第434回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年5月20日(月)15:00~17:44

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
    (テレビ会議)大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁地方協力課 加藤課長
    一般社団法人全国消費者団体連絡会 菅原事務局次長
    一般社団法人全国消費者団体連絡会 大出政策担当
    同志社大学 新川名誉教授
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(地方消費者行政について)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第434回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。なお、少し遅れて参加という方もいらっしゃいます。今村委員、山本委員は、本日、御欠席と伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等につきまして、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(地方消費者行政について)》

○鹿野委員長 ありがとうございました。

本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、地方消費者行政について御議論いただきます。

消費者行政の現場は地域であり、地方消費者行政の充実強化は、消費者政策における最重要の課題の1つであります。消費者委員会においても、過去数回にわたり地方消費者行政専門調査会を設置し、令和2年8月には、2040年頃の消費者行政が目指すべき姿とその実現に向けた対応策等に関する意見を発出するなど、地方消費者行政に強い関心を持ってきたところでございます。

そこで、本日は、地方消費者行政の現状や都道府県及び消費者団体から見た地方消費者行政の現状と課題、また、中長期的に見た地方消費者行政の課題などについて御説明をいただき、意見交換を行いたいと思います。

本日は、消費者庁地方協力課の加藤課長、一般社団法人全国消費者団体連絡会の事務局長でいらっしゃる菅原様、政策担当の大出様、同志社大学名誉教授の新川様に会議室にて御出席いただいております。

なお、新川様におかれましては、以前、当委員会に設置しておりました、地方消費者行政専門調査会において、座長を務めていただいておりました。皆様、本日は、大変お忙しい中お越しいただきまして、ありがとうございます。

本日の進め方ですが、消費者庁、全国消費者団体連絡会、新川様の順で御発表いただき、全ての御発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を、50分程度取らせていただく予定でございます。

それでは、最初に、消費者庁の加藤課長、よろしくお願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 地方協力課長の加藤でございます。本日は、貴重な機会をいただきましてありがとうございます。

お手元の資料1に沿いまして、地方消費者行政の取組について御説明をいたします。1ページをおめくりいただければと思います。

初めに、地方消費者行政の現況のポイントでございます。

上段は、消費者行政の予算の状況でございます。総額を確保することと、自主財源を確保すること、こうした課題がございますけれども、右上の赤枠の1行目を御覧いただければと思います。全自治体の合計で、令和5年度は193.6億円と前年度から約7.1億円増加をしております。

内訳を見ますと、2行目の交付金のところが32.1億円と、前年度から、おおむね横ばい程度ですけれども、3行目の自主財源が161.5億円と、前年度から約6.6億円増加をいたしまして、交付金から自主財源へのシフトが進んでいる状況が見て取れます。

2ページ目をお願いいたします。

相談窓口の状況でございます。上段は、消費生活センター等の設置状況になります。市区町村では、広域連携も活用しながらセンターを設置して、開所日を確保するといった取組が課題でもあり、そうした取組が続いているところでございますけれども、上段の赤枠の2行目、消費生活センターを設置している市区町村の数は1,132となりまして、前年より14団体増加をしております。

4行目の広域連携の13団体増加というところが主に寄与をしておりまして、広域で開所日を確保する動きというものも見られております。

下段の消費生活センターの数、こちらは赤枠の1行目、全体で857か所となりまして、前年から1団体増加しております。

3ページ目をお願いします。

消費者行政担当職員の配置状況でございます。上段は、消費生活相談員の配置になります。人数の確保と資格保有率の向上といった課題がございますけれども、右上の赤枠の1行目、人数は3,332名となりまして、前年から19名の増加となっております。

2行目の資格保有者は2,662人となって、全体の約8割となっております。

下段が事務職の数になります。

右側赤枠の1行目、全体で5,161人と5人減少となっておりまして、内訳を見ますと、兼務職員が25人減少する一方で、専任職員は20人増加しております。

4ページ目をお願いします。

相談員の処遇でございます。平均報酬額の引上げが課題になります。時間単価で見ますと、右上の赤枠、1行目の全体で前年から27円上昇しておりまして、1,868円になりました。都道府県、市町村の全体で見て増加傾向が見られます。

会計年度任用職員制度が導入された平成31年から見ますと、294円高い水準となっております。

5ページ目をお願いします。

上段は、相談・あっせんの件数でございます。質の高い相談の確保が課題でございますけれども、右上の赤枠、1行目の全自治体を御覧いただきますと、前年度から5.7万件増加しまして、100.8万件となっております。

内訳を見ますと、一番下の行の市町村のところで、あっせんの割合が11.7パーセントと、県や政令市よりも高い状況となっておりまして、地元密着の小規模センターで相対的によくあっせんが行われている状況が見て取れると思います。

下段は、研修への状況でございます。赤枠のところ、左から順に、都道府県政令市では100パーセント、市区町村では前年度から約2パーセントポイント上昇して、64パーセントで参加をされているという状況でございます。

6ページ目をお願いします。

上段は、講習、出前講座の実施状況でございます。赤枠の下から2行目を左から順に、都道府県政令市では100パーセント、市町村では約5パーセントポイント上昇して、47パーセントで実施している状況でございます。

下段は、消費生活協力団体・協力員等の活用状況でございます。いずれも前年度と同程度になっております。

次に、7ページ目をお願いいたします。

「地方消費者行政強化作戦2020」の取組状況でございますけれども、上段のボックス文のところにあります、どこに住んでいても質の高い相談・救済を受けられ、消費者の安全・安心が確保される地域体制を全国的に維持・拡充するという大きな目標のもとで、7つの政策目標に取り組んでおります。

下段のところ、具体的にですけれども、1つ目に消費生活センターの設置促進、2つ目に相談員の配置・レベルアップの促進、3つ目に消費者教育、4つ目に見守りの充実、5つ目に団体活動の充実、6つ目に法執行体制の充実、7つ目に地方における政策推進といった政策目標としております。

次のページをおめくりいただければと思います。1ページは表紙ですので、その次の8ページとありますグラフを御覧いただければと思います。

政策目標のそれぞれの取組状況でございます。

初めに、消費生活センターの設置市区町村の都道府県内人口カバー率を90パーセント以上にする目標でございます。

令和5年度は、47都道府県のうちの28団体で、カバー率90パーセントの茶色の線を超えているところでございます。

青色は目標達成、赤色は未達成とばらつきがございますけれども、令和元年度の頃から比べますと、2団体増加しているという状況でございます。

9ページ目をお願いします。

消費生活相談員の配置市区町村の都道府県内の人口カバー率を90パーセント以上にする目標でございます。

令和5年度につきましては、47都道府県中の43団体で茶色の線の90パーセントを超えるところまできております。

令和元年度から比べますと、5団体増えているという状況でございます。

10ページ目をお願いいたします。

相談員の資格保有率を75パーセント以上にする目標でございます。令和5年度は47都道府県中の30団体で茶色の線の75パーセント以上を超えるところに来ております。

次の11ページをお願いいたします。

相談員の研修参加率を100パーセントにする目標でございます。令和5年度は、47都道府県中4団体で茶色の線の100パーセントを達成しているという状況でございます。

12ページ目をお願いいたします。

市町村の相談員への助言などを担当する、都道府県での指定消費生活相談員の配置の状況でございます。全都道府県で配置する目標につきまして、令和5年度は、丸印のあります22団体で配置をされている状況でございます。

13ページ目をお願いいたします。

若年者の消費者ホットライン188の認知度を30パーセント以上にする目標につきましては、左側の図表の「名前と内容を知っていた」と「名前は知っていた」を合わせて51.6パーセントとなっております。

若年者の消費生活センターの認知度を75パーセント以上にする目標につきましては、現状62パーセントとなっております。

14ページをお願いいたします。

高齢者等の消費者被害防止のための見守り活動を行います、消費者安全確保地域協議会につきまして、設置市区町村の都道府県内の人口カバー率を50パーセント以上にする目標、こちらにつきましては、47都道府県中の20団体で茶色の線の50パーセントを超えるところに来ております。

令和元年度は7団体ということでしたので、13団体ほど増加しております。

15ページをお願いします。

地域の見守り活動に消費生活協力員・協力団体を活用する市区町村の都道府県内の人口カバー率を50パーセント以上にする目標につきましては、47団体中の3団体で、茶色の線の50パーセントを超えるところまで来ております。

16ページをお願いいたします。

地方版の消費者基本計画、こちらを全都道府県、政令市で策定する目標につきましては、47都道府県中の33団体、20の政令市中の14団体で策定をされております。

17ページをお願いいたします。

消費者行政職員の研修参加率を80パーセント以上にする目標につきましては、47都道府県中の1団体で茶色の線の80パーセントを超えるところにきております。

18ページ目をお願いします。

こうした取組を推進する観点から、複数の予算措置を設けてございます。

地方公共団体におけます予算と別に、令和5年度補正予算、令和6年度当初予算で合わせて114.5億円の措置をしております。

上段のところ、取組の柱でございますけれども、4つございまして、消費生活相談のサービス向上の取組としまして、デジタル化、自治体連携、相談員の担い手確保、力を発揮できる環境づくり、これらと併せまして見守り力の強化、協働の促進といったメニューを立ててございます。

下段の三角形のところを上から御覧いただければと思いますけれども、まず、先進的モデル事業でございます。見守りですとか、相談業務などにつきまして、地域のトップランナーを創出して横展開をしていくというものでございます。

2つ目の地方消費者行政の人材の育成。こちらは、相談員の担い手の確保ですとか、見守りの協力員・協力団体の養成に取り組んでおります。

3段目、消費生活相談のデジタル化、サービス向上への取組でございますけれども、PIO-NETの刷新など、消費生活相談のDXのための新システムですとか、業務基盤を整備するというものでございまして、国民生活センターの機能を充実させるものでもございます。

4段目、地方消費者行政強化交付金でございますけれども、地域の特性に応じた重要消費者政策の取組、基礎的な相談体制の整備を支援するものでございまして、右側にございますように、消費生活相談の新システムへの円滑な移行に向けた環境整備ですとか、相談員が活躍できる環境整備としまして、例えば、指定消費生活相談員や主任相談員の配置、キャリアアップ支援等の処遇改善、メンタルケアの取組、消費生活相談のデジタル化、自治体連携、消費者志向経営、エシカル消費、食品ロス削減、見守りネットワークの推進といった取組を支援するものでございます。

5段目、地方公共団体の自主財源による取組でございます。地方の消費者行政につきましては自治事務として位置づけられておりますので、財源として地方交付税措置が講じられてございます。

こうした措置を基に、各団体で自主財源に裏づけられた安定的な取組が行われておりますので、こうした取組と、これまで御覧いただきましたような国による支援とを適切に組み合わせていくことが重要だと考えております。

19ページ目をお願いいたします。

地方消費者行政予算の推移でございます。消費者行政の地方交付税措置としましては、259億円が講じられております。

地方公共団体の自主財源は、グラフの赤い棒になりますけれども、各団体の御尽力もありまして、着実に増加をしてきており、令和5年度は161億円になっております。

これに黄色の棒、国からの交付金が加わって、地方消費者行政予算は合わせて193.6億円となっております。引き続き、各団体におけます自主財源の確保と国の支援とを適切に組み合わせて、取組の充実強化につなげていければと考えております。

20ページをお願いいたします。

消費者安全確保地域協議会の設置についてでございます。上段のボックス文のところですけれども、高齢者や障害者等の配慮を要する消費者を見守る地域体制を構築することが消費者被害の防止に有効と考えられます。

こうしたところを踏まえ見守りネットワークを設置している地方公共団体は、着実に増加をしてきておりまして、直近では497団体になっております。

右側の図にございますように、設置の広がりには課題もございまして、特に一番下のところ、5万人未満の小規模自治体では、設置に至っていないというところも、まだ多く見受けられるところでございます。

21ページ目、こうした見守りネットワークの設置、活動の促進ということで、いろいろと取組を進めておりますけれども、例えば、既存の福祉のネットワークなどに、消費生活センターですとか、消費者団体等の関係者を追加することで、充実した見守りサービスの提供につなげていくといった取組も推進しておりまして、取組の負担を抑えながら見守りの効果を高めていければと考えているところでございます。

22ページ目をお願いいたします。

相談員の担い手確保の取組でございます。消費生活相談員の担い手確保事業といたしまして、左側、相談員資格の取得に必要な基礎知識をeラーニングで学べます消費生活相談員資格試験対策講座と、右側、地方自治体のニーズを踏まえて令和5年度に新設をしました、発展的な知識や実践力をオンラインと対面の併用で学べる消費生活相談員の養成講座を実施しております。

令和5年度の講座では、1,631名が受講されまして、アンケートに回答いただいた704名の方について見ますと、消費生活相談に関する資格取得者が延べ384名、消費生活センターへの就職・内定者数が38名となったほか、人材バンクへの登録ですとか、今後の就職活動予定者なども含めました就職活動希望者も多数に上っておりまして、将来を含めた相談員の担い手増に寄与してきているものと考えております。

地方公共団体からは、対面講座の開催地となって採用公募への応募人数が増えた、ですとか、人材バンクへの登録が増えたといった声もいただいております。

また、受講者の方々からも試験対策に役に立った、就職につながった、相談員の仕事への理解を深められたといった声もいただいておりまして、令和6年度もこうした取組、資格取得や就業を見据えた事前説明会なども行いながら、充実していきたいと考えております。

23ページ目をお願いいたします。

消費生活相談のデジタル化についてでございます。左の図にございますけれども、全国の消費生活センターに寄せられる相談は、複雑化、多様化しておりますところ、各地の消費生活相談員が主に電話で受けていただいていて、PIO-NETに年間90万件ほど御登録いただいて、相談情報の蓄積、活用につなげているところでございます。

右側、相談の現状につきまして、消費者には電話する時間がないですとか、スマホで調べたいといったニーズがございます。

また、相談員からは、入力に時間がかかるといった負担の声がございます。これらを受けまして消費者庁、国民生活センターでは、その下、検討の方向性としまして、消費者の自己解決支援のためのFAQですとか、ウェブサイトの充実、オンライン相談など、多様なニーズに対応するといったこと、また、相談員向けに業務支援システムですとか、音声入力機能などによる負担軽減、業務の高度化を進めるということ、また、AIなどによる相談データの分析を強化しまして有効活用するといったこと、こうした様々な機能や業務支援策を導入しまして、相談サービスの向上につなげるように、消費生活相談のデジタル化を進めております。

下段のスケジュールですけれども、2021年度からこうした準備を進めておりまして、令和5年度の補正予算で50億円を措置いただきました。現在、システム基盤、業務基盤の整備を進めているところでございます。

現行PIO-NETの専用回線、専用端末、独自開発の体系からインターネットとクラウドサービスを利用した体系に移行することで、様々な機能を利用できるようにしたいと考えております。

シニアの相談員の方も多いことも念頭に、2025、26年度に十分な研修を行いまして、26年10月に新しいシステムに切換えを行っていきたいと考えております。

24ページ目をお願いいたします。

今、御覧いただきましたDXの検討ですけれども、2040年頃の地方消費者行政の未来像を考えるというところからスタートしております。

人口減少、高齢化が一段と進展する2040年頃を考えますと、今後、社会経済の高度化、複雑化、デジタル化、グローバル化、高齢化等によりまして、消費生活相談の需要が高まる可能性がある一方で、行政サービスをめぐる制約も顕在化しつつある状況でございます。このような潮流に対応することが求められると考えられます。

こうした中で、デジタルの共通基盤を整備いたしまして、これを活用しながら人が行うべき業務に集中できるような環境を整えていくことが重要という視点から、現在の取組を進めてございます。

25ページ目をお願いいたします。

デジタル化の取組状況でございまして、準備中の機能の一例になります。

左側は、消費者向けでございますけれども、自己解決支援のためのFAQの提供イメージになります。

右側は、相談員向けで、業務支援システムですとか、相談員用のFAQのイメージになります。

このような消費者、相談員などにとって、様々な便利な機能や業務支援策の導入をする、そうした準備を進めております。

26ページ目でございます。

DXを将来像から組み立てていく際の現状と課題でございます。消費者、相談員、地方公共団体の職員、国民生活センター、消費者庁と、それぞれ様々な課題を持っておりますので、こうした課題の解決をデジタル化で進めていくことができればと考えております。

27ページ目、DX後のサービスの俯瞰図でございます。

上下に分けて見ていただければと思いますけれども、上半分の左側は、パソコン・スマホを活用している消費者のイメージでございます。自分で情報収集して解決したいというときに、消費者向けのFAQなどを参照できるようになってまいります。

下半分の左側は、パソコン・スマホが苦手で、見守りが必要な高齢者等のイメージでございます。

こうした方々を含めて、引き続き電話で御相談いただくことも可能でございまして、そのためにもデジタル基盤を生かして相談員の御支援ができればと考えております。

このようにして相談サービスを向上させることで、より助けが必要な相談者への手厚い対応ですとか、見守りの充実にもつなげていければと考えております。

新システムへの円滑な移行に向けまして、現場の状況もお伺いしながら、引き続き丁寧に準備を進めていきたいと考えております。

説明は以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、全国消費者団体連絡会の菅原様、大出様、よろしくお願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会菅原事務局次長 本日は、このような機会をいただきまして、ありがとうございます。全国消費者団体連絡会の菅原と申します。

今日は資料を御用意しておりますけれども、最初、自己紹介のページがありますけれども、全国47の団体が加入している消費者団体の連絡組織です。地方消費者行政についても重要なテーマとして、「地方消費者行政プロジェクト」を設けて、そちらで調査の検討やシンポジウム開催、提言をまとめるなどをしております。

今日は、具体的にその担当をしております大出より、皆様に御報告差し上げたいと思いますので、よろしくお願いいたします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会大出政策担当 全国消団連の大出です。私から2023年消費者行政調査の報告をさせていただきます。

2ページをお願いします。

2ページは、今、菅原が述べたとおり、消費者の権利の実現と暮らしの向上、消費者団体活動の活性化と消費者運動の発展に寄与することを目的として、全国の会員の消費者団体と連携して活動しております。

3ページをお願いします。

地方消費者行政プロジェクトですが、消費者団体や弁護士、相談員の方が構成メンバーとなり、2018年度から毎年都道府県の消費者行政調査を行っております。

毎年47都道府県から回答があり、報告をまとめることができ、自治体の消費者行政部局の方には大変感謝しております。

2023年度の設問は、ここに書いてある7項目になります。それらの回答を分析して意見書を作成し、2月21日に国に提出しました。

それから、3月13日にシンポジウムを開催して、報告書を公表しました。

4ページをお願いします。

先ほど消費者庁からも報告がありました、「地方消費者行政強化作戦2020」の項目にあたる、地方版消費者基本計画についてお聞きしました。

予定や類似の計画を含めると、ほとんどの県で策定をされています。また、策定をしている県の9割以上で数値目標やKPIなどの指標が設定されています。策定してよかったこととして、指標で効果把握・評価ができることが44パーセント、施策の方向が明確になる・共有できるが38パーセントなどがあります。

成果として、達成すべき事柄が明確になり、職員が同じ方向を向いて業務が遂行できる。学識経験者や消費者団体、事業者団体、公募委員からなる県の消費生活審議会で、基本計画の進捗状況を報告し、意見等をいただき、県の施策に反映することができるなどの意見をいただきました。

課題としては、行政変化への対応というところが4割近くありました。例えば、消費者を取り巻く環境の変化や新たな課題を把握して、迅速、柔軟な対応をすること。計画の5年の期間内に新たな法が出ても施策に盛り込む対応ができないなどがあります。

ほかに、適切な目標値の設定の難しさ、幅広い取組のため、他部署と消費者行政の連携の難しさ、行政の計画として活用される一方、県民にとってはなじみ深い計画になっていないことなどが課題として挙げられていました。

5ページをお願いします。

指標を立てたことで、業務推進の効果は、とても効果があった、ある程度効果があったと、多くの県が回答しています。

指標は平均して14個が設定されていました。表は、指標を分野ごとに集計したものですので、御覧いただければと思います。

6ページをお願いします。

意見は、計画的な消費者施策の実施のためには、地方版消費者行政基本計画が策定されることが有効であること、また、県民の声なども反映して計画を策定すること、適切な指標を設定して活用することが有効であるので、事例などの情報提供をしてほしいと意見を出しました。

7ページをお願いします。

地域サポーターについてです。自治体によって様々な名称なのですが、地域や教育現場で消費者教育、広報、啓発、見守りなどに関わっていただくことを目的とした消費者のことと位置づけて回答をいただきました。

設問は、一般消費者対象、大学生などの若者を対象にした養成講座や登録制度、レベルアップ講座などの状況についてお聞きしました。

一般消費者対象は、地域サポーターは、28県で養成講座や登録を行っています。登録人数は1桁から1,000人超えまで幅広く、多いのは100人から300人程度でした。

役割は表にあるように、啓発資料の配付、消費者トラブルの相談を受けたときに、相談窓口につなぐなどがあります。

若者対象では、登録人数は11人から246人で、在学する学校を卒業するまでとしている県もあります。

役割は、県が行う啓発活動の協力、消費者教育の企画実施などがあります。

8ページをお願いします。

役割の発揮について、十分発揮されている、ある程度発揮されていると答えた県が多く、一定の効果を上げていると言えます。

好事例として、自主的に地域の集会等で悪質商法などの消費者トラブルの防止や情報提供などの実施、若者対象の好事例では、消費者教育教材としてウェブゲームの開発、学校の授業でも活用できるワークブックや解説動画の作成、大学生、事業者、行政との消費者教育ワークショップの企画運営などを行っています。

課題としては、登録者の高齢化などによる人材確保の難しさを挙げているところが見られました。

その他、企業へのサポーター登録の働きかけ、出前講座やセミナー等、消費者教育について、県、市町村の関係機関等と連携した取組を進める必要があるとの意見もあり、幅広い世代から人材を確保することが課題となっています。

県で登録している地域サポーターが市町村で活動が行えるように取り組んでいることを聞き取りました。名簿の提供や活動事例の紹介なども行っていますが、課題としては、市町村での活動の機会が少ないことが挙げられていました。

その理由として、市町村の消費者行政担当が他の業務と兼任していることもあり、業務が多忙であることが考えられます。

また、国の交付金を活用して育成講座や、活動支援を行っているので、活用期間の終了後の財政確保を課題に挙げている自治体もありました。

地域の消費者団体や適格消費者団体に地域サポーター養成講座や運営委託、講師依頼を行っている自治体があることや、養成講座を修了した地域サポーターが、既存の消費者団体と連携して啓発活動を行うような場合もあります。

また、消費者安全確保地域協議会の構成メンバーとして活躍しているサポーターもあります。

このような連携は、消費者団体の活性化につながっていくと考えられます。消費者市民社会の構築のためにも、多くの自治体で消費者が主体となって、消費者行政に積極的に協力する場面が増えることが期待されます。

9ページをお願いします。

意見は、見守りや消費者教育のために、地域サポーター制度の設置と活用の推進が必要であること。また、自治体の消費者行政担当の人材確保、見守り活動などの運営や関係団体との連携を強化することの意見を出しました。

10ページをお願いします。

消費生活相談員については、雇用状況についてお聞きしました。39県で直接雇用され、全てが会計年度任用職員になっています。直接雇用でない自治体は外部委託をされています。以前から欠員状態が続いている県と、今年度欠員状態になった県を合計すると、14県で欠員状態であることが分かりました。

公募によらない再任用を行っているのは35県で、連続回数は真ん中の表にあるとおりです。

回数制限を超えた場合でも、任用選考の応募ができないと回答したところはありませんでした。

県内の区市町村の状況については、把握していない自治体が多くありました。

採用についての課題は、担い手確保や高齢化、処遇などがあります。例えば、消費生活相談員という仕事の認知度が低いため、応募が少ない。相談員の仕事の魅力、やりがいをどう発信するかが課題です。

また、県内に有資格者がいるけれども、新規応募に来ない。定着が図られないため、育成やスキル継承が進まない。国の交付金活用期間が終わった後の自主財源での予算確保が難しいなど、様々な意見が出されました。

11ページをお願いします。

意見として、人材確保と処遇改善は経年の課題であり、人件費に関する財政支援の継続と働き方の提案など、抜本的な採用政策を考えていく必要があると意見を出しました。

12ページをお願いします。

消費者教育についてです。

2022年4月に成年年齢が18歳に引き下げられ、若年層の消費者被害の実態に踏まえた消費者教育の取組に工夫が見られました。各学校の種別、家庭向けに共通して多い取組が出前講座、講師派遣、資料配付、資料作成、ウェブ、動画、SNS等による啓発でした。

13ページをお願いします。

消費者教育コーディネーターについてです。昨年度の調査より7県増え、46県で設置されています。

1人設置が28県、消費者教育コーディネーターは、多様な関係者や場をつなぐ重要な役割を担っています。役割として期待していることは、教育委員会との連携、消費者教育の普及啓発、調整や講座、人材確保と育成、情報発信、情報交換と共有などが挙げられています。

例えば、消費者教育の情報を広く発信するために、ウェブサイトでSNSなどを活用した情報発信、全国レベルの講師とのつながりを持ち、県の消費者教育に生かすことなど、期待の声もあります。期待されている内容に取り組んでいくには、1人で担っていくことは難しいと考えます。

14ページをお願いします。

意見は、若年層の消費者被害の未然防止のために、早期から消費者教育の実践が必要であること。

効果的な消費者教育のためには、消費者教育コーディネーターを複数配置する必要があると考え、そのための予算措置を組んでほしいと意見を出しました。

15ページをお願いします。

消費者庁と国民生活センターで検討されている消費生活相談DXについてです。右の資料、DX後に期待される効果を示して、このような効果が得られるとすれば、消費生活相談が抱える問題は解決されるかとの設問に、回答があった45県のうち、ほぼ解消される、ある程度解消されると、半数以上の県で選択がされました。

しかし、このような効果が得られるとすればとの想定の上での設問でしたが、17県であまり解消されないと回答され、提案されている消費生活相談のDXを進めても課題はあり、期待できないと考える県が一定数あることが分かりました。

解消されない問題については、消費者トラブルに対してのFAQ、ウェブサイトなどの解決支援によって、相談対応の業務が軽減されるとなっているが、現在より業務が煩雑化して、消費生活相談員の負担が増すのではないかとの意見があります。

また、FAQは情報量が膨大になり、欲しい回答を探すことができなくなる懸念。トラブルの内容が複雑化して、自己解決を行う際に間違った選択で、より深刻な状況に陥ることの懸念があるとのことです。

加えて、DX化で相談員の担い手確保には疑問がある。高齢者の相談者が多い現状から手厚い対応が必要になるなどがありました。

16ページをお願いします。

感想、意見をお聞きしたところ、表で分類されたとおり、不明点が多く、具体案を出してほしいとのことと、財政支援に多くの意見が出されています。例えば、国が考えている最終的な消費者行政の全体像が見えない。消費者庁は説明会のみで自治体の意見を聞く機会を設けないまま検討を進めているなどの声がありました。

消費生活相談のDX化が必要なものであると理解しつつ、提案が抽象的で不明点が多く、どのように進めていくのか分からないとの意見があります。財政支援の要望も多く、例えばDX化のような大きな改革を求めるのであれば、相談員の担い手確保の課題解消なども含め、財政支援は必須である。

自治体の財政的な負担や、消費生活相談員の担い手不足などの課題を考慮していないとの意見もあります。国は早期に予算措置について示す必要があると考えます。

一方、消費生活相談のDXを進めることで、消費生活相談員の業務量の平準化など、個人の力量や経験に依存してきた体系から脱却を急ぎたいとのことや、PIO-NET入力業務の負担軽減につながるとの期待の声もあります。

17ページをお願いします。

国は、自治体とコミュニケーションを取り、現場の状況を把握して計画を進め、速やかな情報提供が必要であること。

このDXを進める目的の1つに、相談者である消費者の利便性が挙げられています。相談体制の対処の仕方などについて、消費者への周知や意見の聞き取りが必要であると意見を出しました。

18ページをお願いします。

地方消費者行政強化交付金の活用について、毎年調査を行っている項目です。活用が進むメニューと、あまり活用されないメニューとで二分される傾向があります。ピンクのマーカーは比較的活用が多いところで、消費者教育の推進、エシカル消費、食品ロスなどがあります。

今年度活用が進んだメニューとして、消費生活相談のデジタル対応を行うための体制整備、配慮を要する消費者への対応力強化があります。

ブルーのマーカーは活用の少ない項目で、適格消費者団体及び特定適格消費者団体設立に向けた支援、公益通報者保護制度の推進などがあります。

19ページをお願いします。

自治体ニーズを把握して活用しやすい事業メニューにしてほしいと、2018年度から同様な意見を出しております。

20ページです。

交付金等財政に関する要望や、それ以外の要望についても毎年質問を行っている項目です。国に対して交付金等財政に関する要望は42県から回答がありました。

継続的、安定的、長期的な財政支援の意見が半数以上の県から出されています。また、同様に、地方消費者行政強化交付金の補助率のかさ上げ、制度改善、使途の拡充などにも多くの意見が出されています。

消費生活相談体制に対して、推進事業の活用期限が終了した後も、地域の消費者の安全・安心の確保のためには、消費生活相談体制の維持が重要であること。相談員の人件費や人材育成に係る交付金制度の創設をするなど、新たな措置を講じることの要望など、地方消費者行政推進事業における相談員の人件費補助が終了してしまう自治体もあり、相談員の確保のためにも指定相談員や主任相談員、相談員に対する人件費の補助を望む声があります。

財政以外の要望では、例えば、地方消費者行政強化交付金に対する事務手続を簡素化してもらいたいや、例年開催される交付金説明会の説明が少な過ぎるので、内容変更や事務連絡だけではなく、ルール等も丁寧な説明を望むとの声も出されています。

消費者行政担当が減少していることもあり、兼任の職員も増加しており、事務軽減を求める意見があり、職員の多忙さが伺えます。

21ページは、全体の意見について示しています。

22ページ、最後になります。 御清聴ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、同志社大学名誉教授の新川様、よろしくお願いします。

○同志社大学新川名誉教授 御紹介ありがとうございます。

私のほうからまずは、お手元の私の資料の1枚目をめくっていただきますと、地方消費者行政の目指すべき姿ということで、2020年8月に、先ほど御案内いただきましたとおり、地方消費者行政専門調査会報告書を提出させていただきました。

この中身というのが、今、どのように目指されているのか、あるいはどこまで実現されているのか、あるいは今後の課題とするところ、どういうところにあるのか、こういうことについて少しお話ができればと思っております。

もちろん、2040年頃の地方消費者行政の姿というのを想定した報告でございますので、内容的には、未来、それも16年先の未来でございますので、今どうこうということではございませんが、もう一方では、2040年に向けて取り組んでおかないといけないことというのは、むしろ、どこまで準備をしっかり進めていくのかという点では、大変重要なこの4年間だったのではないかと思っております。そういう点で、少し現状を踏まえたうえで、今後の展望等をお話ができればと思っております。

この報告書では、大きく6つのポイントで今後の在り方ということを議論させていただきました。

1つ目は、市町村、都道府県、そして国が重層的に消費者の安全・安心を守る消費者行政というのを目指し、決して誰か特定のどこかのレベルの行政で完結をしようということではなくて、網の目を何重にも重ねて実現をしていこうと、そういう趣旨でもありました。

もちろん、理想的には住民に身近な市町村が、こうした消費者行政の、まずは第一線にあって活躍をしていくということです。ただし、現実には、その市町村がこうした業務というのをなかなか全うできない状況というのがあって、市町村間の連携等々、様々な方法を使いながら工夫をせざるを得ない、そういう状況になってきているということがございます。

加えて、府県というのが、それを補って、言わば網の目の漏れたところというのをカバーできるような、そういう体制になっているのかということでありますが、残念ながら都道府県の調整と補完という機能そのものが、必ずしも市町村の個々の実態からすると、そのニーズにうまく合っていない、府県の役割として、ややもすれば広域的な観点あるいは専門的な観点というところに関心がいっています。しかも、市町村間調整というのは、本来の公益機能の1つでありますが、そういうところも市町村の側から問題提起がされなければ、なかなか動いていかない、そういう現実もあるのではないかと見ております。

つまり府県固有の業務に、どちらかというと優先度が置かれている、そういうところも見られるのではないかと思っております。

こうしたところを本当は消費者庁におかれては、重層性というのを発揮していくために、国、府県間のコーディネート、そして府県相互間のコーディネート、府県市町村のコーディネートをつくらなければならないところがあるのではないかと思っておりますが、今のところこうした地方公共団体間、そして国との間での積極的なコーディネートということが進んでいるのかということについては、いささか心もとないのではないかと見ております。

おめくりください。

2つ目のポイントは、新たな支え合い見守り合う地域社会への転換ということでございます。

ここの趣旨は、本当に様々な地域の担い手、行政も含めてでありますが、それらが協働して消費者安全というのを確立していこうということでございます。

残念ながら、既に御報告がありましたように、消費者安全確保地域協議会、あるいは、そのほかの様々な支援の制度は、必ずしも十分に働いていると言えないのではないかと思っております。

こうした仕組みで働いているものというのは、どちらかというと、ややもすれば、地域住民にとっては少数派の活動に見えるのではないかと思っております。

あえて言ってしまえば、地域の住民生活の中で、この消費生活問題というのが、別の問題として切り離されてしまっている、そういう現状があるのではないかとも考えております。

今後、改めて地域の暮らしの中に、この消費生活問題というのをどう組み込んで一緒に問題解決をしていくのか、そうしたコミュニティー施策としての展開というのが必要になってくるのではないかと思っております。

もう一つ、それに加えて、こうした消費者市民社会というのを地域で実現していこうというときに、この報告書でも強調してまいりましたけれども、消費者自身が見守る、お互いに見守り合うような社会というのを目指そうということで、お話をさせていただいてきました。

その点では、高齢者の力も、若者の力も大いに活用できるのではないかということでありましたが、さて、どこまでこれらの活用が進んでいるのかということを問題提起させていただきたいと思います。

高齢者や若年層が担う消費者教育、あるいは消費者見守り、これを本当に学校の教育、ボランティア学習あるいは高齢者の社会参加の手だてとして考えていく必要があるのではないかということでもございます。

大きな3つ目の柱は、本当に消費者問題は複雑多様化しております。その中で自分自身を守ることができる消費者市民社会というのを、どのようにつくっていくのかということであります。

1つ目は、やはり市民自身が、そうした消費者市民社会というのをつくり、そして、安全・安心な市場というのをつくっていく、そこが、まずは大きな論点かなと思っております。

今、本当にICTあるいはDXというのが大きく進む社会の中で、自由な情報交換が仮に進み、そして、その中で情報の質が精査され、ファクトチェックということが機能していけば、恐らく、今、一部のプラットフォーマーの方々によっても実現をされていますけれども、消費者情報というのが、それなりに適正な情報に質的な区分をされて伝えられていく可能性というのは、見いだせるのではないかと思っております。

しかし、もう一方では、バルクのように、本当に大量の情報が垂れ流されている状況、あるいはその中でのファクトチェックや質的な問題というのを処理できないときには、このICTあるいはDXの進んだ世界というのは、非常に大きな混乱をもたらす可能性もあるとも見ております。

いずれにいたしましても、情報の偏りということと、そして、消費者のアクセシビリティ、ここが鍵になってくるのではないかと思っております。

消費者市民社会に向かう大きな2つ目は、消費者の自立や学習、そして成長であり、ここをやはりしっかりと見据えないといけないだろうと思っております。

従来型の消費者教育は、本当に熱心にやっていただいてはいるのですが、全体で言えば、ごく一部の市民にしか届いていないという現実があります。

改めて学校教育や、それから社会教育あるいは生涯学習といって、より幅広くやられている、こうした教育システムの中で、もう一度この消費者教育というのを、きちんと位置づけていくということが必要ではないかと思っております。

もちろん、教科教育の中で、こうした消費者問題を扱われていることは承知しておりますが、同時に、本当にそれは、それぞれの教科の中でのごく一部で、しかも言ってみれば、本の中での知識として学習をするということにとどまってしまっています。

これからの本当に身につく学習ということを考えていったときには、自主的、能動的に学ぶ機会というのを、学校教育であれ、社会教育であれ、用意をしていくということ、そして、そのときに一人で学ぶということもありますが、同時に集団で学んでいくことによって、より一層こうした学びの成果というのが定着していくこともあるのではないかと思うのです。

消費者市民社会の大きな3つ目の要点は、消費者自身が消費者を守ることです。これは、先ほど触れた点とも重なりますので、簡単にしますが、改めて、そうした動向というのも国民全体の気運にしていく必要があるのではないかと思っております。

形だけではない国民運動にどうするか、なかなか難しいのですが、こういう取組も必要ではないかと思っております。

4つ目も先ほど触れました高齢者自身が、消費者市民社会の担い手になっていく、そういうところをぜひ目指していただきたいと思っております。ですが、こうした高齢者にフォーカスを当てた、言わば消費者市民社会を守り育てていく、そういう立場での高齢者対策というのは、まだまだこれからではないかと見ております。

5つ目といたしましては、やはり先ほど皆様方からもありましたが、このDXということ、あるいはAI、ICTの活用ということを通じて、消費者市民社会、それ自体が成長していく可能性というのがあると思っております。ですが、同時に、それがどんな姿かというのを具体的に見せることができるのか。これについては、本当に消費生活の中で、AIがつくり上げるICTネットワーク、その中で市民の消費生活というのが安全に守られるということが、どこまで可能なのか、そうした姿というのを明確に示していく必要があるのではないかと思っております。

次のページをおめくりくださいますでしょうか。

4つ目の柱は、感染症、自然災害等危機下での消費者の安全・安心ということでございました。

この1月1日の能登半島地震でもそうでありますけれども、こうした非常事態、緊急事態に消費者の安全・安心を守る情報の受発信、あるいは危機対応ということがどこまでできてきたのか、改めて疑問に思わざるを得ないところがございました。

確かに様々な支援の手が徐々に入り始めたということはあるのですが、もう一方では、その中で消費者問題というのにどこまで対応できてきたのだろうかということについては、改めて検証していく必要があるのではないかと思っております。

もう少し具体的に言いますと、各市町村の防災計画というのは、これは、法定で設けることになってございますけれども、その中で消費者の問題、消費者保護について、何かより積極的な位置づけがあるのかということについて言えば、一部の物資の供給とか、確保ということはございますけれども、どうもそうした売り惜しみ等々の問題を除けば、こうした災害時の対応について、あまりにも消費者問題への関心というのが薄いのではないかと見ております。

加えて、復旧・復興時には、消費の問題というのは、当該の被災者も含めて非常に大きな課題になるはずであります。果たして、こうした復旧・復興段階で、既に様々指摘をされておりますような消費者問題、ある意味では悪質業者のばっこということに、どこまで対応できるのかということ、ここのところは、もう既にそうした事例がたくさん出ている状況の中で、喫緊の課題かなと思っております。

いずれにいたしましても、こうしたリスク事態の中での消費者問題対応を先取りして考え、そうしたモデルというのをいち早くつくり上げていくということ、そして、それを全国に広げていく、その辺りから、今後の喫緊の対策というのが必要ではないかと思っております。

大きな5つ目の柱は、安全・安心な消費生活を守る持続可能な相談体制ということであります。

これも既に皆様方から御指摘がありましたように、消費生活相談体制自体、極めて危機的な状況にあるのではないかと見ております。

確かに、広域的な対応や、あるいは消費生活相談員の養成等々、また、関連をする様々な協力員の方々の仕組み、協力団体の育成等々進んでいるところもあるのですが、もう一方では、中核的な活動をしてくださる消費生活相談員の方々、そこが本当に分厚い支え手としての層というのを維持していくことができるかどうかという問題、これについて、やはり考えておかなければならないだろうと思っております。

既存の消費生活相談体制自体は、やはり、こうした人員の問題も含めて、あるいは経費、財政の問題も含めて、事務の委託や、あるいは相互乗入れ、相互協力、また、中心市への集約や広域センター化等々を通じて、効率的・効果的に事務を果たそうという方向ではあります。ですが、中心になる相談員体制を分厚くしていくというところには、なかなか目がいっていない、そういうところがあります。

この点では、消費生活相談員で駄目なら民間の消費アドバイザーの制度、こういうところももっと活用する、あるいは民間企業さん、あるいは民間の各種団体の皆様方からのこうしたアドバイザー等の派遣や活用、あるいは場合によっては委託、そういうことももう考えていかざるを得ない、そういう状況になってくるのかなと思っております。

もちろん、地方行政にとってどこまでこれが、インセンティブがあるのかというのは、少し課題ではあろうかと思っております。

相談体制の2つ目の課題は、やはりこうした消費生活相談員というのをどう確保していくのかということであります。

既に御承知のとおり、消費生活相談員自身が高齢化をしています。そして、その中には、やはり今後の活動そのものに様々な危惧を抱いておられる方々もたくさんいらっしゃる。

もう一方では、若い方が消費生活相談員として、新たにこのマーケットに入ってこられているかというと、これも極めて流れは細いと言わざるを得ないと思っております。

加えて、地域間の格差が非常に大きくございます。大都市圏では、比較的募集がしやすいといったこともあるかもしれませんが、もう一方では、非大都市圏の地域の中では、こうした消費生活相談員を確保するというのは極めて難しい、そういう状況もあると聞いております。

いずれにいたしましても、こういう消費生活相談員、その層を分厚くしていく、そのためにも、その専門性を高め、処遇労働条件等も考えていく必要もあるのではないかと思っております。

今後どういうやり方をしていくのか。難しいのですけれども、消費生活相談員や、その層を分厚くできないということであれば、むしろ少数精鋭化、そして専門人材化ということも考え、そして、それを補助するような仕組み、AI、DXであれ、あるいはその他の非専門職によるサポートであれ、そうしたものとの組み合わせというのを考えていかざるを得ないのではないかと思っております。

大きな3つ目の相談体制のポイントは、消費生活問題の処理の仕方ということであります。既にこれは実施もされ、そして、これまでにも推進をされてきたところでありますけれども、チーム型の消費生活相談の処理ということ、これらが一部先行事例の中では進んでいるということがございます。

ただし、都道府県によって、まちまちの取組ということになってございまして、この辺り、本当に体制の整備に向けて、また、その機動的な運用に向けて全国の足並みをそろえていく、それくらいの勢いが必要なのではないかと考えてございます。

1枚おめくりくださいますでしょうか。

6つ目の柱は、目指すべき姿を実現するための社会的資源の確保で、本当に難しいのですが、それをどう確保し活用していくかということでございます。

1つは財源の問題です。本当に小規模市町村の財政事情は、どんどん厳しくなってございます。消費者行政は、確かに自治事務なのですが、努力義務と認識をされていますので、残念ながら地方消費者行政は依存財源頼りということになってしまっています。

したがって、対策が手つかずで、強化交付金があれば、まだしもということだったのではないかと思っています。

本当に今後も依存財源あるいは特定財源ということを考えていかざるを得ない、そういう状況があるのではないかと思っております。

ただし、これも公的な資金そのものの制約があることも承知をしております。そういたしますと、もう一つの方向は、やはり消費者行政については外部資金というのを、どのように組み入れていくのか、こういう発想が必要になってくるのではないかと思っております。

民間の基金等々も含めて、民間資金の導入ということを考えていく、そういう段階に来ているかもしれないと考えております。

2つ目は、やはり人的な資源についてであります。先ほど来触れております消費生活相談員だけではなくて、行政の中にこうした消費者行政についての専門性というのを、いかに構築をしていくのか、そして、それを継承していっていただくのか、組織的な活動というのが必要になるのだろうと思っておりますが、残念ながら、そうした消費生活相談員も、そして行政の中での専門職の採用ということも非常に難しいという現実がございます。

ここも限られた人材、発掘困難という状況の中で、やはり外部の人材というのをお互いに使い回すような、そういう仕組みというのをそろそろ考えなければならないのではないかと思っておりますし、そうした人材プールや、あるいはその資格の在り方、消費者行政専門員的な資格制度というのも考えていく必要があるのではないかと思っております。

DXについては、まだ、これからということのようでございますので、次のところで少しお話しできればと思います。

すみません、若干時間を気にしておりますが、先ほど御紹介がございました消費生活相談のDXあるいはPIO-NETの更新ということについて、少しお話をさせていただきたいと思います。

次のページをおめくりいただければと思います。

10ページ目ですが、相談業務のDXの効果というのは、確かに大きいのだろうと思っておりますが、それは同時に、次の11ページ目を御覧いただければ、地方消費者行政にとっても、これは、かなり影響なり効果なりが大きいだろうなと思っております。

1つは、自治体内での情報交換が、このDX化でかなり進むということはありそうであります。部門間によってほとんどたこつぼ化しておりました従来の行政の中で、例えば、福祉部門と消費者保護の部門、それから教育部門と消費者問題、こういったいろいろな組み合わせ方が考えられるし、情報交換も進められる可能性がありますが、ここはどういう自治体内でのシステムづくりがされていくのか、また、情報共有がされていくのか、この辺りに焦点を当てて議論をしていく必要があるのではないかと思っております。

2つ目には、やはり市町村間や市町村と府県、あるいは国との、こうしたDXを活用した、むしろ消費者行政専門組織間での共通プラットフォームみたいなものを、そろそろ考えていく必要があるのではないかと思っております。

既に様々な会議などもあり、また通知等は行き交っていることは承知しておりますが、共通に議論をする場みたいなものは、もっとこうしたDXあるいはAIの支援を受けて、より容易につくり上げていくことができるのではないかと思っております。

それは、各地方公共団体におかれても、消費者あるいは消費者団体の皆様方との関わり方というのを、これを通じて大きく組み替えていく、そういう可能性も出てくるのではないかと思っておりますし、住民との情報交流ということも、大きくこれで進められる可能性というのは見いだせるのです。もちろんこれもネットワークの整備あるいはアクセシビリティ、そこでの実際の使い勝手、そこでの情報の質、これによって大きく左右されることは間違いないのですが、こうしたDX化の効果というのはあり得るのだろうと思っております。

ただし、地方消費者行政の負担というのは、このDXによって軽くなるのではなくて、むしろもっともっと重くなるのではないかと思っております。

DX化によって、恐らく様々な問題というのが、DX自体によっても発生しますが、同時に、従来掘り起こせなかった問題というのが大量に掘り起こされる可能性というのも大きいだろうと思っております。

市民が、こうした消費者問題により関心を持ち、そして、それへの気づきを高め、問題意識を高めていくということは、同時に相談件数も増える可能性というのは、極めて高いのではないかと思っております。

最後にいたします。地方消費者行政強化作戦について、今年度が最終年度と伺ってございます。

次年度以降は未定ということと、一応伺ってはおりますが、こういう消費者の安全・安心な地域体制というのを、どう全国に広げていくかということで言いますと、すみません、もう一枚めくっていただきまして、14ページ目を御覧いただければ、やはりかなり大きな課題があるのではないかと思っております。

消費生活センター自体は、現在、設置をしておられる都道府県、それから政令市、大都市等では、当然維持をされていくということは、恐らく大丈夫だろうと思っております。

ただし、相談員というのを本当に確保し続けるということができるかどうか、特に今後想定される高齢化とともに退職者が大量に出てまいりますので、それを本当に補充できるかということ。その際に、やはり多様な相談人材の体制というのを考えていかざるを得ないのではないかと思います。

なお、強化作戦終了後の予算手当について、今回の御報告でもございましたけれども、私の場合は京都府でございますので、京都府内の市町村の状況、26市町村あるのですが、実は、そのうちの8割の市町村で強化作戦終了後については相談員の確保が課題、どうするか分からない、国や府の支援が必要、縮小に向け検討の必要がある、そういう言い方をしておられます。ある意味では、予算確保のめどが立っていないという御報告、そのとおりということになります。

それから、指定消費生活相談員、それから主任消費生活相談員の制度等々につきましても、その役割として、一体どうしたらいいのだろうかというのは、都道府県担当者からも、時折お伺いをするところもあります。どういう差別化が具体的にできるのか、この辺りも議論をしていく必要があるのではないかと思っております。

大きな3つ目は、特に若者の消費者教育、これは、やはり今後、本当に改めてその必要性が強調されるべきところではないかと思っております。

とりわけ、成人になるまでの間に、どこまで消費者教育というのを充実させ、そして、消費生活についての意識というのを高め、知識や技術というのを、言わば、普通の生活者、市民として発揮できるような、そういう市民をつくっておくということが、極めて重要であります。

学校教育、特に中学校、高等学校が中心になるでしょうか、そこでの消費者教育ということを、どう組み立てていくのか、ここは消費者庁だけの問題というよりは、文科省を含めて考えていかなければならないところではないかと思っております。

そうした地域での消費者の教育体制、これをどう進めていくのかということを考えていったときに、実は、高校を主に担当しておられます都道府県のレベルでは一定進んでいるのですが、中学校、小学校のところでは、なかなかこの消費者行政ということについて、市町村教育委員会レベルでの取組も極めて弱いところがあります。意識的にやっておられるところは別なのですけれども、総じて、なかなか目が向いていないということがございます。

今後は、市町村にどう焦点を当てるか、この学校教育は、ポイントではないかと思っております。

なお、SDGsあるいはその中でのエシカル消費ということについて、関心は広がっていることは間違いないのですけれども、もう一方で気になりますのは、消費者志向経営でございます。

相変わらず、大手企業さんのこうしたSDGs志向や、あるいはエシカルの問題についての関心というのは高まるばかりというところはありますが、もう一方では、地域にあります中小企業の多くというのは、戸惑うばかりという状況が圧倒的に多いのではないかと思っております。

もちろん、こうした消費者志向経営について、熱心に取り組んでおられる幾つかの都道府県はございますけれども、そうした例外を除けば、そして、それの中でも抜け落ちている企業さんが圧倒的に多数という状況もあります。

ここの組み立て直しというのを、どうしていくのか、大きな課題かなと思っております。

最後にいたしますが、消費者安全確保地域協議会の問題につきましては、高齢消費者の見守りということについて、やはり様々な見守りネットワークが地域にもありますけれども、その中で消費の問題というのがどこまできちんと浸透しているか、心もとないという現実があります。推進体制を含めて、やはり抜本的な見直しが必要なのではないかと考えております。

具体的に言うと、やはり協議会の構成、協議会のつくり方といったところを、もっと目的に合わせてつくりやすい、そういう仕組みに変えていく必要があるのかもしれないと思っております。

すみません、もう最後にしないといけないのですが、最後に2つだけ喫緊の課題ということで、あえて申し上げます。

1つは、やはり消費者行政体制を誰が担うのかということ、なかなか市町村責任だけで議論をし尽くすというのは難しいので、まさにこれをどのように今後展開させていくのか、既に消費者庁では、巡回方式あるいは相互乗入れ等々の御提案もいただいておりますけれども、実際にそれを地域の中に落とし込んでいくということを考えたときに、極めて難しい、それぞれの団体ごとの事情からすると受入れにくい、そういう状況もあります。ここをどう乗り越えていくのか、これは、1つ当面の大きな課題ではないかと思っております。

2つ目の大きな課題は、やはり消費生活相談員の確保という問題であります。本当に今後のことを考えていくと、全体としての縮小というのをどう補っていくのかと、そういうところを先に手を打って考えておく必要があるのではないかと思っております。

そうした代替できる人材というのを、AI等々も含めてでありますが、そうした仕組みを、これから早急につくっていく、既にサポーターあるいは協力員等々の制度もございます。これらがどこまでこうした消費生活相談員の仕組みにしっかりと支援をし、場合によっては、協力をしながら問題解決をしていく、そんな仕組みを考えていく必要も出てきているのかなと思っております。

すみません、時間をオーバーしてしまいまして、私からは以上にさせていただきます。

どうも御清聴ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で皆様の御発表が終了しました。これより、全体を通しての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

少し時間的に押してはいるのですが、先ほど申しましたように、50分程度で意見交換等をしたいと思います。いかがでしょうか。

星野委員、お願いします。

○星野委員 御発表ありがとうございます。今日は、カメラの調子が悪くて、ビデオをオンにできませんで、申し訳ございません。大変勉強になりました。

それぞれ伺いたいところがございまして、まず、消費者庁に伺いたいところでございますが、資料1の「地方消費者行政強化作戦2020」の8ページと、目標をいろいろ立てておりますけれども、それぞれの目標に対して、それぞれどのような施策を具体的にされたのかという、単純に目標を設定して、各都道府県ごとに、君たちやっているかみたいな形で数値目標として単に立てておられるだけなのか、個別の目標に対してどのような、8ページだと思いますけれども、具体的な政策目標というのがございますが、この目標に対して、これはあくまでも結果というか、アウトカムというか、実際の実施率、それからインプットかもしれませんけれども、それぞれの目標を立てられて、それに対して、単にモニタリングをされているだけなのか、具体的な施策、消費者庁側のほうの施策と紐づいているところ、すみません、私が不勉強なのかもしれませんけれども、何かそこら辺が見えなかったというところですが、多分、何かやられているとしても、政策目標は、なぜ進捗率が低いのか、令和6年は、一応の期限ということでございますけれども、どのように進捗されるのかとか、そういうところは、どのようにお考えなのかと。

あと、大体こういった一定期間の強化をする補助金を出した後に、どう持続的に消費者行政のレベルを維持されるかということが、現状で、この期間が終わった後に具体的な施策をお考えであれば、何かしら伺えればと思います。

もう一点、先ほど、新川先生は、地方自治法上の固有業務に、消費者保護を呈したということはございますが、そもそも、やはり昭和44年の法律ということでございまして、その当時の商習慣に比べて、今、取引がかなりの部分がオンラインで行われたり、SNSだったりするという中で、なかなかリアルの店舗だとか、または訪問販売とかということとは違いますので、大分、商取引自体がかなり変更されている中で、大きな意味で、地方の消費者行政というものをどのようにお考えになっているのかというところが、何かございましたらお教えいただきたいというのが、まず、消費者庁様に対してでございます。

もう一点、全国消費者団体連絡会様、御発表ありがとうございました。この地方消費者行政強化作戦というのに対して、先ほど、目標が幾つかございましたが、その目標を到達しろという形で、都道府県側のほうは、そういう要請をされて、交付金があるぞという餌があるという中で、どのように政策目標自体に関して、各それぞれの戦略目標をどのようにお考えなのか、問題は、そこではないのだとお考えになったり、いや、これはあまり意味ないと思いながら、実は、補助金があるからやっているだとか、仕方なく付き合っているのか、何かこちらの調査で、それ以外に自治体の意見などを伺っているものがありましたら、お教えいただきたいと思います。

それから、新川先生の御発表、大変勉強になりまして、飛んで申し訳ございません、資料3です。特に7ページ目でございますが、課題3というところで、チーム型の消費者問題処理というのは、非常に重要かと思います。特に警察とのつながりとかがありますが、先ほど先生が、少しだけおっしゃっていましたが、ユースケースとして何か具体的なものもあるということでございますが、何かそれに関してお教えいただけますと幸いだと思います。

自治体側としては、交付金をくれと言うわけですが、ワイズスペンディングが求められている中で、何かうまい事例があって、それが共有されていくというのは非常に大事だと思いますので、何かしらそういったチームで行われるということがあると、それが全国に広がるといいと思いまして、何か御知見がございましたら、ぜひお教えいただきたいと思います。

また、これは新川先生の御発表で、11ページにもございますが、DX化の推進でということで、PIO-NETの今後の更新というのは、非常に重要かと思っておりまして、その際に、やはり、これは資料1でも次期PIO-NETの話をされておりますけれども、これは消費者庁に対する意見でございますが、やはり民間事業者も、例えば、海外の米国のコンシューマーセンチネルなどと、様々な事業者が、ウォルマートとか、民間のセクターなども苦情を集めたり、あと、情報を入力するみたいなこともございますので、ぜひそういったチーム型というと、もう少し大きな話になりますけれども、ぜひそのような形で民間事業者も参加するようなシステムをつくっていただけたらと思います。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、三者に対する御質問がございましたので、まずは、消費者庁からお願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 貴重なコメントをいただきまして、ありがとうございます。

初めのところでいただきました、強化作戦2020の政策目標につきまして、達成しているもの、達成していないもの、いろいろございますけれども、それぞれについて、施策としてどんなことをしてきたかということ。

それと、一定期間後の地方消費者行政のレベルの維持のために考えていること、あと消費者保護と言っていた時代からの変化ということでいただきました。

取組としましては、それぞれの施策に対応する形で、幅広い事業をしてきているというところがございますけれども、予算で見ますと、資料でお配りしているところの18ページ目にあります事業が全体としてございます。例えば、地域のトップランナーとしての先進モデル事業をつくって、それを優良事例として全国に展開していくといった取組ですとか、人材関係のものですと、人材育成事業ということで、相談員の担い手確保事業、また、見守りの協力員・協力団体の養成事業ということを行ってきております。

実際に就業につなげていただいたり、各地域でも見守り活動に当たる方が増えたりといったところに出てきているということが、先ほどの資料に表れてきていると思います。

また、消費生活相談のデジタル化も全体として、就業環境の改善にもつなげていければということもございます。まだ、ここはどの指標に効いてきているという段階までは来ていないものも多くございますけれども、今後の取組というところでもございます。

また、人材養成という観点からは、例えば、国民生活センターもそうですけれども、研修事業の拡充ということで進めていることもございまして、また、受講しやすさということにも配慮した形で運営しておりますので、人材養成というところには効いてきているとも考えております。

また、全体として体制の整備につきましては、各地方公共団体との間ではいろいろと意見交換もさせていただき、また、働きかけなどもさせていただきながら、全体としてのレベルを引き上げていけるようにということで、それぞれのコミュニケーションをしているところでもございます。

なおまだ足りないところというのも多々ございます、そのとおりでございまして、例えば、先ほどの見守りの設置などもそうですけれども、まだまだ取組を充実させていかないといけない分野はございます。

そうした課題は、今回で終わりというものでも、もちろんありませんし、引き続きの継続の課題として取り組んでいくべきものと理解しております。

それと、法制度の変遷という意味では、先ほどの消費者保護と規定されたところから、御案内のとおり、消費者基本法となり、また、消費者安全法もできて、個別法もできてと、時代とともに変遷してきている中で、地方消費者行政も位置づけられていると理解しておりますので、そうした現在の法制度のもとで、引き続き取組を充実していくところに、こうした様々な取組も当てていきたいと思っております。

それと、チーム型で民間事業者等もいろいろ参加できるような形でという御指摘も最後にいただきました。どうもありがとうございます。

確かに行政だけで追うということではなくて、様々な市民の方々のお力をいただきながら、また、事業者の方、団体の方々のお力をいただきながら、全体として消費者行政のレベルアップをしていければとも思いますので、今後の環境整備につきましても、そうしたことも念頭に進めていければと考えております。

どうもありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

続きまして、全国消団連様、お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会大出政策担当 御質問ありがとうございます。

私どものほうで、この強化作戦2020について、直接何か質問という聞き方はしていないのですけれども、私どもの設問を考えるときに、この強化作戦2020を意識しながら考えております。例えば、今回も地方版の消費者基本計画の策定がどのように進んだかなということとか、消費者安全確保地域協議会については、昨年度調査をしたりということがあります。

ですので、直接は分からないのですけれども、結果として、私どもの18ページのところに、強化交付金の活用についてというところが、自治体の回答になるのかなと思います。これが、直接全部が当てはまっているわけではないですけれども、この強化交付金は、国が進めたいという事業に関しての強化交付金になっているので、それに対して、地方自治体が活用しているということであれば、それが進んでいるということになるのかなと思います。

ですので、逆に活用していないということであれば、自主財源でやっているところもあるのだろうなと、私は期待しているのですけれども、ぜひ、この交付金を活用していただきたいという希望はあります。

ただ、強化交付金になってから、2分の1という補助金になったこと、条件によっては3分の1になっているところもあるので、その率を上げてほしいという意見もあることから、それでも自治体にとっては、厳しいのではないかなと私どもは考えております。

以上です。

○鹿野委員長 続きまして、新川先生、お願いします。

○同志社大学新川名誉教授 御質問ありがとうございました。

チーム型ということにつきましては、私の経験で、京都府でのケースでございました。京都府の消費生活センターがあっせんに当たりまして、消費者の方の問題について、実際に相手方の事業者との交渉に際して、ただ単に消費生活センター、消費生活相談員として対応するのではなくて、弁護士さん、それから、そのほかの消費者団体、そして業界団体と一緒にチームを組んで対応するということを、過去にやってきたことがございました。

いずれも消費生活センターに関わってくださっている機関や団体、弁護士さんたちではあるのですけれども、そうした特定の問題についてのチームでの取組方というのがやられてきました。

ただ、常設的にそれがやられているわけではありませんし、常にそれが発動しているという状態ではございませんので、どこまで普遍性があるかということは考えなければならないかなと思っておりまして、そういう体制というのを、本当にこれから全国どこでも、必要に応じて発動できるような、そういう仕組みが出てくるといいなということでお話をさせていただいたところであります。

それから、強化交付金のお話で言うと、京都府内は26の市町村ございますけれども、交付金をいただかないで自主財源で地方消費者行政をやっておられる団体は2団体ございます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

星野委員、関連して何かございますか。

○星野委員 ありがとうございました。勉強になりました。

○鹿野委員長 それでは、ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 本日は、御説明ありがとうございました。私からコメントと御質問をお伝えしたいと思います。

まず1点目は、市町村単位の比較的小さな自治体で、専任のフルタイムの担当者の配置が難しく、消費生活相談員等の人的、財務的な様々な資源が不足している現在の環境下で、日々様々な消費者団体の方々、消費生活相談員の方々及び地方自治体担当者は、本当に大変な御苦労をなさって業務をされていると思います。

一方で、やはりサスティナブルで実現可能な地方消費者行政の全体像、大きな方針を描き、リードしていくという点について、正直お話を伺って、リーダーシップの不在というものを少し感じた次第であります。

先ほど、消費者庁の加藤様から消費者行政の取組の現状については、個別の施策ごとの進捗を、データをもって御説明いただきました。

中長期的な将来を見据えて、新川様から4年前の令和2年の消費者委員会、地方消費者行政専門調査会の調査報告書に、地方消費者行政の目指すべき姿の概念がまとめられているという点の御報告と、その後の現状を見据えた具体的かつ明確な道筋の御提示があったと理解いたしました。

これを受けられて消費者庁あるいは国のほかの省庁におかれては、どのような点について最も課題意識を持たれて、この限られた人的、そして財務リソースを前提として、地方消費者行政を進められる絵を描いていらっしゃるのか。具体的には、各団体の責任の明確化と連携の方法等を網羅した具体的な中長期のビジョン、大きな戦略が必要であると思いますが、私は民間から来ているので、戦略というと、どうしても全ては実現できないので、やることとやらないことのめり張りのある計画が、私は戦略を理解しておりますが、それを現在描かれているのか、お考えやイメージがあれば、御教示いただきたいと思います。

2点目は、1点目と関係するのですが、足元の複雑に絡み合った課題の解決方法の1つとして、デジタル化、DX化、AI活用については、消費者庁より言及いただいたのですが、一般論としてDX化の促進を行う場合は、必ず具体的な全体像のありたい姿をまず描いて、そのありたい姿を達成するために、どの部分をオンライン化したり、AIを活用したり、逆にどの部分は対面を残すかと、すなわち、人の配置、予算の配分をどのようにしていくかという設計図のようなものをつくることがあると思います。

それが、強いては今後の地方消費者行政のビジョンなのではないかと推測されるので、DX化というのは手段なので、その手前の要件定義とか、設計図のようなものが見えてくれば、多くの地方自治体や、それを支える消費者団体が方向性、あるいは持続可能性に不安を持ち続けることはなくなるのではないかと感じました。

最後に3点目として、全国消費者団体連絡会さんの御説明で、気になる御発言があったのですが、国はDX化を進めるに当たり、現場である自治体や消費者の聞き取りを行っていないという御指摘があったのですが、もし、これが事実であるとしたら、なぜ今それができていないかという点と、もし、そのコミュニケーションが取れていないとして、今、進めているDX化が、自治体や相談者のニーズに合った利便性向上に寄与する設計になっているのかということに、不安を感じた次第であります。

現場に対する情報提供や、対話というコミュニケーションは、より強化されていくべきだと思いましたので、この点について、消費者庁と全国消費者団体連絡会から御見解があれば、お願いしたいと思います。

以上3点です。

○鹿野委員長 それでは、まずは、消費者庁のほうから、お願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 御指摘どうもありがとうございます。

まず、1点目からですけれども、2040年に向けてのビジョンを示していただいたもとで、どんなことを考えてきているのかということですけれども、配付資料の24ページを御覧いただければと思います。

コアになりますのは、消費生活相談のDXであると考えておりまして、人口、社会保障、地方行政ということで、一番上のところにございますけれども、まさに人口減少、高齢化という状況が、2040年に向けて進んでいく中で、人的行政的リソースも限られてくる可能性があるところでございます。

一方で、社会、技術、国際という2つ目でありますけれども、デジタル社会に即した移行をしていかなくてはならないという状況がございます。

一番下、消費生活相談について見ますと、これは、まさに地方消費者行政の中核部分になりますけれども、社会経済が一層高度化、複雑化、デジタル化する中で、また、国境を越えたグローバルな取引も進んでいくという中で、高齢化がさらに進んで、なかなか消費者自身による解決が難しい問題も増えていくと、相談需要も高まる可能性があるという中で、行政リソースも限られてくると、そういうことに対応できるようなことということで、まさに消費生活相談のDXの検討を進めてきているところでございまして、ここを1つのビジョンとしまして、全体の地方消費者行政の在り方を描いているところでございます。

2点目でございます。

ありたい姿を示して、どういうことをやっていくのかということですけれども、27ページを御覧いただければと思います。

消費生活相談、DX後のサービス全体の俯瞰図というのが、こういう姿を目指しているというものになりますけれども、上下に分けて御覧いただければと思いますが、パソコン・スマホを活用している消費者という左上の方々は、消費者トラブルの自己解決の支援ということが、その右にございますけれども、いろいろと自分で情報収集をしたいというとき、情報を得たいときに、自己解決を支援するような情報の提供が得られるような形にしていければということでございます。

その背景のつくり込みとしましては、ウェブサイトでの情報提供はもちろんございますけれども、公開用の消費者向けのFAQを充実させたりということもございまして、そういったつくり込みのところを、その右側、ナレッジツール等の整備というところに国民生活センターなどが当たっていくというところでございます。

その下段につきまして左下ですけれども、パソコン・スマホが苦手な消費者につきまして、特に見守りが必要な高齢者でございますけれども、引き続き電話相談というのは重要なツールだと考えております。

そうした中で、丁寧な、また、積極的な支援、見守りを行っていければということでございまして、人による助言、あっせん等による支援という、その右側にございますけれども、各地の消費生活センター、国民生活センター等が、そうした相談対応に現場で当たっていただくところ、そこに対する御支援ということで、相談員用のFAQですとか、業務支援システムといったものを御用意していければということでございます。

引き続き、デジタルで充実・支援できるところはそのような支援をしつつ、人でしかできないところに対しては、人による取組を充実させていくということでございまして、これによりまして、例えば、見守りのような人手で支援していくべきところには、一層の充実を図るところも視野に入ってくるかと考えております。

次の3点目ですけれども、消費生活相談のDXについて、現場からの聞き取りができていないのではないかという御指摘を頂戴いたしました。

相談DXは、これまで2021年、22年と、いろいろと構想段階ということで構想を練ってきたところであり、まさにそのようなステージでございました。

今、御覧いただきました、2040年のビジョンに向けての整理ですとか、それに向けてどういう要件をつくっていくかという検討を重ねてきておりまして、それが、これまでの2年ぐらいの取組でございます。

それに基づいて、これからは、まさに今まで練ってきた構想を具体的にそれぞれの機器をどう用意して、予算要求をして、現場で活用いただけるようなものを準備するかという段階。まさに構想段階から、特に昨年後半以降ということになりますけれども、導入段階に移ってきたところがございまして、先ほど全国消費者団体連絡会様からいただいたのは、少し前のアンケートかもしれないですけれども、現在、地方公共団体から現場の状況も丁寧にお聞きしながら進めているという状況でございます。

実際に私自身も含め現地にも、いろいろなところにお伺いをしておりますし、意見交換も大分させていただいておりまして、そうした現場の理解を深めさせていただきながら、新しい機能ですとか、検討の進め方、そうしたところについて反映をさせていただいているという状況でございます。こうした機会を、引き続き大事にしながらやっていきたいと思っております。

また、あわせて、有識者会議となりますけれども、消費生活相談デジタル化アドバイザリーボードという会議を持って、検討を具体化させておりまして、その状況を地方公共団体の皆様にも見ていただいたり、情報提供をさせていただいたりしながら、検討の段階に応じた情報提供の充実に取り組んでおります。

また、相談のDX、消費者の利便性の向上という点は、もちろん大事でございます。相談サービスの質の向上、地域の機能維持、また、十分に相談員の方々が力を発揮できるような環境をつくっていければということもございまして、消費者のメリットにも、また利便性にもつながるように進めていければと思っております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、全国消団連様、お願いします。

○一般社団法人全国消費者団体連絡会大出政策担当 質問ありがとうございます。

今、消費者庁がおっしゃったように、私どもの調査をしたのは7月から9月なのですけれども、12月にアドバイザリーボードを公表しているというのと、意見収集をして、その回答をするということになっていたのですけれども、3月にも、もう一回行っているようなのですけれども、私たちとすると、その公表がされていないので、どういう質問があって、どういう回答をしたかというのは、把握できない状態です。

そのことと併せて、自治体にとっては、具体的に分からないというのが、率直な声だと思うので、それを大事にしながら、これから具体的に消費者庁は進められるとのことですが、あと2年の間に予算も体制整備もということは、やはり不安を感じることだと思います。相談員の方にとっても、デジタルに強い方ばかりではないので、研修の懸念などもあります。また国民生活センターのサイトにFAQが出ていますが、それは、一般の消費者が国民生活センターのサイトにアクセスするかというところの懸念もあり、私たちもそういったことを広報して周知していかなくてはいけないのだろうなと思うのですけれども、消費者庁と一緒に協力しながら、きちんとDXがうまく進むようにしていけたらいいなとは思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

中田委員、よろしいですか。

○中田委員 御丁寧な御説明ありがとうございます。

私もちょうど国民生活センターの消費者トラブルFAQというサイトが、この4月から試験的に挙がったということで、今、拝見しているのですけれども、ぜひこのサイトについても、利用者の方とスタッフの方を交えて、本当にUI、使い勝手をよくしていくにはどうしたらいいのかという議論も重ねていただきたいと思います。

ありがとうございます。

○鹿野委員長 黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 御説明、本当にありがとうございました。

私は、高齢化の問題は、やはり今後の消費者問題の1つの課題として重大な問題だと考えています。その関係で、消費者安全確保地域連絡協議会というのは、非常に重要な取組だと思っています。

そこで、まず、消費者庁の御説明資料の20ページから消費者安全確保地域連絡協議会のことが書かれております。消費者安全確保地域連絡協議会は、消費者安全法11条の4第3項によって、個人情報の取扱いをすることができるというのが非常に大きなメリットだと理解しています。ここで設置されている消費者安全確保地域連絡協議会のうちどれだけの数が、この個人情報の取扱いについて、きちんと機能しているのかについて、もしも情報があったら教えていただきたいのが第1点です。

第2点です。これも21ページにあります令和3年10月1日付の厚生労働省と消費者庁からの通知文書というのは、非常に画期的なものではないかと思っております。

ところが、前回の第433回の本委員会における徳島の新未来創造戦略本部の取扱いについての報告がありました。新未来創造戦略本部の主な取組(資料2-1)の30ページで、見守りネットワークの設置に対する阻害要因として、福祉部門と連携済みだから必要性がない、それから個人情報の取扱いをすることについて懸念があるといったことが書かれています。

令和3年10月1日に、連名で通知を出された後、具体的に厚生労働省の重層的支援体制事業と消費者庁の安全確保地域連絡協議会の所管である地方協力課との間で、どのような通知文書の実行化に向けて活動をされている、いたのかということについて教えていただきたい。この2点が、まず、消費者庁に対する御説明をお願いすることであります。

それから、新川先生のお話は、私にとっても非常に共感できるところが多かったと思います。

先生御提出の資料3ページで、〈理想と現実〉市町村が住民に最も身近な消費者行政の中心であり続ける理想、市町村事務の横連携が必須:現実は逆方向、たこつぼ限定型へと御指摘されています。結局、重層的にイニシアティブが取れていないということもおっしゃっています。そこで、市町村事務の福祉部門とどういう形でつながるのか、どのようにつながっていったらよいのかという点、それから、先生の資料3の4ページでは、(現状)消費者安全確保地域協議会の見守り活動の停滞問題:全国では少数派• (原因)地域住民生活の諸問題から切り離されている消費生活問題だと御指摘いただいています。例えば、福祉の地域包括支援センター等の活動は非常に地域と根づいていると思うのですけれども、そういう活動と、この消費者安全確保地域連絡協議会の見守り活動をどういう形でジョイントさせていって、より足腰の強い地方消費者行政としていったらいいとお考えなのか、そういうことについて、先生の御知見をいただければありがたいと思っております。

以上、新川先生に対する御質問でございます。

○鹿野委員長 それでは、まず、消費者庁からお願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 御指摘どうもありがとうございます。貴重な御視点だと理解をしております。

まさに、これから高齢化社会が一段と進んでいく中で、高齢消費者等の見守り、非常に重要な課題と認識しておりまして、いろいろなところで、まず、設置を進めていただくということ、それから活動を広げていくということを進めていただけるように、いろいろな支援をしていければと考えているところでございます。

それで、実際に個人情報の活用まで行けているところが、どの程度あるかというところでございますけれども、実際に活用されている団体もあるところはあります一方で、設置をしたけれども、なかなか個人情報の活用までは行けていないという団体が多いのも実情でございます。

当方からも、まずは設置をしていただければということで、設置促進の支援、これは先ほどの強化交付金の御活用なども含まれますけれども、そうした御支援も活用いただきながら、それぞれの現場で無理のない形で、まず、つくっていただいて、実際の活性化というところにつなげていただければということで御支援をしております。

実際はなかなか、まず、つくるというところのハードルが御負担だというお話がありまして、そのためにも、まずは福祉などの既存のネットワークがあれば、そこに上乗せする形でつくっていただけないかということを、個別にお話しする中でお伝えしたりということで、様々な助言などをしているところでございますけれども、先ほど御紹介いただきましたように、「福祉でもあるから、うちはいいです」というお話があられたりというのが、実際のコミュニケーションの中ではございます。

ただ、本来は既存のところに合わせて、そうした消費者トラブルについても取り扱ってもらうということを、立てつけとして一緒にしていただければ、こういったいろいろな方々に協力いただく枠組みで見守りができるという体系でもございますので、実情としては、そうした課題がございますけれども、そうしたことものを克服できないかということで一つ一つ進めているところでございます。

例えば、先ほどの連携通知に基づいて、どんなことに取り組んでいるかということでございますけれども、厚生労働省さんでもいろいろ取組を進化させているというところもあると伺っていますし、時々意見交換もさせていただいております。

実際に、それぞれいろいろな会議体もございますので、そういう場面で相互の連携が大事ですという発信をさせていただきましたり、研修の場を通じてというのもございます。また、個別にいろいろな優良事例を整えたりという場面でも、福祉ももう少し一般的な形が多いと思うのですけれども、福祉との連携事例を、いろいろと聞かせていただいたら、それを、また、まとめて発信をするという機会を持たせていただいたりということで、主に情報共有という点で、いろいろな発信をさせていただいているというのが、実情かと思います。

以上でございます。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 それでは、新川先生、お願いします。

○同志社大学新川名誉教授 どうもありがとうございました。

高齢化問題は、本当に喫緊の課題と思っております。福祉部門と消費生活問題の部門というのをどう関わらせるか、ここは各市町村で、それぞれいろいろな工夫がされているところもございます。

数は少ないのですけれども、福祉部門の中に消費生活相談も含めた消費者行政というのを一体化して組織化されているケースというのがあります。この場合には、福祉の相談の中に、必ず消費生活相談というのが含まれていると考えられますので、これはこれで1つ理想のケースかもしれません。ただし、現実にどこまで専門的に行政組織として対応できているか、私が存じ上げているところでは、なかなか消費生活相談員、専門家の方々を多数そろえるというところまで行っておりませんので、この辺りの懸念というのはあろうかと思っております。

2つ目のパターンは、組織内で組織間の部門間でのコミュニケーションを取っていますとおっしゃる市町村もございます。どういう情報交換をしておられるのか、あるいは問題に対する対応をしておられるのか、ある種のケース会議的なやり方をしておられるところであれば、かなり実効性の上がる連携というのが考えられるところもあるのですが、もう一方では、ただ単に問題の投げ込みで終わってしまっているというケースも見られます。ここは、それぞれの団体ごとに組織内での部門間でのコミュニケーションの在り方、あるいはそこでの問題対策のスキーム、ここを考え直していかないといけないところは大きいのではないかと思っております。

3つ目のパターンといたしましては、やはり現場といいますか、実際に福祉に関わっておられる地域包括支援センターであるとか、あるいは福祉事業団体であるとか、そうしたところとの対応の中で、消費者行政というのは、どう関わっていくかということでございます。

基本は、福祉部門がそうした民間あるいは市民と関わることになるのですが、そこに時折でありますけれども、消費生活に関わる情報というのが乗っかっていったり、あるいは一緒にそうした民間との対話の場に出たりといったこともあるようです。

ただし、これも本当に消費生活の問題について、レベルの高い対応というのが実現できるような、そういう対話になっているかということについては、少し疑問な点もあろうかと思っております。

いずれにいたしましても、福祉部門との関わり方、残念ながら、先ほどの協議会の話もそうですけれども、現実にはなかなか進んでいないというのが、実態としてはあるのだろうと思っております。

安全確保協議会の問題にいたしましても、現実に多くの市町村が、既に高齢者の見守りネットワークというのを福祉部門で持っているという、それを理由にしてというのが、先ほど来、御指摘のとおりであります。

もう一方では、その中にどこまで消費生活についての問題というのが組み入れられているのですかということについては、往々にして、形式だけでというところが見られるのではないかと思っております。

その点でも、安全確保協議会の仕組みというのを、むしろ、こうした福祉の分野での重層的な支援の一環として一緒にやっていくような、そういう枠組みというのをつくってしまう必要があるのではないかと思っていたところであります。

ある意味では、そうしたジョイントの体制というのをどうつくっていくのか、実は、福祉のほうの見守りネットワークで言えば、やはり個人情報の取扱いというのは、極めて大きい問題になってございます。

もう一方では、安全確保協議会の場合には、そこのところをある意味ではクリアできる、そういう仕組みもございます。いろいろな連携が考えられる、そういうところがあるのではないかと思っております。もちろん、それほど個人情報保護は、簡単なことではございませんけれども、むしろ制度と制度をきちんとつないでいって、その可能性というのを追求していく、そんなこともそろそろ必要なのではないか、そのように考えていたところであります。

なお、本当に現場の消費生活相談員の方々にとっては、こうした福祉の分野につなぐということ、福祉の分野からつないでいただくということ自体が難しいですし、福祉の分野の方々とお話をしていると、実は、それは、本当は消費生活問題ではないですかというところを、実は福祉の側からは全く伝わってこないという、そういう現場での実態もあると、お話を聞いております。

そうした観点からも、ここの連携の仕方、もう少し制度的に、そして、機能的に組み立て直していく必要があるのではないかと感じているところであります。

すみません、最後は、少し余計なことを申し上げました。

○黒木委員長代理 いや、ありがとうございました。私も全く同意見でありまして、結局、それぞれの法律に従って予算や財源を取ってくる予算法律主義が前提であり、結局、現場に行くと業務が実際上は重なってしまって、同じ対象となる市民に対して複数の制度が重なり合っている。そのため、いろいろな人たちが、それぞれ1人の人に対していろいろなアプローチをするがゆえに、矛盾と無駄が生じているのではないかと、私は現場にいて感じているところがあります。その辺りを先生がおっしゃるような形でうまくジョイントして、機能的にやっていかないと、まさにおっしゃっている一般財源化しましょうと言っても難しくなっていくと思いますので、この辺りについて、先生から、また今後も御指導いただければと思います。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、大澤委員、お願いします。

○大澤委員 大澤です。

今日は、新川先生及び消費者庁、あとは全国消費者団体連絡会の方におかれましては、御報告をいただきまして、ありがとうございました。大変勉強になりました。

消費者庁に、私はすごく端的な質問をさせていただきたいと思っております。

それは、消費生活相談員の待遇ですとか、あるいは配置についてというのが、まず1点目。

2点目が、消費者行政担当事務職員についてということです。

1点目なのですが、新川先生と、あと、全国消費者団体連絡会の方の御報告を伺って、この消費生活相談員の待遇、あと人材確保というのが、やはり大きな課題なのではないかと思っております。

消費者庁のほうで、例えば、人数が増えているということですとか、あとは待遇の面で言いますと、平均報酬額が増えているということが、スライドの4ページにございます。

しかし、報酬を拝見させていただきましたが、これは1時間当たりということですので、決して高くないというか、むしろ、ハードな業務内容の割には、正直申し上げて報酬としては、不十分ではないかと思っております。

報酬は確かに増えてはいるのですが、ただ、この間、最低賃金等も民間のほうも増えておりますので、それに連動して増えているというだけなのか、それとも何か、この消費生活相談員の待遇改善のために、例えば、報酬額を増やそうということで、何か特別な手当をしたということなのか、私の聞き漏らしかもしれませんが、その点を伺いたいと思っております。

関連しまして、これも相談員に関してですが、有資格者は75パーセントが目標ということで、私、知識がありませんでしたので、やや驚いているところでございます。

そうしますと、もちろん地域差もありますが、残りの4分の1の相談員は、資格はないという状態だと思います。

資格を取るのが非常に大変であるということは、そのとおりだと思いますし、その対応もしているということはよく分かりますが、他方で、なぜ、資格を取らないというか、なかなか取るように向かないかと言いますと、やはり待遇面があるのではないかと思っています。

私、大学で働いていまして、かつ、大学で消費者法の講義ですとか、ゼミを担当していますので、学生からは、この相談員というのがどういう仕事なのかということを聞かれることもよくあるのですが、やはり待遇等々を、率直に話をしますと、やはり少しちゅうちょする学生がいるというのが実情です。

ですので、資格を持った方は4分の3が目標であるということで、地域差がかなりあるようですが、この辺りをどのようにお考えなのかというのを伺いたいです。

専門性がやはり必要にもなりますので、消費者法だけではなく、消費生活分野全般にわたる専門性が必要だとなりますと、やはり資格を持った方が多いのに越したことはないのではないかと思っていますが、その辺りの兼ね合いを伺いたいと思っています。

2点目ですが、消費者行政を担当する職員についてになります。

こちらにつきまして、事務職員数は前年比減であるということが3ページに書かれており、今日、お三方の御報告を伺っても、やはり消費者行政担当事務職員に関しては、例えば、部署異動で代わりばんこに、いろいろな方が来るというよりは、やはり専門性を持った消費者行政の方をちゃんと専任で配置する必要があると思っております。

この点につきまして、例えば、ほかの分野では、霞が関の官公庁から地方の行政機関に出向するということがあると伺っています。労働分野ですとか、福祉分野はそういうのがあるということを伺っていますが、例えば、消費者庁から地方の消費者行政のために出向とか、そういったことを考えたり、あるいは現に行われているかということを伺いたいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 2点御質問がありましたので、消費者庁から、お願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 コメントどうもありがとうございます。

初めにいただきました、消費生活相談員の方々の処遇面ですとか、人材確保という点でございます。

今までも出てきておりますとおりでございますけれども、消費生活相談員の方々、日々現場で相談に当たられているということで、とても重要な役割を担っていただいていると理解しております。

そうした方々の人材確保ですとか、就労環境の改善、処遇の改善といったこと、とても重要な課題だと理解しております。

人材確保という点につきましては、冒頭申し上げましたところもございますけれども、消費者庁の中でも相談員の担い手の確保事業ということで、何年か取り組んできているものを充実させてきておりまして、消費生活センターの就職・内定者ですとか、就職活動の予定者等も大分増加してきているところがございます。実際の現場の就労につながってきているという面で、一定の御支援にはなっているかなと思いますけれども、引き続き、こうした取組も充実できればと考えております。

あわせて、国民生活センターでも研修事業などを充実させているという意味で、いろいろな形での御支援ができればと思っております。

それと、処遇につきましてですけれども、実際、足元のところでは、少し上昇となっておりますけれども、例えば、近年ですと、会計年度任用職員につきまして、期末手当ですとか、勤勉手当ですとか、そうした手当面での改善というのが、全体として上乗せに効いてきているところもあるかと思います。もちろん、最低賃金がというお話も多少効いてきているところもあるかもしれませんけれども、全体として、そうした期末手当、勤勉手当の支給という取組が、足元に効いてきているところはあるかなとは思います。今後、入ってくるところもあるかと思います。

それと、処遇につきまして、御指摘いただきましたとおりで、専門性ですとか、能力ですとか経験、そうしたことに見合った形で適切な処遇を講じていくということは重要なことだと思いまして、実際の任用は、地方公共団体で、自治事務の中で進められるというところはございますけれども、そうした重要性につきまして、地方の方々にも情報提供をしたり、働きかけをしたりというところをやってきてございます。

いずれにしましても、処遇も含めた働く環境の改善という取組を続けていきたいと考えております。

あと、資格を取るのが大変である、なぜ取らないのかというところでございますけれども、実際、資格試験の合格者に加えまして、その準ずる相当の方々というのを含めると、今、8割程度ということになっておりまして、かなりの方々が資格取得相当程度という方々になられているかなとは思います。

もちろん、さらにそうした資格保有に相当する方々を拡充できればということでございまして、先ほどの担い手確保事業ですとか、そうした事業なども含めまして、いろいろな形で御支援できればと思っております。

実際に、そういう資格取得に向けてアクセスしやすい環境を御用意していくというところが、1つ、資格取得の広がりにつながっていくのではないかなとは考えております。

以上でございます。

○鹿野委員長 大澤委員、よろしいですか。特に2点目については。

○大澤委員 時間が押していると思いますので、2番目の質問に関しては、私の趣旨を申し上げますと、私は、普段はフランスの消費者法について研究しておりますが、フランスで、先日、地方の消費者行政の機関に行くという機会がありまして、そこでの職員というのは専任の職員でして、要は、日本で言いますところの消費者庁の地方行政版というか、そういう組織です。

その職員は、もちろん専門性が非常に高く、日本でいうところの消費者庁の職員と同じく、2年間きちんと国で研修があって、そういう方が地方で消費者行政を担当しているということがありましたので、2番目の質問をしたという次第です。

あと、相談員に関しては、これは意見になりますけれども、やはり私はフランスだけしか存じ上げませんが、例えば、フランスにこういう制度というのは、あまり発展しておらず、基本的に消費者が困ったときには、事業者に直接何か苦情を申し立てるか、あるいは消費者団体に相談するというのが実情ですので、日本のシステムというのは、非常に、ある意味では貴重なシステムだと思います。

それを現場で支えてくださっている消費生活相談員の方々の待遇改善というのは、ぜひともきちんとやっていただきたいということです。どこに取組があるかということは承知いたしました。

以上です。

○鹿野委員長 消費者庁から、2番目の質問について補足があれば。

○消費者庁地方協力課加藤課長 失礼しました。

2点目は、少し不十分な形でお答えしておりました。

地方の消費者行政部局の担当職員の減少というところに関連して、国からの出向というのはあるかというお尋ねをいただいておりました。

その点、消費者庁からの出向も、時折、そうした形での派遣をさせていただきながら、現場の様子なども学ばせていただいて、また、現場でトレーニングをしながら、また戻って活躍いただくということもしております。

○大澤委員 分かりました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 続きまして、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。意見とコメントが、少しぐちゃぐちゃになってしまっているのですが、お伝えしたいと思います。

まず、DX化についてですけれども、消費生活相談員まで具体的な内容がきちんと届いていないと思います。それであるために、不安であるという相談員も多いです。

消費生活センターは、大規模なセンターだけではなく、3~4人、2~3人の相談員で構成されているセンターが多いのが実情ですが、そのような相談員に合わせて聴き取り、またはシステムの構築をしているのかというところに少し懸念があります。そちらについて、どのようなシステムを構築しているのか、お分かりになれば教えていただきたいと思います。

それから、DX化ということで、デジタルを上手に活用していくということに対しては、私は反対ではないのですけれども、若者だからといってネットが得意だから、ネットで相談したいという消費者ばかりではないということもお伝えしておきたいと思います。

今の相談者は、ネットで検索して、その結果を見てから電話や来所で相談をしてくる相談者も多いというところが現状です。

また、消費者庁のほうでもSNS相談を試験的に行っているかと思うのですけれども、相談者の意見と解決につながるために必要な聴き取りの内容というのは、やはり若干違うのですね。なかなかSNSでやり取りをしていくと、思うように聴き取りができず、結局は、電話に切り替えるということも多々SNSの試験的相談のときに、私も受けたことがありますけれども、ございました。

また、国民生活センターのFAQですが、前さばき的な機能ということで、国民生活センターから御説明を受けたと記憶しておりますが、消費者がFAQの検索結果によっては、相談しても、これは無理だということで、本来だったら消費生活センターに相談をしたら解決できたことでも、無理だと諦めてしまうのではないかという、とても懸念があります。

相談者と相対または電話で御相談を聴く中から感じ取るものが相談員はあるのですね。その辺りについて、AIなどで、まだまだそこまでの聴き取りの対応をすることができるのかというところに懸念がございます。

それから、2つ目の重層的支援と消費者安全確保地域協議会についてなのですけれども、地方行政としては、やはり必要であれば当然、構築していくと思います。

また、地方行政もワンストップ化ということで、市民または県民を待たせない、そういう取組もあるところから、やはり重層的支援と消費者安全確保地域協議会については、何か融合してまとめていく必要があるのではないかと感じました。

それから、相談員の処遇についてですけれども、先ほどボーナスの支給などもありますということだったのですが、そちらの表を見ても、下のところに小さい字で、ボーナスがない場合には、この賃金ですと書いてありました。

会計年度任用制度によって、ボーナスが出たけれども、結局賃金が下がって、年収ベースでは収入は変わらないという声も聞いております。大変な相談業務を行っている中、賃金や待遇などについて改善されているとは、全然思えません。

そういうところもありまして、なかなか消費生活相談員を社会人として、これ一本で仕事をするというのは、現在、難しいのではないかという状況でございます。

また、地方の職員についての設置の割合なのですけれども、こちらについても、理想論としては、消費生活センターに必ず専任の職員を配置するということは、理想ではありますけれども、自治体自体、それ自体も難しいと思うのですね。私が勤務している消費生活センターでも、専門職員の配置があるところもありますが、やはり人口10万人規模ですと、消費生活センターに専門の職員を配置するというのは、今後は難しくなってくるのではないかと思います。

ですので、その辺りについても、どのように考えていけばいいのかということを、もう少し具体的に地方の行政のほうにも届くような説明をしていただければなと思いました。

以上でございます。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁からお願いします。

○消費者庁地方協力課加藤課長 御指摘どうもありがとうございました。

幾つかいただいていますので、上から順にと思いますけれども、1点目、2点目、3点目は、消費生活相談のデジタル化に係ることと承りました。

消費生活センターには、大小いろいろな規模がありますので、そうしたそれぞれのセンターの相談員の方々にも届くような形で、情報提供、説明ができないかということで、御指摘のようなところに気をつけて留意しながらやっていきたいと思います。

実際、今までは構想段階でしたので、いろいろなポンチ絵とかは出ていたかもしれないのですけれども、実際こうなりますというところまで、なかなかお届けできなかったという状況でもございます。

まさに、今年度、構築作業を進めて、だんだん形ができてくるという作業に向けての準備が進み始めておりますので、実際に構築は来年度になりますけれども、そのプロセスで見えてきたものを、また、分かりやすい形でお届けできないかということで検討していきたいと思います。

それと、電話のいいところをきちんと留意するということ、ごもっともだと思っておりまして、若者であっても単に自分で調べて、思い込みで解決に向けて歩み出せないということもあるかと思います。

先ほど例示していただきました、国民生活センターのFAQもそうなのですけれども、1つは、そこで相談機能を全て完結させるというよりは、1つの前さばき機能だと思っておりまして、相談の入り口の整理をするという側面があるかなと思っております。

そこで、自分で諦めてしまうということではなくて、これは相談したら解決になるのかもしれないと思っていただいたら、電話をすると道行きをそのように持っていけるような形で、コンテンツの整理とかも進めていければとも思います。若者だから何でも自分で調べてということではないと思っております。電話は大事なツールだと思っております。

それと、見守りネットワーク、いろいろな福祉との連携、大事なテーマだと思っておりますので、引き続き、今後の取組の中でも重要な課題として進めていきたいと思っております。

それと、相談員の方々の処遇の面ですけれども、まだまだ改善に向けて取り組むべき状況にあると、もちろん理解しておりますし、皆様の御苦労に見合うような形で受けていらっしゃるとも、なかなか思えない水準だというところもあると思いますし、そうだと思います。引き続きの取組だと思いますので、また進めていければと思っております。

それと、地方の職員ですけれども、確かに今年調査全体で見ても5人減で、専任職員が20人増えたというのはいい方向だと思いますけれども、兼任の方は減っているということで、実際、確かに小規模な自治体であられるほど、なかなか専任の職員を配置するというのは、難しい局面に来ているというのは、実情としてあるのだろうと思います。

そういう中にあっても、いろいろなところと融合することで、連携する中でいい仕事ができるということも、もちろんあると思いますので、それぞれの状況に応じてだとは思いますけれども、消費者行政についての知見と、スキルを持っていただきながら、それぞれの現場での仕事がうまく回るように、いろいろな御支援をしていければと思っております。

そういったところも含めまして、それぞれの現場に届くような説明を、これからも心がけていきたいと思いますので、引き続きよろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

○柿沼委員 はい、御検討いただければと思います。地方任せにせず、国のほうからも声を上げていただけると大変ありがたいです。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 ほかはいかがでしょうか。

よろしいでしょうか。予定した時間も経過しましたので、それでは、質疑応答は、これにて終わりにさせていただき、簡単にまとめさせていただきたいと思います。

本日は、地方消費者行政に関し、様々なお立場からの御説明、御発表をいただきまして、大変ありがとうございました。

消費者委員会では、次期消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見を、令和6年4月22日付で発出しましたが、その中でも、地方消費者行政に関し、特に重点的な取組を求める事項として、人口減少を踏まえた地方消費者行政の体制整備や、消費者庁と地方消費者行政の分担の見直し、それから、地方公共団体や少人数の消費生活相談員で対応している相談現場などの意見も踏まえた消費生活相談のデジタル化の推進などを求めていたところでございます。

また、高齢者、障害者等、要支援消費者の権利擁護の充実の一環として、施策ごとに設置されている地域ネットワークの見直しと連携強化等を求めたところでございます。

地方消費者行政においてなすべき施策は、消費生活相談体制の充実、消費生活相談の質の向上、財政支援の在り方の検討及び自主財源確保の働きかけ、それから自治体間格差の是正、相談員の待遇改善、消費者教育の推進、見守りネットワークの構築を含めた地域力の強化、法執行体制の強化、消費者団体の育成など、非常に多岐にわたっておりますが、これらは、いずれも各地域で生活する消費者の安全・安心の確保にとって、非常に重要なものであると認識しております。

消費者庁が、これらの各施策について、地方に対し、今後の方針、方向性を秩序立てて示すことが大変重要であると考えております。

本日出された意見のうち、まず全体に関わるものとして、地方消費者行政強化作戦についての御意見がありました。

「地方消費者行政強化作戦2020」について、本日、消費者庁様から御説明をいただき、進捗状況についても伺い、一定の進展が確認できたところでございます。しかし、これについては、課の所掌の垣根を越えて、全体での検証評価が必要な点があるのではないかとも思います。

本日報告をいただいた目標の達成状況につきましても、現状は地方公共団体間でのばらつきが大きいということ、全体的には目標達成が厳しいという状況であることが伺えました。

そこで、目標達成に向けた阻害要因をどう克服するのかという点について、方策を講じるとともに、次年度以降の強化作戦の後続政策をどのように位置づけるのかということを、消費者庁は方針を立てて、早急に明確にしていただきたいと思います。これがないと、地方としても非常に不安な状況であるというお話もいただきましたし、ぜひその点は、お願いしたいと思います。

それから、少子高齢化社会における持続可能な地方消費者行政の在り方ということに関連しても、御説明ないし意見交換がありました。今後の少子高齢化等の社会情勢の変化は、避けることはできないように思われます。本日、新川先生からは、令和2年の地方消費者行政専門調査会の報告書を踏まえた御意見や御説明等をいただきましたが、同報告書で示された将来像と問題意識は、現在でも基本的に当てはまるものと思われますし、この現実から目を背けず、あるべき地方消費者行政の体制や地方への支援の姿を検討する必要があると思われます。

それから、今の点とも関連しますが、地方への支援の在り方に関わって、とりわけ交付金は重要です。地方消費者行政の強化については、強化交付金等を通じて、これまで一定の成果を上げてきたところでございます。

しかし、交付金の事業メニューによっては、活用実績が少ないものもあることが伺えました。また、使いにくいという声もあるようでございます。いずれにしても、強化交付金については、その効果の検証を行うことが必要であると考えます。また、今後の地方消費者行政に関する施策においては、その検証結果を踏まえるとともに、地方公共団体のニーズを把握した上でこれを活用しやすいものとし、限られた予算を有効に活用して、実効的なものにするという工夫が一層望まれるところです。本日、星野委員からは、ワイズスペンディングという言葉も出てきましたが、そのような方向での工夫ということが、さらに必要であるように思われました。

次に、消費者相談に関しても、本日いろいろと意見交換をさせていただきました。その中でもまず、消費生活相談員の人材確保という問題があります。

消費者行政を支える消費生活相談員の人材確保は、非常に大きな重要な課題でございます。また、たとえ相談員が、人数的にはいるところであっても、年齢層の偏りや、あるいは、いたけれども欠員が発生していて、なかなか埋められないという状況もあるように伺っているところです。そういう状況も踏まえると、現在、今後の相談体制の持続可能性に影響を生じかねない局面にあると思われます。

この点は、消費生活相談員の待遇面の改善とも関係します。本日も委員から意見等が出されましたが、消費生活相談員には、非常に専門的な知識、スキルが必要とされるけれども、それに見合った待遇、処遇になっておらず、そのため、なかなか人材が確保できないところもあるのではないかと思われます。

それから、もちろん、地域間格差も、この点でも存在するということでございます。

このような点も含めて、地方における人材確保等について、必要な対応を行っていただきたいと思います。

次に、消費生活相談のDX化についても、本日、御説明もいただきましたし、意見交換もさせていただきました。

現在進められている消費生活相談のDX化については、相談対応の効率化のみならず、人材確保等の問題にも資する可能性がある、そういう積極面があるとは考えております。

ただし、地方においては、DX化に関する懸念や不安も聞かれるところでございまして、あるいはDX化の進め方の問題などについても指摘されたところでございます。

この点は、先ほどの御説明では、昨年後半から現場とのやり取りも進めているということでしたが、本日の委員からの御指摘でも、なお、特に少人数でやっているところなど、なかなか現場に届いていないということもございました。そこで、ぜひ引き続き現場の声を十分に踏まえつつ、何をどのように目指していくのか、どういうプロセスでそれを実現していくのかということなどを分かりやすく御説明いただきたいと思います。懸念や不安の中には、デジタル化により新しい業務が増えるということもあるかもしれませんけれども、そういう丁寧な説明によって解消される部分もあろうかと思いますので、丁寧に意見を聞き、そして説明を行うことによって、ぜひ確実かつ適切に進めていただきたいと思います。

次に、本日、様々な意味での連携ということについても話題になりました。重層的な消費者行政の必要性ということは、既に長らく言われてきたところでございますが、人口減少、担い手不足という状況の中で、地方公共団体は、各省庁からの施策ごとのネットワークづくりを求められており、地域ネットワーク等の在り方については、抜本的な対応が早急に求められると思います。

黒木委員長代理からは、かなり重なりがあって、無駄も多いということを端的に御指摘いただきました。限られたリソースの中で、省庁の垣根を越えてどのように効率的で、実効的な仕組みをつくって運用していくのかということが極めて大切な分野だと思いますので、その点について、さらに御検討いただければと思います。

また、今の点にも関わって、消費者安全確保地域協議会の設置率が、まだ低く3割にも満たないという状況も確認できました。そのような状況も踏まえて、特に福祉部門をはじめとする関係者との間で認識を共有し、御検討をいただきたいと強く思っているところでございます。

さらに、この連携というのは、そういう行政の部門間の連携ということもございますが、さらにほかの、例えば消費者団体との連携ということも重要でございます。消費者団体と適切に連携するためには、これも言うまでもなく、消費者団体の活性化というところも別個課題として存在するところでございます。この点についても、ぜひ、もう一方で進めていただきますようお願いしたいと思います。

また、本日、民間企業との連携ということについても御指摘がございました。この点についても、実際、行政だけでは足りないところを、どのようにいろいろな団体等と、あるいは企業等と連携して、理想に近づけていくのかというところが非常に重要なところでございますので、そういう点も含めて、ぜひ御検討をお願いしたいと思います。

それから、本日、新川先生からは、消費者市民社会の形成にとっての学校教育や社会教育の重要性ということについても、併せて御指摘いただきました。

この点も、教育というと別項目でされることが多いのですが、地方の在り方ということを考える上でも非常に重要な点と認識しております。消費者庁におかれては、その点も併せて御検討をいただきたいと思います。

消費者委員会としましては、地方消費者行政の充実強化に向けた取組を注視しつつ、今後も調査審議を行ってまいりたいと思います。

皆様におかれましては、本日、大変お忙しい中、丁寧に御説明等いただきましてありがとうございました。

どうぞ御退席ください。

それでは、御退席中ではありますが、こちらでは続けさせていただきます。どうもありがとうございました。


《3. その他》

○鹿野委員長 続きまして、その他の事項といたしまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、参考資料の2を御覧いただけますでしょうか。消費者委員会に寄せられました4月分の要望書・意見書・声明文等の一覧になっております。

まず、意見の1つ目でございますけれども、スマートフォンにおいて利用される特定ソフトウエアに係る競争の促進に関する法律案についての懸念ということでいただいております。

こちらは、公正取引委員会が作成しております法律案でございます。現在の状況といたしましては、国会において審議中ということになっております。

公正取引委員会が策定した法律ということからも分かりますように、競争の促進という観点からの法律となっております。

法律の趣旨、背景といたしましては、スマホが急速に普及していて、スマホの利用に特に必要な特定ソフトウエア、例えばアプリストアですとか検索エンジンなどを提供する事業者が、特定少数の有力な事業者による寡占状態にあるということを背景にしまして、ここの部分の競争環境を整備することが必要だということの趣旨から策定されています法律でございます。

規制対象事業者を指定したり、また、その規制対象事業者に対して禁止事項を作成すると、例えば、ほかの事業者がアプリストアを提供することを妨げてはならないとか、ほかの課金システムを利用することを妨げてはならないといった内容を禁止事項とするという内容となっております。

もし、これに違反した場合には、措置命令ですとか、あるいは課徴金などを課すといった法律案となっています。

これに対して意見が来ておりまして、この法律案については、右側の欄になりますが、セキュリティ、プライバシー及び消費者保護の観点で懸念があるといった御意見でございます。

1つ目は、いわゆるアプリストアではなくて、そのほかの方法で、サイドローディングを認めるということになれば、それはセキュリティ、プライバシーなどの観点から懸念があるといったことでございますとか、決済課金システムを、プラットフォーム事業者が、現在は、例えば一元的に、その仕組みを担っているということでありますが、それをほかの仕組みでもいいということにすることによって、アップル、グーグルが課金を把握できなくて、解約したいという消費者の希望について調査することすらできないと、かえって消費者保護の観点からは懸念があるといった内容となっております。

続きまして、ほかの意見でございます。

食品関係について3件ほど、4月はいただいております。いずれも紅麹の関係の機能性表示食品に係るものとなっております。

それぞれの詳しい意見のポイントは、右側の欄を御覧いただければと思いますが、消費者が不安を解消できるよう分かりやすく情報提供するですとか、あとは、安全性を保障する管理体制を強化してほしいでありますとか、機能性表示食品の制度の見直しを検討してほしいという内容となっております。

中には、制度の廃止も含めた抜本的見直しにも着手することといった御意見も含まれております。

また、その他の意見として、また1件、薬害オンブズマンの関係のところからいただいております。

このほかに個人の方から8件の意見書も寄せられているところでございます。

御説明は以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

委員から、ただいまの寄せられた意見書等について、何か御質問、御意見等ございますか。

よろしいでしょうか。特に御質問、御意見等はないということで承知しました。ありがとうございました。

これらの意見書等につきましては、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることとしたいと思います。御意見等、大変ありがとうございます。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しい中お集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)