第437回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2024年6月18日(火)10:00~12:18
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、中田委員
- (テレビ会議)大澤委員、原田委員、山本委員
-
- 【説明者】
- 公共料金等専門調査会 野村座長
- 消費者庁公益通報・協働担当 浪越参事官
- 消費者庁消費者教育推進課 山地課長
- 金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室 桑田室長
- 文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課 安里課長
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 公共料金の変更について(「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する意見案)
- 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者教育の取組について)
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:80KB)
- 【資料1-1】 NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案について(消費者庁付議文書)(PDF形式:293KB)
- 【資料1-2】 「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する公共料金等専門調査会意見(消費者委員会事務局提出資料)(PDF形式:277KB)
- 【資料2-1】 消費者庁における消費者教育の取組(消費者庁提出資料)(PDF形式:4988KB)
- 【資料2-2】 「鍛えよう、消費者力」教材案内チラシ(消費者庁提出資料)(PDF形式:3699KB)
- 【資料2-3】 金融庁説明資料(PDF形式:3945KB)
- 【資料2-4】 文部科学省における消費者教育の取組について(文部科学省提出資料)(PDF形式:2476KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第437回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しております。また、大澤委員、原田委員、山本委員はオンラインにて御出席です。
星野委員は、本日、御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。
もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
《2. 公共料金の変更について(「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する意見案)》
○鹿野委員長 ありがとうございました。
本日の最初の議題は「公共料金の変更について」です。
今回、NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案について、資料1-1のとおり消費者庁長官から消費者委員会に対して意見を求められております。そこで、公共料金等専門調査会において調査審議を行い、今般、意見の取りまとめが行われたところです。
本日は、公共料金等専門調査会の野村座長にオンラインにて御出席いただいております。また、消費者庁公益通報・協働担当の浪越参事官にもオンラインにて御出席いただいております。皆様、本日はお忙しいところありがとうございます。
本日の進め方ですが、まず変更案に関する公共料金等専門調査会の意見について野村座長から概要を御報告いただいた後、事務局からその内容の詳細を御説明いただきます。その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。
それでは、野村座長の御報告と事務局からの御説明をお願いします。
○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございます。
公共料金等専門調査会の座長を務めております野村でございます。よろしくお願いいたします。
今回のNTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案につきましては、5月27日開催の公共料金等専門調査会において総務省へのヒアリングを実施した上で、5月27日当日及び6月10日の2回にわたりまして、基準料金指数を算定する生産性向上見込率に関して、電気通信事業法施行規則で定める算出方法に沿った算定が行われているかを議論し、意見を取りまとめましたので、御報告いたします。
今回付議された変更案において、生産性向上見込率はゼロとすることにされました。その結果、基準料金指数は3.1ポイント引き上げられることになります。当専門調査会では、物価の上昇局面にあることに加えて、設備面で生産性を向上させることが困難な既存の公衆交換電話網(PSTN)からIP網への移行という期間限定の特殊事情下にある次期に限った措置であること等を考慮し、当該変更案について妥当であると結論づけたところであります。
留意事項としましては、今般の基準料金指数の算定方法の変更が実際の電話料金や消費者の生活に及ぼす具体的な影響に関して、適時・適切な方法が行われているとは言い難いのではないかという点で複数の意見がございました。
なお、実際の料金指数が基準料金指数を大きく下回る形で推移していることに加えて、固定電話に関して、契約数の減少やIP網への移行という環境変化が進行しておりますことを踏まえれば、今後の本制度の在り方に関して抜本的に検討することも必要ではないかとの意見もございました。これらの課題は、意見書においても留意事項として記載しております。
それでは、意見の詳しい説明につきましては、事務局からお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○友行参事官 それでは、資料1-2を御覧いただけますでしょうか。「「NTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案」に関する公共料金等専門調査会意見」としております。
まず、最初に大前提として、電気通信役務に関する料金については、原則として、規制がかかっていないということがございます。ただ、一部の料金についてはプライスキャップ規制がかかっております。それがNTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金等になります。これらのサービスについては、1ページ目の真ん中にございます音声伝送役務と言われます。このプライスキャップ料金を算出するに当たりまして、基準料金指数という指数を算出いたします。その算出の方法でございますが、1ページ目の脚注1にございますように、基準料金指数の算定方法は、電気通信事業法施行規則で定められております。基準料金指数は、前の年の基準料金指数×消費者物価指数変動率や生産性向上見込率、外生的要因によって求められるということで、このような式が決まっております。外生的要因というのは、消費税の上昇などを指します。ですので、この基準料金指数の求め方については、所与のものとして捉えることが必要となります。
このうち、生産性向上見込率という変数がございます。これについてはいろいろな計算の仕方があるということでございます。どのような計算方法を用いるかといったことや、そこから出てきた数字に対してどのような考察を与えるかということが考えられます。それについては、消費者委員会のほうに付議がなされる前に、総務省の専門家による研究会で検討がなされております。その結果、先ほど野村座長が申しましたように、また、この意見書の1ページ目の上から4行目にありますように、生産性向上見込率は0パーセントを採用するという結果になってきております。
この生産性向上見込率、今回どのような形で算出されたかという式が、1ページ目の脚注2にございます。消費者物価上昇率や費用、それから収入などによって求められております。
公共料金等専門調査会におかれましては、この生産性向上見込率がどのような形で算出されたかということについて総務省から説明をいただき、また、追加のデータなども確認していただき、十分御検討、御議論いただきました。その結果の結論が、先ほど野村座長からお話がございましたように、1ページ目の「1.結論」、変更案については妥当であると認められるという形になっております。
ただ、いろいろと専門調査会のほうで御議論がございました。それについては、次のページ以降、留意事項として述べております。
2ページ目を御覧いただけますでしょうか。
最初の「2.理由」につきましては、総務省などから御説明いただいて、生産性向上見込率の算出について、収入予測、費用予測などいろいろと確認した結果、合理性があると判断したというようなことを記載しております。
「3.留意事項」でございます。総務省及びNTT東西は、以下について留意すべきであるとしております。
(1)として「プライスキャップ制度について」でございます。
プライスキャップ制度は、上限価格をあらかじめ設定して、その上で事業者の経営効率化を促進し、料金の低廉化を図るというインセンティブ規制となっております。インセンティブ規制であるということは、(1)の2つ目の○の最後3行目ぐらいから記載しております。ただ、先ほどの野村座長のお話にありましたように、実際の料金は基準料金指数、すなわちプライスキャップを大きく下回る形で設定されております。そこのところは最初の○の3行目ぐらいに記載しております。そういう形で実際の指数が推移していることから、インセンティブ規制が十分にその機能を果たしているかどうかということもあり、最初の○の最後のほうになりますが、今後の本制度の在り方に関して、抜本的に検討することが必要と考えられるとしております。
(2)といたしましては「X値の算定方法について」でございます。
X値というのは、生産性向上見込率のことでございます。それについては先ほど幾つかの算定方法があるということを申し述べました。専門調査会でもいろいろと御検討していただきました。その結果、最初の○でございますが、ほかの生産性の算定方式による検証も並行して実施するなどの創意工夫が必要ではないかということや、2つ目の○になります。2ページ目の下から2行目ですが、NTT東西の支店統合によりデータサンプル数が減少している中では、その結果の妥当性解釈には、3ページ目にまいりますが、注意が必要ではないかというような指摘がございました。(2)については、生産性向上見込率の算定方法について、少しテクニカルでございますけれども、その点についても指摘をしております。
そして、最後に(3)として「消費者へのわかりやすい説明について」でございます。
電気通信役務、すなわち電話の料金について、電話に係るサービスについてはいろいろな規制、基本的枠組みがございますが、最初の○の下から3行目の辺りでございますけれども、そもそもプライスキャップ規制がどのようなサービスを対象としているのかということでありますとか、そういった事柄が消費者にとって理解困難であります。そのため、電気通信役務制度について消費者へ分かりやすい説明資料を作成し、情報提供を行うべきであるということでございます。
それから、次の○でございます。今般、基準料金指数というものが求められております。また、その算定方法が変更されておりますが、では、それが実際の電話料金や消費者の生活にどのような影響を及ぼすのか、具体的な影響は何なのか、それについて適時・適切な広報が行われているとは言い難い。そのため、電気通信技術の変化が料金に及ぼす影響などを含め、消費者が理解できる情報提供を行うべきであるとしております。
意見書の内容は以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの公共料金等専門調査会意見について、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は10分程度を予定しております。いかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 小野でございます。
委員として議論に加わりまして、いろいろテクニカルな情報に基づいて審議が進みましたが、私としましては、消費者への分かりやすい説明について意見を申し上げました。今回の変更案について、直ちに消費者が支払うNTT東西の加入電話等の料金が変わるわけではないのですけれども、算出方法については分かりづらいところがありますので、そのことへの一層の配慮と工夫が求められることが確認できたと思います。こういったことは公共料金に関して共通することでございますので、引き続き消費者委員会でも重要だと考えた次第です。
私からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
大澤委員、お願いします。
○大澤委員 私、ちょっと喉を痛めてしまっていて、声が聞き苦しくて申し訳ありません。
御説明いただきましてありがとうございました。
ここの留意事項にも書かれているとおり、料金のシステムが消費者にとって分かりやすくあったほうがいいというのはそのとおりだと思うのですけれども、この種のいわゆるライフラインの料金を値上げするということは、確かに昨今、ほかの物価も値上げしているということを考えたときに、なかなか難しいところもありつつ、しかし、電話の場合、資料にも書かれていたと思うのですけれども、そもそも固定電話の契約者数が減っているという現実もあると思います。こういった形で通信技術の発展など、契約者が減っているとかそういった状況で、しかし料金をどうしていくかというときに、上げるというときに、消費者は今、物価が上がっているので、またこれも値上げかというイメージだけを抱かれないように、どのように説明するかというのはなかなか難しいところもあると思うのですが、私もプライスキャップ規制というのは今まで全く知りませんでしたのでなかなか難しいと思うのですが、可能な限り、最後にも書かれているように、適時・適切な方法で、ただ単にほかと同じように上げているわけではなくて、上げる必要性があるとか、あるいはこういう調整の必要があるということは説明していく必要があると思います。その際に、どこから広報するかというところもあると思います。総務省さんであり、あるいはマスコミ等々にきちんとやっていただくとか、そういった広報手段を考える必要があると思います。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかはいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
ただいま委員から御発言いただきましたが、基本的には専門調査会の意見書の内容を支持し、これを補足あるいは強調したいことについて御発言いただいたものと思います。
特に、同意見書にも留意事項として記載されている内容はとても重要であると思います。ただいまも御発言いただきましたけれども、やはり消費者に非常に分かりにくい仕組みになっておりまして、それを踏まえて消費者に分かりやすい情報提供をお願いしたいと思います。さらに、この意見書には、X値算定式の項目について透明性を高めること、あるいは、現在のプライスキャップ制度の抜本的な検討を行うべきだということも記載されていまして、これについても将来に向けてぜひ御検討をいただきたいと考えております。
それでは、専門調査会の意見を踏まえた委員会としての意見案をテレビ会議システムの画面上に表示しますので御覧ください。
(意見案配付・表示)
○鹿野委員長 会議室にて御参加の方には、紙でも配付させていただいたところでございます。
追加資料として配付しました意見案では、令和6年5月22日付で消費者庁長官から当委員会に諮問のあったNTT東西の加入電話、公衆電話、ISDNの料金に係る基準料金指数の算出方法の変更案については、消費者庁において、専門調査会意見を踏まえ、総務省と共に適切に対応することを求めるとしております。
これを消費者委員会意見とすることについて御了承いただけますでしょうか。
(「はい」と声あり)
○鹿野委員長 会議室にて御参加の方については、皆様から異議なしという御意見をいただきました。
オンラインの方について、事務局で確認させていただきますので少しお待ちください。
(異議なしの意思表示あり)
全員の御了承をいただいたということで、ありがとうございました。
それでは、委員会としての意見案について御了解いただきましたので、「案」を取って、これを消費者委員会意見といたします。
ただいま取りまとめました意見については、消費者庁長官宛てに回答したいと思います。
消費者庁及び総務省におかれては、専門調査会の議論や意見を踏まえ、適切に対応していただきたいと思います。
皆様、本日は、お忙しいところ御対応いただき、ありがとうございました。
どうぞ御退席ください。
(野村公共料金等専門調査会座長 退室)
《3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者教育の取組について)》
○鹿野委員長 続きまして、本日の第2の議題に移りたいと思います。
第2の議題は「消費者基本計画の検証・評価・監視」の一環として、消費者教育の取組について御議論いただくというものです。
平成16年に従来の消費者保護基本法が消費者基本法に改正されたことにより、同法に、消費者教育を受けることが消費者の権利の一つである旨が明確化されました。
また、平成24年に制定された消費者教育の推進に関する法律では、消費者教育とは、消費者の自立を支援するために行われる消費生活に関する教育及びこれに準ずる啓蒙活動であると定義されており、また、幼児期から高齢者までの各段階に応じ、それぞれの特性に配慮した体系的な消費者教育を行うことの必要性などが基本理念としてもうたわれているところでございます。
当委員会では、本年4月22日に取りまとめた「次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見」において、特に金融経済教育の推進に関して、本年4月に新たに設立された金融経済教育推進機構における金融経済教育の取組や学校教育との連携などについて意見を述べたところです。
金融経済教育については、政府や金融関係団体等が様々な取組を実施してこられたものの、各種調査によると、金融経済教育を受けたことのある人は少数にとどまっているという実情も示されてきました。
そこで、本日は消費者庁及び文部科学省から御説明いただいて、消費者教育の取組の全体像を改めて確認するとともに、特に金融経済教育については金融庁より現状を御説明いただき、意見交換を行わせていただきたいと思います。
本日は、消費者庁消費者教育推進課の山地課長、金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室の桑田室長、文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課の安里課長に会議室にて御出席いただいております。皆様、本日はお忙しいところ、ありがとうございます。
本日の進め方ですが、消費者庁、金融庁、文部科学省の順で御発表をいただき、全ての御発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を1時間弱取らせていただきたいと思います。
それでは、最初に消費者庁の山地課長、よろしくお願いします。
○消費者庁消費者教育推進課山地課長 消費者庁消費者教育推進課の山地でございます。本日はどうぞよろしくお願いいたします。
それでは、全体像ということで大分資料もお付けしてしまって時間を超過してしまうかもしれないのですけれども、駆け足になることをお許しください。
それでは、資料のほうで御説明申し上げます。
1枚おめくりいただきまして、まず消費者教育の現状について御説明申し上げます。
こちらにございますとおり、例えば学校、地域社会、職域といったライフステージに応じた場を活用いたしまして、それぞれ消費者教育を推進してきたところでございますけれども、学校、地域社会における取組は一定程度進捗したと考えておりますところ、職域における従業員に対する教育、一般社会人へのアプローチがなかなかこれまでできていなかったところでございまして、こちらにつきまして、職域の場での消費者教育の推進を今、検討して行っているところでございます。
また、そうした取組、それぞれの場において担い手の方がいらっしゃいますので、そうした方々を応援するための消費者教育ポータルサイトを運営いたしまして、我々の作った教材、そして皆様がお使いになっている教材について共有できるような場の提供、そして講師の派遣情報でございますとか、アドホックな注意喚起チラシなどを共有できるような場をつくって、使い勝手よく運営できるように努めているところでございます。
まず、学校についてでございますけれども、御案内のとおり学習指導要領の改訂が行われまして、小学校・中学校・高等学校及び特別支援学校におきまして、消費者教育の内容が充実しているところでございます。
また、昨年4月の成年年齢引下げの施行に向けまして、高等学校等における実践的な消費者教育の実施も行われたところでございます。
今後の課題といたしまして、やはり学校現場は非常に学ぶことが多いということで、先生方も大変でいらっしゃるということなので、外部講師の活用等の支援が必要と考えてございます。
また、地域社会につきましては、消費生活センターを拠点に取組を進めているところでございますけれども、各自治体における進めるためのスキームも整備されているところでございまして、消費者教育推進計画、そして地域協議会については、法律上設置が努力義務となってございますけれども、各都道府県については全都道府県で計画策定、そして協議会の設置が済んでいるところでございます。政令市もあと一つを残すところとなってございます。
各教育を推進していくための消費者教育コーディネーターというものも配置いただいておるところでございまして、こちらは初めて全都道府県の設置が完了したと承知しているところでございます。
地方公共団体においても、講座の実施をしっかり行っていただいているところでございまして、対学生は7,000余り、社会人は3,000弱、また高齢者については6,000ということで実施され、テーマにつきましても、エシカル消費、高齢者等の見守り、消費者被害防止、こちらは重複したテーマが設置されることもあるということでこうした数字になってございますけれども、それぞれお取り組みいただいているところで、前年度から3割増と承知しているところでございます。
こうした取組、コーディネーターや担い手の育成、関係者の連携・相互の学びを一層促進していくということが課題と考えているところでございます。
また、職域につきましては、取組が緒に就いたところでございますけれども、従業員向けの消費者教育のプログラムを開発いたしまして、一昨年には新人の方々、昨年には30代、それから退職前の方々を対象にしたプログラムがそれぞれ完成いたしまして、今年、それぞれの世代向けの出前講座を行おうとしているところでございます。
おめくりいただきまして、そうした取組を行うための大方針でございますけれども、基本的な方針を策定してございます。こちらにつきましては直近、昨年3月に改定をしてございまして、前期の消費者委員会におきましても大変御議論いただいたところでございます。こちらにつきましては、消費者教育の推進に関する法律に基づきまして閣議決定された方針でございまして、消費者教育の担い手にとっての指針となるものでございます。
簡単に御説明申し上げますと、まず現状と課題については、左上のブルーの囲みのところでございますけれども、消費者の多様化が進んでいること、デジタル化の進展が一層進んでいること、そして持続可能な社会実現に向けた機運が高まっていること、自然災害等の緊急時の対応が求められているということを分析した上で、消費者の自立支援につきまして、合理的意思決定ができ、かつ被害に遭わない消費者の育成に加えまして、より良い市場とより良い社会の発展のために積極的に関与する消費者の育成という2つの柱を掲げさせていただいているところでございます。
そして、ピンクの囲みのところは、今期における基本的な視点となってございます。教えられるだけでなく、消費者による自ら及び相互に「学ぶ」「考える」「行動する」ということを促進していくということ、消費者の多様化を踏まえてきめ細やかな対応をしていくということ、デジタル化の対応を一層進めていくこと、そして消費者市民社会の一員としての行動を促進するという4点を掲げさせていただいてございます。
具体的には、体系的推進のための取組の方向ということで、引き続きライフステージを活用した取組の推進を行っていくのですが、例えば行動経済学や心理学の知見も踏まえたような取組を進めるということ、それから多様な特性に応じたアプローチの部分で、不安を煽って契約させる手法、例えば霊感商法等、被害に遭いやすい手口・手法について具体的なものを掲げて皆様にお届けしていくということ、また、若者などが相談しやすいメールやSNS等による相談を支援していくということなどを盛り込んでございます。
デジタル化に対応した消費者教育の推進につきましては、サービス・取引が非常に変化していく中で、そうしたトラブルを回避する知識、批判的思考力を一層アップデートしていくということ、また、情報収集・発信についても新たな形が出てきておりますので、そういった適切な形でできるということについてスキルを身につけていただく重要性が高まっていると承知してございます。そういったことに対応するために、ポータルサイトでの情報提供や連携を一層促進することによって、担い手の方々を支援していくということを盛り込んでございます。
消費者市民社会構築に向けた多角的な視点の情報提供ということで、社会的課題を自分事として捉え、消費行動による課題解決ができるような情報提供を行っていくということ、また、デジタルも活用して自ら情報を収集して、相互に伝え合うことが消費者市民社会の構築にも寄与するということで、こうしたことを促進するということ、また、特にコロナのときに不確かな情報に基づく行動ということで、買占めといったようなことがあったりだとか、いわゆるカスタマーハラスメントというようなものが顕在化したというところもございまして、適切な意見の伝え方、また、適切な行動への注意喚起といったものもしっかりやっていく必要があるということを盛り込んだところでございます。
ポイントといたしまして、右側の緑の部分でございますけれども、こうした取組を一層促進していくためには、消費者教育コーディネーターの御活躍が欠かせないと考えてございまして、今年度も既に第1回コーディネーター会議を開催してございますけれども、良い取組を広めるだけでなく、各コーディネーターの悩みに寄り添うような会議、例えばワークショップを設けたりだとか、今回は新しく作った教材の基礎的な部分についてなりたての方にお届けするという意味で5月早期に開催したところでございまして、非常に多く200名弱の方の御参加をいただいたところでございました。
また、KPIの検討・設定ということで、我々も、そして自治体においても指標を適切に設定して、進捗管理していきましょうということを盛り込ませていただいているところでございます。
おめくりいただきまして、この基本方針を策定するに当たりまして、消費者委員会のほか、消費者教育推進会議という有識者会議を我々は法律に基づき設置しているところでございまして、こちらでも御議論いただいたところでございました。昨年10月から第6期の委員に御就任いただきまして、20名の方々にお就きいただきまして、右下に書いているようなデジタル化でございますとか、地域における体制整備等について議論を重ねていただいているところでございます。
おめくりいただきまして、前期の消費者教育推進会議の取りまとめでございますけれども、先ほど申しました基本的な方針の変更について御議論いただいたということが一つ。
それからもう一つ、一昨年の秋に霊感商法と悪質商法への対策検討会が当庁に設けられまして、被害を防止するためには消費者教育を強化する必要があるという御指摘を踏まえ、今、必要とされる力につきまして、「気づく力」「断る力」「相談する力」等と整理いただきまして、教材をこの御提言に基づいて作成したところでございます。それについて後ほど詳細に御説明したいと思います。
そして、今後の消費者教育推進会議につきましては、先ほど申し上げたとおり緑の部分の4点につきまして議論を重ねているところでございます。
具体的な取組について御説明申し上げたいと思います。
おめくりいただきまして、まず成年年齢引下げに向けた実践的な教材ということで開発いたしました「社会への扉」。これはクイズ形式になっておりまして、基礎的なことについて身につけやすいものとして開発したものでございますけれども、こちらを出前講座で届けるということを今、行っているところでございまして、対象を中学や専門学校、大学に広げまして、昨年度は174校に出前講座を行ったところでございました。
おめくりいただきまして、特別支援学校向けに「社会への扉」を活用した教材を作成いたしまして、知的障害のある方を主に念頭に置きまして、右側の中ほどでございますけれども、そういった生徒さんにもお届けできるような内容のスライドや、事例集を作成し、御活用いただいているところでございます。
おめくりいただきまして、高齢者の方々のデジタル教材も開発いたしまして、令和4年3月の発表にはなるのですけれども、例えばネットショッピングやSNSでのもうけ話等の新しいトラブル事例についてもそれぞれ教材として動画を作成し、活用事例集も作成してお届けしているところでございます。
おめくりいただきまして、デジタルをデジタルで学ぶ「デジタル社会の消費生活」ということで、徳島の新未来創造戦略本部で作ってございますけれども、様々なデジタル関係のテーマ、例えば若者に多いトラブルや、定期購入トラブル、インターネット広告の仕組みについての動画でございますとか、この下のデジタルコンテンツにつきましてはインタラクティブなつくりになってございまして、例えばライフプランを体験しようとか、「チェックしよう!『だまされやすさ』の心理傾向」という自分はだまされやすいということをチェックするための項目に入力すると、自分はこうだと出てくるようなインタラクティブな形のコンテンツも用意しているところでございます。
おめくりいただきまして、先ほど職域における取組を進めていると御説明申し上げたところでございますけれども、令和4年度は新人・若手向けでお使いいただけるようなものということで、中ほどにございます黄色の網かけ部分でございますけれども、5つのテーマ、消費者トラブルの対応でございますとかSDGs、生活を支えるお金、製品安全の考え方、インターネット取引という、興味を持っていただける、そして企業にも寄与できるのではないかというようなテーマにつきまして、5つの教材を右側にあるとおりスライドであるとか動画、ワークシート、また講師向けのガイド等も用意して開発したところでございます。
また、令和5年度はこちらの教材を使った出前講座、それから壮年・退職期向けのプログラムを黄色の網かけ部分の赤枠で囲んだ3つについて開発いたしました。
そして今年度はそれぞれにつきまして講師派遣を委託事業で行おうとしているところでございます。
おめくりいただきまして、事業者は研修を既に行っているものが多いということで、プログラムを開発しても活用いただけないというところがあるため、そういった部分で、自治体の消費者教育コーディネーターが中心になってお進めいただけないかということで、そういった方々にこういった言い方をすると伝わるよというようなマニュアルをお届けしたいということで、研修をモデルで実施して、その分析をして、お伝えの仕方等をまとめたマニュアルを作成してございます。
また、モデル実施したところのアンケート調査も実施してございまして、「とても良かった」「良かった」というような反応をいただいています。また、世代によって、一番ニーズがあるのは、消費者トラブルへの対応、また若い世代では生活を支えるお金についてそれぞれ受講したいというような内容も把握したところでございまして、こういったところで企業の方々に使っていただけないかと考えているところでございます。
最後、先ほど申し上げましたポータルサイトには、企業にもいろいろな消費者教育を掲載いただいています。例えばメルカリさんで、楽しみながらデジタル社会を学ぶ、例えばキャッシュレス決済等についての取組であるとか、自分が売り出すとき、販売する側になるとき、しっかりお伝えしないと加害者になってしまうので、そういったことも気をつけようねといったような教材をお作りいただいているところでございまして、そういった教材について共有できるように、ポータルサイトにも掲載いただいているところでございます。
長くなって恐縮ですけれども、最後になりましたが、このチラシをお付けしているところでございまして、先ほど申し上げました霊感商法等を受けまして実践的な消費者力を身につけるための体験型教材ということで、昨年度開発したものがこちらでございます。「気づく」「断る」「相談する」を学べる体験型教材ということで、VR動画による没入感で自分事として一度経験してもらって、そのままのものを経験されるわけではないと思うのですけれども、そんなことあったなと思い返していただけるようにということで、また、現場でもそれをフックとしていろいろな方々にお届けいただけるのではないかというような手応えもあるところでございまして、開発したところでございます。
内容としては、VR動画は偽装サークル、催眠商法、それから暗号資産についてそれぞれ開発したところでございます。それから、被害者の方々のリアルな声が一番届くのではないかということで、マルチ商法と霊感商法についてインタビュー動画も作成して、こちらもいろいろな方々に非常に多く御覧いただいているところでございます。
裏面を御覧いただきまして、VR動画に加えまして、①の下の部分でございますけれども、最新のトピックをそれぞれの世代向けに漫画形式で追体験していただくということで、ゲーム課金、美容医療、それから定期購入と訪問販売について簡単な漫画での事例紹介、そして、テキスト教材については左下の③にありますけれども、事例漫画、振り返り問題、解説、対策、復習・実践という形で、悪質商法に気づくポイントや断り方のシミュレーションをできるような形で教材を用意いたしました。また、真ん中の②の部分でございますけれども、VR動画につきましては、VR動画で疑似体験いただいた後、「気づく」「断る」「相談する」を具体的にどう行動すればよかったかというシミュレーションの復習動画、そして最後に解説動画、西田先生にマインドコントロール等についてそれぞれ解説をいただくというものを7分用意してございます。
そのほか講師向けの補助教材やガイド等もお作りしているところでございまして、今、絶賛活用促進中というところでございます。
長くなって恐縮です。以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
続きまして、金融庁の桑田室長、よろしくお願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 金融庁の桑田でございます。
資料2-3に沿って御説明させていただきます。
昨年11月にこちらの委員会において御説明のお時間を頂戴し、その後、根拠法等が成立しまして、機構のほうも4月に設立された、そういった進展がございますので、その辺りの進捗状況等を御説明させていただきたいと思います。
右下1ページ目のところ、冒頭、委員長からもお話しいただいたとおり、金融経済教育を受けた人の割合が非常に少ないという状況が長年続いている、また、足元、詐欺的な投資勧誘等の金融トラブルも続いている、金融業界が金融教育を行おうとしても、営業につながるのではないかということで敬遠される場合もある等々の課題認識から、法律に基づく認可法人として金融経済教育推進機構を設立することになりました。今年の4月5日、各全銀協、日証協、投信協、また日銀、金融経済教育をやっている関係団体の活動を集約・統合するスクラップ・アンド・ビルドの形で設立されたということになります。
右下2ページ目ですけれども、左上、金融経済教育推進機構の下に英語名称を記載しております。漢字10文字、なかなか長くて世の中に浸透しづらいと思いますので、このJ-FLECという名前で今、その周知を図っているところでございます。
職員数約70名、関係団体からの出向者で構成されるといったことを予定しております。
右下3ページ目ですけれども、理事長として安藤聡さん、近年はオムロンにおいて人的資本経営の陣頭指揮を執られた方でございます。
右下4ページ目、理事の方です。日銀、銀行業界、証券業界といった方が理事に就任していただいております。
5ページ目、運営委員会の運営委員、企業で言うところの社外取締役といったところでありますけれども、幅広い議論をしていただく観点から、委員長には金融経済教育の分野で長年御活躍の家森先生、神戸大の方に就任していただきました。また、市毛先生、茨城県の高校の先生だった方です。その他、大迫先生は日弁連において今、消費生活問題対策委員長をお務めの方、また、柿野先生は消費者教育推進会議の第6期のメンバーでもいらっしゃって、消費者教育支援センターで長年御活躍の方、こういった方にも御参画いただきまして、消費者分野においても連携を図りながら、中立公正な形で教育活動を進めていく、そういったことを軸に考えております。
右下6ページ目、J-FLECのロゴも載せさせていただいておりますけれども、教育、誰一人取り残さず広く普及していく、そういった観点から、老若男女を広く受け入れられるような親しみやすいものといった形で、こちらのロゴを採用させていただいております。
右下7ページ目です。よく話題になるJ-FLEC認定アドバイザー制度の創設ということで、様々なアドバイザーという方がいらっしゃいますけれども、中には、顧客の立場に立っているとうたいながら、特定の金融事業者あるいは特定の金融商品に偏ったアドバイスが行われているといったことも指摘されるわけですが、そうではなくて顧客の立場に立って、金融機関とは若干一線を置いてアドバイスをしてくれる方は世の中のどこにいるのだろうと、そういったところを見える化する、その目的のために創設するのがJ-FLEC認定アドバイザー制度になります。
右下8ページ目ですけれども、一定の要件に合致した方をJ-FLECはJ-FLEC認定アドバイザーとして認定・公表します。公表する際には、アドバイザーの方のプロフィール、保有資格、経歴、実際にアドバイス業をなりわいとされている方であれば報酬の目安とか、そういったことをJ-FLECのウェブサイトに載せるということを予定しております。
また、J-FLECとしては全国に出張授業あるいはイベントの開催といった形で教育活動を広く普及していくわけでありますけれども、加えて1対1の無料の個別相談といった事業も進めている中、J-FLECの講師あるいは相談員として、この認定アドバイザーの方に御活躍いただく、そういったことを予定しているところでございます。
右下9ページ目、J-FLEC認定アドバイザーの認定要件について、少々細かいですが記載させていただいております。
肝としては、まず金融商品をつくったり販売したりする金融機関・金融事業者を兼業していないこと、また、そういった金融機関から何らかキックバックをもらっていないこと、そういった要件です。
それだけではなくて、右下10ページ目にありますとおり、やはりアドバイスを行うに適した保有資格も認定の審査プロセスでもチェックさせていただくということで、左のほうに資格の例を書かせていただいております。CFP、AFP、こういったFP、あるいは士業、真ん中下のほうにあります消費生活相談員とか、こういった資格をお持ちの方で、その資格に基づく一定の業務経験を有している方、こういったところをJ-FLECにおける審査プロセスにおきまして一つ一つチェックし、総合的に判断し、最終的に認定するといったことを予定しております。
11ページ目ですけれども、J-FLECの主な事業です。主軸は1番、2番です。1番の講師派遣事業ということで、講師を全国に派遣して、無料で授業を展開する。2番、J-FLECが主催したイベント・セミナーということで、社会人の方とか教員の方向けのお金に関するイベント・セミナー、こういったところをやっていきたいと思っております。
12ページ目から16ページ目は、この事業の概要をちょっと詳しめに書いているところですので、時間の関係でスキップさせていただきますけれども、最後の右下17ページ目には、本年3月に閣議決定いたしました安定的な資産形成の支援に関する基本方針、政府としての基本方針の抜粋を掲げさせていただいております。前段の3行は基本的な考え方でありますけれども、「金融経済教育を推進するに当たっては、国民一人ひとりが、経済的に自立し、より良い暮らしを実現していくとともに、健全で質の高い金融商品や家計金融資産の有効活用により、公正で持続可能な社会の実現に貢献する」、そういった観点から、一人一人の金融リテラシーの向上を図っていくことが重要であるということです。
その下の4行に関しましては、消費者教育推進法などに基づく消費者教育との連携も当然のことながら非常に重要でありますので、消費生活の基礎あるいは金融トラブルの防止に関する知識の習得、こういったところも金融経済教育を推進する中で、含めて広くやっていくといったことを肝に銘じてしっかりやっていきたいと考えております。
私からの説明は以上になります。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、続きまして、文部科学省の安里課長、お願いします。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 文部科学省でございます。
資料に基づいて御説明させていただきます。
1枚おめくりいただきまして、2ページ目でございます。
文部科学省では、消費者教育の推進ということで、学校分野、小・中・高、そして大学、それから社会教育の分野での取組を推進してございます。
小学校・中学校・高等学校については、先ほど消費者庁からの御説明にもあったように、直近の学習指導要領の改訂で消費者教育関係の充実を図ってございます。例えば成年年齢の引下げもありましたので、高校のところを見ていただきますと、家庭科の中に新たに契約の重要性や消費者保護の仕組みに関する内容を盛り込んでおりまして、また、公民科の中の公共が新しい必修科目になってございますが、そこの中で多様な契約及び消費者の権利と責任に関わる課題を基にして、主題を解決する学習を行おうというようなことを盛り込んでございまして、そうした内容を原則として高校に入学して1~2年目の間に履修させるというスケジュールになっておりまして、高校生が18歳の成人になる前までにしっかり必要なことを学ぼうという仕組みを持っております。
また、学習に際しては、消費者庁が作成された「社会への扉」という教材の周知、あと文科省でそれを指導するヒントなどをまとめた指導用の啓発資料を作っておりまして、そうしたことを周知しながら、しっかり各現場で取り組んでいただきたいと後押しをしているところでございます。
大学につきましては、学生に対する消費者教育の実施について、大学は自治がありますので必ずこれをしろというようなことはできないのですが、そうした授業科目の開設について呼びかけをしたりしているところでございます。また、大学生自身、消費活動が活発になってくる時期だと思いますので、様々な消費者トラブル事例等について各大学に通知を行って、学生にしっかり伝わるように対応をお願いしていたりしております。また、そうした取組の状況を定期的に確認して、先進事例の普及啓発を行っております。
また、生涯学習・社会教育の分野ですが、連携・協働によってしっかり推進することが重要だと思っておりまして、そうしたことの調査・研究の実施や、消費者教育のアドバイザーを派遣するという事業などを実施しております。こちらについては後の資料でも少し御説明いたします。
1枚おめくりいただきまして、次の3ページ目でございます。
今申し上げたように学校、大学でいろいろ教えようという話をしておりますが、当然教える人を養成することも重要でございます。これから教師になっていく人たちについてもしっかり学んでいただきたいということで、教員養成課程を置く大学への働きかけを行っております。消費者教育の推進に関する充実を図っていただきたいというような通知を行っておりまして、例えば鳴門教育大学の事例を入れておりますが、鳴門教育大学では小・中・高全ての課程で消費者教育に関連した授業科目を開講していただいているところでございます。
それから、既に教職員になっていらっしゃる方についても、しっかりキャッチアップして学んでいただく必要がございますので、教員の研修については独立行政法人教職員支援機構において実施しているところでございますが、そちらのほうで「社会への扉」の活用方法や求められる内容、効果的な進め方などを、研修動画を作成して、ウェブサイトで公開して積極的な活用を促しているところでございます。
続いて、4ページ目をお願いいたします。
大学における取組でございますが、先ほどもざっと概要を申し上げましたけれども、文科省としては、大学における消費者教育の指針をつくっておりまして、そちらを基に大学への働きかけなどを行っております。例えば入学時のガイダンスで啓発することが重要だと思っておりますので、毎年度、次年度に向けてこういったリーフレットを配ってほしいというような働きかけを行っておりまして、令和3年度の調査では95.3パーセントの大学で、消費者問題について学生に対して啓発・情報提供を行っているところでございます。
それから、学生自ら消費者教育を学ぶ取組をするということもございますので、そうした実践例の収集・情報発信も行っております。
大学も学校もそうですが、担当の方がどんどん替わっていく世界でございますので、定期的にこうしたことを必ず思い出していただけるように、各種会議で周知啓発を行ってございます。
続いて、5ページ目をお願いいたします。
消費者教育の推進は文科省の関係者だけではやり切れませんし、消費者庁や金融庁、J-FLECの方々との連携なども重要だと思っており、これまでもいろいろな方々と連携して取組を推進するのが効果的な事業を行う肝だろうということで、例えばモデル構築の事業などを行ってございます。
令和5年度の実施例を持ってきておりますが、3つのパターンでモデルの構築を図っておりまして、一番左は消費者行政、教育委員会、地域が連携した事例ということで、近江八幡市において長らく活動していただいておりますが、そちらを取り上げて、どういう要素が必要なのかということを明らかにする取組を行っております。
真ん中は大学と地域でございますが、奈良女子大の学生さんが教育コンテンツの作成をして、実際に啓発講座の企画をしていただいて、大学生と市民が相互に学び合うというモデルをつくってございます。
一番右は企業と銀行と大学の掛け合わせということで、神戸を拠点とする教育事業者との連携をしているモデルでございます。
6ページ目に進んでいただきまして、こうした取組事例も含めて、関係者で共有すること、そこでまた連携して、つながっていくことが重要だと思っておりまして、平成22年度より消費者教育フェスタという形で、関係者が集まって最新トピックについて意見を交換したり、情報を共有したりする取組も進めてございます。
最後、7ページ目をお願いいたします。
このような形で、消費者教育については例えば外部講師を使ったほうがいいとか、消費者庁やJ-FLECも含めていろいろな連携先があるというのを定期的に現場に届けることに取り組んでいるところでございますが、併せていざ何かをやってみようと思っても何をしたらいいか分からないという方がいらっしゃると思いますので、そうした自治体に向けては消費者教育アドバイザーを派遣するという事業も行っているところでございます。
文部科学省からは以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
以上で皆様からの御説明、御発表が終了しました。
これより、全体を通じた質疑応答、意見交換を行いたいと思います。時間は先ほど申しましたように1時間弱ということでよろしくお願いします。いかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 御説明をいただきましてありがとうございました。
時間も限られておりますので、まず私からは金融経済教育についてお尋ねをいたします。
まず、金融庁の桑田室長にお尋ねをいたしますけれども、機構における金融経済教育の定義のようなものを改めて確認をさせてください。頂いた資料の6ページにミッションやビジョンについて書いておられますけれども、金融経済教育という言葉が機構名にもついておりますので確認をさせていただく次第です。
次に、金融庁に加えまして消費者庁の山地課長と文科省の安里課長にお尋ねをしたいと思いますけれども、金融経済教育と消費者教育との関係性です。それぞれどのように整理をされているかというようなことをこの機会に確認をしたいと思います。J-FLECさんに頂きました17ページ、一番最後ですけれども、安定的な資産形成の支援に関する基本方針の閣議決定の御説明がありました。そちらに関係すると思いますが、そこにも金融リテラシーの向上における消費者教育との連携と書かれておりますので質問をさせていただきました。
どうぞよろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 それでは順に、まずは金融庁の桑田室長、お願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 金融経済教育について何を学ぶかというのは、関係団体あるいは政府が集った金融経済教育推進会議というのが10年ほど前にできておりまして、そこで年齢層別に学ぶべきことをマッピングした金融リテラシーマップというものが存在しております。その中の項目の分け方なのですけれども、家計管理、生活設計、あるいは商品の金融サービス、それから外部知見の活用の重要性とか、そういった項目を各小学生・中学生・高校生と分けて整理したものがあるのですが、まずは家計管理ということで収入・支出をしっかり自分で把握して、その後、ライフシミュレーション、ライフプランに応じて自分としてどういったお金を使っていくのかということを学び、そういったときに今後世の中にある金融サービスとか金融商品のことを理解しないと適切に使えませんので、そういった中では金融トラブルが最近これだけ話題になっていて、こういうスキームでだまされている被害事案とかがありますよということも知りつつ、お金と向き合っていく、そういったかなり幅広いところが金融経済教育と考えております。
○鹿野委員長 それでは、続きまして、連携等について、消費者庁の山地課長、お願いします。
○消費者庁消費者教育推進課山地課長 御質問ありがとうございます。
連携について、そしてまた関係性についてというお尋ねであったかと存じますけれども、連携につきましては、まさにこの基本方針策定に当たりましても金融庁と御相談しながらここの部分について策定したり、スキームの構築等についても御相談したり、また、まさに関係性の部分でございますけれども、金融庁の資料の17ページ、基本方針の中で、「このため」のパラグラフにございますとおり、金融や経済についての知識に加え、家計管理や長期的な生活設計を行う習慣・能力、そして特に消費生活の基礎や金融トラブルから身を守るための知識の習得、こういった部分については当然金融庁等で御発表になっていらっしゃる情報もあるとは思うのですけれども、我々の消費生活センターで把握したトラブルに基づく身を守るための知識でございますとか消費生活の基礎、また、こういった部分がしっかり行われるようにということで、例えばアドバイザー向けの研修の内容につきましても連携が進んでいるところでございます。引き続きこういった部分についてしっかり定義しながら現場で行われるようにということを図っていきたいと考えてございます。
○鹿野委員長 それでは、文科省の安里課長、お願いします。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 御質問ありがとうございます。
連携については、学校現場にいろいろなすばらしい取組がありますので、我々文科省は連携したものを届けるのが仕事の重要な柱の一つとなっておりまして、いただいたものを学校現場の先生方に、授業でこう使えるのですよとかいうことも含めながら伝えていくというのを心がけているところでございます。
金融経済教育と消費者教育の位置付け、そう御質問いただいたかと思いますが、我々の理解としては、消費者教育は、例えば今、金融はお金そのものに向きますけれども、当然お金を介して例えばエシカル消費ですとか、社会とどうつながっていくかということを理解するというような側面もあると思っておりまして、消費という切り口で社会を学ぶという大きなものの中で、金融に特化した部分もあると感じております。
学校の中では、皆様御承知のように学習指導要領という形で、学校ではこういうことを教えましょうというのがまとまっておりますので、学習指導要領とそれに合わせた教科書を先生方は見ながら、例えば今回はせっかくJ-FLECがいいものを作っているから、コラボして講師に来ていただこうという組立てをしたり、例えば消費者庁が作ったVRゴーグルがありますが、それがうちの生徒たちには響くのではないかと思えば、そういうところと連携をするというような形の整理になっているかと思っております。
○鹿野委員長 小野委員、何かございますか。
○小野委員 どうもありがとうございました。大変よく分かりました。
まず、金融経済教育と消費者教育それぞれ、例えば金融経済教育だとリテラシーマップというのがあって、それはもう以前から検討されているもの。一方で、消費者庁では、消費者教育体系イメージマップがございますね。その辺りをうまく整理いただけますと、例えば学校現場の先生が学校内でどうして金融経済教育をやるのかといったときの説明にもなりますのでいいのかなと思いまして質問をさせていただきました。
それから、安里課長には、消費生活というところから、それを切り口に社会を学ぶということで言うと、例えば金融経済をきっかけにして社会を学ぶということにもなるのかなと思うのですが、いずれにしても金融経済教育ということですので、教育というところではぜひ連携をさらに強めていただきたいなということがありまして先ほど質問させていただきましたし、御説明も確かに承知をいたしました。
一方で、もう一つさらに確認をさせてもらいたいところがありまして、金融庁の桑田室長に重ねての質問になって恐縮なのですけれども、例えば先ほどの17ページのところにまた戻りますが、「金融経済教育を推進するに当たっては、国民一人ひとりが経済的に自立し、より良い暮らしを実現していくとともに、健全で質の高い金融商品や家計金融資産の有効活用により、公正で持続可能な社会の実現に貢献する観点から、金融リテラシーの向上を図ることが重要である」と改めて今、読ませていただきました。
金融商品といっても、投資信託、株式、債券だけではなくて保険も含まれると思うのですけれども、例えば御説明資料の1ページの下に民間団体の御説明がありましたが、全銀協、日証協、投信協等とありまして、口頭でも少し説明がありましたが、生命保険や損害保険の団体の方も長く消費者教育にも力を入れておられると思います。そういった団体も含まれているのか確認をさせてもらいたいと思います。
個人的には、学校で教えるときに、民間による私的保険の場合に、やはり日本では皆年金・皆保険、せっかくそういった環境が整っていますので、社会保険の理解とか活用とかいったところが優先されると、厚生労働省のマターになるかと思いますが、その上で不足する部分を民間保険で賄って、それでも余裕があるのであったら、その資金で投資をしようという流れになるのではないかという考えがありまして、幾つか重ねての質問になって恐縮です。繰り返しになりますが、民間団体の構成について確認をさせてください。
○鹿野委員長 では、桑田室長、お願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 御質問ありがとうございます。
J-FLECの成り立ちといたしまして、今回、長年やってきた教育活動をやめて合流するという団体は、日銀、日証協、全銀協、資産運用会社の集まりですけれども投信協になります。生保業界、損保業界は協会として教育活動をやっておられていて、彼ら自体は引き続き教育活動はするのですけれども、実はこのJ-FLECの組織の運営に関しましては、政府としても多少の資金を提供することになっているのですが、9割以上は民間団体でありまして、そのうち日証協、全銀協といったところ以外の生損保も含めて拠出いただいているところになります。それから、70名、各団体からの出向者でと申し上げましたけれども、もちろんそんなに多くはないのですけれども、こちらも生損保からも出していただいているということであります。各業界・協会さんからも強いサポートをいただいていて、官民一体で国を挙げてやるといったことに御賛同いただいていると考えております。
それから、そういった形だけではなくて教育内容という観点なのですけれども、まさに先ほど申し上げたリテラシーマップのところには、お金に関する切り口は幾つもあって、使う、貯める、増やす、備える、借りるというところもありまして、その備えるという文脈のところで保険、これは民間保険を含めまして教育の中にしっかり入れるということになっております。もちろんその大前提といたしましては、社会保険というものがこういった制度があってと、教える対象の年齢層別によって難しさとか、簡単に説明したりとかは変えますけれども、そういったところも含めて伝えた上で保険のことも教えます。
ただ、保険というものを考えた上で資産形成という順番になるのかどうかは、人それぞれいろいろな考え方とかライフプランとかがありますので、一概には言えないとは思うのですが、ただ、お金の向き合い方の切り口としてはそれぞれありますので、それはしっかりちゃんとお伝えするということが前提だと考えております。
以上です。
○鹿野委員長 小野委員、何かございますか。
○小野委員 やはり教育ということですので、その辺りはまだこれからというところもあると思いますが、個人的に大変気になるところです。というのは、例えば8ページに「「J-FLECはじめてのマネープラン」割引クーポン配布事業」と書いてあります。私、大変違和感を覚えていまして、教育というところでこういったマネープラン、個別相談、そして今ならという感じで、期間を限定するとか割引といったものを提示するという方法についてはどうなのかなと。これは私の意見です。
私ばかりで恐縮なので最後にさせていただきたいと思いますけれども、これはどなたにというわけではないのですが、教育ということで言うと、効果測定がやはり求められると思います。私自身も消費者教育を専門にしていて、なかなか効果測定ができない、対象の方をどのようにして捉えていくかという部分が課題なのですけれども、金融経済教育をそれぞれの団体あるいは行政機関で連携をしてやっていくということで言うと、この辺り、もし今お考えがあればお聞かせいただきたいですし、もう既に何かありましたらお伝えいただけたらと思います。
以上にします。
○鹿野委員長 繰り返し恐縮ですが、桑田室長、お願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 御質問ありがとうございます。
コメントですとおっしゃっていただいたアドバイスの件についてですが、教育と聞きますと、先生がいて、受講される方がいて、そんな場面を想像しますけれども、それが学校現場であれ、企業の研修であれ、いろいろな場でこういった基本的な知識とかを身につけていただく、それは非常に重要な出発点だと思っています。ただ、お金の付き合い方は本当に人それぞれですので、そういう授業とかを受けると、結局私は何をしたらいいのだろうといった疑問につながることが非常に多い。そういったときには、1対1で相談するということが中期的にその人のお金の付き合い方を考えると非常に重要でありまして、先ほど申し上げた金融リテラシーマップの一つの重要な項目にも外部知見の活用、一人で抱えないで相談しましょうということが盛り込まれているとおり、相談する、アドバイスを受けるということが重要なわけです。ただ、お金のことを人に相談するという慣習、土壌、プラクティスが今この日本においてどこまであるのだろうかというところは一つ課題認識として持っておりまして、J-FLECとしては無料の個別相談、お試しというような形で1時間枠を取って1対1で相談に応じますよといったことをまず始めたいと思っております。
ただ、お金のことを考えると、その人その人の状況に応じた、例えばあなたの年代でそういうリスク選好度だと理想的なポートフォリオはこういうことかもしれませんねというようなことまで踏み込んで話をすると、さすがに1時間の無料体験ではなかなかさばき切れなくて、世の中いろいろなFPさんとかが有料のサービスとして相談している、こういう実態がありますので、そういったところに行くということが重要になってくるわけです。
繰り返しですけれども、日本人には、さらにお金を払ってまでこういったアドバイスを受けるという慣習が本当にないので、そこを割引クーポンというのは、誰かがちょっとボタンを押すというか、背中を押さないと、なかなかアドバイスの良さの気づきもなく広まりもしませんので、そういった有料の相談サービスの手数料を一部補助する。ただ、答える側はJ-FLECが認定した認定アドバイザーに限定しますよといった枠組みでやっていきたいと思っていまして、1対マスで授業を受けて気づきを得て、J-FLECの無料体験で少し理解を深めてアドバイスの意義とか価値に気づき、さらに深めるために外の有料のサービス、安く補助を受けてやってみる。ホップ・ステップ・ジャンプという形で、その人その人の金融リテラシーを高めていただくことが重要ではないか。金融リテラシーというのは、単に知識を得ることだけではなくて、自分の知識を前提として判断できないといけない、考えないといけない、そういうことができないと金融トラブルに引っかかりやすいといったことも考えられますので、そういったことを先ほど申し上げた3段階でリテラシーを上げるためにJ-FLECとして支援することができたらなと思っております。
それから、効果測定なのですけれども、まずJ-FLECは法律上の組織でありますので、これまでもいろいろな有識者の先生方から効果測定は非常に重要だということで、まずアウトプットの指標として、これまで関係団体は年間5,000回、30万人に対して授業を行ってきたというような実績がありますので、これをJ-FLECでは倍の1万回、受講者数は2.5倍の75万人を目指しますというアウトプットの指標を設定しております。
これだけやりましたということだけでは全く意味がなくて、より重要なのは、その結果、金融リテラシーがどう上がったのかというアウトカムの世界でありますので、アウトカムとして2つの目標を設定しています。知識面と意識・行動変容面です。
知識面としては、基本的な金融リテラシーのことを推しはかるのに、複利は分かっていますかとか、分散投資の重要性は分かっていますかとか、そういったことがよく取り上げられるのですけれども、そういったことを授業した成果として、知識として身についているかどうかをその後の確認テストといったものでチェックする、正答率を上げるというアウトカムの指標が一つ。
それから、その後の意識・行動変容というのは、先ほど御質問いただきましたけれども、外部の方にアドバイス、相談を受けている人の割合といいますか、そういったところの向上を図る、そういったことの効果測定も見ながら、PDCAを回してJ-FLECのパフォーマンスを上げていく、そういったことをしていきたいなと考えております。
○鹿野委員長 よろしいですか。
ほかにいかがでしょうか。
中田委員、その次に柿沼委員ということでお願いします。
○中田委員 ありがとうございます。
小野委員の御質問と関係してくるのですけれども、私はJ-FLECが4月に設立されて、8月からもう早々に活動が始まるということには期待をしております。
その上で、認定アドバイザーの条件として、金融商品の販売等に携わっていない方、金融機関に所属していない中立的な方とされたことは、消費者にとっては、一定の金融商品を売りつけられるような心配がなくなり、安心材料となり得ると思いますが、一方で、アドバイザーの認定要件とされた資格を持った方々、それぞれの専門領域については専門知識をお持ちであると思いますが、一口に金融と言ってもカバー範囲がとても広く深いので、実際に販売を行っていない方々が最新の金融知識を満遍なく持ち合わせていらっしゃるのか、アドバイザーの方々の知識レベルの担保、教育はどのように行っていくのかが気になります。
その上で、金融最前線のファイナンシャル・インクルージョンの理念を掲げている民間企業、あるいは生保協会のような協会の協力は今後どれほど仰いでいく予定であるのかと。また、アドバイザーの方々の情報提供の質の担保と今後の情報の更新についてどのように考えていらっしゃるのか、計画があれば教えていただきたいという点が1点です。
2点目が、学校教育における消費者教育については、文科省と消費者庁、必要に応じて地域や学校、企業と連携を密に活動されているという御説明が伺えたのですが、今既に社会人で消費者教育を受けていない方々の教育も急務であるという山地課長の御認識に私はすごく同意いたします。金融庁、消費者庁、文科省それぞれが消費者教育の計画を立てて推進されていますが、忙しい社会人の教育を受ける人の立場からすると、時間の確保を含め、全て連携されて受講できることが望ましく、また、教育を行う側のリソースの効率化も図れると思われるのですが、その辺りの社会人の消費者教育の横の連携はどのように図られる御予定でありますでしょうか。
この2点、伺わせていただければと思います。
○鹿野委員長 1点目については金融庁からお願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 ありがとうございます。
教育の質の担保は非常に重要な課題でありまして、まさにおっしゃっていただいているとおり、J-FLECの認定アドバイザーの方は、先ほど申し上げた金融リテラシーマップの全てのプロというわけではない方も多くいらっしゃる。CFP、FPさんは比較的幅広いのですけれども、弁護士さんとか消費生活相談員の方とかが、金融商品、資産形成、長期積立分散投資とはみたいなことまで含めて精通されているかというとなかなか厳しいところもあるのですけれども、今回、各団体が集約統合してJ-FLECができて、法律上、金融庁の監督の下で教育を行っていくというところの一つの成果としては、金融リテラシーマップにのっとって広く教育ができるように、講師の質を担保しなければいけない。ですので、J-FLECの認定アドバイザーとかは毎年毎年の更新制なのですけれども、研修は必須としていて、それもこれまで自分の得意分野を全国で教育されていたという実態はあるのです。そうするとなかなかそうではない分野の教育が広がらないというところですので、もちろん専門分野ではないところを研修でほかのプロのように得ていくのは難しいとは思うのですが、だからといってやらないというわけにもいきませんので、金融リテラシーマップにのっとったCFPレベルの研修材料をJ-FLECとして提供して、ちゃんと受けてもらって、最後、テストで確認してもらって、そういうことをしないと次の年は更新しませんよと。
あるいは、こういう制度物とか、金融トラブルの事例などは日々更新が必要なものもありますので、そういったところもケアして、最新のものを研修の中に加えるとか、そういったところはJ-FLECとして全国の講師の方向けに行う予定です。
○中田委員 ありがとうございます。御指摘の点、本当に共感いたします。
その上で、それだけの研修制度、検証制度を整えるということなのですが、8月にはもう始まるということで、現時点で講師の候補となる方は何名ぐらいいらっしゃるのでしょうか。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 この組織、日銀とか日証協、全銀協を集約・統合するということを申し上げているのですけれども、日銀にもともと金融広報アドバイザーという講師を担っておられる方がいらっしゃって、日証協は金融・証券インストラクターというような方がいらっしゃって、両方やっている方もいらっしゃるので、これを名寄せすると現状、全国に680人ぐらいいらっしゃるのです。都市部と地方で人数に差があって問題だよねというようなことはよく言われるのですけれども、680人いらっしゃいます。
今回、J-FLECになるに当たってJ-FLECの講師に移行していただくため、J-FLECとしてもう一度書類を出してもらうなど、必要な手続は先行して既存の方向けにはやっているところで、高齢でもともと稼働していなかったという方もいらっしゃいますので、全員が全員ではないのですけれども、ほぼ皆さん移行するという状況になっています。
加えて、これだけ世の中で話題にしていただきますと、今まで日銀とか日証協に関与していなかったFPさんとか、地方も含めて多数いらっしゃる方が非常に大きく関心を持っていただいておりまして、事前の説明会とかでもすぐ1,000人以上が集まって、話を聞きたいと。金融機関を兼業しているなど、全員が有資格者というわけではないのですけれども、非常に関心が高いので、今、600人ぐらいと申し上げましたけれども、これは普通にすぐ1,000人は超えて、都道府県で事前のサウンディングの結果とかを見ると、地方の先生の人数も今までより増える結果に必然的になるところも見えているので、地方の教育の確保にもつながる良い傾向が今のところ見られているなと思っています。
ただ、新規の先生方のJ-FLECへの申請は8月からスタートすることになっています。今は既存の先生方でして、8月以降、多数申請をお寄せいただいて、我々として審査プロセスを進める予定です。その結果次第で最終的にどうなるか分かりませんが、今のところ非常に良い傾向が出ているかなと思っています。
○中田委員 そうすると、当初は民間企業の協力を仰ぐということはあまり想定されていないということですね。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 そうですね。やはり中立公正な形で、法律に基づいてという形でやるのが肝であります。ただ、明確に申し上げたいのですけれども、金融機関の方がいろいろなところで金融経済教育をやっておられるのは、それはそれでいいのです。彼らも専門的な知識に基づいて広くやっておられていて、学校現場に対してもすごく真摯にやられておりますので、これはまさに役割分担の話でありまして、金融機関、地元の地銀さんとかが、地元の学校に行って教育されている。それはよくて、ただ、残念ながら、金融機関がということなのか、個別の企業がということなのかは分かりませんが、そういう方に来ていただくわけにはいかないのですという受け手の方もいらっしゃって、そういったところに集中させていただくのがまさにJ-FLECの役割ということです。教育を受けた人が7パーセントしかいないというのは、全然教育が行き届いていないという現状がありますので、ここを役割分担して広めていく、そういった形でやっていきたいと思います。
○中田委員 ありがとうございます。とてもよく理解できました。
○鹿野委員長 それでは、中田委員の2番目の特に社会人等に対する教育の横の連携ということについては、消費者庁からお話しいただいてよろしいですか。お願いします。
○消費者庁消費者教育推進課山地課長 ありがとうございます。
御質問いただいて、あっとなったところでございますけれども、文科省や、学校現場との連携という部分では、よくあるのが自治体の中では大学生がより若い高校生とか小学生に教えるみたいな取組があって、本当に良い取組だなと思って拝見しており、促進したいと思っているところなのですけれども、そもそも社会人へのアプローチが難しいというところで、消費者教育推進会議の中にPTAの方が入っていらして、我々がこういう取組をやっていますよということを申し上げたら、先日の同会議でも、ぜひPTAとしても広げることを検討したいということを言ってくださったので、そういったルートでございますとか、あと、お子さんが親御さんとか祖父母さんにアプローチするみたいなこともあるのかなみたいなことを庁内では話しているところでございまして、文科省と連携できているわけではないのですけれども、そういった形で御活用できる何かというような形もあるのかなということで、今いろいろ検討しているところでございます。
○中田委員 期待しております。ありがとうございます。
○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 まず、金融庁さんに2点お伺いします。
まず、金融教育の中に、投資に失敗した場合など、多重債務とか債務整理に陥ってしまうというようなことも当然考えられるわけですけれども、投資をやめるポイントとか、また投資をうたう詐欺的なトラブルの見極め方とか、そのようなものについて、そのような立場の方が機構のステークホルダーの中には少し見受けられなかったなというところが私としては危惧しております。そこについて教えてください。
それから、マネープランの割引クーポンなのですけれども、3,000名という記載がありますが、この数の根拠というのはどういったことなのかということ。それから、いつまでこのクーポンを利用できて、どのように配布し、どのように周知していくのかというのが、現時点でもし分かれば教えていただきたいと思います。
それから、消費者庁さんにおかれましては、ここ数年で学生向けとか若年成年向けの教材が多く作成されております。学生向けとなっていても、高齢者などでも活用できる幅広い教材になっており、そちらについては御礼申し上げたいと思います。
コロナが緩和されたことにより、消費者教育の講座を希望される方も大分多くなってきたと見受けられます。今期の推進会議においても、地域における体系的な消費者教育推進のためのさらなる体制整備を行うということで、こちらについては大いに議論を深めていただきたいと思っております。
ただ、現行の考えとしては、集合教育前提になっています。脆弱な消費者にはなかなかそれでは届かないと思います。また、中田委員からも出ておりましたが、忙しい社会人は消費者教育の機会を得ることが難しいと思いますので、そのような方々にも届くような検討を何かされているのかということがあれば教えていただきたいと思います。
また、消費者教育については、いろいろなカテゴリーがあると思うのですけれども、どのような方がどのようなカテゴリーを受講しているのか。受講人数につき、数値的な資料があれば教えていただきたいと思います。
消費者教育を一度受けていただくと、リピーターという形で何度も講座依頼が来ます。しかし、それ以外の方は消費者教育とはどんなことを行っているのか分からないと、なかなか受講してみようかなという気持ちにはならないと思います。受講者の拡大についてももしも何かお考えがあれば教えていただきたいと思います。
最後に、これは文科省さん、消費者庁さん、どちらなのか分かりませんが、令和6年5月13日の事務連絡で、消費者教育アドバイザー派遣事業と消費者教育コーディネーターの窓口についてという文書が出ています。消費者教育コーディネーターとアドバイザーの違いがなかなかぴんとこないというところがあるのと、あと、例えば消費者教育コーディネーターとアドバイザーを行っている方が、どちらも同じ方が多く存在しているというところがあると思いますので、その辺りについてどういう整理がされているのか教えていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、まず金融庁からお願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 最初の多重債務トラブル、そういった見極め方とかというところですけれども、教育内容といたしまして、多重債務ということであれば、もちろんなってしまったときの相談先を紹介するというのがまずあるのですが、そもそも家計管理において収入・支出をしっかり管理するというところが多重債務にならない出発点であったりもしますので、全部ひっくるめてそういったところにつながるのかなと思いますが、その他様々なトラブルは、若干いたちごっこなのかもしれませんが、最近こういう事例があって気をつけなければいけないという警鐘を鳴らすことを広くやっていかないと防止には伝わらないと思いますので、最初は何パーセントで配当、もうかるよといって本当にお金をもらえるのだけれども、そのうちもらえなくなって、今度は友人とかを紹介してくれたらその手数料を払いますよということでどんどん泥沼にはまっていくというようなスキームがあるということを知っている、知っていないでまた引っかかりやすさも変わってきますので、そういったところの事例を教育の内容としてしっかり含めていくということだと思います。
そういう意味で、ステークホルダーとしては、そもそもJ-FLECは金融庁所管の認可法人でありますので、金融庁も詐欺被害というところの未然防止とか相談対応といったところをやっている役所でありますし、消費者庁さんとの連携という意味では、そういったところから入ってくる情報を教えていただいて、それをアップデートして伝えていくということ。官民一体でやっていますので、そういう意味でのステークホルダーはしっかりいると今、考えております。
2つ目のマネープラン割引クーポン配布事業の3,000人の話なのですけれども、お金を払ってアドバイスを受けるということの意義とか価値をまず広めていくための呼び水として、国としてというか認可法人としてやるというような話でありますので、いつまでやるのですかというと、そういった文化が醸成されてくるまでという回答にはなるのですけれども、残念ながら予算制約が当然ありますので、我々、公表資料にもまずは3,000人といった形で、これがどれだけ広まっていくのかというところを見極めながら、やっていくボリュームとか、あるいはやり方、やめどき、そういったところを検討していくのかなと思っております。
周知の仕方という意味では、8月からJ-FLECのホームページが、今、仮のものができて公開されているのですけれども、それがフルオープンといった形になりまして、割引クーポンの申込みページも秋以降始まるわけなのですけれども、そこに個人がアクセスして、QRコードかなんかで電子的に取得して、自分の相談を受けたいJ-FLEC認定アドバイザーが外に、いろいろなところにいらっしゃるので、そこに行って相談を受ける、そんな流れになるということです。クーポンがあったら本来払うべきお金の2割でいいよというような流れになっております。
○鹿野委員長 それでは、社会人にも届くようになどのことについて、これは消費者庁でよろしいですか。文科省、お願いします。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 令和6年5月13日の通知の件だと思います。御質問ありがとうございます。
まさに消費者庁と文科省でいろいろ一緒に頑張っているのですが、似たような事業がいろいろあるという中で、我々自身も混乱しがちなネーミングになっているところもありまして、昨年から自治体向けに、これはこういう事業で、これはこういう事業で、両方こういう特性があるのでそれぞれ御活用くださいという事務連絡を出しております。
御紹介しますと、まず文部科学省がやっています消費者教育アドバイザーのほうは、アドバイザーの方をホームページでも御紹介はしているのですが、本当に全国的な有識者の方を各地域に派遣をして、その地域で消費者教育をどう組み立てていくか考えたいときのアドバイスをするというような位置づけの方です。どういう御活用をされたいかは自治体の御要望に応じていまして、例えば消費者教育を盛り上げるために講演会をしたいから講演をお願いするという方もいらっしゃるでしょうし、実際基本計画とかをつくるためにどういうことをしたほうがいいのだろうということを相談しながらやりたいということもあると思います。
もう一方の消費者庁のほうでまとめていただいている消費者教育コーディネーターは、まさに今日の御発表でも全都道府県に配置できましたというようなお話があったかと思うのですが、その地域で実際に消費者教育を進めていくために、誰と誰をコーディネートし、連携したらいいのかというときに核になる人という位置づけになっておりまして、かいつまんで言いましたが、そういう内容についてもう少し丁寧な通知を出しまして周知を図っているところでございます。
実はこうした通知の中に、例えば先ほどのVRのものとかを入れており、J-FLECの関係では別通知で出していますが、学校現場からすると、あちこちであるいいものがうまく届かないというところがあると思っていますので、整理をして伝えておりまして、先ほどちょっと話題になりました社会人向けの連携という意味でいけば、文科省の社会人向けパートというと、例えば公民館とか図書館などの社会教育部門があるのですが、その社会教育部門にもこの通知が届くようにしておりますので、各地域でうまく資源を活用しながら連携していただけるように、我々としては情報を届けているというところでございます。
○鹿野委員長 柿沼委員、何かございますか。
○柿沼委員 あともう一点、消費者庁さんのほうに。
○鹿野委員長 それでは、消費者庁からお願いします。
○消費者庁消費者教育推進課山地課長 御質問ありがとうございます。
すみません。きちんと質問の趣旨が分かっていないかもしれないのですけれども、今、集合教育が前提になっていて、なかなか脆弱な消費者でそういったところに出て来られない方々にどうアプローチしていくか、また、忙しい社会人になかなかアプローチできないというところをどうしていくか、そして、今、受講している方、していない方という属性がもし分析できたら、それも踏まえたアプローチということの御趣旨かと認識してございます。
我々も、例えば先ほど御紹介しましたVR教材等を作成する際に、どのように届けたらいいのだろうかというような議論もございまして、自学で見ていただけるようなものを用意したらいいのではないかということをそのときは議論いたしまして、特設サイトを設けて、スマホでもしっかり学習できるようなものということで、実はVR動画も消費者庁ユーチューブに掲載してございまして、スマホで御覧いただくと、180度動かしたら見られるのです。だから、VRゴーグルがなくても、例えば偽装サークルといった団体に行って、ぐいっと申し込まれるところとかも見られるので、VRゴーグルを実は我々のほうで50機用意して貸出しとかを始めているところではあるのですけれども、なかなか届かないところでもそういった形で活用いただけないかなということを御案内しているところでございます。
とはいえ、ここに来て見ようねという時間がないとなかなか見ないなというところも一方であるところでございますので、来ていただいた方にはしっかり解説を含めて見ていただく。そうではない方にも、昨年度末に出来上がって、SNSでいろいろ周知したりもしたのですけれども、そういうものがあるねとチラシで万単位で御覧いただけても、動画まで行き着いてくださる方は難しいなというのを思っているところでございます。
ただ、一方で、先ほど申し上げたとおりVRゴーグルというのがちょっと面白いなということで、いろいろなイベントで、全然触れたことがない方でも手に取って御覧いただけたらいいなと。イベントに出てこない方をどうするか問題はあるのですけれども、そういった形でアプローチするのかなと考えてございます。
また、忙しい社会人、今までおうちにいらした主婦の方とかは、例えば消費者大学講座等のような講座のために、地域に来ていただく。そういう方が、共働きが増えたことにより減っていっているというような問題もあって、社会人で来てくださる方は引き続き地域の講座へ来てくださっているとは思うのですけれども、先ほどおっしゃったとおり働いている方々へのアプローチが必要ということで、お手元の我々の資料の11ページで、従業員向け教育プログラムをコーディネーターにこういう風にアプローチしたらいいのではないかということで、右上の格子状の部分、すごく小さい字で恐縮なのですけれども、こういった企業にアプローチしたらいいのではないかということで、消費者志向自主宣言を行っているところでございますとか、実際、効果・効能をうたうようなサービスをやっているようなところに響くのではないかとか、人的資本経営をやっているところ、またSDGsビジネスやエシカル分野について、若いうち、また中堅になっても学習していくことがいいのではないかというようなアプローチとか、実際、一定の事業者さんで既に地域でアプローチして事業を展開しているようなところもありまして、事業者さんの事業主の姿勢に負っているところが多かったのですけれども、そういうところを一生懸命深掘りしてアプローチするということも先ほど御説明いただきましたコーディネーターの仕事だよということをお伝えして、そういったことで社会人へのアプローチも進めていければいいなと考えているところでございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 柿沼委員、よろしいですか。
それでは、続きまして、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 どうもありがとうございました。
質問なのですが、まず消費者庁さんに、私のほうからは高齢者向けの消費者教育について伺いたいと思います。いろいろデジタルを使った教材をつくっていらっしゃるということで、非常に興味深いと思いましたし、私は実は母が近くに独りで住んでいまして、母が例えば何か電話がかかってきて勧誘されたりしないだろうかと日々気にして生きていますので、教えてあげたいと思ったのですが、こういう風に家族が教えてあげるということもあり得るのでしょうけれども、例えばスライドでも、地方消費者行政に関する先進的モデル事業においてと書かれていますので、例えばこれを各地方公共団体の広報紙に載せるとか、何か地方と連携した取組はもう既にやっていらっしゃるのか、あるいは何かお考えがあるかを伺いたいと思います。
といいますのは、私は前、ある政令指定都市で消費者教育の在り方等を審議会の中で検討させていただく機会がありましたが、高齢者の方は情報源として若者と違うところがあって、一つは市とか区の広報を非常によく読んでくださる方が多いということをその当時も話を聞いたことがありまして、もちろん何かセミナー、講演会等々に積極的に出て来てくださる高齢者ばかりではないと思いますので、市の広報等を使った、紙ベースの広報のことですけれども、何かそういう連携は考えていらっしゃるか、あるいは私が知らないだけで既にやっていらっしゃればぜひ教えていただきたいというのが消費者庁さんへの質問です。
次に、文部科学省さんへの質問なのですけれども、学校教育、とりわけ高校教育との関係で伺いたいと思います。文科省さんからのスライドの2ページにありますように、今、高校で公民科で公共というのが入っております。実は私、公共は若干教科書に関わっておりますので、この部分、非常に苦労しながら執筆したり、いろいろ教材を作ったという経験があります。多様な契約及び消費者の権利と責任というところで、もちろん消費者教育というのは法律の観点だけではなく、経済学とか様々な観点が必要なのですが、とはいえ契約というのが、契約成立したら当事者がどういう義務を負うかは法的な観点に触れないわけにいかないということで、法律を勉強したことがない高校生向けにどういう風に伝えるべきか非常に苦労した記憶があります。
そこで、文部科学省様におかれまして、例えば法務省では法教育等々が行われていると思うのですが、そもそも法律の考え方等々を公民科の中で伝えるかどうかはともかく、そこを消費者教育と連携させるということについて何かお考えがあるかということを伺いたいと思います。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、まず消費者庁からお願いします。
○消費者庁消費者教育推進課山地課長 御質問ありがとうございます。
高齢者向けの教材のお届けということと認識してございます。資料の8ページ、地方消費者行政に関する先進的モデル事業と書いてございますのは、このモデル事業の中で教材を開発したという意味でございまして、開発した教材につきましては広くお使いいただけるように、活用事例集も作成して、先日行いました消費者教育コーディネーター会議でもこういった教材があるということを御紹介して、活用いただいておるところでございます。
実際、現場でも、最初に消費者教育の現状で申し上げましたけれども、対高齢者、そして高齢者等の見守り、消費者被害防止につきましては、地域でもたくさんの講座が公開されているところでございまして、こういったところで活用いただけているのではないかなと考えているところでございます。
また、私の母も独り暮らしをしているところでございますけれども、おっしゃってくださったとおり、地域の回覧版とかでいろいろな情報が来て、うちにも来るのですけれども、先ほど申し上げました我々のポータルサイトでアドホックな問題について注意喚起するようなチラシについても展開しているところでございまして、新しい具体的なトラブル事例につきましては、そういった形でお届けして活用いただいているところだと認識してございます。一番は国民生活センターさんからの情報提供だと思うのですけれども、我々もそういったものが使われるように支援しているところでございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 それでは、文科省、お願いします。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 法教育との関連についての御質問をいただきました。学習指導要領は、何とか教育、何とか教育という形というよりは、教科ごとにまとまっておりますので、その中では先生方への指示として、法教育と消費者教育を併せて実施するようにというような言い方はもちろんしていないわけですが、一方で、消費者教育の世界では、前回改定しました消費者教育の推進の基本方針の中でも、法教育は関連する分野として認識をしておりまして、今、学校の教え方については、カリキュラム・マネジメントを文部科学省は推奨しているのですが、たくさん教えなければいけないものがある中で、関連してまとめて教えると、効率的・効果的に教えられる分野があるというような働きかけをしておりますので、その中で、先生方の工夫によって、おっしゃっていただいたような法教育との関連をしながら、近い時間帯で学ぶとか、併せて学ぶとか、そのような工夫が可能になっておりまして、ただ、我々が事細かに教え方をこうしたらいいよという提示はなかなかしきれないところがございます。
大澤先生が、教科書の執筆も非常に御苦労していただいたということで、ありがとうございます。正直、教科書でどのような関わりが書かれているかによって、先生方も教えやすさが変わってくるかと思っておりまして、大澤先生が書かれたものを御覧になった人は、もしかしたら法教育部分と一緒に連携して教えようかなと思っていただいたりするといいなと。すみません、感想めいたことになってしまいますが、それぞれ独立はしているものですが、関連して教える工夫は学校によって、先生方の工夫によって可能になってございます。
○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。
○大澤委員 ありがとうございました。消費者庁様、文部科学省様、大変よく分かりました。
文部科学省様にさっき伺うのを忘れてしまったのですが、質問というよりは感想と受け止めていただきたいのですけれども、先ほど申し上げた過去の政令指定都市での審議会の経験の中で、学校教育が大事だという話は出つつ、しかし、高校の先生は教えなければいけないことはたくさんあるということで、なかなか時間がないという話も出ていました。今伺っていて、いろいろ工夫をされているということを伺いましたので、公教育、そこだけにすごく時間を割いてほしいという趣旨ではありませんで、いろいろ工夫をしながらされているということがよく分かりました。
どうもありがとうございました。
○鹿野委員長 それでは、続きまして、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 桑田室長のほうに主に御質問なのですけれども、機構が8月に本格稼働ということで、大変お忙しいときに本日お越しいただき有り難うございます。昨年の11月はまだ細部までは詰まっていない感じが大分詰まったなという感じで聞いておりました。
その関係で、資料2-3の7ページに書かれているように「顧客にとって誰が信頼できるアドバイザーであるか分からない」ということを乗り越えようということだということで、まずは資料2-2のような極悪層が接近してくるのを排除するということだと思うのですけれども、他方昨年の6月だったと思いますが、複数の地方銀行が顧客に対して仕組債を販売していたことで金融庁から行政処分を受けているというようなこともありました。ですから、表面的には極悪層でもないような事業体も、やはり金融リテラシーとかその辺りのところについて問題があることが明らかになった中でこの機構ができていくということに対しては、大変意義深いことだと思っております。
その観点で御質問なのですけれども、先ほどの資料2-3の5ページでは、大迫弁護士も入っている運営委員会というものが設立されているとのことです。機構の設立根拠である「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」では98条以下に書かれている組織だと思っておりまして、99条で運営委員会の権限が規定されています。定款の変更とかは、今回は決議はないのでしょうけれども、業務方法書の作成又は変更、予算及び事業計画の作成又は変更等々がこの運営委員会の権限となっていると理解しております。
先ほどの資料2-2を見ますと、既に事業として8月から本格実施するもの、あるいはもう受付を開始するものといったようなものが規定されておるのですけれども、その中で、先ほどの法の99条に基づく決議とか、そのようなことについて運営委員会ではもう決議されているのだと思います。しかし、ホームページを見せてもらうと、フルオープンが8月からということで、まだホームページでは運営委員会の議事録等はオープンになっていなくて、よく分からないのです。今後、この運営委員会の議事の内容等について、議事録その他についてはオープンになって公開されていくのかということ、それから、先ほどいろいろ議論が出ていましたけれども、「「J-FLECはじめてのマネープラン」割引クーポン配布事業」とかいったようなことについて、運営委員会でもう既に事業計画として審議の対象となっているのか、そこでどういう議論があって、こういう事業が始まることになったのか、その辺りについて教えていただければと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、桑田室長、お願いします。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 ありがとうございます。
先生がおっしゃるとおり、金サ法に基づいて、業務方法書あるいは事業計画を運営委員会として決議するということになっておりまして、今年の4月25日、第1回目の運営委員会を開きまして、その場で運営委員会として決議して、業務方法書、事業計画というのは、内閣総理大臣の認可が必要になっておりますので、運営委員会で決議されたものを認可申請し、金融庁としてといいますか、内閣総理大臣の認可を得ているという状況になります。
これは非常にITというかテクニカルな問題なのですけれども、ウェブサイト、本来は本格稼働の8月から全部いろいろ事業の内容とかを載せる予定だったのですが、設立もされていますし、早くいろいろなことをお伝えしたほうがいいだろうということで、ティザーサイトと言うのですけれども、仮のウェブサイトを早めに上げさせていただいたということで、詳細な業務方法書、事業計画、あるいは議事録も含めて、これはフルオープン後のウェブサイトで順次掲載していくことになっております。今、もろもろ準備中です。
それから、割引クーポン配布事業等々ですけれども、これまで金融審議会においてJ-FLECというのはどういう組織としてやっていくべきかという2年間の議論を経て、今回設立に至っているという経緯がありますが、実際に第1回運営委員会の場で行われた議論としては、先ほどの小野先生の話もありましたけれども、アドバイスを受けることの重要性については話題になったところでありまして、公表されているのかどうか分からないのですけれども、ある調査によりますと、お金を出してでもアドバイスを受けたくないという層が一定程度いる。原因はいろいろあるのだと思うのです。自分の情報を、お医者さんにはいろいろ体のことを伝えますけれども、お金のことをFPさんとかに伝えるのは躊躇するなとか、あるいは金融機関の方に相談するのはやはり抵抗があるなとかいうことで、なかなかアドバイスをするに当たってのハードルはあるのだけれども、中長期的にお金と付き合っていく上において、外部知見の活用は重要だから、こういった事業活動も進めていって、やっていくことは意義深いことなのではないかと。
ただ、割引クーポン配布事業、先ほどのなぜ3,000人かとかいうような柿沼先生のお話もありましたけれども、まさに日本全国において初めてやるような事業でありますので、こういったところは実際にやり始めていってファインチューニングしていく部分もあるのではないかとは思っておりますが、こういった運営委員の先生方の議論とかも、これから第2回、第3回と定期的に開いていきますので、そういったところで現状のこの事業の状況とかを御説明しつつ、議論を交わしていって、より良い制度、事業にしていきたいなと考えております。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。そうしたら、フルオープンになったら議事録とかその辺りのところも公表されていくと理解したらよろしいのでしょうね。
○金融庁総合政策局総合政策課金融経済教育推進機構設立準備室桑田室長 そのとおりでございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
予定した時間が来ているのですが、先ほどから今村委員からもお手が挙がっておりましたので、今村委員、お願いします。
○今村委員 文科省の安里課長に、小・中・高の教育の内容について御質問したいのですけれども、学習指導要領に入れていただいて、特に家庭科を中心に入れていただいているということで、これは大きな進歩だと思うのですが、実際のところどれぐらい家庭科で教えられているだろうかということで、私が実は文科省で昔働いていたことがあって、学校保健を担当しておりまして、そのときに性教育を教えるという話のときに、実際に保健の先生はあまり慣れていない、教えたくないというようなことを教えるのにものすごく抵抗はあったのです。さらに家庭科で家族計画で教えるということで、家庭科の先生もかなりしんどいということで、実際教え始めるまでに大変な時間がかかったということがあります。
その中で、実際に家庭科は10年ちょっと前、各学校で教えていなかったということが発覚して、再履修したような経緯もあったり、実際どれぐらいこれを教えられているのだろうかということの現状で教えていただきたいのと、家庭科の先生自身が金融商品や金融契約についてまず詳しくないと思うのです。それをどのような形で教育を進めておられるのかというような2点を教えていただければと思います。
○鹿野委員長 それでは、文科省からお願いします。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 ありがとうございます。
どれぐらい教えているかですが、学習指導要領に書いていることは教えているはずのこととなっておりまして、つぶさに教えているかどうかという調査は、私が知っている限り、新しくなってからまだしていないのではないかなと思いますので、すみません、手元でお伝えできることはないのですが、おっしゃっていただいた実際教えることになっているけれども教えられるかの不安というところに、我々は極力寄り添って研修などをするという構成になっておりまして、手元にちょうど家庭科向けにこういう講座がというのはないのですけれども、家庭科の先生方が集まるような、教科ごとに教える先生方が集まって、いろいろ学ぶ機会というのがあるのですが、そういう場所で取り上げて伝えたり、また、今後J-FLECなどとの連携であったりとか、そういう形が出てくるのかなと思いますが、学習指導要領に基づいた教科書があって、教科書の解説とか学習指導要領の解説などがある中で、しっかり伝えていくということの繰り返しになっていくのかなと思っております。
○今村委員 私も文科省にいたときにちょうど学習指導要領に載せて、教科書に載せていくというステップからあったのですけれども、最初の教科書で質問や修正意見、それぞれ100以上出すとかというような攻防戦から始まって、最終的に落選という教科書まで出してしまうようなことがあって、その上で、その教科書を見た学校の先生方が、これは無理というようなことがあった経緯があるので、この難しい内容を家庭科で教えるというのはなかなかハードルが高いのではないかなと思うので、そこは文科省からも働きかけていただかないと動かないと思うので、ぜひお願いしたいと思います。
○文部科学省総合教育政策局男女共同参画共生社会学習・安全課安里課長 ありがとうございます。
あまりに高度な部分は外部講師の活用もいいよねということも併せて、しっかり学校現場で必要な教育がなされるように働きかけてまいります。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかによろしいでしょうか。
それでは、予定した時間も経過しましたので、以上で質疑応答は終了にして、簡単にまとめさせていただきたいと思います。
本日は、消費者教育の取組に関して3省庁より御説明をいただきました。ありがとうございました。
本日、特にJ-FLECが新しく発足したということがあって、それに対する期待ということも込めて、金融庁様との質疑応答がかなり多くあったように思います。
まずは柿沼委員もおっしゃったように、J-FLECには、金融トラブルの防止など、消費者保護の観点からも積極的な役割を果たしていただきたいと思います。J-FLECは、いろいろな観点から金融リテラシーを高めるということではございましょうけれども、リスクということだとか、実際に生じているトラブルなどを適宜紹介するなどして、金融トラブルの防止を図ることはとても重要ですので、その点、改めてお願いしたいと思います。
それから、小野委員、中田委員はじめ複数の委員から、関係省庁との連携という御指摘がございました。これはもちろん金融庁だけではなくて、消費者庁、文科省様にも関わるところでございますが、特にJ-FLECが新しく発足したということなので、金融経済教育の推進に当たっては、消費者教育との関係性の整理が不可欠でございまして、3省庁の連携強化を図る必要があると思います。
本日、連携ということに関して、あるいは関係性ということについても、お考え方について御説明をいただいたところでございますから、ぜひその点はよろしくお願いしたいと思います。特にマップ等については、例えば金融リテラシーマップなどが作られているということでございましたけれども、こういう複数のマップについてもさらに工夫して、全体像が見えるように分かりやすくしていただければと思います。
それから、J-FLECの運営についても話が及びました。新しい事業については、中立性・信頼性・公正性を確保することが非常に大切だと思いますし、それにも関連して、議事録についてはまだ公表していないけれども今後というような御説明もいただいたのですが、公平性というところと併せて、透明性も非常に大切であると思いますので、その点、改めてお願いしたいと思います。
それから、アドバイザーについては、認定アドバイザーの認定要件などからも、中立な立場でというようなことが留意されていると理解いたしましたが、本日議論になったところで言うと、アドバイザーの質の担保も重要でございます。特に消費者関連でも、かなり法制度の改正とかもありますし、あるいは社会の状況が違うと起こっているトラブルとかも違ってきますので、そういうところの知識の更新まで含めてぜひ研修等については御配慮いただきたいと思います。
先ほどの議論の中でも触れられたように、我が国はお金についての教育が従来あまり行われてこなかったというか、お金についてアドバイスを受けるというような習慣があまりなかったということもあって、少なくとも欧米諸国と比べると、金融リテラシー教育が後れているところがあるように感じられるところでございます。そういうところも踏まえて、先ほども言いましたように、消費者被害の未然防止の観点から、効果的な取組を行っていただきたいと思います。
それから、金融庁様とのやり取りの中では、「「J-FLECはじめてのマネープラン」割引クーポン配布事業」に対する懸念も複数の委員から出されたところでございます。この事業の考え方については本日御説明いただいたところではございますが、消費者委員会としては今後もその点について注視していきたいと思います。
順番が逆かもしれませんけれども、消費者教育全般について、特に消費者庁様にいろいろと最初に御説明をいただきました。消費者庁は、次期消費者基本計画の策定に際して、消費者教育の推進に関する基本的な方針を踏まえるという考え方を打ち出していらっしゃると承知しております。そして、消費者教育の推進の基本方針では、教えられるだけではなく、消費者が自ら及び相互に「学ぶ」「考える」「行動する」ということが基本的な視点として掲げられているところで、本日もその点についても御説明をいただきました。この点は、消費者教育の基本的・本質的な部分であると思いますので、次期基本計画の施策の検討に当たっては、この点をぜひ十分踏まえていただきたいと思います。もっとも、これは消費者庁様だけに対する注文ではございません。今の点は、本日御説明いただいた全ての省庁にも関わるところだと思いますので、皆様にぜひよろしくお願いいたします。
消費者庁様には、いろいろな教材を開発していらっしゃるということについても御説明いただきました。私も先日、偽装サークルの体験型の教材について実際体験させていただいたのですが、このような多様な形での教材を開発されているということは高く評価したいと思います。ただ、本日も議論になったように、幅広い層にこれを届けることが重要でございますので、今までも取り組まれていることとは思いますけれども、ぜひ今後もその点はよろしくお願いします。
本日、直接的には金融庁様とのやり取りの中で出てきていたところですが、教育の効果を測定するというところも重要でございます。効果の測定としては、対象者の理解度あるいは課題解決力の向上、対象者の行動変化等のアウトカムが重要であると思いますが、金融庁様からも本日、効果測定に関する考え方をお聞かせいただいたところでございます。それと併せて利用者アンケートや活用事例の収集・分析などによって、対象者に適した効果的な教材の開発や利用をさらに推進していただくことを期待したいと思います。先ほども言いましたように、本日の議論、意見交換では、直接的には金融庁様との間で出てきた話題ではございますが、これも全ての消費者教育に関わる省庁様に関係するところだろうと思います。
さらに、本日の議論で直接出てきたというわけではないのですが、特に消費者庁様等からもご説明いただいたように、デジタル化の進展を踏まえた教育、あるいはエシカル消費についても、昔はそういう言葉はあまり入れられていなかったかもしれませんけれども、現在は非常に重要な項目となっております。
また、若年者に関して言うと、成年年齢引下げ後の若年者への消費者教育の推進については、消費者教育の実践・定着プランの2年目が終了したところですが、それを適切にフォローアップしていただくとともに、それを踏まえて今後さらに取組を進めていただきたいと思います。SNS等を通じた若年者のトラブルなどもかなり多く聞かれるところでございますし、その点についてはトラブルの未然防止が非常に重要です。AIの時代になるとそれだけで防げるかという問題ももう一つありますけれども、教育等で防げる部分もなお多いと思いますので、それについてはぜひ取組を進めていただきたいと考えております。
今申しましたが、デジタル化の進展等で新たな形での消費者トラブルも想定されます。消費者庁をはじめとする関係省庁には、消費者被害の最新の状況等も踏まえつつ、消費者被害防止や自立した消費者の育成に向けた取組を継続して行っていただきたいと思います。消費者委員会としましては、消費者教育の取組を引き続き注視しつつ、今後も必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。
本日御出席いただいた皆様には、大変お忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。
《4. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題などにつきましては、決まり次第、ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。
お忙しいところ、どうもありがとうございました。
(以上)