第420回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年12月26日(火)10:00~11:27

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、大澤委員、小野委員、中田委員
    (テレビ会議)今村委員、柿沼委員、原田委員、山本委員
  • 【説明者】
    独立行政法人国民生活センター相談情報部 相澤相談第3課長
    金融庁監督局 椎名証券課長
    金融庁証券取引等監視委員会事務局 萩藤証券検査課長
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(法や執行体制の及んでいない事業者への対応)
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 皆様、おはようございます。定刻になりましたので、ただいまから、第420回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、黒木委員長代理、大澤委員、小野委員、中田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。

今村委員、柿沼委員、原田委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。

なお、原田委員は、11時頃に御退室と伺っております。

星野委員は、本日、御欠席とのことです。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足などがございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(法や執行体制の及んでいない事業者への対応)》

○鹿野委員長 本日最初の議題は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、法や執行体制の及んでいない事業者への対応についてでございます。

昨今、海外に事業拠点を持ち、日本国内の旅行者向けに事業を行うオンライン旅行取扱事業者、以下、海外OTAと申し上げたいと思いますが、この海外OTAが販売した旅行商品により、消費者トラブルが発生したなどの報道が見受けられます。

海外OTAは、日本の旅行業法上の登録を受けていない場合もあると見られ、日本の法規制が及ばず、消費者保護が十分でないということも考えられます。

そこで、今回、本委員会において、海外OTAをめぐる問題について、ヒアリングと意見交換を実施することといたしました。

なお、今回のテーマに関しましては、いつもとは違ってスケジュールの関係上、本日と次回の2回に分けて検討することを予定しています。

本日は、まず、前半に海外OTAに係る消費者トラブルあるいは消費者相談の現状等について、国民生活センターから御説明いただき、意見交換を行います。

続いて、後半では、同じく無登録事業者による詐欺的勧誘などが問題になり、それに対する対応が課題となる分野の中でも、特に金融商品取引分野については、金融商品取引法などの業法で、行政規制や行政監督の規定がいち早く整備されてきたと伺っておりますので、金融庁から無登録で金融商品取引業を行う事業者に対する取組等について御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。

その上で、次回の本会議では、観光庁にお越しいただき、海外OTAに対する規制の状況などについて、御説明いただく予定にしております。

それでは、早速、前半のヒアリングに入ります。

本日は、御説明者として、国民生活センター相談情報部相談第3課長の相澤様にオンラインにて御出席いただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、相澤様、御説明をよろしくお願いします。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 よろしくお願いいたします。御紹介いただきました、独立行政法人国民生活センター相談情報部相談第3課長の相澤でございます。

本日は、海外OTAに関する消費生活相談について、御説明を申し上げます。よろしくお願いいたします。

それでは、早速ですが、資料1「海外OTAに関する消費生活相談について」と題しました資料を御覧ください。

2ページを御覧ください。

本日は、こちらに記載の事項について、御説明をさせていただきます。

3ページを御覧ください。

まず、相談件数について御説明いたします。統計の数字は、国民生活センターと全国の消費生活センターとを結びました相談情報のデータベースであるPIO-NETでの2023年11月末日登録分までを使用しております。

では、4ページを御覧ください。図1を御覧ください。

インターネットで予約した旅行に関するトラブルの年度別件数と、そのうち海外OTAの相談の件数及びその割合を示しております。

各棒グラフ全体がインターネットで予約した旅行に関する相談の件数です。2023年度は11月末日までで2,771件となっております。このうち、オレンジの斜線の部分が、海外OTAに関する相談件数を示しており、2021年度452件、2022年度860件、2023年度11月末日までで676件となっております。

緑色の折れ線グラフは、インターネットで予約した旅行に関するトラブルのうち、海外OTAに関する相談が占める割合となります。

2023年度は11月末までの数字ですので、これを2022年度11月末までの数値と比較しますと、図の下の米印1の最後の行に記載をしておりますとおり、昨年同期は、インターネットで予約した旅行の相談件数が2,779件、海外OTAの件数が499件、割合は18.0パーセントとなっております。

なお、PIO-NETに海外OTAのキーワードが設置されたのは、2021年度となります。

では、5ページを御覧ください。

インターネットで予約した旅行に関するトラブルのうち、海外OTAの相談であるものの傾向を御紹介いたします。

図2は、契約者の性別・年代別件数となります。全体で女性の割合がやや多く、男女とも20歳代が最も多くなっています。

図3は、契約金額の平均の年度別推移を示しております。

では、次のページを御覧ください。

続きまして、相談事例を御紹介いたします。

7ページを御覧ください。

海外OTAに関するPIO-NETに見る相談事例となります。国民生活センターでは、2023年9月20日に、「インターネットで予約したホテルや航空券のトラブル-キャンセル条件など、契約内容は自分自身でよく確認!-」と題しまして、報道発表、注意喚起を行いました。参考資料の1-1、1-2となっております。こちらを御参照いただけますと幸いです。

この注意喚起の中で、海外OTAに関する相談や注意点も取り上げており、今回の資料の7ページに記載している事例1、2は、当該公表資料中に記載をしているものです。このため、本日、ここでの読み上げを省略させていただきます。

続きまして、8ページを御覧ください。

こちらは、同公表資料に記載のない事例となります。読み上げて御紹介をさせていただきます。

事例3、国内線の往復航空券2名分を、海外事業者が運営する旅行予約サイトで購入し、クレジットカードで支払った。その後、旅行予約サイトよりメールで「台風で復路の便が欠航になったので航空会社に確認すること」と連絡が来た。航空会社に電話をかけると「取消し手続をしている。返金は旅行予約サイトに問い合わせて」と言われた。旅行予約サイトに電話をかけているが、呼び出し音が鳴ると切れる。HPからチャットしたが、日本語対応もなく、返金してもらえない、という御相談になります。

事例4でございます。国内線の航空券を海外事業者が運営する旅行予約サイトを通じて申し込んだ。確定メールで申込みどおりの10時台の便で航空券が取れたと返信があった。しかし、その後のメールで「朝7時台の便に変更しました」と一方的に連絡があった。どういうことか分からず、航空会社に確認したところ、「当初から7時台の便の予約である。席は確実に確保している。旅行予約サイトを通じての申込みになっているので、時間変更をしたい場合は旅行予約サイトを通じて変更してもらわないといけない」と言われた。旅行予約サイトに電話をしたところ、片言の日本語を話す人が出て「調査する」とだけ言われ、その後連絡がない。当初の申込みどおりの便に変更してもらいたい、という御相談です。

事例5でございます。国際線の航空券を海外事業者が運営する旅行予約サイトで購入した。姓名の入力は、妻と一緒に確認しながら行ったので間違いはない。しかし、航空会社のチェックインカウンターで「姓名が逆になっているのでこれでは搭乗できない」と拒否された。「姓名の入力時に確認して購入しているのでシステムエラーではないか」と旅行予約サイトに申し出たが、30万円もする航空券について対応されない、という御相談になります。

では、次のページを御覧ください。

次に、相談事例や相談対応などから、課題と考えている事項について御説明いたします。

10ページを御覧ください。

相談事例から見る特徴と問題点として、4つ挙げられるかと思います。

1つ目は、日本語表示のため海外事業者と気付きにくいという点です。日本の消費者が利用している旅行予約サイトは、海外事業者が運営している場合でも日本語表示のサイトであることがほとんどです。また、国内旅行についても予約ができます。

このため、消費者は利用時に運営主体が海外事業者だと認識していない場合が多いと思われます。トラブルになってから認識することとなるのですけれども、事業者の対応が、消費者が期待した対応と異なる場合があり、これが消費者にとってフラストレーションであったり、納得がいかないということになっているかと考えられます。

2つ目は、カスタマーサービスと円滑なコミュニケーションができない場合があるという点です。

1つ目の、期待したサービス対応と異なるというものの一部分となるわけですけれども、特に日本語でのコミュニケーションが円滑でないという点です。海外OTAでは、カスタマーサービス対応が日本語とは限りません。また、日本語対応の場合も、日本語ネイティブではない場合があります。このため、意思疎通がスムーズにいかず、相談者と事業者の間では話が進展せず、消費生活センターへの相談につながると考えられます。

事例3や4のケースでございます。

3つ目は、契約相手がどの事業者であるのかが分かりにくいという点です。旅行予約サイトの利用規約等からは、航空券の売買や宿泊サービスの提供契約は、航空会社や宿泊施設と消費者との間で締結されると考えられる場合が多いと思いますが、消費者は契約の相手方がどの事業者となるのか認識していないことが多いように思われます。

また、利用規約に同意して取引しているものの、利用規約全文又は主要箇所を読んでから取引しているかというと、そうではないと思われる場合がありますし、また、利用規約の記載ぶりから、どの事業者とどのような契約を締結しているのかがそもそも分かりにくいという場合もあります。

旅行予約サイトを利用して問題が生じた場合、消費者は、まず、旅行予約サイトのカスタマー対応窓口に連絡をすることが多いと考えられますが、旅行予約サイトでは対応できない、航空会社等に問い合わせてほしいと言われる場合があります。それに従い航空会社等に問い合わせたところ、旅行予約サイトでないと、あるいは旅行予約サイトを通じて対応してほしい、そうでないと対応ができないなどと言われて、たらい回しのように消費者が感じることがあります。

事例1から4、また、たらい回しのようなケースとして、事例2がございます。

では、次のページを御覧ください。

4つ目として、申込内容や契約内容は、消費者自身が確認することが基本となりますが、契約内容や利用規約等の確認が消費者側のほうで不十分な場合があるという点です。

旅行予約サイトでの契約はインターネット上での取引となりますので、サイトの運営主体が国内事業者か海外事業者かを問わずに、内容確認は消費者自身が行うことが基本となるかと思います。

旅行代理店の店頭で契約する場合には、代理店の方が口頭で説明してくださったり、確認を一緒にしてくださったりということがあるかもしれませんけれども、そういったことがありません。

契約成立後は、入力ミス、例えば、航空券予約で姓と名を逆に入力してしまったといったことに後から気付いても、修正ができず、元契約のキャンセルと再契約を案内されることが多いかと思います。

その場合、元契約については、元契約の規約に従ってキャンセル料が掛かることになります。

また、同じ航空会社、宿泊施設でも、プランや時期、キャンペーンなどによって、価格や契約の内容、条件、これは、キャンセル料、お食事やお部屋のビューの条件等々などですが、これらが異なります。

このため、過去に利用歴のあるサイトであったり、以前に同じサイトでチェックしていた航空券や宿泊施設であったり、また、別のサイトや公式サイトで見たことがあったとしても、今回、申込みをしようとしている契約の内容については、同じとは限りませんので、都度確認が必要となります。しかし、この点、消費者の確認が不十分と思われるケースも見られます。

また、申込み時の確認画面、予約確認や完了のメールあるいはサイトのマイページなどの機能などによって、御自身の契約内容や契約ステータスが分かるようになっていることが多いかと思いますけれども、その確認が不十分であって、後からそのような条件で契約する、あるいは契約したつもりではなかったというケースも見られます。

また、トラブルの内容ですけれども、キャンセル料に関するものが多く、消費者が申込み前にキャンセル条件を確認していないと思われるケースもございます。

また、キャンセル条件などがリンク先のみに記載されていることもあり、消費者が見落としてしまうということもあるかと思います。

航空券と宿泊施設を旅行予約サイトで一緒にといいますか、同時に予約した場合に、キャンセルの条件がそれぞれ異なっているけれども、一方の条件、例えば、キャンセル料が掛からないといったものが、他方にも適用されると誤認しているようなケースもあります。事例1が、このような場合になります。

では、次のページを御覧ください。

相談対応における課題といいますか、海外OTAとして整理をする際に難しいと感じている点として、海外OTAが何を指すのかというのが一義的ではないということがあるかと思います。

(1)ですが、OTAという用語自体は、Online Travel Agentの略と考えられますので、国内及び海外事業者両方が含まれます。

これについて、観光庁のガイドラインにおいては、オンライン旅行取引事業者と表記されています。いわゆる場貸しサイト、メタサーチは含まれないと考えられますが、場貸しサイトやメタサーチといったような用語も一般的に使用されておりまして、その定義が一義的ではないように思われます。

また、ガイドラインでは、一般にOTAを通じて運送等サービスを予約する場合、旅行者とOTAとの間に運送等サービスの手配業務に関する契約が成立し、旅行者とサービス提供事業者との間で、直接運送契約又は宿泊契約が成立することになる。これに対し、場貸しサイトやメタサーチについては、サービス提供事業者又はOTAが提供するサービス又は旅行商品を紹介するものに過ぎず、具体的な申込みや予約は、サービス提供事業者又はOTAと旅行者との間で直接行われる、と記載があるところです。

(2)ですが、次に、海外OTAという用語については、ガイドラインでは、海外に拠点を有しながら日本語サイトを立ち上げて日本国内の旅行者に向けて事業を行うOTAという記載があります。

これは、旅行予約サイトの運営事業者の事業所が国内にないものと考えられます。ここには、日本に事業所があっても、その事業所が旅行予約サイトの運営主体ではないものも含むと考えます。

例えば、日本に事業所のある事業者であっても、日本の消費者が利用した日本語サイトの利用規約には、運営は海外法人との記載があるケースがありまして、日本の事業者に確認すると、そのとおりであるという回答がありました。

また、サイト運営主体が海外事業者の場合、海外OTAなのか、場貸しサイトなのかといったことを利用規約等から判断することが難しい場合があると感じています。

当該サイト運営事業者のサービス内容や利用者との契約関係、航空会社、宿泊施設との契約関係がどうなっているかが分かりにくく、相談現場では、海外OTAには、国内会社や、航空会社、宿泊施設それぞれに何を主張し得るか、どこがどの範囲の責任を負うのか、また、負うべきなのかといったことが分かりにくいと感じています。

以上で、私からの御説明を終わらせていただきます。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

これより、ただいま御説明いただいた内容について、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。時間は約10分でお願いします。いかがでしょうか。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 国民生活センターの方に聞いていいかどうか分かりませんけれども、旅行業法の2条では、旅行業務、施行代理・媒介・取次ぎ業務が、旅行業法上の対象となるということなのですけれども、今のような場合で取次ぎ業務をしているということで、旅行業法の適用の対象事業者だと考えて相談現場は行われているのか、それとも、今のようなところというのは適用除外なのか、そうすると、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法は適用されると考えていらっしゃるのか、観光庁に聞くのが一番いいのでしょうけれども、まず、その点についての国民生活センターの法の適用関係についての御認識が分かれば、教えていただければと思います。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 御質問ありがとうございました。

まず、1点目は、海外OTAに旅行業法の適用があると考えているのかどうかということで、よろしいのでしょうか。

○黒木委員長代理 はい。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 こちらについては、先ほど申したとおり、海外OTAが何を指すのかというところにも関わるかと思うのですけれども、当該利用しているサイトの運営主体が、海外の事業者である場合には、旅行業法の適用がないと考えております。旅行業法の対象かどうか、という点は、観光庁様等のお考えということになるのかと思うのですけれども、相談現場では、そのように考えております。

相談をした中で、例えば、先に御紹介した、9月20日の公表資料などを作る際に、情報提供先として観光庁様にも御提供をさせていただいていたのですけれども、そういったところのやり取りの中で、現場の担当者の中では、そういった関係についても観光庁様に確認はさせていただいているところです。

また、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法の適用があるかどうかというところについてなのですけれども、これも所管の消費者庁様の御判断になるのかと思うのですが、条文を読む限りでは、適用の可能性がある、適用の余地があるのではないかと考えられるのではないかと思っております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

そうすると、仮に海外OTAについて、日本に代理店とか、そういうようなものがあれば、旅行業法の適用があるという前提で考えていらっしゃるということでいいですか。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 はい。しかしながら、先ほど少しお話をさせていただいたのですけれども、日本に事業所がある事業者であっても、当該サイトについての運営主体は海外法人ですと利用規約に書いてあり、そのことについて、日本の事業者に問い合わせたところ、そのサイトの運営主体は記載のとおり海外の事業者になりますと、お答えを頂いたケースもございましたので、そういった場合には、日本に事業所があるけれども、そのサイトの運営主体は海外の事業者になるのではないかと考えております。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 大澤委員、お願いします。

○大澤委員 非常に分かりやすい御報告を頂き、ありがとうございました。

今の黒木委員の御質問に関連するところなのですけれども、結局、OTAの法的な立ち位置がどういう立ち位置なのかによって変わってきていると理解をしました。

それに関連して、先ほど御報告の中で、航空会社やホテルに言っても、いや、それは旅行予約サイトを使ったので、そっちに言ってくださいということで、消費者がたらい回しになっているということですが、もちろん、この場合の航空会社やホテルも、もちろん日本にあるのか海外にあるのかによって、また変わってくると思うのですが、結局、ただ航空会社やホテルは、こういうOTAが運営しているサイトを使って、そこで要は商売をしているわけで、そこを利用して、要はお客さんを増やしている状況ですから、そのときに、今、黒木委員がおっしゃっていたのは、どちらかというとOTAのほうですが、私は、そういうサイトを使っている航空会社やホテルに関して、それはサイトでやっていることなので私たちは知りませんということが、果たして認められるのだろうかというのが気になっています。

こういった航空会社やホテルについて、もちろん国内外両方あり得るので難しいと思うのですが、こちらに関して、例えば、旅行業法あるいは各種業法等の適用による責任追及の可能性だったりとか、そういったことはあるのでしょうかというのが1点です。

2点目は、トラブルで20歳代が多いということをおっしゃっていましたが、20歳代が多いのは、単純に今の20歳代の若者が、オンラインで旅行を探すことが多いからということなのか、しかし、それは私も40代ですけれども、私もオンラインで探したりするので、恐らくそれだけではなくて、例えば、値段が国内のほかの業者に比べてものすごく安くて、若者にとって魅力的であったりとか、そういう広告があるという理解なのでしょうかということです。

以上になります。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 御質問ありがとうございました。

1つ目の御質問は、航空会社やホテルなどについても。

○大澤委員 すみません、私の質問がよくなかったと思うのですが、キャンセルとかが問題になっているということだったと思うのですけれども、当然ホテルが国内の業者であれば、かつ消費者がホテルと契約しているということであれば、当然そのキャンセル料というのは、消費者契約法の9条1号の平均的損害を超えるかどうかという問題になってくると思うので、それで伺った次第です。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 分かりました。どうもありがとうございます。

個々の事案によると思うのですけれども、全体的にキャンセル料が高いとか安いとか、そういうトラブルであれば、国内のホテル等について、今、御指摘いただきました消費者契約法上の部分で問題があるのではないか等を主張していく余地があるのかなと思います。

先ほどのたらい回しになるケースがあるといったところでは、事例にもよるのですけれども、あとは、OTAと航空会社や宿泊施設との間の契約が、当該消費者の方が契約したプランあるいはキャンペーン等々において、どのようになっていたかということによるのかなと思うのですが、例えば、航空券などで言えば、キャンセルの条件ですとか、そういったものについては、航空会社が決めているということが多いので、海外OTAのカスタマーセンターとすれば、そのことについては、航空会社に言ってくださいと御案内をすることが多い、消費者から見れば、案内をされることが多いのかなと思います。

一方で、海外OTAの利用規約の中などにも、海外OTAを通じて航空券を予約した場合には、最初のお問い合わせとか、そういったものはまず海外OTAのほうにしてくださいと記載されているものもあります。一回OTAのほうに言うのだけれども、OTAのほうからは、そのことについては、航空会社のほうに言ってくださいと言われてしまうということが、まず、ある。

さらに、その上で、航空会社に言ったけれども、そのことについては、もう一度、海外OTAに確認してみてくださいといった形になってしまう事例もあると思います。

この場合の航空会社も、国内のエアラインなのか海外のエアラインなのか等によっても違う部分もあるようにも思われますし、事例により様々なのですけれども、やはり消費者から見ると、ここに問い合わせたのに、そこから、また、別のこちらに言ってくださいと言われてしまうと、まず、第一段階でそういうことがあり、更に場合によっては、航空会社、ホテルに言ったけれども、そこから更に、いやいや、そのことは、もう一回海外OTAに聞いてみてくださいと、戻されてしまうといったことになります。私たち相談現場では、御相談がありますと、まず、規約ですとか、そういったことを確認していくのですけれども、実際に、事業者に御連絡をする際には、OTAにも連絡をするけれども、航空会社ですとか宿泊施設にも御連絡をするという形で、多方面に連絡をしていくといったことも対応としては行っています。

このようなことで、回答になっておりますでしょうか。

○大澤委員 はい、時間が限られていると思いますので、どうもありがとうございました。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 ありがとうございます。

そして、2つ目に頂きました、20歳代が多い理由という点、お話しいただきましたように、若い方のほうが、オンラインで予約するといったことに慣れていることもあるのかなとも思いますけれども、一方で、一般的にでございますけれども、公式サイトなどから買う場合よりも、OTAを通じて買ったほうが安いということがあることは、そうではないかなと思います。

また、海外OTAの中には、自分のところが一番安いということを標榜されているところもございますので、こういったところで、安さということは確かにあると思います。

そして、安い一方、キャンセル料が100パーセント掛かってしまうといった条件の商品も多いのかなと思います。

一方で、これは、今、手元に確実な数字があるわけではないので、印象のようなことになってしまうのですけれども、コロナのときに、旅行自体はいろいろな政策でできなかったということもあるかとは思うのですけれども、インターネットを使っていろいろな商品を買うといったことも、より一層普及してきたところもあるのかなと思いましたり、また、海外OTAがCMを打たれるなど、そういったところで、より広い層にも浸透もしてきたり、また、旅行代理店様の店舗が、コロナの期間を通じて少し縮小されたりといったこともあったようにも思われますので、そういったことを含めると、20代に限らず、利用をしている方は増えてきているのではないかと感じられるところです。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

予定した時間が経過しているのですが、次に移ってよろしいでしょうか。

国民生活センターにおかれましては、御説明、御回答を頂き、大変ありがとうございました。どうぞ御退出ください。

○独立行政法人国民生活センター相談情報部相澤相談第3課長 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

(独立行政法人国民生活センター 退室)

(金融庁 入室)

○鹿野委員長 続きまして、金融庁から御説明を頂きます。

本日は、御説明者として、金融庁監督局証券課の椎名課長、それから、証券取引等監視委員会事務局証券検査課の萩藤課長にお越しいただいております。お忙しいところ、ありがとうございます。

それでは、15分程度で御説明をお願いいたします。

○金融庁監督局椎名証券課長 おはようございます。金融庁監督局の椎名と申します。よろしくお願いいたします。

お手元の資料「無登録で⾦融商品取引業を行う者への対応等について」というパワーポイントがあるかと思いますが、1ページ目を御覧ください。

まず、金融商品取引業、いわゆる有価証券の販売や勧誘、取次ぎなどを行う際には、金商法に基づきまして、金融庁に登録が必要となっております。

しかしながら、もし、こうした登録を行わずに金融商品取引を行う場合は、無登録業者として金融庁といたしましては3つの対応を行っております。

1つ目は、そうした無登録業者に対しまして、違法な営業行為を直ちにやめるよう求める警告書を発出、送付いたしております。

2つ目は、投資家への注意喚起のために、警告書を発出した事実等を金融庁のウェブサイトで公表しております。具体的には、無登録業者のリストを公表しておりまして、定期的にアップデートしております。

3つ目は、こうした警告書の発出と公に知らせるということに加えまして、捜査当局との間で情報を共有するということを行っております。

2ページ目に警告書の様式を添付させていただいておりますが、こうした無登録業者と認められる場合につきましては、行為を直ちにやめるような警告書を発出しております。

また、そこまでいかずに勧誘だけ行っている場合には、もう少し文面を変えた様式で警告書を発出しております。

3ページ目を御覧ください。

こちらは、令和元年度から11月末までで国内と海外の業者について、どの程度、こうした警告書を発出しているかを示した統計でございます。

御覧いただきますと分かりますように、令和元年度は合計で42件、それ以降20件前後で推移しているという状況です。

このほか、圧倒的に海外系が多いというのが特徴でございまして、そこがやや悩ましいところです。

ちなみに、もちろん海外向けには、警告書は英語で発出しておりますので、海外の無登録業者は日本語で警告書を受け取るわけではございません。

続きまして、4ページ目は、警告した業者のリストを金融庁のウェブページで公表していることをお示ししたもので、さらに、私どもといたしましては、旧Twitter、今、Xと言われているところに投稿もして、こうした無登録業者のリストの周知を広く行っております。

といいますのも、Xで、いろいろと無登録業者が勧誘を行っておりますので、そういったところについても、きちんと周知していこうと考えている次第です。

続きまして、5ページ目は、7月ぐらいから始めた試みです。最近、無登録業者自身が勧誘するのではなくて、第三者がX等を通じまして、勧誘を行っている例が多々見られております。こうしたものも放置しておくと問題かなということから、金融庁では、5ページのところに示しておりますが、この、あるアカウントが推奨している業者は、実は金融庁では無登録として警告を発出している業者ですよというメッセージを、リプライみたいな形で発出させていただいております。

ただ、この方自身は、あくまで自分の意見を表明しているだけですので、この方自身が無登録業者ということではございませんということは、一応注記しております。

こういう形で、私どもとしては、どこまで有効かは我々も考えていかなくてはいけないのですけれども、少なくとも投資家又は一般の方々に、そういった無登録業者等の取引というものは気を付けてくださいということを周知している次第です。

6ページは、そのほか、SNSですとか、マッチングアプリを使った投資勧誘など、いろいろなバリエーションがありますので、そういったものについても金融庁のウェブページ上で、私ども注意喚起を行っているということを示したものです。

それと最後に、新NISA制度というものが来月から始まるのですけれども、そういった動きを受けて、急にこの2、3か月で増えているものがございます。

それが証券会社の名前を騙ってSNSで勧誘するという偽広告で、そうした偽広告が最近すごく増えております。これらについては証券会社も困っていて、私どもも最近、日本証券業協会と連携しながら、いろいろと注意喚起をウェブページ上で行っております。

具体的には、どんなことを偽広告がやっているのかというのを御紹介しますと、実在する企業、団体の名前を利用しまして、今後、高騰する株式の銘柄はこれですとか、投資に関する必勝法をプレゼントしますと持ち掛けて、リンク先へのアクセスを促すとか、LINEアカウントの追加等を求めた上で、投資勧誘や金銭の支払いを誘導するといったもので、言わば振り込め詐欺的なケースだと思っております。

こういった偽広告につきましては、日本証券業協会と連携しながらいろいろと周知に努めておりますが、こうしたことは、今後、証券会社に限らず、広く発生し得るのではないかと感じております。

したがって、こうした偽広告等に起因する詐欺被害に対しましては、より根本的な解決が必要ですので、当庁だけではなく、消費者庁やその他の関係省庁とも連携しながら、いろいろと対応を検討していきたいと考えております。

○鹿野委員長 では、萩藤課長お願いします。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 証券取引等監視委員会証券検査課の萩藤でございます。

引き続きまして、私からは無登録業者等に対する証券監視委の取組についてということで、資料に沿って説明をさせていただきます。

私ども証券監視委では、無登録業者からの勧誘などによる消費者の被害が問題化している状況を踏まえまして、こういった無登録業者等に対しまして違反行為をやめさせるために、金商法の192条を活用した裁判所への申立てを行うことによりまして、その違反行為者に対する禁止命令等を求めていくことが必要だと考えております。

今年度、令和5事務年度の証券監視委の証券モニタリング基本方針にも、その旨を明記しておりまして、これを対外的にも公表しているところでございます。

裁判所への申立てでございますが、これは、平成20年の金商法改正を踏まえまして、証券監視委にも与えられた権限でございます。

それ以降、私どもは無登録業者等に対する情報を収集して、分析活動を進めておりまして、平成22年、無登録で株式等の勧誘を業として行っていた業者等、これらに係る申立てを裁判所に行いまして、裁判所から違反行為に対する禁止命令等が発出されているところでございます。

その後も、この制度を活用してきておりまして、これまで30件の申立てを行っております。いずれも裁判所から禁止命令等が下っているところでございます。

過去に、証券監視委が裁判所に禁止命令等の申立てを行った無登録業者の中には、当該業者の所在地を管轄する、いわゆる財務局から無登録で金商業を行っているとして警告書が発出されていた者もございます。

もっとも証券監視委におきましては、裁判所による禁止命令等の申立てをするに当たりましては、命令発令の要件該当性がありますので、その調査を実施する必要があるとの関係から、必ずしも警告書の発出と証券監視委の申立てがリンクしているという状況ではございません。

いずれにしましても、このような無登録業者に係る調査結果ですとか、そこで得られた情報につきましては、必要に応じまして、消費者庁ですとか、捜査当局にも情報提供を行っているところでございます。

証券監視委としましては、限られた人員の中ではございますけれども、関係機関と連携をしまして、こうした裁判所への申立制度の活用によりまして、引き続き、無登録業者の違法な行為には厳正に対処してまいりたいと思っております。

私からは以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

それでは、ただいまから15分程度で質疑応答、意見交換を行いたいと思います。いかがでしょうか。

小野委員、お願いします。

○小野委員 御説明ありがとうございました。

最初の御説明の中の5ページ目なのですが、私、消費者教育を専門にしているということもありまして、無登録業者等に関するその他の取組ということで、投稿された内容に対抗されているというのは、規制行政のお立場だけではなくて、消費者への支援行政にも関わるすごく大切な取組だと思っています。

一方で、多分相手にしなければいけない、こういうケースはすごく多いと思うのですが、これは手作業ですか。

○金融庁監督局椎名証券課長 はい。

○小野委員 そうですか、そうしますと、よりシステマティックにしていただいて、対抗していただくという何か手立てがありますと有り難いなと思いまして、すみません、簡単な質問ではありましたけれども、今、お答えも頂きましたので、分かりました。どうもありがとうございます。

○鹿野委員長 手作業でこれをチェックしていらっしゃるということですが、何かシステム的に対応できるようにする計画や方向性について、お考えがありますか。

○金融庁監督局椎名証券課長 理想的にはAIなどを使えればいいのでしょうが、現時点では、まずは1回ずつ、きちんと手作業でやっていくという形で対応させていただいております。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかにいかがでしょうか。

中田委員、お願いします。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

椎名様のプレゼンテーションの最後のページの証券会社のなりすましですね。その広告が昨今よく見られるということで、たまたま私の知人の経営者も、やはり影響力のある方でありましたので、経営者の名前を騙って、なりすまし広告が後を絶たず、その方の企業のサイトのトップページでは注意喚起を促しているということでありますが、いたちごっこでなかなか止まらないという状況があります。ちょうど新NISAが始まる時期で、新たにこれから運用を始めようという方々が増える時期でありますので、非常にクリティカルな状況であると思われます。

これに対して、私は、SNS、SMSのプラットフォーマーの方々により厳格な管理をしていただけるような、排除するような動きを強化することは非常に重要ではないかと考えるのですけれども、金融庁さんのほうでは、金融庁のウェブサイトの注意喚起とSNSのフォロー以外で、もう少し厳格な対応は御予定されていらっしゃいますでしょうか。

○金融庁監督局椎名証券課長 プラットフォーマーは、御存じのとおり、規模が大きく、大体グローバルに展開されている業者です。このため、それらの日本法人と話しても、あまり発展した議論につながらないという話をよく伺っております。

私どもといたしましては、例えば、IOSCOという証券監督者の国際フォーラムがあるのですけれども、そういったところで、いろいろと海外当局とも連携しながら、こういった問題の注意喚起ですとか、または、プラットフォーマーとの対話等で、いろいろと働き掛けは行っているところです。あとは個別に、また地道に、現時点では証券会社や業界団体とプラットフォーマー等が対話していただいているという状況です。

したがいまして、私どもといたしましては、あくまで金融機関を見ているところなので、いろいろと他の関連省庁とも連携しながら、どういうことが可能かというのは検討していく余地があるかなと感じているところでございます。

○中田委員 御説明ありがとうございます。

これから運用しようという若い方々が、被害に遭われないような状況を作っていくことが重要かなと感じております。

○鹿野委員長 柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 柿沼です。よろしくお願いいたします。御説明いただき、ありがとうございました。

3点質問をいたします。

まず、1つ目ですけれども、書面にて警告書を発したということですが、被害回復につながったなどの効果について、検証されているということであれば教えていただきたいと思います。

それから、2点目ですけれども、SNSにて警告することについては、ある程度の抑止になると思います。こちらについても、どのくらいの頻度で発しているのかなどについて、分かれば教えていただきたいのと、先ほどは、Xで発出しているということでしたけれども、ほかのSNSもなさっているのかについても教えていただければと思います。

それから、3つ目です。消費生活センターに寄せられる相談としては、副業をネットで探して、LINEの友達登録をさせて、その中で投資の勧誘をするというものが多く寄せられています。

LINEの規約では、勧誘行為は禁止とはなっていますが、勧誘相手と連絡が取れないなど、消費生活センターでもうまく解決ができないというものがあります。秘匿性のある、このようなメッセージアプリなどについて、対策をなさっているということであれば教えていただければと思います。

以上、3点です。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 御回答をお願いできますか。

○金融庁監督局椎名証券課長 私から、まず回答させていただき、萩藤課長から追加していただければと思います。

まず、書面のほうは、効果がある場合はあるのですけれども、やはり海外は非常に国内に比べると、チャレンジングだということは言えると思います。できるだけ実効力があるようにしていきたいなとは思っておりますが、いかんせん住所も分からない無登録業者が時々おりますので、なかなか課題は大きいとは思っております。

2点目のSNSの警告は、具体的な数字は手元にないので分からないのですけれども、ほぼ毎月何か発信はしております。ただ、残念ながら今のところは、X中心でございます。ユーザーも多いですし、恐らくそこが一番の温床になっているのかなといった観点から、今のところは、Xないし旧Twitterを使っているという状況です。

最後のLINEの友達登録による勧誘は、私も時々見ますので、そういったものが存在しているのは存じているのですけれども、Xよりは多くないのかなという認識でおりましたので、現時点では、特段、そうした勧誘への対応は行っておりません。

ただ、もし増えているようでしたら、私どもも対応を検討したいと思います。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 証券監視委でございます。

もしかしたら、直接的な回答ではないかもしれないですが、警告書を発出した業者、その後の被害回復ということなのですが、調査の詳細については、回答を差し控えさせていただくとしまして、証券監視委としましても、金融庁ですとか財務局とは常に連携を図っております。ですので、財務局等が警告書を発出した業者についても、証券監視委としましては、もちろん認識はしております。

先ほど少し申し上げましたとおり、証券監視委が申立てを行った案件の中には、過去に警告書を発した業者も何件かあるということでございます。

ただ、証券監視委につきましては、警告書を受けた業者のほかにも、それ以外の業者でも無登録金商業をやっているという情報が寄せられます。当然、それらの情報を分析した上で、やはり裁判所による禁止命令等の申立てをするに当たりましては、緊急の必要性ですとか、あと、公益及び投資者保護の必要性等の、いわゆる命令の発令要件の該当性をきちんと調査した上で、可能だといったものの申立てをすることによって、それで対外公表し、皆さんに知ってもらうことによって、被害回復を図る、被害回復ではないかもしれませんが、被害の拡大の防止を図るということをしているということでございます。

それから、先ほどのとおり、最近、SNSとかを利用した、こういった勧誘というのも見受けられております。

正直言いまして、いわゆる対面で勧誘するようなものというのは、物理的にその人たちが見えますので、そういった人に対して調査をするというのは、比較的調査をしやすいのですけれども、SNSは本当に見えない部分が多いです。登録業者と違って、どういった金融商品を売っていて、どういった勧誘をしていて、いわゆる無登録金商業のどういった金商業に該当するのかというのが、非常に認定が難しいという状況です。

ただ、証券監視委としましては、そういったものについても、たくさん情報が寄せられていることは認識しておりますので、どういった調査をしているのかというのは、お答えを差し控えますけれども、そういったものも対象として調査を実施しているということを御理解いただければと思います。

以上です。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

1つ、私が聞き漏らしただけかもしれませんけれども、確認させてください。被害回復につながっているかということが柿沼委員の最初の質問であったと思うのですが、今の御回答は、要するに金融庁が警告書の発出及び公表を行い、あるいは案件によっては、裁判所に禁止命令等の申立てをするということによって、今後の被害の発生・拡大の防止が図られるということでしたでしょうか。

それが、被害の回復にどうつながっているのかということについては、金融庁様としては、把握はされていないということですか。あるいは、数字として把握されていないとしても、そのような対応を行った対象等について、どこかと連携して情報を共有し、被害回復につなげるということは、ございますでしょうか。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 証券監視委でございます。

直接に証券監視委として、被害回復につなげるようなアクションを起こしているかというと、そうではないのですけれども、例えば、裁判所に対する禁止命令等の申立てをしました、それで、裁判所から命令が出ましたといった際には、証券監視委のホームページにおいても、一般投資家へのメッセージ等を出して、いわゆる相談窓口のようなところを紹介したりはしています。

そこには、弁護士さんにも相談してはというメッセージを出しておりますので、すごく間接的ではございますが、そういった申立てをした案件について、弁護士さんに相談をして、民事の被害回復を図るという動きもあると認識しておりますので、そういった意味で、被害回復というのは図られているのかなと思っております。

○金融庁監督局椎名証券課長 補足させていただきますと、冒頭申し上げましたように、捜査当局とは情報共有をさせていただいておりますので、そちらのルートでも、ある程度改善は図られるのではないかと考えております。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

柿沼委員、よろしいですか。

○柿沼委員 お時間もあるかと思いますので、大丈夫です。ありがとうございます。

○鹿野委員長 原田委員、お願いします。

○原田委員 ありがとうございました。

私のほうからは、海外の事業者に対する規制についてお伺いしたいと思います。

金融商品取引法は、公示送達の規定が185条の11で入っていますので、海外の事業者に対する対応としては、比較的早い段階で立法的な措置が取られているものと認識しています。

そこで、海外の無登録事業者と国内の登録事業者との間で、執行上問題になる点というのは、さほど変わらないと理解してよいのでしょうか、それとも海外の事業者に固有の執行しにくさというのが、なおあるということなのでしょうか。

関連して、無登録業者に対して、裁判所を使った命令を出すということをおっしゃっていたのですけれども、それも海外の事業者には、裁判所を通じたほうが、効き目があるということがあるのでしょうか。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、御回答をお願いします。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 証券監視委でございます。

海外の事業者に対しては、なかなか調査をするのは難しいという現実はあるのですけれども、一般論として、例えばということで申し上げますと、海外事業者であったとしても、日本国内で居住する者を使って、無登録金商業をやっているようなケースがございます。

そういったものは、個別事案によりますけれども、必要に応じて裁判所に申立てを行うということはあるかなとは思っています。

もちろん海外事業者に対して調査できるのかという問題がございます。それは、他国の領域内において、その国の政府の同意を得ずに、公権力の行使に当たるようなことをやってはならないという、原則としてのものがあると承知しております。

ですので、相手国が承認すれば、証券監視委の検査官が外国において調査を行うことは可能と考えておりますけれども、実際に、外国において調査を実施した事案があるかについては、回答を差し控えさせていただきます。

それで、これも一般論としてですが、先ほど椎名課長のほうからも話がありましたが、海外の規制当局との間では、必要に応じて、多国間あるいは2国間の情報交換の枠組みを利用して、連携を図っているところでございます。

それから、海外事業者に対して、裁判所を利用したほうが効果的なのかどうかという質問に関しましては、何とも申し上げられないのですけれども、先ほど冒頭申しましたように、例えば、海外事業者であっても日本国内に居住する者を使って金商業を行っているような者に対しては、申立てをすることによって、国内でのそういった活動を抑止する効果はありますので、そういったところでは、裁判所に対する禁止命令等の申立てというのは、それなりの効果はあるのかなと考えております。

以上です。

○鹿野委員長 原田委員、よろしいですか。

○原田委員 ありがとうございました。

調査権の行使については、金融商品取引法の場合には、おっしゃったように、海外の規制当局との協力関係があるので、あまり問題にならないのかと思っていたのですが、規制当局との連携をあまり実際には使うことがないということなのでしょうか。それとも、先ほどおっしゃった調査がしにくいということの真意をお伺いしたいということなのですけれども、海外の規制当局の協力を使わなかったら、やりにくいという御趣旨だったのでしょうか。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 すみません、権限的な話をさせていただいたということでして、実際の調査の状況というのは、お答えを差し控えさせていただければなと思っています。

○原田委員 分かりました。ありがとうございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

時間も経過していますが、黒木委員長代理、最後にお願いします。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。すごく面白いというか、勉強になりました。ありがとうございます。

警告ということなのですけれども、この警告の根拠規定というのは、警告書というのは、ガイドラインとは書いてありましたけれども、基となる規定があるのかということが第1の質問です。監督権限一般でやっていらっしゃるのかなと思ったところです。

それから、先ほどの質問にも関係するのですけれども、海外事業者が、日本語を使った勧誘をしているといった場合に関しては、これは、国内の居住者向けであることが明らかである以上は、権限が及ぶと考えるのか、やはりその会社の場所が、シンガポールとか、固有名詞はあれですけれども、そういうところであれば、それは注意喚起にとどまると考えるのか、その辺りのところを教えていただければと思います。

○金融庁監督局椎名証券課長 では、まず、私のほうから、1つ目の御質問は監督指針に基づいて、一応規定されていると御理解いただければと思います。

○黒木委員長代理 ハードローではないということですね。

○金融庁監督局椎名証券課長 そう認識しておりますが、一応、もし違うようでしたら確認・訂正させていただきます。

2点目は、萩藤課長から補足していただければと思いますけれども、リストを見ていただくと、大体シンガポールよりも無名の国が多いというのが実態でございまして、そういう意味でもチャレンジングな状況です。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 どうぞ。

○金融庁証券取引等監視委員会事務局萩藤証券検査課長 あえて線引きというのは、難しいかなと思っておりまして、あまり線引きをしますと、その隙間を突いてくる業者もおります。もちろん、個別に実態把握を行った上で、個別の判断になるかなと思っています。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

よろしいでしょうか。本日は御説明と質疑応答に対する御対応を頂きまして、ありがとうございます。

ここで、本日の御説明と、それに関する委員及び私自身の意見等を簡単にまとめておきたいと思います。

国民生活センターからの御説明によれば、海外OTAに起因する消費者トラブルは増加傾向にあり、その中でもキャンセルの際のトラブルが多いということが確認できました。この点については、キャンセルに関するトラブルの原因等について、より詳細に分析をして、必要な対策を講ずることが必要なのではないかと思います。

それから、キャンセルだけではありませんが、相談対応における問題もあるということが確認できました。

特に海外OTAについては、消費者が問い合わせ等をした際のカスタマーサービスの対応が不十分であり、例えば、契約を締結するときには日本語の画面で、日本語で簡単にできるのだけれども、問い合わせをしたときには、日本語できちんと対応してくれないという言語問題も含めて、対応が不十分であることが確認できました。

さらには、これはキャンセルも含めてですが、航空会社やサイト事業者などとの間で、言わば、たらい回しにされるというケースもあるということも、確認できたところでございます。

これらの状況を伺うと、消費者からの問い合わせに責任を持って対応する体制が構築される必要があると感じました。

この点は、次回、観光庁にお越しいただきますので、そのヒアリングも含めて、どういう方向性が考えられるかということについて、意見交換をしたいと思います。

それから、本日、金融庁からも御説明を伺いました。金融庁様におかれましては、無登録事業者に対する対応として、法や監督指針に基づいて、警告書の発出及び公表を行い、捜査当局と情報を共有する等の対応を行っていらっしゃるということでありましたし、さらに、一定の要件を満たす場合には、金融商品取引法の192条に基づいて裁判所に禁止命令等の申立てができるなど、有効な手段が法律上も設けられており、また、運用もされているということでございました。

もっとも最後のほうの質疑応答では、やはり国内の事業者と同等にうまく調査等ができるわけではないということ、海外の当局との連携を図ってやっていらっしゃるということではありますが、相手国によって違いもあるということも伺いました。

それから、住所も分からない場合もあるという御説明があって、一定限界があるということも確認させていただいたところです。それでも、本日伺った、行政の対応やそのための仕組みは、非常に参考になったところでございます。

また、そもそも金融商品取引法については、海外事業者であっても、日本の居住者を相手として金融商品取引業を行う場合には、法律の規定に従って登録が必要だという御説明がありました。

この点が非常に重要であるように思われまして、これを前提として、実際に、先ほども言いましたように、海外事業者に対しても一定の警告書の発出等々の対応を実施していらっしゃるということでございました。

金融庁様におかれましては、引き続き、無登録事業者に対して厳正な法執行を行っていただきたいと思いますが、金融庁から頂いた御説明には、海外事業者が日本に居住する者にサービスを提供する場合に、当該サービスを規律する我が国の業法の規律を及ぼすことができるか、あるいは規律を及ぼした上で、どのように法執行をしていくべきか、ということを考える上で、参考になる点が多くあったと認識しているところでございます。

本日は、金融庁様におかれましては、大変ありがとうございました。

(金融庁 退室)

○鹿野委員長 冒頭でも述べましたとおり、本議題については、次回、来年の1月17日を予定していますが、次回にも引き続き審議を行い、次回は観光庁からもヒアリングを行い、意見交換をする予定になっております。

本日、国民生活センター及び金融庁から御報告いただいた内容並びに委員から頂いた御意見を踏まえ、次回ヒアリングに臨んで、更に意見交換を行いたいと思っているところでございます。


《3. その他》

○鹿野委員長 それでは、次の議題に移りたいと思います。

次の議題は、特定商取引に関する法律施行令の一部改正についてです。

事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、資料は3-1と3-2と3-3となっております。3-1が総括的な資料となっております。

特商法における規律については、ほかの法律の規定によって消費者保護が図られると認められる場合には、適用除外という規定がございます。それが特商法の26条の第1項第8号になります。

それで、適用除外になる法律につきましては、施行令の第11条に定められておりまして、こういった法律は適用除外ですということが列挙されております。

今回、そこに列挙されている法律について変更があるということで、本来ならば、諮問・答申という手続を経るわけですけれども、その変更の内容が形式的なものであるので、諮問・答申を省略してはどうかということについての御審議でございます。

具体的にどこが変更になるかというところでございますけれども、資料3-2を御覧いただきますと、その最初のページのところに、縦の棒線が引かれてある法律名でございます。

表の下の四角の中が、現行の法律名でございまして、上の改正案が改正後の法律名となっております。

具体的には「金融サービスの提供に関する法律」といった法律の名称が「金融サービスの提供及び利用環境の整備等に関する法律」ということで、法律名が変わります。

その中身については、金融経済教育推進機構というものを設置しますといった内容を含む法改正がなされまして、それに伴いまして、法律の名前も変わったということでございます。

中身の内容につきましても、特段消費者保護の視点から問題はなく、また、政令の変更の部分も、法律名が変わったというところでありますので、諮問・答申については省略をしてはどうかという御提案でございますが、その点について御審議いただきたいと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

委員から何か御意見等ございますか。

よろしいですか。それでは、諮問・答申を省略するということについて、これでよろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○鹿野委員長 特に御異論はないということですので、今回の特商法施行令改正については、形式的な改正であるため、諮問・答申を省略するということといたします。

続いての議題は、消費者委員会下部組織の委員についてです。

事務局から、この点について御説明をお願いします。

○友行参事官 それでは、下部組織について御説明いたします。

資料につきましては、参考資料の2-1と2-2でございます。参考資料2-1につきましては、消費者委員会消費者法制度のパラダイムシフトに関する専門調査会の委員名簿となっております。

こちらにつきましては、第415回本会議におきまして設置を確認され、設置法10条に基づきまして、内閣総理大臣より専門委員として任命されております。

そこで、設置・運営規程に基づきまして、構成員、座長について、このような形で指名されておりますので御報告いたします。

また、座長につきましては、沖野眞已専門委員に務めていただく旨、委員長から御指名がございました。

加えまして、当委員会からは、鹿野委員長、大澤委員、山本委員に、この専門調査会におけるオブザーバーとして御参加いただくことになりましたので御報告いたしますとともに、委員におかれましては、どうぞよろしくお願いいたします。

それから、第414回本会議におきまして、公共料金等専門調査会の委員の任命について、既に御報告させていただいているところでございますが、今般、参考資料2-2のとおり、長田三紀専門委員が追加で指名されておりますので、併せて御報告させていただきます。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上、御報告ということでございました。

続きまして、その他の事項としまして、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要について、事務局から御説明をお願いします。

○友行参事官 資料は、参考資料3でございます。

11月に消費者委員会に寄せられました要望書・意見書等の一覧でございます。

まず、1つ目が、特商法の抜本的改正を求める意見となっております。特商法の訪問販売について、拒絶の意思を明らかにした者については、勧誘が禁止されるべきであるでございますとか、通信販売についてのクーリング・オフ制度の設置や、連鎖販売についての開業規制などが、その内容となっております。

次に、SNSを利用した詐欺行為等に関する調査・対策を求める決議の意見書が届いております。

それから、詐欺的な定期購入商法の被害に対応するための緊急法整備を求める意見書でございます。これまでも幾つか御紹介しておりますが、非常に手口が巧妙化しているということを背景に、広告に関する規制や特定申込画面に関する規制の整備などが意見書の中に盛り込まれております。

それから、金融経済教育推進機構に関する意見書も届いております。こちらについては、先ほどの特商法の諮問・答申の省略というか、法律に関わるものでございますけれども、この中で金融経済教育推進機構の設置について、記載が法律の中に新たに設けられておりますけれども、それについて、機構の人的体制及び認定アドバイザーの仕組みの構築について、それに関わることでありますとか、機構の業務について意見が述べられております。

この法改正につきましては、附帯決議が付いております。この意見書においても附帯決議について触れられております。

右側の四角囲みの2ポツ、「機構の業務について」というところでございますけれども、上から3行目のところ、「衆議院財務金融委員会の附帯決議も踏まえ、利益が見込めると謳う投資等取引に対する批判的かつ多角的な判断力を涵養することを支援するとともに、悪質取引被害の防止に必要な知識・情報や助言を、消費者庁を始めとする関係機関と緊密に連携しつつ、デジタル技術を積極的に利活用しながら、適時・適切に提供する仕組みを整えることに、最大限注力すべきである。」といった内容となっております。

それから、参考送付といたしまして3件頂いております。

また、団体から寄せられた意見のほかに、個人の方から1件の意見書も寄せられております。内訳としては、表示関係となっております。

以上の寄せられた意見などにつきましては、消費者委員会が調査審議を行う上で参考とさせていただきます。

以上です。

○鹿野委員長 御説明ありがとうございます。

この点について、委員から何か御意見等ございますか。

よろしいでしょうか。ありがとうございます。

これらの御意見等につきましては、今、友行参事官からもお話がありましたが、調査審議の参考にさせていただき、必要に応じて消費者委員会において改めて取り上げることといたします。


《4. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、正式に決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)