集団的消費者被害救済制度の今後の検討に向けての意見

2011年8月26日
消費者委員会

 集団的消費者被害救済制度については、消費者庁及び消費者委員会設置法附則第6項において、同法の施行後3年を目途として、「加害者の財産の隠匿又は散逸の防止に関する制度を含め多数の消費者に被害を生じさせた者の不当な収益をはく奪し、被害者を救済するための制度について検討を加え、必要な措置を講ずるもの」とされており、消費者基本計画(平成22年3月30日閣議決定・平成23年7月8日一部改定)において、「平成23年夏を目途に制度の詳細を含めた結論を得た上、平成24年常会への法案提出を目指」すとされている。
 そこで、消費者委員会においては、集団的消費者被害救済制度専門調査会を平成22年8月に設置し、同専門調査会は15回にわたって調査・審議を行い、平成23年8月に専門調査会報告書として取りまとめた。

 消費者委員会としては、関係省庁に対して、本専門調査会報告書を踏まえて、制度の具体的な仕組みづくりを進めることを求める。その際には、さらに以下の点についても留意することを求める。

  1. 今後、集団的消費者被害救済制度の具体的な仕組みづくりを行う過程で、幅広く関係者から意見を聴取した上で、速やかな立法化を目指して検討作業を進めること。

  2. 8月18日に、消費者庁の「財産の隠匿・散逸防止策及び行政による経済的不利益賦課制度に関する検討チーム」の取りまとめが公表された。集団的消費者被害の救済・抑止をより効果的に行うためには、行政的手法を活用することが不可欠であることから、引き続き、取り組むべき課題について検討を進めること。

  3. 今回は、現行の民事訴訟制度の大部分を所与のものとして検討を行ったが、中長期的には、今回の立法による救済の対象からはずれる類型の集団的消費者被害や、さらには個別の消費者被害における被害回復の実効性を高めるという観点から、証拠収集等を含む民事訴訟制度全体の見直しについても考えていく必要があること。

  4. 集団的消費者被害事案の中には、刑事捜査によらなければ事案の解明や収益の所在の確認に至らないものが相当数含まれており、今後も、刑事的手法の重要性は減じるものではなく、新たな被害救済制度と適切な役割分担を検討すべきであること。