第441回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年7月25日(木)14:00~17:13

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁消費者制度課 古川課長
    成城大学法学部 町村教授
    特定非営利活動法人消費者支援機構関西 片山副理事長
    特定非営利活動法人消費者支援機構関西 小林事務局長
    特定非営利活動法人消費者機構日本 板谷専務理事
    特定非営利活動法人消費者スマイル基金 磯辺事務局長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(適格消費者団体の活動の意義及び強化)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、こんにちは。

本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、第441回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。また、今村委員、大澤委員、柿沼委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

原田委員、山本委員は、本日、所用のため御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(適格消費者団体の活動の意義及び強化)》

○鹿野委員長 本日、最初の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、適格消費者団体の活動の意義及び強化について御議論いただきます。

適格消費者団体は、消費者団体訴訟制度のうち差止請求の担い手として、事業者の不当な勧誘、契約条項、表示等の停止を求めることで、不特定多数の消費者の利益を擁護するという重要な役割を果たしています。

しかし、差止請求関係業務自体からは、適格消費者団体は利益を上げることができず、また、業務の担い手となる人員の確保も大きな課題となっています。

本年4月22日に、当委員会において取りまとめた次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見の中でも、そうした課題への対応の必要性を指摘していたところです。

本日は、関係者へのヒアリングを通じ、適格消費者団体の活動の意義を改めて確認するとともに、そのような意義を持つ適格消費者団体の活動を強化するために、どのような支援が必要か、支援を行うためにどのような観点が重要になるのかといった点について議論を深めたいと思います。

本日は、消費者庁消費者制度課の古川課長、成城大学法学部の町村教授、特定非営利活動法人消費者機構日本の板谷専務理事、特定非営利活動法人消費者スマイル基金の磯辺事務局長に、会議室にて御出席いただいております。

また、オンラインにおいて、特定非営利活動法人消費者支援機構関西の片山副理事長、小林事務局長に御出席いただいております。

皆様、お忙しいところ、どうもありがとうございます。

本日の進め方ですが、消費者庁、町村教授、消費者支援機構関西、消費者機構日本、消費者スマイル基金の順で御発表いただき、全ての御発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を45分程度取らせていただきたいと思います。

それでは、早速ですが、最初に消費者庁の古川課長、よろしくお願いします。

○消費者庁消費者制度課古川課長 消費者庁の消費者制度課長の古川でございます。よろしくお願いいたします。

まずは、今回の議事の冒頭ということで、消費者団体訴訟制度の概況、当課で消費者団体訴訟制度を所管しておりますので、その概況と、あと我々が、今、実施している支援の概略を御紹介させていただきたいと考えております。

資料は1-1という資料がございますので、御覧いただければと思います。皆さん、御存じのところも多いとは思いますので、幾つか端折りながらご説明いたします。

まず、2ページ目を御覧いただければと思います。消費者団体訴訟制度の概要です。

最近、COCoLiSということで、英語の頭文字を取って、消費者団体訴訟制度をより分かりやすく認知していただこうという取組をしているところでありますが、この消費者団体訴訟制度の概略をここで示しております。

財産上の消費者トラブルというのは、当事者同士で交渉したり、裁判所に訴えたりして解決するのが基本だと思っています。それは、民法がそうなっているということでありますが、しかし、それでは消費者というのは泣き寝入りをしてしまいます。消費者は事業者と比べると情報の質、量、交渉力が劣っているので、言わば商売のプロである事業者と交渉をするには、素人である消費者は、どうしても交渉の当事者として至らない面が出てくるからということで考えております。

そのために、どのようにしていくかということで、1つの方策として、内閣総理大臣が認定した適格消費者団体、あと、特定適格消費者団体もありますが、その適格消費者団体等が、消費者に代わって2つのことをすることができます。

1つは、事業者の不当な行為への差止めを行う、今後、その売り方はしないでねと求めていくということ。これは、この図の左向きの矢印のところで書いていることであります。もう一つが、消費者が事業者から受けた被害の回復を図ること。端的に言えば、金を返せと求めていく、これは右側の矢印に書いています。そういうことを適格消費者団体、特定適格消費者団体が求めていくことができるという消費者団体訴訟制度というのがございます。

この制度は、かなり特異な画期的な制度であります。なぜかというと、普通は被害を受けた当事者が訴えるというのが、大原則になっているのですけれども、この適格消費者団体、特定適格消費者団体自体は、被害を受けているわけではありません。しかし、当事者ではない者が訴えることができて、それでもって消費者問題を解決するという点で画期的な制度でありまして、これは、ある意味では従来からの消費者運動を法的に位置づけたもの、そういう制度だと言うこともできるかなと考えております。

これによって、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とするということになっております。ここの後段の言い方を少し私なりに噛み砕いて言うと、適格消費者団体が、安心・安全な取引環境と健全なBtoCの市場をつくる当事者になるのだという意義があると考えているところでございます。

次のページをおめくりいただきたいです。こちらも概要ということですが、先ほど申し上げた差止請求と、被害回復という2つについての特徴的な事項を、ここには記しております。

まず、左側の黄色の差止請求からです。先ほど申し上げました民法の特例である消費者契約法、いわゆる民事ルール、当事者同士で交渉して解決していくというものではあるのですけれども、それに対して、平成18年の消費者契約法の改正のときに、この差止請求権というものが導入されました。

消費者契約法は平成12年にできたのですけれども、そのときから、当事者同士の解決なのですということに加えて、どのようにして実効性を確保していくかというのが懸案になっていて、その解決策の1つとして、こういう制度を導入したということになっております。

今は、消費者契約法のみならず、景品表示法、特定商取引法、食品表示法にも差止請求権は規定されておりまして、現在、26の適格消費者団体がございまして、それで約1,000事業者に対する差止請求、90事業者については訴訟するということになっております。

この1,000と90ということの解釈は、今後、登壇されている皆様からも話があろうかと思うのですけれども、私なりに咀嚼すると、全部が全部訴訟、裁判所に至らずとも、申入れ活動を通じて事業者側が改善をしてくれている、より良い事業活動をやるように変化してくれているということです。

ただ、一方で、差止請求権として最後は裁判所に訴える権利があるのだからこそ、事業者側も話を聞いてくれているという状況でもあります。従来からの消費者運動を法的に位置づけた制度の具体的な意味合いというのは、ここら辺にあるのかなと考えております。

次に、右側の緑色の被害回復に移りたいと思います。

先ほどは消費者契約法の話をさせていただきましたが、こちらは消費者裁判手続特例法という別の法律でやっているものです。

少し細かい話なのですけれども、こちらは訴権、訴える権利ということで書いているものなのです。先ほどの差止請求権というのは、実は、そもそも消費者は差止請求権という権利は持っていなくて、要は、消費者が今後その売り方はやめてくれなどと主張する権利はどこかに規定されているわけではなく、適格消費者団体固有の権利が差止請求権になります。

一方、こちらの被害回復というのは、ある意味、金返せという話ですので、それは、まさに消費者自身が持っている権利、何か被害を受けたらそれは金を返せと言いますよとか、不当利得返還してくださいとか、それは消費者自身が言えるわけであって、そういう消費者自身が持っている権利を、被害を受けた消費者本人ではない特定適格消費者団体という者が行使できるという意味で画期的なものです。これは民法の特例ではなくて、民事訴訟法の特例を規律しているものです。

それで、平成28年の制度施行に対して、9事業者に対する訴えを提起と書かせていただいて、その意味では、実施の件数が少ないというのは課題なのかなと考えているところでございます。

続きまして、4ページ目に行きたいと思います。

この2つの適格消費者団体、特定適格消費者団体との関係について、クローズアップしていきたいと思います。

適格消費者団体は、黄色のところです。その一番のポイントは、少し薄い字になっている、明朝体の字になっているポツの2番目です。相当期間にわたり継続して適正に消費者の利益の擁護を図るための活動を行っていることと、すなわち消費者団体としてちゃんと活動していることというのが、ある意味で一番重要な要素になっております。

そして、3番目のポツのところですけれども、差止請求権という固有の権利を付与するのにふさわしい体制がありますねということ。そして、消費者団体としての活動という点を踏まえた経理的基礎を審査させていただいて、内閣総理大臣の認定という形になっております。

一方、特定適格消費者団体というのは、その適格消費者団体の中から、なお追加する要件を認められた場合に、特定という名前もつけるという形で、追加の認定をするという形になっております。

差止請求と被害回復の違いは、団体が消費者自身の権利に触れて、消費者の金にも触れるということが大きく違うことです。

そのため、他人の権利に触れるという点では、弁護士の関与というのを入れております。他人の金に触れるという点では監督の規律を強化しているというところの違いがあります。

一番下側のところに、今回、金を返せということで、この結果において、お金が動きます。そういう状況を踏まえ、動いたお金の一部を報酬とか費用として、特定適格消費者団体がもらうことができる制度設計としております。

ここには書いていませんが、逆に言うと、差止請求というのは、不当な行為を差し止める、やめてくれと言ってやめてもらうということで、お金が動かない制度になっておりまして、そういった意味では別の課題を生み出しているかなというところも認識しているところでございます。

それで、何かこういう意義めいたところをばっと話をしていると、だんだん時間が過ぎ去っていくので、ここからは、だんだん割愛していこうかと思います。5ページ目には、団体が26団体、このようになっておりますということ。

それで、6ページ目には、その団体が順次増加してきているということ。

7ページ目、8ページ目、9ページ目と飛ばしていただいて、そこら辺には制度のパンフレットみたいのを添付しております。

11ページ目まで行っていただきますと、適格消費者団体の現状ということで、多分この後、町村先生から、きっと、なお詳しく御説明いただくので、私からは概略だけお伝えさせていただこうかなということですが、基本的には、団体の会員数というのは、大体100人ということが体制整備の1つの目安として勘案して我々は見ておりますので、そういうラインに大体各団体揃っているかなと思います。

次のページの正味財産と収入総額。先ほどのページから、全国消費生活相談員協会さんだけは、若干特異な感じで随分振れているので、平均値の取り方が難しいかなとは思うのですけれども、他の団体は、あくまで基本的には、全団体とは言いませんけれども、適格消費者団体としての活動をするために、団体を設立して活動してくれているという団体が多うございます。そういう意味では、事業規模というのが大きくないかなと思っています。

一番上の、今日お越しいただいている消費者機構日本さん、消費者支援機構関西さん、それから少し下になって、埼玉消費者被害をなくす会さん、そして、町村先生もいらっしゃる消費者支援ネット北海道さん、この4つの団体が特定適格消費者団体となっております。さすがにこの4団体のほうが、活動規模が大きくなっているかなという状況は見て取れるかと思います。

そして、次からは、私どもがやっていることということを御紹介させていただければと思います。

私どもは、適格消費者団体を認定して、監督していくという立場ではありますけれども、それに加えて、この消費者団体訴訟制度の実効性を確保して、制度を活性化させていくべく、支援する立場もあるかなと思っております。

14ページ目には、私どもの団体支援の現状を幾つか記載させていただいています。令和6年度、今年度の予算事業として展開しようとしているものですが、上から順番にいきますと、連絡協議会というものを年2回開催して、実開催するときに当たっての交通費とか旅費とかの一部を、我々が見たりしているところでございます。

次のブロック会合というのは、今年度からの新規事業ですけれども、地域ブロック単位で自治体を連携というのは図っていったほうがいいのではないかという観点の事業です。

3番目の実態調査ということで、制度の充実、さらなる活用を図っていくためには、PIO-NETの情報だけではなくて、もっと深い情報を我々は制度の改善とかに活用していきたいということで、適格団体の方々に調査していただいているものです。

それで、孤独・孤立事業との連携を促進するということで、スマイル基金さんにやっていただいておりますし、ポータルサイトを今年度から運営開始しまして、これもスマイル基金さんに受託していただいています。

それ以外に、予算事業ではないものとしても、まさに支援法人制度を創設して、スマイル基金さんを、その後、認定するということになっております。あとはPIO-NETの提供の促進・拡大とか、仮差押えの担保の話とか、そういうことをやって支援をしているということであります。

そして、18ページ目を御覧いただければと思います。

令和4年度の2次補正予算において、補正ということで、一時的なもので恒常的なものではなかったのですけれども、消費生活相談機能強化促進等補助金の中に、霊感商法を含めた悪質商法への対策充実という観点から、適格消費者団体向けの予算事業を措置させていただきました。補助率は10分の10で、約5,800万円の執行額になっております。

補正予算ということなので継続しているわけではないので、終わってしまっているところではあるのですけれども、次のページを御覧いただきますと、全26団体のうちの14団体に、この補助金を活用していただきました。

交付確定額は多いところから、少ないところまでまちまちではあるのですけれど、その状況に応じて使っていただいたのかなと思っているところでございます。

もちろん、手を挙げられなかった団体もあります。全部が全部どういう状況だったのかを確認しているわけではないのですけれども、国の資金を用いるということですので、さすがに、ここにある皆さんが何か不正利用しているとまでは言いませんけれども、そんなことをするとは思っていないのですけれども、不正利用になれば、厳しく糾弾されるわけですし、不当な扱いとなれば、会計検査とかでも指摘されるという、そういう資金になっていますので、そういった意味では、一定の事務体制が整備されているということが、どうしても前提になるのかなと、国のお金を入れるからには、そういう話になるかなということとの兼ね合いで、使うのをためらった団体さんがいるのではないかなとは考えているところでございます。

私のほうからの説明は、すみません、少し長くなりますが、以上とさせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、町村教授、お願いします。

○成城大学法学部町村教授 成城大学の法学部の町村と申します。

同時に消費者支援ネット北海道の理事、検討委員もやっておりますが、本日は、どちらかというと、研究者の立場で報告をさせていただきます。

本日の内容というのは、資料の1-2と1-3というのを用意してきましたが、主に資料の1-2に沿って、適格消費者団体の差止請求に関する実態調査の結果を御報告するというのがメインであります。

これは、文科省の科研費を用いて、3年か4年ぐらい研究を続けてきたもので、今年ようやく発表できる程度のものができたので、各地で発表しています。適格消費者団体の皆さんには、もう何度目かという感じで、耳にたこになっているのでしょうが、そうでない方には初めてということになります。

調査の方法については、スライドの1枚目の表紙のところに小さく書いたように、消費者契約法23条4項に基づいて、各団体が申入れなどを行った際に団体同士、それから消費者庁と情報共有をするという仕組みがありまして、これを掲示板と呼んでいるのですが、その掲示板に登録されているものと、それから各団体がホームページで公開しているもの、さらには消費者庁が消契法39条に基づいて公開しているものを調べました。加えて、各団体にヒアリング調査などをやって補充したものというのが、この資料の内容です。

この掲示板情報に関しては、守秘義務がかかっているものですから、件数などの統計データのために利用しました。内容に立ち入って詳しい検討を行ったのは、各団体のホームページで公開されているものを中心にしています。

調査の対象は、この適格消費者団体制度ができた2007年から2022年末までの記録ということにしております。要するに15年間の記録ということです。

したがって、団体の数も2022年末の当時は23団体でありました。さらに実際に差止申入れ活動を掲示板に出しているのは22団体だった時代です。

次のスライドをお願いしますが、適格消費者団体の役割というのは、先ほど消費者庁の方から詳しく御説明がありました。

それを前提にしますと、要するに裁判上の差止請求権が付与されたことが特徴なわけですけれども、先ほども言われていたように、裁判外での解決というのが非常に多いということが注目点です。

裁判外のものが1,056件で、41条請求、これは消契法41条で、訴訟を提起する前には1週間前までに予告をしなければならないというのがあるのですけれども、その訴訟提起の予告を兼ねた申入れというのが出されたものが171件で、訴え提起に至ったのが79件となっています。先ほど消費者庁のご説明では事業者数で90事業者とおっしゃいましたけれども、件数ベースで2022年末だと79件ということになります。

合計1,227件が、申入れの全体ということになります。

裁判外ということになると、訴訟提起に至ったものを除く件数なのですけれども、その中で、78パーセントが是正を達成しているという記録になっております。

次のスライドをお願いします。

申入れ内容を具体的に、申入れの根拠法条を見てみると、これは、前から調査されていたところではあるのですけれども、消費者契約法の8条から9条、10条という、いわゆる不当条項違反というのが大半を占めております。

しかし、最近では、景表法や特商法に基づく差止請求というのも、大分件数が増えてきていまして、いろいろバラエティーが富んだものになっています。

ただ、消契法の4条という不当勧誘事例、これは、法律の規定としては非常に分量が多いのですけれども、これを根拠とする申入れの件数はそんなに多くはありません。

不当勧誘の中でも景表法と重なるもので、景表法に基づいて申入れをするというケースがかなりあるので、そちらに吸収されているのだろうなと思います。

それから、その他というのが、この統計にはあるのですけれども、これは、差止請求権があるわけではない民法の公序良俗違反とか強行法規違反とか、あるいは薬機法違反とか、そういった法律違反を指摘して是正を求めるというものもこの中に入っておりまして、例えば、消契法の3条で情報提供義務違反ですよというのも、努力義務なわけですけれども、消費者に分かりやすい経営を目指している企業がそれを指摘されると、ちゃんと直してくれるとか、そういう形で、差止めの申入れの機能の1つとしては役に立っているということが言えます。

具体的な事例で見る申入れ・是正内容というのが、その次のスライドでありまして、これは、特に多くの団体あるいは1つの団体が多くの事業者に申入れをしている類型的なものを出してみたのですが、例えば銀行カードローンの期限の利益の喪失条項に、相続開始を定めているなどというのは、申入れを受けるまでは、別に違法だと思ってやっているわけではないのですね。ですけれども、消費者の利益を一方的に侵害し、かつそれが信義則違反であるという消費者契約法10条に照らして問題があるのではないかという申入れをして、ほとんどの銀行が、その是正に応じていて、これに関しては訴訟に至ったものは1つもないということです。

もう一つ例を挙げますと、資格試験学校において、学納金の不返還条項というのは非常に多くて、特に多かったのが司法試験予備校ですね。司法試験予備校なのにそういうことをやっているところが非常に多かったので、ある団体が集中的に申入れをして、かなり争われたところもありますけれども、ほぼほぼ是正を勝ち取っているということがあります。もちろん司法試験予備校だけではなくて、英会話学校、その他いろいろありますけれども。

というような形で、特定の条項について、1つの団体あるいは複数の団体が集中的に申し入れて、業界全体の慣行を改善するというところに結びついているというのが、ここでは例として見られます。

それから、その横に申入れの多い業種というのがありますけれども、不動産賃貸業などというのは、非常にたくさん事業者がいるわけで、定型的に申入れをすべき情報というのはあちこちでやっているので、本当にこれはきりがないところがあります。

次のスライドに行っていただいて、申入れ結果ですけれども、先ほど言いましたような78パーセントというのが、この形になっています。

事業終了というのがありますけれども、これは申入れをした事業者が、もう営業自体を全部やめてしまったとか、あるいは申入れ対象となった事業を撤退するという形でやめてしまうというケースがこの4パーセントでして、これは結局、不当取引の事業をやめるということですから、是正ありに勘定してもいいかなというぐらいのところではあります。

そこに小さな字で書いてあるのは、消費者庁が以前に、経済的な試算で差止めの申入れをすると、どれぐらいの被害額の防止になるのかということを数字で出しておられましたので、これを使って団体の差止めの全体に掛けると、19万6,600人の被害者を防止したと、15年間でですが、170億円超の被害額を防止したと、こういう計算になります。

この元となる数字は、消費者庁の数字ということで信用しておりますが、そこは、私が調べているところではありません。

その下のスライドは、41条請求の有無と是正状況でありまして、41条請求というのは、先ほども言いましたが、予告をしてから1週間で訴え提起ができるというものです。法律ができるときには、1週間ではあまり意味がないのではないかと言われていたのですけれども、しかし、逐条解説などでは、これによって交渉を進めるのだと、その余地を残すのだとなっていまして、実際、統計的には、41条請求がある事案では、91パーセントが是正ありということになっていますから、交渉促進機能というのは存分に尽くされているのだなということが言えようかと思います。

次のスライドに行っていただいて、今度は訴訟になった事案の終局割合なのですけれども、左側のグラフは、消費者団体の差止訴訟の一審終局区分です。右側は、一般の通常事件の民事訴訟の終局区分です。

一見すると、通常事件のほうが、認容が非常に多くて、消費者差止訴訟は認容が少ないと、逆に棄却のほうが3倍ぐらいあると、何か負け筋の訴訟ばっかり起こしているのではないかと思われるかもしれないのですけれども、そういうわけではありません。まず、通常訴訟においては、欠席判決というのが大半というか、半分ぐらいを占めていまして、要するに被告が出てこないから勝ちということですね。

ところが、消費者団体訴訟の場合には、欠席判決というのは、2022年までの段階で1件しかありません。その後、もう一件出たものもありましたけれども、とにかく一般的に数が少ないのです。つまり、訴訟になる前に事業をやめてしまったり、行方不明になってしまったりというところは、そこで脱落するので、そうではない争いのある事件が現れているというわけです。

棄却のケースなのですけれども、この中には、事業者が申し入れたところを自主的に直してしまって、その結果、もう不当条項を使用するおそれがないということで請求棄却になるという事案がかなり含まれています。これなどは、請求認容と言ってもいいようなものだと思うのですけれども、ともあれ、そういうものが含まれていますので、棄却が多いということになっています。

和解の割合というのは、あまり変わらないように見えますが、それでも少し多いですかね。

一般にはほとんど見られないのが、認諾というものでありまして、訴えを起こして、ほとんどすぐ事業者の側がもう訴訟を続けたくないということで、全部認めますと終わるものです。

これなども自分で直して、そのまま突っ張っていれば、棄却になったようなケースのわけですけれども、そういう団体訴訟の特徴ということができます。

要するに、訴訟になっても、なお、合意による解決とか、事業者の自主的な解決というのが、ここで達成されているということが、見えて取れると思います。

その下が、申入れの処理期間でありまして、これは、下から41条請求がない事案、真ん中が41条請求はしたけれども訴訟に至らなかった事案、そして、一番上が、訴訟提起に至った事案で、それぞれ終結までの日数を帯グラフにして見たものです。41条請求のない事案でも457日ですから、1.3か月程度かかっているのです。41条請求の後、訴訟に至らないで終結するまで約1年近くありますかね。その交渉期間があるということです。

訴訟になるものでも、41条請求をしてから訴訟提起まで3か月あるので、その間、なお交渉を重ねて、それでも駄目なら訴訟すると、そういうことになっています。

ということで、訴訟前の交渉による解決を両当事者とも、かなり粘ってやっているという姿が見えて取れると思います。

訴訟になった場合の長さなのですが、次のスライド9です。これは、訴訟提起から1審の終結まで22.7か月で2年近くかかります。

これは、非常に訴訟が長いことで有名な医療事故訴訟ほどではないにしても、そのほか訴訟遅延が問題だと言われて、特別の労働審判制度などをつくった労働訴訟とか、それから、やはり訴訟が長いということで、専門調査の調査官とか、あるいは専門の部あるいは裁判所までつくってしまった知財事件とか、こういったものよりも消費者差止訴訟というのは非常に長くかかるというのが特徴です。

どうしてかというのは、これから分析してみないと分からないわけですけれども、やはり訴訟になっても、なお交渉が続くということになるのではないでしょうか。

次のスライドが、これまでの検討の結果の小括でありまして、8割程度の案件で是正を実現していて、訴訟になると認容は少ないものの、その他自主的な是正があって、棄却されたケースとか、和解・認諾により目的を達した事例なども多く含まれていると。

業界一般に広がっていた不当条項を一挙に改善させるということも行われていますし、それから、訴訟外の交渉が大半ですから、濫訴とは言い難い状況です。それで、その被害防止の効果というのは非常に高いものがあると。

しかし、他方、差止めの時間的コストは極めて大きいということが、やはり言えようかと思います。1案件当たり平均で1.3か月から1.9か月、訴訟になればプラス2年というわけです。

このような非常に負担が多いけれども、実の多い訴訟を行っている団体の財政はどうなのかということで、次のスライド11ですが、これは、先ほど消費者庁から出された資料とほぼほぼ同じなのですけれども、順番を変えてみて特定4団体を前に持ってきました。やはりそこが多いということです。正味財産と収入ですけれども。

団体ごとにどのような収入を得ているのかというのは、実はばらつきがありまして、会費収入を主に得ているところ、これがスライド12ですけれども、KC’sとか、KCCN、京都の団体とか、それから、新しいところで栃木の団体などは会費収入がほとんどと、新潟もそうですかね。

それに対して、寄附や助成割合に非常に多くを頼っているのが北海道の団体と、それから佐賀ですかね。

事業収益を非常に頼みにしているのが、グレーの線が非常に大きいところで、全相協とか、COJとか、なくす会などいっぱいあります。

これを3つに分けて見たのが、次のスライド13でありまして、このように分けることができると。

この事業収入が非常に多いということなのですが、少し順番が悪くて申し訳ないですけれども、スライドの16を見ていただけますか。

スライド16のところには、適格消費者団体の組織と財政基盤ということで、左側に円グラフをつくりまして、全相協は少し特殊なので除いて、全体の平均では、事業収益が57パーセントを占めています。

その事業は一体何をやっているかというと、消費者庁の先ほど御紹介のあった委託事業のほかに、自治体からの委託事業も多く負っておりまして、そこでは講習会とか研修会などの消費者啓発事業をやっています。消費者相談の事業を請け負っているところもあります。それから、表示の適正化や見守り事業などを行っているところもあります。

非常に手のかかる事業をやって、そこで収益を上げているということがお分かりいただけると思います。

それで、スライドを元に戻って14番なのですけれども、このような団体の人為的構成を、会員数は、先ほど御紹介になったぐらい多いのですが、実働部隊という数になると、この細かい図で恐縮ですけれども、多くて2桁の事務局員と、それから専門委員として関与している方々、多くは弁護士さんが関与していただいています。

消費生活相談員の方が、さすがに多いのは全相協なのですけれども、それ以外は弁護士さんのほうが多いかなというところです。

司法書士も研究者もそこそこ参加していると。このようなメンバーで差止めの実働部隊が組織されているわけです。

支出のほうを見てみますと、スライド15です。詳しく言うと、いろいろあるのですが、左側は全相協以外の21団体、実は22団体ではなくて、消費者庁の公示していたのが22年末では21団体しかなかったので、21団体にしていますが、やはり事業経費、事業人件費というのが大半を占めているわけです。

これらというのは、先ほど見ていただいたように、事業を請け負って、それを遂行するというところに非常に多くかかっています。

実際に差止請求に支出しているものは、その下の帯のところに書きましたけれども、平均で84万円、事業支出の16.5パーセントしか出していないわけです。

そうすると、この85パーセントというのは事業収益といっても、結局、委託事業等に費やしているということが言えますね。

何が言いたいかというと、差止請求権を活動の中心とする適格消費者団体ですけれども、資金的には、ほとんどは事業収益を上げるための事業遂行に充てられていて、肝心の差止請求権の活動というのは、ボランティア頼みになっているということが浮かび上がるわけです。

未特定団体、すなわち特定適格消費者団体ではない団体の平均というのは、右側のグラフですけれども、これは規模が半分ぐらいになるだけで、ほぼほぼ同じことが言えます。

次の16スライドを御覧ください。

これの左側は、先ほど御紹介しました。右側のほうです。社員数とか事務局員とか関与弁護士数などの平均を改めて表にしまして、年間の収入、支出と、その支出の中の差止関係業務の支出というのが、ごくわずかであるということが、ここに出てくるわけですけれども、結局、事務局員とか関与弁護士が差止請求活動を行うのには、非常に無償ボランティアに依存する部分が大きいということが浮かび上がるわけです。

さて、時間がもうなくなってしまいましたので、もう一つの資料1-3のほうは「社会的インパクト評価報告書」ということで、ホクホクネットの活動をまとめてみたのですけれども、詳しい話は、時間のあるときに読んでいただくということにしまして、1つだけ、指摘しておくと、これは、差止訴訟を行った事業者で、協力を得られたところにインタビューをしています。

これが資料1-3の22ページのところからなのですけれども、要するに、適格消費者団体と自称しているわけの分からない団体からいきなり申入れをされて、あれよあれよという間に、訴訟になって、大変迷惑をしたというニュアンスが浮かび上がっておりまして、終わってみれば、制度としては必要なものだと思うけれども、なぜ、うちなのかとか、そういうことは、いまだによく分からないし、納得は全然されていない様子が如実に浮かび上がっております。

要するに、コミュニケーション不足あるいは適格消費者団体制度に対する理解不足、認知不足というのは事業者の方にもあって、それが申入れをしても適切な反応というか、交渉に結びついていないということが、そこで示されているかと思うわけです。

なお、このインパクト調査の全体の取りまとめは、30ページからのところに見開き1ページで書いてありますので、お時間があるときに御覧いただきたいと思います。

最後、終わりですが、持続可能なための課題としては、やはり広報をして、認知度を上げなければならないと、それは人的組織を維持するためにも必要だし、それから会員の会費の負担層を増やすためにも必要だし、事業者との交渉がうまくいくためにも必要だということになります。

それから、情報収集手段の拡充というのは、今日の報告には出てこなかったところですけれども、是正に要する時間を短縮するためには、情報が必要ということになります。

そして、何といってもやはり差止関係業務の経済的基盤を充実させないと、このままではボランティア頼みで、いつかは破綻すると、燃え尽き症候群になるのではないかということが危惧されるところでありまして、今後の政策の進展に期待するところであります。

私からは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者支援機構関西の片山副理事長、小林事務局長、よろしくお願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 ありがとうございます。

消費者支援機構関西、通称KC’sと呼んでおりますが、その副理事長を務めております、片山です。よろしくお願いいたします。

お手元にレジュメをお配りさせていただいております。当団体からは、事業者との協働の取組の成果と課題ということを中心に、御報告をさせていただきます。

レジュメの中の3の財政強化等の課題の部分につきましては、小林事務局長のほうから報告をし、その他の部分は片山から報告をいたします。

組織の概要は、レジュメの1に記載のとおりで、2007年に適格消費者団体、2017年に特定適格消費者団体の認定を受けました。

正会員は、レジュメに記載のとおりです。

活動の組織ですが、差止請求検討委員会及び被害回復検討委員会のもとに、様々な事案を専門分野ごとに検討するグループを順次立ち上げてきておりまして、現在、活動している検討グループの数と弁護団の数を足しますと、合計11となっています。

その構成メンバーの数は延べ73名で、担っていただいているのは、主に弁護士、司法書士、消費生活相談員、消費者団体の会員の皆さんということになります。

活動実績ですが、差止請求関係業務では、これまで186社に対して交渉を行っており、その結果、123社が何らかの改善を行っています。

訴訟に至ったのは11社で、多くは裁判外の申入れ活動によって一定の改善が図られているということが言えます。現在、2社と訴訟中であります。

被害回復関係業務のほうでは、2023年に初めて2件の共通義務確認訴訟を提起し、これは現在も訴訟中となっています。

なお、裁判外で被害回復を実現したという特徴的な事案があります。これは、2017年に消費者庁より措置命令を受けました、葛の花由来イソフラボンを配合した機能性表示食品の販売事業者15社に対して、消費者への返金を求める交渉を当団体が行ったものであります。

結果、うち12社から合計1万6,566人に対して返金を実現することができました。こうした形での被害回復活動も行っているということになります。

では、次にKC’sの特色ある活動であります、事業者と消費者の双方向コミュニケーションについて、報告をさせていただきます。

このコミュニケーションの研究会は、2010年にスタートいたしました。

目的は、大きく分けると3つ挙げられます。

1つは、2008年6月に発表されました消費者行政推進基本計画の中で、今や安心・安全な市場、良質な市場の実現こそが、新たな公共的目標であると位置づけられ、それは競争の質を高め、消費者・事業者双方にとって長期的利益をもたらす唯一の道であると示されました。

ここから気づきを得たものでありますけれども、消費者被害のない安心・安全、良質な市場の実現が、事業者・消費者双方の共通目標であるならば、事業者と消費者は、本来敵対する、あるいは対立する関係にあるのではなく、その目標達成に向けて、協働関係を築き上げていくことが不可欠なはずである。それを具体的に目指すために、双方向のコミュニケーションの場をつくっていこうと考えたのが目的の第1です。

2つ目ですが、それは、製品安全の分野でも取引被害の分野でも、事業者は消費者のありのままの生活実態、すなわち消費者は様々な要因から脆弱性を持って日常生活を送るほかないという実態がありますが、それをあまりにも知らな過ぎると、私自身が被害現場にいて強く感じてまいりました。

消費者のありのままの姿を前提にせずして、安全・安心、良質な市場の実現はあり得ない。

そこで、事業者に消費者の実態を、共感を持って理解してもらえる場、なるほどそうなのだと分かってもらえる場をつくる必要があると考えたこと、これが2つ目の目的です。

もう一つは、より広い視点で、消費者も、事業者が事業活動を行っていく上で抱える課題だとか、商慣習に伴う不合理さ、そういったものの存在を知る必要があると感じたことに起因するのですが、例えば、食品ロス削減の問題1つをとっても、実際にどういった食品流通の仕組みの中で、食品ロスが発生しているのかということを知らなければ、消費者として行動を変えたり、不合理な商慣習に異論を唱えていくということも、なかなかできません。

様々な社会課題を解決するには、実は消費者も事業者の活動の実態を知り、その相互理解と協働の中で解決の道を見いだす場が必要である、そう考えました。これが3つ目の目的ということになります。

双方向コミュニケーションの活動の内容ですが、毎年、活動の詳細を記載した報告書を作成しており、2020年以降の活動報告書をKC’sのホームページに掲載しておりますので、ぜひこの機会に御覧いただきたいと思います。

活動を大きく分けますと、実践の場と呼んでいるものと、研究会の2つに分けることができます。

実践の場といいますのは、一社もしくは複数の事業者と消費者が、実際に商品やサービスについて忌憚のない意見交換を行う場を、KC’sがその運営を行って実現しているというものです。

消費者の側からは、高齢者層や子育て中の主婦層、あるいは大学生、さらには視覚障害を持つ方など、多様な方に御参加いただいており、平素、事業者に伝える機会のない疑問であるとか要望・意見を伝えて、対面で意見交換を実施しています。

2011年から実践を始めましたけれども、2023年までに開催は75回、参加事業者が延べ109社、276名で、参加消費者は延べ970名となっています。

他方、研究会の活動ですけれども、これは年に3回から4回開催しています。

ここでは、研究会の参加者全体で、事業者や事業者団体から報告等を受け、その後、事業者と消費者が入り混じった少人数のグループに分かれて、当日のテーマについて双方向でのコミュニケーションを研究会の場の中で行っています。

その結果を各グループから報告するという形で、様々な気づきを出し合ったり、あるいは具体的に、消費者と事業者が、相互に何をどう変えていくべきなのかといった意見交換を行っています。

十数年続けてまいりましたが、このコミュニケーションの成果として、大きく2つのことが挙げられるかと思います。

1つは、事業者から見た感想ですけれども、直接対面の双方向のコミュニケーションを通して、ありのままの消費者の生活実態、あるいは消費者から上がってくる意見に、事業者の皆さん、一様に非常に驚かれます。

本当の意味で消費者視点に立つというのはどういうことなのかということを改めて認識し、今まで自分がイメージしていなかった消費者の声あるいは消費者の疑問があるのだということを知って、そのことを会社に持ち帰り、事業活動に反映させるきっかけにしていただいています。

参加した事業者からは、非常に有意義な場になっていますということで、大変評価をいただいているところです。

他方、消費者から見た場合のコミュニケーションの成果ですが、消費者はなかなか事業者と対面で意見交換をする場というのは持ちにくいのでありますけれども、この研究会の場では、対面で意見交換をするということから、これまで聞くことのできなかった事業者のプロとしての知識や意識、業界慣習等がどうなっているのか、その悩み、その解消に向けて事業者としては、どういう取組をしているのかということを知ることが可能になっていきます。

そうした経験というのは、消費者自身の行動変容を強く引き起こすきっかけになりますと同時に、消費者の様々な社会課題に向けた関心や市場の在り方に対する関心を深めるきっかけになっていっておりまして、消費者市民としての行動を考える機会にもなっていると私どもは感じております。

双方向コミュニケーションの場を、今後広げていっていただきたいと思っています。そのことによって新たな商慣習、あるいは市場ルールというものを消費者と事業者の協働の中で生み出すことが可能になると考えますし、それは、今後の市場の在り方として必要なことではないかなと考えております。

ここで、小林事務局長に代わります。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西小林事務局長 それでは、小林より団体の財政強化についての課題を報告いたします。

まず、団体の収入ですけれども、先ほど御報告もありましたように、ほとんどが団体や個人からの会費になっています。

年度によっては、この後、御報告される消費者スマイル基金より、団体で取り組んだ裁判や裁判外の活動に対する助成金や、消費者庁より事業を受託できる場合もありますが、これらは確約された収入ではありません。

会費収入がほとんどですので、この間、減少傾向となっている会員数を増やしていくことが課題です。

一方で、事案の検討などで活動いただいている方の多くが、ボランティアベースでの参加です。訴訟等に備えて正味財産は増やしてきていますが、事務運営は担当いただく団体から支援を受けている部分が多く、何とか回している状態です。

続いて、会費についてです。当団体の会費は、団体、個人それぞれで議決権のある正会員と、ない賛助会員の区分となっております。

会費金額は資料を御覧ください。

続いて、当団体の団体正会員ですが、団体の設立を呼びかけ、支援をいただいた非営利団体が中心となって構成されています。

団体賛助会員は、主に事業者の皆さんです。団体正会員の方や理事会メンバーなど、人的なつながりなどから加入をいただいております。

個人会員は弁護士、司法書士、消費生活相談や消費者問題の活動に関わる方が中心です。

異動等で人のつながりが途絶えると、退会される場合もあり、経年とともに減少傾向となっています。

特に団体賛助会員の減少は、収入の減少に直結しますので、活動への理解をさらに広げていくことが必要です。

最後に、今回の研究会から見た現状と問題意識について申し上げます。

最近の研究会には、10社程度の事業者が参加され、研究会の場の意義を理解し、長年参加してくださっている事業者もおられます。

この10社程度の利用者のうち、会員であるのは半数程度で、これは団体賛助会員全体の中では1割程度になります。

そもそも当団体として、この研究会は、会員加入促進を目的に開催しているわけではありませんし、私たち適格消費者団体と、事業者の間の信頼関係をベースに、目的の一致があってこそ、参加いただけるものと考えています。

一方で、私たちは、この研究会へ参加いただく事業者をもっと増やしていきたいと考えています。

当団体が団体賛助会員に対し、お役立ちできることがなかなかないのですが、消費者に向けた事業活動の視点からこの研究会の取組を活用いただけるのではないかと考えています。

参加いただきやすいよう、運営の改善を進めているところですが、さらに工夫が必要かなと思っております。

また、会員でない事業者の皆さんにも、機会があれば、加入の呼びかけを行っておりますが、こちらも思うようには進んでいません。

なぜ加入が進まないのか、そもそも適格消費者団体について、その活動や目的などが、事業者に正確に伝わっていないのではないかと思っています。

適格消費者団体は事業者に対して、物申していく立場ではありますが、同時に、悪質な事業者を排除していくなど、健全で公正な市場形成のために、手を携えて取り組んでいくことが、事業者にとっても有益であると考えています。

そういった点も社会や事業者の皆さんにきちんとお伝えしていくことも必要だと思います。

また、適格消費者団体を事業者側から見たときにも課題があると感じています。適格消費者団体は全国に26あり、例えば、1事業者が全ての団体に加入するというのは現実的ではありません。

実際に当団体でもある事業者に、会員加入のお声がけをした際に、既に別の団体に加入しているのでという形でお返事いただいたことがありました。

その点では、団体を支援する消費者スマイル基金が、事業者からの財政的な支援の窓口になり、間接的に全国の適格消費者団体に支援いただく形もあってもいいのではないか。

また、被害回復の面で、対象消費者個人を把握できなかったり、被害金額が少額であるなど、消費者への直接的な返金が難しい場合などは、例えば、事業者から返金相当額について、消費者スマイル基金が受皿となって、間接的にですが、消費者被害の防止、救済の活動を行う団体の支援につなげるというのも考えられるのではないかと思います。

3については以上です。

最後のまとめは、再び片山より報告申し上げます。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 レジュメの第4の今後に向けた課題認識のところで、3点だけお話しさせていただきたいと思います。

1つは、皆さんから御指摘のあったように適格団体の活動は、今後さらに拡充する必要があると思いますし、適格団体に上がってくる事例も非常に専門化していっています。

その中で、継続的に活動に関与していただく人員を十分に確保する必要があるわけですが、そのためには会費収入だけでは非常に厳しく、行政からの財政支援について継続的な確立したものが不可欠であると考えております。

次に、KC’sでは、消費者庁の措置命令等の行政処分情報を適時に把握して、それに基づいて対象事業者に対する消費者への返金申入れや返金状況の確認といった形での通知を行っていますが、これは、被害回復の実効性を高める活動であると言えると思っています。

しかしながら、現実には、行政処分等の情報は、適時に詳細な、KC’sが活動に必要と考える情報の提供がなされていない現状にあります。

適格団体は公益的な役割の一部を担っておりますので、消費者被害の予防、被害回復といった共通目標に向けて、行政の執行部門と適格団体の連携の在り方について、特に情報面でも、今後さらなる改善がなされることを強く要望いたします。

あと、今日報告しました双方向コミュニケーションの実践活動ですけれども、様々な意義を有するものだと思いますので、全国の適格団体でも積極的に取り組んでいただきたいと考えておりまして、これについても消費者庁による推進支援をぜひともお願いしたいと思います。

どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者機構日本の板谷専務理事、よろしくお願いします。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 消費者機構日本で事務局の責任者をしております、板谷と申します。

現在、消費者委員会で消費者法制度のパラダイムシフトについて議論を進めておられますが、その中で、消費者団体訴訟制度の今後の展開にも焦点を当てていただきたいと考えておりまして、当機構でも検討に着手したところであります。

9月頃には、何らかまとめて発信できるように急いで進めていきたいと考えているのですけれども、それに先行して、今回このような機会を頂戴しましたので、まだ着手したばかりではありますけれども、現時点の問題意識として報告をさせていただきたいと思っています。

消費者団体訴訟制度の一層の活用に向けてということで言うと、課題の大枠としては、連携促進と資金支援だと思います。それぞれ簡単に述べたいと思います。

2ページ目は、消費者委員会ルール形成ワーキングの有名な概念図を下敷きにして、問題意識をプロットしてみました。

全体として言えば、これまでは、適格消費者団体が消費者団体訴訟制度を活用するという考え方で進めてきたのですけれども、その主語を微妙に置き換えて、関係機関・団体・市民社会が、適格消費者団体を通じて、消費者団体訴訟制度を活用するという形に転換していけないかなと思っています。すぐにできること、何か制度的な手当が必要なこと、いろいろあると思うのですけれども、制度の適正さを損なわないようにしながら、連携の範囲を広げていくようにできればと思います。

左上のAのところですけれども、ある消費生活センターの相談員さんに聞いたところ、センターに寄せられる相談の中で被害が不特定多数に及ぶと見られる事案については、その相談員さんはほぼ常に相談者の方に適格消費者団体への情報提供を進めてくださっているそうです。しかし、その後、御本人から実際に情報提供が行われることは多くないということをおっしゃっていました。

この際、消費生活センターから直接団体に情報提供できる環境を整えて、消費生活センターが消費者団体訴訟制度を活用できるようにすれば、これは大きく変わってくるのではないかと考えています。

この点、実は現状でも、私の知る範囲ですが、そんなに大きな障害があるわけではなさそうだなと思っています。消費者安全法に守秘義務が定められているのはもちろんですけれども、実質的には自治体ごとのセンター設置要綱とか運営指針によると聞いています。同じく、守秘義務を負う適格消費者団体への情報提供であれば、この範囲の情報共有はむしろ積極的に行うべきといった明確なメッセージを発信することで大きく変わってくるのではないかなと思います。

次にBの部分ですけれども、課題解決に取り組むNPOとの連携の可能性もあるかと思います。

昨年消費者庁が、孤独・孤立・貧困問題と消費者被害シンポジウムということで、消費者スマイル基金に委託して開催されました。通常、こうした問題は適格消費者団体の視野になかなか入りにくいのですけれども、例えば貧困ビジネスの手口を詳しく見てみると、不当表示だとか不当勧誘、不当条項として捉えることができそうな部分を見つけることができます。

その問題に取り組むNPOの側にも弁護士さんが関わっている場合もあるのですけれども、多くの場合、目の前の個別救済に忙し過ぎて、消費者団体訴訟制度の活用には思い至らない。逆に、私たち適格消費者団体の側には、その問題の詳細について分析する体制が足りないということがあって、これがなかなか進まないという状況であります。

それから、Cの部分、業界団体が存在する場合ですけれども、少なくとも法令で問題となるような行為をその業界から一掃していくために、消費者団体訴訟制度を一緒に活用していけるような連携ができるとよいなと思います。

過去、幾つかのスポーツクラブの契約条項を差し止めた際に、業界団体に対して適格消費者団体連名で要請書を出して業界団体による改善を促した、そういう事例があります。

それから、その下のD、監督官庁との連携ですけれども、こちらは、町村先生の御報告の中でも触れられていましたが、過去に銀行カードローンの期限の利益喪失条項について、全国の適格消費者団体で足並みをそろえて申入れを行った事例があります。その後、国会審議の中で、こういう場合1件1件適格消費者団体に申入れをさせなくては是正できないのですかという質問が行われて、それを受けて、監督官庁である金融庁から業界に対して改善要請が出されるに至ったということがありました。

適格消費者団体が問題を指摘して、素早くはありませんでしたけれども、監督官庁が動いた事例と言えると思います。

それから、Eのところですけれども、行政との連携ということで言うと、これは、2009年の消費者庁設置法以来の長年の制度整備課題がまだ残っていると思っています。

このことについては、昨年、消費者委員会のルール形成ワーキングで改めて報告書がまとめられています。破綻必至商法のような悪質事業者に対しては、特定適格消費者団体で対処し得ないばかりでなく、そもそも現行法の枠組みで対処することに限界があるということで、対処し得る行政手法を整備した上で、特定適格消費者団体が対処し得ない事件については、連携していくことができればいいのではないかなと思っています。

以上述べたように消費者団体訴訟制度の一層の活用に向けては、連携の視点から今後の展開を考えることができると思うのですけれども、その前提として、KC’sさんもおっしゃっていたように、資金の裏づけが欠かせないと思っています。

3ページ目は、消費者機構日本の事業部門別収支の状況であります。

上段が収益で、下段が費用、左が差止めで、右が被害回復ということになっています。

上段の収益のところに黒文字で入れてある数字は全て消費者スマイル基金からの助成金で、被害回復のところに赤文字で入れてあるのが、東京医大と順天堂との被害回復手続によって授権者から頂戴した費用・報酬ということになります。

町村先生のご報告の中で、COJは事業収入が多いとされていましたけれども、この被害回復の収益があった年度だったためということであります。

見ていただくと、右側の被害回復の方は、医大訴訟のような十分に支払い能力のある相手と一定間隔でコンスタントに裁判を構えることができれば、資金的に回転していく可能性があるように見えるわけですけれども、実際には、支払い能力があるような事業者は自ら問題に対処されますので、裁判に至らない。逆に悪質な事業者は支払い能力がないので、この制度の対象にすることが困難ということであります。ですので、たまたま医大訴訟で収益を得たわけですけれども、これはレアケースと言えるかなと思っています。

左側の差止請求の方は、冒頭の委員長の御挨拶にもありましたけれども、そもそも制度の建付けとして収入の途がないので、やればやるだけ赤字となって、その赤字を会費や寄附を集めて埋めているという構造であります。この構造を変えないと、この先、制度の発展どころか持続可能性が危ういと考えています。

古川課長の御報告の中で、お金が動かない制度だからこその課題も認識しているとおっしゃっていましたけれども、こういうことなのかなと思います。

消費者機構日本は、それでも企業の本社が数多く集まる東京にあるので、ほかの地方に比べると、企業からの賛助会費とか寄附など、ある程度得やすい環境にあるのですけれども、ほかの適格消費者団体はそうはいきません。会費、寄附頼みではなく、本来事業での収入とか公的支援とか、収入源を制度に埋め込むことが必要なのだと思います。

次のページですが、あり得る仕組みとして、思いつきレベルになってしまうのですけれども幾つか挙げてみました。

1つは、地球環境基金の例があります。国と民間の双方から資金拠出をされていて、その運用益で民間団体の活動を助成したり、人材育成などの振興事業を進めたりしているということです。

資料には政府94億円、民間48億円と入れていますけれども、最近の別の資料を見てみると、国と国関連団体で134億円、プラス国民と企業で8億円となっていて、かなり大幅に公的資金が入っているファンドです。これの運用益で毎年200件前後に6億円程度の助成が行われているということであります。

消費者団体訴訟制度にも、既に支援法人が認定されていますので、やる気になれば、あまり時間をかけずに類似の仕組みを設けることができるのではないかなと思います。

それから、2014年の景表法の改正で課徴金制度が導入される際に、消費者への自主的返金の補完策として、寄附の控除が検討されたのですけれども、法案審議の最終盤でなぜか消えてしまいました。

この寄附控除の仕組み自体、このパラダイムシフトの議論の中で再検討されるべきではないかと思うのですけれども、さらに、その後景表法に導入された確約制度の運用の中で、再検討することもできるのではないかと思います。

確約計画の認定は、事業者と消費者庁とのやり取りで進められるのですけれども、その確約計画による事業者の自主的取組の内容の1つとして、寄附という方策を位置づけていけばどうか。そういう方策は、認定主体である消費者庁の考え方によって可能なのではないかなと思いますので、検討していただけたらと思っています。

最後になりますが、消費者裁判手続特例法は、少額多数被害の救済を目指して制度化されたわけですけれども、しかし、手続追行の事務的負担が大きくて、少額過ぎる事件だとか多数過ぎる事件については、依然として対応が困難な面があるということです。立法趣旨実現のため、この問題をクリアする方策を考える必要があります。

例えば、対象消費者が万単位になるような大規模な簡易確定手続、これは事務対応が膨大になるのですけれども、それに耐えられる業務システムなどの基盤を公的に整備していただければありがたいなと思っています。簡易確定手続は民事訴訟の手続ではあるのですけれども、既に共通義務は確認している段階ですので、一方当事者の利益を図るものでは必ずしもないということからすると、公的にその基盤を整えることに何ら障害はないのではないかと思っています。

私からの問題意識は以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、消費者スマイル基金の磯辺事務局長、よろしくお願いします。

○特定非営利活動法人消費者スマイル基金磯辺事務局長 本日は、貴重な機会をいただきまして、ありがとうございます。

皆さん、ずっと話を聞いてばかりでお疲れだと思いますが、あと10分ほどで終わりますので、ぜひお付き合いをよろしくお願いいたします。

これまで、適格消費者団体の活動については、るる御報告があったわけですけれども、私どもスマイル基金は、そういう団体を支援する活動をしておりますNPO法人です。

法人の目的を定款上では、消費者団体訴訟制度を担う消費者団体などの活動を支援するということで、そのことを通じて、もちろん消費者の権利の擁護と増進を図るわけですけれども、究極的には公正かつ健全な市場を形成していくと、そこに寄与することを大きな目的としている団体でございまして、ここにある図のように、事業者による不当な行為が是正されれば、健全な事業活動を行っている事業者に消費が向き、健全な消費市場が拡大していくということを理念として、活動しています。

組織概要ですけれども、2017年に設立をしておりまして、設立より丸7年と少しということになります。会員の状況は、このようなことでスタートしております。

適格消費者団体等を支援するということでスタートしておりますので、やはり消費者問題に関心をお持ちの法律専門家の方々や、消費生活の専門家の方々、もしくはそれぞれ適格消費者団体等からも賛助会員として御協力をいただくなどして、スタートしたということです。構成員がスタート時から、なかなか拡大ができていないというのが率直な現状かと思います。

職員数は頭数で、今、4名ということですが、フルタイム、パートタイム等を調整しますと、実質の人数としては2.5名ほどということで、何とか回している状況になります。

役員名簿を御覧ください。

先ほど話した理念に照らして、消費者問題の専門家ということだけで構成するのではなくて、消費者志向経営等について詳しい学識者の方、実際に団体で活動されている方々にも理事として参画をいただいて、日常の業務を行っています。

その次ですけれども、設立以来、助成事業を中心の活動といいますか、ほとんどそれだけを行ってきたということです。

会費や寄附金を集め、特に寄附については、その全てを助成金に回すということをお約束して、寄附を募りました。それを原資として適格消費者団体等に助成を続けてきたということで、この6年半で、13回の助成を実施し、延べ32団体に1,975万円の助成をしたというのが実績になっております。

1つの団体への1回の助成金額で言うと、20万円から最大でも50万円ぐらいということでございまして、その助成の募集の間に訴訟を提起したり、事業者との裁判外の交渉で是正が図られたりといった活動をやられた団体に、非常に負担が重かっただろうということで、差止請求関係の費用に使ってください、被害回復関係の業務の費用に使ってくださいということで助成をしているということでございます。

まだまだ十分な規模ではありませんので、ここをどのように拡充していくかというのが、私どもの設立からのずっと中心課題でもありますし、今後も引き続き、重要な点だと思っております。

次のページですけれども、2022年度の助成事業の報告会を御紹介させていただければと思います。

年に1回、その年に助成をした団体が取り組まれた差止請求や被害回復の活動について、御報告をいただいているということで、こういった形で助成が役立てられていますということをお知らせする場面になっております。ハイブリッド開催で、昨年は92名の方に御参加をいただきました。

テーマとしましては、通信販売の定期購入に関わる問題状況と、実際それに対しての差止請求が積極的に行われておりますので、その点を御紹介するテーマ。

もう一つはレスキュー商法ですね、非常に低額で、安い金額で水漏れなどの緊急対応をしますよということをウェブサイトでうたっておきながら、実際には、来訪要請をしてみると、それとはかけ離れた金額を請求されてトラブルになるという、トラブル被害が非常に多いわけですけれども、そういうレスキュー商法についても差止請求を一生懸命やっていますので、こういった言わば悪質な事案、被害が多い事案について、どういった活動を団体がしているのか、それに助成が幾ばくかでも、役立てていただいているということが伝わるようなことで、企画を実施しております。

その次からは、昨年12月に、こういった助成活動の実績が認められる形で、消費者裁判手続特例法に定められた消費者団体訴訟等支援法人としての認定を内閣総理大臣から、受けることができました。

支援業務としては、1つは被害回復裁判手続の簡易確定手続の実務をどう支援するかということ。

それと、消費者団体訴訟制度が広く社会的に認知されるように、広報、公表を促進するという柱、それと、団体間の交流を促進していくという柱立てで、支援業務を立てております。

具体的には、その次のページですけれども、今、着手しておりますのは、COCoLiS(消費者団体訴訟制度)ポータルサイトのコンテンツを整備するという業務を行っております。

あと、適格消費者団体の連絡協議会というのが年に2回ございまして、その企画を適格消費者団体で委員会を持って行っているわけですけれども、その事務局等を務めさせていただいているということです。

この2つについては、消費者庁から受託する業務ということで位置づけていただいて、一定の人件費、実費等を御支援いただいているということになります。

一方、独自に現状で取り組んでいる業務としては、簡易確定手続の事務的支援ということで、IT技術を活用して省力化を図るということができないかということを、検討継続をしております。

それと、いろいろな適格消費者団体に同じ情報が行くようなことが生まれておりまして、一生懸命適格消費者団体で検討を開始して申入れをしようとすると、その直前に、ほかの適格消費者団体が同じ事業者に同一事案で申入れをしたということが、最近生じておりまして、こういったことを調整する仕組みを設けようということで、今、御相談を進めさせていただいております。

あと、適格認定を目指す団体がございますので、既に認定を受けた団体との交流会の事務局を務めると、このようなことを助成事業に加えて支援業務として実施しているという状況でございます。

その次は、今、お話ししました、私どもがコンテンツ整備を受託しておりますポータルサイトのトップ画面になります。

差止請求で、過去、消費者庁が消費者契約法39条にもとづいて公表した情報が検索できるようになっておりますので、ぜひ一度御覧いただければと思います。

こういった、サイトを充実させ、より分かりやすいものにしていく中で、消費者団体訴訟制度の周知広報をすすめていくというのが、いろいろな活動、財政面も含めての前提、ベースになるのだろうと受け止めて、鋭意取り組んでおります。

そのほかの事業としまして、孤独・孤立に起因する消費者被害の防止のための啓発事業運営業務を消費者庁から受託しておりますのと、あと、消費者志向経営セミナーということで、やはり事業者の方々との双方向の理解ということを広げる必要があるだろうということで、事業者の方々が展開されている消費者志向経営に焦点を当てて、まずその状況を学習させていただこうという場で、7月30日にテーマを設定して行います。詳細は、このURLを御覧いただければと思います。

最後に、経常収支推移のところですけれども、今、お話ししましたように、最初のコアになった会員、寄附金の規模から、なかなか大きく飛躍できずに、この数年続いているという状況になります。

事業収益は、先ほどお話ししましたような消費者庁からの受託事業、もしくは新しい支援法人としての受託事業等で増えてきているという状況になっております。

助成は、基本的には、集まった寄附金プラス会費ということで賄おうと思っています。助成の規模ですけれども、決して大きくない規模だったのですが、受託事業で一定の収益が得られるということも背景に持ちながら、昨年から少しずつ規模を拡大してきたということでして、ただ、この助成金の規模を拡大していく本丸は、消費者団体訴訟制度の理解を広げて、会費や寄附金をさらに募っていくことがメインストリームなのだろうなと思っているところでございます。

最後、まとめですけれども、今、お話ししましたように、とにかくポータルサイトの運用が開始されましたので、ここを拡充して消費者団体訴訟制度への理解を広げていくということを進めていきたいということ。

それと、一般消費者、事業者の方々に制度の意義をお伝えするということで、会員寄附の拡大につなげていくということは最も重要なことで、クラウドファンディングの展開など試行錯誤を続けるということが1つ。

もう一つは、会費、寄附金、助成金で各団体の財政基盤の底上げというのは、それぞれ努力もされていますし、私どももそこは応援していくということではあるのですけれども、差止請求関係業務は、その団体の主要な業務なのですが、その業務で収益を得ることができないということになっておりますし、併せて、被害回復訴訟についても1人当たり被害額が僅少であったり、費用の回収見通しが困難な例もあるということで、多くの専門家のボランティアで支えられているのが実情だというのは、これまでにも御報告があったとおりです。

これら業務の公益性に照らして、活動を維持できるだけの安定的な公的支援というのは、私どもの自主的な努力では、なかなか及ばないところですので、ぜひ御検討をお願いしたいと思っております。

少し長くなりまして、すみません。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で、皆様からの御発表が終了しました。少し時間が押していますが、最初に申しましたように、これより全体を通じての質疑応答、意見交換を45分ほど行いたいと思います。いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

いろいろなお立場で御説明をいただきましたけれども、共通して2点ほど、思ったところをお話しします。

まず、1つ目ですけれども、やはり連携の促進ということで言いますと、消費者機構日本からの御説明などでもありましたけれども、消費生活センターや、既に社会課題の解決のために活動をしているNPOの方、そういった人との連携というのは非常に大切だと思います。

私自身もいろいろ活動をする中で、ニーズの掘り起こしもその範囲であり、理解者を増やしていくときにはポイントだと思っています。

実は社会福祉の領域もお金の話について、いろいろな事例を持っています。ただ、その解決の仕方というのは頭打ちになっているところもあるのかなと思います。

既に活動しているところを結びつけていく、そういった連携の在り方を模索する、また、そこを行政がサポートしていくというような枠組みが大切ですので、資金のお話もとても重要だと思うのですけれども、既にある仕組みといいますか、活動の団体をつなげていくというのは本当に大切だなと思って、お話を聞いておりました。

それから、業務の効率化ですね、手続の効率化ということで、とても磯辺事務局長のお話が印象的でして、準備をしていたのだけれども、ほぼ同じことを他の団体のほうが申し出ていると、これはせっかくの労力が無駄とは申しません、それだけ大切なことだとは思うのですけれども、形に結びつかないというのは非常に残念だなと思っておりますので、その辺りも整理をしていくし、あと伸びしろといいますか、見込まれるなと思ってお話を聞きました。

今回はそうした連携の仕方について、いろいろなお立場の方がお集まりをいただいています。福祉関係の人も今日は参加をして聞いていると思いますので、具体的に、例えば施設の金銭管理、そういったところで起こっていることとかで問題関心を持って、社会福祉法人との連携の例があったら、あるいは提案といったところでありましたら、お話をお伺いしたいなと思って、最初に質問をさせいただきました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

どなたに。

○小野委員 失礼いたしました。

そうしますと、消費者スマイル基金の磯辺事務局長、最後にお話をいただいたわけですけれども、現在、孤独・孤立に起因する消費者被害との関係で、今、事業の運営の業務を受けておられるということですので、できましたら、お願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、磯辺様、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者スマイル基金磯辺事務局長 孤独・孤立事業は、もちろん内閣府のほうで、今、主として進めていらっしゃるわけですけれども、その孤独・孤立対策が非常に重要だと認識されて取り組まれるという中で、孤独・孤立の状況と消費者被害の発生する状況というのは、非常に近しいのではないか、ある程度因果関係ということもある場合が多いのではないか。

つまり、被害を受けたけれども周りに相談できない、それで深刻になってしまうとか、最初にSNS等で声をかけられたときに、ほかに周りに相談できる人がいれば、そこでとどまれたのにだまされてしまうとか、そういうことがあり得るのではないかということで、オンライン相談会なども実施して、社会福祉協議会の方々とか、地域で孤独・孤立の問題に取り組んでらっしゃるNPOの方々にも御参加いただいて、どういった情報収集ができるか、その情報に基づきどういったアウトプットができるのだろうかということを、この間、検討してきたということがあります。

地域では消費者問題に一生懸命取り組んでいらっしゃる社会福祉協議会もあります。日常の触れ合いの中で、支援の対象になる方と触れ合う中で、消費者被害が発見できて、速やかに対処されるという事例もたくさん聞きましたし、そういった連携が、やはり拡充されることが必要なのだろうなとは思うわけです。けれども、現状では、なかなか消費者被害という問題についての、ある意味、根強くある自己責任論みたいなものもありまして、福祉の現場で、それはもう自分の責任だからということで処理されている例もあるということも伺いますので、その辺は、十分御理解いただけるように、消費者問題にとりくむ者とのお互いの連携が必要だと思います。

消費者団体が情報提供を受けたり、もしくは消費生活センターが相談を受けたりする際にも、その方の背景にある孤独・孤立の状況ですとか、生活が困窮されている状況ですとか、そういった福祉の分野でのサポートが必要なのではないかですとか、そういったことを視野に入れた聞き取りと、その聞き取りに基づいた行政機関内の他機関との連携が必要であると感じます。どうしても消費者分野は、その個別の消費者被害についてお金を回復するというところにゴールがあるので、そこで終わりがちなのですけれども、その背景には、本当に二度とだまされないようにするためには、より安心して生活を送れるようにするためには、どうしたらいいのだろうかという、さらに踏み込んだ対応というのも必要なのではないかということです。このような点も、この間、シンポジウムで共有させていただいているところになります。

そういったことを、引き続き発信をしていきたいと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

非常に勉強になりまして、2点ございまして、まず、1点目に関しては、行政処分との情報の速やかな提供がなされないというか、消費者支援機構の関西の片山様がおっしゃったと思いますけれども、それに関しまして、なぜ速やかではないのかとか、現状どのようになっているのかということに関して、消費者庁に伺いたいということと、どのようなサポートが、どのような形で情報提供があるのかということに関しまして、消費者支援機構の方々に伺えればと思います。

あと、消費者機構日本の板谷様もおっしゃっていましたけれども、適格消費者団体と消費生活センター間の情報提供、情報交流みたいな話もございまして、これは本当に私もずっと以前から言っておりますけれども、例えば、アメリカ・コンシューマー・センチネルネットワークという、日本のPIO-NETですね、ああいうものなども、一部民間とデータの連携をしているということがございまして、そのようなことを適格消費者団体に関しては、情報を開示して見えるようにするのだとか、そういうこともできるのではないかと思いますが、そのような可能性があるのかどうかということを、まず、情報提供に関することで伺いたいと思います。これが1点。

もう一つ、やはり収入に関して、町村先生からも御説明がございまして、非常に興味深く思っておりまして、ホクネットさんなどは寄附が多いと、そういう寄附が多い法人もいるということはあると思います。

あと、個人会員、先ほどからずっとおっしゃっていますけれども、個人会員、団体会員などの会費収入が非常に多くの団体で、その収入の一定以上のものを占めているところでございまして、法人会員ですと、例えば企業などで考えますと、諸会費として、損金算入ができると思います。

一方、個人ですと、基本的に、例えば公益財団法人だと、所得税控除みたいのがあったりするわけですね。公益社団法人ですと、みなし寄附制度みたいな収益事業から非収益事業での経費に寄附をするような形で損金算入できるみたいな制度がございますが、何かしら、そういった寄附というものとか、税制優遇みたいなものというのを、特に、皆さんも多分NPO法人だと思いますので、公益社団法人と同程度の税制優遇ができるのであれば、それが何かしら活動のメリットになるということがあるのであれば、何かそういったものが検討できるのではないかと考えまして、そのような寄附、会費というよりは、寄附で何かしら回すということが、日本自体も寄附文化は非常に重要だと言われておりますけれども、そういったものが何かしらできるのではないかと思っております。

あと、もう一点、すみません、細かいのですけれども、ふるさと納税なども、いろいろ本来的にはあり得るかなと思います。例えば、うちの大学などは、慶應でございますけれども、港区にありまして、港区で慶應向けのふるさと納税をしていただけると、7割大学に入るみたいなことがあって、個人側からしたら本当にふるさと納税なので、ほぼほぼ税控除が働きますので、あまり気にせずに、別に枠があって、枠の中で収まるのであれば、社会的に意味があるものだったら、お金を払うみたいなことが、ふるさと納税をするみたいなことがあったりしますね。例えば、実家に住む高齢者が被害に遭わないようにみたいな訴求で、会員の代わりに何かしら寄附みたいなものができるといいのではないかと思っておりまして、そのような寄附全般に関して、これは税制等を含めて、何かしら消費者庁側のほうでお考えがあるのか、または、こういったものがNPO法人だけれども、適格消費者団体であれば、そういったものをうまく活用できるような形で変えられるのであれば、各団体様にとってメリットがあるのかどうかということについて伺えればと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

大きく2点ないし3点の御質問がありました。まず、消費者庁様からお願いします。

○消費者庁消費者制度課古川課長 消費者庁でございます。

行政処分を中心とする情報の提供とか連携とか、そういうことだと思います。まず、1点目の御質問。

消費者契約法を所管している私は、実は、行政処分権限を持っていないので、その話は特定商取引法ですとか、景品表示法とか、差止請求権が拡大したところ行政処分権限とのタイアップ的なところがあるので、そことの連携がどれぐらい取れるのかという我々消費者庁の執行部局との連携という話を御指摘いただいて、KC’sさんからも御指摘をいただいて、それを星野先生からもということと認識しております。

そこは、どのようにやっていくのかというのは、確かに難しいところはあって、実際に執行の情報をどのように全部出しに行くのですかというのは、多分、その執行の部門のところのやり方とかがあると思うので、そこは綿密に話をしていかないと分からないところはあるのです。とは言いながら、もちろん適格消費者団体には守秘義務がかかっていますので、そういう中で何ができるのかというところは、考えていくところはあろうかと思っております。

何かぱっとすぐできますとか、できませんとか、そういったことは申し上げられないのが申し訳ないのですけれども、そういう御指摘があったことは受け止めたいと思っております。

もう一つは、寄附を、例えば、税制優遇云々とか、そういう話かなと。この点については、全部の団体というわけではないのですけれども、大半はNPO法人で、結構多くの方が、NPO法人の中でも認定NPOというのがあって、NPO法人制度において税制の優遇のところのプラスアルファがつくという制度があって、それを取得されている適格消費者団体であるNPO法人というのは多いかなと、すみません、全部ぱっとすぐ出てくるわけではないのですけれども、それはそれなりにはあります。正確な数字を覚えていません。というような状況ではあって、それにさらに上乗せで何か税制優遇が付くかというと、そこは、なかなかハードルが正直高いのではないかなという気はしています。

一方で、星野先生御指摘のとおり、寄附文化が云々というのはおっしゃるとおりで、寄附文化は重要ですねという話はずっとあります。これは自分の所管ではないのですけれども、NPO法人制度の中でどのようにしていくのかという観点では、すごい重要になっているのは、それはそれで認識のとおりなのです。けれども、なかなか動いていないで、そういう政府全体の取組の中で、どのように処理していくのかなという課題かなと認識しております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

1点目の行政処分情報の提供というのと、もう一つ、情報の開示というお話も、星野委員からあったような気がしますが、その点はいかがですか。

○消費者庁消費者制度課古川課長 開示となると、それはそれでまた、開示となるとオープンにするという話になりますので、その執行のやり方とか云々とかいう話になるので、私が、すみません、そこは申し訳ないのですけれども担当外なので、なかなかぱっとすぐに何かいい知恵があるかというと、今申し上げる知恵がないので持ち帰らせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

町村先生、お願いします。

○成城大学法学部町村教授 すみません、少し補足になりますけれども、行政情報の開示といいますか、共有は非常に長年の懸案でございまして、特にPIO-NET情報を適格消費者団体にも使わせようというのは、前々から検討されているのですけれども、端末をどう管理するのかとか、本当に大丈夫かということで、いつの間にか立ち消えになっていますね、という状況でなかなか行き詰まっています。

これは、北海道の例ですけれども、地元の団体、札幌市と、それから北海道と連携協定を結んでおりまして、情報交換の場を定期的に設けて、行政処分に至らないような事案についても、これはホクネットの申入れに適すると向こうが判断したものは、情報を提供すると。逆に、こちらが、これは行政処分をお願いしますということは、意見交換の場で言うということで連携はしています。

これは、それぞれが独自の立場でお互いに提供するということなので、独立性は十分担保された上での情報交換ということになっていますけれども、それを超えて行政情報を全て共有することができるかというと、なかなかそこには、やはりもう一歩超え難いところがありますね。

要するに、検討段階で検討はするのだけれども、しかし、今、ここで表に出すのは少しためらわれるという段階のものまで共有されるとなると、やはり困りますので、そこのところは、やはりそれぞれが出したいものを出すというような形での連携ということに、どうしてもならざるを得ないということです。

それから、認定NPO法人は、ホクネットもなっております。ここにいる各団体は、みんななっていますね。そうなのですが、なかなかハードルが高くて、ある団体は、認定NPO法人になったのですけれども、あるとき、そこから脱落してしまったということを聞きまして、やはりそれぞれ、例えば寄附の割合がどれぐらいとか、要件がありますので、継続的にそれを維持するのはなかなか難しいというのは、現実としてはありますね。

ただ、個人的には、やはり認定NPO法人を取られていると、スマイル基金には寄附をしやすいなというところがありますので、大いに取ったほうがいいなとは思っています。

私のほうからは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかの団体様から、何か補足などありますか。

どうぞ。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 1点だけ、先ほど町村先生が既におっしゃっていただいたのですけれども、情報連携と言ったときに、端末を共有する以前に、それぞれの団体が連携したい情報を積極的に流すようなことができればいいかなと。先程、消費生活センターの例を出しましたが、現状でも消費生活センターから一切当機構に情報提供いただけないわけではなくて、センターによっては、適格消費者団体に適すると思われる案件を情報連携してもらえる場合も、ごくまれですけれどもあったりします。

そのほかにも、例えば弁護士さんが自分の受任している事件について、これは不特定多数に関わるのではないかということを情報提供していただくこともあります。そういうルートからの情報提供は助かるのですね。既に問題がよく整理された上で情報提供していただけるので、すぐ着手ということになる。端末を置いてもらうよりも、そちらのルートをより活性化する方が助かるかなと私は思っています。

○鹿野委員長 星野委員、何かございますか。

○星野委員 大変勉強になりました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 僕は一体、委員としてしゃべるのか、当事者としてしゃべるのかという微妙なところはありますけれども、今日は委員として、まず客観的な資料についてお尋ねしたいのですけれども、まず、町村先生からの資料の中で、85パーセントが無償報酬である、差止請求のというのが15ページにありますと。

同時に、板谷さんのほうのものを見ますと、差止請求事件で3,400万ぐらい、暦年でマイナスであるということなのですけれども、この関係が少し分からないところがありまして、板谷さんのところからは、3,400万ぐらいの費用を実質出しているということですけれども、ボランティアであれば、これに0.85で割り掛けたのが全体の費用なのだと読んだらいいのか、例えば、COJのやっていらっしゃるものというのに掛けて、0.85を掛けた全体が、つまり何億円分の費用がかかっていると、町村先生の資料と板谷さんの資料を読んだらいいのかというのが分からなかったので、まず、それを第1点としてお尋ねしたいと思います。

今度は、古川課長にお尋ねなのですけれども、参考資料の4に出ている消費生活相談機能強化促進補助金事業がありまして、これは、極めて例外的に適格団体がやっている業務に対して、ほぼほぼ直接的に補助金が出るというものでありまして、実際私どもがやっている、消費者支援機構福岡も177万円の補助をいただきました。

これは補正予算だということだったので、継続性はないというのは、補正予算の考え方からしてはそうかもしれませんが、今後、これを何らかの形で継続していくことがあり得るのかという点が第2点です。

それから、今度はKC’sさん、支援機構関西の双方向コミュニケーション研究会のお話は、非常に我々にとっても大変重要な話をいただいたと思っておりますが、その関係で対象事業者をどうやって選定し、そして、そこに入ってくる消費者との、例えばそこの中に入ってくる消費者といったような人たちをどうやって選定していって、継続的にこういう活動をしていっているのかという点について、もう少し深掘りして教えていただければと思います。

そして、適格団体と、それから事業者団体との連携という点で、これは、俺は関係ないと言われるかもしれませんけれども、適格団体は景表法に基づく差止請求権を持っています。それで、実は事業者団体としては、公正競争規約をつくっている公正取引協議会というのが、全団体では七十幾つかあるのですね、これは、消費者庁の認定をもらっているわけでして、そういった公正取引規約をやっている協議会、団体と適格団体が意見交換をするということは、同じ庁だから極めて簡単にできることによって、ある意味では、消費者団体である適格団体と、それから公正取引規約まで決めて自分たちの市場を守ろう、ちゃんとしたものにしようと思っている団体というのは、事業者団体というのは、極めて目線は近いと思うので、そういうところの情報交換というのを庁として考えるということはされないのかという点も併せてお尋ねしたいと思います。

以上、多岐にわたりましたが、それから、最後にもう一点だけです。

これは、板谷さんの最後のところです。先ほどの赤字が出ている3ページのところに関してですけれども、基本的に収入がないということから書かれていまして、これについてですけれども、結局、行政から適格団体への財政支援に関して、どのように考えていったらいいのか、最後のページの読み方です。

事業収入や公的支援など収入源を制度に埋め込むことが必要と赤字で書いてありますけれども、これはどのような、もう少し具体的に深掘りして教えていただきたいということです。

官民共同の資金支援を考えていらっしゃるのか、事業者の寄附をもっとやるようにする、先ほどから出ている認定NPO法人みたいなことを考えていらっしゃるのか、その辺りのところも含めて、この最後の赤字の部分を、もう少し深掘りして教えてください。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、まず、COJの板谷様、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 私の資料の3ページの部門別損益の表なのですけれども、これは7年分、およそ被害回復が始まった辺りの年の2017年から2023年の7年分を切り取った数字で、町村先生のほうは20年、21年の数字ですね。ですので、収入のところには東京医大の収益がちょうど入っているということなのですけれども、少し捉え違っていますかね、御質問の趣旨を。

○黒木委員長代理 すみません、私としては、この7年間、年度はいいのですけれども、結局これだけ差止請求訴訟では、赤字が累積していると。それと町村先生の15ページの、差止請求は、85パーセントは無償報酬だというところとの、この数字の読み方を合わせて、ここに0.85を割り戻して、ものすごくまだ母数はでかくて、それでも例えば、印紙代だとか、切手代だとか、コピー代だとかの累積の赤字が3,400万だけあって、その背景には、弁護士とか司法書士の無償のボランティアの金額は、本来、ものすごくあるのだよと、この2つを合わせると読めるのですかという、そういう質問になります。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 この数字は決算書から引いてきた数字で、表に出た数字だけしか入っていません。そういう意味では、この背後に無償ボランティアの部分が山のように隠れていると、そういうことでよろしいかと思います。

○成城大学法学部町村教授 この85パーセント無償報酬というのは、全団体の平均なので、例えば、COJさんは、この段階では非常に収入が多かったときなので、その分、赤字は少なかったかもしれないですけれども、他方で、例えば、東北さんなどは、弁護士さんが差止め関係について行った全てがボランティアだそうでありまして、その団体によって、ばらつきもあるのですけれども、でも、おっしゃったようなイメージで、何億円という無償報酬を弁護士さんがやっていると想像はしています。

COJさんは、公表資料の中にも、会議にどれぐらい時間を費やしているかと、それに何人の参加者がいるかという記録を全て取っていまして、それを集計すると、弁護士さんの大体のタイムチャージを掛け合わせると、どれぐらいのコストをかけているかというのが分かるのですけれども、全団体がそれをやっていただければ分かりますが、残念ながら、そういう公表データはないので、推計するのはなかなか難しいところではあります。でも、イメージとしては、それぐらいの無償報酬の上に成り立っているのだろうと考えています。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

それを補助する、先ほど補助金の話はどうなったのかと。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁様からお願いします。

○消費者庁消費者制度課古川課長 それでは、引き続きまして、お答えさせていただきます。

まず、そもそもお答えさせていただく前に、本当にたくさんの方々のボランティア活動によって支えられているということにつきましては、皆様方の多大なる労力につきましては、本当に感謝を申し上げたいと思っているところでございます。本当にありがとうございます。

この消費者団体訴訟制度というのは、そのようにして支えられているということで、私の冒頭の御説明のときにも、従来からの消費者運動を法的に位置づける制度ですという言い方をさせていただきました。多分にそのようにして支えられていることも内包しながら設計された制度だという面も含めて申し上げたところがあって、少し辛い言い方をしているところもあるなと、内心思いながら発言をさせていただいたところです。

それはさておき、黒木委員からの御指摘で、この補助金、令和4年度の2次補正の補助金をどのように今後展開していくのかという御質問なのですけれども、ここは、どのように効果検証をしていくのかということもあるのですけれども、今のところ、COJさん、福岡さん、北海道さんも含めて、皆さんからもいろいろと御意見を、いただいたところでして、使いやすいとか、使いにくいとか、10分の10のこの補助ならばいいのだけれども、そうではない補助だと難しいのではないかとか、今いろいろお伺いしているところで、まさに、今後このようなところと、あと、効果検証をどのようにしようかなと考えているところです。

先ほど、町村先生からも御紹介いただいた、これぐらいの効果があるのだと消費者庁が出した件は、数年前に、うちのほうから委託調査を出して、民間のシンクタンクのほうに試算をお願いをしたものなのです。

そういったものも含めながら、令和4年度の2次補正の効果はどれぐらいなのだろうかというのを、今、我々は検証しているところなのです。

この補助金が、効果があったと思えるかどうかということも含めて検証して、政府内部では、今、まさに予算要求の作業をしているところなので、それでどれぐらいに打ち出すのがいいのかどうかということで検討中です。すみません、イエスともノーとも言えなくてごめんなさい。そういう状況でございます。

○鹿野委員長 それでは、3番目の御質問はKC’s様宛ですね。双方向コミュニケーションに関する御質問がありましたのでお願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 御質問いただき、ありがとうございます。

片山のほうからお答えしたいと思います。正直なところ、2010年に始めたときは、本当に何から始めればいいのかわからず、目的に沿った実践の場だとか、事業者とのコミュニケーションの場を、どうやればつくれるのかというのは、まさに手探り状態でした。

取りあえずは、賛助会員の企業さんであるとか、事務局やメンバーが声をかけられる事業者に、こういう発想でコミュニケーションをしたいのだけれども、参加してもらえませんかという形で、呼びかけたのがスタートということになります。

一番多かったのは、やはり食品関連の企業さんですが、それ以外にもブライダルサービス関係会社とか、ガス会社とか、生保関係といった、いろいろな方が少しずつ参加してこられ、そうすると、参加した企業さんが、別の企業さんに、こういう活動をやっているよということで、参加者の声がけで徐々に広げていっていただいたというのが実情です。

消費者側のほうも、生協さんを通じるなどして、高齢者層に向けた活動をしておられるところや、子育て主婦層の方とかにお声をかけていって、こんな形でコミュニケーションの場をつくるので、集まっていただいてやってみませんかという形でスタートをしました。

スタートをした結果、大変面白かったということで、毎年やりたいとか、今度はこういう事業者とやってみたいというお声が上がってきて、それを整理しながら、毎年何組も組んでいったということになります。

先ほど御紹介した実践の場は、コロナで急速に開催するのが難しくなったのですが、2019年頃までは、毎年10に近い実践の場を運営するということをやってきていまして、人が人を呼んで来てくださるという形で、この活動を大変助けていただいたと思っています。

最近では、より組織的に活動を拡充しようということで、ACAP(消費者専門家会議)さんにもお声をかけまして、消費者専門家会議で、いろいろ消費者に向けて発信をしたいと考えていただいている企業さんにお声をかけてもらい、研究会にも参加してもらい、それを通じて、実践の場にも御協力いただくという形を取り、少しずつ広げていっているというのが実情です。

ありがとうございました。

以上です。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、4番目に、公正競争規約を定めているような団体との意見交換等について、消費者庁様、お願いします。

○消費者庁消費者制度課古川課長 古川でございます。

御指摘ありがとうございます。どういうものかというのは、皆さん御存じだと思いますけれども、例えば、牛乳とかに公正マークとかがついている、あれをやっている団体です。

景品表示法に基づいて、自主的なルールをつくって、それを消費者庁長官及び公正取引委員会の認定を受けるという形になっているもの、それを委員のほうから御紹介いただいたのだと思います。そういう取組をやっていったほうがいいのだろうと思っております。

少し話は変わるのですけれども、今、消費者法制度のパラダイムシフトとして、いろいろな検討をしようと思っているところにおいても、具体的に公正競争規約がという議論はまだないと思うのですけれども、これからソフトローだ、ハードローだとか、消費者団体の役割とか、事業者団体の役割とか、そういう議論をしていく中には、きっとそういう話も出てくるのではないかと、私は何となく思えております。早く動けよと言われれば、そうかもしれませんけれども、それをどういうタイミングで、というところとの兼ね合いで、いろいろと私自身も動いていきたいなと思っております。

御指摘ありがとうございます。

○黒木委員長代理 今の発言は議事録に載りましたので、そのまま、今度は表示対策課に議事録をお回しください。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

5番目は、COJさんですね。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 私の資料の3ページ目の一番下のところに、事業収入や公的支援など、収入源を制度に埋め込むことが必要であるということを書きました。これの思い方としては、団体収入の4ルート、会費と寄附と事業収入と公的支援、この4つのルートにバランスよく支えられている状態というのが一番望ましいと思うのです。

現状は、会費と寄附は寄せられているのですけれども足りない。事業収入は被害回復には一部あるけれども差止めには無い。公的支援は昨年度補助金をいただきましたけれども、今、消えてしまったという状態にあります。ですので、後ろの2者、事業収入と公的支援を制度に埋め込むことが必要であると。

事業収入の方にどのように埋め込むかということは、差止請求制度にどのように組み込むかということで、少し難しく、今回、私のところでは特段の提案を出していません。

公的支援の方法としては、思いつきのレベルですけれども、4ページのところに幾つか事例として出させていただいたという形であります。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

もう発言は、最後だと思いますので、今度は、実際に差止請求訴訟をやっている理事長として申し上げると、裁判をやっていると、こちらは、みんなボランティアなのですよ、相手方は、事業者から費用をもらっているのですよ。この訴訟上の落差の感じというのは、こっちは、ただで頑張る、こっちが一生懸命頑張った分に対して、それの対応する事業者側の弁護士は、事業者から難しい論点を深掘りすればするほど、お金をもらえるという。これを続けていくことに対して、若い弁護士に、この活動に参加しようよと言っても、なかなかもう難しいです。

だから、これはもう肌感覚で申し上げますけれども、こんなことを続けていたら、差止請求訴訟制度自体が崩壊し、もうなくなっていきます。これだけは、やっていて本当にばかばかしいなと思うのですよ。社会性、まさに消費者活動の一環だからという形でやっているけれども、そこまでやらされている感じもみんなあるのですね、でもやらなくてはいけないと、これを続けるというのは、もう限界が来ていますので、やはり、今、板谷さんがおっしゃったような形で、いろいろな形で考えていかないと、この制度は、もうもたないと思っています。これは、僕の個人的な感想です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 すごく詳しい説明をいただき、ありがとうございました。すごく勉強になりました。なるべく端的な質問をさせていただきます。

3点ありまして、1点目は、消費者団体の認知度に関する質問です。ですので、これに関しては消費者庁様、あとは、もしよろしければ町村先生、あとは、スマイル基金の方にもお答えいただきたいと思っています。

COCoLiSのサイトを拝見しました。このサイトを今後どのように運用していくことで、とりわけ、私は、例えば消費者法を研究していますので、こういう形で1つに情報がまとまっているというのは大変便利で、活用をさせていただいていますが、問題は、やはり一般の消費者に、そもそも適格消費者団体が、消費者保護あるいは市場の適正化のためにどういう活動をしているのかということを、一般の人は、なかなか知らないというのが現状ではないかと思います。これは、本日の御報告を伺っていても、何となくそういう感じは受けました。

ですので、COCoLiSのこういった取組を、要は、私のような消費者法研究者とか、実務家ではなく、一般の消費者にCOCoLiSを通じて、どのように認知度を上げていくかについて、何か見通し等があれば、教えていただきたいです。

先ほど来、財政が非常に厳しいという話が聞こえておりまして、クラウドファンディングの話もどこかで出ていたと思いますが、クラウドファンディングをするにしても、これは、やはり一般消費者に認知してもらうということがすごく大事だと思うので、この見通しをお知らせいただきたいと思います。例えば、何かSNSとかを使った、もっと拡大を考えているのか、もし既にあったら申し訳ないのですけれども、いろいろ教えていただきたいです。

2点目ですけれども、これは、消費者庁さんに伺いたいのですが、資料の、要は過去から、年表のようなものが、要は適格消費者団体、あと、特定適格消費者団体がどんどん増えてきているという、スライドで言いますと、6ページになると思います。

確かに、もう26の適格消費者団体になり、特定適格消費者団体もホクネットさんを入れて4つになったということで、年々適格消費者団体が増えているのは、確かにそうだと思います。

ただ、やはり一方で、先ほど来、黒木委員長代理も申し上げていたように、結局は、その団体のボランティアに基づく活動が、非常に有益な活動がされているというのが実情だと思います。

そうしますと、こういった形で各地に適格消費者団体が増えてきているというのは、非常にこの制度あるいは消費者保護を高めたり、あるいは市場の適正化のために、非常にすばらしいことではあるのですが、ただ財政が厳しいというのは、特に地方の団体も、あるいは大小特に規模があまり大きくない団体の場合は、やはり厳しいのではないかと思っていますが、そういう状況で団体が増えてきているというのは、何か理由というか、どういうことを団体の方が努力をされているのかというのが、1つ気になりました。

団体の方々の専ら使命感で増えていって、ただ、現実は非常に厳しい状況なのではないかということを危惧しております。

それについて、消費者庁さんで何か御存じであれば、適格性を得るまでにどういう努力などを団体様でされているかというのを教えていただきたいです。

3つ目なのですが、これは、双方向コミュニケーションについて、消費者支援機構関西様に伺いたいのですが、この双方向コミュニケーションというのは、非常にすばらしい取組だと思いました。事業者に、やはりこの制度の意義を理解していただくことで、ますますいい市場をつくっていくということで、非常にいい取組だと思います。

それで、これは非常に共感し、かつ今後考えていかなくてはいけないと思いましたのは、いただいた資料1-4の4ページ、最後の③のところで、今後の課題のところで、双方向コミュニケーションの取組を全国の団体に広げていくための支援ということが書いてありました。

ここについて、どういうことが考えられるのだろうかと、非常に難しいところがあるのですが、これは、なかなか複雑な問題もあるのだろうと思うのですけれども、例えば、団体賛助会員の事業者にもっと増えてもらわないといけないとか、あるいはそもそも事業者に、この消費者団体訴訟制度の意義というのをちゃんと認識してもらわなければならないとか、いろいろなことが課題として挙げられると思います。

これについて、消費者庁さんにどういうことを期待するかということを、ぜひ、片山先生のほうから伺いたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、1点目は、町村先生と、磯辺様に、順にお答えいただけたらと思います。いかがでしょうか。

○成城大学法学部町村教授 COCoLiSのサイトをどのように運営するかというのは、磯辺さんにお任せするとして、広報という観点でいうと、ホクネットが昨年まさに消費者庁の補助金で実施いたしました、SNSを利用した動画広告です。これが非常に効果を上げたというのを少し御紹介したいと思うのですけれども、それまで、適格消費者団体のSNSというのは、大体500とか400とか、そういうレベルのフォロワーしかいなくて、各ページは20とか30とかの閲覧しかされないで、大変しょぼい団体、1つ、KC’sさんは別なのですけれども、KC’sさんだけは頑張っているのですけれども、そのような存在でした。

ところが、有償広告を打って、ホクネットが訴えを起こしましたというようなことの告知をすると、これをユーチューブや、それからインスタグラム、そしてXについて、それぞれ動画で流したところ、何と11万アクセスをそれで稼ぎまして、すごいなと思いました。

これは、消費者相談機能強化促進等補助金の一環として、広報のお金を使ってやらせていただいたので、非常に効果があったなと思います。

しかし、これは単発ですと、あまり効果はないのですね。やはり、そういうことが継続的に行われて、いろいろな団体が訴えを起こしているのは、もう年間に何件もあるので、そのそれぞれの団体の訴え提起であるとか、あるいはこういう成果がありましたという報告とか、そういったものを動画広告という形で、SNSで流すと、非常に認知度が高まるのではないかと、そんな感触を抱いています。

COCoLiSのポータルサイトを軸に、そのような動画発信をやるというと、例えば、CALL4という団体がありまして、公共訴訟を支援する団体なのですけれども、そこは、それこそたくさんの訴訟を支援する中で、それぞれの訴訟の当事者の話をインタビュー形式であったり、モノローグ形式であったり、そういうところに流すのですね。

そういうのを見て、非常に共感を覚えて寄附もするとか、そういうことにつながってきているので、そういう形で発展していったらいいなと、私は磯辺さんに期待しているところです。

いずれにしても、先立つものは、お金でありますし、それから技術的にも多少継続的に行う技術力が必要なので、そういうところは大変だろうなと思いますけれども、頑張っていただきたいと思っております。

○鹿野委員長 それでは、磯辺様、よろしいですか。

大澤先生、何かございますか。

○大澤委員 すみません、町村先生、ありがとうございました。

私の質問の聞き方が、大変よくなかったのですが、今、先生が何か私の気持ちを酌み取ってくださったのか、要は、私が伺いたかったのは、COCoLiSサイトに団体として、どういうことを広報として期待されますかということを、ちゃんと聞くべきでしたけれども、十分お答えいただき、あとは動画の件も大変参考になりました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、磯辺様、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者スマイル基金磯辺事務局長 今、COCoLiSサイトを、大澤先生は活用をいただいているということで、大変うれしかったのですが、COCOLiSは、これまで消費者契約法39条で公表した情報について、データベース化して検索できる。この法令に違反する差止めはどういったものがあるかとか、事業者名を特定しても検索ができるものです。今の時点の情報の範囲で言いますと、消費生活センターの相談員さんに、相談の過程で活用をしてもらえないだろうかと、自分のところに相談のあった事業者について、過去にどういう差止めがあっただろうかとか、こういう不当な条項があるのだけれども、それに関連して、どういう差止めがあっただろうかとか、そういうことを調べていただいて相談業務に活用いただけると。そういう御案内をして、少しでもアクセスにつなげられればと思います。そうした、センターの相談員さんの間で、消費者団体訴訟制度について、ぜひ御理解をさらに深めていただければと思っております。

一方、全くまた別のコンテンツ、COCoLiSの同じサイトの中に入れるとしても、別のコンテンツとして、非常に消費者に分かりやすい事案に応じた1枚もののチラシみたいなデータを整えることは必要なのだろうなと思っています。

例えば、先ほども助成事業報告会のところでお話ししましたけれども、レスキュー商法でこういった被害があって、こういう差止めがあるのですよと、こういう主張ができるのですよということを、まさしく国民生活センターもチラシ形式にして注意喚起をされていますけれども、それと差止めの取組、被害回復の取組と結びつけたような情報の整理、発信というのができればと思っています。

実は4年に1回ほど、差止請求事例集というのを消費者庁のほうでつくられています。

今、私どものほうから御提案しているのは、来年度の事業なり、再来年度の事業で、そろそろ差止請求事例集をもう一度取りまとめませんかと、その事例集を取りまとめる過程で、アウトプットとして今まで冊子だったのですけれども、もしくはPDFでの掲示だったのですけれども、COCoLiSサイトを使って、より事案別に分けて、分かりやすい発信ができると、COCoLiSサイトのアクセスにもつながるのではないかと。

そういう一般向けのコンテンツが、一定充実してきたときには、グーグル検索広告を短期的にかけて、一時的にどんとアクセスを増やすだとか、そういう効果的なコストのかけ方をして、サイトの認知を上げていくということで、2年、3年かけて本物になっていけばいいなと思っているということです。

それと、ごめんなさい、クラウドファンディングの話は、この後でよろしいですか、今、言ってしまってもいいですか。

○大澤委員 すみません、クラウドファンディングについては、直接、何かいただければありがたいですが、別にそれ自体を伺いたかったというよりは、やはりクラウドファンディングとかを求めるときにも、やはり一般消費者が存在を知ったりとか、あるいはどういう活動をしているかというのを知っていただかないと、なかなか難しいのではないかなという感想でした。失礼しました。

○特定非営利活動法人消費者スマイル基金磯辺事務局長 クラウドファンディングについて、これまで、私も前に適格消費者団体に関わったときにも検討したことがありますけれども、そのときの経験からいうと、民事訴訟で争いのある事案に当然なるわけで、民対民の争いについて、それを寄附の対象として、クラウドファンディングを幅広くやっているポータルサイトが掲載するということは非常にハードルが高いです。

ですから、福祉の分野や人権の分野のような載せ方は、なかなかできないというのが過去の経験です。

CALL4のお話がありましたけれども、CALL4も対象が行政訴訟なのです。民対民の争いは、基本的に載せないということになっています。

ただ、CALL4がすばらしいのは、行政訴訟でやって、独自のサイトを立ち上げて、関心のある専門家の方がかなり見ていらっしゃるのだろうなと思うわけなのです。その人たちをコアにしながら寄附が集まっているということは、まさしく事実ですので、そこは学ばせていただくということで、本当であれば、スマイル基金などが消費者庁さんにも御相談しながらですけれども、消費者団体訴訟制度用のクラウドファンディングのポータルサイトを準備できるというところまで行けばいいのですけれども、なかなか、ここ数年でということまでは、展望はできていないのですが、そういったことも課題として認識しながら、通常のポータルサイトで訴訟事案を豊富に扱うというのは、なかなかハードルが高いだろうなという現状認識にあるということだけ、今日は御紹介をさせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、2点目に、消費者庁様に、6ページの表に関わって、御質問がありましたので、お答えください。

○消費者庁消費者制度課古川課長 かしこまりました。

今、26団体、そのうち特定認定まで行っているのが4団体と増えて、本当に皆さん、手を挙げていただいてありがとうございます。

当初、この制度をつくるときには、本当に手を挙げてくれる人などいるのだろうか、みたいなところがありましたが、国会の答弁で2桁やりますみたいな感じの意志を、大臣とか局長とかが答弁して、それでこの制度ができて、5年経ってようやく、そこに至りました。そこからも着々と皆さんに手を挙げていただいて今に至るという形になっています。

では、何で手を挙げてくださったのかということだと思います。すみません、多分、私が答えるよりも、本当はここにいらっしゃる皆さんにお答えいただいたほうがいいのだろうと思います。本当に僭越ながらという感じもして、大変申し訳ないのですけれども、これは本当に皆さんの熱意と御意志によってやってくださっていると、本当に頭が下がる思いでございます。

本当にそういった団体が多くて、もちろん細々と支援とか、いろいろなところから貰いながらやっていくとしても、経理的基礎とかを一応審査をさせていただくのですが、結局、人件費が積まれていないような資料をもらうのです。それで、団体にお伺いすると、これでやるのですと仰って、それで倒れないでやっていけるのですと仰るので、認定させていただいております。だからそこには本当にボランティア活動というものを内包した形で申請書を出してきてくださる方々の集まりで、26に至ったということは、厳然たる事実だと思っております。

○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 ありがとうございます。

やはりそうなのだろうなと思いましたので、ぜひ、財政的なことは、消費者庁さんとしても、いろいろ考えてはいらっしゃると思うのですが、本当に今後この活動を維持するために、いろいろやっていただきたいと思います。ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、3点目は、KC’sさんに、双方向コミュニケーションを全国に広げるための支援ということに関して、御質問がありましたので、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 御質問いただき、ありがとうございます。

何よりも、やはり事業者さんに、この双方向コミュニケーションの場を実感していただきたい、すなわち、初めての方にたくさん参加していただきたいという思いがありまして、そのためには、KC’sの双方向コミュニケーションの活動を、消費者庁にも後援等の形で支援していただきたいと考えています。消費者庁から、この活動を推進、応援しますという形で表明していただければ、事業者さんのほうは非常に参加しやすくなると聞いています。単に適格団体がやっているというのではなくて、行政としてもこういう活動の意義を認めているということを示していただきたいというのがお願いの1つです。

それから、消費者側の参加者を増やすためには、全国のいろいろな消費者団体等の拠点に向けて、まずやってみて実感しましょう、面白いですよという形で体験希望者を募っていきたいと思っています。今回、KC’sでも、毎年の報告書をホームページにアップしましたが、そういうことの広報とか、もちろん私たち自身がしないといけないのですけれども、双方向コミュニケーションの意義だとか面白さということも、消費者庁としても具体的に広報活動を通じて協力をいただければと思っております。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 ありがとうございました。

本来であれば、これは、もちろんKC’sさんがやってくださっているのは、本当にすばらしいことだと思うのですが、これは、本来、例えば消費者庁さんが音頭を取って、事業者、消費者のコミュニケーションを図るとかというのもあり得ない話ではないというか、むしろそういうやり方もあり得るのではないかと思いますので、今、片山先生がおっしゃっていることは、全くそのとおりではないかと思います。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 ありがとうございます。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

手短に消費者庁さんに御質問と、まず、コメントです。

適格消費者団体の皆様の御発言から、適格消費者団体訴訟制度について消費者だけではなく、事業者も知り得ないということが課題と思われました。

当然ながら、この訴訟制度は、消費者だけではなく、コンプライアンスを遵守する事業者にとっても重要なことと思います。火が消えることがないように活発に動いていただくように、今後も周知等に推進していただければと思います。

御質問ですが、COCoLiSのサイトをアップしてから約1年ぐらいたつと思います。消費者目線で拝見すると、動画なども御用意はいただいてはいますが、まだまだ消費者が見ても、この制度の活用の方法とか、実際にこの制度を使って申出をするにはどうすればいいのかというところが、まだまだ分からないと感じております。

大澤委員からのコメントと重複していることは御容赦いただきたいと思いますが、この1年でCOCoLiSのサイトにどれくらいのアクセスがあるのか、また、このサイトから各適格消費者団体にアクセスをしているのかなど、記録を取っているのか分かれば教えていただければと思います。

また、このサイト内で消費者からの情報を集約して一元管理して、各適格消費者団体に対応を求めるような流れ、ワンストップ化みたいなことができないのかということも、1つお伺いしたいと思います。

それから、2点目です。各適格消費者団体様にお尋ねとコメントです。人的と金銭的に困難というところはよく分かったのですが、運営自体は、スリム化できるようなことも検討する必要があるようにも思いました。

各団体でできること、行政に望むこと、人的、金銭的以外に何かあれば教えていただきたいと思います。

また、コメントですが、消費生活センターとの連携についてはされていらっしゃるということで、センターからの情報は要領を得ての申し出で、大変いいというお話もありましたが、これは一つの方法かと思います。やはり消費者からの申出が中心となるように、消費者がこの適格消費者団体を理解して申し出るようなことを中心に考えていただければいいのではないかなと思いました。こちらはコメントです。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、1点目について、消費者庁様、お願いします。

○消費者庁消費者制度課古川課長 お答えいたします。

確かに、このサイトをどのように活用されているか、数字、ログとか、そういったものは取れます。今すぐその数字をぱっとお答えすることは、すみません、数字を持ち合わせていないので申し訳ありませんが、そういうのは取って展開したりとか、そういうことは、やらせていただくことはできます。

もちろん、そういうのを踏まえて、いろいろと、それでどれぐらい認知されるようになったのかなという1つのバロメーターになるのではないかなというのは、それは御指摘のとおりだろうと思っております。

そういったことも含めながら、どのように周知をしていくのかというのも考えていくということもあるのだろうと思っております。

続きまして、ワンストップ化とか、そこで消費者の情報を載せてワンストップ化するとか、そういうようなことは、いろいろと考えさせていただきたいと思います。すぐできますとか、できませんとかということは申し上げられません。要は、どのように苦情というか、申出みたいな情報を取り扱うことの情報の管理のハードルが、それをやるからには相当高くなります。あと、その情報をどのように適格団体に配分していくのかみたいな話になると、今ある26団体をどのように取り扱うのか。全然別のスキームを構成していかないといけないということにもなりますので、そんなに一足飛びに、すぐできますと申し上げられるようなことではないかなと思っているところでございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

磯辺様、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者スマイル基金磯辺事務局長 正確な数字は、後で消費者制度課さんからフィードバックをお願いしたいと思いますけれども、私が実務に参加していて聞いているのは、月間1万3,000ぐらいのアクセス実績と、現状は聞いています。多いか少ないかの評価までは、十分できておりません。

それと、COCoLiSのサイトは、まだスタートして3か月、4月1日からですので、まだまだ緒についたばかりで、データベースとして、まずそろえられるところを、過去の公表事案を何とか整えたという状況ですので、これからいろいろ工夫の余地が大いにあるところだろうと思っています。

○鹿野委員長 柿沼委員、よろしいですか。

2点目は、御意見、御質問も若干は含まれていたような気がしますが。

○柿沼委員 柿沼です。

すみません、COCoLiSのサイトは、まだ3か月しか経過していないということで、こちらのほうで認識が誤っておりまして、申し訳ございませんでした。

できれば、ランニングという形で適格消費者団体の方に、どれくらい、COCoLiSのサイトから飛んでいっているのかみたいなのが分かれば、教えていただきたいと思いました。

あとは、一元管理の方法についてなのですけれども、こちらにつきましても、消費者庁さんが全部集約すると聞こえてしまったかもしれませんが、消費者としては、一体どのように関わっていけばいいのというのが分からないところがあったので、その辺りについての流れみたいなフローみたいなものを、消費者庁さんのほうで御用意いただくのも1つの方法かなと思いましたので、そちらも少し付け加えさせていただきます。

ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

御質問はよろしいですか。

○柿沼委員 あと、各適格消費者団体さんにお尋ねということで、先ほどお聞きしたかったのですが。

○鹿野委員長 あれは、全ての団体様にお答えいただきたいと。

○柿沼委員 はい、お願いしたいと。

○鹿野委員長 大分時間が押しておりますが、それでは、できれば手短にお願いできればと思います。

○特定非営利活動法人消費者機構日本板谷専務理事 制度のスリム化とおっしゃいましたが、つまり業務の効率化も図っていかなければならないのではないかということだったと思います。その関係で言いますと、今日申し上げているように差止請求の業務自体からは利益を生まないということで、利益を生まない事業にシステム投資するというのは本来あり得ないことではあります。しかし、去年消費者庁が補助金を設けてくださったので、それを使って消費者機構日本のところでもホームページから情報提供を受け付けてその情報提供を一気通貫で検討に回していくような業務システムをようやく整備することができたというところです。そういうシステム整備みたいなことを、利益を生まない事業なのだけれども、行うことができれば効率化していく余地は大きいのではないかと思っています。

ただ、今日の私の資料の最後のところに記載しましたけれども、被害回復手続については、まだ、去年の補助金のところでもシステム化ができていませんので、そこについては、一方当事者への支援ということではないはずなので、公的にぜひ整備していただけたらありがたいなと思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかの団体様は、いかがですか。

町村先生、何かありますか。

○成城大学法学部町村教授 では、ホクネットの事例でいうと、スリム化というのはITを使ったスリム化ですね。

今まで非常に会議が多かったのですけれども、これはコロナのおかげと言ってもいいと思うのですが、遠隔会議が大々的に導入されて、東京からも私は参加できるようになったのですけれども、ほとんどの会議がZoomを使って遠隔会議でやっていますので、そういう意味では、非常に時間的にはスリム化されましたし、あと消費者相談についても、消費者からの情報提供なのですが、いろいろなタイプの消費者さんがいらっしゃるので、対応に苦慮することも多々あり、また、件数が特定団体になると非常に増えましたので、人員的にも大変苦慮していました。

それで、チャットボットを使って、導入分については自動化しようということも考えています。これは、できることは情報提供だけで、いざ通報する内容を具体的に聞くというときには、やはり人が必要になるのですけれども、しかし、チャットボットを使って、少なくとも導入分のところで終わるものは、あそこで、例えば、具体的な消費者相談であれば、消費者センターに行ってくださいとか、そういうお答えができるような、そういうシステムをつくろうと計画しています。

本当は、昨年の補助金で実現する予定だったのですが、残念ながら少し間に合わなかったのかもしれません。

ということで、今後は、さらにそういう方向で頑張っていきたいと考えています。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、KC’s様、この点について何かございましたら、お願いします。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西片山副理事長 小林さん、お願いできますか。

○特定非営利活動法人消費者支援機構関西小林事務局長 事務的な面では、今まで2団体がおっしゃっていたところは、そうだなと思います。

やはり当団体のところでも、割と属人的に業務を行っているところもありますので、来年で当団体が設立されて20年ですが、その辺りは、やはりシステム化していかないといけないなというところがあります。

それと、相談事例ですが、個別事案が結構多いです。本来ならば、消費生活センターさんのほうに連絡していただいたほうが解決が早いような事案も結構あったりするので、やはり消費者の方にも、特定適格消費者団体、適格消費者団体はこういう団体なのだということを御理解いただくというのも1つあるのかなと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員、よろしいですか。

○柿沼委員 ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、中田委員、お願いします。

○中田委員 すみません、お時間もないと思いますので、手短にコメントと質問を1つだけさせてください。

適格消費者団体の差止請求と、特定適格消費者団体の被害回復支援の活動によって、泣き寝入りに甘んじてしまいそうな消費者が声を上げることができて、消費者の権利とお金の主張ができている状況、理解できました。

ただ、私はセトルダウンするまでに約2年の長期にわたる差止訴訟関係業務の平均85パーセントが無償のプロフェッショナルの善意により行われているという、町村先生の御説明に、正直驚きました。

いずれの団体も消費者にとっては大変意義のある活動をしていただいていると思いますし、効率改善策も積み上げていただいているというお話を伺いましたが、もしこれが民間企業の一事業であるとしたら、ニーズはあっても人的リソース不足、予算不足、収益バランスの問題で、将来を見据えた事業モデルあるいは制度設計としては持続可能ではないという判断がされるのではないかと思いました。すみません、私、民間企業出身でありますので、そういう印象を持ちました。

板谷様より、この状況を打破する上で連携促進の提案と資金支援の御要望の説明がありましたが、各団体あるいは今の状況把握されている消費者庁において、これは、もし御意見があればいいので、全団体に伺いたいということではないのですけれども、中長期を見据えた活動モデル、事業収益としての在り方、期限を設けて、いついつまでに現状の課題を解決するなど、具体的な解決策の議論は、通常業務とは別に団体内外でされていますでしょうかということを1点伺いたいと思います。

財政が厳しいという理由で、無償の熱意あるプロフェッショナルに頼らざるを得ない状況というのは、活動自体も財政上も健全であるとは、私は思えず、抜本的なサービスの見直し、業務効率改善あるいはコスト削減という意味で、例えば団体間で広く横のつながりからのノウハウや、ベストプラクティスや人材の共有やプラットフォームの共有化などが、議論されることが急務ではないかと思います。

特に、新たな収益という面では、寄附、会費収入はもちろんあればいいと思うのですけれども、会費収入が先細りの状況で、行政からの財政支援というお話もありましたが、多分大々的な公的支援が全団体に満遍なく早期に期待できるということはなかなか難しいということを想定すると、新たな収益を生む事業開発の具体的な議論、PL、BS改善のためのピボット戦略が必要な状況ではないかと私は思います。

そのような議論がされているのかという点と、新たな収益事業として、もし成功している事例、国内でなければ諸外国の事例でもいいと思いますが、あれば教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 どなたかは分かりませんけれども、何かお考えとか、実践があれば、お答えいただければと思いますが、どうぞ。

○消費者庁消費者制度課古川課長 きっと誰も答えにくいのではないかなと思いますと、私が答えるかなと思っております。

本当に超長期戦略という意味では、最初に差止請求制度を創設してから、被害回復制度も導入して、その両方の制度を適格消費者団体、要は特定適格消費者団体になってもらって、そこでワークして、もちろん医学部入試事案とか、ああいう案件で、うまく取れればみたいなことではあったのですけれども、そういう中で、うまく回していくというのは、多分、この制度を創設したときの長期戦略だったのではないかなと思います。それを短期戦略、中期戦略ぐらいに戻すと、どうするかというのは、正直なかなか難しいところがあるのだろうなというのが、まず1点目のことだと思います。早急に検討すべきではないかということについては、そこは本当におっしゃるとおりだと思います。

まだ、ここは道半ばだと思うものを幾つか、個人的には、すみません、ここも個人的にはとしか言いようがないのですけれども、幾つかお話しします。例えば磯辺さんからもありましたけれども、訴訟の一方当事者という位置づけについてです、本制度はどう考えてもそうなのです。ただ、それだと、クラウドファンディングにしたって全然集まらないということがあるのだと思うのです。

そういう中では、ほかの団体もみんなそのように言っているので、そうだと思うのですけれど、この制度における団体というのは、訴訟の一方当事者とは言いながら、健全なBtoC市場を創設する、ある意味で、公正中立な第三者的な側面があるのではないかと。

そのような位置づけをもっと前面に出していくことによって、事業者とのコラボレーションみたいなものも生まれてくるのだと。だからこそ、今日、双方向コミュニケーションの話とかが出てきたのではないかなと思うのです。

そういったところに、ちょっとした発想の転換と、ちょっとした言い方の転換でしかないのかもしれませんけれども、そういう中で、事業者とのコラボレーションをより進めていく中で、もちろん最終的にはどこかで訴訟で争う相手になるので、なかなかというところもあるのですけれども、そういったところで、新たな収入源というか、何か違うビジネスの活路みたいなものを見いだしていくというのがあるのではないかなとは、個人的には思っております。

そうことで、新たな活動の展開ということも含めて、今、消費者法制度のパラダイムシフトというところで、事業者団体の役割、消費者団体、特に適格消費者団体の活動の範囲を広げていくのではないかという議論は、そういうバックグラウンドも含めて議論できればいいかなと思っております。すみません、それもまだまだ短期的戦略には行き着かず、中期的から長期的ぐらいの話なので、すみません、短期、中期がないことは、もうごめんなさいということかなと思っております。

以上です。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

当初の設計のところ、非常に参考になりました。なかなか将来を予測することは難しいと思うので、予測と現状が違うとしたら、そのギャップを認識した上で、では、現状に対してどういう戦略、事業計画ができるのかといったところを、ぜひ、議論を継続していただければと思います。期待しております。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

かなり時間をオーバーしてしまいまして、申し訳ございません。本日は、御説明、御回答をいただきまして、ありがとうございました。

本日の委員からの御意見も踏まえ、少し私の意見も加えながらまとめてみたいと思います。

まず、前提としての適格消費者団体の活動の意義ということについてです。日本において消費者団体は、歴史的にも様々な形で消費者の利益保護のための活動をして来られたわけですが、本日はその中でも、特に適格消費者団体の活動に焦点を当てて意見交換を行いました。

冒頭にも申し上げましたように、適格消費者団体による差止請求は、不当な表示、勧誘や契約条項等を是正することによって、取引を適正化し、健全、公正な市場の実現に資するというものであり、これは、消費者だけではなく、善良な事業者にとっても、つまり双方にとって利益となるものであると思います。

そして、そのような意味を有する差止請求は、本日のお話の中にも出てきましたように、一種の公益を目的とするものと評価することができるものであって、差止請求の担い手である適格消費者団体は、そういう意味では公益的な役割を果たしていると言うことができると思います。

このことは、今までもいろいろな場面で言われてきたところですが、本日の意見交換でも、改めてその点が確認されました。

しかしながら、現状としては課題が多いということでございまして、適格消費者団体が公益的な機能を十分に果たすためには、担い手の確保と財政基盤の安定強化が、まずは必要であるということであります。

もちろん、御指摘があったように、ITなどのシステムによる効率化の工夫というのも、今後考えられる部分があると思いますが、それには限界もあると思います。かなり難しい事案について専門家が、ある程度の時間をかけて検討するということ自体、それを時間と、普通だったら得られる利益ということで換算すると、相当な御負担がかかっているということであろうと思います。

確かに、適格消費者団体、特定適格消費者団体の活動については、近時の法改正で、その負担を軽減する方向での仕組みなども一部導入されましたし、消費者庁による支援の取組について、本日も御説明いただいたところではございますが、現状では、特に適格消費者団体の差止請求制度については、なお、基本的にはボランティア頼みで行われているということが確認されたものと思います。

適格消費者団体がその機能を果たす際、これは訴訟に至る場合に限るわけではなくて、そうではない訴訟外で是正を求めるという場合も含めてということでありますが、専門的な検討が必要となるということで、団体が大きな経済的、人的負担を強いられてきたということでした。町村教授からは、やりがいの搾取という御指摘もありましたし、あるいは黒木委員長代理からは、こういう形では破綻するという御指摘もあったところです。

そのようなことで、国は適格消費者団体が果たす公益的な役割を踏まえ、財政面、情報面などの必要な支援をさらに検討すべきであると思います。

適格消費者団体及び特定適格消費者団体に対する支援の充実ということは、令和4年の消費者契約法及び消費者裁判手続特例法の一部改正の際に、衆参両院の附帯決議においても明記されていた点でございますが、本日、具体的なデータや実情についても御説明をいただきまして、意見交換をさせていただく中で、改めてその必要性が強く感じられたところでございます。

ごくごく長期的なというようなお話もありましたが、もうこのままでは、長期に達する前に潰れてしまいかねません。この制度の目的自体はすばらしいにもかかわらず、現実的ではない側面がありますので、その点を踏まえ、きちんとワークしていくような仕組みにする、あるいは支援をするということが必要なのだろうと思います。

中田委員からは、民間企業だったら持続可能性がないという御指摘もあったところですが、消費者庁におかれましても、ぜひその点につき改めて前提として認識をしていただければと思います。

少し補足的に申しますと、行政からの適格消費者団体への財政面の支援に関しては、官民協働の資金支援の枠組みとか、あるいは事業者の寄附を促進するような制度的な枠組みとか、あるいは差止請求の場合には、それ自体で支出だけが膨れ上がって、利益が全く上がらないというところが、根本的にやはり制度の限界をもたらしていると思いますので、差止請求によって事業収入が何らか上がるような仕組みなども検討される必要があるのではないかと思いました。

また、政府の補助金についても、これは補助金がいろいろと活用されていて、とても良いことだと思いますし、今後についてはこれを検証してということではございましたけれども、今後も単年度、短期で終わりではなくて、継続していただき、拡充していただきたいと思うところでございます。

それから、本日は消費者スマイル基金のお話もいただきました。スマイル基金は、適格消費者団体等を支援することで、事業者の正しい取組を推進し、健全な市場を実現するということを目指していらっしゃるものと認識しております。

この基金は、7年前に発足したものですが、令和4年改正の消費者裁判手続特例法において、消費者団体訴訟等支援法人が法律上も正面から位置づけられて、スマイル基金がその第1号としての認定を受けられたということで、それによって活動をさらに広げているという御報告もありました。

7年前に発足して以来、助成活動を続けて来られたわけですが、寄附規模は伸び悩んでおり、むしろ、最初のときにはある程度の規模があったところが、今はそれに比べると低くなっているということが現実としてあるようです。

これについても、国として消費者団体訴訟等支援法人に対する支援ということを併せて検討する必要があると思います。

本日の御発表の中で、特にCOJ様からは、消費者個人への返金が難しい場合に、スマイル基金などをその受皿にすることなどの御意見もありましたし、あるいは地球環境基金の仕組みなどを参考にした制度とか、確約制度の中で、自主的取組の1つとして寄附を位置づけることなどについても、アイデアとして具体的に出していただいたところでございます。

これらは、いずれも制度化のためには、さらに深く検討する必要があるとは思いますけれども、いろいろな具体的なお考えを御指摘いただけて、私たち委員会にとっても非常に参考になりました。

次に、本日は、行政からの適格消費者団体への情報面の支援に関しても御指摘がありました。差止請求権の行使などの実効性を高めるための情報提供の範囲拡大ということについても、検討される必要があるのではないかと思います。

これについても、多少の手当はなされてきたものと理解しておりますが、本日、KC’sさんからも御指摘がありましたように、適格消費者団体の立場から見ると、なお、適時の情報が得られていないということであり、もちろん地域によっては、個別的な対応で情報が得られる場合もあるように伺いましたけれども、なお、それでは、全体の制度としては限界があるように思いました。

そういうことで、何もかもというわけにはいかないと思いますけれども、情報の提供や開示については整理した上で、これを活動の実効化につなげていくということが必要なのだろうと思います。

それから、本日のお話を伺って、この制度の認知度を向上させるということも重要な課題であると思いました。認知度向上の中でも、まずは、消費者による認知ということが、やはり重要であると思います。

そこで、これについても消費者庁及び適格消費者団体におかれましては、必要に応じて連携して、消費者に対するさらなる周知啓発、情報発信に努めていただければと思います。今、いろいろなサイトが立ち上がったりして、だんだん進んできているものとは思いますし、それを今後検証する必要はありますけれども、一般消費者にどこまで届いているのかということが、やはり課題でありまして、大澤委員からも御発言がありましたけれども、そういうところも確認しながら、さらに取り組んでいただければと思うところです。

それから、事業者、事業者団体との連携等も非常に重要であると思います。

まず、連携以前に、事業者、事業者団体にきちんとこの制度を理解してもらうということ、事業者の認知度向上と言っていいかもしれませんけれども、それが非常に重要だと思います。

その上で、さらにより積極的な連携を図ることが考えられます。本日は、特に本日KC’s様から、事業者との双方向コミュニケーションに係る取組等について御紹介をいただきました。

これは、すばらしい取組だと思いますけれども、1つの団体が関西エリアでやっているということだけではなく、これを全国的に広げることが必要であり、そのためには、やはり消費者庁様にも御協力をいただく必要があるのではないかという議論もあったところです。その点も庁におかれてはよろしくお願いしたいと思います。

それから、それに関連して、黒木委員長代理から御指摘があったように、善良な事業者や事業者団体との連携に当たっては、例えば、景品表示法に基づく公正競争規約などを定めている事業者団体と、適格消費者団体との意見交換とか情報交換を消費者庁が主導するなど、この枠組みだけに限らないかもしれませんけれども、そういう形での役割を消費者庁が果たすということも期待されるところだと思います。

本日、その他の連携についても御意見をいただきました。適格消費者団体間の連携というところも非常に重要でございますし、それから、消費者相談の現場あるいは福祉部門なども含めて、様々な関係機関の連携が重要であるということについて御指摘、意見交換などがありました。

これについても、それを自発的にやってくださいということだけではなく、行政がそれをサポートしていくということも重要であると思います。

最後に、本日のテーマは、消費者委員会の専門調査会で御議論いただいているパラダイムシフトにもおそらく関わるテーマの1つでもございますので、こちらでも、今後、御議論をいただきたいと考えております。

長々と話してしまいましたが、以上が私なりのまとめということになります。

当委員会としては、本日委員から出された意見も踏まえて、次期消費者基本計画にさらに盛り込むべき事項について検討し、取りまとめを行っていきたいと思います。

本日御出席いただいた皆様におかれましては、お忙しいところ、大変ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(磯辺事務局長、板谷専務理事、町村教授、古川課長、片山副理事長、小林事務局長 退室)


《3. その他》

○鹿野委員長 それでは、続きまして、その他として、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、参考資料の2-1と2-2を御覧いただけますでしょうか。

最初の2-1は、消費者委員会に寄せられた要望書・意見書・声明文等の一覧、6月分となっております。

順番に見ていきますと、1つ目は、地方消費者行政に関することでございます。右側のポイントのところでございますが、国によるこれまでの財政措置は、一応の成果を上げつつも、まだまだ十分な成果を上げているとは言い難い状況にあるので、さらに強化すべく以下のとおり要望ということで、3つの意見をいただいております。

1つ目として、PIO-NET情報の国全体の施策に活用している現状を直視して、その入力等に係る経費を国が恒常的に負担する制度を検討することなどとなっております。

その次は、消費者安全関係につきまして、2件いただいております。

1つは、消費生活用製品安全法等の一部を改正する法律案の成立に当たってということで、この法律が6月に成立しておりますので、それについての御意見ということでございます。

もう一つは、太陽光発電の安全性の向上についてということで、意見をいただいております。

それから、次のページにまいりまして、その他として商業登記規則等の一部を改正する省令における住所非表示措置について、意見書をいただいているところでございます。

その他、個人の方から1件の意見等をいただいたところでございます。

次に、参考資料2-2でございますけれども、4月から6月にかけて、国民生活センターが公表した案件一覧となっております。

案件のテーマといたしましては、そこに記載のとおりでございます。ネット検索で見つけたロードサービスのトラブルといったインターネット絡みの案件でありますとか、5月の真ん中辺りは、18歳、19歳の消費生活相談の状況、2023年度のデータが公表されております。それについての国民生活センターからの発表もございました。

ちなみにですが、2023年度の契約当事者、18歳、19歳の年度別相談件数は、9,675件となっております。前年が1万飛び26件でございまして、前年に比べてほぼ横ばいとなっております。

御報告は以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

委員から何か、今の点について御意見、御質問等ございますか。

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

それでは、御質問等はないということで伺いました。これらの意見書等につきましては、必要に応じて、消費者委員会の調査審議において取り上げることといたしたいと思います。御意見等、どうもありがとうございます。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 本日も長時間にわたりまして、御議論いただきまして誠にありがとうございます。

次回の日程につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。大幅に時間を超過して申し訳ございませんでした。

お忙しいところお集まりいただき、大変ありがとうございます。それでは閉会です。

(以上)