関西電力による大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金値下げ後のフォローアップに関する消費者委員会意見

2018年8月2日
消費者委員会

消費者委員会は、本日、公共料金等専門調査会から、本件に関する意見の報告を受けた。

電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁には、本意見で示された今後の課題への積極的な対応を期待する。


関西電力による大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金値下げ後のフォローアップに関する専門調査会意見

平成30年8月2日
消費者委員会公共料金等専門調査会

1.経緯

関西電力は、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働を受け、本年7月1日より平均5.36%(規制分野4.03%、自由化分野5.94%)の電気料金の値下げを行った。

関西電力の電気料金については、これまで原発再稼働の遅れを理由に2度にわたり値上げされており、経済産業省による査定方針(平成27 年5月)において、以下の条件が盛り込まれた。

  • 原価算定期間終了後に再稼働する場合は、原則として、1基再稼働するごとに値下げを行うべきである。この場合、原価算定期間内に値下げする場合と同様に、再稼働の翌々月までを値下げの実施時期とすべきである。
  • 値下げの実施時期や値下げ率等の適正性を確認・検証するとともに、広く情報を公開する観点から、値下げの時期を問わず、電気料金審査専門小委員会(※現在の料金審査専門会合)によるフォローアップが必要である。

当専門調査会はフォローアップとして、昨年8月、高浜原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金の値下げについて調査審議し、意見を発出した。昨年に引き続き、今回の大飯原子力発電所3・4号機の再稼働に伴う電気料金の値下げについても当専門調査会は本年7月23 日に関西電力及び電力・ガス取引監視等委員会事務局からヒアリングを行い、調査審議を行った。

その結果を踏まえた当専門調査会の意見は以下の通りである。

2.値下げについての評価

今回の関西電力による電気料金の値下げについて、ヒアリングを踏まえた当専門調査会としての評価は以下の通り。

  • 原発停止による燃料費等の追加費用を理由とした値上げについては、原発再稼働により、値上げの原因となった事象の解消が進むことに伴い確実に削減される必要がある。
  • 今回の値下げにおいては、大飯原子力発電所3・4号機の再稼働による火力燃料費の削減分が原価に反映され、値下げがなされたことが確認された。
  • また、平成27 年6月の値上げ後、電力市場における競争の進展等の結果、関西電力の販売電力量は減少している。販売電力量の減少は単位(kWh)当たりの原価を上昇させるおそれがあった。しかし、この上昇要因は経営効率化による経費削減で吸収され、値下げ幅は減少していないことが確認された。
  • なお、査定方針では原則として再稼働の翌々月までを値下げの実施時期とすべきとされている。この点、大飯原子力発電所3号機については、本年4月に本格運転を再開する一方、値下げは本年7月1日からとなっており、再稼働の翌々月までに値下げは実施されていない。しかしながら、費用の削減分は実質的に値下げに適正に反映されており、消費者にとってのわかりやすさや手続の効率性の観点からは問題ないことが確認された。

3.今後の課題

消費者の観点からみて原発再稼働に伴う料金の値下げについての当専門調査会の基本的な考え方としては、原発が再稼働した場合、電気料金は停止前の水準まで戻すべきと考える。

このため、関西電力及び各電力会社においては、原発停止や再稼働の遅れを理由として認可された電気料金の値上げについて、今後、原発再稼働などの進展がみられるのであれば、停止前の水準まで電気料金を戻すよう努力することが必要である。仮に、停止前の水準まで電気料金を戻すことができないのであれば、その理由について十分に説明することが必要である。

原発再稼働の進展により値上げの理由が失われた際に電気料金の引下げが適切に行われるかについて、電力・ガス取引監視等委員会による適切な監視が行われることが重要である。今回のフォローアップを踏まえ、電力・ガス取引監視等委員会及び消費者庁は、今後、関西電力のみならず各電力会社において原発再稼働が行われた場合には、原発再稼働により節約された燃料費が料金に適切に反映されているか、引き続き丁寧な検証を行うことが必要である。

なお、消費者委員会においては消費者庁とともに引き続き、基本的な考え方にしたがって状況を注視していく。

(以上)