第467回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2025年7月23日(水)14:00~14:42
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、中田委員
- (テレビ会議)原田委員
-
- 【説明者】
- 消費者庁表示対策課 岡田課長
- 国土交通省住宅局住宅生産課 前田課長
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、吉田審議官、友行参事官
議事次第
- 住宅品質確保法について(日本住宅性能表示基準の改正)
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:180KB)
- 【資料1-1】 諮問書(住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づく議決の求め)(PDF形式:82KB)
- 【資料1-2】 日本住宅性能表示基準の改正について(国土交通省)(PDF形式:1,409KB)
- 【資料1-3】 日本住宅性能表示基準(平成13年国土交通省告示第1346号)の一部を改正する告示案(国土交通省)(PDF形式:121KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただいまより、第467回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、原田委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。
小野委員、柿沼委員、星野委員は、本日、御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 住宅品質確保法について(日本住宅性能表示基準の改正)》
○鹿野委員長 本日の議題は、「住宅の品質確保の促進等に関する法律について」です。
住宅品質確保促進法は、住宅の品質確保の促進、住宅購入者等の利益の保護、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決を図ることを目的としています。
また、同法に基づく日本住宅性能表示基準は、住宅の性能に関して表示すべき事項や、その表示方法を定めるものでありまして、表示基準を変更する場合には、同法第3条第4項において、消費者委員会の議決を経なければならないこととされております。
今回、日本住宅性能表示制度における省エネ性能に係る等級について、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス、ZEH水準を上回る新たな等級を設けることに関し、資料1-1のとおり、本年7月15日付で内閣総理大臣から消費者委員会に対し諮問がございました。
そこで、本日は、この諮問事項について、まず、消費者庁及び国土交通省から御報告をいただき、議論の上で、消費者委員会としての判断を示すこととしたいと思います。
改めて、本日の御報告者について御紹介させていただきます。
本日は、消費者庁表示対策課の岡田課長、そして、国土交通省住宅局住宅生産課の前田課長に会議室にて御出席いただいております。本日は、大変お忙しいところありがとうございます。
それでは、消費者庁の岡田課長、そして、国土交通省の前田課長から15分程度で御説明をお願いします。
○消費者庁表示対策課岡田課長 消費者庁表示対策課長をしております、岡田です。
本日は、消費者委員会の先生方のお時間を取っていただきまして、ありがとうございます。
ただいま、委員長から御紹介がございましたように、住宅の品質確保の促進等に関する法律の規定に基づき定めております、日本住宅性能表示基準について、これを変更する際には、あらかじめ消費者委員会の議決をいただくことになっております。
本日は、この住宅性能表示基準の改正につき、御審議をお願いしたいと考えております。改正内容の詳細につきましては、国土交通省の前田住宅生産課長から説明をお願いしたいと思います。
では、前田課長、よろしくお願いいたします。
○国土交通省住宅局住宅生産課前田課長 国土交通省住宅局の住宅生産課長の前田でございます。今日は、よろしくお願いします。
資料1-2を用いて、御説明差し上げます。
1ページでございます。先ほど委員長のほうからも御紹介がありましたけれども、住宅の品質確保の促進等に関する法律は、平成12年に施行されて、今年はちょうど25年で、一定の歴史がある法律になっております。目的としまして、住宅の品質確保の促進、住宅購入者の利益の保護、それから、住宅に係る紛争の迅速かつ適正な解決でございまして、下にありますように、3つの柱として、瑕疵担保責任、住宅性能表示制度、紛争処理体制の整備で構成されております。
今日は、この真ん中の「②住宅性能表示制度」の表示の基準の見直しについて御説明差し上げます。
2ページへおめくりください。
日本住宅性能表示基準と評価方法基準と、この2つの基準がございます。今日議論していただくのは、左側の日本住宅性能表示基準ということになりますが、これは、住宅の性能に関して表示すべき事項、それから、その表示方法を定めるものということになっております。
例が書いてありますけれども、これは、一次エネルギー消費量等級というものの表示の仕方として、等級1、4、5、6という形で、等級が上がるにつれて性能がよくなるといった表示の仕方になっております。
これについては、変更する場合は、社会資本整備審議会と、消費者委員会の議決を経なければならないということとされています。
念のため、右側ですが、評価方法基準というのは、それぞれの性能の評価の仕方の具体的な基準を定めているものでございます。等級6を表示するためには、こういった基準をクリアしなければいけないといった方法を定めています。今回、併せてこれも変更しますが、こちらは、社会資本整備審議会の議決のもとで、決定されるということになっております。
続きまして、3ページでございます。
審議事項でございます。今回は、一次エネルギー消費量等級の7と8を創設するという改正内容になっております。
一次エネルギー消費量等級というのは、住宅の省エネ性能をはかる性能の1つでございまして、その省エネ性能としては、断熱の性能と、設備等のエネルギーの消費量の性能があるのですが、この設備等のエネルギーの消費量をはかるものということになります。
「現状・背景」のところにありますが、一次エネルギー消費量等級というのは、ZEH水準相当の等級6が、現在、最高等級となっています。ZEHというのは、先ほど御説明もあり、5ページにも書いておりますが、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスというものでございまして、高断熱と、設備の高効率化、これを合わせた上で、更に太陽光発電等による創エネルギーを組み合わせて、ネット・ゼロのエネルギーを目指すものです。これを実現するための②の設備等の高効率化の基準が、先ほど言いました、今の等級6の基準ということになっております。
今年の4月1日から、建築物省エネ法に基づいて、省エネ基準適合義務化がなされておりますが、住宅に関しましては、その省エネ基準から、更に20パーセント削減する省エネの性能が、このZEH水準相当の等級6ということになります。
3ページにお戻りいただきまして、ここに、ZEH水準相当の等級6の後に括弧で、BEIが0.8以下(BEI≦0.8)ということが書いてあります。
このBEIというのは、先ほどの省エネ基準に対して、この一次エネルギー消費量がどれくらい省エネになっているかということを表すものでございまして、例えば、BEIが0.8の場合は、省エネ基準に対して20パーセント少ない一次エネルギー消費量ということになりますし、BEIが1.0の場合は、省エネ基準と同じとなります。後でBEIという数字が出てきますので、ここで御説明を差し上げました。
2つ目のマルでございます。
現在、等級6を取得している割合ですが、右のグラフを見ていただきますと、戸建て住宅で85.7パーセントと、かなりの割合で最高等級の等級6を取っているという状況になっております。
そういった中で、さらに地球温暖化対策計画等の政府計画において、このZEH水準を上回る水準の省エネルギー性能を有する住宅の普及を促進するといったことが位置付けられておりますので、2050年カーボンニュートラルに向けて、更に上の省エネ性能の高い住宅の普及等を図っていく必要があるという背景でございます。
一番下の見直しの方向性でございます。一次エネルギー消費量等級において、ZEH水準を上回る等級として7、8を新たに設定するということでございます。
4ページを御覧ください。
これは、具体的な等級のイメージでございます。冒頭に申し上げました、省エネ性能をはかるものとして、断熱等級と一次エネルギー消費量等級がありますけれども、今回は右側の一次エネルギー消費量等級というところでございます。
現行、等級1から、2を飛ばしまして、3、4、5、6という等級が定められております。省エネ基準が等級4、それから、先ほど申し上げたZEH水準のものが等級6という形で、ここが一番最高になっておりますけれども、さらに上ということで、BEIが0.7のものを等級7、それから、BEIが0.65のものを等級8という形で、今回創設したいと考えております。
ちなみに、断熱の等級でございますけれども、これについては、等級7までありますが、先ほど申したZEH水準のものが等級5でして、さらに、その上の水準も現行は既に定まっているところでございますが、この断熱と併せて、一次エネルギー消費量等級も、ZEH水準よりも上の水準を示せるようにしたいということでございます。
5ページは、先ほど説明しましたので省略します。
6ページでございますが、具体的な一次エネルギー消費量等級7と8の基準案でございます。
表の左側が日本住宅性能表示基準でございまして、右側が評価方法基準になっております。
表示基準につきましては、まず「説明事項」という欄がありますが、今まで等級1から6という形になっておりますが、ここに等級7、8を追加するということでございます。
それぞれの文言でございますが、等級6よりもさらに上のレベルということでございまして、等級7は、一次エネルギー消費量のより著しい削減のための対策が講じられていると、それから、等級8については、一次エネルギー消費量の極めて著しい削減のための対策が講じられているという性能の程度を示すことにしております。
それから、一番左の欄でございます。表示方法のところでございますが、赤字の等級7、8が追加され、さらに、等級6以上にあっては、床面積当たりの一次エネルギー消費量を示せることにするということが書いております。
今まで、等級6を超えた場合に、更により高いレベルのものについて、床面積当たりの一次エネルギー消費量を示せることにしておりましたが、等級7と8でも、詳細の一次エネルギー消費量を示せるようにしたいということでございます。
もう一つは、太陽光発電設備等による一次エネルギー消費量の削減率を併せて明示することができるということでございまして、基本的には、太陽光発電は、等級6、7、8の評価基準では考慮しませんが、太陽光発電をつけたときの削減率を併せて表示できるとすることによって、消費者の選択に資するということで考えています。
次の7ページの今後のスケジュールでございます。
既に、社会資本整備審議会建築分科会で4月に審議をいたしまして、その後パブリックコメントを行い、社会資本整備審議会建築分科会で書面表決という形で議決を得ているところでございます。
そして、本日、消費者委員会のほうで審議していただくということを考えています。御了承いただきましたら、9月頃に公布、それから12月頃に施行という段取りにしています。
8ページでございます。
5月から6月に実施したパブリックコメントの主な意見とその考え方をお示ししております。
1つ目につきましては、等級6から8において、再エネの数値の表示を行うことに賛成ということでございます。これは、このとおりということでございます。
それから、2つ目と3つ目は、同じく太陽光発電の関係ですが、2つ目は、太陽光発電設備に係る評価基準は不要ではないかということでございますが、等級7、8の評価基準には、太陽光発電による設計一次エネルギー消費量の削減量は加味されないということでございまして、こういった中で、等級6から8で削減率を任意で表示ができるようにするということは、再生可能エネルギーの利用促進に資するものであるということでございまして、ニーズに応じて表示できるようにしたいということでございます。
3つ目でございますが、太陽光発電設備等による設計一次エネルギー消費量の削減率は、自家発電による削減量のみ考慮されるのかということでございます。この意味は、売電分を表示できるか、できないかということでございますが、これについては、両方について削減率を明示することが可能ということにしております。
それから、先ほど言いましたBEIとの整合をはかるため、基準からその他の一次エネルギー消費量を除くべきではないか、については、かなりテクニカルな話ですが、例えば、空調ですとか、給湯ですとか、そういったものは、この一次エネルギー消費量という形で入っておりまして、それに加えて、例えば、OA機器なども、「その他の一次エネルギー消費量」として、その中では入っています。BEIを計算するときは、その他の部分は除いているという形で表記しておりますので、この「その他」の部分を、そもそもなくすべきではないかというお話でありますが、これは建築物省エネ法の省エネ基準での整理に整合を取った形にしており、ここでも同じ整理にしたいと考えております。
それから、一次エネルギー消費量等級7、8の仕様基準を早期に整備すべきではないかということですが、これについては、まだ、等級7、8の住宅が一般的にたくさん出ているわけではございませんので、その実態を踏まえながら、仕様というのを決めていくかどうかは、今後、検討してまいりたいと思っております。
最後もテクニカルな話でございますが、エネルギー消費性能計算のためのプログラムがありまして、そこで今回の判定結果、例えば、こういう設備を入れたら等級7とか8というのが出るようにしてほしいということの御要望でございますが、これは、今後の参考とさせていただくこととしております。現状、これは、あくまで設計者向けのプログラムでございまして、具体的に、プログラム中で判定結果を示すということは、民間のソフトに接続して行っている事例はありますので、基本的にはその形で進めていくのがよろしいのではないかと思います。
9ページ以降は参考でございます。
一番高い等級8の仕様ですと、このような設備があれば達成できるということをお示ししています。かなり高効率の設備を導入していくということになっております。
それから、10ページ目ですが、等級8のレベルのものについて、国の支援制度として支援しているものがございます。左にありますGX志向型住宅というものでございまして、左の一番下に※印で書いておりますが、一次エネルギー消費量▲35パーセント、断熱等級6と書いてありますが、この一次エネルギー消費量▲35パーセントというのが等級8に当たりまして、こういったものについて、現在、支援をしているところですが、これを統一的に表示できるような形にしたいということでございます。
11ページ目は御参考でございます。
私の説明は以上でございます。
○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。
これより、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は、25分程度を予定しております。いかがでしょうか。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
今回、断熱を強化することでエネルギー消費量を減らすこと、そのものは賛成なのですけれども、断熱を上げると換気が悪くなるという相反する関係にあると思うので、その辺はどのような検討がされたかというのを教えていただきたいのです。
私、ビル管なども昔に所管したことがあって、また、労安法での二酸化炭素の基準なども所管したことがあって、なかなか断熱を上げると、密閉すれば二酸化炭素濃度も、瞬間湯沸かし器などでの一酸化炭素中毒も一気にリスクが上がるというのを経験してきた中で、今回これだけの断熱効果を上げようと思うと、かなり密閉率が上がるので換気は悪くなるだろうなと思いましたので、その辺のところの検討状況を教えていただければと思います。
○国土交通省住宅局住宅生産課前田課長 参考資料の投影をお願いいたします。今村委員御指摘の点でございます。
まず、省エネ性能をはかる基準として、断熱の性能と一次エネルギー消費量、この2つがあるということを申し上げました。
断熱は、外気と内部の室温の差があるときに、どれだけ熱を伝えないかということを評価する形になっております。
そういう意味では、この断熱の仕様、要は断熱材をたくさん入れることが大前提なのですが、そのときに気密性があまりよくないと、確かに断熱性というのは確保されないということでございます。基準としまして、気密性みたいな基準はありませんでして、例えば、施工のときに気密性を確保しなさいということは、技術的な資料、解説等で示しているので、そういうことで気密性を一定程度確保するという前提になっております。
その上で、もう一つの一次エネルギー消費量というのが評価されるわけですけれども、そのほかに、建築基準法で、そもそも換気の基準というのが決まっているところでございます。
今、お配りした資料を見ていただきますと、いろいろな基準の定め方が書いてあるのですが、基本的には同じ性能を目指しているのですけれども、例えば、住宅ですと、居室の床面積に対して20分の1以上の換気に必要な開口部を設けるという基準が決まっていたり、あるいは自然換気設備を設ける、あるいは機械換気設備を設けるという形になっております。あとは、中央管理方式、大きなビルの場合、先ほど今村先生がおっしゃったようなビル管理法の対象になると、炭酸ガスの含有率などが基準で決まっているということになっておりまして、これは、建築物として必ず守らなくてはいけない基準になっています。
これを前提としまして、先ほどの一次エネルギー消費量というのは、例えば、換気設備の消費量や、空調などを評価することにしておりますので、それを前提としてどれぐらいのエネルギー消費量かというのを出すことになっておりますので、両立した考えになっているということでございます。
○鹿野委員長 今村委員、よろしいですか。
○今村委員 両立しているということではあるのですけれども、例えば、窓があることが建築基準法の前提ですけれども、昔、一酸化炭素中毒が起こったのはアルミサッシが普及したときに、窓を開けるという習慣が当時日本にはなかったので、一酸化炭素中毒で結構な方が亡くなっています。
断熱が上がると、全体に換気力が落ちるので、今までと同じような感じで窓を開けていったら、やはり一酸化炭素中毒が起こるリスクも高くなると思うし、二酸化炭素濃度も上がると思うので、やはり断熱に合わせて換気の必要性というのは、ぜひ、注意喚起をしていただく必要があるのではないかなと思いますので、ぜひ今後、法律を普及する際に、そういう必要性もあるということは、コメントをしていくようにしていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
それでは、中田委員、お願いします。
○中田委員 御丁寧な説明をありがとうございます。2点質問をさせてください。
資料の5ページに、ネット・ゼロ・エネルギー・ハウスの定義として、快適な室内環境を保ちながら、住宅の高断熱化と高効率設備によりできる限りの省エネルギーに努める上で、1年間で消費する住宅エネルギー量が正味ゼロ以下になる住宅と定義されていますが、この中の快適な室内環境の定義はどのようなものか、御教示いただきたいと思います。
伺っている背景といたしましては、先ほど今村委員からの御質問とも若干関係するのですが、快適性の定義は、暑さ、寒さ、風通しとか、部屋の明るさ、防音、耐震など、あらゆるストレスから解放されている室内環境があると思いますが、今回の省エネ等級7、8を設定することで、メーカー目線では、やはり上限目標を達成しようとするインセンティブが強く働くと思うのですが、このKPI向上を目指すことと、そこに住んだときの快適性、QOL、quality of lifeですが、生活の質は相反することもあると思われるのですが、バランスの取れた性能の住宅品質が生活者にとっては、私は重要であると考えるのですが、御担当省庁としては、等級の上位を目指すことと、総合的な快適性であったり、あるいは住宅価格設定のバランスについて、どのようにあるべきとお考えかということを、まず、1点お伺いしたいと思います。
2点目は、私が不勉強のため教えていただきたいのですが、住宅性能表示制度は、新築住宅を対象とした制度であると思うのですが、中古住宅の性能の基準はどのように評価されているのかと、今回の基準に準ずるのかといったところを教えてください。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、2点ございましたので、お願いします。
○国土交通省住宅局住宅生産課前田課長 ありがとうございます。
2点御質問がありましたが、最初の快適な室内環境でございますが、もちろん住宅の性能というのは、こういった省エネ性能だけではなくて、もともと快適性というのが求められるということになると思いますし、まさに数値だけを見るというのは、あまり好ましくない、総合的に判断していくべきだと考えております。
その前提で、このZEHの中の室内環境というのは、どこまで定めるというのは、今、手元にないのですけれども、基本的には、まず、建築物省エネ法の中の省エネ基準というのがあって、その上としてZEH基準があります。省エネ基準はどのように定められるかというと、それぞれの時代において、最も標準的な設備に対して、それがどれくらい省エネ性能を上げていくかということで、決めている形になっています。当然ながら、生活環境が前提となった設備で、その消費量に対して、どれぐらい性能を上げていくかという考え方になっているということでございますので、まずは、そういった生活環境は大前提という形になるかと思います。
その上で、やはりハウスメーカーなども、快適性をなしにして商品を売るものではありませんし、むしろ、断熱化とか省エネ化というのが、逆に消費者に伝わりにくいというのがありまして、こういった等級を示すことによって見える化しています。最近では断熱化することによって、室内の温度変化が少なくて、健康にもいいということも結びつけて説明されていますけれども、そういったトータルでの説明をされていると認識しております。
あと、価格設定につきましては、性能が高くなると価格も高くなるというのは、当然出てくると思いますが、一方で、性能が高いものがどんどんつくられていくと、工場の生産ラインもそういったものに合わせてつくられ、大量生産でだんだん価格が下がっていくということもあります。ペアガラスなどは、昔はなかったのですけれども、今は当たり前のように出てきていますし、それで価格が現に下がってきているということもありますので、そのような動きもあわせて、世の中全体として性能を上げていくという効果にもつながっていくのではないかと思っております。
あと、現行において、住宅性能表示制度も新築住宅向けの表示制度と、既存住宅向けの表示制度と両方ありまして、今回の一次エネルギー消費量等級7、8も、既存住宅向けも含めてできるようになっています。
○鹿野委員長 中田委員、よろしいですか。
○中田委員 御説明ありがとうございます。目的を含め、クリアになりました。ありがとうございます。
○鹿野委員長 それでは、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 御丁寧な御説明をいただき、ありがとうございました。
一消費者目線で、私も戸建てではなくて、集合住宅ですけれども購入したことがあって、やはりこの手の基準というのを、新築だったものですから見たことがあるのですが、一消費者目線で伺いたいのですが、今回の基準というのは、一次エネルギー消費量の削減の程度を示すというもので、ここに等級7と8というのをつけるということだと理解しています。
それで、資料の6ページを見ると、等級8というのが、一次エネルギー消費量の極めて著しい削減のため、7というのが、より著しい削減のためということで、極めてとあるので非常に優れているのだなというイメージは持てるのですが、やはり一消費者から見たときに、例えば、等級8と7と、更に言いますと、その前までの6というものとは、どの程度変わってくるのかというのを、具体的に現場でどういう形で、例えば、新築住宅を販売する現場であったり、何かマークのようなものがあるというのは見たことがあるのですが、このマークを見て8です、7ですと見ても、やはり消費者からしたときに、なかなかイメージが湧かないのですが、どういう工夫をされているのかと、すみません、非常に素朴な質問でございます。
といいますのも、同じく断熱等性能等級というのもありまして、断熱はイメージが湧きます、何となく漢字を見て、今のように、例えば隙間から熱が入らないようにするとか、そうすると、冷房効率がよくなるのだろうということぐらいは想像できるのですが、一次エネルギー消費量というのも、何か電気をたくさん使うとか、そういうことかなぐらいのイメージは湧くのですけれども、そもそもこの2つは両方存在しているということもあって、具体的にどのような違いがあるかとか、そういうことを消費者にどのように伝えていく工夫をなさっているかということを、国土交通省様はもちろんですが、販売現場等々でどのようにされているかというのを、ぜひ教えていただきたいと思います。一消費者としては、そこが少し消費者に見やすく分かるようにすると、よろしいのではないかと思います。
資料の9ページに、等級8のイメージということで、これは、すごい住宅だなと思ったのですけれども、LEDを使って、高効率エアコンを使ってとか、高断熱浴槽というのもあるのだなと感想を持ったのですが、なかなかここまでのおうちというのは、それこそ経済的にも、ここまでのものというのは、補助等々を受けたとしてもなかなか難しいかなと思いますので、これの例えば1個下がる7だと、どういう違いがあるのかというのは、なかなか消費者に分かりにくいように思うので伺う次第です。
以上です。
○国土交通省住宅局住宅生産課前田課長 ありがとうございます。
まず、表示基準の記述の仕方ですけれども、これは、ほかの性能等級も含めて一定のルールで定めていますので、どうしても、よりとか、極めてとか、すごく定性的な書き方になるのですけれども、等級5、6、7、8という数値化をすることによって少し分かりやすくするということと、その裏づけとなるものとして、先ほど申し上げたBEIから、今の省エネ基準に比べて何パーセント削減というのが分かるようにはなっているということでございます。
一方で、確かに消費者に分かりにくいというのはおっしゃるとおりで、そういった声も多くいただきましたので、建築物省エネ法の中で、省エネ性能表示制度というのを別途設けています。これは、省エネに特化したものでして、共通のラベルを使って省エネ性能が高いと星が3つ、4つと示されるとか、電気代みたいなものを一定のルールに基づいて、これくらいのですというのを示したりして、消費者に訴求できるような工夫に取り組んでいます。等級7、8は、今回新しく設定するものですので、そこには盛り込んでおりませんけれども、今後省エネ性能表示にも入ってくるのかなと思っております。
また、断熱と一次エネの違いというのは、確かに分かりにくいのですが、断熱というのは割と分かりやすくて、一次エネというのは、設備の消費エネルギーということを現場ではしっかり説明していただくことや電気代などで説明しているのかなと思いますけれども、そういった形になっております。
それから、最後の9ページは、あくまでイメージでございまして、例えば、ZEH水準で言えば、ここの設備のうち、LED照明と高断熱浴槽みたいなものがあれば、一般的な設備でも達成でき得るだろうと考えております。それに対して、今回の等級8というのは、このイメージくらいやらなくてはいけませんということになっておりますので、逆に、このイメージくらいやれば等級8です、ということが主張できるようになるということなのかなと思っています。
どうしても価格というのは、やはり高くなっていきますが、先ほど申し上げたように、量産していくとだんだん下がって標準化していくということを考えておりますので、少しずつ誘導しているということで御理解いただければと思います。
以上です。
○大澤委員 御説明いただき、ありがとうございました。
まさに電気代ですとか、その星というのは見たことがあったものですから、それとどう違うのかなというのが気になっていたのですけれども、それが、今、伺ってよく分かりました。
まさにエネルギー消費は、今、日本はもちろんですが、世界的にも、消費者も関心を持っている事柄だと思いますので、これだけ電気代等々が高騰したりというのもありますし、環境保護の意識も消費者は高まってきていると感じておりますので、ぜひ今後も消費者への伝わり方等を、一消費者としては何かもっと、今も十分工夫されていることは十分分かりましたけれども、ぜひお願いしたいと思いました。ありがとうございました。○鹿野委員長 ほかは、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 御説明ありがとうございました。
2点ほど質問させていただきます。
まず、断熱の性能等級の際には、戸建てと共同住宅で施工時期がずれていました。今回の一次エネルギー消費等級については、戸建てと共同住宅を同時に施工する予定で御審議されているのでしょうか。
次に、先ほどの議論とも少し関係するのですが、共同住宅の中には、いわゆる投資用のアパートも含まれてくると思います。
共同住宅の場合、ある程度、概数での想定で結構ですが、等級7、8を取得することによって、おおよそ坪単価はどのくらい上がってくるのでしょうか。特に投資用の共同住宅の場合、建設業者が、高額な建設代金がかかるアパート建築をすすめ、その投資金額を回収するのが困難な賃料収入しか得られなくなり、消費者被害につながるという現場を見ているものですから、もしもお分かりになりましたら、その点について教えていただければと思います。
よろしくお願いいたします。
以上、2点です。
○国土交通省住宅局住宅生産課前田課長 1点目でございますけれども、今回は、戸建てと共同ともに同時に施行する予定にしております。
2つ目は、なかなか難しい御質問でございまして、どれくらい価格が上がるかというのは、それぞれで違ってきますので一概には言えないということでございますけれども、説明を省略いたしましたが、11ページでは、今回GX志向型住宅というのを支援することにしておりまして、これは共同と戸建てで分けているわけではないのですけれども、一戸当たり最大160万円支援するという形になっておりますので、これが大体コスト増分の2分の1想定ぐらいと考えていますので、もう少しやはり大きくなるという形になるかと思います。
以上です。
○黒木委員長代理 分かりました。とにかく、いいものが社会に広がっていくことに関してあれではないのですけれども、常に事業者と、特に投資をさせられてしまう消費者というのもいますので、その辺りも視野に入れて政策を進めていただければありがたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ほかは、いかがでしょうか。
よろしいでしょうか。それでは、議論はここまでとし、委員会としての答申案を表示または配付したいと思いますので、しばらくお待ちください。
(答申案の画面表示及び配付)
○鹿野委員長 ただいま、追加資料として表示、配付しました答申案では、令和7年7月15日付で内閣総理大臣から当委員会に諮問のあった事項については、住宅の品質確保の促進等に関する法律の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申するとしております。
先ほどの質疑においては、今回の表示基準の変更について反対という御意見はなかったと思われますが、ただいま追加資料として配付した案の内容で答申としてよろしいでしょうか。
○黒木委員長代理 異論ありません。
(異議なしの意思表示あり)
○鹿野委員長 皆様に御了解いただきましたので、この内容で内閣総理大臣宛てに答申をしたいと思います。
御出席いただいた皆様におかれましては、お忙しいところ御対応いただき、ありがとうございました。
本日の会議の先ほどの質疑応答の中では、反対というわけではないのですが、この改正の後の対応について、例えば、今村委員からは換気の重要性についても注意を促すようにする必要があるという御意見もありましたし、それから、先ほどの大澤委員の御意見の中でも、この7、8という数字を新たに設けるということで、それがどのように違ってくるのかということと、その趣旨などについて消費者の理解を得られるように工夫していただきたいということもございましたので、今後の運用において、また事業者にもそういうことを促していただければと考えております。
本日は、どうもありがとうございました。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
《3. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)