第429回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年4月9日(火)10:00~10:45

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、柿沼委員、中田委員
    (テレビ会議)大澤委員、原田委員、星野委員、山本委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見骨子案について)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日はお集まりいただき、ありがとうございます。定刻になりましたので、ただ今から、第429回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、柿沼委員、中田委員、そして私鹿野が会議室にて出席しております。また、大澤委員と原田委員、星野委員、山本委員がオンラインにて御出席です。ただ、大澤委員と星野委員は少し遅れての御出席のようです。

○大澤委員 こんにちは。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 今、入られたようです。

今村委員、小野委員は、本日、所用により御欠席と伺っております。

また、星野委員は10時40分頃に御退出の予定と伺っているところです。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(次期消費者基本計画策定に向けた意見骨子案について)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、次期消費者基本計画策定に向けた意見骨子案について御議論いただきます。消費者基本法においては、消費者基本計画の案を作成しようとするときには消費者委員会の意見を聴かなければならないとされております。これまで、当委員会において次期基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について調査審議を行うとともに、消費者団体ほか関係団体等との意見交換も行ってまいりました。また、先日開催した第428回消費者委員会本会議においては、次期消費者基本計画の骨子について消費者庁から御説明をいただいたところでございます。

本日は、これまでの調査審議等の内容を踏まえた次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の意見骨子案について意見交換を行うこととしたいと思います。

それでは、意見骨子案について、事務局より20分程度で御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。「消費者基本計画策定に向けた消費者委員会意見(骨子案)」としております。

この骨子案でございますが、項目といたしましては15個ございます。それを今、ⅠからⅢまでの3つの項目に分けて整理しております。

まず1つ目が、「新しい消費者問題への消費者視点からの対応」ということでございます。近年登場した財・サービスが引き起こす新しい問題への対応といった視点でございます。

2つ目が、2ページ目に参りますが、Ⅱのところでございます。長年消費者が悩まされてきた「従来からの課題への抜本的な対策」という形にしております。

そして3つ目が、Ⅲになります。消費者法制度のパラダイムシフトや消費者行政の体制整備を中心とする「消費者政策の基盤整備」という形にしており、この3つの柱に沿ってまとめております。

それでは、1ページ目に戻りまして、Ⅰ番でございます。まず、「デジタル社会における安全・安心の確保」でございます。白丸のところでございますが、取引DPF消費者保護法の見直し、ダークパターン、アテンション・エコノミーといった新しい問題への対応、デジタル空間における情報流通の健全性確保、自動運転・メタバース等新たなデジタルサービスの消費者保護という項目を並べております。

2として、「取引の国際化への対応」です。法や執行の及ばない海外事業者への対応、海外OTAによる消費者問題への対応としております。

3として、「複雑化、多様化する決済制度の透明化」でございます。BNPLやキャリア決済など、規制の対象外となっている決済サービスの法整備、クレジットカード決済代行業者に対し登録制や加盟店調査義務の導入等の規制強化、クレジットカード決済システムにおけるセキュリティー対策の強化、過剰与信の実態把握と防止としております。

4として、「AIと消費者保護の在り方」でございます。AIの議論の場へ消費者・消費者団体が参画する仕組みの構築、AI事業者ガイドラインの周知・適切な運用、諸外国の動向も踏まえた法制化も見据えた検討、行政・事業者・消費者の総合窓口の整備、AIリテラシーの向上でございます。

5として、「食品ロスへの対応」でございます。発生抑制に向けた商慣習の見直し、消費者の意識変化や行動変容の促進、安心して食品寄附ができる環境整備としております。

2ページ目に参りまして、「従来からの課題への抜本的な対策」のところでございます。

1として、「高齢者、障害者等要支援者の権利擁護の充実」です。施策ごとに設置されている地域ネットワークの見直しと連携強化、日常生活自立支援等による障害等のある要支援消費者への支援の強化、要支援消費者を含めた権利擁護のための体制整備の推進としております。

2として、「生命・身体の安全の確保」。事故情報の収集・分析の実効性確保、チャイルド・デス・レビュー等の子供の事故防止に向けた実効性のある仕組みの構築、製造物責任法の見直しとしております。

3として、「消費者に不利益をもたらし得るビジネスモデル対策の徹底」。特定商取引法の見直し、相手方の特定が困難、消費者トラブルの生じやすい事業形態、例えば業法がない、前受金があるなどといった課題への対応、消費者に不利益をもたらす商慣行の撤廃、いわゆる破綻必至商法への対応としております。

4として、「特保・機能性表示食品の課題等への対応」です。いわゆる健康食品による健康被害の実態把握・課題への対応、機能性表示食品の課題への対応(広告・表示問題、健康被害の実態把握と事業者の対応を含めた課題、同制度の在り方の課題の整理と対応)としております。

5として、「消費者教育の推進」。インターネット検索による副業紹介、SNSを使った巧みな勧誘等社会人を含む若年層が被害に遭いやすいお金やデジタルに係るトラブルに関する消費者教育の強化、障害者等要支援消費者の自立のための消費者教育の強化としております。

Ⅲとして、「消費者政策の基盤整備」でございます。

3ページ目に参りますが、1として「環境変化に応じた消費者法制度の根本的・抜本的な見直し」です。デジタル化や超高齢化等の社会経済環境の変化・消費者の多様な側面を踏まえた消費者法制度のパラダイムシフトの検討とその実現、消費者問題の規制対象となる事業者の多さに比して行政資源が限定されていることを前提とした、消費者行政における事前規制・事後規制・自主規制の在り方の検討。

2として、「消費者行政におけるEBPM等の推進」。消費者行政における政策手段の把握と政策分析の実施、EBPMの基盤整備・政策での活用、消費者行政における行動経済学・心理学の活用。

3「消費者団体の活性化」。財政支援を含めた団体の活動を活性化するための方策の検討・実行、消費者政策における消費者団体の位置づけの検討・明確化。

4「事業者・事業者団体による消費者志向経営の推進とSDGsの達成」。消費者問題の未然防止・再発防止・被害回復のための事業者と消費者等の双方向コミュニケーションの進化、事業者の社会的責任に基づく消費者志向経営の推進と消費者と事業者の共創の実現に向けた取組、消費者のエシカル消費等を通じた消費者市民社会の形成の取組に対する支援としております。

最後に5として、「消費者行政の体制整備」です。消費者問題に関する責任を負う消費者庁の権限・人員・予算等の体制強化、消費者庁・国民生活センター・消費者委員会の連携強化を含む消費者行政の体制整備、消費者行政の在り方の検討、消費者行政部門と警察部門との緊密な連携、人口減少を踏まえた地方消費者行政の体制整備、消費者庁と地方消費者行政の分担の見直し、地方公共団体や相談現場の意見も踏まえた消費生活相談デジタル化の推進、消費者問題における戦略的コミュニケーション設計の実現。

骨子といたしましては、現時点で以上となっております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いしたいと思います。時間は40分程度でお願いいたします。何かございませんでしょうか。

星野委員はいらっしゃいますか。星野委員は先に退室されるということですので、もし何か現時点でございましたら、お願いしたいと思います。

○星野委員 ありがとうございます。御指名いただきました。

今日は授業が詰まっておりまして、40分ぐらいで出なくてはいけませんので、先にお話しさせていただきますと、御説明ありがとうございました。特に私はⅢの2のEBPMの推進というところに関しましては、以前、前期の委員会から参加させていただいておりましていろいろ申し上げているところでございます。1番目の新しい消費者問題への対応ということは、各期ごとにいろいろな問題が出ておりまして、悪徳業者が手を替え品を替え、その時々の消費者の関心があった財・サービス、例えば今だと美容系みたいなものなどに関していろいろなことをやってくるわけですけれども、結局いたちごっこになって、各回ごとに様々な海外OTAなどいろいろございますが、様々な問題はございますが、結局振り返ってみて、過去行われた施策で何が効果があったのかということはちゃんと検証しないと意味がないというか、毎回同じような議題が少しずつ手を替え品を替えあって、それぞれ毎回対応するわけですけれども、なかなか国側の資源も乏しいというか、なかなか実効性に乏しいような施策が行われてということになりますので、ぜひここのⅢの2は何を申していますかということでございますけれども、EBPMを推進するというのは結局どのような政策手段があるのかというと、法律だけではなくてハード・ソフトローですね、インセンティブもございますので、そういったものでどのような手段があるのかということに関しましては、既にOECD諸国等がいろいろなことをされておりますので、ぜひ巨人の肩に乗ってというか、車輪の再発明をすることはございませんので、ぜひ他国の事例等も参考にしていただいて、網羅的にどういった問題に対してどういった施策があり得るのかということを事前に調べておく。それからデータをきちんと蓄積して、どの施策が効果があったのかということで理解していただくということを進めていただければと思います。

すみません、感想になってしまいました。

○鹿野委員長 御意見ありがとうございました。

今の御指摘はごもっともなことで、各項目はとても重要だけれども、何が効果があったのかということをきちんと検証して次につなげていくということをしないと、結局同じようなことの繰り返しになってしまうということで、他国の例も参考にしてそれを進めるべきだという重要な御指摘をいただきました。

ほかにいかがでしょうか。

○星野委員 最後に一点だけよろしいでしょうか。前段の他国でやられている事例は本当に重要でございまして、様々なことをもう既にされておりますので、例えば最初のほうのダークパターンというのは非常にキャッチーで、新しい話のようで非常に重要ということがございますが、ダークパターンも実はほとんど行動経済学で既に調べられていて、例えばドリッププライシングというだんだんお金を追加で払わせるだとか、タイムプレッシャーを与えるということで、それに関しても既にそういった研究がかなりあって、その研究を基にOECD諸国で法制度もつくられていますので、新しい話題が出てきてというのではなくて、車輪の再発明をすることはない。海外で既にされているものがございますから、そこを整備する。データを蓄えるということだけではなくて、海外での消費者保護政策の事例を蓄えていただければと思います。

外させていただければと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。検証の仕方だけではなく、各項目、例えばということでダークパターンについて、既に研究が進み、海外で取組がなされている例があるので、これらを大いに参考にすべきだという御指摘も併せていただきました。

大澤委員、お願いします。

○大澤委員 御発言の機会をいただきありがとうございます。

まず1点目は、今、星野委員が最後に付け加えられたこととほぼ同じことで、今回の骨子案の1ページ目に、「1 デジタル社会における安全・安心の確保」ということで、これも実は「デジタル社会における」と書きつついろいろなことが入っていまして、今、ダークパターンのお話も出ていましたが、自動運転の話も出ていまして、これが4の「AIと消費者保護の在り方」というところに関係しますので、消費者委員会として今後、新しい消費者問題という中で1のデジタル社会、そしてAIについてはぜひ取り組んでほしいという意見を出すということは、一つの大きな意味があるのではないかと思っています。

その際に、特に「AIと消費者保護の在り方」等を見ていましても、これも今、星野委員がおっしゃっていたことですが、もう諸外国ではAIに関して法的な対応のいろいろなものが検討されているところもありますので、4の「AIと消費者保護の在り方」のところに諸外国の動向も踏まえた法制化も見据えた検討と書かれていますが、ここはぜひ残していただきたいと思います。要はAIというのがどういうものかというAIリテラシーを消費者に身につけてもらうということも大事なのですが、それだけではなくて、外国でいろいろ進んでいる法制化などのいろいろなものをぜひ検討してほしいというのがまず1点目です。これを強調することには意味があるのではないかと思っています。

2点目は、資料1の2ページ、「従来からの課題への抜本的な対策」というところで、「3 消費者に不利益をもたらし得るビジネスモデル対策の徹底」というところです。これは骨子案なのでこういう端的な表現になってしまわざるを得ないというのは理解するのですが、特定商取引法の見直しと書いてあって、これは実はいろいろな意味を持つのではないか。恐らくこれを見た方も、これは文章が別にありますので読んでいただければ分かることなのですが、例えば前受金に対する対応、あるいは関係するものとしては5の「消費者教育の推進」のところに出ています、いわゆる副業トラブルといったものは広く特商法の見直しというところに関係しているのではないかと思います。ですので、この特商法の見直しというところも副業紹介、あるいは前受金ビジネスなどのいろいろなものを考えたときに、あるいは破綻必至商法などもそうかもしれませんが、ぜひこれも強調していただくことには意味があるかと思います。

もう一点、関連して、特商法の見直しということになると、当然執行体制の強化というのが必要になってきますので、3ページの5の最後のところになりますけれども、「消費者行政の体制整備」ということで、とりわけ消費者庁の権限・人員・予算等の体制強化は強く申し上げる必要があるかなと思っております。特商法は従来からいろいろ新しいいわゆる悪質商法等が出たときに対応してきましたが、問題はその執行体制にあるのではないかと個人的には思っています。もちろん消費者庁も頑張ってはいると思うのですが、やはり人員、予算等に限界があるというのはもう周知だと思いますので、ぜひこちらも今回、強く申し上げていただきたいと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 ありがとうございました。

今までこの委員会で議論をしてきて、消費者政策の充実により全方位的に消費者保護を図っていくといったところの重要性を議論してきたと思うのですが、特に3番目の5の体制のところ、基盤整備のところに、例えば事業者と消費者等の双方向のコミュニケーションの進化でありますとか、5番目の最後には消費者問題における戦略的コミュニケーション設計の実現と書かれているコミュニケーションの充実といったところは非常に意味が大きいと感じております。

背景としては、もちろん消費者政策は充実させていくわけですけれども、最終的には消費者を巻き込んで消費者自身が消費者問題を自分ごととして捉えて行動を起こす。被害の発生拡大を防止したり、安全・安心な消費生活をするために自ら考えて行動するということが重要であって、そのためにはもちろん各省庁、各消費者団体は様々なことをしているわけなのですけれども、そういった内容についてより分かりやすいコミュニケーションを取っていくことが不可欠ではないかと思います。

また、周知や注意喚起情報が、私が拝見しても各関係行政機関からそれぞれ発信されているのですけれども、消費者問題の重要案件については例えば消費者庁が司令塔になって全体のコントロールをしながら一斉に戦略的に注意喚起を行っていくことで、消費者の方々の意識レベルというのは変わってくるのではないかなと感じます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。

まず、今回の基本計画ですけれども、実効性のあるものということで集約して作成しているということですので、やはり必ず実行していただきたいなということが一つあります。

それから2つ目ですけれども、まだまだデジタルを上手に活用できない高齢者やリテラシーが低くて消費者被害に遭いやすい若年消費者はたくさんいると現場のほうでは痛感しております。金融教育推進法が施行されまして、金融教育は子供たちが社会で自立し、健全な経済的判断を行えるようにするために重要な要素と私も考えております。投資教育に触れるだけではなくて、投資に失敗したときの救済についてもしっかりと教えていく必要が求められていると思います。これには消費者教育と金融教育、リテラシー教育を融合しながら教育の推進をしていく必要があるのではないかなと思います。

また、特商法も今、いろいろ見直しをしている段階ではありますけれども、消費者を保護するというだけではなく、消費者自身が気づく力の醸成を高めるための消費者教育についても、今後も検討していく必要があるかなと思いました。

それから3つ目ですけれども、震災やコロナなどの想定できないような状況が起こった場合に悪質な事業者がその地に寄ってくるというトラブルが多いので、そちらについてもこの消費者基本計画の中にしっかりと盛り込んでいただきたいなと思っています。

それから4つ目ですが、消費者団体の意見をこれまで以上に反映していただきたいと思います。

そして最後ですけれども、消費生活相談のデジタル化についてです。こちらは2026年に変更していくということですけれども、消費生活相談の現場に実際にどのようなことを行っていくのかというのがまだ分かっていないという現状です。それを不安に覚えている消費生活相談員も多くいます。

さらに、少数で相談業務を行っている小さな自治体におけるDX化について、まだまだ意見を聞いてもらっていないという状況があるかと思いますので、そのような声も入れていただきたいなと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはいかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 まず質問ですが、我々は、意見書の中でいろいろな体制整備ということを指摘することになります。しかし、このⅢ「消費者政策の基盤整備」の5「消費者行政の体制整備」のところの人員、予算等の体制強化、基盤整備というのは、最終的には財務などとの折衝がないと我々が言ってもしようがないということになるのかもしれません。そこで、その辺りの財政当局や我々の意見書との関係はどうなるのかという点を事務局から教えていただければありがたいと思います。

○鹿野委員長 それでは、事務局、お願いします。

○友行参事官 意見書で書きまして、それが意見書に書いたからといって必ず実現するかどうかは分からないわけで、この意見書を基に消費者庁なりが予算要求なり人員の要求をして、そこが通るかどうかというのはまた別の話ということでございます。

○黒木委員長代理 分かりました。

まず、少なくとも我々のほうで具体的にこういうことが必要であるということを指摘して、庁なり各省庁に向かって言うということは、財務当局に対しても一定の影響力があり得るかもしれないというぐらいは考えてもよろしいでしょうか。

○友行参事官 あり得ると思いたいと思いますが、ここでは委員の先生方がこうあるべきだということを書いていただければと思います。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。まずその点でこの位置づけみたいなものを聞きたかったところです。

まず、最初のⅠの1のところで、取引DPF消費者保護法の見直しというのは3条の努力義務などに関してヒアリングもして、まだ問題があるということについては議論しました。同じくDPF取引透明化法についても、BtoBかもしれないけれどもそれがBtoCにも関係しているという問題点を議論したのですけれども、取引透明化法のほうについては今回は対象外ということになるのでしょうか。

○鹿野委員長 これは事務局に宛てた御質問ですか。

○黒木委員長代理 事務局に、今はどう考えていらっしゃるかということです。

○友行参事官 透明化法については、経産省さんにお越しいただいて御説明をいただきました。その前提として、この法律はBtoBの法律であるということで御説明もありましたし、委員の先生方もそういう形で御認識いただいたと思います。

でも、委員長の最後のおまとめのところで、BtoBではあるけれども消費者に関わりがあるところもあるという形でおまとめいただいたと思いますので、その範囲で委員の先生方が意見一致をされたところでこの基本計画の意見に対してどう書くかというところはこれから御議論いただければと思います。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

今回の骨子案は、非常によくできていると思うし、第8次消費者委員会が、今まで検討していた論点が網羅されているところではあると思います。ただ、やはり強調するべき点は、Ⅰの4のところのAIと、それからデジタル化。これはリンクしているのですけれども、ここの点は非常に重要な観点だと思います。

この前、ヒアリングをしたところ、AIに関する事業者ガイドラインの問題に関して、消費者庁はまだ呼ばれていないというか、参加していないということも分かりました。人員の問題にも絡むのかもしれませんが、AIの問題について消費者庁がもっと積極的にやっていただきたいというのがあり、それを強調してこの意見書を書いていったらいいかなと思っています。

それから、従来からの特商法の抜本的な見直しという課題は、非常に大きな問題なのだと思います。しかし、考えなければならないのは、今、消費者庁は特商法の企画立案と執行を同じ部局でやっているわけです。その意味ではむしろ経産省の時代よりもある意味人員的にかぶってしまっているという点があるので、その点も含めて人員の確保などをしていかないと、迅速な法改正に結びつかないのではないかなと思っています。その辺りも強調していただければなと思います。特に前受金の問題や業法がないということについては、この前、エステ業界の話も聞きましたが、特商法による対処も可能な場合がありますので、このことは重要な問題だなと思っているというところです。

まずは私としてはこのような点で意見を申し述べさせていただきたいと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

原田委員、何かございますか。

○原田委員 ありがとうございます。

各項目について特に申し上げることはございませんが、大きなⅠ、Ⅱ、Ⅲの関係がどういう関係になっているのかがいまいち分かりにくいなと大きな目次を見て改めて感じまして、Ⅰが新しい課題で、Ⅲがそれに対応している基盤整備の問題で、Ⅱが従来からの課題への抜本的な対策となっていて、新しい問題と基盤整備という関係がⅡで分断されているようにも見えるので、何かここは工夫できないかなという気がいたしました。もちろん目次を変えるというのも一つかもしれませんが、そうではなくて、適宜いろいろな説明を加えることによってⅠとⅢが結びついているのだということが分かるような書き方をするということもあり得るかなと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 御指摘ありがとうございました。グルーピングをしたほうが分かりやすいというところはあるけれども、そのことによって何か別個の問題であるような印象を与えてはいけないということでした。これは中の書きぶりにもよるのかもしれませんけれども、説明の仕方なども含めてその点は工夫をする必要があるかと思います。特に今、御指摘があったように、Ⅲのところは、ⅠとⅡを受けて共通する問題、これらを実現していくためには何が必要かというところでございまして、それが分かるような形で中身も含めて記載していくということが必要だと思っております。ありがとうございました。

山本委員、いかがですか。

○山本委員 御指名ありがとうございます。

私は今、先生方が御発言されたことに差し当たり加えることはございませんので、ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかによろしいですか。

それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 こだわるようですけれども、DPF取引透明化法は、現代社会で中核的な役割をもっているDPFについて規定されているわけですが、これを改正されるかどうかは分かりませんけれども、PL法の考え方などにも影響しているのではないかという話もあります。従って、少なくとも基本計画に対する意見書の中で全く書かないということはあり得ないかなと思っています。庁がどう取り扱うかは別として、少なくとも委員会としてはDPF取引透明化法というものについても消費者問題というところで考えていますということは言うべきであろうと思っています。

それから、ダークパターンの問題と定期購入販売というのはリンクしているというところもあるので、早期の特商法の見直しという点についてはその辺りもより強く書いておいたらいいと思います。

それから、第7次のときに消費者団体に関する実態調査もしているわけです。そこも含めての消費者団体に対するエンカレッジという問題についても、消費者団体の活性化という形で、検討という形で項目が挙がっていますからいいと思っています。しかし、消費者団体の役割とその機能強化も重要な課題だと私としては考えて、具体的な意見書を読ませていただきたいと思っています。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかはよろしいでしょうか。

それでは、珍しくちょっと早めに御議論は終わりそうなのですが、今までも委員間でいろいろと議論をしてきたところをここに骨子という形でまとめておりますので、本日は、特に強調すべき点ということを中心に御発言をいただいたところでございます。

最後に私から一言申し上げたいと思います。本日は、次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の意見骨子案について意見交換を行いました。消費者基本法は、消費者の権利を掲げ、行政は消費者の権利の尊重及び自立支援その他の基本理念にのっとって消費者政策を推進する責務を有するとしております。

近年、消費者を取り巻く社会経済環境は、超高齢化やデジタル化の進展、生成AIの台頭をはじめとして急激に変化しております。消費者政策は、このような急激な環境変化の下でも消費者の権利が確実に守られるようなものでなければなりません。しかし同時に、従来から存在する消費者問題の中にも抜本的な対応が必要と考えられる点も多く存在しております。そして、その両面の政策を推進するには様々な種類、レベルの基盤を整備することが必要であります。先ほども言及しましたように、Ⅲのところがそのようなことを書いているところでございます。こうした視点に立って、今後も消費者委員会の意見を取りまとめていきたいと考えております。

また、消費者政策の推進は、消費者庁単独ではなく政府全体として取り組むべきものでございます。そこで、各省庁が取り組むべき政策についても、今後、具体的に消費者委員会意見の中にも盛り込んでいく必要があると考えております。

先ほど、黒木委員長代理からは透明化法に関するお話もありました。その他、各委員から御指摘のあった重要な項目について、ごく簡単に確認をしておきたいと思います。

まず、星野委員からはEBPMの推進の重要性ということが強調されましたし、また、ダークパターンなどを例として、個別の問題でも例えば既に行動経済学などで研究がされ、OECD諸国で取組がなされているということでもあるので、そのような研究上の知見、あるいは海外で既に行われている取組事例などを大いに参考にして進めるべきだという御意見がありました。

それからまた、大澤委員からは、特にⅠの1のデジタル化、それからⅠの4のAIという問題の重要性が強調され、このAIなどについても、諸外国の動向も踏まえて法制化も視野に入れ、消費者庁も積極的に関わる形で検討していくべきだという御意見をいただきました。黒木委員からも同趣旨の御発言をいただいたところでございます。

それから、特商法の見直しの重要性についても複数の委員から御意見をいただきました。特商法ももちろんデジタル化に関わるような問題もあるのですが、一方、必ずしもそうではない部分も含めて特商法の見直しは重要であるという御指摘もあったところでございます。

それから、Ⅲの5などで執行の強化等が必要であること、それからそのための基盤整備が重要であるということも複数の委員から御意見をいただいたところです。

また、中田委員からは、Ⅲの4の1番目、あるいは5の6番目にも記載されているところのコミュニケーションの重要性というところについても御指摘がありました。

それから、柿沼委員からも複数の問題提起がありました。特に金融・経済教育に関しては、消費者教育という観点をちゃんと踏まえて、それと融合しながら教育を推進していく必要があるということ、あるいは先ほどの特商法の見直しや執行強化というところにも関わるかもしれませんけれども、特に震災やコロナなどの予想外の事態が生じたときに悪質事業者が暗躍するという事態が見られるので、このような点も踏まえて特商法の執行強化等を図っていくべきだということなども改めて御指摘いただいたところでございます。それから、柿沼委員からは消費生活相談のデジタル化についての御指摘もいただきました。

それから、原田委員からは全体のグルーピングの問題についても、見出しを変える必要があるかどうかはともかく、関係を分かりやすくすること等についての御意見をいただいたところでございます。

先ほども言いましたけれども、本日、お示しした骨子案では、15の項目を3つに分けておりますが、もともとこれらの項目は相互に関連するところでございます。先ほども言いましたように、例えば特商法の見直しはⅡの従来からの課題の中に入れられておりますが、通信販売や連鎖販売取引をめぐる近時の問題はデジタル化と密接に関わりますし、また、Ⅲに掲げた制度全体の見直しというところ、特にパラダイムシフトという項目は、消費者契約法だけの問題ではなく、かなり広く取引分野に関わる問題と受け止めております。

また、持続可能な社会の実現、いわゆるSDGsの消費者分野の課題というのは、本日の骨子には言葉としてはⅢの4のところだけに出てくるわけですが、これはⅠの5の食品ロスにも関わるところですし、また、この観点からの仕組みや消費者の行動変容が求められるのは食品ロスだけに限られるというわけではありません。そういう意味でも、それぞれを完全に独立した項目としてカテゴライズするという趣旨ではなく、それはまた難しくもあるのですが、本日、様々な御意見をいただきましたので、これを踏まえて今後も引き続き次期消費者基本計画策定に向けた当委員会の意見の取りまとめに向けて審議を行ってまいりたいと思います。

本日の議題は以上になります。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 最後に、事務局より今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところ、お集まりいただきましてありがとうございました。

(以上)