第446回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2024年11月11日(月)13:00~14:50
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員、星野委員
- (テレビ会議)大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、山本委員
-
- 【説明者】
- 消費者庁消費者政策課 鮎澤課長
- 消費者庁消費者政策課 杉田政策企画専門官
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画素案について)
- その他
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第446回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、中田委員、星野委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。
今村委員は、本日、御欠席と伺っております。
なお、大澤委員は、13時30分頃御退席の予定と、それから、山本委員は、少し遅れての御参加予定と伺っているところでございます。
それでは、本日の会議の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画素案について)》
○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、次期消費者基本計画素案ついて御議論をいただきます。
現在、消費者庁をはじめとする関係府省庁において、令和7年度からの5年間を対象期間とする次期消費者基本計画の策定に向けた検討が進められております。
当委員会においても、次期消費者基本計画に盛り込むべき、中長期的な課題等について、この間、調査審議を行い、本年4月と9月に合わせて2回、次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見を取りまとめるなど、検討を進めてまいりました。
次期基本計画の骨子については、本年4月に消費者庁より御説明をいただいていたところでございますが、このたび、新たにその素案を作成されたとのことですので、本日は、その素案の内容について、消費者庁より御説明をいただき、意見交換を行うこととしたいと思います。
本日は、消費者庁消費者政策課の鮎澤課長、そして、消費者庁消費者政策課の杉田政策企画専門官に会議室にて御出席をいただいております。本日は、お忙しいところありがとうございます。
それでは、20分程度で御説明をお願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御紹介いただきました、消費者庁の鮎澤でございます。私から簡潔に、資料の主に1-1に基づきまして御説明いたします。
この消費者基本計画でございますけれども、委員会から2回御意見をいただいておりまして、こちらも踏まえて作成いたしました。
まず、今後の大枠というか流れになりますけれども、先月、素案を消費者庁の懇談会で御議論いただきました。
今月も11月の最終週に、懇談会を開催し御議論いただく予定でございます。
基本的には、そこが最終回になりまして、12月は、いただいた御意見を踏まえて修正あるいは再度各省協議などを行い、早ければ年内、遅くとも年明けにはパブリックコメントを行わせていただければと思います。
そのあとは、与党などのプロセスもございますけれども、3月の年度内に消費者政策会議の決定を踏まえ、閣議決定を行う予定でございます。
では、資料1-1に基づきまして説明を行います。
まず、1枚目で「第5期消費者基本計画(素案)概要」になりまして、こちら4章構成になっております。
第1章から第3章がそれぞれあり、第4章は各論になっております。
第1章で課題を5つ挙げておりますので、それぞれ以下に課題を示しております。1ポツですけれども「デジタル技術の飛躍」とあります。
そこで「デジタル技術の飛躍」ということで「(1)消費生活におけるデジタル技術の浸透」ということで、課題としては、全ての消費者が消費者トラブルのリスクにさらされているということを挙げております。
(2)が消費者の取引環境の急激な変化でございまして、こちらは、課題としてデジタルリテラシーの習得の機会の確保などを挙げております。
2つ目の課題として「2.消費生活のグローバル化の進展」でございます。
(1)で、海外事業者との取引の増加を挙げており、次のページへ行きまして、課題として海外事業者に対する規律などを挙げております。
(2)で、訪日外国人旅行者等の消費の拡大ということで、インバウンドですけれども、こちらは御存じの状況で、課題としては、多言語化あるいは体制の実効性の確保などを挙げております。
3番目として「社会構造の変化」を挙げております。
こちらは(1)で、消費生活に配慮を要する消費者の拡大ということで、課題として、あらゆる世代で安全・安心な消費行動を送ることができる支援の在り方などを挙げております。
(2)で、コスト等の適切な価格転嫁でございまして、こちらの課題ですけれども、賃金と物価の好循環の実現に必要な社会全体の理解を挙げております。
ページは変わりまして、4つ目の「より良い社会の実現と国際協調への貢献」です。まず(1)で、持続可能でより良い社会の実現で、SDGsも2030年を達成年限としていますので、これらの課題として、その後の基本理念の継続を挙げております。
(2)で、事業者と消費者の共創・協働ということで、消費者志向自主宣言などの事業者を拡大していますけれども、課題としては、消費者自らの行動が社会を変える力となり得るという意識の醸成が必要だろうと考えております。
5番目の課題として「エネルギー・食料危機と自然災害の激甚化・頻発化」を挙げており、(1)で、これらのリスクの高まりを挙げており、生活関連物資の価格や需給の安定を挙げております。
(2)で、緊急時における消費行動の変化を挙げており、こちらは、災害に便乗した悪質商法、課題としては、発災時における流言の発生などがありますので、正確・十分な情報の発信、あるいは普段からの備蓄などを挙げております。
以上が第1章で、5つの課題を挙げたものでございます。
次のページで、第2章の目指すべき姿を挙げております。
まず、1ポツ目で、次期消費者基本計画における基本的な方向性ということで幾つか挙げており、大きなところでデジタル技術の進展や、社会構造の変化などに伴って、消費者政策の価値規範に関する考え方の転換、パラダイムシフトを図るということで、委員会でも御議論いただいているところでございます。
6つほど挙げていますけれども、これまでの一般的・平均的・合理的消費者像に対する情報の質・量、交渉力の格差の是正というものから、これらに加えまして、現実の消費者が様々な脆弱性を有するという認識を持つとか、これまで消費行動の対価は金銭だったものが、それに加えて情報、時間、関心・アテンションなどを提供するものもあります。
あとは、法律による強制力を伴うハードな手法とソフトな手法のコーディネートもあるだろうと。
さらに、消費者と事業者は相対する関係から、健全・自律的な取引社会を共創・協働するパートナーというものを挙げております。
2つ目で目指すべき社会の姿でございます。
(1)として消費者が信頼できる公正・公平な取引環境の確保ということで、①悪質事業者の市場からの排除、②ソフトな手法の活用、③事業者の自主的な規律の整備などを挙げておりまして、こちらは期間中あるいは2040年に向けた目標として、実効性の高い必要な規律を整理するなど、悪質事業者が排除される仕組みなどを挙げております。
(2)として、全ての世代における消費者力の実践ということで、こちらは、まず①で、消費者市民社会の実現を挙げており、これらの期間中あるいは2040年の目標としては、当然ではありますけれども、全ての消費者が誰一人取り残されることなく、安心して安全な消費活動を行うことができる社会の構築を挙げております。
②としては、デジタルスキル、デジタルリテラシー、情報モラル等の向上を挙げており、ページは変わりまして、これらの目標ですけれども、デジタルリテラシーの習得を支援していくというものを挙げております。
③で、相談・苦情処理体制の整備・強化でございます。
こちらは、188やADR等を挙げていますけれども、これらの仕組みが活用されるということが将来の目標になります。
(3)で、持続可能で包摂的な社会の実現を挙げております。
こちらは、①で、多様な消費者の脆弱性を踏まえた対応の充実を挙げており、これらの目標として、例えば、子供の不慮の事故による死者数の前年比減少あるいは2040年では、4割超となる単身世帯を支える地域のネットワークの構築を挙げております。
ページは変わりまして、②として、持続可能な消費と生産の実現でございまして、こちらは、消費者と事業者の共創・協働、あるいはカスタマーハラスメント対策を挙げておりまして、目標としては、消費者志向自主宣言事業者数の更なる増加、あるいはカスタマーハラスメントが起きない社会の実現などを挙げております。
以上が第2章で、目指すべき姿を挙げております。
次が第3章で、消費者政策の推進ということで、個別の役割などを挙げているところでございます。
1ポツ目で行政の役割でして、(1)で消費者法制度のパラダイムシフトということで、先ほど申し上げましたけれども、委員会でも御議論いただいていまして、全ての消費者の脆弱性を正面から捉えて、消費者法制度の再編・拡充に向けた検討を行うものでございます。
(2)が地方消費者行政の推進であり、まず①として、人口減少・高齢化、デジタル化に対応した地方消費者行政の方向性を掲げております。
②として、消費生活相談体制の充実を挙げており、当然のことですけれども、消費生活相談の機能維持・強化の引き続きの促進、あるいは技能向上、なお、PIO-NET刷新による新システムへの移行などもあり、これらによる業務の効率化、高度化、負担軽減なども挙げているところです。
なお、地方消費者行政強化作戦につきましては、この消費者基本計画で改めて読んでいくという整理をしているところでございます。
③に入りまして、地域における見守り活動、消費者教育の充実。こちら、あるいは④で地方消費者行政予算の拡充の促進と国の支援充実ということで、こちらも引き続き取り組むものでございます。
次に(3)に行きまして、関係府省庁及び地方公共団体における関係部局の連携でして、これは、ここにある競争政策で公正取引委員会などの連携を挙げております。
2ポツとして、事業者及び消費者の役割と期待ということで、(1)で事業者の役割と期待を挙げておりまして、事業活動において自ら遵守すべき規律の作成などを挙げております。
(2)の消費者への期待ということにつきましては、デジタル時代に求められる消費者力の実践、あるいは消費者団体との連携ということで、消費者教育の担い手などで重要な役割をいただくとともに、引き続き、消費者政策に積極的に活用していただくことを挙げております。
3番目として、行政、事業者、消費者の連携による持続可能な社会への実現も挙げています。
次が第4章で、消費者政策における基本的な施策ということで、各論になります。
そこに、まず、※印でありますけれども、1ポツのほうは、第1章の課題に対応し(1)のデジタル技術の飛躍への対応以下、5つ挙げています。
こちらは、各論なので飛ばしながらやらせていただきますが、冒頭にありますように、消費者の意思決定過程へのデジタル技術の介入を踏まえた対応や、取引デジタルプラットフォームにおける環境の整備ほか、AI技術の活用、違法・有害情報等からの消費者利益の擁護、決済サービスの多様化や、次のページに行きまして、デジタルリテラシー、金融リテラシー等の確保などを挙げているところでございます。
第1章の課題の2つ目に対応して、(2)消費生活のグローバル化の進展への対応でございます。
海外取引に関するトラブルへの対応・未然防止や、海外OTA、ページは変わりまして、国際機関などの連携を書いております。
(3)で、3つ目の課題に対応するものとして、社会構造の変化への対応でございます。
こちらは、配慮を要する消費者への対応や、見守りネットワークの活用、成年後見人制度などの活用を挙げております。
ページは変わりまして(4)で、より良い社会の実現と国際協調への貢献への対応ということで、エシカル消費や消費者志向経営などの推進、カスタマーハラスメント対策、消費者教育の推進などを挙げています。
5つ目の課題に対応するものとして、エネルギー・食料危機と自然災害の激甚化・頻発化への対応ということで、食育の推進、食ロスの削減、災害便乗などへの対応などを挙げています。
以上が1ポツで、第1章の課題にそれぞれ対応したものになります。
次が2ポツで、消費者の安全及び自主的かつ合理的な選択・自律的な選択の機会の確保ということで挙げており、こちらも各論になります。
まず(1)として、消費者の安全の確保でございまして、①は、そこにありますとおり、各種施策を挙げているところでございます。
②として、子供の安全の確保を挙げ、そのほか、③として、機能性表示食品等に関する当面の対応なども記述しているところでございます。
(2)で、消費者の自主的かつ合理的な選択・自律的な選択の機会の確保を挙げておりまして、こちらは、まず、①として公正な取引環境の確保を挙げているところでございます。
ページは変わりまして、②として、悪質商法・隙間ビジネスなどで、消費者被害の防止に向けた取組のほか、デジタルを用いた不適当な勧誘、マルチ商法などのそれぞれの対応を書いておりまして、ページ変わりまして③では、表示に関する制度の厳正な運用ということで、主に景表法の適切な制度運用などを書いているところでございます。
このほか④で、食品表示制度の適切な運用と時代に即した見直しの検討ということで、これらの施策を記しております。
最後19ページ目になりまして、(3)で消費者の紛争解決のための枠組みの整備でございます。
こちらは、消費者団体訴訟制度の更なる活用を挙げているところでございます。
最後になりますが(4)で、EBPMに基づく消費者政策の推進でございまして、政府全体としてもEBPMの推進をしていくというものを掲げておりますので、こちらは、消費者行政全体においても取り組んでいくということで、今後、徳島の新未来創造戦略本部なども活用しながら、いろいろモデルプロジェクトなどに取り組んでいくようなことを挙げております。
駆け足ですが、私からの説明は以上になります。御質問あるいは御指摘など、よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、質疑応答と意見交換をお願いしたいと思います。
時間は40分程度を予定しております。
お時間の関係で、大澤委員に、まず、御発言いただきたいと思います。お願いします。
○大澤委員 すみません、大澤です。
本日、この後、大学の教授会がありますので、すみません、もう退室をしなくてはいけなくて、1番目に発言させていただきます。申し訳ありません。
3点あります。
1点目なのですが、私は、今、概要ではなく、資料1-2の本文のほうを、お話を伺いながら読ませていただいておりましたが、27ページになります。取引デジタルプラットフォームにおける取引環境の整備というところになります。すみません、申し訳ないです。
こちらなのですが、まず、これを申し上げる前に、全体的な方向として、今回の報告書の内容、そして概要をどちらも拝見させていただきましたが、消費者委員会が出した意見と基本的には同じ方向性とか、あるいは同じ論点が取り上げられているのではないかと思います。
私のイメージですが、今までの消費者法と呼ばれる法分野、あるいはそれが対象としているものから、かなり広い範囲を対象として、非常に分かりやすく説明をされているのではないかと思い、そのこと自体には非常に心からの敬意を申し上げたいと思っております。まず、御礼申し上げます。
その上で、すみません、各論的なもので3点ございます。
1点目は、DPF法ということで、すみません、DPF法と省略をさせていただきますが、この点、27ページは、やや分量的に、7行でしょうかということで、やや残念に思ったというところが正直なところです。
といいますのも、消費者委員会からの意見の中では、例えば、これは経産省の管轄であり、かつ、いわゆるBtoBを念頭に置いたと言われてはいるのですが、一応透明化法について、これはBtoBだけではなくて、当然消費者に対する情報の開示というのも含まれているので、その透明化法との関係あるいは透明化法の実効性を確保するという点も、もちろん省庁が違うというところはあるかと思うのですが、一応透明化法のことですとか、あるいは、今、DPF法は努力義務にとどまっている規定がありまして、それが、今後どのように運用されるかというのは、もちろん見ていく必要はあると思いますし、これは、あくまで今後5年間の計画ということですので、この5年以内に、この法律のどこかを、例えば改正をするとか、そういうところまで持っていけるかどうかというのはともかく、あるいはその必要性があるかどうかというのはともかく、そういったことを一応消費者委員会の意見には書かせていただいておりましたので、そこに比べますと、やや分量的には、若干、個人的な残念な気持ちがございます。これが1点目。
2点目なのですが、これは報告書で言いますと、今、共有させていただいております36ページのところで、製造物責任法のところなのですが、ここについて、もちろん消費者委員会は意見を出しておりまして、製造物責任法についても、もちろん今後海外の法制の動向や、そういうものに沿った研究をすると書いておりますので、恐らくその方向性として委員会の意見と全く違っているわけではなく、むしろ同じ方向を向いているのではないかと個人的には感じておりますが、これについても、やはり例えば委員会の意見から出ていたものでいうと、自動運転との兼ね合いですとか、あるいはAIが搭載された製品といったものもありますので、そういう、いわゆるAIとの関係なども踏まえて、この製造物責任法の問題だけではないにしても、何かもう一言ぐらいあってもよろしいのではないかなと個人的には思いました。
ついでに申し上げますが、自動運転につきましては、委員会からの意見の中には、恐らく入っていたはずなのですが、委員会からの意見の中には、こういう製造物責任法とか、安全の面だけではなく、例えば消費者への情報提供の在り方とか、こういったことまで、かなり踏み込んで委員会意見としてあったと思いますが、報告書を拝見する限り、自動運転についてちょっと見当たりませんでしたので、今後5年間でどうこうということではないかもしれませんし、自動運転にも様々なレベルのものがありまして、果たして、この5年以内にどこまで発展するのかというのは、私自身が見ていてもよく分からないところがあります。これは、皆さんも恐らくそうだと思いますので、何か具体的にAIあるいは自動運転に対して、こういうことに対処しますというところまでは書けないにしても、他方で、デジタル庁など他省庁では、もう自動運転を見据えた検討等が始まっておりますので、せめてそういう省庁の動向を見つつ、消費者庁として、要は消費者保護の観点から、各論的には、あるいは消費者安全とか、そういった観点から、何かここに一言もなくて大丈夫なのだろうかという、そういう印象を持ったというのが2点目です。
3点目です。長くなりましたので申し訳ないので、そろそろ終わろうと思いますが、報告書で言いますと、14ページだと思いますが、パラダイムシフトのところになります。失礼しました、13ページから14ページのところで、13ページのところで、悪質事業者のマーケットからの排除ということで、ここに書いてあること自体は、方向性としては消費者委員会の意見とも同じだと思いますし、個人的にも賛同できます。
ただ、その次の14ページに行くと、悪質事業者の次が、ソフトな手法の活用となっていまして、この悪質事業者には、もちろんハードロー等々を踏まえて、例えば行政規制ですとか、罰則を使ってというところも踏まえて対処していくということに、あまり反対する人はいないのではないかと思うのですが、その次が、いきなりソフトローになっているところに、やや違和感を感じております。
この13ページから14ページ、しかも14ページは、そのすぐ下に事業者の自主的な規律の整備というところがございますので、ここを併せて見ていくとか、何か全体の印象として、事業者を悪質事業者というところに、もちろんターゲットを置きつつ、しかし、それ以外の事業者に対する対応というのが、果たしてソフトだけでよろしいのだろうかという、そういう印象を与えるのではないかと思います。
例えば、消費者委員会の意見では、レスキューサービスだけではなく、例えば、エステサービスのように、非常に高額な前受金を消費者に払わせるものですとか、いわゆる悪質事業者と悪質とまでは言えないにしても、普通の事業者であってもそういう形で消費者向けに、消費者に不利益が及ぶような取引を行っている事業者というのはいます。そういう事業者に対しても、ソフトだけということで、もちろん、そういうつもりではないのだろうなと思うのですが、果たしてこれだけでいいのだろうかと、この文章の構造を見ると、本当に悪質な破綻必至商法のような、そういう場面だけが際立っているような印象を受けます。
「ソフトな」というところに、いきなり落差があるように感じる点に関しますと、例えば、委員会で意見が出ています、前受金が高過ぎる場合ですとか、あるいは契約トラブルに関しても、これはソフトローだけではなくて、やはり現在の法律でいうと、消費者契約法のように民事ルールがあったりとか、あるいは特定商取引法のルールというのを、このまま5年間何もしないというわけには、私はいかないのではないかと思っておりますので、もちろん民事ルールは、司法判断のときの基準にもなりますので、そういったことから考えましても、ましてや、適格消費者団体の活動を促進するといったことも、恐らくこの報告書にあったと思いますので、そういった趣旨からもソフトローだけではなくて、現在で言うと、消費者契約法とか、特商法といった、そういった法律を、いわゆる悪質とまでは言えない事業者であっても、例えば、今のビジネスで消費者に不利益になっているものに、何か対応することはないだろうかということを、少し報告書を読んでいますと、申し訳ないのですが、少し物足りなく感じたという次第です。
長くなって申し訳ありませんでした。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
3点、御質問がありましたので、鮎澤課長、お願いできますか。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御質問ありがとうございました。
まず、1つ目の御質問、御指摘に関してですけれども、今のお話は、担当課とも相談して検討させていただきます。
まず、デジタルプラットフォーム法もそうですし、あと透明化法、こちらは懇談会でも御意見をいただいたところであり、検討させていただければと思っております。
2点目として、PL法も担当課のほうには伝えさせていただきます。
それで例示ということで、まず、AI製品という、さらには自動運転という御指摘をいただきまして、我々も検討はさせていただいたのですが、消費者行政では手が余るというところもあり、本日の御意見を踏まえまして、何かできないか、関係省庁とも相談しながら考えていければと思っております。
3番目の御指摘ですけれども、まず、パラダイムシフトの御議論も踏まえながら、こちらで考えているところもございますので、議論を注視するとともに、その方向性を踏まえればと思っております。
ハードローの関係でございますけれども、書いていますというのも何ですけれども、一応13ページで言えば、厳正に対処するということは、書いてはありますが、表現などは、もう少し考えていきたいと思っております。
ソフトローのところは、ソフトローだけではないというのは当然でございまして、例示に挙げられた破綻必至商法あるいはレスキュー、エステなどもありまして、こちらもパラダイムシフトの議論を踏まえつつ、消費者庁内でも検討させていただければと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
大澤委員、よろしいですか。
○大澤委員 どうもありがとうございました。
すみません、最後の点なのですけれども、私、この厳正な対処がされるということは、13ページに書いてあることは当然承知しているのですが、私が申し上げたかったことは、悪質事業者に対して厳正な対処をするということには、恐らく誰も反対しないと思いますし、それは私も大賛成なのだけれども、その次のソフトな手法というところの落差というのは、そのルールのソフト、ハードの落差というのもあるのですけれども、要は悪質事業者以外の事業者のほうが、恐らく、その他大勢といったらあれなのでしょうが、いわゆる私たちからすると普通に、日常的に本当によく取引しているような、そういう業者の対応に、例えば不当条項を使っていたりとか、あるいは広告の内容に問題があるとか、そういう事業者もいますので、そこは、やはりソフトでは対処できないところもあるのではないかということで、どちらかというと、ハードを全く使わないとは、私は理解しておりませんでした。ですので、1と2の間なのですかね、という感じなのかもしれません。13ページ、14ページに関してはですね、そういう趣旨で申し上げました。
以上になります。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
今の点は、私もとても気になったところでございます。概要でいうと4ページ、本体でいうと13ページから14ページのところで、やはり、悪質な事業者の排除というだけではなく、悪質とまでは言えないとしても、より一般的な事業者に向けたハードローというのも必要なのではないかと思います。先ほど、パラダイムシフトの議論を踏まえながらという御回答もありましたが、従来から、一般事業者つまり悪質とまでいえない事業者に対するハードローが不要であるとか、そういう議論はなかったわけですし、今後は、むしろ消費者の脆弱性を踏まえて法制度を検討するということです。確かに、それが具体的にどういう法制度に結びつくのかということは、パラダイムシフトでは、まだ結論が出ていないところではございますけれども、現段階までの議論を踏まえても、この書き方だと、今、大澤委員がおっしゃったように、悪質事業者対応とソフトローでの対応というところの間が抜けているような気がいたします。その点は、ぜひ御検討をよろしくお願いいたします。
それでは、ほかにいかがでしょうか。
星野委員、お願いします。
○星野委員 御説明ありがとうございます。
EBPMに関しては、非常に、これではただ一般論で、内閣官房とか内閣府で出ている話を超えないというか、消費者保護において何をするのかというところは、やはり明確にはなっていないので、ぜひこれは、4月の第1回目の意見でかなり細かく消費者委員会として出させていただきましたが、これは欧米のFTCなども踏まえて、きちんとやっていただきたい。
具体的には、PIO-NET情報はもちろん活用されていると思いますが、それに加えて、例えば警察への相談情報とか、刑事、民事訴訟データなどを利用した形で、どのような行政的な行動が、また、制度変更が何に関連したかということを、きちんと因果関係を理解するような形で分析できるような仕組みをつくっていただきたいということを、4月の意見のほうで書かせていただいております。
次期PIO-NETに関しましても、2026年度から稼働するということで、これは実際に、この5年間の間で、これを実際に活用していただくということになりますので、例えばPIO-NETでしたら、UI/UXみたいなことばっかりを書かれておりますけれども、もう少し地域とか、事業者とか、対象年齢別の被害推移の予測だとか、予測からの乖離のアラート機能みたいなものだとか、こういったところで特に増えているから、これからここに関しては防止をしようといった、モニタリングだとかということも可能になると思いますし、ぜひ、一般的なことではなくて、具体的に消費者保護行政において何をすべきかということを、これは5年間の計画ですので、諸外国では、非常にこのEBPMを使ったワイズスペンディング、より少ないお金で効率的な政府運営をしていこうということが、もう実際に始まっていますし、あと、国内においても、私が理解している限り、経産省や厚労省といったところは、そこら辺のことも進めておるところでございますので、ぜひ、消費者行政において何が求められているのかということを、この4月の1回目の意見に書かれていることを参考に追加していただきたいと強く思います。まず、これが1点でございます。
あと、27ページ、「デジタル技術の飛躍への対応」ということでございまして、デジタル技術が飛躍しているので、この5年間の間でも、この消費者保護行政においても、対応を飛躍させていただきたいということでございまして、資料1-1のところでは、10ページのところに、デジタル技術の飛躍への対応というのがございまして、これは、このとおり記載されているところでございますが、9月でしたか、2回目の意見のところでは、デジタル決済があって、現状、たしか私の理解しているところでは、全ての契約の中の大体4割ぐらいですかね、それでだんだん増えて、5年間の間では、多分、7、8割とかになっていくと思いますので、もうやはり、デジタルで何かしら、消費者被害を防止するゲートキーパー機能というのが非常に重要になってくると思います。
そこで、今、何ができないから、それが進んでないのかというところが非常に問題になると考えております。
当然ながら、特に高齢者等に関して成年後見、任意後見制度というのは非常に重要でございますが、諸外国に比べて、例えばイギリスなどに比べてはるかに法曹の割合が少ない我が国において、しかも高齢化が進んでいる我が国において何ができるかというと、やはりデジタルにおいて、デジタル決済等で異常な決済等を防止するだとか、そこを検知するだといったことが非常に求められるところかと思います。
そういった観点で、2回目の消費者委員会意見のところには、かなり細かくそこを記載させていただいたかと思っておりまして、デジタル決済に関しまして、すみません、資料を再度確認いたしますが、決済制度に関して、安全性、透明性の確保等ということの最後のほうに、デジタル技術等を活用した安全性の確保ということを記載させていただいております。
その関係行政、何が問題になっているかというと、やはりOECD諸国、あとは、韓国やブラジルにおいても、既に明確化されている消費者の金融決済関連データのアクセス権の明確化をきちんと法整備していただきたいと。
それによって何が保障されるかというと、デジタル上で様々な異常な取引等をゲートキーパーで守ることができるようになりますので、そのような技術が普及促進されるようなことを検討いただくことは、この5年の間には非常に重要になってまいりますので、ぜひ、これは、デジタル技術が飛躍しているので、この対応も飛躍させないと、もう本当に、この5年ぐらいにデジタル決済が、多分8割ぐらいになっていくのではないかと思いますので、ぜひその5年後を見据えて、何がデジタル技術を使ったデジタル決済において、消費者保護を防止するのかということの実効性のある取組を行っていただきたいと。
もちろん、デジタル決済等に関して、消費者に教育の機会を与えるとかということも重要かもしれませんが、もう少し具体的に実効性がある形でやれることを、ぜひ御検討いただければと思います。
関連しましてというか、もう少し違った観点でございますが、以前から、これも第2回等の意見などでも記載されておるところでございますが、様々な技術が普及促進されるように、例えば、デジタル決済業者、プラットフォーマーにおいて消費者保護に有用な情報提供を行ったり、一定の消費者保護に資する取組を行う業者の認証制度や、表彰制度のインセンティブ設計等も、これも一種のソフトローかと思いますので、そういったことに関しても、ぜひ御検討をいただきたいと思います。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
2点、御意見、御質問がありましたのでお願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 星野先生、ありがとうございました。
1つ目の消費者保護とEBPM、さらにデータ活用の御指摘、御意見だったかと思います。
我々も懇談会で御意見はいただいておりまして、もう少し記述的なところも含めてできないか、関係省庁とも相談しているところでございます。
一方、座談会だとEBPMとしてデータが取れないところはどうするのだというのもありましたので、そこも踏まえながら、もう少し検討をさせていただきます。
2点目になりますけれども、デジタルというか、キャッシュレス全般の決済についてゲートキーパー的なところができないか、その記述をどうするかというところだったかと思います。
これは、特に金融庁をはじめとして、関係省庁も高い関心は持っておりまして、我々もいろいろ相談をさせていただいたところでございます。
ちょっとお話とかを伺いますと、認可されている事業者というのは、指導もできるし、それなりにやってくれているのですけれども、結局そうではない、完全に離れたところでやっている事業者、悪質な事業者もいるようですし、課題なのはそうなのだけれども、今、検討していただいているという状況かと認識しております。
あと、関連ということでいただきましたけれども、認証あるいは表彰などのソフトロー的なものでございまして、表彰などにつきましては、消費者志向経営の自主宣言事業者の表彰とか、そういうのも行っておりますので、そちらはプラットフォーマーも含めて入っていただくとか、そういう働きかけは、引き続きやっていこうかと思っております。
すみません、簡単ですが、まず、私からは以上になります。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
星野委員、何かございますか。
○星野委員 ありがとうございます。
例えば、先ほどの消費者志向経営に関してというよりは、具体的に、例えば先ほどのダークパターンみたいなものとかもありますけれども、そういったものをやっていないという認定だとか、例えば、国ができると非常にいいですね、安心で、このプラットフォームだったら使ってもいいということが、なかなか普通は分からないわけですけれども、そこをちゃんと判子を押して、ここのところはオーケーだというか、きちんとやってくれるというところがあると非常によいですね。
あと、先ほどの金融庁の話などですと、やはり消費者基本計画は、私の理解するところでは、消費者庁だけではなくて、内閣が閣議決定をするものなので、ぜひこの力を利用していただいて、ほかの省庁を動かしていただきたいと思うわけですね。
そのためなので、まず、やはり消費者庁だけに矮小化するべきではないと思っておりますので、ぜひ、できることを幅広に入れてしまって、後で他省庁を巻き込むということだって、本来、非常に国の機関、国民の関心は高い消費者保護行政ということになりますので、そこをぜひ消費者庁側のほうがリーダーシップを取っていただきたいと思いますので、あくまでも金融庁がやっているからというよりは、金融庁を巻き込んで一緒にやっていただきたいと思いますので、ぜひよろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 今の点は、やはり、この消費者基本計画の位置づけというところにも大きく関わるところでございまして、今、星野委員から御指摘をいただいた点もそうですし、先ほど話題になったデジタルプラットフォームについても、透明化法は経産省が所管しているものではございますけれども、やはり、消費者の利益に大きく関わるということから、消費者基本計画にぜひ、他の省庁を巻き込む形で盛り込んでいただきたいと考えております。
ほかにいかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 素案の現状について御説明いただき、ありがとうございます。
まず、私たち消費者委員会よりお伝えさせていただいた意見や提案を、全般的にかなり受け止めていただいて、要所要所で反映いただきましたことに、お礼を申し上げたいと思います。
その上で2点確認をお願いします。
1点目は、まず、食品安全についてなのですが、今回、紅麹のインシデントを契機に、国民の関心が一気に高まった、機能性表示食品や食品表示については、かなり具体的に素案に盛り込んでいただいて、私も食品表示部会のメンバーの一人としても期待を持って進捗を見守っていきたいと思います。
一方で、食品衛生基準行政が今年4月に厚生労働省から消費者庁に移管され、食品の安全について本格的に取り組んでいけるような状況が消費者庁の中で構築されている中で、食品安全に関しては、この素案計画の中では全く触れられていないのは、少し不自然さを感じました。
特に食品表示については、かなり詳しく書いていただいていて、食品表示と同じレベルで少なくとも基準課がやられていたような食品の衛生基準行政、食品安全行政については追記していただきたいと考えていますが、この点について、まず、どのようにお考えかということをお聞かせいただきたいと思います。こちらが1点目です。
2点目は、御説明いただいた基本計画案と並行して前期まであった工程表作成をもって、今回も進捗管理を行う御予定であるのかどうかということを伺いたいと思います。
星野委員からの御発言にもありましたが、この基本計画を、できれば年度ごとの効果検証として、EBPM、KPIの活用も、私としてはぜひ徹底して行っていただきたいと考えておりますが、そういったEBPM、KPIとセットで、工程表で進捗管理をされることは、不可欠ではないかと考えています。
理由としては、計画には、かなり多岐にわたる達成すべき目標を盛り込んでいただいておりまして、その進捗管理を行っていくためには、私がおりましたような民間企業におきましては、工程表を活用したり、KPIを定期的に見直すことで、効果、進捗、検証がされているのですが、お役所、省庁では特に定期的に人事異動もあると伺っておりますので、計画が、担当者が代わったことによって一旦仕切り直しという状況になってしまわないように、単年度だけではなくて5年という中長期にわたって引き継がれ、改善が継続する仕組みをつくっていくためには、工程表の作成や、数値での管理を徹底することは、有効な手段ではないかと考えるのですが、この点について、いかがお考えでしょうか。
○鹿野委員長 中田委員から、2点御質問がありましたので、お願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 まず、1点目の食品衛生基準行政の記述がないという御指摘かと思いますけれども、こちらは、ちょっと時間切れというところも実はございまして、申し訳ございません。
記述はいたしますが、この場に間に合わなかったので、お詫びを申し上げなくてはいけないと思っておりまして、もうおっしゃるとおりでございまして、こちらは、それなりに記述させていただきたいと考えている状況です。
2点目の政策評価で工程表とか、あと特にKPIの点でございますけれども、こちらは、いろいろ論点があると思っておりまして、懇談会では、全部網羅的ではなくて、むしろ精査をして重点的にやるというのが、そもそもEBPMではないかという旨の御意見もいただいておりますし、あと、先ほど星野先生からもありましたが、データはもっと使うべきではないかということもありまして、一方、消費者政策全体を見ますと、ちゃんとやっているという言い方は変ですけれども、きちんとデータを取って毎年やられている政策もありますが、一方でどうしても定性的なものであるとか、他の施策の関連で、どうしてもそこができないというのもありまして、我々といたしましては、中間報告できっちりやって、例えば年度のものであれば白書とか、従来のものもありますので、それらを活用していこうかなというところを、今、考えているところでございます。
○鹿野委員長 中田委員、お願いします。
○中田委員 御回答ありがとうございます。
1点目の食品の衛生化については、素案概要の18ページに、食品表示についてかなり細かく項目立てをしていただいているので、このレベルと同様、少なくとも添加物、残留の農薬、容器包装への規格基準、あと生食への規格基準などについては、できれば具体的に表記をお願いできればと思います。
2点目の御回答で、白書等も活用するというお話もございましたが、やはり白書とこの計画の進捗では、若干目指すべきゴールが異なることもあると思いますので、前期は工程表を活用されていたと思うのですけれども、そのことに対してどのような評価があったのか、それを踏まえて今回工程表を作成しないということであるのであれば、今後は、工程表の代わりにどんな方法で、これだけ多くの課題の進捗管理をされて、進捗状況を国民に対して透明性の高い説明を行っていくのかということを、ぜひ御検討をいただければと思います。
○鹿野委員長 今の点もよろしくお願いいたします。白書は白書で毎年出されるということは重要なのですけれども、白書の役割と、やはり工程管理とは違う側面がありますので、目指したところが、今年度においてどこまで達成されたのかということについては、適宜、できれば毎年度検証として行われるような仕組みが必要なのではないかと、私自身も思っているところです。
それでは、小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
私からは、消費者教育を専門にしている関係から、3点申し上げます。
まず、以前から申し上げている点を踏まえていただいたことに感謝しております。特にということで、2つ申し上げますが、1つ目が素案の23ページでございます。③と書いてあるところですけれども、地域における見守り活動、それから、消費者教育の充実ということで、この辺りは丁寧に記述をいただいております。
特に、そういった問題の未然防止のための教育とか見守り、それから何か起こったときに早期に対応するということで言いますと、やはり関連機関の連携、これが欠かせないということを改めて書いていただいているということを感謝しております。
それから、2つ目でございますけれども、29ページには、金融リテラシー等の確保というところ、金融経済教育推進機構、J-FLECに関しての記述でございます。
こちらも以前から申し上げておりますように、やはり金融教育と消費者教育の連携といいますか、やはり整理が必要であり、特に最後のほうには、教育関係者が関わるような仕組みを求めるということを書いてくださってありがたいと思っております。
さらに言うなればということなのですけれども、運営委員を集めるだけではなくて、その方たちが提案したことを効果的に採用していただくような仕組み、例えば、運営委員会を開催するのであれば、その頻度であったりとか、あるいはその内容を運営に実際に生かしていくという実効性を担保するような仕組み、そこまで求めていきたいなと思っているので、その辺りの記述を加えていただけると、5年間の大切な指針になりますので、ありがたいと思いました。
そして、最後は、少し気になりましたということを3点目で申し上げます。
それは、15ページの日本型「ウェルビーイング」と書かれてあるところです。
私は、学位を社会福祉学で取っていて、それはソーシャル・ウェルビーイングという言い方をするのですが、ウェルビーイングは、あらゆるところで使われるようになっておりまして、金融教育あるいは消費者教育でもウェルビーイングという言葉は使われています。経済的な豊かさだけではなくて、精神的なとか、身体的な、あるいは社会的な豊かさをも指針とするような、そんな概念かと思います。
ウェルビーイングについては括弧つきで、これから検討が必要であるという意図はくみ取れるのですけれども、ほかに記述がありませんので、補強をしていただいたほうがよいのかなという印象を持っております。
と申しますのは、例えば、文科省が出している教育振興基本計画に、このウェルビーイングについて、数ページにわたって書いてございますので、今のままだと、例えば金融ウェルビーイングとか、捉え方によっていろいろな考え方に幅があります。ここで言うウェルビーイングのある程度の方向性みたいなのは整理をいただいたほうがいいのかなと思って、気になりまして申し上げました。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
3点にわたり御意見等ありましたけれども、いかがでしょうか。特に3番目の点なども含めて、御回答をお願いできればと思います。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御意見ありがとうございました。
1点目ですけれども、御意見を踏まえまして、関係各省とも御相談をさせていただければと思います。
これは2点目も同様でございまして、特に金融との連携と、あと、現場の声をどう取り上げるかというところで御指摘をいただいたと思っておりますので、こちらは、また持ち帰らせていただいて、何かできないかというところを担当課とも踏まえて相談したいと思っております。
3点目のウェルビーイングですけれども、これは懇談会でも何らかを加筆すべきということで、今、検討しております。
簡単に申し上げれば、日本型というのは、どうしてもウェルビーイングは、欧米というか英語でございまして、意味はいろいろありますけれども、例えばOECDで定義しているとか、そういうのがあります。
ただ、よく生きるということは、欧米型のものに限るものではないので、日本型という書き方をして、日本人としてよく生きるものは、ほかにもあるので、ただ外からの概念を受け入れるものでないということを入れまして、その前に書いてあります、地域のつながりというところは、特に日本人が幸福であることを感じるものでありますので、このように記述しております。
ただ、少し記述が足りないということは、御指摘のとおりでございますので、ここはもう少し加筆する予定でございます。
以上です。
○鹿野委員長 小野委員、よろしいですか。
○小野委員 結構です。
ウェルビーイングという言葉は注目をされているということですので、やはり加筆をいただいたほうがはっきりするかなと思いました。
どうぞよろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 時間をいただき申し訳ありません。丁寧なご説明をいただいた上で、一部これまでの委員の意見と重複するかもしれませんが、いくつか質問させていただきます。
まず資料1-2の13ページ32行目についてです。「法的規制のみで対応することは難しい」という記述がありますが、新しい課題が出てきた際には法改正でハードローを充実させるということは、この基本計画からは直接読み取れません。ただ、これから5年間で、ハードローで対応できないような悪徳事業者や新技術が出現した場合には法改正も含めて対応するという理解でよろしいでしょうか。この13ページの一段落の解釈についてお聞かせください。
次に、先ほど大澤委員もおっしゃっていましたが、27ページ24行目の「取引デジタルプラットフォームにおける取引環境の整備」についてです。透明化法には一般利用者に関する部分も含まれていますが、この点について今後も検討を続けていくと考えてよろしいでしょうか。
また、31ページ以降の見守りネットワークについて、非常に詳しく記載いただき感謝しております。ただ、可能でしたら追加していただきたい点がございます。消費者庁と厚生労働省が令和3年10月1日に「重層的支援整備体制事業と消費者安全確保地域協議会との連携について」という通知を出しています。他部門との連携について、重層的支援体制整備事業に関する表現は散見されますが、できればこの条文の文言をはっきりと記載していただいたほうがよいのではないかと思います。
また、41ページ20行目についても伺いたいことがございます。「AI技術の導入等により、法執行の迅速化や効率化」という記述がありますが、現在、消費者被害防止に向けた取り組みとして、消費者庁内部でAI技術の具体的な活用検討をされているのでしょうか。あるいは今後5年間でどのようなAI技術の活用による実装を予定されているのか、もしありましたらお教えください。
最後に、星野委員もおっしゃっていましたが、KPIについてです。これは中田委員の工程表に関する議論とも関連すると思います。例えば特商法の執行については「厳正に執行していく」という力強い表現が何度も見られ、心強く感じております。第四期では具体的な執行件数や、その結果、また地方での執行状況といったKPIを設定いただいた工程表がありました。基本計画とその工程表について重要な部分については、パブリックコメントや国民・市民への情報提供という観点からも、全てとは申しませんが、工程表とKPIを連携させながら市民に伝えていく必要があるのではないでしょうか。
多岐にわたる質問で恐縮ですが、以上5点についてお答えいただければと存じます。
具体的には、法執行が難しいという点について、法改正の意向はあるのか、デジタルプラットフォーマー透明化法についての言及の可能性があるのか、重層的支援整備体制事業との関係をより明確に記載することについて、AI等による執行強化の具体的な計画の有無、KPIと工程表の関係について、今後の工程表の考え方、以上について、ご回答をお願いいたします. 以上です。
○鹿野委員長 それでは、4点、鮎澤課長、お願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 ありがとうございます。
まず、1つ目の13ページのところになりますけれども、難しいというのは、できないとか、そういう意味ではなくて、厳正な執行に加えてということで、ソフトも使いたいということなので、そこは少し表現ぶりも含めて検討させていただきたいと思います。
4つの中に入っていないですけれども、透明化法ということで27ページにありましたので、これは懇談会のほうでも、公取委のスマホ法があるのだから、BtoBで透明化法もということがありまして、そこは検討させていただきます。
次の31ページの見守りの点で、条文のままを書くべきという御指摘だったと思いますけれども、すみません、条文そのものを私は認識しておりませんでしたので、そこは相談、検討したいと思います。
次に、AIの利活用で41ページのところですけれども、具体的に実装までするというのは、私は認識しておりません。
ただ、庁内でもデジタル活用をどうするかという議論もありますので、そこで検討していくのかもしれません。
最後、KPIあるいは工程表との連携ということですけれども、例示で挙げられた、例えば特商法の執行などは毎年できるかと思いますけれども、例示は挙げませんけれども、なかなか定性的なところで、こちらの計画でも普及していくとか、促進するというものがあります。
では、それは毎年集計できるかというと、あるもので説明はしたけれども、それがどのような効果を発揮したとかが分からないとか、一方では説明した件数、もしくは普及啓発をやった件数を上げてくれというと、それだけで現場でかなりの負担になることは現実にはありますし、そのような政府アンケートは負担になってしまう事業も正直あると思っています。
ですので、ここは時間をかけたのは、どのようにすれば政府のEBPMの方針に沿ったもので、それを消費者行政としてやれるかというのは、まだ検討の余地はあろうかと思っております。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
現行のハードローでは法執行が難しい場合は、その問題を考えて、法改正も含めて対応していっていただけると理解しておりますけれども、そういうことでよろしいですね。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 まさしくそのとおりでございまして、あくまでも付け加えということです。難しいという表現で、では法改正をやらないでソフトローだけでという趣旨ではございません。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。その確認ができたことでほっとしました。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
星野委員、お願いします。
○星野委員 先ほど黒木委員長代理がおっしゃったところは、やはりEBPMは、課長がおっしゃったように、確かに細かいところを一々それぞれの政策に対して認知度を調べるとかということ自体も結構大変だということはおっしゃるとおりなので、だからこそ、いろいろなところからデータが集まった形で、例えば、警察に対する相談案件とか、件数だとか、PIO-NETもそうですが、そういった複数のものが集まって、それで、結局、トレンドとしてはどのような問題が、もちろん、例えば、それこそXみたいな情報から、どういった話題が出ているみたいなものもあってもいいと思います。そういったものを合わせて、結局世の中のトレンドとして、こういった問題が生じていて、かつ実際には、それによって法執行の件数がどうなったとかという形で、データがあまり負担ない形で集まるために、いろいろな各省庁のデータが連携されることが、究極的には非常に大事で、それが最終的に具体的な施策のどれが消費者保護に役立ったのかということにつながっていって、ワイズスペンディングにつながっていくかと思いますので、ぜひ、やはり複数省庁のデータを集めて、行政記録データ等も自動的に集まる形というのは、やはり最終的には、非常に実効性のある消費者保護行政につながると思いますので、そんな観点でも、ぜひ、様々なデータが連携されるということを、少し書いていただけると、この5年間の間で、そういったものが、10年とは言いませんけれども、5年から10年の間で、我が国においても、確実にそういった姿になっていかざるを得ないと思いますので、ぜひその方向で御検討いただければと思います。
○鹿野委員長 何かございますか。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御指摘のとおりでございまして、統計改革委員会でも、統計局をはじめ、データの利活用という決定、御指摘がありましたので、少なくとも既存のデータを使っていくということは委員御指摘のとおりだと思いますので、そこは、何かしらは考えていきたいと思います。
○鹿野委員長 よろしくお願いします。
オンラインで御参加の方で、まだ発言が。
○小林事務局長 柿沼さんがチャットで。
○鹿野委員長 音声は出ないということですか。事務局で読み上げることはできますか。
○友行参事官 事務局でございますが、柿沼委員から御意見がチャットに記載されておりますので、代わりまして御紹介いたします。
地方消費者行政についてコメントです。DX化について消費生活相談現場の状況を把握するとともに、丁寧な説明、情報共有、意見交換を行うようお願いします。
消費生活相談のDX化については業務負担の軽減や業務内容の煩雑さの解消等ができると期待していますが、DX化についての情報の不足から把握できていないことが多く、相談現場の現状と国が示す内容とのギャップについても大きいように感じます。DX化により、消費者行政が後退することがないようにお願いします。また、進捗につきお伺いできればと思います。
話題が変わりまして、43ページのところ、「民間賃貸住宅をめぐるトラブルの未然防止のため、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保するとともに、消費者への情報提供等を行う」の箇所です。
賃貸住宅の相談は、毎年相談件数が上位です。借り主側である消費者は弱い立場です。賃貸物件に不備があっても修繕されなかったり、退去時に必要以上の原状回復費用を請求されていたりします。このようなトラブルを防ぐための、賃貸住宅管理業の適正な運営を確保する具体的な情報提供方法について教えてくださいというコメントが入っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
大きく2点ございました。
それでは、お願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 柿沼委員の御質問で、地方消費者行政につきまして、DX化などの丁寧な御説明をいただきたいという趣旨だったかと思います。
こちらにつきましては、先ほどPIO刷新も申し上げましたけれども、課で言えば、地方協力課だけではなくて、消費者庁全体で、国民生活センターの御協力のもと、やっているところでございます。
私が聞いている限りでは、地方協力課が、課長以下、全国に説明に回っているところもありまして、もし何か御意見などがございましたら、その際に直接おっしゃっていただきたいと思います。
その上で、DX化によることで現場の負担というのは、これはDX化に限りませんけれども、まず、現場の負担あるいは効率化というのは、当然取り組まなくてはいけない課題ですし、さらには、計画内、素案の中にも掲載させていただいていますけれども、決して後退しないようにするというのは、消費者庁として当然のものでございますので、ここは地方協力課にもお伝えさせていただきますし、単に1つの課だけではなくて消費者庁全体として取り組んでいかなければならないものでございます。
もう一つの43ページの民間賃貸住宅に関する注意喚起でございますけれども、こちらは、国土交通省さんのほうで当然やっていただいているものでございます。
賃貸のトラブルが多いというのは、どうしてももともとの契約件数も多いというのもあろうかと思いますけれども、ここは、決して国交省さんのほうでやっていないわけではないと思っております。
ただ、今日御意見があったというのは、当然お伝えさせていただきますし、もし具体的にこうやればいいのではないかという御指摘などもあったら、併せて伺いたいと思っております。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
柿沼委員は、音声が出しにくいのですね、分かりました。また、今の御回答に対して何かございましたら、チャットでお知らせください。
そのほか、原田委員、いかがですか。
○原田委員 ありがとうございます。
私は、既に意見が出ているところと重なるのですが、13ページ、14ページ辺りの部分について、1つ申し上げたいのと、あともう一つ、地方行政について申し上げます。
1つは、13ページから14ページにかけてのハードローの必要性という点については、既に何人かの先生方がおっしゃったことと重なりますが、個人的にやや違和感を持ちましたのは、13ページの悪質事業者を市場から排除するというときに、事業者同士のネットワークで排除することが本当にできるのだろうか、それができるのだったら、悪質事業者ではないのではないだろうかという単純な疑問を持ったということと、14ページの部分で、事業者団体の設立などの取組の促進とあるのですが、団体を設立しただけでは、自主規制はうまくいかなくて、それがかなりの組織率を持たなければ機能しないので、事業者団体を設立するということだけでは、十分ではないような気がいたしました。
むしろ、消費者団体との協力関係といいますか、協力といいましても、反対利害関係者ですけれども、その反対利害関係者を自主規制に取り込むような仕組みということを書いたほうが実効的なのかなという気がいたしました。
もう一点は、22ページ辺りの地方消費者行政の部分ですけれども、連携について書かれている8行目からの段落、書いてあることはそのとおりで、書いてあることに全く異議はないのですが、その連携を行う場合に何をインセンティブとするかという非常に難しい問題があって、自分の自治体に利益がないことについて、なかなか積極的に取り組んでくれるような市町村というのは、一般的には想定し難いところですので、その連携を担って、中心となる市町村にも、例えば、事業者に関する情報がたくさん集まってくるので連携したほうが好ましいとか、あるいはそもそも地方公共団体が消費者行政を担うことについての必要性ないし、地方自治との関係での必要性ということについても、若干言及していったほうがいいのではないかなという印象を持ちました。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
2点、御指摘がありましたが、いかがでしょうか。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 まず、1点目のほうですけれども、ハードローが必要だというのは、繰り返し申し上げているとおりですけれども、悪質事業者の排除のところで団体の組織だけで十分でないという御指摘は、そのとおりではあろうかと思います。
ただ、一方で、自分たちの業界をよくしたいという思いが、事業者としては当たり前の行動でありまして、それでガイドライン等を作成している業界もございますので、やはり自主的な団体、組織というのはあったほうが望ましいと思っております。
その上で、御指摘の消費者団体との対話というのはおっしゃるとおりでございまして、やはり団体は団体で必要ですし、消費者団体との話し合いも、ぜひやっていただくべきだと思っております。
それで悪質業者の排除ですけれども、やはり業界で何かやらかしている場合には、通報されている事業者もおられるようですし、そこは同業者が見直すというよりは、むしろ商売敵の関係でもありますので、そういうことをやっていれば、そのようなインセンティブも働くものではないのかなと、これは個人的な意見ですけれども思うところでございます。
もう一つ、地方の連携のところになりますけれども、やはり市町村は、当然地方自治ということで独自の組織体、まさしく自治体でございます。
ただ、一方でなかなか難しいとは思うのですけれども、都道府県がリーダーシップを取っていただいての動きを促進していければというところを期待しております。
以上です。
○鹿野委員長 原田委員、何かございますか。
○原田委員 おっしゃったことに全然異議はないのですけれども、恐らく悪質のイメージが少し違うのかなと思いまして、同業者が通報して対応できるというのは、悪質の中でもあまり悪質ではない人たちというか、そうなのかなという気がいたしまして、むしろ、このところ悪質事業者として考えているのは、警察とかにやってもらわないと、なかなか対応が難しいという人たちのことを想定して悪質と呼んでいるのだと、こちらは思いましたので、先ほどのような発言をしました。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
山本委員、何かございませんか。
○山本委員 ありがとうございます。
特にあれなのですが、今、手元に資料が、ちょっと外でなくてあれなのですけれども、もし可能でしたら、個人データの保護についての箇所をもう一度、お見せいただくことはできますでしょうか。個人情報保護ですかね、あるいはプロファイリングとか、なければ、ちょっと私の手元になくて申し訳ありません。なければないでいいのですけれども、この辺りですかね。この辺りのもう少し下のところ。
今回、個人データに対する消費者のコントローラビリティみたいなことを、結局どのような形でおまとめになっているのかだけ確認をさせていただければと思いました。すみません、よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 それでは、お願いします。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 今、やり取りがございましたけれども、4ページの1パラ目で、例えば、課題として5行目で、デジタル空間を介した個人情報の流出も懸念されるという課題を挙げております。
その対応になりますけれども、なかなか正直、具体的にそれら個人情報の流出に対して、これをやるというところが、直接は記述していないところでございまして、そこは御指摘に対しては、なかなか答えきれていないかなという状況でございます。
○鹿野委員長 山本委員、今、十分には対応できていないのではないかというお答えがありましたが、何か。
○山本委員 ありがとうございます。
それはそれでやむを得ないのかもしれませんけれども、まさに14行目で挙がっているとおりで、恐らく個人情報保護の問題というのが、情報の流出とか、あるいは漏えいですとか、開示、公表というような、外に漏れるというような、そういう伝統的な問題から、リクナビ事件ですとか、いわゆるプロファイリングによって個人のセンシティブな属性が分析されて、セグメンテーションされて、そして、マイクロターゲティングによる広告なり、リコメンデーションなりがなされる。偽・誤情報に関する脆弱性がプロファイリングされて、脆弱性の高い人に対して、偽・誤情報が積極的にリコメンドされることもある。このようなエコシステムが、様々な問題、課題を生じさせているのだと思います。プロファイリングが問題の根本と言えるかどうかは別として、非常に重要なところかなと思っております。
となると、個人情報を漏れないようにするとか、セキュリティをポイントとする従来型の個人情報保護の規律に加えて、プロファイリングに対する規律が重要になる。欧州では御承知のとおり、子どもに対するプロファイリングを用いたリコメンデーションというものを禁止するということも、デジタルサービスアクトには規定があるわけです。こういった個人データ、これはクッキー情報も含むわけですけれども、利用者データを網羅的に収集して、プロファイリングして、リコメンデーションするという、このエコシステムに対して、日本でも、消費者庁なり消費者委員会がどのように向き合うかということが問われているとも思いますので、その辺の視点が入るといいかなと思った次第です。そこまでは、ということであれば、やむを得ないかなと思いますけれども、今後はそれを書かないのであれば、書かないということに関する説明と申しますか、そういったことも今後は求められていくのかなと思いましたというところです。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ということで、何か御回答はありますか。
○消費者庁消費者政策課鮎澤課長 御指摘ありがとうございました。庁内でもデジタル研究会等ありますので、改めて考えさせていただきたいと思います。
○鹿野委員長 星野委員。
○星野委員 EBPMの話ばかりで申し訳ありません。
もう一点だけ、すみません、お付き合いいただきたいのですけれども、第2回目の消費者委員会意見のほうでは、オープンデータ化して提供すればいいのではないかということを結構書いておりまして、というのは、私も企業のデータを分析などもしますので、企業からいろいろデータをいただきますけれども、やはりなかなかな組織内では、そういった分析をする人がいないという場合は何をするかというと、取りあえず、個人情報等は削除して、とにかくデータをあげるから、何かやってくれないとやると、結構多くの方々がやっていただけますので、そういう形でデータを提供していただいて、何が問題になり得るのかとか、逆に民間のほうに提案していただく、研究機関とか大学もそうですけれども、結構、それをすると非常に何が問題になり得るのか、場合によっては、それこそXのデータをスクレイピングして、取ってきてつなげてみて、こういったときに、こういう情報が出てくるというのは問題だみたいなことを、ちゃんと研究している人はいますので、ぜひそのような資源がない場合には、ぜひほかのところの民間の知恵も活用するということをしていただけるとありがたいと思いました。そのようなものも盛り込んでいただけると、ありがたいと思います。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
よろしいでしょうか、民間の知恵も活用してということで、そういう意味での連携も必要だということだと思いますので、よろしくお願いいたします。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
本日は、御説明、御回答をいただきましてありがとうございました。
消費者委員会から、これまで2回まとめて意見を発出させていただきましたが、これについても大分御考慮いただいているということが確認でき、既に委員からも指摘されましたが、その点、感謝申し上げます。
ただ、さらに不足している点等に関して、本日、委員から御指摘がありました。数が多いので網羅的には申しませんが、本日、委員から出された意見の要点を簡単にまとめたいと思います。
まず、多く御発言があったのは、概要版でいうと4ページ、本体でいうと13ページから14ページにかけて書かれているハードローとソフトローの関係ということでございます。
今回の素案では、一方で、悪質な事業者の排除ということが強調されているものの、他方で、悪質とまでは言えないような一般的な事業者への対応については、自主規制やソフトローを活用したアプローチが強調されているように、少なくともこの記述の流れからすると読めてしまうわけでございます。
しかし、既に御指摘がありましたように、特に法の隙間に当たる業種業態に対しては、ソフトローの対応では限界があり、また、民事的な被害回復とか、あるいは差止めとの関係でも、ハードローは重要であるということから、この点の記載ぶりを再検討すべきであるという御意見がありましたし、また、自主規制ということに関しても、かなりの組織率がないと機能しないことなど、自主規制が機能するための一定の条件ということがございますし、それと限界ということもございますので、その点について十分に留意すべきだということが、委員からの御指摘としてあったところでございます。
それから、データに関する、あるいはプロファイリングに関する御指摘も、本体の3ページ辺りに関してありました。
個人情報が流出されて、プロファイリングされるということが、消費者に関する様々な問題、トラブルを引き起こしているということを前提に、その点に関する記述の検討が必要なのではないか、この点についても、何らか記載が必要なのではないかという御指摘がございました。
それから、本体15ページ辺りでしょうか、ウェルビーイングということが書かれているけれども、これについての説明もしていただけるといいのではないかという御指摘もございました。
それから、個別の問題に関しましては、まず、デジタルプラットフォームについてということで、概要版では10ページ、本体では27ページ辺りのところだと思いますけれども、取引デジタルプラットフォームについて、委員会の意見ではかなり踏み込んだ記述をしていたところですけれども、この点、確かにここに書かれてはいるけれども、ごく簡単な形であり、そこをもう少し踏み込んで記載していただく必要があるのではないかという御指摘があったということでございます。
また、透明化法についても記載が必要であるという御指摘がございました。
それから、概要版で言うと10ページ、本体では27ページ辺りかと思いますが、デジタル技術の飛躍への対応ということで、デジタル決済など、デジタル技術を活用して、安全性の確保等を図るという点についても、さらに記載が必要なのではないかということでございます。
デジタルに対してデジタルを活用して立ち向かっていくということが、今後、ますます必要になってくるので、もちろんそれを実現するためには、いろいろと周辺の環境を整えなくてはなりませんし、技術の開発とか活用を促進するための制度ないし仕組みの整備ということも必要かと思いますけれども、そういう方向での記述をさらに加えていただければということでございます。
それから、概要版の15ページ、本体では36ページ辺りに、製造物責任法についての記述もあるのですけれども、特に、AIが搭載された製品についての言及というのが必要なのではないか。また、その点にも関連して、とりわけ自動運転車の更なる普及を見据えて、これは、諸外国にもいろいろ大きな動向が見られるところですので、その動向も踏まえつつ、検討を進めることが必要なのではないかという御指摘がございました。
それから、食品衛生基準行政についての御指摘がございました。今回の骨子では、機能性表示食品など、食品表示制度の問題については、ある程度詳しく書き込んでいただいているわけなのですが、本年4月に消費者庁に移管された食品衛生基準行政については、記述が不足しており、欠けていると言ってもいいかもしれませんが、これは、今後補充する予定とお答えいただきましたけれども、ぜひ、その点、御検討をいただきたいと思います。
それから、デジタルリテラシー、金融リテラシーなどについての教育の重要性ということについても、これは書いてあるのですが、それを評価するとともに、現場の声等を反映した形で進めていただきたいという御意見がございました。
それから、消費者行政の体制整備ということについて、これは、特に直接の御意見は、今日ではなかったかもしれませんけれども、私が見るところ、記述が不足しているのではないかと思われるところがございます。
今回の素案では、概要では7ページ、本体20ページ辺りのところに、消費者庁と国民生活センター、消費者委員会の連携ということが書かれていて、その辺に消費者法制度のパラダイムシフトという中で、少しだけ触れてあるのですが、消費者行政の体制整備というのは、計画全体に関わるところであり、項を設けるなどをして記述していただきたいと思います。ここに埋もれてしまっているという感がございますので、ぜひその点については、よろしくお願いいたします。
それから、地方消費者行政についても、いろいろな御指摘がございました。特に、地方消費者行政のDX化について、DX化を進めるに当たっては、情報の共有、丁寧な説明が必要であり、DX化によって現場の業務が後退するということに決してならないように、進め方も含めて留意する必要があるということでございます。
それから、地方消費者行政の連携ということに関しても、その意義ということをしっかりと踏まえて、少し記述を膨らませていただければということがございました。
それから、概要版でいうと19ページ、本体の46ページ辺りに関して、EBPMについて御指摘がありました。特に星野委員から御指摘があったのですが、一般的な話だけではなく、消費者保護行政においてEBPMを使って何をするのかということを、より具体的に記載すべきだということがございましたし、それから、その点も含めて、基本計画の進捗管理ということに関して、星野委員のほか、中田委員、黒木委員長代理からも御指摘がございました。
次期消費者基本計画のもとにおいても、毎年度進捗管理や効果検証を行うことが重要であるということと、それから、白書の点もお答えの中では触れられていたのですが、先ほども私自身も述べましたように、白書は、やはり性質の異なるものですから、白書が出されているからいいというわけにはいかないと思われます。ということで、その点についても御検討いただきたいと思います。
それから、それに関連してKPIの活用、連携ということについても御議論がありましたし、そのようなことを進めるに当たって、複数省庁のデータの連携ということなどについても、今後図っていく必要があるという御意見もございました。
これで全て触れたわけではございませんし、ほかにも複数の御意見がありましたけれども、いずれも次期消費者基本計画策定に当たって重要な観点だと考えております。
消費者庁におかれましては、本日、委員より御指摘のあった事項について、十分御留意いただいた上で、12月にパブコメをかける予定というお話も冒頭でございましたが、それまでに次期消費者基本計画の策定に向けた検討を進めていただきたいと思います。
消費者庁におかれましては、お忙しいところ、審議に御対応いただきまして誠にありがとうございました。どうぞ御退席ください。
(鮎澤課長、杉田政策企画専門官 退室)
《3. その他》
○鹿野委員長 続きまして、その他ということで、委員会に寄せられた要望書、意見書等の概要につきまして、事務局から御説明をお願いします。
○友行参事官 それでは、参考資料の1を御覧いただけますでしょうか。9月に消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧となっております。
まず、最初に取引契約関係のところでございますが、即日美容医療施術に関する意見書となっております。
ここで右側のところを見ていただきますと、即日美容医療施術というのに関しては、その日に直ちに美容医療施術をしてしまうということでございます。ですから、ここは特商法の中に、特定継続的役務提供という分類がありまして、そことはまた違う、特商法は、1か月間という期間の限定があるのですけれども、それとは違って即日の美容医療施術ということについての御意見となっております。
右側の要望書・意見書の(1)のところを見ますと、美容を目的とした医療行為で、不要不急の施術に関する契約に関しては、概要書面、契約書面等の書面交付義務を事業者に課すことということであります。
不要不急の場合は、即日に美容医療施術をしなければならないということは理解するけれども、それに際しては、こういった書面交付義務を課すべきだというのが1つ目であります。
(2)として、8日以上の熟慮期間の設置を事業者に課すことということも書かれております。
2つ目が、決済法制に関する意見書となっております。
右側のところのポイントのところでございますが、昨今サクラサイト被害、詐欺的情報商材被害、詐欺的投資被害など様々な消費者被害が増加していることを背景にということでございます。
1つ目が割販法関係でございます。クレジットカード等購入あっせん業者等々につきまして、登録義務を課すようというのが1つ目の意見となっております。
2つ目が資金決済法でございます。前払式支払手段発行者に対する事業者に対して、割販法におけるクレジットカード番号等取扱契約締結事業者と同程度の義務を課すことと、法定することということでございます。
内容としては、加盟店調査管理などについて、同程度の内容の義務を法定することとなっております。
3つ目が、資金決済に関する法律で資金移動業等関係ということでございます。
収納代行や送金代行、代金引換等が資金決済法上の資金移動業に該当することを明確にして、資金移動業の規制対象とすることということで、大きく3つの御意見をいただいております。
それに同様の決済に関する意見書として、その次の詐欺的定期購入商法の被害情報に鑑みたコンビニ後払い決済サービスについての法規制を求める意見となっております。
詐欺的定期購入商法の被害が後を絶たない。それについて、コンビニ後払い決済サービスについて、2か月を超えずに消費者が支払わなければならない場合は、マンスリークリア方式のクレジットカード払いと同様に法規制を受けていないということを問題視している御意見でございます。
これ以上被害を拡大させないために、加盟店管理、調査、苦情の適切処理、過剰与信の禁止等の法規制を緊急に求めるといった内容となっております。
続きまして、次の2つは、地方消費者行政に関することでございます。
9月2日の分は、消費生活相談体制をはじめとする地方消費者行政の維持・強化を求める意見書となっております。
右側のポイントのところでございますが、1つ目は、財政基盤の弱い地方公共団体においても、自主財源が相当程度の比率に達するまでの期間、交付金を延長すべきであるといった御意見。
2つ目が、2026年度以降を目指して進められているPIO-NET刷新及び消費生活相談のデジタル化において、そのシステム構築運営のための経費について、相当部分を国が措置すべきといった内容となっております。
9月17日の地方消費者行政に対する実効的な財政支援の継続、拡充を求める要望書につきましては、右側のポイントのところですが、消費生活相談員の人材確保の財源措置、PIO-NET刷新に伴う費用負担、官民連携による被害防止のネットワーク推進、国と地方の双方に利害のある事務に対する国の恒久的財源負担などの御意見をいただいております。
また、その他といたしまして、商業登記規則等の一部を改正する省令について。
それから、HPVワクチン接種等に関する御意見をいただいております。
それから、団体から寄せられました意見書のほかに、個人の方から7件の意見書をいただいております。
取引契約関係1件、表示関係1件、地方消費者行政に関するものが1件、その他4件となっております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
委員から何か御意見等がございましたらお願いします。
よろしいでしょうか、いずれも重要な点でございまして、特に特商法に関連し、特商法でうまく対応できていない点などについての御意見、御提言等もございましたし、それから、決済法制に関わる御意見等もございました。
これらの点につきましては、消費者委員会としても重要だと認識しているところでございます。誠にありがとうございました。
これらの御意見につきましては、受け止めまして、必要に応じて消費者委員会の調査審議において改めて取り上げることといたしたいと思います。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 本日の本会議の議題は以上になります。
最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)