第442回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年8月7日(水)10:00~12:34

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、山本委員
  • 【説明者】
    デジタル庁 須賀参事官
    国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当 髙本官房参事官(併任 デジタル庁 参事官)
    犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長 髙橋弁護士
    株式会社第一生命経済研究所 宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(自動運転における消費者保護)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、こんにちは。

本日は、お忙しいところ御参集いただきまして、ありがとうございます。

ただいまから、第442回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。また、今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。

原田委員、星野委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(自動運転における消費者保護)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として「自動運転における消費者保護」について御議論いただきます。

自動運転は、交通事故の減少による交通安全の向上はもとより、無人運転を可能とすることによる運転手不足の解消など、我が国が抱える社会的課題を解決するために、非常に重要なものであります。

特に過疎地域を中心に、公共交通機関のドライバー不足が深刻になってきており、このような課題を解決し、地域の住民がそれぞれの地域で便利に、かつ豊かな生活を送ることができる社会を築いていくためにも、早期の社会実装が期待されています。

自動運転の社会実装に当たっては、消費者保護の観点が置き去りにされないようにするべきであり、本年4月22日に、当委員会において取りまとめた次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見の中でも、その点について指摘していたところでございます。

政府においては、自動運転車の社会的ルールの在り方を検討するためのワーキンググループが立ち上げられ、既に報告書が取りまとめられております。

本日は、この報告書の内容について御報告をいただき、消費者の生命・身体の安全確保等の観点から、自動運転車の安全確保の方策、事故原因究明等を通じた再発防止、事故が発生した場合の法的責任及び被害者、ここでは、主に生活者としての消費者のことを念頭に置いているのですが、その被害者の救済について、現状及び今後の取組を確認したいと思います。

その上で、行政機関が行うべき取組、事業者が対応すべきこと、消費者への啓発に盛り込むべき点等について意見交換を行いたいと思います。

本日は、AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方検討サブワーキンググループ事務局として、デジタル庁の須賀参事官に、オンラインにて御出席いただいております。

また、有識者として、犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長の髙橋弁護士、そして、株式会社第一生命経済研究所常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員の宮木様に会議室にて御出席いただいております。

また、質疑対応として、国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当の髙本官房参事官にオンラインにて御出席いただいております。

皆様、本日はお忙しいところ、どうもありがとうございます。

本日の進め方ですが、デジタル庁、髙橋弁護士、宮木様の順で御発表いただき、全ての発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を60分程度取らせていただく予定です。

それでは、早速ですが、最初にデジタル庁の須賀参事官、よろしくお願いします。

○デジタル庁須賀参事官 ただいま御紹介いただきました、デジタル庁参事官の須賀でございます。

お手元にお配りしている資料と同じものですが、画面に共有しながら御説明をさせていただきたいと思います。

今、御紹介いただきました、AI時代における自動運転車の社会的ルールの在り方に関する検討サブワーキンググループというものは、昨年の末に、デジタル庁と国交省、経産省の三者が合同事務局として立ち上げたものでございまして、モビリティワーキングというデジタル庁のお座敷の下に、サブワーキングという形で設置をされまして、報告書のほうは、デジタル行財政改革の会議のほうに、6月に報告させていただいた内容になります。

次のページをめくっていただきますけれども、そもそも改めてこの検討を行うべきだとなった背景でございますけれども、このAI時代における自動運転車というのは、主に無人の自動運転車を指しております。

これまでは、事故責任というのは、主に人間のドライバー、運転者が負うという前提で様々な責任制度の設計がなされてきておりますが、この先、AI時代においては、この運転者がいない自動運転車というものを概念する必要があるだろうということで、さらに、これが高齢者によるペダルの踏み間違いの事故などの人間の運転者によるミスに起因した事故が非常に多くて、社会問題化をしているという背景、それから地域の公共交通において、ドライバーの人手不足が深刻化して地域の足が脅かされていると、こういった背景を基に、新たな地域交通の手段として、ドライバーレスの自動運転車の早期の社会実装への期待というのが非常に高まっているという背景から、この車の技術的な開発の支援だけにとどまらず、こういった事故がこの後起こってきたときに、一体誰が、どういった場合に責任を負うのかということをより明確にして、予測性を向上することで、社会実装のさらなる加速、関係者の参入を目指すということを意図しまして、この検討を始めたところであります。

資料の左側の下のほうに書いておりますけれども、目指したのは、行政責任、刑事責任、民事責任、全体を見渡したときの法的な責任判断の予測性をなるべく上げていきたいということで、ドライバーがいない無人の自動運転車が事故を起こした場合に、ドライバー以外に、例えば開発者あるいは運行者といった様々な関係者が運行に関わるわけですけれども、誰がどういった場合に、どこまで責任を負うのかということが必ずしも現行ルールでは明確でないために、予測の可能性が立たなくて、どこまでも責任を負うわけにはいかないということで、参入をちゅうちょする要因になっているという声が聞かれたこと。

それから、もう一つ、自動運転の車といいますのは、これまでのようにドライバーに事故が起きたときに何があったのと事情を聴取するということで原因究明ができるとは限らなくて、自動運行装置の解析を含めて、様々な専門的な知識による原因究明と、それから再発防止が必要になりますし、その取組がしっかり仕組化できれば、さらなる学習を促進して、今後の事故の発生可能性を大きく抑制していくことができるという可能性もありますので、そういった意味で、これを独立かつ専門的な組織において、しっかり事故原因究明を行っていくような仕組みが必要ではないか、こういった問題意識を踏まえて御検討いただいたものになります。

次のページですけれども、この背景には、直近23年の自動車関連の交通の死亡事故だけ取りましても、主に帰責されるべき者が人間のドライバーであったという事案が88.3パーセントを占めておりまして、さらに、これを死亡だけではなくて重症以上まで広げますと92パーセント、そして全事故まで含めますと96.1パーセントにわたるものが、運転者のミスに起因する人的な要因での事故であるということが数字の上で分かっておりまして、自動運転の車でドライバーのミスというものを防いでいきますと、この交通事故の大幅な削減が期待できるであろうということを前提に検討しております。

さらに、その次のページで、交通事故の場合は、被害者等の心情への十分な配慮というものが大変大事になりますので、本日もプレゼンをされます髙橋先生のお導きで、関東交通犯罪遺族の会、あいの会のメンバーの皆様にも議論に参加していただいて、お話を伺いながら検討してまいりましたけれども、ここには、まさにあいの会の方々からおっしゃっていただいた資料をそのまま載せていますが、高齢のドライバーの免許の返納というのを呼びかけるだけではどうしても進まなくて、地方の足の不足と、移動の足の不足の中で、呼びかけだけでは進まないところは、自動運転の車が普及していくことは大事だと思っていると。当然事故をなくしてほしい、安全性を十分に確保する努力は、当然関係者が行うべきであるけれども、そして、ヒューマンエラーはゼロにより近づけていくということに設計上なりますが、とはいえ、残念ながら自動運転であっても、完全に交通事故をゼロにするということは科学的に不可能であるという前提で、しっかりと事故が起きた場合にどうしたらいいのかという制度を、今から検討していく必要があるということをおっしゃっていただきました。

他方で、留意したのは、道交法に違反するような自動運転を行ったときに、本来責任を問われるのに、自動運転の車を導入したいので仕方ないから刑事免責というようなことは一切議論としては受け入れられない、行われるべきではないということ。

それから、責任制度のほかに、被害の軽減の仕組みとか、それから事故原因についての情報開示なども重要だということをおっしゃっていただきまして、こういったことを大前提に検討して参ったものでございます。

次のページが、全体の論点を1枚にまとめたものでございまして、大変文字が多くてうるさくなっております。少し、このページを御覧いただいたままで、その次のページに具体的に載せております論点の内容を御紹介したいと思います。

1つ目ですけれども一番左側、まずは無人運転の自動運転車が社会に入ってくるときというのは、保安基準を守った車かという、安全規制、基準認証のフィルターがかかります。この自動運行装置を認可する段階において、一体どの程度の安全性を具体的に達成するべきなのかということを、もう少ししっかりと具体化をしようということが、まず合意されました。

そして、この合意、具体化というのが24年度から行いまして、25年度にかけて取りまとめを行うということで、国交省さんリードでやっていただくことになっております。

さらに、中長期的には、これを具体化する先に、定量化ですね、プログラミングを最終的にはしなければなりませんので、プログラムが読み込めるような機械可読性の高い書き方をルールの側でしていけないかということで、この定量化にも取り組むということが目標になっております。

さらに、左側の一番下に、注の先に③で書いておりますけれども、この保安基準の具体化に併せまして、交通ルールのほうも警察庁さんにリードしていただいて、ソフトウエアの作成に向けた交通ルールの具体的な遵守方法をしっかり検討していくと、人間のドライバーではなくて、ソフトウエア、システムがルールを守るということを前提に、しっかりと交通ルールを検討していくということも併せてやっていただくことになっております。

さらに、これを検討していくのに当たって、この後出てまいりますけれども、法務省さんと警察庁さんにも御協力をいただきまして、保安基準を具体化するときに、国交省さんが単独で御検討されるのではなくて、これが最終的にしっかりと刑事責任を問うときの参考になるような形で参照されるような基準として十分なものかどうかという観点から、策定に御協力をいただくということも決まっております。

そして、次に、事故が不幸にして起きた場合、事故やインシデントが起きた場合が、次の左から2つ目の縦のラインになります。

上が、個別の事故の調査です。こちらに関して、まず、当面できることといたしまして、国交省さんのほうで、車を認可されるときに、重大な事故が発生したときには、事故調査にもしっかりと協力してほしいということを、少なくとも認可を受けられる事業者さんに対しては、しっかりと協力を促すという方策を御検討いただくことになっております。

さらに、7番が、大きな論点になりますけれども、この迅速かつ実効性のある原因究明のために、職権行使の独立性が保障されている運輸安全委員会のような組織による事故調査機関の設置に向けた検討を今年度から行い、25年中に取りまとめを行うということになっております。

さらに、この新しく事故調査機関というものを設置していくに当たっては、既存の捜査機関の捜査との連携というものが、同時並行で捜査も進みますので、連携の在り方についての検討というものも、しっかりと警察庁さん、法務省さん、国交省さんで連携していただいて行っていくということになっております。

それから、同じ列の下のほうが、今度はマクロと呼んでおりますけれども、1件1件の事故の原因を深く分析していくのとは別に、どういった場所で、どういった状況で事故が起きやすいのか、あるいは事故に至らないニアミス、ヒヤリハットと呼ぶ方もいらっしゃいますが、ニアミスが起きやすいのかということをしっかりと情報収集いたしまして、こういった場合にはより気をつけようということで、ルールやシステムにフィードバックをかけていくような仕組みが、AIの時代には非常に重要になるということでありまして、9番で書いていますとおり、軽微な事故やニアミスについても情報収集をし、安全性の向上に向けた検証、分析、提供を行うための仕組みについてもしっかり検討しようということ。

それから、10番も「デジタルライフライン全国総合整備計画」のアーリーハーベストプロジェクトというものの中に実証が行われるのですが、その実証などの結果も踏まえまして、よりどういったデータをどのような範囲で、誰が収集をし、どのようにフィードバックをかけていくと、より安全性が高まっていくのかということについての検討も行っていこうということになっております。

それから、インフラ側からの提供される情報が、どの程度役に立つのか、安全性の向上に寄与するのかということについても、今年度から実証を行い、25年度以降にしっかりと検討を行っていくということで、11番に書かせていただいております。

その次に、右側のほうへ参りますけれども、結局、事故原因というのはいろいろございますけれども、今回、特に論点として深く御議論いただきましたのは、青い色をつけたものでございまして、自動運転を行っていいODDの範囲内にまずあることが前提です。ODDの外というのは、人間のドライバーが運転していなければいけなかった、ルール上いけなかったような場合ということで、これはもともとの責任判断に戻ってまいります。

他方、水色の部分で、ODDの中にあったと事故原因究明をした結果認定をされ、さらにプログラムをしっかりと分析したところ、当時求めた保安基準やガイドラインには適合する性能をしっかりと発揮していたと判断される場合が、限界事例としてあり得ると。

そういった場合に、一体どのような責任判断を取られるべきかというのが、今回特に御検討いただいた点でございまして、そのまま右側へ行きますけれども、この責任判断というところに、行政、刑事、民事と3つ欄を設けておりますが、まず、行政責任に関しては、自動運転の車の製造者に事故が起きてしまったのだから、問答無用で認可の取消しだという行政処分は、起こらないという世界観をつくる必要があるというのがまず1つ目で、むしろ行政処分をするということよりは、必要に応じ、再発防止に向けて、保安基準やガイドライン自体のアップデート、技術の進化に合わせて、ガイドライン自体をアップデートしていくというほうが先行するべきであり、そのガイドラインがアップデートされたものに合わせて、一体どのタイミングで、どういった車に対してプログラムの更新を求めていくのかということの仕組みの検討が必要だということが、⑤番に書いていることでございます。

次に、刑事の責任に関しましては、当然、事案に応じた刑事責任が発生するということでありますけれども、この一番左側の保安基準/ガイドラインというものに、刑事当局も一緒に御検討に入っていただくことによって、適正かつ合理的な、この時代に期待される水準として十分な内容の保安基準/ガイドラインがあるということが認定された場合に、それを守っていたということであれば、処分を決するに当たって適切に考慮されるというような世界が必要ではないかということで、そういったことが起こり得るように、保安基準やガイドラインをしっかりとつくっていくというところで、まず、協力をするということになっております。

それから、一番右側ですけれども、民事の責任に関しては、基本的に、これは裁判所で当然全て責任判断というのは、最終的になされるものですけれども、自動運転車の設計、製造に係る過失や欠陥がなかったと事実認定がされる蓋然性が高まると私たちとしては考えておりまして、ただ、そのような場合にも、被害自体は、事故が起きて生じておりますので、被害者補償に穴が起きないように、どういった車にひかれたかによって、補償の在り方が変わってしまうということがないように、しっかりと補償は別途検討していく必要があるということでありまして、この12番に書いているとおり、自賠法における損害賠償責任に関して、特に個人のドライバー、マイカーのドライバーの場合に、このままの責任関係でいいのかということも含めて、国交省さんで検討いただくということになっております。

そして、一番右下に枠外で少し書かせていただいておりますけれども、製造物全般に及ぶ製造物責任についても、この自動運転のAIで無人の自動運転というのは、相当特殊な材でございますけれども、そういったものが、この全体の責任制度のバランスの中で、どういった留意点があるのかということについては、消費者庁さんを中心に関係省庁が連携いたしまして、調査や検討を行っていくということにしております。

次のページは、今、私が申し上げたことの御説明になっておりますので、飛ばさせていただきまして、その次のページですけれども、7ページ、これが工程表になっておりまして、基本的に、今、24年度から、もう既に全て着手をするということになっておりますが、その中でも濃い青の線が引かれているものが、短期25年の夏頃、年央までに検討を終わらせることを合意したものでございまして、具体的には保安基準/ガイドラインの具体化、それから調査協力の義務づけに係る検討、そして、9番の事故原因の検証・分析のための情報共有の仕組みの検討といったものになっております。

それから、アップデートした保安基準への適合を求める仕組みに係る検討も同じでございます。

最後にITARDAという、次のページですが、今、この瞬間、自動運転の事故調査の委員会が、実は設置されておりまして、それと今回御提案させていただいた運輸安全委員会の比較表を載せております。

これは、事故原因の調査を基本的に一般社団あるいは一般財団法人を指定するという仕組みの中で、ITARDAに自動運転車事故調査委員会というものが設置されているのが現状でございまして、この委員会というのは、基本的に任意の調査権限しかないということでありますけれども、この右側の運輸安全委員会というのは、3条委員会と俗に言われるもので、いろいろ独立性を保ちながら、しっかりと様々な権限を持って、法定の調査をしていくという機関になっております。

最後のページは、この御検討に御協力いただきましたサブワーキングのメンバーの先生方のリストと、それから、過去の議論の経緯を載せております。

この消費者委員会のメンバーになられている原田先生も、こちらのサブワーキングでは構成員として御議論に参加をいただきました。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、髙橋弁護士、よろしくお願いします。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 初めまして、弁護士の髙橋正人と申します。

私は、平成30年に解散しました、全国犯罪被害者の会、旧・あすの会の副代表幹事として、犯罪被害者の権利獲得のための仕事を中心に行ってきました。

具体的には、被害者参加制度や損害賠償命令制度など被害者のための刑事司法制度の創設に深く関わってきました。

また、現在は、関東交通犯罪遺族の会、通称あいの会の顧問弁護団の代表弁護士をやっております。

他方、私は、法学部の出身ではなくて、理学部の出身ということもあって、自動運転に対しては、大賛成の立場です。

これから申し上げることの中には、自動運転に対して否定的な発言に聞こえる箇所も多々あるかとは思いますが、ただ、それは、自動運転の実現のためには、ぜひともこういった改善をしていただきたい、その上で、ぜひとも安全な自動運転を実現してほしい、そういう趣旨だと理解していただければと思います。

まず、1ページ目をご覧下さい。

1番目、刑事免責制度は設けるべきではない。

2番目、メーカーは道交法を十分理解していないおそれがある。

3番目、自動車損害賠償法3条は改正すべき。

この3つの点についてお話しします。

1と2は、誰が消費者に当たるかというと、犯罪被害者がこれに当たります。従って、交通事故の被害者を保護するという観点からのお話です。

3番目は、誰が消費者になるかといったら、これはユーザーです。車を買う人です。この車を買う人の保護という観点からお話をすることになります。

2ページ目に行きます。

では、1つずつお話しします。

まず、刑事免責制度は導入すべきではないというお話なのですが、何でこんな話が出てきたのかということであります。

先ほど御説明がありましたように、デジタル庁の検討会では当初、この刑事免責制度を設けるべきではないかという、そういった議論がありました。

それは、なぜかというと、プログラムの開発担当者としては、仮に死亡事故が発生したときに、プログラミングの設定ミスだということで、一々刑事責任を負わされてしまうのでは、開発意欲が削がれてしまうという理由からでした。ですから、この開発意欲を削がないようにするために、さらには、科学の発展のために、どんな場合であっても、死傷事故が発生しても、刑事上の責任、具体的には、自動車運転処罰法違反、つまり過失運転致死傷罪には問われない、あるいは業務上過失致死傷罪に問われない、そういう制度を設けてほしいという意見がありました。

ただ、これはよく考えてみますと、メーカーに一種の治外法権類似の制度を認めるのに等しいのです。実は、全世界、先進国も後進国も含めて、刑事上責任を負わないなどという制度を設けるところはどこもありません。あるのは1か所だけです。それは、在外公館だけです。大使館だけなのです。大使館員です。例えば、大使が交通事故を起こします。これは、我が国では処罰することができません。このように治外法権というのは、外交官にしか認められていないのです。

にもかかわらず、なぜメーカーに一種の治外法権を認めるのか、これは大問題だと私は思ったわけであります。

実際に、自動運転がかなり進んでいる航空業界であっても、ヒューマンエラーとか、プログラムのミスがあれば、メーカーとかあるいは開発担当者は刑事責任を問われます。医療の世界だってそうです。どこの世界だってミスがあれば、刑事責任を問われる、これは当たり前の話なのです。

にもかかわらず、なぜ自動車メーカーだけが免責されるのか、これは、どう見ても公平性を害する、法秩序全体の体系に反するということを、私が、まず、第一に言いたかったことであります。

次に、犯罪被害者からすれば、つまり交通事故の被害者からすれば、刑事免責制度は、とてもではないけれども、受け入れられません。被害者と言っても、いろいろなタイプがあると思います。例えば、一番典型的な例でいけば、小学校の目の前で、横断歩道上で集団登校していた。そこに時速40キロで走ってきて全然減速しないでひかれてしまった。

こうやってひかれてしまったときに、減速しなかったのは、実はプログラムの設定ミスだったと言ったときに、果たしてこれを業務上過失致死傷罪あるいは過失運転致死傷罪から除外していいのかと、そんなことは誰が納得するでしょうか。国民の理解を得ることはできません。

では、プログラム作成にあたって、ヒューマンエラーは、本当に起こるのか、ということなのですけれども、起こります。

これは、有名な話なのですけれども、1つの例にすぎませんが、1998年に打上げ、1999年に火星に到達した、マーズ・クライメイト・オービターという火星探査機がありました。この火星探査機が火星まで行って、いよいよ着陸する、そこまで行けば、ほとんど8割ぐらい成功であります。ところが、着陸するために逆噴射をした。逆噴射をしたら、なぜか知らないけれども、その噴射が遅くて、火星の表面に激突してしまったのです。なぜだろう、後から調べたら、逆噴射の指令を出すのは管制センターですからNASA、マーズ・クライメイト・オービターという火星探査機をつくるのはメーカーです。NASAはメートル法、メーカーはヤード法だったのです。ですから、そこで食い違いが生じてしまった。こんなばかみたいなことが本当に起きたのです。

約6.6億キロ、9か月かけて何百億とかけたものが、全てたったそれだけですっ飛んでしまったわけです。こういったことというのは、やはり実際に起きます。科学といっても、科学が動かしているわけではないのです。その科学のプログラムを作っているのは人間であり、そこにヒューマンエラーが入るのです。ですから、そういったヒューマンエラーをなくすためにも、やはり刑事免責制度は設けるべきではない。刑事免責制度の導入は、被害者にとっては納得ができないということを強調させていただきたいと思います。

こういった理由などから、デジタル庁の検討会では、最終的には刑事免責制度は設けないということに、ほぼ固まって、最終報告書ができたわけであります。

次に、メーカーは道交法を十分に理解していないおそれがあるのではないかということを指摘させていただきたい。

これは、私は、実は大問題だと思っております。メーカーは、みんな理系の方です。科学者です。科学者というのは、どういう発想をするかというと、観測、観察、実験なのです。例えば、天文学であれば観測です、医学とか生物学であれば、顕微鏡を見て観察することです、さらに、天文学も医学も生物も物理学も何でもそうですけれども、実験をします。

つまり、最初に目の前に、なんらかの対象があって、その対象を観測、観察、実験することから始まり、その結果として、理論が作られていくのです。理論が先ではないのです。対象があって、そこから理論を構築していくのです。

私は、今のメーカーの自動運転のつくり方を見ていると、ここに人間がいる、この人間はどういう動きをするか、あるいはここから車が来ている、あるいは対向車両がいる、そういうことを、要するにカメラとかレーザーで感知して、そして、どういうプログラムを作れば、事故を回避することができるか、そのためには、どういう運転の挙動をしたらいいかをメインに据えて考えているように思われます。

道交法も、そういう観点から、もちろんできていますが、ただ、それだけではありません。道交法では、横断歩道における歩行者優先の原則がとられています。つまり事故が起きる、起きないとは関係がないのです。歩行者を優先させなさいという発想が含まれているのです。ここの点が、メーカーの方々には良く理解されていない点だと、デジタル庁の検討会に参加させていただいて、つくづく感じたところであります。

その一番問題となる例をご紹介したいと思います。

3ページです。道路交通法38条1項前段問題、これは大変な問題です。

38条1項前段は何て書いてあるかということなのですけれども、少し法文が難しいので、簡単に言うと、こういうことです。車が横断歩道を通過しようとするときは、横断しようとする歩行者または自転車がいないことが明らかな場合を除いて、常に、横断歩道の直前、停止線があれば停止線の直前で停止できることができるような速度で進行しなければいけないと書かれてあります。この停止することができるような速度というのは、減速よりももっと低いです。徐行よりも低いです。時速数キロです。一般的に減速は20キロぐらいと言われています。徐行は5キロから15キロの間くらいと言われています。そして停止することができるような速度というのは5キロ未満です。

しかもこれは、急ブレーキをかけて停止することができるというのでは駄目なのです。急ブレーキをかけないで、自然なブレーキ操作で停止線の手前で停止できるような速度まで速度を下げないといけないのです。歩行者や自転車がいるか、いないか分からない場合、つまり、不明な場合は、常に停止できるような速度にしなくてはいけないのです。

歩行者や自転車がいないことが明らか、とは言えない場合としては、いろいろな例があります。例えば1、横断歩道の入り口付近に歩行者が立っているけれども、横断歩道を渡ろうとしているのか、車の通行を待っているのか、ただ単に携帯で友達と電話をかけているのかよく分からない、そういう場合です。

果たして、こういうものを自動運転で感知できるでしょうか。人が立っていて、私は渡ろうと思っていた、いや、私は単にぼうっと考えごとをしていたなどということを観測、観察しているカメラとかレーザーで感知などできるわけがないです。

でも、こういう場合は、常に停止できるような速度まで落とさないと、道路交通法違反となります。あと、横断歩道の入り口に駐車車両、電話ボックス、塀などがある場合、こういう場合、物陰から歩行者が出てくるかもしれませんから、この場合も停止できるような速度にしなくてはいけません。

さらに、道路の中央に街路樹があるとか、あるいは雨降りの場で街灯がなく、暗くてよく分からない、見通しのきかないカーブの先の陰に横断歩道が設けられているようなときも、全て停止できるような速度にしなくてはいけないのです。

次の4ページを開けてください。

横断歩道がありますね。

この横断歩道を見ると歩行者や自転車がいないことが明らかではないかと、皆さん思うかもしれません。しかし、この写真の現場は、いないことが明らかな場合には当たりません。なぜなら、右側の写真の右側のところに、赤い樹木の塀がありますね。そのため、右側の交差道路の向こうがよく見えていないのです。そして、よく見ていただくと、この右側の赤い樹木の下にコンクリートのブロックがあって、その向こう側に少し何か出ているのが見えるでしょう、黒い物体が。これは、私が、わざと置いたのです。これは、ベビーカーです。ですから、ベビーカーの後ろに、母親がいることになります。これは、人がいないことが明らかとは言えないことになります。従って、停止できるような速度に落とさないといけません。

こういったことを果たして自動運転が感知できるでしょうか。特に、横断歩道というのは、特に、押しボタン式の場合が多いです。押しボタン式ということは、押しボタンを押す電信柱があるということになります。電信柱の陰にいる人が大人であれば見えるかもしれない。しかし、小さな子供だったら電信柱の陰に隠れます。ですから電信柱があるイコール停止できるような速度で進行しなくてはいけないのです。これを全部やらなくてはいけないのです。正直言いますと、自動運転が半分位実現されて、自動運転ではない車が半分ある世界がこれから実現したら、大渋滞を起こすのではないかと私は危惧しています。なぜなら、残念なことに、このような横断歩道で、停止できるような速度で走行している車は現実には、余り見かけないからです。自動運転化には、こういう問題が実はあるのです。

そして、停止できるような速度で走行せず、実際に人をはねてしまったら、ほぼ間違いなく過失運転致死傷罪で今は起訴されています。そして、これが小学校の前などの通学路、通学時間帯の事故だったら、執行猶予すらつかないことがあります。多くの場合、実刑となります。横断歩道に対しては、このくらい厳しく、道路交通法は歩行者優先で作られていて、実際の刑事手続きの実務も、これを前提に運用されています。自動運転化になったとき、もし、こういったことを守らないでシステムを作ってしまったら、そして死傷事故が発生してしまったら、メーカーの開発担当者は刑事罰を課せられる可能性があります。

道路交通法解析という非常に有名な本がありますけれども、ここにも書いてあります。横断歩道では人が飛び出してきてもよいことを前提につくられていますと書いてあるのです。つまり飛び出してきても止まれるような速度で走行していれば、事故は起きませんよと、そのように守ってくださいと書かれてあります。まさに歩行者優先の原則になっているのです。

次の5ページの写真のところを見ていただくと、ここのところも曲がり角の先のほうに横断歩道があることがお分かりかと思います。これも人がいないことが明らかとはとても言えませんから、これも、停止線の手前で停止できるような速度まで減速しなくてはいけません。

さらに、私はここでは書かなかったのですけれども、もう一つ実は大きな問題があります。これは、デジタル庁の検討会とかでもお話をしましたけれども、道路交通法36条3項、42条1項1号問題なのです。どういう問題かと言ったら、この5ページのところで説明します。

まず、前提として、ここに横断歩道がないことを前提で説明します。右側に緑の建物があります。緑の建物と向こうの小学校との間に小さな交差道路があります。この交差道路をBだとします。私が写真の手前から走っているこっちの道路をAだとします。AはBよりも明らかに広いです。ですから、Bから来る車は、ここでは徐行しなくてはいけません。つまり、信号機のない見通しの悪い交差点で、交差道路のほうが明らかに広いですから、Bから来る車は徐行しなくてはいけません。

では、Aの車はどうなのか、Aも実は徐行しなくてはいけないのです。これは、道路交通法42条1項1号に書いてあるのです。42条1項1号は、その交差道路と自分の道路との広狭如何にかかわらず、交通整理の行われていない見通しの悪い交差点では、すべて徐行しなくてはいけないと書いてあるのです。実際、徐行をしている人は、ほとんど私は見たことがないですけれども、でも、これが自動運転になった場合には、常に徐行するようにしなくてはいけません。そうでなければ、道路交通法違反の車が社会を闊歩することになってしまうからです。しかも、問題は、この明らかに広い、その概念自体も裁判例でいろいろ分かれていることです。2倍以上ではあれば明らかに広い、1.5倍以下であれば明らかに広いとは言えない、1.5倍と2倍の間は裁判例が分かれています。この裁判例も全て読み込まないと、自動運転というのは、本当はつくることができないはずなのです。

1つ手前の4ページの写真を見てください。この4ページのところに横断歩道がなかったとします。手前から行く道路をX、先ほどベビーカーがあった道路をYだとします。これを私、現場で計測したら、Xが明らかに広いとは言えませんでした。1.5倍から2倍の間でしたから裁判例が分かれてしまうのです。

こういったことを、果たして自動運転車が感知できるかといったら、これはほとんど無理ではないかと私は思うのです。3次元的に感知しない限り、2次元的に平面から見ただけでは、なかなか感知することは難しいと思います。

こういった道路交通法を守らないで、自動運転がつくられてしまったらどうするのかと、私は懸念しています。

ですから、道路交通法をきちんと守るようなプログラムにするか、あるいは道路交通法自体を自動運転に限って特別法をつくって改正するか、このどちらかしか、私は、解決方法はないと思っております。

次に3番目、自動車損害賠償保障法3条は改正すべきということを説明します。最後の6ページに纏めました。

交通事故が起きた場合、法形式上は、民法709条と自動車損害賠償保障法第3条の双方が適用されます。しかし、実務では、民法709条の不法行為責任については、ほとんど適用されていません。一応709条違反についても訴状には書きますが、実際には、自賠法3条だけで処理しています。

なぜかといったら、709条の場合は、被害者側に、車に過失があったことの立証責任がありますが、自賠法3条では逆となっているからです。車の側に、自分に過失がなかったことの立証責任があるわけです。ですから、被害者から見ると、自賠法3条のほうが有利ですから、709条は一応書くけれども、実際には、自賠法3条のことしか考えていません。

そして、車の運転者が自分に過失がないことの立証というのは、ほとんど不可能ですから、被害者が厚く保護されるのです。

そして、それでもなぜ良いかといったら、それは、お金を払うのは、現実には運転者ではないからなのです。保険会社だからなのです。保険会社に払ってもらうために保険料を毎年払っているわけです。こういったシステムで民事はうまく回っているわけです。

ところが、これが自動運転になったらどうでしょうか。自動運転でレベル3までならまだいいです。ハンドルとブレーキとアクセルペダルがありますから事故が起きたとき運転者の責任としても問題ありません。ところが、自動運転のレベル4と5になると、ハンドルもない、ブレーキペダルもない、アクセルペダルも何もありません。ところで、自動車損害賠償保障法3条が適用される人というのは、運行供用者と言われています。運行供用者というのは、運行に対して支配性を持っていて、且つ運行によって利益を受けている者を言います。自動運転でなければ、自分でハンドルを持って、自分でペダルを踏んでいるのですから、運転者が運行を支配しています。かつ、運行することによって、場所的な移動が起きていますから運転者自身が運行上の利益を受けています。ですから自動運転でなければ、運転者が運行供用者となりますから、死傷事故が起きたとき、その人に賠償責任を負わせても問題がありません。ところが、自動運転のレベル4と5になるとどうでしょうか。ハンドルもブレーキもアクセルペダルもない、ただ単に座っているだけです。座っている人が運行を支配していると言えるわけがありません。にもかかわらず、一応国交省では、現段階では、レベル4までは、一応ユーザーに自賠法3条を適用すると言っています。つまり、運転していない仮想の運転者に自賠法3条を適用するわけです。これは言ってみれば、公共交通機関に乗っていて、人身事故が起きたら乗客が賠償責任を負わされるようなものです。こんなことは、とてもではないけれども、国民の理解など得られるわけがないと私は思うのです。

では、どうすればいいかということであります。結局、これは自賠法3条を改正するしかないと思います。メーカーは自動運転の車を売却しているだけですから、売却利益はあっても運行そのものから利益は得ていません。ですから、運行利益が否定されます。そこで、責任を負う主体を、運行支配者且つ運行によって利益を受けているという意味での運行供用者とするのではなく、単なる運行支配者にするよう法改正するのです。そして、運行支配者というのは、自動運転の場合、誰かといったら、そのプログラムをつくっている人です。プログラムをつくって自動的に運転させている人、簡単に言えばメーカーの開発担当者であります。メーカーの開発担当者に、運行支配者として自賠法3条の責任を負わせるべきだと思います。

ですから、その場合は、メーカーに自動車損害賠償の保険会社に対して保険料を払って保険に入っていただくことになります。

さて、こうすると、こういう反論もありました。いや、そんなことをしたら保険料が莫大になってしまって大変ではないかと言うのです。でも、そんなことはありません。自動運転になったら劇的に事故が減ります。ということは、保険会社も保険金を払うケース、保険事故が圧倒的に減るわけです。ですから保険料が圧倒的に低額になるということであります。現在の保険料は、ネットのほうの自動車損害賠償の保険会社だったら、1万5,000円とか2万円ぐらいです。自動運転になったら、例えば、1,000件に1件、1万件に1件ぐらいしか事故が起きないとなったら、本当に100円とか1,000円ぐらいで年間の保険料は済むのではないかと思うのです。そういった保険料ぐらい負担させても、メーカーにとって、大きな営業上の負担にはならないと思うのです。こうやって全面的に法改正をしていかなければ、ユーザーの保護にはならないのではないかと私は思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、第一生命経済研究所の宮木様、よろしくお願いします。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 資料共有しますので、しばらくお待ちください。

お待たせいたしました。第一生命経済研究所の宮木と申します。よろしくお願いいたします。

私からは、自動運転の社会的受容の醸成が、なぜ必要なのかというところからお話をさせていただきます。

現在、私、様々な業務で消費者庁の関係のほうと、それから自動運転の関係のほうのお仕事をさせていただいています。なぜ、私が第一生命経済研究所というところで自動運転を研究しているのかというところなのですが、自動運転の社会実装に必要なアクションとして、まずは「技術開発」、安全性を含む技術として自動運転を可能にしていくところが、まず第1点。

そして第2点、法改正を含む「制度整備」というところが非常に重要になってくる。その2つだけで自動運転が安全に走らせられるかと申しますと、先ほど来お話がありますように、技術にも限界がある、そして、法制度の整備にもやはり限界があるというところで考えますと、社会的にそれが受容されて、うまく使われるというところが非常に重要になってくると。

そこで、非常に重要なのが生活者視点というところで、ここで私が第一生命経済研究所で何十年も生活者の調査研究を行い、消費者の意識実態をフォローしてきたというところで、自動運転の「社会受容」の研究を開始したということになります。

実際、2016年に経産省の委員会に入れていただき、当時データがなかったので、第一生命経済研究所で個別に人々の意識をはかる調査を行いました。

その後、経産省、国交省からの委託として調査を継続し、途中から内閣府SIP事業とも連携をするというところで、かなり大規模な調査を毎年行ってまいりました。

現在は、既に、日本全国の様子というのが分かったので、その総括プラス、地域ごとの調査研究に、現在、従事しておりまして、RoAD to the L4事業だったり、それから、3月まではモビリティDX検討会だったり、それから、今、第7期ASV推進というところと連携しながら地域の情報収集を行っているところになります。

まず、日本におけるモビリティ課題というところに簡単に触れます。横軸に左が高齢者、右が若者、縦軸に交通機関の多い、少ないと書いてございますけれども、日本は7割が中山間地域でございますし、今、非常に高齢者が占める割合が高いというところで、中山間地域の高齢者のモビリティというところが注目されております。一方で、都市部の高齢者というのも非常にモビリティには課題がございます。

都市部は、公共交通がたくさんあるから大丈夫と考える方も多いのですけれども、実は年を取ってきたから公共交通が使いにくくなって自家用車を使うというシフトをされる方もいらっしゃり、都市部においてもモビリティは課題です。特に人口が集中しておりますので、渋滞とか、そういった交通課題もございます。

今、SDGsの目標11で「住み続けられるまちづくりを」というところがございますが、世界的に、今、都市はメガシティ化し、地方はモビリティが枯渇し、郊外はオールドニュータウン化しています。日本は、それが非常に先行して進んでいるところから、自動運転を含めて、今後モビリティ課題にどう対峙していくのかというのが注目されているところでございます。

生産年齢人口はどんどん減少しておりまして、労働力は今後不足していくというところと、人口がいずれの都道府県も減少し一部都市部のみ人口集中で増加しています。

そうした中で、高齢期の移動について、先ほど御紹介したアンケート調査から、人々がどのように今後考えているのかをみると、青のライン、「今、住んでいる地域では、高齢期の移動手段に不安がある」と回答している人は半数程度に及んでいます。

これは、実は年代とか性別に大きな差はなくて、差が顕著に見られるのは、「日常生活に自家用車が不可欠かどうか」という、自家用車依存度によるところがございます。

今、運転免許の返納というものが、高齢化に伴って課題となっておりますが、現在、免許返納が必要ではないかと危惧される身近な人について、「誰かしらいる」と回答している割合は3割程度に上っております。そのトップは「自分の父親」となっています。

右の円グラフは、その人は今後どうすると思いますかというところなのですが、3分の1弱が、何があっても運転を止めないとしていて、御家族は非常に悩んでいるというところです。免許を取り上げてしまうと、日常の移動にも困る。場合によっては心身の健康も支障を来すというところがあって、一体どのようにモビリティを確保したらよいかに悩んでいらっしゃる方は、全国に大勢いらっしゃるというところになります。

こちらが申請による運転免許の取消しです。自主返納というものです。2019年が非常に高かったのは、池袋自動車暴走事故の影響でございます。

ただ、その後、返納の件数というのはどんどん減っております。高齢者、特に男性の有免許者は、自動車の運転に自信があると回答している人が多く、70代の有免許者の男性の8割程度が自分の運転に自信があると回答していますので、なかなか自分の運転の能力の低下に気づきにくいというところもあります。

今、男性が非常に課題になっているように見えますが、年代別、性別に有免許者数をみると、高齢者ではかなり男性の有免許者が多いのですが、60代辺りから女性も非常に免許を持っております。女性のほうが長生きですから、今後、一人暮らしも増えるということを考えると、母親の免許返納が課題だというところも当然起こってくると考えられます。

これまで、高齢期のモビリティというのは何となく家族サポートでやってきたところもありますけれども、今後、一人暮らしが増えていく、世帯構成員も減っていく、未婚率の高い世代が高齢期に入るということで、特に男性で近親者のいない高齢者が増加します。

そうすると、家族による送迎機能も低下、限界が来ます。また、今、高齢ドライバーのヒヤリハット、例えば、車に傷があるとか、何か運転が怪しいのではないかというのを御家族が気づくケースが多いのですけれども、そういったことも気づくケースが減ってくるというところになります。

そうすると、モビリティに関わる社会課題としては、現在、公共交通は衰退している、そして担い手も不足している、一方で自家用車の依存度が非常に高く、代替交通手段の定着がなかなか難しい。そして、高齢化、特に高齢の女性における有免許者が今後増加する。そして、独居化が進むというところで、自動運転というソリューションは、「あったら便利」というレベルではなくて、今後のモビリティ環境に関わる社会課題のソリューションとして、早急に導入をしていくことが必要だと考えております。

一方で、自動運転の技術を社会に入れていくことによって、消費者が受容すべき項目というのが、大きく領域を分けて4つ、私は設定をしておりまして、まずは「①生活の変化」。例えば、これまで自家用車に乗っていた人たちが、場合によっては地方のサービスカー、バスとか公共交通としての自動運転に乗り換えるということなどが考えられます。

また、「②学習」としては、ルールを含めて新しくその技術、もしくはその技術を支える法律といったものを学ばないといけない。

そして、「③コスト」。これまで自家用車にかけていたコストを、場合によっては公共交通にスライドさせるとか、税金等で公共交通を支えていくというところに対する受容というところも含めて、コスト受容というものが必要になってくる。

そして、「④固有性・技術限界」というのは、自動運転ならではのリスクとか、自動運転でできること・できないことを含めて理解する必要があります。

これらの技術と、生活における必要性というところを理解した上で、新しい技術を消費者自身が積極的に育てる視点というのが、これから重要になってくる。

消費者自身が自ら安全かつ効果的に、これを使っていくという意識を持って育てていかないと、間に合わない。技術が100パーセントになるのを待っているということはできない。そういうことが、自動運転の社会受容が必要な前提となっております。

続いて、モビリティにおける自動運転とは何かというところなのですが、自動運転レベルは、レベル1から5と言われているわけなのですけれども、厳密に自動運転と定義されるのは、レベル3、4、5となりまして、レベル1、2というのは、自動運転というカテゴリーには入ってきません。

これは、責任主体が関わってくるものです。レベル3、4、5。レベル3でもシステムが担っているところが、自動運転として扱われるところになるわけです。そのほかにASV(Advanced Safety Vehicle)というものが、今、国交省においても進められております。これは「運転支援」です。

この「運転支援」と「自動運転」を混同して使っているケースが、ちょこちょこ見受けられるのですけれども、自動運転車というものと、それから自動運転技術を用いて、車の安全性を高めているものというのは、ちゃんと区別して使われるべきであると考えております。

例えば、衝突被害軽減ブレーキは、「自動ブレーキ」という名称で語られたりしますけれども、これは100パーセント自動で止まるものではなくて、衝突被害を軽減するブレーキであると、そういったことも含めて、きちんとした知識と言葉の使い方をしなければならないと考えております。

こうしたASVを用いることによって、自動運転が必ずしも普及していなくても、自家用車の安全性を高めて運転寿命を延ばすということが十分可能になってくるというところで、今、自家用車を使っている方々にASVの搭載が勧められています。

このソリューションとしての自動運転技術のスライドについては、時間の関係で詳細は飛ばしますけれども、様々な高齢者の移動の足の確保というだけではなくて、自動運転というものが社会に入ってくることによって、様々な効果が社会的に見込めるというところでございます。

日本における自動運転の位置づけというところですけれども、現在、自動運転の現状としましては、大きく分けてバス、トラック等というところと、タクシーというところで区分されております。

日本国内で、いわゆる自動運転と言われる、法的に自動運転と区分しているレベル4というのは、実際に走っているのが、まず、永平寺町と、ひたちのBRTは、今年度走らせるというところになっておりますので、まだ予定となっておりますけれども、それから物流として行う予定の新東名でのL4というところになっておりまして、タクシーのほうでは、今、ロボタクシーが想定されています。いわゆる自家用車が自動運転化するというところは違い、サービスカーと、それからタクシーというところでまずは考えられているというところと、自家用車に関しては、ASVという形で安全性が高められているというところを、まずしっかり把握しておく必要があると思っております。

こちらは、私が去年から乗ってきている車両です。ちょうど土曜日に八丈島でも自動運転に乗ってまいりましたが、これらのほとんどがレベル2で走っているものでございまして、今、黄色の字になっているものが、現在、レベル4もしくは今後レベル4に、近々になっていくことが予定されているものでございます。

この図表は、実際に自分の地域で走るなら、どういう自動運転がいいですかということを、消費者に聞いたものです。御覧のとおり、上位にあるのは、運転寿命の延伸というところであって、自動運転としてサービスカーに対するニーズというのは、実はそれほど高くないというところがございます。

ただ、今後、自動運転というものがサービスカーとしても、どうしても入っていかなければならないというのが、避けられないこととなっております。

これをもう少し整理したものが、こちらになります。地域のモビリティの維持・創出に向けては、2つの方向性で自動運転技術を活用していくというところが求められています。

まずは、先ほど申し上げたASVを中心とした運転寿命の延伸、これは自家用車依存が非常に高い日本、特に地方部において、長く安全に自家用車を使っていくというところ。

それと併せて代替交通というものをつくっていく、自家用車を用いなくても地域に、もしくは地域間の移動を可能とする公共交通としての自動運転車両をつくっていくというところで、これがサービスカーとか、ロボタクシーというところになっていきます。

運転寿命を延伸しながら代替交通もつくっていくという形で、徐々にライフスタイルをシフトしながらモビリティを確保していくというところであると考えております。

自動運転の社会受容とは何かというところですが、人々の不安というのは、これは、どの国際調査を見ても、最初にくる不安の種類というのは、車が安全に作動するかどうかという自動運転への信頼性になっています。

その次に法的な責任というところが出てきます。

これは、現在の交通事故死者数と高齢者の占める割合の図なのですけれども、現在日本において、交通事故死者数は減少傾向にあります。この背景というのは、もちろん技術開発、そして制度整備というところが大きいのですが、例えば、ルールを守ってチャイルドシートをつけるとか、シートベルトをつけるといった消費者自身の行動というものが関わってくるので、やはり技術開発と制度整備と社会的受容というのはセットで考えていかなくてはいけないと考えています。

では、社会受容というのは、どのように高めていくのかというところなのですけれども、これが縦軸に認知度、そして横軸にして否定と肯定としています。知らないから受容していないのではないか、だから情報がたくさん出てくれば、受容されるのではないかと、一般的に考えられがちなのですが、そうではなくて、「理解していないので非受容」という人と、「理解していないけれども受容」という人が、現在、存在しています。何かよく分からないけれども、これからは自動運転だねという人たち。

そういう人たちが、情報をきちんと認識すると、「理解した上で非受容」という人と、「理解した上で受容」という人にやはり分かれます。

「理解した上で非受容」という人たちの意見が非常に重要で、この人たちが一体何を課題として非受容と考えたのかというところを拾い上げて、そこの対策をしていくところが非常に重要で、それは技術、法整備だけで解決されるものではなくて、やはり消費者自身が何をすれば、この車を走らせられるのかというところに消費者自身がコミットする必要があると考えています。

私は、ここを2つのフェーズに分けて情報提供するべきであると訴えております。まず、消費者の情報量を増やして、認知度、理解度を上げるアクション、何ができて、何ができないのか。これがフェーズ1。

その上で、できないことを消費者自身の行動でどう補えるのかというところが、フェーズ2になっていくと。言い換えると、自動運転技術のWHAT、可能性として自動運転に何ができるかというところと、何で今、自動運転技術が要るのかというWHY。実際は従来通りの有人のバスとか、有人のタクシーでそのまま行かれれば一番良いのだと思います。けれども、それができないから、今、自動運転なのですよということを、実は消費者は理解していないケースがあります。一体なぜ今、自動運転なのかということをしっかりと情報提供していく、これはフェーズ1。

そして、それを理解した上で、自分たちの地域でそれをどう安全に走らせようかということを、消費者も巻き込んで考えるのがフェーズ2であると考えております。

実際、どのようにフェーズ1、フェーズ2というのをやったのかとか、どのように社会に受け入れられたのかという好事例があるのですが、お時間があればご紹介をと考えています。

最後に、私は、社会受容性の定義づけというのを試みております。5つのステップに分けております。

まずは①WHYで、社会になぜそれが有用であるのか、なぜ今それが必要であるのかというところのWHYの認識、社会に有用であるという認識を普及させていく。

その上で、②技術の理解、何ができて何ができないのか、そして③法やルールの浸透、これはWHATの部分になります。

そして、4番として④一定の信頼を獲得した上で、5番が一番重要なのですけれども、⑤共生に向けた効果の最大化とリスクの最小化に、個人を含む社会全体で関与していくというところ。

例えば、交通事故で毎年まだ2,000人以上が亡くなっている自動車、もしくはお餅で毎年数百人が亡くなっている事実、こんにゃくゼリーにどういう歴史があるのか。

そういったものが、どう社会に入って受け入れられてきたのか、それを社会に存在させるために消費者自身が何をしているのかというところを参考に、自動運転技術、社会への浸透をどう支えていくのかというのを考える必要があると考えています。

参考として論文もつけさせていただきました。

以上となります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で、皆様からの全ての発表が終了しました。

これより、全体を通じて質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は、最初に申し上げましたように、60分程度でお願いします。いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。御説明をいただきまして、ありがとうございました。

私からは、消費者への情報提供ということでお尋ねをしたいと思います。できましたら、デジタル庁の須賀参事官に、ワーキンググループでの議論についてお尋ねをいたします。

安全に関するリスクについては、アセスメントや、あと行政によるマネジメントという観点も大変重要だと思いますが、本日は消費者委員会にお越しをいただいて、お話をいただいているということで、リスクコミュニケーションの観点でお尋ねいたします。

ワーキンググループで丁寧に議論を重ねておられるということは、よく分かりました。また、関東交通犯罪遺族の会、あいの会の方々の御意見もお聞きになっているという御説明もありました。制度の設計時には、様々なステークホルダーが関わって、リスクに関する情報交換の仕組みをつくっていくということ、本当に大切だと思います。

ワーキンググループで、こういった議論があったのか、つまり消費者への情報提供の在り方であるとか、それから、消費者の権利の1つでもありますけれども、消費者の意見が反映されるような、そんな仕組みに関わる議論があったのかといったところが気になりましてお尋ねをします。

もし、そういった議論がないのであれば、今後の方向性について、お考えをお聞かせいただければありがたいです。

私からは以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、デジタル庁の須賀参事官、よろしくお願いします。

○デジタル庁須賀参事官 お答えいたします。

リスクコミュニケーションについてのお尋ねでございますけれども、そもそもこのあいの会の皆様の資料もおつけいたしましたけれども、まず、最も重要なことは、この自動運転の車が普及することによって、事故を大幅に削減される見込みであるけれども、とはいえ、事故はゼロにはできないのですということをしっかりと科学的に認めて、それをしっかりと御説明をし、そういったリスクを社会全体でどういった形で受容をし、そして、その責任の分担というものが適切になされるような関係をつくっていけるかということを、しっかりと関係者がみんな入って議論しましょうというのが、このサブワーキンググループでの議論の大前提でございましたし、ずっとそういったトーンで、関係者も議論をしてまいりました。

ですので、リスクコミュニケーションという意味で言うと、事故は起きませんみたいなことを、ゆめゆめ申し上げないと、そういう無責任なことは申し上げないということが、まず、最も重要なことであるかなと思いますし、消費者の方の関わり方も、自動運転の車に関しては、乗客として、自動運転のバス、タクシーにお乗りになる場合と、御自身がマイカーで自動運転の車に乗られる場合など、様々な関わり方があり得ると思いますけれども、それぞれの場合に御自身が当事者として、どういったリスクがあり得るのかということについて、しっかりと御理解いただけるように、御説明を包括的にしていくということだなと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

小野委員、何か補足でございますか。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

今いただきましたお話は、どちらかというと情報を提供するといったようなところだったと、私は受け取ったのですが、やはりやってみて分かることを伝えたい、そういったことを今度は受け止めるといった、そういった、やはりコミュニケーションは双方向で成り立ちますので、これは御質問というよりは、お話を伺って、ぜひ吸い上げるというか、そういったことも制度設計の中に入れていただけるとありがたいなと思いました。コメントでございます。ありがとうございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

須賀参事官から何かございますか。情報の提供だけではなくて、双方向のやり取りを進めていただきたいということで、これは要望ということでございました。よろしいでしょうか。

○デジタル庁須賀参事官 サブワーキングの結論を踏まえて、これから各省で詳細な制度設計がなされてまいりますけれども、しっかりとそれぞれの制度設計に当たっては、関係者の皆さんの御意見を踏まえて検討がなされていくと思っておりますので、しかも、このAIの時代は、一度意見を聞いて制度をつくって終わりではなくて、ずっとお互いに学習をし続けると、フィードバックをかけ続けるということが非常に重要になります。

ですので、この制度の中でもガイドラインというのは不断にアップデートされていくような世界ですね、これを念頭に御検討いただいてまいりましたので、そういう意味では、一度限りのフィードバックとか、御意見ということではなくて、ずっとこの制度の中で様々な関係者が安全を向上していくために、こういったことができるのではないかというようなフィードバックというのは、随時かけていただくというのが大前提だと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

宮木様、お願いします。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 今の小野委員からの質問についてなのですけれども、少し補足させていただきますと、なかなかまだ、自動運転はこういうものですということを消費者にお示しするのが難しく、先ほど髙橋さんからのお話もあったように、いろいろと確定していない部分もあって、自動運転がこういうものです、ルールがこういうものですというのはなかなか提示しにくいところでは、もちろんあるのですけれども、今、全国各地で実証実験というものを進めております。

必ずその中で、地域の人々とのコミュニケーションをして、もちろん情報提供もこちらからしますし、お乗りになった方とか、交通参加者の方たちからの意見を言っていただいてということを、今、積み重ねて、まだそれがきちんと共有できているかどうか、少し難しいところではあるのですけれども、意見の収集というのは、そういう形で現在進めているというところでございます。

以上、補足でございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、髙橋弁護士、どうぞ。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 今の情報提供に関して、須賀参事官のほうからもお話がありましたように、確かに自動運転であったとしても、ヒューマンエラーも入りますし、科学も万全ではありませんから、事故は必ず起きます。

でも、その情報提供のときに、事故は必ず起きますと言って情報を提供したときに、国民はどう思うかなと思うのです。そのときに、事故が起きたときに誰が責任を負うのと、乗っている私ですかという話になると思うのです。

事故が起きるということは隠してはいけないから、それは情報提供をしなくてはいけないと思うのですが、同時に、実際に事故が起こったときに、誰が法的な責任、刑事責任と民事責任を負うのか、これをしっかりとルール化した上で、そこまで情報提供をしないと、私は怖くて、私だったら買わないです。そういうところまで情報提供をしていただきたいと、私は思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御報告いただきまして、ありがとうございました。

実は、今、最後に髙橋弁護士がおっしゃっていたことを伺おうと思っていたところです。

消費者の立場というのは、この場合、自動運転車を買う消費者と、要するに自動運転車を買って、自分がそれを使うという消費者と、あとは不幸にして自動運転車の、例えば、ぶつかってしまって被害を受けてしまう消費者と2パターンあると思うのですけれども、まず、前者のほう、利用者になるほう、ユーザーになるほうの消費者にとって、今、髙橋弁護士がおっしゃっていたことは、私も全くそのとおりだと思っていまして、私は運転免許を持っていませんけれども、例えば、家族が自動運転車を買いますというときに、でも事故は起こるのです、一定の割合で、今までよりは少ないかもしれませんけれどもと言われたら、少ないかもしれないけれども、事故が起きたときに、自分が責任を負わなくてはいけないかもしれない、しかし、自動運転車の場合というのは、いわゆるプログラミングというのがあって、こちらが、例えばハンドルを握って回避したりというのが恐らくできない状況ですから、そういう自分がコントロールできないものから生じる事故を、すごく確率は低くなるかもしれないけれども、負担しなくてはいけないとなったら、これは私も、恐らく家族が買うと言っても止めるだろうなと、個人的には思います。

他方で、その場合に、もし事故が不幸にして起きたときに、誰が責任を負うのだろうかという話を聞いたときに、ここから先をぜひ、デジタル庁の須賀様と、あと髙橋弁護士に伺いたいと思っているのですが、まず、デジタル庁のワーキングの中身を拝見して、いろいろな専門の先生方によって、かなり詳細に御検討をいただいたということはよく分かります。非常に難しい問題につきまして、ここまで検討を重ねてくださっていることに敬意を表します。

その上で、拝見をした限りですが、スライドを見ると、この5ページですか、先ほど共有していただいておりました表のところですけれども、まず、これを見ると、私も一応法律の専門家でもありますので、確かにこうなるだろうなと思いつつ、しかし、このままだと誰も責任を負わない可能性が出てくるのではないかというところで、先ほどの話ですけれども、もし自分がユーザーになったときに、誰も責任を負わない、だから私は負わなくていいかもしれないと、しかし現に誰かがけがをしてしまっているというところに、若干の不安というか、そういうのもある一方で、あとは自分が被害者、消費者として、例えば自動運転車とぶつかってしまって、自分が現に人身損害、財産損害を被っているときに、誰も助けてくれないのではないかという、そういうそちらのほうの不安も感じるような気がしました。

確かに法的に考えましたときに、例えば、製造物責任法を、欠陥なしとされる蓋然性が高まるということが書かれておりまして、これは前提として、もちろん保安基準/ガイドラインにきちんと合致した自動車をメーカーがつくっていて、しかもその保安基準というのは、きちんと、それこそ起きたエラーとかを含めてきちんとアップデートをしながら、最新のものに従って自動車をつくったということであれば、確かに、いわゆる設計上の欠陥というのはないと判断される可能性は高いだろうと、私もここに関しては、そうだろうと思います。

ただ、そうしますと、これはいよいよ自動車メーカーも責任を負わないということになりますし、コントロールできないものについて、運転者まで責任を負うことになるのかというと、髙橋弁護士の御報告にもありましたように、これは、今の法律上だと、かなり難しいものがあると思っております。

こうしたときに、1つ考えられるのが、被害者補償の在り方ということで、これは、もちろんワーキングの先生方でも御検討をなさったのではないかと思いますが、個人的には、それでも被害者を救済してもらうためのシステムというのを、誰も責任を負わないのだとしても、負えない、あるいは請求を追求できないのだとしても、やはりこの被害者補償の在り方は非常に重要なのではないかというのが、個人的な感想なのです。

これについて何か具体的な、もちろんこれから検討することだと思うのですけれども、どういったことが考えられるのかというのを、御意見で結構ですので伺いたいと思います。

あとは、私、消費者法、民法の専門家でもありますので、製造物責任の話というのが、どうしても気になってくるわけですけれども、製造物責任上、確かに今申し上げたように、最新の技術のガイドラインに合致していれば、欠陥なしとされるとは思うのですが、問題は、これがちゃんと最新のガイドラインに、しかもそのガイドラインがきちんと適切なものになっているかどうかということではないかと思っています。

これについては、もちろん、ガイドラインを策定するシステム等々御検討される、あるいはされたのだと思いますが、その意味では、そのガイドラインというのに、本当に緻密に、もちろん事故情報とか、そういうのを分析しつつやっていくと思うのですが、それに本当に合致しているかどうかということが、一応、製造物責任が認められるかどうかについては、ポイントになってくるのではないかと思うので、絶対に該当しない、あるいは欠陥なしとされるということにはならないのかなと思います。今の点は感想です。

そして、今、私が被害者救済という観点で、補償の在り方等々、何か考えられないでしょうかという話をしたのですが、もう一点は、情報提供のところで、既に小野委員が御質問されておりましたので、私のほうからは、本当に少なめにしたいと思うのですが、髙橋弁護士の御報告の中で、自賠法も改正が必要なのではないだろうかという御意見が出ていらっしゃって、確かに今の法律のままだと、かなり運転者に無理を強いるような法律になってしまうと思いますので、髙橋弁護士がおっしゃっていることはあり得ることだと、私も思います。

そのときに、今度はそうすると、メーカーが責任を負いましょうという可能性が出てきます。メーカーに責任を負わせるというときに、先ほどの話では、製造物責任法上の欠陥というのは、あまりないことが多いのではないかとか、あるいは行政上もそもそも保安基準を満たしているということになったら、もう責任は問われないということで、メーカーが、要は自動運転車をきちんと開発できるようにするという、それをむしろ阻害しないという点では大事なことだと思うのですが、髙橋弁護士のおっしゃっている御意見ですと、むしろメーカーの責任にしましょうということが1つ考えられるのかなと思うのですけれども、あと、問題としては、消費者に対して、今回この法律を改正したので、メーカーが責任を負う可能性がありますとか、そういうことを消費者に、ですので安心して自動車を買ってくださいとか、そういうことを情報提供するときに、これは誰が情報提供をしていくのか、ひいては、この自動運転車に関して消費者に、誰がこの情報提供の責任を負うのかということだと思います。

自動車メーカーにそれを全部と言うと、それはメーカーの負担が非常に重くなりますし、他方で、主に国の消費者庁や国土交通省の情報提供の責任というのは重くなるのではないかという感想を持っておりますが、私は専門家ではないので、すごく雑駁な感想で申し訳ないのですが、こちらについても須賀様と、あとは髙橋弁護士の御意見を伺いたいです。

すみません、曖昧な質問で申し訳ありません。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、順番に、デジタル庁の須賀様に、まず、お答えをいただけますでしょうか。

○デジタル庁須賀参事官 ありがとうございます。

今、御質問をいただいた点、少し正確に申し上げますと、民事の責任のところで誰も責任を負わなくなるというような御発言があったのですが、そうはなりませんで、今の制度上、自賠法における損害賠償責任というのが、ほぼ無過失の責任として運転者に寄せられている。現行法上は、それが堅持されたまま、この無人運転の車の世界にも入っていって、金銭補償に関しては、ドライバーではないけれども、オーナーカーの場合も含めて、その車をお持ちの方が運行の利益を享受しているということで、一義的には賠償責任を負っていただく形で、今の時点では制度ができております。

髙橋先生の御説明は、この中で、一般ユーザーがレベル4の車両を使用するということをイメージして、課題をおっしゃっていただいたものと思っています。つまり、運行を支配できないのに、賠償責任を負い続けるということが、納得感があるものかという論点で、これはサブワーキングの中でも先生方から大いに提示のあった論点であります。

これは、最終的に保険料の水準が、今後事故が減ることで下がっていく見通しですとか、そういったものもいろいろと加味をしながら、判断されるべきことだということがサブワーキングでは仮の結論になっているわけですけれども、前提として国交省が平成30年に取りまとめた報告書においては、まず、この一般ユーザーがレベル4というところを前提としておりませんで、あくまで現行の制度の中では、タクシーとバスなどの公共交通機関でのみレベル4が使用されるという世界観、この自動運転の過渡期と呼ばれていますけれども、これを想定して策定をされたものでありまして、その範囲においては、このバスやタクシーの事業者さんが、また、この賠償の責任を負われるということもしっかりと整理がついているわけでございまして、まずは、そういった前提で、今、制度ができている中で、髙橋先生がおっしゃったように、さらに一歩進んだ世界観を実現するために、どうしていくかということでありまして、こういった論点も含めて国交省さんが大変多くの論点の検討を引き取っていただいているのですけれども、これらの検討事項については、法定の審議会である自動車部会の下に、新たに有識者からなる自動運転ワーキングというものを立ち上げていただきまして、このワーキングにおいて、いろいろな項目ごとに当然時期は異なりますけれども、およそ1年以内に結論を得ると言っていただいていまして、結論が得られたものから順次、制度化をしていくということになっておりますので、こちらに一度バトンを渡させていただいたというのが、現在の状況でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ちょっと確認ですが、そうすると、報告書でレベル4については、自賠法の運行共有者責任で一応対応できるという考え方については、あくまでもサービスカーというか、公共交通機関の代替として自動運転車が使われるということを念頭に置いたもので、いわゆるマイカーの代替というか、各個人が自動運転車を保有して、それに乗るという場面は今後の検討ということでよろしいですね。

○デジタル庁須賀参事官 報告書では、もう少し踏み込みまして、現行制度の上で仮に一般のユーザーがレベル4の自動運転の車をお使いになった場合には、現行制度をそのまま解釈いたしますと、オーナーが一義的には、この民事の賠償の責任を負われることになると、しっかりと書いておりますけれども、それが果たして妥当なのかということの検討は、もう一度しっかりとさせていただくという結論になっております。

○鹿野委員長 分かりました。

その点が、私も、大澤委員と同じような観点からとても心配になっていたところですし、髙橋弁護士から、先ほど御指摘があったところも関わると思いますが、お答えをいただきました。

髙橋弁護士、いかがでしょうか。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 今の質問の内容は、私も非常によく考えているので、懸念しているところなのです。

まず、今、須賀さんのほうから、自賠法3条、立証責任が運転者にあって、ただ、それがほとんど立証できないから、もう無過失責任だということ、それは確かにそのとおりなのです、運用はそうなっています。

裁判例で、この3条で運転者のほうに過失がない、自動車に欠陥がないことの立証に成功した例など見たことがないです。恐らく裁判例でもないかもしれません。

なぜ立証できないかと言ったら、私の資料の6ページを見てほしいのですけれども、上から自賠法3条、要件、効果と書いてあって、例外のところです。

被害者や第三者に事故原因があって、自動車に欠陥がないことを立証すれば免責される。この自動車に欠陥がないことの立証というのは、加害運転者は、その自動車の構造に関する情報を持っていないですから、資料は持っていませんから、立証しようがないのです。立証手段がほとんどないのです。だから、自動車に欠陥がないことは立証できない、単にそれだけのことなのです。

ところが、自動運転になると、私は、このままの条文を使ってしまうと、メーカーが、欠陥がないことを立証できるケースが出てくると思っています。

というのは、どうしてかということなのですけれども、科学の世界というのは、何でもかんでも全て100パーセント分かっているわけではないからです。どんな科学者であったとしても、そこまでは予想できないね、そこまでは分からないね、そういうプログラムを作ってもしようがないね、というところまで行きついてしまうときがあります。そうすると、これは予見可能性がないということで、欠陥がないことを立証できる場合が、私は出てくると思うのです。

例えば、医療の世界で、よく手術をするときに麻酔をしますね。麻酔をするのは、何で麻酔が効くのか、医学的にちゃんと皆さん解明されていると思っていると思いますが、実は、あれは解明されていないのです。半分しか解明されていないのです。途中のところまでの機序が分かっているだけなのです。麻酔を打つとどうして麻痺するのかというのは、途中のところまでは分かっているけれども、最終到達点までは分かっていないのです。でも、これを打てば、実際に麻痺しているから、そういう経験からすると、大丈夫かなということでやっているだけなのです。科学的には、全部は解明されていないのです。

今後、自動運転が出てくると、さらに発達していくと、AIとか量子コンピュータの世界になってくると思います。量子コンピュータができた国は、これからの経済安全保障で、世界を支配するのではないかと言われていますけれども、この量子コンピュータも、実は、完全には分かっていません。なぜ分かっていないか、皆さん、科学とか物理学の中で、電子とか原子とかという話をしたことがあると思います。原子の周りに電子が回っていますね。この電子も素粒子の一種ですけれど、実はこの量子コンピュータというのは、素粒子というのは1個しかないのに、その1個は、同時に複数の場所に存在しているということが大前提となって作られています。何で1個のものが複数あちこちに、いろいろなところにあるのだ、これは誰も分かっていないのです。分かっていないけれども、そういう理論、これは量子のもつれと言いますけれども、こういう理論があるから量子コンピュータができるのです。

そうすると、そこまでの領域まで踏み込んでしまうと、どんな科学者でも分かりません、というような事態も起きることになります。そうすると、自動車に欠陥がないことの立証ができる場合が、私は出てくると思います。というのは、過失責任を負わせるためには予見可能性が必要ですが、どんな科学者にも分からないなら、そのシステムを開発したメーカーだって分かりようがありませんから、結局のところ、予見可能性がないことになってしまうからです。

特に事故調査委員会を設けて、専門的な科学者が事故調査をしていくと、これはどう見たって分からないな、誰がつくったって、このプログラムだったら絶対に減速するはずなのに、何で減速しないのだろうと、分からない場合が出てくると思います。

では、そのときの消費者保護はどうするかということを、私はよく考えているのですけれども、最後は国が補償するしかないと私は思っています。いわゆる無過失責任で国が補償するのです。では、国がなぜ補償するかといったら、やはり自動運転というのは圧倒的に事故を減らす、国民の福祉にものすごく役に立つ制度で、国民全体が利益を受けているからです。国民全体が利益を受けるのだから、どうしてもやむを得ないで起きた事故については、これは、国民が自分たちの税金で、社会の連帯共助の精神で補償していこうという、こういう国の補償制度を私は設けるべきではないかと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日御説明いただいた資料の中に、ガイドライン等に従っている場合に関して、民事の責任について、被害補償の在り方という項目も挙がっておりましたが、これについては、国交省において検討されることが予定されているようですが、国交省様から何かございますか。

○国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当髙本官房参事官 ありがとうございます。

先ほどデジタル庁の須賀様からもお話がありましたとおり、我々は今後、様々な項目について、特に多くの項目を自動運転ワーキングという法定審議会のもとで検討することとしてございます。

今いただいたような様々なお考え、もちろん民間といいますか、一般ユーザーの方々が、自動運転を利用されるような世界観、そういったものが将来的な絵面にはなってこようかと思いますが、一方で、このロードマップ自体というのは、まず当初は、いわゆるロボットタクシー、公共交通機関としてのタクシーというものをどう実現していくかというのが、スタートアップの部分になっているところも正直ございますので、もちろん将来的な、もう少し先の未来という観点での民事責任、そういったものをどう考えていくのか。

あとは、今、髙橋弁護士からもいただきましたけれども、いわゆる事故調査をどのようにしていくのか、これは、先ほど須賀様からもお話がありましたとおり、運輸安全委員会のような組織において、しっかりとした事故調査をどのような形でやっていけるのか、こういったものをしっかりと検討しましょうというところが、我々に課せられた現状の課題といいますか、使命でございますので、しっかりと今後、このワーキングの中でも皆様の御意見も踏まえた検討を進めてまいりたいと考えてございます。

○鹿野委員長 大澤委員、お願いします。

○大澤委員 お三方におかれましては、どうもありがとうございました。大変よく分かりました。

お話を伺っていて思ったことなのですが、確かに今、一応公共運転としてということなので、例えばタクシーとかバスの場合というのが、まずあるのですということでしたので、その辺りの前提を私がきちんと理解できていなかったということと、その前提が分からないまま、民事のことも変なことを聞いてしまって申し訳なかったのですが、ただ、1点気になるのは、やはり公共交通で、例えばタクシーとかバスで、自動運転を導入するというのも、それもやはり、本当にそのメーカーだけの話ではなく、言うまでもないことですが、例えば過疎地とかで、このままだとバスがなくなってしまうと。一方で、恐らく、今、バスとかタクシーも運転手の不足、人材不足というのもあると思うので、人材不足のときに、要は黒字になっているようなバスのところは残すけれども、どうしても過疎地で人口が減っているところでは、バス等はなくなってしまうというときに、自動運転というのを入れるというのは、これは、言うまでもないことですが、メーカーの都合とか、メーカーの人手不足解消だけというよりは、まさに町の人たちが移動できる手段を残すということであって、これは、やはり社会的にも利益の高いことであり、公共的な利益だと私は思っておりますので、このときに、例えば、現状の今の法律の世界だと、確かに自動車を持っている、ここで言うとメーカー、バス会社とか、そのようになるのかもしれないのですが、やはりそうではなくて、そのつもりはないと思うのですけれども、やはり社会全体の利益の向上、モビリティができるというために、この制度を発達させていくというときには、今、お話が出た補償制度も含め、最終的には国である程度負担をしていくと、もちろん私たちの税金が原資になると思うのですが、そういったことは考えていく必要があると思いました。

すみません、ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。御説明いただきまして、ありがとうございました。

まだ自動運転については検証中であることや、まだまだ課題づくしであること、実際に動いてみないと分からないことも多々あるのではないかなと思いました。

また、自動運転といえども、考えているのは、当然ながら人間ですので、人間の考えている中での限界みたいなことも感じられるのではないかなと思いました。

また、今、大澤委員からも意見がありましたけれども、経済の観点から見ると、自動運転をする地域についても、やはり企業任せにしてしまうと、どうしても限られてしまうのではないかなというところの懸念も感じるところでありました。

まず、御質問ですが、デジタル庁さんの資料5ページなのですけれども、要因のところを拝見しますと、ハードなのか、ソフトなのかという形でくっきりと分けられているのですが、実際の事故要因については、そのようにくっきり分けられるものではないのかなと、1つ感じられました。

また、この事故要因について、通信についての記載がないように思います。地方の通信環境は、まだまだ光ファイバーの未整備地域があったりとか、電波が届きにくい山間部とか、農業産地などで環境を配慮した点から、通信の環境整備がまだまだ難しい地域があると思われます。

この通信環境による、例えば事故が起きた場合に、実際に誰が責任を持つのかというところ、製造物責任法の中には入らないと思いますので、その辺りについても気になったところでございます。その点について、教えていただきたいと思いました。

それから、7ページなのですけれども、こちらは工程表ですが、実際に今の流れから見ると、どのフェーズのものが、どのような形で動いていくのかというのが、分からなかったです。

実際に、例えば自家用車として運用されるのは、果たしていつなのか、5年後なのか、10年後なのか、そのような見通しなどが分かれば、教えていただきたいなと思いました。

次に、髙橋弁護士についてなのですけれども、今回いろいろ法律に合わせてお示しいただいたところではあるのですけれども、今、お示しいただいた、例えば道交法のこの部分のみを今後検討していけばいいのか、また、現行の技術では限界みたいなものもあるかなと感じたところではあるのですけれども、その辺りについて、具体的にどのように行っていけばいいのかというのが分かれば、教えていただきたいと思います。

最後に宮木様ですけれども、都心部の若者は、今は電車、バスなどの利用が多く、マイカーを保有していないというところについては、私も承知しているところではあるのですけれども、実際にその若者が高齢化した際に、今度は自動運転の、それぞれの自家用車を利用するようになるのか、それとも、やはりバスやタクシーなどの自動運転を引き続き利用するのか、そこのところがよく分からなかったので教えていただきたいのと、消費者が自家用車として自動運転を購入する場合に、消費者がどのくらいの知識を持てばいいのかというところが、もしもお考え等があれば教えていただきたいと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、最初の質問は、デジタル庁に対するものですね。

それでは、須賀様、お願いします。

○デジタル庁須賀参事官 また、御質問をありがとうございます。

通信の途絶に関してですけれども、そもそも保安基準とかガイドラインの安全の基準をつくるときに、通信が途絶したらすぐに事故ってしまうというようなことは、基本的に想定されず、フェイルセーフという考え方で、多重の防護をしておくというのが大前提になります。

その上で、外的な要因で、本当に天変地異みたいなことも当然起き得るわけで、道路が陥没したら事故が起きてしまうということもあるわけなので、そういったことも含めての事故要因というのは、自動運行装置以外に要因があった場合と、今の私どもの論点整理では整理をさせていただいております。

ただ、いずれにしても、おっしゃっていただいたように、要因を分析した結果、複合要因だと結論づけられる可能性も十分ございます。これは、どれか1つに決めるというよりは、要因を分類すると、このようなものがあり得ますということの模式的なものでございまして、どれかに必ず寄せるということではないということで、御説明をさせていただきたいと思います。

それ以外は、私ではなくてよろしかったですかね。

○柿沼委員 7ページの工程表の部分について。

○デジタル庁須賀参事官 工程表のところは、先ほどから1年以内に結論が出たものから制度化と、ずっと申し上げているとおりなのですけれども、1つ念頭に置いておりますのが、この工程表を見ていただきますと、2026年の初頭にロボットタクシーを社会実装したいとおっしゃっている事業者さんが既にいらっしゃると、これを念頭に、このときまでには一通り、今、議論したような制度が、手当が最低限ついている状態を目指そうというのが、関係者が合意していることでございます。

○柿沼委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、髙橋様、お願いします。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 まず、大前提として、道交法を1億2,000万人の国民が全員守っていて、自動運転車も完璧に守ったら事故は起きません。そのくらい、道交法というのは完璧にできています。

何で完璧にできているかというと、最後に伝家の宝刀があるからです。道路交通法の70条です。

70条を読みますと、車両等の運転者は、当該車両等のハンドル、ブレーキその他の装置を確実に操作し、かつ、道路、交通及び当該車両等の状況に応じ、他人に危害を及ぼさないような速度と方法で運転しなければならないと、当たり前のことが書かれてあります。当たり前のことが書いてあって、これは結論みたいなものなのですね。これをちゃんと守っていれば、事故などは起きるわけがありません。

ですから、道交法をちゃんと守っていれば事故は起きない。これが大前提なのだけれども、問題は何かと言ったら、この道交法の書き方が曖昧過ぎるということなのです。

先ほど言ったように、人がいないことが明らかな場合とは言えない場合とは、どういう場合なのですかと言われてもよく分からない。本当に裁判例を集積するしか分かりません。

そうすると、これを、今の場合は、人間が判断するということでつくられているけれども、では、自動運転がこれを判断するためには、どうしたらいいかということ、これは、確かにデジタル庁の検討会でも議論になりました。

実際、道交法に関する裁判例を100パーセント全て解析して読み込むことは不可能ではないかという話が出たのです。

では、どうするかということで、私のレジュメの3ページを開けてほしいのですが、ここの下に青字で書いてあるところです。歩行者がいないことが明らかな場合と言えない場合、これは幾つか例があって、これは過去の裁判例とか、事故例から集積したもので、実際に解説書に一々書いてあるところなのです。

これを法律の下の政令に落とし込んで具体的に書いてしまう。政令とか規則に落とし込んで具体的に書いてしまう。そうすれば、コンピュータもこれを読み込むことができるだろうということが議論されていて、私はその方法が一番いいのではないかなと思います。つまり、今の法律をもう少し具体的に、かなり細かく政令とか規則に落とし込んで書いていく、そういうことが必要だと私は思います。

あと、もう一点、幾らそこまでやったとしても、やはりなかなか限界がある。そこで、やはり道路環境を整備しないといけないと思います。

例えば、東京都内であれば、中央のセンターラインとか、車両通行帯の白線が消えているということは、ほとんど見たことがないですけれども、地方に行くと、やはり予算の関係で、中央のセンターラインとか車両通行帯が消えているところが結構あります。あるいは道路標識が木の陰に隠れてしまっているところも少なくありません。だから、そういった道路環境それ自体を完璧に整備し直すということが、やはり自動運転のための大前提ではないかと思うのです。そういったことをやっていく必要が、私はあると思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、宮木様、お願いします。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 ありがとうございます。宮木でございます。

2点御質問があったと思うのですけれども、まず、都心部の若者の今後というところなのですけれども、そもそも都市部、特に都市部は1人1台で、自家用車でモビリティが回るような設計をされていないので、公共交通というのは、当然これからも特に都市部においては重要であると考えております。

その上で、例えば、先ほどレベルのお話をしたのですけれども、レベル1、2というのは厳密に言うと、自動運転とは呼びませんというお話なのですが、今レベル2というところが非常に高度化してきています。レベル4とレベル2との違いが本当に分からないぐらい、今、世の中で実証実験に走らせている地域のサービスカーの自動運転と言われているものは、ほとんどがレベル2ですけれども、中には非常に高度なものがございまして、レベル2かレベル4かというのは、ユーザーの消費者の側からすると、あまり大きな違いがなくなってきています。法的にはもちろん違うのですけれども、消費者から見たらきちんと走れるというところが重要なのかなと思っています。

自家用車に関して言うと、先ほどASVという形で申し上げた、例えば、衝突被害軽減ブレーキとか、ペダル踏み間違い時加速抑制装置という、高齢者によくあるアクセルとブレーキを間違えて踏んでしまったみたいなところですね、それについて、今は、車に標準搭載、搭載の義務化というものがどんどん進められています。既に新車に関しては、衝突被害軽減ブレーキは、搭載が義務化されていますし、今年の6月に、WP29において、踏み間違い時加速抑制装置に関しても日本の技術を中心に、この義務化をしていくとなっていきます。

先ほどありましたように、ロードマップ上、自家用車の自動運転をばんばんと売りに出すところは、現在の段階で想定されていないのですけれども、自動運転と呼ばない自家用車がどんどん高性能になっていって、運転支援と呼ばれる技術によって安全性が高まっていくところが言えると思います。高齢化した際の自家用車か、バスか、タクシーかというところで言うと、今の若者が高齢化するところに対して、どのぐらいの技術進歩が起きているかというのは分かりませんが、そういう形で車自体の性能がどんどん上がっていくということはいえます。

さらには、場合によっては免許制度も変わってくるのではないかと思われますので、こういう車であれば、こういう形の免許というところが新設されると、また大分環境が変わってくるかなと思っています。

それから、2点目の消費者が自動運転の車を購入する際というところですけれども、現段階では普通にレベル4の車を一般の人たちが自家用車として買うということが想定されていないので、何とも言えません。ただ、課題として、例えば、今の車にASVが搭載されている車に乗りながら、その機能を十分に使っていない人とか、もしくは自分の家の車にそういう機能が搭載されていることを知らないという人が、現在、結構いらっしゃいます。ですので、これは自動運転がどうかということではなくて、今乗っている車に関しても消費者はきちんと理解していないで乗っているケースというのが多いので、そこからして課題なのかなと思っています。

ですので、これが自動運転特有の課題なのかというと、そういうことでもなく、まずもって自分が乗っているものについての知識をきちんと高めていくというところの一環で考えるべきであると考えております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員、よろしいですか。

○柿沼委員 ありがとうございます。

今の宮木様の最後のところ、少し確認したいのですけれども、そうすると、今乗っている車にどういう技術があるのかというのを、知識として得るには、どうすればいいのでしょうか。それは車を買ったときに、当然ディーラーが説明をしなくてはいけないのか、あとは、例えば中古車を購入した場合とかも予想されると思うのですけれども、その場合、どうやってこの車には搭載されているのかなどは、どのように理解していけば、消費者が分かるのか、そこの部分だけ教えてください。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 ありがとうございます。

御指摘のとおり、一番情報源として期待されるのは、販売店とかディーラーとか、そういうところからの説明であると、データからも示されています。

ただ、聞いたのにちゃんと理解していないとか、説明は受けたけれどもちゃんと分からなかったとなって、そのままにしているケースがまず多いと思います。また、自家用車に関して言うと、購入した人、つまり販売店等で説明を聞いた人と乗る人が必ずしも一致していなくて、一般的には、世帯の男性が購入したり、男性が検討するケースというのが、まだ多いものですから、そうすると、配偶者(奥様)とか、子供たちがそれをよく理解していないというケースがあるというのを、いろいろな人にお話を聞いて感じております。

ここにどのように情報を伝えていくのかというのは、非常に難しくて、そこはASVを検討しているチームでも、ASVの知識を含めてどのようにアナウンスをするのか検討しています。さらに、現在、カーシェアとかレンタカーを使う人たちが多いというところで、様々な車に乗る場合に、それぞれの車にどういう機能が搭載されているのかということを、やはり理解しないで乗ってしまうケース、そういうところで、例えば、乗ったときに車に情報がポップアップをされるとか、マニュアルを読む人はほとんどいないので見えるところにもう少しアナウンスをするとか、場合によっては、各機能でメーカーさんごとに名称や機能が少しずつ違っていたりというところを整えていくとか、今、様々な方策を考えておりますが、すみません、現状では課題となっているというところでございます。

○柿沼委員 詳しく御説明いただきまして、ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

先ほどの柿沼委員の1番目の御質問、通信が不具合になったときということがありましたが、その延長線上のような問題として、例えば、あり得るのかどうか分かりませんけれども、サイバー攻撃などが起こったときを想定した議論があるのでしょうか。

デジタル庁様から、お答えいただければと思います。

○デジタル庁須賀参事官 すみません、資料をまた見ていただければと思いますけれども、まさに事故要因の分類の中に、サイバーセキュリティ上の問題に要因があった場合というのを、あえて明記をしておりまして、現行の保安基準にも既に基準が入っております。

○鹿野委員長 分かりました。ありがとうございます。

それでは、先ほどから黒木委員長代理と中田委員からお手が挙がっておりますので、順番に、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 非常に知的で興味深いお話をありがとうございました。『論究ジュリスト』という雑誌で2018年からAI法の連載が始まり、その初回特集が自動運転でした。今から考えると、法律家の議論は2018年からあまり進展していないように感じます。

今年5月のワーキンググループ報告書では、ディープラーニングの対象となる情報についてテスラの例が挙げられていました。そこで質問ですが、AIの社会実装において、ディープラーニングの対象とする事実関係について、日本と米国のテスラのような外国の情報の扱いに関して、国際的な保安基準の取り決めはあるのでしょうか?また、国際的な議論の動向を踏まえた定量化の検討について、現在どのような議論がなされているのでしょうか?

次に、ワーキンググループ報告書の25ページ以降で刑事責任について議論されていますが、システム設計時の責任となると、行為者の特定や予見可能性、結果回避可能性の判断が難しいのではないでしょうか。特にディープラーニングの資料が変化していく中で、プログラム実装時と事故時で状況が異なる可能性があります。この点について、髙橋弁護士のご意見をお聞かせください。

最後に、レベル4、レベル5の自動運転車と人間が運転する車が並走する社会が当面続くと理解しました。この場合、すべてがODD外となるのか、それとも一部はODD内となるのでしょうか?また、このような新しい交通環境における責任の所在や司法判断について、どのようにお考えでしょうか?

○鹿野委員長 ありがとうございます。

3点のうち、1点目と3点目はデジタル庁様ですか。

○黒木委員長代理 ここは、デジタル庁というか、国交省というか、デジタル庁なのでしょうね。

○鹿野委員長 それでは、デジタル庁様、お願いします。

○デジタル庁須賀参事官 ごめんなさい、御質問の趣旨を正確に捉えられているか分からないので、もし違っていましたら訂正していただければと思うのですけれども、そもそもディープラーニングの国際基準があるのかという御質問が1点目だったかと思いますが、そもそも自動運転の車を含めて、安全基準というのは国際的にWP29という場で議論をされていて、今、その検討がそのレベル3ぐらいに来ていて、4、5というところについては、まだ、国際的にルールを揃えていくというようなところまで議論が落ちていない中で、むしろ開発なり、実装のほうが世界で先行してしまっているというのが実態だと認識をしております。

ですので、国際的にルールを調和させるということを、まさに重要視しながら、他方で、国内においてしっかりと責任を持って手当をすべきところはしていくという観点で、これから国交省さんが新たに設置される検討の場で、検討が進んでいくようになっていくと想像しております。

それから、3点目に、2点目を先にお答えになりますか。

○黒木委員長代理 髙橋先生、お願いできますか。

○鹿野委員長 それでは、2点目をお願いします。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 行為者をどうやって特定するのか、予見可能性をどうするかというお話だと思います。これは、デジタル庁の検討会でも随分議論されました。

まず、行為者はどうやって特定するかについては、デジタル庁の検討会では、基本的には刑事責任を負うのはシステムの開発担当者ないしは開発担当者の上の上司の責任者、これが多分負うことになるだろうということを前提に話をしていたと思います。

問題は予見可能性です。確かに予見可能性というのは、よく裁判でも出てくるのですけれども、現在の最高裁の判例を、デジタル庁の検討会の法学部の教授の先生とか、あと、私自身の経験でいろいろと調べてみて、それを議論したことがありました。

一番典型的な例は、ホテルニュージャパン事件と、福知山の脱線転覆事故です。ホテルニュージャパン事件のときには、予見可能性をかなり広く緩やかに認めて、刑事責任を負わせたのです。福知山事件のときには、逆に、非常に厳しく予見可能性を狭めて免責させたのです。

それは、なぜかなのですけれども、実は福知山事件の判決を書いた最高裁の調査官、実は最高裁の判決は、調査官が事前に書いていますが、その調査官が文献で書いていました。

どうやって判断したのか、これは、ホテルニュージャパンと福知山事件は矛盾していないと。どうして矛盾していないか。ホテルニュージャパン事件のときには、結果回避義務、つまり、こういうことをしなさいという義務を、ほとんど何も尽くしていなかった。つまり消火設備もほとんど完備されていなかった、そういうことで、結果回避義務違反があまりにも著しいから、予見可能性を広く捉えて有責にしたと。

これに対して福知山事件の場合は全く逆だと、あのときには、曲線のところにATSを設置する義務は法律上なかったのです。ほかの業者も、そういうことを設置していなかった。つまり、こういうことをしなさいという結果回避義務違反が小さかったのです。小さかったから逆に予見可能性を厳しく捉えて責任を負わせないことにしたということなのです。

基本的に法律家は、こういう発想をするのです。裁判官もそうなのです。ですから、デジタル庁の検討会では、自動運転車両も、取りあえず、結果回避義務をきちんと尽くしなさい、そして、結果回避義務を書いているのは道交法ですから、道交法をきちんと守るようなプログラムをつくりなさいと、されました。道交法を完全に守れるシステムを作り、結果として、事故が起きたのならば、ある程度、開発担当者に予見可能性はないだろうということで、責任を負わないようにしようという方向で議論したわけです。

ですから、デジタル庁の5ページのところの一番左側のところですね、ここの保安基準も道交法を遵守するということが強調されているわけなのです。そういった観点から議論がされておりましたし、私もその方向がいいのではないかと思っております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、3番目について、デジタル庁様、お願いします。

○国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当髙本官房参事官 それでは、3点目につきましては、国土交通省のほうからお答えさせていただければと思います。よろしいでしょうか。

○鹿野委員長 はい、お願いします。

○国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当髙本官房参事官 まず、冒頭のお話、ODDの範囲内、範囲外というお話がありましたけれども、まず、自動運転の車自体が走る場面において、その自動運転側から見た場合にはODDの中、範囲内という整理になりますし、それ以外の混合交通で並走しているような一般的な自動運転ではない車はODD外ということになるのだと思います。

ただ一方で、ODD、これは現状、レベル4の実証実験をやっていただいている地域においてもそうなのですけれども、例えば、混合交通において、ほかにも車両が走っている状態というものを含めて、ODDの中で整理をしている。例えば、どれぐらいの車両の交通量があるのかとか、それこそ右左折がどれぐらいの数があって、そういったものをすべからくチェックをして、この一定の区域において、こういった交通量の世界で、例えば雨が降る、雨が降らない、そういった天候みたいなものも含めて、ODDの範囲内、範囲外という整理をしているというのが現状でございます。

したがって、この先、そういうレベル4とレベル5は何が違うのというのは、まさにそこが大きな部分でございまして、先ほど来お話があるような一般ユーザーが自動運転の車を手にするという社会というのは、多分レベル5の世界、どういう地域にでも自動運転で行けるという世界観というものが実現されれば、多分レベル5がしっかり出されれば、一般ユーザーまでわたるという世界なのだと思いますけれども、基本的にはODDの範囲内で、車両を動かすというのが現状、これから見える社会、世界観なのかなと。

ですので、私、先ほど来申し上げているとおり、タクシーですとか、バスといった公共交通で一定区域をずっとぐるぐる回るような、そういった車両というものが、現状としては想定されるようなものなのかなと理解してございます。

お答えになっていますでしょうか。

○黒木委員長代理 そうすると、その場合で事故が起こった場合の諸方の負担というのは、今までの考え方とは、この事故調査機関における専門家判断というのを踏まえた上で、それを考えた上で、最終的には裁判所で刑事責任だとか、民事責任とか、そういうことが、まず来る。つまり、ある意味では、プレで専門機関が判断し、そして、そこでまだ司法判断を求めるという場合に、初めて裁判所における判断が出てくると、こういう社会がしばらく、仮にマニュアル車というか、普通の車が並走していたとしても、当面はそういう社会が続くと考えたらよろしいのでしょうか。

○国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当髙本官房参事官 ありがとうございます。

まさに事故調査機関が、どの程度の事故調査を行い、さらには、その事故調整に対して、例えば裁判所がどのような証拠としての認定を行うのかという部分につきましても、ある意味、我々として今後ワーキンググループの中で、その事故調査機関なるものが、どういった調査を行うべきで、どういった体制をということも含めて検討していく課題だと考えてございます。

ですので、最後の部分、裁判所が判断するという観点においては、その証拠性というものについては、これからの検討ということになりますけれども、当面の間は、混合交通の中で裁判所において判断されることになろうかと思います。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 その件に関して、それは、確かにデジタル庁の中で議論されました。

実は、憲法76条2項だったと思いますが、行政機関は、終審として裁判を行うことはできないと書いてあります。ですから、事故調査委員会の判断は最終判断にはなりません。

ただ、そうは言っても、なかなかこれは科学の世界の話だから、裁判官とか検察官も判断するのは大変だろうなというところが、やはり議論されました。

事故調査委員会で科学者などが出てきて、きちんと科学的なレベルから事故の原因を調べる。そういった事実関係については、ある程度司法も事実上拘束される、法的には拘束されないけれども、ということの方向で一致しているのではないかと私は思っております。

○国土交通省物流・自動車局企画・電動化・自動運転担当髙本官房参事官 ありがとうございます。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 あと、もう一点、先ほどの国際基準の問題ですけれども、これは、あまり議論がされなかったのです。実は、国際基準については、大きな問題がありまして、例えば、海外メーカーの自動運転の車両が事故を起こしたとします。事故調査委員会がどこまでそこに踏み込めるかということなのですけれども、例えば、本社が海外にあったとしても、日本には現地法人があります。ただ、日本の現地法人がどのくらい情報を持っているかといったら、実をいうと、本社ほど持っていないのです。ですから、開示される情報がどうしても限定されてしまうのです。そこが一番大きな問題で、事故をちゃんと調査できないという問題が、実はこの海外メーカーの車両にはあります。これが今、大きな問題になるのではないかと私は思っています。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 詳しい御説明をありがとうございました。

御説明いただいた内容は、自動運転車における責任の在り方と、消費者保護を考える上で大変勉強になりました。

自動運転の導入浸透が今後進んでいくことは、もちろん、現在の社会的課題解決に寄与することが期待できますし、事故調査・責任判断について、現在、省庁の垣根を越えて専門家の方々との議論を進めていただいていること、心強く感じました。

それと同時に、レベル4以上の本格導入に当たっては、やはり従来の運転慣習からは予測が難しい、複雑なインシデントが今後多数発生する、それは進化の上での痛みということではあると思いますが、そういう中でテスト運用機関からのデータ検証と、そこから得られた学びの実装への反映、それと必要に応じては、現状に応じた法改正の議論が重要であると感じました。

以上がコメントですが、自身も運転する消費者の1人として1点だけ質問をさせてください。

自動運転の社会実装に当たっては、事故等の未然防止が大事ですが、髙橋弁護士から事故は必ず発生するという御発言もありましたが、消費者の視点からは、万が一事故が発生してしまった場合の補償が十分でないと安心して自動運転車を運転することができず、もし、責任の主体が曖昧であるとすると、乗車することすら不安であると思います。

自動運転の場合、事故の責任関係が運転者、被害者などの当事者にとどまらずに、メーカーやソフトウエア事業者にまで及ぶ可能性もあり、もしかしたら通信事業者まで及ぶ可能性があるのかどうか分かりませんが、例えば、自動車会社がソフトウエアのアップデートの指示を出しているのに、運転者がそれを対応しない、していない場合なども想定されたり、運転免許証取得の要件も、もしかしたら変わってくるであろう中で、自動運転に伴う様々な従来には発生し得なかった、予測できない新しいリスクまで、民間の保険会社、損保会社が補償していくのか、損害賠償責任、免責の在り方について、民間の保険会社を含めて、どのような議論が進んでいるのかということを教えていただきたいと思います。

民事責任に対しての国内外の損保会社の自動車保険、本当に、どこまで補償してくれて、契約者を守ってくれるのか、そこが大変気になります。

髙橋弁護士の御説明では、事故発生率が大幅に下がることが想定できるので、保険料は大きく下がるのではないかと、消費者にとっては歓迎すべき言及もございましたが、発生率は低くても、そもそも補償範囲から除外されていたら保険料が下がってもリスク発生時の立証責任の困難さとか、コストは大きく、民間の損害保険会社各社と補償範囲、免責、保険料設定などの考え方の議論は、どこまで進んでいるのかということを教えていただければと思います。

お伺いするのは、もしかしたら髙橋弁護士あるいは宮木様ということでお願いしたいと思います。

○鹿野委員長 それでは、順に、まず髙橋弁護士、お願いします。

○犯罪被害者支援弁護士フォーラム事務局長髙橋弁護士 確かに、私は、事故は必ず起きると思っています。科学の世界は万全ではありません。パソコンをやっていても、突然フリーズしますね、フリーズした理由をサービスエンジニアに聞いても、分からないと言われてしまうことが多々あります。本当に分からないからなのです。そういうことは起きるし、実際、私、海外車を乗っているのですけれども、なんと買ってディーラーのところから自宅に持っていく、その途中にコンピュータが壊れたのです。急に止まったのです。怖かったですよ、後から追突されるのではないかと思って、それでソフトを直してもらったのです。1週間後には、やはり5号線で急に止まったのです。左側の車を先行車と勘違いしてしまったのです。こういうことは、実際にあるのです。

そういうことは、メーカーにとっても予見はできない、不可能だ、どんな科学者でもそれはつくれないということになったらば、刑事上の責任も民事上の責任も負わないことになってしまうと思います。

だからこそ、先ほど言ったように、そういう場合には、国が予算で補償すると、完全賠償するというのをつくらないと、私だって、そういう車は怖くて買いません。ですから、そういう法制度の整備をしっかりとつくることが大前提だと思っています。

次に、保険料の話ですが、私も簡単に試算してみました。ある事業者は年間5,000万台つくっています。今、年間3,000人ぐらい亡くなっています。恐らく私は、自動運転になったら、死亡被害者が1000分の1ぐらいになると思っています。

今、保険料がネットのもので一番安いものが2万5,000円ぐらいですね。それが1000分の1になるということだったら、多分、保険料は数百円になるのではないかと思うのです。例えば、保険料が100円だとしたら5,000万台掛けたとしたら50億ですね。これは、メーカーにとっては払える金額ではないかなと思うのです。

だから、数百円まで下がれば、5,000万台つくっているメーカーであっても、恐らく多分大丈夫なのではないかなと思います。これが1つの考え方ですね。

あと、もう一つ、こういう考え方もあります。市営バスあるいは大手のトラック会社は、実は対人賠償責任保険については無制限で入っていないところが多くあります。何で、無制限で入っていないかといったら、そんなに頻繁に年に何回も死亡事故が起きるわけがないからです。1回死亡事故が起きて、保険料が突然10万円上がる、それが800台車両を保有していたら、翌年から数年にわたって毎年、保険料が何千万と上がってしまうわけですね。こういう保険料が上がるようなことをしたら、住民税で運営している市営バスというのは住民訴訟を起こされてしまうのです。だから、わざと無制限には入っていないのです。偶々事故が起きたときに、その金額、例えば1億なら1億賠償しましょうと、そのほうが安く済むという発想なのですよ。こういう発想もできるのではないかなと思っています。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、宮木様、お願いします。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 ありがとうございます。

まず、民間の保険会社のところというのは、個人が自動運転車をばんばん買って乗るというところを想定していないというところから、将来的なことなのかなと思っています。

現状でいうと、先ほど申し上げた、レベル1、2みたいなASVの領域ですね、ASV割引というのは、保険会社は既にやっていますので、その先進安全技術を搭載することによって、自動車の安全性が高まるということを客観的に認めているというところと思っています。

髙橋先生がおっしゃるように、事故件数は、普通に考えて自動運転の技術を搭載すれば減っていくと思いますが、例えば、レベル3みたいなシステムと運転者の双方が運転することになるレベルの場合には、事故の案件の対応が複雑になるというところから、1件当たりのコストというのは、当然高くなるのかなと思うので、そういうところで件数の減少はするけれども、負荷としてはどうなるか分からないというところかなと思っています。

ただ、イベントデータレコーダーの搭載とか、そういう技術的なところでしっかりと根拠を取っていくということは既にやっているので、そういうところと整合しながら、将来的には長期的に見て、保険料は下がっていくと考えています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

中田委員、よろしいですか。

○中田委員 ありがとうございます。御説明ありがとうございます。保険料について、理解できました。

あと、免責ですね、どこまで支払われるのかどうかということも、今後議論されると考えて、よろしいのでしょうか、1点だけ。

○鹿野委員長 これは、宮木様、お願いします。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 すみません、免責。

○中田委員 保険会社が契約者に対して、どこまで支払うのか、支払わなくなるのか、例えば、ソフトウエアのアップデートを運転者が怠っていた場合、それは免責になってしまうのかとか、そういったことは今後議論されると。

○株式会社第一生命経済研究所宮木常務取締役・ライフデザイン研究部長・首席研究員 損害保険会社さん自体は、非常に自動運転にコミットして研究されていますので、今後そういう議論も当然業界として行っていると考えています。

○中田委員 ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかに御質問等よろしいでしょうか。

本日、御説明、御回答をいただきまして、ありがとうございました。

本日の委員からの御意見も踏まえ、私の意見も若干加えながら、まとめたいと思います。

冒頭でも言及しましたとおり、自動運転は高齢化、過疎化、人手不足など、我が国が抱える社会的課題を解決するために非常に重要なものであると認識しております。

しかし、消費者の利益の観点からはもとより、自動運転が社会に受容されるためにも、安全の確保及び万が一事故が起こったときの被害救済、補償などが制度的に整い、そのことも含めて国民に自動運転に関する情報が正しく与えられ、認知、理解される必要があるものと思います。

そこで、大きく3点にわたって、さらにまとめさせていただきたいと思います。

まず第1は、事故の未然防止、再発防止等に向けた対応についてです。

そのうちの1つ目ですが、事故の未然防止が重要であるということは言うまでもありません。運転者が存在しない自動運転においては、保安基準等に適合した自動運転装置に走行を委ねるということであるから、事故等を起こさないような未然防止の基準と規格等が重要ということになろうかと思います。

国交省におかれて、保安基準の具体化等がされることにより、自動運行装置が道交法を遵守した性能を発揮するということで、一定の安全性が確保されるということが、まずは前提とされているようですが、そこでは、自動車メーカー等が提出したデータ等の真正性も重要になってくるものと思われます。この真正性を担保するべく、企業の行動統制のためのインセンティブ構造を適切に構築するということも併せて望まれるのではないかと思います。

また、本日は、道交法について、ルールをより明確化するなど、改正が検討されるべきではないかという御議論もあったところでございまして、国としても、その点についても御検討をいただきたいと思っております。

第1の2つ目は、システムの改善についてです。

運行装置については、その安全性を維持、向上すべく、何らかの事故のデータを収集し、これは重大事故ではなくてもニアミス等も含めて、そのデータを収集し、それを踏まえて、適時適切にソフトウエアをアップデートするなど、システムの改善に努めることが望まれるところでございます。

その際、事故等のデータの収集、利活用において専門的知見を有する行政機関や民間法人など、各ステークホルダーと対話を重ねて、実効性のある方策を担保していくことが求められるものと思います。それを確保するような制度枠組みをさらに検討していただきたいと思います。

また、第1の3つ目は、アップデートの確実な実施についてでございます。

保安基準等のアップデート対応及びリコールに伴うソフトウエアのアップデートについては、自動車メーカーが、例えば強制的に実施可能なものとするなど、そのアップデートを何らかの形で義務化、強制化するということが考えられるのではないかと思います。

この問題は、生活者の安全に大きく関係する事柄である以上、普通のパソコンを使って文章を打つときに、何かアップデートを怠ったというような問題とはレベルが違うところでございますので、アップデートを確保するための措置を講じていただければと考えております。

また、4つ目は、事故発生時の損害軽減に関する措置についてでございます。事故の発生を防止するということは、もちろん大前提として大切なわけなのですが、もし事故が起きたときでも、それによる被害を最小限に食い止めるという対策も併せて重要であると思います。

例えば、車両に関しては、急ブレーキや衝撃によって乗っている人に大きな被害が生じないような措置を講ずるということが必要でしょうし、具体的には、車両規格の点や乗車ルールの点あるいは事故時の通報システムの面、これは乗っている人だけではなくて、周囲の人に関する面もそうですけれども、そのような面に関わってくるのではないかと思います。このように、事故発生時の被害軽減のための制度ないしルールということについても検討をいただきたいと考えております。

それから、大きく第2点は、事故等が生じた場合の原因究明、被害の救済に関してでございます。

まず、原因の究明についてですが、自動運行装置による認可を取得したものに対して、事故調査への協力を義務づけ、あるいは義務づけに近い形で促すという方策が講じられるべきであると思います。

本日、現在の原因究明制度についてのお話もいただきましたが、まだ強制的な権限というような形ではないということで、今後についてはさらに御検討されるものと思いますけれども、ぜひその点をよろしくお願いしたいと思います。

さらに、迅速かつ実効性のある原因究明ということが、まずは大切ですので、責任追及とは一旦切り離して行うために、職権行使の独立性が保障されているところの事故調査機関の設置というものについて、これも今、一応の調査機関というものが用意されているようですけれども、これについてもさらに制度的な工夫をお願いしたいと思います。

次に、被害の救済についてでございます。

事故による被害が生じた場合における補償の在り方として、少なくともレベル4までは、自賠法3条に定められた運行供用者責任に関する検討がなされているということのようでございました。

もっとも、これで果たして十分なのかというところも気になるところでございますし、それから、本日も議論がありましたように、自動運転のレベルが進んで、まだ現実的には検討されていないということでしたけれども、いわゆるオーナーカーが導入されるということになった場合には、特に、現行の運行供用者の概念でどこまで対応できるのかというところが気になるところでございまして、その段階になると、現行の運行供用者責任というものでは対応できないのではないかとも思われるところでございます。

また、全体として、車の保有者ということではなくて、本日御議論がありましたように、社会全体の利益のために導入しようと、実装化しようというところですので、社会全体で負担するという発想で被害補償制度を設けていくべきではないかと思います。

また、途中で一言質問をさせていただいたのですが、いわゆるサイバー攻撃によって事故が生じた場合、特に、基準を満たしても対応できなかった被害については、国の補償制度でその被害がカバーされることが議論されているようでございますが、国の補償で、これも細かく考えると、どこまでの被害がカバーされるのかということも、少し気になるところでございます。

また、自動運転を前提とした保険制度の在り方や、求償の考え方などについても、さらに、今後のレベルの進展に伴って検討されていくことが期待されます。

以上、被害救済については、運転者がいない自動運転車によって事故が発生した場合について、誰も過失もないし、欠陥もないし、だから被害救済が図られないということにならないように、全体としての仕組みをさらに御検討いただきたいと考えております。

それから、大きく第3点は、消費者の理解促進に向けた対応ということについてでございます。

自動運転が広く社会に普及していくためには、もちろん、技術と社会的ルールをきちんと整備することが大前提なのですが、その上で、それが正しく理解されることにより、国民の不安や懸念が払拭され、そして、積極的に受け入れられることが必要であろうと思います。

特に、本日、宮木様からは、受容ということでお話をいただきました。このような受容のためにも、広く国民の理解促進に向けた対策が講じられるべきであると思います。

それから、本日の意見交換の中では、リスクコミュニケーションについても意見交換がありましたけれども、ぜひ、今後も消費者も関係主体ということで、消費者の意見が反映されるような形での検討を進めていただきたいと思っているところでございます。

当委員会としましては、本日、委員から出た意見も踏まえ、次期消費者基本計画にさらに盛り込むべき事項について検討し、取りまとめを行っていきたいと考えております。

本日御出席いただいた皆様におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、決まり次第、お知らせいたします。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

時間を超過してしまいましたが、お忙しいところお集まりいただきまして、大変ありがとうございました。

(以上)