第480回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2026年1月27日(火)10:00~10:22
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
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- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
- (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、善如委員、原田委員、山本委員
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- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
議事次第
- 人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会の設置について
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
定刻になりましたので、ただいまから第480回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、柿沼委員、善如委員、原田委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。
それでは、本日の会議の進め方等について事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会の設置について》
○鹿野委員長 本日の議題は「人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会の設置について」です。
近年、AI技術が急速に進化して、既に私たちの日常生活の中にも入り込んでいるところです。また、今後更にAI技術の利活用が拡大することが見込まれます。このような状況に鑑み、AI技術の健全な社会実装に向け、消費者との関わりにおいて現在生じている問題または将来生じ得る問題について検討を行い、課題の整理を行うとともに、必要な対応策を取りまとめることが必要だと考えられます。
また、消費者の意思決定のプロセスに影響を与え得るAI技術について、消費者の自律的意思決定を阻害することがあるとすれば、それも一つの消費者被害ないし消費者問題と捉えて検討することが重要です。
第9次消費者委員会では、このような問題意識を背景として、AI・デジタル技術の利用により生じ得る消費者問題について有識者ヒアリングを行ってきたところですが、今般、消費者委員会の下部組織として、新たに「人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会」を設置したいと考えております。
お手元に資料1として、この専門調査会の設置・運営規程の案を配付しております。
これについて、事務局より10分程度で御説明をお願いします。
○江口企画官 資料1を御覧ください。「消費者委員会 人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会 設置・運営規程(案)」でございます。
この案は、消費者委員会令第四条の規定に基づき、この規程を定めることとしております。
この案においては、総則といたしまして、第一条に、消費者委員会の人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会の設置、所掌事務、会議及び議事録の作成等については、この規程の定めるところによるとしております。
また、専門調査会の設置といたしまして、第二条に、委員会に人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会を置くとしております。
また、専門調査会の所掌といたしまして、第三条、専門調査会は、委員会の求めに応じて、人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する重要事項について調査審議することとしております。
その他、調査会の設置、専門調査会の会議、審議の公開、議事録の作成等の構成となっております。
この設置・運営規程(案)の内容につきましては、他の下部組織と同等の形式となっております。
以上でございます。
○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。
それでは、御質問、御意見などございましたらお願いいたします。特に本専門調査会への期待等も含めて御意見等をいただければ幸いです。いかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 御説明ありがとうございます。
AI活用の加速が一気に進むことが想定される今年この時期に専門調査会を設置することに、私としては賛同いたします。
その上でコメントとなりますが、私の接する多くの民間企業において、AI活用の可能性を実際に組織内の様々な部署で活用し始めていることによって、積極的に模索している様子が現在見受けられますが、現状では主に社内の業務効率改善というポジティブな側面を実感されている方が多いように見受けられます。
この1年であらゆる産業のあらゆる場面でAI活用が一気に進んで、それは今後、社外への商品やサービスの提供の場面にも大きく影響を及ぼすことが想定されますが、その影響は消費者にとって利便性の向上やそれぞれの消費者のニーズに合ったパーソナライズされた体験等のポジティブな側面と同時に、ディープフェイクや音声合成による詐欺や消費者の自律的な思考や主体性を阻害するような消費者リスクにつながる側面、あるいは現時点で予測することが難しいような創発現象が起こることも考えられ、AI専門調査会においてこの領域の先端を御専門とされている委員の皆様による消費者問題における今後の様々な可能性のシナリオと対応の在り方の指針となるような調査審議を大変期待したいと思います。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
専門調査会設置について、前向きな御意見をいただきました。
今、中田委員がおっしゃったとおり、ここではAI技術の健全な社会実装に向けてということなのですけれども、既に私たちの生活において、AIがかなり消費者にとっても利便性を向上させる、そういうプラスの面があるということは御指摘のとおりでございます。ただ、一方で、マイナス面というか懸念される点については、今まで特に消費者という視点からの検討が全体として薄かったのではないかと思われます。こういう認識の下で、専門家に集まっていただいて、この問題を深く検討していただくということにしたいと考えているところです。
ありがとうございました。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
私は、もちろんこの専門調査会についてぜひ検討をしていただきたく、支持を申し上げます。
その上でということになりますけれども、デジタル空間での消費者問題は、もはや消費者個人の努力だけで未然に防止をするということが困難な状況にあります。また、私の専門である消費者教育においても、何を教え、伝え、注意を喚起していくかという核心をアップデートできる、そんな検討の内容になるのではないかと期待をしているところです。
委員の構成などは今後ということでございますが、広い分野の関連する専門家の方たちにお集まりをいただきまして検討いただくということは、消費者行政にも広く寄与できるのではないかと期待をしております。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
消費者教育との関連においても、この専門調査会設置の意義についてコメントを頂戴しました。
ほかにいかがでしょうか。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 御説明いただきありがとうございました。私は、もちろん設置には賛成でございます。
もう今、複数の委員からも御意見が出ていましたので簡単に申し上げますが、今回、AI技術に関しては、私は法律専門ですけれども、様々な法分野で検討が始まっておりますし、昨年の日本消費者法学会でもAIと消費者法ということでシンポジウムが開催されたぐらいで、本当に法的にはいろいろ検討がされているのですが、法的な検討はもちろんですけれども、特に消費者問題という切り口から関連する問題をある程度拾い出して検討するということを非常に期待しておりますし、そういう意味で、専門調査会を設置されるというのは、消費者問題の観点からというのは、例えばヨーロッパではもう検討が始まっているところですけれども、これを消費者委員会の中の専門調査会で取り上げるということは非常に意義があると思っています。
とりわけ個人的には2つの点があって、意思決定に、特に生成AIなども活用されたプロモーションをされるとか、あるいは先ほど来出ているターゲティングとか、そういったものも含め、まず意思決定にどういう影響が与えられているか、そういうものについてはもう既に研究レベルはあるとは思うのですが、それを今度消費者問題として考えたときに、別にポジティブな意味でもネガティブな意味でも両方どういう風に考えていくかということの検討を非常に期待しております。
2点目が、特に契約締結後の紛争解決の段階でも、今、チャットによるお客様相談窓口だったり、いわゆる効率化という観点から、消費者と事業者のコミュニケーションの場面でもAIなどが使われているというところがあって、消費者からすると事業者に例えばいろいろ相談をしたりというのはとても大事な場面ですけれども、こういうものが効率化に伴って、これも別に私はネガティブな意味だけではなくて、ポジティブと両方言っているのですが、こういうところにもAIが活用されているので、そういった面も、やることは盛りだくさんだと思うので、なかなかそこまで拾うのは難しいだろうなと思うのですが、そういった契約を結んだ後の消費者と事業者のコミュニケーションというのですか、それとAIの活用に関しても個人的には非常に関心を持っていますし、期待をしているところです。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
先ほど申しました意思決定にどういう影響を与え得るかというところに加えて、契約締結後の関係、とりわけ紛争解決、その他、コミュニケーションの在り方というところにも関わってくるのではないかということについて御指摘をいただきました。
それでは、続きまして、善如委員、お願いします。
○善如委員 まず、設置に関しましては私も賛成いたします。
そして、期待することとしましては、月並みですが、早急に対応が必要な問題もたくさんあると思われまして、そういったところ、問題を的確に分類されながら、問題点を洗い出していただくというのももちろん必要かと思いますが、長期的により深刻な問題の種となりそうなものも取りこぼしてはいけないと思いますので、バランスよく中長期的な目線も取り入れて、多種多様な専門家の方々に検討していただけることをまず期待しております。
次は意見といいますかコメントですが、中長期的に後戻りができないような深刻な問題といたしまして、例えば競争政策的な観点で言いますと、プラットフォーム事業者に関する規制なんかでも同様の議論が出ていたように記憶しております。というのも、プラットフォームビジネスというのはネットワーク効果というものが働いていまして、サービスの価値が利用者の数といいますかネットワークの大きさに比例する、比例か分かりませんが伴って増加するということで、一度一つの事業者が大きくなり過ぎると、すごいパワーを持ってしまって、後戻りできないというような可能性があって、そういった議論が、一つの理由として、事前規制や共同規制というような規制の枠組みも一部の法律の中で導入されていると思うのですが、これは私の勝手な意見なのですが、AIに関しましてもネットワーク効果と似たようなことが起こり得るのではないかなと思っております。それはユーザー自身が直接交流するというわけではないのかもしれませんが、たくさんの人が一つのAI技術を使うことによってデータが蓄積されて、それをAIが勉強して、また、品質が向上するというようなネットワーク効果にすごく近いようなポジティブフィードバックが起こる場合、事前規制などの手法も一つの選択肢になってくるのかなと個人的には思っております。
もちろん事前規制というのがちゃんと期待されている効果を発揮しているかどうかという検証も必要かとは思いますが、そういったオプションに関しましても併せて義論の中に入っていくと、より様々な現実問題にも対応できるのかなという風な個人的な意見は持っております。
私からはこの2点です。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
善如委員は、プラットフォームの問題について専門的な知見をお持ちですけれども、そのお立場から、プラットフォームビジネスにおけるのと類似した点というところも御指摘いただいて、御意見を頂戴いたしました。ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 この専門調査会の設置自体は大賛成であります。
第8次内閣府消費者委員会の時に、デジタル技術について消費者をエンパワーメントするデジタル技術に関する専門調査会を設置しまして、その議論で、当時AIエージェントの社会実装といった議論までしていました。
それから、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の中でも、パーソナライズドプライシングの問題などが議論されています。これはAIを前提とすると、広告という概念自体がその特定の人に向かって、ある意味では通信販売ではなく電話勧誘販売と同じようなことも起こり得るというところまで考えられるという形になっています。
日本ではAIセーフティ・インスティテュートがつくられていますが、これもどちらかというと利活用の問題であって、セーフティ・インスティテュートですから安全性のこともやっているのでしょうけれども、人間がAIに対面したときどうなるのかということについてどこまで掘り下げているのかは、ホームページを見てもよく分からないと私は思っています。
そういった意味で、当委員会では昨年11月に2回本会議で専門家を呼んで、AIの問題について議論しました。そこで、やはりこれは放置できない問題であるという委員の認識があって、今回の専門調査会の設置ということになったのだと私は思っていますし、そういう意味でもいいと思っています。
私は、年末年始にユヴァル・ノア・ハラリの『NEXUS』という本を読んだのですが、この中で彼はAIのことをArtificial Intelligenceとは言わず、Alien Intelligenceだと言っています。人類外の知性を持ったものが社会の中に実装されたときに何が起こるのかということについて、歴史も含めた大変興味深い著書になっています。そういう意味でも、パラダイムシフト専門調査会におけるデジタル化の問題とは違う観点で、この消費者委員会の中で専門調査会を置いていくということは非常に意味があると私は思っています。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
黒木委員長代理からは、今まで当委員会に設置して検討を進めてきた専門調査会、特にエンパワーメント専門調査会やパラダイムシフトとの関連あるいは違いというところも含めて、AI専門調査会を設置することの意義について御指摘をいただきました。
山本委員、お願いします。
○山本委員 ありがとうございます。
私も、この調査会の設置にはもちろん賛成でございます。
AIを用いた消費者の意思決定に対する介入ですとか、あるいは操作という問題、こういったものを含む、AIによる消費者問題と言ってもいいかもしれませんけれども、そういった問題というのは、ほかの消費者問題に比べて実感が湧きにくいと申しますか、なかなか消費者としても理解が体感できないようなところがあるのかな、気づきにくいのかなというような感じがいたします。とりわけそういったリスクに対して、日本では議論が他国と比べると少し後れているかなという印象も持っております。ですので、この調査会では、海外の立法をしっかり調査をして、その背景にあるいわゆる立法事実と申しますか、そういうところまで含めて少し調査をしていただいたり、あるいは実態調査も含めて、こういったリスクを消費者の方に広く理解していただく、あるいは可視化していくということも必要になってくるかなと思います。この議論が説得力を持つためにも、そういった調査ということも必要かなと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
今、御指摘があったように、海外ではいろいろと議論が進み、あるいは立法が進んでいるところもございますので、海外の動向についてもきちんと踏まえること、あるいは実態調査を実施して、できるだけこの専門調査会の検討が説得力のあるものとして報告書を最後にまとめるということが重要なのではないかという御指摘をいただきました。ありがとうございます。
ほかにはよろしいでしょうか。
ありがとうございます。
今、設置規程については特に御意見がありませんでしたけれども、専門調査会を設置することの積極的な意義ということについて、多くの委員から御発言をいただきました。設置規程については、従来と基本的には同じ枠組みということで、御異論はなかったものと思います。
そこで、消費者委員会の下に「人工知能(AI)技術の利用と消費者問題に関する専門調査会」を設置することとし、資料のとおり設置・運営規程を決定したいと思います。ありがとうございました。
《3. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)