第468回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2025年8月4日(月)10:45~12:20

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員、山本委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、吉田審議官、友行参事官

議事次第

  1. レスキューサービスに関する消費者問題について
  2. クライミング施設における消費者安全について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第468回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. レスキューサービスに関する消費者問題について》

○鹿野委員長 本日最初の議題は「レスキューサービスに関する消費者問題について」です。

トイレの故障、水漏れ、鍵の紛失等、日々の生活の中で困った出来事が突然発生し、自分では対処できないときにそれらを解決するサービス、いわゆるレスキューサービスに関する消費者トラブルが増加傾向にあります。本議題に関しては、これまでに計5回の本会議において、行政、業界団体、事業者、被害対策弁護団及び有識者からのヒアリングを実施し、調査審議や意見交換を行ってまいりました。これを踏まえて、レスキューサービスに関する消費者問題についての当委員会としての意見案を作成しましたので、本日はこれらについて意見交換を行った上で、意見の取りまとめを行いたいと思います。

それではまず、事務局より、意見案について15分程度で御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、資料といたしまして、1-1の概要と、それから1-2の意見案の本体を御用意しております。本日は1-2の意見案の本体のほうで御説明いたします。

2ページ目でございます。まず、レスキューサービスに関する消費者問題についての意見といたしまして、水漏れの修理、鍵の開錠、害虫駆除等の暮らしの緊急事態に事業者が対応するサービス、ここではレスキューサービスと呼んでおります。そこにおいて消費生活相談が増加しております。

3ページ目を御覧いただけますでしょうか。図表1でございます。「暮らしのレスキューサービス」全体の相談件数のグラフを見ていただきますと、右肩上がりで相談件数は増加しております。足元の2024年度には8,300件となっております。このグラフ中、四角囲みで数字が入っております。こちらは、レスキューサービスを依頼するに際して、相談があった際の内容として、インターネット通信等の電子媒体を利用した広告のことについての相談のあった件数を記載しております。

4ページ目でございます。「暮らしのレスキューサービス」、どんなものがあるか、件数の多いものをブレイクダウンして御提示しております。

(1)はトイレの修理となっております。トイレ修理の相談件数の推移は、足元では2,000件から2,600件程度となっております。

事例1の表題を御覧いただけますでしょうか。トイレ修理で「390円から」のネット広告を見て依頼したら55万円の請求を受けたとなっております。

5ページ目でございます。(2)水漏れ・配管等の詰まりの修理についてでございます。足元では、ここ数年、750件程度から900件程度の相談が寄せられております。

事例2の表題でございます。「見積り無料」の広告を見て蛇口の水漏れを確認してもらったら、見積りにかかった費用を請求されたとなっております。

6ページ目でございます。(3)鍵の修理・交換でございます。2024年には1,900件程度の相談が寄せられております。

事例3でございます。開錠で高額請求され「個人情報を知っている」と脅されてその場で支払ってしまったなどとなっております。事例の中身を見てみますと、深夜に自宅マンションの鍵を紛失したことに気づき、慌ててインターネットで事業者を探し、検索結果で一番上に表示されたサイトにアクセスした。男性作業員が1人来訪、鍵穴を見て、特殊な鍵だから開錠するだけで8万円と、また、シリンダー交換をするならさらに2万円と言われた。10万円も現金はないと言ったら「幾ら現金を持っているのか。持っている金額でやってあげる」と言われ、5万円に減額された。本当にシリンダー交換も必要なのか聞いたところ「争いたいのか。こちらはあなたの個人情報を知っている」と言われ怖くなり、作業に承諾し、代金の支払いもしてしまったという相談が寄せられております。

7ページ目、(4)害虫・害獣等の駆除でございます。こちらは足元では2,400件の相談が寄せられており、右肩上がりが続いております。

事例4、ゴキブリが出て怖くなりネットで見つけた格安業者に依頼したら高額だったということでございます。相談内容を見てみますと、約500円からゴキブリの駆除をするという広告を見つけた。しかし、訪れた作業員からは、約10万円の見積書と契約書を渡されたということでございます。

8ページ目でございます。(5)ロードサービスとなっております。こちらは最近相談が増えております。直近では1,000件程度の相談が寄せられております。

9ページ目は、2、暮らしのレスキューサービス等のトラブルに関するアンケート調査結果となっております。消費者委員会では、こうしたPIO-NETに寄せられる相談件数があるということとともに、消費者委員会のほうでもアンケート調査を実施しております。その結果は、この資料の参考資料1に記載しております。

表示は映りますでしょうか。その次のページを御覧いただけますか。インターネット調査を2025年3月に行っております。調査対象は、実際に不当な請求を受け、金銭を支払った経験のある者をピックアップして、合計700名程度の方にアンケートを行っております。

クエスチョン1のところでございます。トラブルになった事業者と連絡を取るきっかけとなったのは何ですかと質問しましたところ、回答結果は、「スマートフォンでの検索」が1位、34パーセント、次に「パソコンの検索」、22パーセントなどとなっております。

次の質問は、クエスチョン2で、トラブルになった事業者を選んでしまった決め手は何でしたか、決め手になった順に最大3つまでとしております。1位から3位と回答した割合が高いものを順番に、パーセンテージの多いものから並べております。「広告で安い金額を提示していたから」、「見積り無料との記載があったから」、「インターネットやスマートフォンの検索結果の一番上に表示されていたから」、「自分で調べて、信用できそうな事業者と思ったから」などが割合として高くなっております。

次のクエスチョン5を御覧いただけますでしょうか。あなたが経験したトラブルの内容はどのようなものでしたか。あなたが被害を受けたと感じた順にお答えくださいとしております。「修理はされたが、初めの説明や広告から想定していたよりも高額な請求をされた」、「不要な作業が行われたり、説明のない作業が行われたり、あるいは作業の内容や必要性についてうその説明をされて、その費用を請求された」、「見積り無料と広告には書かれていたが、実際には有料であった」などが回答の上位に来ております。

また、この回答の上から8番目、「クーリング・オフしようとしても受け付けてもらえなかった、または、クーリング・オフができないと説明された」というような被害も起きているところでございます。

続きまして、このアンケート結果のクエスチョン7を御覧いただけますでしょうか。インターネット検索で上位に表示された事業者をどの程度信頼できると思いますかという質問に対して、トラブルに遭う前は、「信頼できる」21パーセント、「まあまあ信頼できる」が50パーセントでございました。しかし、トラブルに遭った後は、「信頼できる」と回答した者は12パーセント、「まあまあ信頼できる」と回答した者は27パーセントという形になっております。

また、クエスチョン8を御覧いただけますでしょうか。インターネット検索の際、検索結果以外に広告が上位に表示される場合があることを御存じですかということを質問したところ、トラブルに遭う前は、全体として「知っている」は49パーセント、「知らなかった」は50パーセントと約半々となっております。右側の年代別の割合を見ていただけますでしょうか。20代以下、30代は「知っている」と回答した者が割合としては多め。他方、50代、60代以降は「知らなかった」と回答した者が多めとなっております。そして、トラブルに遭った後も「知っていた」、「知らなかった」の割合は大きく変わっておらず、半々程度となっているというような状況でございます。

意見案の本体のほうに戻っていただけますでしょうか。11ページ目をお願いいたします。第2の課題でございます。こういった実態を踏まえまして、課題をここで整理しております。

まず1つ目、検索結果として表示される広告についてでございます。

最初のマルでございます。消費者の意図としては、困った、大変だと、助けが必要だというときには、すぐに検索して、どこに相談したらいいのだろうというのを調べます。検索結果で、より上位のほうに広告枠として表示をさせれば、当然消費者の目にも留まりやすくなるし、クリックやタップもされやすくなるし、そこでレスキューが必要な人であれば、恐らくあまりしっかりと考えずに申し込んでしまう可能性があるというような御指摘が消費者委員会本会議での御発表の中でございました。

その次のマルでございます。「1,000円から」のような低価格の表示がなされているが、最終的に表示価格を大幅に上回る金額を請求されるケースがあるといったことや、レスキューサービスにおける消費者は、切迫した状況にあることが多く、価格、広告の信頼性について調査検討する余裕がなく、検索エンジンの上位に表示されている事業者に連絡をしているというようなことが生じております。

2つ目、悪質な事業者の存在でございます。クーリング・オフに対し、できないと説明している。全額返金すべきところ、一部の返金にとどめている。

また、その次のマルは、事業者の所在が不明で連絡が取れず、消費生活相談員さんが交渉できない。

その次のマルは、会社名や事業者名を変え、同じようなスキームで同じ不当勧誘を繰り返すケースがあるというようなことでございます。

そして3つ目、トラブルの解決・被害救済の困難さが実態としてございます。消費者が冷静に落ち着いて判断ができない状態で広告を見て依頼するケースが多い。相手方の説明を覚えていない。また、作業の必要性や金額の妥当性について客観的に検証しにくい。そして、事業者の所在が不明で連絡が取れない。さらには、対象事業者が逃走した場合などには、被害金の回収が困難というような状況となっております。

こうしたことを踏まえまして、13ページでございます。消費者委員会として、意見としてまとめていただいたところを御説明いたします。

まず、1、「検索連動型広告における特別な事情下での調査確認義務」でございます。

説明。検索連動型広告は、検索エンジンへの掲載行為によって初めて実現されるものでございます。その検索結果として提供された広告に対する利用者らの信頼は、当該検索エンジンやその事業者に対する信頼と全く無関係に存在するものではない。過去に最高裁決定がございました。そこでは、検索エンジンは「現代社会においてインターネット上の情報流通の基盤として大きな役割を果たしている」という評価がなされております。

我が国でかつて広告掲載者責任をめぐり提訴された新聞広告、雑誌広告に係る裁判例を見ますと、その趣旨は、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情があって読者らに不測の損害を及ぼすおそれがあることを予見しまたは予見し得た場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があるというものとなっております。それを踏まえれば、広告媒体業務にも携わる検索エンジン事業者及びその広告の仲介・取次ぎをする広告代理店においても、検索連動型広告の持つ影響力の大きさに照らし、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別な事情があって、利用者らに不測の損害を及ぼすことを予見し、または予見し得た場合には、真実性の調査確認をして虚偽広告を利用者に提供してはならない義務があると解する余地もあるものと考えられる。前記の限りにおいては検索連動型広告に対する利用者らの信頼を保護する必要があると解され、その義務に違反した場合は不法行為が成立する場合があると考えられるということでございます。

こうした説明を踏まえまして、必要な対策でございます。

16ページのところを御覧いただけますでしょうか。新聞広告や雑誌広告に係る裁判例の趣旨を踏まえれば、検索連動型広告を掲載するDPF事業者においても、特に消費者の脆弱性が顕著にあらわれるレスキューサービスに係る広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別な事情があって、利用者らの不測の損害を予見しまたは予見し得た場合には、調査確認を行う義務を負うと解する余地もあるものと考えられる。調査確認の内容としては、例えば、表示の裏づけとなる客観的な根拠を示す資料を提出していただく、覆面調査を実施するなどが考えられ、その上で広告内容の真実性の確認をして虚偽広告を掲載しないなどの対応を求めることが考えられます。

政府においては、DPF事業者は消費者が利用し得るサービスを広く公衆に対して提供していること、消費者被害を未然防止及び拡大防止する可能性を有することなどを踏まえ、レスキューサービスに関する検索連動型広告について、今後の裁判例等の状況も注視しつつ、広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別な事情があって、利用者らの不測の損害を予見しまたは予見し得た場合に調査確認を行うよう、取組を高度化するよう要請することを検討すべきであるということでございます。

2、「悪質なレスキューサービス事犯に対する執行強化」でございます。

これまでるる実態を御説明いたしてきたように、まず、レスキュー商法を行う悪質事業者の中には、事業者の所在等に実態がない場合もございます。また、クーリング・オフに対し、理由をつけて妨害を行ったり、書面交付をしていないといった事例もございました。こういった実態を踏まえまして、不正によって利益を得ることが報われない状況にしていただきたい。また、法令を逸脱することで利益を得る構造に対して厳しい措置を講じていただきたい。そのために必要な対策として、以下3点述べております。

(1)として、「警察庁と消費者庁は、関係行政機関の協力を得つつ、更に緊密な連携、情報交換を行い、取締りを徹底、強化すべきである」としております。

また(2)として、「警察庁における取締りを徹底し強化するためには、執行体制にも目を向けるべきである」としております。「レスキュー商法等の悪質商法に対応する職員の人員配置について、必要に応じ見直し・強化を図ることが重要である」としております。

(3)で、「消費者庁は、レスキュー商法による被害の未然防止、拡大防止等のため、被害実態を踏まえ、特定商取引法における罰則強化の必要性について検討すべきである」としております。

3、「消費者への啓発の強化と事業者団体との連携」でございます。

必要な対策のまず1つ目、消費者に対し、レスキュー商法に関する具体的な手口等実態の周知を強化することが必要であるとしております。具体的には、そこの段落の3行目でございます。被害に遭う可能性が高い層の消費者に効果的に届くような周知、またその下、2行目、多様な媒体での情報発信を行うことが必要であるとしております。

「また」の段落でございます。インターネットを活用したレスキューサービス事業者の検索に伴う検索連動型広告の知識、ターゲティング広告、デジタル広告の仕組みやリスクを含めたレスキュー商法に関するデジタル広告についての留意点についても、消費者に伝えることが必要であるということでございます。

18ページでございます。(2)として、具体的な対処方法を啓発することが必要であるとしております。具体的にはといたしまして、①検索結果の上位に表示されていることだけで信用しない。②トラブル時には落ち着いて行動する。可能な場合は相見積りを入手する。③事業者団体や公的機関が設置している相談窓口、そして何よりも消費生活センターに相談を行ってみる。④自動車のトラブルについては、多くの自動車保険にロードサービスが附帯されている。自動車の事故・故障の際に契約している損害保険会社に連絡すれば、あらかじめ契約に定められたサービスを受けることができることなどを周知すること。⑤水道局で、修理を行う指定事業者について紹介を行っている場合はそのことについて周知することなどが考えられます。

また、(3)レスキューサービスを行う消費者団体と連携した取組を行うことが望ましいとしております。例えば、関係事業者の広告上の価格表示が実態と異なることが常態化する等があれば、実態調査の上で景品表示法等の解釈基準の更なる明確化を行う。また、事業者団体等が分かりやすい料金表示を行うよう促す等、事業者団体等への自主的な取組の要請、その支援を行うことも重要であるとしております。

消費者委員会本会議において、ここの脚注に記載しておりますように、数多くの事業者団体に来ていただきまして、ヒアリングを行いました。そういった事業者団体への自主的な取組の要請、その支援を行うことも重要であるとしております。その支援の中身といたしまして、例えば公正競争規約なども考えられます。そして、このような取組は、悪質事業者の排除のみならず、良い事業者の取組の指針や消費者における事業者の選択にも資すると考えるということでございます。

以上申し述べました(1)から(3)につきましては、消費者庁は、関係行政機関と連携しつつ、以下について取り組むことが必要であるという形にしております。

18ページの4、その他でございます。情報流通プラットフォーム対処法という法律が施行されております。

18ページから19ページにまいります。大規模特定電気通信役務提供事業者に対し、他人の権利を侵害する情報の削除対応の迅速化や運用状況の透明化に係る措置を義務付けております。また、個別の法規に違反する情報であっても、事業者が自ら定め公表する削除基準に含めている場合には、運用状況の透明化の観点から、削除件数の公表等が求められることになる、こうした法律でございます。同法の運用に当たっては、どのような情報を流通させることが権利侵害や法令違反に該当するのかを明確化するガイドラインが策定されております。大規模特定電気通信役務提供者が削除基準を策定する際に盛り込むべき違法情報が例示されているところ、消費者取引における表示関係については、景表法の不当表示、特商法の誇大広告などが記載されているところでございます。

情プラ法は個別事例の違法性の認定を大規模特定電気通信役務提供者自身が行うものではないから、問題となっている事例も含め景表法、特商法等の法令違反を行政機関において明確化を行うことが重要となります。その上で、現在、総務省では、この法律に係る検討会が行われており、デジタル空間における情報流通に伴う様々な諸課題について、制度整備を含むその対処の在り方について議論が行われているところでございます。そうしたことから、消費者委員会においては、これについてはその議論の状況も見つつ、必要に応じ更に検討を行っていきたいというふうにしております。

すなわち、情プラ法でこの問題に対処するのであれば、情プラ法自身の作りとして、法令違反であることが違法化されることが大事であります。基準の明確さ、当てはめの明確さが求められているところでございます。情プラ法を使うのであれば、それがまず大事なことになっております。

それに対して、今回、意見1で記載しているところでございますが、ここでは、検索連動型広告を提供するデジタルプラットフォームにおいては、一定の場合でございますけれども、真実性の調査確認をして、虚偽広告を読者らに提供してはならない義務があるということを消費者委員会としては、消費者保護の観点からの問題提起としているということでございます。

以上です。

○鹿野委員長 丁寧な御説明をありがとうございました。

それでは、意見交換を行いたいと思います。時間は11時45分頃までを予定しています。いかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 意見案の御説明ありがとうございます。私からは、この意見案に果たしてほしい役割や意義についてコメントをお伝えします。

レスキューサービスは、生活をする上で国民の誰もが頼りにするサービスであり、サービス提供者の中には、深夜や週末でも心ある緊急対応をしてくれる良心的な事業者がいる中で、一部の悪徳事業者が不誠実な対応を繰り返すことで、レスキューサービス業界全体のイメージが悪化して、生活者が良心的な事業者に対しても警戒心を抱かなくてはいけないような状況は非常に残念であり、実態を知れば知るほど、取締りを強化して被害を未然に防ぐ手だてを講じていく必要性を感じております。

消費者委員会では、今年の2月から約半年にわたり、業界団体や関係省庁へのヒアリングを続けてきたわけですが、最も強く感じた課題としては、この問題が発生している業界が幅広く、かつ、そこにはサービス提供事業者だけではなく、検索広告により、良心的な事業者に混じって悪徳事業者の広告も掲載してしまっているデジタルプラットフォーマーや広告代理店など、介在するプレイヤーがかなり多岐にわたる状況があり、どこに本質的な課題があるのかが、なかなか見分けにくかったという点があると思います。

それをこれまで一つ一つ紐解いてきたわけですが、今回の委員会の意見案は、生活者及び関連行政機関や業界団体及びデジタルプラットフォーマーや広告代理店に対して、改めて問題の大きさを提示し、全てのステークホルダーにおいて早急な対応の必要性があるという問題提起をする役割を果たしているのではないかと感じております。

特に特徴的であるのは、検索広告を掲載しているデジタルプラットフォーマーの調査義務に関してですが、新聞、雑誌の責務と比較しても、社会的な媒体特性として検索結果情報が信頼に値する掲載コンテンツである必要性が示されていて、判例事例も紹介しておりますが、正直、調査義務執行の難しさは多々あると思いますが、対応の必要性は十分伝わる内容であると感じております。

また、問題解決については、レスキュー商法事案の業界の広さ、白黒明確でないグレー案件の多さ、疑わしい案件の内容の多様性、あとは悪徳性を見極めるために必要とする人的リソースや体制整備、そして、グレー案件を黒と判断してしまうことにリスク等が存在することもあり、業界団体にとっても、プラットフォーマーにとっても、実現可能性の高い対策を早急に講じていくことはなかなか簡単ではないと思いますが、今回の意見案がきっかけで、この問題が広くマスコミでも報道されて、対応の緊急性や共通認識が浸透し、対策の具体的手段を講じるフェーズに移っていくことを切に期待いたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。事務局におかれましては、意見案をおまとめいただきましてありがとうございます。コメントとお願いがございます。

まず1つ目です。周知についてです。消費者庁の消費者政策課財産被害対策室より7月31日付で「ウェブサイト上では低額な料金を表示しているが、実際には高額な料金を請求する水回りトラブル対応業者に関する注意喚起」が出ています。レスキュートラブルは、不安な状況にある消費者を更に追い詰めるものであります。今後も消費者に対する継続的な注意喚起、こちらを強くお願いしたいです。また、庁のホームページのみならず、あらゆる場面においても周知していただくようお願いしたいです。

2つ目です。意見案に記載はありますが、強くお願いしたい点です。消費生活センターでは、レスキューサービスの相談があった際に、相談者にネット広告と実際の修理価格に相当な開きがある場合には、訪問販売に該当し、特定商取引法に定められたクーリング・オフ制度を案内しています。この制度があるにもかかわらず、悪質な事業者が全く対応しないケースが多く見受けられます。書面を交付しないとか、連絡が取れないとか、返金すると約束しても返金されないなど、制度の趣旨を踏みにじるような対応が常態化しているということが現状でして、強い危機感を抱いています。制度があるだけでは意味がありません。消費者保護にはつながりません。ぜひこうした事業者への厳正な対応や執行の強化を警察及び消費者庁にお願いしたいです。

それから、3点目です。この猛暑の中で、エアコンが故障し、室内でも熱中症のリスクが非常に高まります。特に高齢者や乳幼児のいる家庭では、本当に命に関わる深刻な事態になりかねません。メーカーに修理を依頼しても、このような状況ですので修理対応に時間がかかり、困った消費者がネット広告を見て、急いで見た業者に依頼した結果、修理代金に見合わない高額な料金を請求するレスキュー商法の被害に遭うケースが多くなっています。また、エアコン修理の知識のない業者が訪問しガスを入れるだけで結局直らなかったという相談が消費生活センターにも多く入ってきている状況です。

この問題は、レスキュー業者だけではなく、製造メーカー側にも一定の責任があると感じています。メーカーの修理対応が遅れれば遅れるほど、消費者は焦って非正規の業者に頼らざるを得なくなる状況です。ですので、関係省庁におかれましては、ぜひ、例えば電機メーカーや住宅設備メーカーの業界団体にも働きかけをしていただきたいです。レスキュー業者との連携をして、悪質業者が修理をしにくいような対応をお願いしたいというところで、業界団体、電機メーカーや住宅設備メーカーと適切な作業を行うレスキュー業者との連携を強くしていただくことによって、悪質業者に修理を依頼しにくいような環境をつくっていただくようお願いしたいです。

また、価格についてです。修理については当然個別性があることは理解していますが、可能な限り、目安となるような金額表示をしていただきたいと思います。例えば部品の価格、それから時間当たりの作業工賃などです。このようなことが分かれば、消費者が事業者に依頼をする際の目安となりますし、何か被害があったときに消費生活センターでも価格面での交渉がしやすいと思います。このような価格の目安みたいなものについても御検討いただければと思っております。

この3点についてコメント、それからお願いしたいところということでお話しさせていただきました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 事務局の皆様におかれましては、これだけ大部の報告書及びその前提となるアンケート等、長きにわたり誠にありがとうございました。

その上でコメントをさせていただきます。まず、今回のこの問題に関しては、前提として、報告書等でも書かれていることですが、レスキューサービスの問題でどうしてこういう問題が起きるかというと、これは誰しも起き得る、誰しも遭遇し得ることで、今、柿沼委員のお話にもありましたが、例えばエアコンが急に壊れてしまった、鍵がなくなってしまったとか、車が壊れてしまったという、消費者からすると緊急事態で、要は正常な判断ができない状況であるということです。正常な判断といいますと、いわゆる行為能力のような話が想像されますが、そういうことではなくて、やはり焦った状況で、例えば価格の目安等が示されていても、いわゆる「1,000円から」と書いてあっても、幾らだろうかという検討する余裕もない状況で、インターネットで検索して特に上位に出てくる業者にコンタクトを取らないと、急いで何とかしなければいけない状況だということを前提に置く必要があると思っています。

そのことは、私から特に強調させていただきたいのは、価格表示のことでございます。今回、報告書の10ページに、消費者のアンケートだと思いますが、例えば「1,000円から」とか「1万円から」、「8,000円から」と書いているときに一体幾らぐらいを想像しますかということに関して、一番上の金額表示のところにございますけれども、「広告に、500円から、あるいは8,800円からと記載があった場合の予想金額」について、中央値は3,000円、1万円となっています。恐らく予想としては、これは人によってかなりばらつきがあるだろうと思いますが、何が問題だというふうに私が感じているかといいますと、とりわけ今回の場合、物を買うという契約ではなく、修理をしてもらうというサービスを提供してもらう契約ですので、今、柿沼委員も触れていらっしゃいましたけれども、そもそも消費者は、例えばエアコンが壊れたときに修理代、部品交換代が幾らぐらいかかるだろうかというのは全く想像ができないという状況だと思います。

私も電化製品とかが壊れたときに、一体幾らぐらいかかるんだろうかと。昨年、半年前にたまたま私のスマホは急に画面が壊れたことがあって、これは新しいのを買い換えるのと修理するのとどちらがいいんだろうかというのが全くその場では想像がつかなくなったということがあって、いろいろ調べても、やはり機種によったり、あるいは作業内容によって異なりますといったことが書いてあるので、全くこちらは想像できないという状況です。そういう状況であるにもかかわらず、こういった最低金額のみが表示されていることが多いということに私は非常に問題を感じております。

サービス提供者からすると、確かに個々の、例えばエアコンにしてもエアコンの機種だったりによって、故障の程度によっても当然、実際の役務提供にかかる費用は変わってきますので、なかなか上限値ですとか平均値を出すのが難しいというのは理解するところですが、先ほど言いましたように、消費者は焦ってこの業者を探している状況で、このような目安の表示もほとんどないような、最低金額だけでは私は目安にならないと思っていますので、その状況で価格を全く想像できないまま、しかし、呼ばざるを得ないという状況で、非常に高額な金額を取られているところに問題を感じております。

そこで、私が強調したいのは、報告書の18ページの(3)のところです。この問題に関して、ぜひ実態調査をしていただいた上で、要は関係事業者の広告上の価格表示と実態がどれぐらい異なっているのかといったことですとか、そういう実態調査をしていただいた上で、景品表示法等の解釈基準を更に明確化するといったことをぜひ消費者庁にはお願いをしたいというのが私の今回の報告書の中で一番強調したい点でございます。

このことは、本日、最後のほうに、報告書の19ページにも出てまいりました情プラ法との関係でも必要な対策だと思っております。つまり、どういう表示が法令違反になるかというのが現状は分かりづらい状況でありますし、恐らく現状だと、最低金額だけ書かれているということで直ちに違法になるかというと、それは何とも難しいところがあるのではないかと思っていますが、やはり消費者からすると、とりわけ役務の場合は価格の想像がしづらいというところをもう少し重く見ていただきたいと思います。

もう一点、時間がない中で申し訳ないのですが、新聞についての過去の最高裁判例を引用してくださっているところです。これも中田委員がおっしゃっておりましたので、私からは1点だけつけ加えさせていただくと、報告書で言うと14ページのところで過去の最高裁の判例を引用してくださっています。この判例は、認容されたか否かはいろいろありますが、その後の新聞、雑誌等々の広告の媒体責任ということでずっと使われている判例基準でございます。認容された判決もあります。これについて今回の報告書では、15ページにございますように、どういうときにこの「広告内容の真実性に疑念を抱くべき特別の事情」を基礎づける事実になり得るかということを明確にしているという点が、本報告書の一つのポイントではないかと思っております。ぜひ関係事業者と関係省庁におかれましては、この点を踏まえた上で、今後検討していただきたいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。私からは、消費者教育に関わる箇所について、意書案の17ページからございます3、消費者への啓発の強化と事業者団体等との連携について意見を申し上げます。

消費者に対するポイントとしましては、意見書案にもございますように、まとめますと、手口等実態の周知を強化すること、そして、具体的な対処方法の啓発を強化するということに尽きるかと思います。いわゆる消費者力、つまり、情報収集のスキルや消費行動に移す際の留意点を踏まえた行動、そういったものを消費者本人につけてもらうことは大切ですけれども、それに加えまして、トラブルを未然に防ぐということや、問題に遭っても早期に解決をするという、その辺りもポイントになるかと思います。

特に問題の早期解決ということで言いますと、具体的な相談をする力というのが必要になるわけですが、そうした行動変容にまで及ぶような、例えば教育コンテンツ、素材というものが求められるかと思います。啓発ということで注意喚起をいただいていることは十分承知しているのですが、その先ということを考えますと、消費者の相談だけではなくて教育の拠点でもあります消費生活センターや、あるいは学校教育、そういった教育の現場で担い手である先生とか相談員さんが活用できるような素材、教材を開発いただけると、教育の効果というものが随分上がるのではないかと期待をします。

加えて、事業者団体との連携に向けたヒントということでは、先ほども説明がありましたが、意見書の18ページの脚注にもありますように委員会でもヒアリングをさせていただいたところで、とても具体的なお話を聞けまして、やはり事業者の方はいろいろな情報を持っておられますので、そうした事業者団体等がやっておられる自主的な取組を紹介いただくとか、要請をしていただく、またそれを支援するということも行政にできることだと思います。

以上、3番目の消費者への啓発の強化と事業者団体等との連携につきまして、ぜひ意見書案の勘どころの一つとして認識をいただければありがたく、意見を申し上げます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 今回、内閣府消費者委員会でレスキューサービスに関する意見書をまとめることができたのは、本当に大きな意味があると思っています。

まず考えなければならないのは、レスキューサービスを利用する消費者の状況です。こうした消費者は非常に脆弱性のある状況にあります。つまり、最も付け込まれやすい消費者層に向けた事業者との問題だということです。

次に、レスキューサービスの特徴は、消費者と事業者が継続的なサービスを行っていないということです。ロードサービスでも、害虫駆除でも、水回りの修理でも、どれもその場で緊急的に解決しなければならないという消費者のニーズがあります。

そして今回の意見書で非常に意味があるのは、検索連動型広告についてきちんと分析している点です。この広告がどのような仕組みになっているのか、消費者がどのような形でそれにつながっているのかを詳しく分析し、その上で問題点を指摘しています。これは非常に新しい論点だと思います。

この検索連動型広告サービスについては、先に大澤委員がおっしゃった通り、最終的には情報プラットフォーム法を活用して、悪質事業者を検索結果に表示させないためのルールを決める必要があります。景品表示法上の表示義務に違反しているケースであるとしてアプローチすることも考えられます。特に問題なのは、極めて安価なサービスを提示しながら実態は全く違うというパターンです。これは典型的な有利誤認表示ですので、消費者庁にはこの点について検討していただきたいと思います。これだけ件数が増えているのですから、有利誤認表示に該当する基準や、どういった場合なら問題ないのかといったルールづくりを、この意見書の後に検討してもらいたいと考えています。

一方で、事業者団体にヒアリングを行ったところ、その団体の方々は極めて真面目にこの問題に取り組んでいることが分かりました。こうした正当な業務を行っている事業者に消費者がアクセスしやすい方法を検索でも考えていけばいいのではないでしょうか。たとえば、公正競争規約に参加していたり、管工事業協会等の事業者団体にきちんと加入しているといった情報を持つ事業者が、検索上位に表示されるようにするのはどうかと思います。

というのも、現在のリスティング広告では、結局のところワンクリック当たりの料金の競り合いのような形で表示順位が決まっています。これが優良な事業者が表示されない状況につながっているとすれば、これはデジタルプラットフォーム事業者のビジネスモデルそのものの信頼性に関わる問題です。リスティング広告で膨大な費用を取られるためにぼったくりが発生しているという側面があるとすれば、検索連動型広告のビジネスモデルそのものの信用性や社会的責任が問われていると言えるでしょう。この点について、今後も消費者委員会は審議を続けていくべき問題だと思います。

また、悪質なレスキューサービスの問題は、古典的な訪問販売の問題でもあります。来訪要請ではないということについては消費者庁も明示していますが、それではなぜこの問題がなかなか解決せず、むしろ増えているのでしょうか。意見書の中でも指摘されている通り、悪質な、まさに極悪と言ってもよい事業者が大挙してリスティング広告と検索連動型広告を契機として参入してきています。最終的には特定商取引法、場合によっては詐欺罪の適用も含めて、実際に悪質な施工と請求を行っている事業者に対する執行の強化により、こうした極悪な事業者を社会から排除していくことが必要になると思います。

この意見書はこうした多角的な視点から問題を捉えており、今の時期に出すのは大変時宜にかなったものだと思います。関係各省庁、まずはデジタルプラットフォームの民間事業者、そしてネット広告をどう考えればよいかという消費者教育の観点も含めて、この意見書は大変意味があると考えています。この段階でこの意見書を発出できることには大きな意味があると思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

星野委員、お願いします。

○星野委員 すみません。最近参加できておりませんで、これを拝見しまして、大変重要な問題におきまして意見案をおまとめいただきまして、非常にすばらしいと思っております。

1点、私があまり議論に参加できていなかったことから、既に議論があったのかもしれませんが、消費者団体の関連とか、支援とか、役割付与みたいなことは議論されていたのかなと思って、例えば消費者団体訴訟制度みたいなものを利用してDPF事業者に対して何かしらするみたいなことも可能なのかなと思っております。というのは、14ページ脚注におまとめいただいたように、新聞だったらこういった義務というか、内容に関する確認が必要であって、真実性の調査確認をしなくてはならないという義務があることに関して議論がありましたが、そういったものと、もちろん新聞は新聞で過去そういった判例があったと思いますけれども、最近、先ほどの検索連動型広告であれば、スペシフィックに特定の状況で緊急性があって、どうしても呼ばなければいけないという状況でそれは非常に利用され得るものなので、そこに関しては、新聞よりも更に非常に重要な真実性確認というのが求められるのではないかと。私も法律専門家ではないのであれなのですけれども、であるならば、そのような論拠から訴訟などを起こして被害回復するみたいなことを積極的にやっていただくために、何かしら情報提供するみたいなことが今後あり得るのかどうなのかということがあります。例えば国民生活センターなどから、同様の被害が存在して、誰が対象になっているかということが消費者団体のほうに伝わって、そこから訴訟が組織されるみたいなことがあってもいいのではないかなと思いまして、これは別に今回の問題に限りませんが、それほど大きくない額の被害が非常に多く存在するという場合に、特定業者ですと多分それほどのものではないと思いますが、DPF事業者に対してということでしたら、かなり大きなものになると思いますので、何かしらそのような観点で消費者団体に対する支援とか役割付与ができる可能性があるのではないかなと、お話を伺って、特段この資料には消費者団体の役割とかそちらに対する支援みたいなことは書いておりませんでしたので、将来的にそのようなものが可能なのかどうなのか、今後議論いただければと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今の点については、事務局から何かお答えはありますか。

○友行参事官 特にございません。御指摘のとおりだと思っております。

○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。

山本委員はいかがですか。プラットフォーム関連のことについてもここで触れているのですが。

○山本委員 ありがとうございます。既に委員の皆様が御指摘されたところに尽きるかなと思っていたので、あえてと思ったのですが、DPF事業者としては、どの事業者が悪質かどうかという判断は確かに難しいところもあるのだろうと、それが実態でもあろうと思います。こういったことは我々としても認識しなければいけない一方で、やはり判断ができないです、難しいですということが、対応しないというある種の不作為のエクスキューズにもなってきたのではないかなと思います。

そういう意味では、今回、どういう場合に調査義務というか、そういったものが生じるかというところで、やはり情報提供等、何かしらきっかけがあったときに動くのだと、対応するのだというようなことですから、何もない状態でやれということではなくて、一定程度情報があって動くということだろうと思います。そういう意味では、実態ということを踏まえた提案になっているのではないかとも思います。

ですので、情報提供の仕組みですとかそういったところは、DPFだけではなくて、むしろその周りがしっかり体制構築をしなければいけないところだと思いますので、その辺りも含めて総合的にといいますか、ピンポイントでDPFだけがということではないのでしょうから、その周りの情報提供の体制の構築も含めて、全体的なところを見ながら、実際の被害を防ぐような取組が進んでいければと思っております。

すみません。まとまりのない発言でしたが、以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかはいかがでしょうか。

原田委員は何かございますか。

○原田委員 私も皆様方の御意見と同じなのですけれども、窮状にある消費者に対して、それに付け込んでといいますか、非常に大きな経済的な負担を負わせるというような事業の在り方自体に問題があると考えておりまして、それは本来責任を負うべき主体が十分に責任を負っていないことに伴って生じている事態だというふうに考えております。ですので、今回の消費者委員会の意見をきっかけにいたしまして、各省庁ないしそれぞれの事業者団体等において適切な対応を図られるということをまずは期待したいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにはよろしいでしょうか。

せっかくですから、今村委員、もし何かございましたら一言でも。

○今村委員 今村です。

皆様方の意見、全くそのとおりだと思います。これがいかに難しい問題かということを再認識させてもらいました。私は医療系の救急のことなどをずっとやってきましたので、本物のレスキューをやっております。あれは法律でいえば多分30本ぐらいの法律で守られているから、そうそう詐欺のようなことは起きないのだと思いますが、今この問題を検討する中で、法律の中でどこまでやるのか、ガイドラインでどこまでやるのか、事業者の方にどこまでやっていただくのか、非常に難しい問題だということを認識いたしました。

今回意見を出していけるということで、今の問題の本質を指摘することができているのは非常に大きな成果だと思っておりますので、ぜひこの意見、このような形で出していければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

皆様から御意見をいただきました。いただいた御意見は、強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことについての御発言だったと思います。

それから、本当に多くの重要な点を御指摘いただいたのですが、とりわけ大澤委員、あるいは柿沼委員、黒木委員長代理などからも関連する御指摘がありましたけれども、表示の在り方ということについては、もう少し対応が必要ではないかと思っております。御指摘があったように、例えば「500円から」というふうに、これを我々の間ではにょろにょろ表示と言っていたのですが、低い価格を書いて、「から」というふうに単ににょろにょろをつけることによって、それを免罪符のように用い、実際にはその10倍、100倍というような数字の料金が請求されることも多いようです。それが果たして景品表示法等において認められていいのかということについて、少なくとも消費者の目線からいうと、そこに「500円から」と書いてあったら、500円ではなかなか難しいかもしれないけれども、それに近いような料金でサービスの提供を受けることができるのではないかという信頼、期待が生じるわけですし、そのような価格表示の在り方については、更に検討をする必要があるのではないかと思っておりまして、この報告書にも書いているように、特に消費者庁等におかれましては、実態調査をして、景品表示法等の解釈基準の明確化を図っていただきたいと思っているところです。

その明確化を前提にすると、かなりほかのところ、例えばプラットフォームとかいろいろなところも対応がより容易になってくるのではないか。今は、基準が明確ではないというところが一つは対処を難しくしているのではないかと私も感じているところでございます。私自身の感想ということで一言追加させていただきました。

先ほども言いましたように、この意見案自体については特に御異論はなかったと思いますので、皆様に御了解いただいたものとして、消費者委員会の意見としたいと思いますけれども、それでよろしいでしょうか。

オンラインで御参加の方々もよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

〇鹿野委員長 ありがとうございました。

皆様に御了解いただきましたので、こちらの「案」を取ってこれを消費者委員会の意見としたいと思います。

ただいま取りまとめました意見については、関係省庁宛てに送付したいと思います。関係省庁におかれては、本意見の内容について積極的に御検討いただき、今後の取組に反映していただきたいと切に願っております。

それでは、この議題については以上とさせていただきます。


《3. クライミング施設における消費者安全について》

○鹿野委員長 続いての議題は「クライミング施設における消費者安全について」です。

近年、スポーツクライミングは、オリンピックを一つの契機として人気が高まり、国内ではクライミング施設が様々な形で増加しています。競技者が利用する専門施設だけでなく、小規模なジム、子供が利用できるようなジムとか、あるいは公園等も増加しているところでございます。一方で、安全でない体勢でクライミングで落下することになると重大な事故につながる可能性があり、実際に骨折等の事故が発生している状況であります。そのため、事故情報を適切に収集し、事故の発生状況等、実態を踏まえ、安全面での対応策を実施することが重要と考えられます。

本議題に関しては、本年5月の第460回本会議において、スポーツクライミングの競技団体、関係事業者及び有識者からのヒアリングを実施し、調査審議や意見交換を行いました。また、委員会では本会議以外のところでも意見交換を行ってきたところでございます。これを踏まえて、クライミング施設における消費者安全に関する当委員会としての意見案を作成いたしました。本日は、こちらについて意見交換を行った上で、意見の取りまとめを行いたいと思います。

それでは、こちらにつきましても、事務局からまず意見案について15分程度で御説明をお願いします。

○江口企画官 クライミング施設における消費者安全に関する意見案について御説明いたします。概要に基づき御説明したいと思います。

まず第1、クライミングとはということで、スポーツクライミングについて、「ボルダー」、「リード」、「スピード」の3種目がございます。そのうち「リード」と「スピード」は、ロープ等の安全装置の装着をして、高さや速さを競う競技でございます。また、「ボルダー」は高さ5メートル程度のウォールにルートが複数あり、登れたルート数を競うものとして、ロープ等の安全装置の装着を必要とせず、下部にマットを敷設しているため、より気軽に参加が可能なものでございます。愛好者は60万人程度、全国に500店舗前後の民間クライミングジムが展開しております。

クライミングは、小さな子供から高齢者まで幅広い年齢層が行うことができるスポーツであり、生涯スポーツとしての有用性が高い。他方、クライミングは高い壁を生身で登るため、安全でない体勢で落下すると、大きな事故につながる可能性がございます。

その下にまいります。スポーツクライミングがオリンピック種目に採用されたこと等もあり、近年スポーツ施設、体育館、学校、遊戯施設、公園等にクライミング施設が設置されるようになっております。児童の体力づくりに適しているとされ、小学校においても人工壁、いわゆるクライミングウォールの設置を推進しているところもございます。

次に、第2というところにまいります。クライミング施設における事故の状況です。

事故情報データバンクにおいては、クライミングに関する事故情報の集計結果として26件挙げられています。

また、医療機関ネットワークでは、「ボルダリング」、「スポーツクライミング」のいずれかの文言が含まれる事故情報の集計結果として12件登録されております。

また、学校における災害共済給付の状況として、独立行政法人日本スポーツ振興センターによる災害共済給付の実績として、これも「ボルダリング」、「スポーツクライミング」のいずれかの文言が含まれる事故情報の集計結果として、幼稚園、保育所、認定こども園が174件、小学校76件、中学校19件、高等学校155件が登録されております。

また、有識者による調査研究として、クライミングジムやクライミングチームを対象としたアンケート調査、回答者数1,638人のうち、外傷・障害の経験ありとした者が1,040人と64パーセントに上っていることが明らかになっております。

その下です。事故情報データバンクに登録された事故の事例で1件御紹介いたします。知人がボルダリングジムでクライミング中に落下。下に敷いていた安全マットが劣化していて足を複雑骨折したというような案件等々がございます。

2ページ目に行っていただきまして、第3、クライミング施設における課題として、クライミング施設における事故情報の収集としております。クライミング施設は、様々な場所に設置されている実態があるが、事業者には、事故情報の行政への通知義務が必ずしもあるわけではない。クライミング施設のうち、民間クライミングジムなど急速に設置が進んでいる施設においては、事業者から行政機関に事故情報が伝達される仕組みが整っていないところもあるとしております。そういったことから、様々な場所に設置されているクライミング施設における事故の実態を把握することが重要としています。

また、クライミング施設における安全面の対策です。安全管理や事故発生時の対応等は、施設を運営する事業者の取組に委ねられており、施設によって対応の差異が生じている可能性がある。事故情報データバンクに登録された事故情報では、施設側における基本的な安全対策に問題があると見られる事例や、安全のための監視がなされていないと見られる事例も見られた。競技者が利用する専門施設だけでなく、小規模なジム、子供が利用できるようなジム、公園等が増加し、施設の安全確保に課題が存在する可能性があるとの指摘があったということから、まずは、事故情報を適切に収集し実態を踏まえた上で、安全面の対策を講じることが必要としております。

これらを踏まえた上で、意見の案として3つ御紹介いたします。

「(1)クライミング施設における事故情報を把握する方策の検討」。下の説明のところを読み上げます。クライミング施設については、消費者安全法に基づく事故情報の集約の仕組みが整っている施設もあるが、民間クライミングジムなど急速に設置が進んでいる施設においては、事業者から行政機関に事故情報が伝達される仕組みが整っていないところもあるとして、意見としては、スポーツ庁は、関係省庁等と連携し、クライミングジムで発生した事故情報等を把握する方策を検討することとしております。

次に、「(2)クライミング施設における消費者安全に関する取組の強化」。これも下の説明を読み上げます。「クライミング施設として、スポーツクライミングの競技施設だけでなく、民間のクライミングジムや遊具的なクライミング・ウォールを設置している学校、遊戯施設、公園等も対象としており、また、安全対策は、施設運営上のリスク認識だけでなく、技術的な知識も必要と考えられるところ、関係行政機関が連携して対策を講じることが必要」といったことから、意見としては、スポーツ庁、こども家庭庁、文部科学省、経済産業省、国土交通省は、それぞれ適切に事故情報を収集した上で、関係事業者が実施すべき安全面に関する対策等について、連携して、安全対策等の策定等(既存の対策等の整理を含む。)に向けた措置を講じ、関係事業者に対してその実施を徹底させるための措置を講ずることとしております。

「(3)消費者への注意喚起」。これも説明を読み上げます。「公園等にもクライミングウォールがあり、幼児を含め様々な利用者がいる。スポーツクライミングと高さや利用者の違いはあるものの、安全面に注意して利用しないと、落下して大きな事故につながる可能性がある。クライミング施設に係る消費者事故の防止のため、今後策定される安全面に関する対策等について、消費者に適時適切に周知することが必要」ということから、意見として、消費者庁は、クライミング施設に係る消費者事故の防止のため、今後策定される安全面に関する対策等について、消費者に適時適切に周知することとしております。

御説明は以上となります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより意見交換を行いたいと思います。時間は先ほどと同じように40分程度でお願いします。いかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 意見案の御説明をありがとうございます。コメントをお伝えしたいと思います。

クライミング施設における事故については、現在、事故報告の義務がないので、この意見案に記載されている事故情報データバンクからの事故の報告件数も正直それほど多くはなく、その結果、クライミングは実際以上にもしかしたら安全なスポーツとして認識されてしまっている懸念があり、また、私もネットで検索をしてみたのですが、やはりクライミングはスポーツとしてのポジティブな面ばかりが注目されており、事故についてはほとんど報道されていないというのが現状のようです。

ただ、御報告いただいた事故内容は重篤なものもありまして、今回の意見案をきっかけに、ぜひ報道でも取り上げていただき、実際には発生しているのだけれども顕在化していないリスクに対しても、生活者には意識していただいた上で、一つのスポーツとしてクライミングを楽しんでほしいと考えると同時に、安全な施設の見極め方を知っていただき、適切な施設を選んでいただきたいというふうに感じております。

また、施設責任者や所管官庁には、安全性に資する施設の整備の責任や利用者への注意喚起、事故報告の徹底をお願いしたいと考えております。報告いただいたように、クライミング器具の設置場所は、公園から学校、民間のスポーツ施設まで幅広く、それぞれの責任者であり監督省庁が多岐にわたり、また、子供から大人まで様々な層の利用者が幅広く楽しめるのがクライミングの特性でありますが、まずは実際に起こっている事象を正確に把握して、適切な対策を練るためには、それぞれの施設責任者には、事故発生の報告義務の徹底を図っていただきたいと考えております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 今回の意見の内容というのは、消費者教育を専門にしている立場からいいますと、まず、そもそも消費者トラブルとして捉え切れていない人が多いのではないかと。中田委員がおっしゃったように、上がっていないものがきっとあるに違いない、つまりは捕捉できていないことがあるということが分かります。したがって、消費者に、消費者安全という領域では、トラブルといいますか、私たちの身近なアクシデントであるという認識を高めることが必要だなと考えています。つまり、今回の意見書というのは、事故情報をいかに吸い上げるか。現在の省庁間による対応の隙間を埋めていくということ、ひいては消費者の安全性を高めることにつながるということで、新しい視点を提示しながら、とても本質的なことも併せて考えることができる、そんな意見書ではないかと思っています。

私自身も大学で消費者教育の授業を担当していますと、やはりお金のトラブルとか、だまされないようにみたいなところにどうしても集中してしまうのですが、それだけではなくて、商品等の安全というカテゴリーがあるわけで、こういった消費者安全についても、私たちはお金を払って物やサービスを利用しているという認識へ改め、そこで起こったリスクについては、自分も大変だけれども、社会全体として捉えていく、そんな内容のものであるということを伝える必要があると考えた次第です。

以上、私の意見とコメントということで申し上げます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 すみません。こちらもあまり議論に参加できておりませんで、非常に重要な課題かと思っておりまして、取りまとめをしていただきましてありがとうございます。

本当に細かい話で恐縮なのですが、報告件数が過少じゃないかとかいったことに関して、これは今回のものに限定はしないのかもしれませんけれども、ほかに様々な情報が本当は使われるべきなのかなと。こういうことは今村先生のほうが全然お詳しいと思いますけれども、例えばレセプトデータですね。国が一定程度、保険に対して補助を出しているわけですので、NDBなどのデータベースなんかもございますし、様々な医療データベースみたいなところで、事故による原因で何かしら起こったみたいなことの件数とかは統計情報として、または個別の個票レベルのデータでは本来分かるはずなので、積極的にそういったものを拾っていくという、消極的というよりは攻めと言ったらあれですけれども、事前にそういったものを予防するためにどんなことが可能なのかということを事故に関して考えていくということは、本来的には国であればできるはずかと思います。

ほかにも、生命保険会社とか損害保険会社からの情報提供みたいなことも事故情報に関してはあるかと思いますので、そのようなものを御活用いただくことが今後あると、より様々な事故を未然に防止するという観点で、よいのではないかと思っております。

この報告書に関しましては、1点、スポーツ庁、こども家庭庁、文科省、経産省、国土交通省とありましたが、厚労省が入っていない理由がよく分からないのですけれども、厚労省などの情報提供みたいなものもあり得るのかなと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

具体的に主立った関係省庁は挙げているのですが、御指摘のとおり、これに必ずしも限るということではないのかもしれません。主立ったところを具体的に挙げて、その上で、関係する省庁はこういうことについて取り組んでほしいという形でまとめているものと認識しているところでございます。

それから、もう一つ御指摘いただいた事故等に関する統計情報の取り方ということについても、恐らくクライミングだけの問題ではなく、幅広く妥当する御指摘だったと思いますけれども、それらについても今後、関係省庁等において少し御検討いただければと思っているところです。ただ、統計で取りに行くというのももちろん必要かもしれませんけれども、やはりこのような新しくどんどん伸びてきた種類のスポーツにおいては、どうしても、従来からあるスポーツにおいては当然情報が集まってくると思われるところが暗数になって、なかなか表に出てこないというところもあるようでして、まずは基本的に関係する機関に御協力いただき、あるいはその機関等がうまく情報を上げてくれるように関係省庁に取組をしていただきたいということでございます。

星野委員からは、もっと積極的な形での情報収集、例えばレセプト情報の取り方ということについても御指摘いただきました。ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。今、星野委員からレセプト情報の話がありましたので、ちょっとそこの補足とコメントをさせてもらいます。

私、日本中のレセプト情報を分析しているのですけれども、レセプト情報や病院の情報というのは病名が書いてあるので、その原因がクライミングかどうかというのは、なかなかそれでは分からないです。骨折した人が何人いるかや、外傷であるということは分かるのですけれども、そこはなかなか今の統計の中からは難しいです。

原因がある程度分かるという意味では、死亡統計ですね。亡くなった理由が事故であって、その理由が外傷の原因として交通事故であるか、それか遊具による事故であるかというようなことは、今の状況の中で分かると思います。実際にクライミングであれば対策を取っていくことになると思うのですけれども、そこまで踏み込んで今やっているとすれば、CDRというこども家庭庁がやっているチャイルド・デス・レビュー、なぜ子供が死んだのかということを追求していくプロジェクトがありますので、その中でどこまでやっていくかということだと思います。

ただ、現実には、個人情報保護の問題がものすごく大きくて、警察の情報や学校の情報、その他病院の情報なども含めて、なかなかそれを検証していくにはハードルが高いという状況があります。少なくとも今回、各省庁が所管する範囲で調査をしていくべきだというところは発展的な意見だと思うのですけれども、今のフレームの中でそれを見いだしていくのはなかなか難しいのだろうなということは感じている次第です。

クライミングに限らず、多くの事故が実際には起こっているわけで、その事故をどう把握していくかというのは国全体の問題なのですけれども、それを全て細分化して把握する方法はないのが現状だと思うので、クライミングに特化して情報を集めていくという方法は、今の対策としては喫緊の課題だと思うので、この意見でよいのではないかというふうに私も思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

先ほどのレセプト情報については、情報としては、例えば外傷までは分かるけれども、その原因までは分からないし、現実的には、それを入れたほうがいいかというと、個人情報保護の問題とかも関わってきて難しい面もあるということについても御指摘いただいたところです。これはクライミングにとどまらない大きな問題になりそうですので、今後、そういう事故情報とかの集め方の全体について何らか検討することがあるかもしれませんけれども、とりあえずクライミングにつきましては、今も御指摘がありましたし、報告書にも書いてあるように、主立った関係省庁におかれて対応をお願いしたいというような形でまとめることでよろしいでしょうか。今村委員はそれで御了解いただいたということで。

○今村委員 それで結構です。結論としてやっていくことには賛成です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにはいかがでしょうか。

黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 クライミングというこの頃社会の中で認知されて新しいスポーツとして普及していくものについて、その事故とか安全性とかについて、各省庁でいろいろ基準が分かれている。施設の設置状況によっても違うといったような形で、統一的な安全基準もなければ、今お話がありましたが、患者さん側からの事故情報の収集というのは、やはり今村委員が御指摘のような様々な問題があるとすれば、施設側で、少なくともこういう事故が発生したということについて収集していくようなことをしていかないと、この安全性が分からないということも含めて、非常に重要な問題だと思っております。

そして、内閣府の消費者委員会というのは、このようなある意味では消費者の安全性に関する隙間事案となっているわけですけれども、その隙間事案に対して調査し、それに関して意見を述べるというのは、まさにこの委員会が付託されている権限だと思います。そういう意味で、各省庁の名前がばらばらと出ているわけですけれども、そのこと自体を指摘し、そして、それについてどのような安全基準を考えていったらいいのかということについてここで意見を述べるというのは、もしかしたら背後に重大事故があるかもしれないということすら分からない状態を含めて考えると、やはり必要なことかなと思っております。

そういう意味で、このタイミングで、消費者安全の問題について委員会から、しかも、これは完全な隙間事案だということは意見書の対象各省庁を見ても明らかですので、ここでそれについて政府に対して、あるいは各省庁に対して、この問題について少なくとも事故情報を集めろと、それから、安全基準とかいうことについても今後検討していけということ自体は極めて真っ当な意見だと思っておりますので、ぜひ発出したいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 取りまとめいただきましてありがとうございました。もう既に多くの委員の方が意見を出していらっしゃいますので、私も全く同感なのですが、1点だけ付け加えますと、特に今回の報告書の中で出ておりますが、この問題が、やはり置かれている施設の関係で複数の行政機関にわたっているというところが一つ問題というか、この問題の対応を難しくしているところかなと思っております。以前、そもそも消費者庁ができたのは、皆様御案内のとおり、複数の行政機関に分かれてしまい、いわゆる縦割りだったというのがもともと消費者庁ができたきっかけだというのはよく知られているところですが、あのときは隙間事案というのが問題にされていたと思うのですけれども、今回は隙間といえば隙間なのですが、要は施設によってどの行政機関に属するか全く変わってきているというところですので、これは報告書にも出ていますし、今回のポンチ絵にも出ているとおりですが、やはり関係行政機関の連携をぜひお願いしたいというのが私の意見でございます。

私自身、個人的には体を動かすのは非常に好きで、そんな激しいスポーツではなくても日常の仕事の合間に、例えばスポーツクラブに行ったりとか、何か体を動かすことができないかというのがあれば関係をしているのですが、やはりこのスポーツが年齢層を幅広く広がっているのは、恐らく私のような人がいるからかなと思っております。例えば、今から野球とかラグビーを始めるというとなかなか難しいけれども、最近スポーツ施設とか学校に出てきたこういう新しいものに取り組んでみたいと、それで少し体を動かしたいということも気持ちは非常によく分かるところがありますので、これが広がってきているからこそ、ここでまず実態としてどういう事故が起きているのか、件数等々を把握するというのはとても重要だと思います。

そのことは、これからぜひ始めてみようというときに、いろいろ事故もあるみたいだけれども、ちょっと怖いなという何となくの不安を消費者に与えてしまうというのは、かえってこのスポーツの発展にとってはマイナスになってしまいますので、実態としてどういうところで事故が起きていて、どういうところに気をつければいいのか。気をつけるというのは、参加する消費者はもちろんですが、その施設側がどういう安全基準とかに基づいてやっていけばいいかというのを明確にしていくというのは、間違ったというか、過度な不安を消費者に与えず、このスポーツを発展させていく上で非常に必要ではないかと思っておりますので、ぜひ関係行政機関におかれましては対応をお願いしたいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかはよろしいでしょうか。

委員の皆様から、複数の御意見をいただきました。今まで御意見をいただいたところでも、特にこの問題について、新しく伸びてきた種類のスポーツであるだけに情報が集まってきていないということがあり、情報がないとどういう対策を講ずるべきかということをきちんと検討することすらできなくなるわけですから、そういうことを捉えてこのような問題提起をすることについて賛成であるという御意見が多かったように思います。

さらに言うと、先ほど大澤委員及びほかの委員からも御指摘がありましたように、この問題が、いろいろな場所で設置されているということもあって、管轄としても複数の省庁にまたがっていて、それゆえに対応を難しくしているところがあるのではないかということです。消費者庁、消費者委員会発足の趣旨として、縦割り行政の弊害をなくす、そして、隙間事案にも適切に対応できるようにするということがございましたので、そのような観点からも、今回この問題について、このような意見を発出することが適切であるという旨の御意見があったところであります。いずれも委員から強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことに関する御発言だったと思います。

この意見案自体については、特に異論はなかったと思いますので、こちらにつきましても、皆様に御了解いただければ、「案」を取って、消費者委員会の意見としたいと思いますが、よろしいでしょうか。

○黒木委員長代理 異論ありません。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

オンラインについても確認をしますので、少々お待ちください。

(異議なしの意思表示あり)

〇鹿野委員長 ただいまオンラインで御参加の委員からも御賛同の趣旨を伝えていただきました。ありがとうございます。

それでは、ただいま取りまとめました意見については、関係省庁宛てに送付したいと思います。今回もかなり多くの関係省庁を名宛て人とさせていただいているところですが、関係省庁におかれましては、本意見の内容について積極的に御検討いただき、今後の取組に反映していただきたいと思います。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)