「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定」等に関する消費者委員会意見

2021年6月18日
消費者委員会

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する意見の報告を受けた。

消費者庁において、本意見を踏まえ、総務省とともに適切に対応することを求める。


「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定」等に関する公共料金等専門調査会意見

2021年6月14日
消費者委員会公共料金等専門調査会

消費者委員会公共料金等専門調査会は、令和3年6月1日付で消費者庁より付議を受けた「東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社の提供する特定電気通信役務の基準料金指数の設定」等について検討した。設定案の内容は以下のとおり。

特定電気通信役務1を提供する東日本電信電話株式会社及び西日本電信電話株式会社(以下、「NTT東西」という。)に対して令和3年10月から適用する基準料金指数を以下のとおり設定する。

区分(バスケット)

R2.10からR3.9

R3.10からR4.9

音声伝送バスケット2

95.2

95.1

 

加入者回線サブバスケット3

102.7

102.6

公共料金等専門調査会は、本年6月2日に総務省からヒアリングを行い、調査審議を行った。その結果を踏まえた、設定案に関する当専門調査会の意見は以下のとおり。

1.結論

  • 設定案については妥当であると認められる。

2.理由

  • 基準料金指数の設定案については、NTT東西のマル1収入予測、マル2費用予測、マル3適正報酬額の予測及びマル4消費者物価指数変動率の予測に基づき、生産性向上見込率(以下、「X値」という。)を試算することにより算定される4 5。当専門調査会は、収入面に関しては回線契約数の減少6を反映した使用料等収入減の予測、費用面に関しては人件費減・回線数減を織り込んだ費用減及び経営効率性分析に則った非効率性の解消を勘案した費用減の予測などにつき確認をし、その予測には一定の合理性があると判断する。
  • なお、今回のX値の算定にあたっては、新型コロナウイルス感染症が経済や市場環境に与える影響に鑑み、適正報酬額の算定について、自己資本利益率を下方修正7することにより報酬率を抑制するなど、これまでの算定方法から若干の変更が行われているが、これは合理的な理由に基づく措置であり、これらの数値を総合的に勘案して算定されたX値についても、妥当であると判断する。
  • したがって、当該X値を踏まえた基準料金指数設定案についても妥当と結論付けるものである。

3.留意事項

(プライスキャップ制度の在り方について)

  • NTT東西の実際料金指数については、平成17年10月以降、上限価格となる基準料金指数を大きく下回る水準で推移しており、プライスキャップ制度が事業者に対する経営効率化のインセンティブとして十分に機能していないのではないかとの指摘もなされている8加入電話については、回線数や通信需要が減少する中にあっても、高齢世代をはじめとする既存の利用者にとっては依然として重要なサービスであることから、プライスキャップ制度本来の機能が十分に発揮されるよう、制度を適切に運用するとともに、必要に応じ見直しを行っていくべきである。
  • また、今後も加入電話の回線数や通信需要の減少が見込まれる中で、これまでの経営効率性分析の手法9を用いた場合、X値について正の値を得る(生産性の向上を見込む)ことが難しくなっている。X値としてどのような値を採用するかは、インセンティブ規制方式としてのプライスキャップ制度の根幹にかかわる問題であることから、算定方法の在り方を十分に検討すべきである。
  • なお、これまでのメタルケーブルのネットワークによる固定電話網については、令和7年までにIP網に移行することが予定されている(IP網へのマイグレーション)。NTT東西が今後提供するメタルIP電話10についても、これまでの加入電話同様、利用者にとって引き続き重要なサービスであり、また、NTT東西により独占的にサービスが提供されていることから、その提供条件の変更11、電気通信サービスを巡る環境の変化等も踏まえた上で、引き続き一定の料金規制の下に置くことが必要と考えられるが、移行に際しては、現行のプライスキャップ制度が有する上記のような課題についても十分に検討を行い、所要の見直し・改善を図るべきである。

(消費者への情報提供と消費者の意見の反映について)

  • 情報通信分野における急速な技術革新を背景として、電気通信サービスの多様化や高度化が進む中で、本件特定電気通信役務に対するプライスキャップ制度の適用を含め、電気通信サービスの制度的な仕組みが消費者に十分理解されているとは言い難い。総務省は、プライスキャップ制度の意義や位置づけを含め、電気通信サービスの制度的な仕組みや見直しの内容等について、消費者への分かりやすく、丁寧な情報提供に努められたい。
  • 上記プライスキャップ制度の見直しを行うに際しては、政策決定プロセスを透明化するとともに、消費者の納得を確保する観点から、可能な限り情報公開を行うことを基本とするとともに、消費者の利益を代表する者を参画させるなど、消費者の意見を適切に反映すべきである。

(以上)

  1. ボトルネック設備を設置する電気通信事業者(NTT東西)が、それらの設備を用いて提供するサービスであって、他の電気通信事業者による代替的なサービスが十分に提供されない電気通信役務(指定電気通信役務)のうち、利用者の利益に及ぼす影響が大きい電気通信役務(NTT東日本・西日本の加入電話・ISDN・公衆電話等)。
  2. 「音声伝送バスケット」の対象サービスは、加入電話・ISDN(市内、県内市外通話料)、公衆電話(通話料)、番号案内料等。
  3. 「加入者回線サブバスケット」(音声伝送バスケットの一部)の対象サービスは、加入電話・ISDN(基本料、施設設置負担金)。
  4. 基準料金指数の算定方法については、電気通信事業法施行規則により、以下のとおり定められている。
    基準料金指数=前適用期間の基準料金指数×(1+消費者物価指数変動率-生産性向上見込率(X値)+外生的要因)
  5. 総務省において令和2年12月より「上限価格方式の運用に関する研究会」(座長:辻 正次 神戸国際大学学長)が計4回開催され、X値を算定する際に留意すべき事項の検討・整理が行われた(『「上限価格方式の運用に関する研究会」報告書』
    https://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01kiban03_02000700.html)。
  6. 加入電話及びISDNの回線契約件数は、ピーク時の平成9年度末は約6,285万件であったが、令和元年度末にはその約3割の約1,846万件まで減少している。
  7. 自己資本利益率は、主要企業の平均自己資本利益率又は資本資産の評価モデルに基づく期待収益率のいずれか低い方が採用される。主要企業自己資本利益率について、令和2年度における主要企業の経常利益が大きく減少していることから、主要企業自己資本利益率が令和元年度実績から同程度減少すると見込み、主要企業自己資本利益率を修正している。
  8. 他方、総務省からは、プライスキャップ規制の存在自体が、事業者による安易な値上げへの抑止力や経営効率化に向けたプレッシャーとして機能している面もあるとの説明がなされた。
  9. これまではNTT東西の収支予測にNTT東西の効率化施策を織り込んで算定した数値に、DEA分析(Data Envelopment Analysis)により算定された非効率性解消を加味して経営効率分析を行ってきた。
  10. 既存の固定電話網(PSTN)をIP網に移行した際に、PSTNで提供している固定電話サービスの受け皿となるものであり、PSTN音声をIP音声に変換する変換装置を介してIP網に接続される。
  11. 基本料は現状と同額とした上で、通話料については全国一律料金とする考えが示されている。