第422回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2024年1月26日(金)14:00~16:32

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、中田委員、星野委員
    (テレビ会議)柿沼委員、原田委員、山本委員
  • 【説明者】
    消費者庁取引対策課 落合取引デジタルプラットフォーム消費者保護室長
    経済産業省商務情報政策局 仙田デジタル取引環境整備室長
    ひかり総合法律事務所パートナー弁護士 板倉氏
    龍谷大学法学部 中田教授
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(取引デジタルプラットフォーム)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、こんにちは。本日は、お忙しいところ、お集まりいただきまして、誠にありがとうございます。ただいまから、第422回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、中田委員、星野委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。

柿沼委員、原田委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。

大澤委員は、本日、所用のため、御欠席です。

なお、山本委員は、所用のため、15時45分ぐらいに退室されると伺っております。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(取引デジタルプラットフォーム)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、取引デジタルプラットフォームについて御議論いただきます。

デジタル化の進展により、インターネットを通じて商品等を購入する、いわゆるネットショッピングが気軽に行えるようになったことで、私たちの生活の利便性は、格段に向上しているところでございます。

しかしながら、プラットフォームを介した取引におけるトラブル等も増加してまいりました。そこで、当委員会は、平成30年から31年にかけて、オンラインプラットフォームにおける取引の在り方に関する専門調査会を設置しまして、有識者に御議論いただき、その報告書を踏まえて、平成31年4月に、「プラットフォームが介在する取引の在り方に関する提言」を、消費者委員会として発出し、プラットフォーム事業者が担うべき役割等について、消費者保護の観点から幅広く指摘を行いました。

その後の立法により、現状、我が国においては、プラットフォーム上の取引に関する消費者保護の観点からの法律としては、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が制定されております。

また、プラットフォームにおける取引の透明性、公正性の向上を図る等の観点では、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」がございます。この法律は、プラットフォーム事業者と出店者等の事業者との関係、つまり、いわゆるBtoBの関係を主に規律するものではありますが、プラットフォームが関わる取引における消費者の利益について議論する際に、参考となる部分があると考えられます。

そこで、本日は、これらの法律の現状や運用、また、先の提言で指摘した内容などを踏まえまして、デジタルプラットフォームを利用して行われる取引における消費者の利益の観点からの意見交換を行いたいと考えております。

本日は、関係省庁として、消費者庁取引対策課取引デジタルプラットフォーム消費者保護室の落合室長、そして、経済産業省商務情報政策局デジタル取引環境整備室の仙田室長にお越しいただいております。

また、有識者としまして、ひかり総合法律事務所パートナー弁護士の板倉様、龍谷大学法学部教授の中田様にお越しいただいています。

皆様、会議室での御出席であります。お忙しいところ、誠にありがとうございます。

本日の進め方ですが、最初に、「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」について、消費者庁から御説明いただき、次に、「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」について、経済産業省から御説明いただきます。その上で、有識者である板倉様、中田様から順に御報告いただきます。その後、全体としての質疑応答を15時55分ぐらいまで行う予定でおります。

それでは、早速ですが、最初に、消費者庁の落合室長、よろしくお願いします。

○消費者庁落合室長 消費者庁でございます。鹿野委員長、それから、黒木委員長代理を始めとする委員の皆様、先生方、それから、板倉先生は、実は私どもの官民協議会でお世話になっております。それから、中田先生には、平成31年の報告書を取りまとめてくださったと伺っており、こういう機会を頂き、感謝申し上げます。

それでは、中身に入らせていただきます。資料の2ページをお願いいたします。

今日は、先ほど鹿野委員長からお話を頂きましたが、取引デジタルプラットフォームということで、このプラットフォームという言葉自体が非常に多義的で、これは、実は板倉先生が書かれている御論考、実は鹿野先生との共著の教科書の中でも解説されておりまして、情報流通とか取引の基盤ということで、多義的な言葉だと思います。

その中で、上のところですが、通信販売取引は、特定商取引法に基づき規律されてきたところでございます。

そういった中で、先ほど鹿野委員長からもお話がありましたけれども、そういう危害のある製品が流通したとか、消費者被害が発生したこともあり、令和3年に通信販売取引の適正化を確保するという観点から、取引デジタルプラットフォームの協力を得るという目的で、右側の「取引デジタルプラットフォームを利用する消費者の利益の保護に関する法律」が制定されております。令和3年に成立した上で、令和4年の5月から施行されています。

そして、同時期に、上の特定商取引法も改正されておりまして、この改正は令和4年の6月に施行されておりますけれども、それによって通信販売取引に関して、特定申込みという形で最終確認画面の表示が強化されている、そこに虚偽の記載とか、あと記載すべき事項を記載していないというのがあると、非常に重い罰則がかかります。特商法は従前、訪問販売のリフォームの勧誘などで、うそを言うということがあれば、罰則が懲役3年以下という形だったのですけれども、それと同等のものが措置されています。

さらに、消費者の立場から大事なこととして特定申込みについては取消権が措置されており、そういった意味で、全体として通信販売取引の適正化を図っていくということです。

あと、今日は、後ほど御説明があろうかと思うのですが、左側の「特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律」、これはBtoBを規律するもので、こういった全体の構造が相まって、取引環境の適正化が図られると考えております。

さらに、特定商取引法の後ろには消費者契約法、それから民法もありますし、あと競争法も関わってくると思いますが、そういった全体の視点が大事なのだろうと思っております。

では、具体の中身として、3ページをお願いいたします。

3ページの上のところの法律の目的というのは、冒頭に申し上げたとおりです。大事なのは通信販売取引の適正化及び紛争解決の促進に関し、取引DPF提供者の協力を確保すると、この法律では、取引デジタルプラットフォーム、特にオンラインモールなどの運営者のことを、取引DPF提供者と言っております。今日使うのは、そういう意味であります。

それから、法の内容としては、後ほど個別に申し上げますけれども、取引DPF提供者の努力義務、それから消費者庁の要請、あと、これも大事なのですが、販売業者等に係る情報の開示請求権、それから、官民協議会を通じたモニタリングを通じて、努力義務実施を促すということ。あと、申出制度がございます。

4ページをお願いいたします。

少しテクニカルですが、一応、先ほど冒頭申し上げた、通信販売取引が行われるものということで、この法律自体は、特定デジタルプラットフォーム取引透明化法のデジタルプラットフォーム、これは、いわゆるデジタルプラットフォームの性質や特性と言われるようなオンライン性、両面市場、それからネットワーク効果を書いていますが、そのうち大事なのは1号と2号です。

要は、1号は通信販売取引、オンラインモールといったものが当たる。2号のところは、オークションとかで通販が行われるものというのを対象にしているということでございます。

5ページをお願いします。

まず、取引DPF提供者の協力を確保するという観点で、努力義務という形で、左側に3つ定めております。

一つは、消費者が販売業者と円滑に連絡することができるようにするための措置を講じるよう、取引DPF提供者は努めなければならない。

それから、消費者から苦情の申出を受けた場合の販売条件等の表示の適正を確保するための措置、これは何かクレームとかがあったら、ちゃんと対応するということです。

もう一つは、これが大事なのですが、販売業者の特定に資する情報の提供を求める措置ということで、取引DPF上に出品する販売業者のアカウントを登録するときとかに、しっかりと販売業者の情報を取って管理をするということを努力義務として求めている。

そして、これら3つを行った上で右側でございます。努力義務として開示をする、これが大事です。しかも開示は分かりやすく、かつ閲覧できやすくする。

これらの取組によって、努力義務を行っている取引DPF提供者が、おのずと選ばれていく、逆にそうではない人は、淘汰されていくというのが、この法律の発想であります。

さらに、具体的に6ページをお願いいたします。

これは、指針という形で内閣総理大臣の告示ですけれども、具体的な個別の取組の例を書いております。これは、後ほど御説明いたしますが、それぞれのものに関して基本的な取組、あと、望ましい取組ということで、ベストプラクティスを関係者がシェアしてやっていく、それが大事であります。

7ページをお願いします。

この法律は、冒頭申し上げましたが、令和4年5月から施行されておりますので、実は令和4年度の状況というのは、昨年6月の官民協議会で整理しております。令和5年度の取組状況を、今、把握しておりますので、そういう意味では、来年度の官民協議会で御報告をさせていただきたいということで、少し前の時点のものであります。

一応、この法律の取引DPF提供者というのは、事業者に区分を設けていないと。もともと念頭に置かれていたのは、オンラインモールですが、実は、いろいろなものが当たってくるということで、7ページの2つ目のマルを御覧くださいますと、物販系、それからオークション・フリマ、予約サービス、クラウドファンディング、役務提供系と便宜的に分けております。

これは、実は後ほど御説明しますけれども、もともとは物品を念頭に法律をつくったところがあるのですけれども、いろいろなものがあって、ビジネスモデルとかをよく見て、それに対応していく必要があるだろうという発想であります。

8ページをお願いいたします。

今の説明を前提に、法律3条1項1号の消費者が販売業者等と円滑に連絡することができるための措置という努力義務であります。

ポイントとしては、やはり物販系とか予約サービスのところは、比較的取組がなされているのですが、一番下のところです。「役務提供系」と書いています。これは、スキルシェアとか、そういうものを行っている方で、これ自体は非常に便利ですし、今まで届かなかったサービスが安い値段で手に入る。あと、ほかにも副業的な活動に資するという意味では、社会的にも意義があるものなのですが、他方で、やはりシステムが少し違う、特に消費者がそういう役務を提供しているような業者と直接やり取りすること自体を禁じている。これは、メッセージを行うことによって課金される、そういうビジネスモデルもあり、今、申し上げた物販系や予約サービスと違うかというところがございます。

9ページをお願いいたします。

これは、今の努力義務に関して、望ましい取組の例、特に指針に沿ったものを書いております。

特にロとか、物販系のところですが、要するにワンクリックするだけで、販売業者にメッセージが送れる、こういった取組が大事だろうと思います。

ニのところは、これは、クラウドファンディングの方ですが、しっかり内容証明郵便とかを送り、運営者自体が管理をする。あと、標準的な苦情処理期間を定めているということであります。

10ページをお願いいたします。

10ページは、取引DPF提供者が消費者から苦情の申出を受けた場合の販売業者の販売条件等の表示の適正を確保するための措置でございます。

これは、さすがにという言い方が適切かどうかはありますが、全ての取引DPF提供者が行っています。

ただ、2つ目の矢印にありますとおり、やはり業種業態、それからビジネスモデル、あと事業者の規模によって少し差はあるということです。

具体的には、11ページであります。

イ、ロ、ハ、ニで挙げておりますけれども、特に重要だと思われるのは、ニのところです。ニの3行目でありますけれども、機械学習とか、最先端のツールを使う、365日継続的にモニタリングをする。それから、行政機関のリコール情報などをシェアするという形で、これは、システム的に対応されている例ですけれども、こういった取組は、やはり大事だろう。ウェブ上のシステムのものなので、やはりそういうシステムをうまく活用することが大事だろう。あと、AIの適切な活用も望ましいということだと思います。

12ページをお願いいたします。

これは、先ほど重要と申し上げた、販売業者等の特定に資する情報提供を求める措置で、特に囲みのところでありますけれども、アカウント登録時に販売業者等の特定に資する情報の提供を求める。

それから、疑わしい事例に接した場合には、速やかに裏付ける資料を求め、適切に対応することということです。

これは、物販系とか、あと、このページの一番下でございますが、予約サービスのところというのは、非常に熱心にされていますが、次の13ページです。これは、少しビジネスモデルの違いも影響していると思いますが、役務提供系のスキルシェアのところ、これは、実はアカウント登録時に特定する情報提供を求めているという回答もあるのですが、そういう回答がないところもあり、そこは今後、改善していくことが期待されるということです。

望ましい取組の例としては、14ページをお願いいたします。

これもあるオークションサイトの例ですけれども、ストアアカウントを開設する際は、販売業者等の特定に資する情報とか、公的書類の提出を必須として求めている。

例えば、法人の場合は登記事項証明書とか、個人の場合は写真付きの身分証明書、住民票、事業証明書を求めている。

それから、特に大事なのは、3段落目ですけれども、取扱予定商材の種類に応じて、必要な営業許可、それから資格等、特に大事なのは、古物の取扱いとか、そういうものも確認をしている。

そして、問題があった場合は、内容証明郵便を送って、疎通確認を行っているということです。こういった取組も重要になってくるということです。

15ページをお願いします。

これは、今まで申し上げた取組の状況について、開示をするというところです。開示も、やはり業種業態で少し差があり、特に物販系のところ、それからオークション、フリマのところは、事業者団体、オンラインマーケットプレイス協議会といいますが、そこのウェブサイトで公表している。これは、分かりやすく公表されています。

あと、3つ目の矢印のクラウドファンディングも個社で開示をやっておられるところがあります。ところが、役務提供系とか、そうではないところで、まだまだ開示がないところもあるので、そこは今後、取組を強化していきたいところです。

16ページをお願いいたします。

これを報告させていただいた今年度、暦年では昨年6月になりますけれども、官民協議会で、依田議長から最後に御発言を頂いております。

ポイントは、線を引かせていただきましたけれども、自主的な取組の充実強化を図っていくとともに、状況を継続的に把握していく必要がある。

それで、直ちにこの運用状況の報告のみで結論を出すのは時期尚早ですが、今後の事業者の取組状況も踏まえて、今後どうするか方向性を議論していくべきだろうという認識でおります。

そういう意味では、今、2回目の調査を行っていますので、そういったものを踏まえて、より、どういう取組が適切か考えていきたいところでございます。

続きまして、17ページは、法律に基づく要請ということです。要件はこの囲みを御覧いただければと思います。重要事項、これは商品の安全性の判断に資する事項等、商品の性能関係ですが、それに著しく事実に相違する表示がある、かつ、販売業者による表示の是正が期待できない場合において、取引DPF提供者に対して、当該取引DPF上の販売業者による当該取引DPFの利用の停止を要請することが可能ということでございます。

下に少しイメージを入れています。基本的には、まずは、個別法を執行する、特に特商法を執行するのですが、そういった個別法の執行が困難なときについては、取引DPF提供者、場の提供者に対して要請するという仕組みになっています。

具体的には、18ページであります。

これは、PSEマークという形で、電気用品安全法に基づき、対象商品は、これを適切に貼付した上で売らなければならないという趣旨のマークですが、電気用品安全法の要件を満たしていないにもかかわらず、単にPSとかPSEとマークを広告に書いて売っていた事案がある。

これは、そういったオンラインモールを運営する取引DPF提供者に対して要請をし、結果的に速やかに削除していただいているというものであります。

19ページは、消費者が、何ができるかという観点です。

最終的には、消費者は、19ページの図にありますとおり、販売業者に対して通信販売に係る金銭債権を前提に、損害賠償請求をする、さらに、契約の解除を主張する、それから取消しを主張するという形で、契約の効果を巻き戻すわけですけれども、そういう際に、相手方の販売業者が分からない場合については、この法律に基づき、その情報を保有している取引DPF提供者に対して開示請求ができるということです。

これは、従前、弁護士会照会などもなされたものですが、弁護士会照会と違って、個人の消費者が自分でもできるというものであります。

実際、令和4年度の実例として、令和5年2月ぐらいに行った調査の時点では、9件になっています。次の20ページです。

ですが、やはりもっとこの制度は活用される必要があるだろう。しかも、この制度自体が、内閣府令等で金額とかが決まっているので、その適正性を見るには、もう少し事例がないと判断できないということで、21ページをお願いします。

これは、開示請求を活用してくださいというリーフレットで、今、手元にございます。こういう小さなリーフレットなのですが、21ページは表紙、22ページをお願いします。中身であります。

これも、今、申し上げていることを書いておりますけれども、特に22ページの右下であります。販売業者等の情報が分かれば、損害回復の可能性が高まる。

これは、実は全国の消費生活センター、それから相談窓口にも配布しておりますし、あと、様々な場所で御紹介しております。

大事なのは、こういった制度を使って、特に通信販売に係る相談について、従前は広告のみの規制だったので対応が難しかったところもあると思うのですが、先ほど冒頭申し上げた取消権なども含めて、できるだけ損害回復を図っていく、それが大事だろうということです。早速、相談概要を拝見していましたら、その開示請求をしてみたとか、あと相談員の方が開示請求のサポートしてくださった事案などもあり、こういった制度の活用は重要だろうと理解しております。

23ページをお願いします。

これは、少し要素が異なります。この法律は、基本的には特定商取引を前提にしており、消費者法制全般としてそうだと思うのですが、BtoCということになっています。

ところが、フリーマーケットのサイト上では、一見すると売主が消費者か事業者か分からない。これは、販売業者かどうかを判断する基準が必要、「はじめに」のところ、「隠れB」という言葉を使っていますが、本来は、事業者であるにもかかわらず、消費者の外観を呈しているけれども、実際はBであるという者です。

基本的な考え方としては、(2)の上の黒ポツの3行目、①、②で書いていますけれども、営利の意思を持って、反復継続して取引を行っていれば、これは販売業者であります。

ただ、なかなか実際、基準を示すのは難しいところがあるのですが、かつ、私などが実際に見ていましても、やはり個別具体的に見る必要があると思いますが、考慮要素と具体例ということで、次の24ページをお願いします。

なかなか一概に決め付けるも困難なのですが、例えば、情報商材を売っているとか、あと、新品、新古品を相当売っている、これは販売業者該当性を推認させ得る事情になり得ると思います。

それに対して、他方で、御自身が使った不用品とか、一時的に大量に受け付けた場合は、そうではない方向に働く可能性があります。ただ、いずれにしろ、個別具体の事情を見て、他の取引状況を見て判断していく必要があるということで、販売業者該当性というのは、ある程度運用できるところなので、ここは、しっかりと取っていく必要があるだろうと認識しております。

25ページであります。

法律に基づく申出制度ということで、消費者庁のウェブサイト、あと、紙でも可能ですけれども、受付を行っております。

この申出は、実は私も毎日拝見しておりまして、今年度、令和5年4月1日から12月31日までで集計してみたら261件あります。ですので、大体一月当たり30件ぐらい、若干時期によって差はあるのですが、大体一月で30件ぐらいとなります。

先ほどの分類も踏まえて、物販系の方、それから役務提供系という形でやっていますけれども、実はそれ以外に④、いわゆる取引デジタルプラットフォーム上で行われていない取引に関する申出が多い。

これはどういうものか御紹介しますと、やはり一番多いのは、一つは、オンラインゲームに関わるもの、どういうものかというと、オンラインゲームで課金をしたのだけれども買ってみた武器の効果がない、これは役務のサービスでお怒りを拝察します。大体夜中の2時とかに申出があって、確かに御本人の思いと反するところはあるのだろうと思います。

それから、もう一つ多いのがセキュリティソフト。セキュリティソフトは自動更新が入っているケースがあり、そこでの契約内容の御理解が必ずしも一致していないケースがあるのかもしれません。

もう一つは携帯電話の購入でして、これも近時、ネットでするのが主流になりつつある。それは、すなわち店舗でなくて、ネットのほうが、手数料が安いのでということでされるようですが、実はそれもうまくいかないというのがあります。

それから、偽サイトというのも書いています。偽サイトというのは、ある会社のギフトカードを買わされたという事案があり、そういった事案については、もちろん私どもとしましても、①、②を必要に応じて追跡調査しているのですが、④でも、そういったものについては、御本人に電話して警告をさせていただいているという事案もあります。

①、②を例として、26ページをお願いします。

物販系のものとして、やはり商品が届いたのだけれども破損した。あと、発火して被害が生じた。3つ目としては、物が届かなかった。これは、一つは、今、配送の需要が非常に厳しいので、もともと想定したものが届かなかったというケースもあろうかと思います。

下の段の役務提供系のところは、食品の配達で、もう少し、近場の配送員が見つからないという事案です。それから、2つ目などが今、申し上げたスキルシェアなどでお願いしたところ、全く内容と違って連絡が取れなくなってしまった、こういったものであります。こういったものが主なものとして挙げられます。

27ページを御覧ください。

これは、PIO-NETであります。PIO-NETは、2022年5月、この法律の施行に併せて、プラットフォーマーという区分を入れていただいています。これは、外部事業者区分で入っているのですが、これを見ていただいたら、数字の傾向は、まだ、増減が必ずしも全体の相談件数とも一致しておらず、明確には言い切れないです。

28ページを御覧ください。

これもPIO-NETにおける傾向ですが、あまり申出と変わらない。私などが興味深いと思ったのが、28ページの役務のところです。

これは、公務員試験の対策サポートということで、どういう事案か少し申し上げますと、公務員試験は予備校があり、その予備校の講師が、こういうスキルシェアサイトで指導をされる。その先生は、口コミにおいては非常に立派な方で、いろいろなコースを指導してくれる。ただ、よく指導してもらいましたとあるのですが、やはりお金が返ってこないとか、十分なサービスを受けられていないというのもあるので、そこはなかなか従前のイメージしたものと違うのですが、これも射程に入ってくるということだと思います。

29ページをお願いいたします。

この法律は、正にこういった形で法律上の規制の枠組み、それから、指針等を踏まえた事業者の努力義務に基づく取組、そういったものを含めて、取組の状況を官民で協力して進めていくという観点から、国の行政機関のみならず、事業者団体、それから消費者団体、それから学識経験者として、ここにいらっしゃる日弁連を代表する板倉先生も入ってくださっていますが、そういった形で議論をして進めているということです。議長は依田先生ということであります。

最後に一言申し上げますと、ハードな法律の取組に加えて、消費者庁は、昨年の秋から製品安全誓約という形でソフトな取組も行っております。

これは、取引DPF提供者を中心とするオンラインモールの運営者に対して、特に製品安全の問題があれば、当該製品の削除をお願いするということです。これ自体は、法律の枠組みではなくソフトなものでありますが、ハードとソフトを両方でやっていくというのが重要であり、そういった取組、それから冒頭申し上げた様々な法制に基づく取組を含めて、重畳的に適正化を図っていき、消費者利益の保護に努めていきたいと考えている次第であります。

長くなりましたけれども、以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、経済産業省の仙田室長、よろしくお願いします。

○経済産業省仙田室長 ありがとうございます。経済産業省デジタル取引環境整備室長の仙田と申します。

本日は、消費者委員会の先生方に御説明する機会を頂き、誠にありがとうございます。

まず、1ページ目を御覧ください。

デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律、「透明化法」と略させていただきますが、これはプラットフォーム提供者とプラットフォームを利用する事業者との取引を対象に、当該取引の透明性や公正性の向上を図るものでございます。

プラットフォームを利用する事業者は、例えば、オンラインモールで言えば、出品者や出店者、アプリストアで言えば、アプリを開発してアプリストアに掲載する事業者、いわゆるディベロッパー、デジタル広告で言えば、広告を出稿する広告主、広告枠を提供する媒体主を指します。資料では、「利用事業者」と略させていただいております。

このように透明化法は、事業者間取引、いわゆるBtoBの取引を取り扱うものでございます。

したがって、事業者と消費者の間の取引、いわゆるBtoCの取引を対象とした法律ではございませんが、冒頭、鹿野委員長からも御紹介いただいたとおり、BtoCについての議論に当たりまして、BtoBの法律がどういったものであるかということが参考になる部分があると伺っておりまして、こうした観点から御説明させていただくものでございます。

今、申し上げたことを条文に即して御説明いたします。

透明化法の目的規定として、第1条を掲載しております。太字下線の箇所にありますとおり、商品等提供利用者の利益の保護を図るものでございます。この「商品等提供利用者」といいますのは、先ほど申し上げたプラットフォームを利用する事業者が該当いたします。

また、透明化法の基本理念として、第3条を掲載しております。こちらも太字下線のとおり、プラットフォーム提供者と商品等提供利用者との間の取引関係を取り扱う、つまりBtoBの取引を取り扱うことが規定されております。

続けて、青枠の2つ目の黒丸でございますが、透明化法は、独禁法を補完するものでございます。透明化法の制定の背景として、独占的・寡占的なプラットフォーム提供者が、利用事業者にとって不利益な取引条件を一方的に設定する、他方で、利用事業者としては、当該プラットフォームが大規模であるため、これを使わざるを得ないといった取引実態がございました。透明化法は、こうした課題に対応するものでございます。

独禁法との関係で、もう一点申し上げますと、独禁法は、事後的に競争阻害行為の是正を図るものでございますが、透明化法は、取引の透明性及び公正性の向上を図ることで、あらかじめそうした行為が生じないようにするものでございます。こうした観点で、独禁法の補完法ということでございます。

その位置付けを踏まえた規定として、第1条の太字下線にあることに加えまして、第13条がございます。第13条は、経産大臣が透明化法を運用する中で、独禁法違反と認められる事実を把握した場合には、公取に対して適当な措置を取るべきことを求めることができるというものでございます。

続きまして、2ページを御覧いただけますでしょうか。

まず、基本理念のところでございます。こちらに、規制手法について触れております。規制の大枠を法律で定めつつ、詳細を事業者の取組に委ねる共同規制の規制手法を採用と記載しております。

こちらの説明でございますが、デジタルプラットフォームは技術の進展が著しい中、イノベーションの促進と規律のバランスを取るという観点から採用しているものでございます。

経産省は、規制対象事業者に対して求める内容を示した上で、その実施方法については、求める内容が実現される限りにおいて、事業者の創意工夫を活かせるようにするということでございます。

続けて、規制の対象でございます。先ほど申し上げたとおり、独占的・寡占的なプラットフォーム提供者が、利用事業者にとって不利益な取引条件を一方的に設定するといった課題に対応する法律であるため、プラットフォーム全般ではなくて、独占的・寡占的な地位にあるプラットフォームを規制対象として指定しております。

具体的には、オンラインモール分野ではアマゾン、LINEヤフー、楽天、アプリストア分野ではアップル、グーグル、デジタル広告分野ではグーグル、LINEヤフー、メタを指定しております。

したがって、法律名にもありますとおり、「特定」デジタルプラットフォームを対象としております。

3ページを御覧ください。

左上の特定プラットフォーム提供者の役割でございますが、透明化法上、規制対象事業者は取引の透明性を高める取引条件等の情報開示、取引の公正さを高める手続・体制の整備が求められます。

その上で、特定プラットフォーム提供者は、透明化法に基づく取組状況について報告書を経産省に提出することが求められます。

経産省といたしましては、この報告書、さらには、プラットフォームを利用する事業者の声を踏まえ、有識者会合によるレビューを経て、取引の透明性や公正性についての評価を行い、この結果を公表しております。

特定プラットフォーム提供者は、この評価結果を踏まえ、運営改善に努める義務がございます。このプロセスを毎年度実施しているということでございます。

続きまして、4ページでございます。

特定プラットフォームの透明性及び公正性の評価(案)について、例示的に御説明させていただきます。

今、「評価(案)」と申し上げましたのは、昨月、評価(案)としてパブコメにかけ、パブコメ期間自体は終了しているのですが、パブコメを踏まえた経産省としての評価が確定前ということでございます。

まず、オンラインモール分野でございます。商品の表示順について、モール事業者が恣意的な運用を行うと、出品者・出店者としては、自らの商品が公正に取り扱われないということになります。こうした観点から、恣意的な運用を行っていないことの説明などを求めてまいります。

次に、返品・返金の取扱いです。アマゾンでは、アマゾンが条件を設定し、アマゾン自身が個々の返品・返金対応を行う場合があり、これは、出品者自身が返品・返金対応を行う場合と異なるため、出品者の不満が生じやすい状況にあります。このため、出品者の予測可能性を高める観点から、出品者の不満の声が多い類型ごとに取扱いの整理や説明を求めております。

続けて、アプリストア分野でございます。アプリ削除の措置は、問題があるアプリをアプリストアから排除する上で必要な措置だと認識しております。一方で、いきなりのアプリ削除は、アプリ開発事業者の事業運営に大きな影響がございます。

このため、アプリの問題が軽微な場合については、削除前にアプリストア事業者が事前通知や削除理由の開示を行うことで、アプリ開発事業者が修正対応を行えるようにすることなどを求めております。

返金の取扱いにつきましては、オンラインモールと同様、プラットフォームが自らの判断で返金を行うことがございます。プラットフォームから返金が行われた旨の情報はアプリ開発事業者に提供されるのですが、返金を判断した個別の理由についてはアプリ開発事業者に提供されておりません。このため、アプリ開発事業者が個々の返金の妥当性を理解できるよう、求めに応じた返金の理由説明を求めております。

アプリ審査につきましては、次のデジタル広告と類似の課題ですので、そちらで御説明をさせていただきます。

最後にデジタル広告です。プラットフォームが広告審査を行いますが、多数の広告をシステム的に審査する関係で誤判定が発生することがございます。誤判定が発生した場合に、広告主は異議申立てを行うわけでございますが、そもそも審査基準、違反内容・違反箇所が分かりにくければ、適切な異議申立てができず、問題が解決しないことになります。

また、こうした分かりにくさに対して補足説明を受けたい場合に、受けられないということも同様でございます。

こうした観点から、資料に記載の取組を求めているということでございます。

御説明は以上になります。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、板倉様、お願いします。

○板倉弁護士 弁護士の板倉です。よろしくお願いいたします。

「取引デジタルプラットフォームに関する諸施策について」という題名で、少しコメントをさせていただきたいと思います。

自己紹介は書いてあるとおりですが、取引デジタルプラットフォーム法との関係では、消費者庁で立法の前に行われた検討に参加させていただき、その後は、落合室長からも御紹介を頂きましたとおり、日弁連という形ですが、官民協議会も参加させていただいております。

ほかに類似の取組としては、総務省のプラットフォームサービスに係る利用者情報の取扱いに関するワーキング、こちらも、利用者情報の取扱いの観点ではモニタリング等も行いましたが、こちらもメンバーでした。

それから、内閣府消費者委員会、こちらのデジタル化のワーキングでもオブザーバーとして参加させていただきました。

3ページをお願いします。

最初に総論的なことを少し述べさせていただき、2の取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の運用は、国会で詳細な附帯決議がなされておりますので、それぞれの項目に沿ってコメントをしたいと思います。

それから、取引デジタルプラットフォーム等へのモニタリング等についてのコメント。

4番は、関連する施策との関係ということで、必ずしも法律そのものの問題ではないですが、関係する部分についてコメントしています。

最後に、海外の動向についてというので、いろいろなところで海外調査はされていると思いますが、アメリカで少し面白い法律が出ていますので、こちらの御紹介をしたいと思います。

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総論ですが、今日は取引デジタルプラットフォームについてコメントせよということで呼ばれたので、取引デジタルプラットフォーム全体についてコメントしますが、取引だけではないデジタルプラットフォーム全体について、政府全体として抜けがないように誰かが見張っているかというと、なかなかそうなっていないのではないかということを、普段実務をやっていると感じるところがあります。

それは、私も役所に出向していましたので、割り当てられたところを一生懸命やるというのが行政ですので、それはそうなのですが、ちょいちょい抜けがないかというのを検討していただかないと、いろいろ抜けるなというのはあります。

これは例えばですが、特商法上の通販の補助的な法律として、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法をつくっていただいて運用していただいていますので、言論系のデジタルプラットフォームにおいて、勝手に取引する部分については、どうしてもこれは対象外になって弱いというのがあります。

2つ目は、日弁連が昔からずっと言い続けているのですが、発信者情報開示です。とにかく日本は、最近、若干運用で取り組んでいるところもありますが、相手の住所と名前が分からないと訴訟が提起できませんので、そこにたどり着くまでが非常に重要なわけであります。

名誉毀損とか、プライバシー侵害とか著作権侵害をインターネット上でやっていると、発信者情報開示請求が使えるわけですが、発信者情報開示請求というのは、特定電気通信と言って、要するに、オープンでやらないと使えませんので、一対一で詐欺とか脅迫とかをされた場合は使えないのです。

今回、若干、たな子の情報の開示請求権は取引デジタルプラットフォーム法でやっていただきましたが、ここが空いているがために、匿名で、インターネットで悪いことをする人がやりたい放題になっているというのがあります。

3ポツ目は、行動ターゲティングの基になるデータの取扱いについてのいろいろな規律の話ですが、電気通信事業法を改正して外部送信規律を入れていただき、個人情報保護法でも個人関連情報の関係で入れたのですが、それぞれが割と細かくて分かりづらい、電気通信事業法の対象は、電気通信事業を営む者のうち一部なのですけれども、これも普通に読んでいたらなかなか難しいということで、つくったのはいいのですが、対応し切れていないように見えるということで、こういう諸々の穴が出てきますので、これを定期的にどこかで、消費者委員会は消費者行政全体を監督していただきますので、チェックしていただくといいのかなというところがあります。

それから、これは、実務をやっていての感じですが、ステークホルダーは、もちろんデジタルプラットフォームがいて、消費者がいて、たな子がいて、行政がいるわけですが、それだけではなく、デジタルプラットフォームの特に大きいところは、世界中からいろいろな規制をかけられて、世界中で訴訟を起こされ、世界中で怒られ、対応しています。

そうすると、どうしても、その彼らだってかなり優秀な方が山ほどいるわけですけれども、リソースには限りがありますから、優先順位に従って対応をしてくれます。

日本の人口が増えていて、これからもどんどん市場になるということであれば、そもそもの優先順位を上げてくれるわけですけれども、残念ながらそうではないので、日本への対応の優先順位を上げるというのを戦略的にやらないと後回しになります。

最近だと、新製品とか新サービスだって、日本語にするのが面倒くさくて後回しになったりしているわけですから、それは悪いことが起きたときの対応も一緒です。

ですので、これは答えがあるわけではないですが、とにかく厳しくして対応しろというのがヨーロッパのやり方です。

日本ブランチの人が主に日本の事案は対応してくれるわけですけれども、日本ブランチの人が本社に上げて対応しなくてはというインセンティブやディスインセンティブを設計していかないと対応してくれないのです。

具体的な例としては、発信者情報開示をして開示してくれと言っても、決定というか、最近だと非訟もあるのですけれども、出てもツイッターなどは対応しないのです。間接強制までかけないと対応しない。要するに間接強制までかかると、金銭的なコストが掛かるから、これは本社にも怒られるから、やっとやるということになっていて、こんなものはどこにも載っていなくて、やっている弁護士は知っているという話ですけれども、それぐらい優先順位が下がっておるわけであります。

ですので、ただただ厳しくしても言うことを聞いていただけるわけでもないかもしれませんが、とにかく日本の対応はしなくてはというように、インセンティブ、ディスインセンティブを与えながらやっていただくという発想が要ると思います。

共同規制は、消費者保護法のほうも透明化法のほうもやっていただいていて、それなりに、もちろん機能していると思いますが、これはこれで、私もモニタリングに参加すると、特に外国のデジタルプラットフォームは、はっきり言ってしまえば、態度が悪いところもあるので、ついでにいろいろと、これを直せ、あれを直せと言ってしまうのですけれども、それはあまり良くないです。良くないというのは、やはり法律上、この項目については、言われたらやらないといけない、場合によっては、報告徴収が来るというのを背景にやらないと、変なことを言われたので検討はしておきましたというのが日本ブランチの本社に対する何か勲章になってしまうと良くないわけです。

それは、こっちとしては、ついでにいろいろ言いたいのですが、言いたいことはきっちり法令上の根拠を持って、この項目にあるのでここは対応してくださいと、場合によっては、それは正式な報告徴収も行きますよと。DPF消費者保護法のほうは、報告徴収まではありませんが、そうやらないと、悪名の高かった行政指導の2.0みたいになってしまって、結果、それは日本の優先順位が上がらないということになってしまっていると思いますので、これは、みんなで気を付けないといけないだろうなと思います。

結局、デジタルプラットフォームが消費者保護に力を入れるリソースも有限ですので、それを日本は、割と利益を受けられるようにやるという戦略が要るのかと思います。

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附帯決議を単純にコピペして整理しています。衆議院で14項、参議院で16項あります。

運用に関する項目がいろいろありますので、これを見ていくと、現状の運用についてのコメントもさせていただくことになるということで、基本的には参議院の1から16を順番に項目にしております。

6ページは、ただ資料として整理しただけです。

7ページをお願いします。

取引デジタルプラットフォーム消費者保護法は、特商法上の通販をベースにして補助的な法律になっていますので、特商法上の通販はCtoCにはかかっていませんので、CtoCは今のところ対象ではありません。

これは附帯決議でCtoCもちゃんと、本当に必要ないのかというのは検討しましょうということになっていますが、そもそもこれも行政の構造的な問題ではありますが、対象になっていないということは担当がいないということですから、実情が把握できないという問題が構造的にあります。

これは2つあって、1つは取引DPF提供者の中で行われているCtoC取引の問題、もう1つは言論系のデジタルプラットフォームで勝手にやられているCtoC取引の問題であります。

これは、基本的に対象になっていない以上は誰も見ていないということになって、問題が起きていないかというと起きているのですけれども、起きていないという認識は不適切であって、きちんと予算も付けて調査していただくのが良いだろうなと思います。

現状の法律は、何度も言っているように、通販の補助的なものになっていますが、常にBtoCではないとBtoCの責任を負わせられないのだというわけでもありません。知財法等では間接侵害を法定して、関与者のほうに責任を負わせているというのは、立法すればできる話ですし、そもそも取引に限らず、プラットフォームと消費者の関係はBtoCですので、ここは必要があればできるのだろうとは思いますので、きちんと調べていただくと良いなと思います。

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事業者であることの判断基準は、落合室長からもありましたが、割と意欲的にいろいろ入れていただいています。2つインデントしたところの例を4つ挙げておきましたが、この辺は良いなと思ったのは、情報商材は、要するにプラスの要素だと、販売業者等に数えられる要素だと、それから新品の転売ヤーですね、これもプラスだと。それから、たくさん同じようなものを売っているというものとか、あとはブランド品とかチケットみたいな、本来的にそれは事業者しか持っていないだろうといったもの、これは非常に良い判断基準ですが、特商法とセットですから、特商法のほうの判断基準もこれに合わせていただいて、きちんと特商法のほうも、これと同じような基準で販売業者を判断して、運用、執行していただくと良いのかなと思います。

結局、デジタルプラットフォームなのか、直販業者なのかというのは、みんなが思っているよりも流動的というか、区別が難しいものであります。アマゾンは、アマゾンが売っている部分は通販です。マーケットプレイスはデジタルプラットフォームです。楽天だって、楽天ブックスは楽天が自分で売っているから普通の通販です。楽天のショップのところはデジタルプラットフォームです。では、アマゾンプライムビデオはどうでしょうと言ったら、なかなか分からないですね。調べればもちろん分かりますけれども、多分あれは仕入れて売っている形になって、普通の通販と同じだと思いますが、かなり流動的で消費者のほうはどっちがどっちだということを考えながら利用しないといけない。そんなことをやっているのはごく一部の関係者だけですので、これはシームレスで運用、執行をしていただけるように、この度、デジタルプラットフォーム室も取引のほうの課に移っていただきましたが、その表れだと思いますけれども、シームレスにやっていただければなと思います。

9ページをお願いします。

取引デジタルプラットフォーム提供者の努力義務の部分ですが、そもそもの取引デジタルプラットフォーム提供者を捕捉できているかという検証が必要になります。これはCtoCと同じように普段から監督対象に入っていないと、入っているか、いないかというところの検証というのは、ついついやれないことになります。例えば、オンライントラベルエージェンシー、ブッキングドットコムとか、これは観光庁の長官の会見で名前も出ていますので、そのまま載せましたが、オンライントラベルエージェンシーですね、こちらは官民協議会にも団体も出てこられていませんが、明らかに様々な問題が出ていて、BtoBではありますけれども、宿泊施設への支払い遅延とかが起きていますから、BtoCだって安全だとはとても思えないようなところがあります。

それから、アリエクスプレスというのは、日本語のサイトもあって、中国のデジタルマーケットですけれども、こういうところも官民協議会に来られていませんので、海外のマーケットプレイスである取引デジタルプラットフォーム提供者、これは何を引用しているかというと、EUのほうのデジタルサービスアクトで欧州委員会から要求が出ているということで、彼らは対象にしているわけですけれども、こちらではどうもあまり把握できていないというか、捕捉できていないような気がしますので、きちんと捕捉していただければというところがあります。

それから、特定に資する情報の提供を求めることです。とにかく相手が誰でどこにいるかが分からないと訴訟に行かないというのは、悪いことをする人はよく知っていますので、そういうのが捕捉されないように動くわけですが、3条1項は3号が多分一番重要なのだろうと思います。

本来的には、外国から直接日本に通販をする場合は、登記の義務がありますので、登記を必ず出せと、登記していない人は駄目なのですというのが、本来的な在り方だろうと思います。ただ、実情はありますので、この点は、また後述します。

それから、開示義務は、消費者庁の今のところの解釈では、開示義務も努力義務だということになっているのですけれども、これは条文を素直に読む限りは、普通の義務なのではないかと思いますので、開示していなかったら違法だということで、きちんとやってほしいなと思っております。

10ページをお願いします。

利用停止等要請、テイクダウンの話ですが、こちらは、要するに当人に言っても駄目な場合に、基本的にはデジタルプラットフォームに、この種類のものは全部落としてくださいとお願いするというものですが、挙げていただいたPSEマークについても、必ずしも全部の個別の事業者に言わなくても積極的に使っていただいたように見えますので、そういう積極的な運用はよろしいのではないかと思います。

絶対必ず先にたな子に言えという条文ではありませんので、柔軟に解釈した上で使っていただければなと思います。

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こちらは、著しく事実に相違するという、要するに安全性等について、うそをついていたら、テイクダウンの対象になるよというところなのですが、言っていないということも表示等に当たるということを明確にしましょうねという附帯決議で、これはQ&Aの、しかもQ1できちんとやっていただいたので、よろしいのではないかと思います。

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今度は、どういうことが表示違反である場合に、テイクダウンの対象になるかということで、基本的には、条文は優良誤認や有利誤認のものが入っている形になっています。

ということは、景表法で言うと告示違反は入っていないわけですが、景表法は、非常にオンラインの取引については最先端の検討をいろいろやっていただいていて、ステマ違反なども、先般、告示として定められています。

ですので、景表法の告示違反は、要するにテイクダウンの対象になるところに入れていただいてもいいのではないかと思います。

この表示違反というか、重要事項の府令は、バスケット条項が入ってはいるのですけれども、消費者の判断に通常影響を及ぼすものというのに、必ず景表法の告示違反が当たるという解釈だけでやるのも、少し苦しいかなと思いますので、これは明確に告示違反で、表示違反をしているようなものはテイクダウンできるのだというように入れていただく、府令の改正でできると思いますが、いいと思います。

それから、商標違反は入っているのですけれども、著作権法は目的規定に消費者保護がないから入れないと、パブコメの御回答があって入っていないのですけれども、さすがに偽物をつかまされたら、消費者は保護されていないので、これは入れてほしいなと思います。理屈の問題かもしれません。

13ページをお願いします。

これは、販売業者等の情報開示、ただ、この情報開示の閾値が1万円だということですが、今、一律1万円なのですけれども、これも室長から、件数が増えてくれば検討できるということがありましたが、閾値を場合分けすることもあると思います。こういう類型については、ゼロでもいいのだということとか、官民協議会では、中川先生は、これは限りなくゼロが基本なのではという御意見も述べられていましたが、点数が集まってくれば、場合分けして閾値を変えるということもできると思いますし、そもそも販売業者と開示請求をかけられる人というのは特商法上の表示義務を守っていないわけですから、極悪層なのですね、これも中川先生の用語なのですけれども、守る気がない人なので、あまり甘い顔をしなくてもいいのではと思っております。

14ページをお願いします。

これは、どんな情報を開示してもらえるかということで、金融機関の口座について、割と日弁連等からコメントをさせていただいて、ひとまずは対象とされていなかったのですが、最近、弁護士のほうに報告がある事案としては、取引デジタルプラットフォームを単なる決済の手段として使って、通常は出品できないようなものを売っている人たちというのがいると。

それを、いろいろ苦情を言っても、買っている消費者のほうも規約違反なので、販売業者等情報の開示請求は対応しないと。消費者も悪いのですが、そういう場合は、これだと結局悪い人も野放しになって、得したまま放ったらかされるということですし、このような場合に販売業者等情報の開示は、改心して使うのだったら使わせてあげたらというのと、そういう場合は、明らかに悪質な出品ですので、金融機関の口座の開示というのも検討すべきではないかと、全てではなくてもいいので、そういう、もはや取引なのか単なる悪い人なのかの区別が難しいのですけれども、そういう人については、口座も出すというのがあってもいいと思います。口座をやたらと私が連呼しているのは、アメリカの新法は、口座の把握というのも入っていまして、やはり口座を捉えるというのは割と重要なので、繰り返しております。

15ページです。

これは、申出制度で、これはもう室長からありましたので、あまりいいですが、ほかのこともいろいろ言ってきます。先ほど申し上げたように、DPFなのか、通販業者なのかというのは相対的ですので、いろいろ申出があると思いますが、特商法上の申出でもある場合は、そっちにも回していただいて、対応をいただければなというところであります。

次のページをお願いします。

16ページについては、情報商材の取引デジタルプラットフォームについて、どうやりましょうということがあるので、これもあまり実態把握されていないと思いますが、一度実態把握をして、きちんと官民協議会に、官民協議会は来ないかもしれませんが、官民協議会にも最初から来なくて自主的な取組を全くやる気がないという人たちであれば、それはその人たちには、もしかしたら直接の義務が必要なのかもしれませんので、一度調べていただければなと思います。

それから、SNSを利用して行われる取引については、別途こちらで建議も出していただいていますし、報告書も出ていますので、建議の「SNSのメッセージを含むインターネットを利用した広告表示に対する法執行の強化等」、第2の「電話勧誘販売に該当する場合の解釈の明確化及び周知」、第3の「消費者への注意喚起及び関係事業者等への情報提供」、こちらは政府全体で御対応いただければなと思います。

次の17ページをお願いします。

デジタル広告、不正、悪質なレビュー、パーソナルデータのプロファイリングということで大きい課題でありますが、デジタル広告については、景表法はいろいろやっていただいています。アフィリエイトについても留意事項を改正していただいていますし、ステルスマーケティングの告示も入れていただいています。

若干、私がよく分からないのは、去年の景表法の改正のときに国会等でもデジタルに特化した規定は景表法としては置けないのですというのが消費者庁の説のようなのですが、これはよく分からない、別に置いてもいいのではないかと思ったので、ジュリスト等では置いてもいいのではと書きましたが、特化した取組はいろいろやっていただいております。

ここに書きませんでしたが、偽広告が別途問題になっています。ただ、あれは偽広告であって、広告ですらないので、そもそも広告なのかという問題があるのですけれども、しかし、あれもどうも間に落ちてしまって、デジタルプラットフォームのほうも困っている問題ですので、御対応いただければと思っています。

不正、悪質レビューは、この法律の検討段階では、要するに、不正、悪質レビューコンサルみたいな人とか、個人についても何か入れようかという議論はありましたが、結局入らなかったのですね。

景表法も基本的には広告主が対象ですので、なかなか難しいのですが、去年の改正により直罰が優良誤認・有利誤認には入りましたので、それの共犯という運用はあるかもしれませんが、しかしながら、いきなり警察にお任せするというのもあれですので、引き続き、これはインフルエンサーとかコンサルタントとか、そういう人たちをどうするのかというのは検討いただければと思います。

パーソナルデータのプロファイリングは、ばらばらにいろいろなところで定められていて、ここでとても語り尽くせるような問題ではありませんが、先ほど申し上げた個人情報保護法と電気通信事業法がそれぞれ非常に込み入った規律になっていて、なかなか守れていない状態というのは、現状としてはお伝えしようと思います。

それから、AIに特化した法律というのも、欧州などはそろそろ立法されますが、日本は取りあえず事業者ガイドラインをつくっていただいていますけれども、また、これはこれで立法するとなると、このプロファイリングであるとか、スコアリングであるとか、そういうところは非常に難しくなりますので、全体を見ながらやっていただければなと思います。

18ページにまいります。

これは、要するに外国から直で日本に通販する人は、登記されないといけないのだという問題であるとか、外国のプラットフォームも同じです。

ビッグテック、それこそツイッター、Xとか、メタとか、グーグルとかは、電気通信事業法上の届出もしておりましたので、これをフックに総務省さん、法務省さんで、過料の裁判の通知まで最後は受けていた人たちもいましたが、一応登記をされました。これで日本の代表者登記がされたので、裁判も起こせるし、行政指導、行政処分等もかなり円滑になったと思います。

実際、弁護士の実務としても、削除請求、発信者情報開示請求をグーグルやツイッターにやるのは相当楽になりました。ただ、途中で申し上げたように、決定とかに従うかどうかは別です。これは、間接強制までやらなくてはいけない場合がありますが、しかしながら、それでも大分楽にはなりました。

消費生活用品安全法の改正が検討されていると認識しておりまして、こちらで日本の代表者を置いていただいたら、それをフックに外国からの、特に消費生活用品を扱った、この指定されているものを扱っているところは、登記もやっていただけるのかもしれませんし、それは是非やっていただければなと思います。

そうでなくても会社法違反ですから、外国事業者は登記されるべきであって、登記されていない人たちが販売業者等として入ってくるのは、私は許されるべきではないと思います。

これは、一気には、もちろんできないと、そのとおりだろうと思いますが、徐々にそういう話にしていって、いつまでも登記しなかったら、たな子から外れてもらうということもベストプラクティスに入れていただいてもいいだろうなというのは思っております。

19ページをお願いします。

こちらは、ODRをやりましょうという附帯決議ですが、法務省さんが22年の3月にアクションプランを出していて、恐らくそれに従って、CtoCに限らず、ODRをやっていただくのだろうと思います。

日弁連としては、国民生活センターのADR等の、消費者にも配慮したODRがあったほうが良いのではという意見も出していますので、参考にしていただければなと思います。

20ページです。

20ページは、消費者教育や周知徹底ですが、適切に推進していただいて、成年年齢が本格的に18歳になっていますので、様々な被害が出ていると思いますので、それはそれで継続的に調査いただければなと思います。

21ページです。

予算・機構・定員です。これもデジタルプラットフォームのリソースの取り合いであると同じように、若手の皆さんを取り合うことにはなりますが、しかしながら、予算案を見ても、微減ぐらいの感じで、定員も、これはどちらかというと、通販の御担当だと思いますけれども、1名ということで寂しいので、増やしてくださいというところであります。

22ページにまいります。

モニタリング等です。モニタリングは、いろいろな法律でやっていただいていまして、官民協議会は日弁連として参加させていただいておりますが、ここに出てきていただいている団体は、やろうという意思があるわけです。メインのターゲットであった物販系が、件数が多いのでいろいろな問題もあるものの、一番積極的にやっていただいているのですが、とにかくアウトサイダーがいるわけでありまして、先ほどのOTAとか、海外の通販とか、そういうところの問題があるので、これは何とか官民協議会に出てきてもらうなりする必要があるということであります。

経産省さんの、今、御紹介いただきましたモニタリングも、非常に大部の資料でパブリックコメントをかけていただいていますが、これは、非常に私はよく分かるのですけれども、態度が悪い人がいるのでいろいろ言いたいのですが、法令上の項目にないことをあまり言うと、また日本が変なこと言っているからみたいに報告されるのもよろしくないので、そこはうまいこと、対応の優先順位を上げるようにやりながら、とにかく、この法律上の根拠はこれですと、それに基づいた省令はこれですと、指針はこれですと、これに基づいて聞いているのだからちゃんとやりましょうと、駄目だったら法律の違反にもなりますと、うまくやりながらやっていただくのがいいかなと思います。

総務省の利用者情報ワーキングのモニタリングは、解散してしまいまして、親会も一旦閉じているというところですので、これは継続的なモニタリングを求める声が多数でした。

ですので、これは総務省さんに言うべきかもしれませんが、何らかの形で継続する枠組みを、しかも法令上の根拠をちゃんと持ってやっていただいて、これは対応しないとまずいのだと、特に海外のデジタルプラットフォームは、本国に報告していただくようにつくるべきだろうと思います。

23ページにまいります。

最後に言うには細かい話ではありますが、モバイル・エコシステムというものをデジタル市場競争会議さんがやっていただいています。要するに、これは、iOSとアンドロイドの様々な垂直分離を進めることによって、競争を促進するというもので、競争の促進の取組ですが、ところどころ、消費者保護法等の関係で気になるところがあるので述べたいところです。

一つは、サイドローディング、今、アプリ代替流通経路と言っていますけれども、要するに、今、基本的にはアップルやアンドロイド、グーグルは、それぞれのストアからしかダウンロードをしないのがほとんどになっていますが、それをもう広げようという話であります。

これが全部開かれているのが普通のパソコンでありますが、普通のパソコンがウイルスだらけになっていて大変なことになっているのは、もう皆さん御存じのとおりですので、とにかく消費者としては、そうならないようにと気を付けたほうがいいと思います。

実は、アンドロイドは、グーグルプレイ以外からのダウンロードはできるようになっているのですけれども、それで競争が促進されているかというと、よく分からないところがあるので、代替アプリのストアもアップルとかグーグルが審査しろということになると、それで全体のコストが上がると、消費者に得ではないのではないかという問題もありますので、気を付けていただければと思います。

次は、更に細かいので一言だけですが、決済や課金のシステムの分離というのも提言されています。それはそれで何となく使いこなしている人からしたら、一番お得なところで決済すればいいのだからいいのではと思うかもしれませんが、どうも消費者の能力の限界を超えているらしく、いろいろなところでサブスクを登録したけれども、どこで登録したか分からないという相談が、消費生活センターのほうにかなり来ているということですので、そういう人間の認知限界も気にした上で、こういうものをやっていただく必要があるかなと思います。

競争政策をやる人たちは割と賢いので、賢い人を想定してしまうのですけれども、何かよく分からないけれども、某動画配信サービスから毎月金を取られていますと言われても、対応のしようがなくて、これが全部グーグルやアップル経由なら、取りあえずグーグルやアップルが止めるというのができるのですけれども、それが本当に分かるかという問題があって、ちゃんと分かるようなこととセットにしないと難しいというのをお伝えしておきます。

最後、24ページですが、これは、正に模倣品とかをデジタルプラットフォームで売るなという法律です。JETROさんの解説をそのままお借りしていますが、INFORM Consumers Actと言っているようですが、Integrity, Notification, and Fairness in Online Retail Marketplaces for Consumers Actという話であります。

マーケットプレイスの定義とかもありますが、取引数の多い販売者、これもメリハリをつけるというのはあるのだと思います。日本でいえばDPF消費者保護法の3条1項3号について、取引数が多い人については、こういう情報も取得せよというのはあり得るのだと思います。この米国法では、1年、2年のうちの連続した1年間で、200以上売って5,000ドル以上の収入がある者については、身分証明書や銀行口座とかをちゃんと収集して、定期的に正確性を検討しなさいというのがあります。

それから、提出の要求を受けた日から10日以内に応じなかったら、もうBANしなさいというのが入っています。

疑わしい販売者を報告できる仕組み、これは日本でも大抵ありますが、そういうのが入っています。

それから、直接連絡可能と、この辺は、少なくとも官民協議会で出てきていただいている人たちはやっているという話でしたが、こんな仕組みで、基本、これは模倣品の販売を止めるためにつくっている法律ではありますが、参考になりますので御紹介させていただきました。

執行部は、FTCがやるということになっています。

私からは以上です。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、中田様、よろしくお願いします。

○龍谷大学中田教授 龍谷大学で民法と消費者法を担当しております、中田と申します。

既に消費者庁、経産省、そして板倉先生のほうから、御報告がありました。ちゃんと調整していなくて申し訳ないのですが、それとの重複部分については、報告時間を遵守するためにレジュメの内容を大胆に飛ばしながら報告させていただきたいと思います。御了承ください。

私の報告は、デジタルプラットフォームにおける消費者保護の問題を検討するものです。デジタルプラットフォーム事業者のことをPF事業者と呼びます。そのビジネスモデルの構造に対応した法的責任を考えることにします。

その際に、現在の法状況や比較法の動向を少し加味しながら検討します。

様々な施策の仕方はあるとは思いますが、重要なのは、やはり消費者個人の権利というものが侵害されている場合、それを回復すること、つまり消費者個人の権利を実現していくためにどういった法的なシステムが必要なのか、端的に言えば、消費者の権利が絵に描いた餅に終わらないようにどうすればよいのか、ということです。

今日、鹿野委員長からも御紹介がありましたように、私が呼ばれた理由の一つは、大分前になるのですが、消費者委員会のPF取引に関する専門調査会で報告書を取りまとめた経験がありまして、そのときの座長が私でした。その際は消費者委員会の皆さんにはいろいろと支えていただいたので、非常に有り難いと思っています。本日は、そのときに提出した報告書がどの程度まだ有効なのかということも踏まえて、御報告させていただきたいと思います。

数年前のものですから、現状とは違いがかなりありますが、まずはPF報告書の問題意識を、2ページのところですが、御紹介したいと思います。

インターネット上のショッピングモールとかマッチングサイト、プラットフォーム取引というものが拡大している、その当時は、そういう言い方をしていたのですが、そこにもBtoCだけではなくてCtoCもあるとしてきています。さらに、評価、レビュー、レーティングということが重要な取引の要素になっているのだと述べています。

ただ、このような取引に関わる各主体が、どのような責任や義務を負うのかが必ずしも明確にされていない。模索していたというところもあって、そういう新しいビジネスモデルの法律関係を明確にしていこうというのが、報告書の一つの目的でした。

報告書は物販を中心に分析をしたものですが、今日も議論されていましたが、SNSも当時から問題ではないかと指摘されていました。そこにも手を伸ばそうかとも考えたのですが、まずは、報告書では骨格部分を取り上げて、レジュメのところで書いてあるような消費者トラブルの整理というものを中心に、現行法がどのように対応できるのか、さらには海外の動向も、それは専門調査会としては、かなり異例なことだったのかもしれませんが、外国から研究者をお呼びして御報告を頂くことも行いました。

到達した点としては、プラットフォーム事業者が、やはり利用者間の、これは、たな子と顧客というのか、事業者と消費者との間、ユーザー間の契約の締結に向けた意思表示の形成に大きな影響を与えている。そして、利用者間の取引の決済も握っていること、さらに、履行についても不可欠な役割を担っていること、こういう認識を持ったわけです。

そして、PF事業者は利用者に対する情報を握っているので、プラットフォーム自体がトラブルの解決に大きな役割を果たすべきではないかと考えたわけです。

さらに、ここは大事な点なのですが、プラットフォーム事業者は、当該プラットフォームにおいて、利用者が、安全に取引を行うことができ、かつ合理的な選択の機会を確保できるシステムを構築する役割を担う、そういう立場にあるのだということを明らかにしました。自画自賛なのかもしれませんが、PF報告書は、当時において、非常に先進的なところを押さえたのではないかと思います。

と言いますのも、この後、御紹介しますEU法の流れの中でも、そういうプラットフォーム事業者の取引における役割というものに注目して規制を置いているからです。EU法は、特にプラットフォームを構築していく者の責任、つまりシステムを設計・構築する者の責任に焦点を合わせながら、情報提供義務というものを課しているという規制の仕方を取っています。

ともかく、PF報告書は、消費者の視点に立つことが大事だと、言っているわけですが、そうした視点が、今後どういう形で法改正に活かされるのかにも興味があります。

まずは、簡単に法律関係を整理しておきます。レジュメ3ページのⅢのところで、PF取引の基本構造という形で押さえています。

この契約関係を見ると、誰が契約の当事者なのか、板倉先生の報告の中にもありましたが、よく分からないというところがあります。契約関係を明確にしておくということが第一歩ではないかと思います。ここは重要な点として考えています。その利用契約自体が、そう明確なものではないと考えています。

先ほどの報告でも、直販型、モール型というのがあることが指摘されました。消費者から見ると、そのどっちかよく分からないという場面があること、そして、それをどう規制していくのかが重要となります。例えば、特商法だけでやるのか、それとも、もう少し包括的な法律をつくるとか、いろいろなやり方があるのですが、この問題点も十分に解決されていないと思います。

こうした観点からPF利用規約を見たときに、誰が責任を負うのかというと、契約主体であれば責任を負わなければいけないのですが、多くの場合、PF事業者は責任を負わないということを、未だに利用規約の中で宣言しています。責任逃れをしているとまでは言うつもりはないですが、責任を明確にしていないと考えているわけです。

一般的な免責条項というものが、そんなに有効なものではないだろうと思いますが、消費者契約法があるにもかかわらず、まだ横行しています。4ページのⅣのところに具体例を挙げていますが、そのまま通用している状況です。

今、京都弁護士会の人たちと、それぞれプラットフォーム事業者の利用規約がどういうものなのか、分析をしているところなのですが、そういった問題点が残されていることを指摘しておきたいと思います。

分析の視角について説明します。レジュメ5ページのⅤのところに行きます。契約関係を分析するのに、どういう見方がいいのかということで、三当事者の契約があることは間違いないだろうと思います。これは誰も否定しないのですが、消費者から見たときに、そういう契約関係を維持して、プラットフォーム事業者を免責するということでよいのかが問題とされていると思います。

そこでは形式、契約の当事者については、相手方はこの人ですと契約書に書かれたら、それ以外の人が契約の当事者にならないことが、今の考え方です。これでは良くないのではないかと考えています。そこでは、役割に応じて、むしろ実質的な契約当事者を確定していく、あるいはその確定を法律的に支援していくような工夫が必要ではないかということを指摘しています。

レジュメの5ページのⅤを御参照ください。そこでは、基準としてアプローチを形式と実質という形で分けて、その仕方で、結果が異なる可能性があるということを述べております。

そういった前提の議論のときに、経産省が出している電子商取引準則を見たことがあります。ちょうど当時、消費者委員会で議論していたときは、モール運営者、マーケットプレイスの運営者は、個別の店舗の取引によって生じた損害について、原則として責任を負わないとしていました。消費者が損害を被っても原則として責任を負わないと、原則という言葉を使って基本のルールを定めていたわけです。それで、例外的に、売主としての責任を負う場合として、名板貸責任等の類推適用などの法理が提示されていました。

ところが、現時点で、私が見た令和2年のものですが、そうした以前の準則が修正されていました。PF事業者が取引に実質的に関与したかどうかという基準で、その責任の有無を判断するという枠組みに変わっていました。これは、消費者委員会の専門調査会が出した提言に近いことになっているのではないかと思います。

ただ、その中でも実質的に関与したということ、つまりどういう役割を果たしたときに、どういう責任を負うのかというのは、それほど明確になっていないという感じが未だに残っています。それをどうやっていくのかというのが、今後、議論しなければいけない論点なのだろうと思います。

今日御紹介されたところですが、この間、特商法の通信販売の規制の強化があり、特定申込みに対しての取消権の拡張など、そういった救済ルールが展開されていることは重要であると思います。この点については後で述べます。

ヨーロッパでの動きということで比較法的な観点からお話しします。レジュメのⅥを御参照ください。世界の動きの重要性は、今日、板倉先生の御報告の中でも強調されていた点ですが、例えば、PF事業者の責任を法的に捉える枠組みというのはあるのだろうかということで、EU判例の動向として、ウーバー・スペイン判決を少し引用しておきます。

学会での議論でも、これは労働法の適用の問題だ、公法の問題だとおっしゃる方もおられるのですが、私はそのような見方ではありません。むしろ契約の実態というものを分析する中で、誰が契約主体なのかを明らかにしていると見ています。つまり、契約においては、例えば代金を決めたりとか、その内容を形成したりとか、そういった実質的な影響を及ぼしている者が契約主体として現れ、基本的な契約責任を負うのだという考え方です。

具体的には、ここでは決定的な影響力という問題が出てくることになります。代金決済を握っているというのは非常に大きなところであると思いますし、契約条件をつくるというのも大きなファクターではないかと考えております。

そういう動きの中で、EU消費者法が現代化という流れで、デジタル化、プラットフォーム取引も含めてですが、適切な法的な対応をしてきていると見ています。

そこでは、一つの考え方は、取引の内容を明確化していくという、情報提供をきちんとして、消費者がそれを選択できるという枠組みの形成です。これはBtoBでも同じように、やはり情報提供というのは大事だということになっています。情報提供だと、情報の洪水になってしまうという議論は、もちろん理解はしていますが、やはり消費者団体も事業者からの情報がないと分析もできないわけですから、そういった取引情報をきちんと出させていくということが必要です。それは、取引、ビジネスモデルを分析するときの基礎にあるものです。そういった情報提供義務の在り方というのは大事で、これについてはEU法に学ぶところが多々あるのではないかと思います。

あと、デジタルサービス法パッケージ、これは、後でDSAとして御説明しますが、そういった規制も出てきていることに注目してほしいと思います。

あと、ELIの準則があります。これは次に説明しますが、EU指令ではありません。学者グループが、比較法的な検討をしながらPF事業者の民事責任の規定というものを、EU法を前進させていくという観点から作成したもので、学術的な提案です。私も少し関与したことがありますが、プラットフォーム運用者が、取引に実質的な影響を及ぼしている、つまり支配的影響を及ぼしている場合には責任を負うのだと提案しています。それは連帯責任なのかどうかという議論もあるのですが、そういった民事責任を負う可能性を明確に示している点で参考になります。

最近、これはカライスコス先生と調べたのですが、ポルトガルにはそういう法律があるようです。ELIのモデル準則と同じような内容で、支配的な影響力、代金決済を握っているとか、あるいは契約をつくっているとか、そういう場合には、PF事業者に契約適合性に関する連帯責任を認めるというものです。加盟国では、そういうEU法の国内法化の動きも出てきています。もう少しちゃんと調べなければいけないのですが、そういった法律もできてきているということも指摘しておきます。

デジタルサービス法に少し入ります。時間が迫っていますので簡単に説明をします。実際にプラットフォーム提供事業者というものの存在を正面から認めた上で、必要な義務を課しているというのが大事な点であると思っています。

イノベーションも大事ですが、この規則では、やはり基本的人権が実効的に保護され、安全で予測可能な信頼できるオンライン環境の実現という大切な点が宣言されていると思います。

そして、そこでの義務の設定の仕方ないし責任の負わせ方というのは、そのレイヤーというか、プレイヤーがどういう役割を果たしているのかに応じて責任を負わせていくという枠組みになっているだろうと思います。

この規制では、PF事業者の免責規定が置かれているのですが、消費者保護の規制を見てください。そこでは、取引プラットフォームの提供者は、そのプラットフォーム上で情報や商品、サービスが提供されており、平均的な消費者に対して、これらの提供が取引プラットフォーム事業者自身によって、または、その権限もしくは管理の下で行われたという信頼を生じさせる場合には、免責を受けることができないとの規定が設けられています。免責規定は、その前にあるわけですが、実は原則として免責ということで規定を置きながらも、PF事業者が一定の支配を及ぼす場合、つまり取引における役割を果たすことによって、それに応じた責任は負いなさいと、そういう枠組みをつくっているという点が参考になります。

EU法では、こういう意味で、9ページの終わりのところの4ですが、PF事業者の役割に応じた段階的な義務の体系というものが採用されているのではないかと見ています。

そのときに大事なのが、媒介サービス提供者、PF事業者が、責任を持って誠実に行動することによって、安全で予測可能な信頼できるオンライン環境が実現されるということが望ましいと考えているわけです。でも、その枠組みはちゃんと法的に義務として段階付けられて提供されているということになっています。

先ほどの板倉先生の御報告にも関係しますが、PF事業者の努力義務を法的義務にしてはどうかという議論に入ります。日本の議論はそういう点では、法的義務にしてはどうかという、少し周回遅れで進行しています。

世界のレベルでは、もう既に義務としてきちんとやりなさいということになっているということになります。

10ページでは、DSAでは、大体枠組みで、大きな義務、そして具体的な役割に応じた義務という形で、規定が置かれていることを示しています。そういう意味で、レイヤーの役割に応じた、プラットフォーム事業者の役割に応じた責任という発想が取られていることが見て取れます。これは、フランス法でも同じような形になっています。

さらに、この点で重要な点として、レビューを行う、そういった機能を実装しているPF事業者の責任も重要です。そういう場合に、レビューをしているプラットフォーム事業者という枠組みをつくって、そこに適切な法的義務を負わせることが考えられます。そこでは、公正な市場を形成していくために、どういった行動をその機能を持つPF事業者がしなければいけないのかを考えることになります。

DSA規則の第25条、10ページの下にありますが、サービス受領者が自律的にかつ十分な情報に基づいた意思決定を行うことを阻害しない方法で、自らのオンラインインターフェースを設計し、編成し、及び運用する義務を負うと、「義務を負う」と書いていますから、やはりこういう規定の仕方が必要ではないかと思います。

オンライン広告についても、表示される個々の広告について、それが広告であること、その広告の広告主体又は資金提供者及び広告が表示される受領者を決定するために使用される主要なパラメータに関する情報を、サービス事業者に対して、明確にかつ正確に提供しなければならないという、26条の1項があります。

このように規定を置くとともに、パラメータの情報も提供しないといけません。これが消費者の判断において利用されるのかと聞かれると、疑問はありますが、こういうことを示すことは、情報提供として大事な点ではないだろうかと思います。

また、11ページのところの、未成年者保護も注目してほしい規定です。未成年者がアクセス可能なPFの提供者は、そのサービスにおいて、未成年者のプライバシー、安全及びセキュリティを高い水準で保証するために、適切かつ相当な措置を講じなければならないと、ちゃんと書いています。

さらに、具体的な形での消費者保護規定があります。PF上で提供される情報の透明性を高めるための義務が置かれていることを指摘したいと思います。

特にインターフェースの設計・編成義務というのは、私たちにとっても重要な観点ではないだろうかと思いますし、DSA以外にも、消費者権利指令、また、不公正取引方法指令によって、既に情報提供義務が設定されています。つまり、幾つかの義務が他の指令などで置かれていて、その中で、DSA規則で更に義務が課されていくという重畳的なことになっています。この規制を見ておいてほしいと思います。

あとは省略させていただいて、レジュメの12ページのⅤに入ります。

取引DPF法の意義と問題点ということで、概要については、消費者庁のプレゼンで、今日詳細に御報告いただきましたので、それには触れません。ごく簡単に若干の検討を行うということで、13ページに入りたいと思います。

法的枠組みについては、もう既に説明がされました。ただ、私の見ているところでは、PF取引の特殊な構造に依拠したビジネスモデルの展開というものをちゃんと見据える必要があるだろうと思います。そうすると、やはり、PF事業者が市場を創設するものとして、システム構築あるいはシステムデザインを行うものとして、その取引上の責任の所在を正面から立法で定めておくことが、やはり大事ではないか、その法的枠組み、それがきちんと整理される必要があるだろうと思います。

現在は、PF取引において、特に取引契約についてのPF事業者の免責規定、そういうものが多く使われていています。他方で、聞くところによると、事情によって、そういう免責規定があっても、PF事業者が顧客に個別に対応することが行われているようです。

ただ、そういうのは顧客の不平等な扱いではないか、また、免責規定の明確性あるいは公正性の確保という点からも問題があるのではないか思います。

そうだとすると、消費者団体訴訟などを通じて、不公正条項規制として、裁判所できちんとコントロールするという枠組みが設けられるべきだろう。

官民協議会の構成は、消費者団体は入っているのですが、例えばEUを見ますと、EUレベルの統括的な消費者団体が消費者政策のシンクタンクとして機能していて、そういう観点から助言を行うことができている。現在の消費者団体が十分ではないという意味ではないのですが、もう少し強化するような形で消費者団体の役割を上げる必要があるだろうと思います。また、消費者法の専門家という方が入っていないような気もするので、そういった専門的な知見を活かすような人選も必要だろうと思います。こうした人選は、EUあるいはドイツなどでも行われています。

日本の現在の状況について、私の考えているところを御説明します。

PF取引のルールを共通化するグローバルな展開が見られます。EU法を見ますと、やはりアメリカの事業者の対応も含めて、かなりきちんとした議論をしながら展開しているように思えます。

日本も消費者委員会、その他省庁が、頑張って展開をしていると思うのですが、やはり、少しガラパゴス化したルールになってはいないかと感じています。例えば、努力義務を前面に出すようなやり方でいいのかが気になります。やや過激な言い方かもしれませんが、それでは世界では通用しないことになるのではないでしょうか。

日本のPF事業者が世界でのスタンダードに対応しないと、外に出て行けなくなるという状態になるのではないかと危惧しています。そこでは、公正で透明性の高い市場の基礎条件を、基本条件を満たさないと、一歩も外に出られなくなるのです。

そうだとすると、デジタル経済の中で重要な役割を果たすPF取引が、非常に歪んだ形で日本において存在することになります。また、逆にそういった規制がない日本は、消費者保護ができていないということになりますから、海外のPF事業者に食い荒らされるという可能性も出てくるのではないかと、少し表現が過激になってしまいましたが、そういう事態になりかねません。EUのデジタル政策や立法の動向、アメリカの規制を注視しながら、長期的な展望を持ったPF取引の法規制が速やかに実現されることが望ましいと考えています。

では、どうすればいいのか。PF事業者が消費者に対して負う情報提供義務を、法的義務として構築し、その内容を明確化することです。それによってPF取引の骨格が形成されることになります。

あと、PF報告書の到達点を踏まえて言えば、法規制が消費者の立場に立っているかというところを強調したいと思います。事業者が、消費者の立場に立ったプラットフォームを構築して、それに基づく自らのビジネスモデルを明確に消費者に提示する、これは透明性の確保ということになります。

それは正直者になることです。最近、テレビで、正直者がやる不動産取引という設定でのドラマが放送されていますが、PF事業者は、正直に、役割に相応する責任を負って、消費者の信頼を確実なものにする、そういうことが必要だろうと考えています。

そうだとすると、PF取引に関する立法は、そうした目的に資するような形で展開するものでなければいけないと思います。

御静聴、ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより、全体を通しての質疑応答と意見交換を行いたいと思います。

先ほどは、15時55分頃までと申しましたが、予定より時間が経っておりますので、当初の予定を少し延長させていただいて、今から少なくとも30分ぐらいは、質疑応答をすることができたらと考えております。

それでは、質問等をお願いします。いかがでしょうか。

山本委員は、お時間の関係で、途中で抜けられるということでしたので、もし何かあれば、先にお願いします。

○山本委員 ありがとうございます。

まだまとまっていないというか、整理し切れておりませんで、御質問も非常に曖昧なものになってしまいそうなのですが、せっかくですので、少しお伺いしたいのですが、まず、DPF消費者保護法ですけれども、この対象業者として、いわゆる動画配信プラットフォームというのが含まれるのかどうかということについて、お話を伺っていて、結論は何となく読めるところもあったのですが、この辺を改めて確認したいと思いました。

と申しますのも、最近は、いわゆるSNSと申しますか、動画配信プラットフォームでも、一定の表示回数というか、インプレッションを得ると、広告収入が動画配信者も得られるというところで、ある種、ビジネス化しているというか、投稿ですとか、動画を作成すること自体が、ビジネスのような形になってきているというところからすると、よりビジネスモデルが事業者的なものに変わってきているようにも思うところがありまして、その点、動画配信プラットフォームのようなところ、あるいはSNSのような、先ほど中田先生とか板倉先生からも、もしかしたら、お話があったかもしれませんが、SNSも投稿によってお金を得るみたいなことが出てくる中で、こういったものの対象可能性みたいなことについて、少し教えていただければと思いました。

それから、板倉先生に、これは私の勉強不足で教えていただければと思うのですけれども、確かに不正又は悪質なレビューというものが確かに見受けられて、それによってビジネスサイドも大きな影響を受けるということはあるのだろうと思いました。

現状、デジタルプラットフォームが、そういった不正や悪質なレビューに対して具体的にどういう対応を現状取っているのか、あるいは取っていないのか、それが十分なのかどうなのかということについて、板倉先生なりのお考えを伺えればと思いました。

以上です。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、2つ御質問がありましたので、まずは、最初の質問について消費者庁からお願いします。

○消費者庁落合室長 山本先生、ありがとうございます。

まず、御質問いただいた、動画配信プラットフォームといったものが、取引DPF消費者保護法の対象になるのかということです。

これも先生、お気付きのようにも拝察しましたが、この法律自体は、正にマッチング型と、SNSとか非マッチング型のものがありまして、正にマッチング型の中で通信販売取引が行われるものになります。

ですので、動画配信プラットフォームには、いろいろなものがあると思いますが、通常は配信をしている、その配信者がモノを販売するということなので、そういう意味では、こういった形で販売業者と消費者という形を集めるものであれば当たりますが、そうではないもの、単にそこに広告表示がされるのは当たらないだろうと思います。

ただし、再三出ていますように、SNSのようなメッセージアプリも含めて、そこで販売業者が広告を表示して、そこから通販になるということであれば、当然、特定商取引法の通信販売規制が適用されますし、冒頭申し上げたように、令和3年の改正で相当強化されていますので、そういう意味では、両方使いながらやっていくと。

実は、中田先生のお話の中にも、取引の類型が分かりにくいとあったのですが、そこは分かりやすく御説明をしていく、特に消費生活相談員に、私どもも研修していく中で、使えるもの、使えないものを整理していく必要はあろうかと思っております。

以上でございます。

○板倉弁護士 多分、前提をお伝えしたほうがいい。無料は入らないのです。つまり、通信販売は有料なので、グーグルプレイでも、無料アプリの販売部分は入らないのです。ですので、ユーチューブでも動画を有料で配信するという機能があれば、そこは当たるのです。ツイッターの投稿でも、アテンション・エコノミーのためにバズる動画をアップしますけれども、あれは無料なので、通信販売に当たらないので、今は、その人たちは、たな子にならない、販売業者等に該当しないと、こういう構造です。

○消費者庁落合室長 ありがとうございます。

通信販売取引自体、板倉先生からありましたように、売買契約と有償の役務提供契約となっています。

単なる広告のみの行為であれば、取引デジタルプラットフォームに当たらないのですが、そこで何か商品を売っているとか、そういうケースであれば、そこは当然、通信販売規制もあるということだと思います。

○鹿野委員長 それでは、2番目の御質問について、板倉先生、お願いします。

○板倉弁護士 不正アクセスレビューをどうしているかというものですが、当然SNS事業者としても、ずるをする人を許しているわけではないので、感知して消したりはやっているみたいです。全くいたちごっこだという認識であります。

古くは、大っぴらに不正レビューをやりますみたいな事業者がいたりしたので、そういうところは、アマゾンも楽天も訴えていたというのは、報道等ではありましたので、彼らも別に放置したいわけではなくて、それなりにやってはいますが、あまり大っぴらに、こういうことをやっていますというのは言っていないだけで、一生懸命アルゴリズムで調べて消したりとか、省いたりとか、アカウントをBANしたりはやっているみたいですが、消しているよりもやる人のほうが多いので、消し切れていないというのが、私の認識です。

○鹿野委員長 山本委員、よろしいですか。

○山本委員 ありがとうございます。

1点目の御回答で、なるほどなというところでありましたけれども、やはり今後議論していく必要があるのは、例えば、先ほど無料かどうかという話が、板倉先生からもありましたけれども、アテンション・エコノミーみたいな話になっていくと、必ずしもお金を払うか払わないかというのは、自分のアテンションですとか、時間という非常に希少価値の高い有限のアテンション、時間というものを払っていると。

取引として何を取引するのかということも、これは個人データの話も、そこに入ってくるのかもしれませんけれども、単純に今までのお金という指標だけでは捉えられない取引形態というものが出てきているかと感じましたので、その辺りも、今後、議論を深めていく必要があるかなと思った次第です。

ありがとうございました。以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかに御質問等ございますか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

消費者庁の落合室長の御説明の取引DPF消費者保護法について、官民協議会がきちんと位置付けられているということ、それから、消費者、事業者、行政とで情報や申出制度を共有され、法律の実効性を高めるための制度に取り組んでおられるということはよく分かりました。

1つ教えていただきたいのは官民協議会についてで、7つの事業者団体が入っていますが、実際対象にした母集団といいますか、つまり事業者が、全体をどれぐらいつかめているのかというところが気になりました。

恐らく問題となる事業者は、7つの団体とは関係が薄いことが考えられるわけですけれども、そういったことを実は承知の上で、ルールを守ってやっている、一方でやっていきたいという積極的な姿勢を示している事業者に引っ張っていただくというやり方もあるかと思いますが、その辺りの工夫などについてもお聞かせいただければと思います。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁からお願いします。

○消費者庁落合室長 小野先生、ありがとうございます。

御指摘のあった官民協議会に参加している事業者がどれぐらいを占めているかということで、これは昨年6月の官民協議会でも申し上げているのですけれども、例えばオンラインモールみたいなところ、このオンラインマーケットプレイス協議会とか、アジアインターネット日本連盟、それからセーファーインターネット協会は、大手のオンラインモール、取引透明化法の対象である方が入っておられます。

あと、これも経産省の調査なのですけれども、BtoCのECの物品販売の規模というのは、大体約14兆円と言われています。

それからオンラインモールの、特に大手業者の売上高というのは、もちろん公表されているもの、されていないものも含めた推計値がありますけれども、半分とか、もっと超えて、6割、7割に行っているかもしれません。

そういう意味で、ほかの取引透明化法の対象になっていないものも含めて、かなり入っておられるので、シェアとしてはかなり大きくなっていると思います。そういった観点からも意図して入っていただいているというものです。

あと、大事なのは、関係が薄いとか、入っていない者をどうするかで、これはなかなか悩ましく、今、取組状況の実態調査を行っています。そこで入っておられない方にもお願いしていますので、回答をお願いする。もし回答が頂けなかったら、個々の事業者の回答の内容というのは、努力義務でもあり、出していないのですけれども、回答がなかった旨は、出させていただこうと思っております。そういった形で促していくと、現行法でできる範囲で、まずはやっていくということで取り組んでおります。

以上です。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

それでは、星野委員、お願いします。

○星野委員 御説明ありがとうございました。

これは、落合室長にということでございますけれども、まず、官民協議会につきまして、法律第7条に、私は、法律の専門家ではなく、経済のほうなのですが、読み方が間違っているかもしれませんが、官民協議会の構成員は云々と、消費者の利益の保護のために必要な取組を行うということでございますので、法律的な手段というか、経済的な手段とか、いろいろあると思いますけれども、資料1の6ページに、ベストプラクティスがいろいろ書かれていると思いますが、それに基づいて、デジタルプラットフォームの分類とか、点数化をするとか、表彰制度をつくるとかというのを、これは一応やろうと思ったらできることだと思うのですけれども、そういったことはお考えにならないのか。

あと、例えば、アメリカの、PIO-NETとか、あちらで例えばウォルマートとか、そういった業者も入って、お互いで情報提供をし合っているわけですね、同じシステムを利用して。そういった同じシステムを利用して、具体的な販売業者とか、販売内容に関しての情報共有をするというのも一つあり得るのかなと思いまして、そのようなことというのは、できないのかということです。

もう一つ、申出の状況です。資料1の25ページ、件数が非常に少ないということを、どのようにお考えなのか。実効的にということで、これも10条で内閣総理大臣に対する申出というのは、どこに申し出るかを法律に書いていない以上、例えば、国民生活センターとか、消費生活センターに代理権を付与して、途中で申し出てくださいみたいな形で、何かさせるとかというのもあり得るのではないかと、その相談の中で、みたいなこととかがあると思うのですけれども、具体的にそういったことは可能かと思うのですけれども、何かそのようなことをお考えになっておりますでしょうか。

○鹿野委員長 それでは、消費者庁から、御回答をお願いします。

○消費者庁落合室長 星野先生、ありがとうございます。重要な御指摘と認識しております。

1点目の経済的な手段、特に点数を付けたり、表彰ができないかと、これは検討しなければいけないなと思っていますが、ただ難しいのは、努力義務の規定であって、そこから指針に落としているところがあります。

その上で、実は業種業態が異なるところもあるので、一概に、例えばこの者は5点とか、3点とか付けるのは、例えば野球選手とサッカー選手を一緒の基準で評価するようなものでもあります。

他方で、求めていることは、スポーツ選手に例えると、必要な基礎体力のところも多いので、そこはしっかりやっていただく必要があるというところです。あと、表彰するかというのもありますけれども、この法律の立法趣旨が、努力義務をやっている者を消費者から選ばれるようにするとあって、今、そういった観点での啓発も検討しておりますので、そういったことをしっかりやっていきたいと思う次第であります。

それから、申出の状況、これは、確かに先生のおっしゃるとおり、法律上は内閣総理大臣で、消費者庁長官に委任をされているわけです。

実際、消費者庁のウェブサイトでお願いをしている。もう一つは書面でも出せるようにしているのですが、実際、消費者庁のウェブサイトをどれだけ見るのかとあって、これは、実はウェブサイトの閲覧数を上げたり、申出サイトが見られるような取組をしていますし、もう一つ大事なのは、消費生活センターの相談員、これは、全相協にお願いして研修をしている。特に、この法律と特商法の改正内容を御説明した上で、特に申出は相談員の方からもできるので、必要に応じてお願いする。相談員の方がしてくださった事案、それから相談員の方が本人に促してくださった事案、両方を把握していますので、そういう取組を続けていきたいと考えている次第であります。

○鹿野委員長 星野委員、よろしいですか。

それでは、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

取引DPF消費者保護法は、非常に重要な法律だと考えておりますけれども、併せてDPF透明化法も、私としては先ほどの最初の消費者庁の御説明のところの三角のBtoBですというところもありましたけれども、その観点で少しお話をお伺いしたいと思いますけれども、取引透明化法の定義規定、2条の4号で、一般利用者という定義があると。そして、その一般利用者に関する特定デジタルプラットフォームの提供条件等の開示という規定の2項の2号には、一般利用者に対しても開示義務を持っているという形の法規制になっていると考えております。

この辺りのところで、この一般利用者というのは、多分、消費者だと思うのですけれども、どういう形になっているのかということをお尋ねしたいのが第1点。

第2点は、板倉弁護士と仙田さんに聞きたいのですけれども、先ほど板倉弁護士がおっしゃっていました、いわゆるフェイク動画、フェイク広告みたいなものについてなのですけれども、こういうものというのは、デジタルプラットフォームのデジタル広告分野のモニタリングの中でも、いろいろ透明性を持った広告の規制というのをしなくてはいけないということになっていると思いますけれども、偽広告みたいなものというのは、恐らくメタとかも、非常に困っているのではないかと思うのですけれども、この辺りのところについて、DPF等、取引透明化法のモニタリングとかで対応するのか、あるいはほかの方法があるのか、これは、板倉弁護士と仙田室長、御両人にお聞かせいただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、まず、第1の質問について、仙田室長からお願いします。

○経済産業省仙田室長 御質問、ありがとうございます。

2点ありまして、それぞれお答えしたいと思います。

まず、透明化法の中で、いわゆる開示規定がございます。この開示規定について、消費者を含む一般利用者に対するものもある。これをどのように考えたらいいのかという御質問だと承りました。

これは、透明化法制定時の整理でございますが、この透明化法は、あくまでデジタルプラットフォーム提供者とデジタルプラットフォームを利用する事業者、法律上の言葉で言うと、「商品等提供利用者」の取引の透明性及び公正性の向上を図るというものでございます。

一般利用者に係る規律は、今、申し上げた目的を達成するために必要な範囲で、付随的に行われるという整理となります。

言い換えますと、一般利用者の利益の保護は、反射的な効果という形で整理されておりまして、一般利用者の利益は、「商品等提供利用者」、つまり、利用事業者の利益の保護を増進する限りにおいてしか保護されないという建付けとなります。細かいので冒頭の説明では割愛させていただいたのですけれども、第1条の中で、商品等提供利用者「等」という形となっており、この「等」のところが、今、御指摘の「一般利用者」が該当するわけなのですけれども、商品等提供利用者「及び一般利用者」とせず、商品等提供利用者「等」という形で規定しているというのも、正に、今、申し上げた整理が反映されているということでございます。こちらが1つ目の答えでございます。

2つ目の御質問でございます。

デジタル広告の中で、いわゆる消費者被害をもたらすような悪質な広告があって、それに対してどう考えているのかという御質問だと承りました。

先ほども申し上げましたとおり、経産省としては、「利用事業者」、つまり「広告主」ないしは「媒体主」の保護をする法律でございますので、その観点から取り組ませていただきたいと思います。

そういう意味において、御質問の類型ではないことは承知しているのですが、対応していることの御紹介ということで、いわゆる、アドフラウド対策を推進しています。広告主が出稿した広告を、消費者が見てくれれば、全く問題ないのですけれども、広告をクリックすると、広告主が課金され、お金を払う、という仕組みを悪用する不正なプログラムがあり、こうしたプログラムが広告をたくさんクリックして、それによって広告主の広告費用が無駄になっているという問題があります。この点は、特定デジタルプラットフォーム提供者も含め、対策が必要だということで、透明化法の枠内で対策を行っています。

その上で、御質問の偽広告につきましては、先ほどの繰り返しになるのですけれども、透明化法は、利用事業者目線のものですので、消費者目線での対応が法制的な意味で取りにくいことがございます。

さらに申し上げますと、法制定時の考え方として、御説明申し上げましたとおり、(透明化法は)利用事業者が大手のプラットフォームから一方的な取引条件の設定を受けることへの対応を行うものであり、いわゆる独禁法の補完法としての位置付けになっています。そういう意味において、指定事業者は独占的・寡占的な地位にあるプラットフォームでございまして、いわゆる偽広告の問題については、こうした特定のプラットフォームに限られるものではなく、かなり裾野が広い問題かと思っております。そういう意味で行くと、BtoCの観点から、透明化法が指定する事業者に限らず、幅広いプラッフォームを対象に、何ができるかという御議論を頂くのが良いのではないかと、やや僭越ですが、考えております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

板倉先生、何か。

○板倉弁護士 室長がすごく苦しそうで、申し訳ないなと思ったのですが、要するに、違法なたな子を放置していることによって、ほかのたな子が不利益を受けているという点では、モニタリングであまり何でも言わないほうがいいといった口で、また言うのかというのはありますが、その限りにおいては、やってというのは、是非言っていただいたほうがいいのだろうと思います。

シンプルに商標法違反、著作権法違反、名誉毀損、めちゃめちゃ刑事罰なので、登記もされましたから、どんどんガサ入れに行っていただいて、これは対応するしかないぞと警察で動いていただくのが筋だろうと思います。

サイバー事案については、サイバー局ができても、非常に御苦労されているのはよくよく存じ上げてはおりますが、しかしながら、やはりこれは対応コストが高いので、やるしかないなと言っていただくしかないし、毎日、今でもフェイスブックには、うそ広告がいっぱい流れてきます。依田高典先生の偽広告まで出たと、御本人は言っていましたから、マニアック過ぎるだろうと思いつつも、すごく出ているのです。

裏にいるのは、消費者被害ではなくて、ただの悪い人であって、ロマンス詐欺とかをやっている人たちと同じで、これを放置するというのは、日本国は犯罪集団に金を流して放ったらかしているということで、FATFの観点からも怒られますので、これは、とにかく日本は優先してやらないと大変なことになるのだと、デジタルプラットフォームに対してはメッセージを出していくと、これは、共同正犯とか共犯とか、そういう話にもなるのだとやっていただくのが、今のところではないかなと思います。

○黒木委員長代理 どうぞ。

○消費者庁落合室長 ありがとうございます。

偽広告は、一つは、私の直接の所管ではなくて恐縮なのですが、例えば警察であれば、偽アカウントとか、偽サイトに関して、今、板倉先生から御説明があったようなサイバー警察局も含めて、刑事で取り組んでおられるとか、必要なものがあれば、法に基づき対処されているだろう。

もう一つは、やはり情報、特にデジタル空間における適切な情報流通の在り方の検討ということで、先ほども座長の山本龍彦先生がいらっしゃいましたけれども、そういう有害な情報の流通への対策について、情報通信の関係者も取り組んでおられるということで、板倉先生のお話のように穴があってはいけないのですけれども、そういう様々な取組を横目で見て、特に平成31年の消費者委員会の提言もそうだと思いますけれども、各省庁含めてやっていく必要があるのだろうと理解しております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 手短に、先ほどの星野委員の御質問とも関係してくるのですが、落合室長の御説明の中で25ページと27ページに、申出の件数は、もちろん少ないといったところの御指摘があったのですが、あと、27ページのPIO-NETの相談事例というのも、私は、増えていないと、年間2,000件台ということで、現実には、これ以上に発生しているのではないかと考える中で、やはり泣き寝入りをしている、被害に遭っても、どこかに申し出ても解決できないと思っている消費者が多いのではないかなと推察します。

その背景には、やはり、御自身の、特に高齢者の方のデジタルリテラシーの低さといったところで、自信が持てずに申出ができないという課題があるかと思うのですが、そのような点について、何らかの対策を考えていますかという点が1点。

2点目は、板倉先生の御説明で、大きなデジタルプラットフォーマーの方々は、グローバルに展開されていて、やはり日本市場に対する対応、人口に比例する市場規模を考えても、他国に比べて対応が劣後してしまうような状況がある中で、どのような対策が取れるとお考えですか。もし、お考えが、良い案がございましたら、御教示いただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、まず、落合室長、お願いします。

○消費者庁落合室長 ありがとうございます。

重要な御指摘であり、1点目のところですけれども、まず、PIO-NETの相談事例の中で、泣き寝入りがあるのではないかということで、それは、全体の相談件数自体、大体年間90万件ぐらいありますので、単純に1か月で割ると大体約7万件になります。もちろん日数の差とかはあります。

そういった中で、そういうことがないように、これは、この法律のみならず、消費生活相談の使われ方とか、どうやってそれをより身近な形で相談につなげていくかのところにつながっていきますけれども、そういったところで全体を通じて相談していただくようにする必要がある。

ともすれば、通信販売は、これまでは広告規制だったので、相談があっても難しかったというところもあろうかと思います。なかなか対応に苦労されている相談内容も拝見することもあります。

他方で、相談員の中では、合意解除に向けて尽力される方もいらっしゃる中で、冒頭にも申し上げたように、令和3年の特商法改正で取消権が入った、そういうのも活用しながら、より被害救済をしていく必要があるだろう。

年間大体90万件の相談があるうち、20万件ぐらいがインターネット通販なので、そこは、やはり解決を図っていく必要があると認識しております。

もう一点は、グローバルのところが大事だとあって、オンラインモールの中で特にグローバルな会社で、日本でやっておられる方、個別名は申し上げませんが、実はそういった方々の本国のトップ層にも直接お話をさせていただく、例えば、日本にいらっしゃったときにお話をさせていただくと、こちらも更に私どもの上の者を含めて対応すると、そういった意見交換をしていく中で、先ほどの板倉先生のお話にあったように、日本の比重を上げなければいけない、日本経済は弱くなってしまうという中で、そういう働き掛け、これは個別になりますけれども、続けていきたいと考えております。

○鹿野委員長 板倉先生、お願いします。

○板倉弁護士 アメのほうは、落合室長がおっしゃったとおりで、トップとかとお話しするというのは重要で、では、ムチのほうはと言うと、シンプルに金銭的なサンクションを与えることだろうと思います。

登記のときに見ていて、登記の過料は微々たるものなのです。彼らからしてみたら、0.1秒で稼いでいるようなお金なのですけれども、しかしながら、それは全力で彼らは回避してこようとして、お金を取られるというのは、どうしても多分本国への説明がつかなくて、優先順位が上がるのだろうと思います。課徴金をつくるのが大変なのであれば、ピンポイントに、今、特に努力義務であって指導とかも直接は書いていないですけれども、指導、勧告、命令、違反したら更に過料ですというのがあって、場合によっては、そこまで行くのだというのを、メリハリをつけて書いていくのだと思います。今は全部、DPF消費者保護法は努力義務で何もないですが、メリハリが見直しのときには出てくると思いますので、必要なところで言うことを聞いてくれない部分は金銭的なサンクションを入れるというのが良いと思います。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

今村委員、お願いします。

○今村委員 私はあまりこのことについて詳しい人間ではないのですけれども、先ほど、中田先生から、基本的には、これは三者契約だということで、その三者契約に対して、今、透明化法と保護法があって、その中で、まるで完全免責かのような項目が今も存在するというお話で、2つの法律がカバーしている中で、その完全免責というのがあり得るようなものなのかということをお聞きしたい。

あと、これだけたくさんの利害関係者があって、特に商取引の形態が変わってきているということであれば、もっと基本的な法律が必要なのではないかと、板倉先生がおっしゃっているように附帯決議で穴だらけだということであれば、消費者庁の消費者基本法というのができて行われているわけですし、食品表示とかでも違う分野のものを集めて表示法というのができています。

私、医療系のものが多いのですけれども、がん基本法とか、今回で言うと、DPF商取引基本法のようなものがないと全体を網羅できないように思えるのですけれども、これはどなたにお聞きするべきか、中田先生と消費者庁からお答えを頂ければと思うのですが、いかがでしょうか。

○鹿野委員長 それでは、中田先生、お願いします。

○龍谷大学中田教授 重要な点の御指摘と質問をありがとうございます。

この取引DPF法だけではなくて、消費者法自体が体系化という問題を抱えていて、私、冒頭で消費者の権利と申し上げたのですが、では、契約したときに消費者がどんな権利を持っているのかと問われたときに、消費者法からは、そう簡単に答えられないということがあります。そうした経験からも、やはり問題があるだろうと思っています。特に、このPF取引の契約類型は、特商法上で保護されるのか保護されないのかと、誰が契約の相手方なのかという問題が出てくることになります。

例えば、本当に単純な例なのですが、この間、外国の方が、日本でホテルに泊まったのです。大手のホテルのサイトで契約をされて日本に来て、ホテルに泊まっていました。

ホテルに泊まって、そのときに、領収書がほしいと、領収書は誰が出すのだと、ホテルのほうは、これは、そのサイトで申し込まれたので、サイトで出してもらうことになっています。いやいや、宿泊契約の当事者はあなたでしょうと、だったらあなたが出すべきでしょうというので押し問答になるというトラブルが発生しました。今のは本当に単純な例なのですが、誰が契約の相手方で、もちろん約款とかに書いているのだとは思いますが、私に相談してきた先生は、プラットフォーム取引についての非常に有名な先生で、その契約を分析されている方ですが、日本語対応した方がよいので、私に依頼がありました。なので、私もホテルと電話やメールで何回かやり取りをして、領収書を出すのはやはりホテルの基本的義務でしょうと主張しました。だから、もし出せないのだったら出せるようにきちんとそういう状況を確保すべきだとも言いました。そうするとそのホテルと連携しているプラットフォームと相談しますみたいな話にもなりました。

そうだとすると、例えば中国の電子商取引法を見ますと、プラットフォーム事業者は領収書を出さなくてはいけないとか、そういうことが明確に書かれているのです。日本の民法でも当然そういうことが書いてあるわけです。領収書を誰が出すかというのは、契約当事者の義務ですが、それは約款で変えられるということになっているので、だとすると、そういう契約の基本的な部分を明確に示すということが大事だと考えています。そうなってくると、消費者法自体が、そういった消費者の権利というものをきちんと規定した上で、そういう分野において、それを展開していくということで、単に取引DPF法をつくればいいという問題でもないわけです。今みたいな問題を考えると。

ですから、今、特商法に置かれている通信販売の規定だけでは、十分ではないということは、多くの方々が認識されているのではないかと感じています。ただ、特商法という枠組みから、なかなか出られないようにも見えます。

特商法というのは、法律を読むと非常に難しい法律で、行政的な規制から始まっていて、民事的な、消費者が持っている権利を実現するというプロセスでは消費者がうまく道筋を立てて理解できない構造になっているように思います。

先ほど、泣き寝入りしている人がいるのではないかと、委員からも議論が出ていたのですが、この法律を見て、デジタルプラットフォームに異議申立てしようかという人は、恐らくあまりいないのではないかと思います。1,000円、2,000円のことで、何でこんなしょうもない商品を送ってくるのだと、送り返そうと思いますが、でも送り返すのも面倒くさいなというのが、多くの消費者の考えているところではないか。私自身も同様の経験をしたことがあります。個人では無理だとすると、それを支援するのが、やはり消費者団体であるわけです。消費者団体も、弁護士もこういう細かい、こんな額では動こうとしないわけですから、だとすると、絵に描いた餅になってしまうことになります。

そこをきちんとやることによって、取引の公正さを担保することによって、全体としてルールが形成されることになります。BtoBも同じだと思いますが、BtoCも公正な市場というものをつくり上げるために、どのように消費者、事業者、行政が、その法律あるいはその制度を利用してやっていくかと、そういうことが問われているのではないかと思います。

お答えになっているかどうか分かりませんが、そのように考えています。

○今村委員 そういう基本法が要るのではないかと思った次第です。

○龍谷大学中田教授 そのとおりだと思います。

○鹿野委員長 それでは、落合室長、お願いします。

○消費者庁落合室長 今村委員、ありがとうございます。あと、中田先生の今日の御説明、それから今の解説もありがとうございます。しっかり勉強させていただきたいと思います。

ただ、なかなか難しいのは、中田先生の御説明で、形式的アプローチとありました。私の冒頭の説明というのは、その形式的アプローチなのですが、まずは原則として、販売業者と消費者の契約があり、取引DPFというのは、それを支える場を提供している。ただ、場の提供にとどまらず、私が今日申し上げた法律とか、その他の法律も含めて規律が及びつつある。

そういった中で、まず、一つは当事者の確定、誰が契約当事者なのか分からないというのは、そこはしっかり示していく必要があり、かつ、それは今日、中田先生が御紹介された準則なども含めて、そういう取組が期待されるのだろうと思います。

それから、ホテルの問題は難しいのですが、ここは、観光政策の問題でもあります。あと海外OTAのうち、取引DPFに当たるものがある場合については、よく見ていきたいと思います。

あと、今村先生がおっしゃった基本法をつくるべきだと、これは御意見としてはそうだと思うのですが、他方で、日本では、これまで民法があり、それの特則として消費者契約法ができている。それから、特定商取引法は、もともと旧訪問販売法だったのですけれども、そこに民事ルールが加わっていると。長らく通信販売は民事ルールが乏しかったのですが、取消権も入っているという形でいろいろなものがあり、なかなか1つの法律に、今更まとめるのは難しいところはあるものの、どうやってその法律を使えるか、うまく分かりやすく使えるか、特に相談の現場とかを含めて、それを私どもは意識して、分かりやすく御説明をしていくということが大事だろうと思います。

以上であります。

○鹿野委員長 今村委員。

○今村委員 法律を一本にまとめてというのは無理だというのは分かるのですけれども、基本法は、基本的には屋上屋なのです。私も行政におりましたので、こんなに無駄なものをつくってとよく思いましたけれども、でも、それは関係者が嫌でも顔を合わせて穴を埋めろということは、させられる法律なのです。ですから、この基本法は、それ自身は屋上屋なのですけれども、穴を埋めるという効果は非常にあって、だから法律を統合する必要ということではなく、穴を埋める対策ということを少し考えていただく方策としてはあり得るのかなと思いました。

○消費者庁落合室長 ありがとうございます。

消費者基本法の中にも消費者契約の適正化という内容があったと思います。それをどう具体化していくかというところなのですが、頂いた御指摘も踏まえつつ、より良いものをつくっていくことが大事だと思います。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

ほかにございますか、まだ、発言されていない委員の方々、よろしいですか。

それでは、時間も当初予定した時間を経過しましたので、質疑応答はこれぐらいにしまして、本日の委員からの御意見に、本日の御報告を受けての私の意見も加えて、最後に少しまとめを試みてみたいと思います。

まず、取引DPF消費者保護法全体に関わる点ですが、PIO-NETにおけるプラットフォーマー関連の相談件数を見ると、取引DPF法が施行された令和4年5月以降も相談件数は減少しているとは言えないことが確認できました。まずは、幾つかのデータを掛け合わせるなり、あるいは相談内容を分析するなどをして、その要因を明らかにすることが必要であると思います。そして、法施行後の相談状況を踏まえて、改善ないし改正すべき点がないかということを検証すべきではないかと思われます。

それから、本日の御報告あるいは意見交換の中では、やはり実態把握が足りていないのではないかという御指摘もございました。また、そもそも、この法律だけではないかもしれませんけれども、全体として穴が多いというところもあり、その穴を埋めていく作業が必要であるという御指摘もありました。

それから、努力義務の法律という形になっていて、これを使ったいろいろな工夫がされていることは重々承知してはいますけれども、実際上は、実効性が十分に確保されているとは言えない場面もあることが確認できたのではないかと思います。これらも含めて全体の方向性を考える必要があると思いました。

次に、取引DPF消費者保護法のより具体的な内容に関してですが、まず、努力義務規定である第3条の第1項に基づく措置についてでございます。

同条1項3号、これは販売業者等の特定に資する情報の提供に関する規定ですが、これについては、官民協議会において、販売業者等のアカウント登録時に、プラットフォーム事業者からその販売業者の特定に資する情報の提供依頼がなされていない場合や、販売業者等からその裏付けとなる公的書類の提出がなされていない場合等があるとの御指摘もあり、また、本日、有識者からは、3条1項3号の情報提供要求、つまりプラットフォーム事業者が販売業者等の情報を把握するということについては、努力義務ではなく、法的義務にすべきなのではないかという御意見も頂いたところでございます。

また、3条の2項の規定する取引DPF提供者による開示につきましても、法に基づく取組の状況が一覧できるような形で、明示的には開示されていないという場合があり、取組が必ずしも徹底されていないという御指摘もあったところでございます。

官民協議会に参加していないプラットフォーム事業者による取組の状況なども踏まえながら、同条が今後も努力義務規定であることが果たして妥当なのかどうか、少なくともその一部については、法的義務に引き上げることが必要ではないかなどについて、検証すべきだと考えた次第でございます。

次に、第4条に基づく商品等の出品の停止についてでございます。これについては、消費者庁から法に基づく要請を行った件数についての御報告がありました。ただ、まだまだ件数は少ないと、恐らく潜在的な問題は、まだ数多くあるのではないかと推測されるところです。

消費者の安全かつ安心なプラットフォーム上の取引を実現するという観点から、端緒情報の把握の在り方も含め、あるいは本日御指摘のあった重要事項の対象に関する点などの検討も含め、同法を一層活用することができるよう検証すべきだと思われます。

次に、第5条に基づく開示請求についてでございます。この点、官民協議会においてアンケートを実施する等、状況の把握に努められているという点は評価できるものと思います。

しかし、消費者の取引の相手方が販売業者等とは判断できなかったとか、あるいは消費者の債権額が1万円を超えないと判断された等の理由により、非開示とされている場合があるということも確認されました。

例えば、1万円という基準が果たして妥当なのかということだとか、現在はBtoC、つまり本日の議論の中でもしばしば出てきましたけれども、現在は、特定商取引法の通信販売を言わば補完するような形でのルールにとどまっているわけですけれども、デジタル取引の健全性あるいはそこにおける消費者の保護ということを考えた場合には、CtoC取引におけるトラブルをどう整理したらいいのか、そこにおけるDPF提供事業者の役割はどうあるべきかということについても、併せて検討する必要があると思いました。

次に、第10条に基づく申出についてでございます。本日の消費者庁からの御報告によりますと、令和5年4月1日から12月31日までの合計の申出件数は261件とされているようです。この申出を消費者の利益の観点から、いかにプラットフォーム市場の健全性確保につなげていくのかということが極めて重要であると思います。

さらに、この申出についても、この数字が十分と言えるのかどうか、一般の消費者にとって、ニーズはあるのだけれども申出をしていないという実態があるのではないかという御議論もあったところです。

一つには、申出のやりやすさという運用上の問題もありますし、もう一つには、申出を受けて、それを今後の改善に活かしていくということ、その両方とも必要なのだろうと思いますし、特にそのような対応については、消費者庁だけではなくて、せっかく官民協議会という場を設けているわけですから、それを効果的にプラットフォーム事業者間でも共有し、それを改善につなげていただくことが重要であると思いました。

それから、今は、法律の規定に則して比較的具体的な話をしたのですが、現在の取引DPF消費者保護法では、取り上げられていない重要な論点も多くあるように思います。最初に一般的な形で少し申し上げましたが、特により具体的なところで言うと、国会の附帯決議で指摘されていた諸点については、引き続き検討を進めていくことが必要だと考えます。

先ほどの言及と一部重なりますが、附帯決議の中でも、例えば、CtoC取引への対応ということ、あるいはオンラインによる裁判外紛争解決手続、いわゆるODRの提供について、あるいは、本日の議論でも出てきましたように、SNS等を利用した取引における消費者被害の問題などについては、特に検討を進めていくことが必要であると考えているところでございます。

次に、特定デジタルプラットフォームの透明化法についてですが、本日、経済産業省にもお越しいただいて、透明化法についても御説明いただきました。

そこで御説明をしていただきましたように、同法は、BtoBの取引関係を規律するという目的の法律であるということですが、ただ、間接的であるにせよ、モニタリング会合での議論や大臣評価の結果など、あるいは開示という点でも、本日質疑応答がありましたけれども、そういうところで、消費者の利益に関わる点もあると考えられます。

そのため、消費者委員会としても、引き続き、同法とその運用について注目していきたいと考えているところであります。

最後に、今までと若干重複するところもあるかもしれませんけれども、本日は、十分には触れられなかった関連事項についても、幾つか触れておきたいと思います。

デジタル取引をめぐる消費者問題としては、例えば、ダークパターンの問題、プラットフォーム上で行われる決済の安全性と透明性の問題、あるいは本日も少し出てきましたが、広告の中でも、ターゲティング広告なども含め、プラットフォームに現れる広告の問題、それから、これも本日の議論で言及された、お金だけでは捉え切れないような、いわゆるアテンション・エコノミーと言われるビジネスモデルの問題などについて、消費者保護との関係でどのように整理していくべきなのかという点を指摘できます。これらも今後の重要な課題だと考えています。

我が国を取り巻く環境変化として、高齢化、国際化並びにデジタル化があり、プラットフォームはデジタル社会の中心を担うと言っても過言ではないものでございます。その消費者保護ルールの在り方を、引き続き考えていくことが極めて肝要だと考えております。

本日の有識者からの御意見には、情報の問題なども含めたDPFに関する総合的な施策の必要性や、取引型のDPFについても、特商法の通信販売ルールの一部補完という位置付けではなく、より正面から契約構造などを捉え、あるいは基本的な考え方をきちんと整理した上でのルールが必要なのではないかという御意見も頂戴したところでございます。

諸外国、特にヨーロッパでは、デジタルプラットフォームに関するルール整備がダイナミックに推進されていますし、本日の御報告でも触れていただきました。

日本のプラットフォーム関連の消費者保護ルールが、現在のところ、従うかどうかというのが任意ベースになっている部分がありまして、国際的なDPF提供事業者からは、法的義務ではないので従わなくても大丈夫かというような認識が持たれることもあるようで、現状ではそこにきちんと対応していただくのが難しい場面もあると伺ったところであります。

他国より低いルールの状態であれば、悪質な海外事業者から日本の消費者が狙い撃ちにされるということにもなりかねませんし、プラットフォーム事業者の競争という観点からも不都合が生ずると思います。健全なデジタル市場を確保するという点では、国際的に事業を展開する事業者にとっての優先順位を上げるという言葉も頂きましたけれども、そういう仕掛けが必要なのではないかと考えているところです。

もちろん、デジタル化の問題は消費者庁だけではなくて、政府全体で考えるべき問題も多いとは思いますが、少なくとも消費者の利益保護という観点からは、消費者庁が中心になって、課題は多いですけれども、比較法的な観点も踏まえながら、是非引き続き検討を進めていただきたいと考えております。

当委員会としましては、本日、委員から出された意見も踏まえ、次期消費者基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について検討し、取りまとめを行っていきたいと思います。

本日御出席いただいた皆様におかれましては、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。

○消費者庁落合室長 1点だけ、すみません、よろしいですか。もし、お許しいただければ。

○鹿野委員長 はい。

○消費者庁落合室長 今日御審議いただき、かつ、いろいろなお話を伺い、ありがとうございました。こういう形で御意見を頂いてから、すぐにまとめが出てくるとは思わなかったので、そこは、正直驚いているのですが、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法に係る課題について、まだ、運用のフェーズであったり、もともとの法律の規定の趣旨もありますけれども、運用からやっていきたいと思います。

あと、様々な御指摘を頂きました。鹿野委員長のお話にもあったとおり、政府全体のところというのは大事でして、消費者庁は消費者が安心して安全で豊かな消費生活を営むことができる社会を実現するための役所なのですが、もちろんデジタルプラットフォーム周りについては、平成31年の中田先生がまとめてくださった報告書、提言がそうであるように、競争政策であったり、情報であったり、様々なものとの関連があると思います。

特にSNS型については、山本龍彦先生が座長でデジタル空間における情報流通の健全な在り方を検討されているというものもありますので、全ての問題を消費者政策で対応というのは難しいのかもしれませんけれども、よく連携を取って、板倉先生御指摘の穴がないように取り組んでいきたいと思います。

○鹿野委員長 期待しておりますので、是非よろしくお願いします。

それでは、お忙しいところ、審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に、事務局より今後の予定等について、お話を頂きます。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページなどを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

本日は、お忙しいところ、ありがとうございました。

(以上)