第491回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2026年6月9日(火)10:00~11:54

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、善如委員
  • 【説明者】
    新潟大学法学部 上山教授
    厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室 占部室長
  • 【事務局】
    小林事務局長、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議(成年後見制度)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第491回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、柿沼委員、善如委員がテレビ会議システムにて御出席です。

なお、小野委員、原田委員、山本委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議(成年後見制度)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の施策の取組状況等に関する調査審議の一環として、成年後見制度について御議論いただきます。

成年後見制度を利用する本人の尊厳にふさわしい生活の継続や、その権利利益の擁護等をより一層図る観点から、法制審議会民法(成年後見等関係)部会において、成年後見制度の見直しについて調査審議が行われ、本年1月に要綱案が取りまとめられました。また、それに基づいて改正法案が策定され、国会に上程されて、現在まさに国会において審議中ということでございます。ちょうど衆議院を通ったという段階だと伺っております。

一方、第5期消費者基本計画には、第二期成年後見制度利用促進基本計画に沿って、地域連携ネットワークづくりの推進や、担い手の育成、意思決定支援の浸透など、さらなる制度の運用改善等に向けた取組を行うと記載されております。

そこで、本日は、第二期成年後見制度利用促進基本計画の取組状況について厚生労働省から、また、法制審議会における議論及び要綱について同部会委員である新潟大学の上山教授から、それぞれ御説明をいただき、その成果や今後求められる消費者保護の取組などについて、意見交換を行いたいと思います。

改めて御紹介させていただきます。 

本日は、新潟大学法学部の上山教授に会議室にて御出席いただいております。

また、厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室の占部室長には、オンラインにて御出席いただいております。お二人とも、本日はお忙しいところ、ありがとうございます。

本日の進め方ですが、上山教授、占部室長の順にそれぞれ20分程度で御発表をいただき、その後、全体としての質疑応答、意見交換の時間を50分程度取らせていただく予定でございます。

それでは、早速ですが、まず、上山教授から20分程度で御発表をお願いします。

○新潟大学法学部上山教授 おはようございます。新潟大学の上山でございます。

本日は、大変貴重な機会をいただきまして、どうもありがとうございます。

私からは、消費者の脆弱性に関わる問題を視野に入れつつ、成年後見制度の改正について御報告を申し上げます。

報告の大まかな流れとしては、まず、現在国会で審議中の民法等の一部を改正する法律案に基づいて、法定後見制度と任意後見制度双方の改正のポイントをお話しいたします。

さらに、地域の総合的な権利擁護支援体制の確立という観点から、民法改正と同時に進められている社会福祉法改正の内容にも少し触れることといたします。

初めに、法定後見制度の改正のポイントについて申し上げます。

御参考までに、法務省のほうでまとめられた見直しの概要のポンチ絵を、資料の4ページ目に掲げておきましたので、こちらを適宜御参照いただければと思います。

まず、今回の改正の基本目標を一言で言えば、御本人側の目線に立った利用しやすい柔軟な仕組みへの転換にあったと言えます。

具体的に言えば、1つは、御本人にとって必要なときに必要な範囲で使える仕組みとすることです。これは、特に、いわゆる終わらない後見問題を解消するための方策と言えます。

もう一つが、事情の変化に応じて支援者を柔軟に交代できる仕組みとすることです。例えば、専門職から市民後見人へのリレーの場面が典型ですが、御本人の利益から見て、より適切な人に支援者を交代させるほうが望ましいことがあります。こちらは、言わば辞めさせられない後見人問題への対応と言えるでしょう。

もう一つの政策課題が、障害者権利条約12条との整合性を担保するために、御本人への過剰な干渉や制約を減らすことでした。

具体的には、包括的な代理権と取消権のある後見類型を廃止し、支援者の権限を御本人の具体的なニーズに合わせて、オーダーメイドで設定することを原則といたしました。

さらにこの権限の設定には、原則的に御本人の同意が必要となります。

次に、改正の具体的な内容に移ります。

まず、最大のポイントが、今触れたオーダーメイド型への転換です。いわゆる必要性の原則を法制度の基本原理に据えて、現在の3類型を新しい補助制度に一元化いたします。

この仕組みは、現在の補助がベースですので、代理権などの補助人の権限は、御本人の同意に基づいて個別に設定されます。

ただし、現在の成年被後見人相当の判断能力の方も新補助の対象となりますので、御本人が同意の意思を表示できない場合に備えて、本人同意を不要とする例外も認められます。

加えて、後ほど触れるように、特に取消権に関して少しまとまった保護が必要な方を想定した特定補助という仕組みが導入されます。

補助人の同意権と取消権に関する規律は、先ほど触れた、本人が意思を表示できない場合に、御本人の請求または同意のない権限付与を認める例外を除けば、現在の補助とほぼ同じです。

同意権の対象となる行為も、規定ぶりの修正はあるものの、現在の保佐人の要同意行為を定めた、民法13条1項の内容が基本的に受け継がれています。

平たく言えば、重要な法律行為というこの大枠の中から、御本人の保護に具体的に必要な範囲で、つまり、御本人が自ら不利益な行為をしてしまう蓋然性が高い事項に限って、同意権を付与する形になります。

代理権に関する規律も、本人の同意のない例外的付与を認める点を除けば、現在の補助と変わりません。

つまり、御本人のために、特定の法律行為の実施を検討すべき具体的な必要性がある場合に、その範囲で、代理権を補助人に個別に与える形となります。

次に、特定補助ですが、最も留意すべきは、現在の成年被後見人相当の方が、そっくりそのまま対象となるわけでは決してないということです。

というのも、御本人が事理弁識能力を欠く状況にあるという御本人の属性に関する要件こそ、現在の後見類型と同じですが、これに加えて、家庭裁判所が、必要があると認めるときという必要性の原則による厳格な絞り込みが行われる結果、対象者は、現在の成年被後見人よりもかなり限定されることが見込まれているからです。

特定補助人には、補助人の要同意行為とされている全ての行為について、同意権ではなく取消権が付与されます。さらに具体的な必要性があれば、ほかの特定の行為にも取消権の対象を拡張できます。

通常の補助の場合を含めて、現行法と同じく取消権は、日常生活に関する行為には及びませんので、各条の対象は重要な行為と日常生活に関する行為の、言わば中間的な行為ということになります。

さらに特定補助人には、意思表示の受領と保存行為に対する代理権が画一的に付与されます。

これに加えて、具体的な必要性があれば、通常の補助と同様に、特定の行為に関する代理権を与えることもできます。

このように、一定の取消権と代理権を一律に与えるパッケージ型の保護が特定補助の特徴です。

こうした、特殊な権限を持つ特定補助人を選任できるようになったことで、現在の補助の利用パターンが3種類なのに対して、新補助は、大まかに言って5パターンになります。

つまり、補助人が同意権のみ持つ形態、代理権のみ持つ形態、同意権、代理権の両方を持つ形態という現在の3種類に加えて、特定補助人を選任する形態、さらにこれに代理権を追加する形態という利用パターンが新たに可能になるわけです。

さらに細かく言えば、先ほど申し上げたように特定補助人の取消権は事案に応じて拡張できますので、④と⑤については、それぞれ取消権の追加の有無という2つのバリエーションがあり、合計7パターンの利用形態があると捉えることができます。

補助の開始原因が消滅した場合、つまり、御本人の判断能力が回復した場合には、補助開始の審判が取り消され、補助が終了することになります。この点は、現行法と変わりません。

これに加えて新補助では、御本人の判断能力が不十分な状態であっても、補助人による支援の具体的な必要性がなくなったときは、補助を終了させることができるようになります。

具体的には、まず、補助人の同意権や代理権の必要がなくなったと家庭裁判所が認めた場合、この不要な範囲に応じて、これらの権限の全部または一部の取消しができます。

この結果、補助人の権限が全て消滅したときは、家庭裁判所は補助それ自体を終了させなければなりません。

さらに、現在の実務慣行である、年1回の定期報告を法定化することで、こうした本人の具体的なニーズに応じた補助人の権限の削減や、補助の終了が適切に行われることを担保しようとしています。

補助人の柔軟な交代という課題については、欠格事由との結びつきの有無という点から、解任事由を2つのタイプに分けることで対応しています。

1つは、補助人が横領などの不正行為をした事案のように、補助人に一定の義務違反があり、補助人としての客観的な適正を欠くと評価できる場合です。この場合は、現在と同じく解任は欠格事由となります。

他方、義務違反はないものの、例えば、債務整理などの法的課題が一段落して、御本人の身近で伴走型の支援ができる市民後見人への交代が望ましくなったときなどには、御本人の利益のために特に必要があるとして解任ができるようになります。

この場合、補助人に非違行為はありませんので、解任されても欠格事由にはならず、ほかの案件については、なお補助人として支援が続けられるわけです。

今回の改正では、御本人の意思をできる限り制度の運用に反映させることが目指されました。

この観点からは、まず、民法858条の本人意思尊重義務の修正が重要です。現行の規定ぶりがやや抽象的であるのに対して、法案は、補助人の権限行使に当たって、まずは御本人に情報提供をして、その御意向を確かめようとした上で、それを尊重しなければならないというように、補助人が取るべき行動を具体的に示す形に改めました。

こうした行動は、意思決定支援の基本でもありますので、この修正は、実質的には補助人の意思決定支援義務を法制化したものと見ることができます。

このほか、公正証書によって本人が指定した者が、補助開始の審判や補助人への権限付与の審判の請求権者に追加されました。

また、補助人を選任する際の考慮要素について、現行法では条文の末尾に置かれていた本人の意見を例示の冒頭に移動させたことも、御本人の意向を重視しようとする改正の基本姿勢を示したものと言えます。

さて、ここまで法定後見の改正を見てきましたが、消費者保護の観点からは、補助人の関与の範囲が狭くなること、特に同意権、取消権の対象が限定されることに懸念があるかもしれません。

そこで、この点について少し補足しておきます。まず、取消権の本来の意義は、自分に不利益な法律行為の効力を打ち消すことにあります。逆に言えば、判断能力が不十分な人がした契約だからといって、それだけを理由に全てを取り消す必要はありません。問題となるのは、取引の相手方などが判断能力の不十分性という本人の属人的、あるいは属性的な脆弱性につけ込む形で、御本人に不利益な行為がされてしまった場合や、こうした脆弱性のために、明らかに御本人にとって不要な行為をしてしまった場合などです。

そこで今回の改正では、御本人の生活環境や、これまでの取引歴などを踏まえて、同意権による介入が具体的に必要と思われる範囲に制限行為能力による保護をとどめることにしたわけです。

もっとも事案によっては、御本人の行動を予測することが非常に難しい場合があり得るため、少し幅広の取消権型保護の可能性を、特定補助の仕組みによって留保したというわけです。

このように、今回の改正でも属性的脆弱性による特別な取消型の保護が、なお必要であるという前提が取られたわけですが、属人的カテゴライズによる保護は、スティグマと表裏になりがちですので、消費者契約法での受皿規定の導入などによって、こうした属人的保護を解消できないかは、今後も検討が続けられるべきだろうと思います。

なお、今回の改正で必要性要件が明示的に付加されたことで、補助開始の要件が、旧来型の単純な医学モデルから社会モデルに転換されたことも、この問題との関係で重要です。

次に、任意後見制度の改正についても簡単に触れておきます。

まず、現行法が認めていない法定後見との併存ができるようになることが重要です。つまり、既存の任意後見人がいる事案で補助人が選任されても、任意後見契約は終了しませんし、逆に、補助人がいる事案で、任意後見が開始されても、補助も継続することになります。

これにより、消費者被害の高リスク事案などでは、補助を部分的に活用することで、任意後見だけではカバーしきれない取消型保護の要請に対応できる可能性が生まれます。

なお、同じ人が任意後見人と補助人を兼ねることは当然可能です。補助人の選任時に、御本人の意見が考慮されることを考えると、既存の任意後見契約がある場合には、むしろ任意後見人を補助人に選任する運用が、今後一般的になるかもしれません。

任意後見監督人による監督が明らかに必要ない場合に限り、例外的に監督人を選任しない形での任意後見の運用ができるようになることも大きな変更点です。

この場合は、家庭裁判所が任意後見人を直接監督する形となります。

これに伴い、任意後見の効力発生要件も任意後見監督人の選任の審判から任意後見開始の審判に修正されます。

なお、監督人の選任に関しては、御本人の意見が考慮要素として明示されることになりました。

任意後見の柔軟な運用という点では、ほかにも任意後見契約の内容を公正証書によって変更できることが明文化されるほか、契約全体ではなく、その一部の解除も認められることになります。

さらに、劣後する任意後見契約について、公正証書で不開始の合意をしておくことによって、予備的な任意後見人の運用が担保されることになります。

実務上、現在でも任意後見人の死亡などに備えて、発効の優先順位をつけて複数の契約を結ぶことがありますが、この優先順位を確実に保障するための手だてはありませんでした。不開始の合意は、これを解決するものです。

最後に、民法改正と同時に進められている社会福祉法改正のポイントに触れておきます。

まず、第二期成年後見制度利用促進基本計画が示した判断能力が不十分な者を支えるための権利擁護支援の地域連携ネットワーク機能が市町村の努力義務とされます。

これに伴い、この要となる、いわゆる中核機関が権利擁護支援推進センターという名称で、社会福祉法上に法定化されます。

成年後見の適正な運用に当たっては、司法と行政、つまり、家庭裁判所と市町村との緊密な連携が欠かせません。この前提となる両者の情報共有を担保するために、センターの職員らには守秘義務が課されます。

家事事件手続法の改正により、補助の審判に当たって、家庭裁判所が市町村長その他適当な者に意見照会を行うことができるようになりますが、この照会先としてセンターが想定されているからです。

成年後見の改正と直接関連するもう一つの重要なポイントが、日常生活自立支援事業の拡充、いわゆる新日自の導入です。

新日自では、現在の支援対象である福祉サービスの利用援助や日常的金銭管理などの日常生活支援に加えて、入院入所等の手続支援か、死後事務のいずれか一方を行うことが求められます。

新日自の特徴として、対象者の拡大も重要です。現行日自の対象者は、判断能力が不十分な人ですが、これに加えて、新日自では判断能力の多寡にかかわらず、頼れる身寄りがいない人が対象となります。

従来の日自は、判断能力不十分者の権利擁護に特化した仕組みでしたが、新日自は、より広く地域の包括的支援体制を支える仕組みとして想定されていると言えます。

新日自の課題として、消費者保護の観点から特に気がかりなのは、実際に民間事業者が本格的に参入した場合のセーフガードの確立です。現在は、事業主体が事実上都道府県社協等に限られており、契約締結審査会と運営適正化委員会によって事業の適正な実施が担保されています。

しかしながら、新日自の事業が、これまで多くの消費者問題が生じてきた高齢者等終身サポート事業の内容と重なることを考えると、新規参入したNPOなどの民間事業者に対する規制が、届出制による都道府県の一般的監督で足りるかには懸念が残ります。

運営適正化委員会の体制の拡充などを含め、新日自が貧困ビジネスに陥らないためのセーフガードの検討が喫緊の課題であると感じます。

最後に、今回の民事法制と社会福祉法の同時改正後にも残るであろう課題に触れておきます。

1つは、今申し上げた新日自の適正な運用の確保です。新日自の契約内容は、地域の多様な支援ニーズに対応するために、現在よりもかなり複雑化します。特にサービスの性質上、一定額の預託金が生じる死後事務契約には、現在の日自の利用者よりも高い契約能力が必要になると思われます。このことは、成年後見終了後の受皿問題というもう一つの課題にもつながります。

成年後見の改正目的である終われる後見を実現するためには、判断能力が不十分な人が安心して使える日常金銭管理のための簡易な支援の仕組みの整備が必須と言えます。

当初法制審では、今の日自の利用者より契約能力が低い人でも利用できる意思決定支援に基づく簡易な金銭管理の仕組みが、社会福祉法の改正によって法制化されることを期待していました。

しかし、残念ながら新日自は、これに十分応えるものとは言い難いと言えます。受皿問題の解消は、もちろん、民法学側の課題でもありますが、地域福祉側のさらなる工夫の進展も強く望まれるところです。

以上で私の報告を終わります。御清聴どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、続きまして、占部室長、こちらも20分程度でお願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 厚生労働省の占部と申します。どうぞよろしくお願いいたします。

私のほうからは「成年後見制度利用促進計画の取組状況等について」ということで御説明をさせていただきます。

主に御説明する内容といたしましては、現在の成年後見制度利用促進法の枠組みの中で進めている各般の施策の状況、それから、先ほど上山先生からもお触れをいただきましたけれども、現在、参議院のほうで、これから審議に入ろうとしております、社会福祉法の改正案の内容等について御説明ができればと考えております。

それでは、次のページ以降で御説明させていただきます。

まず、成年後見制度の利用の促進に関する法律の全体の構成についてでございます。

この法律は、平成28年に議員立法で成立した法律でございまして、成年後見制度の利用について、対象となり得る方の数に比較して利用がまだまだ進んでいないという状況に鑑みて、改めて成年後見制度をより使いやすくして、かつ、地域の中で判断能力の不十分な方の権利擁護を図っていこうという考え方の中で、基本理念として、成年後見制度の理念の尊重あるいは地域の需要に対応した成年後見制度の利用の促進、それから、成年後見制度の利用に関する体制の整備ということを掲げつつ、国等の責務をきちんとこの中で規定するということと、施策を具体的に進めるための基本計画を国において成年後見制度利用促進基本計画という形で策定し、これを踏まえて、それぞれの地方公共団体において具体的に進めていく措置を計画の中で策定するということを法律上に規定して、これに基づいて施策を推進しているということでございます。

次のページをお願いします。

現在は、第二期計画に基づいて、施策を推進しているところでございます。

この基本計画については、5年間を一期として政策を進めておりまして、第二期が令和4年度から令和8年度の5年間ということでございます。

したがいまして、今年度が第二期計画の最終年度ということでありまして、来年度からの第三期計画については、今年度、成年後見制度利用促進専門家会議において御議論いただくことになろうかと思っております。

この第二期計画においては、成年後見制度の利用促進に当たっての基本的な考え方として、地域共生社会の実現に向けた権利擁護支援の推進ということで、本人を中心とした支援、活動における共通基盤となる考え方として、権利擁護支援を位置づけた上で、地域連携ネットワークにおける権利擁護支援策の一層の充実などの、成年後見制度利用促進の取組をさらに進めていくこととしております。

具体的に進めていくべき施策として、下にございますけれども、本日のテーマとの関係で言いますと、1番のところで、「成年後見制度の見直しに向けた検討」と「総合的な権利擁護支援策の充実」ということで、先ほど御説明のございました、成年後見制度の見直しに向けた検討というのが(1)のところにございます。これについては、現在、民法の改正案ということで、今国会に法律案が提出されているところでございまして、たまたまでございますが、今まさに、参議院の法務委員会で御審議がなされているということでございます。

あわせまして、総合的な権利擁護支援策の充実ということで、この後出てきます日常生活自立支援事業等との連携体制強化、あるいは新たな連携による生活支援、意思決定支援の検討といったことが、この中で掲げられているということであります。

あわせまして、権利擁護支援の地域連携ネットワークづくりということで、地域における権利擁護を図るためのネットワークづくりというのを、市町村を中心に進めていくということですとか、あるいは成年後見制度の運用改善といったことについても、この中で示されているということでございます。

次のページをお願いします。

この成年後見制度利用促進基本計画は、5年間の計画ということで、中間年となる3年目の段階で中間検証というのを行っております。

今、御覧いただいているのは、令和6年度に行いました中間検証報告書のポイントです。

本日のテーマとの関係で言いますと、(1)と(2)のところで成年後見制度の見直しに向けた検討あるいは総合的な権利擁護支援策の充実というところで、総合的な権利擁護支援策の充実に関して申しますと、日常生活自立支援事業の実施体制の抜本的な強化を図るでありますとか、あるいはこの後御説明しますが、地域共生社会の在り方検討会議における検討を進めて所要の対応を図るということ。

あるいは、次のページですけれども、地域連携ネットワークづくりの中で、地域連携ネットワークの各支援機能の強化に向けた取組の検討でありますとか、中核機関の位置づけ、役割・名称に関する検討、こういったところを踏まえて、この後の社会福祉法の改正につながっていくということでございます。

この基本計画につきましては、次の6ページ、7ページのところに、各施策について施策の進捗状況を確認するためのKPIを設定してございます。

今、御覧いただいているのは、中間検証段階のKPIということでございますので、令和6年度の段階の数字ということですが、8ページを御覧いただきますと、中間検証等において記載をしているKPIについて、毎年度、成年後見制度利用促進施策に係る取組状況調査という形で、各市町村あるいはその都道府県に対して、現状の取組状況についてチェックをして、その数字について公表させていただいています。

今、御覧いただいておりますのは、直近の数字の令和7年4月1日時点の数字ということで、例えば、相談体制ですとか、あるいは任意後見の周知広報といったところについては、比較的数字としては高い水準まで何とか持ってきている状況ですけれども、本日のテーマの1つであります中核機関の整備率ということに関して言いますと、令和7年4月1日時点で1,340市町村ということで、全体の8割弱の水準にとどまっているということです。あるいは、市町村に策定をしていただきたい市町村計画の策定率については全体の82.4パーセントということで、これは特に各市町村において取組をお願いしているわけですけれども、小規模市町村において自治体の体制ですとか、あるいはこういったものに取り組む必要性をまだ感じていないという回答をしている市町村もございまして、こういったところについて、引き続き、第二期計画のKPIの目標により近づけられるように、令和8年度、計画期間の最終年度でございますので、取り組んでいるところでございます。

こういった各市町村、とりわけ小規模な市町村において施策を推進していくに当たっては、都道府県による後方からの支援というのも大変重要と考えております。

そういう観点で申しますと、例えば、都道府県単位で協議会を設置して、関係団体を巻き込みながら、成年後見制度の利用促進を進めていくということに関して言えば、ほとんどの都道府県において進めていただいている一方で、市民後見人の養成研修、各市町村においても実施しておりますが、都道府県における市民後見人の養成研修の実施ですとか、あるいは法人後見の担い手の養成研修といったところで、まだまだ都道府県によっても若干の温度差がありますので、こういったところについては、我々としてもより働きかけを強めていきたいと考えております。

11ページは、先ほど、中核機関の設置状況について全市町村のうち大体8割ぐらいの市町村で中核機関を設置していると申し上げました。こういった中核機関を設置している市町村におきましても、実際その中核機関を中心とした市町村の中でのネットワークにおいて、どういった支援を行っているのかということを、より個別に見ていきますと、それぞれ果たしている機能については、まだ若干のばらつきがあるということであります。

例えば、第二期計画においては、権利擁護支援の地域連携ネットワークの機能を発揮する3つのフェーズに分けて考えており、成年後見制度の利用に至る前の相談支援、成年後見制度の申立ての準備から後見人の選任までの、個々の御本人を支援する権利擁護支援チームが形成されるまでの支援、それから後見人が選任された後、御本人を支える権利擁護支援チームが、より機能を発揮するための自立支援、こういった3つのフェーズを念頭に置きながら、各地域連携ネットワークの中で支援機能を発揮していただくということを進めています。ただ、個別に見ていきますと、窓口での相談対応ですとか、一次相談窓口や支援機関からの相談に対する助言、こういったところについては、比較的数字としても高い水準となってきているところでありますけれども、例えば、一番下の権利擁護支援チームの自立支援の中の、実際に個々の御本人を支える権利擁護支援チームが機能を発揮するように、定期的にモニタリングや支援状況の把握や評価を行うといったことですとか、あるいは右側のところにございますような多様な主体の参画、活躍の視点ということで、市民後見人の活動の支援や育成といったところについては、まだまだこれから取り組む余地があると考えており、こういったところも含めて、引き続き、第二期計画あるいは次期の計画に向けて取組を進めてまいりたいと考えております。

12ページは、こういった各地域における取組をより進めていくために、国としても体制整備に関する基本的な考え方を浸透させるための研修ということで、御覧いただいているような研修をそれぞれ行っているということでございます。

続いて、こういった状況を踏まえつつ、現在提出している社会福祉法の改正案に向けた検討の流れについて御説明ができればと思います。

御覧いただいていますのは、13ページの社会保障審議会福祉部会における検討内容ですけれども、先ほどからお話をしている中核機関について、市町村において中核機関を設置して、御本人を支える権利擁護支援チームがより機能を発揮できるように、裁判所との連携を図りつつ、関係機関を巻き込んで権利擁護支援の地域連携ネットワークを構築してきたということですが、こういった取組は、これまで成年後見制度利用促進基本計画という閣議決定に基づいて進めています。

今般、民法の見直しに向けた検討が進められる中で、地域における権利擁護支援のネットワークについても、きちんと法律上に位置づけをつくっていこうということで、今、御覧いただいている中核機関について、「地域権利擁護相談支援センター」という形で、法律上の位置づけを明確にすると同時に、中核機関が実際に果たしている役割について、市町村がこういった取組を進めていくということを、法律上でもきちんと明確に位置づけようということで、今、御覧いただいている資料の②で記載をしているような業務を市町村の役割として法律上に位置づけるということを今回の改正に盛り込んでいます。

次の14ページですけれども、先ほど上山先生からも触れていただきました日常生活自立支援事業についてでございます。

現在の事業の概要ですが、もともとこの日常生活自立支援事業という事業は、「福祉サービス利用援助事業」という形で社会福祉法上に位置づけられている事業で、これを社会福祉協議会が予算事業として実施している際の事業名が「日常生活自立支援事業」ということになります。

したがいまして、基本的には、都道府県社会福祉協議会または指定都市社会福祉協議会が実施主体となり、その事業の一部について、市区町村の社会福祉協議会に委託して事業を実施している、こういうことになります。

事業の内容といたしましては、判断能力が不十分な方の福祉サービスの利用に関する援助ですとか、あるいは日常的な金銭管理サービス、書類等の預かりサービスを行っております。

この事業は、もともとは平成12年に介護保険法ができた際に、措置から契約によるサービス利用ということになりますので、こういった契約によるサービスを判断能力不十分な方が利用できるように、福祉サービスの利用援助という形で支援をするということで、この事業ができたという経緯がございます。

現在の事業の利用対象者は、判断能力が不十分な方であって、かつ、事業の契約の内容について判断し得る能力を有していると認められる方ということで、非常に大ざっぱなイメージで申しますと、現在の法定後見の3類型で言えば、保佐、補助ぐらいの判断能力の方が契約をしてサービスを利用するということが念頭に置かれているものでございます。

続いて、御覧いただいているのが、昨年末に社会保障審議会福祉部会で取りまとめた報告書の概要です。

全体的な課題感としては、2040年に向けて人口減少ですとか、単身世帯の増加といった社会情勢の変化、あるいは多様化・複雑化する福祉ニーズに対応していく中で、一番下のところを御覧いただきますと、2番のところで「頼れる身寄りがいない高齢者等への対応」、それから「成年後見制度の見直しへの対応」ということで、先ほど触れました中核機関の位置づけ、あるいは市町村の権利擁護支援についての役割ということを法律上位置づけるということと併せまして、左のところで「新たな第二種社会福祉事業の創設」ということで、頼れる身寄りがいない高齢者等に対する日常生活支援、円滑な入院等の手続支援、死後事務の支援を行う事業を第二種社会福祉事業の中に位置づけるということを福祉部会の報告書の中で取りまとめています。

福祉部会において取りまとめた内容について、「社会福祉法等の一部を改正する法律案」の中に、今、御覧いただいている③、④の中に盛り込んで、現在、国会において御審議をいただいているということでございます。

具体的な内容についてですが、まず1点目として、頼れる身寄りがいない高齢者等あるいは判断能力が不十分な方を対象とする第二種社会福祉事業の新設ということであります。

先ほど上山先生から、新日自と御紹介をいただきましたが、事業の名称としては、「福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業」という名称でございます。

これは、現在の福祉サービス利用援助事業の拡充という形で、事業の対象者として「頼れる身寄りがいない高齢者等」を新たに加えるということと、現在、福祉サービス利用援助事業で実施している福祉サービスの利用援助、日常的金銭管理サービスといった日常生活支援のサービスに加えまして、入院入所等の手続支援あるいは死後事務の支援、このいずれかについて、実施をしていただく。こういった事業について、利用者のうち一定割合以上に無料または低額の料金で提供する事業を第二種社会福祉事業として位置づけると、こういう事業でございます。

これは、従来、日常生活自立支援事業を判断能力不十分な方を支援する事業として実施してきたわけですけれども、一方で、近年単身高齢世帯が、これから増えていくであろうということが見込まれている中で、民間サービスとして、いわゆる高齢者等終身サポート事業というものが出てきているということでございます。

こういったサービスが、入院入所の手続支援ですとか、死後事務の支援といったことを実施しているわけですけれども、民間サービスで一定程度の費用が必要となるということが見込まれますので、資力が十分でない方でも利用できるような事業をつくろうということ。

あわせて、地域の中で成年後見制度以外の権利擁護支援策を総合的に充実させていこうという従前からの方向性、この双方を踏まえて、こういった事業を新たに位置づけるということでございます。

続いて、こういった頼れる身寄りがいない高齢者等の支援体制の整備ということに関しましては、相談支援体制として、現状、各相談支援については、支援の対象となる方の属性ごとに相談支援の制度がございまして、それぞれの制度の中で対応しているということになりますが、各制度の中に、身寄りのない方に対する支援というのも対象として明確化するということと併せて、従来から実施をしている介護保険制度の包括的支援事業の相談対象として、頼れる身寄りがいない高齢者等からの相談対応というのを明確化するということと、地域における地域ケア会議の実施について、地域包括支援センターが中心として実施をしているわけですが、こういった地域ケア会議の議論の対象の中に、身寄りのない方に対する支援ということを位置づけるということ、こういったことを改正の中に盛り込んでいるところでございます。

あわせて、先ほどから申し上げている中核機関につきましても、判断能力が不十分な方に対する支援体制の整備ということで、従来から進めてまいりました地域における権利擁護支援ネットワークについて、法律上にきちんと位置づけるということで、権利擁護に関わる支援関係者や本人に対する相談支援、あるいは地域の関係機関、民間団体の連携体制の整備に関する事務を市町村の努力義務として規定します。また、いわゆる中核機関については、こういった市町村の義務を果たすための機関として、地域権利擁護相談支援センターという形で、市町村が設置できることとし、このセンターの構成員や、設置した会議体については、法律上の秘密保持義務をかけるという形で、今後、想定されます裁判所と市町村との情報の連携についても、制度上の裏づけを持って対応できるような仕立てにしていくということでございます。

こういった制度的な対応を踏まえまして、今、御覧いただいているのは、我々がこれから実現していきたい、地域における支援体制のイメージということになります。

右側が、従来から進めてきた権利擁護支援の地域連携ネットワークであり、これは今回、社会福祉法の中に、法律上の位置づけをもって規定をするということでありますが、市町村が中心となって、権利擁護支援の地域連携ネットワークの構築を進めてきたと。

一方で、身寄りのない高齢者等への支援体制については、従来から各相談支援機関、例えば地域包括支援センターであれば介護保険法に基づいて、基幹相談支援センターであれば障害者総合支援法に基づいて、それぞれの相談支援機関があり、身寄りのない高齢者に対する相談支援についても事実上対応してきたということです。今回の法律改正において、こういった相談支援機関において、身寄りのない方に対する対応もきちんと位置づけるということと併せて、市町村を中心とした包括的支援の体制の中に、身寄りのない方に対する支援をきちんと位置づけて、さらに図の真ん中にある地域資源の中で、日常生活自立支援事業についても事業の対象者を拡充し、機能としても拡充をして、他の地域資源と併せて、身寄りのない方に対する支援をしっかり進めていこう、こういうことを今後具体的な市町村において進めていただくためのガイドライン等について国としてもお示ししながら、施策を進めていこうと考えています。

私からの説明としては以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は少し予定よりオーバーしておりますが、11時半ぐらいまで質疑応答、意見交換をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

成年後見制度は、誰もが地域社会で安心して自立した生活を送ることを可能にする法的支援であり、私自身にとっても自分ごとであり、今回の見直しの内容と対応の進捗について御説明いただき、理解が進みました。

その上で2点質問をさせてください。

1点目は上山先生に伺いたい御質問で、今回の改正は、本人の意思をより尊重し、柔軟な利用を可能にする一方で、実際には自治体や地域の支援体制の人員不足や、支援に関する専門知識や経験の差がある中で運用されることになると思われます。

その上で、民法改正を踏まえ、制度の趣旨が地域社会の現場で十分生かされ、効果的に運用されるためにどのようなことが必要であるかということを御教示いただければと思います。

2点目は、厚生労働省の占部室長に伺いたい御質問で、今回の民法改正により、従来からの幾つかの懸念点が解決され、それと同時に、利用促進のための相談体制や研修強化も実施していただいているという御説明でありましたが、一方で消費者目線では、依然制度が複雑なのではないかとか、あるいは手続が煩雑である等の印象から、積極的な利用をためらう人も多いと想定されます。

そのような消費者の利用のハードルを下げるためにどのような対応が必要であるとお考えでいらっしゃるか、現在、利用促進施策の仕組みの検討も進められているようではありますが、高齢者と御本人と、対象者を取り巻く家族等の受け止め方の点でお聞かせいただければと思います。

以上、2点です。

○鹿野委員長 それでは、上山教授、お願いします。

○新潟大学法学部上山教授 まず、私のほうからお答え申し上げます。

仮に、現在、参議院で審議されております民法改正法案が可決された場合、今、予定されているのは、その公布からおよそ2年半のモラトリアム期間をもって、実際に改正民法が施行されるという見込みでございます。

したがいまして、実際に公布されてからの2年半の間に、中田委員御指摘のような、地域の運用体制というのをどこまで充実させることができるかというのが、この改正の成否の鍵を握ると言っても過言ではないと、私も考えております。

そこで最も大事なことが、私のほうからも御説明いたしましたし、それから、厚生労働省からもお話がありました、中核機関の法定化ということが、まず、第1点ということになります。

本来であれば、これも厚生労働省から御説明がありましたとおり、第二期基本計画の計画年度、つまり今年度までに全国の全ての自治体において、中核機関が設置されている、100パーセントの設置というのがKPIだったわけですけれども、残念ながらそれに至っていないという状況がございますので、少なくとも改正民法が施行されるまでのモラトリアム期間の間に、全市町村に中核機関が設置されることが、まず大前提になるだろうと思います。

その上でということになりますが、これも厚生労働省から少し触れられた点ですけれども、なぜ、そのKPIが達成されていないかというと、端的に申し上げまして、小規模の自治体、市町で予算もない、人もないという状況で、福祉だけに限っても、様々な地域課題を抱えている中で、なかなか中核機関というところにまで手が回らないというところが実情であったかと思います。

したがいまして、市町村の独自の取組だけに委ねていては、恐らくこの状況が劇的に改善するというのはなかなか難しいところかなと感じています。

第二期基本計画の中でも、こうしたことを想定して、余力のないというか、マンパワーの少ない自治体については、広域連携、これは介護保険などでも同様の仕組みが取られておりますけれども、広域連携によって中核機関を設置するということも可能であるとされています。そして、実際にそうした取り組みも存在しているわけです。

ただ、これも、それぞれの市町村の独自の判断に委ねていると、実際にどこの市町と組むかというところで、なかなか話が進まないというところがございまして、このためには、都道府県による積極的なバックアップというものがなければ、恐らく話が進まないのだろうと。

したがいまして、中核機関の全自治体への設置に当たって、まずは、都道府県の役割ということが、これまで以上に重要になると思います。都道府県が積極的にイニシアチブをとって、少しこの辺の地域でまとまって中核機関をつくったらどうですかという具体的なサジェスチョンも含めてお取り組みをいただくことも必要であろうと考えます。

さらに、もともとお金がないということが一番のネックでございますので、当然、中核機関の設置に当たって、国のほうで適切な予算等の措置についても講ずる必要があるだろうと、個人的には考えております。

簡単でございますが、お答えとさせていただきます。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 厚生労働省でございます。

より利用が進むためには、どういうことが考えられるかといった御質問だったかと思います。

まず、現状として、周知啓発について申しますと、先ほどの資料の8ページで、一般的な制度や相談窓口の周知とか、任意後見制度の周知広報については、市町村ベースで9割方のところで、実施はされているということでございます。ただ、一方で、単純に制度の周知広報だけで利用が進むかというと、そういうわけではないということ、あるいは法定後見に関しては、どちらかというと、制度を知って利用しましたというよりも、必要性に迫られて利用したということが、むしろ多いと思いますが、任意後見等については、これから、よりしっかりと周知を図っていく必要があるかと思っております。

任意後見の利用促進というのは、従前から非常に大きな課題であり、事実上、なかなか進んでおりませんので、今後の新しい成年後見制度利用促進基本計画の中でも、どういったことができるのかということは議論していきたいと思っております。

一方で、法定後見については、最初から法定後見の利用を考えていますということで中核機関に御相談が来るというよりは、例えば、地域包括支援センターとか、基幹相談支援センターといった一次相談窓口において、福祉的なアプローチをした際に、何らかの必要なニーズがあって成年後見制度につなぐといった対応になってくるかと思います。

そういう意味で申しますと、一次相談支援機関と中核機関との連携を、各市町村においてより一層進めていく必要があると考えております。

中核機関も体制的に、先ほど上山先生からもご指摘がありましたが、なかなか厳しいところもありますけれども、そういったところがより機能を発揮して、市町村における一次相談支援機関とうまく連携をして、必要な方については、うまく法定後見につないでいくと、こういった体制をしっかりつくっていくということが非常に重要だと考えております。

○鹿野委員長 中田委員、よろしいですか。

○中田委員 御丁寧な回答をありがとうございました。

小規模自治体における運用において、この制度が浸透していくためには広域連携が必要であり、そこにはやはり、より大きな都道府県のイニシアチブが重要であるということが理解できました。御説明ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

お二人から成年後見制度の改正と、その後の施策について御説明を詳しくしていただきましてありがとうございます。

上山先生と厚生労働省の占部さんに、それぞれ少し御質問をしたいと思います。

私、この成年後見制度が立ち上がった当時、地方で福祉の現場に携わっておりまして、当時、やはり最大の問題は認知症の方で、見た目はすごく元気だけれども、重度の認知症で、何でも「はいはい」と言ってしまうような人をどう守るかということが、非常に大きな問題になっていました。

そのときに、この成年後見制度ができて、特に後見で、取消権が全権限を持ってできるということができて、これで、その人の資産の散財とかを防ぐことができるねということで大分動いたような記憶があります。

今回の改正の中で、その取消権に、少なくとも日常の取消権については、かなり制限がかかるようで、こういった認知症の方が実際に、買い物をされたりすると、これは要りますかと言うたびに「はい」と言って買ってしまうという現状があって、買ったことも本人は覚えていませんし、契約書にサインしたことも本人は覚えていないという状況があったわけです。

それを、この後見の、特に一番重たい後見でカバーできていたと思うのですけれども、実際に上山先生が、この後見制度の中で消費者問題として議論として残っているということであったのですが、今のようなシビアな方への対策というのは、どのような議論があったのかというのは、ぜひ教えていただきたいと思います。

それと、厚生労働省の占部さんに、ぜひお伺いしたいのですけれども、日常生活自立支援事業は、当時、措置から介護保険が入って契約に変わるということで、私、そのときまさにこの事業の立ち上げのお手伝いをさせていただいていたという経緯があります。

その中で、今のようなシビアな認知症のケースで、見た目は元気という人を、この事業で支援していこうとすると、どうしても最後、今の制度で言う後見のレベルの対応が必要になってくるケースが出てきます。

それで、今の支援事業の中だと、後見に移すということで、手放していくということが、ある程度できるのですけれども、今の保佐レベルが限界ということであれば、手放せなくなってしまうと思うのですけれども、そのときに、そういうシビアなケースに対しては、この事業は、どの辺までフォローできるものなのでしょうか、その辺の対策をお考えなら、ぜひ教えていただきたいと思います。

以上、2点です。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 それでは、まず、上山教授、お願いします。

○新潟大学法学部上山教授 お答えいたします。

まず、前提になりますけれども、いわゆる日常生活に関する行為、例えば、スーパーに行って買い物をしたりとか、そうした日常生活に関する行為は、実は現在の成年後見類型においても取消権の対象になっていないということがございます。

したがいまして、この点は、改正法でも変わりませんので、少なくとも問題となる行為が、日用品の購入などの日常生活に関する行為にとどまる限り、現行法と状況は変わらないということを、まず申し上げておきたいと思います。

その上でですけれども、委員御懸念の点というのは、私ももっともだと感じております。そこをどうクリアしていくのかというのは、当然、大きな問題ということになりますけれども、現行法であれ、改正法であれ、まずは、地域の見守りによって、基本的には日常生活に関する取引に対する適切な支援について対応できるように、地域福祉の中で受け止めを考えていくというのが1つであろうかと考えております。

私は研究者ですので、必ずしも実務について精通しているわけではございませんけれども、実務家の方からお話を伺う限り、いわゆるまともな事業者であれば、成年後見人の取消権の有無にかかわらず、事情を説明し、つまり、この方は認知症で、しかもお人柄がよいので、何か物を売りに来る人がいると全部買ってしまうのだということを御説明すれば、取消権というハードな対応でなくても、その話し合いの中で、お金を返して商品を返すという、ごく真っ当なというか、ごく常識的な対応が取られていると伺っております。

他方、悪質な事業者が、もちろん最も問題になるわけでして、そうした悪質な事業者から度重なる消費者被害を受けているという方については、本日御説明申し上げました、特定補助の利用などが選択肢に入ってくるのかなと思います。

いずれにしても、基本的には、今回の改正は、できる限り御本人が地域の中で、御自分らしい生活を続けることができるように、あまり余計な口出しを周囲からしないということが前提になっておりますので、取消権によるハードな介入というよりは、その地域の見守り等を通じたソフトな関わりということに重点を置いての改正であると御理解をいただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、厚労省様、お願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業の求められる契約能力、判断能力についての御質問だったかと思います。

まず、この部分については、福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業の事業の対象者の範囲が広がるということと、事業の内容についても増えるという両面から、従前からの福祉サービス利用援助事業も契約によるサービスでしたが、新しい事業についても契約によるサービスですので、そこに求められる契約能力がどの程度になるのかということについては、少し整理が必要だと考えています。

これについては、事業の施行までの間に、研究事業の中で精査を行うべく、昨年度から研究事業を実施しています。

使い方のイメージとしては、場合によっては、例えば、現行の法定後見の後見類型の方で、今ついている後見人の方が、代理権によって最初の契約をして、その後、後見が終了するようなことも場合によってはあろうかと思っております。

いずれにしても、契約能力として、今回の福祉サービス・保健医療サービス等利用援助事業については、事業の実施内容が3つありますが、それぞれの内容に応じて、どの程度の判断能力が求められるのかは当然変わってくると思いますので、そこも含めて、今後、整理をしてまいりたいと考えております。

○鹿野委員長 今村委員、よろしいですか。

○今村委員 今のお答えは、そのとおりだと思うのですけれども、実際、自分も実例にあった中では、認知症のひどい方は、大根を買うレベルと、ダイヤのネックレスを買うのを同じレベルで買ってこられるので、日常で取り消さなくても別に構わないレベルと、さすがにそれはまずいだろうということが混在していて、その中で後見まで行っていると、割と強権的に取り消せるということがあったと思うのです。

先ほどの支援事業の中でも、最終的に後見まで行っていると、それぞれ説得して回るという部分がかなり少なくて済むのですけれども、それが行っていないと、なぜそれを契約解除してもらわなくてはいけないかというのを、物すごくたくさん説明してもらわなくてはいけないということがあって、実務的には、かなりしんどいことが起こるのではないかなというのを危惧しています。

そういったところを、ぜひ今後も議論として、残っていると思いますので、そこのフォローをぜひ考えてほしいと思います。

今村からは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、柿沼委員、その後に大澤委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。御説明いただきましてありがとうございます。

まず、上山先生に御質問させていただきます。

後見制度は、今回改正することによってパターンが多くなるということにより、選択の幅が広がるという点は、メリットかなと思っているのですけれども、一方、国民が、現在の後見制度についても理解されているということについては、まだまだ言い難い状況でございます。

このような場合、今後どのように説明していくのがよいのか、アドバイスがあれば教えていただきたいと思います。

それから、厚生労働省様に御質問とコメントがございます。

消費生活センターに御相談いただく際に、後見制度についても御案内をするケースがございます。制度そのものを御存じなかったり、理解していない消費者も少なくありません。間違った理解をなさっている方もございます。情報が行き届いていない現状について、やはりまだまだ課題があるかなと感じております。制度の周知については、今後もお願いしたいと思います。

また、後見制度を御案内しても金銭的な負担を理由に断念される方が多いということがございます。金銭的なことに対し、例えば介護保険の中に入れて、誰でも利用しやすくなるような、このようなことはできないのだろうかということがありますので、そういうことについて少し教えていただければと思います。

また、高齢者の支援に日々関わっている介護事業者の方や、地域包括支援センターの方であっても、消費生活センターの役割や活用方法を御存じない方がまだまだ多く、十分に連携できていない状況がございます。

高齢者の消費者被害または脆弱な消費者の被害を防ぐためには、制度の周知とともに、そのような部門の方との消費生活センターとの連携がとても大切だと考えております。消費者庁とも連携しながら、消費生活センターの役割について、より積極的な周知や広報の取組を進めていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、上山教授、お願いします。

○新潟大学法学部上山教授 まず、私のほうからお答え申し上げます。

まさに制度が知られていないのではないかというのは、委員御懸念のとおりでございまして、そして、私が本日御説明申し上げましたように、ある意味では、成年後見の仕組みが、今の仕組みよりももっと分かりにくくなる点も、実際ございますので、そうだとすると、今まで以上に制度の周知について取り組んでいかなければならないというのは、一般論としては当然のことだろうと思います。

それで、どこが担うべきなのかという問題が、具体的な課題として当然出てくるわけですけれども、基本的には、本日、御説明のありました中核機関というのが、ここでも、まずは、地域において最も重要な役割を担うということになります。

ただ、中核機関の設置状況について懸念があることは申し上げたとおりですし、多くの場合には、二次相談窓口としての中核機関に相談が入る前に、例えば地域の消費生活センターに相談が入ったり、あるいは認知症の方であれば、地域包括支援センターなどに一次的な相談というのが入るかと思います。

したがいまして、こうした地域の一次相談窓口の段階で、十分に新しい補助の役割や、その意味を周知できるような体制を確立しておくことがとても大切だろうと思います。

昨今、認知症基本法が施行されまして、これを前提とする新しい認知症観を国民一般に周知するために、そちらのほうでも様々な取組が行われているかと思います。

そうした認知症基本法のもとでの地域での様々な取組、例えば、認知症サポーターの育成などが、旧来からある取組ですけれども、そうしたものに、この新補助の周知を組み込んでいくことも重要だろうと思います。例えば、何度も繰り返し消費者被害に遭ってしまって困っていらっしゃるのだという相談が入ったときには、何も特定補助を使わなくても、そうした取引についてだけ新補助のもとで限定的に同意権を付与するという取扱いも、今後は可能になりますので、現在の仕組みと比べてずっと気軽に使えることを、利用者にとって必要な部分だけが利用できるのだというメリットを、しっかりと御説明できる機会を様々なチャネルを通じて広げていくことが重要かなと個人的には感じております。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、厚労省様、お願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 厚生労働省です。

今ほどの御指摘の中で、特に周知啓発がまだまだ必要だということは、全くおっしゃるとおりだと思っております。これから成年後見制度が変わりますので、これまでの周知の在り方だけでよいのかどうか、そういったことも含めて、次期の計画の中でしっかりやっていきたいと考えております。

もう一つ、金銭的な面でなかなか利用が進まないという御指摘もありました。これについては、現状、介護保険制度の中で地域支援事業という市町村事業がございます。これは、介護保険財源を使って、例えば介護予防とか、市町村がそれぞれ地域の実情に応じて実施をしている事業ですが、この地域支援事業のメニューの中に、成年後見制度の利用支援事業というのがございます。

多くの自治体で、この地域支援事業を使って、成年後見制度の利用支援を行っておりますけれども、ただ一方で、その対象者の要件ですとか、あるいは対象となる額とか、こういったところで、市町村によってもばらつきがあるということは御指摘としてもいただいております。どうしても市町村事業として行っていますので、各地域の介護保険財政との兼ね合いの中で、そういう事業を行っているということもございますので、そういう状況ではございますけれども、今後、利用支援の状況などもしっかり把握をしながら、どういうことができるのかということについては、検討してまいりたいと考えております。

それから、最後に、消費生活センターと地域の福祉行政との連携についても御指摘をいただきました。

これは、今回の社会福祉法の改正の中で、市町村を中心とした包括的な支援体制の整備のために、市町村が積極的に実施すべき施策を明確化するという観点で、福祉以外の多様な分野との連携の強化のために、包括的な支援体制の整備に当たって、連携に配慮する分野ということで、「消費者行政」ですとか「防災」というのを新たに追加しております。

こういったものを追加することと併せて、そういったところとの連携に関する事項を、市町村が作成する地域福祉計画の記載事項に位置づけることとしております。

これらを通して、市町村における様々な相談支援機関と、消費生活センターとの連携などについても進めてまいりたいと考えております。

○柿沼委員 御説明いただきまして、ありがとうございました。

すみません、もう一点、お伺いしたいのですけれども、後見制度を利用するのは、家庭裁判所に申出をした上で、一定期間がありますが、今回制度改正することによって、利用期間の短縮をするような方向性みたいなものはおありなのか、すみません、そちらについてもお聞きしたいと思います。

それをなぜお聞きするかというと、やはり消費者問題が起きた場合に、どんどん被害に遭われていて、後見制度が出るまで日数がかかってしまうと、なかなかそこで、さらなる消費者被害に遭われてしまう方がいるということもありますことから、期間の短縮ができればいいかなと思っております。そちらについても何か今の時点で分かることがあれば、すみません、追加になりますが、教えていただければと思います。

○鹿野委員長 では、お願いします。

○新潟大学法学部上山教授 上山のほうからお答え申し上げます。

基本的に今回の改正では、御本人にとって必要な期間、必要な範囲で利用できる、そうした仕組みに改正したいということが、基本目的としてございましたので、御本人にとっての具体的なニーズがなくなった時点で、特に御本人が希望されればやめることができるという仕組みでございます。

そして、そのことを担保するために、年に1回、現在でも実務的に後見人の方が、家庭裁判所に定期報告というのをしているわけですけれども、こちらを今回民法の中に条文化いたしまして、新補助人の義務という形として位置付けています。

この年1回の定期報告の中で、まだまだ消費者被害について、同様の懸念が残っているということであれば、当然、そこで終了ということではなくて、御本人保護のニーズがあるということでございますので、補助を継続するということになります。

それに対して、例えばの話ですけれども、御本人が在宅でそうした被害に遭われ続けていたけれども、御本人の生活状態が、例えば、特養などの施設などに入所されたことで変わり、従前と違って御本人が積極的に取引に関わるリスクというのが減ったのだとします。こうした場合に、少し様子を見て問題がないということであれば、そこで一旦補助人の支援を打ち切るということもできるようになります。

ただし、当然ですけれども、これで完全に地域が御本人から目を離してしまうというわけではございません。中核機関の役割というのは、確かに1つは、成年後見の適切な運用なのですけれども、それ以外にも、先ほどの日常生活自立支援事業などの地域の権利擁護支援のための仕組み全てについて、中核機関が一定の対応を行うことが想定されておりますので、当然、必要に応じてケア、チェックをし、仮に再び消費者被害がぶり返してしまったという事態に陥った場合には、改めて補助人を選任するという形で、適宜対応していくと、それが現在想定されているところかなと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 上山先生、御報告ありがとうございます。また、占部様も御報告をいただきましてありがとうございました。

多分時間も限られていると思いますので、1点が法定後見制度、もう一点は、日自について御質問をしたいと思います。

上山先生、そして占部様、どちらかというわけではないのですが、まず、法定後見のほうは、もしかすると上山先生への質問ではないかなと思っております。

今回の成年後見制度の改正については、私は一応民法研究者でもありますので、一民法研究者としては、趣旨としては非常によく分かるところはあります。終わらない後見等々の問題というのがあるのも、もちろん理解はしております。別に強く反対しているわけではありません。

ただ、やはり一消費者法研究者として気になるところはありまして、例えば、いわゆるオーダーメイド型で必要なところに同意権、代理権をつけるということで、それは確かに、やはり判断能力といっても、今までは3類型あったのですが、そんな3つにきれいに分かれる話でもないでしょうから、アレンジができるというのは、確かに非常に魅力的なところはあります。

ただ、やはり、もちろんいい事業者もいっぱいいるのですが、残念ながらそうではない事業者もいると思いますので、例えば、ある部分については取消権、同意権をつけていたのだけれども、たまたま、例えばこの部分にはついていませんでしたという、そういう取引にまさにつけ込まれてしまうとか、すごく細かな話かもしれませんが、そういった形での消費者被害が出ないだろうかというのは、若干危惧しています。若干、今村先生の先ほどの問題意識とも私は重なるところがあるのではないかと思っています。

そういたしますと、結局、どこに同意権、代理権をつけるべきかという必要性というのを個々に判断する必要あると思うのですが、率直にこの改正の話を伺ったときに、結構家庭裁判所の判断がとても重要になってくるなと思いまして、家裁はいろいろなことをやっていますので、なかなか負担は重いのではないかなと思ったのですが、先ほど占部様の御説明を伺っていても、その市町村との協力ということもありましたので、そこを本当に適切に運用していかないと、本当に必要なところに同意権、代理権をつけられているかどうかというのが、とても重要になってくるのではないかと思いますが、あくまで消費者被害という観点から、とりわけ悪い事業者につけ込まれてしまうというのが、私は若干心配をしておりますが、この点の感触は、私の気にし過ぎなのでしょうかというのを伺いたいというのが1点です。

2点目は、日自についてなのですが、こちらは、私、個人的にはもっと懸念を持っています。日自については、対象となる人が、判断能力は不十分だけれども、契約内容については理解できるということで、先ほど御説明の中で補助、保佐ぐらいではないかというお話があったかと思います。

それはそうとして、今回、契約内容というか、サービス内容を拡大していまして、例えば入院のときの支援だったりとか、あとは死後事務の委任もしていると思います。かつ、民間事業者も今後入ることができるということで、今後、特に死後事務は、やはり自分が亡くならないと、自分が死亡しないとどうなるかと分からない、お葬式とか、そういうのではないかと思っているのですが、自分が亡くなった後のことですから、自分が監視できるわけでもないですし、なかなか悪質なと言うのか、性悪説みたいで申し訳ないのですが、民間事業者というのが入ってきて、何か新たなトラブルは起きないだろうかというのを気にしているところがありまして、なるべくそういうところを少しでも防げるようなセーフティネット等が、もしおありでしたら、アイデアでも結構ですので伺いたいというのが2点目になります。

以上になります。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 それでは、上山教授に法定後見についてお願いします。

○新潟大学法学部上山教授 では、法定後見の問題について、私のほうから御回答申し上げたいと思います。

大澤先生御懸念の点は、私も共有しているところでございます。簡単に言ってしまえば、同意権を設定する時点において、御本人が今後どういう契約を、あるいは法律行為をされるのかということを完全に予測するということは、現実問題、不可能であると率直に感じます。

その一方で、不可能だから多めに同意権をつけておけばよろしいということでは、今回の改正にそぐわないということになりますので、その蓋然性の絞り込みというのが、非常に重要な鍵を握ることになります。

したがって、従前以上に家庭裁判所の実務の中で、慎重な対応が必要になるというのは御指摘のとおりかと思います。

まず、一般的なお答えを申し上げますと、既に現在でも、補助類型における同意権、代理権の付与の実務対応の中で同様の問題があるわけでして、家庭裁判所としては、後見に比べると、補助の件数は少ないとはいえ、これに適切な対応ができているということが前提で、法制審議会でも家庭裁判所の負担は増えるかもしれないけれども、現在の補助の実務をベースにしていけば、十分対応は可能だろうということで、今回の改正に至ったということがございます。

もう一点、これも、既に厚生労働省からも御説明がありましたけれども、民法と併せて家事事件手続法を改正することによって、補助人に対する同意権や代理権の付与に当たって、家庭裁判所が、例えば市町村長であるとか、あるいは、現に御本人の身の回りの世話をしているような人に対して、意見照会をすることができる仕組みというのが、法制化されることになります。

これをうまく活用することによって、まだ成年後見を使っていないけれども、しかし、ヘルパーさんとか、あるいは日自などを使っているということがありますので、家庭裁判所が、市町村等に対して、そうした情報提供を求めたうえで、実際にこの人にどのような内容の同意権を与えておけば大丈夫だろうかということを、きちんと絞り込めるような体制をつくっていくということが、これは、教科書的なお答えになって恐縮ですけれども、まずは重要であろうと思います。

もう一つ、これは、個人的な考えですので、法制審の部会の考え方とは異なるかもしれませんけれども、御懸念の点については、消費者被害についての回復に関する代理権のほうを併せて付与しておくことによって、ある程度の対応が可能ではないかと考えております。

もちろん、行為能力の制限ではございませんので、あくまでも御本人のもとで、クーリングオフ権であったり、消費者契約法の取消権であったりという、御本人に直接帰属する取消権等が生じることが大前提にはなりますけれども、悪質な業者による不当な取引ということを想定した場合には、民法の一般的な規律あるいは消費者契約法上の規律等によって対応できる部分も、一定程度あるかと思います。したがいまして、これらの取消権等の行使に関する代理権を付与しておくことによって補助人のほうで適切に対応するという考え方もあり得るところではないかと考えております。

十分なお答えになっておりませんけれども、以上で私の回答に代えさせていただきます。

○鹿野委員長 それでは、占部室長、お願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 事業の適正性をいかに担保するかというお話だったかと思います。この点については、社会保障審議会福祉部会においても同様の議論がございまして、現状、民間の類似のサービスである高齢者終身サポート事業については、令和6年に関係省庁で、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインというものを作成しております。

第二種事業についても、この終身サポート事業者ガイドラインよりも、もう少し内容として、より書き込んだものを、第二種事業のガイドラインとして策定する必要があるだろうと。これについては、もし法律が成立すれば、施行までの間に策定をしてまいりたいと考えております。

現在、社会福祉法上の福祉サービス利用援助事業については、事実上、社会福祉協議会が実施する日常生活自立支援事業と、ほぼイコールの関係になっていますが、新しい事業については、事業の実施主体として、今の福祉サービス利用援助事業も、制度上は同様なのですけれども、社会福祉協議会以外の様々な主体の参入も含めて、事業を実施していくということを念頭に置いております。

これは、判断能力が不十分な方に対する支援と、頼れる身寄りがいない高齢者等に対する支援、いずれについても、これから社会的なニーズとして広がっていくであろうということを考えると、現在の社会福祉協議会による事業実施だけで対応していくことは、なかなか難しいだろうということもございます。

そういった中で、先ほど先生の御指摘にあったような、いかに質を確保するかという問題が出てきていると思っています。

いかに質を確保するかということと、いかに幅広い主体に参入してもらうのかという、両方、半ばトレードオフになるような、そういう関係性の中で事業を実施していくということになりますが、第二種社会福祉事業という事業類型自体は、基本的に都道府県に対する届出による事業でして、都道府県において事業の実施内容を見て、例えば、都道府県による調査の要求に従わないとか、事業内容が明らかに社会的な通念に反するとかいうことになると、都道府県のほうから、事業の停止命令とかも含めた規律が社会福祉法上あるわけですけれども、あくまで届出制による事業です。

従って、事業者において、あらかじめしっかりと守っていただくべき内容については、ガイドラインとしてあらかじめ示しておこうというのが、現在想定している内容ということになります。

○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 ありがとうございました。 

すみません、1点ずつ、上山先生に対しては、私、最後の点に非常に共感するところがありまして、今回、この後見制度の改正ということですが、やはり懸念点が結構残りますので、やはり民法ももちろんですが、例えば消費者契約法とか、長年ずっと断念されている脆弱性へのつけ込みとか、そういう形のカバーというのも必要になってくるのではないかと思います。

10年ほど前に成年年齢引下げがあったときに、この議論をたくさんしたと思うのですが、また改めて、今回の改正を踏まえて、消費者法の観点からも、そういった取消権等々を検討する余地があるかなと、改めて思いました。

すみません、占部様に対しては、いわゆる国が、社会的ニーズがあることは、もちろんそうだろうなと思いますし、それを一種の国がやる、ある程度サポートするところを民営化しているというわけではないのですが、そういう形態に、特に身寄りのない方というのは、そうなのではないかと思っていますが、ガイドラインを検討されているということで、若干安心をいたしましたが、その内容等々、あるいはガイドラインで本当にいいのかとか、そういった点もいろいろ今後検討していただきたいと思っています。いずれしても見守らせていただきたいと思います。

以上です。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

時間がほぼ来ているのですけれども、先ほどから黒木委員長代理がお手を挙げていらっしゃいましたので、それでは、お願いします。

○黒木委員長代理 時間のないところ、申し訳ありません。

まず、上山先生に質問いたします。令和7年7月に、消費者委員会は「消費者法のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書」を公表し、消費者には一般的に脆弱性があるという観点から消費者法全体を考え直す必要があるとの考え方を示しました。先ほどの大澤委員の御発言とも関わる点ですが、補助の開始に本人の同意が必要であることを原則とした場合、事業者によって本人の意思が作出されており、社会的に見て本人が明らかに事業者につけ込まれているにもかかわらず、本人が同意しないときに、法はどのように対応するのか。この点が私にはよく分かりません。

私自身、首長申立てによる保佐の事案を担当した経験があります。御本人は車に乗れないにもかかわらず、事業者が車庫を非常にきれいに整備していました。また、建物は2階建てでしたが、御本人は2階にほとんど上がれず利用することもなく、1階だけで生活していました。それにもかかわらず、事業者はエレベーターを設置しようとしていました。しかも、その建物は建築基準法上エレベーターを設置できないものでした。これを訪問介護事業者が不審に感じて連絡をくれたことを契機に、首長申立てによる保佐に至った事案です。

ところが、御本人からすると「あの人たちはいい人なのに、なぜ来てくれなくなったのか」ということになり、大きなトラブルになりました。このような場面は実際にあります。我々から見てパターナリスティックに考えれば、事業者が本人の財産を勝手に吸い上げているだけだといえる場合に、補助開始時の「同意」というキーワードのもとで法はどのように機能するのか。実務家としても非常に身近な問題として考えてまいりましたので、上山先生の御知見を伺いたいと思います。

次に、厚生労働省に2点質問いたします。1点目は、以前から申し上げていることですが、令和3年10月1日に、消費者安全確保地域連絡協議会と重層的相談支援体制整備事業は重なるので連携していこうという通達が両省から出ています。しかし、現場ではその連携がなかなか見えてきません。

今回の制度においても、高齢者が多くの資産を保有している状況があることは分かっており、悪徳事業者がこの制度改正に乗じて様々な形で消費者被害を惹起することが想定されます。先ほど申し上げたように、地域に多様な目があり、ある意味ではパターナリスティックかもしれませんが、見守りを続けることがより重要になると考えます。しかし、重層的相談支援体制整備事業は手挙げ方式であり、消費者安全確保地域連絡協議会の設置も任意とされています。そこで、厚生労働省として、この見守りネットワークをどのような形で構築していくのかについて、もう少し詳しく伺いたいと思います。

2点目は、先ほどの大澤委員の御発言とも関連しますが、現状では高齢者等終身サポート事業者ガイドラインしか存在しないという点です。本事業が始まるまでに、この整備がどこまで進むのか、私は強く危惧しております。赤ずきんちゃんの物語ではありませんが、羊の顔をかぶったオオカミのような事業者が、高齢者終身サポートの仮面を被って、高齢者に取り入って食い荒らすことになれば、この国の国富、すなわち高齢者の財産が大変なことになりかねません。

以上を踏まえると、一定の法的整備を進めなければ、この問題が重大な社会的害悪を生じさせるのではないかと考えております。この点についても、厚生労働省の御知見を伺えればと思います。

以上、3点です。

○鹿野委員長 それでは、お願いします。

○新潟大学法学部上山教授 それでは、まず、私のほうから1点目についてお話を申し上げたいと思います。

黒木委員御指摘のとおり、新補助が仮に施行された場合に、恐らく一番問題になってくるのが、入り口における同意ということになると思います。

御指摘のとおり、現行の補助と同じように、補助人に一定の権限、これは、同意権あるいは代理権どちらもということになりますが、補助人に対して一定の権限を付与する場合には、御本人自身の請求があるか、あるいは少なくとも御本人がそれに同意をしているかということが原則となります。

したがいまして、まずは御懸念のような、事業者による囲い込みのようなことが行われている事案において適切に同意を取ることができるのかが問題となります。

もう一つは、同じような問題ですけれども、御本人が、いわゆるセルフネグレクトのような状態にあるときに、果たして同意を取ることができるのかというのが、実務的に非常に重要な課題になってくるというのは、私も全く認識を共有しているところでございます。

1つは、まず解釈論として、御本人の同意がなくても補助人に権限を付与することができるという例外規定を設けておりますので、この解釈の射程が問題になります。正確に申し上げれば、御本人が意思を表示することができない場合というこの文言の解釈の中に、今、申し上げたような2つの事案をどこまで取り込むことができるのかというのが、1つ大きな課題になるだろうと思います。

もっとも、実際には多分補助相当の方が一番被害に巻き込まれやすい環境にあるかなと考えるわけですけれども、こうした補助相当の方について、純粋に判断能力の程度という観点だけで考えた場合に、御本人が意思表示できない状態にあるというのは、かなり厳しい解釈、難しい解釈になろうかなとも感じます。したがいまして、結局のところ、むしろ実務運用において、補助の入り口の利用支援というものを、中核機関を中心としてどこまで充実させることができるかということが、非常に重要になってくるだろうと思います。

御高齢の方がなかなかシルバーシートに座らない、それは御本人の、もちろん矜持等があって、周りから見ていると、せっかくなら腰をかけたらどうかなと思うような状態であっても、御本人は大丈夫だということで、なかなか座っていただけないといったことがあるかと思うのですが、それのさらに難しいバージョンと申し上げたらよろしいでしょうか。周囲の支援者からしてみると、念のために同意権・取消権を補助人に持っておいてもらったほうがいいのではないかと思っていても、御本人としては、御自身でできるという、御本人のプライドの問題もございますので、なかなかそこで同意を取ることが難しい場合は、現在の実務でもあるところです。

したがいまして、ここは、法律家だけではなくて、むしろそうした御高齢者あるいは認知症のある方の心理状態に詳しい社会福祉の専門家などが、入り口の段階において丁寧にサポートすることによって、御本人の同意をできるだけ得られるようにしていくというのが望ましい解決であろうと考えております。

もっとも、少なくとも改正法案を杓子定規に解釈した場合には、御本人に一定の同意能力があり、かつ、御本人がセルフネグレクト的に補助の利用を明確に拒絶しているという場合には、残念ながらそこに強制介入していくというのは難しいのではないかなというのが率直なところでございます。

以上です。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

厚生労働省のほうもお願いいたします。

○鹿野委員長 占部室長、お願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室占部室長 まず、重層事業について御指摘がございました。ちょっと直接担当していないので、総論的なお答えになることをお許しいただければと思いますけれども、重層事業については、むしろ、地域における包括的な支援体制をつくっていくためのツールとして、関係する予算を一本化して執行できるような、そういう事業として位置づけられていると理解をしています。

したがいまして、むしろ、地域における包括的な支援体制を市町村が果たしていくという中で、先ほど御指摘のあったような消費者行政との連携というものも進めていくという関係性にあるかと思っています。

そういう意味で申しますと、先ほど少し申し上げました、今回の社会福祉法の改正の中で、そういった消費者行政との連携ということについても明記をされているということと、具体的にそれを進めていくための地域福祉計画の策定の中で、市町村において、そういった体制づくりを進めていっていただくということが、まずは、当面の対応ということになろうかと思います。

それから、もう一点の高齢者等終身サポート事業については、これもなかなかお答えとして難しいのですけれども、現状、いわゆる高齢者等終身サポート事業というものに対しての、業としての所管官庁というものは、現状、まだ存在しないという状況でございます。

ただ、一方で、事業を利用される方が御高齢の方が多いというようなことからすると、厚生労働省としても関わるところがございますので、現在、高齢者等終身サポート事業の事業者団体なども、昨年立ち上がってきて、その事業者団体の中で事業者としての、より求めるべき質の確保の観点から、どういった内容を団体内で求めていくのかという議論もなされていると聞いておりますが、こういったところについても、厚生労働省としても随時関わりながら、意見交換などをさせていただいて対応しているというのが現状ということでございます。

その上で、第二種社会福祉事業に関して申しますと、これは、一定の要件を満たした事業者について、都道府県に届出をすることになります。この要件については、利用者の一定割合以上の方に無料または低額で事業を実施していただくということになります。無料または低額で事業を実施するという部分については、事業者としては持ち出しということになりますので、ここの部分の割合をどれぐらいの水準にするのかというのが、事業へのある意味では参入のハードルになるということと、先ほど申し上げたような、ガイドラインの遵守ということも含めて、いろいろなものを組み合わせながら、第二種事業として参画をする事業者については、質の確保を図っていきたいと考えております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。よろしいでしょうか。

本日は、成年後見制度の見直しの理念と概要、また、これが社会福祉法改正との一体的改革であるということで、社会福祉法改正の概要についても御説明をいただきました。また、利用促進に係る取組等についても御説明をいただきました。誠にありがとうございました。

御説明を通じて、今後見込まれる成年後見制度の改正を踏まえ、どのような制度利用促進策や、消費者保護のための取組が必要となるか等について理解を深めることができました。

あらためて、本日の意見交換を、若干、私自身のコメントも加えた形でまとめさせていただきたいと思います。

まず、全体としてですが、今般の成年後見制度の見直しは、利用者の意思をより尊重し、必要に応じた柔軟な制度利用を可能にする方向の見直しであると理解しております。

ただし、いわゆるオーダーメイド化することによって、そのオーダーメイドは、理念としてはすばらしいのですけれども、かえって運用や手続が煩雑にならないよう、あるいは利用しにくくならないよう、丁寧な周知や利用コストの軽減などの工夫が必要だと考えます。

周知は、今も申したところですが、柿沼委員からも、制度改正とその内容について十分な周知が必要であるという御指摘がございました。

また、本日の議論の中では、取消しの範囲が限定されることになるということの影響として、消費者被害の拡大が懸念されるのではないか、あるいは被害が生じたときに救済できなくなるケースが出てくるのではないかということについての意見交換もございました。

これについては、特定補助の利用の枠内で、一定の範囲での対応は可能であること、確かに従来の後見制度と比べると、取り消しの対象から外れるものも生じ得るかもしれないけれども、それは、地域福祉の中できちんと受け止めを考えていくことが必要であり、まさに一体的改革では、そこに重点が置かれているのだということを御説明として伺い、全体としての機能確保が重要だと受け止めたところです。

大澤委員からは、オーダーメイド型の新たな制度のもとで、家庭裁判所の役割負担も大きくなるのではないかという御指摘もありました。家庭裁判所において、今回の制度改正の理念に沿った十分な対応ができるように、しっかりと体制確保をしていただきたいと思います。

また、柿沼委員と黒木委員長代理からは、消費生活センターあるいは消費者行政との連携ということについても御指摘がありました。

この点について、厚労省からは、今回の社会福祉法改正による体制の連携先として、消費者分野も入っているというご説明がございましたけれども、消費者保護という観点から見ると、まさにこの連携がうまくとられているのかということが、非常に重要なポイントであると認識しております。

高齢者等の単身世帯も増える中で、必要が生じた際に、速やかに適切に補助の申立てへとつなげることができるよう、地域の見守りネットワークの重要性というものは、さらに増すのではないかと考えております。

社会福祉法等の改正により、地域の見守りネットワークの機能拡充もさらに求められることになり、また、実際に拡充につながっていくことを期待しています。

それから、議論の中では、特に大澤委員からの御指摘にもあったように、改正後の補助制度においては、やはり高齢者をターゲットにする悪質事業者への対応が、ますます求められることになるだろうと思われます。消費者契約法、特定商取引法等をはじめとした、消費者法分野できちんと対応ができるように、一層の法整備が必要であると認識しました。

それから、本日は、地域による格差についても議論が及びました。成年後見制度の利用促進に当たっては、都道府県、市町村単位での体制整備、制度の普及が急務ということになります。

中田委員から御指摘があったように、あるいはそれに対するお答えにもありましたように、小規模の市町村においては、いまだ、従来の制度についても理解が十分でなかったり、あるいは人材、財源不足から、これが実質的には重要な要因ではないかと思いますが、そのような人材、財源不足から中核機関の設置等の体制整備が不十分なところがあったりという状況がございました。

今回の社会福祉法改正では、市町村の中核機関を法律上も明確に位置づけられるということで、近いうちに100パーセントを目指すということでございました。けれども、確かに設置ということも重要なのですけれども、それが十分に機能を果たすということが、さらに必要でございます。都道府県のバックアップや広域連携も含め、地域の実情を踏まえた体制整備と運用の全体的な支援が必要なのではないかと感じたところでございます。

持続可能な支援体制の維持に当たっては、まさに担い手の確保等が極めて重要です。日本全体が急速な人口減少社会に突入していることについては、つい先日の報道でも触れられていましたけれども、このようにますます人口減少が進む中で、人を確保することが難しくなっているということは承知しているところですが、だからこそ、この問題については、地域における人材と財源の確保あるいはそれを効率的に回して運用していくということが非常に重要な課題となってくると思われますので、そのような取組を継続していただくことを期待しています。

なお、本日は、高齢者等終身サポート事業に関する話題にも議論が及びましたけれども、これについては、場合によっては、別の機会での調査審議も検討しているところでございます。

御出席いただきました皆様におかれましては、お忙しいところ御対応いただき、誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところありがとうございました。

(以上)