第450回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年12月25日(水)12:58~16:17

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 伊東内閣府特命担当大臣
  • 今井内閣府大臣政務官
  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、柿沼委員、中田委員、星野委員
    (テレビ会議)原田委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 伊東内閣府特命担当大臣 御挨拶
  2. 今井内閣府大臣政務官 御挨拶
  3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(第5期消費者基本計画素案について)
  4. 加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第450回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、委員として、黒木委員長代理、今村委員、大澤委員、柿沼委員、中田委員、星野委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。

小野委員、山本委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。


《2. 新政務御挨拶》

○鹿野委員長 本日は、伊東内閣府特命担当大臣、今井内閣府大臣政務官にお越しいただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。

それでは、まず、伊東大臣から御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○伊東内閣府特命担当大臣 皆さん、こんにちは。

消費者及び食品安全担当大臣の伊東良孝でございます。

お忙しい時期に、本当にこうしてお集まりいただき、ありがとうございます。私は北海道選出でありまして、これから本当にマイナス何度の寒いところに、明後日あたりは帰らなければならないなと思っていたところでもありました。

消費者庁及び消費者委員会は、本年設立15周年を迎えました。この間、消費者の安全・安心の確保や、消費者の自立への支援は、一貫して変わらない重要な課題であります。

消費者委員会は独立した第三者機関として、様々な消費者問題に迅速に対応するために、これまで多くの建議や、あるいは意見表明を行っていると伺っております。

さらに、高齢化や急速なデジタル化の進展等により、消費者取引が複雑化、多様化しておりまして、消費者を取り巻く環境が大きく変化する中で、消費者行政には、新たな課題が次々と現れております。

こうした状況に的確に対応をしていくため、消費者庁及び消費者委員会の果たさなければならない役割は、ますます大きくなってきていると、このように思います。

委員の皆さんには、積極的な御議論をいただき、消費者行政全般についての監視機能を十分に果たすとともに、消費者行政の司令塔であります消費者庁の取組を力強く後押ししていただくことをお願いする次第であります。

これからも、どうぞよろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、今井政務官より御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いいたします。

○今井内閣府大臣政務官 内閣府大臣政務官の今井絵理子です。

私は、大臣とは真逆の沖縄出身です。沖縄の気温は、本日23度ということで、とても暖かい町で生まれました。

大臣政務官として、伊東大臣をお支えし、消費者行政を着実に進めてまいりたいと考えております。

とりわけ、先ほど大臣からお話があったように、デジタル化の進展等により、消費者を取り巻く環境が大きく変化する中において、障害のある方、また、御高齢の方、そういった方々も消費者でありますから、そういった方々の保護の視点も含めて、しっかり議論していただきたいと思っております。

どうぞ忌憚のない御意見を賜りますよう、よろしくお願い申し上げます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

引き続き、今後とも、どうぞよろしくお願いいたします。

○伊東内閣府特命担当大臣 よろしくお願いします。

○鹿野委員長 伊東大臣、今井政務官におかれましては、この後、公務がございますので、ここで御退席されます。お忙しい中、大変ありがとうございました。

○伊東内閣府特命担当大臣 申し訳ありません。

○今井内閣府大臣政務官 どうもありがとうございました。

○伊東内閣府特命担当大臣 どうぞよろしくお願いします。ありがとうございます。

(伊東大臣、今井政務官 退室)


《3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(第5期消費者基本計画素案について)》

○鹿野委員長 それでは、改めまして、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日、最初の議題は、次期消費者基本計画素案についてです。

現在、消費者庁をはじめとする関係府省庁において、令和7年度からの5年間を対象期間とする、次期消費者基本計画の策定に向けた検討が進められております。

当委員会においても、次期基本計画に盛り込むべき、中長期的な課題等について調査審議を行い、本年4月と9月の2回にわたり、次期基本計画策定に向けた消費者委員会意見を取りまとめるなど、検討を進めてまいりました。

また、本年11月には、次期基本計画の素案について消費者庁より御説明をいただき、意見交換をさせていただいたところでございます。

その後、消費者庁をはじめとする関係府省庁において、更に検討が進められ、修正を加えた素案が新たに作成されたと伺っております。

そこで、本日は、その最新の素案の内容について、消費者庁より御説明をいただき、意見交換を行うこととしたいと思います。

本日は、消費者庁消費者政策課の鮎澤課長、消費者庁消費者政策課の杉田政策企画専門官に会議室にて御出席いただいております。本日は、お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、20分程度で、まず御説明をお願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御紹介いただきました、消費者庁消費者政策課の鮎澤と申します。

私のほうからは、主に資料1-1に基づきまして、消費者基本計画の現在の素案を御説明させていただきます。

資料1-2のほうは、ページが50ページを超えまして少し分量が多いので、場合によっては割愛させていただくかもしれませんので、よろしくお願いいたします。

では、ページを開けていただければと思います。

まず、1枚目が、第5期消費者基本計画素案、概要ということになりまして、令和7年度から令和11年度を想定しております。

こちらは、本当の概要になりますけれども、前回委員会の場で御説明させていただいたところから少々変わっておりますが、大きな構成のほうは変更されておりません。

第1章につきましては、5つの課題を挙げておりまして、先ほど伊東大臣からも御挨拶で御指摘ございましたけれども、消費者の取り巻く課題というのは様々でありまして、特に今回デジタル技術の飛躍による対応が必要だろうということを考えております。

2つ目としては、消費生活のグローバル化の進展などもありますし、3つ目の課題としては、社会構造の変化、4つ目としまして、より良い社会の実現と国際協調への貢献、5つ目としまして、緊急時における消費行動の変化などを挙げております。

右側の丸でありますけれども、こちらは課題ということで、社会情勢などを背景にしたものを、まず挙げております。

次が、第2章でございます。

第1章で申し上げました課題を踏まえた上で、どのような方向性に基づいて、どのような社会を目指していくのかということを挙げております。

まず、1つ目としましては、方向性ということで、消費者政策の価値規範に関する考え方の転換であるとか、それらを踏まえた消費者法制度の再編・拡充などを挙げております。

また、目指すべき社会の姿として、消費者が信頼できる公正な取引環境の確保であるとか、消費者力の実践、持続可能で包摂的な社会の実現などを挙げているところでございます。

こちらは、消費者基本計画の令和11年度あるいはそれ以降を目指す姿を記述しているパートでございます。

3つ目が第3章で「多様な主体が連携して推進する消費者政策」でございます。

こちらは、特に1ポツの「地方消費者行政の推進」を挙げておりまして、そのほかにも事業者の責務と期待、消費者への期待、更に行政、消費者、事業者の連携などを掲げております。

第4章が「消費者政策における基本的な施策」でございます。

こちらは、第1章に対応した現状の課題への対応ということで、これまでもやっていますけれども、各5つの課題に対応した基本的な施策を示しております。

2ポツとして、消費者の安全及び自主的な選択の機会の確保ということで、こちらも特に契約だけではなくて、製品の安全をはじめとして、合理的な選択の機会の確保であるとか、消費者被害の防止、救済を記述しております。

最後が3番目で「消費者施策推進のための関係部局間の連携」ということで、ここは主に政府の取組などを書いているものでございます。

ごくごく概要で申し上げれば、こちらが消費者基本計画の素案でございます。

次からは、少し個別のところに入りまして、2ページ目で「消費者基本計画の概要・策定の流れ」を御説明申し上げます。

こちらは、長期的に講ずべき消費者政策の大綱に当たるものでございます。先ほど令和7年から11年と申し上げましたけれども、基本的には5か年計画に対応するものでございます。

こちらは、まさにその5か年計画で、その計画的な推進を図るために閣議決定をしなければならないというものでございます。

現行計画は、今年度の6年度が最後でございまして、今回御説明いたしますのは、次の令和7年度からの第5期に当たるものでございます。

先ほど概要を説明したところでありますけれども、まさに高齢化、あるいはデジタル化で社会情勢が大きく変化しているものを踏まえまして、太字になりますが、消費者が信頼できる取引環境や、消費者力の実践、さらに誰一人取り残されることのない社会の構築という究極のものを目指しまして、安全・安心で豊かな消費生活の実現、更には、ウェルビーイングの向上なども目指すというものでございます。

この計画に基づいた取組につきましては、5年だからということでなく、不断の見直しを行っていくものでございます。

なお、今後のスケジュール、予定でございますけれども、本日パブリックコメントを開始しているところでございます。

その上で、30日御意見を伺った後で、それぞれ修正、反映なども行った後に、改めまして、3月に御意見も聴取させていただければと思っています。

それを踏まえまして、その後、消費者政策会議という閣議メンバー、全閣僚プラス公取委員長を加えたメンバーですけれども、こちらで案を策定した上で閣議決定を行っていくようなスケジュールでございます。

次に参ります。

ここからは、第1章になります。現状の課題ということで挙げていまして、先ほど申し上げましたように、重要と考えられる5つの項目に基づいて、分析、対応を行ったところでございます。

これらの課題などに対応する個別の施策は、基本的な施策の第4章の1ポツのほうを中心に記述している構成となっております。

まず、1つ目が「デジタル技術の飛躍」でございます。

もう御存じのとおり、情報量の膨大さや選択肢の多さで、これは当然利便性を高めたものではございますけれども、一方で、消費者の取引環境の複雑化、多様化、それを悪用するなどで、消費者トラブルのリスクにさらされる度合いも高まっていることを挙げております。

2つ目は「消費生活のグローバル化の進展」でございまして、インターネットを活用した海外取引というのは年々増加しておりますし、そこは今後も伸びていくものと考えております。

一方で、何がしかの消費者被害、商品が来ないなどがありますけれども、これらの発生をした場合に、国内事業者ではございませんので、救済がなかなか難しいという課題があり、ここで挙げたものでございます。

3つ目は「社会構造の変化」を挙げております。

少子高齢化につきましては、従来からも続いておりまして、各種人口予測は言うまでもなく、継続し続けております。

また、昨今では単独世代も増加しておりまして、地域のつながり、あるいは人とのつながりも希薄となっていく状況もある中で、消費者トラブルの観点で申し上げれば、悩みあるいはトラブルを一人で抱え込んでしまって、それが深刻化を招くことが懸念されるところでございます。

4点目は「より良い社会の実現と国際協調への貢献」でございます。

こちらは、従来の消費者と事業者が対立するものだけではなく、それに加えまして、協働・共創していくものと考えており、特にSDGsのうちで消費者政策との連携が強い12番目の「つくる責任、つかう責任」の実現に向けた取組を推進していく必要があるだろうということで記述しております。

最後は、5番目で「緊急時における消費行動の変化」でございます。

令和6年も元旦に能登半島地震がございましたけれども、こちらでも災害便乗商法は発生しておりますし、被災地の外でも義援金詐欺なども発生しているところでございます。こちらも昨今、災害も多発しているところもあり、記述したところでございます。

次が4ページ目になりまして「基本的な方向性と目指すべき社会の姿」でございます。

先ほどの第1章で示しました課題、高齢化やデジタル化などを踏まえまして、消費者政策の価値規範に関する考え方そのものも転換していく必要があろうということで、パラダイムシフトを挙げております。

こちらの第2章は、この計画が目指すべき社会の姿を提示していくものでございます。

まず、1番目で左側「1.基本的な方向性」ということで、これは消費者政策の価値規範の考え方の転換そのものを図っていくというものでございます。

イメージ図になりますけれども、従来は一般的、平均的で、合理的な消費者像というものがありまして、それで各種施策を行っていくというものでしたけれども、それは当然踏まえるのですけれども、これだけではなくて、例えばデジタルが典型的でありますけれども、高齢者だけではなくて、若者あるいは通常の普通の大人であってもデジタルのところでは、何らかのトラブルに遭ってしまうような脆弱性などがございます。

また、従来、金銭的なものがメインになっていたと思いますけれども、それに加えまして、例えば、情報、時間あるいは関心、アテンションなども提供していくものが消費者取引になっていくという状況も発生しております。

情報であれば、典型的なのは個人情報でしょうし、関心であれば、個人の志向とか、そういうのをアンケートだけではなくて、その人の選択したもので分析していく、あるいはそれを提供していく代わりに何らかの消費者サービスを得るというもので変わっていっているという状況もございます。

そのため、消費者行政も考え方を転換した上で、消費者法制度の再編・拡充に向けた検討が必要であろうということを示しております。

右側のほうは「2.目指すべき社会の姿」でございます。(1)(2)(3)とありますけれども、まず、消費者が信頼できる公正な取引環境の確保をしていくというものでございます。

ここにありますけれども、後追い・規律型の対症療法的なものではなくて、包括的な規制あるいは予防の観点なども踏まえた対策の在り方を目指すべきだろうと考えております。

2つ目として「全ての世代における消費者力の実践」ということで、先ほど申し上げましたけれども、消費者と事業者は、共につくる、互いに協力していくという関係の上、昨今、話題になっていますけれども、双方コミュニケーションによって、カスタマーハラスメントなどは減らしていこうということを示しております。

3つ目は「持続可能で包摂的な社会の実現」でございまして、これも先ほど政務官から御挨拶でございましたけれども、特に配慮を要する消費者に対する地域あるいはネットワークの構築などによって、全ての消費者が誰一人取り残されることなく、安心して安全な消費生活を営むことができる社会を構築という究極の目標を挙げております。

以上が第2章でして、次は第3章になります。

5ページをめくっていただきまして「多様な主体の連携」でございます。

こちらも1ポツから4ポツまで挙げているところでございますけれども、特に今回強く書いているところは、1番目の「地方消費者行政の推進」でございます。

こちらは、当然でありますけれども、地方消費者行政の体制整備は最重要課題でありまして、地域の消費者の安全・安心の確保、更にそれを支える消費者政策の基盤の確保ということがございます。

ただ、一方で人口は減少しておりますので、効率的な体制構築をしながら、何とか全国的な体制を維持・拡充する必要があるということを挙げております。

右側に参りまして、このため、地域の実情に応じてではありますけれども、広域連携の活用であるとか、都道府県による市町村の支援、消費生活相談員の確保、更にデジタル技術の活用などによる体制強化、更に高齢者をはじめとする見守り活動、消費者教育の充実などを挙げておりまして、これらは当然になりますけれども、国、消費者庁あるいは国民生活センターによる支援は行っていくところでございます。

このほかにも「2.事業者」には、引き続き消費者の安全及び公正な取引の確保に努めていただき、消費者は、特に冒頭で申し上げましたけれども、消費者力、気づく力、断る力、相談する力、働きかける力を向上していただくということを挙げまして、行政もこれら消費者及び事業者との連携を図りながら、持続可能な社会の実現ということで、これらに資する商品・サービスの提供あるいは消費者におかれては、選択していただくということを挙げております。

次は、第4章になりまして、消費者政策における基本的な施策でございます。

こちらは、従来から取り組んでいるものもございまして、言わば各論的なものに当たるものでございます。

まず、1ポツのほうになりまして、消費生活を取り巻く現状の課題への対応ということで、第1章に掲げました5つの課題に対応した構成となっております。

まず、左側(1)で「デジタル技術の飛躍」ということで、冒頭、取引環境のデジタル化は、当然ながら国内だけではなく、国際的なものにもなっておりますので、国際機関の議論をはじめとするものに積極的に参加し、かつ諸外国の各種取組も参考にしながら必要な対応を行っていく予定でございます。

また、これは、特に特商法ですけれども、やはり具体的に効果的な法執行を行っていく、違法・有害情報からの消費者利益の擁護を図るであるとか、個人情報の適切な扱いの確保、あるいは決済サービスの多様化に対しても対応していくということを挙げております。

2番目は「消費生活のグローバル化」でございまして、こちらは、越境消費者トラブル対応のため、海外機関との連携強化を図っていくことを挙げております。

右側に参りまして(3)の「社会構造の変化」でございます。

こちらは、主に見守り活動の充実のほか、ガイドラインの周知はありますけれども、周辺事業として成年後見制度などの活用も図っていくところでございます。

(4)として「より良い社会の実現と国際協調への貢献」でございます。

こちらは、引き続き、消費者教育を推進していくことをはじめとして、さらにエシカル消費の普及あるいは消費者志向経営などの普及なども図っていくところでございまして、更にカスタマーハラスメントにつきましても、政府でも徐々に制度が整いつつありますので、この辺の対策を行っていくとか、更に食育・食ロスの関心も引き続き高まっているところでございますので、この辺の対策も行っていくことでございます。

最後「緊急時における消費行動の変化」でございますけれども、こちらは、災害便乗商法などへの対応を行っていくというものでございます。

2番目として「消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択の機会の確保」でございまして、ここは、高齢者や子供をはじめとする消費者の安全の確保、あるいは公正な取引環境の維持とか、引き続き悪質商法への対策、さらには、消費者被害に対する適切・迅速な救済などを図っていくということを挙げております。

「3.消費者政策推進のための関係部局間の連携」でございますが、これは、当然でありますけれども、国や地方公共団体の関係部局が連携して、情報共有や役割分担、整理を行っていくことは当然でありますけれども、本計画に基づく施策につきましては、推進していきますし、昨今、政府部内におきましても、政策評価、EBPMの活用ということが言われておりますので、ここにつきましては、この5年間で何ができるかという検討をはじめ、様々な手法を用いながら政策評価は行っていきたいと思っております。

私からは、概要、以上でございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は60分程度を予定しております。いかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 委員の今村です。御説明ありがとうございました。

計画の中に、当初は食品に関することがほとんど載っていなかったということもあって、今回、この4月から基準行政が消費者庁に来たこともあって、ぜひちゃんと書き込んでほしいということをお願いして、書き込んでいただいたことに心から感謝申し上げます。

ただ、すごく控え目に書かれていて、全体の概要の中にも食品のことが、安全に関することや、この間の紅麹に関することなどが、あまり強調されていないということで、消費者庁の非常に大きな業務として、全責任を負う、まさに司令塔機能を持つ部分として、もう少しそこら辺のところは強化して書いてほしいと思っています。

最後のほうに付け加えていただいたような形になっているので、大きな話ですし、大きな事件もあったことですので、ぜひここは強化して書いてほしいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

消費者庁から何かございますか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 当然ながら食の安全・安心というのは、特に安全のほうは、今年度取り組んだところでございますし、あとは、各種制度も整えたところでございまして、もう少し記述をというところがございます。ただ、担当的には、ほかの施策と比べますと、食の安全で1ページ以上、各論にも書いておりまして、書かせたつもりではありますけれども、そこは決して軽視しているわけではございませんので、御理解いただけないかと思っております。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 今回、まとめの概要の紙の中にも、それだけ書いていただいている割には、ここには全然出てこないですから、それほど重きを置いているように、なかなか見えないと思います。全くないというのは、非常にまずいと思うので、対応してもらったことには大変感謝するのですけれども、もう少し、これだけ社会的関心を集めている中で、そこは目に見える形で、計画の重点事項である旨も分かるようにしていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御説明いただきまして、どうもありがとうございます。

全体的に申し上げる前に、私の立場をまず先に申し上げますと、私は、一応法律の専門家ですので、法制度の観点から2点、意見を言わせていただこうと思っております。

ただ、いわゆるハードローというか、法律的な手法以外の、例えば認証制度だとか、あるいは事業者の自主規制とか、そういうことを促進することには、私は、個人的には賛成しております。

むしろ、それを下支えするために、消費者法制度の今後の在り方、発展というところの観点から2点申し上げたいと思います。

全体的には、特に私、今回関心を持っているのは2点ありまして、1点がデジタル手法への対応、もう1点がパラダイムシフトということになります。

まず、前者のデジタル手法に関しては、この委員会でも意見が出ました、例えばですけれども、透明化法についての記述が加えられていたりですとか、あるいはダークパターンなど、あるいは、要は恐らく5年前には、あまり考えられていなかったであろう新しいデジタルを使った形の消費者への勧誘手法などについて、非常に詳しく書かれておりまして、私自身もすごく勉強になるほど本当に詳しく書いてくださっていて、大変内容としては充実しているのではないかと、全体的には思っております。

デジタル手法への対応という点から、まず申し上げますと、特定商取引法による対処ですか、そういったことが記述として出てまいりますが、確かに、現行法でいいますと、特商法の規定がベースになるというのは、否定はできないと思いますので、まず、こちらを発展、必要に応じて改正などをするということは必要だと思うのですが、恐らくいろいろほかに検討すべきところはあるのではないかと思っていまして、細かな点で恐れ入りますが、例えばですけれども、報告書の29ページに、経済産業省がつくっています準則が引用されていて、「電子商取引及び情報財取引に関する準則」という名前ですが、この準則の在り方を見守っていくということだと思うのですが、正直言いますと、この準則の内容に書かれていることについては、かなりアップデートをする必要があるのではないかと思っております。

これは、私は民法あるいは消費者法の研究者の立場から、あくまで法的な見方からですが、相当アップデートする必要があると思っておりますので、こちらに釈迦に説法的で申し訳ないのですが、御留意いただいたほうがいいのではないかと思っております。

また、様々な勧誘手法ということで、先ほど申し上げましたダークパターンですとか、いろいろなものが引用されていますが、もちろん勧誘手法が具体的に消費者の、例えば意思決定にどういう影響を与えるのかとか、あと、そもそも本当に100パーセント、いわゆるブラックなのかどうかということ自体の検証というのも今後進めていく必要があるのではないかと、言うまでもないことですが思っております。

それを踏まえた上で、今回の報告書の中で、あるいは今回のスライドの中でも、消費者の気づく、断る力を発展させるということが出ておりまして、その方向性自体に私は賛成しているのですが、ただ、消費者が気づいて、それが間違ってまずいのではないかということに気が付いて、そして、それを断るという力を発展させる上では、やはりどういう勧誘手法が、あくまで私は法律家ですので法的にどういう点で問題があるかと、それはどうして消費者の意思決定をゆがめるのかとか、そういったことをきちんと国としても検証して、その考え方というのもある程度固めていくというか、もちろんデジタル手法は日々発展していくものですので、なかなか固まった考え方だけで進むというのは、難しいところはあるのですが、現状は、まだスタート地点に立ったぐらいではないかと思っております。

あとは、デジタル手法に関しては、もう一点ですけれども、DPF法の話が出ていまして、確かにDPF法に関しては、たしか前もこの消費者委員会で意見が出ていて、もう少し記述を増やしていただけないでしょうかという話が、前の委員会でもあったと思うのですが、確かに記述は多少は付け加わってはいるのですが、かつ、DPF法による事業者の自主規制がどのように進んでいくか、そういう検証をする、まずは、それの発展を促していくというのは、もちろん必要なのですが、他方で、例えばEUをはじめとする他国では、例えば、私が日頃研究しているフランスなどでは、例えば、プラットフォームでも、いわゆる消費者がよく参考にする口コミに関しての法的なルールとか、そういったものを、もう2016、17年辺りから積極的にルールとして設けていますので、もう海外では、自主規制というのも、もちろん必要性は認識しつつ、しかしハードの形で、先ほど言った、いわゆるブラックと言えるようなものに関しては、対処をしていっていると思いますので、DPF法に関しても、自主規制を促進するということだけではなく、別の可能性というのも、本当にきちんと対処すべきものは対処するということも、この5年間で、実際に5年間で改正するかどうかはともかく、検討いただきたいと思っています。

以上がデジタル手法への対応で、2点目がパラダイムシフトのほうですが、個人的には、前の委員会の意見でも出ていた、いろいろな問題に対して、例えば解約金などに対して、特定商取引法などの具体的な対処の方向性が見えてくるような記述になっておりましたので、その点は非常に評価しております。

他方で、やや寂しく思いましたのは、消費者契約法という言葉が、検索をかけてもそんなにたくさんは出てこないというか、非常に少ないのではないかと思っています。

冒頭申し上げましたように、私自身は、認証制度ですとか、自主規制とか、そういったソフトなものというのは、ぜひ活用すべきだと思います。そこはポジティブに捉えていますが、ただ、例えばどういう自主規制を事業者にやってもらいたいのかとか、そういうのを、いわゆる規定になるようなルールというのは、これは消費者契約法というのもその1つに当然なるはずであると思っております。

例えば、先ほど特定商取引法の話をしたときに、デジタル化のところで特定商取引法だけでは不十分なのではないかと、私、認識を持っていますのは、今、デジタル化の中で問題となっているのは、むしろCtoCの取引の中で、要は消費者が、いわゆる鍵括弧つきの事業者にもなれるような時代になっていて、むしろ、消費者の間でいろいろトラブルが起きるというところだと思いますが、こちらには特商法は適用しにくいところもありますので、消費者がよほど反復継続していない限り、できないというところがありますので、こういったことを考えたときに、やはり消費者契約法自体のパラダイムシフトとか、あるいはパラダイムシフトの中での消費者契約法の在り方というのも、ぜひ検討していただきたいと思っております。

消費者契約法が、ベストプラクティスを示す役割というのもあると思いますし、あとは報告書の12ページに、消費者が選択を納得できるものにするということが書かれていますが、これを実現するためには、やはりソフトだけではなく、民事ルールも必要なのではないかと思っています。

2022年の消費者契約法改正に向けて、いろいろ行動経済学とか、心理学の知見も本当に充実した検討が消費者庁でもなされていたと思いますので、この成果を、具体的にどう生かしていくかは、引き続き検証する必要があると思っております。

長くなりまして申し訳ありませんでした。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、今の点について、消費者庁からお願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 デジタルとパラダイムシフトで、2点ではありますが、厳しい御指摘をいただいたと思っております。

まず、デジタルにつきましては、個別のほうで行きますと、経産省の準則の話は、またお伝えさせていただければと思っております。

御指摘のとおり、勧誘手法は、様々なものがあってなかなか追いつけないのが状況でありまして、ただ、これは消費者行政に限らずですけれども、取引をどう定義した上でやっていくかというのは、まさにスタート地点から出発して、消費者庁だけではなくて、総務省さんもどう捕捉するのか、定義するのかとか、種々やっているところでもあり、後ほどのものとかぶりますけれども、横長の説明資料のほうでも国際機関、EU、OECDあるいはアメリカ、その辺のインプットだけではなくて、実際、議論にも参加していきますので、そこは御知見もいただきながら、どうやったらより適切な、公平な取引環境ができるのかというのは追求していきたいと思っております。

関連で、デジタルプラットフォームの法律の御指摘もいただきまして、ここは、担当にも当然お伝えしますけれども、彼らも、今、積極的に研究会を回したりとか、インプットあるいは懇談会などもやっているところでありますので、もう少しその辺も待っていただき、議論なども、報告書も出すようなので見ていただけないかと思っております。

先ほど申し上げましたが、諸外国の制度に学んで、良いものは取り組んでいなければいけません。個人的ですけれども、昔だったらアメリカの10年後は日本に来るような話もありましたけれども、もうデジタルは速くて、その辺の手法がすぐに日本にも来ているのではないかということもありますので、そこは意識しながら役所としてもやりたいと思っております。

2つ目のパラダイムシフトのほうになりますけれども、こちらは、まさしく委員会のほうで御議論いただいていますので、ぜひ引き続きの御議論をお願いしたいと思っております。我々も勉強させていただきます。

消費者契約法の関係の記述諸々ですけれども、こちらも担当課に伝えさせていただきます。

こちらは、パブコメのときのタイミングで、改めてどのようにできるかということも考えさせていただければと思いますし、今後のパラダイムシフトの議論の場でも消費者契約法で、どう追記すべきだみたいなものも御議論いただければと思っております。

あと、CtoCのところは相当反復継続しないと、というのは、もう御指摘のとおりで、逆に言うと、1、2回だと通常の消費者取引であるというところもあるので、そこは、こちらもすみません、パラダイムシフトのほうで御指摘などをいただければと思っております。

取りあえず、以上でございます。

○鹿野委員長 大澤委員、何か追加でありますか。

○消費者庁消費者政策課杉田政策企画専門官 すみません、よろしいですか。

計画素案を執筆しました立場としまして、少しスタンスだけ補足をさせていただきます。

今、御指摘をいただきました特にパラダイムシフトの部分につきましては、概要ではなくて素案の本体の13ページから14ページにかけまして、考え方の転換を踏まえた消費者法制度の再編・拡充、ここのところの特に25行目ですとか、30行目からのパラグラフになってまいりますけれども、ここで、19行目冒頭からにもなりますが「消費者行政における消費者法制度の現状を検証しつつ、将来の在り方を検討する」、また、25行目のところに「消費者法制度の再編・拡充に向けた検討を行う」と記載しております。

ここは、消費者契約に関わる部分、また、デジタルを踏まえました取引、これは30行目のところからも「消費者トラブルの複雑化・多様化のほか、デジタル技術特有の加速度的な可変性を踏まえると」という形で書かせていただいていますが、ここは、まさに御指摘の内容を意図している部分ではあるのですが、これを検討していく中で、必ずしも契約法自体を動かすか、あるいは特商法自体を動かすか、あるいは別の新法みたいなものをつくっていくのかとか、そういったところが、今、見えておりませんので、あえて具体の法律名をここは記載しないようにしているという意図でございます。その部分は、補足をさせていただければと思います。

○鹿野委員長 大澤委員、お願いします。

○大澤委員 よろしいでしょうか、御説明ありがとうございます。

2点あるのですが、1点が、デジタルあるいはプラットフォーム取引に関して、今、そもそも日本の消費者が、例えば諸外国の事業者と、それこそまさにプラットフォームの上でつながったりとか、例えば日本の消費者が海外に行って、例えば民泊でアパートを借りてとかというのは、オリンピックのときにもあったのではないかと思いますが、そういう状況で、例えば、EUでプラットフォーム事業者にどういう責任を課そうとしているか、あるいは、それはハードなのかソフトなのかも含めてですが、そういった状況がEUで、やはり結構勧誘手法にも切り込んで規律されていたりとか、そういう状況があって、他方で日本は、もちろん検証を続けているということは重々承知していますけれども、そこに遅れが出てしまうというのは、今、課長もおっしゃっていましたけれども、前だったらそれは10年後の日本だったのかもしれませんが、今は同時どころか、もう既に消費者が海外の事業者とつながっている状況ですので、そこのタイムラグというか、法律の格差みたいなのをあまりつくらないようにというのが個人的な意識です。

もう一点ですけれども、報告書本体の13ページですか、こちらについては、もちろん記述を読ませていただいていますし、把握はしています。あとは、個別の法律名を書くのが難しいというか、それも重々承知しています。

承知しているのですが、私があえて消費者契約法のことを申し上げましたのは、2022年の消費者契約法改正までに、まさに行動経済学ですとか心理学とか、いろいろな知見から、それこそいろいろな勧誘手法に対する、デジタルというよりは、もう少しリアルな勧誘かもしれませんが、そういうものへの対処の在り方というのは、あれだけ検討されていましたし、他方で、今回報告書の中で特商法のほうは、言葉としては、かなりたくさん出てくるのですね。

そういった状況で、特商法というのがたくさん出てくる割に、消費者契約法というのはあまり出てこないので、ここがあえて書かなかったという御趣旨は、本当に重々承知しているのですが、消費者契約法は、あそこまで検証して、何か切れてしまった感じがどうしても印象として受けてしまうというところがあります。

私自身は、別に消費者契約法を軸として発展させていくべきかどうかというのは、個人的に研究していても、まだよく分からないところがあるのですが、記述の全体を見た印象として、そういう印象は持っておりますし、これからパブコメということですので、そちらに委ねたいという気がありますが、そういう問題意識で申し上げております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

どうぞ。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 すみません、契約法のところは、大変失礼いたしました。決して、消費者契約法を排除するというか、オープンの場で申し上げるのは、やや踏み込み過ぎのところもあるかもしれませんが、個人的な見解としては、パラダイムシフトの御議論をいただきますけれども、当然ながら消費者契約法というのは、主な検討対象になろうかと思っております。

ですので、決して排除するわけではないのですけれども、やはり議論途中のところは、なかなか記述しにくいというのがございまして、このようなものにさせていただいているところでございます。

あとは、2点目にも関するところですけれども、これは、私も立場上、いろいろな政府の検討会にいるところですけれども、やはり海外では規制されたけれども、日本ではまだやれるみたいなものは、決して日本国として望ましいものではないので、そういう意味でも、やはりこういうものは、当たり前ですけれども、早期に対応しなくてはいけないという認識はありますので、これも個人的な見解が入っていますが、そこは意識させていただければと思います。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 現状の計画素案の御説明、ありがとうございます。2点コメントをお伝えします。

まず、この計画の検証・評価についてですが、この計画のフォローアップについて、素案の冒頭「はじめに」のところで、決定から3年目を目途に中間点検を行う。また、取組について不断の見直しを行っていくと、一文を追記いただきありがとうございます。

その上で、この3年目の中間点検と不断の見直しの手法が気になるところであり、この計画のフォローアップと中間点検を具体的に誰が主導でどのように行うのか、KPIやEBPMをどのように活用して点検をされていくのか、具体的な評価の計画が見えない点が気がかりであります。

このレビューの方法や評価基準が定められていないと、3年後に実施される点検の評価は、いかようにでも読み取れてしまうので、できれば、必ずしも3年を待たれずに、もう少し短期間、例えば年度ごとのマイルストーンとなるKPIなど、定量あるいは定性の目標を設けられて、その目標に対する進捗をレビューしていただき、その時点での課題を洗い出して柔軟に計画に反映していくことで、結果として確実な効果が見込めるのではないかと思います。その結果、進捗の成果を国民に透明性高く共有することが可能になるのではないかと思います。

私は、この計画と具体的なフォローアップ及び効果検証計画は、セットでつくられるべきではないかと思います。

パブコメの結果も伺いたいと思いますが、できれば検証の重要性を鑑み、資料1-1の概要の中にも、フォローアップや中間検討の重要性と実施についても入れて強調をしていただきたいと思います。その点が1点です。

2点目としては、ダーク・コマーシャルパターンについてですが、消費者に不利となる意思決定を誘導する、いわゆるダーク・コマーシャルパターンについては、これを防止するために必要な処置を講じていくと、第1章に書いていただいておりますが、この計画の中で、この点を重要視されていると読み取ったのですが、消費者だけでなく、デジタル上で事業を展開している事業会社の目線から、ダークパターンの定義は、非常に気になるところだと思います。

明確な悪意をもって消費者被害を誘引する、確実にブラックな詐欺サイトと、例えば、申込みボタンの色を変えてみたり、レイアウトや文言を工夫してアップセルや、コンバージョン改善策を行っているような企業努力は別であると思われますので、ブラックではなく、あえてダークと言われていると思いますので、ダーク・コマーシャルパターンの定義が明確になって、その定義が事業会社と消費者双方に浸透することが重要ではないかと感じております。

以上、2点です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、2点について、消費者庁からお願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 まず、1点目の検証についてでございます。

当然我々も検証は大事というか、政府である以上、説明責任はございますので、やらなくてはいけないと思っておりますし、資料でも不断の見直しというのは、その施策も含めてやっていくという趣旨でございます。

御指摘のKPIですけれども、なかなか、前に別の場で申し上げたことの繰り返しもありますけれども、実際に、例えば摘発したとか、注意喚起したとか、そういうものはKPIになじみやすくて、検証はしやすいのは確かです。

ただ一方で、件数だけでいいのかというのは当然、もう御存じかと思いますがありますし、あとは法改正とかになりますと、定性的なものになるので、仮に何か言っても検討中で終わってしまうというのもあるところから、なかなか全部ができないので、KPIを全部設定するのは難しいと考えております。

誰が何をやったかというのは、ここに一々経産省とか公取委とか総務省とか書いてありませんけれども、当然この記述からすれば、役所の中では、どの役所がというところは、いわゆる責任者は誰かというのは、はっきりしていますので、その点は大丈夫だと思っております。ですので、そこの点の見にくさというのは、あまりないのかなとは思っております。

あとは、3年の検証ですけれども、通常政府の中長期的な5か年計画のものになりますと、3年目に入ったところで、折り返し地点に入りますので、検証して次の5年に何をやっていこうというところのキックオフになるのが大半の計画でございます。

そのため、消費者基本計画においても同様の対応をしておりまして、あと、年度ごとの施策ということにつきましては、引き続き白書ではやっておりますので、重要なものについてはやっているのではなかろうかと考えております。

2番目のダークパターンのところでございますけれども、これは、おっしゃるとおり消費者だけではなくて、BtoBでも何かしらはあるでしょうし、定義をどうするのだというのは事業活動の上でも議論になっていると考えております。

ただ、ダークの定義をどうするかというのは、本当に難しい問題でして、本当にスタートライン、ただ、課題としては政府としても、皆、認識しておりまして、これをどうするか、これをどう規制、あるいは定義していくかというのは、消費者行政を超えた問題でもあろうかとは思っておりますが、今、政府内でかなり議論になっていることでもございます。

私からは、一旦以上です。

○鹿野委員長 中田委員、何かありますか。

○中田委員 御回答ありがとうございます。

3年目に入ったところで、見直しを行うことが通常であると伺ったのですが、この消費者問題の多くは、デジタルに関わっている点が多いことで、やはりデジタル社会はスピードが速いので、本当に3年待っていいのかどうかといったところは、もちろん3年たつまで何も検証しないということではないと思いますが、ぜひそのスピード感についても意識していただければと思います。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 丁寧に説明していただき、ありがとうございました。

大きく2つ質問があります。まず1つ目は、最後の49ページにある『司令塔』という言葉についてです。第4期の消費者基本計画と今回の計画では、この言葉の扱いがかなり違っているんです。

第4期の基本計画では、2ページで『各省庁の縦割りを超えた分野横断的な法令を推進してきた』と書いてあって、3ページでは『消費者行政の司令塔として各省庁と連携して施策を推進する』という指摘がありました。さらに第5章の『国などの体制整備』でも、『消費者庁は、新未来創造戦略機能も活用しながら、消費者行政の司令塔としての役割を果たす』というように、『司令塔』という言葉が何カ所にも出てきていました。

でも今回は49ページに一言書いてあるだけで、概要版にも載っていないんです。なぜこんなに消費者庁の『司令塔』という表現が全体的に控えめになったのか、それが1つ目の質問です。

2つ目は、12月3日に地方消費者行政についてヒアリングをした時、赤井課長が『強化作戦2020はもう実施しない。これを基本計画に格上げする』とおっしゃいました。

それは理解できるんですが、先ほど中田さんも言っていたように、内容がかなり抽象的になってしまっています。強化作戦のときは具体的な数値目標があったんです。基本計画への格上げは良いことかもしれませんが、国民としては、特に地方消費者行政について、どうなっているのかを知りたいと思います。

第4期のような工程表で細かく示して、消費者行政がどう動いているのかについて、国民と意見交換できる場を第5期消費者基本計画でも設ける予定はあるんでしょうか。3年後の見直しについては分かりましたが、5年間の中で、重要な時期ごとに第4期でやったような工程表を示していく予定はありますか。強化作戦2020をやめるなら、これは代わりに必要だと思うんですが、この点についてどうお考えでしょうか。

○鹿野委員長 それでは、2点について御回答をお願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 まず、1点目の司令塔のほうですが、これは、司令塔を書いていないからやる気がないとかではなくて、まさしく閣議決定を、各種政策はしますので、それについて濃淡があるとか温度差があるというものはございません。

担当としましては、これは、私の個人的なものもありますけれども、あまり自分で司令塔、司令塔というのは、実際何をやるかという実質のほうが、閣議決定するかのほうが大事なのであって、司令塔と5回書いてあるから5倍やる気があるかとか、そういうものではないと考えております。

ですので、司令塔の記述が少ないから、私に、前任の5年前の担当と比べてやる気がないかというのは分かりませんけれども、その表現がないから、次の基本計画が、どうなのかというのは、何とも申し上げようがないところでございます。

2つ目の地方強化作戦に関連した意見の場であるとか、説明の場というところでございますが、赤井課長から説明もあったと思いますけれども、日々現場の方とか、相談員の方、自治体の方とは意見交換をさせていただいておりますし、私は、この政策課というところで抽象的なものをやっていますけれども、それでもやはりお付き合いしておりまして、意見が反映されない、説明をしていないということはないのだろうかなと思っております。

それで、閣議決定に上げさせていただいたので、必要があれば、それこそ3年の中間のところで、必要なものをやらせていただきたいと思っておりますし、あとは、KPI全体であるとか、見直しのところもあるのですけれども、これをやると、トレードオフで現場の負担になります。

相談現場なら相談現場の後で、様式によって記入してくれというところがあって、端的に言えば、相談に専念されたい方もおりますけれども、追加情報等もあるので、これは、相談に限らず、どの事業であってもフィードバックをしてくれというのは、お願いをして御協力をいただいているものでございます。

ですので、なかなか、私もデータがほしいし、検証もしたいと思いますけれども、一方で、そういう声がないわけでもないので、そこを鑑みると、主要なところは毎年白書で説明をし、全体はこの中間で消費者庁が、あえて司令塔と言えば、消費者庁が仕切って検証していくというイメージではございます。

ただ、少しEBPMに触れますけれども、具体的にどういう手法が望ましいか、そこは中田委員の御回答をしていませんでしたけれども、これからどういう手法があるかというのは検討していく状況でございます。

○鹿野委員長 黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 ということは、第5期消費者基本計画では、第4期のように工程表を作ってパブリックコメントを募集するというプロセスはしないのでしょうか。全部白書に任せて、3年後の見直しの時に初めて大幅な見直しをする。つまり、毎年ごとの見直しはしないということで理解していいんでしょうか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 それは、選択肢として考えております。

○鹿野委員長 黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 多分、今の課長の言葉にすごく反応しているオーディエンスがいっぱいいるだろうなと思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 EBPMの話が出ておりますので、関連してでございますが、これまで2回、消費者委員会意見といたしまして、結構EBPMに関しては書いているところでございますが、残念ながら白紙回答というか、そもそもEBPMに関するセクションが、括弧何とかという形で残っていたところが全くなくなり、かつ、たしか最後の各省庁の連携のところに、唯一残っているというところでございまして、非常に残念でございまして、先ほど、中田委員がおっしゃったような、この計画レベルの評価というところに関しても、もちろんかと思いますが、そもそも普段から行う様々な施策に関して、法執行だとか、法制度を考える際に関しましてもEBPMは非常に重要かと思っておりまして、諸外国では様々、先ほど大澤委員が少しおっしゃったように、行動経済学の知見を基に、法律や規制をつくっていくと、そのときのエビデンスとして、実験だとか、調査だとかをして、人々は、先ほどのダークパターンかブラックなのかという議論がありましたが、ほとんど多くの人が、どうしても抗いようがないような形で意思決定を強制されるみたいなもの、例えば、ドリッププライシング、最終的な価格が見えない中で、最初に安めで出させて、結局使えるようなものを買うためには、最初が1万円だったのが3万円ぐらい払わないといけないみたいなことを規制するのが、カリフォルニア州、そして、先ほどお話がありましたイギリスなどでも制定されたということ。

そのエビデンスは、様々な行動経済的な実験等を踏まえて行われたことなので、データを取るのは、現場がという話は確かにあるかもしれませんが、それとまた違った形のエビデンスの取り方というのもございまして、そういったものをベースに、法制度設立だとか、執行だとかということに関して、このエビデンスベースで、もうOECD諸国では、かなり多くされていて、その知見が既にたまっているという現状のところ、これから5年間ということを考える際に、そういったものを活用するということを書いていただかなかったことは、非常に残念でございまして、これは大変申し訳ございませんけれども、政府の不作為ではないかと私は思ってしまうぐらいでございますので、ぜひこのような各国の流れの中で、日本がそれをやらないと、デジタル化ですぐ、日本はそこを自由にされている、野放し天国だとなってしまいまして、どんどんどんどん日本の消費者が被害を受けることが起こりつつあると理解しております。

確かに、EUだとか、イギリスだとかで、実際そういった制度が設立されたことによって被害が減少したということは、結構報告されておりますので、ということは、日本等、そういった施策をしていないところに被害がどんどん増えていくのは明らかだと思いますので、そういった観点からも、ぜひEBPMと狭く取っていただかないように、多分何かロジックモデルがあって、KPIがあって、政府が行った投入に対して云々かんぬんというと、それ自体、確かに大変だというか、現場が疲弊することはあるかもしれませんが、それ以外の様々な形のEBPMの実現がございますと、最後のところの各省庁の連携に関しましては、米国等などで実施されておりますが、例えば米国版のPIO-NETであるコンシューマセンチネルと、警察捜査情報と合わせて様々な施策立案がされているということがございますので、政府全体として消費者保護法を、防止するための情報共有、データの利活用ということというのは、非常に重要なことかと思いますし、しかもそれは、実は、現場が疲弊していることはなく、データを連携すればできるようなことでございますので、そのようなものというのは、非常に海外では有効だということが分かっているということから、ぜひこの5年、絶対にそういったことができますし、しなければ被害を防げなくなってしまうだろうということも考えますと、ぜひそのようなものを御検討いただければと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

EBPMについて、さらに星野委員から御意見がございましたが、消費者庁からこの点について何かございますか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 大変厳しい評価でございまして、重々認識したいと思っております。

また、個人的な話が増えて恐縮ではありますけれども、私は消費者庁の中でEBPM担当の管理職でもございます。

決してEBPMをやらないということではなくて、例えば、本文の49ページの一番下からモデルプロジェクトを実施するとか、何かしらはやらなくてはいけないと思っております。

ただ、一方で、消費者庁あるいは消費者行政でEBPMをやっていないかというと、庁内の中ではありますけれども、各課やっていただいて、例えば、評価のやり方、手法を結果として、良いものについては、長官表彰などもさせていただくなど、他省よりも多少は進んでいるような役所でもあります。ちょっと自己評価なので怪しいところはありますけれども、決してEBPMをやらないとか、取り組まないわけではなくて、ただ、なかなか手法の開発も難しいところですので、ここは引き続き、星野委員にもお時間をいただいて勉強をさせていただくとか、どうやったらよりよいEBPMになるのかなど、引き続き消費者庁あるいは消費者行政として追求させていただければと思います。

○消費者庁消費者政策課杉田政策企画専門官 すみません、実務作業的な部分で補足をさせていただきたいと思うのですけれども、鮎澤のほうからも御説明させていただきましたとおり、3年間全くやらないということではなくて、どのように評価をすべきかというところを、現在、並行して検討しております。

その際に、ほかの委員からも御指摘がございましたように、非常にデジタルなど、今回扱う内容は特に速いペースで内容が変わっていくものに対して、中長期あるいは1年ごとの進捗を追っていくというのが有効な内容もありますし、そうではないものもある。あと、非常に僭越ながら、少し議論の内容が、個別の消費者政策のフォローアップの話と、それから基本計画というものに対するフォローアップという議論が少し混在しているような印象を受けておりまして、個別の施策につきましては、それぞれの担当省庁、取組については、当然その効果測定などをやっていくべきであって、そこについて、それが必ずしも定量評価できるものだけとは限りませんのでKPIだけとは限りませんが、そこの部分を、特に49ページの20行目から28行目のところにおいて、各施策についてこのように取り組んでいきましょうということを書かせていただいています。

ただ、非常に難しいのは、この基本計画というのが、法でも示させていただいているように、消費者政策の大綱という大きな方針を示すという計画である中で、この計画自体のフォローアップというものをどのようにやっていくべきかというのは非常に難しいと感じております。基本計画自体が方針を示すものである限り、例えば、工程表というのは、先ほども発言させていただきましたとおり、つくらないという選択肢も、今、選択肢の中としてはございます。ただ、工程表は時間軸がついていくものですから、ある意味、アクションプランという部分で、それは基本計画とは基本的に性質の違うものだと思っています。ですから、性質の違うというのは、基本計画の次の段階で来るものと思っています。

ですので、第4期につきましても、工程表というのは計画の本体ではなくて、別冊というか、附属するものということであったと思うのですが、それを今度は工程表になるかどうか別の手段を取る可能性もあるのですけれども、どういう形で評価をしていくべきかというのは、今、実務的に検討をしているところでございますので、基本計画の本体ではございませんが、また議論のほうは御知見などもお借りしながら、意見交換などをさせていただいて、検討を進めていきたいと思っております。

以上、少し実務的な補足になります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今のKPIの件について、私も行政におりましたので、計画をつくるときに、やはりKPIをつくらないと、計画をつくってからKPIをつくっても、それは本当の進行管理にならないと思うのですね。施策が、進行管理できる施策を打つということが、やはり前提であって、施策を打って後から評価する指標をつくるというのは、極めて困難なことだというのは、実経験としてあるので、現段階で進行管理がまだ未定であるということは、この計画をつくるに当たって、大変大きな不安因子だと思います。

ですので、やっていただけるということではあるのですが、やり方としては、進行管理がやりにくいものになっていると、実感としてありました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。御発表いただきまして、ありがとうございます。

私は4点お伝えしたいと思います。全てコメントになります。

まず、消費者行政についてなのですけれども、前回の基本計画においても同様の記載はありましたが、成果が出ているとは思いにくい状況です。相談員不足は一向に解消しておりません。

また、担い手事業も何度か行っていただいてはいるのですけれども、成果が出ているとは言い難いところがあります。新しい手法を、ぜひ御検討いただきながら行っていただきたいと思っております。

1つの提案といたしましては、MOOCなどの公開オンライン講座のシステムを上手に活用すれば、試験対策だけではなく、消費者行政というのは、どういうものなのかを、国民全体に知っていただく機会にもなります。意見とさせていただきたいと思います。

また、消費生活相談員の処遇についても、まだまだ改善の余地はあると思います。次期基本計画において、十分な取組をお願いしたいと思います。

それから、2点目です。

消費生活相談センターのDX化ですけれども、PIO-NETも新システムに移行するのですが、消費生活センターや消費生活相談員の意見を上手に取り入れていただいて、有効に利用できるように期待したいと思います。

また、相談員の入力したデータを、今、星野委員からも意見がございましたけれども、十分に生かしていただきたいと思います。PIO-NETの入力は、本当にかなり時間をかけて入力していますし、項目も多いです。その情報をうまく活用されていないということでは意味がありません。消費生活相談員は相談情報を単に入れているということではなく、被害解決に資するようにという願いも込めて入れているところがございますので、ぜひ活用の方法については、再度御検討いただきたいと思います。

それには、アカデミックの方の意見もあるかと思うのですけれども、これは、やはり消費者団体などの意見も十分に汲み入れていただきたいと思っております。

そして、消費者行政の職員の減少ですけれども、この減少によって、今、執行力の低下につながっているという状態と思っております。

こちらについては、地方自治体任せでは難しい問題ですので、ぜひ推進できるような基盤体制をお願いしたいと思います。

それから、3点目です。

地方消費者行政の現況調査、毎年出していただきまして、私も拝見しているのですけれども、消費者教育を実施していますかという問いに対して、都道府県レベルで一度でも行っていると100パーセント実施しているということになりまして、現状、どこの都道府県も実施しているということで100パーセントと出ていますが、その中には、実際の受講者数や、それからどのような内容を行ったのかという記載がなく、それがきちんとした分析などもされていないということですので、ぜひ次期基本計画においては、どのような消費者教育を行っていて、何が足りないのか、何を伝えれば消費者被害が減るのかということも十分に加えていただきたいと思います。

そして、最後です。

素案の39ページ、安全についてとあるのですけれども、消費者安全法においては、製品の安全だけではなく、財産被害についても含まれています。

特に、今、デジタル関係の被害が多い中、財産被害のきっかけとなるのは、ほとんどが、デジタル広告です。デジタル広告についての内容について、もう少し詳しく入れていただきたいのと、それから子供がデジタル広告に、やはり被害に遭っているところがありますので、その部分については明記をしていただくということでお願いしたいと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

消費者庁から、お答えはありますか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 1点目の提案の御指摘は、まさしくそのとおりかと考えております。どうしても待遇、処遇のところは、難しいのは私も認識してはおります。

ほかの御指摘もそうですけれども、ここも地協課長には、改めて伝えさせていただきたいと思います。

2つ目のシステム構築に当たっては、現場の声を受け入れていただきたいというのは、それはそのとおりでございまして、やっているとは思うのですけれども、もう少し何か不備の点とかがございましたら、こちらでも構いませんし、地協課にもおっしゃっていただければと思います。

その際に、データを十分に活かすというのは、まさしくそのとおりで、まず、相談員さんだって相談が終わった後やられていると認識していますし、やはり特に被害に遭われた方は、自分で最後にしてほしいからということで、自分のミスみたいなものもあえてお話しいただくとか、そういうことは重々認識しているつもりではありますので、先ほどのEBPMの話に戻りますけれども、PIOの活用というのは、私に限らず、庁全体で認識しているところでございますので、やらせていただきたいと思っております。

3つ目の調査につきまして、もう少しちゃんと意味のあるアンケート項目にすべきということで、こちらも担当課には伝えさせていただきます。

4点目の39ページの財産被害、デジタル広告につきましては、今の御指摘を踏まえまして、検討させていただければと思います。

○鹿野委員長 柿沼委員。

○柿沼委員 ありがとうございました。

PIO-NETの入力なのですけれども、数値化された情報というのは、毎年発行されている消費者白書のほうで出ているとは思うのですけれども、項目を選択するデータというのは、相談員でも簡単にできるところではあるのですけれども、相談概要や処理結果、ここが一番大切なところだと思うのです。

そこのところは、はっきり申しまして、相談員が、入力を簡単にでも、こういうトラブルについて、どこが問題になるのかということを、本当に丁寧に入れることもできる状況ですので、その部分についても、しっかりと見ていただきながら、今後の消費者対策に、うまく活用していただきたいなというところがございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

原田委員からは、何かございませんか。お願いします。

○原田委員 ありがとうございます。

いろいろ意見を反映していただきまして、ありがとうございます。

34ページのところで、過去に言ったかどうかよく覚えていないのですが、もう少しめりはりをつけたほうがよいかなと思う点を申し上げます。

グローバル化のところなのですけれども、消費者トラブルに関して、国境を越える状況というのは、もちろん、オンライン、プラットフォームとの関係でもそうですし、あるいはここに書いてある海外OTA、海外旅行のときに海外の事業者と接触するということもあろうかと思います。

いずれも国境を越えた執行協力を整備しなければいけないのですが、消費者行政では、残念ながらほかの分野と比べて、それが発達していないような気がいたします。

11行目に書いてある標準化とか、適合性評価のところは、確かに若干進展はありますけれども、しかし全体として、なお国際協力が進展していないので、ここは、ぜひ日本が主導権を握って進めていくということを、もう少し明確に書いていただけるとありがたいかなと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

消費者庁からございますか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御指摘ありがとうございました。

もう少し担当とも相談して検討させていただきます。

○鹿野委員長 大澤委員。

○大澤委員 もし、お時間があればでよろしいのですが、すみません、1点、先ほど言うべきところ追加をしたいのですが、37ページのエシカル消費のところが、例として、環境負荷の大きさが指摘されている衣服についてということが書かれていまして、確かにそこは大事なことだと思いますし、あと、海洋プラスチックごみの発生を抑制するということも書かれているので、具体例があるというのは大変よろしいことなのですが、この部分も、私も今、普段フランス法を研究したりしていると、やはりこの記述だけだと若干後れを取っているような印象を持ちました。

例えば、今、EUでは修理する権利が消費者にあるかどうかとか、私もまだ研究中ではあるのですけれども、プラスチックに関しても、ここの記述としては4行ですけれども、例えば、プラスチックの例えば包装をそもそもあまり使わないようにしているとか、まさに消費者に、どうしてそういうことをする必要があるのかということをきちんと教育しつつ、ちゃんとそういうのを削減していくということを、法制度的にも、例えば事業者にそういう義務を課したりとか、例えば量り売りを推進するような、量り売りするように、法律で義務ではないにしても推進するとかということをフランスはやっております。

お洋服の話だけ出ているのですが、私は前に、本当に数か月前に経験したことなのですが、スマートフォンの画面が壊れてしまって、電池もあまりもちが悪かったので、修理したいなと思って相談をしたら、修理代だけで全部で6、7万しますと言われて、それだったら新しいのを買ったほうが早いなと思って、泣く泣く買い換えたということがあって、それ以外の機能に全く問題がない状況でしたのに、買い替えるしかないという、正直新品とそこまで変わらない値段に修理の場合はなってしまうと聞いて、結構愕然としたことがありまして、そういった修理をしつつ、電化製品などをなるべく使っていくとかという話は、EUでは、本当に法律なども合わせながら、十分こうやろうとしているところで、これは法律に限らず、ニュースレベルでも、結構この種の話はよく出てくるぐらいですので、この記述が、今後5か年ということを考えたときに、やや寂しいような印象を持ちました。

すみません、以上です。

○鹿野委員長 消費者庁から何かございますか。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御指摘ありがとうございます。

おっしゃるとおりではある一方、第1章にもあるのですが、まだまだエシカル消費そのものの認知度が我が国は低いということもありまして、まずは、そこを全体的に上げていきたいということで、例示として幾つかサステナブルファッションとかリペア・アップサイクルとか書かせていただいたところでございます。

どうやったら、今、御指摘のようなものが反映できるかというのも含めて、こちらも検討させていただければと思います。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

認知度が低いというところを考えたときに、誰にとっての認知度が低いかという話もあるかもしれませんが、もちろん消費者がというのもあると思います。そういった観点からの、いわゆる循環経済とか、あるいは持続可能な社会という観点からの消費者教育も必要なのですが、私がそのスマートフォンの修理のときに思ったのが、むしろ事業者に、例えば部品の保存期間が短いとか、事業者側にここをもう少し意識を持ってもらいたいなと、私は非常に勝手ながら思った次第です。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

星野委員。

○星野委員 先ほどのお答えに対して、私のコメントができませんでしたので、ちょっとさせていただきたいと思いますけれども、庁内でコンペとかをされているということで、それはすばらしいと思うのですが、やはりその結果が、例えば法制度なり、何かしらの施策に生かされて、生かされた結果、どれだけ減りましたよというところまでいって、初めてのEBPMだと思います。ぜひそのようなサイクルを回していただきたい、少しでもいいので回していただきたいということを思っております。

あと、先ほど柿沼委員からもデータをちゃんと使っていないではないかというのは、確かにおっしゃるとおりで、多分やられる方がいないと、アメリカのFTCなどは、博士号を持っている方がいっぱいいるので、彼らはやると思いますけれども、できないのであるならば、データを匿名化していただいて、特定の様々な、きちんとした大学機関等に渡して分析してもらうというのもありかと思いますので、ぜひそのような形で、庁内だけで閉じずに、ほかの有効な資源も使っていただいて、国民のためになるような形のEBPMをしていただければと思います。ありがとうございます。

○鹿野委員長 お願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 もうおっしゃるとおりでございまして、立法事実としてデータが使えるようにしないと意味がないと思っておりますので、その前段階でのデータ解析、分析みたいなものは、当方も徳島にオフィスがありまして、行動経済学の知見なども取りながら研究しておりますので、そこはやらなくてはいけないと思っております。

○鹿野委員長 黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 何度も申し訳ないのですが、見守りネットワークについて少しお聞きしたいことがあります。

34ページですが、前の章で重層的相談支援整備体制事業との連携について書いていただいたのは、とてもありがたいと思っています。ただ、今年の11月26日の第4回有識者会議で示された素案には、『見守りネットワークについて、人口規模に関係なく、より多くの高齢者などの消費者の見守りが行われるよう、見守りネットワークの設置や地域の見守り活動の充実を図る』という文章があったんです。

でも、この文章が34ページには載っていないんですね。確かに第3章の1(3)を参照、とは書いてありますが、先ほどのKPIの話とも関係すると思うんですけど、数値目標などについて、今後この基本計画を具体化していく際に、今お話したような数値とか、そういった部分について、これからの5年間でどのように見ていく予定なのか、その点について教えていただけるとありがたいです。よろしくお願いします。

○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 詳細は後で担当課、地協課にも確認いたしますけれども、まず、数のほうで、引き続き見守りネットワークは増やしていきたいという方針は当然あります。

直近の段階だと837516でしたか、そのくらいあるというのがありますので、そこの把握をしていかないということはないだろうと思っております。

○消費者庁消費者政策課杉田政策企画専門官 担当課のほうに戻させていただきたいと思いますが、構成として、特に地方行政に関しては、先ほども御議論がありましたように、強化作戦を今回基本計画に移すという中で、3章のところにまとめていたものが幾つかぱらぱらと4章の個別施策の中に入っているというのが、非常に散在していて文章として分かりにくかったので、今回3章のほうにまとめたというのがあります。4章から3章に記載が、見守りネットワークなどが移ったのは、そういった経緯でありまして、その中で若干表現が冗長とか、そういう意味で、分量、記載量が減っているというのはあると思いますが、内容として削ったつもりはありません。むしろ内容としてなくなってしまったものがあれば、御指摘をいただければと思います。

他方で、4章のところには、見出し的に施策があるのだというのを、4章の施策だけを見たときに分かるように頭出しのような形で書いていて、詳しい内容は3章のほうにありますよと、そういう構成に現状はさせていただいているというのが、今の姿になっています。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

今日開始されたパブリックコメントについて、従前公開されていた第5期消費者基本計画素案といろいろと細かく比較して調べている人がたくさんいますので、1月23日までには色々な意見が返ってくると思います。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにはございませんでしょうか。ちょうど予定した時間が来ましたので、委員からの御意見は、ひとまず以上にさせていただきたいと思います。

鮎澤消費者政策課長、そして、杉田政策企画専門官におかれましては、御説明、御回答をいただき、ありがとうございました。

冒頭にも申し上げましたように、消費者委員会においては、次期基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について、この間、調査審議を行い、本年4月と9月に委員会の意見を取りまとめて発出したところでございます。

今回御説明いただいた次期消費者基本計画の素案は、これらの当委員会の意見の内容を踏まえて策定していただいたものと理解しております。

また、その結果として、消費者庁の施策のみならず、他の府省庁の施策にも関わる事項について、幅広く盛り込んでいただいたと思っております。そうした点は高く評価させていただきたいと思います。

その上で、まだいろいろと気になる点もございまして、本日、委員より様々な意見がございました。

そこで、これに若干私自身の意見も少し加えて簡単にまとめたいと思います。

まず、今村委員からは、食品行政についての記載が加わったことは評価できるけれども、この重要性に鑑みれば、もう少し厚く記述する必要があるのではないかという御指摘がありました。

特に、概要版のほうについては記載がないということで、その点、概要版をまず見るという人も多いと思いますので、やはり重要な点については、概要版にきちんと書き込むことが必要であるということでの御指摘があったところでございます。

それから、大澤委員からは、デジタル手法への対応ということで、これについて、かなり記載されたことを評価するということではあったのですが、それでも、例えば本文30ページ辺りに、経産省から出された準則への言及もあるけれども、この準則自体もアップデートをする必要があるのではないかと、そういう御指摘もありました。

この基本計画の30ページ辺りにも、その準則がこのままでいいということではなくて、改定等による取組を推進するとされているところではございますが、デジタル化をめぐる状況がかなり変わってきており、数年前のものというのが、今日では妥当しないところも随分出てきていますので、そういう意味で、ぜひこの点はお願いしたいと思います。

それから、デジタルプラットフォームについても、これは、透明化法まで含めて書き込んでいただいたということで評価したいところですが、ただ、ここでも自主規制以外の法的対応について、より積極的に5年間で検討していただきたいという要望等がございました。

もう一つは、消費者契約法への言及についてでございます。消費者契約法については、数か所の言及はあるものの、全体として言及が薄いのではないか、特に特商法については、もっと様々な言及があるわけなのですが、消費者取引の基本を定めているとも言えるような重要な法律である消費者契約法については、言及が少ないということでございます。

パラダイムシフトにおける消費者契約法の位置づけ、ないし消費者契約法が今後果たすべき役割や、その検討の必要性について、より明確に記載すべきではないかという趣旨の御意見があったものと思います。

これに対して、消費者庁からはパラダイムシフト専門調査会の議論が、今、行われているからというお答えもあったところではございますが、もちろん消費者契約法だけで、これを対応することにはならないとは思いますけれども、消費者契約法が無影響であるとは到底思えないところでございまして、消費者契約法をはじめとする、消費者取引法制について、今後検討していくのだということを明確にしていただいたほうがよいのではないかと私も思うところでございます。その点も御検討をお願いします。

それから、ダークパターンへの対応ということについても、大澤委員、中田委員から御指摘等がございました。

大澤委員からは、この問題点とか、どういう形で意思形成をゆがめることになるのかということを検証していくことが必要であるということ。

それから、海外での動向ということにも言及されて、これについての対応が喫緊の課題であるという趣旨の御発言がありました。

中田委員からは、この点、事業者にとっても、ダークパターンに関するルール、考え方を整理することが必要なのではないかという御指摘もあったところでございます。その点もぜひよろしくお願いいたします。

それから、柿沼委員からは、主に本文の23ページ辺りだと思いますけれども、地方消費者行政、消費生活相談体制等に関する御意見が複数ありました。

まず、消費生活相談の担い手不足等は、極めて深刻かつ喫緊の課題であると思われます。これについて根本的な対策を検討する必要があるということでございます。

それから、DX化とかあるいはデータを利用したシステムの推進ということについても、現場の声や消費者団体の意見を十分に聞いて、進めていただきたいということと、データの活用に関する積極的な御意見がありました。

それから、消費者教育の現状調査についても、やっているかどうかということだけではなくて、もっと実質的な調査をして、今後につなげていくことが重要である。足りないところはどこなのかということで、今後の改善につなげられるようにすべきだという趣旨の御指摘がありました。教育は、やはり被害を未然に防ぐという意味ではとても大切なところでございますので、その点、今の調査が雑なのではないか、雑という言葉を柿沼委員が用いられたのではありませんが、そういう趣旨だと思いますので、その点も御検討いただきたいと思います。

それから、黒木委員長代理からは、34ページの見守りネットワークについての御質問、御指摘がありましたし、さらに、原田委員からは34ページのグローバル化の進展について、この記載ぶり等についても御指摘があったところでございます。

また、大澤委員からは、37ページのエシカル消費等に関する記述についても御指摘がありました。御存じのとおり、EUでは修理する権利などをめぐる動向がありまして、それ以外にも、ここに記載されていることに尽きない項目があるはずです。記載されているものについては、今回の基本計画においてこれを項目立てされたことは評価できるのですけれども、今後5か年ということを考えると、もう少し内容を深めていただく必要があるのではないかという趣旨だったかと思います。

それから、柿沼委員からは、若年層トラブルに関する御指摘もありました。特に、具体的には39ページの広告被害ということに関連した御指摘だったと思いますけれども、高齢者に関する言及は、今回の基本計画はかなりあるのですが、若年層における契約トラブルや消費者被害に関する記述というのは薄いように見受けられるところでございます。

デジタル化の進展とともに、若年層がやはり被害者になるという場面も多く見られるところでございますので、それについても記載する必要があるのではないかということです。

それから、星野委員からは、EBPMについて改めて御指摘がありました。49ページに消費者政策におけるEBPM、つまりEvidence Based Policy Makingについて、一言だけ言及はあるのですが、しかし、消費者行政におけるEBPMの推進に関する記述が、第4期の基本計画より後退した印象を受けるところでございます。

この点、もともと我が国においては、EBPMを活用した対応が、他国から後れを取っているように見受けられるところでございますので、これを積極的に進めていく必要があるのではないかという趣旨の御指摘がありました。

これは、消費者庁だけというわけではなく、政府全体としてデータ連携を含めた関係行政機関の連携が、このEBPMの推進にとっては必要であるということで、ぜひともEBPMの活用について、より深い御検討をいただきたいと思います。

それから、中田委員あるいは今村委員、そして、黒木委員長代理からは、進捗や効果の検証についての御指摘がございました。計画については、フォローアップ及び効果の検証が重要であるということは言うまでもございません。今回の素案では、2ページに計画から3年をめどの中間点検と、取組の不断の見直しということが記載されているわけですが、効果検証等の具体的な実施方法について、より明確化する必要があるのではないか、毎年度何らかの形で効果検証をする必要があるのではないかということが指摘されました。しかも、概要版の中にもその点を書き込んでいただく必要があるのではないかということであります。

この点、消費者庁からは、基本計画とは別に、その後に検討しますというお答えがあったのですが、今村委員からは、KPIは計画の段階でつくらないと、うまく機能しないのではないかという指摘もありました。これについても御検討いただきたいと思います。

それから、黒木委員長代理からは、関連して工程表について御指摘がありました。特に具体的には、地方消費者行政強化作戦の後続に関連して御指摘がありました。消費者庁からは、後続は予定していないけれども、閣議決定である消費者基本計画にしっかり書き込むという御説明がありました。しかし、そうであれば、なおさら、やはり工程表が必要で、どういう形でそれが進捗しているのかが分かるように示さなければならないのではないかと思います。

消費者庁からは、白書は毎年出しているからということではあったのですが、白書は若干意味合いが違いまして、計画目標との関係で、どこまで進んで、どこが足りないのか、あるいは更に現状を踏まえると、どこをより強化していく必要があるのかということの検証手段ということには、少なくとも従来の白書は、そういう形にはなっていないように思われます。

白書は、毎年出して何をやってきたのかということを示すという意味では重要であろうかと思いますけれども、やはりここで問題としているのは、計画の進捗状況をきちんと管理するという進捗管理であり、そして、それを適切に改善につなげていくための手法ということについて、ぜひ御検討をいただきたいということでございます。

それから、黒木委員長代理からは、49ページの消費者庁の司令塔機能ということについても言及がありました。

これまでは、もっと司令塔機能ということが強調されていた感があるのですが、今回は49ページに一言記載があるのみです。私たちとしては、消費者庁の司令塔機能に大きく期待したいところでもございますし、そういう趣旨を含めたコメントだったと存じます。

以上が、全て網羅したというわけではありませんけれども、主立った御意見、御指摘でございました。

それから、消費者庁からは、今後の予定についても御説明いただいたところであります。本日からパブリックコメントが開始され、それを踏まえて所要の修正を経た基本計画素案について、来年3月に改めて消費者委員会にて御説明いただくという予定と承知しております。

消費者庁におかれましては、本日委員より指摘のあった事項について、十分に御検討をいただきたいと思います。

本日は、お忙しいところ審議に御対応いただいて、誠にありがとうございました。どうぞ御退席ください。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

(鮎澤課長、杉田政策企画専門官 退室)


(井上審議官、清水課長、坊衛生調査官、京増食品表示調査官 入室)

《4. 加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について》

○鹿野委員長 お待たせしました。

続いての議題は「加工食品の原料原産地表示制度に関する事後検証について」です。

当委員会では、平成29年に食品表示基準の加工食品の原料原産地表示制度に係る規定及び別表の一部改正について、内閣総理大臣より諮問を受け、答申をいたしました。

その際、消費者、事業者の理解状況に関する目標値の設定、消費者への普及・啓発、事業者への周知、監視、制度の見直し等、10項目を前提条件として付し、制度施行後、その対応状況を確認することとしておりました。

今般、当該改正の経過措置期間終了から2年が経過し、前提条件に関する対応状況を消費者庁において、おまとめいただいたということですので、本日はその内容について、消費者庁より御説明をいただき、意見交換を行うこととしたいと思います。

本日は、消費者庁の井上審議官、また、消費者庁の食品表示課の清水課長、消費者庁食品表示課の坊衛生調査官、そして、同じく消費者庁食品表示課の京増食品表示調査官に、会議室にて御出席いただいております。

本日は、お忙しいところ、誠にありがとうございます。

それでは、40分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 消費者庁食品表示課の坊でございます。

先ほど御説明がありましたとおり、今回は、加工食品の原料原産地表示制度、食品表示基準に規定する際に諮問させていただいたときの答申の前提条件として、10個の宿題といいますか、10個課せられたことについての対応状況等を御説明させていただきます。

まず、資料の2-1を御覧ください。加工食品のそもそもの原料原産地表示制度とはどういうものかについて、簡単に御説明させていただきます。

1ページめくっていただきまして、加工食品の原料原産地表示制度ですけれども、今、食品表示基準に定められておりますのは、基本的には、日本国内で製造された全ての加工食品について、原材料の産地を表示しており、表示する原材料は、一番多く使用されている原材料の産地を表示する制度となっております。

表示方法につきましては、基本的には「国別重量順表示」、「製造地表示」、「又は表示」、「大括り表示」というものがございまして、「国別重量順表示」というのは、基本的には一番上にありますように、ポークソーセージ、原材料名豚肉と書いてありますが、一番多い原材料が豚肉になりますので、その豚肉に使用された産地を書くという形でございます。

基本的には、2か国以上使用しているものについては、多い順に書くというのが、「国別重量順表示」、こちらが原則の表示という形になります。

基本的には、原則の表示になりますけれども、ただ、そのほか原則の重量順では、どうしても書けないような商品群というものが出てきまして、基本的に使用する原材料の産地が変わるようなものについては、食品表示自体は、基本的には容器包装に印刷して表示しますので、印刷しているものにつきましては、すぐに表示を変えることができないという形でございますので、ただ、産地自体がころころ変わるようなものもございますので、そういったものをどのように表示するのかという形で「又は表示」といったり「大括り表示」、「又は表示」というのは、2か国以上の産地がころころ変わるという形でございますので「又は」という形でつないでいただいて、決して重量順にはなっていないですけれども、書かれているもの以外は使用されていないという書き方になります。

そのほか「大括り表示」というのは、3か国以上の外国の産地のものが、重量順が変動するようなものについては、「輸入」という形でくくっていいですよという制度になっておりまして、こちらにつきまして、後ほど出てきますけれども「国別重量順表示」が原則で、「又は表示」や「大括り表示」というのは、例外の表示になっているところでございます。

このことを踏まえまして、10個の前提条件について、どういった対応をしているのかということを御説明させていただきます。

資料2-2をお願いいたします。

1枚めくっていただきまして、まず、10個、どのような前提条件が課されたのかということでございます。

詳しい内容につきましては、一個一個のところで御説明させていただきます。

まず1番目に、消費者・事業者の理解状況に関する目標値を設定してくださいというものがあります。

2つ目が、消費者へしっかりと普及・啓発してください。

3番目が、事業者へも周知をしっかりしてください。

4番目が、事業者への周知と併せて事業者向けのQ&A、なかなか複雑な制度になっておりますので、事業者がしっかり理解できるように事業者向けQ&Aを充実してください。

次のページに行きまして、5番目が、経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析。

6番目が監視のことになっておりまして、7番目が別表15への品目の追加基準の明確化、この別表15というのが、今回全ての加工食品の原料原産地表示、一番多く使われているものを表示するという形になっていますが、品目ごとに表示を定めているものがありますので、これが別表15に書かれておりまして、そこに、もし、新たに追加することになったときの基準の明確化をしなさいというものでございます。

8番が、先ほど申しました例外表示の検証という形でございますので「又は表示」や「大括り表示」をしているものの検証をしてくださいという形でございます。

次のページをお願いいたします。

9番が理解度調査等の実施というものでございますので、こちらにつきましては、この制度に対する消費者の理解度であったり活用度であったり、あとは事業者のコストなどの負担状況についても調査してくださいというところでございます。

10番、最後が制度の見直しという形でございまして、事業者の実行可能性を担保するために複雑な制度となっていますので、消費者に提供する情報量の拡大というメリットがある一方で、中小企業への負担増、食品産業の競争力の低下などのデメリットが生じるおそれもあることから、経過措置期間終了から2年後をめどとして、上記8、9の調査を含む各種調査結果等に基づき、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認し、制度導入の効果について検証を行い、必要に応じて制度の拡大・廃止を含め幅広く見直しを実施することとされております。

このような10個の前提条件につきまして、この10個についての我々の対応状況について説明していくという形でございます。

では、1つずつ説明させていただきます。

まず、次のページをお願いいたします。4ページです。

1番「消費者・事業者の理解状況に関する目標値の設定」というものでございます。

こちらにつきましては、消費者への普及・啓発、事業者への制度周知に当たっては、あらかじめ理解度等に関して達成すべき目標値を設定し、達成状況を適宜確認しつつ、周知活動を行うこととされたことを踏まえまして、基本的に事業者と消費者に対する理解状況に関する目標値を設定しております。

この目標値でございますけれども、経過措置期間終了時の消費者の理解度等の達成すべき目標値を50.4パーセントに設定した、この50.4パーセントの考え方ですけれども、基本的には、消費者への理解度という形でございますけれども、そもそも全ての消費者に理解していただくというのはなかなか難しいところがございますので、そうであれば、原料原産地表示を利用している方が理解するということを目標に目指すという形でございます。基本的には、我々の行っている消費者意向調査というものにおきまして、食品表示を認知している者のうち、加工食品を購入する際、原料原産地表示を参考する者の値を目標値にするという形でございます。

これが、平成29年度は50.4パーセントの方が、この原料原産地表示を参考にしていたということでございますので、この50.4パーセントの方が理解するところを目指すという形でございます。

事業者の理解度の目標値につきましては、一応100パーセントという形でございます。

この目標値につきましては、この29年のときの消費者基本計画を定める際に、認知度ではなくて理解度をしっかり確認すべきだという消費者委員会からの意向がございまして、今、こちらが我々の消費者基本計画におけるKPIとして使っている数値という形でございます。

次のページをお願いいたします。

実際の目標値を設定したときの各年度の達成状況という形でございます。

こちらにつきましては、先ほど申しましたとおり、各年度の調査において、原料原産地表示制度を参考にしている者というものを出させていただきまして、そこが目標になりますので、それに対する達成状況という形でございます。

また、この達成状況につきましては、基本的には、原料原産地表示制度という枠でやっているわけではなくて、基本的には理解度という形でございますので、先ほど申しましたとおり、原料原産地表示制度を理解しているかということについて、対象品目がどのようなものかが分かるのかという問いを立てさせていただいて、5択から選んでいただき、正解を導いた方が理解しているというものにしています。どういう問いかというのは、後ほど説明させていただきます。

それにつきまして、対象品目、対象原材料、先ほど申しました例外表示として「製造地表示」、「又は表示」、「大括り表示」の意味を理解しているのかということを確認させていただいております。

平成29年につきましては、原料原産地表示を参考としている者が50.4パーセントでしたので、それに対して理解している方というのが11.5パーセントであったということで、達成値としては22.6パーセントになっております。

そのほか、平成30年、令和元年、2年、3年、4年、5年と同様に調査をしておりまして、各年度の達成状況がここに示されているとおりでございます。

一応、29年に比べると令和5年の値については微増しておりますけれども、基本的にそこまで大きく変化はないというのが、今の状況という形でございます。

続きまして、次のページの2番の「消費者への普及・啓発」でございます。

こちらにつきましては、消費者への普及・啓発に当たっては、そもそも食品表示に関する消費者の理解が進んでいない現状も考慮しながら、消費者向けQ&Aの作成など、新たな普及・啓発方法も取り入れて、目標達成に向け、丁寧かつ十分に行うこととされたことに踏まえまして、我々がどういった取組をしてきたのかという形でございます。

一番上ですけれども、消費者庁実施の委託事業において、まず、消費者、実際に食品を購入する頻度が高い主婦層を対象とした食品表示セミナーを消費者団体さんに御協力いただいて、全国各地で実施しているところでございます。

開催回数については平成29年が3回、平成29年は制度導入時ですし、導入されたのが9月ですので、なかなかその後、あまり期間がなかったので3回となっておりますけれども、その次の平成30年度、令和元年度については、36回、32回となっています。

その後、コロナ等があり、なかなか開催できないところもありましたけれども、継続して開催しているという状況でございます。

そのほかの取組といたしましては、消費者向けに特化したパンフレット及びリーフレット等を作成して消費者庁ウェブサイトに公表しております。

こちらは、先ほど、一番初めの説明に使わせていただいたものがパンフレットになっておりまして、消費者向けに特化したパンフレットを作成して、消費者の方に配らせてもらって理解を図っていただいているという形でございます。

そのほか、消費者からよく寄せられるQ&Aを消費者庁ウェブサイトに掲載していたり、また、令和5年度食品表示懇談会、我々消費者庁で開催しております、食品表示自体を今後どのようにしていくのかということを議論していただく懇談会の取りまとめにおきまして、消費者が自主的かつ合理的な選択のために食品表示を正しく活用できるよう、学生への教育を含め、世代に応じたアプローチ、制度の周知、普及を行う必要があるという提言をいただいたことを踏まえまして、令和6年度より新たな取組として、学生、大学や専門学校に向けた講演自体も我々の方で実施させていただいているという現状でございます。

続きまして、3番「事業者への周知」のところでございます。

本制度につきましては、基本的に国内で活動する全事業者に加工食品の原料原産地表示が義務付けられるものでございますので、事業者向けの周知に当たっては、説明会の開催のみにとどまらず、説明会に参加する時間が取りにくい中小・零細事業者にも十分に配慮した施策を実施することとされたことに踏まえまして、どのようなことを行ってきたのかという形でございます。

基本的には、農林水産省と連携させていただきまして、原料原産地表示をどうやって作成するのかというマニュアルの作成であったり、そのマニュアルの説明会の開催等の取組を実施してきたということでございます。

農林水産省が実施した食品表示・トレーサビリティ推進委託事業におきまして、平成29年度におきましては、新しい原料原産地表示制度事業者向け活用マニュアル。平成30年度におきましては、事業者が行う具体的な行為の手順等を示すマニュアル別冊資料を作成したところでございます。

また、上記マニュアル説明会を平成29年度から令和元年にかけて全国各地で54回開催、また、オンラインセミナー動画を作成し、農林水産省ウェブサイトに公表しております。

消費者庁ウェブサイトでも見られるようにしています。

また、消費者庁としましては、事業者団体、行政機関等からの依頼に応じ、全国各地へ講師を派遣しておりまして、その数を取りまとめたものとなっております。

今後も可能な限り地方公共団体等と連携して、周知活動を実施していくこととしております。

続きまして、次のページになります。

そのほか「事業者への周知」というところで、下段になりますけれども、あわせて事業者が必要とするときに、具体的な個別相談を行うことができる相談窓口を全国各地に常設するなどの対応も行い、事業者の理解不足に基づく誤表示が発生しないよう、事業者への周知を丁寧かつ十分に行うこととされたことを踏まえまして、相談対応につきましては、消費者庁に加え、平成29年9月に各地方農政局、FAMICに相談窓口を設置して、中小・零細事業者からの相談に対応できる体制を整備しております。

また、平成29年以降、新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る都道府県等担当者研修を年1回実施しておりまして、都道府県等の御担当の方についても対応できるような形で研修等を実施させていただいているところでございます。

続きまして、4番の「事業者向けQ&Aの充実」というところでございます。

こちらにつきましては、分かりやすく的確な制度の解説を行うこと、特に例外要件に当たるか否かの判断基準や、原料原産地表示の根拠資料の保管に関するルール、検査時に説明を求める事項等を明確に理解できる解説とすることを踏まえまして、基本的には、食品表示基準の一部改正、施行後の制度説明会での質疑等を踏まえまして、解釈を明確化すべきと判断した点について、Q&Aの一部を改正しております。

また、新たな原料原産地表示に特化したQ&Aをつくっておりまして、そちらについて、基本的にはそういったものを利用して、事業者の方が分かりやすい形でやらせていただいているということでございます。

続きまして、10ページになります。

「経過措置期間中の周知状況に関する状況把握・分析」というところでございます。

こちらにつきましては、経過措置期間中に周知状況に関する状況把握・分析のため、事業者及び消費者を対象とした意向調査及び制度の理解度の調査を実施させていただいております。

基本的には、事業者向けの調査と消費者向けの調査で、事業者向けには、新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る食品関連事業者の理解等に関する調査ということで、調査時期として平成30年度から令和3年度にかけまして、対象として全国の食品関連事業者700から1,200社程度について、調査を行っております。

消費者向けにつきましては、これは、毎年我々が行っている調査でございますけれども、平成30年から令和3年度に全国の消費者1万人を対象に消費者意向調査を実施しているという形でございます。

そのほか、周知普及という形で新しい原料原産地表示制度の事業者向け活用マニュアルについて、オンラインセミナー動画を作成して、農林水産省ウェブサイトに公表したり、先ほども説明しましたけれども、消費者向けに新たな取組として学生に向けた講演を実施しているところでございます。

今、説明しました調査の結果について、次ページ以降に取りまとめております。

まず、事業者の周知状況という形でございます。

こちらについては、ウェブアンケート調査を行っておりまして、基本的には、この調査の内容としましては、平成29年9月1日からスタートした新たな原料原産地表示の対象となる加工食品について、あなたが正しいと思うもの1つに丸をつけてくださいという形で、問いとしては、「ア」として、特定の原産地の原材料を使用している加工品、「イ」が輸入品を除く全ての加工食品、「ウ」が法令で決められた品目の加工食品、「エ」が生鮮食品を主な原材料とする加工食品、「オ」、分からないというところで、正しいと思うものに丸をつけてくださいという形になりまして、こちらについては、「イ」が正解の問いになるのですけれども、8割程度の事業者が理解していたという形でございます。

右側になります。こちらについても原材料について、正しいと思うものという形でございまして、「ア」が正解になりまして、こちらについても、9割程度の方が正解しているという形でございます。

続きまして、次の12ページでございます。

こちらにつきましては「又は表示」のところでございまして、基本的には、「ア」がA国とB国の両方の豚肉を使用、A国の豚肉のみの使用、またはB国の豚肉使用の2パターンのいずれか、正解が「ウ」なのですけれども、A又はBと書いているときに、どのような可能性がありますかというところなのですけれども、こちらについては使用量が多い順にA国、B国、使用量が多い順にB国、A国、A国のみB国のみ、このA国又はB国と書かれた、この4パターンのどれかであるということが正解になります。こちらについても、8割程度の正答率という形でございます。

それで、事業者の調査については、こういった形でございまして、確かに目標は100パーセントとなっておりますけれども、8割程度の方が理解していたという形でございます。

こちらにつきましては、事業者の方もいろいろな方がおられまして、例えば、原料原産地表示自体を、そこまで理解しなくても表示ができる方というのも多く含まれておりますので、基本的にはこういった形で、8割以上理解していることによって、現状、原料原産地表示制度自体は、きちんと表示されて運用されているものと理解しております。

続きまして、消費者の理解状況という形でございます。13ページでございます。

こちらにつきましては、こちらも1万人に対するウェブ調査で実施しているところでございます。

こちらにつきましては、消費者の方に対しても、先ほどの事業者と同様のような問いで理解度を確認しているというところでございます。

左側になりますけれども、新たな加工食品の原料原産地表示制度の対象となる加工食品について、あなたが正しいと思うものをお答えくださいということで、1番が輸入品を除く全ての加工食品、2番が原産地に由来する原料の品質の差異が加工食品としての品質に大きく反映される加工食品、3番が生鮮食品に近いと認識されている加工食品、4番が生鮮食品を主な原材料とする加工食品、5番が分からないという問いでございまして、分からないという回答が非常に多くなっておりますけれども、1番の輸入品を除く全ての加工食品というのが正解の問いになります。こちらについては、10パーセント強の正答率という形でございます。

こちらにつきましても、年度によってもあまり幅がなく、大体10パーセント強ぐらいになっているところでございます。

右側が、次の問いになりますけれども、新たな加工食品の産地が表示される原材料について、あなたが正しいと思うものをお答えください。

こちらの正解については、原材料に占める重量割合上位1位の原材料という形でございますけれども、2番の問いが、原材料に占める重量割合上位3位までの原材料、原産地に由来する原料の品質の差異が、加工食品としての品質に大きく反映される原材料、原材料に使用されている全ての生鮮食品、分からない、こちらにつきましても分からないというものが一番多くなっておりますけれども、10パーセントから15パーセントぐらいというのが、現状の理解度という形でございます。

こういった形で理解度を計るのに、ウェブ調査でテストみたいなことをさせていただいて、正しい問いを選んでいただくという形でやらせていただいておりまして、どうしても分からないという回答が多くなっているというのが現状でございます。

次のページをお願いいたします。

製造地表示について、あなたが正しいと思うものをお答えくださいというものでございまして、こちらについては、製造地表示がどのように表示されているのかを選んでもらう問いでございます。

正解は、チョコレート(○○製造)が正解になりますけれども、こちらについては、20パーセント弱の理解度という形でございます。

最後に「又は表示」の理解度でございますけれども、こちらも事業者と同様の問いで、どういうパターンがありましたかということで、A国、B国の順、B国、A国の順、A国のみまたはB国のみというのが正解の問いにはなるのですけれども、こちらにつきましても、大体10パーセントから15パーセントの間という形が正答率という形でございます。

続きまして、16ページ「監視」でございます。

本制度の導入に当たっては、事業者が故意に実際と異なる表示を行った場合に、そのような不正表示を的確に把握し、当該事業者を処分できる監視体制と制度運用が整っていることが必須条件であるとされました。したがいまして、食品表示に関する監視体制をより一層強化するとともに、本制度の監視に関する運用をさらに具体的に検討し、監視に係る指針、手順等の作成を行い、国・地方自治体が連携して不正表示を許さない制度運営を速やかに確立すること、ということを踏まえまして、我々としましては、不適正表示の情報を的確に把握するために相談及び被疑情報の受付窓口を記載したチラシを作成して、各地方農政局等や地方自治体に共有を図って、巡回調査等で食品関連事業者に幅広く配布したところでございます。

そのほか全国9ブロックにおきまして、地方自治体の担当者を対象にした原料原産地表示制度や不適正表示の取締りに関する研修会を行っております。

また、監視に関する運用を具体化するために、加工食品の原料原産地表示に関する監視の手順書を作成して、各地方農政局等や地方自治体に通知し、各自治体間等々で運用に差異が出ないように周知を徹底しているところでございます。

そのほか、国・地方自治体が連携して、上記の手順等々を活用して、地方自治体の担当者を対象として、不適正表示の取締りに関する研修会も行っておりますし、そのほか、FAMICにおきましては、研究機関等と連携した、原料原産地などの判別技術の開発や実用化や改良のための調査研究を実施しているところでございます。

続きまして、17ページでございます。

「別表第十五への品目の追加基準の明確化」。こちらは先ほど説明しましたとおり、今回、全ての加工食品以外に、品目ごとに新たに追加する場合について、どのような基準で追加するのかを明確化し、公表することというものでございます。

こちらにつきましては、この原料原産地表示制度を導入する際に併せて、おにぎりののりにつきましても、原料原産地表示を義務づけるという形で、諮問をさせていただきましたので、それに併せて、おにぎりののりみたいなものが今後追加される際には、基準を明確化して公表することを踏まえて、基準を明確化したものでございます。

例えば、おにぎりののりであれば、重量割合上位1位は、おにぎりの場合については、のりにはならないので、ただ、そうであったとしてものりの産地表示は重要なので、のりについては産地表示をしてくださいという形で、品目として追加されているというものでございます。

そういったものを今後増やす場合については、今後、別表十五に追加する品目を設定する場合の基準について、食品表示基準Q&Aに記載させていただいております。

1番が消費者や関係者の要望が強い食品、2番が消費者の商品選択の上で重要な情報、3番が食品関連事業者の実行可能性を確認、この3つをクリアした上で、原則として公開での検討を経て、対象に追加していくという形になってございます。

続きまして、18ページ、例外表示の検証でございます。

こちらについては、制度施行後、定期的に制度の原則である「国別重量順表示」と、先ほど申しました「又は表示」や「大括り表示」の例外表示がどの程度の割合で存在するか、例外表示が多く使用されている原材料や製品群については、例外表示を行っている事情等について調査し、検証を行うこととございます。

こちらの調査を行うために、新たな加工食品の原料原産地表示制度に係る表示実態調査という形で、実際のスーパーに我々のほうで出向かせていただきまして、その食品スーパーにおける各食品棚の商品を一個一個確認しました。全ての商品というのは、なかなか難しいので、毎年同じスーパーで各商品棚の上から2段目の商品を全てチェックして、どのような表示がされているのかを確認して取りまとめております。

その結果が19ページでございます。

「国別重量順表示」と例外表示がどの程度の割合で存在するか調査しております。

結果概要としましては「国別重量順表示」と例外表示の割合という形でございます。

制度導入から令和元年、2年、3年、4年となっておりまして、令和元年につきまして「国別重量順表示」が96.7パーセント、まだ、これは完全施行されていませんので、表示されていない品目もある中、令和4年というのが、経過措置期間終了時でございますので、この時点では85.3パーセントが「国別重量順表示」、「又は表示」は4.4パーセント、「大括り表示」は6.8パーセント、「大括り表示」と「又は表示」を合体したものが3.5パーセントという形でございますので、85.3パーセントが原則で書かれているという形でございます。

そちらを対象原材料が、生鮮食品と加工食品で分けたのが、その右でございます。

対象原材料が生鮮食品であるものについては、令和4年度の結果につきましては80.2パーセントが、原則の重量順表示になっていますし、下の加工食品で、「製造地表示」をしているものについては、「国別重量順表示」されているものが88.2パーセントという形でございます。こういった結果になっているところでございます。

次の20ページでございます。

例外表示が多く使用されている原材料や製品群については、こちらでございます。

基本的に食肉加工食品が、かなり例外表示を使われ、加工食品であって、魚肉練り製品、乳製品等が例外表示を使っている割合が多いという形でございます。

したがいまして、こういった形のものが例外表示を使われておりますので、例外表示の割合については、この表のとおりということでございます。

続きまして、21ページでございます。

「理解度調査等の実施」という形でございまして、理解度調査のところにつきましては、先ほどの説明とかぶります。そのほか、加工食品の原料原産地表示に関する事業者のコストに関する負担状況調査であったり、コストに関するヒアリング調査ということを行っております。

22ページをお願いいたします。

先ほどの意向調査という形でございますので、基本的には経過措置終了後の消費者の理解度、活用度、表示に対する満足度などに関する調査という形でございまして、理解度につきましては、先ほどの調査と同様の調査を行っておりまして、この結果という形でございます。

次のページをお願いします。

こちらにつきましても、先ほどの「製造地表示」と「又は表示」という結果、令和4年、5年の結果がこちらになっております。

24ページをお願いいたします。

こちらにつきましては、活用度に対する調査でございます。加工食品を購入する際、原料原産地名の表示を商品選択のためにどの程度参考にしていますかというものでございまして、令和4年度につきましては、いつも参考にしている、時々参考にしているという方が大体約5割程度で、5年につきましても5割を少し超えた程度ですけれども、大体どちらも5割程度で推移してございます。

その方々に、25ページになりますけれども、現在の加工食品の原料原産地表示制度について満足していますかという問いに関する答えでございますけれども、こちらにつきましては、基本的に満足していると答えた方が、こちらは、どちらも、令和4年度は5割弱、令和5年度は5割強ぐらいということでございます。

そのほか、先ほどの商品選択のために参考にしているという方についてのみ、この原料原産地表示制度を満足しているかどうかを聞いたところによりますと、71.1パーセントの方が満足しているという結果になっているところでございます。

したがいまして、原料原産地表示制度を商品選択に使われている方が、満足しているかどうかについては、71.1パーセントが満足しているという結果になったということでございます。

続きまして、26ページでございます。

こちらからは、コストに関する負担状況調査でございます。

こちらにつきましては、原料原産地表示の実施がどの程度事業者のコスト負担になっているかの調査でございまして、調査時期につきましては、令和6年の2月から3月で、食品関連事業者400社程度にアンケート調査を実施させていただきました。

回答者の企業規模でございますけれども、nが419で、大企業が大体20パーセント、小規模企業者が20パーセント、中小が残りの6割程度でございます。

その方々に聞いた結果が、27ページ以降でございます。

初期コストの負担程度でございます。新たな加工食品の原料原産地表示制度について、制度に対応するためにかかった初期コストの負担の程度を1つ選択してくださいということで、こちらにつきましては、21パーセントがコスト負担は極めて大きかった、コスト負担は大きかったが40パーセントぐらい、コスト負担はそれほど大きくなかったは27.2パーセント、コスト負担はほぼなかったが11.7パーセントでございますので、6割程度の事業者が、コスト負担が大きかったと答えているという結果でございます。

コスト負担が大きかったと回答した中で、包材の改版であったり、システムの改修にコストがかかったという意見が最も多い回答でした。

コスト負担がほぼなかったという回答につきましては、もともと国産のみ使用しているためと、ほとんど新たに改版、新たな何かのコストの追加負担がかかるような状況、もともと分かりやすいものしか使っていないので、それほどの負担ではなかったという方もおられるという形でございます。

右側でございます。

加工食品の原料原産地表示制度の対応に伴い、かかった初期コストを商品価格に反映させたかどうかでございますけれども、こちらにつきましては9割弱が価格に反映させていないということでございます。

次のページをお願いいたします。

続きまして、ランニングコストの負担程度でございます。

本制度導入後、現在そして今後も原料原産地表示を継続的に実施するに当たってのランニングコストの負担についてでございまして、コスト負担は極めて大きいが17.4パーセント、コスト負担は大きいが33.4パーセントというところで、こちらについても5割程度の方が、ランニングコストについてもコストの負担は大きいという回答をしています。

コスト負担がほぼなかったという回答の理由としましては、初期コストと同様の、国産しか使っていないのでという理由のほか、表示対象原材料が加工食品であるため「製造地表示」により対応可能であるので、一度表示すると特に変える必要がなかったのでというところもございます。

そのほか、制度導入後にかかっているランニングコストを商品価格に反映させているかどうかということでございますけれども、こちらについても8割が価格には反映させていないという結果になってございます。

続きまして、29ページでございます。

こちらにつきましては、コスト負担調査を更に深掘りしたヒアリング調査の結果でございます。

食品関連事業者5社について、こういった規模の5社について、コストの調査、どの程度発生しているのかというのを実際に対面でヒアリングした結果でございます。

こちらにつきましては、ヒアリング調査の結果ですので、各社の負担額については、各社の申告によるもので、コストの算出方法についても、各社にお任せしているという形でございます。

次のページをお願いいたします。30ページでございます。

こちらにつきましては、基本的に初期コストはどういったものにかかっていますかということで、項目としてはシステム改修費用、製版代、旧資材廃棄代、版下改版費用であったり、商品情報の管理にかかる費用であったり、原料メーカーへの対応、お客様への対応、商品規格書の作成、社員教育というものに初期コストがかかっていますということでございます。

基本的には、制度導入に当たっての初期コストがコストの内訳の大部分を占めておりまして、各社の使用しているシステムの仕様変更の要否であったり、製造する品目数によってコストの負担額が大きく異なっているという結果でございます。

また、この費用の分布のところでございますけれども、ゼロから2,000万程度で、ほかゼロから1億円程度という形になっておりますけれども、こちらについては、ゼロというのはコストがかかっていないということではなくて、コストの算出が困難であるとした項目については、便宜上、費用をゼロとして計上しておりますので、こういった形になってございます。

したがいまして、大体システム改修費用に多くて2,000万程度、製版代に多くて1億円、旧資材廃棄代も多くて2億円、版下改版費用について100万から1億4,000万程度、商品情報の管理については、多くて8,500万、そのほか、この数字が並んでおります。

あと、ランニングコストにつきましては、どういったものにお金がかかるのかということですけれども、例外表示の根拠資料の記録であったり、管理に関するコストがほとんどという結果でございます。

ただ、製品情報の管理にかかるコストとの線引きが難しいと回答する企業もあって、コストの額は、大きくばらつく結果となっておりまして、基本的にはランニングコストとして、大体多くて3,000万程度かかっているということでございます。

次のページをお願いいたします。31ページでございます。

原料原産地表示に関して、負担になっている事項については、どういうものにかかっていますかというのを自由記載してもらった結果でございます。

外国産のイメージが悪く、国産よりも品質が良い場合でも、原材料として使用できず仕入れられない場合がある。こちらにつきましては、もう既に表示がしておりますので、本来は仕入れに合わせて表示をするということが原則なのでしょうけれども、ただ表示をしているので、変な話、表示に合わせて仕入れを決める必要があるということでございます。

そのほか、ルールを守れているのかと不安に思う心理的な負担が大きいと。特にコロナ禍では、原料の使用実績が当てにならず、使用計画も1年先まで見えない状況であったと。

ですので、ルールに基づいてきっちりと表示していただいているのですけれども、本当に合っていたのかどうかというのを、ずっと不安に思わないといけないところがあったり、今回のコロナ禍において、かなり原料調達が不安定になったこともあって、そういったところも精神的な負担になっているというところでございます。

そのほか、戦争、天候不良、感染症流行等で年々原料調達量、価格の不安定さが増す中、包材の表記、その根拠を正しく管理するのに苦労するという形でございまして、こちらも上と同じような形でございます。

また、急に産地変更が必要なった場合も、表示のデザインが決定してから包材が納入されるまで、リードタイムを3、4か月見る必要があるので、簡単には変更できないであったり、原料調達は製造工場ごとに行っておりますので、表示制度の知識を途切れさせないように教育を継続しなければならない。こちらにつきましては、製造工場ごとにしっかり教育していかないと表示ミスが起こるので、原料原産地表示制度が導入されたら、更にそれをしないといけなくなったということでございます。

また、原料メーカーから正確な伝達がこないと、意図せず表示違反してしまうリスクがある等の意見がございました。

32ページでございます。

事業者に寄せられた消費者からの質問や意見等について調査という形でございまして、こちらにつきましては、この原料原産地表示について、消費者から事業者に向けてどのような質問、意見等がありましたかということを調査させていただいたところでございます。

基本的には、全体については、6割程度消費者から質問や、原料原産地表示について意見が寄せられたことはないという結果でございました。

一番多いのであっても、「○○製造」と表示した原材料に使用されている原材料の産地、生鮮食品の産地について教えてほしいという結果でございました。

企業別に見ますと、基本的には、左の結果と大きく異なっておりませんけれども、大企業の方が比較的多く消費者からの問合せがあるという結果でございます。

最後のページでございます。33ページ、制度の見直しでございます。

こちらにつきましては、基本的には、上記8、9の調査を含む、各種調査結果等に基づき、表示に対する消費者ニーズの変化状況や事業者の状況等を確認し、制度の導入効果について検証を行い、必要に応じて制度の拡大や廃止を含めて幅広く見直しを実施することという前提条件を付されたことに伴いまして、我々が調査いたしました結果ですけれども、表示に対する消費者のニーズにつきましては、5割程度の消費者が本制度を活用し、そのうちの7割程度が非常に満足していると回答、一方で、本制度の内容について十分理解している消費者は、全体2割程度という結果でございます。

そのほか、事業者の状況につきましては、事業者の6割程度が負担が大きかったと回答した一方で、負担したコストについては、ほとんどが価格に反映されていないと、また、表示違反のリスクから表示作成者の精神的負担は増加しており、原料調達に一部制限がかかっているような状況にあります。

このような状況を踏まえまして、我々としまして、本制度について、一定の割合の消費者からニーズがあることは確認できた一方で、現況は事業者が、表示にかかるコストを負担しており、また、制度の周知普及についても理解度が低い状況を踏まえまして、更に継続していく必要があるのではないかという結果でございますので、我々としては今回、結果としてこういうことが分かりましたので、答申の前提条件という形で消費者委員会からいただいておりましたので、この結果を消費者委員会のほうに御報告させていただきたいということでございます。

説明につきましては、以上でございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は30分程度を予定しております。いかがでしょうか、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。御説明ありがとうございました。また、精力的に調査していただいたことに感謝申し上げます。

この表示制度は、非常に問題の多い制度だと思います。私は、この制度が出来たときに食品表示部会で、私も議論に加わらせていただきましたけれども、多くのメンバーが強く反対した中出来上がった制度で、本当にこの制度が世の中に理解されるのかということが、最も大きな懸念でありました。今の調査結果を見ていると、それほど理解されているとは思えないという状況を感じました。

まず、大前提として、先ほども産地がころころ変わるということに対して、どうやって書くのですかということが、本来書けないものに対して書きなさいという制度をしているので、最終的には国産または輸入という、それは意味がないのではないですかという表示が出来上がってしまうというところに少し問題があると思っています。

その上で、消費者委員会から指摘させていただくことについて、少しコメントをさせていただきます。

まず、5ページの結果のところで、理解度が上がってきているように見えるのですけれども、これは、この分母側の数字が減っていっていて、理解している人の数は変わっていないという状況だと思っております。

そのあと5項目から、事業者の理解や消費者の理解のほうも調べていただいていますけれども、11ページの、まず事業者の理解でいうと、7割から9割理解してもらっているからオーケーだというお話だったのですが、法的制度ですから、法律を基本100パーセント理解していただく必要があるけれども理解できていないということの結果であって、だんだん上がっていくべきものが、だんだん上がってもいないという、なかなか困った結果なのだと思います。

また、同じ消費者の理解、これは13ページから、現在の消費者の理解は、22ページにありますけれども、大体10パーセントから15パーセントぐらいのところで、実際のところ理解度はあまり上がっていないというところであります。

それに対して、最後は満足度が7割あるということなので、よく分からないけれども、満足していると、いや、それはちょっとまずいのではないでしょうかという調査結果だと思いました。

また、17ページに、のりを入れたときに、今、こういった例外規定に対しての基準をはっきりするべきだということで、基準をはっきりしてもらっているということは、非常に良いことなのですけれども、このときも、なぜのりだけが、ここで例外なのですかということは大変な議論になって、基準を明確化して、それに合うものを、また例外として認めていくということだったのに、結果的にはのりだけになってしまって、では、何でのりだけだったのですかというのは、今も不明なところがあって、この表示制度が出来上がってきた背景に基づくものが、一番可能性があって、それ以外は出てこなかったという意味だと思います。

最後の10番目で指摘させていただいた例外の検証、19ページに「大括り表示」の結果を出していただいています。

これは、どちらかというと、制度として後退しているように見えています。最初の頃は、国別表示を96パーセントちゃんと書いていたけれども、85パーセントまで下がっていると。特に食品表示部会で議論になったのは、先ほど申しました国産または輸入という表示は、原則させませんということで、それをしているのだったら違反の可能性があるから取り締まるという話があったのですけれども、結果的には、それがだんだん増えてきている。結果的に「又は表示」と「大括り表示」が増えていって、当初きっちりやっていただこうとしていたことが、ここで反映されていないということがあって、その上で、満足度が、やはり7割というのも不自然な結果だと思いました。

制度は非常に難しいものなので、確かに周知は難しいとは思うのですけれども、私はこの制度そのものに問題点が多いと考えていますし、できれば、ちゃんと制度改正をしてほしいと思うのですが、今、動き始めたばかりで、これから周知をもう少し頑張っていただくということでありますので、周知の方法をこれから考えていただくのだと思うのですけれども、今、御指摘させていただいたような点については、事務局からお考えを教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁からお願いします。

○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 まず、5ページからになりますけれども、5ページは御指摘のとおり、消費者の理解度という点では数値が変わっておらず、分母が下がっていることから数値が上がっているように見えるところです。

これは、消費者において、少し言い方が悪いですけれども、食品表示を認知している者が50.4から39.3になっているということで、表示を見るということについて消費者の食品表示への認知度が下がっていることから、目標値が下がっているということとなり、御指摘のとおり、理解度という点では数値が上がっていないということですので、引き続き普及・啓発を図っていきたいと考えております。

続きまして、11ページになりますけれども、事業者の理解度が100パーセントになっていないではないかということであります。

先ほどの説明にもありましたけれども、事業者も国産しか使っていないということで、別に「又は表示」や「大括り表示」の正確な理解の必要なく、1位の原材料に国産と表示すればいいのでしょうということの理解で足りている方もいるので、必ずしも100になっていないから、表示ができていないということではなく、そういう方も含めての数ということで御理解いただければと思っています。

次に13ページになります。

御指摘のとおり、数値について、理解度については10パーセントから15パーセント程度ということとなっていますので、引き続き、消費者庁で普及・啓発を図っていきたいと考えております。しかしながら、質問の仕方自体もすごく正確に聞いているということで、質問の仕方自体も、今後検討させていただいて、周知・普及に努めていきたいと考えております。

17ページについて、おにぎりののりについてですけれども、現在のところ基準を定めて、おにぎりののりのみであり、それ以外、これに該当するものがありません。ですので、追加品目はないということとなります。

最後に、19ページですけれども、例外が増えているではないかという御指摘でしたが、R1年のときは、導入して、まだ移行期間中で表示している人のうち、96.7パーセントということになります。

表示している人というのは、まず、初めは産地を固定していて、できる人、やりやすい人ということから、国別重量順で書きやすい人からスタートしてもらっていますし、「又は表示」や「大括り表示」については、表示の根拠書類の保管等々が必要になってきますので、根拠書類がたまった時点でやり始めている。ですので、移行期間が迫ってくるに従って、皆さん表示方法が増えて、産地の切替えあり、国別重量順で表示することが難しくてできない方々もやり始めた結果、例外表示が増えてきたということですので、年々増えているというよりも、n数を見ていただけると、調査は商品の棚の2段目を調査していますが、初めは274商品しか原料原産地表示を先行して実施していなかったのが、最後の年になると、1,000を超えて実施しており、移行期間中にできるタイミングで皆さんが始め、どんどん増えており、増えていった結果、産地の切替えがあるような品目についても、義務ですので、最後始めたということで、結果として例外表示が増えたということかと思っております。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 ありがとうございます。

その御説明はよく分かるのですけれども、まず、幾つかコメントをさせてもらいますと、最初、興味を持っている人が減っていっているということは、逆に言えば、諦めてしまっている人が増えたという見方もできて、結局理解できている人が増えていないという面との相反関係なのではないかなと思います。

あと、のりの件ですけれども、この食品表示部会の際にも、何でのりだけ例外なのですかということが随分議論になって、いや、これはあくまで事例であって、基準を決めてどんどん、そういうものが増えてくると思いますということだったのですが、結局のり以外が増えなかったので、のりは何だったのですかというのが、当時の議論を知る者の疑問であります。

「大括り表示」についても、今のコメントで増えていった理由はよく分かりましたけれども、当時食品表示部会で御説明いただいた内容としては、1パーセントもないということを断言されていたと思うのですけれども、そうではなく、結構、国産または輸入という「大括り表示」「又は表示」というのができてくるという状況で、これ自身が好ましいわけではありませんので、ぜひそういったところの改善はしていただきたいと思いますし、ここの「大括り表示」の監視は頑張ってやりますということを、当時、表示課のほうからは、食品表示部会に対しては説明をされていたと思うので、その辺のところの監視強化、指導強化というのは、ぜひしていただきたいと思います。

そこら辺のところは、何かお考えはあるでしょうか。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 ありがとうございます。

今村先生がおっしゃっている例外表示が増えているということで、制度導入時はそんなにない想定であるということでした。31ページになりますけれども、基本的には、制度導入後に戦争であったり、天候不良であったり、感染症の流行等で年々原料調達や価格の不安定さが増しているというのが現状でございますので、そうなってきますと、どうしても原料調達自体が安定しておりませんので、使える原産国が決まるという形にならないので、必然的に例外表示が増えているという実情があることも御理解いただければと思ってございます。

そのほか、例外表示についての監視ということでございますけれども、こちらについては、原料原産地表示の監視という形で行っておりまして、こちらについては、事業者がしっかり根拠を保管しているのかどうかということも踏まえて監視をしているということでございます。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 「国産又は輸入」の表示について、今の御説明だと、今後は減っていくという前提ですね。戦争とか、感染症とかがあるからということですけれども、もともと「又は表示」をしてしまえば、事前の調べる必要がなくなるのですよ。だから、楽な書き方を覚えてしまわないように、そうならないように指導するという話だったと思うので、例外的な今の事件が起こっていて、変化が起こっているということであれば、今後は減っていくと、そういう指導もしていくことと理解しましたけれども、いかがでしょうか。

○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 「国産又は輸入」という表示については、まず、輸入の使える条件があります。それは3か国以上の輸入国を使っていることとなりますので、何も考えずに国産または輸入と書けばいいという制度ではございません。

また、きちんと切替えがあるとか、そういう管理、どのように年間使っていて、3か所以上海外産を使っているなり、履歴を取って、その結果、国産または輸入という表示になっていますので、きちんと使用している産地を管理していただいた上で、結果として、そういう原料調達事情になっているということかと思っています。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 また、補足になりますけれども、先ほど今後減っていくのかということですけれども、我々としても、原料調達事情が今後どうなっていくのかというのは、まだまだ見通せない状況だと思いますので、基本的には、それ次第で、今後、事業者さんがどういった形で原料を海外から調達してくるのかというところになってきますので、そこについては減っていくかどうかというのは、今の段階での明言はできない状況と思っております。

○今村委員 先ほど3か国以上でないと輸入と書けないというのは、それは全くそのとおりで、それが3か国以上から入れているかということを監視していくという話だったのですね。だから、その監視をちゃんと強化していくのですかという御質問なのですけれども、その辺はいかがですか。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 もちろん、その点を含めて、現在も、監視をしているところでございます。

○今村委員 分かりました。ぜひ、これからも周知していっていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御説明いただき、ありがとうございました。

私、この制度にすごく詳しいわけではないので、すごくシンプルな質問を1点と、あと、もう一点は、意見を述べさせていただきます。

1点目なのですけれども、6ページのところで、これは、事業者向けの周知だと思うのですが、講師の派遣の数が減っているように見受けられるのですが、これは、例えば、コロナがあって対面のセミナーができなくなってしまったということなのでしょうか。すみません、6ページ、消費者向けですかね、派遣が減っていると思います。7ページです、失礼しました。事業者向けも減っていると思うのですが、これは何かコロナで、対面のそういうセミナーが難しくなったということが影響しているのでしょうかというのが、1点目です。

仮にそうであるとすればですけれども、これは事業者向けもそうですが、消費者向けもそうだと思うのですけれども、例えば、オンラインセミナーですとか、あるいはユーチューブなどを使った周知等も考えられるのではないかと思います。もう既におやりかもしれませんので、余計なことを申し上げているかもしれません。

それで、事業者向けというのも、もちろんなのですが、消費者向けの理解度のほう、本当に制度の中身をよく理解しているかどうかという点をアップさせる方法は、確かにかなり難しいように思っております。

私も、一消費者として、実は、原産地は個人的には気にするほうですので、加工食品を買うときには必ず見てはいます。

ですので、見ている消費者というのは、恐らくいるだろうとも思うのですが、ただ、それがどういう制度で、こういう表示をしているかということまでは、そこまでを含めたものを理解度と呼ぶのであれば、これは周知の方法は、かなり難しいだろうと思っています。

さすがに個々のパッケージに、これは1番目なのでとか、そういうことを書くわけにもいかないと思いますので、先ほど申し上げたようなオンラインの活用ですとか、そういうことを消費者団体、国などの啓発というのが重要ではないかと、これは意見になります。

もう一点は、意見ですが、この種の情報提供というものに関しては、確かに多く情報が提供されると、消費者にとっては、一見いいであるかのようにも見えますが、他方で、あまりにも情報が多過ぎると、今度は制度が複雑になってしまったり、あるいは消費者からすると、かえって情報が多過ぎてよく分からないということが起きてしまいますので、現状の制度がどうかというのを、私、評価する能力がありませんので申し上げませんが、そういった観点から、今後その制度の中身自体も検討する余地があるかなと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

1点目は質問も含まれていましたので、お答えをお願いします。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 この数が減っているところについて、コロナの影響かということですけれども、おっしゃるとおり、コロナの影響下におきまして、対面での開催が難しくなったということで数が減っているという形でございます。

オンラインセミナーということでございますけれども、事業者向けにつきましては、オンラインセミナー動画というものも作成させていただいてやらせていただいてございます。

一方、消費者の方につきましては、今回、6ページに載せていただいている消費者団体と連携して全国各地で実施しているものにつきましては、対面で開催させていただきまして、講義の前と後で同じ問題を解いてもらって理解度の確認を実施しておりまして、もちろん講義後には、それなりの理解度の向上が見られる結果となっておりますので、ある意味、説明を受ければ理解はできる。ただ、その説明をどう届けていくのかというのは、我々として課題はあるかと思っておりますけれども、そういったことも踏まえまして、そもそもこの理解度を確認するための消費者意向調査の設問自体も、かなり難易度が高い内容になっておりますので、消費者としてどこまで分かっていれば、理解しているのかという点も含めて、見直しをしてまいりたいと考えております。

○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 どうもありがとうございました。

この6ページのスライドを見たときに、私、本当に細かなことなのですが、引っかかったのが、消費者を対象としたセミナーということで、特に実際に食品を購入する頻度が高い主婦層と書いてあって、かなり限られているなと思います。主婦というのは、どういうものとして想定されているのか分からないですが、これは、例えば日中にやっていたということであれば、恐らく私は行けないだろうなと思いましたので、その下のところに、4つ目の矢羽根のところに、新たな取組として学生に向けた講演も始めましたということがあって、こちらは本当に進めていったほうがいいのではないかと思っています。

あと、それこそこれも、例えば動画とか、そういったものを活用することが考えられるのではないかと思いました。

以上になります。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今の主婦層を対象にしたというのは、私も少し気になったところでした。私自身も加工食品を買うときに、原料原産地とかを見るほうだとは思いますが。ほかにいかがでしょうか、星野委員、お願いします。

○星野委員 計量経済学とかEBPMとかをやっている人間から、一言申し上げたいのですが、やはり、この調査自体のやり方、当然ながらずっと継続的にされているので、これはこれで重要だと思いますけれども、例えば、大規模に制度変更をするとかというときに、お考えいただきたいのは、ほかの方法論が様々、例えば、環境評価の分野ですと、コンジョイント分析という方法がございます。ほかの分野でもよく使われます、マーケティングなどでも使われておりますが、例えば、車の性能がこうで、価格はこうで、EVだったら、EVに対してどれだけ消費者は、お金をかけていいのかと思うかということを単体として、EVかどうかの価値みたいな、また、ハイブリッドエンジンかどうかの価値みたいなものを算出する方法としてよく使われますが、そのような観点で、こういった表示自体の価値とかというのは、様々な方法で調査することができまして、例えばそういったものをしていただいて、このような形で産地表示をすること自体に対して消費者がどれだけお金を出すのか、もっと一番簡単に、例えば国産に比べて、デンマーク産だと、どれぐらい価格が下がるのかとか、そんなものは、結構調べる方法がございます。

これだけコストがかかっている、コストというのは、皆様の様々な御努力もそうですし、あと、調査もそうですし、企業側のほうにそういったラベリングをさせるみたいなこともそうですけれども、そういったコストがかかっている以上、このコストに見合うような分だけの社会構成というか消費者構成が与えられているのかどうかということ自体を評価することは、結構重要かと思っておりまして、このような制度自体を存続させるべきかどうかというのを、恣意性なく、きちんと評価するような方法はございますので、ぜひそのような方法を御検討いただければと思います。

様々なところでも、国のほかのところの政策評価等でも使われておりますので、ぜひそのような制度を、認知度とかだけではなくて、このような表示をすること自体の評価というものを計算できます。

もちろん、消費者側としては、当然ながらいろいろな情報があったほうがいいわけですが、先ほど大澤先生がおっしゃったように、実際、あまり見ていないだとか、ほかのところを見ているだとかということはあったりしますので、複雑なものになればなるほど、そういった複雑な情報が意思決定、実際に購買意思決定に与える影響力というのは非常に下がっておりますので、そのような観点を踏まえて、ぜひ、今回ということではないかもしれませんけれども、このような制度を存続させるべきかどうなのかという議論をされる際には、そのような方法はかなりございますので、ぜひ、御検討いただければと思います。

○鹿野委員長 消費者庁から何かございますか。

○消費者庁食品表示課清水課長 御意見として承ります。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかに、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 すみません、2点あるのですけれども、この原料原産地表示の見方なのですが、今、購入の方法も様々になってきておりまして、例えば、スーパーマーケットで2つのウインナーソーセージを見比べるときには、当然比較することができるのですけれども、インターネット上のオンラインショッピングなどで購入するときには、やや見たりするのが大変だなというところがあります。

また、ネットスーパーなどで利用する際に、消費者に対しての普及・啓発ができるような取組もあるのではないかなと思いました。

例えば、どこかのスーパーマーケットと提携して、この表示は、こういう意味なのですよというのをオンライン上で示していただくとか、そうすると、消費者としても商品を選択するときに、原料原産地表示は、このようになっているのだというのが、オンライン上で買い物をしながら理解が深まるのではないかなと思いましたので、意見というか、コメントというか、させていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 消費者庁から何かございますか。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 御意見ありがとうございました。御意見として受け止めさせていただきます。

○鹿野委員長 中田委員、お願いします

○中田委員 調査結果の御説明ありがとうございます。

今村委員の御発言にもあったのですが、経過措置期間5年間の間に、消費者及び事業者に対する啓蒙活動としてパンフレットをつくられたり、セミナーや研修会を実施されたり、QAを御準備いただいたり、かなり御努力いただいていることで、事業者の理解は7割から9割の一定レベルまで向上している一方で、消費者の満足度は一定レベルの結果が出ていますが、先ほど調査指標による結果のぶれがあるかもしれないという御発言もありましたが、それでも過去5年間にわたり、内容の理解度が10パーセントから15パーセント前後とあまり上がっていないという点に、私はこの制度の有効性に懸念を感じております。

この調査の結果からは、そもそもの食品表示の目的である消費者自らが表示を見て加工品の原材料や、原産地の違いを確認して選べるという、この制度本来の目的を、現状においては達成できていないのではないかと感じております。

御報告では、啓蒙活動はかなりやっていただいている上での結果とのことで、重要なことは、どこが課題なのか、課題の特定が改めて必要ではないかと感じております。

もし、啓蒙活動の頻度ではなく、啓蒙の方法による改善余地があるのか、あるいは、33ページに、今回の原料原産地表示制度は、全ての加工食品を対象にしたことにより、事業者の実行可能性を担保するために複雑な制度となっているという説明をいただきましたが、もしかしたら、そもそもの制度や表示方法自体の複雑さ、伝わりにくさといったところが本来の課題なのか、もう一歩踏み込むと、今回の原料原産地表示制度により、パンフレットのタイトルに、産地を見て商品を選べますというサブタイトルがあるのですが、実際は、例えば、輸入品、加工品や「大括り表示」の場合、消費者の期待値と反して、例外表示適用で、原料原産地名が不明瞭になっていることに、消費者の期待に応えていない内容になっているのではないかといったところも、今までのバイアスを排除して、もちろん今後啓蒙は進めていただくと思うのですけれども、内容自体の是非についても議論すべきではないかと感じています。

また、事業者側から見ると、31ページ目の事業者のフリーアンサーで紹介されている経費等の負担のコメントがすごく切実だと思ったのですが、表示のためのコストを事業者サイドは価格に反映せずに吸収しているということで、その御負担にもかかわらず、消費者に理解が進んでないということになると、そもそも誰のための制度なのか、制度はこのまま周知強化していただくと思いますが、同時にこの制度内容自体の議論を周知と同時に継続していただきたいと感じております。

以上です。

○鹿野委員長 消費者庁から、お願いします。

○消費者庁食品表示課京増食品表示調査官 資料の19ページを見ていただきたいのですけれども、先ほど「大括り表示」と「又は表示」の併存しているものについて、選べないではないかとありましたが、スーパーへ行っても、例えばソーセージを1種類しか売っていないわけではなくて、いろいろな商品があるかと思います。それは、国産と表示してあるものもあるし、国別重量順で2か国書いてあるのもあるかもしれないし、又は、表示されているのもあるかもしれないし、輸入と書いてあるのもあるかもしれないし、その中で「大括り表示」と「又は表示」が併存しているのが3.5パーセント程度あるということで、「大括り表示」と「又は表示」が併存している商品のみがあるというわけではなくて、いろいろな産地表示がある中で選択できるのかなとは思っております。また、この3.5パーセントが、とても高い数値なのかというのもあるのかなとは思っております。

○鹿野委員長 中田委員、よろしいですか。

○中田委員 詳細な御説明をありがとうございます。

今、御説明いただいたことで理解は少し深まりましたが、それでも非常に複雑であるので、私も一消費者として、より深く理解をしていかなくてはいけないと改めて感じました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 申し訳ありませんが、私はこの問題について全くの素人なので、資料の読み方を教えていただけますか。

まず1点目は、4ページの母集団についてです。『食品表示制度について知っていて、かつ認識が一致している人』を母集団として、この考え方で50パーセントを設定すると理解したのですが、どういう方法でこの母集団を選んでいったのか、よく分かりません。

2点目は、この母集団の割合についてです。私は今回の議題が出るまで、この問題があることすら知らなかったのです。申し訳ありません。一般消費者の中で、この母集団はどのくらいの割合を占めているのでしょうか。100人中70人くらいなのか、それとも100人中20~30人程度なのか、もし分かれば教えていただきたいです。

3点目は、33ページの最後の満足度に関してです。『5割程度の消費者が本制度を活用し、その7割程度は表示に満足している』とありますが、ここでいう『消費者』は、最初に抽出された母集団のことなのでしょうか。それとも一般の関係のない消費者のことでしょうか。全ての人が何かを食べるわけですから、全ての人が消費者だと思うのですが、こうやって抽出した人たちが、統計上全て『消費者』というラベル付けをされているのかどうか、その点だけ教えてください。読んでいて分からなかったので。以上です。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 ありがとうございます。

こちらのほうから、そもそものこの調査自体の御説明がなかったということなのですけれども、基本的には、こちらにつきましては、我々が毎年実施しております食品表示に関する消費者意向調査というもの基になっております。

こちらの調査につきましては、基本的に調査対象者を令和2年の国勢調査の性別、年代、地域の比率を考慮し、有効回答数5万件程度から無作為に1万サンプルを選んでいますという形でございますので、1万人に対して、それも地域と年齢等々の比率も、日本全国のものに合わせるような形で選んだ形で、サンプルを選ばしていただいている調査で、1万人に聞いている調査という形でございます。

先ほどの50.4パーセントの話でございますけれども、その1万人に対して、あなたは、食品表示制度についてどのようなものか知っていますかということを聞かせていただいた上で、その方が、はいと答えた上で、その方に、食品表示はこういうものですけれども、認識はしましたかという方を抽出した上で、その方々が、その原料原産地表示制度を参考にしているかどうかというものを調べたものが50.4パーセントという形でございます。

したがいまして、基本的には、その1万人に対してクロス集計をどんどんかけて行った結果が、50.4パーセント、原料原産地表示を活用している方という形で取らせていただいております。ほかの調査につきましても、満足していますかについても、同様な形でクロス集計をかけた結果という形でございます。

○黒木委員長代理 つまり、こういうことでよいのですか。1万人のうち20パーセントの人が回答したということで、33ページの解釈なんですが、『1万人のうちの5割程度の消費者が本制度を活用している』という意味ではないということですよね。

33ページに書かれている1万人を抽出したという話で、その1万人を母集団として『5割程度の消費者が本制度を活用している』という意味ではなくて、最初からこの制度をある程度理解している人たちの中で、『5割程度の消費者が本制度を活用していて、7割程度が表示に満足している』と回答しているという...このまとめの母集団は1万人ではなくて、抽出された人たちを母集団とした消費者という理解でいいんでしょうか。

それとも、今おっしゃったように1万人を母集団として『5割が...』と読むべきなのか、そこがよく分からないんですが。

○消費者庁食品表示課坊衛生調査官 すみません、1万人を母集団とした5割という形でございますので、基本的には、理解ではなくて参考にしているということですね、すみません、理解につきましては、十何パーセントという形でございますので、参考にしている方の形については、1万人に対する5割という形でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

それでは、予定した時間も経過しましたので、以上で委員からの御意見は、ひとまず終えたいと思います。

消費者庁におかれましては、御説明、御回答をいただき、ありがとうございました。

もともと加工食品の原料原産地表示制度は、非常に複雑なものになっており、その経緯については、冒頭、今村委員からも御指摘があったとおりでございます。

そのため、消費者委員会からも答申において、10の項目の前提条件をつけて答申を行ったというものと承知しているところでございます。

その後、消費者庁におかれましては、周知・啓発等に取り組んだり、あるいは調査等を行ったりして来られたということで、本日、御説明をいただきました。

本日、委員から出された意見に、若干私のコメントも加えた形で、簡単にまとめさせていただきたいと思います。

まず、第1に消費者の理解の促進という点についてでございます。

5ページなどにおいて示された数字を見る限りは、加工食品の原料原産地表示制度に関する消費者の理解は進んでいないように見えます。

この現状を踏まえれば、やはり今後改善が必要なのではないかと思われます。もちろんこの数字の取り方についても、これが良いのかということについて、御回答の中にもそういうコメントもありましたけれども、少なくとも現状に照らすと、周知を推進することが必要だと思われます。

その際、省庁間の連携などをより強力に進めるという形で普及・啓発を推進していただくことが重要かと思います。

それから、柿沼委員からは、スーパーなどとの連携を図ることとか、あるいはオンライン上の表示という点についての御意見等もございましたので、今後、参考にしていただければと思います。

それから、第2に、事業者に対する関係での課題についてでございます。

こちらについて、特に今村委員から複数の御指摘をいただきました。

まず、11ページの事業者への周知ということについては、高い数字のように見えそうなのですが、やはり、法令に基づく義務制度であることを踏まえれば、そもそも理解度が100パーセントになっていないということが問題なのではないかという趣旨の御発言がありました。

これに対して、消費者庁からは、誤回答をしたところが違反業者というわけではないという趣旨のコメント、御回答もあったところでありますが、少なくとも、加工食品を取り扱っている事業者であれば、このことについては、十分に理解をしていただかなくてはいけないということであろうかと思いますので、この点、更なる周知・啓発に取り組んでいただきたいと思います。

もう一つ、今村委員からの御指摘で、19ページ辺りの例外表示について、御発言がありました。

実態調査によれば、例外表示である「又は表示」や「大括り表示」の割合が伸びているということが伺えるところでございます。

事情も消費者庁から御説明をいただいたところではありますけれども、やはり原料原産地表示制度の趣旨からいうと、この例外というのは、本当に例外であるべきであって、この数字が伸びているということは問題なのではないかという趣旨の御発言があったところです。

この点については、抜け穴的にならないように、今後とも消費者庁のほうで監視をしていただきたいと思います。

それから、3番目に星野委員から、本制度の検証方法に関する御意見がありました。検証に際しては、単に理解度、認知度を調査するというだけではなくて、原料原産地表示が消費者の購買行動等にどのような影響を与えたのかといった、いわゆるマーケティングの手法を取り入れた、調査を実施した上で、制度の見直し等の要否を客観的に判断する必要があるのではないかと、そういう御趣旨だったものと、伺いました。

つまり当該表示の価値をどのように捉えることができるのかということを、客観的に数値化することが必要なのではないかということでありまして、それによって、コストに見合う社会厚生が得られているのかということの評価もできるようになるのではないかということでございました。

4番目に、今後についてですが、これも複数の委員からの御指摘がございました。

加工食品の原料原産地表示を実施するためのコストを事業者側が負担しているにもかかわらず、消費者の理解が進んでいないという現状を踏まえれば、消費者の自主的かつ合理的な食品選択に貢献するという所期の目的を達成できているのかという点については、疑問も感じるところでございます。

最後のほうに御紹介いただいたように、抽象的には満足していると回答した方も多いようですけれども、一方では、理解という点では、かなり低い数字、2割も満たない人しか、きちんと理解していないということでございましたので、本当に理解した上で満足しているとは言えないのではないかと思われる次第でございます。

そこで、中田委員からは、課題を明らかにすることの重要性に関する御指摘もありましたし、先ほど言及しましたように、星野委員からは、この制度がコストに見合った成果を上げているのかということを検証することも重要であるという御指摘もあったところであります。

経過期間が過ぎてから、まだ2年たったというところではありますから、今、直ちに制度改正をということにはならないと思いますし、まずは普及・啓発に努めていただくということが引き続き必要と思われますけれども、将来的には、普及・啓発の在り方だけではなく、法制度の根本的な見直しの要否についても視野に入れた検討をすべきではないかと思われるところでございます。

消費者庁におかれましては、今後も様々な機会を通じて表示義務者となる事業者への丁寧な説明によって、情報を受け取る消費者に対する制度の普及、周知・啓発活動を継続していただきたいと思います。

そのことも含めて、加工食品の原料原産地表示を含めた食品表示制度が、消費者の自主的かつ合理的な食品選択に資するものとなるための取組を推進していただきたいと思います。

なお、本件につきましては、今後、食品表示部会においても、更に審議いただくものと承知しているところです。本日の本会議で出された御意見を、食品表示部会の審議にも生かしていただければ幸いです。

消費者庁におかれましては、どうもありがとうございました。


《5. 閉会》

○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上となります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の議題と日程につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、また、消費者庁におかれましては、非常に丁寧な御説明をいただきまして、ありがとうございました。

(以上)