消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見

2013年2月26日
消費者委員会

消費者基本計画の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しに向けての意見

消費者基本法においては、消費者基本計画(以下、「計画」という。)の検証・評価・監視について、それらの結果の取りまとめを行おうとする場合には、消費者委員会の意見を聴かなければならないとされている。このため当委員会としては、計画の実施状況や計画に盛り込むべき新たな課題等に係る検討を調査審議の重要な柱の一つと位置づけてきており、昨年12月の委員会においても、計画中の具体的施策の平成24 年度前半における実施状況や今後の取組方針等について、関係省庁等からのヒアリングを計4回にわたって行ったところである。
当委員会としては、本関係省庁等ヒアリングの結果や当委員会が最近行った意見表明の内容等を踏まえ、計画の実施状況に係る検証・評価において特に留意すべき事項や計画の見直しに向けて具体的に検討すべき課題について、下記の通り意見を述べる。関係省庁等におかれては、計画の実施状況に関する検証・評価や計画の見直しに向けて、下記の各項目について十分に検討の上、可能な限り改定計画に反映されたい。
なお、今回の計画の検証・評価及び見直しについては、消費者庁及び消費者委員会の発足後3年が経過したことを踏まえ、創設時の理念に立ち返って、計画におけるこれまでの取組を総括的に検証・評価し、平成26年度末までの計画期間中の重点施策を示して、今後の取組を推進していく必要がある。このため、関係省庁等におかれては、「消費者白書」のとりまとめ作業とも連携しつつ、これまでの取組の効果や課題等について十分な検証・評価を行うとともに、消費者政策の分野ごとの重点施策やその計画期間中における実施スケジュールを明示すること等により、より実効性のある計画へと改定されたい。
当委員会においては、今後、政府がとりまとめる計画の改定案について、重点施策を中心に再度ヒアリングを行い、本意見の内容が適切に反映されているか等を検証した上で、改定計画のとりまとめに向けた意見表明を行うことを予定している。



1.消費者安全行政(施策番号4、7、12、13-2、13-2-2 関係、又は新規施策)

  • (1) 消費者事故の発生・拡大防止に向けて、関係省庁等による密接な連携の下、消費者安全法等に基づき収集する事故情報の拡大やその分析・活用の強化に引き続き取り組むとともに、これらの取組による効果や課題等について検証・評価を行い、より効果的な運用に努められたい。(消費者庁、関係省庁等)
  • (2) リコール情報や注意喚起情報を的確かつわかりやすく消費者に伝える仕組みの構築に向けて、当委員会が「消費者事故未然防止のための情報周知徹底に向けた対応策についての建議」(平成25年2月)において指摘した各課題(行政機関・販売事業者・リコール情報サイト等を通じた消費者に対するリコール情報を含む注意喚起情報の周知・提供の強化、製品安全に係る消費者教育・啓発の充実等)を具体的かつ効果的に実施するための方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、経済産業省、関係省庁等)
  • (3) 昨年10月に事故原因の究明、再発・拡大防止策の検討等を行うことを目的として消費者安全調査委員会が発足したことを踏まえ、同委員会が期待された役割を適切に果たすための体制整備や取組方針等について計画の具体的施策等に明記するとともに、調査審議の透明性を向上し、消費者等への情報提供を強化するための方策を引き続き検討されたい。(消費者庁、関係省庁等)

2.個別分野のリコール制度(施策番号8、27関係)

  • (1)事業者の不適切な対応等により自動車リコールの届出が遅延する事例が発生したことを踏まえ、当委員会が「自動車リコール制度に関する建議」(平成22年8月)において指摘した技術検証及び監査方針の見直しに係る課題について、取組をさらに強化する観点から再度検討を行い、必要な方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(国土交通省)
  • (2)食品のリコール社告を通じた消費者への情報提供の適正化を図るため、食品事業者団体に対する文書を通じた周知等、これまでの取組による効果や課題等について検証・評価を行い、必要な改善策を計画の具体的施策等に明記されたい。(農林水産省)

3.エレベーター事故(施策番号15関係)

  • エレベーター事故が多発していることを踏まえ、事故原因の究明を徹底するとともに、これまでの再発防止策(特に既設のエレベーターへの対策)について再度十分な検証・評価を行い、同種の事故の再発を確実に防止するための方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、国土交通省)

4.食品の安全性に関するリスクコミュニケーション(施策番号21関係)

  • 食品と放射能に関する消費者理解増進を図るため、これまでの取組の効果や課題等について検証・評価を行い、関係省庁等による密接な連携の下で取組をさらに強化するための方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、食品安全委員会、厚生労働省、農林水産省、環境省)

5.脱法(違法)ドラッグ (施策番号37-2関係)

  • 脱法(違法)ドラッグを市場から排除するため、薬物乱用対策推進会議において決定された「合法ハーブ等と称して販売される薬物に関する当面の乱用防止対策」(平成24年8月)に基づく取組の効果や課題等について検証・評価を行うとともに、当委員会が「違法ドラッグ対策に関する提言」(平成24年4月)において指摘した「包括指定」の導入や取締り体制の強化等の方策について、着実に実施・推進する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、内閣府、厚生労働省、警察庁、関係省庁等)

6.エステ・美容医療サービス(施策番号39、39-2、39-3、43、153-3関係)

  • (1) 「医療機関のホームページに関するガイドライン」について、平成25年3月末時点までの美容医療サービスにおける遵守状況の検証・評価を行い、一定の改善が見られない場合には、医療機関のホームページにおける表示を医療に関する広告とみなすなどの法規制も含めた表示適正化の実効性を担保する措置を実施する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(厚生労働省)
  • (2) 美容医療サービス(審美歯科を含む。以下同じ。)を利用する消費者(患者)への説明責任の徹底を図る観点から、平成25年3月末時点までの消費者(患者)に対する事前説明及びその同意に係る消費者トラブルの発生状況についての検証・評価を行い、美容医療サービスに特化した事前説明の指針の策定など、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(厚生労働省)
    (なお、以上については、次回の「消費者基本計画の検証・評価・監視」において、検証・評価した結果を報告していただきたい。)
  • (3) まつ毛エクステンションに係る安全を確保するため、厚生労働省の「生活衛生関係営業等衛生問題検討会」において優先して検討すべきとされた安全性についての消費者への情報提供の在り方や施術者への教育プログラムの開発について早期に結論を得た上で、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(厚生労働省)

7.住宅用太陽光発電システム(施策番号40、41、45、80関係、又は新規施策)

  • 住宅用太陽光発電システムの販売の適正化を図るため、引き続き関係法令の厳正な執行・運用に努め、PV 施工士認定制度の適切な運用を通じて業界全体の施工品質水準の確保・向上を図るとともに、設置工事の詳細見積りや発電見込量等を事前に書面で交付させること、勧誘の際に補助金等の説明を行う場合には書面により行わせること等の措置を検討し、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、経済産業省)

8.詐欺的投資勧誘(施策番号41、48、49、51、60、60-2、62、64、66関係、又は新規施策)

  • (1) 高齢者等を狙った詐欺的な投資勧誘の被害の未然防止・拡大防止、被害回復の迅速化を図るため、これまでの取組の効果や課題等について検証・評価を行うとともに、関係省庁等が密接に連携しつつ、下記の事項に積極的に取り組む旨を計画の具体的施策等に明記されたい。
    • 金融商品取引法、刑法、特定商取引法、改正消費者安全法等の執行力の強化を図ること。(消費者庁、金融庁、警察庁)
    • 関係機関の密接な連携・協力により、引き続き消費者に対する注意喚起・啓発の強化を図ること。(消費者庁、金融庁、警察庁)
    • 詐欺的商法のツールとして使われることが多いとされるレンタル電話・IP電話、バーチャル・オフィスへの対応や、法人登記事項の真実性確保のための措置等について、これらツールが悪用されている状況についての実態把握を行った上で、所要の方策を検討すること。(警察庁、総務省、法務省)
    • 犯罪収益移転防止法の厳正な執行を通じて、電話受付代行業者、電話転送サービス事業者及び郵便物受取サービス業者による本人確認等の徹底を図ること。(警察庁、総務省、経済産業省)
    • 預金口座等が振り込め詐欺等の犯罪に利用されているとの疑いがあること等が判明した場合、速やかに振り込め詐欺救済法に基づく口座凍結が行われるよう積極的に情報提供を行うとともに、同法に基づく口座凍結が迅速かつ適切に行われるよう金融機関を指導すること。(警察庁、金融庁)
  • (なお、当委員会では、詐欺的な投資勧誘に係る被害の未然防止・拡大防止等を図るための制度整備や使用されるツールに関する規制の在り方等について、建議等に向け引き続き検討していく。)
  • (2) 医療機関債に係る消費者被害の拡大・再発を防止するため、当委員会の「医療機関債に関する消費者問題についての提言」(平成24年9月)における指摘事項に基づき実施する具体的な方策を明らかにした上で、迅速に取組を進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、厚生労働省)

9.特定商取引法(施策番号41、43、44-2関係)

  • (1)貴金属をはじめとする訪問購入に係る消費者被害を防止するため、改正特定商取引法の厳正な執行に取り組むとともに、訪問購入規制の対象外となる物品等を中心に、消費者被害の発生状況についての実態把握を重点的に行い、被害の拡大が認められる場合には必要な見直しを機動的に行う旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、警察庁、経済産業省)
  • (2)国・都道府県を通じた法執行体制の強化に引き続き取り組むとともに、指定権利制のすき間や適用除外業種等における消費者被害の発生状況について十分な検証・評価を行い、いわゆる「5年後の抜本的な見直し」に向けた具体的な取組方針やスケジュールを可能な限り明らかにされたい。(消費者庁、関係省庁等)

10.消費者契約法(施策番号42関係)

  • 消費者契約法の改正に向けて、法制審議会の民法(債権関係)の改正に関する中間試案や当委員会の「消費者契約法に関する調査作業チーム」による論点整理の中間報告の内容等を踏まえつつ、できるだけ早期に課題や問題点等の整理に着手する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁)

11.改正貸金業法(施策番号46、63、111関係)

  • 多重債務者対策本部において決定された「多重債務問題改善プログラム」(平成19年4月)等を通じたこれまでの取組の効果や課題等について検証・評価を行うとともに、セーフティネット貸付の拡充、相談窓口の強化と消費者への周知、ヤミ金融の取締り強化等を図るための施策についてさらに検討を進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、金融庁、警察庁、厚生労働省、関係省庁等)

12.住宅リフォーム(施策番号55、56、104、117関係、又は新規施策)

  • 住宅リフォーム工事に係るトラブルを回避し、消費者が適正な価格で希望するリフォーム工事を行えるよう、建設工事の請負契約を締結するに際して、工事内容に応じ、工事の種別ごとに材料費、労務費その他の経費の内訳を明らかにした見積りを実施すること、及び見積書の交付を義務化することの要否について検討し、必要な措置を講じる旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(国土交通省)

13.有料老人ホーム(施策番号58、58-2関係)

  • (1)有料老人ホーム等に係る入居一時金の実態を把握し、償却についての透明性をさらに高めるための方策を含めた入居一時金の在り方について検証・評価を行い、その結果を踏まえ、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(厚生労働省)
  • (2)有料老人ホーム等におけるスプリンクラー等の消防設備等の設置状況の実態を把握するとともに、その結果を踏まえ、必要な改善策を講じる旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(総務省(消防庁)、厚生労働省)

14.企画旅行の安全性(施策番号59関係)

  • 企画旅行の安全性の向上を図るため、これまでの旅行業法の執行体制や同法に基づく旅行業者への監督・指導等の在り方について検証・評価を行い、その結果を踏まえ、必要な改善策を講じる旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(国土交通省(観光庁))

15.公共料金(施策番号67-2関係)

  • より消費者の視点に立った公共料金制度を構築するため、公共料金等の決定過程の透明性、消費者参画の機会及び料金の妥当性を確保するためのこれまでの取組の成果や課題等について、当委員会の「公共料金等専門調査会」の場を活用しつつ検証・評価を行うとともに、これらの課題について関係省庁等が一体となって検討を進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、各公共料金等所管省庁)

16.食品表示一元化(施策番号69、70、75、78、79関係)

  • (1)食品表示に関する一元的な法律について、今通常国会への法案提出に向けて着実に作業を進めるとともに、同法の執行力を強化するための具体的な方策について明らかにされたい。
  • (2)今後の検討課題とされている加工食品の原料原産地表示、遺伝子組換え食品、添加物表示、中食・外食・インターネット販売の取扱い等について、実態調査等を踏まえて早期に課題や問題点等の整理を行い、今後の取組方針やスケジュールを可能な限り明らかにされたい。(消費者庁)
  • (3)食品表示の信頼性の向上に向けて、一元化の対象とならなかった関連法令(景品表示法等)も含めて、関係機関との密接な連携の下、事業者への適切な指導・監督や執行強化に引き続き取り組むとともに、これらの取組による効果や課題等について検証・評価を行い、より効果的な運用に努められたい。(消費者庁、警察庁、農林水産省、関係省庁等)
  • (4)食品表示制度に対する消費者の理解を向上するため、消費者教育や食育と連携しつつ、具体的な取組を進める旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、関係省庁等)

17.健康食品の表示等(施策番号76、77関係)

  • 消費者が正しい情報に基づき適切に健康食品の利用の要否や適否を判断できる環境整備を行うため、当委員会が「『健康食品』の表示等の在り方に関する建議」(平成25年1月)において指摘した各課題(健康食品の表示・広告の適正化に向けた取組の強化、健康食品の安全性に関する取組の推進、健康食品の機能性の表示に関する検討、及び健康食品の特性等に関する消費者理解の促進等)に対応するための方策を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、厚生労働省)

18.消費者教育・啓発(施策番号87、90、93、94、95、96、97、98関係、又は新規施策)

  • (1) 「消費者教育の推進に関する法律」が施行されたことを踏まえ、当委員会が「消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見」(平成24年12月)において指摘した各事項を十分尊重した上で「基本方針」を策定するとともに、関係省庁等による密接な連携の下、基本方針に沿って効果的に消費者教育を推進するため、計画の具体的施策等について必要な整理・追加等を行われたい。(消費者庁、文部科学省、関係省庁等)
  • (2) 消費者自身が社会の一構成員としての自覚を持ち、主体的に行動することが重要である下記のような課題について、消費者教育・啓発への取組を有効に活用しつつ、積極的に取り組む旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、関係省庁等)
    • 消費者自身の意識改革による社会問題への対応(食品ロスの削減、節電、予防医療、CSA(提携農業)等)
    • 消費者と事業者との協働支援(事業者の商品企画・開発への消費者の参画等)
    • 消費者と行政の一体的な取組による悪質業者の排除 等

19.消費者被害救済制度(施策番号110関係)

  • (1)「集団的消費者被害回復に係る訴訟制度」の早期実現に向けて、今通常国会への法案提出に向けて着実に作業を進められたい。あわせて、特定適格消費者団体の設立支援や消費者・事業者(団体)等への周知等、同制度が有効かつ適切に活用されるための方策について検討・実施する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、法務省)
  • (2)「財産の隠匿・散逸防止策」や「行政による経済的不利益賦課制度」の具体的な在り方やその実現のための方策について、できるだけ早期に成案を得た上で、必要な措置を講じる旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、法務省)

20.地方消費者行政(施策番号121・122、122-2、123、124、126関係)

  • 「地方消費者行政活性化基金」等を通じたこれまでの自治体への支援策の効果や課題等について検証・評価を行うとともに、当委員会が「地方消費者行政の持続的な展開とさらなる充実・強化に向けた支援策についての建議」(平成24年7月)等において指摘した各課題(基金終了後における地方消費者行政の体制維持のために必要な財源の確保、消費生活相談員の雇止めの抑止や相談員資格の法的位置づけの明確化等を通じた処遇改善等)への取組方針について、可能な限り明らかにされたい。(消費者庁、総務省、関係省庁等)

21.公益通報者保護法(施策番号130関係)

  • 当委員会の「公益通報者保護制度の見直しに関する意見」(平成23年3月)を受けて実施している法や通報処理制度の実態調査結果等に基づき検証・評価を行った上で、同制度のより効果的な運用を促すための方策について、計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁)

22.情報通信(施策番号153-2、160、161、164、165 関係、又は新規施策)

  • (1) 当委員会の「電気通信事業者の販売勧誘方法の改善に関する提言」(平成24年12月)における指摘事項を踏まえ、代理店を含む電気通信事業者による自主基準等の遵守の徹底を図るとともに、状況が改善しない場合には、法令改正を含めて必要な措置を検討し確実に実施する旨を計画の具体的施策等に明記されたい。(消費者庁、総務省)
  • (2) 情報通信分野における下記の事項に関するこれまでの取組や課題等について検証・評価を行った上で、必要となる方策を計画の具体的施策等に明記されたい。
    • 詐欺的「サクラサイト」商法等のインターネット取引をめぐる消費者トラブルへの対応(消費者庁、金融庁、警察庁、総務省、経済産業省)
    • 情報通信技術の進展に伴う個人情報・プライバシー保護に関する新たな課題(スマートフォンアプリを通じて取得される利用者情報の取扱いやインターネット等を通じて集積される大量のパーソナルデータの取扱い(共同利用のあり方を含む。)等)への対応(総務省、経済産業省)

以上