第470回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2025年8月27日(水)14:55~16:24
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
- 
		- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、小野委員
- (テレビ会議)柿沼委員、中田委員、原田委員、星野委員、山本委員
 
- 
		- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
 
議事次第
- 第8次消費者委員会のこれまでの活動と今後について
- その他
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:181KB)
- 【資料1-1】  第8次消費者委員会のこれまでの活動(令和5年9月~令和7年8月)(PDF形式:237KB)
- 【資料1-2】  第8次消費者委員会 開催実績(令和5年9月~令和7年8月)(PDF形式:216KB)
- 【資料1-3】  消費者委員会の審議体制(第8次)(PDF形式:70KB)
- 【資料1-4】  次期消費者委員会への移行に当たっての留意事項(案)(PDF形式:342KB)
- 【参考資料1】 消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(7月分)(PDF形式:253KB)
- 【参考資料2】 答申書(PDF形式:93KB)
- 【参考資料3】 委員間打合せ概要メモ(PDF形式:85KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。
定刻になりましたので、ただいまから、第470回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、第8次消費者委員会としての最後の本会議となります。
本日は、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、小野委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、柿沼委員、中田委員、原田委員、星野委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。
なお、今村委員は、少し遅れての御参加と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 第8次消費者委員会のこれまでの活動と今後について》
○鹿野委員長 本日、最初の議題は「第8次消費者委員会のこれまでの活動と今後について」です。
第8次消費者委員会は、令和5年9月の発足以降、様々な消費者問題について調査審議を行ってまいりました。
今月末をもって任期満了を迎えることになりますので、まずは、この2年間の第8次消費者委員会の活動成果について、事務局から御報告をお願いいたします。
○友行参事官 それでは、最初に資料の1-1を御覧いただけますでしょうか。「第8次消費者委員会のこれまでの活動」でございます。令和5年9月から令和7年8月となっております。
「1.第8次消費者委員会の審議事項」でございます。
「(1)消費者基本計画関係」でございます。関係省庁ヒアリングで取り上げた分野について御紹介いたします。
決済制度の透明化、LPガスに関する消費者問題、子供の事故防止、法や執行体制の及んでいない事業者への対応、高齢化等への対応、取引デジタルプラットフォーム等々となっております。
「(2)消費者安全関係」でございます。クライミング施設における消費者安全についてなどとなっております。
「(3)取引・契約関係」でございます。レスキューサービスに関する消費者問題について、特定商取引に関する法律施行令の一部改正についてなどでございます。
「(4)表示関係」でございます。家庭用品品質表示法について、また、住宅品質確保法についてでございます。
「(5)食品表示関係」でございます。トクホの許可等の審査手続の見直しについて、「機能性表示食品を巡る検討会」の取りまとめについて、機能性表示食品について、食品表示基準の一部改正、加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証についてとなっております。
「(6)地方消費者行政」関係でございます。
また「(7)公益通報者保護制度」に関連してでございます。
「(8)料金・物価関係」でございます。公共料金の改定についてとなっております。
「(9)消費者教育推進」の関係でございます。
「(10)その他」でございます。食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ、新未来創造戦略本部の取組、消費者白書、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会報告書、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の報告についてなどでございます。
「2.意見」でございます。9件ございます。
次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見、定形郵便物に関する消費者委員会意見、NTT東西加入電話、公衆電話等に関する意見、サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見、次期消費者基本計画策定に向けた2回目の意見、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する消費者委員会意見、JR東日本の旅客運賃の上限変更案に関する意見、レスキューサービスに関する消費者問題についての意見、クライミング施設における消費者安全に関する意見となっております。
次に「4.答申等」でございます。
(1)として特定保健用食品の表示許可、令和5年10月でございますが、その後(11)のところ、国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正、(12)として消費者法制度のパラダイムシフト、最後が食品表示基準の一部改正となっております。
「5.部会・専門調査会等」でございます。
新開発食品調査部会について、食品表示部会、公共料金等専門調査会、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会、支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会となっております。
「6.報告書・調査等」でございます。
記載の2つとなっております。
資料1-2につきましては、開催実績となっております。御説明については省略いたします。
資料1-3につきましては、消費者委員会の審議体制となっております。このような審議体制で行っていただきました。
御説明は以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
続きまして、9月1日に発足する第9次消費者委員会において、留意して運営審議いただきたい事項等について、資料1-4にまとめておりますので、事務局から、これについても御説明をお願いします。
○友行参事官 それでは、資料の1-4を御覧いただけますでしょうか。
柱書のところの3段落目でございます。第8次消費者委員会としては、9月に発足する第9次委員会において、下記の点に留意して調査審議を行っていただくことを期待するとあります。
まず、1つ目、消費者委員会の運営についてでございます。
消費者委員会が独立して消費者行政全般について監視機能を十分果たし、積極的に建議・意見等を発出することが重要である。そのため、議論の透明性を一層向上させる、また、消費者庁をはじめとする関係行政機関、国民生活センター等と連携を強化することが重要であるというのが1つ目でございます。
2つ目のポツでございます。様々な団体等との意見交換の開催を通じ、地方公共団体、また、若年層から高齢者までの幅広い世代からの直接意見を聴取することにより、消費者問題の現場との結び付きの強化を継続的に図る、そうしたことが重要であるということでございます。
3つ目のポツとして、広報の取組について工夫を図っていくことが重要であるとしております。
2つ目、下部組織の運営についてでございます。
「(1)食品表示部会」となっております。
また「(2)公共料金等専門調査会」でございます。
「(3)支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」でございます。
これらにつきましては、更なる検討を進めるため、調査審議の実施体制を継続することが必要であるということでございます。
「3 当面の主要課題」でございます。
まず「(1)デジタル化・AIへの対応」でございます。
インターネット取引の普及、支払手段の多様化などにより取引環境が複雑化・多様化しております。技術の悪用により、犯罪の手口が多様化・巧妙化することが懸念されるといったことでございます。そのため、とりわけ以下の点は、喫緊の課題として検討することが必要であるということでございます。
矢羽根の1つ目でございます。消費者被害の入り口となるウェブサイトやSNS上の不当な表示・広告への対応として、デジタルプラットフォーム事業者の取組を含む、実効性のある規律の整備と対策の実施が求められる。
また、次ですが、各種支払手段について、安全性・透明性の確保、消費者保護の強化に向けた取組が求められるとしております。
次のページでございます。
デジタル技術の進展により創出される新たな製品・サービス、生成AIやメタバース、自動運転車等について生じ得る消費者問題を想定し、あらかじめ対応を講ずることが重要、関係行政機関の取組を注視する必要があるとされております。
その次でございます。デジタルリテラシーの向上を図ることに加えて、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会の報告書なども踏まえて、関係行政機関の取組を注視していくということでございます。
「(2)地方消費者行政の充実・強化」でございます。
矢羽根の1つ目でございます。人口減少が進む中、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられる体制を、ユニバーサルサービスとして全国的に維持・拡充するため、広域連携等の活用などが促進されていくことが必要だということでございます。
また、地方消費者行政強化交付金の活用期限が到来する中、行政サービスの水準が低下することがないよう適切な対策を講ずることということでございます。
「(3)消費者法制度の在り方」でございます。
令和7年4月に取りまとめた「消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会報告書」の内容を踏まえ、消費者ならば誰しもが多様な脆弱性を有するという認識を消費者法制度の基礎に置き、既存の枠組みに捉われない抜本的かつ網羅的なルール設定に向けて、種々の規律手法を目的に応じ有効かつ適切に組み合わせて実効性の高い消費者法制度を整備すべく、更なる具体的な検討を行うということでございます。
(4)食品表示の在り方でございます。
2つ目のポツでございます。令和6年7月に発出したサプリメント食品に関わる消費者問題に関する意見への対応について、必要に応じ取組をフォローするということでございます。
「(5)第5期消費者基本計画の検証・評価・監視」についてでございます。
同計画においては、閣議決定から3年目を目途に中間整理を行うこととされております。この基本計画に基づき、消費者政策が着実に推進されるよう、実効性が確保されているか注視するとともに、関係行政機関が講ずべき施策の進捗状況について、委員会として不断に検証・評価・監視していく必要があるとされております。
「(6)建議、意見等のフォローアップ」でございます。
これまで委員会が発出してきた建議、意見等への対応状況について、必要に応じ取組をフォローアップする必要があるということでございます。
「4.その他の主な継続的課題」でございます。
1つ目は、高齢者等終身サポート事業に関することでございます。
5ページ目にまいります。
成年後見制度について検討がされておりますが、その検討状況を注視していくということでございます。
金融経済教育等消費者教育の推進に当たって、その取組を注視していく必要があるということでございます。
食品衛生基準行政が消費者庁へ移管されております。消費者庁と厚生労働省との連携強化、役割分担等の明確化が求められております。その点についての取組を注視していく必要があるということでございます。
また、特商法についても、附帯決議等を踏まえまして不断の見直しといったことについて、取組を注視するということでございます。
相談件数が増加、高止まりしておりますエステ・美容医療サービス、不動産貸借、通信販売の定期購入等に関する消費者問題について、関係行政機関の取組の注視が必要でございます。
公益通報者保護制度、また、エシカル消費や食品ロスについても、同じく関係行政機関の取組を注視する必要があるということでございます。
また、消費者団体についてでございます。その活動を支援・促進する関係行政機関の取組を注視する必要があるということでございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
このあと、これらについて意見交換をさせていただきたいと思いますが、その意見交換の前に、本日、委員の皆様には、最後に、これまでの委員会活動を振り返っての所感や、次期消費者委員会への期待等について御発言をお願いしたいと思っておるところ、星野委員におかれましては、所用のため途中で御退席とのことですので、一部順番を入れ替えて、星野委員に意見交換に先立って御発言をお願いしたいと思います。
星野委員、御発言可能でしょうか、よろしくお願いします。
○星野委員 申し訳ございません。
この間、2期、4年間委員をさせていただきまして、いろいろ勉強させていただきまして、第8次委員会で様々な審議がされまして、多くの意見や専門部会報告書という形で、それが実を結んでいると思いますが、私自身は、学内用務等がございまして、特に後半ではあまり参加できず、御迷惑をおかけしました。
私自身は、もともとエビデンスを基にした政策意思決定のEBPM、あと、行動経済学の2つの観点でお役に立てそうということで、多分、選任いただいたものと思っておりますが、消費者保護への行動経済学の活用につきましては、ずっといろいろ申し上げてきておりまして、例えば、認証制度とか表彰だとか、ハードローとかソフトローとか、こういうものとは別に、事業者へのインセンティブ設計というのをうまくやることで、コストが非常に低く消費者保護が図れるということもあるのではないかということは、結構申してきておりまして、プラットフォーマーなどに対しても、ここを使えば安心みたいな、消費者に対するお墨つきを、もし、国が与えることができるとするならば、そのお墨つきをもらうためにプラットフォーマーも努力して、様々な消費者保護に対する施策をしていただけると思いますので、ぜひ、今後、認証、表彰などの方向もお考えいただければと思っております。
また、脆弱な消費者を保護するという観点が、昔、4年前、最初に私が参加したときは、そういった話でございまして、特に高齢者とか、そういったことがあったと思いますが、そもそもあらゆる消費者が脆弱性を持っていることという観点が、最近、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門委員会の報告書などにも取り上げておられまして、そのような観点を持っていただけたということは、非常に嬉しく思っております。
ということで、諸外国では消費者に錯誤を与えるような様々な情報提供の仕方とか、例えば、ドリッププライシングとか、タイムプレッシャーを与えるみたいなことに対して禁止するみたいな法令とか、指令なども出ておりますので、今後OECD諸国同様に、行動科学の知見を消費者保護施策に、ぜひ取り入れていっていただきたいと思っております。
AIをはじめとするデジタル技術が、消費者の搾取を容易にすることが、問題があるということは、先ほどのまとめでもございましたけれども、事務局には消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門委員会を組織いただきまして、逆に消費者保護にAI等を生かせるのでないかと、そのために国がどのような支援をすべきかということに関して、整理いただけたのは非常によかったと思っております。
この問題は、更に重要になりますので、今後の委員会でも積極的に御議論いただければと思います。
もう一点、EBPMに関しまして、個別案件ごとにかなりいろいろ意見を申し上げていたところでございますが、PIO-NETの次期システムなども固まる中で、第5期の消費者基本計画では、多分、現場の多忙ということもあるかと思いますが、工程表からロジックモデルとか、KPIなどが削除されるということで一歩後退した感があることは非常に残念に思っておりまして、諸外国で、そういったEBPM等が消費者保護施策に実際に生かされておりますので、ぜひこれも引き続き御検討いただければと思っております。ありがとうございました。
○鹿野委員長 星野委員、ありがとうございました。
それでは、改めまして、先ほど事務局から御説明いただいた点について、意見交換をさせていただきたいと思います。時間は、30分程度を予定しております。いかがでしょうか。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
私は第7次の委員を2年間務め、第8次では委員長代理として委員会の審議にかなり関わってきました。まず活動を振り返ってみると、やはり第8次は第5期消費者基本計画への取組が最大の課題の一つだったと考えています。
そこで、2024年4月と9月に2つの意見書を出しました。この意見は、かなり消費者庁の第5期消費者基本計画、最終的には閣議決定されたものに反映できたと思っていまして、この点については非常に大きな意味があったと思います。
第5期消費者基本計画に関する2つの意見書で共通していたのは、デジタル技術の進展と社会の高齢化の進展、この2つをどのように消費者基本計画に反映すべきかということでした。
その点では、星野委員もおっしゃっていただきましたが、デジタル技術については、消費者をエンパワーメントするデジタル技術に関する専門調査会の報告を受けたという点も大きかったと思います。
技術は基本的に価値中立的なものですから、それをどう利用するかについて、プラスの面とマイナスの面を洗い出すことが必要でしょう。これについて消費者をエンパワーメントするという観点で専門調査会を作って、その報告書を出したことも、第8次では非常に大きな意味があったと思います。
あわせて、第8次では、パラダイムシフトに関する専門調査会の報告がまとまりました。これは大変大きな報告書だと思っています。一般的、平均的、合理的な消費者というものが一種のフィクションである、これは星野先生もいらっしゃいますが、行動経済学が、伝統的経済学が前提としている「ホモ・エコノミカス(経済人)」を批判しているようなもので、こういう人は現実にはいないという前提に基づいて、かなり現実的な人間像まで踏み込みました。加えて、デジタル技術を作っているアーキテクチャーには、アーキテクチャーを構成した権力があるという点を真正面から示し、その結果として、財の交換という消費者取引だけでなく、表面的にはお金にならないアテンションまで、実は消費者契約として考えなければならないという点まで指摘されているのは、大変大きなことだったと思います。
このような認識に基づいて、どのような法制度を整備すべきかという点について公私協働論、公法と私法を分離せず、ソフトローとハードローを総合的に勘案しながら、今後消費者法制を考えなければいけないという大きな意見書を出したのは、大変意味があることです。
加えて、もう一つの専門調査会、これは中間報告ですが、支払制度に関する専門調査会も、中間整理として現在ある様々な決済制度について、俯瞰的な問題点を指摘したという点では、非常に意味があったと思います。今後、これが第9次において、この専門調査会の検討も進んでいくことになると思いますが、この意味は非常に大きいと考えています。債権が消滅するためには、法定通貨を交付するか、あるいは民法では預金に振り込まれることが必要です。ところが様々な決済制度という手法が発展している点について、省庁横断的な問題点も含めて議論をしようとしているという点でも、第8次は非常に大きな意味があったと思います。
そういう点で、私は委員長代理として2年間、この審議に関わらせていただきましたが、大変意義深いものでした。
最後に、今村委員がお越しいただきましたが、去年突然起こった小林製薬の紅麹を契機とする機能性表示食品についても大変勉強させていただき、意見書をまとめることができたという点でも、第8次は大きかったと思っています。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
様々な重要な問題について、振り返って御指摘をいただきました。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 どうもありがとうございます。
今、第5期消費者基本計画に向けた意見案を出すための審議については、黒木委員長代理がおっしゃっていましたので、私は、それは触れず、ほかのことで、第8次の意義について、ぜひ皆さんに御理解いただきたいと思っていることがございます。
それは、レスキューサービスに関する意見です。レスキューサービスに関しては、ここの消費者委員会だけではなく、例えば、国民生活センターあるいは東京都あるいはそれ以外の都道府県など、いろいろなところで、今、苦情もありますし、いわゆる裁判外のADRでも、この事件は案件に上がっていることも増えてきております。
この問題について、これは、いわゆる悪質商法と言えば、悪質商法の一つの手口だと思うのですが、第8次では、悪質商法に対応するための方策について、もちろん既存の法制度、例えば景品表示法の価格表示の在り方だったりとか、あるいは、そもそもこれは、いわゆる来訪要請をしている場合でも、訪問販売としてクーリングオフできるということを、もう一度確認をした上で、それがまた、例えば消費者教育等々の観点からきちんと啓発をすべきといった様々な観点から意見を出しているということに、非常に大きな意味があると思っております。
特にレスキューサービスに関する意見の中で、恐らく、私個人は割と価格表示についての問題意識を前から持っておりますので、この点について、この委員会の中では、かなり強調した意見も発言させていただきましたけれども、恐らくこの意見の中で非常に意味があるのは、いわゆるデジタルプラットフォーム、要はスマートフォンで検索したところ、上位に上がってくるといった、今ならではの、こういう業者への消費者のアクセス手段というところに着目をした上で、かつ、プラットフォーム事業者あるいは関係団体をこちらで実際にヒアリングまで行って意見を出したということで、先ほど黒木委員長代理もおっしゃっていましたが、デジタル化というところも、もちろん関係しつつ、しかし、従来の法制度との関係も踏まえたその問題点、限界等も踏まえて、悪質商法の一つを取り上げただけにすぎないように、もしかすると見えるかもしれませんが、恐らくそうではなくて、今の消費者問題がいろいろ起きている中の一つだけを取り上げたにしても、いろいろな観点からの審議をしたということに、非常に大きな意味があるのではないかと思っております。
ですので、ほかにももちろん、この委員会はいろいろな意見を出したりとか、先ほど黒木委員長代理が紹介されていた専門調査会等々、公表されておりますけれども、私自身はこのレスキューサービスに関する意見に関しては、ぜひ多くの方に知っていただいて、本当にいろいろな観点で問題があると思いますので、ぜひ問題意識を共有していただけると大変光栄ですし、嬉しく思います。どうもありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
中田委員、お願いします。
○中田委員 ありがとうございます。
それでは、私から、事務局には、実績と引継事項をまとめていただいておりますので、内容としてはそちらがほぼ全てだと思いますので、改めて感じている点をお伝えしたいと思います。
第8次発足からの2年間は、高齢化とデジタル化という観点で、消費者を取り囲む環境の変化が顕著になっていった時期で、それに伴い、この環境の現在進行形の変化を前提として、消費者問題を議論しなくてはいけなくなったという過渡期であったと感じております。
その上で、直近で意見書を発出したレスキュー商法対策などが非常に象徴的であったと思いますが、そこにはサービスを提供する様々な事業者や業界団体だけでなくて、デジタル広告上の課題も相なり、デジタルプラットフォーマーや広告代理店、決済事業者等の多岐にわたる当事者の洗い出しが必要で、それら一つ一つの行動が、どのように複雑に連鎖して被害につながっているかを紐解いていくプロセスが必要であったことは、従来の消費者問題と少し変わってきた傾向ではないかと感じております。
問題の現状調査や、どこに本質的な課題があるのかという見極めに時間を使い、そもそもの消費者像や消費者の概念、あるいはデジタルプラットフォーム上の広告やデジタル取引のあるべき形についてまで様々な角度から審議をして、事業者や業界団体、監督官庁とも関係法等についても意見交換をしてきた2年間であったと思います。
この流れは、今後も加速することは確実なので、9次においても、誰しもが多様な脆弱性を有する消費者であるというアップデートされた消費者像と、消費者を取り囲む環境の変化を前提に、複雑化している消費者問題の調査審議を継続していただきたいと思います。
また、心残りの点として、9次の委員会の方に特に託したいテーマとしては、消費者問題を解決する、あるいは未然に防ぐための消費者行政の体制整備、具体的には、消費者に最も近い地方消費者行政の今後の在り方については、ヒアリング等は行ったものの、深い審議まではできなかったと感じております。
地方消費者行政交付金の活用期限が近く迫っていて、現状は、資金だけではなくて、人的資源も限られているという状況があるというところまでは見えていますが、消費者にとって一番身近な地方行政の在り方、そして、地方消費者行政と中央の消費者行政の分担の在り方について、ぜひ実現可能な解決策の審議を深めていただきたいと感じております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
私は、この消費者教育に関わる検討、発言を主にさせていただいてきているわけなのですが、消費者教育は、もしかすると、全ての事項に関わるといったところでございまして、やはりトラブルに遭わないということだけではなくて、どうやって消費者市民社会の一員として何か行動に移すかということで、その辺りも留意をしなければいけないということを念頭に置きながら発言をしてきたつもりでございます。
それから、製品安全とか、それから、デジタル技術を生かしていく情報とメディアという領域も消費者教育は取り扱うのですが、そういったことで言うと、本当に一つ一つ、この期でテーマに上がったもの、いろいろな形で関わってくると思っております。
特に消費者教育については、今回次期への留意事項では、とりわけ4ページから始まる「4.その他の主な継続的課題」のところで言いますと、消費者教育については、2つ強調しておきたいと思います。
5ページになりますけれども、金融経済教育との関わりのところでございます。この委員会でも、2024年と2025年に取扱いをして、そして、関係者の方にお越しをいただき説明を、そして、議論を重ねてきたところでございますが、やはりこういった金融経済教育の主導者は誰なのかといったところを意識しながら、注視していく必要があるということは、次期も同じく必要なことだと思います。
もう一つ、エシカル消費に関連して、エシカル消費や食品ロスの削減についてですけれども、消費者としてどうやって行動をしていくのかといったときには、やはり重要な観点です。
令和7年度の消費者白書でも特集テーマとして、グリーン志向の消費行動ということで、エシカル消費という観点と関連をしながら、少し絞って、そして、角度を変えながら、でも重なったところを議論しているというところだと思いますが、いずれにしても取組の注視の継続の必要性というものに触れておりまして、これは留意事項としまして、重ねて強調させていただきたいと思います。
私からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかに、今村委員、お願いします。
○今村委員 遅れて申し訳ありませんでした。
2年間の活動を通じての所感ということで、私、この消費者行政に関与したのは初めてでございまして、今までは健康や食品に関する行政や、その調整などをやってきた人間ですので、全く違う世界だということを痛感いたしました。
特にデジタルプラットフォーマーの問題などは、私もエステの問題や医療の詐欺の問題などをやってきましたけれども、その根本的な部分の問題があるということに気がつかされたということと、そこを踏み込んでいけるのは、この消費者行政しかないということもよく分かりまして、今後も重要だと思っています。
私の担当した分野で言うと、やはり、食品表示のことが非常に大きくて、着任と同時に問題意識について機能性表示食品が問題だ、大事件が起こるよと言っていたら、そのまま起こってしまって、そして、最低限これだけ変えなくてはいけないよと言っていたものの8割ぐらいは多分変わったのですね。でも、最低限なので、できれば、ここまで変えてほしいというところまで変えたかった。
そういう意味では、意見書をちゃんと出せたのは本当によかったと思うのですが、もう少し建議で出すことや、建議の中に今までの法律で規制できないようなことを踏み込んで言えたほうがよかったかなと思っています。
ただ、事件の経過を考えていくと、もともと食品表示の分野というのは、消費者庁に厚生省から移管されて、そのほかの食品の分野が厚生省に残っていたのですが、事件の処理をしている最中の4月1日に基準行政だけが消費者庁に移るという、とても複雑なことが起きまして、それまで厚生省がやるのでしょうと言っていたのが、いきなり消費者庁でやるのでしょうという話になって、お互い言っている人は同じなのですけれども、言っていることが違うということが起きました。
ただ、現実、消費者庁にほぼ全ての食品の関心のある部分が集まっているので、今後、そういったことも我々からちゃんと物を申していかなければいけないなと思いますし、食品の表示の分野で言うと、農水省が所管してきたJAS法と言われるものと、食品衛生法と言われるものと、そして、公取の分野がありまして、この3つが1つの組織に集まっていますので、その中で調和を取っていくということも重要なのですが、なかなかその調和も取れていないので、そういった面からも、ぜひこれからも進言していければいいと思いますし、そういったことも、今回引き継ぎ書にはにじみ出せるように書いていただいているので、実際、引き継ぐ際には、そういった詳細な部分も引き継いでいければと思います。
2年間ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかは、いかがでしょうか。
特に留意事項について、更に御発言があれば、お願いしたいと思いますが、よろしいでしょうか。
先ほども言いましたように、委員の皆様方には、最後に、また、所感とか、あるいは次期消費者委員会への期待などについても一言ずつお話しいただく機会がございますが、この留意事項については、これでよろしいでしょうか。
それでは、一つ一つを繰り返すことはしませんけれども、本日は各委員から強調しておきたいこと、特に第8次の活動において、こういうことが重要であったということについて、御発言をいただきました。また、次期消費者委員会において、この点は更に御検討いただきたいというところと、その趣旨などについても補足して御発言をいただいたところでございます。
今の御発言を踏まえますと、特に留意事項について修正の必要があるという趣旨の御発言はなかったと思いますが、この内容で、次期消費者委員会への引き継ぎ文、留意事項をまとめるということでよろしいでしょうか。
○黒木委員長代理 異存ありません。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
オンラインの方につきましてもよろしいでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
○鹿野委員長 皆様から御了解いただきましたので、こちらを成案として、次期消費者委員会へ引き継ぎたいと思います。ありがとうございました。
《3. その他》
○鹿野委員長 続きまして、その他として、まず、委員会に寄せられた要望書・意見書等について、概要の御説明を事務局からお願いします。
○友行参事官 それでは、参考資料の1を御覧いただけますでしょうか。
消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧、7月分となっております。
最初は、特商法の見直しと抜本的な改正を求める意見書となっております。
右側のポイントのところでございます。1つ目として、訪問販売、電話勧誘販売について、拒絶の意思を表明した場合の勧誘に対する規制を強化することなどの御意見をいただいております。
その次は、SNSを利用した詐欺行為等につき、速やかな対策を求める会長声明となっております。
右側のポイントのところでございますが、SNSに関連する消費生活相談件数が非常に増えているという記載がございます。このポイントのところの下から4行目のところでございます。当会としては、SNS事業者に対して、弁護士照会への対応をも強化するよう要請することの検討を求めるといった内容の声明をいただいております。
次に、PLオンブズ会議報告会提言でございます。
こちらについては、ネット社会における製品安全の問題について報告会を開催したというようなことでございます。
そして、このポイントのところの下から2行目のところでございます。デジタルプラットフォーム事業者らの民事責任の在り方につき、早急に議論を開始し、法整備を図ることを強く要望するといった内容でいただいております。
次に、サプリメント食品に関する法規制の早急な整備を求める意見書でございます。
右側のポイントのところでございます。1つ目については、サプリメント食品について、広告を規制する法律を制定すべきであるなど、また、2ポツ以下、ポイントのところに記載のありますような御意見をいただいております。
その次は、機能性表示食品に関する意見書でございます。
また、地方消費者行政の維持・強化を求める意見書、会長声明や、それから地方消費者行政の維持・強化を求める意見書について、いただいております。
内容についてはポイントのところでございますが、恒久的な財源の確保を求めることなどということになっております。
また、公益通報者保護法の一部を改正する法律についての会長声明などもいただいております。
内容については、右側のポイントに記載のとおりでございます。
その他、こうした団体から寄せられた意見等のほかに、個人から10件の意見書等も寄せられております。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
これらの御意見等について、委員から何かコメント等ございましたらお願いします。いかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ありがとうございます。今回も貴重な御意見等をいただきました。これらの意見書等につきましては、必要に応じて、次期になると思いますが、消費者委員会の調査審議において取り上げていただきたいと思っております。
それでは、その他の次の項目ですが、続いて、食品表示部会から報告事項があります。これについて、今村部会長から御報告をお願いいたします。
○今村委員 それでは、食品表示部会で審議された内容についての報告をさせていただきます。
今回、食品表示基準の一部改正に係る答申について審議させていただきましたので、私から報告をさせていただきます。
機能性食品につきましては、消費者庁長官に届けられた科学的根拠を有する機能性関与成分及びその機能が正しく消費者に伝わることが重要であることから、その他の一般的な食品とは異なり、一部を除いて機能性関与成分以外の成分を強調する用語の表示を表示禁止事項としております。強調する用語には、成分を含むことと、成分を添加しないこと、成分を含まないことなどがあります。
今回諮問された改正案は、これらの強調する用語のうち、成分を添加していないこと、成分を含まないことなどの表示については、その他の一般的な食品と同様の容器包装上に表示することができるように見直しを行うものです。
表示部会におきましては、非公開の委員間打合せを含めて3回にわたって慎重な審議を行い、答申案を取りまとめた上で、食品表示部会設置運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て、令和7年8月27日付で答申を発出したところであります。
それでは、参考資料の1の答申案を御覧ください。
1ページにありますとおり、諮問された改正案のとおりとすることが適当であるとしております。
ただ、議論はかなり白熱いたしまして、賛否両論の議論が行われたところであります。ただ、実際に議論を深めていく中で、賛成であると、消費者の選択に資する改定ではないかという意見が大半を占めたという状況でありまして、少なくとも諮問された内容については適正であるということになったわけです。
ただ、議論の中で、これは、機能性表示食品の、ある意味の規制緩和ですので、その緩和は本当にいいのかという懸念が示されまして、それに対して消費者庁から多くの回答をいただいたわけですけれども、若干不安が残ると。ただ、実際の運用に当たっては、指針の作成や手引きの作成で、もう少し細かく、そういう懸念を払拭するようなことを書いていただけるということがあったので、それをしっかり書いてくださいよということと、書いてもらう以上は、そこをちゃんと監視・指導してくださいよということ。
そして、何だかんだ言っても複雑な改定ですので、今度は消費者に分かるように、ちゃんと情報提供と解説をしていってくださいということの意見を付して、この諮問を了解するということで、結論としては、諮問案のとおり了解するということになったわけでございます。
このような状況でありますことを報告させてだきます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
本会議においては、これは報告事項という取扱いでございますけれども、今、今村部会長から御説明がありましたように、消費者の選択に資するという前向きの意見が多かったというところで、結論としては、今回の改正について、改正案のとおりとすることが適当であるとしているのですが、懸念点と、それに関連する意見が、附帯意見という形ではないにしても、この「記」以下のところに付されているところでございます。
今後、これも次期消費者委員会においてということになろうかと思いますけれども、この点も含めて、今後の消費者庁における対応などについて、フォローアップ等をしていただければと思っているところでございます。
この点は、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
それでは、最後に、委員の皆様から、これまでの委員会活動を振り返っての所感や、次期消費者委員会への期待等について、順に御発言をお願いしたいと思います。
順番ですが、最初に黒木委員長代理から御発言をいただきまして、その後、基本的には五十音順と考えていたのですが、少し早めに退席をする必要がある方がいらっしゃいますので、一部順番を変えて、黒木委員長代理から中田委員、原田委員、その後、今村委員から五十音順ということでお願いしたいと思っております。
それでは、トップバッターになりますが、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 先ほどもかなりお話ししましたので、重複するところがあると思いますが、いずれにしても、私は第7次から第8次と4年間務めさせていただき、第8次は委員長代理として、かなり積極的に関わらせていただきました。
個人的には大変勉強になったと思っています。特に食品の分野については、ほとんど知見がなかったのですが、機能性表示食品が、内閣府令で定められている届出制で認められている制度であって、行政手続法の届出制度とはかなり異なるという問題も含めて勉強させていただきました。また、デジタル技術の進展に伴う点は新しい法領域だと思っています。
デジタル化の進展、例えば生成AI等についてかなり勉強させていただき、委員会として第5期消費者基本計画の中に意見を反映出来ました。そして先ほども申しましたが、パラダイムシフト専門調査会の報告書、支払制度、それからレスキューサービスに関する意見書のいずれも、ある意味では全ての通奏低音としてデジタル化をどう考えるかということがあるわけですが、これについて主体的に検討させていただいたことは、大変私個人にとっても良かったと思っています。
そして次期に関することですが、支払制度に関する専門調査会の問題については、第9次でも積極的に議論するべきであると思います。これは省庁横断的な問題、あるいはいろいろなところで監督官庁もない、あるいはちゃんとした法制度がよく分かっていない、FinTechがどんどん進むがゆえに生じてきている問題であるといえます。パラダイムシフト専門調査会でも「アーキテクチャーの権力」という言葉が出てきていますが、まさにそれが決済制度、支払制度のところで顕著に表れてきていますので、これについて、第9次でも積極的な議論をしていただくことを期待しています。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、中田委員、お願いします。
○中田委員 ありがとうございます。委員の中田です。
今日は会場に伺えず、オンライン参加になってしまい、大変申し訳ございません。
私は、民間企業の経営やマーケティングに携わってきて、8次より消費者委員会の審議に参加させていただく機会をいただいたのですが、法律や消費者問題の専門家ではない自身に、これだけ幅広い領域に関する調査審議、意見発出を行うという責任が務まるのかという不安が当初ありました。
ただ、ほぼ毎週開催される本会議と委員間打合せにおいて、一つ一つの消費者問題について業界団体や関係省庁、時には関連事業者へのヒアリングを行って、実際に発生している事象のリアルな状況を確認していく過程で、想像をはるかに超える多くの生活者が大なり小なりの被害に遭われているという事実の衝撃と、被害発生が予見されているにもかかわらず、なかなか再発を防ぐに至っていない、問題解決の難しさと複雑さに対するもどかしさ等、様々な感情が審議をさせていただく上での原動力になっていたと思います。
至らない発言も多々ありましたが、消費者問題コミュニティに属していない自身としては、専門領域の前例とか常識に縛られない一般消費者や、時には事業者目線での意見や解決に少しでもつながると考える提案や意見をお伝えしてきた2年でもあり、幸いにも圧倒的に専門性高く見識が深い、かつとても懐の深い鹿野委員長と8次の委員の皆様との審議を経て、中期的な消費者行政の在り方を考える次期消費者基本計画策定に向けた意見と、9件の意見案を発出できたことは、監督省庁による適切な監視指導や業界団体による自助アクション、または事業会社などによる防止対策につながっていくのではないかと信じております。
その中でも、特に、昨年7月にサプリメント食品に関わる消費者問題に関する意見発出に関して、下部組織の食品表示部会で食品表示の専門の先生方と、何時間も密に議論をして、短期間で確固たる意見案をまとめ、発出できたことは、審議と制度改正には時間がかかることが当たり前という従来の常識に反し、緊急性に伴って幅広い監督官庁を一度に巻き込んで、お力をいただきながら早急な意見発出が可能であるということが実証された案件の1つではないかと感じております。
ただ、一方で課題として、就任時個人の抱負としてお伝えした、課題の調査審議にとどまらず、消費者に必要な情報をタイムリーかつ分かりやすく届けるコミュニケーションの実現に取り組んで、1人でも多くの方に関心を持っていただき、自分ごととして考えていただき、被害の発生拡大を防止して、安全・安心、そして、豊かな消費生活を送ることができる社会に一歩でも近づけていきたいという目標が未達事項として残っております。
ここ数日、テレビ番組とか業界誌で直近発出したレスキュー商法対策に関して、かなり詳しく取り上げていただいているようなので、目を通していただいた方もいらっしゃると思うのですが、第9次の消費者委員会には様々な委員会の審議内容に1人でも多くの生活者に関心と共感を抱いていただけるような情報発信強化や、生活者の巻き込みをお願いしたいとも思います。
最後になりましたが、事務局の皆様には、消費者行政に対する情熱と冷静さをもって、プロフェッショナルな姿勢で委員会運営を御支援いただいたことを、深く御礼を申し上げます。事務局の皆様のサポートがあって、安心して審議に集中することができました。本当にありがとうございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、原田委員、お願いします。
○原田委員 ありがとうございます。
私は、特に今学期といいますか、4月からは授業曜日と、この会議が重なっていることが多くて、今期の後ろのほうの会議には、なかなか参加することができなかったのですが、全体として、この会議は、鹿野委員長、黒木委員長代理の強いリーダーシップのもとで、非常に幅広い問題をこれまで扱ってきたのではないかと思います。
とりわけ印象的なのは、計画の審議の段階で、従来であれば、消費者問題とはあまり考えられてこなかったようなものについても、かなり突っ込んだ意見を述べたり、述べはしなかったけれども、審議の途中でいろいろな意見が出てきたりということで、消費者問題ないし消費者委員会が扱うべきテーマをかなり拡大してきたことが非常に印象深く心に残っております。
また、先ほども少し今村先生からお話がありましたけれども、機能性表示食品のことについても、この委員会で初めて今村先生から伺いまして、そんな問題があるのだと思ったら、すぐに本当に社会問題になってしまって、制度の改正にもつながるということで、これも非常に印象深く残っております。
また、事務局の方々の非常に厚いサポート、あるいはその熱い思いというものに非常によく触れて、消費者委員会の体制自体が、人数がそんなに多いわけではないのですけれども、しかし、きちんと機能させるに当たって、事務局の方々の非常に強いサポートがあるということも常に感じておりました。
ということで、この2年間、とにかく勉強させていただきましたということなのですが、次期委員会に対してというか、中期的な課題として、やはり、消費者行政のエンフォースメントといいますか、消費者行政を実現するための資源、広い意味での資源、人的な資源とか、お金もそうですけれども、それをきちんと手当てするような中長期的な対応をそろそろ考える必要があるのではないかと思います。
地方消費者行政の問題は、その1つだと思いますけれども、それにとどまらず、消費者行政を機能させる上では、ソフトな手法も大事ですけれども、ハードな手法といいますか、きちんと悪徳な事業者は処罰など、きちんとした制裁があるということがないと、ソフトな手段も動かないので、そのような行政基盤の整備ということも、中期的には課題かなと思っております。
2年間お世話になりました。ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
委員会の内容については、先ほどお話しさせていただきましたので、純粋に感想を申し上げたいと思うのですけれども、まず、今回2年間させていただいて、最初結構な頻度で委員会が開かれますよと言われていましたけれども、まさか毎週以上、本当にやるとは思いませんでした。私、一番多かったのは、週に3回か4回、ここで打合せをしていたと思うのですけれども、なかなかのハードなワークだったと思っております。
その中で、委員長、委員長代理、これだけの会議に対面で全て参加されていることに、心からおねぎらいと感謝を申し上げたいと思います。
それと、事務局の苦労にも、ぜひ、ねぎらいの言葉をかけたいと思います。今回、委員ではありますけれども、私自身も何個かの役所に乗り込んでいって、殴り合うということをさせていただきまして、私も20年ほど前に実際に役所で働いていましたので、そのときに経験をさせていただいたのですが、普通役所同士で戦うときというのは一対一で戦うのですね。それが、この消費者委員会は、全ての役所を敵に回すというか、相手にして戦うという、なかなかできない経験をさせていただきまして、右側から殴られている間に、左から殴られるみたいなことがあって、実際のところを経験させてもらって、事務局の苦労ははかり知れないなと思っております。
ただ、それだけのことが実際にあるので、表に意見を出していこうと思うと、どうしても意見としては緩くなってしまうということもあって、今後のお願いとしては、ぜひタフな役所になっていただきたいと思っております。
2年間ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 まず、2年間、本当に大変お世話になりました。
今、今村委員もおっしゃっていましたけれども、本当に週1で開催されていて、私は特に学期中は、こちらまで伺うことはほぼできず、本当に申し訳なく思いながら、しかし、なるべくオンラインでも、少しでも自分が言えることは言っていこうというつもりではおりましたが、なかなか力が不足しているということを痛感しておりました。大変申し訳ありませんでした。
それで、2年前に委員に就任させていただいたときに、私が関心を持っていたのは、主には3つあって、1つが、当時も学会でも、例えば、日本消費者法学会をはじめとする学会及びそこにいる研究者、実務家でも問題意識として持たれていた、消費者法制度全体の見直しというか、いわゆる今だと専門調査会のパラダイムシフトという言葉を使っていますが、あえてその言葉は使わず、法制度の、いろいろサンクションの組み合わせであったり、あと、そもそもそういうハードな法律だけではなく、ソフトなものとか、組み合わせということに関心を持っていました。
2つ目がデジタル化というものです。デジタル化に関しては、私も仕事の関係で、研究の関係で、プラットフォーム運営事業者の責任であったりとか、あるいはターゲティング広告とか、いろいろな形の研究をすることがあり、ただ、そうは言ってもデジタルに、別にすごく強いわけでもないので、なかなか勉強させていただきながらと考えていました。
3点目は国際化です。私自身は、日頃研究をする上で、フランスの消費者法制度を比較対象にしております。
フランスの消費者法制度というのは、あまり日本で研究している人が多いわけではありませんので、日本だとドイツとかEUの研究者はたくさんいるのですが、フランスは、そんなに多いわけではないので、ここに私を入れていただくことで、あまり日本では紹介もされていないフランスの実情、法律だけではなく、例えば、向こうで消費者教育とかをどうしているのかとか、こういうのを少しでも、自分の知見とかを何か役に立てればという気持ちでおりました。
実際入ってみたところ、いや、この3つにとどまらない様々な問題があるということが、まず、第5次の消費者基本計画策定に向けた意見案、2回意見を出していると思うのですが、それを検討する上で、これは、そんな3つどころか、とんでもなく論点があるということがよくよく分かりました。
そこで特に学んだのが、本当にいろいろなことがあるのですが、消費者法制度、法律だけではなくて、まさに法律はもちろんですが、消費者教育とか本当に様々な、要は法的な裏づけがあるわけではないのですけれども、実際地域で行われているようなものも含めて、いろいろなものが組み合わさって、現在、消費者保護というものが実現されているということが分かり、かつ、その課題というのもだんだん見えてまいりました。
あとは、デジタル化に関しては、もちろん、いろいろなことが勉強になったのですが、2つ学んだこととして、1つは、やはり既存の法制度の枠組みの中でも、法律という観点から見ると、いろいろ発展すべきところがあるのではないかということが1つ。
もう一つは、これは本当に目からうろこというものなのですが、デジタルあるいはAIなどの、いわゆるポジティブな面として、エンパワー調査会がそうですが、そういうポジティブな面をどのように活かしていくかという発想は、それまでの私にはない発想でしたので、大変勉強になりました。
次期消費者委員会への期待としては、この委員会では、本当に先ほど黒木委員長代理をはじめ、様々な委員の方から御意見が出ているとおり、本当にいろいろ意見であったり、報告書を出しておりますが、そういった特にパラダイムシフトですとか、あるいは決済制度の中間報告のように、まずは、今、何が問題になっているか、それについて法律制度はどうなっているかというものを包括的に検討したものについて、これを第9次では、ぜひ具体的に、ではどこに切り込んでいくべきなのかというところに、ぜひ頑張っていただきたいというのが、第9次に対する期待です。
他方で、これも今回8次の大きな意義だと思っているのですが、レスキューサービスだったり、クライミングだったりとか、より具体的に意見を出しておりますし、あとは第5次消費者基本計画策定に当たっても、例えば自動運転車の話だったり、高齢者サポート事業とか、本当に関係省庁に様々あるようなところに関する論点も取り上げていますので、これについても、ぜひ注視をしていただきたいと思っています。
最後になりますが、こういった本当に週に1回という、それこそフランスの友人の消費者法研究者に言ったら、週に1回も何をそんなに議論しているのかと驚かれるぐらいの、フランスに不当条項委員会という委員会がありますが、あちらは月に1回ですけれども、こちらは不当条項だけではなく、本当に様々な論点を扱っていて週に1回議論していて、本当にフランス人もびっくりするぐらいの頻度だと思いますし、もちろん中身も濃いと思っております。
ぜひこの委員会の意義は非常に高いと思っていますし、それを支えてくださっている事務局の方と、あと、鹿野委員長をはじめとする第8次の先生方には大変感謝しております。どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
まず、委員をお引き受けするに当たり、消費者委員会が幅広いテーマを取り扱っているということは、覚悟はしていたのですが、本当にそのとおりでして、もうインプットとアウトプットを重ねる日々なのですが、その量と質が何かつり合わなくて、本当に恐縮をしておりました。
私自身は、消費者教育と社会福祉の重なるところをずっと研究していたのですけれども、そこに、例えば法制度の話であるとか、デジタル化、AIの話であるとか、それから食品表示の話であるとか、本当に、ただただ勉強させていただいた日々でございました。
とは言いましても、私の立場で消費者委員会の委員として上手にできなくても何かできないかと思っていて、大学での教育で、例えば、事務局の方がおつくりになったコンテンツを活用してみたりとか、あるいは学会などでの活動、学会にも知らせをしたりとか、それから、別に地方行政の審議会でメンバーだったりすると、そういったところに依頼をするような形で、やはりこちらで学ばせてもらったこと、それから御意見をいただいたものなども拝見しまして、以前に比べて、いろいろなテーマがあり、時宜にかなった、そういったものを吸収し、発信をするように心がけた、そんな2年間でございました。
横断的にいろいろ検討ができる消費者委員会は強みであり、だからこそ大変だというお話を、今村委員からもお伺いしたところですが、そんなところでは、やはり事務局の方々、小林事務局長、吉田審議官、友行参事官をはじめ、事務局の方々の圧倒的なパワーに、何とか私も頑張っていこうなどと思った、そんな2年間でございました。
それから、委員の先生方、そして、議論に御参加いただいたり、それから御対応いただいたその時々のお世話になった方々に感謝を申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきます。ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。ありがとうございます。
まず、初めに消費者委員会事務局の皆様におかれましては、細やかな御配慮と御支援に関し、心から感謝申し上げます。おかげさまで、安心して委員活動に取り組めることができました。ありがとうございます。
また、第8次の委員の皆様におかれましても、私のつたない意見に対し、懐を厚く聞いていただいたことについても感謝申し上げたいと思います。
私の委員としての使命としては、消費生活相談員として、日々の相談業務における相談者の生の声を消費者委員会に届けることを主に置いて活動してまいりました。
その視点から第8次のこれまでの活動に対しての所感と、それから、次期活動へお願いしたいことを申し上げたいと思います。
まず、消費生活にわたり、本当に広範囲な議論を交わすことができたなと思っております。実生活に根差したテーマを積極的に取り上げていただいたことは、消費者の意識醸成に資する極めて意義深い取組であったと感じております。
また、消費者委員会の専門調査会として、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会や、支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会では、幅広い立場の方から貴重な意見を伺うことができ、非常に有益な知見を得るとともに、議論の深みみたいなものも得る機会となりました。
しかしながら、急速に進展するデジタル技術における消費者問題は、非常に多岐にわたり、十分な議論が追いついていないという側面があります。
特に問題だけではなくて、消費者のリテラシー、こちらの育成や情報提供の在り方については、もう少しお時間があれば、更に深い議論ができたと思います。
また、詐欺的なもの、SNSを介した投資詐欺や副業詐欺など、詐欺的な消費者被害が非常に深刻化しています。毎日のように相談現場に相談が寄せられているのですけれども、解決が困難な事案もあり、そのような現状を踏まえると、これらの問題に対しては、実態に即した施策の検討が必要であったと思います。
これらのテーマは一過性のものではなく、次期以降も継続して丁寧に向き合って議論を深めていくことが必要であると感じております。
また、来年度には、本格稼働が予定されている消費生活相談デジタルトランスフォーメーション、DX化のアクションプランがありますけれども、これは、私たち消費生活相談員にとっては、業務の在り方が大きく変わる重要な転換点となります。
現場の相談員が安心して運用できる環境を整えることは、消費者にとっても質の高い支援につながると思います。消費者委員会におかれましても、引き続き、その制度設計や運用体制に関する議論を積極的に進めていっていただければと思います。
また、相談現場に実際に足を運ぶことで、その大切さ、一度行った際に、本当に大切さを改めて感じています。
また、海外のドイツやフランスの消費者問題に関わる方々と、課題共有を通じて意見交換を行ったことも大変勉強になりました。このような意見交換会については、継続的に実施することが必要と感じております。消費者政策の成熟と柔軟性を高める鍵となりますので、次期以降も引き続き取り入れていただきたいと思っております。
以上でございます。ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、山本委員、お願いします。
○山本委員 まず、2年間本当にお世話になりました。ありがとうございました。委員長、委員長代理、それから事務局の皆様には深く御礼を申し上げます。
まず、第8次の成果ですけれども、消費者問題というのは、これまで金銭、お金の被害と捉えられることが多かったのではないかなと思いますけれども、もろもろ文書で取り上げていただいた、いわゆるアテンションエコノミーということになってきますと、金銭、お金ではないもの、時間とかアテンションとか、あるいは個人データの経済的な価値というものが高まって、それが取引されるという状況に、まさになっていくわけであります。
そういう意味では、パラダイムシフトの報告書でも、お金だけではなくて時間とか情報とか、アテンションというものを提供する場合も消費であり、消費者取引なのだと、自覚的に捉えることが必要と書かれたということは極めて重要、まさにパラダイムシフトというか、大きな転換がなされたのではないかと思っております。これについては、消費者基本計画にも一部反映されているのではないかなと思っております。
この取引というもの、こういったアテンションとか時間、あるいは個人情報、個人データを取引、この取引をコントロールしているのは、まさにAIとかアルゴリズムあるいはユーザーインターフェースといったテクノロジー、技術ということになるわけですけれども、その意味で、先ほど黒木委員長代理もアーキテクチャーの権力という言い方をされて、私もそのような捉え方をしているわけですけれども、こういったものをどのように統制、制御していくのかということ、あるいは民主的に手なずけていくのかということが非常に重要になってくるわけでございますが、やはりなかなか消費者には、まだまだ見えにくい、非常に可視化されないような、そういう権力でもあるのかなと思っているところです。その意味で、今回、さらに消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会も開かれて、まさにこれを可視化し、テクノロジーによってその脆弱性というものをエンパワーしていくと、脆弱性をエンパワーするのはおかしいですが、脆弱な状況というものを改善して、消費者をエンパワーするような側面が積極的に検討されたということも、同時に非常に重要ではないかなと思っております。
さはさりながら、昨今もSNSの依存症の問題、こういったものが特に米国におかれましては大変注目されて、非常に多くの裁判にもなっているということを聞いておりますし、当然これはメンタルヘルスの問題にも関わってきていると思っております。
そういう意味では、さらに、こういったアテンションエコノミーに関わる技術の問題というのは、消費者の問題として非常に深刻化していくのではないかなと思っております。
その意味で、第9次ですかね、次回というか、そういったところでは、やはり消費者委員会のデジタル技術に対する専門性というものを、もっともっと高めていかなければいけないのではないかなと考えております。
私も、これはなかなか言いにくいところなのですが、消費者委員会は、本当にすばらしい議論をして、事務局も本当に精力的に頑張っておられるということは私も非常によく分かっているのですけれども、他の省庁の事務局などと話をしていると、消費者委員会は、少し軽視されてしまうというか、それは、ある意味、敵視されているから、先ほど議論がありましたけれども、そうかもしれませんけれども、何か存在感が少し軽んじられているところもあるようにも感じております。これは、私個人の主観的なものかもしれませんけれども、そういう意味では、やはり専門性を高めて、その存在感という、消費者委員会が言っているのだから、これは少し検討しなくてはと、そういう雰囲気をつくっていくことも重要になってくるのではないか、これも工夫の余地がいろいろあると思っておりますけれども、こういったことも今後は検討していく必要があるのではないかなと思っております。
私からは以上です。どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
最後に、私からも一言発言させていただきたいと思います。
御案内のとおり、第8次の消費者委員会は、令和5年9月に発足しまして、約2年間調査審議を行ってまいりましたが、この8月末をもって2年の任期が満了するということになります。
この2年間を改めて振り返ってみますと、この2年間の前半において特に力を入れたのは、既に先ほど来、委員からも御発言がありましたように、次期消費者基本計画の策定に向けた消費者委員会意見の発出、検討のための調査審議でございました。
つまり、第5期消費者基本計画が、令和7年春に策定されるということが予定されていましたので、消費者委員会では、発足直後の令和5年秋以降、一連の本会議等において、この第5期消費者基本計画に盛り込まれるべき多くの事項について調査審議を行い、令和6年4月と同年9月の2回にわたって、「第5期消費者基本計画の策定に向けた消費者委員会意見」を発出したところでございます。
また、半ばから後半にかけては、まず、食品表示基準の改正に関する答申と併せて、サプリメント食品に係る消費者問題に関する意見を発出いたしました。その後、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する消費者委員会意見、これも複数の委員から言及があったところですが、それを発出し、さらにレスキューサービスに関する消費者問題についての意見、その後、クライミング施設における消費者安全に関する意見などを発出してまいりました。
それぞれがかなり重い問題でございますけれども、その意見発出までの過程で、委員会で様々な議論をさせていただいたところでございます。
重い問題で、本当に各テーマについていろいろと触れたいところですが、もう時間が押しておりますので、少しだけ申しますと、まず、サプリメントについては、やはり今後も消費者委員会として注視し、フォローアップをしていただく必要があると思っております。私は、消費者法の教育・研究も行っておりますが、もともとは民法を専門とし、民法の中でも契約法を中心とした研究をやってまいったものですから、食品の問題については詳しかったわけではなく、ここで改めて勉強させていただくという日々で、今村委員に特にお世話になって勉強させていただきました。やはり、この食品の問題については、消費者ないし国民の健康に直結するような重要な問題でございますから、これについては、まずは意見として発出したところではございますが、さらにその後の政府の対応についてフォローアップをする必要があると思っているところでございます。
それから、これも先ほど委員から御指摘がありましたが、本会議のもとにパラダイムシフト専門調査会、エンパワーメント専門調査会、支払手段の多様化に係る専門調査会などを設置し、それぞれ現代社会において、まさに重要性を増しているテーマについて検討をしてまいりました。
これもそれぞれがとても重要であるということを御発言いただいたのですが、このうち支払手段の多様化については、先日、中間整理を取りまとめていただいたところですけれども、ぜひ、9月以降の第9次消費者委員会においても、引き続き御検討をいただきたい。この問題の整理をまずはしていただきましたので、それをどうやって解決していくのかという具体的なところについて、これもかなり大きな問題ではございますが、御検討いただきたいと考えているところでございます。
このほか、本日の資料の1-1に基づいて、先ほど事務局から御説明いただきましたところに、より詳しく私たちのこの2年間の活動が記載されており、これを見ると様々な記憶がよみがえってくるところでございますが、活動の振り返りについては、これぐらいにしたいと思います。
私の個人的な感想を申し上げますと、まさに消費者委員会は勉強の場であったと思います。私は長らく大学で民法及び消費者法の教育と研究に携わってまいりましたが、消費者委員会では、実に多様で、かつ最先端で生じている消費者問題を幅広く取り扱いますし、法制度だけではなく、それ以外の観点も含めて広い視野を持って消費者政策について考えるということが求められます。
黒木先生がよくおっしゃるのですが、まさに強制リスキリングというようなことの連続であったと思います。
委員の皆様からも実務的な観点とか、あるいは行動経済学の観点あるいは消費者教育の観点なども含めて、それぞれの異なる専門分野の御知見に基づいて御指摘等をいただき、はっと気づかされる点も多々ございました。
また、それぞれのテーマの審議において、ヒアリングにお越しいただいた有識者あるいは業界の方々あるいは関係行政機関の方々からも多くの御教示を得ることができました。
さらに、小林事務局長をはじめとして、事務局の皆様には、毎回入念な下準備をしていただき、詳細な資料の提供や御説明等をいただきました。御説明だけではなくて、いろいろな機関との折衝もやっていただいたものと承知しておりますが、本当に大変なお仕事であったろうと思います。第8次消費者委員会の委員長を務めることができましたのも、皆様のお力添えがあったからでございます。御尽力いただきました皆様に、改めてこの場をお借りして心より御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。
私からは以上です。
それでは、事務局から御発言がありましたらお願いします。
○小林事務局長 事務局長をしております、小林です。本日が第8次消費者委員会の最後の本会議ということで、事務局としてもお礼を申し述べさせていただきます。
鹿野委員長をはじめ、委員の皆様には2年間大変お世話になりました。先ほど来、皆様からもありましたように、消費者委員会の特徴としてよく指摘されるのが、取り扱うテーマの幅の広さと、会議の頻度の高さというところであります。
後者に関しては、第8次委員会では本会議59回、委員間打合せを74回開催いたしたということで、委員の皆様には、これに加えまして、事務局として御相談したいことがあったときなど適宜時間を取っていただいて、各テーマについて相談をさせていただきました。大変ありがとうございました。
前者に関しては、皆様からもありましたように、今日の資料の第8次消費者委員会のこれまでの活動というものに改めて目を通しますと、非常に幅広いテーマに取り組んできたなという思いです。
とりわけ、第5期消費者基本計画策定に向けては、これまでも取り組んできたようなベーシックな消費者問題はもちろんのこと、次の5か年で社会実装がより進むであろうデジタル、AI、自動運転といったテーマにも目配りしなくてはということで、委員の皆さんにも、いろいろなテーマに取り組んでいただきました。そんなこともあり、本会議や下部組織等の対応で御負担もおかけしたと思っておりますが、事務局としても委員の皆さんの社会課題解決に向けた思いというところに引っ張っていただきながら、御一緒にやってこられたと思っております。至らぬ点も多々あったかと存じますが、今日まで調査審議を進めていただくことができたことについて御礼申し上げます。
そして、本日取りまとめていただいた留意事項についても事務局としてしっかり受け止めつつ、これらについても第9次の委員の皆さんと一緒に、更に取り組んでいきたいと思っております。
事務局としても反省点も多々あり、先ほどもお話があったような事務局としての専門性の獲得や、力量向上といったことも引き続きやっていかなければならないと思っておりますが、引き続き、御指導をいただけたらと思っております。
あわせて、この場をお借りして、消費者委員会に多数の意見書・要望書を寄せていただいた皆様であるとか、本日も傍聴いただいている皆様や、報道関係者の皆様など、消費者委員会の活動に関心を寄せていただいている皆様にも御礼申し上げたいと思います。
今後とも皆様にもお世話になると思いますが、引き続きよろしくお願いいたします。ありがとうございました。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 ありがとうございました。
本日の本会議は以上となります。
最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 この後、16時30分を目途に報道関係者の皆様を対象といたします、鹿野委員長の記者会見を行いますので、お知らせいたします。
また、次回、第9次委員会の本会議につきましては、日程が決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、これにて閉会とさせていただきます。2年間、本当にありがとうございました。
(以上)