消費者基本計画の平成22年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しについての意見

2011年6月10日
消費者委員会

 消費者基本計画の「平成22年度の実施状況に関する検証・評価及び計画の見直しの素案」について、以下のとおり意見を述べる。
  1. 震災対応に関する施策
     東日本大震災、東京電力福島第一原子力発電所の事故を受けて、消費者施策も充実を図る必要がある。具体的には、次の項目について、新規施策とする、あるいは既存の施策の拡充を図るべき。
    • 放射性物質対策の推進(食品、水を中心にモニタリングや情報提供の充実)
    • 被災地の相談体制の支援
    • 多重債務、生活再建に絡む相談体制の強化と救済策の検討
    • 住宅修繕やリフォームによる消費者被害の防止のための体制整備
    • 震災に便乗した悪質商法対策と情報提供
    • その他、震災対応に関連する消費者庁等における情報提供

  2. 消費者委員会の建議・提言に関する施策
     消費者委員会の建議・提言に関連する項目については、以下のとおり、その内容および対応について「平成22年度の具体的施策の実施状況に関する検証・評価」中の「今後の取組方針」に盛り込み、さらには、「見直し」に生かすべき。
    • 未公開株等投資詐欺被害対策について(提言)
       消費者委員会の提言もあり金融商品取引法改正に結びついている。その旨にも言及すべき。(施策番号60番)
    • こんにゃく入りゼリーによる窒息事故への対応及び食品の形状・物性面での安全性についての法整備に関する提言
       現在、具体的施策に取り上げられていないが、平成22年度は消費者庁としてこの問題に取り組み、消費者委員会から提言もしており、見直しに生かすべき。
    • 自動車リコール制度に関する建議
       「消費者委員会の建議を踏まえながら必要な措置を検討し、委員会に検討状況を報告した」とあり、前向きな対応をいただいている。さらに、具体的な実施状況についても盛り込むとともに、今後とも具体的な措置を講じていただきたい。(施策番号8番)
    • 決済代行業者を経由したクレジットカード決済によるインターネット取引の被害対策に関する提言
       平成22年度の具体的施策の実施状況に関する検証・評価、あるいは、今後の取組方針において、委員会の提言に言及すべき。(施策番号153番)
    • 有料老人ホームの前払金に係る契約の問題に関する建議
       都道府県に表示の適正化について指導の徹底をするとしているが、少なくとも、まず「現状把握につとめること」も施策に盛り込むべき。(施策番号58番)
    • 地方消費者行政の活性化に向けた対応策についての建議
       委員会では工程表の作成を消費者庁に求めている。見直しでは「消費者委員会における審議結果なども参考とし」となっているが、地方消費者行政活性化基金、住民生活に光をそそぐ交付金などの検証、工程表の明示、消費者委員会への報告に言及すべき。(施策番号122番)
       また、景表法の執行体制の強化について、委員会の建議において、「法制上の見直しについて検討する」としている点も見直しに生かすべき。
    • マンションの悪質な勧誘の問題に関する建議
       特商法の適用除外分野での消費者被害が目立つ。宅建業法に限らず情報・通信分野などの検証も必要とし、施策に盛り込むべき。(施策番号43番)

  3. 個別の施策に関する事項
    • 施策番号69番
       食品表示一元化に向けてのプロセスの明示と消費者委員会の意見を聞くとすべき。その際、既存の法律(たとえばJAS法など)の見直し、消費者庁で検討している栄養成分表示などの新しい表示の仕組みを、制度設計の中にどう組み込むのかわかるようにすべき。
    • 施策番号70番
       消費者委員会原料原産地表示拡大の進め方に関する調査会において現在検討中であることから、見直しには、「消費者委員会の審議結果も参考にし」を盛り込むべき。
    • 施策番号87番
       今後の取組方針、さらには見直しにおいて、消費者教育推進会議の年度における開催目標、検討すべき議題など具体的なスケジュール、内容を明示し成果を得るとすべき。
    • 施策番号106番
       地域の高齢者に身近な、地域包括支援センターなどによる消費者被害防止に取り組む施策だが、見直しでは成年後見制度の申し立ての助成など、違う施策に変わっている。担当省庁に消費者庁を加え、地域包括支援センターを核とする施策の充実を盛り込むべき。
    • 施策番号130番
       「消費者委員会報告等を踏まえ、法や通報処理制度の実態についての調査等を行います」とあり、前向きな対応をいただいている。さらに、具体的な実施状況・制度の実態についての調査等の実施計画等についても工程表に盛り込むとともに、今後とも必要な措置を講じていただきたい。
    • 施策番号155番
       今後の取組方針にプロバイダ責任制限法の見直しが必要とし、検討に取り組むことを盛り込むべき。
    • 施策番号166番
       「社会保障・税に関わる番号制度」の検討状況についても、本施策へ影響が出てくると思われるので、今後の取組方針、見直しで言及すべき。
    • 施策番号168番、169番、170番
       今後の取組方針、さらには見直しにおいて、それぞれの活動で得た情報を積極的に消費者へ提供することを盛り込むべき。
    • 新規施策
       ・ユッケなど生食用の肉の安全確保、表示の確立