第424回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年2月14日(水)13:00~14:07

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、星野委員
    (テレビ会議)大澤委員、中田委員、原田委員
  • 【説明者】
    観光庁観光産業課旅行業務適正化指導室 北川課長補佐
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(法や執行体制の及んでいない事業者への対応)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、こんにちは。定刻になりましたので、ただいまから、第424回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、会議室において、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、星野委員、そして、私、鹿野が出席しております。

また、テレビ会議システムにて、大澤委員、中田委員、原田委員が御出席です。

それでは、本日の会議の進め方について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(法や執行体制の及んでいない事業者への対応)》

○鹿野委員長 本日の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、法や執行体制の及んでいない事業者への対応についてです。

本議題については、昨年12月の第420回本会議において、海外OTAの問題を取り上げ、議論しました。

海外OTAは、日本の旅行業法上の登録を受けていない場合も多いと見られ、日本の法規制が及ばず、消費者保護が十分でないこともあるのではないかという問題意識から、国民生活センターと金融庁にお越しいただき、お話を伺ったところでございます。

国民生活センターからは、海外OTAに関する消費者相談の現状等について、御説明いただきました。それによると、相談件数は増加傾向にあることが確認されました。

また、金融庁からは、金融商品取引法が日本居住者にサービスを提供する海外事業者にも適用され、登録義務があることを前提に、無登録で金融商品取引業を行う事業者に対する取組等についてお話を伺い、具体的には、警告書の発出・公表を行うほか、一定の条件を満たす場合には、裁判所への禁止命令等の申立てができるなど、有効な手段を持ち、また、運用もされているということについて御説明いただきました。

海外事業者が日本に居住する者に対してサービスを提供する場合に、我が国の業法の規律を及ぼすことができるのかどうか、あるいは規律を及ぼした上で、どのように法執行をすべきかということについて、とても参考になるお話を伺ったところでございます。

こうした前回の議論を踏まえて、本日は、観光庁より海外OTAに対する規制の状況などについて伺い、意見交換をしたいと考えております。

本日は、観光庁観光産業課旅行業務適正化指導室の北川課長補佐に会議室にて御出席いただいております。お忙しいところ、どうもありがとうございます。

それでは、早速ですが、15分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○観光庁北川課長補佐 御紹介いただきました、観光庁観光産業課の北川と申します。本日は、お忙しい中、貴重なお時間を頂きまして、ありがとうございます。

まず、旅行業法の概要につきまして、資料に基づきまして、御説明をさせていただきたいと思います。

まず、1枚目、「旅行業の登録制度」という部分になります。もともとこの旅行業法自体は昭和20年代にできた法律でございまして、大きな転換期となるのは、やはり日本人の海外旅行が、大きく増えた時期が1つの転機になっております。

そのときに、旅行業が一般旅行業と国内旅行業という区分に分かれました。国内旅行業は、国内のパックツアーなどを行う旅行会社になるのですけれども、一般旅行業というのは、いわゆる海外のパックツアーというものを取り扱えることができる旅行会社という形になります。

今のところ一般的には、パックツアー、パック旅行などと呼ばれてはいるのですけれども、法令的には、当時は主催旅行という形で言われておりまして、あくまで旅行会社が責任を持って、お客様を出発地から目的地まで行程を管理していく、行程を御案内するというものを位置付けた形で行っていたところでございます。

ただ、その後、社会情勢の変化などがあり、旅行者の皆様の趣向なども変わり、あと、やはり地域で旅行商品を発売される、具体的に申し上げますと、例えば都道府県単位で御旅行されるでありますとか、様々なニーズの変容を通じて、現在、この資料にございますような形で、旅行業の登録制度を、一般と国内という区分などから、第1種から第3種、さらには地域限定という旅行業までを加えた形で、旅行業を区分した次第でございます。

現在、旅行業者と呼ばれます事業者は、全国に約1万社ございます。そのうち、企画旅行と呼ばれる海外の募集型企画旅行までできる、いわゆる海外のパック旅行まで実施できる旅行業者が第1種旅行業者と申しまして、私ども観光庁のほうで登録をしております。

ここから先が、第2種、第3種と分かれるのですけれども、第2種は全国を対象に、例えば、東京を発地にしても沖縄や北海道、九州までのパックツアーができる旅行会社が第2種旅行業者という形になっています。

さらに、第3種というのは、主たる営業所を所在地とする部分の隣接市までの企画旅行、パック旅行ができる、最近の言葉ですと、例えば、着地型ツアーであるとか、マイクロツーリズムとかと言われている旅行が、これに当たってくる形になります。

さらに、地域限定旅行業という旅行がございまして、これは、さらに手配区分を、例えば、隣接市までだったものを、受注型と手配旅行、さらに隣接市まで限った旅行になってございます。

この受注型企画旅行というのが、簡単に御説明をいたしますと、最も分かりやすい例というのが修学旅行になるのですけれども、お客様からいろいろな、どこどこ、A地点に行って、A列車に乗って、B地点に泊まって、B地点で食事をしたいなという御旅行の御依頼を頂いて、旅行会社のほうでオーダーメイドで旅行をつくっていって、企画旅行として包括料金として、お客様に販売をしていくという形になります。

手配旅行というのは、お客様からの御依頼に基づいて、例えば、航空券の手配をし、航空券をお渡しした時点で旅行業者の債務というものは終了いたしますけれども、受注型企画旅行などは、お客様に対して特別補償と呼ばれる、これは旅行業約款でも定められているのですが、万一現地でトラブルに遭われたりとか、事故に遭われたときの補償なども行うような形の旅行になってございます。

さらに、スクリーンですと、一番下の欄に映っているものになるのですけれども、旅行サービス手配業というものがございます。

これは、平成30年の法改正に基づいて設置されたものなのですけれども、いわゆる旅行会社の旅行商品を、必ずしも運送サービスや、宿泊サービスから直接受けないで、その間に事業者さんを絡めて行うケースが見受けられたということで、法の中に、旅行業者のため、これは海外の旅行業者も含むのですけれども、その旅行業者の依頼を受けて、宿泊のサービスの手配であるとか、運送のサービスなどの手配を行う際に、旅行サービス手配業という登録を受けて業務を行うという形を取る制度になっておりまして、こちらもまだできて約5年の制度になっているところでございます。

上のほうに戻っていただくと、旅行業者代理業というのがあるのですが、これは、第1種、第2種などの旅行業者が造成した企画旅行を販売する事業者となりますので、自ら企画旅行などを行ったりすることはできない状況になっておりまして、右欄の登録要件を見ていただきますと、旅行業者代理業に関しては、例えば、営業保証金であるとか、基準資産という規定を設けてはいないという形になります。

話が前後して申し訳ございませんが、この営業保証金と申しますのは、万が一、旅行会社が旅行の催行前に倒産などをした際に、旅行者の皆様に旅行代金を還付する制度でございまして、例えば、1種の場合ですと、7,000万円と1,400万となっているのですけれども、旅行業協会に加入されている事業者に関しては、旅行業者は1,400万円を旅行業協会に、弁済業務保証金分担金という形で、営業保証金に代わるものを納付することで、旅行業を営むことができるという形になります。

ただ、弁済できる金額は7,000万円で、現行は、営業保証金との差異はございません。また、営業保証金自体も取引額に応じて上がっていくという形になっております。

基準資産と申しますのは、旅行業登録又は更新を受けていただく際、日本の場合は5年に1回、旅行業の更新の登録を受けていただく必要があるのですけれども、その際に資産から負債を引いた、純資産がこちらに書かれている基準を満たしていただく必要がある、一定の資力を有して、消費者の保護を図っているという形になります。

一番右のほうにあります、旅行業務取扱管理者、こちらのほうは、旅行業の契約をする際に、旅行者の方々に説明を行う責任者又は苦情などが発生した場合に対応する責任者として、旅行業者の営業所には必ず設置を義務付けているものになっております。

これは、パンフレットであるとか、インターネットなどで取引をしていただく際にも表示を義務付けておりますので、旅行業務取扱管理者という方のお名前は、明示をされている形になっております。

そのような形で旅行者から問い合わせのあった際には、旅行業務取扱責任者が旅行業法に則った形で対応をしていく形で規定をしております。

この旅行業者ですけれども、先ほど約1万社と申し上げましたけれども、この旅行業自体は、国で全て登録をしているわけではございませんで、1万社のうち630社程度が、現在、第1種旅行業者として、国のほうで登録をしておりますが、残りの9,000社以上は都道府県のほうで登録をしている状況でございます。

これは、旅行業法の中にも明記されておりまして、自治事務として各自治体のほうで第2種以下は登録をしていただいているという形でございまして、全く観光庁と同じ業務体制において、旅行業の登録事務を行っていただいているという状況でございます。

では、次のページに移らせていただきます。

「旅行業法の概要」でございますけれども、先ほど御説明をいたしました、特に旅行業者の登録に関する部分に関しましては、第2章で旅行業等を規定しておるところでございまして、旅行業務取扱管理者の選任の義務であるとか、また、試験を要するということに関しても、この第2章で規定をしておるところでございます。

個別の取引に関しましては、後ろにありますように、料金の掲示、例えば、運送サービスを旅行会社さんが手配したときに、消費者の方が旅行会社にお支払いいただく、いわゆる手数料的なものを必ず掲示すること、また、旅行業約款などを策定し、これらを掲示し、また、旅行者に説明すること、これら取引条件の説明、また、書面の交付などが規定されているところでございます。

詳細は、かなり細かくなりますので割愛させていただきまして、恐縮ではございますけれども、例えば利用する運送サービスであるとか、お泊まりいただく宿泊施設であるとか、食事の有無であるとかが、こちらの取引条件や書面の交付などで書くことを義務付けているという形でございます。

また、標識の掲示においては、各営業所、これは、リアル店舗においては、営業所において第1種ですと青色の標識になるのですけれども、これを表記していただいたり、また、インターネットで取引される際にも、旅行業法の通達に基づいて、標識を掲示していただくことを義務付けているところでございます。

第3章、旅行業協会でございますが、こちらは、現在、日本には日本旅行業協会と全国旅行業協会の2つがございます。この2つの旅行業協会を指定いたしまして、後ほど改めて御説明いたしますが、苦情の解決でありますとか、旅行業務の研修を実施しています。具体的には、旅行業務取扱管理者には、現在、5年に1回の研修の受講を義務付けておりまして、この研修の事務を旅行業協会のほうで担っている状況でございます。

あと、第4章の雑則になるのは、先ほど申し上げました、都道府県が処理する事務というものが規定されておりまして、その中には、報告徴収であるとか、立入検査なども、都道府県知事が登録している事業者に関しましては都道府県で行うこと等が規定されているところでございます。

それでは、次のページに移っていただきたいと思います。

こちらは、平成26年に策定いたしました、「オンライン旅行取引の表示等に対するガイドライン」でございます。

こちらは、本日は概要資料のみを資料として御提出しておりますけれども、全体版の資料、当時、委員として参画していただきました皆様の委員名簿に関しましては、現在も観光庁のウェブサイトにて公開しているところでございます。

問題意識といたしましては、今日、冒頭にも御指摘のありましたOTAであるとか、いわゆる場貸しサイトと呼ばれるような取引形態が、やはりネット社会が普及してきたということに伴って、契約に関するトラブルが生じたということになりまして、OTAガイドライン策定検討委員会というものを設置いたしまして、特にウェブサイトにおいて表示していただくものを、ガイドラインとして定めさせていただいたものになります。

特に、こちらで御説明をさせていただく部分に関しましては、まず、OTA、Online Travel Agentに関する基本的な情報、名称であるとか住所に関しては、表示をお願いしたいというところ。次に、問い合わせ先についても、電話番号やメールアドレス、また、問い合わせが可能な時間や可能な言語などについても、ガイドラインとして表示をしていただきたいとお願いをしている事項となります。

次のページに移っていただきますと、契約条件に関する事項となりますけれども、特に契約に係るトラブルを防止するために、申込みの完了の段階から表示をしていただきたい事項として、7つの項目を当時ガイドラインとして挙げさせていただいております。

まずは、契約当事者であり、契約の形態、旅行者がどなたと契約しているかというものを表示していただくこと。あと、運送サービス等、運送等でも特に宿泊のサービスになるのですけれども、運送や宿泊のサービスに関して、適切に表示をしていただくということ。あと、お客様がお支払いいただく旅行代金、いわゆる宿泊代金であるとか、税の内訳などを表示していただくということ。あと、キャンセル、取消料が、いつ、どれぐらい掛かるのかというところを、その時期も含めて表示していただくということ。その他、契約条項として約款というものがあれば、それを表示していただくということ。また、特に消費者にとって不利益な条項に関しては、責任の限定であるとか、裁判管轄条項などは、容易に認識できるように表示していただくということ。あと、最終画面において、上記の契約に関する事項について、お客様が誤りのないように再確認ができるような形で、最終確認画面を設けていただくこと、契約の成立時期などを明確にしていただくことなどを設けたガイドラインを、当時策定をしておるところでございます。

次のページに移っていただきまして、まず、「旅行業者と取引した旅行者からの苦情への対応」でございますが、こちらは、旅行業法を抜粋して記載をしておるところでございますが、旅行業法第45条におきまして、旅行業協会において、旅行者からの苦情を受け付け、また、苦情の解決を行うという義務を課しているところでございます。

上記規定に基づきまして、旅行者の苦情については、現在、日本旅行業協会と全国旅行業協会の消費者相談室において、旅行者の申出に対応して解決に努めているところでございます。

一方で、海外の旅行会社の取引に関する苦情につきましては、現状、旅行業の登録を有しておりませんので、国民生活センターの越境消費者センターを御紹介しているという状況でございます。

次のページに移っていただきまして、「旅行業法違反に対する対応について」でございます。

まず、旅行業を無登録で営んだものに関しましては、旅行業法第74条に基づいて罰則が適用されるところでございます。

また、旅行業者に対しましては、全ての旅行業者に対しまして、旅行業法第19条第1項において、行政指導や営業停止などの規定を設けております。

ただ、この不利益処分の基準に関しましては、第1種旅行業者には観光庁が、それ以外については都道府県ごとに定めているのが現状でございます。

また、旅行業の登録を有していない者に対する対応でございますけれども、これは観光庁又は都道府県において、無登録の疑いのある情報提供などをメール等で頂いた場合ですが、例えば、電子メールなどウェブサイトなどに情報が掲載されている場合であれば、運送や宿泊のサービスを消費者に提供する広告、募集する行為、いわゆる旅行業法第2条に規定する行為が発見された場合に関しましては、ここにございます通告に関する内容例、旅行の目的地及び日程であるとか、旅行者が提供を受けるサービスなどが明記されていたり、また、旅行者が支払うべき対価があったようなものに関して、ネットなど、チラシなどを使って不特定多数に募集を行う場合は、旅行業に該当する場合があるということで、直ちに中止するように、電子メールで通告を実施しておるところでございます。

また、ネットの中には、メールアドレスなどが掲載されていない場合もございますので、これらは電話番号のみが把握されれば、電話により御説明を行って、事前に旅行の催行の防止をしておりまして、実際に、旅行業、例えば貸し切りバスをお使いになったツアーなどの催行を、旅行業者が関与することによって、契約を適切に結んでいただいてツアーをしていただいたという実績もあるところでございます。

簡単ではございますけれども、旅行業法の現状につきまして、以上でございます。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

御質問いかがでしょうか。

それでは、つなぎとして、ごく基本的なところについて確認させてください。

今回、ここでは、海外OTAのことについて関心を持って検討しているのですが、海外OTAに関しては、今回のスライドで言うと、6ページの一番下のところで、海外の旅行業者との取引に関する苦情については、旅行業の登録を有していないため、越境消費者センターに紹介していると説明してくださいました。

旅行業法の規制は、海外OTAには及んでいないということを意味するものとして、理解してよろしいでしょうか。

○観光庁北川課長補佐 さようでございます。

○鹿野委員長 そうすると、スライド7ページで、旅行業の登録を有していない者に対する対応ということで、最後に御説明いただきましたけれども、これも海外OTAについては、無登録であっても、このような対応は取られていないと理解してよろしいですか。

○観光庁北川課長補佐 さようでございます。

○鹿野委員長 それでは、もう一つ、スライドの4ページから5ページで、オンライン旅行取引の表示等に関するガイドラインというものが紹介されています。これについては、私、ネットから本文を取ってきて、ここには平成27年の6月のガイドラインとされていますが、これについても御説明いただきました。

このガイドラインは、海外OTAにも向けられていると理解しましたけれども、このガイドラインに違反する表示等があった場合には、どのような対応が取られているのでしょうか。また、併せて、それとも関連するのですが、ここのガイドラインということに限らず、無登録の海外OTA事業者が関わる消費者トラブルが発生した場合の対応はいかがでしょうか。先ほどの、越境消費者センターに紹介するということの一言に尽きているのかもしれませんけれども、行政として何らか、例えば、消費者に対する注意喚起も含めて、何らかの対応を取られているということがあったら教えてください。お願いします。

○観光庁北川課長補佐 まず、ガイドラインにつきましては、あくまで、これは法律に基づいて作成しているもの、旅行業法という法的な根拠を持ってできているものではございませんので、仮にこれに適していない表示をされていたとしても、あくまで協力依頼ベースという形になろうかと思います。

したがいまして、旅行業法に基づく何らかの対応を取るということは、現状難しいと考えております。

あと、苦情の相談でございますが、これも繰り返しなって大変申し訳ないのですけれども、基本的には、越境消費者センターを御紹介するという形にはなっておりますけれども、仮にお問い合わせを頂いた場合においては、このガイドラインを作成する際に、旅行予約サイトを御利用の際はよく御確認を、というチラシを作成しておりまして、このチラシなどを御紹介するなどして、旅行の申込みなどに当たって、注意喚起及び御案内をしているというのが現状でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

一般消費者向けの啓発チラシというものについても、一応私のほうでは確認したところですけれども、それは、あくまでも一般的に、こういうところに注意してくださいということですね。

○観光庁北川課長補佐 さようでございます。

○鹿野委員長 分かりました。

大澤委員からお手が挙がっているようですので、お願いします。

○大澤委員 大澤です。大変詳しい御説明を頂き、ありがとうございました。オンラインで失礼いたします。

今の鹿野委員長の御質問にも関わることなのですが、そういたしますと、海外OTAで、いわゆる、スライド2ページで言うところの、主たる営業所が日本国内にない場合には、旅行業法上の登録が要らないというか、登録しようがないという状況ですので、例えば、今日御説明いただいたガイドライン等があったとしても、もちろん、登録がある業者でもガイドラインですから確かにそれに違反して直ちに何かということはないというのは、そのとおりだと思うのですが、このガイドライン等があったとして、海外OTAの場合、やはりこれ自体に基づいて、例えば、このように協力をしてくださいということは言えるかもしれないですが、それ以上のことは言えないということ。

他方で、日本の国内の消費者に向けては、海外OTAの場合には、要は旅行業法が適用されないので、皆さん、何かトラブルがあったとしても、少なくとも旅行業法上の執行とかはできませんと。ですので、越境消費者センターに相談してくださいと、それぐらいしか、今のところはできないという理解でよろしいのか、これが1点目です。

○観光庁北川課長補佐 今、おっしゃっていただいたとおりでございます。

○大澤委員 分かりました。では、それを前提として2点目なのですが、すみません、私、旅行業法に全く詳しいわけではなくて、勉強させていただいたのですが、これは登録が求められるというか、登録する業者の対象というのは、このスライドの2ページを見る限りでは、結局主たる営業所の所在地というのが基本になっているのではないかと理解したのですけれども、例えば、海外の旅行業者であっても、日本支社とか、そういうのが東京都内にあるということになると、これは当然登録すると思うのですが、他方で、日本に営業所が全くないという場合で、要はオンラインだけで営業していると、例えば、本社はヨーロッパにありますというときには、登録の対象にならないということだと思うのですけれども、これは、すごく踏み込んだ話になるかもしれませんが、オンラインで営業ができるという今の状況で、やはり主たる、いわゆる物理的な営業所というのですかね、リアル店舗の所在を基準として登録をしているということの限界が出ているのかなという気もしていまして、海外OTA対策、苦情が増えているということもあるので、何らか対応をしていく必要があるのだろうと個人的には思っています。

そのときに、この主たる営業所が、日本国内にあるかどうかという基準で今やっていると思うのですが、例えば、これに加えてオンラインの場合でも、営業所はヨーロッパとかアメリカにあるのだけれども、日本の消費者に対しても広く営業活動を行っているとか、何か違った基準とかを設けて旅行業の登録制度を見直すとか、そういったことというのは、全く今後もあり得ないというか、考えられないのだろうかというのが、個人的な疑問でございます。

この点、何か指摘があるとか、登録の在り方について、今の、いわゆるリアル店舗というのか、主たる営業所を基準にするのではなくて、正にオンラインで、むしろ誰が顧客、どこの国の顧客を相手にしていることが多いかとか、そういったことで何か考えていくというのはないのでしょうかというのが、2点目の質問になります。

○鹿野委員長 御回答をお願いします。

○観光庁北川課長補佐 海外に営業所を有するOTAなどに関しましては、あくまでも旅行業に限らず、一般的に法律の適用範囲が、我が国の主権の及ぶ範囲に限られているということもありますので、なかなか実効的な手段をもって、我が国の旅行業法というものを適用することは、現時点、困難ではないかなと考えている状況ではございます。

○大澤委員 分かりました。おっしゃるとおり、非常に難しい問題だと思います。ありがとうございました。

○観光庁北川課長補佐 恐縮でございます。

○大澤委員 とんでもないです。ありがとうございます。

○鹿野委員長 今の大澤委員の御質問の続きのような格好になるのですが、よろしいでしょうか。

先ほど冒頭でもお話ししましたように、昨年12月の本会議において、金融業に関する執行等について、金融庁からお話を頂いたところです。

そこでも触れましたように、金融商品取引法については、海外に拠点を置く事業者でも、適用があるということを前提にして、いろいろな執行に関する手段が用意されていて、運用されているということも確認しました。

もう一方で、ヒアリングをここでしたわけではないのですが、電気通信事業に関しては、令和2年の電気通信事業法改正時において、従来の考え方を改めて、法改正をしたということが確認できます。国会における政府側答弁によると、近年、外国事業者の提供するサービスの影響が急激に増大して、国内利用者の利益保護が急務となっているという動向を踏まえて、外国から国内に対してサービスを提供する外国事業者への電気通信事業法の適用について、国内法の原則である属地主義の考え方に基づいて、規制対象とすることを可能としたとされております。また、具体的な法的な仕組みとして、その適用があるということを前提に、先ほどお話があった実効性という点については、外国事業者に国内代表者等の指定を義務付けることとし、これによって、業務改善命令の文書を国内代表者等に送達することで、執行は可能になると考えたのだと。それから法執行の実効性について、さらに法令等違反行為を行った者の氏名等を公表できるという制度を設けて、それによる対応を図ることにしたと説明されているようであります。

さらに、立法担当者の解説というのが、これは、情報通信政策研究というものの第5巻第1号にも掲載されておりまして、そこにおいて、同法の適用に関する考え方がより詳細に触れられているところでございます。

このように、従来は、今おっしゃったような考え方に基づく法律が多かったとは思うのですが、先ほど大澤委員もおっしゃったとおり、現在では、デジタル化が進んで、それによって国境が簡単に越えられてしまうという状況があり、その状況下において、従来の考え方でいいのかということが、問題意識としてございます。

あるいは、今、幾つか金融商品取引法とか、あるいは電気通信事業法について触れさせていただいたのですけれども、旅行業法はこういうところについて、何か事情が違うということが、もしあるとすると、教えていただければと思います。

よろしくお願いします。

○観光庁北川課長補佐 旅行業法の場合、現在の体系では、まず、第2条の定義の中では、旅行の契約、旅行業者が旅行者に代わって運送や宿泊のサービスを代理して契約を締結する行為という文言があったりいたしますので、今のような、ほかの法律は、私は具体的な内容は承知していないのですけれども、お客様との間に立って、ただ紹介するだけではなくて、契約まで行って、旅行者に対して、その契約の行為を代理するような形の業を規定しているというところがございますので、それが海外において行われているということになりますと、繰り返しになってしまいますけれども、なかなか私どもの旅行業法をそのまますぐに適用するというのは、現状では難しいのではないかと考えておるところでございます。

○鹿野委員長 分かりました。

小野委員からお手が挙がっておりますので、お願いします。

○小野委員 お尋ねします。

無登録の海外OTAについて、一般消費者からの苦情とか相談、そういったものの情報提供の仕組みのようなものが、すごく気になりまして、お尋ねします。

旅行者の苦情については、業法の第3章に定めのある日本旅行業協会と全国旅行業協会が対応して、それに加えて国民生活センターの越境消費者センターに紹介もされているという御説明がありました。

一方で、やはり課題の抽出のためにも、苦情とか、そういった情報の収集は結構重要でございますね。その検討を体系的に実施する際には、やはり全体像をつかんでいることが大変重要だと思うのです。

一方で、先ほどから、旅行業法の範囲、限界みたいなものをお聞かせいただいていますが、やはり越境消費者センターに相談者を送っていては、なかなか全体像が把握できないのではないかと、素人ながら思ったわけです。

オンライン旅行取引の表示等に関するガイドラインも第一歩だと思っていますが、やはりお集まりになって検討されたメンバーの方は、そういった限界がよく分かっておられると思うのです。ですので、そういった方々がガイドラインをつくるときに、やはり法律の限界とか、今できることみたいなことを多分検討されたと思うのです。

その辺り、今後どうしていけばいいかとか、何か具体的な御提案があったのかどうか、是非お聞かせいただければと思います。

○観光庁北川課長補佐 その当時に、今後どういった方向性を持っていくというところまでは、本日は情報を持ち合わせておりませんので具体的にはお答えすることができない状況です。申し訳ありません。

○小野委員 やはり一消費者として届けたものがどうやって活用されているか、やはりそこの本気度がないと、国民というか、消費者が、わざわざ情報を伝えようと思わなくなるわけですね。それを海外のOTAだからといって外に出していては、本質が捉えられないのではないかと思いまして、質問をさせていただいた次第ですが、事情については承知いたしました。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

原田委員が、先ほどからお手をお挙げなので、原田委員、それから、黒木委員長代理、その次に柿沼委員ということでお願いします。

原田委員、お願いします。

○原田委員 おっしゃることはよく分かるのですが、一般的にと言いますか、近時の立法実務ですと、いわゆる立法管轄権と執行管轄権を分けて考えるということが恐らく多くて、国内でしか行使できないというのは執行管轄権の問題であって、立法管轄権については、それとは別途考えるべきだというのが最近の理解で、それに基づいて、かなり多くの法律が域外適用を前提としている規定を置いてきていると認識しているのですが、海外OTAに係る問題がこれほどに表面化しているのに、旅行業法の中で域外適用の規定を置かない理由が、先ほどの御説明を伺ってもよく分かりませんでした。執行管轄権は国内にしか及ばないというのはよく分かるのですが、立法管轄権は、それとは別に考えることができるのではないかと思いますけれども、その点についていかがでしょうか。

○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。

○観光庁北川課長補佐 申し訳ありません、立法管轄権に関して、何か議論、検討したということは、私の中では記憶にない状況でありますので、具体的には、この場ではお答え致しかねるという状況でございます。

○鹿野委員長 原田委員、何かございますか。

○原田委員 過去に検討したことがあるかを伺ったのではなくて、なぜ、これまで検討しようという機運が起きなかったのかということでありまして、ほかの分野でもかなり抑制的に立法管轄権について考えてきたけれども、独占禁止法とか、金融関係もそうですけれども、少なくとも立法管轄権については、サービスを受けている人が国内にいる以上、これは行使すべきなのだという発想に基づいて、そのような規律を置いてきていると認識しております。

私の研究者としての立場としては、立法管轄権と執行管轄権については、ある程度平仄を合わせるべきだと思っているのですが、しかし、執行管轄権が行使できないから立法管轄権がおよそ行使できないというのは、恐らく標準的な理解ではないと思いますので、是非、観光庁としても、海外OTAの問題について、域外適用を考えるような制度改正をお考えいただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 今のは、御意見ということで。

それから、執行管轄権の問題については、もちろん国内の事業者と同じようには執行できない管轄権の問題があるということは承知しているつもりですが、それを前提にして、先ほど御紹介したような法律でも、それなりの執行ができるような仕組みを用意しているというところでもあるかと思っております。

それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

まず、1点目は、本年の1月26日に消費者庁にお越しいただいて、取引DPF消費者保護法について御説明いただきました。

その中で、予約サービスの提供を中心とするDPF、デジタルプラットフォームは、取引DPF消費者保護法の適用対象であるという話でした。

そうすると、まず、国内に関する、オンラインで、オンライン・トラベル・エージェントをやっているところは、旅行業法と取引DPF消費者保護法は重畳適用の関係になると考えていいのかというのが第1点目。

それから、第2点目です。今の域外適用の関係で、これは、いきなり聞いてしまっていいのかという話はあるのですけれども、法の通則に関する法律11条では、消費者契約は、そこの域内で業務が終了した場合については、その国の法律が適用されるということになっています。

そうすると、海外OTAという場合は、媒介契約が成立していると考えれば、日本法の適用が少なくても消費者契約に関してはあるわけです。そうすると、それについて、そこに関するトラブル、つまり実体法上は日本法が適用されるのに業法は、それについて関係ありませんということでいいのですかということについても、御質問したいと思っています。

以上、2点です。

○観光庁北川課長補佐 旅行業法自体が、契約に関する条文に関しましては、先ほどの資料で、非常に細かい事項で書いていた、契約に関する部分に関しましては、消費者庁と共管になっておりますので、そこの部分が適用になるかどうかということに関しましては、今後、同庁とも連絡を取ってみたいと思います。この場では、申し訳ございません、具体的に当庁から御回答することは、差し控えさせていただきたいと思います。

あと、2番目の御質問なのですけれども、少なくとも海外OTAに関しては、契約の成立の完了を海外で終了させているのではないかと思っておりますので、必ずしも日本の消費者契約に該当してくるのかどうかというところは、少し議論といいますか、考えていく余地があるのではないかとは思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

その点なのですけれども、結局、旅行代理業務というのは、そことの契約をするというところまでが代理業務であって、旅行業務であって、実際の役務の提供をするのは、確かに外国かもしれませんけれども、そこで合意させるというところが、要するに、例えば、あるOTAは、別に自分が全部の世界中の旅行のツアーの企画を持っているのではなくて、そことの契約を媒介して成立させるというところで、彼らの役務は終了していて、それに基づくサービスの提供として、外国に行ってホテルに泊まるということになるのではないかと考えていまして、そうすると、国内でそこの代理業をやっているなり何なりというところに関しては、そこで終わっているのではないかということで、法の適用に関する通則法11条が関係しているのではないかという意味での質問なのですけれども。

○観光庁北川課長補佐 消費者契約法の通則に該当してくるという。

○黒木委員長代理 はい、法の適用に関する通則法の11条は、消費者契約に関して適用除外を認めているので、その関係で、実体法上は、消費者契約は国内法が担っているのに、そこに関する、今度はそういう消費者を守るべき業法のほうが、全部域外ですということになるというのは、いささか実体法と業法との間にかなりの齟齬があるのではないのですかという趣旨の質問です。

○観光庁北川課長補佐 そこの点に関しましても、今すぐにはお答えできる答えを持ち合わせておりませんので、申し訳ございませんが、回答を控えさせていただきたいと思います。

○黒木委員長代理 分かりました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 それでは、柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 何点か質問と、あとはコメントもさせていただきたいと思います。

まず、1点目なのですけれども、2つの協会がございますが、JATAとANTAですけれども、そちらでは会員である旅行会社だけではなく、海外OTAなどについての相談も受けていると思うのですね。海外OTAに関する相談結果については精査されたりはしていないのかということ、まず、それが1点ございます。

それから、2つ目なのですけれども、国民生活センターの越境消費者センターですけれども、ここは全ての国を網羅した相談窓口とはなっていないと思うのですね。その辺りについて、観光庁さんのほうで、何かアドバイスなりをされたりということはないのかというところも、少しお伺いしたいと思います。

それから、消費者なのですが、海外OTAのテレビコマーシャルなども最近多くなっていて、消費者は旅行業の適用のある旅行会社なのか、海外OTAなのか、場貸しサイトなのか、メタサーチなのか、多分分からないと思うのです。

それで、旅行会社の規定は、どこの旅行会社もそれほど違わないのではないかという認識があって、例えば、旅行の解約について、何日前に申出をすれば、どこも同じだろうというような認識があると思います。それがトラブルになっていると思います。

実際にキャンセルなどについて問い合わせをしようとしても、日本語の理解不足なオペレーターが出てきて、意思疎通ができないという問題も消費生活センターなどにも寄せられているところでございます。

コロナも落ち着いてきて、海外旅行に行かれる消費者も多いと思うのですが、誰しもトラブルに遭うために旅行に行くわけではなく、安心・安全な旅をしたいという気持ちがあると思いますので、その辺りについて、実際にこれだけ問題になっているということに対し、観光庁さんのほうで、海外OTAの規制についても検討はされたことはないのか、ガイドラインだけではなく、何か規制、法的な規制についても検討される余地はないのかというところについて、お伺いしたいと思います。

以上、3点です。

○観光庁北川課長補佐 まず、1点目の部分でございますが、御指摘のとおり、旅行業協会にも海外OTAの問い合わせが入っているのは聞いてはおります。

ただ、一方で、御説明を差し上げましたとおり、旅行業法上は、そういった契約の内容などの資料の提出等を登録された旅行業者に限っているということもありますので、現状、旅行業協会においても、先ほど御紹介をいたしましたチラシであるとか、ガイドライン等の説明を行った上で、具体的な内容等はお伺いしても、旅行業法に基づく旅行業者ではないので、法に基づくアドバイス等ができないということもありますので、やはり越境消費者センターを御紹介しているという状況でございます。

2点目の越境消費者センター様との関係で申しますと、昨年の9月に、国民生活センター様のほうから同種の啓発事業を実施されると伺いまして、その中で、啓発の資料の作成について御協力をいたしまして、海外OTAの部類であるとか、旅行業法が適用のない部分であるとか、こういったガイドラインの部分などを、情報提供を申し上げて啓発事業に対しては連携をさせていただいているという状況でございます。

あと、海外OTAに対する検討状況でございますけれども、現時点、この場で、こういったことを検討しているということを具体的に申し上げられるような状況下には、今はないという状況でございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 中田委員、そして、星野委員ということでお願いします。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

これだけ海外OTAが、巧みな価格優位性を訴求、主にネット上だと思いますが、それをされていることが背景にあり、かつ、日本の消費者の方々がより海外に旅行されるという状況で、今、北川様の御説明では、消費者の注意喚起をしていくということが、今できることだというお話を伺ったのですが、そうなると、観光庁としては、被害者が増えていくことを許容するしかないとお考えなのかなとも、私個人的には取れたのですが、本当に注意喚起だけで、この被害が減っていくとお考えでいらっしゃるのかという点。

あとは、これは、多分、日本国内だけの問題ではなくて、各国それぞれ海外OTAの問題があると思うのですけれども、各国の対策事例等の研究等はされていらっしゃいますでしょうか。

以上です。

○鹿野委員長 コメントと御質問もありましたので、質問部分について、お願いします。

○観光庁北川課長補佐 海外OTAに対する観光庁の現状につきましては、大変恐縮ですけれども、先ほどから申し上げているのが状況でございます。

また、海外OTAに対する研究というものは、特に現在は、何か実施している、この場で何か御説明できるような資料と申しますか、材料は特に持ち合わせてはいないという状況です。

○鹿野委員長 それは、いろいろなトラブルについての情報収集も今はされていないということですか。

○観光庁北川課長補佐 そうですね、それを行政として何かしているということはないということです。

○鹿野委員長 星野委員、お願いします。

○星野委員 2点ございます。ありがとうございます。

コメントと質問を併せてというか、先ほど小野委員がおっしゃった、結局どれぐらいトラブルがあるかという問題を、まず把握されていないのかということが、非常に驚きまして、これは、是非把握していただきたいというのがコメントであるとともに、現状、訪日外国人のトラブルみたいなものは、例えば、どのようにお考えになっているのか。具体的に、例えば、日本語がしゃべれるわけではないので、越境消費者センターに紹介するということも多分ないのですね。消費者保護ではなくて、消費者保護は大事ですけれども、観光業の育成とか、訪日外国人がもっと増えていただくみたいな施策ということにおいても、かなり訪日外国人に対しての保護みたいなことも大事だと思うのですけれども、そういったことに関する情報を集められたりとかしておられるでしょうか、そして、具体的に対策を取られておりますでしょうかというのが、まず、コメントと質問的な感じで1点です。これは海外でも同じようなことがあると思うのですけれども。

もう一点、これはコメントになってしまいますけれども、国交省のサイトで各国の旅行業法関連、法制度を比較するみたいな文章を見ておりまして、やはり日本の旅行業法というのは、かなり規制が強いのではないかと。昔の集団旅行みたいなことを想定したような時代の過剰な名残があって、例えば、日本ですと、旅行業に関する資格として取扱管理者ですとか、ああいったものが必要だとかということになっておりますけれども、海外はほとんどないということですね。かえって、日本の旅行業法が過剰であるがために、これを、例えば海外OTA等に規制を広げようと思っても、当然そちらのほうは、海外でそのような規制自体がそもそも存在しないので、例えば、これを無理やり適用しようとすると、様々な外交上の問題にもなるということがあるので、何なら現状の、昔のような制約的なというか、過剰な規制をおやめになって、軽くなられて、外国政府からも過剰な規制と言われないような旅行業法というものに変えていただくというのも手なのではないかと。

実際、結局、ほぼOTAに取られてしまっていますので、現状のシェアもかなり取られてしまっていると思うので、そのような観点で考えますと、今の規制というものに意味があるのかということがございますので、かえって軽い規制にすることで、他国と合わせて、同様の規制を海外OTAにも適用することは可能になるのではないかと思って申し上げました。

○鹿野委員長 1つ御質問がありましたので、それについて御回答をお願いします。

○観光庁北川課長補佐 訪日外国人旅行者への対応なのですけれども、基本的に日本の旅行業者がインバウンドの業務に関わっている場合に関しましては、その旅行業者において、外国人旅行者に対する苦情の解決というものを図っているかと思いますが、外国の旅行会社が直接日本の運送や宿泊のサービスと直接契約されている場合には、基本的には、少なくとも私ども観光庁の観光産業課においては、特に何か具体的な対応を取っているというわけではありません。

○星野委員 関連して、では、具体的に入管データがございますので、そこの中でどれだけの割合がそういったものかということは把握はされているのでしょうか。つまり、国内の業者が仲介するのに何か手配するみたいなことで来られている方と、そうではない方の人数の比だとか、あとは、海外で日本に旅行した際にトラブルがあったとかということに関しても、情報把握だとかというのも、観光庁としては結構大事だと思うのですけれども、そのような情報把握はされていますでしょうか。

○観光庁北川課長補佐 統計としては取っていないと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかに御質問等、今村委員、お願いします。

○今村委員 今村です。

私は、このことは本当に詳しくないので、教えてほしいのですけれども、今、旅行業協会が日本のOTAと全国と2つあるというのは、なぜ2つあるのかという、この2つの違いは何かということと、海外OTAの方に、日本の旅行業協会ですか、それに入ってもらって、そこでの規制を受けるということは可能性として考えられないのでしょうかということを教えていただきたいのですけれども。

○観光庁北川課長補佐 申し訳ありません、1個目のほうは、日本の会社と海外OTAが2つあると。

○今村委員 日本旅行業協会と全国旅行業協会と2つ、旅行業協会があるのはなぜかという、この2つの違いは何か。

○観光庁北川課長補佐 これは、もともと冒頭申し上げました旅行業法自体が、一般旅行業と国内旅行業という形に分かれていた時期がございまして、その歴史的な背景がありまして、どちらかというと、海外旅行を主に取り扱う旅行会社さんが今は日本旅行業協会の構成員になられている、国内旅行を中心にお取り扱いになっている事業者が全国旅行業協会に加入されていらっしゃるというのが状況でございます。

2つ目の御質問の部分なのですけれども、基本的には旅行業協会には旅行業者であるとして登録をした者が会員として入るという定款になっておりますので、海外OTAなどは入会するということは、現状は難しいという状況です。

○鹿野委員長 今村委員、どうぞ。

○今村委員 多分そうなのではないかと思うのですけれども、旅行業法を変えて海外OTAに規制をかけるよりは、定款を変えてもらって、自由規制のほうに協力してもらうほうが、ずっとハードルが低いように思うのですけれども、そういう可能性というのは、観光庁から働きかけるというのは、可能性としてあり得るのでしょうか。

○観光庁北川課長補佐 業界の生業になる形でございますので、この場では具体的にお答えすることは難しいかと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

時間も大分経過しましたが、よろしいでしょうか。

本日は、御説明及び質問に対する御対応等、ありがとうございました。

ここで、今までの議論について簡単にまとめさせていただきたいと思います。

まず、本日の御説明により、海外OTAについては、旅行業法の規制が及ばないという扱いであることを確認させていただきました。

もっとも、消費者被害の防止に資する対応としては、オンライン旅行取引の表示等に関するガイドラインの作成等が行われているということであり、観光庁としても何もしていないというわけではないということも確認できました。

しかし、先ほどの、例えば大澤委員や中田委員、その他、何人もの委員が指摘されたところですが、このようなソフトな手法での対応には限界があるということも伺えたところでございます。

我が国の消費者、旅行者としての消費者との関係で消費者トラブルが近年増加傾向にあるということを踏まえれば、より効果的な取組について検討されるべきではないかと考えます。

その検討に当たってですが、これも先ほど確認したところによると、基本的な情報が把握できていないということでございましたので、検討に当たっては、まず、海外OTAとの契約内容やトラブルの実態について、十分な情報収集とその分析を行うことが必要であると思われます。

また、その際には、苦情等について、越境消費者センターを紹介しているということでもございましたし、越境消費者センターなど、有用な情報を有している関係機関との連携によって、それを進めていただきたいと思います。

それから、2番目に旅行業法の域外適用についてです。これについても、本日、原田委員、黒木委員長代理、柿沼委員、中田委員を始め、多くの委員からの御発言がありました。

新たな対策の一環として、一つは海外OTAにも法制度的な対応をすることが考えられるのではないかということでございます。

原田委員からは、立法管轄権と執行管轄権は違うという整理がなされていることについての御指摘もあったところでございます。

そういうことで、法令の域外適用ということが、一つ重要な検討課題となると思います。

この点、これも先ほども申しましたように、デジタル化に伴い、海外拠点の事業者との越境取引が盛んになっていること、そして、それをめぐってトラブルが急増しているという現状を踏まえると、域外適用を含め、消費者保護の視点に基づく対応を前向きに検討するべきではないかと思われます。

その際、先ほど私からも言及させていただいたように、ほかの法令で、例えば電気通信事業法など、域外適用を肯定している法令の規定や、その解釈、運用が参考になるのではないかと思います。先ほどから、それは執行が難しいから適用が外されているという御説明があったのですが、その執行が、国内事業者と全く100パーセント同じようになるかどうかということはともかくとして、一定の実効性のある執行が可能なような仕組みについても、ほかの法令で工夫されているようですから、そのようなものも含めて、御検討いただく必要があるのではないかと思いました。

その上で、その仕組みと実際にそれを使ってどのような運用を図っていくかというところが問題となるところでございますが、これも冒頭にも申し上げましたように、金融庁ヒアリングからも、実際に海外拠点の事業者に対して、法の執行をしているという例がありますので、そこにおける工夫等を参考にされたいと思います。

その一つの大切なところは、海外の規制当局との連携・協力ということでございました。そのようなところも参考にして、今後、是非御検討いただきたいと思います。

当委員会としましては、本日、委員から出た意見も踏まえ、次期消費者基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について検討し、取りまとめを行っていきたいと思います。

観光庁におかれましては、このような状況の中で、大変お忙しいところだったと思いますけれども、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところ、お集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)