第462回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2025年6月10日(火)10:00~12:15

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、山本委員
  • 【説明者】
    消費者庁消費者教育推進課 黒田課長
    文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 中園課長
    文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 河村課長補佐
    金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進室 藤岡室長
    金融経済教育推進機構経営戦略部 桑田部長
    総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室 西室長
    総務省情報流通行政局情報流通振興課 吉田企画官
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者教育の取組について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、おはようございます。

定刻になりましたので、ただいまより、第462回「消費者委員会本会議」を開催いたします。本日は、お忙しいところ、お集まりいただき、ありがとうございます。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、今村委員、大澤委員、柿沼委員、星野委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。

星野委員は、少し遅れての御参加と伺っております。

なお、原田委員は、本日は所用のため、御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者教育の取組について》

○鹿野委員長 本日最初の議題は「消費者教育の取組について」でございます。

平成16年の消費者保護基本法から消費者基本法への改正により、消費者教育を受けることが、消費者の権利の1つである旨が明確化されました。

また、平成24年に制定された消費者教育の推進に関する法律においては、消費者教育は、「消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓発活動」であると定義され、幼児期から高齢期までの各段階に応じて、消費者の特性に配慮しつつ、体系的に消費者教育を行う必要があるということが、基本理念として掲げられました。

当委員会では、昨年6月の第437回本会議において、消費者教育の取組について調査審議を行い、若年者・高齢者への消費者教育の強化、消費者教育の効果測定の実施、そして、消費者教育用の教材の一層の活用等の必要性について指摘をさせていただきました。

また、金融経済教育の推進に関しては、関係省庁の連携強化のほか、金融経済教育推進機構、J-FLECが、消費者保護の観点から果たすべき役割や、同機構の事業における中立性・透明性の確保の必要性について指摘したところでございます。

本日は、昨年に引き続き、消費者庁、文部科学省、金融庁及び金融経済教育推進機構からそれぞれ取組状況について御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

加えて、本日は、ICTリテラシー向上に関する総務省の取組について、総務省に御説明をいただくこととしております。

昨年、消費者委員会では、「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」において、消費者教育、リテラシーによる対応の重要性を指摘しておりました。また、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会、消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会等において、デジタル化関連の様々な問題を調査審議しておりますが、総務省における取組の概要を理解するということは、デジタル社会における消費者の在り方を議論する上でも、大変有益なものと考えているところでございます。

それでは、改めて、本日の御報告者について御紹介させていただきます。

本日は、消費者庁消費者教育推進課の黒田課長。

文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課の中園課長、河村課長補佐。

それから、金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進室の藤岡室長。

続きまして、金融経済教育推進機構経営戦略部の桑田部長。

総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室の西室長。

同じく、総務省情報流通行政局情報流通振興課の吉田企画官。

皆様に、会議室にて御出席いただいております。本日は、お忙しいところ、どうもありがとうございます。よろしくお願いいたします。

本日の進め方ですが、まず、消費者庁、文部科学省、金融庁、金融経済教育推進機構から御説明を順にしていただき、その御説明が終了したところで、質疑応答、意見交換の時間を30分設けたいと思います。

その後、総務省から御説明をいただき、それが終了したところで、質疑応答、意見交換の時間を15分程度取らせていただきます。

なお、質疑応答、意見交換の時間を十分に確保するため、各御説明については、お越しいただいていて誠に申し訳ないのですが、この時間の範囲で収まるように簡潔にお願いしたいと思います。よろしく御協力のほど、お願い申し上げます。

それでは、最初に、消費者庁の黒田課長に、15分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 消費者庁の消費者教育推進課長の黒田でございます。本日は、よろしくお願いいたします。

私からは、お手元の資料、今、投影されています資料1-1に基づきまして、消費者庁における消費者教育の取組について御説明したいと思います。

おめくりいただいて、まず、今、映っています「消費者を起点とする持続可能な社会の形成に向けた課題と取組」というところから御説明します。

3ページ目を御覧いただければと思います。

3ページ目は、消費者教育の推進に関する基本方針の抜粋でございます。

緑色のハイライトをしているところが、本日のテーマに該当するので読み上げさせていただきます。

消費者の行動は経済社会に大きな影響を与えるものであり、消費者は、個々の消費者の特性や消費生活の多様性を尊重し、自らの消費生活に関する行動が今後の経済社会や地球環境に影響を及ぼし得ることを自覚し、事業者とも連携・協働して持続可能な社会の形成に積極的に参加することが望まれると。いわゆる消費者市民社会の考え方です。

その達成手段ということでございますけれども、SDGsの達成に向けても、地域の活性化や雇用などを含む人や社会、環境に配慮した消費行動であるエシカル消費といった、消費者の具体的な行動を促すことが重要である、このように記載されてございます。

これは、今、申し上げた消費者市民社会とそれを形成するための消費者教育の推進という文脈の中で書かれておりまして、その実現手段として、エシカル消費の普及啓発を通じて、消費者起点での社会課題の解決につなげていくという理念を反映したものです。

次のページ、今、映っているエシカル消費のところです。4ページ目ですけれども、消費者庁としては、いわゆるエシカル消費について10年ほど前の平成27年から研究会を立ち上げまして、エシカル消費に取り組む必要性と意義、そして、推進方策の方向性ということを議論して、そして、消費者庁が旗振り役となりまして、国民全体による幅広い議論を喚起するために、このページのオレンジの箱の記載のところの取組を進めていくということで、この10年間やってきているところでございます。

5ページ目を御覧ください。

ここから先は、データを紹介したいと思います。まずは、エシカル消費について、このページでは、その言葉の認知度というものを問うたものです。毎年の消費生活意識調査で、経年で取っているものですが、赤で書いていますけれども、エシカル消費の言葉と内容の両方を知っているというのが7.5パーセント、言葉だけ知っているというところを合わせても27.4パーセントということで、まだまだ認知度が低いということですので、引き続き普及啓発に取り組んでいく必要があるということでございます。

6ページ目をお願いします。

6ページ目の左側は、今度はエシカル消費について調査票の中でしっかり説明し、知っていただいた上で、それでは、エシカル消費に興味がありますかと聞いたのが左側の円グラフ、これが約4割と少し、4割5分ぐらいの方は興味がありますと答えてくださっています。

右の棒グラフは、エシカル消費に関連する様々な社会課題に関して消費者の方がどのくらい関心を持っているかということを示してございます。

上から気候変動とか地球環境問題、この辺り、青いところは関心があるというところですけれども、7割前後の方が、関心があるということで、かなり高い関心を示しているということでございます。

7ページをお願いします。

7ページ目の左側ですけれども、今度はエシカル消費につながる商品サービスがあった場合に、それを購入する考えがありますかと聞いています。

これは、5割以上の方が購入する意思はありますと。右側の円グラフは、購入に限りませんが、実際にエシカル消費に関する行動を実践していますかと聞いたところは、3分の1の方にとどまっていると、ここの差異があるということです。だから実際に実践につながっているところについては、少し低くなっているのが課題というところでございます。

8ページ目をお願いします。

8ページ目は、エシカル消費に取り組んでいない方に絞って聞いたわけですけれども、左側の棒グラフ、何で取り組まないのですかと尋ねたところ、一番に来るのは、どれがエシカル消費につながる商品、サービスか分からないであり、2番目は、経済的余裕がないというところでございました。

右側の棒グラフは、では、どういう条件がそろったらエシカル消費の商品サービス、これを選択しますかという質問ですけれども、一番上は、同種の商品サービスと価格が同程度だったら、2番目が節約につながることが分かったらと、やはり経済的な理由というところが結構あるのだなということが分かります。

3番目は、やはり消費者の基本のところですけれども、品質、機能、それがよかったら選びますという回答になっています。

このような形で、データはこんな形ですけれども、ここから先は、9ページ、グリーン志向の消費行動について御説明したいと思います。

本日、このペーパーを説明する前に経緯を御説明しますけれども、今申し上げたように、この10年間、消費者庁では消費者へのエシカル消費の普及啓発について取り組んでまいりました。

昨年10月に、実は国際的な動きとしては、OECDの消費者担当の閣僚会合が史上初めて開催されたのですけれども、そこのテーマが、デジタルとグリーン、その移行の中心にある消費者というテーマでありまして、消費者を起点とする、今、お話ししているこのテーマの消費者を起点として、様々な社会課題、特に気候変動とか環境問題ですけれども、それに対処していくべきという、そういうところに目を向けた会合で閣僚宣言も採択されたと、それが国際的な潮流になっているという背景がありました。

さらに今申し上げたとおり、消費者の皆さんは、地球環境についての関心は7割ぐらいの方々が持っていると。しかし、実際に、エシカルの商品サービスを選んでいますかというと、実践するのは、3分の1ぐらいというところにとどまっていると、そこにずっと我々も課題意識を持っていました。

そうした中で、昨年の10月30日に我々の審議会である消費者教育推進会議というところで、エシカル消費、消費者市民社会、こういったことをテーマに議論したところ、やはり、なかなか認知度が上がっていかないという課題が示される中で、消費者の方々の比較的関心が高いグリーン、地球環境というところにまずテーマを絞って、もちろんエシカルの旗は上げ続けますが、その中でもエシカルは幅広うございますので、まずは地球環境に絞って、産業界でそういうグリーンの産品を売って苦労して、消費者になかなか刺さらないというところの苦労をした人の意見も聞きながら、少し勉強を深めなさいという話がありましたので、昨年の10月にそういう話があって、11月にこのグリーン志向の消費行動に関するワーキングチームを立ち上げまして、2月まで4回開催し、産業界の御意見、そして、いろいろな方々のヒアリングもさせていただきました。そして2月に取りまとめをさせていただいたというのが経緯でございます。

前ぶりが長くなりました。

この2月20日にまとまった取りまとめの内容について、時間が限られていますので、要点を絞って説明します。

まず、左側の緑の箱が現状分析のところです。

有識者の方々からは、日本では、地球環境問題を遠い未来の問題として受け止めている印象があるという御意見がありました。

環境問題を自分事として捉えていないと、自分事として捉えるためには、地球環境に対する適切な危機感訴求というものをやっていく必要があるのだという視点が示されました。

右側のオレンジのところが、消費者の行動変容を促すために必要な視点ということで幾つか挙げていただいています。

その中で、事業者に必要な視点というものが、(2)のところに5つ挙げられているものでございます。

社会的・経済的・心理的インセンティブによる設計ということで、要は環境、環境と言っても、実は消費者に刺さらないのであると、消費者にとっては、実は環境というアピールだけではなくて、2の①ですけれども、環境だけではなくて、消費者の関心、例えば面白いとか、楽しいとか、かっこいいとか、別の消費者の欲望に刺さるような訴求をするということが必要だということであります。

②は、貢献度の見える化とありますけれども、これは、消費者が自分でやった消費行動が地球環境にどの程度好影響を与えるのかということを見える化することが必要ではないかということでありました。

3点目は、いざ関心を持った消費者が手軽に環境商品を手に取れるようにするための売り場の工夫とか、動線づくりみたいなことの具体的なアドバイスがありました。

4点目は、認証ラベル・マークの活用とありますけれども、環境配慮を伝えるコミュニケーションツールの1つとしてマークがあります。マークが乱立しているという問題がまた別途あるので、それは政府部内で考えなくてはいけませんが、事業者も実は環境マークみたいなことの認識がなかったりして、そういうものを商品のパッケージに貼っていくと訴求できるので、そういうのを活用すべきという話がありました。

5点目は、心理的インセンティブによる習慣化ということで、消費者自身がグリーン志向消費に心理的充足感を得ることができるようなコミュニケーションというものを、地域でも企業との間でもですけれども、そういったことを進めていくということが効果的だという御指摘がありました。

こういう5つの視点をいただきまして、これらが事業者団体、民間団体に活用されて取組が深化されていく、そして、環境が意識の高い人だけの閉じられた取組ではなくて、消費者みんなが少しずつでも、目の前のことを少しでも、できることからみんながやるという社会をつくっていくということで、政府も行政もメディアも、いろいろな団体も含めてムーブメントを起こしていきましょうという取りまとめの内容でございました。

10ページ目をお願いします。

10ページ目は、この報告書の中に入れたのですけれども、消費者の行動変容を起点とした環境負荷軽減を通じた持続可能な社会の実現ということで、それを模式図化したものです。

緑色の円環が消費者の動き、黄色の円環が企業の動き、その外側に社会があると思ってください。これは、どこから始めてもいいのですけれども、一番下の認知のところから見ていただければと思います。

まず、緑色の円環ですが、消費者が環境問題を知るとか、環境に配慮された商品・サービスを知るという「認知」から始まります。

認知をしたところで、すぐに行動には移さないということは、先般御説明したデータでも示されたところです。では、上の「行動」につなげるために何が必要かということで、先ほどの取りまとめの中では、やはり「関心」を刺激することが必要だということで、先ほど紹介した消費者の環境以外のほかの欲望を刺激するような働きが必要ということでした。また、取りまとめでは、「危機感」の訴求も重要だという指摘がありましたので、それも記載しております。こうした「関心」や「危機感訴求」でエンパワーメントして消費者の「動機形成」をしていくと、動機形成をした消費者をいざ行動に移していくためには、先ほど言った貢献度の見える化とか、売り場づくり、動線づくりみたいなことが後押しになります。そこで「行動」に移すことができると、あとは心的インセンティブによる習慣化、つまり周りの人にそれをやってよかったとか、いいねとかをされるとか、あるいは、自分の中で自身の行動に納得感が出てくると、良かったと実感してまたやろうと考えて、「行動」が「習慣化」していくということです。そして、その実感を周りに共有して、ほかの消費者の「認知」にもつながると、緑の円環がぐるぐる回るということを表しています。

そうすると、企業の黄色の円環も消費者が「行動」して、そういう商品・サービスを買ったり選択したりすると、売上が向上し、収益が向上しと繋がっていき、そうすると、企業もそういう商品・サービスを更に作って、売っていこうか、やろうかということになる。

そうすると、企業は、作った商品・サービスを消費者に宣伝して、訴求して、それにより、消費者の認知度が更に上がるというふうに繋がっていきます。そうすると、黄色の円環もぐるぐる回って社会全体が持続可能な社会につながっていくということをイメージ化したものでございます。すみません、長くなりました。

11ページ目を御覧ください。

この取りまとめの後に、消費者庁の中で、消費者庁ですので、消費者の方々へのメッセージということでまとめたのが、このグリーン志向消費者3箇条です。

3つあります、読み上げますが、左側、気候変動などの環境問題は本当に遠い未来のことを考えてみましょうというメッセージ。

2つ目は、明日の暮らしの中からグリーンを探してみましょうというメッセージ。とかくエシカルとかグリーンというと、少し高いのでしょうみたいな話になるのですけれども、例えば高くないのも実はありますということも周知していかなくてはいけませんが、仮に高かったとしても、できるところからでいいですと、例えばプレゼントとか、特別な日の自分への御褒美とか、そういったときに、少しグリーンで長持ちするようなもの、いいものを選んでみませんかというようなメッセージです。

3つ目は、自分が実践するグリーン志向のグリーンについて、自分にいいと、世界にいいについて両方語ってみようということで、自分が環境とは違う動機でやった消費行動が、実は環境にもよかったみたいな話を発信していこうという話をさせていただきました。

12ページ目は、この結果を踏まえて、5月の消費者月間のテーマを、これはグリーンにしました。

このページの上の箱の2つ目のマルですけれども、テーマ「明日の地球を救うため、消費者にできること グリーン志向消費~どのグリーンにする?~」ということで、上の中ほど、シンポジウムを5月19日に開催しました。東大の江守先生、地球環境問題第一人者ですが、江守先生に地球環境に関する危機感訴求をしていただいて、トークセッションでは、ロバートの馬場さん、エシカル主婦の梨田さん、そして、大学生の笹川さんと白石さんというお二人にも来ていただいて消費者にできること、一つ一つの生活の中で身近な消費行動で、グリーン志向消費を考えていくということをさせていただきました。

こういった取組を進めながら、引き続き、消費者に対する普及啓発を進めていきたいと思います。

この月間に合わせて、2つ取組をしています。1つが、ワーキングチームの取りまとめで地球環境の「危機感訴求」という話がありましたので、環境省とも相談しながら、今投影されている気候変動の分かりやすいチラシをつくって、消費者に訴求しているということであります。

もう一つが、次のページ、今日は時間がないのではしょりますけれども、14ページ、これは、一個一個ホームページに飛んでいただくと、37個ありますけれども、様々な生活に関わる消費行動が載っていまして、それぞれどのぐらいの環境負荷が軽減されるかとか、いろいろな解説が載っていますので、これを説明しだすと1時間ぐらいかかってしまうので、今日はカットしますけれども、こういったことを消費者の方に分かりやすく、少しでもできるかなというものを公開して宣伝しているという状況でございます。

続きまして、2つ目のテーマでございます。「地域における体系的な消費者教育の推進」ということで、消費者教育の本丸のところを御説明します。

16ページ目でございますけれども、平成24年に議員立法で制定された、先ほど委員長からもお話しがありましたが、消費者教育推進法に基づきまして、ライフステージに応じた消費者教育を展開しております。

オレンジのところが学校教育ということで、今日来ていただいている文科省様とも連携しながらやっているところです。

グリーンのところが地域社会でありまして、例えば、地域の公民館とか、学校のPTAとかも含めてですけれども、そういった機会を捉えて地域の方々に消費者教育を展開していくということをしています。

この2つについては、かなり進展があるということで、学校教育については7,000人以上の学生に教育を受講していただいたということであります。また、地域についても、全都道府県と、北九州を除く全ての政令市で、計画も協議会もつくっていただいていますし、コーディネーターについては、全ての政令市で配置済みということで、次は中核市だということで、中核市も5分の1まで進んできているというところでございます。

一番下の職域についてが、ここは今後の課題ということで、最近、力を入れてきていますけれども、2023年から開始して、まだ道半ばですけれども、引き続き職域における従業員研修の出前講座について、継続して取組を進めてまいりたいということでございます。

17ページ目を御覧ください。

基本方針でコーディネーターについて書かれているところを抜粋してございます。少し時間がないので割愛しますが、国センとも連携しながら、しっかりコーディネーター育成をしなさいということ等が書いてあります。

18ページ目を御覧ください。

コーディネーターの配置状況でございますが、先ほど申し上げたとおり、全都道府県、政令市も全て配置済みということで、中核市への配置を進めていくということでございます。

19ページ目を御覧ください。

コーディネーター会議についてです。例年1回なのですけれども、昨年度は、2回開催しました。5月と2月に開催して、ここは2月の開催概要を載せています。2月は1月に開催された国民生活センターのコーディネーター講座の実施報告をしていただいて、国センとの連携もしています。

その上で、宮崎県と千葉市から先進的な事例をやっているコーディネーターの方をお呼びして、ノウハウの共有ということをしていただきました。

その上で、その後グループディスカッションをして、オンラインでブレイクアウトルームをして、それぞれのテーマを設定して、ピアレビューをしていただいて、お互い困っていることを共有し合いながら解決を考えていただくということをやって、最後に有識者の方からコメントもいただきながら、発表もしていただきながら、みんなで解決策を共有するという会合をして、かなりアンケート結果もよかったということで、こういう取組を続けていきたいと思います。

20ページ目を御覧ください。

今度は、事業者・従業員向け消費者教育の取組ということで、先ほど、これから、ここに力を入れて課題として取り上げてきますといったところですけれども、昨年は、いろいろな地方公共団体などがやっていただいた出前講座、これが352件に上ったということでございます。

21ページ目を御覧ください。

昨年度、消費者庁が消費者教育支援センターに委託して実施した従業員向けの消費者教育の事業についてのペーパーです。先着40の会社、団体に無料で講師派遣をしますという触れ込みで、企業や業界などへ研修を行ったということでございます。

企業、業界団体、商工会議所等の皆さんに、消費者教育の重要性を理解いただくのが、やはりなかなか難しいところなのですけれども、それを一生懸命頑張ってこぎ続けているということでございます。

かなり御苦労があったという報告を委託事業者から受けていますけれども、今年度は更にもう少し広げるために、少し手法を変えながらやりたいなということを、今検討中でございます。引き続き、この職域に対する研修は進めていきたいということでございます。

22ページ目は、一昨年公表した若年者従業員向け研修プログラムについて、昨年5月にその活用マニュアルも公表しました。

これは、企業の新人教育などで、自社の従業員の教育に使っていただくためのプログラムを開発して、どういう形でプログラムを実施していただくかというモデル事例なども紹介しながら活用マニュアルをつくって、これで少しでも地域の企業の方に消費者教育を理解していただいて、従業員の教育をすることで、実は消費者トラブルに巻き込まれない従業員がいることで、雇用の安定にもつながりますし、長く働いてくれることにもつながると、そういうメリットもありますので、そういったことで企業の方にも従業員教育の中に消費者教育を入れてくださいということを、引き続きお願いしていきたいなと思っています。

最後、23ページ目は、消費者庁の消費者教育ポータルサイトで、行政や企業等における消費者教育教材を活用した事例を様々紹介して、これを見ていただきながら、ほかでこんなことができているのだから、自分の自治体でもやろうとか、自分の企業でもやろうということにつながるように、様々な事例を紹介しているということでございます。

駆け足でございましたが、以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、文部科学省の中園課長、15分程度で申し訳ありませんが、よろしくお願いいたします。

○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課中園課長 文部科学省総合教育政策局の担当課長でございます、中園と申します。

私から文科省における消費者教育の取組について御説明いたします。資料の2ページ目は文科省の取組を概観したものです。

学校教育と社会教育という双方において、消費者教育の取組を進めているところです。

はじめに、初等中等教育段階です。小中高の学校を通じて、社会科や家庭科を中心に、児童生徒の発達段階に応じた形で、消費者教育を推進しています。

平成29年と30年に公示された新学習指導要領におきまして、その内容を充実させているところです。

次に、大学等の高等教育段階です。学生に対する消費者教育の実施に加えまして、消費者被害防止に関する通知の発出や周知、各種会議等の普及啓発を通じた学生への消費者生活における啓発及び各大学、学生相談の体制の充実を図っているところです。

続いて生涯学習、社会教育の分野です。

地域の多様な主体の連携・協働による消費者教育の取組に関する調査研究の事業や、消費者教育アドバイザーの派遣、文科省主催での消費者教育のフェスタの開催の事業を行っているところです。これらについては、後ほどまた詳しく御説明いたします。

また、大学等及び社会教育における消費者教育の指針ですとか、消費者教育実践の手引の教材等も作成しているところです。

3ページ目は、教員養成に関するものです。学校教育において、消費者教育を推進していく上では、教員の養成研修も推進することが重要です。

教職課程におきましては、新学習指導要領を踏まえた形で、消費者教育の内容が使われているところです。

文科省におきましても、この消費者教育の推進に関する情報提供を定期的に全国の教育系大学に対して行っております。

現職の教員の研修につきましては、消費者庁で作成していただいています、高校生向けの消費者教育の教材である「社会への扉」の活用の方法や、効果的な消費者教育の進め方などについて、私どもの教職員支援機構という教材開発を行っている法人がございますので、ここで、例えば教員用の研修動画などを作成いたしまして、公開、周知を行っております。

4ページ目は「大学等における消費者教育の推進」についてです。

大学等及び社会教育に関する消費者教育の指針の内容を踏まえて進めているところです。

具体的には、消費者庁と連携しまして、消費者ホットラインの188の周知をはじめ、消費者トラブルに関する周知啓発のリーフレットなどを作成して、例えば入学の際のガイダンス等で啓発を行っているというものです。

実績としては、全体の大学の95.3パーセントで行われているという調査結果もございます。また、学生が主体となった消費者教育の実践例ですとか、そういった取組のモデルの横展開、周知啓発を行っているというところです。

5ページ目は当課で実施しているモデル事業です。主として地域ですとか、あるいは大学等の高等教育機関での取組のモデル事業といったものを、調査研究を行う中で把握をし、それを周知しているというものです。

やはり様々な多様な主体が関わってくる分野ですので、そういった様々なアクターのネットワーク化や、相互の連携や仕組みづくりといったものをどう仕組んでいくのかというのが鍵であろうと考えております。

令和6年度においては、市の消費者行政部局、市長部局や教育委員会、地域の方々が連携した取組や、あるいは大学の学生が中心になった取組など、そういったものを調査研究として行っておりまして、その実績を、引き続き、今年度におきましても横展開していきたいと考えています。

6ページ目は消費者教育フェスタという形で実施しているものです。学校や地域の消費者団体に御参加いただくということで行っております。

昨年度は埼玉県と熊本県でそれぞれ実施をしております。イベントにおいては地域団体の取組に加えまして、農業高校の取組や、あるいは地域の生活協同組合と連携をした中学校の取組といった事例などを発表いただいたところです。

7ページ目は、アドバイザーの派遣事業です。地域の実情を踏まえた消費者教育を実施する際に、やはり他の地域で御活躍されている方の取組を聞いてみたいというお声がございますので、そういった方を御紹介、派遣をしているという事業です。

昨年度までも消費者庁さんと連携をいたしまして、消費者庁で推進しています消費者教育コーディネーターの活用と一緒にタイアップして進めているというものです。

8ページ目は消費者教育の取組状況調査についてです。

3年に1回、消費者教育の取組状況の調査といったものを実施しております。直近は令和6年度に行いました。対象は教育委員会と大学等の調査で、加えて個別のヒアリングという形で実施しています。

結果は9ページ目以降です。

9ページ目ですけれども、こちらは教育委員会の調査です。消費生活センターや、地域の企業、団体などと連携をした消費者教育を実施しているかどうかというところです。

特に連携の割合といったものを、それぞれの自治体の県、指定都市、市区町村のレベルで、今回新しく調査したというものです。

それぞれ一定の取組をなされているところですが、規模が小さくなると連携の割合が下がっていってしまうというのは、1つ課題だろうと考えているところです。

基礎自治体における取組を高めていくというのが、今後の取組のポイントだろうと考えています。

次に、課題としてどういうものがあるのかというところで、やはりコーディネーターを行う人材や団体がいるというところは、やはり、連携が進むということが改めて確認をされているところです。

様々、そういうコーディネーターの派遣事業なども、引き続き、消費者庁とも連携して行っていきたいと考えております。

10ページ目は、大学等への調査についてです。持続可能な消費者市民社会の形成に関する教育を大学で行っているかどうかというのを、今回、新しく新設をしたものです。

いわゆる消費者被害といったトラブル等の防止だけではなく、更に持続可能な社会の形成をも担っていくということを確認したいという考えで、項目として設けたものです。

調査によれば、消費者教育の一定の拡大傾向があるということもありますし、やはり直近の動きでは、成年年齢の引下げによりまして、やはり大学、高等教育機関でもこの消費者教育といったものを展開していく必要があるのではないかという動きが、結果として見えてきているのではないかと考えているところです。

また、消費者教育を推進するための課題を伺ってみますと、やはり指導者、講師などの人材がいないですとか、なかなか優先的に取り組めないという人材面での課題があろうというのが伺えるところです。

11ページ目は個別ヒアリングの結果の御紹介です。

自治体へのヒアリングで紹介されていますのは静岡市において、成年年齢の引下げを受けて、消費者教育の推進員が、実際に中学校で出前講座をしているといった事例です。

やはり現場の教員の皆さんの負担軽減の観点からも、消費者教育推進委員の方々を活用して、講座などを実施していただくというのが大事ではないのかなと考えています。

続いて大学等のヒアリングの結果です。

山梨大学では、令和5年度より県立大学との大学間連携事業ということで、消費者教育に係る講座といったものを立ち上げているところです。

さらに本年度からは、山梨大学では、消費者教育に関する全学共通科目という形で、消費者の市民社会を生きるという講座を必修科目という形で位置付けていくといったことも取り組んでいるところです。

文部科学省としましても、引き続き消費者庁をはじめ、関係省庁と連携してしっかりと進めていきたいと考えております。

私からの御説明は以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、金融庁の藤岡室長、金融経済教育推進機構の桑田部長、よろしくお願いいたします。

○金融経済教育推進機構経営戦略部桑田部長 J-FLECの経営戦略部長の桑田でございます。

J-FLECの設立に関しましては、過去2回こちらで御議論を様々いただきまして、今回も御説明の機会を賜り、誠にありがとうございます。

昨年の6月、御議論をいただいてからのJ-FLECの進捗状況、また、その課題認識等について資料の1-3に基づきまして御説明をさせていただきたいと思います。

ページをおめくりいただきまして、右上3ページ目ですけれども、J-FLECの全体の動きのおさらいということになりますが、まずは第一段階として、全国の学校、企業、公民館等への出張授業を行う、ここで基礎的な金融リテラシーを身につけていただくということでありますけれども、こういった学びを得ますと、次に自分は一体どういうことをしたらいいのだろうということで自分事になりますので、こういったところを次の行動変容などにつなげる観点からステップ2、J-FLECでは、1時間の無料の個別相談という事業を展開しております。

また、個人の方が一人一人相談していただく外部知見を活用するということは、年齢を重ねることによって学ぶべきことも変わってきますので、定期的にそういった機会を得ていただきたい。ただ、ステップ2のJ-FLECの無料相談は1時間だけですので、更により深い相談を受けていただくということから、世の中で有料の個別相談事業を展開されている方々が多くいらっしゃいますので、そういった方々の相談を受ける1つのインセンティブとなるようJ-FLECとして割引クーポン、最大8割の料金が割引になるクーポンを配付するというステップ3の事業を展開しております。

この3つの事業ですけれども、次の右上4ページ目に移っていただきまして、昨年8月以降J-FLECの事業を順に本格稼働をしてまいりました。ステップ1の講師派遣に関しては、8月26日よりスタート、ステップ2の無料体験事業は10月21日よりスタート、また、ステップ3の割引クーポン配付事業は11月26日よりスタートということで、やると言っていた事業を、まずは無事にスタートできたということでよかったなと思っております。

右上6ページ目に移りまして、こういった事業を担う根幹となるのが、J-FLECの認定アドバイザー制度になります。個人が安心して相談できる、そういった環境を整備するという観点から、金融商品を組成したり、販売する金融機関とは一線を画している方、また、そういった金融機関でないにしても、販売等によってキックバックをもらっている方でない方、そういった要件を満たす方をJ-FLECの認定アドバイザーとして、J-FLECにおいて審査をし、認定し、ウェブサイトに検索可能な形で公表させていただいております。

右上8ページ目に飛びまして、この認定アドバイザーになるためには、一定のこういった金融経済等に関する資格を持っていることを要件としております。

多くの方が、一番上のCFP、AFP、こういったFPの資格を持っておられるわけですけれども、真ん中下のほう、消費生活相談員あるいは消費生活アドバイザーといった方々も、このJ-FLECの認定要件を満たすという形で審査を進めているところです。

また、右上9ページ目、こういったJ-FLEC認定アドバイザーの行為基準といたしまして、認アドとしての信頼性保持という観点が非常に重要でありますので、ここにお示ししているものを遵守することを求めているところです。

例えば「2.信頼性の保持」の1つ目にありますけれども、御自身の情報発信において誇大または煽動的な表示で個人の判断を誤らせるおそれのある表現を避けなければならないとか、こういったことを求めております。

J-FLEC認定アドバイザーは、上から2つ目の四角に書いてありますとおり、一度なったら永遠になれるというわけではございませんで、毎年の更新制を設けております。また、J-FLECにも認アドの活動の情報が様々入ってまいりますけれども、何かこういったことに違反することが認められるような場合には、認定の取消しということも選択肢の1つとして適切に対応していきたいと思っております。

次に、右上10ページ目に進んでいただきまして、この認アドの状況ですけれども、御覧のとおりであります。

先ほど申し上げたとおり、87パーセントがFPということで、消費生活相談員の方も44名いらっしゃいます。

この資格は、FPを持っていれば左側に数字は寄せるという表のつくりになっておりますので、FPの欄に書いてある方にはほかの資格を持っている方も含まれています。

右上11ページ目ですけれども、こういった認定アドバイザーとして、本年3月末時点で、1,236名を認定させていただいて公表しております。

都道府県別に見ると、やはり人口の多い東京などは、左下258名と多いですし、右上高知0名、足元は1人増えているのですけれども、こういった差がありますので、各都道府県、こういったところの人数が少ないところは、増やしていけるような広報をしっかりしていきたいなと思っております。

次に、右上12ページ目ですけれども、ステップ1の講師派遣事業です。

小中高大学生と、また、社会人に向けて幅広く金融経済教育を行っているところです。

右上13ページ目に移りまして、J-FLEC発足から2,302件の講師派遣を全国に展開しております。

この中には、例えば消費生活センター向け、あるいは相談員の方向けの出張授業なども行っております。

感想は、約8割の方に非常に興味関心を持っていただいたりなど、高い評価をいただいていると認識しております。

右上14ページ目です。

講師派遣事業の状況の②ということで、学校、企業、公民館といったところで様々やっておりますが、企業などで言うと、2つ目のポツですけれども、勉強するために自分でセミナーを申し込む必要がある中、会社で講義を受けることができてよかったと。

先ほど職域教育の重要性も話題になっておりましたが、我々も全く同じだと認識しております。

また、本日御出席の文科省総合教育政策局の方にも全国の公民館、図書館にJ-FLECの活用についての通知をいただいたりもしており、こういった関係省庁と連携しながら、1人でも多くの方に教育機会を届けたいと思っております。

右上16ページに飛びまして、J-FLECの講師派遣で活用しております資料は、この標準講義資料ということで、金融リテラシーマップに基づいた広範な授業を行うという観点から生活設計、家計管理、資産形成あるいは右下の金融トラブル防止、消費者保護の観点、こういったところを漏れなく伝える形として教育をお届けしております。

右上18ページ目に移りまして、イベント・セミナー事業です。

ここに載せているのは一部でありますけれども、様々、金融機関との連携、FP協会との連携、また、昭和女子大学専門職大学院では消費者教育のシンポジウムを行ったりであるとか、北海道では商工会議所と連携したイベントを開催したりであるとか、様々な関係者の皆様との連携したイベントを今後も積極的にやっていきたいと思っております。

右上19ページ目、ステップ2の個別相談の事業の進捗状況です。

3月末時点で104件の個別相談を実施しています。相談分野としては、生活設計、資産形成が大半を占めております。

利用者の年代、どこかに偏っているというわけではなく、幅広く御利用いただいているかなと思っております。

下の感想にも書いていますけれども、様々な情報があふれる中で、こういったプロの方に相談できるのは本当によかったということで、個別相談そのものの認知というものがあまりない中、体験していただけると高い評価を得ていただけるということを示していると考えております。

右上20ページ目に移りまして、ステップ3の割引クーポンを配付事業です。

264件のクーポンを配付しておりまして、利用者年代の分布は御覧のとおりです。

また、ここは右の円グラフで示している、「今後も有料のアドバイスを受けたいですか」という質問に関しては、はいが98.5パーセントということで、日本において有料でお金のアドバイスを受ける文化は、ほぼないという前提で、こういった政策事業を開始することにしたわけですけれども、1つ体験していただくと、これは、非常にお金を払ってでも価値があるものなのだと認識を持っていただけるという、大変勇気づけられる結果が出ているなと思っております。

右上22ページ目に飛びまして、ここに日本地図を載せておりますけれども、全国的にこういった講師派遣事業であるとか、イベント・セミナーをやっていきたいと思っているわけですが、各地域の関係団体というのが、J-FLECには存在しておりまして、各都道府県の金融広報委員会、財務局、財務事務所、各地の銀行協会や日本証券業協会の地区協会、こういったところと連携して、各地での様々なステークホルダー、学校関係者、企業の団体、様々な業種の協会などの団体、そういったところに、この金融経済教育の重要性をお伝えし、また、J-FLECの講師派遣を活用してみませんかといったような働きかけを進めているところでございます。

右上23ページ目に移りまして、J-FLECといたしましてはKPIとして、アウトプットを年間1万回の授業やイベント、受講者75万人を目指すということをしております。

これは、もともとの母体団体が年間5,000回、また、参加人数が30万人だったというところで、ここの倍増、2.5倍を目指すという非常に意欲的な目標を立てているわけですけれども、こちらに載せているのは昨年12月末の数字ということで、今年の3月末、2024年度ベースの数字は、最終的な数字は、受講者のところを精査しているところなので、もうすぐ公表できるところではありますが、もともとの母体団体の5,000回、30万人とほぼ同様の数字に着地見込みというところであります。

右上25ページ目以降、R7年度のJ-FLECの事業計画を策定いたしまして公表しているところであります。

全体を通じまして、J-FLECの認知度を上げていき、その活動量、また、その質を上げていく両面から様々対応をしていく必要があるという認識を持っております。

下の「Ⅲ 業務方針」というところで、1の(1)は講師派遣事業でありますが、やはり広報強化を通じた需要の掘り起こしといったところ、量の拡大が重要です。

また(2)のイベント・セミナーにおきましても、連携、積極的な開催と、その連携方法の多様化、こういったところを考えていかないといけないと思っております。

右上26ページに移りまして「4.教育・アドバイスの質の向上」、ここは質の話でありますけれども、我々1,000名を超えるJ-FLECの認定アドバイザーを抱えておりまして、金融リテラシーマップに基づく基礎的な研修に加えて、最新の事例であるとか、より深掘りしたフォローアップ研修というのを導入し、かつ量を充実させていく途上にあるわけですけれども、この分野においては、消費者庁と連携いたしまして、預託法に関する啓発の研修動画をつくっていただき、年間数十万人に授業を行うJ-FLECの講師あるいはJ-FLEC認定アドバイザーに対して、こういったところの研修を受けていただいているところでございます。

また、少し下に書いてありますけれども、講義の質の向上を図るための模範となるような研修であるとか、解説動画の作成であるとか、そういったところも進めつつ、その下の「5.教材・コンテンツの充実」といったところでありますけれども、こういったところの先ほど御説明した標準講義資料、これは、ある種、生ものだと思っておりますので、継続的に変えるべきところは変える、こういったところの改訂作業も、まさに今、進めているところでございます。

また、7.の(2)学校・教員支援研究会ということで、学校の教育は、引き続き、当然のことながら重要であるわけですけれども、J-FLECが出張授業を行うだけでなく、学校の現場の先生方ができるだけ負担のない形で授業を進めていただけるよう、学習指導案、例えば50分の授業であれば、どういうコマ割りをして、どういうグループディスカッションをしてなど、そういったコマを書いたような学習指導案、これを様々、高校や大学の先生方とともに作成いたしまして公表したところです。

こちらの内容も文科省の方と連携しておりまして、また、その周知にも協力いただくなど、関係省庁の連携を継続していきたいと思っております。

最後、右上27ページ目のところの「9.組織への理解醸成」でありますけれども、この金融経済教育をお届けするに当たっては、やはり、この金融経済教育の重要性またはJ-FLECの認知度を上げる、これが根底にあると思っております。

一方で、世の中は様々な情報が氾濫というと、少し言葉は悪いですが、様々な情報がある中、J-FLECとして、公的組織として信頼性に足る情報を、また、分かりやすく見ていただけるような、そういった情報発信、この辺りは様々な知見をいただきながら、充実させていくことが非常に重要であると考えております。

私からの説明は以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより、今までの御発表についての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は30分程度を予定しております。いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明をいただきまして、ありがとうございます。

今回は消費者教育についてお集まりをいただきました。その前提となりますのは、去年9月に次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会の意見というところで、6番目になりますけれども、消費者教育の取組ということで、昨年6月にお聞きをしました内容に基づいて、私たちで意見を出したことがございます。

したがって、その後どうなっているかということを、お尋ねいたしたくお集まりをいただいた次第です。

意見書ではポイントは3つございまして、1つ目が効果測定との関係で、2つ目は連携でございます。連携状況について、特に設立をされた直前ということもありまして、昨年はJ-FLECの桑田部長にいろいろと教えていただきました。

3つ目、これはエシカル消費の推進ということで、今日、消費者庁の黒田課長から大変丁寧に説明をいただいたところでございます。

私から、まずお尋ねをしたいのは、今、申し上げたこととの関係なのですけれども、この1年間実施されてきた中で得られた効果について御説明をいただきたいと思います。

おやりになった事業というのは、大変よく分かりました。それについて、どのようにその効果の確認ができたか、あるいはこれから確認をしようとしているのか、そこを教えていただきたいというのが1点です。

2つ目は、連携の状況です。今、御説明をいただいた中で、例えば、文科省の消費者教育アドバイザーと消費者庁の消費者教育コーディネーターとでタイアップをするような事業があると聞きました。

また、J-FLECの桑田部長には、学校教育で広げていくために必要なこと、まず、学習指導案を作成されたといったことですが、やはり文部科学省との連携が必要だと思います。

繰り返しになりますけれども、効果測定、それから連携状況について、お三方にお尋ねできれば大変ありがたいです。

○鹿野委員長 それでは、お三方にということでしたので、まずは消費者庁様からお願いします。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 消費者庁の黒田でございます。御質問ありがとうございます。

まず、1点目の御質問の効果測定の話です。説明資料等を入れていなかったので恐縮です。

KPIだと思いますけれども、消費者庁のKPIとしては、第4期の消費者基本計画工程表というものがありまして、その中で消費者の教育の総合的、体系的、かつ効果的な推進、その地域における消費者教育の推進のための体制整備という形で、それを重点項目にした上で、その目的としては、消費者教育の推進によって、結局、到達先は消費者の被害の防止、そして減少、そういったことをアウトカム指標として定めています。

具体的にどういう指標があるかというと、例えばですけれども、消費生活に関する知識、これを毎年アンケート調査するのですけれども、その正答率を上げていきましょうということで、短期的な目標としては、令和6年度に、その正答率を40パーセント以上にしましょうということでありました。

ちょうど昨年度、令和6年度の結果が出て、残念ながらですけれども40パーセントには届きませんでしたが、令和6年度は39.2パーセントまで来たと。前年度が38.8パーセント、その前の年が、令和4年度は34.6パーセントというところから始まっていますので、34.6、38.8と来て、40まで行きたかったのですけれども、39.2にとどまりましたが、改善の傾向にはあるということで、引き続き消費者教育を続けていきたいと考えております。

中期的な目標としては、今年度ですけれども、令和7年度までに、消費者被害の未然防止のための行動ができる消費者の割合というものを掲げてございます。

例えば、未然防止なので、いろいろな勉強をしたりすることもあるでしょうし、断るとか、相談をするとか、いろいろな消費者力の向上のために我々も施策に取り組んでいますが、その数字が令和7年度に50パーセント以上という目標を掲げてございます。

足元の令和6年度は48.0パーセントというところでありまして、これも経年で申し上げますと、口頭で恐縮ですが、令和4年は45.9パーセントでございました。それが令和5年度に46.6パーセントで、昨年度48.0パーセントと、一応数字上は順調には来ているということで、毎年のことなので変動したりするのですが、ぜひ今年度の7年度に50パーセントという目標に届けば良いなということで施策を進めています。

あと、長期的な目標ですが、消費者被害に遭った人の割合というものを、令和8年度に15パーセント以下にしましょうという目標がございます。

これが最終目標のわけですけれども、これが、足元の令和6年度は20.4ポイントということでございます。これは実は、3年間データを取っていて、あまり改善してございません。令和4年が18.8、令和5年が20.4、令和6年が20.4ということで、目標15に対して横ばいで推移している、令和4年から比べたら、むしろ上がっているということがありますので、ここは引き続き消費者トラブルに遭った人の割合というものが減るように、先ほど申し上げた消費者力の強化とか、そういったことについて浸透させていきたいと考えております。

これが1点目の質問への回答でございます。

2点目の各省との連携という話がございました。消費者庁は、どちらかというと、業所管官庁でもございませんし、制度といっても消費者安全とか、そちらの執行関係の制度はありますけれども、消費者教育でいうと、旗振り役のほうなので、まさに今日来ていただいている文科省様とか、金融庁様、総務省様を含めて、様々な省庁のお力を借りながら、施策を進めていかなくてはいけないと考えております。実際に関係省庁の皆様には、様々な形で御協力をいただいています。

例えば、先ほど中園課長から御説明のあった文科省との関係では、説明があったこと以外で申し上げますと、例えば、全国の教育委員会とか、大学等向けに消費者庁が作成した教材、あとは消費者支援コーディネーターの窓口について周知していただいて、それで各地域において消費者教育の取組に少しでもつなげていただくという取組に御協力いただいているところです。

あとは、先ほど説明のあった事業で言うと、消費者教育フェスタを文科省様主催でやっていただいていますけれども、そういったところの協力は当然ですし、消費者教育推進委員会の取組状況の調査などでも協力させていただいております。

加えて、当庁が作成した中高生向けの教材、先ほど「社会への扉」の紹介がありましたが、ああいったものの周知とか、活用とか、そういった協力をしっかりしていただいているということで、学習指導要領の中でも2年前の2022年の4月からの成年年齢引下げということがありましたけれども、それに先立って、その何年か前から文科省様と一緒に連携しながら若者教育をはじめ、様々な連携をさせていただいているところであります。

J-FLEC、金融庁様は、今、桑田部長からも御説明がありましたけれども、例えば、消費者の消費者教育推進会議という審議会にJ-FLECの理事の方に委員として参画いただいたり、J-FLECの方の金融経済教育推進会議という会議がありまして、今月もあると思いますけれども、そこに私が出させていただいたりということは当然しています。また、やはり金融リテラシーの向上というのが消費者トラブルにとっても非常に重要だというのは、先生方御存じのとおりだと思います。そこについては、やはり金融とか保険とか、そういったところの専門的なノウハウを持っているJ-FLECの方々の教育コンテンツとか、そういったことの活用というのは非常に重要なので、金融形成の基本的な方針に消費者教育の連携を記載していただいているというところでございまして、そういったことでJ-FLECや金融庁と連携しながら、そういった教育コンテンツの活用も含めて、消費者に届くように我々も紹介していますし、J-FLECの中でも教育を進めていただいているということでございます。

総務省様とは、恐らくこの後、説明があるのではないかと思いますが、総務省様で取り組んでいるICTリテラシーの向上に関する教材、これを我々の消費者教育ポータルサイトに記事とともに掲載させていただいて、取材もさせていただいて、そういった形で載せさせていただいたり、あとは、先ほど文科省の中園課長からもありましたが、ここにある188の周知も、総務省の事業で、この188の案内、あと高齢者向けの教材の周知活用、こういったことをしっかりやっていただいているというところであります。

そのほかにも、今日話題になったエシカル消費とか、そういった文脈では、例えば、サステナブルファッションでしたら、繊維産業を所管する経済産業省、あとは環境問題やごみ処理等を所管している環境省と3省連携の課長級の会議をやっていますけれども、そういったことで手を携えてやっているところです。

また、食品ロスで言うと、食品ロスの削減もエシカルの中に入ってきますけれども、事業系は農水省様で、家庭系の食品ロスは環境省様がご担当ですが、これも食の環というマークをつくって、もう縦割りを排して、自治体部局に行くと、福祉部局と、消費者行政部局と、商工労働部局と分かれているところがあるので、霞が関から縦割りを廃止して、それを1つのマークをつくって、自治体部局でも連携しましょうということで一緒にやっていただいているということでありまして、おかげさまで順調に食ロスも進んで、事業系食品ロスについて8年前倒しで2030年目標を2022年度に達成したので、この3月に閣議決定した基本方針の中では、農水省の審議会でも議論をいただいて事業系食品ロス量については、2000年から5割削減という目標だったものを、新たに6割削減に深掘ったということで、これは、関係省庁、特に農水省様の事業系の取組の成果かなということで、様々な分野で様々な省庁にお力添えをいただきながら、御協力をいただきながら施策を進めているという状況でございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、文科省様、お願いします。

○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課中園課長 文科省です。御質問ありがとうございます。

まさに文科省において、学校教育の新学習指導要領の中に位置付けまして、消費者教育を進めております。

学校教育をベースとして位置付けられているという状態にある中で、さらに、それをどう充実させていくのかというのがポイントになってくるのだろうと考えています。

その充実の視点といたしましては、やはり様々な関係機関との連携が鍵になってくるのではないかということで、私どもの資料ですと、9ページ目の取組状況調査で、特に連携面での割合といったものにフィーチャーして、お出しさせていただいたというところです。今後、この動向なども見ていく必要があるだろうと考えています。

この連携を、実際の学校現場や地域で進めていくためには、やはりコーディネーターの存在が重要ですので、自治体によっては、既にいるところもあれば、やはりなかなかいないというところも、そういう人材面に苦慮しているところもございますので、そういったものをまさに消費者庁さんとも連携して、コーディネーターの派遣等の事業を文科省としてもしっかりやってく必要があるだろうと考えています。

もちろん、私ども国の中央省庁間における連携というのも不可欠でございます。

J-FLECさんの御紹介にもございましたが、まさに法人が立ち上がりまして、様々なすばらしいコンテンツを出していただいている中で、それを私ども、ぜひそういったものを学校教育あるいは社会教育の両方に紹介していきたいと考えておりますし、J-FLECさんの資料の中でも令和7年の事業計画の中で、学校等への支援ですとか、具体的な学習指導教材案の作成といった、より学校現場に届くような形での連携といったものを事業として考えていただいているということは、大変心強い取組だと受け止めております。

こういった取組としっかりと連携をして、学校現場あるいは社会教育、公民館、そういった地域の現場において、様々な消費者教育や金融教育のコンテンツが届けていけるような形でしっかりと連携していきたいと考えています。

○鹿野委員長 それでは、金融庁様あるいはJ-FLEC様、お願いします。

○金融経済教育推進機構経営戦略部桑田部長 J-FLECです。

効果測定に関しましては、資料の23ページ目でKPIとして、また、アウトプットの御説明はしましたが、より重要なのは、この活動の成果としてのアウトカムのほうだと考えております。すなわち金融リテラシーを向上するのをいかに図っていくか。我々として、まず知識面ということで、銀行、証券、保険のような複利の考え方とか、分散投資の考え方とか、そういったところを例といたしまして、知識問題というのを授業の前、後、それから9か月後という形で測定することにしています。

それから、実際の意識変容、行動変容につながったのかといったところで、継続することはいろいろあるかもしれませんけれども、重要なこととして生活設計を考えるようになったのかという意識変容と、考えたかという行動変容あるいは外部知見、先ほど個別相談の重要性を申し上げましたけれども、外部知見を活用したか、あるいはしようと思っているか、こういったところの数字もアウトカムとして授業の前、後、9か月後ということで取ることにしています。

この中で、とりわけ難しいのは、9か月後のところです。やはり最初学んだ後は、知識レベルは上がるかもしれませんが、数か月たってしまって忘れてしまうということがあり、この辺り本当に定着したかどうかを見るためには、9か月後も見る必要があるなと考えております。

ただ、そのアンケートの回収率を確保するというのは、常に課題でありまして、学校現場とかですと、学年が変わってしまって非常に難しくなってしまいますので、企業の福利厚生担当者の方と連携しまして、そうであれば、従業員の方の状況というのは御関心があるかなということで、アンケートの取得に御協力いただき、できる限りの回収率の確保につなげていく、そういった枠組みで進めているところです。

まだ講師派遣の開始をして数か月で、粗々の状況なども取りまとめているところでありますが、できるだけ早く御報告できるような形にしたいということで、今、作業をしております。

それから、連携でありますけれども、これも先ほど申し上げましたが、文科省とは学習指導案の作成ということで、様々御協力をいただきましたけれども、J-FLECの活動について全国の教育委員会、また、直接大学に対しても文科省から通知をいただきまして、J-FLECの積極的な活用を御検討くださいといった大変心強い連絡をしていただいているところです。

また、例えば金融経済教育で言いますと、関係するのは公民であったり家庭科であったりするわけですけれども、文科省から全国の教育委員会の指導主事、家庭科の指導主事の方々の集まりの場におきまして、J-FLECからの説明のお時間をいただいたりなどして、直接、金融経済教育の重要性やJ-FLECの事業といったことをお伝えする場を設けていただくなど、こういった形でも連携させていただいております。

それから、消費者庁に関しましてですけれども、これも先ほど預託法の関係で研修動画をつくっていただいたということを申し上げましたが、まさに消費者関係の契約トラブルといいますか、金融トラブル、こういったものは新しいものも様々出てくるかと思っておりますので、消費者庁の様々なネットワークで得られた知見などをいただければ、1,000人を超える認定アドバイザーあるいはJ-FLECの出張授業を担っている講師の方々に直接お伝えすることによって、やはり金融経済教育の担い手がしっかり理解しないと、その先の個人にも伝わらないかと思いますので、こういうまさに有意義な連携というのを、さらに強化、連携していきたいと思っています。

以上です。

○鹿野委員長 小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

効果測定をそれぞれにやっておられることがよく分かりました。これは消費者教育について外に向けて、その大切さを伝えるためにも、連携をして、積み重ねていくことを確認する機会が必要で、その機会の提供ができるのは消費者委員会なのかと思っています。全般を定期的に確認させていただくということで、今後も、またお尋ねをしたいと思います。

1つだけ、J-FLECの桑田部長にお尋ねしたいのですけれども、現在は、件数を増やしたりということで、数を大切にされているようですが、今後は質的な調査も必要だと思います。

2024年に金融広報中央委員会が、15歳のお金と暮らしに関する知識・行動調査を実施されています。同様の調査を実施される予定があるのかということをお聞きしたいです。

つまり、学校教育との関係で、その内容、質を確認できる調査を予定されているのかということ。

それから、国内的な話だけではなくて、それを国際水準でどうなのかというのを図るため、OECDのPISAには金融リテラシーの部門もありますので、参加をするというのも1つ方法なのではないかなと思っていることもあり、最後のお尋ねをしまして、私からは以上としたいと思います。お願いいたします。

○金融経済教育推進機構経営戦略部桑田部長 今、委員から言及のありました2024年に公表した調査ですけれども、これは、もともとの金融広報中央委員会から引き継いだ非常に重要な調査として、今後も継続していく予定です。

やはり調査というのは、継続してその推移などを見ていくことにこそ意味があると思いますので、この辺りは継続していく予定です。

PISAに関しては、その他、読解とか、科学とか、3つほど既に文科省が中心となってOECDと連携してされているところ、金融リテラシーも追加の科目としてあると認識しておりますけれども、この辺り文科省ともいろいろと、非常にリソースの要る調査でもありますので、御相談かなと思いますが、全体として、やはりこういう効果測定というのは非常に重要ではありますので、J-FLECとしても、どういったところでこの効果測定を、充実したものをやっていけるかどうか、少し御相談しながら考えていきたいと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

各省庁において、積極的かつ継続的な消費者教育が展開されているということの理解が深まりました。

その上で、まず、文部科学省の中園様にお尋ねしたいのですが、様々な消費者被害が発生している中で、若年層が直面するリスクの高い喫緊の課題として、インターネット検索によるアルバイト紹介とか、SNSを活用した巧みな勧誘による、例えば、コンサートチケットや、オンラインゲームのアイテム購入あるいは投資詐欺等があると思いますが、社会人を含めた若年層が被害に遭いやすいお金に関するトラブルの多くは、デジタルと金融の掛け合わせの複雑な課題になっている状況があり、かつトラブルの内容が悪い意味で日々巧妙に進化しているという状況があると思います。

成年年齢が20歳から18歳に引き下げられて、子供たちが社会に出てこういうトラブルに対峙する準備をするためには、金融リテラシーとデジタルリテラシーの両輪の教育が必要となっている中で、社会に出る前の若い方々に対する消費者教育は、決して容易ではないと思うのですが、先ほど指導者の確保が課題であるというお話もありましたが、最適な指導者育成を含め、どのようにタイムリーに最新の更新された教育を展開されているのか、もし何か課題感を感じていらっしゃいましたら、その点も教えてください。

また、消費者庁、金融庁、J-FLECさんにおかれましても、ネット環境は活用していても、その成り立ちとか、リスクについての知識を十分持ち合わせていない高齢者に対して、どのような教育の工夫をされていて、実践されていらっしゃる高齢者に対する消費者教育の効果をどう評価されていて、もし課題を何か感じていらっしゃるのであれば、その内容も教えていただければと思います。

以上、2点です。

○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課中園課長 御質問ありがとうございます。

まず、例えば、昨今の闇バイトや、あるいはオンラインカジノといったスマートフォン等のICTのツールやSNSなどを入り口として、そういう犯罪に加担をしてしまう、あるいは犯罪に遭ってしまうといったことが社会問題として取り上げられております。

いわゆる消費者教育と情報リテラシー教育、これはオーバーラップしてくる部分なのだろうと考えています。直近の私どもの取組、対応といたしましては、まさにこういう闇バイトといったものがあるということ、あるいはそれに出会ってしまったときに、まず、警察が相談先としてあると、そこにまず駆け込んでほしいということを、分かりやすく、警察庁、こども家庭庁、文科省が連携をして、周知用の素材といったものを早速開発をして、それを全国の教育委員会や大学等に対して周知を行うといった取組を、直近でも行っているところです。

そういった警察機関とも連携したような形での周知といったものを、やはり、高等教育機関や教育委員会に対しても行っていく必要があるだろうと考えているところです。

情報リテラシー教育のところで少し付言いたしますと、まさに、初等中等教育段階の学習指導要領におきましても、この情報活用能力といったものは、学びの中において中核をなすものであろうということで、そこに情報リテラシーも含むという形で、これを学んでいくということが位置付けられておりまして、これに則った形で、小学校、中学校、高校段階から、個別の科目では情報の科目もありますけれども、そういった情報リテラシーを高めていくという取組も、初等中等教育段階から行っているというのが今の状況です。

そこに成年年齢の引下げもあり、大学等の高等教育機関における情報リテラシーを高める、あるいは犯罪に遭わない、そういったことの周知などが、そこに結びついていくような形で進めていく必要があるのではないかと考えているところです。

例えば、総務省の所管団体でも、ICTの賢い使い方や情報リテラシーを高める取組としてそういった教育コンテンツなども出していただいておりまして、そういったものも私ども全国の教育委員会や、大学等にも周知を行っているところですので、こういったところでも、関係機関が出していただいている分かりやすい教育コンテンツをしっかりと連携をしてつないでいくということが同様に大事になっていくのではないかと考えています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

2点目の高齢者に対する、それは、消費者庁からお答えをいただいたらよろしいですか。

○中田委員 お時間も限られていると思いますので、もしよろしければ、J-FLECさんに伺うことでいかがでしょうか。

○鹿野委員長 そうですか。今、消費者庁様がお答えを用意されていたようなので、では、消費者庁様から簡単にお答えいただいて、あわせてJ-FLECさんにお願いしたいと思います。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 御質問ありがとうございます。

高齢者向けの消費者教育という御質問でした。今日配付した資料の16ページ目に、地域社会のところがあったと思います。

そこで、高齢者等の見守りということで、8,121ということで、それだけの方が、消費者教育を受けていただいているということでございますけれども、私どもとしては、各自治体のところにある消費生活センターが地域の拠点になります。そこで、いろいろな啓発資材もそうですが、詐欺に遭わないようにとか、デジタルのトラブルに巻き込まれないようにとか、いろいろな教材をつくっていますし、あと動画とか、そういった教材もつくっています。

あとは、消費者庁では、最近推しているのは、VR動画でありまして、それを昨年も全国で広めるために、取組を進めました。例えば、訪問販売の話とか、ネットトラブルの話とか、そういったことも、それは、動画にはしていないのですけれども、そのVRのプロジェクトの中で、漫画として公表したりして、お年寄りにも見やすいと好評です。

VRのコンテンツとしては、催眠商法といって、お年寄りに限らないですけれども、御近所さんに連れられて行ったところで、最初は、ただでダイコンをもらえるとか行ってみて楽しかったのですけれども、それでだまされて行って、最後は、高額商品を買わされてしまうみたいなことをVRで体験できるコンテンツですとか、投資詐欺で、暗号資産でもうかるよと言われて、まんまとお金をだまし取られることをVRで体験できるコンテンツなどを公開しています。それで、解説動画も含めて、立正大学の西田教授にも解説をいただいたりして、断ったり、相談したりということをみんなでやりましょうということを普及しています。

このVR動画教材の活用、あとは、消費者庁でやっている地域見守りネットワークというのがありますので、そこで地域の方々を教育というよりは、見守りの中でも、そういういろいろなチラシとかを配ったりもしていますので、そういったことで認知症の高齢者も含めて、そういう被害に遭わないようにという取組は、全体的にしているということです。

すみません、よろしく願います。

○鹿野委員長 それでは、J-FLEC様、お願いします。

○金融経済教育推進機構経営戦略部桑田部長 ありがとうございます。

誰一人取り残さない形での金融経済教育をというのが、もちろん目指すべきところですので、高齢者の方も当然なのですが、やはり接点をどこに求めていくかが常に課題でありまして、そういう意味では、やはり公民館や図書館といったところになります。

昨今、働いている年代も上がってきていますので、企業での教育という形でも持てるのかもしれませんが、やはり公民館、図書館というのは非常に多いという状況です。

内容としても、やはり冒頭の説明でもいたしましたが、年代に応じて学ぶべきことというのは非常に変わってまいりまして、高齢者になると遺言、相続、成年後見制度、エンディングノート、終活など、全く毛色が変わった内容に変わってきますので、そういったところを講義の中ではお伝えしているところです。

それから、講義のための教材は、生ものだと思いますというお話をいたしましたが、足元、各年齢層別に設けているJ-FLECの標準講義資料、この点について、一番課題、改訂の必要性が認められたのが高齢者層でありまして、ここは、やはり、我々としても利用者の方の声を伺って、もちろん文字が小さいとか、文字が多いとか、そういったところから始まるのですけれども、そういった一つ一つを酌み取って良いものにして伝えていけるものにしていかないといけませんので、日々の努力で対応していきたいなと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 1点だけ、すみません。

○鹿野委員長 どうぞ。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 先ほど、高齢者の数字を8,121と言ったのは、人数ではなくて、すみません、出前講座の件数です。出前講座に行った先で、更に何人もの高齢者が受けているということで、すみません、そこだけ正確に伝えます。

○鹿野委員長 中田委員。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

各省庁において、訴求対象となる消費者層に最適な方法でのアプローチというのを強化されているということを伺いまして、少し安堵いたしました。御説明ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

予定した時間が、もう来ているのですが、柿沼委員から、先ほどからお手が上がっていますので、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 お時間がないところ申し訳ございません。質問と、あとコメントをさせてください。

1つ目、消費者庁に質問いたします。

中核市は、地域の行政を担う重要な役割を果たしていると思うのですけれども、まだまだ消費者教育コーディネーターの設置が進んでいないという御説明がありました。中核市において消費者教育コーディネーターを設置されていない理由について、現行の消費者教育の施策との関連性や今後の方向性を含めて御教示いただけますでしょうか。

あと、もう一つなのですけれども、消費者教育の実施について、地域性があるのか、あとは小規模の自治体はどうなっているのか、何か違いがないかということについて教えてください。

消費者教育を行っている自治体と、消費者問題の件数に相関性がないかとか、その辺りも何か調査なさっているということであれば、教えていただきたいと思います。

それから、2点目はコメントなのですけれども、消費者教育というのは、生涯を通じて必要な知識を段階に応じて身につけるための重要な取組と、私は思っています。しかしながら、まだまだ国民全体に十分に行き届いていない領域があるように思われます。

特に未整備の領域として、幼児とか、保護者とか、そういうところの消費者教育の教材も少ないですし、まだまだ十分ではないかなと思っております。その辺りの取組について、今後は実施していただけるとありがたいなと思います。

また、継続的、段階的な消費者教育が必要なところですが、現在の消費者教育は点でしかないということです。私が小学校とか中学校、高校に行っても、まず初めに契約とは何か、そこから始めていくということで、それを1時間教えるということで、基本的な話となり、月齢が上がってもあまり年齢的な変化が感じられないところですので、段階的な学習の仕組みを望むところですが、何かそのような段階的な学習の仕組みを行っているということであれば、御教示いただきたいと思います。

3点目です。これは、消費者庁さんになるかなと思うのですけれども、今年度の消費者月間のテーマは、グリーン志向消費ということですけれども、現在、昨日もテレビを見ていて気になったところなのですけれども、アニマルウェルフェアの考え方が国際的に注目を集めており、国においてもその重要性が議論されているところです。

特に消費者が食品の選択をする際、動物の飼育環境や倫理的な観点、これはエシカル消費と同じと思うのですけれども、広まりつつありますが、消費者教育の中でアニマルウェルフェアなどの考え方について扱われているのかどうか、その辺りについて教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 では、消費者庁様、お願いします。

○消費者庁消費者教育推進課黒田課長 御質問ありがとうございます。

3点あったと思いますが、1点目、地域性とか、コーディネーターの配置を受けた中核市にまだ配置がなかなか進まないけれども、何か配置が進んでいるところと進んでいないところの傾向はあるかみたいな話があったと思います。

まず、今まで都道府県とか政令市に全部配置するということを目的にやってきました。今後は中核市だと申し上げましたけれども、少し中核市の話とずれますけれども、都道府県とか政令市のところで見てくると、やはり消費者教育の自治体ごとの計画をつくったり、協議会をつくったりというところが進んできて、それでコーディネーターも配置されてということで、そこはかなり相関性があります。

ですので、これは自治事務の部分もありますが、首長さんの理解と、そして地域でしっかり計画をつくり、協議会をつくりということで浸透していくというのが大事なので、県では整備できているので、その下にある中核市には、これから県も通じながら中核市にも直接働きかけながら広げていくという段階にあります。

地域性は、正直申し上げますと、18ページ目の資料にもお示ししているのですけれども、西日本が、東日本がとか、そういうのは特になくて、やはり先生もおっしゃったとおり、点でスポット、スポットみたいになっているというのは、やはり積極的な自治体は先に整備されますし、そうではない自治体は、なかなか財政力の問題とか、そういったところで、なかなかまだ計画もつくっていないところもありますので、そこは消費者教育の重要性というのを丁寧にずっと説明し続けていくのかなということがあります。

2点目は、今、申し上げた段階的な教育をやっているかということでございました。

先ほど消費者教育の16ページ目で1枚紙を説明したと思いますけれども、ライフステージに応じた消費者教育ということで、消費者庁も様々な教材をつくってきています。御指摘のとおり、幼児とか保護者向けというのが足りないという御指摘もあったので、そこも今後御参考にさせていただきたいと思いますが、若年向けについては、例えば、先ほど申し上げた、高校生向けの「社会への扉」とか、そういった教材をつくったり、あとは、今回お出しした資料の中で言うと、22ページ目に、学校教育が終わった後の新人の社会人向けの、若手従業員向けの教育プログラムをつくっています。

さらに高齢者などについては、先ほど言ったVR教材とか、そういったことも、高齢者に限らないですけれども、いろいろな層に刺さるようにVR教材をつくり、ただ、VRは少し長いので、ショート動画をつくってみました。去年は、ショート動画をつくったら、それはすごい再生数がいったので、ただ、ショートだと全部は伝えられないので、そこの工夫は必要かなという課題はありますけれども、そういう手を替え品を替え、あと、紙のコンテンツ、動画のコンテンツ、VRのコンテンツとか様々な手法で消費者に刺さるようにということで、様々な教材を準備してございまして、最後の23ページ目に載せた消費者教育ポータルサイトに、全ての教材を載せていますし、あとは自治体とか、NPO法人とか民間企業とか、いろいろなところが消費者教育教材をつくってくれているものもここに載せています。いろいろな分野別に載せています。エシカルとか、消費者トラブル、いろいろなことを載せているので、こういったことを活用してくださいということで、広めていっているというところでございます。

3点目のエシカルの文脈中で、アニマルウェルフェアの話をお尋ねいただきました。

まさに先生おっしゃるとおり、アニマルウェルフェアも、エシカル消費という幅広いウイングの中に入ってきます。ですので動物愛護の話も、消費者庁のエシカル消費の特設サイトというか、そういったところがあるのですけれども、そこでも動物愛護、例えば、平飼い卵の話を紹介しながら、その取組をしている事業者にも取材に行き、そこでインタビューを取って、写真も撮って、その記事を載せて、アニマルウェルフェアの観点の記事を載せて、消費者の方にエシカル消費の一環として、そういったものを周知しているという取組をしてございます。

引き続き、そういったアニマルウェルフェアも含めて、エシカル、いろいろなフェアトレードとか、地球環境問題とか、いろいろありますけれども、そういったことを消費者市民社会の実現のためには必要な観点ということで、我々としては、動物愛護の観点で言うと、環境省とか農水省様との連携をしながらなのですけれども、関係省庁とも連携しながら進めていきたいと考えてございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

○柿沼委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、予定の時間を経過しておりますので、今までの御報告に対する質疑応答、意見交換は以上とさせていただきたいと思います。

消費者庁、文部科学省、金融庁、金融経済教育推進機構におかれましては、貴重な内容の御説明をいただき、ありがとうございました。

なお、この後、総務省の御説明となりますが、御説明後の質疑応答にも関係するところが出てくるかと思いますので、可能であれば、そのままお残りいただければ幸いです。

それでは、続きまして、総務省の西室長に15分程度で御説明をお願いします。よろしくお願いします。

○総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室西室長 総務省でございます。

本日は、消費者教育という大事な議題を拝聴させていただきまして、本当にありがとうございます。様々勉強をさせていただきました。

私どもは、ICTリテラシー向上に関する総務省の取組について、お話をさせていただきます。

ICTリテラシー全体を取り扱っておりまして、消費者という観点から扱っているわけではないのですけれども、ICTの利用者のエンパワーメントというところでは、合い通じるところがあるかなと思っておりまして、何かの御参考になれば幸いです。

また、私ども日頃から本委員会の委員でいらっしゃいます、山本龍彦先生には、大変お世話になっておりまして、今日、お話しさせていただく事項についても、たくさんの御指導をいただいております。

まず、1枚目でございますけれども、こちらは、総務省がこれまで行ってきたICTリテラシーの施策でございます。

これまで総務省は、青少年を中心とした若年層向けに対して、インターネットのトラブルへの予防法など、利用時の危機回避のための啓発が比較的多く、また、それらも講義形式で行うようなことが多くございました。

他方、ICTの利活用が当たり前になる中で、どの世代においてもICTリテラシーを身につけることが重要だということ。また、ICTを活用しながら、オンラインサービスの特性ですとか、サービス上での振る舞いに伴う責任、そういったものを理解した上で、サービスの選択や需要、活用、そして情報発信の仕方を学んでいくことが不可欠だろうという認識のもと、次のスライドでございますけれども、適切にICTを活用するためのリテラシーの在り方について検討する場として、「ICTリテラシー検討会」を令和4年(2022年)11月に設置いたしまして、10回程度審議をしていただきました。

こちらの検討会の座長も、山本龍彦先生にお務めいただいております。

構成員には、リテラシーに関する有識者に入っていただきつつ、消費者関連団体も含まれておりまして、こちらは、全国消費生活相談員協会の石田参与にも御指導いただいております。また、オブザーバーとして、プラットフォーム事業者なども参加をしております。

次のスライドでございますけれども、検討会のまとめとしてICTリテラシー向上に係るロードマップを、令和5年6月に策定をいたしました。

ポイントは、まず目指すべきゴール像というものを、3点明らかにいたしました。

1つ目は、デジタル社会でのリスクや安全を確保しながらも、自身の目的に応じて適切に情報やICTを理解、活用して課題を発見、解決できるようになること。

2つ目は、デジタル社会の構成員として、きちんと責任を取るということで、他者への影響に配慮する情報の批判的な受容、責任ある情報発信、プライバシーや著作権などにきちんと配慮するということでございます。

それから、3点目、ここも非常に重要だなと思っているのですけれども、ICTやオンラインサービス、それから社会的規範の変化に的確に対応して、他の2つが常にできるようにするという、この3つを目指すべきゴール像としてまとめていただきました。

その後は、「短期的に取り組む事項」と「中長期的に取り組む事項」、2つに整理をしておりまして、「短期的に取り組む事項」といたしましては、どの世代にも共通する課題を、まず整理して届けていくのだということで、例えば、インターネット上の情報流通に関する仕組みですとか、ビジネスモデルの理解、情報を理解するリテラシー、事実と意見を分けて捉えるですとか、推測、判断、行動の切り分けなど、あとは、情報を熟慮する機会を確保すること、その反射的な思想や反応に対する対策として熟慮することが大事だということですとか、デジタル空間におけるその情報発信者として、きちんと責任を持って社会参画をしていく、そういった意識をどの世代においても持ってもらうということで、まずは短期的には、そういったことを整理した教材などを公表してまいりました。

続きましては、中期的には、青少年、保護者、それから高齢者、こうした対象層の特徴を踏まえた教材などを提供していくということでございまして、このデジタル空間では、年長者の知識や経験というのが機能しない世界ですので、例えば、青少年ですと、デジタルネイティブでありながら、心身は成長途上ですので、その発達段階に応じた学びや使い方、それからリスクについて正しく理解をする必要がありますし、保護者層につきましては、デジタルネイティブの子供とのギャップがやはりあるのですね。よき使い手として、いかに保護者として模範となるか、それが規制や保護ではなくて、子供たちの成長に合わせて、適切な利用方法ができるようにガイドをしていくのが保護者の役割だという観点から、周知啓発をしております。高齢者につきましては、日常サービスのデジタル化の中で、不利益を生じさせないように、リテラシーを底上げしていくことが喫緊の課題であると捉えております。

インターネット上の情報流通の特徴ですとか、注意点を正しく理解するという観点で、そういった特性を踏まえて、教材などを作成、提供しているところでございます。

また、このロードマップの一番下、白抜きのところに「関係者の取組の連携・協働推進」とありまして、こうした背景も踏まえて、後ほど御説明をする「デジタル・ポジティブ・アクション」という官民連携プロジェクトも開始することとなりました。

次のスライドでございます。

フィルターバブルとエコーチェンバー、こちらは、SNSの利用の進展に伴って投稿やクリック履歴を基に、その表示内容を決定していくアルゴリズム、こういったものの影響により、フィルターバブルですとか、エコーチェンバーと呼ばれる現象が生じていると指摘されておりまして、こういった面もリテラシーの中で、きちんと触れるようにしております。

例えば、フィルターバブルですと、自分色の泡の中にいるように、御自身の価値観に近い情報ばかりに触れる傾向になるということですとか、エコーチェンバーにつきましても、自分が発信した意見に似た意見が返ってくることで、特定の意見や思想が増幅しやすいのだと、こういったところをきちんと説明いたしまして、これによって多様な情報に触れることが難しくなると、適切な判断を下すことが困難になってくると、そうしたことは、ひいては社会の混乱や民主主義の影響をもたらす可能性もあるということが指摘されております。

ですので、ICTリテラシーの中でも、こうした現象を御説明いたしまして、デジタル空間の特性をよく理解した上で、責任ある行動が取れるようにということを捉えております。

続きまして、こちらが総務省の主な取組を一覧化したものでございます。教材、それからウェブサイト、プロジェクト、3つの観点からまとめております。

教材は、例えば、ICTリテラシーの啓発教材、これは昨年作成をいたしましたが、ポイントとしては、デジタル空間の特徴をきちんと理解をすることを根底に置いておりますのと、闇バイトや、なりすまし詐欺など、最近の事例なども取り上げております。また、こちらは、青少年、保護者、高齢者、それぞれに作成しておりまして、取り扱う事例なども変えてつくっております。

あとは、ネット上の偽・誤情報の対応に関する教材ですとか、生成AI、それから、インターネットトラブル事例集、こちらにつきましても、偽・誤情報とか、生成AI、闇バイト、オンラインカジノ、青少年が、今、直面している喫緊の課題について取り上げておりますのと、先ほどありました、「デジタル×金融」というところでは、ネットショッピングに関するいろいろな事例なども取り上げて、現場に周知をさせていただいております。

次のページですけれども、こちらは、ICTリテラシーの実態調査につきまして、今年の5月に公表した調査の結果を、少しポイントをお伝えいたします。

これは、ICTリテラシーや、偽情報・誤情報の拡散に関する利用者の意識を把握するために行ったものでございまして、国際大学の山口真一先生にも調査に協力をいただいております。

次のスライドですけれども、実態調査のポイントでございます。

この調査は、実際に過去に流通した偽情報・誤情報を見て回答してもらうという形式でございますけれども、ポイントは3つです。

1つ目は、過去に流通した偽・誤情報を見聞きした人に対して、その内容の真偽をどう考えますかと尋ねたところ、約半数が正しい情報だと認識していること。

2つ目は、偽・誤情報に接触した人のうち、約25パーセントが何らかの手段を用いて拡散しているということ。

3点目は、リテラシーを重要だと思っている人が8割以上いる一方で、75パーセントは、リテラシー向上に向けた具体的な取組は行っていないと回答している。

こうした調査結果を踏まえましても総務省としては、ICTリテラシーの向上に係る普及啓発は非常に重要だと考えております。

次のスライドでございます。

現在、総務省ではICTリテラシー向上に係る官民連携の意識啓発プロジェクトを行っております。

このプロジェクトを始めました背景は、デジタル空間における誹謗中傷、違法・有害情報、それから偽・誤情報の流通拡散などが、社会問題化しているというところにございます。

こうした問題に対しては、もちろん、制度的な対応や技術開発なども必要になりますけれども、利用者のリテラシー向上も重要だという認識のもとで、官民の幅広い関係者が推進体制を構築して、継続的にリテラシー向上の取組を実施していく、社会的機運を醸成していくことを目指しております。

次のスライドでございますが、こちらはプロジェクト、「デジタル・ポジティブ・アクション」というものでございます。

まず、プロジェクトの推進体制ですけれども、参画者としては、ここにありますように、プラットフォーム事業者、通信事業者、IT関連企業、それから関連団体、これらの企業団体が総務省、関係省庁の皆様にも御協力いただいております。

推進体制を構築しておりまして、このプロジェクトの会長にも、山本先生にお務めいただいております。一体感を持って進めていくということで、ロゴとスローガンを用意して発信しております。「つくろう!守ろう!安心できる情報社会 DIGITAL POSITIVE ACTION」というものでございます。

このプロジェクトは、安心できる情報社会に向けて、各位がそれぞれの持ち場でリテラシー向上に資する取組を行うというものでございまして、趣旨に賛同する事業者や団体が同じスローガンのもとで、自主的に取組を高めていくというものでございます。

「2.取組の方向性」ですけれども、このプロジェクトの方向性は3つございまして、1つ目は、世代に応じた多様な普及啓発、あとの2つは、事業者に関するものですけれども、「サービス設計上の工夫」と「信頼性の高い情報の表示上の工夫」でございます。

利用者のリテラシー向上はもちろんなのですけれども、事業者の自主的な取組にも着目をいたしまして、こういう工夫が広まっていくことを目指しております。

次のスライドでございますけれども、現在の取組でございます。

このプロジェクトの「デジタル・ポジティブ・アクション」のハブとなるような総合的なウェブサイトを設けておりまして、こちらに各社の様々な取組、最新の情報を掲載しております。随時、充実させておりますので、ぜひ御覧いただければと思います。

また、広く国民に興味関心を持っていただくために、テレビやウェブを使いましてCMも放映中でございます。

今後も、関連団体ですとか、全国の総合通信局などと連携をしまして、シンポジウムですとか、あと、地方におけるセミナー開催なども予定しております。詳細が決まりましたら、こちらの総合サイトで周知をさせていただきたいと考えております。

以上、駆け足でございますけれども、総務省の現在のICTリテラシー向上の取組について、お話をさせていただきました。

御清聴いただきまして、ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより、質疑応答、意見交換の時間といたします。時間は、恐縮ですが10分程度でお願いします。いかがでしょうか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御説明いただきまして、ありがとうございます。

ICTリテラシーに関する総務省様の取組を伺って、私も大学で、一応若者の講師をしている立場でもありますので、非常に重要なことであると考えており、この取組が、更に進展することを、ぜひ私も協力できることがあれば、微力ながら協力したいと思いますし、ぜひ進展を祈っているところです。

その点で、2点伺いたいのですが、1点目なのですけれども、ICTリテラシーは、本日のお話を伺って、どちらかというと、すみません、私の印象かもしれないのですが、私たち利用者側が正しい情報と、そうではない情報を見極める力というのですかね、そういうものを、私たちが受け手になる側を想定したものが多いように思いました。もちろん、そこから、例えば拡散というのも、今日、実態調査の中でも出ているように、25パーセントの人が拡散したということですから、まずは正しいものと誤っているものをきちんと認識して、その力をまずつけるというのは、私もとても大事だと思います。

他方で、消費者側が発信する側ということで拡散するというのは、恐らくXですとか、リポストとか、そういったものではないかと想像するのですが、例えば、このスライドに少し載っていたとは思うのですけれども、スライドの5ページですかね、5という数字が右上についたところです。それで、SNS等における誹謗中傷対策特設サイトとございまして、要は、消費者が、今、自由に意見を発信できる立場にもあると思います。例えば、SNS数で誹謗中傷対策ということですが、消費者が自由に発信できるようになっているというのが、やはりデジタルがなかった時代との大きな違いではないかと思っていまして、デジタルがなかった頃ですと、新聞の投稿欄とか、そういうところで意見を言ったりとか、そういうのはあったかもしれませんが、今、X等を見ていると、本当に消費者が、私も結構趣味等々、いろいろ趣味があるもので、いろいろインターネットを見たりするのですが、本当に個々人が、よく言えば自由に、悪く言えば好き勝手に、あること、ないこと言っていることがあって、書き込むときのリテラシーというのか、そういうものもきちんと若者には、軽率に御意見をぱっと書いてしまうのではなくて、例えば、それが誰かの誹謗中傷になっていないかとか、そういうのを考えてもらいたいなと思っていて、こういう力をどのように磨いていくべきなのだろうか、どうすればいいのだろうかというのを一応、一教育関係者としても気にしているところなのですが、この消費者が発信する立場になった場合の意見の書き込み方とか、そういったものに関しては、どのようなことをお考えでしょうかというのが1点目です。

すみません、2点目、時間が限られていると思いますが、端的に申しますと、先ほどのアンケート調査、リテラシー実態調査のところを拝見すると、これはスライド7というところですが、結局、発信源で正しいと判断する基準として公的機関が発信しているというので4割ぐらい。あと、気づいた経緯、これは、うそだと気づいた経緯が、いわゆるマスコミであると、これも4割ぐらいだったと思います。

ですから、結局のところ、やはりそれが正しいかどうかというのを判断するときには、やはりしかるべきところだったりが発信しているということが大きいのではないかと思っています。

そこで、例えば、公共放送というか、日本では厳密に言うと、国営放送というのがあるわけではないので難しいと思うのですが、例えば海外のテレビのニュースなどを見ていると、いわゆる本当か、うそかというコーナーとかで、最近出回っている、例えば、いわゆる戦争に関するニュースとかでも、こういう情報が出回っているのですけれども、これは本当ではないのです、うそなのですとか、そういうコーナーなどを設けている国というのも、例えば、フランスなどは設けていますが、何かマスコミとの協力というのも、マスコミと国の関係は、なかなか難しいところがあるので、何とも言えないところがあるのですが、やはりせっかくこれだけマスコミだったり、公的機関の経由する情報だったらある程度信用してもらえるということを考えると、何かできないだろうかというのは何となく思うところなのですが、これについてもお考えがあればというのが2点目です。

すみません、以上になります。

○鹿野委員長 それでは、2点、お願いします。

○総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室西室長 大澤先生、どうもありがとうございます。

発信のときのリテラシーというのは、本当に重要だと考えておりまして、やはり一言で言えば、デジタル空間での責任ある行動を取るということを、私どもは伝えておりまして、例えば、5ページ目の総務省のほうでつくりました、ICTリテラシーの啓発教材の中でも、冒頭のところに、デジタル空間にはこんな特徴がありますということで、5つの特徴を挙げているのですけれども、その中に「情報の保存性」ですとか、「情報の匿名性」、そういったところもかなり強調して、1回発信すると、それはもう残ってしまうのだよと、また、匿名だからといって、リアルでやってはいけないことは、デジタルの世界でも当然やってはいけないのだよというところを、当たり前ではあるのですけれども、伝えるようにしております。

また、事業者のサービスの中でも、例えば、コメントを書き込むときに、少し不快感とか、誰かを誹謗中傷するような要素があるときには、それらに対してAIが検索をして、「ほかの表現に変えませんか」というワンクッションの提案があるようなサービスも出てきておりますので、そういった形でデジタル空間でのやりとりが、新しい方向に向かっていくといいのかなと考えております。

○総務省情報流通行政局情報流通振興課吉田企画官 2についてお答えします。吉田と申します。

どのように正しい情報を発信していくかというところは、非常に重要な問題であります。先ほど大澤先生から御指摘があったように、マスコミ、マスメディアがどういう発信をしていただくかというのが重要になってございます。

他方、放送番組に関しましては、当然、放送法第3条によりまして、放送番組編集の自由がございます。メディアにおいて、どのようなものを発信するかというのは、まさに干渉を受けず、発信する人が決めるというのが大原則でございます。放送事業者様におかれては、皆さん自身で発信していただくことが重要かなと思っています。

実際見ていますと、放送事業者様の自主的な取組の中で、検証報道されたりとか、様々されておりますので、こういう自主的な取組をされることを期待していきたいと考えております。

以上です。

○大澤委員 大変よく分かりました。どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。すみません、手短にお話しいたします。

総務省さんのいろいろな教材、本当に私も活用させていただいております。また、インターネットトラブル事例集については、会議のほうにも関わらせていただいていて、とても良い教材だなと、いつも思っております。

また、偽・誤情報や生成AIの教材についても、消費者に批判的思考を養うための消費者教育を行う際に、消費者庁の教材と一緒に活用させていただいています。

要望ですが、2つあります。

1つ目ですけれども、偽・誤情報についてなどの見極め方について、この教材の中にも少しは入っているのですけれども、実際にどのような操作を行えばいいのかというところを、教材の中に入れていただけるとありがたいと思います。

また、ICTリテラシーということで、今、トレンドのものが多く教材として出来上がっているのですけれども、例えば、デジタル遺産、亡くなったときに、スマートフォンを解約してしまい、実際にサブスクリプションの解約ができないとか、消費生活センターにも御相談が入っておりますので、そういう扱い方についても教材を充実していただけるとありがたいなと思いました。

また、スマートフォンなどを購入する際に、やはり、総務省さんのホームページにもあるのですけれども、実際に、それを教材化していただくと、消費生活センターなどで消費者教育を行う際に活用できるので、そのような取組をしていただければなということで、意見としてお伝えしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

御意見ということですが、何か一言あれば、お願いします。

○総務省情報流通行政局情報流通振興課情報活用支援室西室長 柿沼先生、どうもありがとうございます。

偽・誤情報の教材につきましては、確かに基本的なところをお伝えしておりまして、だまされないためのチェック項目で、5つの基本的な項目などを載せておりますけれども、具体的にどういう場面でどのように気をつけていったらいいかというところにつきましては、事業者が教材をつくっていたりしまして、そういう辺りも先ほど御紹介したデジタル・ポジティブ・アクションの、ウェブサイトのほうにも掲載しておりますので、官民連携して対応していきたいと思います。どうもありがとうございます。

○柿沼委員 すみません、1つだけよろしいでしょうか、消費生活センターで消費者教育を行う際には、事業者様の教材というのは、なかなか利用することができない状況です。偽・誤情報の教材を使った際に質問として、では、実際にどういうことを行えばいいのでしょうかという御質問をいただくことが多いので、できれば、教材資料として御作成いただけるとありがたいという観点から、意見として述べさせていただきました。

以上です。

○鹿野委員長 よろしいですね。ありがとうございました。

黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 時間がない中、申し訳ありません。

ICTリテラシーは、今後の国民的な素養として必須の知識だと思っておりまして、非常に興味深くお聞きしました。

これはJ-FLECさんにも併せてお聞きしたいのですが、本日の日経新聞に出ているとおり、フィッシング詐欺が「貯蓄から投資へ」という流れに関して、すでに5,000億円以上という膨大な被害を出しています。新たな手口が次々に出てきて、被害もまだ増え続けている可能性があります。

こうした新たな詐欺への対応について、ICTリテラシーの観点からどのようにお考えでしょうか。

同時に、J-FLECでは金融トラブル防止も一つの対応策とされていて、ポンジ・スキームなどのお話もありました。今後について、まだ事態が流動的で何とも言えないかもしれませんが、日経新聞の最後のまとめでは「貯蓄から投資へという今の動きを止めるかもしれないほどの社会的インパクトがある事象だ」と書かれています。

こうした問題に対して、J-FLECとして今後どのような形で対応していくか、今日は決まらないかもしれませんが、決意や、このような事態が起きたときの対応方針について、一言いただければありがたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、お願いします。

○総務省情報流通行政局情報流通振興課吉田企画官 ありがとうございます。では、総務省からです。

オンラインの詐欺に関しましては、昨年であれば、なりすまし型の詐欺に関しまして要請を行ったり、デジタル・ポジティブ・アクションの中で、注意喚起のウェブCMを行ったりしながら、まさに取組を進めているところでございます。

今日いただいた指摘も踏まえながら、この取組と、金融庁さんとも連携したりしておりますので、引き続き進めていきたいと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、どうぞ。

○金融経済教育推進機構経営戦略部桑田部長 J-FLECです。

こういった新たな手口というのは、これまでも起こってきましたし、今後も起こってくるだろうと思っています。

まさにこういったことに関して、各業界とか金融庁も、恐らく啓発や情報発信はされるとは思いますが、この点においてJ-FLECとしても、個人に近しい立場としてきっちり伝えていかないといけないと思っておりまして、つい最近も証券口座の不正ログインの問題が大きく話題になっていましたが、警察庁や金融庁の情報をJ-FLECの認定アドバイザー、講師に関してJ-FLECから直接お伝えして、もしかしたら見ていないかもしれないので、J-FLECから送ることによって、しっかりそれを意識して、教育現場において必要に応じてそういったことも最近の情報として付け加えられるような、そういった即効性のある対応というのを最近始めているところですので、今、お話しのあったことについても、金融庁とも連携しながら効果的に伝えていきたいと思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。そのような対応を大変期待しておりますので、よろしくお願いします。

○鹿野委員長 山本委員。

○山本委員 お時間をいただきまして、ありがとうございます。

一言だけ、まず、総務省様のほうで御報告いただきましてありがとうございます。

いろいろと御意見を、大澤先生、柿沼先生、いろいろいただきまして、私も先ほど御紹介いただいたとおり、デジタル・ポジティブ・アクションにも関わっておりますので、ぜひ御意見について検討させていただければと思います。発信者の側のリテラシーということの重要性ということだったと思いますけれども、デジタル・ポジティブ・アクションの中では、若い世代の、いわゆるインフルエンサーの方々との交流というものも図っておりますので、彼らの意見なども聞きながら発信者のリテラシーを考えていければと思っております。

それから、信頼できる情報というのをどのように流通させていくのかというのは、基本的には、プラットフォーム事業者様の自主的な取組に委ねられるところがあろうかと思いますけれども、デジタル・ポジティブ・アクションの中では、そういったサービス設計上の工夫についても、すばらしい取組をしている、事業者を表彰するような、そういった試みも、今、考えておるところでございます。

あとは、リテラシー教材の話も出ましたけれども、まさに、このデジタル・ポジティブ・アクションのホームページでは、そういった教材を集約して、今後、どういう人たちに、この教材というのが、効果があるのかとか、マッピングみたいなものを進めていければと思っておりますので、また、ぜひいろいろと御意見を伺えればと思います。

本日は、どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、時間も経過しておりますので、質疑応答は以上とさせていただきたいと思います。

本日は、消費者教育の取組に関し、消費者庁、文部科学省、そして、J-FLEC様から、また、ITCリテラシーの向上に関する取組につき、総務省様から御説明をいただきました。大変ありがとうございます。

本日の委員からの御意見を踏まえ、若干私の意見も加えながら、まとめさせていただきたいと思います。

まず、消費者庁様からは、エシカル消費と地域における体系的消費者教育という、大きく2点について御報告をいただいたところです。

エシカル消費については、言うまでもないことですが、地球の温暖化による気候変動の影響が災害の増加や気温の上昇等をもたらし、年々深刻化しているところでございまして、消費者が自らの行動変容を通じて環境負荷の軽減を図らなくてはいけないという状況になっており、この課題は今後ますます大きくなっているものと認識しているところでございます。

消費者庁様におかれましては、関係省庁と連携しながらエシカル消費に関する取組について、今後も引き続き御尽力をお願いしたいと思います。

それから、2点目の地域における体系的な消費者教育の推進についてでございます。

消費者教育コーディネーターの配置等について進んできたということ、ただ、これで十分と言えるのかというとなお課題が残っているということについても伺いました。

また、消費者教育用の教材を継続的、精力的に開発していらっしゃるとのことで、その点、教材として有効に活用されているという声も聞かれるところでございます。

これまでの取組を一層推進していただくとともに、体系的な教育素材の開発を進めて頂くことに期待したいと思います。

御発表の中では、直接はKPIなど効果測定に関する御説明はなかったのですが、小野委員からの御質問に対して効果測定についても一定の御回答をいただいたところでございます。

引き続き、効果測定を行い、それを今後の更なる取組につなげることを続けていただきたいと思います。

それから、もう本日は退室されましたけれども、文科省様も、消費者庁をはじめ、関係省庁と連携しながら、消費者教育アドバイザーの派遣等も含め、学校等での消費者教育を進めておられることが確認できました。

ただ、9ページの左のほうを見ると、地域による差が、なお残っているということのようで、特に市町村での取組には、なお課題があるように伺えました。そのような課題についても、解決を模索していただければと考えております。

また、中田委員からの御質問にもあったように、近年、若年者への闇バイトの勧誘とか、スマホ決済を使用した詐欺等が増加しているところでございます。引き続き、学校教育の中でも消費者トラブルについての注意喚起等についても迅速に行うよう、配慮をお願いしたいと思います。

また、いまの点とも関わり、若年者に対して、被害に遭わないようにということももちろんですけれども、加害者にならないようにというところも、教育としては非常に大切なので、その点についてもお願いしたいと思います。

それから、J-FLEC様からは、昨年稼働を開始して以降、大変多くの方々に様々な金融経済教育が実施されたということを御報告いただき、理解することができました。

また、KPIの設定により、目標を明確化して、その達成状況を確認されているという点も確認され、その点はすばらしいと思います。

教育を行った結果、消費者の行動変容にどうつながっていくのかということなども、数値として、今、取っていらっしゃるところだということでございました。今後、これについても御報告をいただけるというお話もありましたので、御報告をとても期待しておりますとともに、アンケートの項目内容とか回収率などの工夫も試みながら、更に効果測定についての取組を進めていただきたいと思います。

それから、デジタル化を背景にして、お金のやり取りが非常に複雑多様化しております。金融庁におかれましては、お金の管理に関する教育について、今後も関係省庁と連携した教育の取組を進められ、また、認知度を上げて情報発信等に取り組んでいかれるということに期待したいと思います。

せっかく取組がなされているのに、新しいところですので、まだ、あまり知られていないというところが伺えますので、情報発信の点も含めてよろしくお願いいたします。

それから、総務省様からは、デジタル化が急速に進展する中、フィルターバブルやエコーチェンバーのように、利用者が自ら気がつかないまま、意識や判断に影響が与えられることがあるということについての御説明が改めてありました。

また、デジタル空間における情報の真偽を見極めることの困難性が高まっており、偽情報が氾濫するおそれ等も指摘されているところでございます。

さらに、黒木委員長代理からも御指摘があったように、フィッシング詐欺被害の拡大が非常に深刻になっているところでございます。このような状況を踏まえて、取組が継続的に実施されることに期待しているところでございます。

また、大澤委員から御指摘があったように、情報を受けるときだけでなく、発信するときの注意も必要でございますので、その点についても教育の中に盛り込んでいただくことを期待したいと思います。

全体を通じて言いますと、やはりこの消費者教育の問題は、どこかの省庁だけで取り組むということでは、到底やっていけないところでございまして、関係省庁が連携するところがとても重要でありますし、それから、効果測定を適切に行い、それを今後に結びつけていくところが重要であると思います。

また、柿沼委員からも御指摘があったように、段階的な学習の取組、それから全年齢層に対する消費者教育の取組ということが極めて重要でございます。その点も大分進んできたのかなとは思うのですが、やはり、到達していない部分もあるようですので、引き続きよろしくお願いします。

消費者教育は、デジタル化の進展等、消費生活環境の変化やリスクの変化に応じた不断の継続的な見直しが必要だと思われます。この点を踏まえて、当委員会としても引き続き期待しながら注視していきたいと思います。

本日は、非常にお忙しい中御説明いただき、また、御回答等をいただきまして、どうもありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程、議題につきましては決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございました。

(以上)