第494回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2026年6月29日(月)10:00~12:03

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、善如委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員
  • 【説明者】
    SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部賠償・労災グループ
    PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント 安藤氏
    伊藤弁護士
  • 【事務局】
    小林事務局長、吉田審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議(製品安全)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、おはようございます。本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。ただいまから、第494回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、善如委員、そして私、鹿野が会議にて出席しており、今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。

なお、中田委員、山本委員は、本日、御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議(製品安全)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議の一環として、製品安全について御議論いただきます。

本議題に関しては、6月22日の第493回本会議において、消費者庁及び事業者をお招きし、消費者庁における製品安全に関する取組状況や、事業者から見た製造物責任法の意義と課題等について意見交換を行いました。

本日も、前回に引き続き、事業者及び有識者からヒアリング及び意見交換を行いたいと思います。本日は、コンサルティング事業者からみた製造物責任法の現状と課題について、SOMPOリスクマネジメント株式会社から、また、相談・訴訟実務における製造物責任法の活用状況と課題について、伊藤弁護士から御発表いただき、意見交換を行いたいと思います。

改めて御紹介させていただきます。本日は、SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部賠償・労災グループPL・リコールチームリーダー上級コンサルタントの安藤様、それから、弁護士の伊藤様に会議室にて御出席いただいております。

本日は、お忙しいところありがとうございます。

本日の進め方ですが、まず、SOMPOリスクマネジメント株式会社の御発表が終了したところで質疑応答、意見交換の時間を40分程度取らせていただき、その後、伊藤弁護士の御発表が終了したところで質疑応答、意見交換の時間を再び40分程度取らせていただくという予定にしております。

それでは、早速ですが、最初に安藤様、20分程度で御発表をお願いいたします。

○SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部 賠償・労災グループ PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント安藤氏 改めまして、よろしくお願いいたします。私、SOMPOリスクマネジメント株式会社のカジュアルティコンサルティング部でPLやリコールに関するコンサルを行っております安藤と申します。本日はよろしくお願いいたします。

本日、「コンサルティング事業者からみた製造物責任法の現状と課題」ということで、少し意図と違う部分もお話しする内容があるかもしれませんが、私の業務であったり、過去経験した内容の実態をお話しさせていただければと思っております。20分なので、簡単に御紹介となると思っておりますが、よろしくお願いいたします。

まず、簡単に自己紹介ですけれども、私、経歴に書いてあるとおり、もともと自動車部品メーカーのほうで本社品証と工場の現場の品管を経験しておりますので、ものづくりの現場のほうを理解しているということで、現職に入っております。

SOMPOと頭についているとおり、SOMPOジャパンという保険会社のグループ会社の位置づけになりまして、ただ、プロパーの保険担当ではありません。コンサルを行っているという立ち位置になっております。主なコンサル実績等書いてありますが、この後、具体的に業務がどういう内容かと、ポイントなどを話していければと思っております。

御報告の内容について、事前にこういう内容をとお伝えいただいていたので、この3つを大きくお話をしていければと思います。

1つ目が事業者からの相談状況について、2つ目がいわゆるPL関連のトラブルと製造物責任法の役割についてということで、私、製造物の賠償責任等についてのコンサルを行っておりますので、その内容について簡単に御紹介できればと思います。

最後に、本当にこれも簡単にですが、日本のPL法についての課題と今後について、私の所見を述べさせていただければと思っております。

1つ目、事業者からどういう相談が来るかというところで、特にPL法とかPS(製品安全)が関わるような内容についてまとめてみました。

大きく4つあるのですけれども、1つ目が海外の法令・事例調査等をやっております。主にグローバルに展開している大企業からの依頼が多いですが、リスクが高いということでアメリカはどうなのかというお話が多かったりとか、あとは未知の国、アジアやその辺りの要望が来るというのが実態です。

PL法という観点では、やはり調査を依頼してくる企業というのは、法務部門や開発部門が多いので、日本のPL法というのはある程度把握をしているが、海外がどうなのか、そもそも存在するのかなどを把握することが目的となっているかなと思っております。

ただ、細かい法令上の項目も当然必要があると思いますが、どちらかというと海外のその地域のPLリスクの実態を把握したいということで、事例がどういうものがあるのかなどを知りたがる傾向にあると思っております。

続いてセミナーです。講演なども行っておりますが、これは品質管理部門から主に多く来ると思っております。こちらはメーカーが主ではあるのですが、まれに商社とか販売事業者、ちょっとPLの意識が低いから啓蒙してほしいのような要望が来ることもあるというのが実態です。

PL法という観点で見ると、当然依頼部門はPL法理についてある程度精通していると思っていますが、私も部品メーカーにいましたが、PLと聞いても、正直、前職のときはピンとこなかった可能性が高いです。どちらかというとふだんの業務では品質という話が多く、自動車だったのでリコールにはかなり敏感でしたが、PLと言われてもあまりピンとこないということが多かったということで、依頼されている各部門でも、PLの法理の詳細までは把握はしていないと思います。逆に、こういうセミナーを聞いて、初めてこういうものがPLなのだな、気をつけなければいけないのだなというところを知るというのが実態と思っております。

依頼されている中には、PL、PSに関しての社内啓蒙の一環として、年内に必ず1回このような講演をして意識醸成をするという企業も見受けられるので、こういう企業は当然醸成されている企業と思っております。

続いて、物自体を見るというサービスをやっておりまして、PLリスク分析や表示物レビューなども行っております。この内容は主にBtoC製品を初めてやる、新規事業としてやるがどうしていいか分からないのようなところが多いので、大手メーカーなどからは依頼は少なく、どうしていいか分からないというところで相談が来るという実態です。

これで特に私が思うのが、ポイントの1つ目に書かせていただいておりますが、そもそもPL法の理解が乏しいかなと思います。部品メーカーのようなBtoB事業では、なかなかBtoC製品は関連しないので、依頼内容のところにPL法違反にならない取説としたいとか、PL法の基準に沿った製品かチェックしてほしいというような依頼が来るのです。賠償責任法なので基準や技術規格という話ではないのですが、そこの理解も乏しく、そこを説明していくところからスタートしていくというのが結構多いかなと思っております。ただ、傾向として、いろいろなビジネスをやっていこうという事業者が増えているかなと思っているので、その感覚を持っているような企業は増えていくと思っております。

最後に、アドバイザリーということで、製品の事故が起こってしまった、リコールをしようと思っている、のような相談を受けることもあります。その場合は、R-Mapを使ってはどうかなどいろいろと相談をするという形です。こちらは企業の大小を問わずに相談が来ることが多いです。大手企業であっても、自分で対応したことがないので、この判断で正しいのかが分からないということで、依頼が来ることがあります。

当然ですが、まず大前提として、PL法の欠陥に該当するかや、誤使用がないかなどから進んでいくので、PL法が前提となって話はしていきますが、当然こちらに相談が来るぐらいなので、かなり複雑な内容だったり、判断が難しい内容が来るというのが実態だと思っております。なので、どちらかというと詳細にどう対応していけばよいかを悩まれるところが多いと思っております。

まずこれが一般的に私どもに来る依頼の内容ということと、それに対するPL法のポイントと思っています。

続いて御報告してほしいと言われたのが、社会情勢の変化によって依頼の変化があるかという話ですが、全般論としてはやはりそこまで大きな変革があるわけではないかなと思っています。ふだん受けていた依頼の内容に加えて、今からお話しするような一部こういう内容もあったとご覧いただければと思います。

1つ目が海外企業を含めたコーポレート横断でのPL規定の見直しというのがありまして、買収やM&Aで海外企業と一緒になり、多角化していっている結果、もともとものづくりメーカーとしてやっていたPLの規定では、全社包括で見たときに解釈がおかしくなるというような事態が起こったということで、それを適用可能な状態にしたいということで、そのアドバイスを行うようなことがありました。

ポイントとしては、ビジネスがグローバル展開していくこと、多角化していくということで、従来国内のみ想定していた規定がうまくいかなくなるというようなことが実態で起きているのかと思っています。

また一部ですが海外法理との差、今回も中心になってくるEUの法理のほうとも差が出てきているというところだったり、アジアであればPL法がない国もあるので、完全統一化は結構難しいという前提で動かなければいけないというのが今の実態かと思っております。

2つ目が、欧州の新PL指令に対する製品適合調査ということで、自社の取り扱っている製品で欧州に出しているような製品が果たしてこの新しい指令で対象になるかならないかと。なるのだったら、どういうふうに対策を講じればいいかというところで相談を受けました。正直、PLというのは賠償責任法なので、これに対して対策は何を講じればいいという具体的な内容があるという話ではないとは思っていますが、当然企業から見たリスクは高くなるという観点になりますので、よりその品質レベルを上げる、事前の設計をより強固にしていくなどが必要なのかということで、相談には乗ったという内容になっています。やはり、気にされていたのは特にソフトウエア系のお話で、日本では対象外とはなっていたりしますので、その辺を懸念していました。なので、やはり事業を海外、欧州まで展開している企業にとっては、このような新しくPL法が変わったことに対して、何か行っていかなければいけないという意識の企業もいるということです。

別のコンサルの中で、海外の法令や規制のリスクレベルに応じて製品の対策を変えている企業も結構いらっしゃるというのが実態かと思っております。

ここまでが1個目の事業者からの相談になります。

続いて、PL法が効力を発揮している事例はどういうものがありますかということも投げかけられておりましたので、大きく2つ私が経験したものを示させていただきます。

1つ目はPL判例が他の企業の対策に寄与した事例と書きました。コンサルの内容に抵触するので製品名は言えないのですが、申し訳ないのですけれども、割愛しながらお話ししますが、そもそもまずPL判例、ある製品で被害者が出てしまうような事故が起こって、PL法でメーカーが訴えられたと。ここまでは普通に判例としてあるかなと思いますが、最終的な判決としては、私もやや厳しめかなと思ったのですけれども、表示上の欠陥が認められて、原告勝訴となったということです。この時点で、やや企業には厳しめかなと思いましたが、消費者保護として優位な判断がされたということで、1つ効力を発揮しているかと思いました。

さらにこの後に、私もこの判例を読んでいましたが、別の事業者、同業他社で同じ製品を扱っているところからうちに相談が来て、表示物の見直しをしようとしているという相談が来ました。背景等を聞いてみるとやはりこの判例が効いていて、かなり厳しかったので、企業としても本当に今のままの表示で大丈夫なのかということで相談が来たという内容になります。

私の目から見ても、他事業者と呼ばれるところのやっている対策はかなりよく取られていたので、そこまで問題視しなくてもいいですよという形で、多少の修正やアドバイスは行ったのですけれども、とはいえポイントとしては、業界として見たときに判例が出て、それを消費者の安全であったり自社対策としてうまく活用されているというところで、効力を発揮していると思った案件がありました。これが1件目です。

2件目が企業間の賠償責任への判断というところにもPL法が使われていると思います。これもコンサル内容なので製品は伏せさせていただきますが、産業の製品で、納品先事業者が、ある損害を生じたということでメーカーから求償が来たという内容があります。これも前提として、実は安全ではなくて機能上の問題、製品が機能しないということで、全部取り替えなければいけないという話になったものになります。

PL法上の解釈と真ん中に書きましたけれども、相談を受けた際に、契約書の中に「欠陥」というところが賠償の対象とされているような条項になっていました。欠陥というのは、PL法上、通常有すべき安全性ということなので、安全が条件になっていますので、欠陥が条件なのであれば、安全に起因していないと対象にならないと解釈をしても問題ないかと。法理上や文言上は問題ないのではないかという話はさせていただいたのですが、実際にそのような内容で当社としてはアドバイスを行ったという事案がありました。

PL法という観点で言えば、当然根本が消費者保護なので、欠陥の前提も安全となっている。これも各国、ほかの国で見ても安全が前提になっていますので、こういう内容が事業者間の契約での解釈に用いられているのかなと。効力と言うのか分からないですが、一つの判断基準になっているのかと思っています。

その下のポツで書いておりますが、大型車両の市場改修事案ということで、ちょっと細かく話をしますと、トレーラーのような製品の中のトランスミッションが問題で異音が鳴るというものが起こってしまって、市場のほうで直さなければいけないと。何万台も直さなければいけないとなったときに、いわゆるリコールに近いような費用が億単位でかかってしまったので、問題となった異音がトランスミッションのせいだということで、訴訟になってしまったという事案です。

これも結局、最終的にトレーラーのメーカーは、市場改修とは書いたのですけれども、いわゆる国交省の管轄であるリコールまではやっていなかったのです。ということは、このメーカーはこの案件を安全と見ていなかったということになります。

今回、お金を払ってくださいという賠償責任の関連性で言えば、先ほどの安全が関わっているかどうか、欠陥であるかどうかというところがキーになってくるので、リコールをしていない、安全と思っていない、では安全ではない、では欠陥ではないというロジックで立てつけられたのかなと。すみません、解釈が違うかもしれないですが、こんな形で結局最終的には欠陥に該当しないということで、PL法が適用できないとなった事案が私の知見の中であったかなと思っていて、今回の②で示した件と似ているかなと思いましたのでお話をさせていただきました。

これが効力を発揮していると考えられる実例となります。

最後に、あくまで私の所見ですが、日本のPL法の在り方です。過去の議論の中の弁護士の御意見なども見て、まさにそのとおりだなと正直思っているところがあり、一言で言うと、技術、事業の変革、海外の状況などから、日本のPL法も改定は検討に値する内容と個人的には思っております。

理由としては、ビジネスモデルが本当に複雑になってきておりまして、ウェブプラットフォーマーも出てきておりますし、SNSのインフルエンサーが販売事業者になっているなど様々あり、また実際に事故が起こったときの責任の事業者の特定が困難な事案とかも想定されると書きましたが、実際泣き寝入りしている消費者もいると思っております。

また、製品という観点も、今はソフトウエアが対象外となっていますが、根幹技術のところがもはやハードウエアからソフトウエア、IoT、AIが主流になってきていると思っているところ。また、アメリカの訴訟も多く見ていますが、ウェブプラットフォーマーが提訴される事案や、アプリの提供事業者が直接PL責任を追及されるような判例等も出現していると思っております。これらが日本でも起こる可能性は十分に想定される。

あとは欧州です。やはり先進的であり、デジタル製品、AI、事業者の観点など、かなり先進的に法改正をされているので、これを追随することに違和感はないと思っております。先ほど事業者の紹介で見せましたとおり、国による基準の齟齬や、その辺からも自社の中での統制も取りづらくなるということも多少はあると思っていますので、この辺も含めた理由として、改定というのは議論に値すると思っております。

簡単ですが、私からは以上になります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより質疑応答と意見交換をしたいと思います。時間は先ほど申しましたように40分程度でお願いします。いかがでしょうか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 安藤様、とても分かりやすい御説明をいただき、ありがとうございました。

どなたもまだ皆さん質問を考えていらっしゃるかなと思うので、私から2点ほど伺いたいのですが、1点目なのですけれども、確かに御報告いただいたとおり、日本のPL法は欠陥というのはこういうことを考慮して判断しますといういろいろ例示列挙がされているだけで、例えば学説上だったり実務上は、一応その欠陥には3つのタイプがありますといった話は出るものの、別に3つの種類、例えば警告上の欠陥とか、そういうものを別に法律上書いているわけではないというのは確かにそのとおりだと思います。

実際、お客様である企業のほうから、例えばこれはどういうふうにすれば取扱説明書として問題ないのかという御相談を受けるという話も伺っていましたけれども、率直に伺いたいのですが、確かに今、PL法はこのまま現状ですと非常に総合的な判断をして、欠陥があるかどうか、しかもそれは設計上だけではなくて取説の内容とかも踏まえたということになるのですが、例えばこれを今の日本のPL法を改正するとして、PLの欠陥の基準をどういうふうに具体化すれば、あるいはこのままでいいのか、このままで総合的な判断ができるようにしておいたままで、あとは過去の判決などを見て判断するというほうが柔軟でいいのか、それとも何かこういう点は基準として明示をしていただいたほうが、アドバイスもしやすいし、いわゆるメーカーのほうも、例えば取扱説明書を書いたり、ルールは新しい商品を作るときに参考になるのではないかという、例えばこの点はこういう基準があるといいのではないかというのがもしございましたら教えていただきたいというのが1点目になります。

2点目なのですが、今日の御報告の中でも何度か出てまいりましたけれども、確かにいわゆる消費者保護の観点からということで、PL法の消費者保護に優位な判断が出ているとか、あるいは根本は消費者保護というのは確かにそうかもしれないのですが、ただ、一方で、PL法自体は別に御案内のとおり消費者と事業者だけに適用されるわけではなく、そもそも国民の生命安全のという第1条の目的規定にも書いているとおり、例えばメーカーが日常的に使っているオフィス製品だったり電化製品に何かあったときにも当然PL法に基づいて賠償請求できるということで、これはもちろん御案内だと、私が言うまでもないことなのですが、伺いたかったのは、依頼者様である企業からいろいろ御助言を求められるということなのですけれども、その中で消費者向け製品ではなくて、例えば事業者向け製品について、確かに消費者保護という観点は要らないのかもしれないのですけれども、事業者向けによく使われる製品、逆に言うと消費者があまり使わないような製品について、これは安全基準として、あるいは取扱説明書の内容としてという何かアドバイスを求められたりすることはあるのでしょうかというのが2点目です。

以上になります。

○鹿野委員長 それでは、安藤さん、よろしくお願いします。

○SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部 賠償・労災グループ PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント安藤氏 ありがとうございます。

まず1点目、設計、製造、表示という3つの欠陥の種別というところについては明示的ではないという御指摘に対して、どういう内容を書いたほうがいいのかというのが御質問の趣旨かなと思いました。

私個人としては、ほかの国の法律も見ている中で、そこまで明確に明記されている国というのは、私の知見の中では少ないのかなと思っていますので、これをあくまで明示的に書くというところまでは、法律内でやる必要はないのかなと思っております。あくまでも、ものづくりの中でやられる、いわゆる事前の製品の設計と実際に現場で物をつくるというところと、出すときに物では何とも担保できないような内容の警告をしていないという3つというのは、どこの世界的に見ても基準的には一緒なのかなと思っておりますので、もしガイド的な部分で何か明示化できるのであれば、それでいいのかなとは思っているところです。

すみません、知見が浅いので、もしかしたらほかの国でやられているということがあれば、それを踏襲できればと思いますが、私が見る限り、この3つを明確に法律の中に入れ込んでいる国というのはないかなと思っているのですが、逆に弁護士の方々がいらっしゃるので、後でお聞かせいただければと思っております。

2つ目、いわゆるBtoBではなくてBtoCの事業者用の製品に関わるようなコンサルというのは実際多く扱っております。これは実態としてあります。これはどちらかというと消費者保護というところもありますが、BtoBであっても、結局例えば工場の機械設備のようなものだったとしても、使う人たちは実際の労働者の方々になりますので、そういう労働者の方々が安全に使えるような形で、どういう警告を入れたほうがいい、製品の設計上でこのようなシャープエッジがあったら危ないからやめたほうがいいですよ、という内容の相談はすることがあります。

なので、BtoBであっても事業者間での機能的な部分というよりは、安全上の観点をメインでコンサルをすることにはなっています。そのときは当然人を見るということをやっております。

御回答になっておりますでしょうか。

○大澤委員 大変よく分かりました。ありがとうございました。今日御報告を伺って改めて感じたことというのは、確かにPLというのは事故が起きたときに最後の救済手段の一つというのはそのとおりで、それが不法行為の特則ですので、それがもちろん本来なのでしょうけれども、こういう感じで事前に本当に事故を起こさないようにするために予防的に、こういう形で安藤様のところにいろいろと依頼者から御相談が来たりという役割を果たしていると。そのときの基準としてPL法が使われているということは、私は改めて実感することができて、大変勉強になりました。

そういった観点も踏まえながら、要は救済という観点だけではなく、予防という観点も踏まえながら、今、1つ目の私の質問に対しては、そんなに細かい基準、海外的に私も知っている限りではこれ以上細かくというのはあまりないのかなと。少なくとも3類型明示している国は私もよく分からないですけれども、今のような基準で、しかしそれでも安藤様のようなコンサルの皆さんのおかげで何とかアドバイスをしていただいているということで、とても活用されているということがよく分かりました。非常に参考にさせていただきたいと思います。

どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

私は法律の専門家ではなくて、消費者教育が専門なのですが、大澤委員からお話もありましたように、BtoCとの関わりで質問をさせていただきます。

スライドの4でございますが、事業者からの相談状況ということで参考になりましたが、3つ目のPLリスク分析、それから表示物レビューについて、個人的には、PL法違反にならない取説にしたいとの相談があるとのことで具体的ですが、これは事業者が自らの法的責任をできるだけ免れるようにというような観点がどうしても見え隠れしています。

一方で、消費者教育とか消費者政策とかという観点から言うと、こういった取説とか表示というのは、消費者が安全に製品などを利用するために不可欠なツールであると強く認識をしているところです。ですので、個人的には、そういった法的な守りではなくて、消費者の支援をするような方向に役立ててもらいたいと思いながらお話を聞いておりました。

質問ですけれども、消費者に伝わる表示をするに当たって、コンサルティングをされている過程で、領域に共通しているというのでしょうか、いろいろな産業があると思いますが、共通している普遍的なポイントを御教示いただけると、そこを政策として強め、消費者委員会として打ち出せるのではないかなとでは思います。特にないようであれば個別具体的な例でもいいのですが、消費者委員会としてお話を受けるということですので、消費者に役立つようなところも触れておきたいと思いまして質問をさせていただきました。

よろしくお願いいたします。

○SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部 賠償・労災グループ PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント安藤氏 ありがとうございます。

回答になるか分からないのですけれども、本当にいろいろな種類の製品の取説を見ている中で感じるのは、言い方は大分悪いかもしれないですけれども、警告を書いておけばいいみたいな取説が見受けられるかなとは思っております。ちょっと言い過ぎなところはありますけれども、いわゆる警告列記というのは安全上の注意ですごく必要なところなので、私どもはそこをメインで見せていただいています。まさにおっしゃったとおり、PL法違反にならないというのは事業者の目線で、警告を書くというのは、安全上の注意を消費者に促すため、使用者に促すためですよというのを前提で私どもはやりますよというのを伝えた上でやっていくのですけれども、だから両方ともの観点でコンサルを行うことを一応心がけてはいます。

その中で、製品の警告は非常に多いのです。私どもも、コンサルをするに当たって、当然追加していかないと、こういう安全上の危険性があるなというところを考えながら追加をしていくことになるので、どうしても数が増えてしまうのです。その数が増えてしまうところに対して、事業者としてはできるだけ圧縮したい、できるだけコンパクトに収めたいという思いもあったりするので、列記してしまうというところがあります。そこは企業責任を取らないという観点でも、消費者が見やすいという観点でも、ちゃんと層別をして、考え方をまとめて表示したほうがいいですよとしております。

あとは、色つきか色つきではないかというところとかも結構聞いてきたりするので、色がつけられるようであれば、ちゃんと赤字で提示をしたほうがいいですよとか、あと安全上の注意はページ自体の色を変えたほうがいいとか、そういうちょっとしたテクニック的なところもあり、そういうところを見せていただくようにはしています。

ただ、本当に内容として乏しいような取説というのは、今の事業者さんもそこまで考えていないわけではないので、非常に問題があるものが来るということはあまりないのですが、その中でもそういう傾向にあるものは多少あるとは思っております。

○小野委員 ありがとうございます。

情報を足していくという足し算よりは、引き算のほうが重要だというのは本当にそのとおりだと思います。それから、情報をデザインするというようなところでしょうか。色もそうですし、適度な空白とか、多分そういったこともいろいろなところを見ておられると思いながら拝聴いたしました。

どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

善如委員、お願いします。

○善如委員 御報告ありがとうございました。

私も法律の専門家ではありませんので、少し素人的な質問になるかと思いますが、御発表の中で、ソフトウエアやIoT、様々なそういった製品にも対応できるようにというお話があったかと思うのですが、先日ニュースで見たところ、アメリカではグーグルやメタに対しまして、アルゴリズムみたいなものが中毒を誘発するような設計になっており、それが違法だと裁判所が判断したと聞きました。その判断した理由が、アメリカのPL法上の欠陥を認めたということだと聞いたことがあります。

そういった動き、現在の日本での製造物責任法をそういうふうな解釈で運用することによって、新しいビジネスモデルであったりとか、ソフトウエア系の製品にも対応していこうというようなことは、実際に起こっているのかどうかであったりとか起こり得るのかに関しましてお聞かせ願いたいと思います。

○SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部 賠償・労災グループ PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント安藤氏 ありがとうございます。

現状、日本で起こっているかというところに対しては、私も知見がなく、実際がどうなのかを網羅的に把握はしていませんが、おっしゃるとおり、アメリカではGoogle、Metaなどがアルゴリズムの観点で訴えられているというのは実際起こっていますし、OpenAIのAIで自殺してしまったという案件もあったりしますので、ソフトウエア系やAI系で法的な責任を要求されるということは実際起こっているかなと思っております。

一方で、日本では恐らく今のところそういうことはないのかなと。過去の判例でも、一部そういうソフトウエアやOSが問題でデータが飛んでしまったという案件はたしかあったと思いますが、それはあくまでPL法対象外なので追及ができなかったのかなということで、半分が泣き寝入りだったのか、あまり適切に対処されなかったのかなと思っているところがあります。

なので、私としては、ソフトウエアは先ほども書いたように根幹技術になってきている部分があって、それを無過失にするかどうかというのはまた議論が必要なのかもしれないのですけれども、少なくともそこに対しての責任が要求されるような形というのは今後普通に起こり得るかなとは思っております。

アメリカの訴訟の事例で、速度を測れるアプリケーションがあり、それを車で高速で走り、計測していたところ、結局事故となったという案件があり、それでアプリメーカーが訴えられています。それはハードウエアは何もないのでアプリのみの話になっていますが、そのような話というのも日本であまり提訴はされないような案件だと思います。ただ、実際起こり得ないことはないのかなと思っていますので、観点としては入れ込んでも齟齬はないとは思っているところです。

お答えになっているか分かりませんが、以上です。

○善如委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。

それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。非常に勉強になりました。

まず1点お尋ねしたいのは、初めにおっしゃったPLの問題と行政的な製品安全規制との関係を、メーカーがどう受け止めているかという点です。資料の5ページで、欧州に展開する企業は技術基準を参照しており、日本のメーカーにも同様のマインドが強いというお話がありました。おっしゃるとおり、PLは民事責任ですので、行政規制とは一応別のものです。ただ、日本では消費者安全法や消費生活用製品安全法、電気用品安全法によってPSCマーク、PSEマークを付けなければならないことになっています。こうしたマークを付けているという感覚と御社がされているマネジメントとの関係で、「うちは技術基準を満たしているのだからPLは関係ない」と考える事業者がどれくらいいらっしゃるのか。その辺りの日本のメーカーのマインドについて、もしお分かりであればお知らせいただければと思います。

それから、資料の4ページや7ページにありました、ビジネスモデルの複雑化についてです。これは私どもも非常に強く感じているところです。プラットフォーマーやメーカーの間でもソフトウエアの活用が進み、最近はフィジカルAIという話も出てきています。そうなると、ソフトウエアと製品が融合していくことになると思われます。しかも、フィジカルAIを考えると、物はそう簡単にアップデートできない一方、ソフトウエアはどんどんアップデートされていきます。そうすると、PL法第4条にある開発危険の抗弁の基準時をどう考えるべきなのか。仮にEUのようにソフトウエアもある程度PLの対象になっていくとすれば、どの時点の開発危険の抗弁が問題になるのかは難しい問題だと思っておりまして、もし御知見がありましたらお聞かせいただければと思います。

それから、3点目です。私はPL法が制定された当時から弁護士をしておりますが、当時は濫訴の危険が強く指摘されていました。アメリカでは猫を乾かすために電子レンジに入れて爆発させ、その裁判でメーカーが負けたという話が引き合いに出され、PL法を入れれば日本でも同じようなばかげた訴訟が多発するから、こんな法律をつくってはいけないという声が非常に強かったのです。現在、消費者庁には「製造物責任(PL)法に基づく訴訟情報の収集」というサイトがあり、これまでの訴訟事件のデータが蓄積されています。このデータを御覧になった上で、個人としてでも御社としてのお考えでも結構ですので、日本のPL訴訟は濫訴になっているとお考えかどうか、お尋ねしたいと思います。

以上の3点、すなわち、1点目は行政上の技術規制と民事上のPL責任についてメーカーにはどのようなお考えが多いと感じておられるか、2点目はレイヤーが複雑化する中でどのレイヤーにどの基準で欠陥を判断すべきか、3点目は日本のPL訴訟は濫訴になっているのか、ということです。

以上です。

○SOMPOリスクマネジメント株式会社カジュアルティコンサルティング部 賠償・労災グループ PL・リコールチームリーダー上級コンサルタント安藤氏 ありがとうございます。

2つ目が一番難しいかなと思っていますが、まず1つ目、技術基準に適合しているのだからうちは問題ないでしょう、PL上の問題もあるわけないでしょうという観点の事業者が多いか少ないかという話ですが、大変申し訳ない部分なのですが、当社に依頼をしてくる時点で大分意識が高いのです。なので、そういう企業はほとんど見たことがないというのが実態です。ただ、当然ですけれども、当社は保険会社のグループ会社なので、保険事故の内容もいろいろ見ています。その中で見ても、そこまで必要以上にPLを軽視しているような事業者というのは、正直見たことは少ないかと思っています。

どちらかというと、前回もアイリス様の6月22日の資料を見せていただきましたが、海外から日本に入ってきてしまうような製品や事業者というのは意識が低かったり、そもそもPSEがついていないなどの事故も見ますので、その辺の事業者は意識が低いのかなと。日本にいる限りは、コンプライアンスが厳しい時代にもなってきていますので、そこを軽視しているというところはあまりないのかなとは感じているところがあります。これが1点目です。

2点目です。開発危険の抗弁、まさに私どももどうすればいいのか正直解がないところです。欧州ではアップデートというところまでを含めてソフトウエアに対してのPL責任を負うというような形にしてあると思いますので、そうする以外にあまり解がないのかなと思っております。かなり事前にPL指令が刷新する前の検討段階のところから私も見ていましたけれども、その段階からいろいろ協議をした結果そうなっていました。まさに今、AIのスピードが速過ぎて、例えばMeta社でも、OpenAI社でも、Google社でも、AIをどんどん開発していっていますが、旧式のAIと新式のAIでは技術レベルが全く違うものになっていますので、アップデートまで込みになるともう最新式のものが必要となってきてしまうのかなと思っています。そこまで加味できるのか、できないのかというところは、結論としては私どもも見解は難しいかなというのが思っているところです。EUを参考にするのが一番ベストとは思っているところです。

最後の濫訴の危険に関してなのですが、私個人としては、日本はそこまで濫訴の状態にはなっていないというのが私の見解です。アメリカの訴訟の実態や、中国の民事訴訟の数などになってしまいますが、数を見ていてもそこまで訴訟が多い国とは思えないですし、訴訟文化もないと思っています。

もう一つ言えるのが、企業内ではお客様相談センターを立ち上げている中で、何か問題が起こったときに、まずそもそも訴訟にならないように、その手前でちゃんとお客様と合意形成を得て適切に対応していこうという判断を企業としてはやっている。私が見ている企業は少なくともやっているので、訴訟まで行っているものは原告敗訴のものが多いかもしれないですけれども、私の見解としては、そこまで行くレベルの内容が訴訟になっているのかなと思っているのです。固いアイスで歯が欠けたという訴訟もあったのですが、それを企業側として認めてしまうと、それ以降の商売もできなくなってしまったり、いわゆる社会通念上問題ないと考えられているものまで訴訟にまで行ってしまうと、どうしようもないから戦ったのかと思っています。表示上でも適切に示していますし、社会通念的にも問題ないということで、原告敗訴になってしまっていたと思います。それはどちらかというと消費者保護というよりかは、適切な対応をすべきという考えの中から企業は対応したと思っています。このような背景から、企業に来るようなクレーム的なものが全て訴訟になっているなどには見えないとは思っています。

以上になります。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。大変勉強になりました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかはよろしいでしょうか。

引き続き、弁護士の伊藤先生からも御報告いただきますし、安藤様にはその間も残っていただけるということですので、関連する御質問等があれば、まとめてまた後ほどということにさせていただきたいと思います。

それでは、続きまして、伊藤弁護士様から20分程度で御報告をお願いします。

○伊藤弁護士 御紹介をいただきました伊藤崇と申します。

このレジュメに弁護士の伊藤崇ですとだけ書いて、おまえは誰だというのを書くのを忘れてしまいまして、大変失礼いたしました。

私は東京で20年ほど弁護士をしておる者ですが、製造物責任訴訟もその業務の一つとして積極的に取り組んでおります。

私自身がそういうふうにホームページ等で名乗っていることもあって、大体毎月数件は御相談をいただきますし、その間、アメリカに留学して研究をしたようなこともあって、こういったところでお声かけをいただく機会を幾度かいただいております。今日も機会をいただきましてありがとうございます。

様々な組織で様々なお役目をいただくことはあるのですが、今日に関しては一実務家としてのお話としてお聞きいただければと思います。

もともとお題が「相談・訴訟実務における製造物責任法の活用状況と課題」ということで、私、消費者側の弁護士ですけれども、消費者側にとっては、最終的に裁判になったときに製造物責任法がどう活用されているのかというところに皆様御関心がおありなのだと思います。

ただ、実務家からしますと、先ほど濫訴という話がありましたが、そんな話では全くないと。私、相談を多く受けますけれども、裁判に至る事例はほとんどありません。ごく一部です。ほとんどの方は、相談をし、見通しを御説明し、裁判になったらぶらぶらぶらという話をする中で、その壁に直面して諦めてしまいます。その壁について、製造物責任法由来でないものも多々ございますが、いずれにせよその壁を知らずして裁判を語るというのはナンセンスだと思いますので、まずは相談段階からということでレジュメを作らせていただきました。

1ページ目の第1です。事故品自体の確保の困難というところについてですけれども、まず相談に来られた方に対して最初にお伺いするのは、事故品はありますかというところです。もちろんある場合もあるのですけれども、例えばリチウムイオン電池とかが典型ですが、多くは焼失してしまって手元にないというものがございます。そうすると我々自身も事故原因の究明は困難ですし、物がない事例に対して裁判所というのは冷淡になる傾向がございます。これ自体は、火事が起きたらしょうがないというところはありますけれども、もう一つ、私からすると残念な場合として、メーカーさんが回収して返してくれないということがございます。回収をして原因究明をすると。それ自体は責任あるメーカーの対応として当然かとも思いますけれども、結果が問題なかったというだけである場合に、こちらとしては検証可能性もなく、現物もなくなってしまったというところで、なかなかメーカーさんに協力するのに躊躇を感じる一因となる場合がございます。全てのメーカーさんがそうだと申し上げるわけではないですが、この辺りはせめて破壊を伴う検査の場合にはお声かけいただきたいとか、結果は全てどういう検査をしたのか開示してほしいというような制度があってよいのかなと思うところでございます。

第2の被害者側の調査費用・解決までに要する期間ということで、いろいろな案件がありますが、ここでは携帯電話低温やけど事件を取り上げさせていただきました。この案件自体は、欠陥の推定を認めた判決として多くの方が御存じの著名なものだと思いますが、この判例によって依頼者が何を得たのかというところまで御存じの方はそこまで多くはないのかなと思いまして、ここでの紹介といたしました。

時系列を様々書きましたが、受傷から結論を見るまでに8年半を要しております。それで認められたものが何かというと、合計220万円ぐらいですけれども、そのうちの170万円は調査費用、弁護士費用です。これは実際に出たものですので、これが認められてもプラスではないのです。マイナスがゼロに近づくだけとか、ゼロにもなっていないというところが重要と思いますが、判旨を引用しましたけれども、調査費用のうち150万円を負担させるのが相当であるとか、弁護士費用についても請求認容額の10パーセントということで認められております。

これが意味するところは、勝てば何とかなるというものではないと。勝ったとしても持ち出しがあるということです。なので、この方が結局得たものは慰謝料50万円、実はこれも実務的には相当大きな金額なのですけれども、慰謝料50万円マイナス自分の立替え分ということになります。8年間を要してこういうことです。8年というのはさすがに私もそんなに頻繁に経験するものではないですが、数年を要するというのは実務の常識なところであり、調査費用がこれぐらいかかることがあるというのも、我々はよく体験するところでございます。

こういった実態を踏まえて、相談を受けた私どもが依頼者に説明するのはこういうことになります。あなたの件は、もしも相手が応じなければ裁判で解決せざるを得ませんけれども、そのためには調査費用が数十万円、100万円単位でかかりますと。勝ったとしても、それが全部戻ってくるわけではありません。やりますかという話です。依頼者としては、それで勝てるのでしょうかというところが気になるところであり、勝てますと断言できる方は誰もいないと思うのですが、製造物責任法との兼ね合いで言いますと、後でもお話しいたします欠陥推定法理が大きな役割を果たすところです。ただ、これについて、皆さん御承知のとおり、法律制定当時には明文化されませんでした。事案に応じた適切な解決を図れば足りる、でしたでしょうか、そういったコメントで採用されなかったということだと思いますが、これを相談者に言ったところで相談者が思うのは、結局のところそれはやってみないと分からないということですねというところでございます。そういうところで御説明をする結果、なかなか裁判にまで決断してくださる方というのは多くはないというのが実情でございます。

こういった事例は法制定当時から想定されていたはずで、その解決策の一つとしてPLセンターというものが設立されたと。独立した調査機関の設立と、迅速な訴外紛争解決というのが附則で求められていたものだと思いますが、私自身もPLセンターに幾度か御相談を持ちかけたことはありますけれども、結論として、これが解決に資したということは残念ながらございません。一例でしかないのかもしれませんが、言われたこととしては、私たちは独自の評価はしませんと。メーカーさんの見解を持ってきてもらって、それを評価しますというところでした。

何も新しい事実がない中で、メーカーさんの見解を持っていって、それで何かメーカーさんが態度を変えるとは到底期待できず、やはり弁護士としてはこちら独自の調査がしたいわけです。そうではない単なる相談ですというところでは、少なくとも弁護士が入っている案件については、何か利用しようという気持ちになるものではございません。その辺りについては、私の一個人の経験ということもあるかもしれませんので、ぜひとも実態を調査していただければなと思うところでございます。

以上が相談レベルの直面している悩みでございまして、今からは、そういった困難を乗り越えて弁護士と裁判所を信頼して裁判に踏み切ってくださった場合のお話でございます。

先ほども話が出てきましたけれども、欠陥の立証の仕方というのは、通常有すべき安全性を欠いていることを立証するということで、そこに至る道筋は様々フリーハンド的なものがございます。その中で、私が弁護士になる前にドラマとかで思い描いていた世界としては、原因を究明して、それが製造過程で起こったのか、設計過程で起こったのか、どうなのかというところを判明して突きつけるというかっこいいものを想像していたわけですけれども、なかなか現実に実務に対応するとそんな調査ができることはほとんどないというところでして、実務では、少なくとも消費者が原告の場合、ほとんど全ての場合、通常使用したのに被害が発生したのだと。なので欠陥が推定されると。先ほど申し上げた携帯電話事件の話を引いて戦っていくということになります。

ですので、裁判の帰趨は、そういった枠組みを裁判所がどれぐらい評価してくれるかというところにかかってくるわけですが、これについて言いますと、携帯電話事件をはじめと言うと実は語弊があるのですが、それで多くの方が注目するようになり、その後も広がりを見せているようには感じます。例えば令和に入っても、エアコン室外機発火事件が詳細な理論化をして推定法理を採用してくれましたし、推定というだけあって被害者が関与する割合が大きい製品類型、例えば自動車などではなかなかこういう推定は認めてくれないだろうなと個人的には思っていたところではあるのですが、令和3年の大阪高裁では、自動車にも種々の前提はありますけれども欠陥推定を認めてくれました。広がっているのだなというのは、そういうのを見ても思うところではあります。

ただ、他方で、まだまだ課題はあるというところも指摘をさせていただきたいと思います。2の(1)で事実上の推定法理自体の認知の低さというところですけれども、横浜地裁の令和3年9月17日というのは別に特に有名な判決でもなく、私が苦労した案件というただそれだけですけれども、ここでは裁判官に携帯電話事件を引いて、そんなもの知らぬと言われました。分厚い準備書面をこのことだけのために出したりもしたのですけれども、結果として推定を認めてくれますかということについての答えはこの2行、非常に冷淡な話で悔しい思いをいたしました。

まだまだ知られていないのだなと実感したところですけれども、知られている場合でも、この推定を及ぼすための前提事実について混乱しているのではないかと思う事例がございます。例えばこのキャンピングカータイヤ破裂事件では、通常予想することのできない事故が発生した場合に欠陥推定を認めますという判決になっております。これの意味するところは、通常予想することができる典型事故は推定されないというところでして、そんなばかなと思うのですけれども、実際にもこの判決は欠陥推定を認めなかったというところでございます。

この判旨自体は、実はこのキャンピングカータイヤ破裂事件のオリジナルではなく、これも著名なヘリコプターエンジン出力停止事件、東京高裁の判例を引いたものなのですけれども、この東京高裁の事件ではそんなおかしな事態にはなっていないし、実際にも原告は勝訴しているわけです。一体何が起こったのだということで、我々仲間内でヘリコプターエンジン出力停止事件の代理人にこの話は何なのでしょうかというのを聞いたことがございますが、答えとしては、当事者代理人としても別にこの判旨について喧々諤々な議論を交わしたことはないと。裁判所が勝手に入れたと言うと語弊があるかもしれませんが、少なくとも当事者的に意味があって入った事案ではないということでした。そういうものが独り歩きをして、こういった弊害を生み出しているという例があるということでございます。

そのほかにも、性格が事実上の推定であることからしてやむを得ないとは思いますが、どうしても総合考慮が必要で、事実上の推定は及ぼさないという類型もございます。薬害や化学製品が典型かと思いますけれども、副作用がある案件の場合にはやはり様々な要素を突き合わせて戦っていかなければいけないということで、非常に原告にとって負担が重い状況が発生している。

以上を総合して、全てが悪くなっているわけではないけれども、事実上の推定規定が認められることがあるというだけで原告に明るい希望があるという状況ではないというところかと私としては考えております。

裁判所がどれぐらい製造物責任のことを分かってくれているのだろうという場面の一場面なのかもしれませんが、よく言われることとして、製造物責任が過失責任化しているのではないかというところがございます。これは特に指示・警告上の欠陥、そういうふうに呼ぶのがそもそも間違っているのかもしれませんが、ここでお示ししております薬品の添付文書の説明に関する判例、イレッサの事件では、最高裁で予見し得る危険性について判断するのだということを明言しております。

これはもう私からすると過失責任以外の何物でもないように思われまして、少なくとも製造物責任法の設立趣旨からは違うのではないかと思うところです。とはいえ最高裁判決ですので、実務上はこの判例の射程を厳密に慎重に考えましょうということぐらいしか判断できないのですけれども、そういう事例が生じているというところでございます。

設計を争う場面でも、判例上明確に過失だとまで思った事件に接したことは私はないのですけれども、判旨を見ていて、予見可能だったとかそういうところを認定していたりして、それは何の関係があるのだと思うこともあったりする場面がございます。ですので、製造物責任があまり知られていないということの一場面として、そういう意義が忘却されているということがあるのかもしれないと感じまして、ここに記載させていただきました。

同じ文脈でよいかと思うのですが、製造物責任法と不法行為責任は特別法と一般法の関係にあるはずなのですが、両者が並び立ったときに、特別法ではなく一般法の不法行為責任を認定するという事案が存在しております。例えばここに書きました防音ブースシックハウス症候群り患事件、アニサキスアレルギー発症事件というものがそういった例でございまして、これに関して言うと、そもそも何で原告が製造物責任と不法行為責任を両方請求原因に掲げたのかというところが見える疑問点としてあるかもしれませんが、これに関しては、例えば防音ブースシックハウスでは、防音ブースが建物に接着されていたので動産性が争われるのではないかということを考えて不法行為責任を足したということでした。ただ、判決では、そこを原因として製造物責任はないということではなく、もう完全に無視をして不法行為責任を認定しております。

アニサキスの事件に関しては、代理人を存じ上げないので私も事情は分かっておりませんが、実は私自身も同種案件を担当するところで、結論として不法行為責任のみによったことがございます。そのときの判断としては、欠陥部位を特定するのが怖かったとかというのがございます。マグロなのか、サケなのか、どっちにアニサキスが入っているのか判然としないというところです。これは本来、そんなところまで特定する必要はない、定食に入っていたんだと言えばいいのだということで片づく議論のはずなのですが、欠陥法理の推定ですらこれだけ苦労している状況で、そこを当然と認めてくれるのかどうか代理人として不安が残るというところで、行為に着目してその辺をすっ飛ばせる不法行為責任を選んだというところでございます。

また、私個人の見解になってしまうかもしれませんが、不法行為責任で行為、悪いことをしたというほうが裁判所の感情に届きやすいということもあるのかもしれないということを感じることがございます。結局、消費者事件というのは基本的には弱者の戦いでして、特に立派な企業さんが相手だと、裁判所は立派な企業さんだから立派な企業さんの言っていることが正しいのではないかと思われているように感じることが多くて、我々としては、どのようにして裁判所を心のところで分かってもらえるかというところから始める必要がございます。

そういうときに、ここの部分が危険でという冷静な理論というよりは、ここが悪かったんだということを言ったほうが、顔色を見ていて分かってくれるのではないかなというところがありまして、そういうところも考えて、私はアニサキスのときには不法行為だけを選びました。

原告からするとそういう様々な事情があるところで、裁判所がどうして製造物責任法を無視したのかは裁判所に聞かないと分からないところでございますが、いずれにせよ裁判所としても製造物責任法を無視する場合があるということは知っておかなければならないところかと思います。

全ての事例がそういうことではなく、製造物責任が意味を持った例というのは当然ございます。先ほどお話をした大阪の自動車のエンジンが発火した案件では、欠陥については推計されるということで認めつつ、契約不適合責任、債務不履行責任についてはそういう推定はないよということで排斥をしており、これは製造物責任の欠陥推定がなければどうなっていたか分からないという案件ですので、まさに製造物責任が輝いた案件なのだろうと思います。こういうところからも、また後で強調させていただきますが、欠陥推定規定というのは大事なのだと私としては改めて思うところでございます。

第3の現状の課題というところで御質問いただきました。

まず、相談前の苦労を様々説明させていただきましたが、事故品の確保であるとか、調査費用であるとか、調査方法は後でお話をいたしますが、その辺りが課題として、壁として立ちはだかっていると思います。

裁判継続段階では、文書提出命令というものについて着目されることがよくあり、それに関しても機能を果たしていないのではないかと思うことが多々ございます。ただ、これに関して言いますと、現状の製造物責任訴訟の展開としては、従来申し上げております欠陥推定規定によって戦うことが多い。その場合には機序と通常使用が着目点でありまして、それが誤使用かどうかが争われるというのが典型的な流れであり、機序について、企業さん内部の情報が欲しいと思うときもありますけれども、設計の云々ということを考えるのに比べるとそこまでマストではないというところで、現状あまり製造物責任訴訟で文書提出命令が華々しくやり取りがされているということではございません。ですので、私が今からお話をするのは、製造物責任訴訟もありますけれども、それ以外の案件も含めたやや一般的な話にはなります。

機能不全と申し上げるのは、まず文書の特定が困難というところです。例えばあること自体は法律に照らして確実な文書であれば、そういう文書というある程度カテゴリー的な特定でも認められることがあるのですが、作っているかどうか分からない文書というものについて特定をするのはとても難しいですし、そこの特定の薄さは、それが本当に必要なのかという必要性の説得力に関わってくるところでもありまして、結果として裁判所がそれを認めることは多くないように感じるところです。

実際の流れとしてよくありますのが、ともあれ文書提出命令を出して、裁判所が被告さんどうですかと水を向けて、被告さんのほうで何らか出してもいい文書を出すと。一旦それで手続は進めて、採否を保留するという言い方になりますか、その後、審理を進め、証人尋問等も終わり、最後に、もうこれだけ調べをしたので文書提出命令の文書はなくても大丈夫ですということで判断されずに終わるという運用がございます。

これが全てと申し上げる趣旨では全くございませんが、法文上の規定を見ると、文書提出命令に応じるのは一般義務だというようなところがあって、さも強いように見えるのですけれども、実際のところとしては、裁判所として判断をしないまま終わらせる運用があり得るというところ、そのこと自体を知っておいていただきたいと思い記載いたしました。

そうしますと、どう改善すればよいのかという話であろうかと思うのですが、ここから先、EUの改正とも離れる話にはなってしまうのですけれども、私の代理人としての実務家として率直な感覚としましては、仮に文書提出命令が何らか改善されたとして、これは訴訟提起後の手段なわけです。訴訟申立てをしないといけない。我々が欲しいのは、訴訟申立て前にこの案件の見通しを立てたいということです。高い壁を前にひるんでいる依頼者さんに、その壁に立ち向かっていこうと思えるかどうかの情報を提供する、それをしたいわけですが、取りあえず申し立ててみて、文書提出命令で出るか出ないか分からないものに勝負をかけるというのは博打(ばくち)ですので、それを選ぶ依頼者はおりませんし、代理人としてもお勧めはできません。ですので、証拠は可能な限り早期に、理想的には訴訟提起前に欲しいというのが原告側代理人の切なる願いでございます。

それに関して、証拠保全や訴訟提起前の照会制度など一応ございますけれども、その辺りは、結果にある程度めどがついて、こういう証拠が必要だ、そしてそれを相手が持っているというときに初めて輝く制度でして、どういう問題があるだろうという探索的なところについて探索的な申立てをする場合には使えないという理解でございます。そういうところから、当初申し上げたような壁というものがあるということでございます。

またさらに、仮にそれすらもクリアして何らか資料が手に入ったとして、それをひもといていくにもやはりお金がかかる、調査費用がかかるというところがまた被害者の壁としては重たいものとしてのしかかっておりまして、技術論争になるとそれは会社側のフィールドですので、そこで勝ち切るというのは容易な方法ではない。なので、そこを戦場に選ばざるを得ない時点で相当な困難が予想されるというところがございますので、どうしても欠陥推定に頼らざるを得ないというところが被害者側代理人としてはあります。事実上の推定法理の不安定さというところはお話ししたとおりであり、それに起因する見通しの乏しさが壁と感じさせる要因となっているところでございます。

第4のデジタル化・国際化への対応というところについて御質問いただきましたが、時間の関係もありますし、このこと自体は私自身の経験というよりは、文言上対応できないというところは明らかだと思いますので、主には今後の質疑に寄せたいと思っております。

2点、私が強調させていただきたいところとしては、先ほど開発危険の抗弁についての黒木委員長代理の御質問がありましたので、そこに関してのフォローになりますけれども、ソフトウエアを製造物に含めるのは必須だというような話がよくあろうかと思います。そこの本質的な意味ですけれども、引渡し時だけに着目するならば別に今だって対応可能なわけです。動産と接着したソフトウエアということで、今でも対応できている。本質としては、ソフトウエアがアップデートする、それに対応できないというところでして、EUの改正指令は、責任基準時を引渡しだけではなく、メーカーさん等々が管理している間は責任を持ちなさいというところで幅を持つ記載として規定をしております。こういった幅を持たせるというところであれば、開発危険の抗弁であれば、当然その幅を持っている期間内の知見ということになるでしょうし、そのこと自体は代理人としましても、引渡し時だけ製造物責任、あとのメンテナンスのところは不法行為あるいは債務不履行責任という使い分けをする意味が正直今まで分かりませんでした。ですので、ここはぜひとも改正していただきたいなと思うところでございます。

土地工作物責任では、設置のみならず保存の瑕疵も責任原因となっておりまして、それと同じような話ではないかと考えておるところではございます。

もう一つ、私からは最後としてお話をしたいのは、この議論がデジタル化・国際化への対応というものを何のためにしているのかというところでございます。法律が対応できようとできまいと事件は発生し、実務家としては、今そこにある法律で対応しなければなりません。製造物責任法が対応できないのであれば、不法行為責任や債務不履行責任で何とかしようと頑張ります。アマゾンのバッテリーの判決はまさにそういう事例であったと思います。

そうではなくて、製造物責任法が適用されなければ困るのだと言うためには、製造物責任法を適用するとどういうメリットがあるのというところを明らかにしないと、議論の意味を成していないと思うのです。それが私は欠陥の推定というところであると思い、この発表でもさんざん強調させていただきまして、最後にもその点を指摘させていただければと思います。

ひとまずありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は40分程度、12時までを予定しております。それから、先ほども申しましたように、安藤様の御発表にも関連する御質問があったら、併せてお願いいたします。いかがでしょうか。

善如委員、お願いします。

○善如委員 御報告ありがとうございます。

先ほど申しましたとおり法律は素人なのですが、現状といいますか実態というのが伝わってきたような気がします。

先ほど安藤様にも質問させていただいたのですが、アルゴリズムに対して製造物責任法の欠陥を認めるというのがアメリカでできているのだから、日本でできないのかということを素人ながらに先ほど質問させていただいたのですが、伊藤先生の御発表を聞いていると、それどころかもっと前段階でつまずいているといいますか、アルゴリズムまで広げるというような柔軟な運用どころか、もっと違うところで問題が多々あるということだと勝手に理解はさせていただいたのですが、現状の問題点も含めまして、そういったソフトウエアへの対応、アルゴリズムへの対応というふうに今後していくためには、法律を改正しないといけないとお思いなのか、それとも今日の御発表でありましたような、もっと根本的な消費者が直面してしまう壁をちょっとでも減らすような努力をするだとか、そういった別のアプローチをしたほうが効果的だとお考えなのか、この辺りに関しまして御意見をいただけますと幸いです。

○鹿野委員長 それでは、伊藤先生、お願いします。

○伊藤弁護士 ありがとうございます。

まず出発点としまして、アルゴリズム云々というものは、ソフトウエアを動産の中に含めなければそもそも議題にのってこないので、そういう意味での改正は不可欠だろうと思います。その上で初めて土台にのる話になりますが、特に今おっしゃったような例が典型ですけれども、これに関して、仮に申し上げたような文書提出命令だとか訴訟提起前の様々な制度が機能して資料が得られましたというところで、これを被害者側で一目してどこの欠陥だというのを分析するのは非常に難しいところがございます。ですので、まずもって欠陥推定の助けなくして勝つということはおよそ想定できないところだと思いますし、そこに持っていくところまでにも、現時点ではある程度原告のほうでストーリーを組み立てて、それが合っている、間違っているというやり取りを経ていく中で最終的に欠陥推定が認められるという審理の流れですけれども、最初のストーリーを組み立てる段階から、ある程度助けがないと厳しいかなというところはございます。

それをどうやってというところはもう立法になってくるので、様々夢想するものがありますけれども、ここで発表するほどのものではないのですが、ポイントとしては恐らく先にメーカーさんに見解を語ってもらうということだと思うのです。それである程度焦点が絞れるというところがあり、それ自体は今でも交渉すればこういう理由で認めませんというようなことを言ってくれるメーカーさんはいたりします。ただ、それを裏づける証拠がどのくらいあって言っているのかというところはブラックボックスなわけです。そこまで含めて開示があれば、それを一つの契機としてこちらも検討の余地があり、あるいは、そうやって根拠の文書があれば、民訴の話になりますけれども、引用したものは引用文書として開示義務がありますので、当然に裁判でも使えるものとなるというところで、うまくいくかどうかは分かりませんが、少なくともそういう展開でないと厳しいかなとは思っております。

○善如委員 ありがとうございました。

単にソフトウエアやアルゴリズムなどを対象に入れるだけではなかなか対応し切れない部分があるのだなというのがすごく非常に理解することができました。どうもありがとうございます。

○鹿野委員長 では、小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

私自身、消費者教育が専門という観点からお尋ねします。

コメントとお話を伺っていて思ったのは、最後の少し時間も限られているということで4番目のところだったのですけれども、デジタル化・国際化への対応で、責任基準時が引渡し時に限られていることの限界として、特に長期使用を想定するSDGsの要請への対応もできないとはっきりお答えをいただいているということで、消費者教育はSDGsはじめ、物を長く大切に使うことも大切にしています。それは小学校、中学校、高校で共通しているのですが、そういったときに製品安全についても消費者教育ではもちろん取り扱うのですけれども、法律で守られていないというのでしょうか、消費者の立場としてはまだ不完全であることが気になっていて、私自身、消費者教育に関連して啓発のための文書を書くときにどうしたものかなと思いながら聞いていました。

以上がコメントなのですけれども、質問としましては、訴訟など、消費者から依頼を受けたときに、例えばこうしておけばもう少し未然に防げたのではないかとか、共通して言えるクライアントに対する未然防止策みたいなものが何かあれば教えていただきたいと思いました。何か事後的な対応というのは早期に解決する必要があるのですけれども、そもそも未然防止のところがしっかりしていれば、そういった困ったことにならない、あるいは困ったときにもすぐに相談でき、どういうふうにして動けばいいかというのが分かるわけなのですけれども、消費者教育の領域ではどちらかというと契約などの話が先で、製品安全とか消費者の安全というのは後回しだと思っています。

消費者教育の現場にどのようにすれば早期解決あるいは問題の未然防止につながるというようなことが言えるかということに興味がありましてお尋ねをする次第です。まとまってはいないのですけれども、たくさんの御相談を定期的に受ける中で、何か御知見がありましたらと思ってお尋ねいたします。

○伊藤弁護士 ありがとうございます。

問題の未然防止というのは、そもそもこの事故の被害者とならないためにはどうすればよかったのかというお話でございますか。

○小野委員 そうですね。すみません、はっきりしていないのですけれども、そこもあります。

○伊藤弁護士 まず、被害者とならないためにどうすればよかったのだろうかというのは、あまり被害者側でできることは多くはないとは思うのですけれども、製造の一般的な話になってしまいますが、結局本人が注意していれば防げる事故というのは、そもそもその前に設計段階で何とかしなければいけないというのがGuide51というものであるわけです。それを企業さんに求めるというのが回答になるかと思います。

いざ問題が起こってしまった、不幸にして受傷してしまった場合に、問題を長引かせないといいますか、少しでも解決余地を増やすという意味で言うと、メーカーさんには怒られてしまいますけれども、この製品を引き渡さないことです。物がなくなるというリスクが初期においては一番大きいというのと、その事故の状況です。例えば警察で言うところの実況見分図のようなものがありますが、それも結構大きな意味を持ちます。その辺り、写真を撮っておいてくれるととてもとてもうれしいなと弁護士としてはいつも思っているところですので、お求めの方向のお答えと違うかもしれませんが、伝えていただくならばそういうことかなと思います。

○小野委員 ありがとうございます。

私の質問が拙いもので恐縮なのですが、やはり消費者として、例えば何か事を起こそうと思ったら、保全をしておかなければいけないものがある。書面もそうかもしれないし、あるいは現物もそうかもしれない。場合によっては写真を撮るとか、特に消費生活センターに相談をするときに、感情に任せて言うのではなくて、ある程度時系列に情報を整理して臨みましょうとか、そういったことを結構消費者教育の領域でも近年扱うようになってきているのです。なので、物とかサービスについて何か被害を回復したいときも、場合によってはその臨み方と言うのでしょうか、解決に必要なものは何なのかというのを自分で考える、そんな力をつけるような方向が今あるのかなとお話を聞きながら思いました。まとまりのない質問をしてしまって申し訳ございませんでした。

以上、私のほうからお尋ねしたいことでございました。どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、原田委員、お願いします。

○原田委員 伊藤先生、大変興味深いお話ありがとうございました。

私のほうから、全体としては1つですけれども、2点に分けて御質問させていただければと思います。

お話の中で、訴訟提起前に証拠が欲しいということがございまして、大変切迫した問題だと認識いたしました。現状として、例えば情報公開を使ってこのような証拠資料を入手するようなことがどの程度できているのかということがお伺いできればというのが一つでありまして、もう一つは、例えば制度として行政調査を求めるような制度をつくった上で、行政調査を行政機関にやってもらって、その情報を例えば情報公開請求などで開示するとか、あるいは調査義務を課しているPLセンターのほうから情報提供を受けるというような制度を仮に実現させた場合には、多少現在の状況が改善できるかということについて伺えればと思います。

以上です。

○伊藤弁護士 ありがとうございます。

大いに改善すると思います。情報公開という話で言いますと、やや製造物責任の親戚のような筋の話になりますが、労災の関係でそれこそやっています。労基署が調べて、その結果を労基署に照会をして、もちろん一部黒塗りですけれども、開示されると。そこに事故を起こした機械が云々かんぬんということも書いてあったりして、PLの観点からは興味深いのですが、労災は別の道筋があり得ますので、そこでPLの話に進むことが多くはないのですけれども、いずれにせよ今おっしゃったような施策が取られるならば、同じような展開を取れると思いますので、とても有用だと思います。

○原田委員 ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。その次に黒木委員長代理、お願いします。

○柿沼委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。大変興味深いお話でした。

私も弁護士ではなく一消費生活センターの相談員ですので、裁判のこと、法律の見解などについての質問ではないのですが、お聞きしたいことが2点ございます。

まず、PL法は欠陥がある製品で被害が出たら製造者が責任を負うという重要な法律でありますが、しかしながら実際にはその欠陥を証明する難しさ、裁判するときの難しさや費用面などで消費者が途中で諦めてしまうという実態については、相談の現場でもよくお聞きする内容でございます。

お聞きしたいところが2点あるのですけれども、まず費用面の解決ができれば、消費者側として諦めることがなくなるのかというのをお聞きしたいと思います。裁判の時間、年数もかなり多いというところもあるかと思うのですけれども、やはり費用面として、勝訴したとしても結局持ち出しが多いというところもございましたので、その辺りについてどうなのかなというところがあります。

特定適格消費者団体の消費者団体訴訟制度のような形で、同じようなことを相談する者が多数いたような場合にそのような消費者を集めることによって、何か解決したということもあるのではないかなということを考えましたので、その辺りについてまず1点としてお聞きしたいと思います。

2点目として、PLセンターの稼働実態のお話をお聞きしましたが、利用がかなり限定的であるということについては大変驚きました。

消費生活センターで何か製品について関わる相談を受け付けたときに、国民生活センターの商品テストを活用させていただく場合がございますが、国民生活センターで商品テスト結果の活用などについては、裁判を行う際にどこまで活用できるのかなというのをお聞きしたいなと思いました。

以上2点です。

○伊藤弁護士 ありがとうございます。

費用負担の点がどれぐらい壁の要因になっているのか、それさえ解決すればよいのかという御質問に関しては、御質問の趣旨に含まれているものとは思いますが、お金の件に加えて、その資料を解析できる専門家を確保できるというところがもう一つ大きな課題でございます。そこも含めて、手当てがもしもされることがあれば、最終的にはもちろん依頼者次第ですけれども、弁護士としてもやってみなはれということを言いやすいかなとは思います。それでどれぐらいの割合が翻意するかというのは、推測としても分かりかねるところです。申し訳ありません。

2番目の国民生活センターのテストというのは、私も期待をするところではあり、実際にお願いをしようとしたことがあるのですが、昔の運用と今の運用は違うようでして、昔はどうだったか分からないのですが、少なくとも今は国民生活センターさんでADRを踏まえたものでないと調査をしないということで、持込みは無理ですと。じゃあADRを持ち込めばやってくれますかというのも、保証の限りではありませんというところでして、こちらの一存でどうこうできるものではないという理解でおります。

以上です。

○柿沼委員 御説明いただきましてありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 私も現場におりますので、非常に分かりやすいお話だったと思っています。

その関係で、最終的には事実上の推定をどう考えるかが大きなテーマになりますが、これを分解してお尋ねしたいと思います。

1つ目は、おっしゃったとおり、提訴前の照会や証拠保全が機能しないというお話についてです。先ほども伺いましたが、PSCマークやPSEマークを付けている事業者であれば、一定程度、行政上の必要性に応じてメーカー側で文書を作成していることが想定されます。こうした文書を対象に、提訴前の照会や証拠保全を検討することはなかったのか。先ほどは「していません」とのことでしたが、改めてお伺いできればと思います。

2点目は、文書提出命令も機能しないというお話についてです。これは訴訟法上の模索的証明の問題になりますが、文書の特定をどこまで行うべきかについては平成13年2月22日の最高裁決定があり、特定を一定程度緩和してでもこのような立証をしたいのであれば文書提出命令を認めてよいという判断も示されています。そうした中で、訴訟実務ではこれがどのように運用されているのか、という点です。

3点目は、冒頭にありました150万円の調査費用のお話についてです。なるほどと思ったのですが、被告側のメーカーは自社の調査を保険対応で行うことができ、自腹を切らずに様々な調査ができる一方、原告側は自腹でなければ調査ができません。この点でも、調査費用に関する非対称性が初めから存在する訴訟類型ではないかと思います。伊藤先生が実際に担当された事件で、メーカー側が調査費用を潤沢に使うことで著名な工学博士の論文が提出される一方、原告側には何もない、といった状況になったことはなかったでしょうか。

そして4つ目が、私にとって鍵となる質問です。事実上の推定は、最終的には裁判官の自由心証に委ねられています。通常の使用であればこのようなことは起こらないはずだという経験則に依拠するというだけのものですが、先ほどのような問題点があるのだとすると、法律上の推定に変えなければ、訴訟法的にPL裁判は機能しないとお考えなのかどうか。その辺りはよく聞こえなかったので、改めてお考えをお聞かせください。

以上です。

○伊藤弁護士 ありがとうございます。

まず、PSCの技術文書です。確かに試みようとしたことはあります。実は今、行っている案件で、交渉決裂したらやろうかと思っているものがあるのですけれども、証拠保全に関して言いますと、これもやってみなければ分からないというところなのかもしれません。ただ、こちらとしても本当に必要かどうか分からないということなので、それで裁判所が必要性を認めてくれるのかどうかというのが私としては未知数です。

3番目の保険の関係ともやや関連するのですが、弁護士の話で恐縮ですけれども、そういった手続を取れば取るほど弁護士費用も頂戴することになって、そこも依頼者にとっては負担になるわけです。そういうところも訴訟提起前の壁としては、依頼者にとっては決して低くはない壁になるわけですが、今回、私がやってみようかなと考えているというのは、その方が弁護士保険に入っていらして、なぜか分からないのですけれども、これも使えますということで費用も出るのです。なので、思う存分調査をさせていただいて、保全だってへっちゃらさということではあるのですけれども、3番目の話と絡めて言えば、依頼者の体力がもつ前提があるならば、今よりもう少し試みられる、弁護士としても頑張れる可能性はあるのかなとは思うところではあります。

文提のところに関して言いますと、これも確かに主題を工夫することで活用の余地は見解によってはあるのかもしれないとは思っております。そこに関しては、それぞれの訴訟の生々しい判断のところで、結局何が出てくるか分からないし、立派な企業さんばかりだとは思いますけれども、そうでない、要は出すと言って一部だけを出してくる企業さんがいる可能性も否定できない。我々としては性悪説に立たざるを得ないところで、文提でどれだけ有利な証拠が出てくるか。企業さんが適当な回答だった場合の悪影響とかを考えて、あえてそこでの勝負をしないという判断をすることは間々あります。本質的な話ではありませんが、文提を使うかどうかというところについては、御指摘いただいた壁が取り外されたとしてもなお訴訟戦略上の優劣はあるというところでございます。

4番目、法律上の推定規定であってほしいと個人的には思います。ただ、ここは弁護士仲間でもまだ意見が大いに割れているところではあるのですが、まず出発点として、推定ができるのだということは絶対に明記してほしい。そんなもの知らぬと言われる悲劇は何としてもなくしていただきたいと思います。

その上で、法律上の推定と言うからには要件が必要であり、その要件をどれだけ明確化するかというのは、実はそれだけ柔軟さが損なわれることにもなるわけです。なので、ある程度予測可能性を保たせつつ、柔軟でもある要件をどうやって定立するかというのは、今後、消費者側弁護士としても検討しますし、ぜひとも改正議題にあげていただくその際には大いに議論されるところかなと思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

今の事実上の推定は、結局はそういう経験則があるよねというのを裁判官が共有できるかどうかにかかるわけで、より不安定だとは思うのです。したがって、何らかの証明責任の転換というか、法律上の推定規定というかは別として、それがあったほうが逆にメーカー側として見ても予見可能性が高くなるのではないかなという気もしますけれども、おっしゃるとおりどういう要件に書いたらいいのかというのは、法文に落とすときには難しいとは思いました。

以上です。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。

予定より若干早いですけれども、御質問等は既に出尽くしたようですので、以上で質疑応答、意見交換は終わりとさせていただき、前回と今回の議論について簡単にまとめてみたいと思います。

まず、全般的な振り返りになりますけれども、消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議として、製品安全及び製造物責任法(PL法)について、2週にわたり消費者庁、事業者、弁護士等から御報告をいただき、意見交換をさせていただきました。

消費者庁からは、製品安全全般に関する取組状況を報告いただいたところですが、PL法については、海外の法制、特にEUの動向を調査し、さらにアメリカの調査も予定されていることや、有識者、実務家へのヒアリングの実施、PL法に関する訴訟情報の収集、公表といった取組が行われていることが確認されました。

また、施行から30年を経たPL法は、どの程度の役割を果たしているのかを検証する観点から、製品安全への取組実績や知見がある事業者等からも御報告をいただき、ヒアリングを行ったところでございます。PL法の存在自体が製品安全確保の取組を促進し、事故発生の抑止的な効果も果たしているのだということがここでは確認されたところでございます。

以上、取組等で確認されたところを申し上げましたが、しかし一方で、いろいろと今後に向けた課題も確認されてきたところだろうと思います。特に全体として、製品のデジタル化や流通の国際化といった社会状況の急速な変化を踏まえると、現行のPL法が十分に機能しているとは言い難い状況も生じているのではないか。あるいは、そういう状況が今後進んでいくのではないかという懸念が、御発表者あるいは委員から指摘されたところでございます。

具体的には、本日も話題になりましたが、ソフトウエア等のいわゆる無体物は製造物に含まれないとされているため、ソフトウエア等に起因するような事故が生じたときに問題が生じるのではないかという点の御指摘があったところです。

この関係では、本日、アップデートまで含め、基準時をどうするのかということまで含めて考える必要があるといったところとか、あるいは対象に単に含めるというだけではなく、さらに周辺の対応の必要性があるというところについても意見交換の中で言及されたところだと認識しています。

また、製品流通の国際化、いわゆる越境ECの発展に伴い、製造に関する責任主体やその所在等が不明確な場合もあり、たとえ明確でも海外の事業者への責任追及は事実上難しい。そのことによって消費者に生じた損害について、その被害救済が難しくなっているというような可能性も指摘していただいたところです。この点については、消費者被害の救済という点を今、指摘しましたが、それだけではなくて、公正な市場環境を確保するという観点からも極めて重要でございまして、製品流通に関与する事業者間における責任分担の在り方について、制度化も視野に入れた検討が必要なのではないかと考えるところでございます。

また、欠陥や因果関係の立証負担については、従来から問題の指摘があったところですが、本日の伊藤弁護士のお話でも、事実上の推定法理の不安定さと法律上の推定規定の必要性について御指摘があり、本日の意見交換ではさらに調査費用等も含めて訴訟における非対称性や実務的工夫とその限界についても言及があったところでございます。

立証については、従来からの問題に加え、デジタル化の進展を受けて、さらに消費者にとって一層困難になる可能性がうかがえるところでございますので、この点についても検討が必要であろうと考えます。

それから、国によるルールや基準の違いが各国に出荷する製品のつくり方にも影響しているというような御指摘もあったところでございます。これは裏返せば、PL法も含めた法的な基準が低ければ、日本での安全性が十分に確保されないということにもつながりかねないと感じました。その意味でも、国際的な動向に後れを取らないような対応ということが日本においても必要であると思います。

また、前回は、日本版の製品安全誓約についての御説明もいただいたところでございます。この安全誓約には、リコール製品や安全でない製品から消費者の安全を確保するという役割が期待され、このような取組が推進されるということはとても重要であると思いますが、ただ、一方で、これは事故が起こった場合の補償について対応される枠組みではないことから、被害救済については、なお別途検討する必要があると思われます。

それから、先ほど国際化の話について既に触れましたが、EUの新たな製造物責任指令については、昨年12月の本会議において、松本教授からも御発表をいただいたところでございます。同指令は、本年の12月9日までに加盟国における国内法化がなされるということになっていて、それを経て各国で実際に運用がなされていく予定と伺っているところでございます。

消費者庁から、日本のPL法の在り方については、EUをはじめ新たな状況等を調査しながら、慎重に検討する予定であると伺いました。もちろん拙速はよくないと思いますし、丁寧な検討ということも必要だろうとは思いますが、前回も申しましたけれども、現在、社会状況は急速に変化しているところです。これに適切に対応し、消費者が不利益を被ることがないように、国内外の事故情報や訴訟情報の収集・分析を一層強化するとともに、その調査研究の成果を生かして、日本におけるPL法の現代化を進め、また訴訟実務等における被害者の負担軽減等の課題の検討を迅速に進めていただきたいと考える次第です。

以上で前回と今回の2回のまとめとさせていただきます。

安藤様、伊藤様におかれましては、本日、お忙しいところ御対応いただき、誠にありがとうございました。

どうぞ御退席ください。どうもありがとうございました。

(安藤氏、伊藤弁護士 退室)


《3. その他》

○鹿野委員長 それでは、続きまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、参考資料1を御覧いただけますでしょうか。

消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(5月分)となっております。

5月分は2件寄せられております。

まず、取引・契約関係が1件でございます。

消費者庁が設置した「多数の消費者に深刻な財産被害を及ぼす詐欺的な悪質商法対策プロジェクトチーム」についてとなっております。右側の要望書・意見書等のポイントのところでございます。消費者庁においては、2025年11月にこの問題に対応するプロジェクトチームを設置したと記載されております。その上で、上から3行目の半ば頃からでありますけれども、こうした事案の問題点、表面上の配当で被害が顕在化しないまま、急速に拡大、被害が顕在化したときには、個々の被害額及び被害総額が極めて大きくなることが特徴となっており、しかも資産が既に散逸しているという場合が多いため、被害回復には早期の業務停止と資産確保は不可欠であると述べられております。

こうしたことを受けて、下から2行目になりますけれども、詐欺的悪質商法による被害防止と迅速な被害救済のため、行政による破産申立制度、悪質商法に対する行政による被害回復制度の導入を進めることを求めるといった内容の意見書となっております。会長声明となっております。

それから、もう一件、その他の意見としていただいております。組換えRSウイルスワクチン・アブリスボに関する要望書となっているところでございます。

これ以外にも、個人の方から36件の意見書等が寄せられております。その内訳といたしましては、消費者安全関係が1件、取引・契約関係が2件、公益通報関係が2件、食品表示関係が1件、表示関係が1件、デジタル・AI関係が9件、その他20件となっております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これについて、委員から何か御意見等ございますか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 最後に申し訳ないのですけれども、福岡県弁護士会から御意見が出ていらっしゃるプロジェクトチームについては、私も全くどうなっているのか全然分からないまま、去年の秋、11月にこれが発表されたことは存じ上げているのですけれども、どうなっているのか全く分からないのですが、全く開催されていないということなのでしょうか。それとも、内々で非公開で何かされているとか、何か情報をお持ちでしたら教えていただきたいのですが、これは委員会の事務局の方に伺ったほうがいいのかもしれません。

もし全く開催されていないということであれば、相当問題なのではないかと私は思っていまして、去年の11月に設置したということですが、もう7か月ですか、結構たっていると思うのですけれども、一体これどういうことなのだろうかというのはすごく疑問に思っているので、何か状況を御存じでしたら教えてください。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、事務局で御存じの限りお願いします。

○友行参事官 恐らく何らかの検討はされているかと思います。追って事務局のほうでもその内容を確認いたしまして、委員の先生方に情報共有などできる機会が参りましたら、そのように対応したいと思います。

○大澤委員 分かりました。ありがとうございます。

大体省庁というのですか、消費者庁も検討会は公開していることが多いと思うのですが、もちろんテーマがテーマだけに何か公開できないとかそういう事情があるのかもしれませんが、その辺りも含めて、あまりにも情報が出てこないというのも、こういうものを設置しますという話があって、恐らく期待もされていたはずのところ、何も全く分からない状況というのはちょっと気になりますので、すみませんが調査のほどよろしくお願いします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 福岡県弁護士会の会長声明ですけれども、内閣府消費者委員会の消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループとか消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の意見書とかも参照して意見をまとめていただいておりまして、そういう意味では当委員会の活動というのも広く社会の中では影響があるものだと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

よろしいでしょうか。

ありがとうございました。

今、御指摘のあった御意見も含めて、これらの頂戴した御意見等については、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたします。

今、御指摘のあったプロジェクトチームの点については、私たちも非常に関心を持っているところなので、先ほど事務局からお話しになったように、情報がつかめれば、あるいは消費者庁のほうで何らかこの場で御説明いただけるような段階に来れば、ぜひお願いしたいと考えているところでございます。


《4. 閉会》

 

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)