第471回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2025年9月19日(金)17:01~17:45
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)今村委員、大澤委員、小野委員、鹿野委員、黒木委員、善如委員、中田委員
- (テレビ会議)柿沼委員、山本委員
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
《1. 開会》
○小林事務局長 本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第471回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
なお本日から、9月1日に任命された第9次消費者委員会委員による新たな体制となります。
委員長が決まるまでの間、事務局長の小林のほうで会議を進行させていただきます。よろしくお願いいたします。
《2. 井上内閣府事務次官、林内閣府審議官 御挨拶》
○小林事務局長 それでは、まず、井上内閣府事務次官、林内閣府審議官、堀井消費者庁長官に御挨拶をいただきたいと思います。
本日は、第9次消費者委員会としての最初の会議となりますので、井上内閣府事務次官、林内閣府審議官、堀井消費者長官にお越しいただいております。ありがとうございます。
まず、井上内閣府事務次官より、内閣府幹部を代表して御挨拶をいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○井上内閣府事務次官 内閣府事務次官の井上でございます。
第9次消費者委員会の初めての会合の開催に当たりまして、一言御挨拶を申し上げます。
まずもって委員の皆様方におかれましては、委員をお引き受けいただいたことに、厚く御礼申し上げます。本当にありがとうございます。よろしくお願いします。
高齢化ですとか、デジタル化の進展に伴って社会状況が変化しております。言わずもがなですけれども、インターネットを利用したメディアの多様化、あるいは事業者による商品・サービスの広告や提供の方法など、我が国の消費者を取り巻く環境が急速に変化しておると認識しています。
また、それによりまして、消費者に、もちろん多くの利益ももたらされている一方で、新たな課題も顕在化していると、我々は認識しております。そういった中で、消費者委員会におかれましては、消費者の意見が直接届く透明性の高い仕組みだと我々は思っております。この仕組みを最大限活用していただきまして、専門的観点から積極的に調査審議や建議を行うなど、その果たす役割は、ますます大きくなってきておると思ってございます。
委員の皆様方におかれましては、様々な消費者問題について、豊富な御見識を基に積極的に御議論いただきまして、消費者行政全般にわたる監視機能を十分に発揮していただきたいと考えてございます。
事務方として、消費者委員会をしっかりお支えしていきたいと考えてございますので、どうか御指導、御鞭撻のほど、よろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
続いて、林内閣府審議官より、御挨拶をお願いいたします。
○林内閣府審議官 内閣府審議官の林でございます。
井上内閣府事務次官とともに、消費者委員会を事務方として、しっかりとお支えしていきたいと思います。
内閣府に消費者庁とは別に消費者委員会が置かれているということで、しっかりと、その独立性を果たしながら消費者行政全般を盛り上げていくということが、両面で重要ではないかと思っておりますので、委員の皆様の御知見等を借りながら、御指導、御鞭撻をよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
《3. 堀井消費者庁長官 御挨拶》
○小林事務局長 続いて、堀井消費者庁長官より、御挨拶をお願いいたします。
○堀井消費者庁長官 消費者庁長官の堀井でございます。
本日は、第9次消費者委員会の初の本会議ということで、このように御挨拶をさせていただく機会をいただきまして、誠にありがとうございます。
委員の皆様は、もう既に御案内のことでもございますし、我々も認識をしておりますが、この消費者委員会は、消費者行政全体についての監視機能を有するということで、前期の委員の方、委員会におきましても様々な貴重な御意見をいただきました。挙げると枚挙にいとまがないのですが、例えば、第5期の消費者基本計画の策定に当たっての意見の発出でございますとか、令和5年の11月に内閣総理大臣から諮問をさせていただいた、消費者法制度のパラダイムシフト、これは専門調査会における議論を経て、7月の9日に答申をいただいたところでございます。
これらの様々な中身について消費者庁といたしましては、いずれも重い課題でございますし、特にパラダイムシフトなどを含めて、大変困難度の高い課題ではございますが、受け止めて、どのような形で今後進めていくかということについて検討しているところでございます。
今期の委員の皆様方におかれましても、引き続き、このような形で様々御意見をいただき、消費者行政が一歩でも前に進んでいくように取組をしていく、そのような形で、引き続きコミュニケーションを図らせていただきたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
それでは、議事に入る前に、会議の進め方等について御説明いたします。
○友行参事官 本日、テレビ会議システムを活用して会議を開催しております。
御発言の際には、会議室で御参加の方は挙手にて、テレビ会議システムで御参加の方は挙手ボタンを使用してお知らせくださいますようお願いいたします。事務局から指名がありました後に御発言をお願いいたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
《4. 消費者委員会委員紹介》
○小林事務局長 それでは、9月1日に任命されました第9次消費者委員会委員の皆様から、自己紹介と消費者委員会委員としての抱負について、一言ずつ御挨拶をいただければと思います。
五十音順ということで、今村委員より、よろしくお願いいたします。
○今村委員 8次より委員をさせていただいております、奈良医大の今村です。よろしくお願いいたします。
私、経歴を簡単に申し上げますと、最初の5年ぐらい普通に医者をやっていたのですけれども、その後、厚生省で官僚を10年ぐらいやっていまして、その後、東大病院の経営を5年ぐらいやって、20年ぐらい前から、今の公衆衛生をやっているという経歴を持っております。
私、大変な事件屋でございまして、厚生省にいるときも薬害エイズやBSEといった食品関係の大きな事件や、感染症関係の事件などを多く担当してまいりまして、世の中が大騒ぎになるような事件というのを何度も経験してきて、その対応に当たってきた経験がございます。
今、消費者委員会では、食品表示のほうを担当しておりまして、これを担当させていただいて3か月で紅麹事件が起こって、もう事件に当たりやすい性格なのだなと痛感しているところであります。
まだ、サプリメント食品をはじめとした食品問題は、たくさんの懸案がございますので、そこに積極的に意見を申し述べていきたいと考えております。よろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 私も第8次より引き続きまして、委員を拝命いたしました大澤と申します。
私は、今は法政大学法学部で民法と消費者法の教育研究に従事しております。
いろいろ御縁に恵まれて、もともとは修士課程に入ったときは民法を専門として、民法の先生を指導教員として研究を始めたのですが、本当に様々な御縁があったおかげで、いつの間にか消費者法を研究するということになってきました。
前回第8次を拝命しまして、第5期のときの消費者基本計画を中心に、本当に様々な論点を勉強することになり、本当に私の消費者法研究者としても大変な知識あるいは経験を得られることができたと思っております。
そういった全ての問題に、本当に今ではいろいろ関心を持ってはいるのですが、特に第9次で私が頑張っていきたいと思っておりますことは2点ございます。
1点は、消費者法制度の、いわゆるパラダイムシフトと呼ばれている、そういう言葉で表現されていることではございますが、民事ルール、行政ルールあるいは自主規制、様々なルールをどのように組み合わせることによって、または、どのような紛争解決制度などなどを設けることによって、消費者法の制度がうまく回るかということを、取り組んでいきたいと思っています。
2点目は、デジタル時代における消費者向けの勧誘であったり、あるいは消費者向けの利用規約など、デジタル化において起こる問題について、私はもともと民法の研究者ということもありますので、とりわけ民事法の役割として、どのようなものがあるかということに関心を持っております。
外国法としては、フランス消費者法、契約法を長年研究しているということもあり、日本では、まだ、特にフランスの消費者法のほうは、あまり研究している人が多くはない分野でございますので、そういった日仏比較の観点からも様々な知見を得ていきたいと思っております。よろしくお願いします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、小野委員、お願いします。
○小野委員 第8次より、引き続き委員を務めさせていただきます、東京家政学院大学の小野でございます。
専門は消費者教育ですが、学位は社会福祉学で取得をしているということもありまして、支援の必要な消費者について研究、そして活動をしております。
研究もそうですが、活動としましては、一般社団法人を設けまして、資格横断的に楽しく、いろいろできるような方たちに活躍していただくようなプラットフォームを展開しているところでございます。
今期におきましても、脆弱な消費者あるいは消費者の脆弱性に着目した視点で議論させていただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、オンライン参加の柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 全国消費生活相談員協会消費者教育研究所の柿沼です。
まず、所属しております全国消費生活相談員協会について御紹介させていただきますと、当会の会員は、自治体の消費生活センターに消費生活相談員として従事している者などから構成されています。
消費者の権利を守り、消費者の自立的な判断と行動を支えることを目的に活動しています。
活動内容としては、自治体の消費生活センターの開所が限られている土曜日、日曜日に消費者からの相談を受けたり、法律に基づく適格消費者団体として、商品やサービスの表示の不備や、不当な契約条件などについて、問題がある場合には、事業者に対して改善を求める活動を行っております。
私は、消費者教育研究所におりますが、消費生活相談を基にトラブルの傾向や背景を分析し、その情報を広く共有することで、同じような被害が繰り返し行われないように、どのようにすることが必要なのかを検討しております。
消費者委員会では、消費生活センターに寄せられる相談のうち、個別対応が難しい事案や、同様の相談が多数寄せられている事案について、社会的課題として委員会で俎上に載り、改善に向けた議論をしていただけるよう、現場の声を丁寧にお伝えしたいと思っています。
相談を受けている中で、現在悩ましいと感じているものは、ネットの詐欺的な通販サイト、それから、SNSを介した投資や副業についてです。今まで以上の対応が必要であり、消費者の被害回復に通じればと感じております。
また、消費者委員会に寄せられている要望書などについても、今まで以上に目を向けてまいりたいと思っております。
委員の皆様に実情を御理解いただき、消費者問題の改善に向けた議論が進むよう、情報提供や働きかけに尽力してまいりたいと思います。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、鹿野委員、お願いいたします。
○鹿野委員 第8次に引き続き、第9次の委員を務めることになりました、鹿野菜穂子と申します。
私は、長らく大学で民法及び消費者法の教育と研究に携わってまいりました。分野としては、民法の中でも契約法あるいは取引法を中心に研究をしてきた者でございますが、消費者法においては、取引と並んで安全に関わる問題も非常に重要であると認識しております。
第8次の委員会においては、委員長を務めさせていただきましたが、特にこの間、デジタル化やAIの進展あるいは高齢化のますますの進展を背景にした消費者問題の重要性が増しているということを痛感しており、継続的な課題も多いと認識しているところでございます。
具体的には、第8次では、先ほど長官からも言及いただきましたけれども、消費者法制度の在り方を根本から再検討するというパラダイムシフト専門調査会を設置しまして、沖野座長のもとで御検討いただき、報告書を取りまとめていただきました。
この問題については、私はかねてより非常に関心を持っておりまして、実は、私、第4次と第5次にも消費者委員会の委員を務めさせていただいていたのですが、第5次のときに「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」を立ち上げまして、そこで座長を務めさせていただきました。
その報告書においても、ルールと担い手のベストミックスということを唱え、そして、消費者像、特に消費者の脆弱性の見直しということにも触れていたところでございます。
その後、あっという間にデジタル化が急速に進展しまして、今回のパラダイムシフトの報告書においては、この間のデジタル化の進展等も踏まえて、更に幅広い検討の上、消費者法制度に関するグランドデザインを示していただいたものと思っております。
この点について、個人的にも関心があったのですが、今後は、この報告書の内容を具体化するという作業がとても重要であると認識しております。長官からも先ほど言及がありましたけれども、私たちのほうでも、その具体化の作業について注視させていただきたいと思っております。
また、決済手段の多様化ということに関しても、従来の法的な枠組みでは十分に対応できない問題もあるという認識のもとに、委員会のもとに独自の専門調査会を設置して検討をしてまいりました。この問題にも、引き続き関心を持っているところでございます。
それから、第8次の後半では、レスキュー商法について本会議で検討し、意見を取りまとめました。
この問題は、もちろん悪質商法対策という点でも重要なのですが、検索型のプラットフォームの役割とか、あるいは広告表示の在り方など、複数の重要な論点に関わっており、必要に応じて更に深く考えていく必要があると思っております。
その他、課題は山積しておりますが、消費者が安心して安全に暮らせることのできる社会の実現に向けて、微力ですけれども、委員として引き続き尽力していきたいと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
続いて、黒木委員、お願いします。
○黒木委員 私は第7次から委員を拝命しておりますので、7次、8次、そして第9次という形で委員になりました。弁護士の黒木と申します。
私は福岡県弁護士会に所属していまして、弁護士登録してからもう37年になります。
私が弁護士登録してしばらくして、いわゆるバブルの崩壊という問題がありまして、私は整理回収機構という不良債権処理の業務に関係するのと同時に、消費者の多重債務問題、それと企業の倒産に伴う代表者の自殺といった問題などを取り扱いました。そのような業務を取り扱う中で、お金に関係する消費者問題としての多重債務問題や保証人の保護の問題について、実務的な問題を考えることになりました。
その関係で、日本弁護士連合会の消費者問題対策委員会の委員長をすることになりました。消費者問題対策委員会は非常に幅広い分野を扱っていますので、そこでいろいろな知見をいただきました。
おそらく、そのような背景もあるのかと思いますが、第7次から内閣府の消費者委員会の委員を務めています。
第7次、第8次の委員としての活動について考えますと、特に8次では、先ほど長官もおっしゃっていましたけれども、第5期消費者基本計画を閣議決定されて、今年からそれが始まっているところです。
第5期消費者基本計画は、非常に大きな、まさに社会の消費者問題全般を見渡した意味のある消費者基本計画でして、これを今後ちゃんと遂行されていくかということについて、消費者委員会として関与していくことが必要だと思います。もし、いろいろなところで遂行することが難しいことがあれば、それはどうしたらいいかということを、お互いにまた議論するというのも消費者委員会の非常に重要な役割だと思っています。第5期消費者基本計画が、確実に実施されるように、今後とも頑張らせていただければと思っています。
それから、先ほど鹿野委員もおっしゃっていましたけれども、支払制度の多様化も重要だと考えています。支払制度により、最終的には、財は誰に帰属するのかというのが、民事紛争を解決する上で重要なものとなります。昔、私が登録した頃は、基本的にはクレジットカードか、現金払いか、振込みしかなかったわけです。しかし、現在はものすごく多様な決済制度がありまして、様々な人たちがそこに関与していて、それがデジタルによって一瞬にして決済されてしまいます。しかし、支払制度を提供しているプラットフォームが予め設定している制度ですので、どういう形で誰が関与しているのか利用者特に消費者にとってよく分からないという問題があります。これについても、新しい制度として検討していくことが必要だろうと思っています。
第9次も微力ながら力を尽くさせていただきたいと思っています。よろしくお願いします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
続いて、善如委員、お願いします。
○善如委員 皆様、初めまして、このたび、消費者委員会に加わることになりました、神戸大学の善如と申します。よろしくお願いします。
私は、これまでプラットフォームビジネスに関する研究を、経済学、経営学などの観点から行ってまいりました。
もう既に多数の委員の方から、プラットフォームに関する言及がありましたとおり、プラットフォームのサービスというのは大変多様化しています。ソーシャルメディアもそうですし、オンラインモール、アプリストア、また、デジタル広告とかのマッチングを仲介するサービスなどもプラットフォームの一部になっております。
大変便利なサービスが多いのですが、リスクもあるところでございまして、私としては、プラットフォームを運営する事業者の行動やインセンティブというものが、消費者全体あるいは社会全体に対して、どういった影響を及ぼすのかといったところに関心を持ちまして、これまで研究をしてきました。
その学術的知見を生かすこととして、現在も続けているのですが、経済産業省におけるプラットフォーム透明化法のモニタリング会合の委員としても、デジタル広告分野の担当として参画させてもらっております。
今回からは、新たに消費者委員会の一員として、より幅広い観点、視点から消費者保護、そしてデジタル経済の安全な、そして安全かつ透明性の高い、そういったデジタル経済の確立に向けて、少しでも私の研究とか学術的な知見を生かすことができれば幸いだと思っております。
これから、どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、続いて、中田委員、お願いします。
○中田委員 委員を拝命いたしました中田華寿子です。
私は、広告代理店における業務に始まり、スターバックスコーヒーやライフネット生命等において、マーケティングや広報、コミュニケーション、企業経営に携わってまいりました。
現在は、金融機関等のコンサルティングや、企業の社外取締役、社外監査等委員として、事業会社の監督を行っており、また、構想日本という政策シンクタンクの理事としての活動の一環として、地方自治体の行政について、地元の市民の方々と議論をする住民協議会に参加しております。
消費者委員会において審議の対象となる消費者問題は大変幅広く、デジタル化の進展や高齢化と、様々な現在進行形の社会的背景や利害関係者が複雑に絡み合っているため、現在起こっている事象を、謙虚に先入観を排除して皆様の御意見に広く耳を傾け理解し、審議できるように努めてまいりたいと考えております。
また、消費者問題は、一部の事業者と消費者間のトラブルですが、多くの事業者は良心的な事業努力を日々重ねているという現実があり、一方的に事業会社全体に対する規制を強化することは、経済発展性を阻害するというリスクもあり、企業の現状の課題意識や取組についても委員としてより一層理解を深めた上で、ともに解決策を探っていくことも必要であると感じております。
最後に、8次の消費者委員会で感じたことは、消費者委員会ができることは、調査審議、意見発出までで、実際の解決のためのアクションは、その先にいる事業者、業界団体、国民生活センターや関係官庁に実際に動いていただくしかなく、また、最終的には消費者一人一人に、現状を知り、自らを守る必要性について気付いていただく必要性があるので、この消費者委員会で、この会議室の中で審議している内容がここにとどまらず、一人でも多くの人の自分ごととなるような巻き込み方の改善や、情報発信の強化にも貢献していければと考えております。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
では、続きましてオンライン参加の山本委員、お願いします。
○山本委員 ただいま御紹介いただきました、慶應大学の山本でございます。
専門は憲法学でございまして、これまでAIを含む、先端テクノロジーと人権、民主主義の関係について勉強してまいりました。
具体的には、プライバシーの権利ですとか、個人情報、個人データの保護について比較的力を入れて研究してきたかなと思っております。
最近では、プラットフォームのビジネスモデルの1つと言われるアテンションエコノミーが引き起こす諸課題、フィルターバブルですとか、エコーチェンバーあるいはソーシャルメディアへの依存症ですけれども、こういった問題にも関心を持って検討してきております。
情報技術の発展というのが、今、皆さんのお話の中にもあったように、研究が追いつかないほど早く進んでいるように思いまして、例えば生成AIなどは、あっという間に我々の日常に溶け込んできているのかなと思います。
そういう意味では、消費者委員会として、そういった先端技術の消費者に与える影響というものをしっかり把握して対応していくことが、消費者委員会にも強く求められているのかなと思っているところです。
消費者問題との関わりですけれども、パラダイムシフト調査会の前身であります消費者庁の有識者懇談会のメンバーとして、アテンションエコノミーの諸課題について問題提起をさせていただいて、一部そのパラダイムシフトの報告書にも取り込んでいただいたのではないかなと思っております。
パラダイムシフトの調査会には、消費者委員の一人としてというか、オブザーバーとして関わらせていただいたということでございます。また、8次には、消費者をエンパワーする技術に関する専門調査会にもオブザーバーとして関わらせていただきました。
もう少し、エンパワーのほうの調査会については、盛り上げたかったなと思っておりまして、反省も残っておりますけれども、やはり技術というのは、今後は拒絶していくのではなくて、我々は、もう技術の中にいるというか、中で我々は生活しているところがありますので、こういった技術を解釈して、そこに能動的に関わっていく、あるいは積極的に使っていく、あるいは支援を受けるといったことも必要になってくるかなと思っています。
第9次に関しましても、こういった視点を更に深めて取り組んでいければと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
○小林事務局長 ありがとうございました。
最後に、本日所用により御欠席の原田委員につきまして、事務局から御経歴を紹介させていただきます。
原田委員は、京都大学法学系(大学院公共政策連携研究部)の教授でいらっしゃいます。行政法を専門とされ、個人情報保護制度、社会保障制度、DPF取引の越境性に関する国家規制など、幅広い分野について研究をされています。
地方公共団体の自主性、自立性を確保した国の適切な関与の仕方や、デジタル時代に求められる地方自治の在り方、持続可能な地方行財政の在り方を議論する政府の研究会等にも参画しておられます。第8次消費者委員会においても委員を務められ、調査審議に貢献をいただきました。
第6次消費者委員会では、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」のオブザーバー委員も務めていただきました。
以上が、第9次消費者委員会の委員の御紹介ということになります。ありがとうございました。
なお、井上内閣府事務次官、堀井消費者庁長官におかれましては、所用により、ここで御退席となります。ありがとうございました。
(井上内閣府事務次官、堀井消費者庁長官 退室)
《5. 委員長の互選》
○小林事務局長 次に、委員長の互選を行いたいと思います。
消費者庁及び消費者委員会設置法第12条第1項には、消費者委員会に委員長を置き、委員の互選により選任する旨が規定されています。
委員長候補者について、自薦でも他薦でも結構ですので、どなたか御推挙いただければと思いますが、いかがでしょうか。
黒木委員、お願いします。
○黒木委員 委員の黒木です。
私は、鹿野委員を委員長に推薦したいと考えています。理由はたくさんありますけれども、まとめると大体2つの大きな理由になると思います。
まず1つ目は、先ほどから委員の発言にもありましたけれども、超高齢化が進んでいる社会、それからデジタル化が進んでいる社会という、現在は非常に大きな消費者問題を取り巻く問題があります。
この問題については、消費者行政のみならず、ハードローというか、実体法、そして、ソフトローいずれについても知見を持っている方に、委員長として委員会の審議を進めてもらうことが必要であると考えています。
鹿野委員は、先ほどの自己紹介でもおっしゃったとおり、民法、消費者法の専門家です。同時に、日本消費者法学会の理事長を務めていますけれども、今年の消費者法学会のテーマは、消費者法とAIとなっています。デジタル化特にAI問題について非常に新しい分野についてのシンポジウムを開かれます。
このような消費者分野の権威でして、消費者行政政策に深い知見をお持ちである鹿野委員が、まず、委員長として適任であると考えています。これが第1番目の理由です。
2つ目を申します。鹿野委員のこれまでの実績です。まず、何よりもお伝えしたいのは、第8次の委員会において、委員長として数多くの調査審議、意見表明にリーダーシップを発揮されました。
特に、第5期消費者基本計画の取りまとめに関しては、2回にわたる意見書の発出をすることができました。それから、先ほども出てきましたけれども、パラダイムシフト専門調査会の意見を取りまとめ、内閣総理大臣に対する答申を行っています。
このパラダイムシフト専門調査会の報告書の内容は、今後の消費者行政のみならず、消費者法あるいは、もしかすると、民事法全般に関する大きなパラダイムシフトにつながる意見書を取りまとめてもらっています。
それから、鹿野委員の委員会での過去の経歴ですが、第4次及び第5次の委員会で委員を務めていらっしゃいます。第5次の委員会では、「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ」の座長も務めてもらっています。
第3次委員会では、「景品表示法における不当表示に係る課徴金制度等に関する専門調査会」の委員も務めてもらっていまして、消費者委員会の運用その他に関しても大変深い知見をお持ちです。
このような鹿野委員が、第8次に続きまして第9次の委員長を務めてもらうことについては、第9次の審議調査が実効的になるためには必要不可欠だと思っていますので、鹿野委員を第9次の委員長に推薦したいと思います。
以上です。
○小林事務局長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
鹿野委員を委員長として選任することについて、御異議のある方はいらっしゃいますでしょうか。
なお、本日御欠席の原田委員の御意向を事務局で確認したところ、一任したいとの御連絡をいただいております。
(異議なしの意思表示あり)
それでは、委員の互選により鹿野委員を委員長に選任することについて、決定をしていただきました。ありがとうございます。
では、ここからは、鹿野委員長に議事進行をお願いしたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ただいま委員長を拝命いたしました、鹿野でございます。改めて、どうぞよろしくお願いいたします。
先ほども申しましたように、課題は非常に多くございまして、その具体的な課題を一々繰り返すことは控えさせていただきたいと思いますが、先ほど、私自身が言及しなかったものについて、少し補足したいと思います。1つは、先ほど黒木委員からもお話がありましたとおり、やはり第5期の消費者基本計画について、検証・評価・監視を行っていくことは、当委員会としては非常に重要なことであると思っております。
それから、個別の継続的な問題ということであれば、先ほど言及したことと少し重なりますが、やはりデジタル化、AIをめぐる事態は、日々進展していきますので、山本委員が先ほどおっしゃいましたけれども、かなりいろいろな問題が出てきていて、これを社会としてきちんと受容していくことは1つ重要だと思いますが、ただ一方で、それが消費者の利益を無視した形で行われてはいけないということでもございますし、一方で、消費者の利益ということからして何が必要なのか、そして、むしろ消費者にとって、そういう技術は武器にもなるわけですから、消費者の被害の予防、そして、被害がもし起こったときの救済という両面から、その在り方ということを引き続き考えていかなければいけないと思っております。
それから、第8次のときに、食品表示についてかなり議論をさせていただきました。委員会としても意見を出したところでございますが、あれで終わりということではなくて、やはりこの問題についても、引き続き注視し、タイミングを見て、更なる行動を取ることも必要であろうと思っているところでございます。
継続案件等を中心に言及しましたけれども、消費者を取り巻く環境は日々変わってきており、新しい重要問題も、日々生まれてくるものと思いますので、アンテナをきちんと張って、その時々の重要な問題を拾い上げて、検討をしていきたいと思っているところでございます。
消費者委員会の公正かつ円滑な運営に努めていきたいと思っておりますので、委員各位の御支援と御協力、そして、委員会外の皆様におかれましても、御支援、御協力をどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、続きまして、消費者庁及び消費者委員会設置法第12条第3項において、委員長は、あらかじめ委員長代理の指名を行うという旨が規定されております。
私といたしましては、第8次消費者委員会において、委員長代理を務められ、また、弁護士という立場から長年消費者問題に取り組まれて来られた、黒木委員に委員長代理をお願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。
○黒木委員 はい、微力ながら代理として、委員会の運営に努めさせていただきたいと思います。よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、改めまして、よろしくお願いいたします。
《6. その他》
○鹿野委員長 続きまして、その他事項として、消費者委員会の下部組織について事務局から御説明をお願いします。
○友行参事官 それでは、事務局から御説明いたします。
食品表示部会、公共料金等専門調査会、支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会の設置についてお諮りいたします。
これらの部会、専門調査会は、第8次消費者委員会において調査審議を行っていただいておりましたが、これらに所属する臨時委員、専門委員につきましては、第8次消費者委員会の委員と同様に、本年は8月末で任期満了をしているところでございます。
食品表示部会と公共料金等専門調査会につきましては、法令等により与えられた任務を遂行する必要があること、また、支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会につきましては、第8次消費者委員会において中間整理を行っていただきましたところ、遅滞なく調査審議を再開する必要があることから、第9次消費者委員会におきましても、これらの部会、専門調査会を設置し、その活動を継続することとしてよろしいか、御確認いただければと思います。
以上でございます。
○鹿野委員長 ただいま事務局から御説明がありましたが、この点について、何か御意見等があればお願いいたします。
よろしいでしょうか。それでは、特に御異議はないようですので、各部会、専門調査会については、調査審議を開始できるよう、所要の手続を進めていただきたいと思います。
なお、消費者委員会令第1条第2項において、部会に属すべき委員、臨時委員及び専門委員は、委員長が指名すると規定され、また、同条第3項においては、部会に部会長を置き、当該部会に属する委員のうちから、委員長から指名するとされております。
そこで、食品表示部会につきまして、私としては、今村委員に食品表示部会のメンバーとなっていただき、部会長をお務めいただきたいと思っております。
理由としましては、先ほどの自己紹介にもございましたが、今村委員は、公衆衛生、食品保健の専門家として、食品の品質向上や安全確保等について御研究をして来られたということでもございますし、また、第8次委員会において食品表示部会長を務められ、調査審議に貢献して来られたという人物でございます。
そこで、今村委員に引き続き部会長をお務めいただきたいと思っておりますが、いかがでしょうか。
○今村委員 謹んでお受けしたいと思います。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、よろしくお願いいたします。
○今村委員 では、一言、抱負を申し上げたいと思いますが、今、委員長からもございましたように、食品表示の分野は、今、まさに様々な問題が起こって、特に機能性表示食品では紅麹の問題を機にして、その問題が顕在化したと思っております。
この表示部会や、この委員会からも意見を発出しておりますけれども、100パーセント問題が解決したという状況ではなく、暫定的には本当に頑張って施策が打たれたと思いますが、まだまだ懸案が残っている次第です。その確実な施策の実施と、サプリメント形状をした食品への問題というのは、まだまだ懸案事項が残っておるところであります。
また、そのほかにも食品の品質表示や食品の衛生表示の中でも様々な懸案があります。アレルギー表示なども、今まさにアレルギーの患者さんがたくさんおられて、この表示を増やしてくれという意見もたくさんございます。そういったことについて、積極的に意見を述べられるような部会運営ができればと思います。
引き続き、よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。
先ほども申しましたように、私も食品表示の問題は非常に重要であると思っておりますし、第8次のときにも、まだ問題が多く残っているということを委員の間で共有させていただいたと思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。
《7. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
なお、この後、18時開始を目途に、報道関係者の皆様を対象とする委員長記者会見を行いますので、併せてお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございました。
(以上)