるものであります。社会的には、送電線の増強コストと発電費用の二つを合わせて総合コストを安くしていくことが合理的でありますけれども、現行の制度ではこれを誘導する仕組みがありませんので、それはよろしくないので、今後は、発電側課金を導入して、立地に応じた割引制度を設けて、増強コストの低い地域に電源立地誘導を図っていきたいと考えております。

27ページですが、現在は、全て、エリア内の小売事業者に託送料金を請求するということで、この図でいいますと、東北の風力発電所を増強してそれに伴って鉄塔を建てた場合は、今の制度ですと、東北の小売電気事業者を通じて、東北のお客様がその増強費用を払います。ただ、東北に風力発電所を建てても、実際に今の東北で発電されたものの2割は東京に輸出されていますけれども、その何割かは東京エリアの需要家がその電気を使うことになります。今は東京エリアの需要家は東北エリア内の増強費用を払わなくていいわけですが、発電事業者が支払うようになりますと、発電事業者から電気を買ってくる小売電気事業者が間接的に払うことになりまして、要は、東京エリアのお客さんも更に間接的に東北の系統増強費用を払うことになります。逆に、東北のお客様の負担は若干軽くなることになります。こうして、今後、いろいろな送電線を増強するに当たって、実際に電気を使っている方、需要家に最終的に御負担いただくことが、負担の平準化の観点からもよいのではないかと考えるところです。

28ページは、課金対象です。基本的に全ての発電所に負担していただくことにしていますけれども、小規模の太陽光、例えば、家庭の上の屋根置き太陽光みたいな10kW未満の太陽光は、管理が大変なので、課金対象外ですし、調達期間内の既認定FIT/FIPという固定価格買取の発電所については、固定価格で買っているので、対象外と整理されました。

29ページは、課金単価の設定方法です。いろいろと図が描いてありますけれども、太い送電線について、小売と発電で1対1の折半をしまして、発電事業者に一部を払っていただくことにしております。

30ページ、更に細かくいろいろと費用を書いておりますけれども、その原価につきまして、kW課金をするものとkWh課金をするものを1対1で割って、その中で単価を算出するとしております。この中に何を含める・含めないとか、いろいろと書いてありますが、FIT/FIP電源については、基本的には、それらの電源が支払わなくてよくなった部分は、小売側が引き続き払うという整理にしております。

そういうこともありまして、31ページ、この太い送電線の費用に大体1.2兆円ぐらいがかかっているのですけれども、全体でいいますと、そのうちの4000億円弱を発電側が負担し、小売側が8855億円負担することになります。そういうことで、発電側が払うものは全体の8%程度になります。

32ページは、発電側にかかるkW単価とkWh単価です。全国平均でいいますと、下の表の一番右の数字ですが、kWあたり月額75円ですから、1年ですと1,000円弱ですかね。kWh単価は、1kWh発電をするごとに0.26円。こんな数字になっております。

33ページが割引額です。いろいろと書いてありますけれども、割引を受けられる電源には大幅割引がされるという仕組みになっております。先ほど紹介した絵で、需要地に近い、送電線をそんなに造らなくていい、逆に、メリットがあるみたいな電源は大幅割引をすることにしています。

34ページは、更に細かいですが、発電事業者で割引をされたものは発電事業者間で均等配分していただくということなので、大幅割引を受ける人にも、割引原資を均等配分されたものについては、御負担いただくことになります。

35ページは、外国の状況です。ヨーロッパにおいても、同様の制度が、全ての国ではありませんけれども、半分ぐらいの国では進んでいるということになっております。

36ページ以降が、今後のスケジュールであります。37ページを御覧いただければと思います。本日は、前段で期中調整、後段で発電側課金について、御説明しました。この図でいいますと、今、期中調整の申請が出てきているところです。この青枠で書いている収入の見通しを議論しておりまして、これが承認されましたら、ここで、収入の見通しの数字が、申請どおりに修正されます。それを踏まえて、今度は料金の算定に入っていきます。その際、発電側に振り分けるものと需要側に振り分けるもので原価を分けまして、その後、それぞれ単価を設定していく形になります。この料金の算定についてはまた認可が必要になってきますので、収入の見通しが期中調整をされましたら、その次のステップとして料金の認可申請が出てくることになります。

より具体的なスケジュールにしたものが38ページでありまして、今は第1ステップの期中調整の申請・審査の大詰めの段階になっております。これが承認されてきましたら、次のステップの託送供給等約款の申請・審査となりまして、ここで発電側課金も含めた形で料金単価を決めて、4月から、新託送料金を適用する。こういうスケジュールを、今、想定しているところです。

私からの説明は、以上になります。

○野村座長 どうもありがとうございました。

御丁寧に資料全体を説明していただきましたので、理解は深まったかと思いますが、個別に御質問や御意見はあるかと思いますので、どなたからでも結構でございますが、口火を切っていただき、その後、チャットへ御氏名をお書きください。よろしくお願いいたします。

太田委員から、お願いいたします。

○太田委員 御説明をありがとうございました。

何点かあるのですけれども、まとめてお話しすると論点があちらこちらに行くかと思いますので、一つずつ、お伺いしたいと思います。

一番初めに、レベニューキャップ制のお話があったと思うのですけれども、重回帰分析等を使って、他社のいろいろな要因を考慮して、一番優れたところに合わせていくという形でキャップを下げていくという工夫がされているのだと思うのです。まず、その重回帰分析でどういう要素を見て調整されているのか、その数字が正しいとどのように確認されているのか、簡単に言うと、監査をされているのかどうかということについて、お伺いしたいと思います。

○野村座長 鍋島さん、よろしくお願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 今御質問いただきましたことは、レベニューキャップ制度の審査の方法、特に統計査定の部分だと承知しております。これは、まず、6ページを御覧いただければと思いますけれども、全ての費用について行っているというよりは、特にCAPEXについて重回帰分析を使っております。どうやっているかですけれども、「主要設備」とありますが、送電線、架空送電線、地中ケーブルと、まずは、品目別に分解いたします。その上で、過去にどのような費用が個別に発生したかということについて、電気事業法に基づく報告徴収を行いまして、データを取り寄せます。その上で、関連するパラメーターについても同時に報告徴収で取り寄せます。例えば、架空送電線でいいますと、長さ、鉄塔重量などを取り寄せます。まず、単価にしまして、架空送電線1km当たりの単価を割り出します。この単価について、トップランナーは誰かと決めていくときに、単純に比べると、工事のいろいろな諸条件が関係してきますので、鉄塔の重量を御提出いただいて、それだと単回帰になってしまいますけれども、鉄塔の重量あるいは電圧、幾つかのパラメーターを使って、回帰分析を行うことにしております。

それが正しいのかどうかということについてですが、過去に集めた、報告徴収で求めたデータにおいては、一定の決定係数になっていることを確認しているので、過去のデータとの間ではある程度のフィットはあります。ただ、今行っている作業は、去年の秋から冬にかけて査定したときのやり方ですので、実際にその数字が今後行う工事においてフィットするのか、現場の実態に即しているのかということについては、今、ワーキンググループも開催して、効率化や実際の作業の仕組みとかを一つ一つ順番にヒアリングをしていっています。消費者庁のサポートも得ながら、きちんとというか、精度の高いものになるように改善に努めているところであります。

○太田委員 ありがとうございます。

ちなみに、「決定係数」とおっしゃいましたが、自由度調整済み決定係数はお幾つぐらいですか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 0.8を目安にしておりまして。

○太田委員 かなり高い。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 はい。高いものにしております。

○太田委員 分かりました。

そうすると、トップランナーはそこの重回帰分析のデータで残差が一番小さいところを基準にして、ほかをそれに合わせるというイメージでよろしいですか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 残差といいますか、その基準で見たときに、標準価格みたいなものを割り出します。重回帰で一定の値が出ると思うのですけれども、各社が今度は原価算定期間中に行う工事、例えば、鉄塔重量や電圧とかを入れていきますと、その標準的なkm当たり単価が出てきます。その標準的なkm単価と、原価申請で出てきているものを比較しまして、95%の人、96%の人、105%の人と割り出していきますと、105%の人は非効率だと判定して、96%の人とかに原価を合わせていく。標準単価を引き下げて、96%の水準にして、査定をするというやり方をしております。

○太田委員 係数でコストの平均を見て、それより高いところを全部平均まで下げるイメージですかね。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 はい。そういうことになります。

○太田委員 分かりました。ありがとうございます。

監査はされないのですか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 報告徴収で出てきているので、それが正しいという前提で査定をしております。監査までは行っていないです。

○太田委員 レベニューキャップ制は5年間あるので、その中でコストを下げればその分は自分の取り分になると考えるならば、最初に過大見積りをするインセンティブは絶対にありますよね。しかも、設備投資、CAPEXといいますか、資本的支出の状況については、電力事業者さんのほうが審査をする側より詳しいという状況で、過大見積りのインセンティブがある。それをどう抑制していくように考えていらっしゃるのかという仕組みに興味がありまして、伺った次第です。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 その点については、消費者庁からも繰り返し指摘をいただいております。消費者庁からいただいている問題意識は、監査というよりは、むしろ経営効率化努力が足りないのではないかというものではあるのですけれども、今後の課題ではあるかとは思います。データについては、報告徴収なので、そこが間違っているとはあまり思ってはいませんが、今後については、今、効率化のワーキンググループなどでいろいろと細かく見ていっているので、正確な数字であることを確認していきたいと思っております。

○太田委員 ありがとうございます。

まだ質問は続きますが、ほかの方に質問があるようでしたら、あまり占有してもなんですので。

○野村座長 もう一つだけ、もしあったら、どうぞ。

○太田委員 それでは、重要なところでお伺いするとしますと、需要サイドの電力託送料金は2対1対1で分けていると承知しておりますが、そうすると、基本的には、これはネットワークのコストなので、最大のピーク時の電気を送る量で、コスト側、キャパシティーが決まってくることになっているかと思います。これを現状の2対1対1という形でやっていると、電力量の要素があるので、恐らく消費者有利になっているのだと思うのです。金額的には低圧が一番高いですけれども、特別高圧と高圧はあまり電柱とかは使わないという意味でいうと、そこのコストについては消費者の部分が若干特別高圧と高圧のほうに行っているということで、消費者有利ということで、消費者委員会的にはそれはいいのですけれども、フィード・イン・タリフ、FITは、消費者の負担によって再エネを推進するということで、基本的に、FIT、フィード・イン・タリフをやればやるほど消費者にとっては不利、再エネ推進を消費者のコストでやっていると理解しております。今回、発電側を入れていただいて、8%ということなのですが、まず、8%が妥当なのかどうかということがいま一つよく分からない点が1点。課金するに当たっては、1対1、それもkWとkWhで1対1ということは、当然、変動の激しい再エネ業者に有利な形になっているわけですね。既存電力の方には多分不利な割合の固定費の配賦になると思うのですけれども、これは、どちらかというと、今度は消費者に不利、フィード・イン・タリフを通じて消費者に不利、しかもFIT業者は一部除かれるというお話を伺った記憶がありまして、これも消費者不利に効く。全体が複雑で、消費者に有利になる局面と不利になる局面と両方が混じっております。全体として消費者は得しているのか損しているのかということが消費者委員会的には関心のあるところでありまして、具体的な試算や金額ベースの話はございますか。

○野村座長 鍋島さん、お願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 そういった角度での分析はしていないのですけれども。御指摘いただいているのは、電圧別にどうなっていくかということだと思われますが。

○太田委員 電圧別という話は、最後の需要側の話です。発電と需要側とでそもそも8%が発電側というのは、消費者の観点からはどうなのか。そもそも、消費者に有利だからいいというものでもなくて、実際のコストビヘービアに合っていればいいのですけれども。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 まず、26ページの図ですけれども、御指摘の問題意識に合っているかどうかは分かりませんが、ここの「需要家」を「消費者」と置き換えたときに、電気料金として払うものについては、発電側課金の導入前後で総額は変わらないことになります。その上で、太田委員の御指摘の点は、2対1対1の例えを出されているので、もしかすると、需要家の電圧階級ごとに、高圧の人が有利なのか、低圧の人が有利なのかという問題意識だと思うのですけれども、同じように発電側課金の10%がどのように効いてくるのかというところですが、恐らく直感的に言うと、一概に言えないのではないかとは思います。

まず、少し細かくなりますけれども、託送料金の2対1対1についても、今の状況でこれをいじったときに、低圧のお客さんにとって有利になるのか不利になるのかはよく分からない状況になっていまして、非常に微妙な状況になっています。

その上で、発電側課金についていいますと、課金されると、恐らく、発電と小売がどういう契約をしているかにもよるのですけれども、kWh当たり幾らと契約上乗せてくることが普通ではないかと思われます。それを小売が需要家に請求するときに電圧別にどう乗せていくかということですが、そういう場合は、kWや最大電力によらずに、kWh当たりで、需要家、消費者に請求すると思いますので、トータルでいったときに、今の電圧別の負担額とそれほど大きな違いは出ないのではないかということが直観的なところであります。

○太田委員 ありがとうございます。

それは、発電側と小売側との契約が何を基準に行われるかによって決まるという意味ですね。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 はい。そういうことです。

○太田委員 そういう意味でいうと、この託送料金も従量制になっていて、託送料金のコスト側でかかるものはほとんどが固定費ですよね。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 おっしゃるとおりです。

○太田委員 それを従量課金にするわけですよね。変動費。変動的に取る。固定費部分を変動費化すると、従量制になると、基本的にヘビーユーザーに不利になるわけですよね。だから、ヘビーユーザーからライトユーザーに富の移転を伴うモデルになるので、託送料金の固定費相当分を従量課金すると、ユーザーの最終的なところで多分所得再分配効果が出ると思うのですよ。低圧の中での話なのですが、低圧の中でいえば、大口ユーザーは従量課金をされてたくさん託送料金を負担する一方で、例えば、単身者で昼間は家にいらっしゃらない家庭は、基本料金が安いので、非常に安く使える。これは、ヘビーユーザーからライトユーザーに富の移転が伴うということですよね。それは託送料金を従量課金にすることによる直接的な効果なのですけれども、あまりここで所得再分配はやらないほうがいいのではないかという気がしています。費用構造、収入で固定費と変動費の割合を変えてしまうと、富の再配分が起きるので、そこについては固定費がかかるのだったら固定費のところは固定費徴収をするような仕組みにしたほうがいいのではないかなということが、会計屋としての直感的な感覚です。これは何か理由があって従量課金にされているのでしょうかという質問です。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 これは託送料金の従量課金についてだと思いますけれども、まず、太田委員が御指摘のヘビーユーザーとライトユーザーについて言いますと、電気の世界ですと、負荷率がありまして、最大電力に比べて使っている電気の量が少ない人は負荷率が低い、ずっと豆腐のようにべたっと使っている人は負荷率が高いということになります。太田委員の御指摘でいうと、もしこういう従量課金の形でやりますと、べたっと豆腐のように使っている、電気としては、ある意味、効率的に送配電網を使っている人が、過分にピーク時向けのコストを負担することになるのではないか、という指摘だと思いますが、それはそうだと思います。恐らく、経済学的にも、コスト構造に合わせてその料金体系をそろえたほうが、負荷率の高い人と低い人の富の移転みたいなものが発生しないということは、理論的にそうだと思いますし、そこは政策当局も理解はしているのですけれども。

○太田委員 今、変動の話はしていなくて、おっしゃることは全く正しいと思うのですが、べたっと豆腐のように使っているほうがいいという話は、キャパシティーで固定費が決まるにもかかわらず電力量で配賦するとたくさん使っていてあまり変動のない人が不利になるというのはおっしゃるとおりなのですが、例えば、基本料金と従量制の料金という話をしたときに、固定費の部分を基本料金で取ってしまえば、何らかの基準で分けてしまえば、たくさん使おうが、少なく使おうが、自分が発生させているコストの負担としてはフェアだと思うのですけれども、固定課金の部分の割合が下がって従量課金の部分の割合が高くなると、たくさん使った人がいっぱい固定費の部分を負担することになるのですね。それは、先ほどの、ピーク、電力の需要が変動するという話とは別の話で、プライシングの話で、従量課金の部分が多くなると所得再分配になってしまうので、それは、意図してされているのか、何となく慣行でそうなっているのか、何か理由があるのであれば、理由についてお伺いしたい。なければないということで結構なのですけれども。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 きちんと物にそう書いてあるわけではないのですが、まず、この制度の根っこには自由化前からのすごく長いものがあると思います。自由化前は、一体会社でありました。託送料金とかをきちんと分けているというものではなかったはずです。そのときの課金体系に引っ張られてしまっているところはあるのではないかとは、推測はしています。

○太田委員 ありがとうございます。

それをもし手直しするとすると、大きな話なので、今ここでどうこうということでは全然なくて、何か意義や理由があるのかなと思ったので、伺った次第です。

私からは、差し当たり、時間を取り過ぎてもなんですので、ここで一旦終わりにしたいと思います。

○野村座長 ありがとうございました。

第2期に向けてこういう意見がありましたということは認識しておいてください。監査のことも含めて、また太田委員から御助言があれば、しかるべき機会によろしくお願いいたします。

それでは、次の御質問に移らせていただきます。

後藤委員、よろしくお願いいたします。

○後藤委員 御説明をありがとうございました。

2点、質問があります。

まず、1点目、期中調整・翌期調整の話がスライドの12ページ目にあったかと思います。5年間という期間の中で様々な幾つかの費用項目が上昇したり下降したりといった増減がある中で、今回、期中調整の議論をしているわけです。先ほどの御説明で、受益と負担の公平性ということで、5年後の終わった後の調整ということになるとその負担が偏ってしまうのではないかといった御説明があったかと思いますけれども、そもそもこの5年間が短いのか長いのかといった、いろいろな制度的な議論もあったかと思います。短過ぎるとインセンティブの期間としては十分ではないのではないかとか、長過ぎると予見性がなくなってしまって頻繁に調整が生じるようなことがあるのではないかとか、メリットとデメリットがいろいろとある中での議論かと思います。今回、消費者への影響という面で、どの程度なら期中の調整なのか、あるいは、5年間が終わった後での調整になるとどれぐらいのインパクトになってくるのか、この基準あるいはシミュレーションのようなものがなされているのかどうかというところが気になりました。その点について、教えていただけますでしょうか。

○野村座長 鍋島様、よろしくお願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 14ページにあるところですけれども、今回は、全部を合わせましても、単年度に直しますと、4兆6836億円中177億円ということで、0.4%程度の増額であります。インパクトとしては小さいですし、電力会社側にとっても、経営上、0.4%がそんなに大きくないと、私が言ってしまうのもなんなのですけれども、そんなに大きな額にはなっていないとは思います。この0.4%を認められないと経営が成り立っていかないという金額でもないですし、消費者の側にとってもそういう数字だとは思います。

ただ、エネルギー政策の変更やいろいろな事情で政策的に一般送配電事業者に負担いただいているものもあるので、この際、精算をすることにした次第です。これを5年後にした場合は、今は707億円を4年間で割って177億円にしておりますが、5年で割って140億円を5年後のお客様に負担いただくということもあり得るかもしれないのですけれども、5年後にどういう費用が発生するかもよく分からないところもあります。そうしたことも考えると、ここの177億円や140億円だけではないことも先々に発生するかもしれませんので、そういうことを考えると、今の段階から乗せておくということもあってもいいのかなとは思っております。

○後藤委員 そうしますと、金額というよりは、外生的な影響ということで、制度の運用としては、こういった予測可能なものについては、5年間の中であっても小まめに調整していくということが今後もあり得るのか、あるいは、今回は、特に、インパクトというか、その外生性が明らかであったからということであるのか、その辺りの考え方はいかがでしょうか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 そこにつきましては、20ページで、今回は外生的なものやエネルギー政策の変更に伴うものと議論した上で、21ページの冒頭に書いてありますけれども、今回、発電側課金が導入されますので、期中調整をしなくても、料金単価は、例えば、小売側に請求する託送料金であれば0.9掛けをするとか、それを踏まえてまた小売事業者において需要家に対してその請求金額を微妙に変えることが発生し得える、そういう対応がこの2023年度末に起こるので、そういう特殊事情があることも今回は関係しているとしています。何もないときに177億円のために単価を変えると、すごく社会的にも手間がかかるということはあると思うのですが、今回は、どっちみち、発電側課金が導入されるので、そこの手間は発生するので、期中調整による追加的な社会コストは低いということもあって、今回は認めても差し支えないのではないかとしております。ただ、来年以降をどうするかは、21ページの一番下に書いてありますけれども、今後、そういう申請が出てきたときに考えるということです。一方、今回はこういう特殊事情だから認めましたということにしております。

○後藤委員 分かりました。制度の変更のタイミングもあるということで、一般的には5年間と決まっているものの中で、外生性の判断もありますけれども、あまり変えてしまってはそもそものインセンティブ付与というところとは少し違ってくるのかなという懸念がありましたので、御質問させていただきました。

もう一点が、今のところと関連するところなのですけれども、発電側課金の需要側近接立地といった狙いは非常によく理解できたのですけれども、例えば、誰が見ても非常によい立地はあると思いますので、逆に、そういった予想外のインセンティブといいますか、増強コストと発電費用の全体の最小化を誘導していくという狙いの部分は非常によく分かっている一方で、よい立地というものがあるときに、そこに集中してしまって、それが消費者に何か影響があるということはないのでしょうかという質問です。その1対9という配分が大きいのか小さいのかという議論もあるかと思いますけれども、どれぐらいのインパクトが消費者にあるのかといった想定のようなものがあれば、教えてください。

○野村座長 お願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 説明のときに触れず、恐縮ですけれども、26ページの一番下のところに、インパクトということで書いてございます。冒頭で、託送料金は電気代の3割程度と申し上げました。実際には、2割少しのところから3割弱のところであり、最近の電気代に含まれる燃料価格等々でずれるのですが、大体3割程度と考えたときに、さっき8%と言いましたけれども、発電側課金は1割程度なので、電気料金に占める発電側課金の割合は、単純計算で2-3%と考えております。これが、小売事業者と発電事業者の関係で、3%丸々を負担する人もあれば、割引制度の適用も受ける人もいる、逆に、割引のしわ寄せが来て3%が3.2%になることもありますが、総じて、理論的には、この導入による電気料金の変更はどんなに大きくても3%ですし、実際にはそれの何割という変動にしか、需要家側としては、ならないのではないかと思っております。まずは、需要家へのインパクトということではそうですけれども、答えられておりますでしょうか。

○後藤委員 ありがとうございます。

私の説明もあまりまとまっていないところもあるのですけれども、例えば、需要地近接ですごくいい場所があったときに、そこに立地をしてしまうというインセンティブになってくるのかなという意味で、そこに集中してしまって混雑が発生するとか、そういった想定はあるのでしょうか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 すみません。お答えできていませんでした。そこについては、今、電力会社のホームページで、配電所や変電所から電気を送っているこの範囲は割引ですよとか、そういうものがリストとして提示されています。委員の御指摘のとおり、そこにばっと発電所が集中しますとまた状況も変わってきますので、これは、次の5年間、次の規制期間が始まる前に、改めて再計算をしまして、そのリストを更新することにしています。ただ、割引があると思って立地したのに、5年後になると割引がなくなってしまったということになると、それはかわいそうなので、次の5年間までは割引を適用して、結局、最大10年は割引を適用して、その後は新しい割引テーブルで適用することにしています。新規にわざわざその割引制度を信頼して立地した人についてはそうしますという制度にしておりますので、お答えからすると、あまりにも集中したときにはそういう割引額を見直します、一方で、その割引を信じて建てていただいた発電所は一定の保証を10年間でしますという制度にしております。

○後藤委員 分かりました。その辺りの弊害が少し気になりました。今の御回答でよく理解できました。

私からは、以上です。ありがとうございました。

○野村座長 ありがとうございました。

それでは、別の方の質問に移らせていただきます。

城所委員、よろしくお願いいたします。

○城所委員 ありがとうございます。

14ページで、東電と中国は、期中申請のインセンティブがないはずで、減額方向に修正を出しているのですけれども、それは、自ら利潤への機会を放棄しているということで、レベニューキャップにしたけれども、実態としては総括原価主義とあまり変わらないのではないでしょうかということが1点。

2点目なのですが、結局、レベニューキャップと総括原価主義の最大の違いは費用削減による利潤を自分が得ることができることだと思うのですけれども、もし規制者の側が費用を完全に査定できるのだったら、総括原価主義で常に利潤はゼロに抑えられるのだから、それでもいいはずなのです。でも、レベニューキャップ、プライスキャップが世界各地で導入されている背景は、規制者にはそれができないという前提に立っているのです。今回の資料では、費用を細かく査定していますということはあるのですが、官庁側の査定能力には限界があるということをどこかで明確にしていただいたほうが、誤解のないメッセージの発信になるかと思います。これが、2点目。

3点目なのですが、そうはいっても、ある程度の費用の目安は必要だと思うのです。さっき回帰分析の話が出ていましたけれども、私はそのときにいなかったのですが、昨年の公共料金等専門調査会意見に書いてある内容を読んできたのですけれども、地域独占の10社の中でトップランナー方式をやって何の意味があるのかというコメントがあるわけです。そういう中で比較をして、果たして本当に効率化が図れるのかと。それは本当に昨年の意見の言うとおりだと思いますので、可能でしたら、例えば、海外の託送料金とかを調べて、それと比較されてはいかがでしょうかということが、3点目です。

4点目は、先ほど後藤委員もインセンティブの話をされていたのですけれども、ちょこまかと制度変更をされるとインセンティブがなくなってしまうので、期間の話もそうですけれども、今、この利益の50%は自分で取っていいよという話なのですが、これが30%や20%にならないように、何らかの担保が要るかと思います。

以上です。

○野村座長 鍋島様、お願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 4点、御質問をいただいております。

まず、1点目です。なぜ減額側になるような期中調整申請を2社がしてきているのかということですけれども、いろいろな見方はできるのですけれども、当事者が審議会の場で説明しているのは、外生的なコストの変動を迅速に料金に反映させるために申請を行いましたと言っておりますので、そのように受け止めたいと思っております。実際はいろいろなお考えがあるのだとは思いますけれども、まずはそういうことであったということにしております。いずれにしても、少なくとも監視等委員会から東京電力パワーグリッドや中国電力ネットワークに対して、申請を出すべきであると指導したことは全くありません。そういう事実は全くないですが、結果的にこのように申請が出てきております。

2点目です。査定の限界ですけれども、担当者として非常に申し上げにくい御質問でありまして、査定はなかなか難しいですとは言えないところです。一方で、私も総括原価主義のときの査定も10年前に担当していたのですけれども、その後なぜ自由化をしたのかということを考えると、それは総括原価主義による査定が完全にはできないということが背景にあって、競争を導入することになったのだろうとは思います。それをどこかで明確に言っていったほうがいいのではないかということについていうと、少なくとも託送以外の分野についてはそういう方向性になっているとは思うのですけれども、託送のところは相変わらずネットワーク独占が続きますので、ここについては、なるべく査定をするということになります。自由化分野で、査定ができないと言っていたこととの整合性いかんみたいな話になりますと、答えには窮するのですが、そこはなるべく頑張りますということであります。

3点目に、10社で比較をしてどういう意味があるのかということではあるのですけれども、去年もそうした議論がありました。10社で比較して上位であること自体にあまり意味はない、別に上位の3社を褒めるつもりはあまりないのですけれども、そうはいっても、それよりも足の遅い7社のほうはどうなっているのかという話もありますので、統計査定に全くの意味がないとは思っていないところであります。一方で、ほかとの比較はできないのかということなので、今般、消費者庁からの御指摘も踏まえまして、コスト効率化のワーキンググループには、他産業で、こういう鉄塔や電柱、――その産業では「電柱」とは呼んでいないのですけれども、電柱に似たものを立てているような業界の方に入っていただいて、コスト削減のアドバイスをいただくことにしようと思っているところです。外国との比較でいうと、ヨーロッパとの比較とかをしてしまうと、日本の送電線の特徴として、山の上に建てるということがありますので、平野に建てる送電線のコストとはどうしても違いが出るということは、現場をたまに私たちも見に行きますけれども、そのように思います。そうではないところで何らかができるかというところについては、引き続き検討していきたいと思います。全てが全て、外国と比較するわけにはなかなかいかないという事情もございます。

ちょこまかと制度を変更するのはよくないということは全くそうだと思いますが、今のところは、制度も始まったばかりですし、今回の期中調整は、先ほど申し上げたような理由で、特殊事情で、外生的な変更部分だけは調整していただきますけれども、インセンティブがなくならないように、例えば、利益が大幅に出たら一気に召し上げるとか、そういうことはしないようにしていきたいと思っております。

○野村座長 ありがとうございました。

城所委員、いかがでしょうか。

○城所委員 最後に、1点だけです。ヨーロッパとかは平地で日本は山に送電線があるので高いとおっしゃいましたけれども、そうだとしたら、それこそ回帰分析でその要因を明らかにすべきだと思うのです。回帰分析をやって、山にあるから高いとか、今、大分円安で安くなっていますけれども、大都市圏は土地が高いから高いとか、そういうものを比較してこそ要因が分かるのではないかと思います。これは私のコメントです。

以上です。

○野村座長 そういうことで、鍋島様、また御参考にしていただければと思います。

太田委員から、総括原価について、関連質問があるということです。手短にお願いいたします。

○太田委員 ただ単に確認なのですけれども、電気のところは発送電分離で自由化された、発電のほうは自由化された、ただ、託送料金の送配電については、今でも基本的には総括原価方式で、レベニューキャップ制を入れたというのは、今までの総括原価方式が、ある意味、5年と言わず、無限だったわけですよね。値上げは駄目だけれども値下げはできるという状態であれば、基本的に、頑張ってコストを下げた部分は永久に取り続けることができる。これを5年で区切ってその下げた分は半分戻しなさいと、どちらかというと、厳しめに変えたと理解していたのですけれども、そうでもないですか。今、総括原価方式とレベニューキャップ制の関係が分からなくなったので、質問です。

○野村座長 鍋島様、お願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 大きく言えば、二つ、違うと思っています。太田委員が御指摘の、5年間という年限を入れたということが、1点、あります。もう一点は、効率化によって利益が上がったときの取扱いなのですけれども、かつての総括原価の時代は、託送収支を提出させて、一定の乖離幅が出ると、値下げ届出を出すべきという指導が入るという仕組みでした。そういう仕組みの下においては、皆さん、コスト効率化に努めるとは表向きおっしゃるのだけれども、余りにも効率化し過ぎると値下げになるので得をしないということで、ほどほどに効率化する傾向が見受けられるのではないかという疑念があったところです。城所委員から東京電力パワーグリッドがなぜそういう申請を出してきているのかという指摘もありましたが、――これは役所の指導では全くないのですけれども、今回のレベニューキャップ制度では、少なくとも、利益が上がっているからといってそれによって値下げ届出をしなさいとか、そういうことは言わないという約束の下でやっているという意味で、そこが総括原価と違うのだと理解しております。

○太田委員 ありがとうございます。

期間については5年と言わず無限のほうが有利なのですが、その場合は行政指導によって下げた分が取られるリスクが常にあって、そこが曖昧だったところ、半分しか取らないということを5年という期間を決めて明確化したと理解しました。大略はよろしいでしょうか。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 そうだと思っております。

○太田委員 もう一点なのですけれども、ほかと比較して下げるという話でいうと、以前の託送料金の議論であったのですが、多分受電設備は全部の既存電力で同じものを使っているけれども、みんな、微妙に特別仕様になっているということで、調達のコストが上がる。その辺は、うちの会社はこのようにやってもらわないと困ると、自衛隊などでもよくあるのですが、各社で仕様が微妙に違うのです。共通で取れないので、コストが上がってしまっている。例えば、そういうところでコストダウンの工夫を入れていけないのかなという感想を持ちました。これは、感想でございます。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

そうしましたら、ほかの委員の方々、どうぞ。

郷野委員でしょうか。よろしくお願いいたします。

○郷野委員 全国消費者団体連絡会の郷野です。丁寧な御説明をどうもありがとうございました。

ほかの先生方からも御発言があったところなのですが、私からも、3点ほど、お聞きしたいと思います。

まずは、レベニューキャップ制度も含めて、電気料金制度は一般消費者にはすごく複雑で、分かりやすい情報発信が必要だと思います。レベニューキャップ制度が始まって消費者の負担がどのように変わったのか、本日の議論をお聞きしている中で、メリット・デメリットがあるように思いましたけれども、その辺りを今後のところでは消費者に分かりやすく伝えていただけるような情報発信をしていただきたいと思います。それが1点目です。

2点目なのですが、12ページからの期中調整につきまして、御説明のとおり、必要性については理解しましたが、このことによる消費者への影響について具体的に教えていただければと思いました。このことは、先ほどの回答にも少しあったかと思うので、もしお時間があるようでしたら、もう少しかみ砕いて、分かりやすく、消費者にとってどういう影響が具体的にあるのかということを御説明いただけると幸いに存じます。5年間という規制期間を設けているにもかかわらず頻繁に調整できてしまうということは、消費者から見てもこの制度自体の信頼性を損ないかねないのではないかと思いますので、承認・検証・審査については、慎重に行ってほしいと思います。2点目でした。

3点目なのですが、26ページからの発電側課金の導入についてです。発電側課金の導入によって実際に消費者の負担はどのように変わるのかを教えていただきたいと思いました。27ページにもありますように、他エリアの需要家も系統増強費用を負担することは、公共料金の平等性にはつながって、輸出地域の消費者にとってはよいことだと思っておりますが、一方で、今まで負担していなかった輸入地域の消費者には丁寧な説明が必要だと思います。

以上、よろしくお願いいたします。

○野村座長 よろしくお願いします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 ありがとうございます。

まず、1点目のレベニューキャップの情報発信の件ですけれども、これは従前からも繰り返し御指摘をいただいておりますので、私たちも、今までも努めておりますけれども、一層分かりやすく説明していきたいと思っております。去年からの取組としては、私たちも、こういう審議会用資料ではなくて、一般向けの広報資料みたいなものも作るようにしてきております。デザイナーさんも入れて、できるだけ情報量を絞って、伝えられるようなものもつくってきておりますので、一層の取組を進めてまいります。

消費者へのインパクトでありますけれども、分かりやすく端的にと。資料の上では書いておりませんが、22ページを見ていただきますと、今回で言うと、北海道が一番値上がり率は大きくて1.5%です。今、北海道の託送料金が10円ですので、1kWh当たりでいうと15銭ですから、400kWhを使うような世帯が大きいところですと、月額平均50円前後の負担増になります。逆に、東京エリアですと、マイナス0.2なので、10円から20円ぐらい、ここの部分では減るようなことになります。ただ、来年の4月からということでいいますと、トータルで発電側課金も関わってきます。発電側課金も、私たちの見立てでは、一般の家庭の電気代への影響では、月額のさっきの400kWhというところでは、多くて数十円だとは思っております。

下津課長からも、何か補足はございますでしょうか。

○下津取引監視課長 取引監視課長の下津でございます。御質問をありがとうございました。

発電側課金の導入に伴う消費者への影響につきましては、正に委員がおっしゃったように、例えば、輸入地域にいるのか、輸出地域にいるのか、鍋島の説明にもありましたけれども、小売電気事業者が契約している発電事業者との契約の内容等々によって、上げもしくは下げ、どちらもあり得るということでございます。それを申し上げた上で、例えば、上げということになってしまいますと、どれぐらい上がるのかというと、26ページのところで、これまでの説明の中に出ておりましたけれども、発電側課金は託送料金の1割程度、3%程度ということで、具体的に言うと、例えば、数円から数十円ではないかという理解でおります。

○野村座長 ありがとうございました。

郷野委員、よろしいでしょうか。

○郷野委員 ありがとうございました。

プラス・マイナスが地域によって違うということなので、そこは、本当に分かりやすく、例えば、料金が上がってしまうところに関しては、丁寧な説明をよろしくお願いしたいと思います。

以上です。

○下津取引監視課長 すみません。1点だけ、最後のところで発言することを忘れておりました。委員の御意見の主なところは、要は、上げ・下げがあるのは分かった、上げるところの部分の消費者に対して丁寧な説明をということだと理解いたしております。それはしっかりと考えていきたいと思っております。

○野村座長 補足をありがとうございました。

そうしましたら、まだ御発言いただいていない委員の先生、よろしくお願いいたします。

お願いします。

○若林座長代理 それでは、若林から、質問とコメントをさせていただいてよろしいでしょうか。

私からも、皆様からの御質問と非常に似たような関心からの質問になります。類似した質問になるかもしれませんけれども、期中調整の必要性です。今回は例外的な事情があるということで、確かにいずれしなければいけないのであれば2回に分けるよりも1回でということは理解できるところなわけですけれども、このような事情がなく今回のような変更があった場合にどうするのかとか、その辺の基準が、少し不明確というのでしょうか、お聞きしていてよく分からないと思った次第です。もちろん状況により判断ということはよく分かるのですけれども、その辺の明確性も必要なのではないかと思っております。これが、1点、コメントでございます。

発電側課金なのですけれども、先ほど詳しく説明していただいて大変よく分かったのですけれども、小売と発電がどのような契約をしているか、地域によって変わりますということだったのですけれども、経過措置料金の場合、消費者への影響はどうなるのかということを、分けてというのですか、それについて教えていただきたいと思います。

よろしくお願いいたします。

○野村座長 2点、よろしくお願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 最初の1点目は、コメントか御質問かは分かりませんが、確かに、今回は今回限りの判断としております。何%に達したらこうと、あまりにはっきりとするのも、かつての託送収支での値上げ・値下げトリガーのような感じもしますので、そういう仕組みは導入しにくいとは思っておりますけれども、御指摘を踏まえて、今後も考えていきたいと思っております。

○下津取引監視課長 2点目でございます。規制料金に対する影響という御質問かと理解いたしましたけれども、基本的な考え方は一緒ということでございます。そこは一概に上がる・下がるということではないということでございます。

若林先生の御質問はそういうことでよろしかったでしょうか。もしかしたら、私は質問を誤解しているかもしれません。

○野村座長 若林委員、いかがでしょうか。

○若林座長代理 ありがとうございます。

上がるか下がるかということも、地域性だけではないという理解でしょうか。

○下津取引監視課長 はい。そのような理解でおります。

○若林座長代理 分かりました。どうもありがとうございました。

○野村座長 そうしましたら、時間が押してきましたので、長尾委員の質問に移らせていただきます。

よろしくお願いいたします。

○長尾委員 御説明いただき、ありがとうございます。

ほかの委員の先生方からの御質問と私も近いところがございますが、事後調整・期中調整の要件充足という観点から、質問させていただきます。もともと、レベニューキャップの制度の特徴というか、メリットとして、事前に想定し得なかった費用増、調整力変動、需要変動は機動的に収入上限に吸収されていくということが、そもそもの特徴であり、メリットであるということです。そうすると、期中調整は非常に例外的なものとして制度設計されていて、その例外の要件としては、電気事業法17条の2の5項1号で事業遂行上予見し難い事由と定められていて、かつ、電気事業法施行規則17条の5の6項ではエネルギー政策の変更その他のエネルギーをめぐる諸情勢の変化などと規定されていまして、さらにそれが省令でまた内容の解釈がされているという辺りを確認いたしました。今回の期中調整の実質的な理由として21ページで挙げられていることは、要は、収入変更を一旦清算するとか、負担の平準化とかは、むしろ予見されていることのようにも思えます。そうすると、この条文上の要件の予見し難い事由というところをそもそも満たしてくるのか。例えば、事前に想定した想定値と実績値の乖離と省令では挙げているのですが、そういったところはそもそも判定が困難なので上げなかったみたいな説明が、どこかのページ、13ページ辺りにあったかもしれませんが、そうすると、想定値すらないものと実績値の乖離で、これは条文上の要件を充足してくるのかということが疑問としてはあります。

そもそも論としては、エネルギー政策の変動その他の事情変更とは極めて抽象的で裁量の幅の多い条文の規定ぶりになっておりまして、これを原点にやってしまうと、非常に政策的・恣意的、よく言えば柔軟なのですが、場合によっては頻回に期中調整・事後調整があると、そもそも5か年の事業計画の事前審査を厳格にしたというレベニューキャップの制度趣旨が形骸化してしまわないかという懸念を一般に消費者も我々も持ってしまうのではないか。

その2点、条文上の要件充足の点と、期中調整が非常に裁量的・政策的に行われてしまうといった形骸化の懸念に対しての歯止め、先ほど若林委員やほかの委員の先生の御質問もあったと思うのですが、その歯止めに関する解釈論や指針、そういったところの考え方をお持ちなのかどうかというところです。予見可能性にも関わってきますので、そういった質問をさせていただきます。よろしくお願いいたします。

○野村座長 鍋島様、お願いいたします。

○鍋島ネットワーク事業監視課長 ありがとうございます。

まず、予見し難い理由や想定値と実績値の乖離ですけれども、私たちの委員会の解釈としては、確かに、ここで掲げているような容量市場、kWh公募とかは、そのように見ると、これは事前に予見できたのではないかというような指摘はあるかもしれません。ただ、それぞれの費目は、こういう名前で費目が決まっているというよりは、購入電力料といった会計的な名前がついております。それぞれの費目で、最初の申請のときには想定値を入れているわけですけれども、その段階でどのように別の数字を置くのかということについては、去年の秋の段階では、幾らということは想定ができていなかったところ、実績値が出てきて乖離が生じた、想定値と実績値の乖離が生じたと考えていますので、そういう意味で、省令上は許容性があると考えております。

その上で、二つ目の何らかの今後の歯止めというところでありますけれども、まず、申請に対して当局としてどう応えるかということなので、申請が出てきたときに、拒否するところは拒否するということではあります。今回のこの期中調整については、基本的にはエネルギー政策の変更等によるもので外生的な費用ということであります。また、20ページにありますが、申請の目的が合致しているか、その算定省令や算定指針に沿った申請であるかということで確認するので、ここで要件は決まっているとは考えております。この要件が幅広いのではないかという御指摘については、これを決めたのは資源エネルギー庁なので、監視等委員会ではお答えしづらいですが、運用としては、きちんとその制度の趣旨に沿って運用できるようにしたいと考えております。

○野村座長 長尾委員、よろしいでしょうか。

○長尾委員 ありがとうございます。

そういった懸念に対応するような解釈論が今後取られることを期待したいというコメントをさせていただきます。

○野村座長 ありがとうございました。

小野委員は、いかがでしょうか。

○小野委員 私は、意見や質問ではないのですけれども、改めてきちんと勉強しないといけないなと思いました。自分の力不足といいますか、何とかカバーしてまいりたいと思います。消費者の安全・安心のために、こういった新しく国が評価する制度があるということについて、委員会のサイトにある広報媒体の資料を見ましたが、分かりやすいなと思う一方で、もっと具体的に伝えていくには、こういった場合にはこういったことになるといったQ&Aのようなものを加えていただくと、私のように一からという者にとっても、何が求められてこの制度があるのかといった議論の入り口に立てるのかなと思いました。このような積み重ねで議論ができるプレーヤーを増やしていく必要があるかと思いました。具体的な意見というわけではありませんが、コメントをさせていただきました。

○野村座長 ありがとうございました。大変参考になります。

以上で全専門委員から御発言はいただいたのですが、まだ最後に一言という付け足しがございましたら、手短にお願いいたします。

お願いします。

○下津取引監視課長 野村座長、電取委の下津でございますけれども、一言だけ、よろしいでしょうか。

若林先生との質疑応答の中で、自由料金という言葉が出たり規制料金という言葉が出たりした関係で、少しすっきりしないところがございますので、1点だけ、補足といいますか、コメントをさせていただければと思います。今回の議論の中で論点になったものの一つとしましては、発電側課金の導入に伴って、要は、消費者なり需要家への負担がどう変わるのかというところだったと思っております。上げ・下げがあるということを申し上げました。それは変わらないのですけれども、規制料金ではというところをおっしゃられたので、自由料金ではどうなのかというところをもしかしたら指摘されるかなと思ったのですけれども、これは自由料金ですので、基本的には事業者が決めるということでございます。規制料金に関しましては、発電側課金が導入されて、外生的な要因、制度的変更の要因で規制料金が変わるということでございますので、我々監視委としてケアしておりますものは規制料金の点でございます。私が申し上げておりましたこと、上げ・下げがあります、それに関しては地域や契約内容によっておりますということは、基本的に念頭に置いていましたものは規制料金でございます。自由料金については、もちろん上げ・下げはございますけれども、価格については事業者が決めるという整理でございます。すみません。すっきりしていなかったのは僕だけかもしれませんけれども、最後に一言だけ、申し上げさせていただきました。

○野村座長 ありがとうございました。

若林委員、よろしいでしょうか。

○若林座長代理 どうもありがとうございました。お話の前提がよく分かりまして、すっきりいたしました。

○野村座長 ありがとうございました。

時間が少しオーバーしておりますが、まとめということで、私の感想とこれからの専門調査会の取組に関して、お話しさせていただきます。

まず、この4月からの新しい制度に入る準備段階で、レベニューキャップを勉強してまいりました。非常にフレキシブルに動ける制度で望ましい点が多いと思っておりましたが、実際に動き始めると、こういう細かい点で少し思惑と違う方向へ動きそうだということも出てきていることが認識できました。とりわけ、今日の皆様の御質問を聞いていて、勉強になりました。特に総括原価とはどう変わるんだというところは、メリットを生かしていかないと意味がないのだろうなと感じたところです。

我々消費者として、何がこの期中調整・発電側課金で影響を受けるのかということは、学生レベルでも分かりやすく、お示しいただきたい。場合によったら料金が変動することはほかの外生的要因でもまだ出てくるかと思いますので、その辺りも、今後、どういうことがあり得るのかということも含めて、消費者へ情報発信をして、理解してもらわなくてはいけないと思っております。とりわけ、災害時のことは軽く触れられましたが、私はそこがこのレベニューキャップを入れた大きな要因になっていると思っています。設備投資を早くできるようにしないといけないということは、規制者側からも、情報発信をしていただきたい。ただ、そこを甘く見積もってしまうと過大な請求につながるということも、今日、御指摘いただいたとおりで、きちんとある期間の中でそこのチェックを重ねていくことが必要だし、我々がこうやって第三者としてチェックをしたいということでございます。

とりわけ、事業法に関して、それが厳格な審査に反するのではないかという長尾委員からの御指摘は非常に勉強になりました。我々はどうしても条文になじみが薄いものですから、今後、そういう慎重な御意見を頂戴したいと思っております。

電取委様におかれましては、新しい託送料金制度について、非常にお忙しい中、本日のように意見交換に参加していただきまして、本当に感謝しております。来年4月から新しく導入される発電側課金も、今後の状況を踏まえて、事後検証することをお願いしたいと思っております。収入見通しの審査も、これからも継続していかれると思います。消費者への影響が非常に大きいものですから、厳正な審査を尽くしていただきたいという思いを持っております。最終的に消費者負担がどの程度変わるのかということを明示的に示していただくことが非常に重要な点かと思っております。制度が本当に変更したばかりでお忙しいとは思うのですが、その点は御協力いただきたいと思っております。

我々も、この場を借りて、消費者に理解していただくような努力をしてまいりたいと思います。いつもこの専門調査会は最後に取りまとめをしますが、丁寧な情報発信を行っていくということを訴えてきておりますので、今後もそれは継続してまいりたいと思っています。

今後も、成果を得るために、適切な制度運営に努めていただくということは電取委様にもお願いしますし、我々もそこはきちんと消費者の目線でチェックをさせていただくということにしたいと思います。今後も、必要に応じて、ヒアリングを開催させていただくかと思いますが、御協力のほどよろしくお願いいたします。

最後に、事務局から、事務連絡ということで、お願いしたいと思います。

≪3.閉 会≫

○友行参事官 次回の専門調査会の日程などにつきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○野村座長 ありがとうございました。

時間が10分ほどオーバーしてしまいました。傍聴の方にも御迷惑をおかけしまして、申し訳ございません。

それでは、本日の第79回「公共料金等専門調査会」を閉会させていただきます。

お忙しいところ、御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)