第449回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2024年12月20日(金)11:30~11:51
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、大澤委員、原田委員、星野委員、山本委員
- (テレビ会議)小野委員、柿沼委員、中田委員
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会の設置について
- その他
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
定刻になりましたので、ただいまから、第449回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、大澤委員、原田委員、星野委員、山本委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。
また、小野委員、中田委員、柿沼委員がテレビ会議システムにて御出席です。
今村委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○江口企画官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりです。もしお手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会の設置について》
○鹿野委員長 本日、最初の議題は「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会の設置について」です。
昨今、支払手段の多様化や、キャッシュレス化が進展しています。これは、消費者に一定の利便性をもたらしているところです。
しかしながら一方で、多様化、複雑化する決済の仕組みに関して、消費者の理解が不十分となっていること、消費者保護ルールについて統一性がないということ、そして、規制が及ばない決済方法が存在しているのではないかということなど、消費者への影響が懸念されているところでございます。
そこで、支払手段の多様化、複雑化に関連する消費者被害の実態を把握し、必要な対策について検討を行うため、消費者委員会の下部組織として、新たに「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を設置したいと考えております。
お手元に資料1として、この専門調査会の設置・運営規程の案を配付しております。
それでは、事務局より10分程度で、この案について御説明をお願いします。
○江口企画官 資料1を御覧ください。
「消費者委員会 支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会設置・運営規程(案)」でございます。
この案は、消費者委員会令第4条の規定に基づき、この規定を定めるとしております。
専門調査会の設置といたしまして、第2条に委員会に「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を置くとしまして、その他、専門調査会の所掌、調査会の設置、専門調査会の会議、審議の公開、議事録の作成等の構成となっております。
この設置・運営規程(案)の内容につきましては、他の下部組織と同等の形式となっております。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、この点について、御質問、御意見等がございましたら、お願いいたします。時間は10分程度を予定しております。いかがでしょうか。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 私はこの専門調査会を、ぜひ実施していただきたいと考えております。
まず考えなければいけないことは、委員長もおっしゃられましたように、複数の規制、といいますか制度が入り混じっているという問題があると思っております。
民法におきましては、弁済は法定通貨で行って債権が消滅するということになっております。また、改正債権法では預金の振込みによって債権が消滅すると記載されております。ただ、現在ではそれだけではなくなっておりまして、割賦販売法による、特にマンスリークリアでの支払いの問題や、資金移動業による債権の消滅という問題がございます。最終的に債権は消滅するのですが、複数の事業者が関わって行われていることから、消費者の立場からいたしますと、その背景で何が起きているのかが分からない状況なのです。
そうした決済制度の背景で何が起きているのかについて議論を進めていくことは、まさに当委員会のような、政府から独立した立場で、複数の省庁にまたがる法律問題を検討するという、この委員会の使命ではないかと考えております。
そういった意味で、まずはそういった決済制度についての問題を考えることが必要だと思っております。実際、日本弁護士連合会では、今年の9月5日にこの問題についてシンポジウムを開催いたしました。
そのシンポジウムでは大澤委員にもコメントをいただきましたが、様々な形で規制の網をかいくぐるような形で被害が広がっている実態が報告されました。特に、決済代行業者という、法律の規制が十分に及んでいない事業者が現在非常に活発に活動しておりまして、そこについても検討していかなければならないのではないかという議論もございました。その点からすれば、EBPMといいますか、当委員会の第439回本会議で実際にロマンス詐欺やSNS投資詐欺で令和5年度の詐欺被害は、約1,630億円であると報告されております。このような被害の実態を踏まえますと、最終的な財の帰属方法にかかる決済制度について、専門調査会で検討させていただき、しかるべき成果を世に示すべきだと考えております。そのため、専門調査会の設置に強く賛同させていただきたいと思います。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 ありがとうございます。
今、黒木委員長代理からも御発言がございましたけれども、9月の日弁連のシンポジウムは、私も出させていただいて、本当に私自身もすごく勉強になるぐらい、今、これだけの決済手段があって、法律の網をまさにかいくぐっていると、おっしゃっていた本当にそのとおりで、しかし、それを消費者がそのシステム自体を、恐らく分からずに使ってしまっていたり、あるいはロマンス詐欺等に活用というか、悪用というか、されているということもよく分かりました。
私は、この専門調査会設置には、もちろん大賛成ですし、恐らくこの委員会としても、この決済問題というのは、これまでも今後の課題の1つとして重点を置いていた1つだと思いますので、ぜひ、本当に充実した審議を期待しております。
その中で、特にどういう観点からの議論を期待するかということにつきましては、特にコロナ禍で一層推進された感がありますが、いわゆるキャッシュレス決済の推進というのも政府は一方で行っていると思います。あるいはそのポイント等々を付与するという形でのQRコード決済、いろいろな形の手段が発展していて、それは一方で、現金だけではなく、いろいろな形で消費者が経済の取引ができるようにということで、それはそれで非常に、私自身も実はキャッシュレスを結構使っていますので、大変便利ではあるのですが、そのキャッシュレス決済をどう推進するかとか、あるいは経済的な観点ではなく、もちろん、それらの観点も必要なのですけれども、やはり消費者委員会の専門調査会としてやるということですので、もちろん消費者の被害の実態を把握し、適切な救済等々を図るための手段を、もちろん法律的にどうするかというのもありますが、あとは、消費者がきちんとシステムを理解した上で、そういう多様な、自分でまさにきちんと理解した上で、決済システムを選択できるようにするという、そういう観点からの議論ができるというのは、まさにこの消費者委員会ならではでないかと期待をしておりますので、そういった観点からの議論を、しかも、黒木委員長代理もおっしゃっていたように、いわゆる独立した立場である消費者委員会で議論することを大変期待しております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかに御意見はないでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 私も賛成でございます。
私自身は、サポートの必要な方の金銭管理に関わる研究とか活動をしておりますが、やはり現金払いや、大澤委員もおっしゃっておられましたキャッシュ払い、キャッシュレス決済ですね、こちらが混在をするような状況で、消費者はもちろん支援をする方の、その支援の困難さというものが、また違う様相を呈しているというお声が届いているところです。
社会全体でも求められているテーマでございますので、賛成でございます。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。
私も専門調査会の設置については賛成です。消費生活センターへの相談の中でも、相談者は、どこに払っているのか分からないことがあります。また、消費生活相談員が調べても、支払手段が複雑で分かりにくいと感じることもございます。
また、決済手段によっては、被害回復に違いが出ているというのが現状です。
キャッシュレス決済について、過度に不安を覚えている方もいらっしゃいますので、その辺りの観点も含めて、調査を行っていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
中田委員、お願いします。
○中田委員 支払手段の多様化は、ビジネスのデジタル化推進も伴って、私たち消費者が日々日常的に接している体験で、その支払いの手段の多様化の背景には、商品やサービスを提供する事業者と消費者の間に、数々の金融機関や中間事業者あるいはプラットフォーマーなども関与者として介在していて、それぞれが導入している技術を日々利便性と複雑性を併せ持って進化しているので、ぜひ専門調査会では、技術的だけではなくて、技術的及び制度や規制的側面から、できるだけタイムリー、かつ、正確な実情の把握と、消費者が実際に直面している問題の調査、把握を進めていただきたいと思います。
よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
星野委員、お願いします。
○星野委員 私もこの専門調査会の設置は、非常に賛同いたしまして、例えば、具体例ですけれども、最近ですと、特定のチェーンの小売業者がポイントを事前にプリペイドして買わせると、それはポイントなので、2年間で失効とかにするのですよ。それを分からずに、例えば、それが3パーセントぐらいポイントアップするのでみたいなことなのですけれども、結構の方が失効するみたいなことがあって、それが企業側には非常に利益になったりもしますので、そのようなことをうまく利用して、企業というのは利益を稼ぐということがございます。
ぜひ、法律の観点だけではなくて、行動経済学とか、そういった観点側には、企業側がどのように考えているのかとか、また、プラットフォームに関する経済学というところもございますので、そういった側面のほうからの議論もしていただければと思います。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
原田委員、お願いします。
○原田委員 ありがとうございます。
私も賛成なのですが、支払手段の多様化に絡む問題がたくさんありまして、必ずしも民事法的なものだけではなく、行政法的な問題もあろうかと思います。
それで、このような発言が適切かどうか分かりませんが、多様化された支払手段の中では、クレジットカード決済のほうがまだましといいますか、規制執行という観点から見ると、クレジットカード決済のほうが、まだ、クレジット会社が限られているだけ、統制が効きやすいと、そうでない決済手段がたくさんあるので、その結果、決済を使って消費者保護に関する規律の実効性を確保することが難しくなっていますので、支払手段というところを切り口に、消費者規制全般の実効性確保の在り方ということも併せて御検討をいただければありがたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかは、よろしいでしょうか。
ありがとうございました。
ただいま各委員から御意見をいただきました。皆様、この専門調査会を立ち上げることに御賛同いただいたということで、更に強調されたい点ということなども付言していただきました。
それでは、ただいまの御議論を踏まえて、消費者委員会のもとに「支払手段の多様化と消費者問題に関する専門調査会」を設置することとし、資料のとおり、設置・運営規程、これの(案)を取って、規程ということで決定したいと思います。ありがとうございました。
《3. その他》
○鹿野委員長 それでは、続きまして、その他についてです。
委員会に寄せられた要望書、意見書等ということで、その概要につきまして、事務局から説明をお願いします。
○江口企画官 参考資料1でございます。
参考資料1は、令和6年11月に委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧です。
この間、委員会に寄せられた団体からの意見書は、全部で6件ありました。
まず、1つ目、取引契約関係で1件です。インターネット上の詐欺的な定期購入商法被害の高止まりに対する法令等の整備を求める決議といたしまして、特定商取引に関する法律等の一部を改正する法律の2022年6月施行後も、インターネット上の詐欺的な定期購入商法の被害件数が高止まりしている事態を踏まえ、直ちに、以下の法令等を整備することを求めるといたしまして、定期購入契約に係る広告画面においての表示についてや、定期購入契約に係る特定申込画面においての表示について、規定すること等となっております。
次に、消費者行政の在り方として2件ございます。
1件目ですが、適格消費者団体等への経済的支援を求める要請書といたしまして、適格消費者団体への支援、霊感商法を含めた悪質商法のような特定の事業ではなく、事業に限定のない適格消費者団体の差止請求業務自体を対象とすることや、年度ごとではなく、継続的な活動を対象とすることといったこと、また、適格消費者団体の活動の基盤となる地域の消費者団体への支援として、適格消費者団体の事務局機能の担い手であり、消費者被害防止を官民連携で推進する担い手となる地域の消費者団体を育成、支援するために、これに必要な財政支援の方策を実施するよう要請するという内容です。
2件目ですが、国際消費者機構による気候変動対策に対する公開書簡送付についてということで、国が決定する貢献、NDCについて、現在進められているNDCの検討において、消費の変革の視点をぜひ取り入れていただきたいということで、世界の消費者運動は、バクーで開催されるCOP29において、各国政府に対し、2025年3月に提出期限を迎えるNDCに生産だけでなく、消費の変革も含めるよう求める。持続可能なライフスタイルは、全ての消費者にとって、よりアクセスしやすく手頃な価格で提供されなければならない。
また、環境保護活動は、社会のレジリエンスを構築し、脆弱なコミュニティーを保護するために、人々の権利とニーズに沿ったものでなければならないといった内容です。
次に、その他で3件ございます。
1つ目が、商業登記規則等の一部を改正する省令における代表取締役等の住所表示措置に関し、弁護士がオンラインで代表取締役等の住所情報を取得できる制度の創設を求める意見書。
2つ目が、香害から救ってくださいというもの。
3件目が、HPVワクチンに関する要望をいただいております。
なお、ただいま御紹介した団体から寄せられた意見のほかに、個人の方からも20件の意見等が寄せられております。内容は、公益通報者保護制度関係が2件、その他が18件となっております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ただいまの意見書等について、委員から何か御意見等がございましたら、お願いします。いかがでしょうか。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 一応、私も適格消費者団体の福岡で、適格消費者団体の理事長をしていますので、この適格消費者団体に対する財政的支援を求める意見書というのは、非常に重たいものだと思っております。
制度課も、いろいろと適格消費者団体の活動に関するてこ入れをしていただいていますけれども、まだまだ不十分だと思っておりますというコメントです。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。ありがとうございます。
貴重な御意見、要望書等を寄せていただき、ありがとうございます。
次期消費者基本計画に向けた意見等についても、団体訴訟制度に関わる点や特定商取引法に関わる指摘等もさせていただいているところでございますが、今回いただいた意見書等については、必要に応じて消費者委員会の調査審議において、改めて取り上げることにしたいと思います。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。
最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。
○江口企画官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通じてお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 よろしいでしょうか。
それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)