「消費者問題シンポジウム in 静岡」を開催しました

  • 開催日時 平成26年7月12日(土)13:30 から 16:30
  • 開催場所 ALWFロッキーセンター(静岡県静岡市葵区黒金町5-1 静岡県勤労者総合会館3階)
  • 主催 内閣府消費者委員会、消費者問題ネットワークしずおか
  • 後援 静岡県、静岡市、静岡県弁護士会、静岡県司法書士会、静岡市PTA連絡協議会
  • 当日のプログラムは資料1(PDF形式:186KB)1ページから2ページPDFを別ウィンドウで開きますになります。
  • 資料集は消費者問題シンポジウムトップページに掲載しています。

「消費者問題シンポジウム」とは

消費者委員会の委員が地方に出向き、消費者のみなさま、関係各団体のみなさまの声に直接真摯に耳を傾け、問題の解決に効果的に取り組むために、地方の関係団体や自治体などと連携し、意見交換等を開催するものです。

静岡での会合の様子を紹介します

会場の様子
(会場の様子)

写真集(PDF形式:174KB)PDFを別ウィンドウで開きますはこちらから御覧いただけます。

「消費者問題シンポジウムin静岡」は消費者委員会と消費者問題ネットワークしずおかが主催し、平成26年7月12日(土)、静岡市の都心にあるALWFロッキーセンター(静岡県勤労者総合会館3階)で開催されました。
当日は台風8号の影響もなく、晴天に恵まれ、静岡県、静岡市をはじめ近隣の県や市の消費者行政担当者や相談員のほか、消費者団体、弁護士、司法書士、事業者、大学関係者、一般消費者など120名の参加がありました。

開会挨拶を行う小澤副代表
(開会挨拶を行う小澤副代表)

冒頭、消費者問題ネットワークの小澤吉徳副代表より、「消費者教育の推進に関する法律が平成24年にでき、基本理念、国、地方公共団体の責務、努力義務が多数定められているところではありますが、実際に何を具体的にやるかは、今日ご参加されている皆様の力により具体化していく作業がこれから最も問われている大事なことだと思います。是非そのあたりのヒントをつかんでもらって、そして各地元の団体に持ち帰って、それをまた各団体でネットワークを組みながら消費者教育の具現化をしていければと思います。」との開会挨拶がありました。

基調講演を行う河上委員長
(基調講演を行う河上委員長)

シンポジウムは河上正二委員長による基調講演「消費者委員会の活動と消費者教育」で始まりました。消費者委員会の役割と活動について「消費者委員会がどういうことをするかというと3つの機能がある。1つは、諮問を受けて、その諮問に対して審議をし、答申を出す、審議会機能。2つめは、実際に各省庁がうまくできているかどうか、課題はないか、ヒアリングをし、チェックをし、意見を申し上げたり、場合によっては建議を出す、行政監視機能。3つめは、国民目線で、できるだけ意見を政策に反映してもらう、国民との間でのパイプの機能があります。消費者目線で国の消費者政策全体に対して監視や提言、建議などをやろうということで頑張っています。設置法の規定によりますと、消費者委員会から出された建議等については、関係省庁はこれを尊重すべき義務があるというところまで書き込んでくれているので、その意味では大変強力な権能を持っている。静岡の特産品のわさびのようにぴりっとからい、日本のわさびとして頑張っていきたいということであります。」と説明がありました。
消費者教育については、河上委員長自身が法律を教えながら考えたことについて、「消費者教育だからといってこれをやらなければいけないということはないのではないか。人間が生きていく中で、生きる力を育てるということ。環境について考えながらものを買う。法律について考えながら権利を行使する。ごく一般の市民として成長していくためにどういうことが必要なのかということを皆で力をあわせて考えていくということが大事なのだろうと思います。」と述べました。また消費者教育推進法の制定について、「契機の一つに、東日本大震災がある。消費者が食料品や水やガソリンなどを買いだめに走った。消費者がもう少し必要な情報を得て、自主的かつ合理的に行動できるようにということがずいぶん話題になった。これには消費者教育だという話が、法律制定につながった面がある。」と述べました。よき消費者とは何かについては、「何が必要なものかについて、自分なりに自分の好きなものを、責任をもって選べるということが大事。」と述べました。「ややもすれば、こんな危ない消費者トラブルがありました。ここに気をつけましょう。こういう時はこういう法律があります。というのが消費者教育のように思うかもしれませんが、生半可な法律知識ではかえって危険でもあり、それは専門家にまかせる、相談する余裕をもつ。静岡県庁で「ちょっとまて」という標語がありましたが、ちょっとまて、そして専門家に相談しましょう、それくらいの常識でかまわないと思う。いずれにしても価値を選択する際に一定のセーフティーネットが張られていることを知っておくという程度の意味で消費者教育には意味がある。そのうえで各人が、選択的行動の利害得失を考え、私的利益・公共利益に目配りしながら、責任ある選択行動をとるということが総合的な人間力として大事である。」「例えば、賞味期限と消費期限の違いを理解することも大事だが、それ以上に、口に入れたときにおかしいと思ったら吐き出す、これが大事。子供たちにもそういう生きる力を持っていただきたい。」「消費者教育推進法で、皆でいろんなことを、ネットワークを通じて考えるということは、実は子供に教えるということ以上に自分が学ぶことに通じると意識したほうがよい。消費者教育の知識を自らも深めていく。それを見ながら若い子たちが育っていくくらいの間接的な影響でも構わないのではないか。」「健全な市民としてふるまうための教育とか生きる力をつけるための教育が重要であって、あまり消費者教育とか消費者市民教育という看板にこだわる必要はないと私は思います。教育にたずさわる主体も様々で、農水の関係の人は食育を、環境の関係の人たちは環境教育を、もちはもちやがおりますので、自分たちが子供たちを育てていくうえで何ができるか知恵を絞りあうことが大事で、被害にあわないためにこんなことに注意しましょうといった狭い意味での消費者教育にとらわれずに、広い意味で柔軟な消費者教育、人間教育が大事だろうと思います。望ましい市民、望ましい消費者というのは、これは「教える」ことではなく、皆の「課題」だと思います。あとのシンポジウムの中で具体的にいろんな議論を聞かせていただけるのを楽しみにしています。」と述べて、次の講演者である色川卓男教授につなぎました。

基調講演を行う色川教授色川教授の基調講演の様子
(基調講演を行う色川教授)  (色川教授の基調講演の様子)

色川卓男教授は、「地方における消費者教育の推進について」の講演を行いました。はじめに、今なぜ消費者教育が求められているのか、3つの背景について説明がありました。「1つ目、今日の消費者問題の多さ、昨年度92万件の消費者相談がありました。消費者庁推計では6兆円の消費者被害が発生しているとのこと。昔からあったパターンの被害が相変わらず続いている。また、高齢者の増加以上に相談件数が増えているということ。今日の消費者問題が非常に重層化し複雑化しています。2つ目、持続可能な社会。消費の視点から考える持続可能な社会が問題となっていること。さらに3つ目は、21世紀型消費者政策に対応するため。消費者基本法の中で格差の是正とあるように、消費者と事業者は最終的には同じ立場になりましょうというものがあります。そのために必要なものが2つ、事業者を規制すること、消費者を支援することです。消費者の支援、この1つの中に消費者教育があります。20世紀型とは、規制を強めた形で消費者の前にまともな事業者だけ残し、間接的に消費者を守るもの。21世紀型とは、規制を緩め、そのかわり支援を強めましょうというもの。まさに消費者教育が必要となってくる。」と述べられました。次に、アンケート調査などのデータから消費者教育の現状が説明されました。「消費者教育を受けたことがある人の割合(内閣府2008「国民生活白書」)や最近の消費者庁が昨年度とられたものでも、1割くらいの方が受けたことがあるという結果があります。また、教育を受けたことがある年代で多いのは15から19歳であるが、学習指導要領にも書かれており、教科書にも必修的に出ているので当然教わっていてもいいものだが、教わっているという意識の人が15歳から19歳でも半分を切ってしまう。やっているけど記憶に残っていない。形はできているけど、中身が抜けているのが現場の実態であります。」「消費者教育を受けた場所(2013消費者庁「消費者意識基本調査」)では、一番多いのは学校であった。学校現場でなんとか消費者教育を推進しないとやはりだめなのだろうと思います。」「実際、政策的に何もしてなかったわけではなく、いろいろやっていたわけですね。総務省のデータ(総務省2014「消費者取引に関する政策評価」)でわかるように、消費者教育・啓発には、ここ5年間で100億円くらい使っている。ものすごいお金をつぎ込んでいます。しかし実際多くのお金が使われているのはテレビコマーシャル、あるいは、例えば静岡ではラッピングバスや、駅の広告など、簡単にいえば、お金の額は大きいけど手間があまりかからないものに対してです。教材は、手間はかかるが、お金はあまりかかるものではない。もちろん、教材もそれなりに買っています。では、これで学校現場にも教材が出回ったかというと、東京都生活文化局のデータ(「消費者教育に関する実施状況調査」(2013)高校の回答)では、推進に必要なことに、半分以上が教材の作成、配布が必要だと回答しています。つまり教材が出回っているはずなのに現場ではまだほしいと言っている。また活用できる教材が少ないとまで言っている。何かおかしいですね。教材にたくさんお金つぎ込んでいるから、何かしら学校現場に支援が行われているはずなのですが、高等学校における教材の活用状況(総務省(2014)「消費者取引に関する政策評価」)では、利用されたのは2割程度。配布しても2割弱しか利用されない。行政が一生懸命取り組んでもなかなか現場まで浸透させるのは難しいことがわかります。」「活性化基金が使われているにも関わらず、なかなか推進ができないという問題が今はある。今まではお金がなかったからできないといってきたが、今はお金がある。それでも推進できない。この状況は深刻に考えないといけないし、この状況を変えていくには、相当な覚悟がいる。」と述べられました。また、「先ほど河上委員長の講演で、東日本大震災が推進法の契機とありましたが、確かにそうだと思いますが、もう一方で、消費者保護基本法の時代1960年代後半から消費者教育が大きな柱として言われてきたはずなのになかなかすすまなかった。この状況をなんとかしたいということで推進法ができたという側面もあると思います。これを機会に、行政機関も消費者団体も学校現場も今まで取り組んできた活動をもう1度振り返って考える必要があるなと思います。現実の厳しい状況を考えて推進を考えていかなければいけない。」とこれまでの活動を振り返る必要性について述べました。また、「実態を見るときに(消費者庁の)イメージマップをよく利用するが、これにあてはめる時にやった、やっていない、ということではなく、どのくらいやったかが大切。やっていても取り組みとしては弱い可能性がある。深さ・質が大切、イメージマップを立体図で捉えることが重要。」「計画を立てるときはできるだけ具体的に設定し、「選択と集中」も考慮することが重要。時間がない、人がいないこともよくわかる。そういうことを考えると総花的なことはできない。期間を区切って、的を絞った形でやるしかない。」と述べられました。地域協議会については、「県や市以外のところが地域協議会や推進計画を作るとなると、まったく審議会がないところでやることにもなるが、協議会そのものが母体になってこれから推進していくんだという気持ちを持たれることが大事。特にマンパワーが弱い、人がいない、うまくいかないという小さな自治体こそ協議会を設けて推進母体とすることはとても有効ではないか。下手に計画、計画と言わず、まず協議会を作って、なんとか消費者教育を少しでも進められないかと考えていく、そういうことがとてもいいきっかけになると考えます。」と述べられました。
最後に、「出前講座では、しずおか市消費者協会さんには啓発劇団ハナミンというものがあります。こういったものが全国各地にある。ところがこういうものをお互い見せ合う場がない。全国大会のようなものがあればいいと思います。出前講座を学ぶ機会が必要。そういう場を国が設けることが必要ではないか。是非考えていただきたい。」「消費者団体の我々も担い手だという意識を持たねばならない。言いたいこと言って終わりになってはいけない。自分たちの活動に関しては振り返ることが大切。どんなにいいものを作ったと思ってもニーズ、お客様がいる。お客様が納得しなければまったく意味がない。そういう繰り返しをしてはじめて活きる。反省(リフレクション)を踏まえて着実に前進することが大事。」と締めくくりました。

休憩後、パネルディスカッションが行われました。パネリストは消費者庁消費者教育・地方協力課の尾原知明企画官、静岡市生活文化局市民生活部消費生活センターの櫻井由香氏、消費者委員会の夏目智子委員、静岡県司法書士会の増田真也副会長、コーディネーターは静岡大学大学院法務研究科の宮下修一教授が務められました。
冒頭、消費者委員会の夏目智子委員より消費者委員会での消費者教育の推進に関する基本方針の策定に向けた意見の概要について、消費者庁の尾原知明企画官より消費者教育推進法と消費者教育推進会議の概要、地方消費者行政活性化基金の先駆的プログラムについての概要、消費者教育推進計画にある推進計画の策定の概要について、静岡県消費生活センターの櫻井由香氏より静岡市消費生活センターの概要、静岡市の消費者教育に関する活動の概要、静岡市における消費者教育推進計画の策定と課題について、静岡県司法書士会の増田真也副会長からは静岡県司法書士会における消費者教育の取り組み、高校生法律講座の紹介やその課題について説明がありました。

その後、コーディネーターの宮下修一教授のもと、以下のテーマを軸に討論が行われました。

  • 1)制度の枠組みについて
  • 2)具体的な消費者教育をどう進めていくかについて

コーディネーターの宮下教授パネリストの夏目委員パネリストの尾原企画官パネリストの櫻井氏パネリストの増田副会長
(コーディネーターの宮下教授、パネリストの夏目委員、パネリストの尾原企画官、パネリストの櫻井氏、パネリストの増田副会長)

各パネリストから次のコメントがありました。
「消費者問題に巻き込まれていても、問題が悪化するまで放置し、被害が大きくなるケースがある。自分でどのように対応しなければならないか解っていない消費者がいる。消費者教育が不足していると感じる。」「事業者側にも、従業員に対する消費者教育を通じて、消費者問題への対応を検討してもらいたい。こうした活動は結果として事業にプラスになる。」「静岡市の昨年実施した市民アンケート結果からは、消費者教育はやはり学校教育が重要との認識が高い。消費者教育推進校の設置を計画している。高齢者の消費者被害については、推進地区を設置し、見守り協議会を通じて出前講座を実施する計画。」「消費者教育推進会議、地域フォーラムの開催(6地域)、ポータルサイトの利活用、これら3つのルートを通じて、地域の声、ニーズを吸い上げ、これを消費者教育に関する施策に反映させることを考えている。」「静岡市の教材(エブリディ消費者)の利用状況と課題については、アンケートによると、実際使った方は好評であったが、教材を知らないというケースもあった。また、学生側にも意識が低い学生もおり、今後の教材開発に活かしていきたい。」「静岡県司法書士会の会員約485名のうち、60名が高校生法律講座の講師登録をしている。ただ、県内全校となると、数が足らない。また、独自の教材で行っているが今後は教育担当者や市の担当者と協働して教材の開発を行うことを考えている。」「教材コンテンツはポータルサイトで対応。予算面について先駆的プログラムを昨年度から取り組んできた。消費者教育の実施についてメニュー方式で行っているので、地域の特性を取り入れた消費者教育を展開していただき、その情報を全国に発信する仕組みを作っている。」「学校現場では色々な業務が降りてきているので、消費者教育のみを取り上げることができない、と言われる教師の方もいる。消費者教育に個別に取り組んでいる教師にお願いするほかはないような状況。」「現場の中での個別的な対応も大切だが、制度的なアプローチも重要。組織として広がりをもつことは大切。」「消費者教育の分野は非常に範囲が広く、また取り組んですぐ効果が出る性質のものではない。教育をする側はただこなしたり、形式的になりがちな所がある。関係団体でお互いにチェックしあえる環境作りや情報の一元化が大切」「今後の消費者教育推進の展開については、例えば、今回シンポジウムに参加された方に、まず我々のメッセージが伝わっているかが重要。参加された方には皆さんのバックボーンにメッセージを伝えていただきたい。こうした活動を積み重ねることでより深化させることが重要。」「推進計画を作成するにあたり、コーディネーターが一番の課題。シンポジウムに参加された皆様に是非ご協力頂きたい。」「消費者教育は生きていくための知恵を身に着ける場。」「世の中の動き、経済の方で規制緩和が進んでいく社会。事後規制となっていく。そこから派生する問題に対して消費者がきちんと対応できる力をつけていくとともに、他方で、規制緩和と同時に規約や業界の自主ルールなどの法律ではないガイドラインなども進むと考えられる。今日参加された方は、是非そういう議論の場に入って頂きたい。議論を交わしてよりよい社会を作って頂きたい。」

パネルディスカッションで意見を交わすコーディネーターの宮下教授とパネリストの皆さん
(パネルディスカッションで意見を交わすコーディネーターの宮下教授とパネリストの皆さん)

フロアからは、「消費者教育の推進に関する法律で、事業者・事業者団体はなぜ努力義務なのか。消費生活は消費者と事業者との間の直接の取引が主であって、その主体である事業者がなぜ努力義務なのか。どういった経緯があるのか。」「学校教育をもっと推進できればとお話があったが、教育委員会から話があるものはすんなり入っていくが、そうでないものはなかなか受け入れられていない。消費者庁から教育委員会に働きかければもっとはやく進むのではないか。」「先駆的事業の取り組み、予算について。単年度の予算に縛られず、実質的にどういう効果があるかに着目して2から3年で考えるような予算の措置ができないか。」「30億円の活性化基金について地方自治体を通して消費者教育に資金を提供しようという考え方は分かるが、地方で一生懸命、消費者教育を推進している消費者団体の直接補助や支援といったことも考えて頂きたい。」「消費者教育推進地域協議会の設置の要望を各地区の自治体に提出した。これだけ消費者被害がある中ではあるが、財政の問題や、努力規定ということもあり設置が進んでいない。県にも働きかけたが、主体は、市・町ですとの回答。地域推進協議会についても、努力義務ではなく、福祉事務所がある自治体については設置するよう指導をしてほしい。」「また、財政的な問題は活性化基金があるが、非常に使いづらい。利用しやすくして欲しい。」などの活発な発言がありました。

最後に、河上正二委員長が「消費者教育の問題は、息の長い活動にならざるを得ない。一朝一夕に若い人たちを育てていくことは難しい。皆が集まりやすい環境とか、フォーラムを作って、いろいろな知恵を出し合う場を整備する、これは行政が最初の段階では取り掛からなければいけないこと。上から内容をおしつけるということではなくて、フォーラムの「場」をつくるということについてはある程度行政が上からテコ入れしていくのは必要なことである。また、今日は、事業者自身の考え方を消費者目線に持っていってもらったり、場合によっては、従業員に対して消費者教育をして頂くというのは消費者教育の中でかなり重要な意味をもつと改めて感じさせられた。教育は、100人に話して、100人に理解してもらえるものではない。100人に話して10人の人が、消費生活にはこんな問題があるんだなと、問題意識をもって受け止めてくれる。100人のうち10人くらいが問題意識を持ってくれるような場を根気よくつくる。10人できれば大成功。そういう消費者教育の場を作って、そこで何を教えるかということを一生懸命、皆で考える。そういう作業を繰り返していくと社会は必ず変わっていく。そういう意味では消費者教育は、なかなか成果が見えにくいもの。息の長い作業として取り組む覚悟が必要。消費者教育の担い手については、今日来られた皆さんが一粒の麦です。一粒の麦が実ってその輪を広げていく。消費者教育の担い手は輪を広げていくということがとても大事。」と総括して、会合は終了しました。

参加者のアンケート結果から

会場では参加者にアンケート調査を行いました。アンケートには、「学校教育での取り組みも大切だが、大人に対しても何らかの学習会が必要かと思います。痛い目に合わないと大切さや興味がない分野ではありますが」「現場の先生に情報が届いてない点やセンターの相談員として今後どのように活動していくかコーディネーターという視点も含めて考えていきたいと思いました。」「高校、大学の論文型の試験、試験科目に消費生活を入れたらどうか」「子供に関する消費者問題は親をもっと巻き込む方法を考えて欲しいと思います。親がもっと興味を持ち参入すべきだと思います。子供が危険に巻き込まれてからではおそいので。子供も親に守られている気持ちが強くなりますし、親子関係も良くなり、さらには地域にも目を向けられるようになり、高齢者の見守りなども元気のある中高生に興味を持ってほしいです。」「「消費者市民社会」という言葉は、たくさん出てきているが、漠然としているのでもっと一般の人に浸透するように広報すべきだと思う。」「これから教員になる大学生への消費者教育が必要だと思います。その点についての推進もより一層よくなると嬉しいです。」「地方自治体の財政はひっ迫しており、消費者行政のための自主財源を確保するのが難しい状況です。金額は少なくとも継続、恒常的な補助金制度を確立していただきたいです。」「地方における消費者教育の推進に関連して消費者が勤務する企業へのアプローチが効果的と考える。具体的には商工会議所との連携があろうと思う。」「事業者教育も必要と思います。説明義務・適合性原則など周知できる広報活動をして頂きたいと思います。」など、数多くのコメントが寄せられました。

静岡県庁への表敬訪問

開催前日である7月11日(金)午後、河上正二委員長は表敬訪問のため静岡県庁を訪ね、髙秀樹副知事へ後援のお礼と当シンポジウムついてなど説明し、地方消費者行政についてなど幅広く意見交換しました。
続いて、静岡市の秋山政廣市民生活部長と懇談のため静岡市役所を訪ねました。静岡市へ後援のお礼を述べ、昨今の高齢者の消費者被害や静岡市の消費生活センターの状況や消費者教育の推進について意見を交わしました。その後、静岡県中部県民生活センターを視察しました。

静岡県副知事室で髙副知事(右)と河上委員長(左)で撮影
(静岡県副知事室で髙副知事(右)と河上委員長(左))