第435回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年6月3日(月)13:10~15:24

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、星野委員、山本委員
  • 【説明者】
    消費者庁 依田審議官
    消費者庁食品表示課保健表示室 今川室長
    消費者庁消費者政策課 尾原課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 「機能性表示食品を巡る検討会」の取りまとめについて
  2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者基本計画工程表の改定案について)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

定刻になりましたので、ただいまから、第435回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、星野委員、山本委員は、テレビ会議システムにて御出席です。

それでは、本日の会議の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 「機能性表示食品を巡る検討会」の取りまとめについて》

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日最初の議題は「「機能性表示食品を巡る検討会」の取りまとめについて」です。

機能性表示食品制度とは、国の定めるルールに基づき、事業者が食品の安全性と機能性に関する科学的根拠などの必要な事項を販売前に消費者庁長官に届ければ、機能性を表示することができるという制度です。

これは、特定保健用食品、いわゆるトクホとは異なり、国が審査を行いませんので、事業者は自らの責任において科学的根拠を基に適正な表示を行う必要があります。

消費者委員会では、機能性表示食品の制度の創設の際、食品表示基準の改正について諮問を受け、附帯意見をつけた上で、これを認める旨の答申を行いました。

そして、その後も附帯意見の対応状況や制度の運用状況について、消費者庁からヒアリングを行うとともに、消費者基本計画及び消費者基本計画工程表の検証・評価・監視に関する審議等を通じて、機能性表示食品に係るフォローアップを毎年実施してきました。

本年4月22日に当委員会が発出した次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見の中でも、機能性表示食品の課題への対応の必要性について指摘しております。

消費者庁は、小林製薬の紅麹原料を含む機能性表示食品において、健康被害が生じていることを踏まえ、機能性表示食品制度の今後の在り方を検討するため、機能性表示食品を巡る検討会を開始してきましたが、先日、その議論が取りまとめられたと伺っております。

また、その後、5月31日には、紅麹関連製品への対応に関する関係閣僚会合において、政府の対応方針が取りまとめられたと伺っております。

そこで、本日は、それらの取りまとめの内容について、消費者庁より御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁食品表示課保健表示室の今川室長に会議室にて御出席いただいております。

また、御予定次第ということではありますが、14時頃に消費者庁の依田審議官が会議室にて参加されると伺っております。本日は、お忙しいところありがとうございます。

それでは、今川室長から20分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁保健表示室長の今川でございます。本日は、貴重なお時間をいただきましてありがとうございます。どうぞよろしくお願いいたします。

それでは、まず、資料1-1をお願いします。画面に出ておりますね、ありがとうございます。

資料1-1でございますけれども、先週金曜日5月31日に関係閣僚会合の第2回が行われて、その際の取りまとめの概要が1枚ペーパーになります。

資料1-2のほうに、今後の対応ということで文書としてお出ししているものがありますが、資料1-1はその概要版という形になります。

この資料1-1を使って御説明させていただきたいと思います。

まず、左と右に分かれていまして、左のほう、当面の対応ということです。右のほうが今後の対応でございます。

まず、当面の対応として①から④まで書いてございますけれども、①としては「食品衛生法上の措置の対象となる製品の特定」。これは、厚生労働省の分野でございますけれども、今回の小林製薬の3製品を除いて食品衛生法第6条2号に該当しないということが確認されておりますということです。

それから、②番「健康被害の原因の究明」でございますけれども、これも厚生労働省の分野ではございますが、まず、プベルル酸のほか、2つの化合物が含まれることが分かっております。

四角にポツが3つございますけれども、まず、工場内の青カビ、これが培養段階で混入し、コメ培地を栄養源としてプベルル酸を産生したと推定。

それから、青カビが紅麹菌との共培養、一緒に培養したときに、一緒に育つことができるという、その共培養によりモナコリンKを修飾して、2つの化合物が生成されたと推定というところでございます。

次に、③でございますけれども「今回の事案を受けた機能性表示食品制度の今後の在り方の検討」ということで、まず、一番上のポツですけれども、7,000件全ての届出について、消費者庁が届出者に対して調査してまいりました。

その結果、健康被害の発生及び拡大のおそれがある、こういった場合としては、短期間に特定の製品への症例の集積が見られる状況などが考えられますけれども、今回は、直ちにそういう状況と判断できるものではなかったというものでございます。

それから、消費者庁では、機能性表示食品を巡る検討会を設置し、報告書を5月27日に取りまとめているところでございます。

④番「その他の取組」としまして、これも厚生労働省の分野ではございますけれども、日本腎臓学会を通じて189例の症例を公表して、昨年12月から今年の3月に集中して、症例の初診日が集中しているという状況です。患者の8割は対象製品の摂取を中止することで症状が改善するなどの傾向があると。

それから、近位尿細管の障害が生じたと推測される。こういった現状、当面の対応がございます。

こういったことに基づきまして、次に右側、今後の対応でございますけれども、まず、大きく4つに分かれてございます。

1番目、2番目が比較的大きな事項です。

まず、1番目でございますけれども「健康被害の情報提供の義務化」でございます。

ここは、現状、ガイドラインに記載していたり、あるいは努めることというように努力義務になっていたところではあるのですけれども、医師が診断したものに限って当該食品との因果関係が不明であっても、速やかに消費者庁長官及び都道府県知事等に情報を提供することを、食品表示基準における届出者の遵守事項とするというものでございます。

提供期限につきましては、重篤度等に対応した明確なルールを設けると。

ピンクのところですけれども、こういったことを食品表示法に基づき、遵守事項とした場合には、これを遵守しない場合には、指示・命令等の行政措置が可能になるというものでございます。

それから、食品衛生法におきましても、食品衛生法の施行規則におきまして、先ほど申しましたように、努めなければならないとされている努力義務規定なのですけれども、これを食品衛生法施行規則において、機能性表示食品については、義務付けを行うといったものでございます。

ピンクのところでございますけれども、こうした情報提供の義務化によりまして、営業の禁停止などの行政措置が可能になるというものでございます。

それから、その下ですけれども、集まりました健康被害の事例につきましては、引き続き、厚生労働省に集約し、医学・疫学的に分析・評価を行った上で、定期的に結果を公表というものでございます。

それから、大きい2番でございますけれども、機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置ということで、まず「(1)GMPの要件化」でございます。

現在GMPは、推奨されるということになってございます。機能性表示を行うサプリメントについては、GMPに基づく製造管理を食品表示法に基づく内閣府令である食品表示基準における届出者の遵守事項とするというもの。

次ですけれども、届出者が自主点検を行うと。そうした自主点検を踏まえて、消費者庁が食品表示法に基づく立入検査等を行うというものでございます。

それから(2)番としまして「その他信頼性の確保のための措置」といたしまして、5つほどポツがございますけれども、まず最初に、新規の機能性関与成分につきまして、専門家の意見を聞く仕組みの導入、それから、届出時の確認をより慎重に行う手続を表示基準に明記。

次のポツですけれども、届出後の定期的な自己評価・公表など、届出後の遵守事項の遵守を要件化。

それから、PRISMA2020を現在推奨しているのですけれども、令和7年4月からの新規届出に導入することとしております。

それから、事後チェックのための買上げ調査事業、現在、年間100件ぐらい行っているのですけれども、その対象件数の拡充を行うというものでございます。

それから、トクホとの違い、あるいは摂取上の注意事項、こういった記載方法などにつきまして、表示の方法や表示位置などの方式の見直しを行うものでございます。

それから、大きい3番は「情報提供のDX化、消費者教育の強化」でございます。

それから、4番「国と地方の役割分担」でございますけれども、現在、国と地方で役割分担をしているところです。これは、主に厚生労働省の分野になってまいりますけれども、輸入食品であれば、厚生労働省検疫所が対応すると、国内に入ったものあるいは国内であるものについては、都道府県知事等が対応すると役割分担をしているところですけれども、基本、その仕組みを維持しつつ、①、②とありますけれども、緊急性の高い事案であって全国的に対応が求められるもの、こういった場合のうち、発生機序が不明であり高度な調査が必要という場合には、今回のように、必要に応じて国が対応するというものでございます。

それから、その下の青いところですけれども、「食品表示基準の改正について、消費者委員会への諮問やパブリックコメントなどの所定の手続を経て、可及的速やかに公布し、」というところでございます。

あわせて、厚生労働省の食品衛生法の分野でも、食品衛生法施行規則の改正も同時期に公布・施行を行うものでございます。

それから、一番下の大きいⅢ番でございます。「今回の事案を踏まえた更なる検討課題」ということでございますけれども、今、厚生労働省が行っている健康被害の原因究明を進めつつ、科学的な必要性がある場合には、本件及び同一の事案の発生を防止するための食品衛生法上の規格基準の策定や衛生管理措置の徹底を検討すると。

それから、トクホについても、今、御説明申し上げました健康被害情報の義務化ですとか、GMPの要件化、そういったことについて速やかに検討するというもの。

それから、信頼回復のために、届出者による表示の適正化等の自主的な取組を促進するということ。

一番下でございますけれども、サプリメントに関する規制の在り方、それから、許可業種や営業許可施設の基準の在り方などについても検討を進めるというものでございます。

ひとまず、資料1-1の御説明は以上でございますけれども、あと、資料1-2も今の御説明とほぼ一緒になりますので、その次、資料1-3をお願いします。

資料1-3は、5月27日に機能性表示食品を巡る検討会の最終的な報告書が出ましたので、その報告書を添付してございます。

まず、開いていただいて「Ⅰ はじめに」というところでございますけれども、計6回検討会を行いまして、15の個人、団体から延べ19件のヒアリングを行って、議論を積み重ねたところでございます。

続きまして、2ページ目、3ページ目、お時間の都合で、この辺りは、今の制度と運用についての御説明ですので省略させていただいて、5ページ目「Ⅲ 提言」のところからお願いします。

まず「1.制度全般及び検討会の射程」ということで、大きくは3つございます、2)の①、②、③というところでございますけれども、まず①は、健康被害情報の行政機関に対する提供ルールの在り方。

②番としましては、サプリメント形状の加工食品の製造加工及び品質管理の在り方。

③番としては、情報伝達が重要であり、その在り方の議論が必要ということで、大きくこの3つについて議論がなされてきたというものでございます。

続きまして、6ページ目でございますけれども、3)番として、こういった議論をするに当たっては、厳格化し過ぎることにより、その他のいわゆる健康食品に戻ってしまうということに陥らないように留意すべきということの御意見もいただいています。

4)としては、法制的な着地点としては、現行は届出ガイドラインにより行われているというものでございますけれども、やはりその場合の行政措置が必ずしも明確ではないということもありまして、届出ガイドラインの内容を必要に応じ見直し、法令に明確に規定することが適当であるというものでございます。

これらを踏まえて、次に「2.提言」というところでございます。

先ほど申しました3つの大きな論点ごとに提言がありますけれども、まず、1つ目の「(1)健康被害情報の収集、行政機関への情報提供の義務等」ということで、これは、先ほどの関係閣僚会合とほぼ同じなのですけれども、6ページの一番下から7ページの一番上のほうで、食品表示基準、これは内閣府令ですけども、あるいはその委任を受けた内閣府告示に規定していきながら、対象事案、提供期限なども規定していくべきと。これらを遵守しない場合、指示・命令などの行政措置の発動が可能になるというものでございます。

7ページの2)でございますけれども、対象としては、サプリメントだけでなく、全ての機能性表示食品を対象とすると。

それから、3)医師において、当該症状が、当該食品に起因するまたはその疑いが否定できないと判断した健康被害情報とすると。

症状の重篤度、因果関係に関する届出者の評価にかかわらず、速やかに消費者庁及び都道府県知事等に提供するというものでございます。

その下の「なお」のところで、個人の同意が必要になる範囲について、あらかじめ検討しておくことが必要であるという御意見。

4)、これは提供期限の明確なルール、例えば15日とか30日というイメージですけれども、そういうルールについて定めるべきであると。

5)ですけれども、そして集まった情報について行政機関が公表する際に、症状の重篤度や当該製品との因果関係、健康被害の発生及び拡大のおそれの程度を踏まえた一定の基準が示されることが重要であるというものです。

6)にポツが2つありますけれども、最初のほうのポツ、医師が判断した健康被害情報について、消費者庁において、医師、薬剤師、管理栄養士等から幅広く収集できる仕組み、こういうものの検討が必要と。

その次のポツですけれども、届出者においては、3)に該当しないような健康被害情報であっても幅広に収集・保管と、発生のおそれがある場合には自主回収等の適切な対応を取る必要があるという御意見です。

続きまして、8ページです。

8ページの(2)は、GMPのことになります。「製造管理及び品質管理等」です。

現在は、通知なりガイドラインなりで推奨されているという状況あるいは強く望まれると規定されていますけれども、これについては、やはり法的義務とすることが適当であるというものです。これは、サプリメント形状の機能性表示食品についてというものでございます。

それから、実際に導入に当たっては、HACCPに沿った衛生管理が義務づけられていることを踏まえて、現在のGMP通知を基本とすることが現実的であるというもの。

それから、真ん中辺から「また」以降ですけれども、届出成分のみならず、それが含まれた成分全体の製品規格において設定している最終製品との同等性や同質性について、できる限り確保していくことが重要であるということ。

それから、そういった原材料についての受入れ段階で、当該原材料の成分全体の同等性、同質性の考えを基本として対応すると。表示責任者である届出者の責任において実施させるべきであるというものです。

それから、8ページの下のほうの2)ですけれども、届出者がGMP遵守を自己点検できるように、消費者庁のほうで分かりやすいチェックポイントなどを準備する必要があるというもの。

それから、8ページ、9ページの上のほうですけれども、消費者庁に定期的に報告をいただきながら、消費者庁が必要に応じて食品表示法に基づく立入検査を行う仕組みの検討というものでございます。

それから、9ページにポツが幾つかありますけれども、例えば、一番上であれば「中小企業等による」というところで、自主的な取組を促進すると。

それから、菌体のような特殊な原材料を用いる場合のリスク管理に関する科学的知見の集積というところ。

それから、4つ目の黒ポツで、消費者庁が立入り等を行うに際して、届出時に示された成分全体の同等性、同質性を担保し得る仕組みの構築、それから、立入検査の結果等を消費者が容易に把握し得る公表の方法などにも御意見をいただいています。

それから、9ページの(3)、表示の在り方になります。機能性表示食品に関する情報伝達の在り方ということで、1)のところで、9ページの下にポツが3つありますけれども、医薬品でないことですとか、摂取上の是非というのを、趣旨を明らかにするとか、あるいは一番下、摂取をする上での注意事項、これについては、医薬品や他の成分と相互作用などを具体的に記載する必要があるというものでございます。

それから、10ページでございますけれども、2)特定保健用食品と誤認されないようにという観点でございますけれども、機能性表示食品という用語と届出番号を近接させるべきとか、それから、その他のいわゆる健康食品とは異なって、ウェブサイトにおいて情報が確認できますということを明確にすることも必要ではないかといった御意見。

それから、トクホのように食品自体に特定の保健の目的があるかのように誤認させる記載等を禁止事項とすることの御意見でございます。

それから、3)でございますけれども、これは、消費者教育の強化あるいは情報提供のDX化、4)ですね、そういった御意見でございます。

それから、11ページの「その他」のところで、新規に届出をされる食品のみならず、既に届出がされた食品に対しても適用させるということ。

それから「また」のところですけれども、医学や薬学等の専門家の意見を聞く仕組みを導入ですとか、それに当たっては、必要に応じて60日よりも長い期間とする手続の見直し、そういったことを守らないと、機能性表示ができなくなる仕組み、こういった御意見がありました。

それから、真ん中より下のほうですけれども、特定保健用食品についても、こういったことを適用すべきとの御意見。

それから、サプリメント形状の加工食品に関する規制の在り方。

そういったことの御意見をいただきつつ「最後に」ということで、一番下ですけれども、事業者が連携して上記の提言に自発的に取り組むことを強く期待したいとの意見があったというものでございます。

これが、巡る検討会の報告書でございます。

それから、巡る検討会の中での資料の1つなのですけれども、資料1-4というのがございます。

この1-4は、現行の表示事項が、まず書いてあります。(1)として「安全性に関する事項」が主に4つあって、(2)として「それ以外の事項」というのがあります。

こういったものが現行の表示事項なのですけれども、こういったものの見直しについて言及をいただいて、今の検討会の報告書に記載のあるような、トクホではないとか、医薬品ではないとか、あるいは摂取上の注意事項をもう少し具体的といった御意見が報告書に反映されているというものでございます。

ひとまず、私からは以上でございます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は40分程度でお願いします。いかがでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

食品のことですので、今村から、まず、質問をさせてもらいたいと思います。

まず、今回、資料1-1で提示していただいた対策、少なくとも私から消費者庁にお願いしてきたような項目は、一通り対策として入れていただいておりまして、対策の内容としては評価したいと思います。

企業からの報告を義務化していただいたこと、食品衛生法にも載せてもらったおかげで、罰則も明確になったこと。

そして、GMPを法律上位置づけるということ、そういったことをやっていただいたことは大変ありがたいと思います。

その上で、幾つか質問なのですけれども、まず、報告の部分ですけれども、企業から消費者庁や保健所への報告をしていただいているのですけれども、実際、この診断したお医者さんに問合せをするというステップが、保健所なりに必ず必要になってくると思うのですけれども、このお医者さん側が個人の情報をどれだけ、そのときに説明できるかという問題があると思います。

食品衛生法上は、医師が保健所に報告して始まるので、保健所から医師への問合せというのは、問題なくできるわけですけれども、このフレームだと医師への問合せや調査というのが、まだ難しいように思うので、そこの部分の調整というのが、例えば、医師から保健所への報告をできるだけやっていただくという対策が取れるのかということを、ぜひ教えてもらいたいことと、この項目の中で、国民生活センターにもかなり消費者の皆さんから問合せや、医師の診断を受けたのだけれどもということが来ていると思うのです。国民生活センターから、その企業なり、保健所なりに連絡していくということの枠組みというのは考えられないかというのが、この報告に関しての質問であります。

もう2つあります。

次の1つがGMPの問題で、今回GMPを義務化するというところまで踏み込んでいただいたのは大変すばらしいことだと思うのですが、健康食品GMPは、まだ、医薬品のGMPに比べるとかなり緩いところがあって、今回の小林製薬の紅麹の事件でいうと、本当に健康食品のGMPで防ぐことができたかというと、まだ緩いのではないかと思います。

今後、健康食品GMPをもう少し厳しくしていくことは考えられるのかというのが、2つ目の質問です。

3つ目として、今後の検討課題に入れていただいていますけれども、サプリメント形状の食品に対しての何らかの規制というのは、今後、前向きに考えていこうという状況なのかどうかについて、教えていただければと思います。

以上、3点について教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、今川室長、お願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、報告でございますけれども、基本的に、今、食品衛生法の施行規則の中で機能性表示食品にかかわらず、全体として、今、施行規則で努力規定がかかっているところで、別表17のところで、医師が診断したものについて、営業者が入手した場合には、保健所への報告、都道府県知事等の報告に努めることといったところでございます。

基本ここは維持したまま、今回、機能性表示食品に特化して、そういった報告があった場合には、都道府県知事への報告を行うというところを、まず、食品表示基準のほうで担保していくと。

それと同じ平仄をそろえる形で、食品衛生法のほうでも施行規則で担保していくというものでございます。

御指摘いただいた、医師から保健所へ御連絡が取れる、対応が取れるようになるかどうかというところですけれども、ここは、今後、医師会とも相談しながらということかなと思っておりますけれども、そういった流れが滞りなくなるように、厚生労働省とも相談しながら努めてまいりたいと思っております。

それから、国センのお話をいただきました。ありがとうございます。

まず、消費者からの報告が入った場合には、基本的に医師の診断を仰ぐことを相談者に対して言うという形になっております。

そうした中で、消費者庁としても、そういった情報について、これまでも適切に扱ってきたところですけれども、必要があれば、厚生労働省に情報共有したりといったところで、対応を現時点で行っているところでございます。

基本的に、そのやり方を維持しつつ、今後、巡る検討会の報告書の中でも、そういったできるだけ幅広く収集する仕組みの検討が必要ではないかという御意見もいただいておりますので、そういった仕組みについても検討してまいりたいと考えております。

それから、健康食品GMPを今回導入するに当たって、まず、そもそも健康食品GMPの中身が少し緩いのではないかといった御指摘をいただきました。ありがとうございます。

これは、実行可能性の面もあろうかと思いますので、まずは、現行のGMPの通知に基づいて行っていく必要が、まず、あろうかなと思っております。

そういった運用をしていく中で、どういったところが、今後、改善が必要なのかというのが、これは消費者庁が立入りを行っていこうと思っておりますので、そういった立入りなどの状況を見ながら、少しずつ事業者の進捗も踏まえて検討させていただきたいと思っております。

それから、機能性表示食品だけではなくて、サプリメントの規制の今後の在り方でございますけれども、これも巡る検討会の報告書あるいは5月31日の関係閣僚会合の取りまとめの中にもございますけれども、今回の原因究明なども踏まえて、引き続き検討させていただくということで考えてございます。

ひとまず、私のほうからは以上でございます。

○鹿野委員長 今村委員、いかがですか。

○今村委員 ありがとうございます。

幾つか確認なのですけれども、例えば、国センの話を、今までもルール上はそうなっているはずだということでしたけれども、国民生活センターに、この前ヒアリングへ行った際に、保健所や厚労省に連絡するというケースは、ないというような話を聞いていましたので、今までたくさんの事例があったはずなのに、現実には行われていないのではないかということを考えています。

ですので、ルールとして、それを進めるようなルールがあるのかもしれませんけれども、実際には動いていないという問題があると思っています。

GMPに関しても、まだ緩い、実効性の問題があるからというのもよく分かります。でも今回で言うと、原料で起こっていたことなので、工場だけではなくて、原料にまでGMPがしっかりと及ぶようにということを明確にしてほしいと思っています。

あと、サプリメントについても検討が始まりそうだということは理解いたしましたけれども、では、どのように規制するのかというのが、分かるならば、ぜひ早いうちに情報提供してもらいたいと思います。

今村からは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

すみません、専門ではないのですが、少し気になったところがございまして、食品衛生法上の対応ということで、情報提供の義務化により、営業者が情報提供の義務に反映した場合は、営業の停止・禁止となっているのですけれども、これは、よく分かっていないのですが、この営業というのは、何を指しているのでしょうか。例えば、食品衛生法だと、食中毒を起こすみたいなことがあったとして、それを情報提供しないとみたいなことは分かるのですが、この場合だと、製造者が多分違うと思うのですが、まず、今、今村先生がおっしゃったような話とも関連して、誰が責任を負うのか、誰が停止処分になるのかということについて、すみません、あまりよく理解できませんでしたので、例えば、この場合だと、小林食品がみたいなことなのですけれども、製造者なのですか、それとも、例えば小売なのでしょうか、例えば、たまたま小売の方が店舗で、小売の方に対しての医師から何かしら紹介が来ることはないと思うのですけれども、すみません、ここら辺の用語の定義がよく分からなかったので、教えていただければと思います。

○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、結論から申しますと、届出者ということになろうかと思っています。食品表示法の食品表示基準に基づきます機能性表示食品につきましては、まず、届出者が、いろいろな資料を携えて届出をいただくということになります。

したがいまして、まず、表示基準上は、その届出者に全ての責務が発生するというものと考えています。

つまり、カプセルなどをつくる工場にGMPを義務づけるのですけれども、その義務づけるというところは、しっかり担保できているのかというのを届出者側で届出事項として、GMPがしっかり担保できていますというところの工場でつくっているということを、資料の中で伝えていただく必要があるということになります。

したがいまして、まず、食品表示基準上で遵守事項に反していた場合は、届出者に対して食品表示法の中で指示・命令などの行政措置を行っていくことになります。

同じように食品衛生法のほうも、これは届出者になります。したがいまして、食品衛生法のほうは、GMPというよりは、健康被害情報のほうに限定ですけれども、食品衛生法のほうで健康被害情報の義務規定について、違反した場合には、食品衛生法のほうの営業、届出者も何らかの営業を行っている営業者になりますので、その営業の許可や一時停止などの食品衛生法上の処分ができるようになるというものでございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 星野委員。

○星野委員 具体的に、この営業というのは、製造と販売を停止するということですか、例えば、製造業者であって生産者ではない場合、あとは、例えば、これとはまた別に、多分、プライベートブランドなどでも、最近は機能性表示食品などがあると思いますけれども、この営業の禁止・停止というのは、具体的に、すみません、製造業者の場合は何に当たるのでしょうか。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 ありがとうございます。

食品衛生法の場合は、健康被害情報の報告の義務化をかけますので、健康被害情報の報告の義務に、その義務を履行しなかった場合に、営業者、この場合、届出者が営業者になりますので、その営業者に対する何らかの措置ですね、この措置は、その事例事例によって、都道府県知事等がどういう措置を行うかということにはなろうかと思いますけれども、その営業者に対して営業の一部停止なりを行っていくというものになります。

どういう措置を行うかは、その事例事例で少し異なってくるかなと思いますけれども。

○星野委員 分かりました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

大変短期間の間に一定の方向性を出していただいたということについては、大変な努力だったのだろうなと推察しております。その点については、国民の食の安全に向けての非常に熱意を持った対応だと考えております。

ただ、私も食の専門家ではないので、少しそもそも論みたいな、分かっていないところがありますので、少し教えていただきたいのです。機能性表示食品は、届出で始まるということなのですけれども、行政手続法第37条では、届出というのは結局、当該法令により当該提出されている機関の事務所に到達したとき、手続上の義務が履行されたものであるとされています。ところが、今回は、食品基準の改定により、例えば、先ほど言われたGMPのところの遵守といった義務を新たに課すことをどう考えるのでしょうか。しかも、既に認められているものについても、GMPの遵守という義務を課すべきであると書かれております。

そうすると、行政手続法の届出と今回の、報告書の中の11ページでは「新規に届出される食品のみならず、既に届出された食品に対しても適用させることが適当である」と書いてあるわけですけれども、今回の食品表示基準の改正による事業者の義務化というところを、どのように整理されているのかという点が、まず分からないのが第1点です。

第2点ですけれども、先ほど星野委員の御発言にもあったのだと思いますが、OEMで機能性表示食品を販売している事業者は多いのではないかと思っております。

小林製薬の場合は、自社でつくられていたということは、報道で理解しております。そこで、まず、届出者が自ら製造しておらず、OEMで製造している件数はどれくらいあるのかということと、その委託先のOEMのところが、GMPを取得している割合は、現在どれくらいあるのかということについても、数字等ございましたら教えていただければと思っているところです。

食品表示法と食品基準の改定という枠の中では、やれることを一生懸命考えられているのだろうと思うのですけれども、食品表示の世界で、本当に食品の安全がどこまで確保できるのかということについて、少し疑問があるものですから、今のような質問をさせていただいたところです。

以上です。

○鹿野委員長 2点御質問がありますので、お願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、1点目ですが、今回、食品表示法の内閣府令である食品表示基準に位置づけるというものを想定しているのですけれども、まず、今回普通に売っている食品に対して、いわゆる健康食品として売っているものに対して、上乗せで機能性表示を行いたいという事業者がいるわけでございますけれども、そういった事業者にあっては、その機能性を表示するに当たって守るべき事項が、まず、あるというものになります。

その守るべき事項について、表示するに当たっての資料、こういう資料を提出してくださいと書いてあるわけでございますけれども、その遵守事項の中に、提出していただく資料の中に、こういった健康被害情報の報告をすることですとか、サプリメントの製造工場については、GMPを義務として行っていくことというのを、守るべき遵守事項の中に書いていくと。

つまり、それを守らないのであれば、表示できませんよということになりますので、上乗せで表示したい方々は、この遵守事項を守ってくださいという中の基準として位置づけていくと考えてございます。守らなければ表示ができないということになります。

それを事前の資料の中で、提出された資料に全てそろっていれば、届出がなされたとみなされると思いますし、その資料が入っていなければ、要は製造過程でGMPを行っていますという資料なり、報告を行うことの確認が取れなければ、そもそも提出していただく資料が満たしていないということで、届出が履行できないと考えてございます。

それから、新規ではなくて既に届出をされている、これは、およそ7,000件の届出がございますけれども、その人たちに対しては、既に届けられていますので、届出時に見ることは無理となりますけれども、いわゆる更新制のようなものを考えておりまして、例えば年1回遵守していますというのを報告してくださいということで、その報告がなければ、届出をしていいですと言っている遵守事項を満たしていないということで、報告がないので満たしていない、遵守事項がないので表示してはいけませんと、一般食品で売ってくださいという遵守事項の中で、そういった更新制みたいなものの中で確認をしていくということを想定しております。

それから、2点目でございますけれども、おっしゃいますとおり、届出者が自ら行っているというよりは、様々なところの協力を得て、届出者がそれを利用している方々というのはたくさんいらっしゃると思っております。

我々は、届出者が、どのようにそれぞれの資料なり、それぞれの会社を利用しているのかというところまでは、特に、我々は、それぞれ個別に確認をしているところではございませんけれども、1つの報告としては、事業者団体の方々にお伺いしますと、まず、GMPの導入が、今回必要だと言っているところ、今まさに民間GMPを取っているところが大体200工場ぐらいあるとお伺いしております。

実際、その200工場がまず中心になって、そこから、さらに民間認証も取っていないところがどのぐらいあるかなのですけれども、そこを今後できるだけ把握しながら、消費者庁も進めていきたいと思っておりますけれども、民間によりますと、大体その倍ぐらいか、つまり500とか600とか、そのぐらいではないかとお伺いしているところでございます。ただ、ここは確固たる数値とかがあるわけではございませんので、今後、消費者庁のほうでも、届出事項の確認などの中で、実際に立入検査とかも行く予定でございますので、それに該当する工場というのが、どういうところが、どのぐらいあるのかというのを把握してまいりたいと思っております。

以上でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

また、いろいろと、もう少し議論が進んできたときに、もしかしたら御質問するかもしれません。まずは、ここでありがとうございました。

○鹿野委員長 ほかに、いかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 今川室長、御説明ありがとうございます。

コメントと御質問を1つ申し上げたいと思います。機能性表示食品制度は国の審査がなく、企業からの届出制であるということは、事業者と国、事業者と消費者の間の絶対的な信頼関係を前提としている設計制度であると思います。

その上で、これまでの制度では、事業者に求められる責任、例えば報告義務の要件や時期、製造過程のGMPの要件化や、定期的点検の必要性あるいは表示義務等に関して定義が不明瞭な点もあったと思いますが、今回の小林製薬の事案を踏まえて、法令上の取扱い、消費者庁をはじめ、各省庁が求める企業の規模もより明確になることが期待されると感じております。

その上で、事業者の皆様には、ぜひ改めて品質保持と説明責任が可能な体制整備、社内プロセスを整備していただければと思いますし、まだ不明瞭な点があるということであれば、積極的に関係省庁との議論をお願いできればと思います。

また、2点目といたしましては、今回のインシデントが広く報道されていることにより、機能性表示食品に対しての国民の皆さんの関心が高まっている今だからこそ、消費者庁には情報提供や消費者啓蒙を、プル型のコミュニケーションの消費者庁のホームページをどのぐらいの方が御覧になっているか、一般の方ですね、企業ではなくて、一般の消費者が御覧になっているのかという情報を持ち合わせていないのですけれども、プッシュ型のコミュニケーションで多くの国民の目に触れるメディアや医師や専門家などの信頼度の高い方々に情報発信の協力を仰ぐというようなアプローチも、ぜひ検討いただければと思います。

その上で、商品購入時以前ですね、店頭ではなくて、平時の段階で、日常生活の中で機能性表示食品の正しい概念とか、摂取時の注意事項を幅広く浸透させることが不可欠だと思います。

重要なことは、機能性表示食品全般の不信感とか、不買につながらないということは重要だと思います。確実に要件を満たして、透明性の高い情報提供義務を果たしている機能性表示食品も多々あると思います。ただ、それを消費者が判別できるような適切な情報提供や啓蒙により、消費者自身が安心して必要な商品を、意思を持って選択して購入できるという状況をつくることが不可欠ではないかと感じました。

最後に1点だけ質問ですが、包装容器上の説明表示を場合によっては、目視確認ができない、例えば、ECの販売時とか、ECではかなり輸入サプリメントも取り扱われていると思うのですけれども、その場合の表示義務はどれほど厳格化、あと販売時の責任などは、御検討いただいているのかということについて、お伺いできればと思います。

○鹿野委員長 御質問も含まれていましたので、それでは、お願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、消費者への教育のことが、今、御指摘いただいたところでございます。これは、先週金曜日の関係閣僚会合の取りまとめでも、あるいは巡る検討会の報告書でも、ここは非常に強く御指摘いただいたところでございますので、この辺りは、様々な工夫をしていきながら、消費者に対して正しく理解して買っていただけるように、まさに表示事項の見直しも含めて検討してまいりたいと考えております。ありがとうございます。

それから、インターネットなどの販売時に、表示事項についてですけれども、基本的にここは、この機能性表示食品にかかわらず、全ての食品について同様ではないかというところではございますけれども、これについてもネットでの表示の仕方とか、それも、今、別の場で、表示全般の場で議論を、昨年行いました表示全般の議論の中でも、そういった御意見をいただいているところでございますので、そういった御意見、また、今、いただきました御意見を踏まえて検討してまいりたいと考えております。

以上でございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

それでは、原田委員、お願いします。

○原田委員 ありがとうございます。

先ほどの黒木委員長代理の御質問と重なるところがあるのですが、今回の御提案は、現行法の枠内で可能な工夫を試みているという点で、高く評価できると思います。

他方で、GMPの問題ですとか、もはや表示ではないようなものまでが、その義務の中に入ってきているようにも見えまして、食品表示法という枠をもう超えているようなものも含まれているような気がいたします。

この際、食品表示法自体の目的を変えるようなこともお考えになっているのか、あるいは、目的は変えないけれども、このような製造管理みたいなものも食品表示法の枠内に含めて、今後とも含めていくという、そういう方針をお持ちなのか、その辺りをお聞かせいただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 先ほどの黒木委員長代理の御質問とも関連するところですが、いかがでしょうか。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、食品表示法の法目的自体を変えていくという考えは、現在のところございません。

その中で、それを踏まえてなのですけれども、先ほども少し御説明申し上げましたように、今回は、機能性の表示を行いたいという方々に対する上乗せの規制になると考えてございます。

したがいまして、上乗せの表示を行いたい、つまり機能性の表示を行いたいという人が守るべき基準として、食品表示基準上で機能性表示食品の基準上に、こういったGMPを義務として規定していくというものでございますので、GMPは、消費者庁が立入検査で確認していくと考えてございますけれども、その消費者庁での確認も専門家等の御知見もいただきながら進めてまいりたいなとは思っておりますけれども、あくまでも表示の中で遵守事項として規定して守っていなければ、表示をしてはいけませんと。一般食品では販売できますけれども、機能性の表示はできないということの遵守事項の1つとして位置づけるということを考えてございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 原田委員、何かございますか。

○原田委員 ありがとうございました。

おっしゃることは分かるのですけれども、あくまでも表示基準の中に含めることが本当にできるのかということですね、表示とは関係ないことについて、表示基準に含めるということが可能なのかということについては、慎重な検討が必要であるような気がいたしまして、将来的には、別途立法を考えるとか、あるいは食品表示法を発展的に変えていくようなことも考えるべきかなと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 今のは御意見ということでございました。

柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

コメントと、それから御質問をさせていただきたいと思います。

まず、健康被害の疑いがあることを報告できるのは、おそらく医師のみになるのではないかなと思っています。

ですから、医師からの情報提供はとても重要です。病院にかかる際、診療科にもよると思いますが、機能性表示食品の摂取について、問診票などに必ず記入するなどを、ガイドライン上などでも構わないかと思うのですけれども、入れていただきたいと思いました。

それから、自治体の消費生活センターに相談される方、これは、国民生活センターとは仕組みが違っていると思うのですけれども、自治体の消費生活センターに相談される方で、健康被害が発生している場合で重篤な症状、これは、大体全治3か月以上とか、決まりがあるのですけれども、そのときは消費者安全法に基づき、消費者庁のほうにすぐに報告する義務が課されています。それよりも重くないという場合には、PIO-NETに報告するようになっています。

この情報を、消費者庁の事故情報データバンクなどに登録されているかと思うのですけれども、その情報がかなり多いために、消費者が検索して見ることが大変です。消費者が検索しやすいように御検討いただければと思います。

そして、健康食品ですけれども、いまだに薬と言って相談に来る方もいらっしゃいます。これの要因として、製薬会社が製造しているので、薬と、健康食品と思わずに相談される方も、誤認している方もいらっしゃいます。

ここで確認ですけれども、製薬会社というこの名称は、法律に基づいて医薬品を製造している会社のみがつけることができるのか、ここを確認させてください。銀行の場合、銀行という名称は、必ず銀行法に基づいて、銀行以外のところが勝手につけてはいけないことになっていたかと思うのですけれども、製薬会社というのは、どうなのかなというところが、すみません、私は分からないので教えていただきたいと思います。

最後に、医薬品については、医薬品副作用被害救済制度というのがあるのですけれども、同じように、例えば、機能性表示食品についての被害救済制度などについて、今後検討されるのかということについて、教えていただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、健康被害の報告についてですけれども、これは、医師の診断が必要かなと思っておりますけれども、その場合、診断書がある、なしにかかわらず、医師の診断が必要とは思っておりますけれども、実際に報告する者につきましては、医師でなくても一般消費者あるいは医療関係者でも問題ないと思っております。ただ、いずれにしても、医師の診断が必要不可欠と考えてございます。

その上で、機能性のことを問診票に入れていただきたいということなのですけれども、ここは我々の制度の中で、問診票について入れます、入れませんというのは、ここで言及が難しいので、例えば、厚労省と相談しながらということになってくるかなと思いますけれども、必ずしも相談した場合であっても、入れられますというのは、なかなか御回答は難しいところでございます。申し訳ございません。

それから、PIO-NETあるいは自治体の消費生活相談センターなどへの情報、そういった情報のデータバンクについてのお話がございました。

消費者が検索しやすいようにしていただきたいということで、これは、ありがとうございます。消費者ができるだけ検索しやすいように、そういった情報について、検索をできるだけしやすいようにと念頭に置きながら、不断の努力を行ってまいりたいと思います。

それから、製薬会社という名称なのですけれども、すみません、今、この場でお答えが難しいです。薬機法の規定が、名称についてどのようになっているのかというところは、今、私は存じ上げておりません。申し訳ございません。

製薬メーカー、例えば、何々医薬品株式会社というところで、機能性表示食品を売っているところもたくさんございますので、まず、そういった実態はございますということのお答えはさせていただければと思います。それ以降の製薬会社の名称が、実際に、要は医薬品を売っていないところでも、そういう名称が使えるかどうかということだと思いますけれども、すみません、今、知見がございません。申し訳ございません。

それから、医薬品のような被害救済制度ということでございますけれども、現時点では、機能性表示食品であっても食品でございますので、食品について、そういった制度というのは、今のところ検討しているわけではございません。今、民間の、例えば食品衛生協会などで、そういった食中毒などが発生した場合への救済制度などの民間の保険などがございますので、現時点では、そういったことを御利用いただいているという状況でございます。

ひとまず、以上でございます。

○鹿野委員長 柿沼委員、何かございますか。よろしいですか。

○柿沼委員 すみません、残っている部分については、後ほどでも構いませんので、ぜひ教えていただければと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、大澤委員からお手が挙がっているようですので、少し予定時間を超えていますが、大澤委員からお願いします。

○大澤委員 すみません、では簡潔に質問と意見を申し上げたいと思います。御報告いただきましてありがとうございました。

私、食品制度について全くの素人ですので、見当違いかもしれないのですが、まず、感想として持ちましたのは、途中に今村委員もおっしゃっていたかもしれませんけれども、いわゆる食品の形になっているものですか、機能性表示食品だと、例えばジュースとか、あるいはお茶とかでしょうか、そういうものと、いわゆるサプリメントとでは、例えば扱いが違う、あるいは違ってもいいのではないかというのが、まず、感想としては持ちました。

報告書の中の意見として、ヒアリングあるいは委員から出た意見の中にも、例えば、濃縮成分がサプリは含まれているのでということが書いてあって、なるほどと思っておりました。

あと、これは質問なのですが、資料1-1の右側の「2.機能性表示食品制度の信頼性を高めるための措置」というところの「(1)GMPの要件化」については、先ほど来、ほかの委員の先生からも御意見が出ていたのですけれども、(2)のところで、1ポツ目のところに、科学的知見を有する専門家の意見を聞く仕組みの導入等と書いてあって、要は消費者庁における届出の確認をより慎重に行う手続を、食品表示基準に明記ということで、これは、内容的に、例えば、届出時の確認ということになると、現状は届出を、もちろん、いろいろ証拠書類とか、そういうのを出して届け出るということだと思うのですが、それよりもう少し踏み込んで、例えば、専門家に意見を聞いたり、科学的知見の意見を聞いたりとか、そういうことも付け加えますということになっているという理解でいいのでしょうかということです。

そうだとすると、先ほど原田委員がおっしゃっていたように、これは食品表示というよりは、この機能性表示食品の制度の内容面をやや厳しくするようにも聞こえるのですが、信頼確保の観点では、確かに一消費者としては、そのほうが安心だなと思う反面、そのように厳しくなることになってくると、食品表示基準で済む話ではないように思いますし、あと、報告書の中で、これは多分委員の意見だったか、ヒアリングの意見の中で入っていたと思うのですが、要は機能性表示食品制度を例えば厳格化するということになってくると、結局、普通の何もついていない健康食品のほうに逃げてしまうという意見があって、それは、なるほどと思ったのですが、普通の健康食品のほうに逃げられてしまうというときに、普通の健康食品というのは、もちろん食品衛生法の問題はあるのでしょうが、そちらだと、こういった届出とかあるいはトクホのような制度はないので、むしろそっちが増えてしまうのは、それはそれでますますコントロールできなくなるという、そういう趣旨なのかということ、すみません、非常に初歩的な質問なのですが、それを伺いたいというのが質問です。

以上です。

○鹿野委員長 お願いします。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 消費者庁の今川でございます。ありがとうございます。

まず、いわゆるサプリメントと言われるものについて、ジュース、お茶と違っていてもというところは、明確に今回、健康被害の報告義務は、サプリメントにかかわらず、機能性表示食品全体と我々も考えて、そういった御指摘もいただいているところでございます。

一方、GMPの義務化とかは、一般食品ではなくて、やはりサプリメントという形態を何らか定義づける必要もあって、その中でサプリメントに該当する、しないというところで、GMPをかけていくのかなと考えてございます。ありがとうございます。

それから、御質問をいただいた専門家の意見を聞く仕組みなのですけれども、これは、今まさに、どういったことを聞く必要があるかどうかというところを、消費者庁の中で、これから検討を、まさにしているところでございます。

例えば、巡る検討会なりの報告でも、巡る検討会の構成員の中からは、やはり表示についてしっかり消費者に、もっと訴求できるようにすべきだという、例えば摂取上の注意事項とか、そういったものについて、具体的に記載する必要があるという御意見もいただいているところでございます。

こういったところで、例えば、具体的にというときに、どういう具体の書き方が、医師なり、医療関係者なり、あるいは消費者なりに記載をしっかり訴求して、御理解いただきながら購入あるいは医師なり医療関係者の御指導ができるのかというところで、具体的な文言になってくると、例えば、我々のほうでは、科学的知見なども弱い部分がございますので、専門家の御意見をいただきながら、ふさわしいかどうかというのを確認いただいたり、そういった専門家の御知見が必要な部分がどうしても出てくるのかなと思っております。そういった確認を事前に、今回表示を変えるに当たっても、必要になってくるのではないかと考えているところです。具体的には、今後検討していきたいと考えてございます。

それから、巡る検討会の中でも、これをあまり厳格にしてしまうと、元のいわゆる健康食品のほうに行ってしまうおそれがあるので、それは、あまりよろしくないといった御意見があったというものでございます。

これは、いわゆる健康食品のほう、今回表示義務要件化、健康被害情報の報告の義務化なり、GMPの要件化を行いますと、例えば、GMPの要件化は、かなり高度な内容にもなってくるかもしれませんが、それが導入できない方、事業者さんは、機能性表示をしない、いわゆる健康食品のほうに戻ってしまうことが考えられるという趣旨でございますけれども、やはり、事業者さんが、GMPにしてもある程度取組をすることができる実効性を考えつつ、経過措置期間なども必要と思っておりますので、そういった期間の中で徐々に取組ができるような方向に、事業者さんにも消費者庁の立入りの中でアドバイスをさせていただいたり、そういった中で、この機能性表示食品としての取組ができるような仕組みで実効性を持たせて行っていきたいと思っております。

以上でございます。

○大澤委員 ありがとうございました。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

予定した時間も経過しましたので、これでひとまず、質疑応答を打ち切らせていただきたいと思います。

消費者庁には、御説明と意見交換への御対応をいただき、ありがとうございました。本日の御説明とそれを踏まえた意見交換について、若干、私自身の意見も加えながら、まとめをさせていただきたいと思います。

4月から開催されてきた機能性表示食品を巡る検討会では、ヒアリングを重ね、それを踏まえた議論も重ねて、今後の在り方の方向性について、提言が取りまとめられたということで御説明をいただいたところです。

具体的には、第1に健康被害情報の収集や情報提供等に関して、医師の診断がなされた健康被害情報について、届出事業者に対して速やかな行政への報告を義務づけるということ。

第2に、品質管理との関係で、GMP、つまり適正製造規範に基づく品質管理を義務化するということ。

そして、第3に、機能性表示食品に関する情報伝達の在り方に関して、医薬品や他の成分との相互作用と、安全性上の留意事項を具体的に記載するなど、表示の方法や方式の改善が必要であるということ。これらの大きく3つの提言が示されていました。

そして、関係閣僚会合で取りまとめられた政府の方針の中でも、今後の対応に関して、第1に、健康被害情報提供の義務化に関して、こちらは、厚労省マターも含まれておりますが、まずは食品表示法に基づく食品表示基準に係る情報提供を届出事業者の遵守事項として定めるほか、食品衛生法の施行規則において、機能性表示食品の届出事業者には、法的義務として定めるということ。

第2に、品質管理に関して、機能性表示を行うサプリメントについては、GMPに基づく製造管理を食品表示法に基づく食品表示基準において、届出事業者の遵守事項として定めるということ。

その他として、届出時の確認手続を食品表示基準に明記し、また、届出後の定期的な自己評価と公表などを届出後の遵守事項として要件化し、また、行政のチェックを強化するということや、その他、さらに消費者教育の強化等が記載されています。

これらは、機能性表示食品による健康被害を防止あるいは事故が発生したときの速やかな対応を促進するという意味で、従来の制度に対する前進であり評価できると思います。

しかし、さらなる今後の検討課題も残されているように思います。取りまとめの最後にも必要に応じて検討するという事項が掲げられており、それと一部重なる部分もありましたが、本日の意見交換でも幾つかの指摘がございました。

まず、今村委員、そして柿沼委員も同趣旨の御発言をいただきましたけれども、医師から保健所への情報提供ということについても検討すべきではないかということの御発言がありました。

それから、GMPに基づく製造管理の遵守事項化、義務化ということについて、それ自体はよいけれども、なお、医薬品と比べると、まだ緩やかだということで、より厳しい基準とすべきではないかという趣旨の御意見が、今村委員からございました。

さらに、これは検討事項として記載のあるところではございますが、サプリメントに関する規制の在り方については、今村委員や大澤委員からも御発言がありましたように、ぜひより具体的に今後御検討をいただきたいところでございます。

また、少し観点が変わるのですが、黒木委員長代理、そして、原田委員からは、機能性表示食品制度の仕組みに関し、行政手続法の届出制というところに言及されて、遵守事項の義務化と、それを遵守しない場合に、機能性表示食品の表示を行わないように行政措置を講ずるとされていることとの関係に関して質問が出され、消費者庁の現在の解釈について御説明をいただきました。

両委員からのコメントに係る部分にもありましたように、この点の質疑は、食品表示法、そして特にその中で機能性表示食品が届出制となっているわけですが、そういう現在の仕組みに関する根本的な問題意識も含まれていたように思います。

さらに、中田委員からは、これはコメントとして、事業者には、これを機に、体制整備等を進めていただきたいということとか、また、機能性表示食品への関心が高まっている、このタイミングをとらえて、一層、消費者等への情報提供、そして消費者教育を、消費者庁をはじめとする関係省庁に頑張ってやっていただきたいという趣旨の御発言がありました。

それから、柿沼委員からは、消費者が検索しやすいような情報提供をぜひお願いしたいという要望等も寄せられたところでございます。これらを踏まえて、ぜひ今後も御検討をいただきたいと思います。

なお、今後のことについて確認をしておきたいと思います。

本日御説明いただいた取りまとめを受けて、今後、食品表示基準、より正確には食品表示法の4条1項の規定に基づいて、食品表示基準を定めている内閣府令を改正するということになると思いますが、その改正の際には、食品表示法の4条2項及び6項に基づいて、当委員会に諮問がなされるということになります。通常であれば、食品表示基準の改正については、当委員会の下部組織である食品表示部会で審議を行っておりますが、今回は食品表示基準に関わる部分だけではなく、関係法令等との関連も確認しつつ、全体的な調査審議を行う必要がある、そういう重要な案件であると認識しております。

そのため、機能性表示食品制度創設時と同じく、当委員会の本会議においても、これに係る審議を行いたいと考えております。

消費者庁をはじめ、関係省庁におかれましては、引き続き審議への御協力をお願いいたします。

消費者庁の依田審議官、今川室長におかれましては、お忙しいところ本日の審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。どうぞ御退席ください。

○消費者庁食品表示課保健表示室今川室長 どうもありがとうございました。失礼いたします。

(依田審議官、今川室長 退室)


《3. 消費者基本計画の検証・評価・監視(消費者基本計画工程表の改定案について)》

○鹿野委員長 続いての議題は「消費者基本計画工程表の改定案について」でございます。

消費者基本法27条3項2号では、消費者政策の実施状況の検証・評価・監視について、結果の取りまとめを行おうとするときは、消費者委員会の意見を聞かなければならないとされております。

今回の消費者基本計画工程表の改定に当たっては、第428回本会議において、改定素案について消費者庁へのヒアリングを行い、意見交換を行ったところです。

消費者庁及び関係省庁におかれては、前回の意見交換やパブリックコメントの結果を踏まえて、工程表の改定素案についてさらに見直しを行い、このたび改定案を取りまとめられたと伺っております。

この改定案について、資料2-1のとおり、内閣総理大臣から意見が求められておりますので、本日は、改定案の内容について聴取の上、消費者委員会としての意見を取りまとめたいと思います。

本日は、消費者庁消費者政策課の尾原課長に会議室にて御出席いただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

それでは、10分程度で御説明をお願いします。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 消費者庁消費者政策課長でございます。このたびは、このような機会をいただき、ありがとうございます。

それでは、早速、資料2-2「消費者基本計画工程表の改定について」の資料で御説明をさせていただきます。

まず、表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。

「消費者基本計画及び消費者基本計画工程表について」でございます。今、第4期の消費者基本計画、令和2年度から令和6年度までの5か年を計画期間とする、第4期消費者基本計画につきましては、令和2年3月に閣議決定をしているところでございます。

そして、工程表でございますけれども、中ほどのところ、消費者基本計画に基づき、消費者政策を検証可能な形で体系的・包括的に推進するため、具体的な施策の工程表を策定しているところでございます。

今回、現行計画の最終年度、5年目になるわけですけれども、最終年度の工程表を改定いたしまして、今後の取組、ロジックモデルの策定等を実施しているものでございます。

続いて、2ページ目でございます。

2ページ目、現行計画第4期の消費者基本計画の構成でございます。

第1章で消費者基本計画について、第2章について現状と課題、そして、第3章で政策の基本方針とありまして、第5章のところでございます。「重点的な施策の推進」ということで、現行の第4期消費者基本計画は、5つの重点的な柱を立てております。

1つ目が消費者被害の防止、2つ目が消費者による公正かつ持続可能な社会への参画等を通じた経済・社会構造の変革促進、3つ目が新しい生活様式の実践、その他多様な課題への機動的・集中的な対応、4つ目が消費者教育の推進及び消費者への情報提供の実施、5つ目が消費者行政を推進するための体制整備でございます。

3ページ目でございます。

毎年度更新する工程表でございますけれども、今回、5年目の最終年度ということで、柱立ての5つの柱に対応して、14の重点施策をまとめております。これは昨年度と同じ構成にしております。

これにつきまして、今回、工程表の改定案をつくりまして、パブリックコメントを実施したところでございます。

では、続いて資料の2-3について御説明をいたします。

資料の2-3におきましては、消費者基本計画工程表のパブリックコメントの実施結果についてでございます。

表紙をおめくりいただきまして、1ページ目でございます。

パブリックコメントにつきましては、今年の3月15日から1か月間、任意の意見募集をさせていただきました。

提出意見の内訳でございますけれども、事業者・事業団体の方々、消費者団体の皆様、また、個人の皆様、無記名の方も含めて、合計260件の御意見をいただいているところでございます。

2ページ目、3ページ目にパブリックコメントの結果概要を載せております。例えば、意見内容として重点項目の5「食品表示制度の適切な運用と時代に即した見直しの検討」というところで、その意見の2行目のところですけれども、危機感が不足していないかと、機能性食品表示の重大事故を教訓に、この分野全体を大きく見直していく方向性の記載が必要ではないかという御意見をいただいております。

また、1つ飛ばして項目の10番でございます。「エシカル消費の普及啓発」の御意見のところ、下から3行目ぐらいのところでございますけれども、現在の取組というのは、エシカル消費醸成のための取組が大半を占めているが、消費者の倫理観に頼らない施策を同時並行的に企画実行することが重要であるという御意見をいただいております。

続いて、3ページ目でございます。

重点項目の13のところ、例えば「消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な推進及び地域における消費者教育推進のための体制の整備」のところでございますけれども、これにつきましては、消費者に対してデジタルリテラシーを高める消費者教育の推進をお願いしますという御意見をいただいております。

また、重点項目の14「地方消費者行政の充実・強化、消費生活相談のデジタル化に向けた地方公共団体への支援等」につきましては、消費生活相談員の人材不足が喫緊の課題となっておりますなどの御意見をいただいているところでございます。

このような意見等を踏まえまして、今日提出させていただいております、消費者基本計画の工程表案について、御審議をお願いできればと思います。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、これに関して意見交換を行わせていただきたいと思います。いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 小野でございます。

私からは、先ほど御説明をいただきましたパブリックコメントについて、お尋ねをいたします。

パブリックコメントは消費者にとって、意見が反映されるための大切な制度だと思っています。

先ほど寄せられた内容の概要や件数を確認させていただいたところなのですけれども、今期の特徴や傾向などがありましたら教えていただきたいと思います。

いずれにしても充実した意見を聴取しなければ、消費者の意見を反映したとはなかなか言えないものです。例えば、パブリックコメントのための取組とか工夫などがございましたら、そちらも併せて教えてください。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、尾原課長、お願いします。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 小野委員、御指摘、それから御質問ありがとうございます。

今回、5回目の工程表になるわけですけれども、今年、一番新規というところでいきますと、やはり機能性表示食品の重大事故を教訓に、その分野全体を大きく見直していく方向性の記載が必要といったような御意見、特に機能性食品についてのところが、素案の段階で入っていなかった、パブリックコメントの後に、そういう事案が生じたということもございます。それを踏まえて修正をしているところでございます。

ですので、先ほどの議題のところに消費者委員会で御議論いただいているようなところ、その方向性について、この工程表のほうにも入っているところでございます。

また、例えば、次の3ページ目のところでいきますと、消費者教育、それから、地方の消費者行政のところでございます。

「消費者教育の総合的、体系的かつ効果的な」というところで、やはりデジタルリテラシーを高めていく消費者教育の推進というところでございます。

これについては、昨今、それこそデジタル化の推進、飛躍的な発展によって、やはり消費者のほうもデジタルリテラシーを高めていく必要があるというところについて、改めて今後の課題になってくるかなと思っております。

さらには、地方消費者行政の充実・強化のところ、これは、従来より言われているところでございますけれども、やはり地方の消費者行政の現場が最前線であるということ、これについては、改めて我々としては重要な課題だと受け止めさせていただきまして、この工程表だけではなくて、ぜひ、来年度から新たに実施する、今後の次期の第5期の消費者基本計画にも、このようにいただいた意見をしっかりと検討する時の御意見として、我々としては受け止めさせていただければと思っております。

私からは以上でございます。

○鹿野委員長 小野委員、追加で何かございますか。

○小野委員 よろしいでしょうか。御説明ありがとうございました。

寄せられた内容について、それを反映していただいているということ、よく分かりました。

参考までに、件数などの変化というのはあるのでしょうか。私、消費者教育を専門にしておりまして、どうしたら、例えば大学とか、あと家庭科の教科書を書くときに、いわゆるエンドユーザーに届くかというのは、すごく気になるところなのですが、そういえば、自身を振り返ると、あまりパブリックコメントで意見を伝えようといった取組をしていなかったなと、そういう反省があります。

例えば、パブコメを書いて意見を表明しようという、そんな取組を一教員がやってもあまり大きな力にはなりませんので、消費者教育と連動するような形で、どのようにして自分の消費者としての声を反映させるかという、1つ何か大きなテーマになるのではないかなと思います。件数が気になりまして、もし、その件数が十分であれば問題ないのですが、そうでなかったら、どのような考え、御提案がいただけるか、私としては消費者教育との関係が1つかなと思いまして、お尋ねをした次第です。よろしくお願いいたします。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 小野委員、御質問ありがとうございます。

第3期、第4期と工程表を、10年前からやっているのですけれども、第3期も第4期も初年度と言うのですかね、始めのときから徐々に減少傾向にあるというところがございます。

例えば、令和3年度のパブリックコメントの数でございますけれども、327件でございました。その後、令和5年が276件、令和6年度が260件ということで、件数自体は300件前後というところはありますけれども、これが、前の第3期も同じような傾向がございまして、第3期は平成28年度が380件だったものが、徐々に右肩下がりといいますか、そういう形になって最終年度に近づく令和元年度については220件でございます。

これについても、件数自体は300件プラマイ100件のところでとどまっているということで、毎回消費者団体の皆様あるいは個人の皆様、それから事業者団体の皆様、それから事業者の皆様から多く意見をいただいているかなと思っています。

ただ、残念ながら年が重なるにつれて、右肩上がりにはなっていないという、そういう傾向はあるかと思います。

○鹿野委員長 小野委員、お願いします。

○小野委員 ありがとうございます。

具体的に件数を伺ってよく分かりました。一定数お寄せはいただいているけれども、全体としては、少しずつ下がっているところで言うと、これまでの聴取する対象みたいなものを少し広くするとか、年代を若い人にするとか、何かそういった仕組みを社会全体として講じないといけないなということがよく分かりまして、件数について教えていただきましてありがとうございます。

私からのパブリックコメントについてのコメント、それから質問は以上とさせていただきます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

私から少し伺っていいですか。先ほどの資料の2-3を使った御説明の中で、パブリックコメント結果の概要について御説明をいただいたのですが、今の件数ということに加えて、主な項目等について御案内いただきました。

そのうち、3ページの重要項目の12というところの「デジタル・プラットフォームを介した取引等における消費者利益の確保」に関して、御意見としては措置の件数を追記くださいという御意見があったということだったのですが、それについては、対応はなされなかったという理解でよろしいでしょうか。

もし、対応されなかったということであるとすると、どういう理由で対応されなかったのかということを教えていただければと思います。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 鹿野委員長、御質問ありがとうございます。

デジタル・プラットフォームのところについては、本日配付させていただいている資料の参考資料の2-3、ロジックモデルを御覧いただければと思います。

こちらの12番「デジタル・プラットフォームを介した取引等における消費者利益の確保」というのを見ていただければと思います。

このロジックモデルを見ていただきますと、やはりDPFにおける最終的なアウトカムは、取引DPFにおける消費者被害の減少でございます。

それのためには、何が変わるかというところで、この注記のところを御覧いただければと思います。

法の第3条に基づく取組を開示する取引DPF提供者の増加及び消費者による法の活用の促進というところでございます。ここを新しく追加しているというところがございます。

他方で、今回御意見でいただいたところは、事業者が情報開示をするというところではなくて、むしろ、事業者の取組が不十分だった時に、国が行使する件数を取るべきなのではないかという御意見だったのですけれども、我々としては、それよりも、まずはDPF事業者のほうが、やはり取組を行うことによって開示をする、消費者からの御要望に応じて、例えば提供していく、そういう提供する数のところを指標で置いて、国がそれが不十分なところについてやる件数よりは、むしろこちらのほうが、質的な観点を図るには、こちらのほうが望ましいということで、こちらの指標を使っているという考え方で、この御意見については、御参考にはさせていただきますけれども、そちらで把握していますという整理にしているところでございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

今、ロジックモデルの考え方について、資料を使って御説明いただいたところです。

ただ、これは意見になりますが、今、御説明いただいたように、執行件数そのものが増えれば増えるほどよいということではないと思いますし、その数字が独り歩きするということは、必ずしも好ましくないとは思いますが、しかし、それぞれの件数というのは、各規定や制度がどのように機能し、他の項目とどのように関係しているのか、そして、そのうち何が消費者トラブルの防止等に役立っているのかということを分析する上で、重要な指標の1つなのではないかと考えるところでございます。

したがって、このパブコメの御意見にも合理性があるのではないかと、私自身は感じました。私自身はロジックモデルに関しては、素人に近いところではございますが、しかし、このような形できちんと項目を立て、評価指標を立て、最終目標をどのように達成していくのかという論理モデルをつくるというところだろうと思いますので、その上で、やはり無視できない指標の1つなのではないかと思っているところです。その点に少し疑問に感じましたので、お伝えいたします。

ほかに御意見あるいは御質問はありませんか。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御説明ありがとうございました。

ここで発言するのが適切なのかどうか分からなかったのですが、すみません、位置づけを伺いたいので質問させていただきます。

参考資料の2-2のページ数で言いますと38ページ、重点項目を12で、今、鹿野委員長から御質問がありました、デジタル・プラットフォームに関するところなのですが、今、鹿野委員長との質疑のやり取りの中で表示されていた参考資料2-3のほうのスライドの14枚目でしょうか、先ほどの「12.デジタル・プラットフォームを介した取引等における消費者利益の確保」では、取引DPF法というのが、あくまで取引の場となっているデジタル・プラットフォームに限定された法律ですので、そう理解していますので、ここの表の中では、専ら取引DPF提供者における取組がどう行われているかということが中心になっております。

他方で、実際には、この取引DPFの業者だけではなく、例えばSNS上のなりすまし報告ですとか、あるいは、これもたしか判決が出たということで、おそらく新聞にも載っていたと思うのですが、例えば、いわゆるGoogleの地図についた口コミにおける名誉毀損というのがあったと思うのですけれども、その地図などについている、例えば店舗ですとか病院等の口コミを見て、消費者が、例えば自分がどこで物を買うかということを判断するということが現状行われていると思いますので、実際のところは、取引DPF以外の場面での情報提供、その情報提供が正しいかどうかはともかく、それを見て消費者が行動しているというのが現状だと思っております。

その点、すみません、最初に申し上げました参考資料2-2の38ページのほうの重点項目の目標の最後のところに、「SNS型投資・ロマンス詐欺の被害急増を踏まえ、SNS事業者の適切な対応を促進する。」ということが書いてあり、その意見交換などの実施というのがKPIのところにもございますが、この位置づけというのは、非常に大事な話だと私は思っておりますが、他方で、消費者庁に関して言うと、取引DPF法となりますと、SNS等までは入ってこないようにも思い、この辺りをどのようにお考えなのかというのを伺いたく思います。

個人的には、例えば、同じ38ページの中で、KPIのところでは、インターネット上の広告の監視業務についてということで、インターネット上の広告ということが中心となっておりますが、実際にはSNSでのなりすまし被害ですとか、先ほど言った地図についている口コミ等々、これも実質的には、消費者にとっては広告と同じような情報提供の手段、情報を獲得する手段になっているというのが実情だと思いますので、個人的にはそこまで広げる対応が必要だと思いますが、そうは言っても取引DP法がございますので、その辺りどういうお考えなのかを伺えればと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、尾原課長、お願いします。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 大澤委員、御質問ありがとうございます。

まず、先ほど御説明したロジックモデルなのですけれども、これは必ずしも施策、重点項目全体の施策の因果関係を示していなくて、その中から主要な因果関係を示したロジックモデルになっています。施策レベルだと、様々な事業が入っているものですから、その中で、ロジックモデルでつくったものは、その中の消費者庁が所管している取引DPF法について、最終的な目標を決めて、それに必要なアウトプットなりインプットがこうなっているというものを示したものでございます。

ですので、それと、今、御質問いただいた工程表の本体に入っている総務省の取組であるSNS型投資・ロマンス詐欺への対応というのは、こちらのロジックモデルには出てこないのですが、工程表の中では当然ながら重要な施策ということで、今年度追記をしているところでございます。

もともとこの工程表自体は、消費者庁政策のフォローアップではなくて、霞が関全体、国としての消費者基本計画の工程表になっているものですから、当然ながら各省の施策が入ってまいります。

この中で、特に昨今のSNS型の投資、いわゆる著名人のなりすまし詐欺事案について、もちろん、総務省だけではなくて、関係省庁で取り組んでいるわけでございますけれども、今回工程表の中には、その中で特にSNS事業者への適切な対応を促進するという形で、実際にそれに取り組んでいらっしゃる総務省の項目が、今回目標のKPIのところで、今年度追記させていただいているという関係になっております。

○鹿野委員長 大澤委員、何かありますか。

○大澤委員 よく分かりました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございます。

この14の重要施策についても、ロジックモデルをつくり、EBPMの発想に基づいて議論されると、非常に評価できますし、今回修正してくれというよりは、今後の参考ということで、これは鹿野先生も、大澤先生も先ほどおっしゃったことかと思いますが、やはりロジックモデルで、また、尾原課長もおっしゃったように、ロジックモデルは基本的に、この施策から結果に関連する重要な因果関係の大事な部分だけ考えられているということでございますが、やはり大事な因果関係の中に、外的環境だとか、あと、この施策以外の施策もやはりあるので、他省庁のロジックモデル等を見ていただくと分かると思いますが、多分、例えば、今のこの話ですと、啓発等、認知度向上というのがメインの目的でありますが、当然ながら執行件数が増えると、報道もあって、それによって認知も増えるということもあったり、それによって被害も減るということもありますので、やはり大事な要因に関して、今回というよりは今後につなげていただきたいということでの御意見でございます。

やはり、ほかの重要な要素、今回、ここは確かに認知度の向上というものですし、ほかのものに関しては、例えば、行政処分だとか、いろいろな政策があると思います。やはり、重要な政策、手段というのは大体決まっておりますので、法や教育や認知度向上や、そういったものは、もう類型化して、ある程度大事なものに関しては、やはり今回は認知度であっても、ほかの施策の影響もあるということを考えていただいた上でつくっていただくというのが、本来あるべき姿かなと思いますので、ぜひ、それをやっていただくと。

やはり大体施策が、認知度を向上する施策なのか、教育の施策なのか、業者に対する施策なのか、個々人に対する施策なのかということによって、大体類型化されてきますので、そうしますと、今14をやっていただいて、それだけでも結構大変だと思うのですね。これがある程度類型化できますと、大体同じような形できちんと評価できる形になりますので、ぜひ、今、この認知度だったら、これだけに関してというのを見られるというだけではなくて、今後は、ぜひほかの施策や、また、ほかの経済状況とか、いろいろな要因も当然ながら重要ですので、そこら辺も見ていただくということを、今後御検討いただければと思います。ありがとうございます。

○鹿野委員長 消費者庁から何かありますか。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 星野先生の貴重なコメント、御意見、ありがとうございます。

ロジックモデル、この消費者基本計画に関して言いますと、昨年度、初めての試行を始めて、今回、2回目ではあります。

これで終わりではなくて、むしろ次の第5期の消費者基本計画も、ぜひEBPMの観点で、施策の推進を、どのように進めていくかというのを使う重要なツールだと思っております。

その中で、今、星野先生からおっしゃっていただいた、いろいろ蓄積、我々も蓄積をどんどんためた上で、どんどんより良いものにしていくという取組自体は、引き続き、次の計画のところにおいてもやっていきたいと思っております。また、引き続き、御指導のほど、よろしくお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ほかに、いかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 もう尾原課長には、いつも丁寧に御説明をいただきまして、ありがとうございます。

第4期消費者基本計画の工程表は、今期で終了となります。そこで、第5期についてお尋ねします。今も、そのようなサジェスチョンをいただいていますけれども、第5期の消費者基本計画は、2030年までの、非常に重大な計画になると思います。第4期消費者基本計画の途中で工程表については、百何十個から十何個に絞っていただいて、重要な点に関して、市民というか国民と、より密接な意見交換をすると、そのためのロジックモデルも開示していただいたと思います。そこで第5期消費者基本計画の工程表のイメージというものは、今、どのようにお考えなのか、その点を少しお知らせいただければありがたいと思います。

以上です。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 黒木委員長代理、御質問ありがとうございます。

我々は、第4期で工程表をやって、歴史からいくと第3期から始めて10年ほど工程表で、毎年度フォローアップをするという形にしてきました。

私も政策課で担当させていただいて思うのは、どうしても消費者政策の中長期の目標を、毎年度工程表という形で1年1年切って見ていくというのは、できれば、中長期のアウトカムのところまで行ければいいのですけれども、どうしてもそこがアウトプットのところに行ってしまうかなと、そういう課題があると思っております。

その中で、どういう形で次の計画の中でEBPMを回していくか、もう少し目標自体が、達成年度というのが、2030年度を目指してという形で、さらにいえば、2030年度以降目指した中で、2030年にどうあるべきかという大きな目標設定をするものですから、その中でどういう形でEBPMをやっていくのがいいのかというのは、正直なところ、現行のスタイルというのは、170から14に重点化したのですけれども、それでもやはり大きな課題が残っているかなと思っています。

どうしても、毎年度のアウトプットに行きがちなので、そうではなくて、もう少し発想を変えて、そこは大きな目標を置いた上で、先ほど星野先生がおっしゃったように、どういう形で中長期的にそれを達成するかというのは、多分、施策としては、認知度を高めるというのがあれば、啓発で教育のところを高める、あるいは行政の規制でどうするかとか、多分、その辺りをしっかりと、毎年毎年であまりこだわらずに、やはり2030年の目標に対して、どういう形でそれを進めていくかというのを、また消費者委員会の皆様と御議論させていただければ、あるいは御指導をいただきながら、次の計画では考えたいと思っております。

ですので、今の工程表というものは、10年間やってみて、ここは次の期に合った、新しい長期的な目標を、EBPMをしっかりやっていくという観点からも、その辺りをしっかりと考えていければと思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

消費者基本計画の工程表に対するパブコメというのが毎年あるという通過儀礼みたいになっており、日弁連は、実は第4期の最終期の今回はパブコメを出していないわけです。それは第5期の消費者基本計画に注力するということだったのです。しかし、第4期消費者基本計画の工程表に対しては、日弁連の意見書との整合性とか、いろいろなことを言うために必要だという形で、パブコメには対応してきたのです。

そういう意味で、何らかの形で毎年毎年その過程を相互にチェックするシステムというのは、工程表という名前がいいのかどうかは別として、やはりそれはあったほうがいいのではないかと思っているということは、これは私の意見でございます。

以上です。

○鹿野委員長 ついでに私も一言申し上げます。おっしゃるとおり、今の工程表が果たして中長期的な目標達成にとって最善のものかという観点からの見直しは必要なのかもしれませんが、ただ、一方で、黒木委員長代理もおっしゃったように、施策の進捗を管理する必要があると思うのです。それを目に見える形で可視化するということがないと困ると思うのです。

そういう意味で、現在の工程表と同じでないとしても、やはり工程表なるものは必要なのではないか、現在の工程表に代わる何らかの政策の進捗管理をする、可視化するものは必要なのではないかと思います。

黒木委員長代理、いかがでしょうか。

○黒木委員長代理 委員長も同意見だということが確認できて、大変うれしく思っております。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 委員長、委員長代理、ありがとうございます。

まだ、消費者政策課長の立場からで見ますけれども、多分、今、毎年度進捗を管理するものとして、消費者白書が消費者基本法に基づいて、毎年度、施策の進捗状況も国会に報告するという形で、消費者政策全般を取りまとめて発表しております。

その白書の取組も含めて、我々としては毎年度どこまで進捗しているかというのは、消費者基本計画の工程表というものと、それから消費者白書の、いわゆる第2部の消費者基本法に基づく消費者政策の進捗状況についてのまとめがございます。

私自身は、もう少し消費者白書のところで毎年度の進み具合は、今も当然ながら見える形で、消費者庁としては担当部署のところでやっているわけですけれども、それがもう少しそういう議論の場で使われるような形に、特集は特集で毎年度トピックを扱うのですけれども、そうではなくて、むしろ消費者白書で大事なのは、毎年度消費者政策が、昨年度どうだったかというのをまとめた資料になりますものですから、それに基づいて多くの方々、もちろん消費者委員会の先生方だけではなくて、多くの皆様と消費者白書の内容を踏まえて議論できる場が、今後できていくといいかなと、消費者政策課長の立場では、そのように思っているところでございます。

○鹿野委員長 今の点は、今後に向けてということで、また、今後、別の機会でもお話をさせていただければと思っています。現時点では、先ほど申し上げたとおりの考えを持っているところです。

ほかに、いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 失礼いたします。

既に、件数だけではなく中長期的で見なければいけない、また、消費者白書などでも、その状況を説明してもらう、そういう機会にするというのは大賛成なのですけれども、一方で、今回いただいた6月に改定をするという消費者基本計画工程案の内容について、1つ確認をさせていただきたいと思います。

それは、重点項目の6なのですけれども「高齢者、障害者等の権利擁護の推進等」に関するものでございます。

見える化という意味では、これでよく分かるのですけれども、例えば、目標とされているものを毎年度つくるのは大変だと思いますけれども、件数を増やすとかだったらいいのですが、やはり減っているというのが1つありまして、それはKPI、アウトプット指標の項目の12なのですけれども、それは地方公共団体の首長等に対する消費者安全確保地域協議会の設置などの直接的な働きかけの実施状況について、毎年度、これまで全国7地域とされていたのですが、6地域と今回なっていまして、きっと何か理由とか御事情があるかと思うのです。やはり確認をさせていただきたいと思いまして、議論が少し前に戻るような形になって恐縮なのですが、1点確認させてください。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、お願いします。

○消費者庁消費者政策課尾原課長 小野委員、ありがとうございます。

ここのところは、担当のところは、全国を何ブロックで分けるかというときに、これまで7と書いておったのですけれども、今、担当課のほうで扱っている全国を何ブロックに分けるところが、実は今、6が最新の状態になっているので、それで7から6に変えさせていただいたということで、取組自体は何ら後退したとか、そういう話ではなくて、その地域ブロックの中で働きかけるという意味で、最新の6地域のほうに直させていただいて、全国をどう割るかという話のところでございます。そういうところで御容赦いただければと思います。すみません。

○小野委員 承知いたしました。どうも御説明ありがとうございました。状況について確認できまして、ありがとうございました。

○鹿野委員長 ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。本日は、消費者基本計画工程表改定案に関し、消費者庁から御説明をいただいた上で、意見交換を行いました。

委員からいただいた御発言に、私自身の意見も多少加えながら、まとめを行いたいと思います。

まず、全体に関わってですが、本年度は第4期消費者基本計画の最終年度に当たるため、KPIの達成に向けて工程表の各施策を着実に推進していくということが、最も重要であると考えております。

今回の改定案においては、大幅な改定はされていないように見受けられるところですが、例えば、前回の本会議でも取り上げた「地方消費者行政強化作戦2020」の検証評価と、後継の政策の明確化などは、早急に対応すべき重要な課題であると思われますし、これを含め、喫緊に対応すべき重要な課題については、この工程表自体に盛り込まれなかった施策についても、重点的に取り組んでいく必要があると考えております。

それから、本日、小野委員からの御質問あるいは質疑にもあったとおり、パブリックコメントの提出件数や、それを踏まえた改定が小幅にとどまったということも、今後に向けた課題であると考えております。

次期基本計画の策定に向けて、消費者政策への社会的な関心を高めていくということ。そして、消費者意見の反映に努めるということも重要です。

小野委員からは、消費者教育という観点からも、この点に関する御発言をいただきました。

続きまして、星野委員、黒木委員長代理をはじめ、複数の委員から御指摘があったとおり、消費者政策の企画立案に当たり、EBPM、つまりエビデンスに基づいた政策立案の取組は非常に重要であると考えております。

昨年度より作成されているロジックモデルを十分に活用しながら、施策の進捗状況の検証・評価を行うとともに、それを踏まえた施策の見直しを行い、次期消費者基本計画の策定につなげていくことが必要であると考えております。

また、今、触れた点とも関連しますが、そのロジックモデルについては、より具体的に複数の御指摘をいただきました。

消費者基本計画の進捗管理に関して、行政処分件数や法執行件数といった指標については、それ自体が目的というわけではないのですが、施策の効果に関連する指標であるため、KPIとしてきちんと設定し、データを確認していくべきだと思われます。

その上で、それがより中長期的なアウトカムインパクトにどのように影響したのかということを総合的に検証・評価し、施策全体の改善につなげていくということが重要であると考えております。

ロジックモデルについては、現時点では、なお試行錯誤的なところがあるかもしれませんが、今後、このようなロジックモデルについて、さらに精緻化を図っていただきたいと思いますし、それから、本日、今後の工程表の在り方についても、多少意見交換をさせていただきましたが、この点についても政策の実効的な実現という観点から、さらに御検討をいただきたいと思います。

また、重なりますが、得られたデータを検証し、次の施策につなげていくということが、まさに重要ですから、そのような方向でのロジックモデルの有効活用ということを、今後も、ぜひお願いしたいと思います。

以上のとおり、今後に向けてお願いしたいことは様々ございますが、本日、私から発言したものも含めて、いずれも今後の留意事項に関する御意見であり、今回の改定案の内容に対する異論ということではなかったかと思います。

そこで改定案についての消費者委員会としての意見案を配付、表示しますので、御覧ください。少々お待ちください。

(意見(案)の配付、表示)

○鹿野委員長 オンラインで御参加の方におかれましては、Webexの画面共有機能において表示がされていると思いますので、そちらを御覧ください。よろしいでしょうか。

御覧のとおり、ただいま追加資料として配付しました委員会の意見(案)では、消費者基本法の趣旨に鑑み妥当であり、その旨の回答をするとしております。

ただし、その上で、2ページ以下のところですが、附帯意見を付しております。

附帯意見について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、附帯意見の1つ目でございます。「現行消費者基本計画期間中に留意すべき事項」としております。

(1)といたしまして「機能性表示食品制度について」でございます。

本年3月、紅麹原料を含む機能性表示食品において健康被害が生じていることを踏まえ、食品の安全性の強化を含む同制度の在り方の見直しと実効性の確保について重点的に取り組むべきであるとしております。

(2)といたしまして、消費生活相談のデジタル・トランスフォーメーションに関してでございます。

地方消費者行政の充実・強化において、消費生活相談のDXの取組は重要であるが、DXの推進に当たっては、少人数の消費生活相談員で対応している消費生活センターも含む現場の声を丁寧に聞きながら進めていくべきであるとしております。

(3)といたしまして「「地方消費者行政強化作戦2020」の検証・評価と後継政策について」でございます。

2024年度に最終年度となる強化作戦2020の検証・評価が不明確であるということでございます。検証・評価の内容を明確にするとともに、次年度以降の強化作戦の後継政策の内容を明確にすべきであると。

以上、3点が現行消費者基本計画期間中に留意すべき事項としております。

次の2といたしまして、次期の消費者基本計画策定において留意すべき事項でございます。

ロジックモデルについてでございます。

最初の段落でございますが、今回の工程表改定案については、以前までのものとは異なり、それぞれ施策について重点項目を絞り込み、ロジックモデルを作成した上で工程表を作成され、本年度、工程表の改定を行うということで、諮問があったと承知しております。

ロジックモデルを作成することとなった背景には、EBPMを消費者行政においても推進していく必要があり、それには、適切なアウトプット及びアウトカムを把握・設定し、具体的な取組につなげること、また、政府統計、行政記録情報、民間ビッグデータ、PIO-NET等様々なデータを活用して施策の効果を検証すること、予算・人員等のインプットから最終のアウトカムまでの姿を適切に構築することが重要なためであるということでございます。

工程表の改定を行う際には、ロジックモデルに立ち戻り、インプットからアウトカムの流れを見渡し、どこか目詰まりが発生しているところがないかどうか、施策の進捗状況等を検証し、その上でロジックモデル自体も必要に応じ改定していくことも考えられます。

今回の工程表改定においては、ロジックモデルの大幅な改定は行われていないとのことでございますが、2024年度は第4期消費者基本計画の最終年度に当たるため、ロジックモデルで設定されているKPIの達成に向け各施策に取り組み、その達成状況の検証・評価を明確にすべきであるとしております。その上で、ロジックモデルの精緻化や、次期消費者基本計画の策定作業につなげていくべきであり、具体的にはということで、以下の4点に留意すべきであるとされております。

1つ目でございますが、消費者行政の実効性を高める観点から、アウトプット、アウトカム指標を含め、行政の無謬性を恐れず機動的かつ柔軟にアジャイルなロジックモデルの見直しに取り組むこと。

2つ目といたしまして、アウトプット、アウトカム指標については、消費者庁が保有するデータのみならず、他の行政機関等が保有するデータ、例えば、その他の政府統計や行政記録情報、民間ビッグデータも積極的に取り込むこと。

3つ目といたしまして、行政処分数や執行件数等といった指標については、例えば、事業者への注意喚起施策が進めば、行政処分数が減少するといった傾向もあり、件数が増加すること自体が、必ずしも消費者の安全・安心の確保といった最終インパクトの達成という目的に直結するわけではないが、各施策の効果に関連する指標であるため、これらの指標もKPIに取り込み、ロジックモデルの中で検証・評価すること。

最後に、現行基本計画工程表では、まず試行的に重点施策ごとに14のロジックモデルが作成されているが、今後様々な施策のロジックモデルを作成することを考えると、個別に作成するのは非効率的であると考えられます。

消費者行政における施策は法制度整備、法執行、経済的インセンティブ、認知度向上施策、消費者教育などに類型化できるため、特定の政策課題に対応する施策を分類することで、インプット、アクティビティ、アウトプット、アウトカムも一定程度類型化することが可能と考えられます。したがって、今後課題別にロジックモデルを類型化することで、様々な施策に応用していくことを検討すること。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ただいま、附帯意見も含めた意見(案)について事務局より読み上げていただきました。

これを委員会の意見として、よろしいでしょうか。

会場の皆様は、異論なしということでお返事をいただきましたが、オンラインで御参加の方については、少々お待ちください。チャット等で確認をしております。

(異議なしの意思表示あり)

それでは、皆様の御了解をいただいたということで、これを委員会意見とし、内閣総理大臣宛てに回答したいと思います。

消費者庁をはじめとする関係省庁におかれては、本意見の内容、とりわけ附帯意見の内容について十分御留意いただき、次期消費者基本計画策定も見据えながら、改定後の工程表に基づいて各種施策を推進していただきたいと思います。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ審議に御協力いただきまして、大変ありがとうございました。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)