第444回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年9月19日(木)10:20~12:50

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁食品衛生基準審査課 紀平課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(食品衛生基準行政について)
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見(第2回)素案について)
  3. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、こんにちは。

時間になりましたので、ただいまから、第444回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日、本来定刻は10時を予定しておりましたが、事情により20分遅れてのスタートとなりました。申し訳ございません。

本日は、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

山本委員は、本日、所用により御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりとなっております。もしお手元の資料に不足等がございましたら、お申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(食品衛生基準行政について)》

○鹿野委員長 本日の最初の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、食品衛生基準行政について御議論いただきます。

本年4月に、従来、厚生労働省が所管していた食品等の規格基準の策定、その他の食品衛生基準行政が、食品安全行政の司令塔機能を担うところの消費者庁に移管されました。

これにより、食品衛生について科学的な知見評価に基づく安全の確保と、消費者利益のさらなる増進が図られることが期待されております。

一方で、食品衛生監視行政については、厚生労働省に残されており、この2つの連携が重要となってきます。

そこで、本年4月22日に当委員会において取りまとめた、次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見の中でも、消費者庁が所管することになった食品衛生基準行政と、厚生労働省の所管する監視行政が適切に機能するよう、省庁間の連携や体制強化の必要性について指摘していたところでございます。

本日は、消費者庁から食品衛生基準行政に関する最近の動向や、食品の安全性に係る課題について御説明をいただき、今後の食品衛生基準行政の在り方等について議論を行いたいと思います。

本日は、消費者庁食品衛生基準審査課の紀平課長に会議室にて御出席いただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

それでは、紀平課長から30分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁食品衛生基準審査課紀平課長 ただいま御紹介いただきました、消費者庁の食品衛生基準審査課長でございます。本日は、お時間をいただきまして、どうもありがとうございます。

それでは、お手元の資料1を御用意ください。

「食品衛生基準行政に関する最近の動向や食品の安全性に係る課題」としまして、先ほど鹿野委員長より御紹介いただきました、本年4月の業務移管も含めまして、状況を御説明させていただきたいと思います。

2コマ目のほう「食品衛生基準行政の移管について」ということでございます。

3コマ目にお進みください。

こちらに食品安全分野における現在の全体の様子というものをお示ししております。全体としましては、リスク分析、リスクアナリシスという体系のもとに、各省庁は役割分担を行っておりまして、大まかに言いますと、リスク評価とリスク管理について機能的に分離する、そして、双方協力してリスクコミュニケーションを行うという体制を取っております。

この中で、リスク評価については食品安全委員会、リスク管理については、その内容に応じまして厚生労働省、農林水産省でそれぞれ所管していたところ、厚生労働省にあった食品衛生の規格基準について、今般、消費者庁のほうに移管されたこととなります。

4コマ目にお進みください。

こちらに食品等の規格基準と各法律との関係についてお示ししております。

食品等の規格基準につきましては、食品衛生法の中で定めておりまして、具体的に定めているものとしては食品や添加物の基準規格、そのほか、器具や容器包装の規格基準について定めているものです。

また、これらの規格基準を定める際には、下にあります食品安全基本法に基づきまして、食品安全委員会の意見を聞くこととなっております。

続きまして、5コマ目のほうにお進みください。

こちらに、食品衛生法で定めております規格基準の全体についてお示ししております。

具体的に定めているものとしましては、食品添加物ですとか食品、器具・容器、それから乳幼児用のおもちゃなどについても定めております。

また、食品の内容におきましては、その物質ごとに残留農薬、汚染物質、微生物のほか、指定成分というものを制定しておりまして、こういったもの、また、そのほか、遺伝子組換え食品ですとか、あと、製造、加工、調理等の基準なども設けていることとなります。

6コマ目にお進みください。

こちらは御参考までに、昨年度の令和5年度に、この規格基準の改正を行ったものの一覧という形でお示ししております。

この表ですと、食品添加物が多いようには見えますけれども、その次の残留農薬とか動物用医薬品、飼料添加物のところにつきましては、イソピラザム等65ということでまとめて記載しておりますので、実際の数としては、残留農薬・動物用医薬品のほうが多いということとなります。

こういったものについて、順次、対応を行っていることとなります。

続きまして、7コマ目にお進みください。

こちらが、本年4月の業務移管についての概略図となります。

下のほうに図でお示ししておりますけれども、左側、これまでリスク管理としまして、厚生労働省のほうで行われておりました、食品衛生に関する規格基準の策定、それから、規格基準を守られているかどうかの監視といったものの中で、規格基準に関する業務が消費者庁のほうに移管されたこととなります。

次の8コマ目にお進みください。

具体的に移管された業務についてとなります。食品衛生法の中で、条文との対比ということで、こちらのほうに記載しておりますけれども、具体的に消費者庁に移管されたものとしましては、成分の指定ですとか、基準・規格の制定といった、名前どおり規格基準の策定に関するものが、消費者庁のほうに移管されていることとなります。

続きまして、9コマ目を御覧ください。

こちらが厚生労働省のほうに残って、引き続き行われる業務ということとなります。

具体的には、食品衛生の監視行政ということになりますけれども、食品衛生法の具体的な条文としましては、販売の禁止措置ですとか、購入防止措置、衛生上の措置などについてが、監視行政として行われることとなります。

続きまして、10コマ目のほうにお進みください。

規格基準の設定、策定の流れとなります。

これまで厚生労働省が行っていた業務について、基本的には消費者庁に、ここが置き換わる形になります。

ですので、こちらの図でいきますと、水色の部分が、これまで厚生労働省で行われていたものが、消費者庁で行うこととなるというものとなります。

こちらは、食品添加物を例に流れをお示ししておりますけれども、企業などの添加物の指定の要請者のほうから要請があったことを受けまして、消費者庁のほうで内容を確認し、食品安全委員会に諮問を行うという形となります。

そして、食品安全委員会からの答申を受けて、消費者庁の中で告示の手続を行うわけですけれども、その段階としまして、食品衛生基準審議会というところの諮問、答申を受け、また、その間にパブリックコメントも行うという形を取っております。

この食品衛生基準審議会というものが、これまで厚生労働省の中で設置されていました薬事・食品衛生審議会に置き換わるものとして、消費者庁で新たに設置したものとなります。

続きまして、11コマ目のほうにお進みください。

こちらは、消費者庁でこの4月に新設しました、食品衛生基準審議会の概要となります。

基本的には、薬事・食品衛生審議会で行っていた規格基準に関する審議を行う審議体としまして、そのまま業務を移管するといった形を取っております。

右側のほうに、審議会の委員として委嘱をした方々のお名前をお示ししております。

続きまして、12コマ目のほうにお進みください。

この審議会のもとに、先ほど御紹介しました、各物質、分野ごとに部会を設けまして、それぞれ専門的な御審議を行う形を取っております。

こちらも、これまでの厚生労働省での薬事・食品衛生審議会の体制をそのまま移管して、これまでと同様の審議を行っていただくという形を取っております。

また、この部会のもとに必要に応じまして調査会というものを設けまして、さらに専門的な御議論をいただく場というものも設けられることとしております。

ここまで基準行政の移管についてでございます。

続きまして、13コマ目以降で、現在の各分野における取組状況について御紹介をさせていただきます。

14コマ目にお進みください。

こちらは「食肉の生食に関する規格基準について」というものでございます。

こういった生食用の食肉については、規格基準に定められるもの、なかなか定めることが難しいもの、いろいろありますけれども、上の経緯のところに記載がありますとおり、平成23年に食中毒事件があったことを受けまして、食品衛生法に基づく、こういった生食用の食肉の規格基準、まずは牛肉ですけれども、そういったものを策定しております。

そのほかに、②の牛の肝臓、レバーですとか、③の豚の食肉などについても、規格基準を定めているものとなります。

15コマ目のほうにお進みください。

こちらは、そういった規格基準の概要となります。内容については割愛させていただきますけれども、こういった規格基準に基づきまして、厚生労働省のほうで監視行政が行われることになります。

具体的には、実際に監視・指導を行うのは地方自治体になりますので、厚生労働省のほうから、こういった規格基準の内容について、各自治体のほうに周知され、それぞれの自治体のほうで実効性のある監視・指導が行われるような体制が取られているものとなります。

続きまして、16コマ目にお進みください。

こちらは、遺伝子組換え食品の安全性審査についてでございます。

こちらの流れは、先ほどの例としてお示ししました、食品添加物と同様の流れとなっております。

企業などからの申請を受けまして、消費者庁のほうから食品安全委員会に安全性評価の諮問を行う。

その結果を受けまして、消費者庁のほうで、その結果を踏まえた公表などを行っているという形で、こういった遺伝子組換え食品の内容の確認ですとか、公表などを行っていることとなります。これも、これまでの厚生労働省で行ってきた流れをそのまま踏襲しているものとなります。

続きまして、17コマ目にお進みください。

こちらは「既存添加物の安全性の確認」という表題としております。

食品衛生法におきまして、添加物については、添加物として指定されたもののみが使用できることとなっております。

一方で、左上「平成7年当時」と書いてありますけれども、それまで添加物として使用されていた天然由来のものについて、こういった既存添加物という枠組みを設けまして、その使用を認めるとともに、安全性評価を行うという体系を取っております。

平成7年当時で、489の品目があったものについて、順次評価を行ってきたということとなります。

現在の状況ですけれども、そのうち右側のほうですけれども、使用実績がないなどから、この既存添加物のリストから消除した、削除したものが132、また、現在削除の手続中であるものが32ということで、合わせて164が、この489から消除されている、または予定となっております。

ということで、現在残っているのは325ですけれども、このうち既に評価が終わっているものが274、また、成分規格を既に定めているものが257ということとなります。

これら残ったものにつきましては、なかなか実際の物質の入手が難しいですとか、評価のためのデータの入手が難しいなどから、まだ評価を行っていないものですけれども、順次、それらの対応について進めているというのが現在の状況です。

続きまして、18コマ目にお進みください。

こちらは、農薬の残留基準についてになります。

残留農薬につきましても、従来禁止される物質などについてのみに設定されていたものを、緑の枠組みにありますとおり、平成15年の改正、そして施行が平成18年ですけれども、ここでポジティブリスト制度を導入しております。

このポジティブリスト制度というのは、3行目以降にありますけれども、原則全ての農薬などにつきまして残留基準を設定し、基準を超えている場合には、その食品の販売を禁止するといったもので、基本的には使用していい農薬を示す、そして、使用を認めないものについても、その基準の数値を設定して、それ以上の残留あるいは検出は認めないという形を取っているものとなります。

平成18年に施行した段階で、下の表になりますけれども、801品目があったというものです。この801につきまして、当初、暫定基準という形で基準の数値あるいは対象とする食品について設定し、順次その見直しを行ってきたという形となります。

現在、令和6年3月時点ですけれども、この801のうち、本基準としてきちんと評価の上設定したものが458、一方、使用しなくなったものなどにつきまして、基準から削除したものが144ということで、暫定基準として残っているものが199となります。

また、平成18年以降に新しく使うということで、新たな農薬が申請され、それに基づいて農薬取締法に基づく登録が行われ、基準を設定したものが、この棒グラフの右のほうにありますけれども、本基準の新規ということで、116の品目があるという状況です。

続きまして、19コマ目にお進みください。

こちらは、器具・容器包装のポジティブリスト制度になります。

こちらもポジティブリストというものは同様ですけれども、従前は改正前ということですけれども、原則使用を認めた上で、使用を制限する物質のみ定めていたというものになります。

これを、制度改正を行いまして、右側のほうですけれども、これまでの使用制限する物質のほかに、使用を認める物質というものを定め、その範囲で使用できるという制度にしたということです。

このポジティブリスト制度については、現在、合成樹脂のみを対象として、制度の運用を行っております。

こちらにつきまして、物質の指定をするのは消費者庁のほうで行いますけれども、その下、青丸になります製造管理基準を定めることですとか、事業者間の情報伝達については厚生労働省のほうで対応されるものとなります。

20コマ目にお進みください。

こちらは、食品用器具・容器包装のポジティブリスト制度の全体像になります。

上のほうになりますけれども、法改正を施行したのが令和2年となります。

この令和2年時点で、ポジティブリストとするリストを、この時点で暫定的にリストを示していたものとなります。

また、これについて5年間の経過措置を設けまして、来年6月が完全施行となるものとなります。

この当初示したリストにつきまして、真ん中の黄色い枠になりますけれども、昨年11月に、このリストの改正を行って示し直しております。

また、現在、そのリストに対する追加としまして、告示の手続中でございます。

結果として右側のほうに、リストの再整理ということで、基材として21物質、添加剤として約850の物質について、このポジティブリストとして示しておりまして、この範囲で、今後使用をいただくこととなります。

一方、下の大きな枠になりますけれども、製造管理ですとか情報伝達につきましては、厚生労働省のほうで対応が行われることとなります。

21コマ目にお進みください。

こちらは、食品中の汚染物質についてということになります。

汚染物質とは、上のほうに記載がありますけれども、食品の生産、製造などの過程におきまして、非意図的に含まれる物質としております。

代表的な物質としましてお示ししていますけれども、カビ毒ですとか、植物性の自然毒、重金属、製造過程における副生成物、または放射性物質などがこれに該当します。

主な規制としまして、真ん中に記載がありますけれども、カドミウムですとか、カビ毒でありますデオキシニバレノール、それから放射性物質である放射性セシウムなどについて、こういった数字としての規格を定めているものとなります。

下のほう、現在検討中のものとしまして、小麦などにおけるカビ毒、オクラトキシンAの基準設定などについて検討中ですけれども、こういったものについて、順次対応を行っているものとなります。

22コマ目にお進みください。

こちらは、最初のほうでも御説明しました、食品安全行政の全体の枠組みになります。

全体枠組みとしましては、このリスクアナリシス、リスク分析といった枠組みで行っているということで、下のほう、リスク評価とリスク管理について、機能的に分担した上で、相互に情報交換を行って、それぞれ対応を行っているものとなります。

また、消費者庁につきましては、真ん中にありますけれども、全体の司令塔機能ということで、関係府省間あるいは地方公共団体等との連絡調整、企画運営などをこれまでつかさどってきたところとなりますけれども、右側のリスク管理としまして、この基準行政が消費者庁の役割として今回加わったものとなります。

それぞれ協力して、このリスクコミュニケーションについても、従前行ってきておりましたし、今後も行っていくものとなります。

続きまして、23コマ目にお進みください。

関係府省間の具体的な役割分担についてお示ししております。

消費者庁の役割、上のほうにお示ししますけれども、食品安全行政の取りまとめと個別法の所管ということになります。

一方、下のほうに、左側、食品安全委員会がリスク評価、そして右側、消費者庁、厚生労働省、農林水産省のほうでリスク管理を担うこととなります。

それぞれリスク評価機関とリスク管理機関の関係、それから、全体司令塔機能の消費者庁との関係というものがあるということとなります。

24コマ目にお進みください。

冒頭、鹿野委員長からも御指摘いただきました、関係府省間の連携の強化について、これまでどういった体制で行ってきたかというものとなります。

食品安全基本法の中では、こういった関係行政機関の相互の密接な連携などについて、条文の中で具体的に記載が行われているものとなります。

この食品安全基本法の規定に基づきまして、真ん中の基本的事項というものが閣議決定されております。

この基本的な考え方としてお示ししますけれども、こういった形で、関係行政機関の相互の密接な連携というものが示されているものとなります。

具体的な対応としまして、下のほう、黄色い枠になりますけれども、関係府省間で連絡会議を設けて情報交換を行っているものとなります。

構成員としましては、消費者庁、食品安全委員会事務局、それから厚生労働省、農林水産省、環境省が入っておりますけれども、こういった関係者間の中で幹事会という形ですけれども、週1回、情報交換を行っているものとなります。

また、今回の移管に当たりまして、厚生労働省の監視担当部局と、我々食品衛生基準審査課との間で、こちらも定期的に会合を設けまして、情報交換あるいは連絡調整を行っているものとなっております。

大ざっぱな御説明ですけれども、以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は、30分程度を予定しております。いかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 委員の今村です。御丁寧な御説明をありがとうございました。

私からは、3点ほど、意見と御質問ということで、まず、4月1日に基準審査課が消費者庁に移ったということで、監視と基準が分かれたということに対して、私はとても懸念を持っております。

監視と基準は分かれそうで、実は分けるのが非常に難しいもので、規格基準が基準課、そして監視が監視課ということですけれども、実際のところ、製造工程の管理に関しては、監視課のほうがやっていて、そして、出来上がったものの最終形態が基準で決まるということですので、そのつくり方の部分と出来上がったものの基準を大臣が分かれるという事態を、自分が担当していると大変なことになってくるのではないかという危惧を持っています。

特に、最初に説明していただいた生食の話は、最終的に出来上がった製品の問題ですか、それともつくるときの問題ですかという切り分けが非常に難しくて、例えば、ユッケでも1センチまで焼いたものならばオーケーというのは基準で決めるのですか、それとも、これは工程管理の話ですかということが、なかなか決めづらいということがあると思います。

それでレバーなども禁止になっていますけれども、今もまだキャンピロバクターをはじめとした、とりわさなどの問題があるので、今後こういったことに対して、どのように連携を取っていくのかということを教えていただきたいのが1つ目。

2つ目は、今、我々が審議している次期消費者基本計画の内容についてなのですけれども、基準課が消費者庁に移ってきて、計画にちゃんと書き込まれているのですかということを心配しています。

今まで厚労省の中では、白書でも重点事項として書かれる項目として、既存添加物の安全性の確認とか、残留農薬の安全性の確認、基準の設定、容器包装のポジティブリスト化というのは、ずっと重点事項として扱ってきたと思うのですが、現在、次期消費者基本計画の検討資料の中には、全然そういう言葉が出てこないということを大変危惧しております。

添加物や残留農薬の話というのは、あの事件、こういうことがあったから、食品安全委員会ができたという経緯もある、役所を1つつくろうというぐらい大きな事件だったわけですけれども、今、この2つの消費者庁と厚労省の間で、これが埋没していかないかというのはとても心配しているところで、我々としても、ぜひ次期消費者基本計画にのせて、この工程管理そのものをやっていただきたいと考えているところであります。

また、実際白書にも、現在の消費者白書には、全くこういう記述がありませんし、厚労省のホームページからは、この添加物の審査のことなどは消えてしまっているという状況があって、今、まさに宙に浮こうとしているように見えます。ですので、ここは本腰を入れて強化していただきたいところでありますし、我々もそれに対してのバックアップをしたいと思いますし、意見も言っていきたいと思っています。

3つ目は、サプリメント錠食品についての基準ですけれども、紅麹の事件の対策、表示基準の改定に合わせて、この消費者委員会からも、サプリメント錠食品についての意見を出させていただいているところであります。

その中で、これは確認になると思うのですが、もしサプリメント錠食品の規格基準をつくるとしたら、この食品衛生基準審査課の所掌というか範囲になると考えていいのかということと、そういったことについての、今の取組状況を教えていただければと思います。

以上3点、可能な範囲でお答えいただければと思います。

○鹿野委員長 それでは、紀平課長、お願いします。

○消費者庁食品衛生基準審査課紀平課長 御意見ありがとうございます。順番にお答えさせていただきます。

まず1点目、具体的には、監視行政と基準行政の連携についてという御質問かと思います。

食品安全というものが、監視だけで保たれるものでもなく、また、規格基準を設定したから安全になるものでもなく、両者一体で進めるべきものと考えております。

ですので、厚生労働省と消費者庁という形に分かれはしましたけれども、まず、監視というか、製造現場の実態がないと規格基準も設定できないでしょうし、規格基準を設定したとしても、それがどう守られているのか、実際に監視・指導のほうで確認いただくことが必要かと思いますので、相互に十分に情報を共有しながら、今後もやっていかなければいけないと思っていますし、現在も一緒に考えていくといった体制で行っていこうということは、厚生労働省とも話をしているところでございます。引き続き、きちんとした対応ができるように進めていきたいと思います。

また、具体的に御指摘いただきました生食の肉関係、特になかなか規格基準として対応しにくい部分かもしれないところ、特に規格基準というものは、数字を設定しても現場で測定できないことには実効性がありませんので、製造過程のほうでコントロールしたほうがいいのか、その規格基準として数字でコントロールしたほうがいいのかといったことも含めて、引き続き、厚生労働省と一緒に対応していきたいと考えております。

2点目、基本計画や白書の中での食品基準行政の位置づけという御指摘です。これについて、よく消費者庁の中でも議論しまして、対応していきたいと思います。

また、3点目、サプリメントに関する御指摘でございます。

サプリメントについては、今回の紅麹事案を受けた、5月末の関係閣僚会合の取りまとめの中でも、サプリメントの規制の在り方について、検討していくことが示されております。

また、タイミング的にも食品衛生法の5年後見直しというものが、来年ぐらいに、時期的にあるということもありまして、そういった議論の中で、このサプリメントの規制の在り方についても、検討していく必要があると考えております。

具体的に、例えば、どの法律で、どこの所管で、どのように対応を行うのかというのは、そういった規制の在り方全体としての議論として行うものと考えておりますので、食品衛生基準審査課のほうが主になるかどうかも含めて、消費者庁の関係各課ですとか、厚生労働省ともよく相談をしながら、この規制の在り方について考えていきたいと考えております。

以上です。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 ありがとうございます。ぜひ、しっかりと進めてもらいたいと思います。

特に監査と基準が分かれたことは、大変懸念しているところであります。自分自身が昔、厚生省で働いていて、基準課と監視課の間を調整する部署におりましたので、どのような形でするのですかということを、いろいろと議論しながら決めるのですけれども、あれは大臣に上げる前には1つに決めなくてはいけないねということの調整をするから、調整がつくのですけれども、大臣が分かれると、大臣のところで調整するなどということになるのを大変危惧しております。

それは、ものすごく微に入り細に入りの技術行政なので、多分、普通の大臣は分からないことだと思います。ですので、ぜひそういう事態が起きないように、事前の調整を頑張っていただきたいと思いますし、今まで以上の連携を、ぜひしていただければと思います。

今村からは、以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

食品衛生基準行政については、今年度4月より厚生労働省から消費者庁に移管されて、まだ半年たっていないので、現在まさに最適な連携体制に向けて、執行面で調整の御苦労を重ねていらっしゃる時期ではないかと推測いたします。

そのプロセスが、進行中であることを伺った上で、2点お願いがあります。

1点目としましては、食品安全は、日々の生活における私たち消費者の命に直結する事項でもありまして、その移行調整過程においても、法律上の責任の所在が定義されているだけではなくて、先ほど今村委員からも生食用食肉に関する規格基準策定における監視・指導と規格基準への反映に関する御意見もございましたが、各省庁や御担当者におかれましては、責任や連携に関して、齟齬のない御認識をお持ちいただいて、取組に漏れや遅滞が生じないような仕組みと、人的な連携を密に具体的な取組をお願いしたいと思います。

2点目といたしましては、資料の3ページと22ページですかね、食品安全に関するリスクコミュニケーションは各省庁が協力して行うというように書かれて、御説明にもございましたが、紅麹の例を見ましても、国民はより迅速かつ分かりやすい発生事項や注意喚起に関するコミュニケーションを求めていると思います。

一般的にリスクコミュニケーションの鉄則としては、情報の一本化が不可欠と言われていますが、各省庁と協力するやり方のリスクコミュニケーションとしては、国民に対しての情報発信をどのように、より迅速かつ分かりやすくやっていくのか、その責任の分担、執行の連携体制については、ぜひクリアな御認識をお持ちいただいて執行していただきたいと思います。

今回の移行に伴って、従来のコミュニケーションから、一層の改善が見込めると考えてよろしいのかということを伺いたいと思います。

特に、多くの消費者が関心のある具体的な案件としては、御説明いただいた現在進行中の既存添加物の品質を確保するための成分規格の設定において、これだけ大量の安全確認作業を計画的に実施する体制や見通しは、現在立っているのかという点でありますとか、残留農薬のポジティブリスト化に伴う農薬の残留基準の見直しにおいては、国際的な使用状況を踏まえた見直しを行われているのか、あるいは食品容器包装のポジティブリスト化に伴う対策に関しては、経過措置期間が令和7年5月31日までになりますが、その間に対応は可能なのかと。

このような案件の進捗や、もしあるのであれば、課題等についても、今回の移管を契機として、消費者に対して、より透明性を高く分かりやすい進捗情報の発信をお願いしたいと、この2点をお願いしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁食品衛生基準審査課紀平課長 御指摘ありがとうございます。

こういった食品安全に係るいろいろな対応についての関係省庁間の仕組みとか、それを漏れなくするようにという御指摘かと思います。

これまでも各省庁の担当者同士の打合せなどを通じて、情報交換などを行ってきたところですし、今後も引き続き、きちんとやっていきたいと思っております。

具体的に御指摘いただいたものとしまして、リスクコミュニケーションについて、情報発信をどのように行っていくのかという御指摘もございました。

具体的なリスクコミュニケーションとしましては、例えばですと、平時におけるリスクコミュニケーションと、有事におけるリスクコミュニケーションがあると考えております。

平時におきましては、例えばですけれども、これまでですと、食品安全委員会ができて早々にあったものとしまして、東日本大震災後の放射性物質に関するリスクコミュ二ケーションの話があるかと思います。

これにつきましては、これまでも司令塔機能としての消費者庁が中心となって、そういったリスクコミュニケーションの場を設けまして、それぞれの省庁で取り組んできた、例えば、農林水産省ですと、農作物における放射性物質の濃度の話ですとか、厚生労働省のほうで従前行ってきた摂取量についての実際のデータの調査、あるいは食品安全委員会における、これまで実際に行ってきた評価結果、それから、その内容をいかに分かりやすく伝えるかということで、消費者庁のほうで行ってきたものというものを、例えば説明会のような場を設けまして、それぞれから一緒に御説明するといったような機会を設けるなど、一緒になってリスクコミュニケーションを行っていくというものが、平時における1つのやり方であると思います。

一方、今回の紅麹もそうかもしれませんけれども、有事におけるリスクコミュニケーションというものもあると思います。

この有事における対応につきましては、関係省庁間のほうで、年1回、対応訓練というものを行っておりまして、そういう事案が発生したときに、まず、初動としては、基本的に厚生労働省が監視行政として動くことが多くなるとは思いますけれども、その事案に対する情報収集あるいは周辺情報の整理のほか、各省庁のほうで持っているような情報を集約したり、情報共有を行うといったものをやったりしております。

また、対外的に情報発信をしていくときには、逆に各府省がばらばらに情報発信すると混乱を招くということもありますので、御指摘いただいたとおり、一本化というものは1つ大事なことかとは思います。

一方で、情報発信を一本化すると、逆にそこに対応の負荷がかかって、なかなか対応しきれなくなるおそれもあるので、それぞれの中でどのように分担するのかといったこともあると思います。

また、実際、各府省のホームページとか、SNS、ブログなどを活用していますけれども、それぞれを通常見に行っていただいている方々というのは、どれかを見に行って、見ている方たちの層が違うということもあると思いますので、どこかから出せば、その情報はおしまいではなくて、例えば、厚労省から情報が出たら、それを消費者庁のほうはリツイートするとか、そういった相互に情報発信を心がけるといったものも、その対応訓練の中で出てきている話でございます。

こういった平時、有事におけるリスクコミュニケーションについては、今後も、そういった情報交換や、より良いやり方については、引き続き考えていきたいと思います。

また、具体的に幾つか各分野ごとの御指摘をいただきました。

食品添加物については、これまでも対応を行ってきたところですけれども、基本的には、これまでの厚生労働省の傘下にございます、国立医薬品食品衛生研究所のほうに、例えば相談センターを設けたり、実際に評価を行っていただいたりという形で、評価を進めてきた部分が多いのですけれども、そういった体制、今後も引き続き行っていただけるようにということで、今回の業務移管にかかわらず、これまでどおりの体制を取っていくということで考えております。

それから、残留農薬につきましては、国際的な動きについてということで御指摘をいただいております。

従前からコーデックスなども見ながら対応を行ってきているわけですけれども、実際の基準の数字そのものについては、例えば、各農作物の栽培状況などが違うので、使い方を同じようにするというわけにもいかないケースもあるということで、結果としてのそれぞれの食品における数字が違うことはあり得るとは思いますけれども、設定されたトータルとしての摂取量については、評価の結果の基準値に収まるようにということは、各国同じようにやっているものですし、国内においても、そういった海外の動向も見ながら基準値の設定というものを対応していきたいと思います。

また、この農薬につきましては、再評価制度が始まっておりまして、現在、農林水産省からの食品安全委員会への諮問、それから食品安全委員会における評価が順次、ちょうど始まったところですので、その中でも、こういった海外の状況なども考慮されて評価が今後進んでいくものと考えております。

それから、器具・容器包装のポジティブリスト制度の対応についてということで御指摘をいただきました。

各業者さんのほうで、今、対応を進めていただいているところではありますけれども、例えば、下流の食品メーカーのほうで、この容器が大丈夫かどうかというのを確認するというよりは、その容器を製造あるいは販売している業者さんに、これが日本のポジティブリストに合ったものかどうかということを確認いただくという形のほうが、スムーズにいくのかなと考えております。

先ほど資料の中でも御説明しましたけれども、企業間の情報共有について、厚労省のほうで対応をするという御説明をしましたけれども、この情報共有というのは、具体的にこういった物質を使っていますという話というよりは、このポジティブリスト制度に合っていることを確認していますという情報を、上流から下流のほうにきちんと情報を伝えていただくという形で、この制度に合ったものを使っていただくといったことが、この制度運用に大事なことかと思っておりますので、そういった対応を今後もきちんと進めていきたいと考えております。

また、この食品用の器具・容器のポジティブリスト制度というのは、欧州や米国では既に始まっている制度ということになります。

物質の表示の仕方とか、区分の仕方というものは、それぞれの国によって違うこともありますけれども、基本的には海外で流通されている企業さんであれば、対応はできるものと考えておりますので、今後もきちんと、この制度の運用について確認していきたいと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 中田委員、よろしいですか。

○中田委員 はい、御丁寧な御説明をありがとうございます。

これだけ満遍なく御対応をいただいているということを、消費者が知るということはすごく意味があると思います。

おっしゃられたように、有事だけではなくて平時のコミュニケーションをされることで消費者自身が学び、そのリスクに対する対応を自らが取ることができると思いますので、ぜひ引き続き積極的なコミュニケーションをよろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 小野委員、お願いします。

○小野委員 私もリスクコミュニケーションについて、確認と質問を1つしたいなと思って、本日まいりまして、お願いをしたいのですが、今回テーマが、食品衛生基準行政に関わってということでございますので、そういったことでいいますと、リスクコミュニケーション、先ほど紀平課長から平時と有事と切り分けての御説明がありましたが、現在のリスクコミュニケーション、消費者庁で実施をされているイベント情報などを拝見しますと、やはり、放射性物質に関わるものがおそらく多いと。

そうしますと、今回、行政の在り方が変わるということについて、案内をするとか、国民が知るきっかけということで、今、されているのか、あるいは今後そういう予定があるのか、その辺りをお聞かせいただければ、消費者教育を専門にしているということもありまして、お尋ねをしたいと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、お答えをお願いします。

○消費者庁食品衛生基準審査課紀平課長 御指摘ありがとうございます。

従前からなのですけれども、先ほど少し途中でもお話ししましたけれども、食品の安全というものは、必ずしも規格基準だけで説明しきれるものではないと思っております。

ですので、例えば、食品添加物であっても農薬であっても、規格基準としてこうなっていますというだけの説明では、リスコミとしては片手落ち、ちょっと言葉は悪いですけれども、片手落ちになって、例えば、食品安全委員会における評価ですとか、農林水産省における農薬取締法としての使用の規制なども併せて御説明したほうがリスクコミュニケーションとしていいのではないかと考えます。

ですので、消費者庁単独というよりは、そういった各省と一緒になって、個別のテーマごとに御説明をするというものを、今後、機会を設けるなりしたほうがいいのかなと思いますし、これまでも食品安全委員会などでも、そういった安全性をどう考えるかみたいなものは行っていると思いますので、一緒になってそういったことに取り組んでいきたいと考えております。

以上です。

○小野委員 リスクコミュニケーションは、本当に大切だと思っていて、でも、どうしても今までの公表されているイベント情報を見ますと、ある特定の地域であったりとか、テーマというのも何か固まってしまっているような気がします。これを機に、少しその辺り整理をしていただければ、より良い国民への伝え方といったことで役に立つかと思いまして発言をいたしました。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 大変丁寧な御説明をありがとうございました。

今回の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、食品衛生基準行政を取り上げています。第8次消費者委員会の現下の最大の課題は、第5期消費者基本計画を消費者庁がどのように策定するのかの検討になると考えています。

令和3年3月13日の有識者懇談会で消費者基本計画の骨子案が提示されましたが、その時点では食品基準行政について言及がありませんでした。食品表示基準については、既に消費者庁の所管でしたが、当時問題となっていた紅麹の件も含め、骨子案には食品に関する記述がなかったのは残念でした。

今後、今年の10月か11月にかけて、2030年までの日本の消費者行政の基本計画についてパブリックコメントなどが実施されると思います。その中で、表示基準だけでなく、全ての基準行政が消費者庁に移管されたことによるリスクコミュニケーションの問題なども含め、消費者とどのように向き合うかについて、基本計画にしっかりと記載していただきたいと強く希望しています。

これは食品行政の大きな転換点になると考えています。厚生労働省のホームページでも所管が移ったことが明記されているので、消費者庁の役割に大きな期待を寄せています。何かコメントがあればお願いします。

○鹿野委員長 何かございますか。

○消費者庁食品衛生基準審査課紀平課長 御指摘ありがとうございます。持ち帰りまして、よく検討したいと思います。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。それでは、本日は御説明、御回答をいただきましてありがとうございました。

本日、委員からは、主に次のような御意見をいただきました。

まず、今村委員、中田委員からは、消費者庁と厚生労働省の連携が重要であるということに関する御指摘がございました。

例えば、生食用の食肉に関する規格基準の策定などに関しては、監視・指導の実効性を十分に考慮して検討がなされるべきであり、基準行政と監視というものが、実際には切り離すことが難しいような領域であり、その点も十分に考慮して、今後の対応をしていただきたいということでありました。

また、より広く、監視・指導の結果が、規格基準にも反映される必要があるという御指摘があったところでございます。そのような意味でも、一層の連携強化が必要でございます。

それから、仕組みの問題もそうですけれども、人的な連携ということも重要であるという御指摘がありました。連絡協議会などのお話もいただきましたけれども、その会議だけでは、多分、日々のいろいろな対応の中で、連携することは難しいと思います。現場でいかに連携が取れて、漏れがないような対応ができるかというところが、今後の重要な課題と思われますので、ぜひその点もよろしくお願いしたいと思います。

それから、リスクコミュニケーションの重要性ということについても、複数の委員から御指摘がありました。

紅麹の問題を出すまでもなく、やはり何かあったときの国民、消費者への適時適切な情報発信というのは重要でございますし、あるいはそのような有事の対応ということだけではなく、平時のリスクコミュニケーションということも併せて、とても重要なことでございます。

また、現在進行中の既存添加物の品質を確保するための成分規格の設定、残留農薬のポジティブリスト化に伴う農薬の残留基準の見直し、それから、食品容器包装のポジティブリスト化に伴う対策などについて、もちろん事業者側への情報発信というか、御指導等もとても大切なことではございますけれども、一方で、そのような点についても、進捗状況に応じて、消費者に対して丁寧で分かりやすい情報発信が行われることが重要であるという趣旨の御指摘もあったものと思います。

また、次期消費者基本計画についてということで、これも今村委員、黒木委員長代理から御指摘があったところでございます。

少なくとも今まで公表された中間的な骨子や概要等においては、食品の安全衛生の問題についての記述が極めて薄いと思います。この問題、国民全体に大きく関わる非常に重要な項目でございますから、ぜひ今後、この点について、消費者庁内で調整をしていただいて積極的に取り込んでいただきたいと思います。

なお、現在の消費者白書にも、その点についての記述がないという御指摘があったところです。先ほど、冒頭でも申し上げたように、4月から消費者庁に基準行政が移管されたところで、消費者庁の中でも、その役割が非常に重要となってくるものと思いますので、今後の消費者白書には、その点が十分反映されるべきだと考えているところです。

それから、サプリメント食品について、どういうところが対応し、あるいはどのように取り組んでいるのかということについての質問も今村委員から出されました。

これは、まだ不確定的なところが多くて厚労省とも相談しながら決めていくのだということでした。少なくとも食品衛生法の5年後見直しというところでも課題であるし、閣議決定でもサプリ規制の在り方について検討するということになっているので、今後対応されるとは思っておりますが、ぜひ、これもやはり安全性に大きく関わる問題でございますので、速やかに対応していただきたいと思います。

繰り返しになりますけれども、今般、食品衛生基準行政が消費者庁に移管されたことによって、冒頭にも申しましたけれども、科学的知見に裏づけされた食品安全に関する取組、啓発の推進や、販売現場におけるニーズや消費者行動が規格基準策定の議論にタイムリーに反映されること等々、食品衛生について科学的知見に基づく安全の確保と、消費者利益のさらなる増進というところが期待されているところです。

しかし、本日の委員からの御意見にもあったように、食品衛生監視行政が厚労省に残されているということで懸念もあります。厚労省が感染症対策や健康危機管理対策を担っており、それと一体的に担うという観点から、公衆衛生に関する幅広い知見を有する厚労省に残されたということそれ自体は理解できるのですが、先ほど最初にも申し上げましたように、この基準と監視というところが密接に関わるということでございますので、このリスク管理の一体的な遂行に支障が生じないように、支障が生じるのではないかという懸念が、今村委員からも冒頭の御発言で表明されました。そのような支障がないように、ぜひ今後、具体的な連携の在り方についての御検討と実践を進めていただきたいと思います。

食品安全基本法に定められたリスク分析の考え方ということについても、本日御紹介いただきましたけれども、その考え方のもとで、科学的知見に基づいた衛生規格基準を策定するという食品安全行政の基本的な枠組みが十分な機能を果たすよう、取組を推進していただきたいと思います。

当委員会としても、今後とも食品安全行政について、引き続き注視をしていきたいと考えております。

消費者庁、紀平課長におかれましては、本日、お忙しいところ審議に御対応いただきまして、どうもありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

(消費者庁 紀平課長 退席)


《3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見(第2回)素案について)》

○鹿野委員長 続きまして、次の議題に進みたいと思います。

消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、次期消費者基本計画に向けた意見の第2弾の素案について御議論をいただきたいと思います。

現在、消費者庁をはじめとする関係府省庁において、令和7年度からの5年間を対象期間とする次期消費者基本計画策定に向けた検討が進められているところです。

当委員会におきましては、先ほども申し上げたように、本年4月22日付で、「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」を取りまとめ発出したところでございますが、その後も継続して、次期計画に盛り込むべき、中長期的な課題等について調査審議や意見交換を行ってまいりました。

これを踏まえて、次期消費者基本計画に対する当委員会としての第2回目となる意見の素案を作成しましたので、本日は、これについて意見交換を行うことにしたいと思います。

それでは、まず、事務局より意見の素案について、10分程度で御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、資料の2を御覧いただけますでしょうか。「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見(第2回)」としております。

今、委員長から御紹介がありましたように、委員会では、4月に1回目の意見を出していただいております。今回、取りまとめていただいております意見でございますが「はじめに」のところの第3段落目にございます、まず、第1に、次期消費者基本計画において特に重要な基本的視点としております。第2のところで、消費者政策を推進するための消費者行政の在り方としております。第3で、第1回意見で十分に盛り込むことのできなかった個別施策に関する事項について述べるという形でまとめていただいております。

それでは、内容でございます。

第1の「次期消費者基本計画において特に重要な基本的視点」でございます。

1番「全体について」です。

矢羽根のところですが、デジタル化、国際化、高齢化等を取り巻く現状とそこから生じる課題を踏まえて、その課題に対応する解決策を提示し、施策ごとに目標とする到達点について、具体的に示すべきであるとしております。

「2 次期消費者基本計画期間中に確実に実現すべき重要な施策」でございます。

(1)として「悪質事業者の市場からの排除と被害救済の実効性確保」です。

悪質事業者の市場からの排除については、悪質事業者には、ソフトロー、ハードローどちらかによる対応のみでは実効性を欠くことを踏まえ、関係行政機関は、ハードローやソフトローとあらゆる方策を用いて取り組むべき責務があり、規律、仕組みの整備及び執行強化を図るべきであるとしております。

また、消費者庁は、悪質事業者のやり得を許さず、消費者に泣き寝入りをさせないため、違法収益の剥奪及び被害救済について、あっせんやADR等を含む、実効性ある仕組みを整備すべきであるとしております。

(2)が「悪質性、匿名性の高いインターネットやSNS上の表示・広告への対策」でございます。

2009年に消費者庁、消費者委員会が設置されて以降、社会のデジタル化は一層進展しております。アテンションエコノミーと呼ばれるビジネスモデルが広がっております。

「その上で」というところでございますが、悪質事業者による商法は、インターネットやSNSを利用し、より巧妙化しております。インターネットの匿名性が悪用されていること、相手方事業者が所在不明となる場合が少なくないことなどを踏まえ、関係行政機関は、消費者が悪質事業者を見分ける方法についての情報提供や、規律の整備を含め、実効性のある対策を講ずるべきであるとしております。

「(3)決済制度の安全性・透明性の確保と消費者保護の一層の取組」でございます。

決済制度は、割販法における支払停止の抗弁の適用など、消費者被害を押しとどめる最後の砦ともなり得るものとなっております。

その次の矢羽根ですが、決済制度の安全性の確保に向けて、デジタル技術を活用することも考えられる。関係行政機関は、こうした技術が普及促進されるよう検討することも重要であるとしております。

第2に「消費者行政の在り方」でございます。

1つ目に「国の体制整備に関わる事項」です。

関係行政機関は、それから、消費者庁は、また、消費者委員会はということで記載されております。

消費者庁と消費者委員会の連携についてです。

消費者庁と消費者委員会は、それぞれ消費者行政に関わる司令塔と監視役の役割を担い、一定の、いわゆる緊張関係があることが基本となる。

その上で、消費者庁と消費者委員会は、どちらも消費者保護について責任を負う立場であることから、消費者行政の推進のため、消費者委員会は、その独立性を担保しつつ、消費者庁と有機的な連携を構築する必要があるとしております。

その次は新未来創造戦略本部について記載されております。

その次、PIO-NET情報の活用とEBPMの推進でございます。

PIO-NETに集積される相談情報は、全国の消費生活センターで相談対応をはじめ、消費者への注意喚起、法執行、政策立案など様々な場面において利用されております。

その情報の有用性に鑑み、さらなる活用が求められ、産学民においてさらに活用されるよう、個人情報等を除いた形でオープンデータ化するなど、分かりやすく入手しやすい方法で公開することを検討すべきである。

また、研究機関、大学等においてPIO-NETデータは有用なものであり、消費者問題の研究・分析の広がりや官民連携の促進にもつながり得る、こうした機関等が活用しやすくなるような仕組みを整えるべきであるとしております。

2つ目が「地方消費者行政に関わる事項」でございます。

5ページ目のところに参ります。

地方消費者行政強化交付金は、これまで地方消費者行政の充実強化に一定の成果を上げてきたところ、交付金の事業メニューによっては活用実績が少ないものもあるほか、活用しやすいものにしてほしいという声もございます。

消費者庁は、同交付金の効果検証を行うとともに、限られた予算の有効活用の観点からの地方公共団体の支援ニーズの把握、より実効的なものとなるような工夫が望まれるとされております。

その次に、消費者行政を支える消費生活相談員の人材確保についてでございます。

これは、極めて重要な課題であり、今後の消費相談体制の持続可能性にも影響が生じ得る。消費生活相談員の人数は、2018年をピークに減少傾向にございます。足元では100名減少している。消費者庁はこうした現状を踏まえ、相談員を増やすための対策と同時に、人口減少の中において、相談員が増えないことを前提とした相談体制の在り方についても検討を行うべきであるとしております。

3つ目が「消費者行政の担い手に関わる事項」でございます。

「(1)消費者行政における官民連携」でございます。

改めて官民連携について、消費者庁は、消費者団体、事業者団体、研究機関・大学、既存の地域ネットワーク等と官民連携を積極的に進め、より多くの組織や若年層から高齢者までの幅広い世代の消費者が、消費者行政に関与することができるような環境を整備すべきであるとしております。

6ページ目にまいります。

「(2)適格消費者団体の活動の意義及び強化」でございます。

適格消費者団体が行う差止請求は、取引の適正化、健全・公正な市場を実現する意義を有します。一種の公益を目的にしたものとなっております。差止請求の担い手である適格団体がこうした役割を十分に果たすには、担い手の確保と財政基盤の安定強化を図るべきであるとしております。

3つ目の矢羽根でございます。

財政が厳しいという理由で、活動を熱意あるプロフェッショナルのボランティアに頼らざるを得ない状況は、活動自体も財政上も健全とは言えず、民間事業者なら事業モデル、制度設計として持続可能性がないと判断されます。団体間でのノウハウ、人材、プラットフォームの共有化、新たな収益を生む事業等の戦略について検討すべきであるとしております。

差止請求権の行使は、裁判外の交渉を通じて行われる場合が大半となっております。裁判外の交渉に事業者が適切に対応しないケースもあり、その原因としては、事業者の消費者団体訴訟制度に対する認知理解不足、適格消費者団体と事業者のコミュニケーション不足等も考えられます。

消費者庁は、さらなる周知啓発等に向けて、それらを情報発信等に向けて、これらに努めるべきであるとしております。

7ページ目でございます。ここから第3「各論について」になります。

1つ目が「クレジットカード不正利用防止の強化」についてです。

クレジットカードの不正利用被害額は、2023年度で541億円に達し、過去最大となっております。

その要因としては、不正アクセス等で窃取したクレジットカード番号による不正利用が大部分を占めております。

こうしたことを受けて、クレジットカード番号について、フィッシング技術の巧妙化による消費者側の窃取も多いということが背景となっております。

経済産業省は、こうしたことについて、フィッシング対策等、事業者が着実に取り組むよう、インセンティブを導入するなどの工夫を行い、取組の実効性を高めるべきであるとしております。

次の矢羽根でございます。

クレジットカード番号の漏えい、不正利用、被害状況の共有、事業者によるセキュリティ対策の現状や課題の共有、海外における取組状況の共有などを行って、官民一体的に対策に取り組んでいくため、クレジットカード・セキュリティ官民対策協議会が設置されております。

経済産業省は、こうした場を利用し、消費者の意見を聞いて対策の実効性を高めるべきであるということでございます。

その次が2として「SNS型投資・ロマンス詐欺対策」でございます。

本年の6月に、取りまとめられた「国民を詐欺から守るための総合対策」について、関係行政機関は着実に施策に取り組むべき効果の検証も行うべきであるとしております。

なお、犯罪者に刑事上の責任を負わせることが重要であり、警視庁、警察庁は、SNS型投資・ロマンス詐欺に関与が伺われる匿名流通型犯罪グループに対する取締り強化のための体制、実態解明体制及び犯罪収益解明等の体制を整備することにより、取締りを一層強化すべきであるとしております。

また、このページの3つ目の矢羽根でございます。

総合対策においては、SNS事業者に対し、実効的な広告審査等の推進、海外電話番号等を用いて取得されたSNSアカウントなどの知らないもののアカウントの友達追加等の実効的な警告表示、同意取得の実施、SNSの公式アカウント開設時の本人確認等強化を働きかけるとされております。

SNS事業者の自主的取組に期待するとともに、その実効性が確保されない場合には、総務省等の関係行政機関は、さらなる対策を行うべきであるとしております。

また、一番下の矢羽根でございます。

被害者を救済するための金銭的なツールが必要であり、金融庁、法務省等の関係行政機関は、振り込め詐欺救済法や、没収・追徴された犯罪被害財産を基に被害者に支給する被害回復給付金支給制度の活用ができる場合を周知すべきであるとしております。

9ページ目でございます。

3番「自動運転における消費者保護」でございます。

運転者が存在しない自動運転においては、保安基準などに適合した自動運転装置に走行を委ねることになります。事故等を起こさないよう、未然防止のための基準や規格基準が重要となります。保安基準等においては、自動運行装置が道交法を遵守した性能を発揮することで、一定の安全性を確保することを前提としております。

国土交通省などの関係行政機関は、自動車メーカーなどが提出したデータ等の真正性を担保すべく、企業の適切なガバナンスやコンプライアンスを担保するという行動統制のためのインセンティブを適切に構築すべきであるとしております。

9ページ目の一番下の矢羽根でございます。

基準認証等の段階において、自動運行装置に係る認可を取得した者に対し、道路運送車両法に基づく権限により、重大事故等の一定の事故について、事故調査への協力を義務づけることなど、事故調査への協力を促す方策について検討すべきであるとしております。

10ページ目の上から2つ目の矢羽根でございます。

事故により被害が生じた場合に関し、自動運転者により被害を受けるときや、消費者が自動運転車を使用するときについて、その責任や補償の在り方について、自賠法を含め、様々な観点から検討すべきである。また、消費者に対し自動運転車を販売する際の情報提供の在り方についても検討すべきであるとしております。

「4 高齢者等終身サポート事業」でございます。

本年6月に、「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン」が取りまとめられております。その実効性確保を図るため、関係行政機関は、事業者への十分な周知、活用状況の検証も行うべきであるとしております。

11ページでございます。

上から2つ目の矢羽根で、身寄りのない高齢者に対する公的支援に関するモデル事業についての記載がございます。

こうした取組が効果的な取組であると考えられ、厚生労働省は、モデル事業実施の中で見えてきた課題を整理し、重層的支援体制整備事業等、他の施策との接合も踏まえた上で、全国的な制度化に向けた取組について検討すべきであるとしております。

「5 消費者教育の取組」でございます。

2つ目の矢羽根でございます。金融経済教育推進機構が行う事業について、中立性・透明性確保に留意が必要であり、金融経済教育の推進に当たっては、金融庁、消費者庁、文部科学省との連携強化、また、その連携に当たっては、金融経済教育推進会議の金融リテラシーマップや消費者教育の体系イメージマップなど、複数のマップが存在することも踏まえて、全体像が見えるよう工夫し、各省庁における取組の関係性の整理も必要であるとしております。

また、消費者に寄り添ったアドバイスができるなど、認定アドバイザーの質の担保にも取り組むべきであるとしております。

事務局からは以上でございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いします。

時間は30分程度と考えております。いかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 第2回の意見についてなのですけれども、食品のことを強化、計画にしてくださいということを言おうという話であったと思うのですが、今の記述からは読み取れないので、そこら辺の経緯を教えていただければと思います。

○友行参事官 失礼いたしました。

食品については、本日、たった今、基準課からお話を伺ったところでございます。ですので、このお話を受けて、どういうことを盛り込むかということを、この場でも結構ですので御意見をいただきまして、それを受けて、それをまた第2回の意見の中に盛り込むというプロセスを踏みたいと思っております。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 では、これは落としていくということではなくて、今ここで言ったことが書かれていくということと考えていいですか。

そうであれば、今日、私が紀平さんに御質問したような内容として、監査と基準の連携の話とか、今まで重視されてきた既存添加物、残留農薬、そして容器包装のお話をもっとちゃんと計画に書いてほしいということで、今後サプリメント錠食品についての規格基準なども、ぜひ考えてほしいということは書いていただきたいと思います。

何か事務局から補足があれば、ぜひお願いしたいと思います。

○友行参事官 今、今村委員からおっしゃられたことを、改めて事務局のほうで整理させていただきまして、また御提示させていただきたいと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

今、事務局からも御説明がありましたように、今回の意見第2回の素案は、前回までの本会議において議論をしたことなどを事務局において取りまとめていただいたところでございまして、これには、本日の第1の議題である食品衛生基準行政についてというところは、まだ、間に合っていないので、次回の案には、本日の議論を踏まえて、そこを加筆していただくと、こういう形になると思います。よろしくお願いします。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 意見がございます。

現在、3ページの脚注のところに私の意見を取り入れていただきまして、事務局には感謝いたします。このデータアクセス権だけにつきましては、ぜひ、本文に入れていただきたいと思います。

この理由を申し上げますが、案の2ページの最後のところから3ページの最初のところにかけて「決済制度は」とございますが、中略いたしまして、次のページで「消費者被害を押しとどめる最後の砦ともなりうるものであり」とございますように、決済は、やはり消費者保護の最後のゲートキーパーだと思っております。

悪徳業者は、お金が入るから様々なことをすると、アテンションエコノミーだって結局お金が入るからみんな引きつけようとするわけです。お金が入らなければ、そうはならないわけです。ダークパターンも、それを例えば遮断させて、クリック率とか購入率が上がらなければ、サーバーに負担がかかってお金がかかるだけですから、そのような行為はしないわけです。1回だけ使おうと思ったのに、うまく流用されて、勝手にサブスクにされてしまうとか、そういうことはよくあり得ますけれども、すぐに気づかれて、その後、防がれてしまったら、それはやらないと。

ですから、消費者保護を行う一番効率的なところ、やはり最終的に決済のところです。また、金融情報のところで消費者のゲートキーパー的な何らかの手段が存在することだと思っております。

先ほどのダークパターン的なものが防がれるとか不正検知も既に検知されるということがあったらよいと。

7ページのクレジットカードの不正利用の防止なども、これに関連するかと思いますということで、私は以前から即効性があるデジタルを使った消費者保護というのは、金融決済の安全性確保ですね、悪徳業者への決済を止めたり、認知機能が低下している方が行える様々な錯誤などを止めるゲートキーパー機能であることだと思っておりまして、これが今後日本で実現するためには、消費者が自分の決済金融情報を調べるために、わざわざ個別の銀行とかクレジットカードのサイトとか、各種ECに出向いて情報を調べるのではなくて、例えば、これは、一例ですが、家計簿アプリみたいな形で自分の決済金融情報が一覧されて、かつ、それが、不正検知が容易にされたり、自分が記入した決済パターン、例えば勝手にサブスクにされてしまうみたいなことを防がれるみたいなことが、ゲートキーパー機能者としてあることは重要かと思います。

この点で考えますと、決済の安全性を確保するために、デジタル手段を用いるというのは、実は技術的には容易だと思っております。

これは、高齢者や認知機能に問題がある方々が増えている我が国で、どんどん普及していけばいいと思っているのですが、現状の家計簿アプリ的なところでも実現し得るのに、なぜ普及しないのかということに関しましては、もちろん消費者が、まだその便益に気づいていないということもあるかもしれませんが、加えて、消費者の自分の金融決済情報が自分のものであって、自由にアクセスができて、何らかそれをチェックさせるために、第三者ですね、具体的なアプリなどに委任させられるといった形のデータアクセス権が、諸外国では確立されているのに、我が国では全く確立されていないから、先進国ではAPIなどでクレジットカードや銀行情報を自分で取ってくる際に、自分のデータを無償で取らせるということをしておりますけれども、日本では、銀行が、例えばお金を取っているわけなわけです。

EUとかアメリカとかイギリスとかオーストラリアは、かなり調べさせていただきました、韓国などもそうですが、ブラジルですらそういった法整備がありまして、金融データへのアクセス権が確立されていると、コンシューマーデータライツで認められているということでございます。これを日本で実現するというのは非常に重要かと思っております。

個人情報保護の関係があるのではないかという御懸念があるかもしれませんが、自分の金融決済情報を自分で持って、その利用を第三者に移譲するというのは、個人情報保護の観点とは関係ないかと思っております。

加えて、消費者をエンパワーメントするデジタル技術に関する専門調査会というのがございまして、私も、こちらに参加しておりますが、まだ報告書などが出ていない段階で、このような意見を書き込むのは、時期尚早ではないかという意見もあろうかと思いますが、この5年後までの次期消費者基本計画において、消費者委員会から委員が意見できる最後のタイミングで、きちんと意見しないことは、私は委員として不作為だと考えております。

今後の消費者保護において、本質的に重要な事項の意見をしないこと自体は、私は問題だと思っておりまして、今回、意見を差し上げているところでございます。

また、一応申し上げますと、先ほどの専門委員会、やはりAIなど先端的技術のユースケースの紹介などというものを行うのが中心であって、法的な議論を行っているわけではないと私は理解しております。

先ほどの各国の制度の違いとか、金融決済に係る消費者の権利について議論などはしておりませんし、委員構成としても10人中法律家は1人だけということでございまして、今後とも、これに関する法整備などの議論はしないと理解しております。

何なら、私はこの下部委員会で、そのような議論が現状されておらず、今後も委員構成からされないだろうと、そして、私が以前から思っていた決済のデジタル化による消費者保護機能というのは、やはり先ほど申し上げたようなことが重要かと思いますということで考えますので、ぜひ、この脚注にある消費者の金融関係データのアクセス権の明確化を行うというところを、本文に入れていただきたいと思っておりまして、具体的な修文案といたしまして提示させていただきますところは、3ページのところでございますが、決済情報の安全性の確保に向けて、デジタル情報を活用することも考えられるということがございますが、そこで、関係行政機関、実は、これは書く必要はないですが、金融庁、消費者庁、経済産業省だと思いますが、この関係行政機関は、消費者の金融・決済関連情報のアクセス権の明確化を行う法整備を整えるなどといった形で、こうした技術が普及促進されるように検討することも重要であると入れていただきたいと意見いたします。

よろしく御審議のほど、お願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

星野委員からは、今、いろいろな御説明を頂き、その上で、具体的に3ページのところで、第2の直前のところですけれども「関係行政機関は」の後に、消費者の金融関係データのアクセス権の明確化を行う法整備について検討するという趣旨の文章を入れるという御提案がございました。

よろしいですか、私、誤解していませんか。

星野委員、どうぞ。

○星野委員 すみません、消費者の金融・決済と。

○鹿野委員長 金融・決済ということです。

○星野委員 例えば、クレジットカード等、多分、銀行口座だけではなくて、EC関連情報とか、例えば、国内のECモールも含めてかもしれませんが、そういった決済情報に対するアクセス権の確立、それを利用するということを明確にするということです。利用できると、個人が利用し、それを第三者に移譲して、そして、安全を確保するようなデジタルの、例えば手段というものが今後促進されることが、これは、諸外国で既に行われていることなので、何ら特段奇抜なことを、私は言っているとは思いませんが、ぜひ御検討をいただければと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

金融・決済情報ですね。分かりました。

今、御意見がありましたけれども、この点について、まず、ほかの委員から何かございましたらお願いします。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 ありがとうございます。

私は、このことを申し上げるために、本当は手を挙げたわけではなくて、ほかの点で3点あったのですが、多分、前回の委員会で、この点について意見をしたのは私だと思います。

今度、専門調査会で一応民法や消費者法という法律の専門家の方があまりいらっしゃらないのは、もちろん承知しているので、おそらく法律家として何かコメントはということで、そういう役割をいただいたと思っておりまして、今度の来週だと思いますが、専門調査会で意見をするつもりでおりました。

ただ、今のお話を伺っていると、おそらく私が全くこのシステムを理解していないから、何か慎重になっているのだろうかという気もしていまして、別に私は、このシステムを活用することに反対しているわけではなかったのですが、前回、ここを慎重な意見を申し上げましたのは、ただ、やはり一応国としてというか、消費者委員会として意見を出すというときに、別に私以外のほかの先生方が、この点を、例えば脚注ではなくて本文に入れたほうがいいと、もっと前向きな姿勢を示すべきだということであれば、反対はしませんが、一応前回申し上げた趣旨というのは、やはり技術の普及促進というのが、今、星野委員がおっしゃっていたように、海外ではもう既に行われていることだということであれば、おそらく私の心配は完全に杞憂だったのだろうなと、今、思っているところなのですが、それに向けた、本当に法的な問題がないのかとか、あるいは消費者の不安感とかをかえって高めないかとか、そういうことを、実は来週申し上げるつもりでおりました。

ただ、全部それはおそらく間違いなのかなと、懸念としては考え過ぎなのかなという気もしましたので、一応何か言い訳めいていて申し訳ないですが、強くは反対しませんが、一応私が先週慎重なことを申し上げたのは、以上の趣旨でしたということだけをお話ししたいと思います。

残り3点については、すみません、こちらの点が終わってからにさせていただきます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

大澤委員、別の点で手を挙げていらっしゃったということで、失礼しました。

今の点は、いかがでしょうか。ほかに御意見はございませんか。

○星野委員 すみません、大澤委員に伺いたいのですけれども、消費者の懸念というのは何なのか、私が理解しておりませんで、例えば、個人情報保護という観点に関しまして、そうであるならば、EUで行われるのは、例えばなのですけれども、既に2015年、10年近く前の欧州の改正決済サービス指令で、消費者保護の観点から、このような権利が確立されたと理解しておりますが、そうであるならば、例えば、ヨーロッパ、欧州、多分個人情報保護が一番厳しいと思いますが、そのような地域において、なぜその問題があることが分かった上で、このような権利が確立されているのか、私は、それこそ法律家ではないので、ぜひそのようなことに関して御意見をいただきたいと思います。

だから、消費者の懸念とは何なのか、つまり、自分が持っている、例えば金融だとか決済に関わる情報、どこで何を買ったかといった情報、これに対してアクセスする権利が日本では、まだ、そもそも明確化されていないと。ですので、何かそれこそアプリ、自分がやりたいから、何か不正を防ぎたいから、例えば第三者のつくったアプリに対して、その自分のデータの権限を移譲して、アグリゲーションさせて、そこの上で一覧にしたり、何かしら、例えば突然サブスクになってしまったみたいな、1回買ったと思ったらサブスクになってしまったみたいなことが明確になって、それが防がれるみたいなことというのは、消費者が自分の権利で権限を移譲したいわけですが、そのデータ権が明確になっていない状況では、それができないということなのですけれども、これに関わって何か消費者が不安になることがございますでしょうか、ちょっと全く理解できないのですが、ぜひその点、単なる不安ではなくて、具体的に諸外国でそれが実現されたことなのに、なぜ、日本でそれがないのかが、私は不思議でしょうがなくて、これは、専門委員会が発足する前から私はずっと思っていたわけですけれども、専門委員会の方向性を決めてしまうのは、上部委員会である委員としてよろしくないと思って、私は意見をしていなかっただけでございまして、これを申し上げるならば、これこそ、今日言うつもりはなかったのですが、下部委員会の結論がないと、我々は意見ができないものなのでしょうか、では、なぜ我々は、我々の見識を持ってわざわざ委員として、内閣総理大臣から委嘱をいただいているのか全く理解できませんが、あくまでも下部委員会の意見は、我々が物事を考える際の参考情報に積み上げるのではないのでしょうか。

この点に関しまして、ぜひ全委員長にも、私が申し上げている委員と下部組織の関係について、私の理解が正しいのか伺いたいと思います。よろしくお願いいたします。

○大澤委員 すみません、私が不勉強なだけですが、私が言っている消費者の不安というのは、来週専門調査会で発言するのは、辞退させていただこうかという気持ちに、今、なっておりますが、私が考えておりましたのは、例えば、それは消費者が自分のデータにアクセスできるというのは、もちろん私もできたらいいなと個人的に思いますけれども、例えば、そのデータが、すみません、システムを全然理解していないのですけれども、私が、例えば自分がどこで買い物したという記録を自分で取れる分には構わないのですが、今までも、例えば、いろいろ個人情報が漏えいした事案というのは、いろいろなところであるわけですけれども、例えば、私が買い物した履歴がほかの人に漏えいしてしまうとか、何か広く使われてしまうとか、そういうことは一切ないという理解でよろしいでしょうか、ないのであれば、私の見当違いだと思います。

○星野委員 その問題と、データのアクセス権とは少し違うのではないかと、そういった懸念を考え出すならば、どのようなシステムも利用できないかと思います。そうであるのであれば、現状、今、実現するような、例えば口座に対して、口座情報に自分がアクセスする際に、例えば何かしら漏えいするというリスクはございますね。だからその懸念と、データのアクセス権というのは全く違うというか、いや、それはどのようなことがあっても漏えいし得るリスクがあるからこそ、きちんとした業者というのを認証するなり何なりするということが必要なのかと思いますし、そういったものを踏まえた上で、諸外国ではデータへのアクセス権というのは認められて、TPIサービス等で、個人が権限を移譲し、ほかの第三者を通じて全てデータをアグリゲートして、それを利用できると、何なら、それを使って不正検知ができるみたいなことを考えられているのだと思いますが、ですから、よく分からないのが、そういった懸念のことを考えるなら何もできないというか、それこそ消費者保護に関わるようなデジタルの様々な取組というのは全くできないかと思いますが、すみません。

○大澤委員 私が申し上げているのは、確かにそれはおっしゃるとおりなのですけれども、それをちゃんと消費者に、いや絶対漏えいすることはないです、ですので安心なシステムでということ保証できるのであれば、国として進めていただくのは、私は全く反対しておりません。

ですので、この点の記述についても、あるいはこういうことを、下部調査会との関係については、私の権限外ですので委員長にお任せしますが、これを、今、専門調査会で議論していることは存じ上げておりますし、それを消費者委員会として意見を出すことは、別に私は、強くは反対していません。これがまず1点です。

もう一点は、来週、これも申し上げようと思っていたのですが、そもそも自分で、私自身は、例えば自分の買い物をした記録とか、サブスクとか、何か解約を忘れていないだろうかとか、そういうのにアクセスできるというときに、私は自分で積極的に使いたいなと思っています。40代ですが、一応それぐらいの技術は持っていると思いますが、それがうまく使いこなせない消費者というのもおそらくいるだろうと思います。

そういう人にも、もちろん丁寧に、こういうのを使っていくともっと便利になりますよというのは、まさにエンパワーだと思いますので、それは必要だと思うのですが、やはり、それでも使いこなせないという消費者、取り残されてしまう消費者が出てこないのだろうかという、要は、消費者との中での格差というのですかね、そういうものを、すみません、気にしておりました。

以上です。失礼しました。

○鹿野委員長 黒木委員長代理。

○黒木委員長代理 来週の大澤委員のお話を楽しみにしております。個人情報保護法に関して、いくつかの点を指摘したいと思います。

まず、個人情報保護法の第17条では、利用目的の特定と制限が定められています。しかし、日本の個人情報取扱事業者がEUのGDPRのような厳密さで利用目的を特定しているかどうかについては、長年議論が続いています。

例えば、APIを使って銀行の口座情報に第三者がアクセスする場合、その利用目的について消費者が簡単にスクロールして同意するだけで十分なのでしょうか。日本の法体系では、このようなハードローの部分がまだ弱いのではないかと考えています。

昔は、自分の通帳を印字しない限り取引情報は出てこなかったものですが、現在はAPIを通じて少なくともそのサービスを提供する事業者が情報にアクセスできるようになっています。この情報の利用目的について、規約や定型約款で定められていますが、それで十分なのかという疑問は、検討に値する論点だと思います。

ただし、だからといってAPI事業者を全く信用せず、この技術を排除すべきだとは思いません。技術の利便性と個人情報保護のバランスを取ることが重要だと考えています。

私自身、消費者をエンパワーするデジタル技術に関する専門調査会にオブザーバーとして参加していますが、技術的な難しさからほとんど発言できていません。そのため、来週の大澤委員のお話を大変楽しみにしております。ぜひ詳しいお話を伺いたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

個人情報の漏えいの懸念というのは、星野委員もおっしゃったとおり、この問題だけではなくて、いろいろなところで、かなりデジタル化の進展とともに大きくなっています。星野委員からは、ヨーロッパのほうでは、個人情報について日本に比べるとかなり厳しい法制度があるという御指摘もありましたが、もしかしたら、これは想像の域を出ませんけれども、そういう厳しい個人情報に関するルールがあるからこそ、一定のポジティブな形での制度というのも設けられることになるのかもしれないという気もいたします。

私個人は、本人のデータアクセス権の明確化ということ自体は、あるべきなのではないかと考えておりますし、その上で、技術を持って積極的な消費者のエンパワーをしましょうという方向性も検討の意義があると思い、だからこそ、当委員会でも専門調査会にその御検討をお願いしているところでございますけれども、一方で、データの管理等の重みということにも十分な配慮が必要だと思います。個人の重要な情報が集約される場合を考えるとなおさら、そういうデジタル化の進展に対応できるような個人情報の漏えい等をどうやって今より強力に防いでいくのかということであるとか、あるいは黒木委員長代理がおっしゃったような点も含めて、周辺の制度も併せて考えなければいけないということなのではないかとは思っているところです。

なお、親会議と専門調査会の関係に関する御質問がございました。これについては、事務局のほうがお詳しいかもしれませんけれども、専門調査会に一定のテーマについての専門的な見地からの御検討をお願いしているということでございましても、その報告書が出る前に、それに関わることは一切本会議の意見に盛り込んではいけないという関係にはないと思っております。

ということなのですが、事務局で何かこの点について補足はありますか。

○友行参事官 基本的には、鹿野委員長のおっしゃるとおりということでございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ということなのですが、先ほどの星野委員からの御提案については、いかがでしょうか。修文の御提案自体は、それほど懸念を増大させるようなものではなく、私個人は、先ほども言いましたように、消費者のデータアクセス権ということは、きちんと確立した上でということは、必要なのではないかと考えているところですが、大澤委員、いかがでしょうか。

○大澤委員 すみません、私もだから反対はしていません。繰り返しになりますが、データアクセス権を入れることに反対しているわけではありません。それは言っておきたいと思います。

ただ、やはり立場上、一応、私、法律家ですので、先ほど黒木委員がかなり分かりやすくおっしゃってくださっていましたが、どうもエンパワー専門調査会の話も少し見ていて気になったのは、本当にどれも素晴らしい技術だと思いますので、全然反対はしません、本当にそれは誤解しないでほしいのですけれども、ですので、ここに修文いただくことも全然構わないのですが、ただ、立場的に、先ほど黒木委員長代理がおっしゃったことに尽きるところなのですけれども、何か新しい技術を使って消費者をエンパワーしましょうというときに、それに日本の法律がついていけているかどうかというのは、やはり法律家の立場としては言わざるを得ないということは理解していただきたいと思います。

それが、先ほどお話を伺っていると、下部組織の専門調査会の法律家は、たしか山本先生だけでしょうか、お一人だけなのではないかと思いますが、その状況で、私に一応コメントをお願いしますと来たのは、おそらく民法とか消費者法をやっている立場として、どう見えますかということを伺いたいという御趣旨だったと、勝手ながら理解をしています。

ですので、いずれにしても、立場的に、やはりいろいろと、現状の日本の法律の面から見てどう思うかというのを言わざるを得ないということだけは御理解いただきたいと思います。

以上です。

○星野委員 すみません、今の法律家の意見として、この本文に入れるべきでないとお考えだったら、ぜひそのように言っていただいたほうが、私は法律の専門家ではないので、個人情報保護の観点から、この修文は望ましくないのでやめたほうがよいというのであれば、もちろん取り下げさせていただきます。私は法律の専門家ではございませんので、ただ、そうではないのであれば、ぜひその御懸念ということでおっしゃるならば、確かに、今、黒木先生がおっしゃったように、EU等に比べてそもそも個人情報保護の法規制が甘いというようなことがあるということであっても、例えば、私が調べた限り、ほかにブラジルとか、カナダとか、イギリスとか、アメリカとか、韓国等でも同様の権利が与えられて、それが実際に第三者に対して、自分のデータの決済データ等のアクセス権の移譲がされているということだと、私は理解しているつもりでございますので、であるならば、そのような諸国においても、日本よりも個人情報保護という観点で緩いのかというのは、私は分かりません。いずれにしろ、法律家の観点からして、この修文が入れるべきではないというのであれば、ぜひ、そのような御意見をいただきたいと思います。

以上でございます。

○大澤委員 すみません、そこまで強く言っているつもりは全くなくて、ただ、強いて言うと、脚注の8のところには、アクセス権の明確化を行う法整備と書いているかと思います。修文は、すみません、ちょっと口頭だったので、若干聞き逃しがある可能性が高いのですが、先ほど黒木委員がおっしゃっていたことを、趣旨を多少踏まえた書き方で、例えば、現在の日本の個人情報保護とか、データに関する法律の状況も見つつとか、何かそういうことを一言入れていただけるというのは、別に問題ないかなと思っております。ただ、私一人だけ抵抗するつもりは全然ありませんので、それだけは申し上げておきます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

星野委員、いかがでしょうか。先ほど私も申し上げたように、やはり周辺の脇が甘いというか、日本においても法制度がデジタル化に対応しつつあるところではあるけれども、EU等に比べると弱い規律であるということによる懸念ということが、一方ではあるのだろうと思います。

ただ、それはそちらで、この問題だけではないという側面がありますので、それも必要であることを、どういう文章で書くのか、大澤委員から、今、1つの案が出ましたが、そういう趣旨のことを一言入れた形でアクセス権について、より正面から取り上げるということは考えられますか。いかがでしょうか。

○星野委員 非常に率直に申しますと、ほかの部分では、例えばPIO-NETの情報の利用だとか、いろいろなものもございますが、そういったものでは、全くそのようなことは明記されていないのに、こちらだけ非常に制約的に書かれるのは、私としては、何か違和感を非常に感じますが、この種の個人情報保護の問題に関しては、全てに関わるものだと思いますので、当然ながら法制度がされる際においては、そのような議論がされた上でなされると理解しておりますので、何かそれを無視して、そういった既存の法制度を無視して、このような提言をするということ自体が、実際に法整備される際は、当然ながら各省で、そこが議論されるはずだと思いますので、そこを一々書くのかと、ほかのところでは書いていないところをわざわざ書くのかというところは、私としては理解があまりできないのですが、これに関しましては、お考えを伺えればありがたいかと存じます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

御指摘のように、あるいは先ほども私も言いましたように、この問題だけではない、もう少し広くデジタル化に関連して、やはり個人情報の保護、漏えいを防ぐための対策等が、必要だというところはありそうでございますので、どこかもう少し別のところで、全体というか、幾つかの事項に関わるようなところで、それをまず挙げて、必要に応じて、具体的な項目でも一言だけそれを触れるというようなやり方もあるかとは思いました。そういう形だったら、違和感はないでしょうか。ここだけに入れるということだと、何でここだけなのかという違和感を覚えられるという点も、分かるところでございます。

それでは、御意見をいただきましたので、具体的な文書をつくってみないと、うまく入り込めるかどうかということが分からないということもありますので、一旦その問題は引き取らせていただいて、それで、より具体的な修文案をつくって、各委員にも御相談させていただきたいと思います。

よろしいでしょうか。

それでは、今の点は、ありがとうございました。

ほかに、いかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 資料の1ページ目の最後、(1)の下の矢羽根の部分について、少し意味が分かりにくいので説明をお願いしたいのですが。

そこには「悪質事業者の市場からの排除について、悪質事業者にはソフトロー、ハードローどちらかによる対応のみでは実効性を欠くことを踏まえ」と書かれています。しかし、この文章には問題があると思います。

まず、悪質事業者にソフトローで対応できないのは当然です。彼らは法規範を守る気がないからです。そのため、罰則や行政処分を含むハードローで対応する必要があります。

しかし、ここでは「ハードローによる対応のみでも実効性を欠く」と記述しています。これは非常に問題のある表現だと思います。もしハードローでも悪質事業者に対応できないのであれば、それは法秩序の崩壊を意味します。

普通に読めば、この国はもう駄目だと言っているようにも解釈できます。なぜこのような表現になっているのか、理解に苦しみます。この文章の意図を教えていただけますでしょうか。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか、私もこの1ページの下から2行目のところは、随分大きな違和感を覚えたところです。

今まで議論していたところでは、もちろん、いろいろな場面によってソフトローをかなり積極的に導入したらいいというところはあるとは思いますが、ここで問題にしているのは、悪質事業者ということなのです。だから、ソフトローでは駄目でしょうということ、悪質事業者に対してはソフトローでは対応できないということだったと思います。

だから、具体的には、下から2行目のところでいうと、悪質事業者にはソフトローによる対応のみでは実効性を欠くことを踏まえ、という形で、従来そういう議論をしてきたと思いますので、そういう書き方にすべきなのではないかと思います。

そして、ハードローでも駄目だったらどうなるのだというお話はありましたけれども、やはりハードローもつくり方というか、その中身について、効果的なハードローのつくり方をする必要はあり、エンフォースメントについても、きちんとやらなくてはならない。ハードローというものであれば何でもいいというわけではなく、実効性のあるハードローでないといけないということだと思いますけれども、この文章については、私は黒木委員長代理と同じ思いを持っております。

○黒木委員長代理 その点について、私の理解を説明させていただきます。

「どちらかによる」という部分を削除すると、この文章は次の矢羽根で言及されている附則6項につながる内容として読めると思います。

設置法の附則第6項では、3年を目途として違法収益の剥奪や被害者救済のための制度について検討し、必要な措置を講じると規定されています。確かに、景品表示法に課徴金制度が導入されたり、販売預託が全面禁止になったりと、一定の進展はありました。

しかし、附則第6項で言及されていた内容が全てハードローとして整備されているわけではありません。そのため、この矢羽根の1と2は、ソフトローだけでは不十分であり、附則第6項も踏まえて実効性のあるハードローを検討していく必要があるという意味だと理解しています。

これは、消費者委員会設置後20年を見据えた、今後の5年間の最後の課題だと考えています。そのため、ここに「ハードロー」という言葉が入ってくると違和感があります。つまり、ハードローの整備こそが今後の課題だという趣旨だと理解すべきだと考えていたのです。

以上です。

○鹿野委員長 ほかの委員は、いかがでしょうか、今の点について、何かございますか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 先ほど3点と申し上げた1点目は、実は全く今の同じところです。これは、報告書全体に言えることなのですが、悪質事業者という言葉と事業者という言葉と2つ出てきて、ここでは悪質事業者という言葉を使っているので、ぱっと文章を読んだイメージとしては、悪質事業者ということは、そもそもこれはソフトローでは、およそ対応できる状況ではありませんので、ですので、ここの修文があるとすれば、悪質事業者には、ソフトローのみでは実効性を欠くという、ハードローどちらかではなくて、そもそもソフトローだけでは駄目で、ハードローで行くのは大前提のはずですから、そうすると、次の2ページのところも「ハードローやソフトロー等あらゆる方策を用いて」と書いていますけれども、そこの部分が、今、黒木委員長代理がおっしゃっていたと思うのですが、2つ目の次の矢羽根のところとも、何かニュアンスが合わない感じがしております。それは、先ほど3点と言ったうちの1点は、実は、ここを申し上げたかったのです。

ですので、ハードロー等あらゆる方策を用いて、ここは、もうハードローを用いるしかない場所なのではないでしょうかと思います。悪質事業者というのを、ほかの事業者と区別して、あえてそこでこういう文言を使っているのであれば、ここではソフトローという言葉自体は削除したほうがいいのではないかと思います。

以上です。

○黒木委員長代理 よろしいでしょうか、この悪質業者というのは、中川丈久教授の事業者についての三分類、すなわち従順層、中間層、極悪層の極悪層ということだと考えています。あの分類からすると、極悪層は、法規範に従うことに経済的利益を見いださない事業者ということですので、ソフトローでは、対応困難な事業者をカテゴライズされた意見だと考えています。

以上です。

○大澤委員 全く同感です。そうだと思います。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

ここの1ページの最後のところから、2ページの冒頭までについて、今の御意見を踏まえた形で修文をさせていただきたいと思いますが、よろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、大澤委員、ほかにも御意見があるということでしたので、お願いします。

○大澤委員 すみません、先ほど長引かせた責任者ですが、もう2点申し上げますと、まず、1点目は、6ページ目だと思うのですが、すみません、若干、失念してしまっているのですが、6ページの2つ目の矢羽根で、「適格消費者団体の活動の意義及び強化」というところの2つ目なのですけれども、2つ目の矢羽根のところで「官民協働の資金支援の枠組みや」というところで「事業者の寄附を促進するような」と書いてあって、ここに消費者という言葉は要らないのでしょうかというのが気になりました。クラウドファンディングとか、そういった支援の仕組みというのもあり得ると思います。

これは、全体に言えることですが、この6ページのところで、事業者に適格消費者団体訴訟制度の意義を認識してもらう必要があるということで、事業者向けに、まず、それはやってもらう必要があるというのは全くおっしゃるとおりだと思うのですけれども、むしろ消費者にも適格消費者団体が、こういう活動をしていますということは、消費者にもぜひ知っていただく必要があるのではないかと思いますし、この点は、いろいろ学説等々でも主張されている先生もいらっしゃると思いますので、消費者に知っていただくことで、それによって、例えば、消費者が適格消費者団体の活動の重要性とか、そういうのに関心を持ち、これが、例えばクラウドファンディングとか、そういった形につながることで、適格消費者団体の支援にもつながるのではないかと思っていますので、これは、私の個人的な意見かもしれませんが、御検討いただければと思います。

あとは、完全に日本語の問題で気になった点なのですが、10ページですけれども、10ページの自動運転のところの最後の矢羽根になります。高齢者等終身サポート事業の直前のところですが、「自動運転に関するリスクコミュニケーション等の取組を主体として、消費者の参加を確保すべき」と書いてあって、すみません、これは日本語の問題なのでしょうけれども、参加を確保するということなのか、参加の機会を確保するとか、何か参加の間にものを何か挟まなくていいのだろうかという、すみません、日本語が気になったというだけです。このままでも、おかしくはないかもしれませんが、参加の機会とか、何か必要ないでしょうかというだけです。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

10ページは、参加の機会をということでよろしいかと思います。それから、6ページの点については、消費者も加える必要があるということで、まず、この点については、いかがでしょうか。ほかの委員も、それで異論ないということで、よろしいでしょうか。

○黒木委員長代理 異論ありません。

○鹿野委員長 大澤委員、ちょっと聞きそびれたのですが、具体的な修文案というのを、先ほどおっしゃっていましたね。

○大澤委員 事業者の支援と書いてあったと思うのです、すみません、6ページですね。

6ページの上から2つ目の矢羽根のところで、官民協働の資金支援の仕組みや、事業者や消費者という消費者を入れてもいいのかなと思ったという次第です。

あとは、消費者へも認知してもらうということは、どこに入れたほうがいいのかは、よく分からないですけれども。

○鹿野委員長 分かりました。

では、2つめの御趣旨は、消費者にも知ってもらう必要があるのではないかということ、ここは、見出しとしては適格消費者団体の活動の意義及び強化ということですが、それを促進させるためにも、消費者にその意義をきちんと知ってもらう必要があるということとして理解しました。それが言葉としてうまく入るように工夫してみたいと思いますが、また、具体的には委員の皆様に御相談させていただきたいと思います。

ほかにいかがでしょうか。

柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

ちょっと確認したいのですけれども、2ページの(2)の矢羽根のところと、あと、8ページの下から3つ目の矢羽根のところが、似たような書きぶりで大変気になりました。、どちらかでいいのではないかなと思っております。

あとは、SNSをきっかけとしてロマンス詐欺、それから投資詐欺ですけれども、お金を借りて相手方に渡すという相談が多く、貸金について借りさせないような技術が、必要だと思っております。決済という分類の中に、もしかしたら貸金についても入っているのかもしれませんが、今、大学生など収入がない消費者が同日に複数社の貸金から本当だったら借りられない額を借りているという実態があります。こちらについても検討していただきたいので、それもどこかに入れていただきたいというところが1つございます。

こちらについても、御検討ください。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 大きく2点、重複感があるところについて、少し整理したほうがいいのではないかということと、それから、貸金の問題についての御指摘をいただきました。

事務局から何かございますか。重複とおっしゃるけれども、こういう趣旨で書き分けているとかということがありましたら、お願いします。

○友行参事官 まず、最初の2ページ目のところの(2)については、第1の次期消費者基本計画において、重要な基本的な視点の中に入っております。そのうち、次期消費者基本計画期間中に確実に実現すべき重要な施策ということで、包括的な指摘をしているところでございます。

ですから、4月22日の時点で言った意見についても、あるいは場合によっては含まれているものもございますという関係性にあります。

ですので、若干、後段に出てきます各論のところとのダブり感は多少あるかなとは思っております。

そういった意味で、個別施策の話とそれから包括的にこれだけは実現してほしい、こういう姿を消費者としては望んでいるという、その書き分けがあるために、若干重複感が見られるのではないかと思います。

それから、2点目の貸金についてなのですけれども、これは、どういう切り口で入れましょうか、どの点が問題だと考えたらよろしいでしょうか。

○鹿野委員長 柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 すみません、柿沼です。

まず、2ページのところなのですけれども、この間の打合せのときに、アテンションエコノミーという言葉については、そのまま、この文章の中に入れるということについては納得したのですけれども、その下のパーソナルデータやクッキー等情報などについては、注釈の中に入れたほうが、やはりすっきりするのではないかと思っております。

アテンションエコノミーについてのみ、本文のほうに入れると、私は思っていたので、少しこの部分については納得できないところが残っているという状況です。

あとは、貸金については、お金を持っていない消費者が借りてまでして、投資ビジネス、ロマンス詐欺などにお金を渡してしまっているという実態がありまして、そこについては、記載がされていないので、それだけではないのですけれども、貸金についての整備については、先ほどもお伝えしたように、少し御検討いただきたいと思っています。

今、同日であれば、その人が借りられる金額以上を借りることができてしまっているという実態がありますので、デジタル技術などを使って整備できるのではないかと思っておりますので、どこかに入れていただければ幸いです。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 柿沼委員が御指摘された社会的問題の存在は十分に認識しています。特に、酷い事例としてパソコン画面を遠隔操作されて、知らぬ間に貸金業者からお金を借りてしまうような事例があることも承知しています。

しかし、この問題には情報登録機関のアップデート期間という課題が関係しています。残念ながら、我々の委員会はまだ金融庁や情報登録機関に対して、この問題の実態についてヒアリングを行っていません。

そのため、この問題を意見書にいきなり記載することは、少し拙速ではないかと懸念しています。確かに、重要な社会的な問題であることは理解できますが、現時点では少し前のめりすぎる印象があります。

私は今後の対応として、この問題について適切な時期にヒアリングを行うべきだと考えます。特にBNPL(Buy Now, Pay Later)に関しては、金融庁の金融審議会でも議論が始まるようですから、そちらの動向も見守る必要があります。

しかし、現在の文章をこの第2回目の意見書に記載するのは、我々の審議過程や各省庁との協議、そして我々の考え方の開示という観点から見て、やや唐突な印象を与えるのではないでしょうか。そのため、現時点での記載は控えてもよいと考えます。

以上です。

○鹿野委員長 柿沼委員、いかがですか。

○柿沼委員 柿沼です。

御説明いただいてありがとうございました。唐突感があるというところは、理解はしているのですが、言葉だけでも決済の中に、例えば、貸金についても少し入れていただけるとありがたいなと思っております。

具体的なことを、例えば、SNSのところに入れるのではなくて、1番のところに、決済制度の在り方についてに入れていただければと思います。

お願いいたします。

○黒木委員長代理 決済に貸金を含めるという議論は、法律論としてかなり複雑な問題を孕んでいます。現在はデジタル化により、貸金と決済が瞬時に行われるという状況がありますが、法的には全く異なる概念です。新たな資金提供を受ける合意と、自己管理の財貨を債権者等に移転することは、法理論的に別です。

さらに、この問題の背景には、信用情報登録事業者が割賦販売と貸金を同時に取り扱うようになったことや、平成19年の貸金業法改正など、複雑な要因があります。このテーマを拙速に扱うと、消費者委員会として批判される可能性もあります。

そのため、今回はこの問題に深入りしないでいただけると助かります。ただし、将来の検討課題としては非常に重要です。特に最近、20歳以下の若年者の破産が増加しているという報道もありました。これは柿沼委員が御指摘された問題と無関係ではありません。

消費者委員会では成年年齢が18歳とされたことの問題を継続的に扱ってきましたので、この観点から今後、審議を行い、発信していくという方法もあるかと思います。今回の第5期の消費者基本計画とは別に、この問題について今後取り組んでいく必要があると考えています。

以上です。

○鹿野委員長 柿沼委員、いかがでしょうか。

やはり、法的な性質が異なるところに、言葉だけ一緒に入れるということにすると、複雑になるというか、新たな困難が生ずるということでもございます。その問題を取り上げるのであれば、正面から改めてヒアリング等を行って、より深く検討をして、何らかの委員会としての意見等を発出するほうがよいのではないかということでございますが。

○柿沼委員 柿沼です。

5次の基本計画の中に入れずに、新たに、そういう場を設けていただいて、消費者委員会として意見を発出するということであれば、承知はいたしました。

ただ、注釈かどこかに、例えば、SNSを介した投資詐欺やロマンス詐欺のところに、お金を借りてまで、そういうことを行っているということを一文でも入れておいていただければと思います。

消費生活センターでは、投資被害、ロマンス詐欺などについての相談が非常に多く、やはり借りさせられて返済もできず債務整理しなければいけないという相談がございますので、できれば、どこかにでも入れていただくのとともに、なるべく早く、そういう場を設けていただければありがたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

被害実態について、こういう被害実態があるということを、7ページから始まるSNS型投資・ロマンス詐欺対策のところのどこかの注に、その被害実態を簡単に触れておくという御提案がありましたが、事務局としては、御対応いただくことはできますか。

○友行参事官 もちろんです。また修文いたしまして、御相談いたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかには、中田委員、お願いします。

○中田委員 修文依頼ではないのですけれども、地方消費者行政の在り方について、1点だけ改めて強調しておきたい点があるので、お伝えしたいと思います。

4ページの2に「2025年度以降の地方消費者行政に関する消費者庁の方針を早急に明確にすべき」と書かれていますが、この点は、改めて早急に対応をお願いしたいと思います。

私も、地方自治体の職員の方々と業務をすることがあるのですが、消費者行政を支える消費生活相談員を十分確保することができないという理由で、地元の消費者のトラブルを目の前にしながらも、十分な対応ができていないことを課題として認識している自治体が圧倒的に多いのではないかと思います。

私は伺えなかったのですが、沼津市の地方消費者行政視察での議論を拝見いたしましても、やはり様々な消費者行政の充実を図られている一方で、同様の課題が指摘されていたと思います。

2020年度から2024年度までに展開された「地方消費者行政強化作戦2020」の成果はどうだったのか、その評価を踏まえて、来年度以降の地方消費者行政について、小規模自治体も無数にあることを前提に、中央省庁で担うことと、自治体で担うことの再整理、例えば、消費生活相談員の増加とか、予算交付金増を所与の前提としない、例えば、広域連携やDX化、官民連携をより一層活用する等の柔軟性のあるイノベーティブな考え方を、早急に示していただきたいといったところを、ぜひ強調していただきたいと思います。修文の依頼ではございません。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今の点、とても重要なことだと思いますし、改めて御指摘いただいて、ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

星野委員から、先ほどの点について、修文案がチャットに出されているようです。

星野委員、何かこの点について、御発言ありますか。

○星野委員 これは、柿沼委員から修文案をお見せいただけますようにお願いいたしますということを書かれておりまして、先ほど申し上げたところを、少し文章化したところでございまして、特段、先ほど口頭で申し上げたところと変わるところございませんが、すみません。

○鹿野委員長 分かりました。ありがとうございます。

それでは、それも参考にさせていただいて、修文の案を、本日は素案ということでしたけれども、今度は素案ではなく案というような形で、次回に提示して御議論をいただくという段取りとさせていただければと思います。

本日は、次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の第2回意見の素案について意見交換を行いました。

既に事務局から御説明がありましたとおり、本日お示しした意見の素案では、第1として、次期消費者基本計画において、特に重要となる基本的な事項について、第2として、消費者政策を推進するための消費者行政の在り方について、そして第3として、個別施策に関する事項について、意見をまとめております。いずれも、次期消費者基本計画策定に当たり重要な観点になるものと考えているところです。

中でも第1において掲げているところの、これも幾つか下の見出しがありますが、

(1)の「悪質事業者の市場からの排除と被害救済の実効性確保」。

(2)の「悪質性、匿名性の高いインターネットやSNS上の表示・広告への対策」。

(3)の「決済制度の安全性・透明性の確保と消費者保護の一層の取組」ということは、消費者委員会として、次期消費者基本計画期間中に確実に実施すべき重要な事項であると考えております。この点は特に強調しておきたいと思います。

それから、本日委員から様々な御意見をいただきました。特に具体的な修文をいただいたところもありますし、趣旨の御指摘をいただいたところもございます。

今、逐一繰り返すというわけではございませんが、委員からいただいた御意見や本日の御議論を反映させる形で、この後、修文をして、次回の消費者委員会本会議に、意見第2回の案というものを示して、また、御議論をいただきたいと考えております。

それから、冒頭、今村委員からも御指摘がありましたように、本日第1の議題として取り上げた点に関しましては、今回の素案には盛り込まれてはいないわけなのですが、次回の案は、この点を盛り込んだ形で作成し、御議論いただきたいと考えております。よろしいでしょうか。

ありがとうございました。それでは、そのようにさせていただきたいと思います。


《4. その他》

○鹿野委員長 それでは、次に、その他というところで、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは「消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等一覧(8月分)」と表題についてありますものを御覧いただけますでしょうか。

まず、最初の御意見書でございますが、マッチングアプリに関し、インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律の改正を求める意見書となっております。

内容を見ますと、いわゆるマッチングアプリを契機としたロマンス詐欺をはじめとする消費者被害が急増しているという現状を踏まえ、以下のとおり意見を述べるということでございます。

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律について、広く同事業の利用者を相手方として、インターネット紹介事業を利用して、詐欺その他組織的犯罪を企図する者を排除し、もって同事業における犯罪被害の発生を防止することをも規制目的に加える抜本的な改正を求めるとなっております。

特に2番目の(2)として、本人確認について、運転免許証に搭載されたICチップなどを用いた公的個人認証を原則とすべきだという内容も含まれております。

その次に、機能性表示食品制度の抜本的見直しを求める意見書となっております。

右側のところを言いますと、機能性表示食品制度についてとして、1つ目として、健康被害情報の収集、行政機関への情報提供の義務等についての事柄。

2つ目といたしまして、製造管理及び品質管理等及び機能性関与成分に関すること。

3つ目として、届出制から許可制への抜本的な制度変更。

4つ目として、機能性表示食品に関する情報伝達の在り方についての御意見をいただいております。

次に、公益通報者保護法のさらなる改正と制度の充実を求める意見書でございます。

右側のポイントのところを見ますと、複数の内容が記載されております。

1つ目として、通報者に対する不利益取扱いをしたことに対する行政措置、同行政措置に従わない場合の刑事罰を設けるべきであるということになっております。

また、2つ目として、公益通報をしたことを理由として、解雇その他不利益な取扱いについての因果関係の立証責任を事業者に転換する法律上の規定を設けるべきであるとされております。

また、4つ目として、通報者として保護される対象者を取引先事業者まで含めるべきではないかでございますとか、6番として、外部公益通報受付窓口の設置を推奨すべきであるといった事柄となっております。

また、その他としてでございますが、HPVワクチンのことについての事柄が1件と、それから商業登記規則等の一部を改正する事柄についてのものが1件となっております。

団体から寄せられました意見などのほかに、個人の方からも1件の意見書が、取引契約関係について寄せられております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

委員から、この点について何か御意見等がありましたらお願いします。いかがですか。

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

御意見を出していただいた皆様には、厚く御礼を申し上げます。

これらの意見書等につきましては、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることといたしたいと思います。


《5. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の会合につきましては、決まり次第、また、ホームページなどを通じてお知らせいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)