第463回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2025年6月11日(水)9:30~10:23
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (テレビ会議)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、中田委員
-
- 【説明者】
- 農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付 丸田様
- 農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付 西元様
- 消費者庁公益通報・協働担当 浪越参事官
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:176KB)
- 【資料1-1】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について(諮問)(PDF形式:90KB)
- 【資料1-2】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正案について(農林水産省)(PDF形式:1,220KB)
- 【資料1-3】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令案(要綱)(PDF形式:62KB)
- 【資料1-4】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令案(案文)(PDF形式:115KB)
- 【資料1-5】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令案(理由)(PDF形式:43KB)
- 【資料1-6】 国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令案(新旧対照条文)(PDF形式:173KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところをお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。
ただいまから、第463回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、中田委員、そして私、鹿野がテレビ会議システムにて出席、原田委員、星野委員、山本委員は所用のため御欠席です。なお、大澤委員は少し遅れて御参加と伺っております。
まず、本日の会議について御説明をしたいと思います。
消費者委員会運営規程第5条第2項においては「委員会は、会議を公開することにより、当事者若しくは第三者の権利若しくは利益又は公共の利益を害するおそれがある場合その他の委員会が非公開とすることを必要と認めた場合を除き、公開する。非公開とすべき事由が終了したときは、公開するものとする」と規定されております。
また、同条第3項において「前項の規定により委員会が会議を非公開とすることを認めた場合は、委員会はその理由を公表する」旨が規定されております。
本日は、閣議決定前の具体的な政令の改正案が審議の対象となることから、次に申し上げます2つの理由により、会議を非公開で行うこととしたいと思います。
まず、理由の第1ですが、閣議決定前の条文案が公表されることにより、様々な意見や憶測等が生ずることが想定され、円滑な改正に支障を来すおそれがあるということ。
第2に、改正の趣旨に鑑み、施行前の高値売り抜け等の潜脱行為を可及的に防止するため、改正内容の公表から施行までの期間をできるだけ短くすることが重要であることであります。
ただし、閣議決定後においては、非公開とすべき事由が終了しますので、資料や議事録については事後的に公開することとしたいと思います。この点、いかがでしょうか。
(異議なしの意思表示あり)
ありがとうございます。
御異議がないとのことでしたので、本日の会議については、今、申しましたように、現時点では非公開ですが、事後的に公表されるということにしたいと思います。それを前提として御発言をいただければと思います。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。委員の皆様方は、テレビ会議システムにて御参加いただいております。説明者につきましては、会場にて参加しております。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について》
○鹿野委員長 本日の議題は「国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について」でございます。
本件につきましては、資料1-1のとおり、本年6月10日に農林水産大臣より国民生活安定緊急措置法第26条第1項、第31条及び第37条の規定に基づき、国民生活安定緊急措置法施行令の一部を改正する政令を制定することについて諮問がございました。
本日は、この諮問事項について農林水産省からのヒアリングを行い、審議を行った上で、委員会としての判断を示すこととしたいと思います。
本日は、農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付の丸田様と、農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付の西元様に、会議室にて御出席いただいております。
また、質疑対応として、消費者庁公益通報・協働担当の浪越参事官にも同じく会議室にて御出席いただいております。
皆様、本日はお忙しいところをどうもありがとうございます。
それでは、早速ですが、施行令改正の概要につきまして、20分程度で御説明をお願いいたします。
○農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付丸田様 農林水産省農産局の丸田と申します。
このたびは急遽の開催につきまして、大変御多忙のところをお時間を賜りまして、誠にありがとうございます。
米につきましては、現在、市場で高値で取引されておりまして、一部転売の動きが見られるというところでございまして、これに関しまして、小泉農林水産大臣の指示の下、備蓄米の随意契約による売渡し等の施策を進めているところでございますが、今回、その施策の一環として政令案の御審議を賜りたいと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、資料を御説明いたします。資料1-2を御覧いただければと思います。
まず、表題にありますとおり「国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について」ということでございます。
次の1ページ目でございます。まず米の小売店での販売数量・価格の推移について御説明をいたします。
こちらにつきましては、POSデータに基づきまして作成しました全国のデータでございます。販売価格につきましては、昨夏以降、前年より高い水準で推移しておりまして、令和7年5月19日、先月5月19日の週は5キロ当たり4,260円ということでございまして、対前年同期比プラス100.3パーセントの上昇となってございます。米につきましては、1年1作であり、本年9月の新米の本格的な供給開始まで、新たな供給は増加しないということでございまして、現在端境期に入りつつあるという状況でございます。
下のグラフを御覧いただきますと、先ほど御説明をいたしました5キロ当たりの価格でございますが、4,260円ということでございまして、1年前を御覧いただきますと2,400円を下回る価格であったのが、ここまで高騰している状況でございます。
次のページを御覧ください。2ページ目でございます。次に、米の小売価格の消費者物価への影響につきましての御説明でございます。
本年4月の消費者物価指数上昇分3.6パーセントのうち、米の価格上昇分によるものが16パーセント、寄与度としては0.58でございます。米の占めるウエート0.62パーセントを踏まえると、非常に大きく寄与している状況となってございます。
左下の図を御覧ください。消費者物価指数の推移でございます。こちらにつきましては、令和2年を100とする指数でございます。御覧いただきますと、パン、麺類、こちらにつきまして、令和4年から上昇の基調となってございます。こちらにつきましては、円安やロシアによるウクライナ侵攻等がございまして、まず小麦価格、それから大豆価格の国際価格上昇も伴いまして上昇ということでございまして、こちらに伴いまして、米類のほう、お米のほうが安く価格として推移しておりましたので、相対的に安いお米に需要が移っていったという状況でございます。そうした中、昨年の夏に地震の警報を踏まえまして、消費者の方々が米の買いだめということを実施されたということでございます。また、そういったこともありまして、小売等も含めての流通の段階でいろいろな販売のものが減少していったということでございまして、そうした中でこのように消費者物価指数における米類の指数が上昇しております。
右の消費者物価指数への影響でございますが、先ほど申し上げましたウエート0.62パーセントなどの数値がこちらのとおりでございます。
次のページを御覧ください。3ページ目でございます。本年5月から開始しております政府備蓄米による売渡しについての御説明でございます。
安価で安定的な米の供給を図る目的で、小売事業者に対して随意契約による政府備蓄米30万トンの売渡しを開始してございます。当該政府備蓄米については、店頭の価格平均4,260円/5キロ当たりより安い、2,160円/5キロ当たり程度での流通が見込まれてございます。
下の図でございますが、5月26日に随意契約を開始したということでございまして、5月31日から店頭販売が開始されてございます。現在、こちらの販売の状況調査などを行っておりますが、税込2,160円程度での流通が確認できてございます。また、随意契約による米の販売につきましては、今月の第4週あたりから数量が増加するということで、我々農林水産省のほうで見込んでいるところでございます。
次のページを御覧ください。4ページ目でございます。消費者委員会への諮問についてでございます。
懸案事項でございます。政府備蓄米が、小売店等で平均店頭価格より安い約2,160円/5キロ当たりで販売される中で、他の米穀も含め、小売店等で米穀を購入した消費者がフリマサイト等で高額で転売することで、需要が過熱し、米価の高騰が続くおそれについて我々は懸念してございます。
このため、以下の国安法の改正のとおりでございますが、国民生活安定緊急措置法(国安法)第26条では、需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難である等の条件を満たす場合、政令で物資を指定し、譲渡制限等を行うことができることとされております。これに基づき、米穀の需給の均衡が回復する等の条件を満たすまで、国安法施行令で「米穀」を指定し、同令において、購入価格を超える額での転売を禁止する規定を設けるとともに、この規定に違反した者には、1年以下の拘禁刑もしくは100万円以下の罰金、またはこれを併科することとしたいというところでございます。
続きまして、参考ということでございまして、5ページ目、国民生活安定緊急措置法に基づく米穀の転売規制についてということでございます。
こちらにつきましては、上の矢印のとおりでございますが、小売事業者等から購入した個人等の、こちらの赤文字の部分でございますが、販売(取得価格を超える価格での譲渡)の禁止ということでございます。こちらが今回の政令の転売規制の内容を分かりやすく示したものでございます。
対象の米穀につきましては、後ほど御説明をいたします。また、施行日でございますが、公布日から10日後に施行ということで検討してございます。また、現在、今週金曜日13日の閣議決定に向けて政府内で調整をしているところでございます。
次のページを御覧ください。6ページ目でございます。転売が禁止となる米穀の購入元についてということでございます。
一般消費者がアクセス可能な店舗、インターネットサイトなどを通じて広く米穀を販売する小売事業者等が対象となります。具体的には、小売事業者に加え、集荷事業者、卸業者及び個人も、消費者向けに広く直販する場合が対象となります。ただし、事業者を対象に相手方を特定して取引を行う通常の卸売取引は対象外となるというところでございます。
次のページを御覧ください。(参考)米穀について、7ページ目でございます。
米穀には、もみ、玄米、精米及び砕米が含まれる一方、加工品であるパックご飯や飲食店等で提供される炊飯された米飯などは指定の対象としないこととしてございます。こちらにつきましては、今回の政令が閣議決定、公布された場合には、それと同時にこちらも含めてのQ&Aを農林水産省のホームページで公表いたしまして、しっかりと周知することといたします。
続きまして、8ページ目、国民生活安定緊急措置法の抜粋でございます。
第26条でございます。こちらが今回の措置の根拠規定の1つでございます。読み上げさせていただきますと「物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合において、生活関連物資等の供給が著しく不足し、かつ、その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難であることにより、国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるときは、別に法律の定めがある場合を除き、当該生活関連物資等を政令で指定し、政令で、当該生活関連物資等の割当て若しくは配給又は当該生活関連物資等の使用若しくは譲渡若しくは譲受の制限若しくは禁止に関し必要な事項を定めることができる」という規定でございます。
このページとともに、条文のほうで御説明を差し上げたいと思います。資料1-6の新旧対照表を御覧ください。
開いていただきまして、1ページ目でございます。今回の政令の第1条でございますが、「国民生活安定緊急措置法第二十六条第一項の政令で指定する生活関連物資等」ということでございまして、こちらにつきましては「米穀」としてございます。
また、米穀の転売禁止の規定が第2条でございます。「米穀を不特定の相手方に対し売り渡す者から米穀の購入をした者は、当該購入をした米穀の譲渡をしてはならない」、括弧書きの中で(不特定又は多数の者に対し、当該米穀の売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて、当該米穀の購入価格を超える価格によるものに限る)ということでございまして、こちらで高値の転売の旨を規定しているところでございます。
また、罰則につきましては、第7条でございます。先ほど言及したとおりでございまして、省略をさせていただきます。
また、資料が飛びまして大変恐縮でございますが、資料1-4を御覧ください。
こちらの2ページ目でございます。後ろから5行目、附則ということでございまして、施行期日でございますが、御説明したとおり「公布の日から起算して十日を経過した日から施行する」ということとしてございます。また、経過措置につきましても、こちらの第2項のとおり設けてございます。
次のページの第3項の改正は、今回の規定の措置による条ずれの対応でございます。
最後に、資料1-2、パワーポイントでお作りいたしました資料の8ページ、国民生活安定緊急措置法の該当性について口頭で申し上げたいと思います。
第26条第1項でございます。「物価が著しく高騰し又は高騰するおそれがある場合」というところでございますが、こちらにつきましては、冒頭に御説明いたしましたとおり、消費者物価指数は高騰してございますが、現状は物価が著しく高騰している状況にあるとまではなかなか言い切れないというところでございますが、米価が昨年比で約2倍となっている状況でございまして、先ほど資料で御説明したとおり、ウエートが少ないものが大きく、米穀が大きく消費者物価指数に影響しておりますので、これ以上の米穀の高騰が発生した場合に、一般物価全体が高騰するおそれがあると考えてございます。
また、こちらの条文の規定、続きでございますが、「生活関連物資等の供給が著しく不足」という点でございます。こちらにつきましては、米の生産量が不足するということ以外にも、米の消費者に届く時点での供給が不足している場合には、この法律の対象となるということでございます。実際としては、米の生産量が不足しているという状況にはないという状況でございますが、御案内のとおり、小売店の棚が空になったりとか、それから小売店の販売価格が昨年の2倍になるなど、消費者にとっては供給が不足しているという状況にあると考えてございます。
また、法文でございますが、「その需給の均衡を回復することが相当の期間極めて困難」ということにつきましては、御説明したとおり、米は1年1作であり、急な供給増は不可能であるということでございまして、現在、端境期に入っているという状況でございまして、こちらにも該当するということで考えてございます。
また、法文の続きでございますが、「国民生活の安定又は国民経済の円滑な運営に重大な支障が生じ又は生ずるおそれがあると認められるとき」でございますが、米は依然として国民の主食でございまして、国民の供給熱量、カロリーの約2割を占めるという状況でございます。こうした中で、今回の価格高騰及び消費者段階における供給不足により、現に国民生活の安定等に重大な支障が発生していると考えてございます。
私からの御説明は以上でございます。
○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。
これより質疑応答、意見交換の時間を設けたいと思います。時間は30分程度でお願いします。いかがでしょうか。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
御説明ありがとうございました。
改正の趣旨はよく分かったのですけれども、教えていただきたいのですが、米は昔、食管法があって、その中で流通規制なども行われていたと思うのですけれども、私、食品に深く関与しているので、この食管法での流通規制や食管法も引き継がれた法律があったと思うので、そちらの規制ではなくこちらを使っているというあたりをもう少し詳しく教えていただいてよろしいでしょうか。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 ありがとうございます。農林水産省の西元でございます。
今、御質問がありましたとおり、食糧法にも類似するような規定があるというところは事実としてございます。一方で、食糧法は供給自体が途絶えて、そこからサプライチェーンが乱れて、最終的に消費者のところにお米が行き渡らなくなる事態を想定している一方で、今回に関しましては、当方の農水大臣も国会等でも答弁しておりますけれども、絶対的な供給量が不足して結果として消費者段階で市場の混乱が発生しているというわけではなくて、流通面の目詰まりであるとか、そういったところが原因で、何らかの原因で最終的に消費者段階で市場の混乱が生じているというところかと。需給の不均衡が生じているところでございます。そういう点では、今回の状況に関しましては、食糧法で対処するというよりはこちらの法律で対処するよりないということが我々の考えでございます。
○今村委員 趣旨は分かったのですけれども、食管法の時代も流通規制をかけて、流通規制外に出たものはヤミ米という流れの中で、違うものが生まれてきた経緯があると思うのですけれども、今回はかえってヤミ米を生んでしまう可能性はないのでしょうか。それは最終的に食管法も自主流通米から廃止になっていった経緯がそういう経緯であったと記憶していますので、その辺の懸念についてはどう考えておられますか。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 当時の食管法の時代の流通を管理していた時代と、今は流通自体も基本的には自由の下で、ただ今回このような形で需給の不均衡が消費者のところで生じてしまっているところを踏まえて、今回の規制に関しては消費者のところで転売行為が行われることによって、更に需要が過熱して価格が上がってしまうということを、この国安法の趣旨に基づいて抑えるためにやるものと考えております。
一方で、これが更に流通の混乱を生ずるのではないか、ヤミ米みたいなものを生むのではないかという話がありますけれども、あくまでも消費者に売った先の部分の考え方を変えるということが今回の規制の趣旨でございますので、その手前段階の卸売段階のところでのいわゆる昔のヤミ米みたいな話には、あまり関係しないかと。
一方で、おっしゃるとおり、今回需給に不均衡が生じている原因の1つは間違いなく卸売段階での流通の目詰まりにあると旧食管法の時代に戻すようにはならないと思いますけれども、その時代からの歴史的な流れ等も踏まえて、これから細かな分析はしなければいけないと思います。1つの原因は流通にあると思っておりますので、しっかりそこの原因については別途検証していく必要があると、ほかの場で大臣なりから御発言があったのかと理解しているところでございます。
○今村委員 分かりました。
あまりひずみが生まれないようにぜひ調整して進めてもらいたいと思います。
今村からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
中田委員、お願いします。
○中田委員 御説明ありがとうございます。
2点質問をさせてください。
1点目は、規制の対象についてですが、現状、主に備蓄の白米の高額転売が問題になっているのではないかと推測しますが、今回は規制の対象を白米以外に米穀全般として、もみ、玄米、精米、砕米まで幅広く対象とする理由を教えていただきたいと思います。幅広に転売規制をすることで、高くても購入したいという消費者の本来の需要や市場の自由な価格形成を阻害して、消費者の選択肢を制限するというリスクはないかを伺いたいと思います。
2点目は、規制の解除について伺いたいと思います。米穀の需給の均衡が回復して譲渡制限を解き、規制解除が妥当であるという基準及び判断主体は、どのようになりますでしょうか。需給が均衡を保っているということはどういう状況をいうのか、今回の規制の具体的なゴールはどこにあるのかということを伺いたいと思います。もし可能であれば、解除の時期の見込みについてもお考えがあれば御教示いただきたいと思います。
以上の2点です。
○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 農林水産省の西元でございます。
1点目、私から技術的な観点で御説明させていただきます。まず、今回、国安法の指定の対象は皆さん御承知かと思いますけれども、物資という単位で指定することになっておりまして、それは市場においてほかのものと区分されているということが1つの条件になるかと思っております。他法令の例等も参考にしたところではございますけれども、おっしゃるとおり、流通形態としては玄米、砕米、もみと比べて精米が圧倒的に多いですので、転売事例も精米のものが多い一方で、ただ、精米の価格が高くなれば玄米を食べようかとか、あるいは食味としては落ちるかもしれませんけれども、例えば砕米が少しブレンドされたものであるとか、あるいは砕米から少し良いものを振り分けたもので流通したものを食べるとか、そういったことも考えられる中で、市場の代替性が高いものというところで、この玄米、精米、砕米を含む米穀を対象としています。玄米を精米すれば、あるいはもみを加工して玄米にして精米すれば精米になりますので、そういった意味で代替性が非常に高く、同じような市場にあるものということで、こちらについて規制をかけることとしております。ほかの法律の例を見ても「米穀」という形で物資を指定している例もありましたので、そういった意味でもこの「米穀」という範囲でやることが適切かと考えております。
2点目とも関係してまいりますけれども、おっしゃるとおり、これは高くても買いたいという消費者の思い、その市場原理の基本的なところに対する制約でございますので、極めて抑制的にやるべきだというところは理解しつつも、今回この米価の上がっている状況をしっかり抑えていくというところで考えますと、このような規制も必要かと考えているところでございます。そういうところで、おっしゃるとおり非常に強い措置でございますので、その終期に関してもしっかりと考えていかなければいけないと、そこは考えておりますので、2点目は丸田から御説明させていただきます。
○農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付丸田様 2点目でございます。規制のゴールということでございます。まさに委員御指摘のとおり、自由な取引を規制する部分がございます。このため、抑制的な措置ということで、そちらが必要になってくるということで、規制のゴールをしっかり判断しなければいけないと考えてございます。今時点では、価格を見据えながら、このPOSデータなどの価格がどのように推移するかということで、そちらを見て判断していきたいと考えてございます。また、POSデータ以外についても参考となる価格の指標がないかということで農林水産省でも検討しているところでございます。明確な閾値的なものは、今、この場でお伝えすることはなかなか難しゅうございますが、例えば本年の9月以降の新穀、こちらが供給されたタイミングでどのような価格になるかというところも1つあるかと思ってございます。
一方で、こちらにつきましては、また夏の作況の状況、高温であるとか、そういったことによって変動する可能性もあるということでございまして、この場でまた今年の9月がゴールになるとか、その辺りはなかなか言い難いところでありますが、そういった米の状況なども、価格の状況、それから生産の状況なども見据えながら、しっかりウオッチして対応してまいりたいと思っております。
以上でございます。
○鹿野委員長 中田委員、よろしいですか。
○中田委員 御認識と御意図を理解いたしました。市場に対して影響が大きい処置であると思いますので、施行された場合は、規制解除の見極めについては、ぜひ状況を的確に御判断いただけますようお願いいたします。
○農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付丸田様 かしこまりました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
小野委員、その後に黒木委員長代理、お願いします。
○小野委員 御説明ありがとうございました。
国安法施行令の一部改正についての趣旨を理解しているところでございます。その上で確認をさせていただきますが、国民、消費者への今回の国安法施行について、情報提供や問合せについてどのような体制を現時点で想定されているか教えてください。これまでマスクやアルコール消毒製品の転売の前例もあったかと思います。現時点での想定で結構ですので、お願いします。
○農林水産省大臣官房新事業・食品産業部食品流通課物流生産性向上推進室長兼農産局総務課付丸田様 お答え申し上げます。農林水産省の丸田でございます。
こちらにつきましては、委員からお話がありましたとおり、マスク、それからアルコール消毒液と同様の対応としたいということで考えてございます。具体的には、今回の規制につきまして、農林水産省のホームページなどでしっかり周知をさせていただく。そして、そちらにつきましては、Q&Aでしっかりと内容も解釈も含めてお示ししたいというところが1点でございます。
また、今回の規制の対象に関します小売業者などにつきましても、今回の規制の措置につきましてしっかり周知をする。また、主な転売ルートでありますフリマサイトの運営会社に対しましても、今回の規制の趣旨につきましてしっかり周知をして対応していただくというところでございます。
なお、備蓄米につきましては、現在それぞれのフリマサイトの運営会社において販売が確認された場合は、販売の削除といったことを自主的に対応いただいておりまして、また、こちらについても対応していただいている中で、対応について農林水産省の農産局長が通知を出しているところでございまして、同様に通知を出すというところでございます。
また、マスクにつきましては、小売店の店舗でこちらを転売した場合については違反となりますというような表示がされていたというところでございまして、またこういった購入する者に対して、これを転売すると違反になるということを認知していただけるような同様の施策が取れないかというところで検討中でございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 小野委員、よろしいですか。
○小野委員 ありがとうございました。
国民、消費者というところで混乱をする、そういった個人に対しての体制についてもぜひ充実をしていただきたいと思っています。
以上です。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
御説明ありがとうございます。
国民生活の安定緊急措置法に基づく政令で、こういった行為を禁止をするということですが、その関係で政令案の2条と7条の関係について質問があります。
措置法の37条では政令による罰則の授権規定が設けられていて、それで、政令案7条の罰則を設けると理解しています。御存知の通り、罪刑法定主義の例外として政令で定めることができるとされていますが、その場合、犯罪の構成要件が明確である必要があると理解されています。
そこで質問なのですが、この政令案2条では「譲渡」として「締結の申込み」と「誘引」と書かれています。そうすると、実行行為は申込みあるいは誘引の段階で既に実行行為があり、引渡しがなくても実行行為が終了したということで、既遂になるのでしょうか。この第2条をそのように読むのかという点についてお聞きしたいのです。
通常、売買契約というのは、売買契約の誘引や申込みから承諾があって、そして譲渡という形で完結すると考えられています。しかし、この「譲渡」で括弧されているところについて、価格の問題はまた後で質問しますが、まず実行行為はどこにあって、既遂はどこで成立すると考えて、この2条を理解されているのかということについてお尋ねします。
よろしくお願いします。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 農林水産省の西元でございます。
今、お尋ねがありました譲渡のところの後ろの括弧書きの部分について御説明いたしますと、まず結論から申し上げますと、米穀の譲渡に関する制限ということで、既遂は譲渡が行われたものについてというところでございます。一方で、その譲渡全てを禁止行為としているわけではなくて、括弧書きの中で今、委員から御指摘がありましたとおり「不特定又は多数の者に対し、当該米穀の売買契約の締結の申込み又は誘引をして行うものであつて」というところで限定をかけておりまして、ここで言うところは「不特定又は多数」、例えばフリマサイトであるとか、小売店であるとか、不特定の者に対して、もしくは特定の者であっても多数の者に対して「米穀の売買契約の締結の申込み又は誘引をして行う」ような米穀の譲渡を禁止するようなことを意図して、この括弧書きで譲渡の中でこういったものが規制対象の譲渡として該当しますよということを限定しているということでございます。
○黒木委員長代理 そうすると、実際の引渡しがない限りは、既遂にはならない。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 譲渡しがない限りは既遂にならないというところになると思います。引渡しは物の引渡しになりますけれども、所有権の移転があった時点でということになります。
○黒木委員長代理 分かりました。
その点について、読んでいてどこを既遂とするのか疑問があったので、まずその点について質問させていただきました。
次に「購入価格を超える価格によるものに限る」と書かれていますが、実際にその人がいくらで購入したのかを確実にトレースする仕組みについて質問があります。今後この緊急措置法が施行されて、この政令が施行された後は、どの人がどの値段で購入したのかが分かるようなシステムは構築される予定があるのでしょうか。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 お答え申し上げます。
マスク、アルコールの際もそのような措置があったとは我々は承知してはおりませんけれども、実際に商習慣上、購入伝票と仕入伝票とその先の購入価格が分かるような形で対応して帳簿を作っているのではないかと思いますので、仮に疑わしい行為があった場合は、警察なりあるいは行政なりができる範囲で調査なり捜査をして、そういったところを立証していく形にならざるを得ないかと考えております。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
そういう立証が必要だということを理解させていただきました。
次に、経過措置についてですが、そうすると、閣議決定前あるいは閣議決定から10日という経過期間中は、少なくともこの罰則による処罰はないと考えてよろしいでしょうか。それは間違いないでしょうね。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 おっしゃるとおり、施行までの期間においては、この法律自体が施行されていない状態でございますので、罰則の対象とはならないということになろうかと思います。
また、経過措置の趣旨といたしましては、この機に説明させていただきますと、政令の施行の日よりも前に締結された売買契約に基づいて政令の施行日後に所有権の移転があったものについて、そこが違反に当たるような形になってしまいますと、実質的に政令の施行前に行った契約について債務不履行が発生せざるを得ない形になってしまいますので、そこを防ぐための経過措置ということで御理解いただければと思っております。
○黒木委員長代理 分かりました。大変明確になったと思います。
いずれにしても、このような形で国民生活に関連する経済取引に関して一定程度の規制をすること自体は、今回の米穀に関してはやむを得ないと思っています。しかし、罰則がついているとなると、法律家としては通常の経済法とは違うので、その点については明確にして施行していただきたいと考えています。そのような理由で、このような質問をさせていただきました。ありがとうございました。
○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。
私、消費生活相談員なのですけれども、今、偽サイトで購入して米が届かないという相談が多く寄せられています。それだけ消費者が米についてかなり関心があって、ネットで検索をして販売しているサイトを探している状況です。また、転売の米については適切な品質管理や保存がされているかどうか不透明なので、安全性の観点からも、マスクとは違い、気になるところでございます。
先ほど黒木委員長代理からも御質問がありましたが、小売価格について例えば消費生活センターに相談が寄せられた場合に、どういう対応をすればいいのかが少し気になるところでした。
質問なのですけれども、このような相談が入った場合、相談窓口があるということだったのですけれども、センター専用の窓口があるかどうか。電話をかけてもなかなかつながらないとなると、消費者被害が生じた場合に対応を求めることがなかなか難しいというところがありますので、そういうセンター専用の窓口があるかどうかをお尋ねしたいと思います。
2つ目なのですけれども、マスクの不足のときに、高額な薬を買った人だけを対象にマスクを販売するよという手法が取られて、これはこの法律ではなく恐らく景表法か何かで処罰されたかと思うのですけれども、そういうことがあった場合の連携も、何かお考えなさっていることがあれば教えていただけたらと思います。
こちらの2点です。お願いします。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 ありがとうございます。西元でございます。
先ほどのまずは1点目、御指摘がありましたとおり、品質であるとか、詐欺サイトの話ですね。まず、詐欺サイトの話は非常に我々も重大な問題だと思っておりまして、今、農水省のホームページの中でも1つコーナーをつくって啓発しているところでございます。また、これから夏場を迎えるに当たって、常温で保存するとお米の品質は劣化したり、虫が湧いたりということも当然ありますので、そういった点について、今まで以上にお米を買い込んでいらっしゃる方も多いと思いますので、そういう方に対する注意喚起であるとか、あるいは今後お米を買いだめてもそうなってしまうので、あまりよくないのですよということをしっかりPRしていくことは重要だと考えておりまして、そちらも今までも折を見てやっているところでございますけれども、今後もいろいろとやっていこうということにはなっているところでございます。
窓口の件でございますけれども、おっしゃるとおり、私どもも全ての事案を私どもの力だけで把握するのはなかなか難しいですので、関係機関の方からの情報提供は非常に重要だと考えております。そこに関しましては、農水省の中でも今、これは消費者センターさん専用とか、関係機関さん専用とはなっていないのですけれども、一般の方からのお問合せも含めて回線を増やしてしっかり対応できるような体制をつくっておりますので、今も逐次状況を見ながらやっておりますけれども、仮に今後施行後などに回線の能力が足りないというお話になった場合は、そこも専用番号などを含めて、何ができるかしっかり考えていかなければいけないというところは、改めて今、お話を伺って感じたところでございます。
今ので御質問に全て答えられておりますか。大丈夫ですか。
○柿沼委員 あと、高額な薬を買った人だけがマスクを買える手法など、そういう買った人だけにお米を売りますよというようなものが今後起き得るのではないかという懸念があります。マスクのときもそうだったのですけれども、そちらについて、そのときは景表法だったと思うのですけれども、連携や対応などはお考えになっているのかということをお聞きいたしました。
○農林水産省経営局金融調整課付兼農産局総務課付西元様 おっしゃるとおり、そういった問題はあり得るかとは思っておりまして、また、いわゆる抱き合わせ商法であるとか、そういったものも十分考えられるかとは思っております。そこに関しましても、ほかの法令での違反にはなると思いますけれども、仮にそういう事案があった場合は、しっかり連携して対処できるようにしたいと考えております。
○柿沼委員 分かりました。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ほかはよろしいでしょうか。
ほぼ予定した時間になりましたので、議論はここまでとしたいと思います。
いろいろな観点から御質問、御指摘等がありましたが、皆様の御発言の中には特に異論があるというものはなかったように思います。
そこで「国民生活安定緊急措置法施行令の一部改正について」の諮問について、委員会としての答申の案を表示したいと思います。事務局におかれては、よろしくお願いします。
(答申案の画面表示及び配布)○鹿野委員長 ありがとうございます。
ただいま追加資料として配付、表示しました委員会の答申案を御覧ください。
ここでは、令和7年6月10日付で農林水産大臣から当委員会に諮問のあった事項について、「国民生活安定緊急措置法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨答申する。」としております。これを委員会の答申としてよろしいでしょうか。
(異議なしの声あり)
○鹿野委員長 ありがとうございます。
御参加の委員皆様から異論なしとのお返事をいただきました。
それでは、この内容で農林水産大臣宛てに答申したいと思います。
農林水産省及び消費者庁におかれましては、お忙しい中審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
本日いろいろな意見や要望等も出されました。1つは、特に黒木委員長代理から御指摘がありましたとおり、罰則つきの政令改正でございますので、概念が意味するところがきっちりと明らかにされなければならないということだと思いますし、その点も含めてきちんと関係者に周知してくださるようにお願いしたいと思います。
それから、今回は主に消費者による購入価格を上回る価格での転売、これを禁止するというものでございますので、消費者に趣旨と内容が届くようにしていただきたい。もちろんフリマサイトなどに御連絡してということは有効な手立てだと思いますけれども、更に消費者向けの周知の工夫などをしていただければと思っているところです。
それから、今回の諮問の直接の対象ではないのですが、先ほどの御説明によれば、流通過程において目詰まりが生じているということでございました。それがどうしてなのかということが現在ではあまり解明されていないということだと思いますけれども、ぜひ実態をきちんと把握して、引き続き適切な対処をしていただきたいと思います。
ただ、こういう形での規制は、本来自由であるべき取引を規制するということになり、ごく例外的な事態だと思いますので、今回もそうでしょうけれども、規制をする場合にはぜひ慎重な検討をお願いしたいと思います。
《3. 閉会》
○鹿野委員長 以上で本日の審議は終了としたいと思います。御協力ありがとうございました。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は終了とさせていただきます。
皆様、ありがとうございました。
(以上)