第432回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2024年5月7日(火)10:00~10:49
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員
- (テレビ会議)今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員
-
- 【説明者】
- 公共料金等専門調査会 野村座長
- 消費者庁公益通報・協働担当 浪越参事官
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 公共料金の改定について(定形郵便物等の上限料金の改定案に関する意見案)
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:66KB)
- 【資料1】 定形郵便物(25グラム以下のものに限る。)及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書便物の料金の上限の改定案について(PDF形式:168KB)
- 【資料2】 「定形郵便物(25グラム以下のものに限る。)及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書便物の料金の上限の改定案」に関する公共料金等専門調査会意見(PDF形式:383KB)
- 【参考資料】 委員間打合せ概要メモ(PDF形式:130KB)
- 【追加資料】 「定形郵便物(25グラム以下のものに限る。)及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書便物の料金の上限の改定案」に関する消費者委員会意見 (案)(PDF形式:101KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまより、第432回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、中田委員、そして私、鹿野が会議室にて出席、今村委員、大澤委員、柿沼委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。小野委員、星野委員、山本委員は本日所用のため御欠席と伺っております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載の通りでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
《2. 公共料金の改定について(定形郵便物等の上限料金の改定案に関する意見案)》
○鹿野委員長 ありがとうございました。
本日の議題は「公共料金の改定について」です。
公共料金の変更の際は、消費者庁が公共料金所管省庁と協議を行うとともに、重要なものについては、物価問題に関する関係閣僚会議に付議されますが、この付議に先立ち、消費者庁長官から消費者委員会に対し意見が求められることになっております。
今回、定形郵便物、これは25グラム以下のものに限るということですが、その定形郵便物及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書郵便物の料金の上限の改定案について、資料1の通り、意見を求められております。
そこで、公共料金等専門調査会において調査審議を行い、今般、同専門調査会の意見の取りまとめが行われたところでございます。
そこで、本日は、公共料金等専門調査会の野村座長より、当委員会へ報告いただくということになりました。野村座長にはオンラインにて御出席いただいております。また、消費者庁公益通報・協働担当、浪越参事官にもオンラインにて御出席いただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。
最初に野村座長から概要について、続きまして、事務局から詳細について御説明いただきます。
その後、意見交換を行った上で、当委員会としての意見を取りまとめたいと思います。
それでは、早速ですが、野村座長、よろしくお願いします。
○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございます。公共料金等専門調査会の座長を務めております、野村でございます。
本日は、このような時間をおつくりいただき、どうもありがとうございます。
それでは、私から概要を説明させていただきます。
25グラム以下の定型郵便物等の料金の上限の改定案につきましては、3月15日及び4月15日に総務省及び日本郵便株式会社へのヒアリングを行うなど、3回にわたり調査審議を行ってまいりました。
4月22日に開催されました、公共料金等専門調査会におきまして、最終的な議論を経て、意見の取りまとめを行いましたので、本日御報告いたします。
今回の改定案につきましては、消費税増税に伴う改定を除き、約30年間にわたって据え置かれてきました中で、31パーセントの大幅な改定幅とするものでありました。
郵便料金の算出に関わる算定要領が存在しないといった問題もございましたが、公共料金等専門調査会としては、この改定案は、妥当性を欠くとまでは認められないとの意見でございます。
なお、今回の改定幅は大幅なものとなることから、消費者の理解が得られるように丁寧な説明を行うことを求めるとしております。
さらに、郵便料金に関わる制度の見直し、業務効率化やサービスの向上などに向けた取組についても、消費者に丁寧に説明し、値上げについての理解を得ていくように求めております。
また、総務省は、透明性、適正性確保の観点から、郵便料金に関わる算定要領について、可能な限り早期に作成、公表すべきであるとしております。
留意事項の中では、サービスの利便性の確保・向上や、効率化に向けた更なる取組のほか、ユニバーサルサービスの維持に関して付言をしており、これらの対応状況について、必要に応じて総務省等へのヒアリングを含めた調査審議を行っていくこととしております。
以上が概要でございます。詳細につきましては、事務局のほうから説明させていただきます。よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、事務局からお願いします。
○友行参事官 それでは、資料2を御覧いただけますでしょうか。「「定形郵便物(25グラム以下のものに限る。)及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書便物の料金の上限の改定案」に関する公共料金等専門調査会意見」でございます。
柱書のところは、ただいま野村座長より御説明があったところでございます。最初の「1.結論」のところでございます。こちらも野村座長から、概略の御説明がございました。重なるところもあるかもしれませんが、もう一度御説明いたします。
最初のところでございますが、定形郵便物及び料金上限規制の対象となる25グラム以下の信書便物の料金の上限規制の改定については、利用者に小さくない負担を生じさせるものであるが、郵便法第3条及び第67条第2項第1号において定められている郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ適正な利潤を含むものであるかを確認するに当たっての基本的考え方を踏まえると、妥当性を欠くとまでは認められないという結論にしております。
定形郵便物の実質的な改定は1994年以来となっております。また、25グラム以下の信書便物の料金の上限の自主的な改定は、2003年の制度開始以来初めてとなっております。
今回の定形郵便物の改定幅は31パーセントで非常に大きくなっております。そのため、総務省及び日本郵便は、消費者の理解が得られるよう丁寧な説明を行うことを求めるとしています。
また、郵便料金に係る制度見直し、業務効率化、サービスの向上、ユニバーサルサービスの維持に向けた取組について、消費者に丁寧に説明し、値上げについての理解を得ていくよう求めています。
さらに、料金の適正性の確保が必要となっております。法令等に基づいた適切な料金の算出を行い、料金の算定要領は公表される必要があります。ただ、現時点、郵便料金の設定の水準となる算定要領は存在しておりません。
総務省は、透明性、適正性確保の観点から、郵便料金に関する算定要領について、可能な限り早期に作成、公表すべきであるとしております。
「なお」のところでございますが、2003年の民間事業者による信書の送達に関する法律施行以来、定形郵便物と同じ大きさ、同じ形状の信書便物の料金は、軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性、国民の負担能力、物価その他の事情を勘案して、定形郵便物の料金と同額を上限とされてきたところであります。
本改定については、妥当性を欠くとまでは認められないとしております。
「2.理由」のところでございます。
まず「(1)改定案に至る経緯について」でございます。
総務省及び日本郵便の説明によれば、1994年から30年間にわたって料金は据え置いてきたところとなっておりますが、2022年度の郵便事業の収支は、2007年の民営化以降初めて赤字となりました。
また、値上げを行わない場合、今後も赤字が継続し、2028年度には3,439億円の赤字となる見込みとなっております。
郵便物の総数は、インターネットやSNSの普及などにより、内国郵便は、2001年度をピークに減少しております。2022年度までの21年間で45パーセントの減少となっております。
区分作業の効率化、適正な要員配置の徹底などにより人件費等の費用は削減されてきておりますが、適正な賃金の引上げ、燃料費等物価の高騰を背景に営業費用全体は増加しております。
今後も適正な賃上げ、適正な価格転嫁を継続しつつ、更なるDXの推進、利便性・付加価値の高いサービスの開発提供、ユニバーサルサービスの維持のためには、早期の郵便料金の見直しが必要な状況であるとしています。
「(2)本改定案について」です。
郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならないと郵便法第3条で定められております。
また、軽量の信書の送達の役務が国民生活において果たしている役割の重要性、国民の負担能力、物価その他の事情を勘案して総務省令で定める額を超えないものでなければならないと、郵便法第67条第2項第3号で定められております。
今回、定形郵便物の上限料金の改定については、こうした考え方に沿い、適正な原価及び適正な利潤について確認を行い、また、国民生活において果たしている役割の重要性、国民負担能力、物価その他の事情も勘案したとの説明がなされています。
今回、上限料金の改定については、84円から110円と26円、31.0パーセント増の大幅な値上げとなっております。
郵便事業の営業費用の内訳を見ますと、75パーセントが人件費となっております。2022年度の郵便物数は、2001年度比で45パーセントの減少となっております。
他方で、2022年度の郵便・物流事業に係る従業員数は、2001年度比で約30パーセントの減少となっています。郵便と荷物の物数比率を見ますと、郵便の割合は98.5パーセントから77.9パーセントに減少しています。
また、人件費単価の推移を見ますと、大企業平均賃金と比較して低い水準となっています。中小企業を含めた全体の平均賃金と概ね同水準となっております。
郵便料金見直し後の営業収益について見ますと、値上げした場合の物数への影響を確認したところ、1994年の消費税増税以外の料金改定時の影響も分析したものの、2019年の消費税増税時等直近で参考となる価格弾性値を使用するに至ったと説明がなされているところでございます。
上限料金の値上げ幅については、可能な限り抑えることとし、改定後3年間の郵便事業の黒字維持という従来の考え方を見直しております。経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭に、最小限の値上げ幅とするとの説明がなされています。
また、国民の負担能力や物価への影響については、家計全体で見ると郵便料が世帯全体の消費支出に占める割合は0.1パーセントとなっており、その影響は小さいと見る向きもあります。ただ、これは世帯全体の平均値であります。高齢者等郵便への依存度が高い利用者もいることを鑑みれば、割合の低さのみをもって論ずるべきではないことに留意する必要があります。
また、今回、値上げが事業者のコスト増となって、ひいては物価全体や国民の負担にも関わってくることが考える点にも留意が必要と考えられます。
今回、算定要領は作成されていないということですが、総務省から現行の方法で郵便事業を維持していくことが可能かどうか、郵便料金制度についてどのような制度改正を行っていく必要があるか考えなければならないと同時に、日本郵便においては収益力の強化を図らなければならない、その上で、料金改定の算定方法については、制度改正の検討の行方も前提に策定する必要があるとの説明がなされています。
以上を踏まえて、郵便料金に関する算定要領については、次回の改定までに作成・公表する方向で検討するとの見解が示されています。
こうした調査審議を踏まえまして、1.の結論とする、としております。
「3.留意事項」でございます。
「(1)改定に関する消費者への丁寧な周知・説明」でございます。
30年ぶりの改定となること、31パーセントの大幅な値上げとなることから、消費者が気づかないうちに料金改定になっていたということがないように、広く周知を行うべきであるとしています。
上限料金の値上げの背景のうち、特に業務効率化の取組による削減と営業費用の増加要因については、その分析結果を具体的に示すなど、消費者に分かりやすく説明すべきであるとしております。
これまで、第二種定形郵便物25グラム以内と50グラム以内の料金には差異があったものを、今回同一料金とするとしています。
その理由と、いわゆる封書に加えて、通常はがきも値上げする理由を含む料金改定の全体像について、消費者に丁寧に説明すべきであるということでございます。
値上げに当たっては、郵便物の種類ごとの収支に基づく議論等も必要と考えられます。もっとも、郵便法67条7項及び同項に基づく総務省令により、郵便事業の収支状況の公表が義務づけられております。
毎年度公表がなされているところでございますが、消費者の理解促進の観点からは、各年度間の比較や分析を行い公表することも検討すべきであるとしております。
「(2)消費者の今後の値上げに対する対応」でございます。
今回の上限料金の値上げ幅は、可能な限り抑えることとされております。従来の考え方、料金改定後3年間の郵便事業の黒字維持を見直して、経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭に置かれているということでございますから、今後の値上げの見通しについて、消費者に対し丁寧な説明を行うべきであると考えます。
また、国民の負担能力という観点から、消費者が許容できる郵便料金水準は、どの程度かという視点は重要であると考えます。消費者へのヒアリングを幅広く行うとともに、国民のコンセンサス形成に努めるなど、今後の検討において十分配慮すべきであるとしております。
「(3)サービスの利便性の確保・向上」でございます。
書留など、窓口に出向く必要のあるサービスの在り方、デジタル化に伴う個人情報の取扱い等セキュリティー対策に係る取組の周知も含めて、消費者の利便性向上につながるサービスの提供改善について検討を行うべきであるとしております。
「(4)効率化に向けた更なる取組」でございます。
ドライバー不足に対応するため事業者間連携等既に行っていることも含めて、更なる取組を行うべきであるとしております。
2021年10月以降土曜日配達の休止や到着までの日数の増加等サービスの低下がありました。
他方、今回値上げがなされる見込みであることから消費者にとって理解が得にくくなっております。コスト削減は営業費用の抑制に寄与するものでありますが、今後サービス水準の低下につながるような取組を行う場合は、国民生活において果たしている役割の重要性の観点から、納得感の得られる形で実施すべきであるとしております。
「(5)ユニバーサルサービスの維持」でございます。
郵便事業については、会社は、その業務の運営に当たっては、郵便の役務、簡易な貯蓄、送金及び債権債務の決済の役務並びに簡易に利用できる生命保険の役務を利用者本位の簡便な方法により、郵便局で一体的にかつあまねく全国において公平に利用できるようにするという、いわゆるユニバーサルサービスの責務が法律で課されております。
ユニバーサルサービスの維持に向けては、人口減少、デジタル化の進展などの社会経済環境の変化、郵便事業の中で、その収支のバランスを図ることの持続可能性、消費者利益の擁護・増進の観点、また、諸外国の事例も参考にしつつ検討を行うべきであるとしています。
その際、全ての消費者がデジタル機器を容易に活用できる状況に至っていないことには留意が必要であります。また、特に地方において、郵便事業及び郵便局は、郵便物の配達だけでなく、地域のコミュニティの場であり、地域をつなぐ可視化しにくい価値を有する重要な存在となっているという観点も十分に踏まえるべきであるとしています。
「(6)その他」でございます。
料金の上限について、経営状況に応じて短期間に再度見直すことも念頭にとの説明がございました。
郵便料金制度に係る制度改正を理由とした算定要領作成の遅延によって、算定要領に基づかない再度の値上げはあってはならないことであるとしています。本来は算定要領に基づいた、より丁寧な分析が望まれるところであり、透明性・適正性を確保することに加え、消費者の理解を得るためにも可能な限り算定要領の作成を急ぐべきと改めて指摘しております。
今後の上限料金の改定に係る検討に向けては、郵便料金に係る制度の見直しなどと併せて、ユニバーサルサービスの維持の観点から日本郵政グループ全体の状況についても消費者に分かりやすく説明すべきであるとしております。
御説明は以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、ただいまの専門調査会意見について、質疑応答と意見交換をお願いします。時間は10分程度でお願いします。いかがでしょうか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 野村座長、友行さん、御説明ありがとうございます。意見を述べさせていただきたいと思います。
一般的にサービス、商品の料金の妥当性を判断することは難しく、今回の料金上限改定についても説明を伺いましたが、一概に高過ぎるとも安過ぎるとも妥当であるとも判断が難しい事案であると感じております。
料金設定は、人件費や様々な必要なコストから構成される原価に、事業者の適正な利益分を乗せ、その上で物価、世の中の相場感や利用者からの期待値との見合いで将来を見据えて決められていると思います。
ただ、重要なことは、その料金を負担する消費者が提供されるサービスに対して、料金に見合う価値があると感じること。同時に設定価格に対して納得できるロジカルな説明があるか。その先に利用者との間に信頼関係が築けるかどうかだと思います。
特に定形郵便物の配送は公共性が高く、日本郵政独占のサービスであり、消費者は、他の手段の選択肢を選べないので、料金設定の国民への説明責任は、選択肢のあるサービスより重いと思っております。
その上で、算定要領が存在しない、算定要領に基づかない今回の料金改定、特に定形郵便物の上限改定が84円から110円、31パーセント値上げで、30年ぶりとはいえ、生活者目線から納得性を満たしているのか、疑問は残ります。
また、31パーセントの値上げが御説明にあった最小限であるという根拠も、私には理解できませんでした。
今後更なる値上げを近々視野に入れているという前提となる事業計画、算定要領も今後ぜひ御教示いただければと考えております。
郵便物を取り囲む環境は、御説明にもございましたが、デジタル化の推進による需要の低下、物流業界の人材不足等、急速に変化しており、日本郵政グループ全体の事業の中で、ほかの事業領域を含め、単体事業としてだけではなく、郵便事業が今後どうあるべきかのビジョンをできれば示していただきたい。そうすることで、消費者の納得度は向上するのではないかと感じます。
取り急ぎ、以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかにいかがでしょうか。
今村委員、お願いします。
○今村委員 今村です。
今回料金を値上げされるということで、料金の値上げそのものについての意見ではないのですが、今回は25グラム以下の定形封書のみの議論がなされていることに、少し違和感を感じます。
本来、50グラム以下や、はがきなどと併せて検討するべきもので、恐らく審議会などでは、そのような検討がなされたと思うのですが、実際に消費者委員会に上がってくるときは、25グラム以下の定形封書のみが議論になっていて、その他は検討のそ上に上がらないということに、不自然さを感じます。
本来、連動して一定のルールをもって、これらを検討に付すべきだと思うのですが、この1点だけが諮問・答申されるということを、今後検討される際には、ほかの料金も併せて御提示いただいて、我々にも意見を聞いていただくような形が望ましいと思っております。
今村からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
これについては、何か御説明がありますか。事務局、いかがですか。
○友行参事官 今村委員の御指摘の通りに、今回諮問を受けたところは、定形郵便物の25グラム以内の料金のところでございます。確かに郵便事業全体のところで考えるべきというところは御指摘の通りかと思いますが、公共料金等専門調査会の中で議論できる範囲内でさせていただいたところであります。
ただ、議論の中では、郵便料金全体についても示すべきだということもございましたので、意見書の中には、そういったことも消費者に示していくべきだということも記載しているところでございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
今村委員、よろしいですか。
○今村委員 状況は理解しておりますけれども、今も不自然さを感じておりますので、今後、総括的に議論ができるようにフレームを考えていただく必要があるのではないかと思います。
今村からは以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、大澤委員、お願いします。
○大澤委員 どうも御説明いただき、ありがとうございました。
値段の上げ幅が、確かに3割ぐらいで110円ぐらいになるということでしょうか、それが妥当かどうかは、私自身判断する材料を持ち合わせておりませんし、書かれている、例えば人件費の増加、赤字に転じたこと等々を考えて、値上げ自体は致し方ないのかなという印象は持っております。
ただ、先ほど中田委員もおっしゃっていたと思うのですが、やはり消費者から見たときに、特に郵便に関しては、今回の意見書の中でも書かれておりますが、2021年から、例えば土曜日の配達をやめているとか、そもそも配達日数が減っているといった形で、消費者にとっては、私も一消費者としてですが、郵便のサービスはやや低下しているような印象を持っております。サービスが低下しているのに、なぜ値上げがされるのだろうかと。
今、郵便料金に限らず、色々なものが、物品、サービス、値上げがあります。これ自体は致し方ないとして、郵便もだから値上げするのですねという、要は、ほかに連動して値上げしているという印象を持たれてしまわないように、消費者向けに丁寧な説明をするべきだと思います。意見書には、そのことも書かれておりましたが、ここは強くお願いしたいと思います。
その上で2点なのですが、1点目なのですけれども、郵便を使うのは、意見書の中にもある通り、当然消費者だけではなくてビジネスの場面でも、要は事業者も使っています。事業者が送る郵便の料金が上がれば、それは当然、最終的には消費者向けの価格に転嫁されます。
もちろん、事業者も最近は郵便だけではなく、例えばeメールで書類を送ったりということもしておりますが、例えば、ビジネス向けの郵便料金、複数の郵便を100通ぐらい事業者がまとめて消費者に郵便を送るときには、例えば、割引をするとか、そういったことは考えていないのだろうかと、今、現にあったら、私の知識不足で申し訳ないのですが、今後のサービス改善に向けては、考えていただきたいというのが個人的な意見です。
2点目なのですが、サービスの在り方、特にデジタル化ということで、確かにデジタル化を進めるときに、必ずしもデジタルに対応できない、とりわけ高齢者のような人たちがいるというのは事実ですが、他方で、私は、前にフランスに住んでおりましたけれども、フランスの郵便料金は、恐らく日本の今の84円よりは高いと思います。たしか1.23ユーロ、最低でもすると思うので、その観点から見ても今回110円に上がるということが、そこですごく高いということには、恐らくならないと思いますが、ただ一方で、例えば、オンライン上で、自分の自宅でカード決済をして、郵便の要は切手のようなものを印刷して、それを郵便に出して送ったりとか、そういうデジタル化に対応したサービスも行っています。
日本の場合は、もちろん切手さえ買っておけば、自分でポストまで郵便を運べば送れると思うのですが、例えば、海外で現に行われているようなデジタルに対応できる人たちには、やはりそういう便利なサービスをもっと使っていただくと。
一方で、窓口はきちんと維持するということを、何かデジタル化をうまく活用してバランスを取れないだろうかというのが2つ目の意見になります。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
1つ目は、御質問も含まれることですか、大量に受けるときに、料金を割安にするなどのサービスの工夫がされているのかについて。
○大澤委員 はい、あるかということです。
○鹿野委員長 半分御質問で、もし、それがないのであれば、そういうことも考えるべきだという御意見だと伺いました。
○大澤委員 はい、その通りです。
○鹿野委員長 この点、現状について事務局から御説明はございますか。
○友行参事官 特段資料としてはお示ししておりませんけれども、公共料金等専門調査会の議論の中では、事業者向けのサービスの1つとして、そういったものもやっているし、これからも検討していきたいというお話がございました。
○大澤委員 分かりました。失礼しました、そうなのですね。そうしないと、消費者の値段が結果的に上がってしまうので、そこはぜひ進めていただきたいです。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
この意見書の中の算定基準、算定要領は存在しないとのことです。それから、2ページのところでは、2022年度の郵便事業の収支は211億円の赤字となったと書かれているところに関する質問です。日本郵便株式会社は、同法13条に基づいて財務資料を公開しておりまして、2023年3月期を見ると、その42ページですが、これでは、セグメントとして郵便物流事業では、営業利益が328億円出ていると有価証券取引報告書では報告されています。
この関係で、どういう計算で、この郵便事業だけ切り取って、ここが赤字となっていると言えるのかということについて、御説明をいただけないかなという点が質問です。
以上です。
○鹿野委員長 これは、事務局からお答えいただけますか、それとも。
○友行参事官 今、御指摘のあったところ、今すぐには確認していないのですけれども、私どもがいただいている資料では、2022年度に営業収益から営業費用を引いた営業損益が211億円の赤字となるというデータをいただいております。
○黒木委員長代理 分かりました。そういうことになると、これは、国民に公開しなければならない日本郵便株式会社法12条に基づく財務資料の中で、隠れ債務というか欠損を含みながら、郵便物流事業については、当期連結会計では、営業利益が2023年度も出ているという報告をしていると理解していいのですかね。
○友行参事官 事務局ですけれども、よろしいですか。
日本郵便には、郵便事業と物流事業とその他の事業と分かれておりまして、郵便事業単体で見ると、2022年度は、211億円の赤字と伺っております。
○黒木委員長代理 そこの点なのですけれども、実は四半期ごとの財務報告というのも出ていまして、第17期の2024年3月連結の分でも、郵便物流事業の郵便窓口事業という形で、これもどちらも、2024年3月期でも黒字にはなっているのです。結局、物流と郵便等を財務報告では合算して公開しているわけです。国民にはそういう形で公開しながら、今回、公共料金として郵便料金を上げようというお話が進んでいると理解していいですか。
○友行参事官 郵便事業と物流事業とその他事業と、日本郵便さんでは収支を分けることができまして、そして、郵便法の第3条におきまして、郵便に関する料金は、郵便事業の能率的な経営の下における適正な原価を償い、かつ、適正な利潤を含むものでなければならないということで、物流を除いた郵便事業の中で収支を均衡させなければならないという法律の規定がございます。
ですから、公表されているデータが不十分かどうかというのはあるのかもしれないのですけれども、現在、値上げしようとしているものについては、郵便事業の収支を公共料金等専門調査会で示していただきまして、そこが確かに、2022年度に赤字であると、このままいくと3,000億円超の赤字になるので、今、最小限の値上げをするという説明がございました。
ですから、今、公表されているそのデータから見ると、物流事業を含めると、恐らく黒字なのだと思います。ですけれども、この郵便法の中では、郵便事業の中での収支を均衡させるということになっておりまして、それに基づいた今回の値上げになっています。
今回、先ほど意見書の中にもありましたように、郵便制度全体について、今後見直しをしていく必要があると、見直しをするといった趣旨のことを書いておりますし、総務省さんからも御発言がありました。
恐らくその辺りも含めまして、このとじた中で収支を均衡させていくことが持続可能かどうかということも含めて、御議論をされるのだと推察されますので、今回、郵便事業の中で赤字だということは、データが示されており、そうしたことに基づいて審議がなされたということでございます。
○黒木委員長代理 分かりました。
ここから先は意見ですけれども、結局、郵便料金の算定の水準である算定要領が示されていないわけです。他方、しかも日本郵便は株式会社ですので、一般公正な会計原則に従った公開をしなければならないというのも大原則であると思います。
そこで、一般公正な会計原則によるセグメントとしては、有価証券取引報告書上は、郵便物流事業と郵便局窓口事業と国際物流事業という3つのセグメントに分けて公開をされているわけです。
この一般公正な会計原則による開示では、郵便物流事業として認識し、今回30パーセント以上の増額が出るという、このように非常に黒字になっているのに、なぜ料金水準が上がるのかということについての説明が、極めて不十分になると思われます。そこで、この意見書に書かれている通り、消費者に対する丁寧な説明の在り方として、有価証券取引報告書の開示も含めて、やはり、検討していって、国民にユニバーサルサービスを維持するために、どのようなものが必要かということについての正しい情報公開をすることを、求めたいと思っています。
以上です。
○鹿野委員長 参事官、お願いします。
○友行参事官 補足の説明でございますけれども、この意見書の中にもございますように、意見書で言いますと、郵便法におきまして、脚注の3になりますが、4ページでございます。
会社は、総務省令で定めるところにより、郵便事業の収支の状況を総務大臣に報告するとともに、公表しなければならないといった記載がございます。
ですので、郵便事業単体においての収支というのは、この郵便法と、それに基づく施行規則によって公表がなされております。ですから、その部分については、郵便事業の赤字は分かるということかと思われます。
ただ、それだけでは不十分であるので、消費者の理解促進の観点から、各年度間の比較や分析を行って公表することも検討すべきであるということを、今回、意見書の中に記載させていただいているところでございます。
○黒木委員長代理 ありがとうございます。
意見書自体には反対ではないのですけれども、やはり有価証券取引報告書というのは、株式会社が市場とコミュニケーションをする非常に重要なツールですので、そこの点について疑問があるということです。
○鹿野委員長 野村座長、お願いします。
○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございます。
4名の委員の先生方からいただいた御意見、ごもっともだと感じております。ありがとうございました。
共通しての回答になりますが、我々の専門調査会の中でも同じような意見が出ました。
特に、やはりコスト構造が見えないと、ここが問題点であるということでございます。
ただ、資料の中にも出てまいりましたように、これを放っておくと、値上げせずに進んでしまうと、さらに3,000億円を超えるという赤字になってしまうというところを問題視いたしまして、認める方向で結論を出していくように議論を進めてきたところもなくはないというのが、正直なところでございます。
ですので、もともとは総務省さんの情報通信行政・郵政行政審議会の中で、グランドデザインを描いていただくような、あるいはコストを人件費、燃料費、それから、この25グラム以下とそうではないところを案分したような数字をお見せいただきたかったなという意見も出てまいりました。
ですので、我々は、今日御指摘いただいたようなロジカルな信頼関係を築くためにも、算定要領を急いで作成してくださいというところでまとめさせていただきました。
それから、消費者にも色々なタイプの消費者がいるということも理解しております。若者が手紙を出すかというと、そうではなくなってしまっている。だけれども、高齢者、それからビジネスで対応している人たちがいるのでということで、その分も消費者に全て跳ね返ってきますということも書いていますし、高齢者に関しましては、やはりコミュニティの場であるような地域もあるのですよということも含めて、意見書案の中に示させていただきました。
ということで、かなり今後の動きを注視しなければいけないと、ここにウエイトを置いたという形にさせていただいております。
御了解いただければ幸いでございます。
以上でございます。
○鹿野委員長 追加の御説明、ありがとうございました。
いかがでしょうか。黒木委員長代理、よろしいですか。
○黒木委員長代理 御丁寧な御説明をありがとうございました。
○鹿野委員長 ほかの委員は、よろしいですか。
ありがとうございます。野村座長をはじめ、公共料金等専門調査会の皆様には、今回の問題について真摯に向き合い、丁寧な御議論をいただきましてありがとうございます。
私も、専門調査会意見において、妥当性を欠くとまでは認められないと結論が出されていることのニュアンスとその理由も含めて、改めて十分に理解することができました。
繰り返し委員からも指摘があったところですが、この専門調査会意見にも書かれているように、今回の値上げ幅が非常に大きいということもありますので、消費者等に対する丁寧な説明というのが、非常に重要になるものと思います。
それから、2番目に、先ほども出てきましたように、料金の適正性・透明性の確保という観点、さらには消費者等利用者の納得の確保ということからすると、算定要領が存在しないという現状には、やはり非常に問題があると思いますので、今回はともかく、可能な限り早期に、この算定要領を作成すべきであるということについても、この意見書に記載の通りと考える次第でございます。
それでは、専門調査会の意見を踏まえた委員会としての意見案をテレビ会議システムの画面上にて表示をいたしますので、御覧ください。会議室に御出席の方については、紙でも配付しております。よろしいでしょうか。
(消費者委員会意見(案)の配付)
○鹿野委員長 ただいま追加資料として皆様に配付しました意見案では、令和6年3月12日付で消費者庁長官から当委員会に諮問のあった事項について、今回の定形郵便物等の上限料金の改定案については、消費者庁において、専門調査会意見を踏まえ、総務省とともに適切に対応することを求めるということとしております。
これが、消費者委員会としての意見案ということになりますが、何か御意見等ございますでしょうか。よろしいでしょうか。
オンラインの方の御意見についても、チャット等で確認いただけるということなので、少し待っておきたいと思います。
(異議なしの意思表示あり)
○鹿野委員長 ありがとうございます。
オンラインで御出席の方も含めて、全員、これでよろしいということでございました。
各委員からは、専門調査会意見を踏まえ、強調しておきたいことなどについての御発言があったところでございます。この点も含め、ぜひ関係者におかれましては、この専門調査会の意見を踏まえて、今後も対応していただきたいと思います。
消費者庁長官宛てに、今、お示しした「消費者委員会意見(案)」の(案)を取って意見として回答したいと思います。よろしいでしょうか。
それでは、野村座長及び消費者庁におかれましては、お忙しいところ御対応いただき、ありがとうございました。
特に、野村座長におかれましては詳細に御説明をいただき、大変ありがとうございます。どうぞ御退席ください。
○公共料金等専門調査会野村座長 ありがとうございました。お世話になりました。失礼いたします。
○黒木委員長代理 ありがとうございました。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
(野村座長 退室)
《3. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程の議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。
(以上)