SNSを利用して行われる取引に関する消費者委員会意見

2022年9月2日
消費者委員会

SNSを利用して行われる取引に関する消費者委員会意見

消費者委員会は、令和4年9月、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループから別添の「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書」の提出を受けた。

対策、事業者等の自主的取組の在り方について、適切な取りまとめが行われたものと考えている。SNS事業者による自主的取組を実効的なものとするためには、行政及び関係団体とSNS事業者が適切に連携することが重要である。

本報告書を踏まえ、「SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議」を発出するとともに、同建議を補足する事項について、以下のとおり消費者委員会意見を述べる。

1. 関係省庁においては、本報告書の内容を踏まえ、SNS事業者における自主的取組を積極的に後押しすることを求める。

2. SNS事業者は、例えば、LINE公式アカウントでは、情報商材の取扱を禁止していることや、第三者のための広告媒体として使用を禁止していること等、各社それぞれ一定の禁止行為等を定めている。一方で、かかる自主ルールが厳格に適用されなかったために消費者被害が発生した例も報告されている。消費者被害の防止の観点からは、モニタリングや違反行為への対応を一層強化すること等、SNS事業者において利用規約等の自主ルールの実効性を確保するための取組等が進められることが期待される。

具体的には、以下のような取組が期待される。

(1)SNS事業者と消費生活相談に関わる行政機関等(独立行政法人国民生活センター等)との間で連携の仕組みや、消費者からの情報提供窓口等を設け、そこで提供された情報を活用して、モニタリング又は調査を実施し、その状況を公表すること等により、利用規約等の違反行為に対するチェックの実効性の向上に努めるといったことが期待される。

(2)SNSにおける勧誘メッセージには、販売業者等に関する情報が掲載されていないケースもある。このため、SNS上の表記に関して、例えば、消費者が販売業者等を適切に選択することに資するという観点から好事例を示すことにより、情報の表示を促進するとともに、そうした表示方法等についてSNSのユーザーである消費者に対しても丁寧な周知を図ることによって、消費者が販売業者等を適切に選択することにつなげるといった取組が期待される。

(3)消費者被害の防止の観点から、SNS事業者がSNSのユーザーに対して関係省庁等が注意喚起等によって発信する情報を積極的に周知し、注意喚起を広めることでユーザーの保護につなげることが期待される。

3. 本報告書において、今後の検討課題とされた、決済、情報開示請求、デジタルリテラシーの向上については、いずれもデジタル社会における消費者トラブルの未然防止、被害回復の観点から重要な課題と考えられる。消費者委員会としても、今後、本報告書に盛り込まれた内容を踏まえ、関係省庁等の取組を注視し、消費者政策について調査、審議等を行っていく。

以上