「国民生活センターの在り方の見直し」に関する検討についての意見

2011年7月15日
消費者委員会

 消費者行政の実施機関としての一翼を担う国民生活センターの在り方の見直しへ向け、消費者庁と国民生活センターはタスクフォース(作業部会)を設置し、5月の「中間整理」を踏まえ、今夏にも同センターの機能を消費者庁に移管・一元化することについての最終報告をとりまとめる予定であるとしている。
 消費者委員会は6月10日、国民生活センターの消費者庁への一元化には多くの懸念があり、その懸念が現実化する可能性が高いことから、「慎重に検討を深める必要がある」とする「意見書」を消費者担当大臣等に提出し、現在の段階では結論を急ぐべきではないと申し述べた。この消費者委員会の「一元化に対する懸念」は、47都道府県・19政令指定都市を対象とした調査結果、さらに、消費者団体、事業者団体、研究者等からのヒアリング結果を踏まえてまとめたものであり、幅広い国民の意見を反映させた極めて重い内容である。
 ところが、同意見書発表以降も、消費者庁からは、懸念を払しょくする説得力ある回答はない。新しい「消費者基本計画」でも、多くの反対があるにも関わらず、国民生活センターの一元化という文言を入れた計画として閣議決定するなど、国民生活センターの消費者庁への一元化は、今夏のとりまとめへ向け、既成の事実として位置付けられているようにも思える。
 そこで、消費者委員会では、6月10日の意見書の主旨に沿って、次のような検討体制の整備を強く求める。

  1. これまでのタスクフォースの検討成果等も含め、消費者・消費者団体、事業者・事業者団体、有識者・研究者等の参加による「検討会」を新たに設置し、その検討会の審議は公開で実施すること。現在のタスクフォースでの検討が最終結果にならないことを明確にすること。

  2. 新たに設置する検討会は、かつての「消費者行政推進会議」のような、内閣もしくは担当大臣が責任を持つ合議体にすること。

  3. 消費者庁、消費者委員会、国民生活センターを中心とする消費者行政体制をさらに強化していく上でどのような体制整備が必要か、など、幅広い視点からの検討に取り組むこと。その検討に際しては、当該組織担当者(消費者庁長官及びその職員、消費者委員会及び事務局並びに国民生活センターの役職員)はオブザーバーとしての参加に限ること。

  4. 一般に組織の在り方の見直しに当たっては、当該組織のそれまでの成果を、経済性、効率性、有効性の観点から検証することが必要なことから、国民生活センターについても、新設される検討会で、速やかに同センターの成果等についての検証にも着手すること。少なくとも過去2年間の外部評価の結果を検討の前提にすること。

以上