第436回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年6月10日(月)10:07~11:34

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員
  • 【説明者】
    厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室 火宮室長
    厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課 和田課長
    法務省民事局 波多野参事官
    消費者庁消費者政策課 尾原課長
    消費者庁消費者制度課 古川課長
    金融庁監督局総務課 森課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(身元保証等高齢者サポート事業等について)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございます。

音声トラブルの影響で、多少遅れてしまいましたが、ただいまから、第436回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しており、大澤委員、柿沼委員、原田委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(身元保証等高齢者サポート事業等について)》

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、身元保証等高齢者サポート事業等について御議論いただきます。

我が国では、高齢化の進展や核家族化等に伴い、高齢者の単独世帯が増加しております。

そうした中で、高齢者等を対象とした身元保証、日常生活支援、死後事務等のサービスを行う、高齢者等終身サポート事業が増加し、今後、その需要のさらなる増加が見込まれております。

本事業については、業法や所管省庁がなく、当委員会において、平成29年1月に身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議を発出しましたものの、いまだに消費者保護の仕組みが十分ではないと考えられます。

本年4月に取りまとめた次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見の中でも、この点を指摘したところでございます。

今般、認知症と向き合う高齢社会実現会議の取りまとめ結果を踏まえ、政府において「高齢者等終身サポート事業者ガイドライン(案)」が作成されたと伺っております。

そこで本日は、ガイドライン案の内容について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

併せて、厚生労働省においては、持続可能な権利擁護支援モデル事業が進められていると伺っておりますので、こちらについても御説明をいただきたいと思います。

また、現在、法制審議会では、成年後見制度の見直しに向けた審議が行われていると伺っておりますので、法務省からその議論の状況について御説明をいただきたいと思います。

本日は、厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課の和田課長、社会・援護局成年後見制度利用促進室の火宮室長、法務省民事局の波多野参事官に会議室にて御出席いただいております。

また、質疑対応として、消費者庁消費者政策課の尾原課長、消費者制度課の古川課長、そして、金融庁監督局総務課の森課長に会議室にて御出席いただいております。

皆様、本日は、お忙しいところありがとうございます。

本日の進め方ですが、厚生労働省老健局、法務省、厚生労働省社会・援護局の順で御発表いただき、全ての発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を30分程度取らせていただきたいと思います。

それでは、最初に、厚生労働省老健局の和田課長、よろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 御紹介いただきました、厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課の和田でございます。本日は、よろしくお願い申し上げます。

委員長より御指示いただきまして、高齢者等終身サポート事業者のガイドラインの現状、あと、それに至る検討経緯について、私のほうから御説明させていただきたいと思います。

資料1と資料2に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

資料1「身寄りのない高齢者等への支援について」ということでまとめさせていただきました。

1ページ目には、今後の世帯構成の推移、まさに今後とも単身世帯、その中でもとりわけ単身高齢世帯が増えていく。そして、本日議題のこのような身元保証及びそれにまつわる業務の増加が見込まれるという状況説明でございますが、これは割愛させていただきます。

資料の2ページをよろしくお願いいたします。

この問題は、先ほど御指摘いただきましたとおり、かつて消費者問題があり、そこについての建議をいただきまして、それに基づく対応を順次進めてきたというのが、まず、厚生労働省の対応でございます。平成29年1月に、その前にあった消費者問題を受けましての建議をいただいたところ、厚生労働省におきましては、平成29年以降、実態調査でございますとか調査研究事業を行ってまいりました。

平成29年におきましては、この事業者や自治体の契約時の説明内容や解約方法についての調査を行い、その結果、介護施設等における調査研究事業においても、入所者へ身元保証人を求める理由や実態等、どの程度このような慣行が行われているのかということを調査させていただきました。

それを受けまして、平成30年には、身元保証人がなくても介護施設への入所等が可能であること、また、医療分野でも同様に、入院に対しても身元保証人等がいないことを理由に、入院を拒否することは正当な理由ではないということを周知させていただき、身元保証というものがないことだけをもって、入院、入所が断られるものではないという周知を行ってまいりました。

その後、毎年、この事務連絡または関係課長会議等においても、このような事項は周知をさせていただいたところでございます。

また、令和元年におきまして、調査研究事業で把握した事業者に対して、預託金の適切な管理やサービス契約等に係る注意喚起ということを行っております。

この注意喚起については、消費者庁と連名での事務連絡ということで、このような対処を行ってきたところでございます。

ただ、やはりこのような身元保証が行われていること、それに対して、それだけを理由に入院、入所を断ることは適切ではないと、申し上げれば、問題対処型の対処をしてきたということも、これまでの事実であったのかなと思っております。

1ページおめくりいただき、資料の3ページでございます。

本年、2024年1月1日に、共生社会の実現を推進するための認知症基本法の施行がございました。

昨年の成立以降、官邸におきまして「認知症と向き合う『幸齢社会』実現会議」が開催されておりまして、岸田総理出席のもと、認知症の本人、家族、有識者の方々から構成される会議でございますが、この中で、高齢者の生活上の課題についてガイドラインの策定、必要な論点整理等を進めることという取りまとめをいただきました。

この中で、基本的には、1から5は認知症の関係でございますが「6.独居高齢者を含めた高齢者等の生活上の課題関係」ということで、独居高齢者等の意思決定支援を補完する仕組み、政府全体で問題への対処、整理を進めるべきという取りまとめをいただいたところでございます。

会議の中で出てまいりました意見は、4ページにまとめさせていただいておりますが、このページも割愛させていただきます。

その結果、政府全体といたしまして、まず、これは内閣官房を中心に、身元保証等高齢者サポート調整チームがつくられまして、この会議と並行して議論はしてまいりましたが、そこでの議論を踏まえて、現在は、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの案というものを作成し、これをパブリックコメントに付したところでございます。

現在は、パブリックコメントの実施を終了しておりますので、近日中に取りまとめが行われるところでございますが、現在は、まだ案という状況でございます。

このガイドラインのポイントについて御説明させていただきます。資料としては、5ページになっております。

まず、冒頭申し上げるべきは、このガイドラインが非常に多岐にわたる論点を含み、そうであるからこそ、内閣官房の調整チームを中心に関係省庁としては、内閣府孤独・孤立対策推進室、金融庁、これは、もちろん、消費者庁とも議論経過を経て、議論を十分にさせていただいた上で作成されたものと承知しております。

その他、総務省、法務省、我々厚生労働省、経済産業省、国土交通省と、それぞれまさに関係省庁で幅広く議論をさせていただいたものでございます。

当面、説明については、厚生労働省老健局を中心に行うようにということとなっております。

このガイドラインのポイントを御説明させていただきます。

5ページの概要になりますけれども、先ほども、もともと問題があったということを申し上げましたが、病院への入院や介護施設等への入所の際の手続支援、そして、日常生活の支援、さらには葬儀、死後の財産処分など死後事務について、支援するための業者が増加しているところでございます。

これまで、こうした業者を過去の問題に基づいて、身元保証事業者と総称してきたわけでございますが、今回、この議論を行うに当たりまして、この業者の定義等を議論いたしまして、先に全般的事項の中も御説明いたしますが、本人との契約に基づきまして、身元保証等のサービスと、死後事務サービスを事業として継続的に提供している事業者を、このガイドラインの主な対象とすることといたしまして、この業者を高齢者等終身サポート事業者と定義し直したというところが、まず、このガイドラインの最大のポイントであろうと思っております。

また、こうした業者が、身元保証等サービスと死後事務サービスに加えまして、いわゆる日常生活支援の業務を行っていることも多くございますので、このガイドラインは、身元保証サービスと死後事務サービスを、対事業者を主な対象としておりますが、その他の業務についても、当然参照してやっていただくことが望ましいという立てつけとしております。

この事業は、死後のサービスを含みまして、契約期間が長期であることという特徴がございます。利用者保護の必要性が高い、これまでも消費者保護の必要性があったということだと思います。

こういった事業者に対しまして、事業者の適正な事業運営を確保し、事業の健全な発展を推進するとともに、利用者の利用の安心等を確保してくことが必要という観点から、遵守すべき法律上の規定や、留意すべき事項等を整理し、ガイドラインとして提示したものでございます。

全般的な事項は、少し触れてしまいましたので、サービス提供に当たってのところだけ、御説明させていただきますが、利用者の尊厳と自己決定の尊重が必要であること。利用者の価値観等に基づく意思決定が行われるよう配慮することが重要であると、全般的な事項として規定をさせていただいております。

ガイドラインの内容としては、契約締結時の留意事項、契約履行時の留意事項、そして体制全般に関する留意事項、3つの構成となっております。

契約締結に当たりましては、民法や消費者契約法に定められた民事ルールに従いつつ、契約内容の適正な説明を行うことが重要であるとしております。

ただ、これはガイドラインに先立ちまして行われた調査でも、まだ、このような事項が十分ではないという実態も明らかになっておりますので、改めて、ガイドラインで規定し直したということでございます。

また、業務を行うに当たり、医療・介護関係者等との連携や推定相続人への説明など、きめ細かい対応が望ましいとしております。

そして、よく問題になりがちであります、これも消費者庁からも御指摘いただきながら規定しております、寄附遺贈につきまして、まず、契約条件にすることは避けることが重要と規定された上で、遺贈を受ける場合にも、公正証書遺言によることが望ましいといったガイドライン上の規定となっております。

契約の履行に当たりましては、契約に基づいて適正な事務の履行が必要である。これは当然でございますが、提供したサービスの時期や内容、費用等の提供記録の作成、保存、定期的な利用者への報告が重要であること。こういったことについても、まだまだ実態としては十分ではないと承知しております。

利用者から前払金を預かる場合にも、運営資金等との明確な区分管理が望ましいということ。そういった履行の際にも医療・介護関係者等との連携が重要であるということが規定されてございます。

利用者が契約を解除する際には、必要な具体的な手順等の情報を提供する努力義務を負うことも規定しております。

そして、利用者の判断能力が不十分となった場合には、成年後見制度の活用が必要であり、成年後見人等が選任された後は、契約内容についてもよく相談することが望ましいということがガイドライン上規定されております。

全般的な体制に関する事項については、情報開示、個人情報の適正な取扱い、事業継続のための対策、相談窓口の設置が重要であるということが留意事項として示されております。

極めて概括的な内容でございますが、実際のガイドラインとしては、資料2にございますとおり、34ページにわたる先ほど申し上げたような事項を、しっかりガイドラインとして規定し直したという内容であるということと、1点だけ御紹介させていただきますと、最後のページにチェックリストというものがついておりまして、契約締結時、履行提供時、事業者の体制について、事業者が自らこうしたことを守っているかということをチェックすることができるような仕組みのチェックリストの案もつけさせていただいているところでございます。

近日中に、このガイドラインのパブリックコメントを踏まえて、決定が予定されているという状況でございます。

以上、私のほうから御説明差し上げました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、法務省民事局の波多野参事官、よろしくお願いします。

○法務省民事局波多野参事官 ありがとうございます。

法務省民事局参事官の波多野でございます。

法務省民事局からは、資料3に基づきまして御説明させていただければと思います。

法務省民事局の関係では、総務省の行政評価局の調査結果におきまして、利用者の判断能力が不十分になった場合には、成年後見制度に移行することが望ましく、成年後見制度の円滑な移行を図るためには、成年後見制度の利用が促進されていることが必要であるとしまして、第二期成年後見制度利用促進基本計画に基づいて、任意後見制度の利用促進のための周知・広報のほか、成年後見制度の見直しに向けた検討等の取組が着実に進められることが求められているところでございます。

この関係から、本日は成年後見制度の周知・広報と成年後見制度の見直しに向けた検討状況について御説明させていただければと思います。

2ページ目を御覧いただければと思いますが、まず、成年後見制度の利用促進のための周知についてでございます。

1つ目と2つ目の○ですけれども、制度に関しまして、リーフレットやパンフレット、ポスター等を印刷しまして、関係各所に広く配付するという方法を採っております。

また、3つ目でございますが、周知活動の更なる強化を図るために、任意後見制度につきまして、架空事例を用いて、制度の概要や手続などを説明する動画を作成しまして、公開しているということも取り組んでおります。

4つ目ですが、インターネット広告もしておりまして、法務省の成年後見に関するホームページを閲覧してもらえるような、そういう広告をしていたりするところでございます。

法務省におきましては、これらの方法によって、成年後見制度の周知を図っているところでございます。

3ページ目から5ページ目までは、実際の広報資料でございますので、適宜御参照いただければと思います。

6ページ目を御覧いただければと思います。

2つ目の「成年後見制度の見直しに向けた検討状況」でございます。

成年後見制度は、認知症、知的障害、精神障害などの理由で判断能力が不十分な方の保護、支援を目的とする制度でございますけれども、ここの「現状及び課題」の1つ目の「成年後見制度を取り巻く状況」に記載しておりますとおり、今後、高齢化の進展や単独世帯の高齢者の増加等に伴いまして、成年後見制度に対するニーズが増加し、また、そのニーズが多様化することが見込まれるところでございます。

このような状況を踏まえますと、成年後見制度をさらに利用しやすいものとしていく必要があるところでございます。

他方で、現行の制度につきましては、その制度の課題が指摘されているところでございます。「成年後見制度に対する主な指摘」というところでございますが、例えば、1つ目としまして、判断能力が回復しない限り制度の利用をやめることができないということの指摘がございます。

2つ目としましては、成年後見人には包括的な取消権、代理権がありまして、これが本人の自己決定を必要以上に制限しているという指摘がございます。

3つ目としまして、本人の状況が変化しましても、成年後見人等の交代が実現せず、本人がそのニーズに合った保護を受けることができないと、そういう指摘もございます。

4つ目、任意後見に関するものでございますが、任意後見制度につきまして、適切な時機に任意後見監督人の選任の申立てがされないという指摘がされているところでございまして、これらの現行の制度に対する指摘が、現行制度を利用しづらくしている1つの要因ではないかと、そういう御指摘もあるところでございます。

政府内の動きとしましては、第二期成年後見制度利用促進基本計画が、令和4年3月に閣議決定されておりますが、この中で、令和8年度までを対象期間としまして、成年後見制度の見直しに向けた検討を行うこととの記載があるところでございます。

こういう状況を踏まえまして、令和6年2月、法制審議会に対して、成年後見制度見直しに関する諮問がされたところでございます。

諮問されると同時に部会が設置されて、今年の4月から月に1回ぐらいのペースで部会での審議が始まっているという状況でございます。

7ページ目を御覧いただければと思いますが、成年後見制度の見直しに関する検討テーマとしましては、先ほど4つほど指摘があると申し上げたところに関するテーマのほか、下のほうですが、法定後見制度の類型の見直しや、成年後見人の報酬の在り方など、検討テーマは多岐にわたるところでございまして、これらのテーマにつきまして、今後、法制審議会において調査審議が進められていくという状況でございます。

法務省からは以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、厚生労働省社会・援護局の火宮室長から御発表をいただきたいと思います。よろしくお願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室火宮室長 厚生労働省社会・援護局成年後見制度利用促進室長の火宮でございます。

私からは、資料4につきまして御説明をさせていただきます。

こちらは、身寄り問題に関しまして、厚生労働省において今年度から新たに実施するモデル事業の取組の内容になっております。

身寄りのない高齢者等の方々の生活上の課題、例えば、日々の見守りであったり、死後の事務対応、例えば葬祭であったり納骨であったりといったこと。また、入院、入所が円滑にできないといった課題を抱えていらっしゃるといった指摘がありますので、そうした課題を踏まえまして、1つは、身寄りのない高齢者等のそういった課題に関して、包括的な相談や調整窓口の整備を行うこと。

また、もう一つが、主に十分な資力がないなど、民間による支援を受けられない方を対象に、総合的な支援パッケージを提供する取組を試行的に実施しまして、課題の検証等を行うものとなっております。

具体の中身につきましては、まず左側、「包括的な相談・調整窓口の整備」に関しましては、公的支援や民間事業者等が提供するサービスなど、地域には様々な社会資源がありますけれども、こうしたものを組み合わせまして、包括的支援のマネジメントや、各種支援、契約の履行状況の確認等を行うコーディネーターの配置をするような相談・調整窓口の整備といったことを自治体に実施していただくことを考えております。

右側になりますけれども、もう一つは、いろいろと支援サービスというものは民間でもございますけれども、十分な資力がないといった場合にはそういった民間による支援を受けられないといったことや、また、そもそも社会資源が乏しい地域といったこともありますので、そうした方々が支援の狭間に落ちることのないように、身寄りのない高齢者等を対象に、日常生活支援については必須としながら、入院、入所時の円滑な手続であったり、また、死後の事務支援といったものを併せて提供するような取組といったものを実施していただくことを考えております。こちらは、パッケージを提供すると書いておりますけれども、具体の支援内容については、選択できることを考えております。

いずれも、アウトラインとしては、こういったことを考えておりますけれども、詳細はモデル事業を実施していただく自治体の創意工夫でやっていただくことを考えております。

実施主体は市町村で考えておりまして、基準額につきましては、1事業当たり500万円、補助率が国4分の3となっており、4分の1が市町村負担となっております。

また、こちらは予算の範囲内での支援になりますので、現在、自治体に実施の希望を照会し、調整をしているところです。

ゴールデンウイーク明けに、身寄りなき老後、国が支援制度と大きく報道されましたけれども、その詳細はこちらのモデル事業のことです。このモデル事業を通じて、身寄りのない方の支援策といったものを、課題を整理した上で検討していきたいと考えております。

厚生労働省からは以上になります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で、皆様からの御説明、御発表が終了しました。

これより、全体を通じての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。先ほども言いましたように、時間は30分程度と考えておりますので、よろしくお願いします。いかがでしょうか。

それでは、少し簡単な確認からさせていただきたいと思います。ガイドラインについてです。

先ほどの御説明では、パブコメについては終了して、間もなくそれを取りまとめて公表する予定でいらっしゃると伺いました。

このパブコメの取扱いについては、現在進めていらっしゃるのでしょうから、あまり詳しいところは、まだ、お話しになれない部分もあるのかもしれませんけれども、パブコメとしては、どういう御意見等が出されたのでしょうか。そして、対応については、どういうことを考えていらっしゃるのかということについて、現時点でお話しいただけることがあったらお願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 ありがとうございます。御質問いただきました。

現在、整理の最終段階に入っておりまして、近日中にパブリックコメントを受けた対応と、このガイドラインの決定をさせていただくようなタイミングでございますが、この問題は非常に御関心が高かったということかと思いますけれども、パブリックコメントについて多くの意見を、これも多いとか少ないとか、何をもって話すのかよく分かりませんが、一定の数の意見をいただいたと承知をしております。

公表のときには、件数と内容を整理の上で公表をさせていただきますけれども、おおむね数十件程度の提出者と、その方々は当然、1人で複数の意見を出しておりますので、数百件の御意見をいただいたと承知しております。

主な御意見も、かなり賛否両論、両方の御意見をいただいておりまして、まずガイドラインをつくって、そうした業界の育成を進めることは望ましいという御意見がある一方で、策定をするのはいいけれども、そういった実効性を持たせるべきだという御意見と両方いただいたということでございますとか、また、士業の団体の方から、こういったガイドラインを参考にすべきという御意見と、士業に対して適用すべきという意見と、それは士業が自ら律して決めていくべきだという御意見でありますとか、本当に両方の御意見をいただいたと承知しております。それを踏まえまして、このガイドラインは、必要なところは修正を行い、その上で策定に向かってまいりたいと考えているところでございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

今、お答えいただいたことに関連して、もう一つだけ伺いたいのですが、今のパブコメの御意見内容にもあったと伺ったところの1つに、ガイドラインの実効性確保ということがあると思います。

これは、民事ルールの部分も多くて、強制ということではなく、これこれが望ましいという形で書かれている部分も多いところです。

もちろん民事的な取引は基本的に、そういうことになることは、私、民事法を専門としていますので承知しています。しかし、いわゆる悪質事業者等が一定既に存在していると聞いておりますし、しかも身寄りのない高齢者が多く対象になる事業でもございますので、悪質事業者を排除していくことが必要であると考えるのですが、悪質事業者に対して、このガイドラインでどこまで対応できるのかということなどについて、もう少し説明を追加していただければと思います。よろしくお願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 ありがとうございます。

厚生労働省の立場から、どの程度までお答えできるのか、なかなか難しい御質問であるとも感じますけれども、少なくともガイドラインとの関係で申し上げますれば、このガイドラインの目的は、2つ申し上げまして、事業者の健全な運営を確保していくと同時に、利用者保護の必要性があると、その両面の観点から作成されたものであると承知しており、このガイドラインの契約締結及び履行に当たって、詳細にそうした事業者が守るべき内容を規定したということそのものが、そうした業者の運営確保と利用者保護に資する面はあろうかと考えております。

また、今回はあくまでガイドラインの策定ということでございますが、これが先ほど申し上げましたパブリックコメント終了と同時に公表されるときには、今後のガイドラインを受けた検討事項ということも規定される予定となっておりまして、そうした中には、こうした業種の適正な運営を確保することに向けて、また、引き続き検討すべきということが規定される予定とも承知しております。

最後に、もう一点だけ補足させていただきますと、このガイドラインの中に設けました業者が守るべきチェックリストを守っていただくことも、そうした観点にも資する面があろうかと考えております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 大変ありがとうございます。

また、私は専門職として、この問題については、いろいろ考えるところがありますので、複数にわたる質問になると思いますけれども、よろしくお願いいたします。

まず、このガイドラインの対象事業者の数、すなわち、現在、どれくらいの事業者が、高齢者等終身サポート事業をやっているのかということについて、このガイドライン策定時において、どの程度お調べになったのかということをお尋ねしたいと思います。

この質問の意味ですが、消費者委員会では、ルール形成ワーキンググループというものが、5次から7次までありました。その中で、ソフトローとハードローに対応する事業者の法令に対する順応度について、従順層、中間層、極悪層に分けてルール形成の在り方を検討していました。

その観点で、ガイドラインというソフトローは、先ほど鹿野委員長もおっしゃっていただきましたけれども、従順層に対しては非常に大きな目安になりますけれども、極悪層にとっては、これを潜脱する方法を教えるようなところがあります。そこで、まず、その辺りは、どういう事業者層を考えていらっしゃったのかということについてお尋ねしたいと思います。

続いてですけれども、25ページから「利用者から金銭等を預かる際の対応について」というところがございます。この点については、金融庁のほうにもお尋ねしたいと思うのですけれども、2021年2月18日に「金融取引の代理等に関する考え方及び銀行と地方公共団体、社会福祉関係機関との連携強化に関する考え方」というのが全銀協から発出されていると思います。

そこでは、むしろ社会福祉関係機関等として、社会福祉協議会や地域包括センター等の連携を通じて、安心して高齢者の預金取引に関しては対応するが、親族や関係者というよく分からないような人との銀行取引については、代理権を証する文書をきちんと出さない限りは、取引に応じるべきではないと、私はざっと理解しています。

金融機関としては無権代理取引に応じた場合のリスクを考えると、もちろん成年後見とか保佐とか、ちゃんと法的な権限があるなら取引に応じるが、それ以外のところは、そういう地域の社会福祉関係機関としてオーソライズされたところ以外は、預金取引には、基本的にあまり応じるべきではないという考えだと思っております。

それと、この事業者ガイドラインとの関係というものについて、どのように整理したらいいのかという点もよく分かりませんので、教えていただきたいと思っております。

それから、ガイドラインでは、一定の金額に関しては、信託を利用することが望ましいと書かれておりまして、実際、私も専門士業としては、成年後見人の場合は、後見支援信託制度というのが、家庭裁判所でホームページにも挙がっておりまして、一定程度の金額があった場合は、裁判所と協議した上で信託銀行との間で、信託契約を締結すべきであるということになっております。

これについては、ひな形の契約書も全銀協と、裁判所との間で協議されて、我々はそれを基に信託契約を締結するわけです。ガイドラインでも信託が望ましいと書いてありますけれども、高齢事業者等支援サポートガイドラインに基づく事業者に関して、信託銀行における信託契約設定に向けての具体的な協議といったものは、今、進んでいるのでしょうか。

ライフサポートの問題を契機として、我々消費者委員会は建議を発出しておりまして、この金銭を預かる際の対応というのは、非常に重要な問題だと考えておりますので、その辺りが、今、どこまで進んでいるのかということについて、お尋ねしたいという点。

それから、先ほどありました、持続可能な権利擁護支援モデルの事業ですけれども、これを大変興味深く読ませてもらいました。ただ、同じく厚生労働省がなさっています、重層的支援体制整備事業、これとどうすみ分けているのかが、私自身はよく分かりません。よく読んでみると、これは、かなり機能が重なってしまっているのではないかと。

それから、今日は、尾原課長も来られておりますが、消費者安全確保地域連絡協議会においては、消費者安全法に基づいて、個人情報の利用ができることになっております。このガイドラインの中でも、この個人情報の問題についても書かれております。この点ですが、令和3年10月1日付で「重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会制度との連携について」という通知が出ているのですけれども、それと今回の持続可能な権利擁護支援のシステムとの間の関係といったものについて、どのような関連性で考えていらっしゃるのかという点をお知らせいただければ、ありがたいと思います。

あと、残ったところで、成年後見の今の進捗についても、少しお尋ねできれば、時間があればと思っていますが、以上です。

○鹿野委員長 それでは、まず、和田課長、お願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 まず、1点目の業者の現状ということについて、まず、私のほうからお答えさせていただきます。

昨年の8月に、この問題の検討の前に、総務省の行政評価局のほうから身元保証サポート事業者に対する調査とそれに伴う通知ということを受けております。

その調査の中で、この身元保証等業者ということでピックアップしておりますが、総務省が身元保証業及びそれに附随して、生活支援もしくは死後事務を行っている業者ということで調査した結果が約400事業者、そして、総務省が調査を行って返してきた結果が、おおむね半分の200程度の事業者ということでございました。

それで厚生労働省も調査研究を行いまして、同様の範囲について調査を行いましたところ、それで返してきた業者が100業者程度であったということの結果でございますが、少し現在は定義が違うところは割り引きましても、こうした業務を行っている業者の総数は、総務省が調べられた範囲においては、400事業者程度ではないかと承知しています。

以上です。

○黒木委員長代理 回答をよこさなかった事業者がいたということですが、従順層は回答をよこす、中間層、極悪層は回答をよこさないみたいな感じで考えたらいいのか、その辺りの深掘りはどうなのでしょうか。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 それは、我々のほうでも何とも申し上げかねるところでございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

○鹿野委員長 2点目の金融取引あるいは信託制度との関係については。

○黒木委員長代理 森課長に。

○鹿野委員長 それでは、森課長、お願いします。

○金融庁監督局総務課森課長 どうもありがとうございます。

2点目でございますけれども、委員のおっしゃるとおり、ガイドラインの中で、銀行等の間で代理人指名手続を行った上で、利用者名義の通帳の管理を行うことがあり得るといったことが書いてございます。

これが、2021年2月に公表されています、全銀協の考え方とどのような関係になるのかという御質問かと思います。

現在、主に高齢者の親族が代理人となって預金取引を行っているケースは多いと思っておりまして、一方で、今後身寄りのない高齢者が増加していきますと、親族以外の代理人が金融機関において高齢者の本人に代わって各種手続を行うケースも当然増えていくと思われます。

ただ、今回はガイドラインでございまして、全銀協の考え方に、社会福祉協議会などと同列に、高齢者サポート事業者を一律に明記するということは難しいと思っており、一方で、大手金融機関などでは、親族以外の代理人の方による手続も既に認めていて、先生御承知のとおり対応している金融機関もあるということでございますし、せっかくこのガイドラインもできまして、後ろに付いているチェックリストも活用しやすいようにしてあると思っておりますので、高齢者等終身サポート事業者が代理人として手続をしたいという場合に、金融機関のほうで経営判断において、顧客利便とバランスを取って、このガイドラインを見ながら、当該事業者を判断するということは当然あり得るのかなと思っています。いずれにしましても、全銀協などとは、ガイドラインが公表されましたら、引き続きしっかり話をしてまいりたいというのが2点目でございます。

3点目が、預託金の話は、大変重要な問題であると我々も思っていまして、どれぐらい考えたのかというお話だと思います。

先生御指摘のように、後見制度支援信託、これは2012年に、高齢者の親族の方などが、後見人になった場合、使い込み等が頻発したということで、最高裁の事務局さんを中心に、数年にわたって検討して今の制度ができていて、実際に多く使われていると承知しています。

一方で、今回は信託と書かせていただきますけれども、望ましいと書いてございますのは、先ほど少し話に出ました、昨年8月の総務省さんの調査結果報告書によりますと、少し上澄みの良い事業者だけが回答したのかもしれませんが、204事業者が回答をして、そのうち信託口座で管理しているところが非常に少ないのですが、29業者あったと、18.5パーセントあったことはあったと。

厚労省さんが、今年の3月に公表した委託事業でも、回答した事業者数は非常に少ないのですが、やはり17パーセントぐらいは信託を使ったりして保全していますという回答がありました。

それだけではなくて、当庁でも調べましたら、実際に事業者さんが信託スキームを使っているという例もありました。

詳細はどのようにやっていらっしゃるのかという確認を、金融機関へのヒアリングを通して、させていただいたところ、例えば、死後事務の預託金については、全体ではなくて、顧客ごとに信託会社との間で信託契約を設定して、預託金を保全していますという事業者さんも実際にいらっしゃいましたし、ほかには、日常的に資金を引き出す必要がある、生活支援等の高齢者サポートサービス向けの預託金と、死後事務向けのまとまった預託金とを分けて、信託で保全していますという事業者さんもおられたという状況を確認しました。

繰り返しますと、預託金で信託を管理していますというのは、やはり総務省さんの調査などでも、まだまだ少ないけれども、あることはあります。

既に一部の事業者さんでは、今、申し上げましたようなことで、しっかり信託で取組をしているということを確認いたしましたので、ガイドラインの策定を契機に、先生御指摘の後見制度支援施策をつくるみたいな、そういう特別な高齢者等終身サポート事業者に特化したような信託スキームは検討していないのですけれども、いずれにいたしましても、信託の活用実態を拝見して、ガイドラインは検討させていただいた次第でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室火宮室長 4点目のモデル事業と重層的支援体制整備事業との違いの件ですけれども、つぶさに調べたわけではないので、もしかしたらやっていらっしゃるところがあるかもしれませんが、現状、重層的支援体制整備事業のほうで、今、申し上げたような死後対応の相談などは、一般的にはやっていないという認識のもとで、まずは、そういった相談に対してどういう対応をしていく必要があるのかといったことを、このモデル事業では検討したいと考えておりまして、このモデル事業を通じて、今後の事業化等を考えたときに、どういう形でやっていくのかということは、これからのことだと思っています。場合によっては、重層的支援体制整備事業のほうに統合していくようなこともあると思いますし、一方で、重層的支援体制整備事業は、実施主体の数というものもありますので、広がりといったことも考えて、それは今後の検討課題であろうと考えております。

そういった意味で、消費者行政とのつながりといったことも、今後の事業化等を通じて考えていくことと思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

○鹿野委員長 成年後見制度について法務省さんには、よろしいですか。

○黒木委員長代理 ほかの先生方の後に。

○鹿野委員長 それでは、小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。よろしくお願いいたします。

まず、法務省民事局の波多野参事官には、成年後見制度の課題に向けた取組ということで御説明いただきまして、やはり既にあるものをさらに使いやすくしていただくということが本当に大切だなと思っています。

また、そうしたものなども視野に入れながら、今、お答えもいただいておりました、新たな権利擁護支援策の構築に向けた持続可能な権利擁護支援モデル事業の実施、これを検証していただくという、まさに連携が必要なところというのがよく見えてまいりました。

これからということでありますが、例えば、どんなスケジュールで、どんな市町村にお声をかけていくのか、あるいは、その検証結果を私たちが見ることができるのか、その辺りも、ぜひ教えていただきたいと思います。これが1点目です。

あと、すみません、もう一つあります。どなたにお答えをいただければいいか、迷いながらの質問になりますが、身元保証等高齢者サポート事業のサービスの利用者が個人として相談をするときには、どこに相談をする、そんな流れを想定されているかということが気になっております。

ガイドラインでは、事業者が相談窓口をつくる必要があるということを書いてございます。必要だと思いますけれども、消費者がサービス利用者としてといった場合には、どんな道筋があるのかということです。

消費者ホットラインというのが入り口になるかなと思うのですけれども、相談や対応の内容はどのように共有されて、そして、その事例がどのように積み上げられていくのかということが大変気になっています。

一番よくないのは、やはり相談者がたらいまわしになってしまう、そして、社会全体で見たら、せっかくの相談情報が、次のまた別の相談に生かされないままになるというのは、本当にもったいないし、やはりそういったものを生かしていくという仕組みづくりが必要かと思いまして、お尋ねをしました。コメントだったり、質問だったり、少し混ざってしまって恐縮でございますが、以上でございます。

○鹿野委員長 1点目は、どなたに。

○小野委員 それでは、恐れ入りますが、厚労省社会・援護局の火宮様にお願いしてもよろしいですか。

○鹿野委員長 それでは、火宮室長、お願いします。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室火宮室長 モデル事業についてのお尋ねですけれども、まず、これは自治体に対して、こういった補助事業がありますということを御紹介しておりまして、実施を希望する自治体のほうから手を挙げていただくスキームになっています。

今、補助金の協議を行っている状況でして、この調整がつき次第、自治体においても取組を進めていただく、そういう感じですと、まず今年度は、準備の段階に時間がかかったり、早ければ取組が進んでいるのだと思いますけれども、ですので、検証につきましても、今年度というよりは来年度以降になるのでは、と考えております。

また、その結果につきましては、我々のほうにも検討会などありますので、そういった場で、また議論をしていただくものと思っております。

○鹿野委員長 2点目は、和田課長からお願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 ありがとうございます。

ガイドラインにおいては、事業者が、まず一元的な相談窓口を明示すべきということを書かせていただいておりますけれども、今後、こうした業者が活動していくに当たり、各種の問題が生じた際には、従前の相談窓口、各種行政の側での相談窓口に、御相談いただくことが考えられます。

先ほど御紹介いたしました厚労省の取組の中でも、消費者委員会の建議を受けた後、我々としても、現在は、まだ直しておりませんが、身元保証等高齢者サポート事業の概要と、それに係る問題の相談、何らか消費者に係る問題があれば、消費生活センターに御相談すべきということを、これまでも従前よりも周知してきているところでございますので、その対応については、改めてこのガイドラインができましたら検討してまいりたいと考えております。

以上です。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 消費者庁でございます。

今、和田課長から御説明がありましたように、事業者の責務として基本的にはトラブルがあったときは事業者に相談する。その窓口を設けるように、このチェックリストは、ガイドラインに入っているところでございます。

今、先生から御質問があった、消費者がどこに相談すればいいのかというところ、各行政機関もあります。まず、消費者は、お困りごとがあったら消費生活センターに御相談くださいというのは、これまでも変わらないところでございます。

ですので、お気軽に消費者の皆さんで、特にガイドラインができますと、要は、標準的にこういうことが望ましいというのが、ある意味今回示されることになるものですから、消費者の方もそれを見ながら、では、こういうことに、今、実際にこういうことで困っているということが相談しやすくなるかと思います。ぜひお気軽に各地の地方自治体に設置されている消費生活センターに、御相談いただければと思っております。

一点だけ、和田課長から、消費者庁でということで、補足をさせていただくと、消費者の方の相談窓口は各地の自治体に設置されている消費生活センターになりますので、少しここは補足させていただければ思います。よろしくお願いいたします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 大変失礼いたしました。

○鹿野委員長 小野委員、よろしいですか。

○小野委員 どうもありがとうございました。よく分かりました。

おそらく、成年後見制度に関わって、いろいろな相談を受けたり、それに対して返していくということでいうと、法務省民事局の波多野様のほうが、そういった具体的な窓口とか、そういった事例をどうやって積み上げて制度に返していくかということがお分かりかと思うのですが、その辺りの御示唆などがありましたら、ちょうだいしたいのですが。

○鹿野委員長 それでは、波多野参事官、お願いします。

○法務省民事局波多野参事官 法務省の波多野でございます。

現行の成年後見制度についてのトラブルといいましょうか、相談ということになりますと、家庭裁判所で実務が行われておりますので、家庭裁判所に行くのが一般的かなという気がいたします。

そのほか、市区町村でも成年後見制度について取り組んでいただいておりますので、そちらにもある程度情報が集まっているのかなと思います。今回の法制審議会におきましては、最高裁判所にも入っていただいておりますし、現場での情報に詳しい社会福祉士さんとか、弁護士さん、司法書士さんにも入っていただいていますので、その辺りから情報をいただきながら、制度の課題を見つけて、それに対してどう対応していくかということを審議いただくのかなと思っているところでございます。

以上でございます。

○小野委員 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

何点か教えていただきたいのですけれども、まず、意見といたしましては、厚生労働省さんのガイドラインについてです。

パブコメは終わったのですね、今後、案が取れたものが出てくるとは思うのですけれども、やはりガイドラインの限界を感じております。

身元保証制度ではないのですけれども、一般の賃貸住宅用保証会社について、まだまだ建設的でない企業がいることが事実です。消費生活センターが苦情案件につき保証会社に問い合わせても「ガイドラインなので」と言って、何の対応もしない事業者がいます。身元保証制度においても同様なことがおこるのではないかという懸念があります。生活苦から、一時的に代金などを払えない人たちが、例えば部屋を追い出されてしまって、住まいを失うような、そういう事態が今後起きてくるのではないかというところに、心配があります。

質問ですが、ガイドラインからかなり逸脱した経営を行っているような場合とか、また、事業者の通報が入った場合に、厚生労働省さんとして何か今後対応をお考えなのかというところを、まず、1つ目としてお聞きしたいと思います。

また、身元保証サービスについては、お金を集めるだけ集めてしまって、倒産をしてしまったという企業が実際にあります。今後、例えば供託制度などを使って、そういうことが起きた場合に、預けた費用が少しでも戻ってくるような仕組みづくりをするように等を促すなどについて、御検討をいただけるのかということをお聞きしたいと思います。

また、重要事項説明書について、交付は努力義務となっているのですけれども、こちらについては、できれば、もう少し強い文言で、必須ですということを書いていただければと期待するところです。

それから、法務省に質問です。成年後見制度についてなのですけれども、まだまだ周知、認知度が高いとは思っていません。一層の周知をお願いしたいと思います。

今、消費生活相談を受けた際に、御存じがない方については、後見制度について、お話をさせてはいただいているのですけれども、やはり負担がかかるということで、諦めざるを得ない方がいらっしゃるのですね。成年後見制度を利用するにあたり費用負担について、今後何か御検討をいただけないかというところをお聞きしたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、まず、和田課長、お願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 まず、3点、御質問をいただきました。

今回のガイドラインにつきましては、これは策定の経緯上も申し上げましたけれども、現行法制上、もしくはあり得る判例等を基に、こうした業者が守るべき事項ということを取りまとめさせていただいたところでございまして、この規定事項も基本的には、現行法もしくは判例等に基づく規定を、まず、ガイドラインとして示させていただいた。

ただ、そのことにも当然一定の意味があるものだと考えておりますが、まず、我々といたしましては、このガイドラインを策定し、これが策定されましたら、その実効性確保に向けて、また、引き続き検討してまいりたいと思っております。

個別の御相談については、厚生労働省として対応できるもの、それは、介護、医療法令に関わるものであれば対応できますが、それを超える民法、消費者保護法上の問題ということについては、別途の相談窓口になるということだと思っております。それが1点目の質問です。

2点目、倒産をした際の保護、これは大変申し訳ありません、我々厚生労働省としての所掌範囲は超える部分になると思いますが、まず、このガイドライン上は、こうした資金区分の必要性や金銭上の管理について、この業者が守るべき事項が規定されていると承知しているところでございます。

重要事項説明書、このガイドライン上も当然望ましいとして規定させていただいておりまして、それを強めるべきということの御意見としては承りたいと思いますが、まずは、このガイドラインを規定し、その施行状況も踏まえながら考えていくべき事項ではないかと考えております。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、波多野参事官、お願いします。

○法務省民事局波多野参事官 法務省民事局の波多野でございます。

成年後見の認知度が低いというのは、御指摘をいろいろいただいているところかと思いますので、引き続き周知を頑張るというところになるのかなと思っているところでございます。

もう一点、費用負担のお話をいただいたところでございます。費用負担の中身によるところかなと思いますが、まず、成年後見制度の申立てをするためには、裁判手続を使いますので、裁判所に一定の印紙、数百円ですが印紙を納めていただき、また、郵便切手等、数千円ぐらいの程度の費用が最初に必要になります。

あと、判断能力が下がっている方に対する制度ということで、それが、精神上の障害によるものだと民法上なっておりますから、お医者さんにかかっていただいて診断書を取っていただくなどということが必要になってくることから、当然それに伴う費用が発生するというのは、申立て段階での費用としてあるところかと思います。

これは、判断能力が下がっていることによって、裁判所を通じて保護制度を利用するということからしますと、一定程度利用者のほうで御負担いただくというのが、今の立て付けになっているところかなと思いますし、これを国民負担にするというのは、多分、また違う話なのかなというところかと思います。

もう一点言われておりますのは、おそらく後見人に専門職がついた場合の報酬の問題かと思います。

ここは、もともと成年後見制度をどういう制度として捉えるかによって、ある程度見方が違ってきているところかなと思いまして、民法上は、やはり財産をお持ちの方の財産保護、管理のための制度ということが出発点であることから、その方の財産を管理する以上は、その方の財産から費用を負担しましょうというのが、民法の基本的な発想でございまして、そこを変えるかどうかという問題は、かなり大きな論点かと思いますので、なかなか簡単にこの原則を変えるのは難しい部分もあるのかなとは思ってはおりますが、いずれにしても報酬の在り方、付与の額の算定の仕方も含めて、今回、成年後見制度の見直しの中では、一応議論は必要になってくる部分はあるのかと思いますが、どこまで行けるかというのは、難しい部分もあるかもしれませんというところが、今の段階でお答えできるところかと思います。

以上でございます。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 1点、厚生労働省から訂正させていただきます。

○鹿野委員長 和田課長、お願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 重要事項説明書については、重要であるという規定ぶりになっております。私、望ましいと言いましたので、そこだけ訂正させていただきます。

以上です。

○鹿野委員長 柿沼委員、よろしいですか。

○柿沼委員 はい、分かりました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 大澤です。お三方とも、御説明いただき、ありがとうございました。

ガイドラインについて、これをどのように実効性の確保をするかというのが大事であるということは、今まで多くの委員から御意見がありましたので、あまり同じようなことは繰り返さないほうがいいかなと思っております。

内容も拝見しましたけれども、本当に細かなことを言い出すと、基本的には消費者契約法の内容に沿ってあるいはほかの法律に沿って、契約締結ルールなども書かれているということは十分理解できました。

もちろん、細かなことを言いますと、いろいろ気になるところがないわけではないのですが、問題は、このガイドラインをどのように実効的なものにしていくかというときに、例えば、これは、もう少し強制力があったほうがいいのではないかとか、いろいろな御意見があるかもしれませんが、まずはガイドラインをつくるという形をした上で、例えば、今日、資料4のほうで御説明をいただきました、要は自治体との関係で、資料4の左側のほうの2番の「事業の概要・スキーム、実施主体等」というところで、右側の2番のほうは、自治体のほうが、要は民間による支援を受けられない方などを対象に、何かサービスを提供すると、支援するということだと理解したのですが、この左側の1番のほうで「包括的な相談・調整窓口の整備」ということで、この中に民間事業者等が提供するサービスなど、そういう地域の社会資源を組み合わせた包括的支援のマネジメントということで、これは、公的支援だけではなくて、民間事業者によるサービスも想定されているのかなと思いました。

それで、契約の履行状況の確認等を行うコーディネーターの配置をしたと書かれておりまして、ここは1つポイントではないかと思っています。

そのガイドラインをつくって、もちろん私たち利用者が、このガイドラインを見ると言っても、なかなか事業者も、このガイドラインは、チェックリストは確かにできてはいるのですが、きちんとこのとおりにやってもらっているだろうかと、利用者側だけが判断するのは難しいので、あとは事業者が、このガイドラインになるべく忠実に従ってやってもらっているかどうかということを、やはり事業者だけにお願いするのではなくて、やはり誰かが、この事業者がちゃんとやってくれているかというのを見る人というのが必要なのではないかと思っています。

その1つが、このここに書かれている市町村なのかなと、私は思ったのですが、そういう理解で間違っていないかということを伺いたいです。

要は、ガイドラインは、つくりっぱなしではなく、もちろんそのつもりはないのでしょうが、それをきちんと事業者が従っているかどうかということを、いざ紛争になって、例えばこういうトラブルがありましたと、消費生活センターに来ましたという段階ではなくて、もっと事前の段階で、このガイドラインをちゃんと事業者が見てやってくれているかどうかというのを、どうやって検証していくかということが、ひとつ必要なのではないかと思いました。

その関係で、資料の4番にある、1番のほうの、要はコーディネーターということが書かれているのですが、こういったことが何か1つのきっかけになるのかどうかという、私の理解が間違っていないかどうかというのを教えていただきたいです。

もう一点ですが、すみません、時間が押しているところ申し訳ないのですが、ガイドラインの中で、本人の判断力が低下したときということで、要は成年後見の利用というのを進めるという話が、たしか書かれていたと思うのですが、補助ということで、補助をもう少し判断力を低下して保佐と書かれたと思うのですけれども、こういう成年後見制度の、特に法定後見のほうの活用との関係というのは、この民間サービスの場合は、やはり重要になってくるのではないかと思っております。

これについては、法務省に伺ったほうがいいのかもしれませんけれども、今、法定後見制度は、そもそも3類型の見直しということもやっていると伺っています。

他方で、法定後見制度は、やはり本人の意思に基づいてつけるというのが、やはり原則だと思いますので、民間事業者が本人の判断力の低下を見たときに、法定後見をつけたほうがいいのではないかと考えたときに、押し付けにならないというのはすごく大事だと思います。ガイドラインでもそこは書かれていると思うのですが、この辺りを今後法務省さんのほうで、どのようにお考えなのかというか、一方で、法定後見を利用促進というのも、国のプランとしてあると思うのですが、他方で本人の意思というのも尊重しなくてはいけないところがありますので、そこのバランスをどうお考えなのかというのを伺いたいです。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、1つ目の御質問について、火宮室長。

○厚生労働省社会・援護局地域福祉課成年後見制度利用促進室火宮室長 1つ目の御質問に対する回答ですけれども、こちらで配置するコーディネーターに対して、今回、策定した事業者のガイドラインのチェックといったことまでを求めているものではありませんが、おっしゃるとおり、そういったコーディネーターの方がガイドラインの履行状況などを確認できるのであれば、それは望ましいようにも思います。

一方で、市町村側もこれからモデル事業を実施するということでもありますので、あまり負担を重くしてもということもあります。そういったことができるのかどうかも含めて、モデル事業を通じて、また、自治体からの声なども聞きながら考えていきたいと思います。

○鹿野委員長 それでは、波多野参事官、お願いします。

○法務省民事局波多野参事官 法務省民事局の波多野でございます。

法定後見制度の利用の促進と御本人の意思の尊重というところかと思いますが、基本的には、やはり本人の意思を尊重しながら利用を促進していくということかと思いますので、そこはあまり変わらないのかなと思っております。結局、現場レベルでは、御本人の意思をどうやって探求していただくかということが重要になっていくのだと思いますけれども、制度としては、本人の意思を尊重し、制度を利用しやすくしていくという見直しの議論がされているということかなと思っているところでございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。

○大澤委員 ありがとうございます。大変よく分かりました。

最初に鹿野委員長がおっしゃっていたと思うのですが、身元支援サービスを受ける方というのが、例えば、家族の身寄りがいないとか、そういう方だったり、あるいは本人の判断力も徐々に低下してくる可能性がある人ということもありますので、やはり周りのサポートというか、そういうものは、自治体も含めてですけれども、コーディネーターも含めて考えていく必要があると思っております。

以上です。どうもありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

先ほどの柿沼委員の御質問に対して、森課長、何か御発言があるように伺いましたが。

○金融庁監督局総務課森課長 柿沼先生から、お金を預かっているのだから供託制度とかが考えられるのではないかという御指摘をいただいたと思います。ガイドラインを中でも議論したときに供託についても検討いたしましたが、御承知のとおり、供託については法律の定めがない限り、利用できないということのようです。なお、これはサポート事業者と金融機関、あまり性質は似ていませんけれども、例えば○○ペイさんといった資金移動業者や、プリペイドカード事業者、前払式支払手段の発行者、は資産保全として供託をしております。これは、法律上、供託をするとなっているものの、供託だけではなくて、銀行などとの保証契約あるいは信託契約によって資産保全をすることも認めており、必ずしも供託と信託とで、どちらかが劣後するということはないと思います。

ただ、供託は法律がないとできないということで、今回、信託というのを書かせていただいておりますと、それが26ページに載っております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

高齢者のサポート事業に関してですが、例えば法律で規制するとか、今回のガイドラインを作成するだけではなくて、やはり経済自体にインセンティブを与えるとか、何か手数料を持たせるみたいなことは、あり得るのかなと思いまして、これは多分、金融庁の金融審議会などでも、金融機関に対して非金融サービスも含む、高齢者の相談窓口になるといいみたいなことが述べられていると思いますが、例えば、金融ジェロントロジーとかということがあると思いますけれども、例えば、銀行に、これは、先ほど供託金がとかという問題もあったと思いますので、銀行に優良な業者だけ紹介させるみたいな、そこで手数料を取るとか、高齢者であれば、多分多く持っているだろうと、不動産のリバースモーゲージとかリースバックとかにも多分つながると思いますので、何かしらそういったパス、ルートでより優良な事業者のみが残ると言ったら変ですが、そういう形が何か取れると思うのですけれども、なかなかそういったことが進まないのは、なぜなのかなと思っておりまして、やはり地方銀行が、結構だんだん厳しくなるという中で、そういった手数料収入だとか、何かしら、これまでの住宅ローンとかと違うような、手数料収入みたいのがあると思うのですが、何かしらそういったものに関しての動向とかがございましたら、また、なぜ、そういったものが進まないのかというのがありましたら、お教えいただきたいと思いますが。

○鹿野委員長 こちらは、森課長、お願いします。

○金融庁監督局総務課森課長 どうもありがとうございます。

先生御指摘のとおり、大手金融機関とか、一部の地銀などでは、こういった高齢者サポート事業者と連携して、手数料を取っていろいろ支援をしていこうという動きがございます。

それは、やはりなかなか地域の貸出しでは競争が激しいですし、有価証券運用といっても、必ずしもうまくいかないということの中で、投資信託を売って販売手数料を取るというのもありますけれども、一方で、こういった地元の方々のお役に立ちつつ、手数料をいただくというのは、1つあるのではないかと思います。

そのような取組が始まっていると認識しておりまして、その点、先ほど少し申し上げましたけれども、ガイドラインやチェックリストができることによって、金融機関の経営判断ではございますし、なおかつ必ずしもみんな優良な事業者ということではないのだとすると、何か一律に、先ほど黒木先生からおっしゃっていただいたような、全銀協の考え方に高齢者サポート事業者については認めるというように、社会福祉協議会と同じような形に位置付けることは少し難しいのですけれども、一方で、金融機関側で、このガイドラインとかチェックリストを見て、例えば、信託契約などは望ましいとなっているのですけれども、事業者の中では、信託契約でちゃんと保全していたり、個々のお客さんごとに保全しているような事業者さんもいらっしゃるので、そういったところのよしあしを見て連携して、手数料を取っていくことはあろうかと思います。

いずれにいたしましても、全銀協さんなどとは定期的に意見交換みたいな場もありますので、このガイドラインができたことと、あるいはこれを使って、こういったことができるのではないか、といった話は進めていきたいと思っております。

○星野委員 ありがとうございます。

そうしますと、ぜひ、その検証というか、表彰制度とか、何かしらランクづけといったら変ですけれども、こういった特定の質を満たしているような業者が分かりやすくなるような形で、何かしら告知されるような形があると望ましいと思います。

ありがとうございます。

○鹿野委員長 中田委員、お願いします。

○中田委員 時間もないので、手短にお伝えいたします。

冒頭で、黒木委員長代理からの御発言にもあったと思いますが、ガイドラインの対象についてですが、高齢者等終身サポート事業者ガイドラインの対象が、身元保証サービスと死後事務サービスの両方を提供する事業者に限定されていること。また、日常生活支援サービス提供事業者は適用対象外とされていることになっておりますが、今回のガイドラインの対象外である、いずれかのサービスだけを適用している事業者あるいは利用者はどれくらいの割合であると把握されていらっしゃいますか。

また、将来的には、いずれかのサービスを提供している事業者を含め、ガイドラインの適用対象を広げていく議論などはされているかということを、まず、1点伺いたいと思います。

2点目としては、やはり契約が複雑で預託金ありが約8割ということで、高齢者の契約時の面談にチェックリストを活用しながら利用者に意思能力を確認した上で、丁寧な説明を努めると言及されていますが、やはり理解力には限界もあると想定され、例えば、異業種ではありますが、契約期間が長期にわたる生命保険や金融商品の場合、70歳以上の高齢者の勧誘時には全て一括で、対面で親族あるいはそれに該当する人の同席のもとの重要事項説明や意思確認を行っているという状況であると思いますが、そのような一定年齢以上の高齢者の契約時の同席者の必要性について、ガイドラインで言及する必要性について、議論をされたことはありますでしょうかということが2点目です。

3点目は、お願いで、成年後見制度を含め、身元保証高齢者サポート事業の啓蒙を強化していただいているということでありますが、啓蒙時には、ぜひ、メリットだけではなくて、デメリットや利用時の注意事項も同時に透明性高くお伝えいただいた上で、利用者が最適な判断ができるような状況を、ぜひつくっていただきたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、和田課長、お願いします。

○厚生労働省老健局認知症施策・地域介護推進課和田課長 まず、私のほうから、非常に難しい御質問をいただいておりますけれども、お答えさせていただきます。

まず、このガイドラインの適用範囲の問題でございますけれども、ここは、私も御説明させていただきましたとおり、また、ガイドライン資料2の4ページを御覧いただきますと、確かに、ガイドラインの直接の対象は身元保証等サービスと死後事務サービスを提供する者としつつ、他方、高齢者に対する支援は、身元保証等サービスと死後事務のみというより、必ず日常生活支援等も附随して行われることが多くございますので、次のページに挙げておりますサービス全般的に、このような支援に関わる関係者についても、このガイドラインを参照することが望ましいという書きぶりにさせていただきますし、実際ガイドラインとして出した一定の効果は、そうした方にも及ぶのではないかと考えているところでございます。

ただ、先ほど400事業者と申し上げましたが、それがどのような分類になっているか、そこまでは、我々も把握はできていないところでございます。まず、1点目でございます。

2点目、これは、さらに難しい御質問をいただきまして、契約締結時、我々としてもしっかり判断能力があり、その上で推定相続人への説明とか、契約に当たって取ったほうが望ましい手続とかは書かせていただいておりますが、同席を求めるかという議論は、基本的には、この契約対象者は身寄りのない高齢者が対象でございますので、そこまでの議論は、なかなか難しいのではないかと考えたところでございます。

以上でございます。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

現実を踏まえた上で、現状できるところということで、十分理解いたしました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ほかは、いかがでしょうか。本日、原田委員からは、まだ御発言がありませんが、何かございましたら、お願いします。

よろしいでしょうか。それでは、時間もかなり経過しましたので、取りまとめを簡単にさせていただきたいと思います。

本日は、高齢者サポート事業等に関する政府の取組に関し、様々な関係省庁の方々から御説明をいただき、ありがとうございました。

取りまとめといっても、少し私の意見も入るかもしれませんけれども、まとめてみたいと思います。

まず、第1にガイドライン案についてです。

先ほども言及したとおり、当委員会では、平成29年に建議を発出し、関係省庁に対して、いわゆる身元保証等高齢者サポート事業の実態を把握すること、事業の健全化、適正化と消費者被害の防止を図ること、それから、病院や介護保険施設の入院、入所において身元保証人等がいないことは、入院、入所等を拒否する正当な理由に該当しないということについて周知するとともに、正当な理由のない入院、入所拒否が生じないよう措置を講ずること等を求めておりました。

このたびの高齢者等終身サポート事業者ガイドライン案は、その後の状況や各方面の意見も踏まえて、契約の締結、履行、事業者の体制などの項目ごとに検討を加え、遵守すべき法律上の規定や留意事項を整理したものであり、身元保証等高齢者サポート事業の適正化に向けた政府の取組の一環として評価することができると思います。

このガイドラインについては、幾つかの観点から御指摘をいただきました。

まず、これを活用し、実効性を確保するという観点からの御意見をいただきました。

1つ目は、事業者への周知ということについてです。

ガイドラインの実効性を確保するという観点からは、事業者に対して十分に周知をするということ。また、事業者からの問合せ等に対応できるよう、ガイドライン、各項目の担当省庁あるいは問合せ先を明確にして、政府の対応体制も確保すべきだと考えます。

ガイドラインでは、事業者が遵守すべきことについて、あるいは望ましいことについて書いてあるわけですが、これがまだ浸透していない段階では、これを守りたいけれども、どうすればいいかという具体的な相談等もあろうかと思いますので、ぜひそのような問合せに対する対応ということをお願いしたいと思います。

2番目に、事業者だけではなくて、もちろん消費者への周知ということも重要だと思います。ガイドライン案で示されている項目は、利用者が事業者を選択、判断する際の目安ともなり得るものでございまして、消費者に対しても、その内容について十分な周知を行うことが、消費者被害の防止という観点からも非常に重要であると思います。

一方で、このガイドラインの限界あるいは今後の政府の対応に関する要望という観点からの御意見もいただきました。

まず、ガイドラインの状況に応じた改定あるいは少し特化した分野については、もう少し詳しくガイドライン等を示す必要があるのではないかという御意見等もございました。

それから、これは今後の状況を踏まえたところではあろうかと思いますが、今後におけるさらなる検討についてです。ガイドラインは、現行法の枠内での留意事項等を整理されたということでしょうけれども、少なくとも今後、ガイドラインの周知等を進めても、なお、消費者トラブルが減らないという場合には、より立ち入った業法あるいはその他の法律の整備についても検討すべきであると考えます。

特に、冒頭私からも質問という形で発言させていただきましたが、悪質事業者については、ガイドラインだけでは、その出現と、それによるトラブル発生を阻止することは困難であろうかと思います。

もちろん、既存の法律で手当てできる部分が全くないとは言えませんけれども、かなり限られた範囲でしか対応できず、例えば、営業停止等その他の強力な措置は難しいかと思います。

本日、特に黒木委員長代理等からも御発言いただきましたとおり、悪質事業者が出て来得るということを前提にした検討を今後お願いしたいと思います。

それから、金融取引等、お金を預かるという点については、特に遵法精神に富んだ事業者としても、どうしたらいいのかというところが、今後問題になると思いますし、あるいは、逆に悪質事業者が、そういうお金を扱うところのルールの不備をついて、対象高齢者を狙い撃ちしないとも限りません。そういうことで、ガイドラインの精緻化を図っていただくとともに、必要に応じて法的なルール整備を、今後、御検討いただきたいと思います。

次に、不当な入院、入所拒否がないようにということについて、改めて確認をさせていただきたいと思います。

先ほども申しましたが、入院による加療が必要であるにもかかわらず、入院に際して、身元保証人等がいないことのみを理由に、医師が患者の入院を拒否することがあってはならない。これは、当委員会の平成29年の建議でも触れていたところですが、先ほど厚労省からの御説明にもあったように、平成30年の厚労省の通達でも、その旨が示されていたところでございます。

これは、とても重要なことだと思いまして、ガイドラインが、その趣旨を否定しているわけではないことは、もちろん承知しているのですが、ともすると、医療機関等で身元保証人が求められるのが当たり前であるような誤解を招くおそれがあるのではないかという指摘も聞かれ、危惧しているところでございます。そのような誤解はあってはならないことであり、引き続き、当該通達の趣旨を周知徹底していただき、入院等の不当な拒否が生じないよう、対処をお願いしたいと思います。

続きまして、成年後見の見直しに向けた検討状況についても、本日、法務省から御説明をいただきました。

一定の期間や、必要な範囲に限定した代理権、取消権の付与とか、あるいは本人の状況に合わせた成年後見人の交代等、多様なニーズに対応できるように制度の柔軟化が検討されているということでございました。

また、高齢者の意思決定を尊重するという、これは従来からそういう考え方ではあったとは思いますが、それをさらに中心に据えることが基本的な考え方として整理されているように思われます。

私も、本人の意思の尊重ということ自体は、あるべき姿であるとは思います。ただ、一方で、くれぐれも抽象的な理念が先行して、実際に現場で生じている消費者被害の防止や被害回復に支障を来すことにならないよう、十分御配慮の上で検討をお願いしたいと思います。

成年後見制度の見直しについては、これも非常に高齢消費者の問題と関わりが深いので、今後の政府の他の取組とも併せて、引き続き当委員会でも注視していきたいと思います。

次に、モデル事業に関してです。厚労省からは、本日、資料4を用いて身寄りのない高齢者に対する公的支援に関するモデル事業についても御説明をいただきました。

このようなモデル事業は有益な取組と考えられ、今後、モデル事業実施の中で見えてきた課題を整理して、それを踏まえた上で、言わば全国的な制度化に向けた取組が行われることを期待しているところです。

その際、本日も御発言もありましたように、重層的支援体制整備事業など、他の施策とどのように接合あるいは統合していくかというところも重要だと思います。限られた予算や人員等の範囲内での効率という視点も踏まえ、せっかくのモデル事業ですから、今後、課題も含めて整理して、活用を進めていただければと思います。

最後に、冒頭でも申しましたように、当委員会では、身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議を平成29年1月に出したところでございますが、その発出から7年以上を経て、本日御説明いただいたように、いろいろと情報を収集して検討されたということは理解したのですが、しかし、いまだに消費者保護の仕組みという観点から言うと、十分ではないということを憂慮しているところでございます。

今後、高齢者の単独世代の増加がますます見込まれるという状況を踏まえると、これ以上の対応の遅延ということは許されないと思います。

その意味で、本日御報告のあった取組が、この問題に関する今後の改善の契機となって、さらに課題を検討し、さらなる次のステップにつなげていただければと思っております。

消費者委員会としましては、本問題の解決に向けた政府の今後の取組を注視しつつ、今後も必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

本日御出席いただきました皆様におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


《3. 閉会》

〇鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の日程につきましては、決まり次第、ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)