第417回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2023年11月22日(水)11:30~12:35
場所
独立行政法人国民生活センター東京事務所及びテレビ会議
出席者
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、原田委員
- (テレビ会議)中田委員、星野委員、山本委員
-
- 【説明者】
- 消費者庁 依田審議官
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」の策定に向けた検討状況について
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:76KB)
- 【資料1】 食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(中間報告)(概要)(消費者庁提出資料)(PDF形式:405KB)
- 【資料2】 食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ(中間報告)(消費者庁提出資料)(PDF形式:343KB)
- 【資料3】 「食品ロスの削減の推進に関する基本的な方針」に関する施策の進捗状況について(令和5年9月末時点)(消費者庁提出資料)(PDF形式:212KB)
- 【資料4】 食品の寄附や食べ残しの持ち帰りを促進するための法的措置についての検討上の論点(概要)(消費者庁提出資料)(PDF形式:493KB)
- 【資料5】 食品の寄附や食べ残しの持ち帰りを促進するための法的措置についての検討上の論点(消費者庁提出資料)(PDF形式:389KB)
- 【資料6】 食品ロスの削減の推進について(消費者庁提出資料)(PDF形式:2183KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、御多忙のところお集まりいただき、ありがとうございます。
ただいまから、第417回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日の出欠ですが、黒木委員長代理、今村委員、小野委員、柿沼委員、原田委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。
また、中田委員、星野委員、山本委員がテレビ会議システムにて御出席です。
大澤委員は、本日、御欠席と伺っております。
それから、原田委員は所用のため、12時頃御退席と、小野委員は、同じく12時15分頃御退席と伺っております。
なお、本日は、国民生活センターにて、この会議を開催しております。本会議の前には、国民生活センター東京事務所の見学と、相談員の皆様との意見交換をさせていただきました。
本日お伺いしたことは、今後の審議に活かしてまいりたいと考えております。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足などがございましたら、お申し出くださいますようお願いいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
《2. 「食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ」の策定に向けた検討状況について》
○鹿野委員長 本日の議題は、議事次第にも記載のあるとおり「『食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージ』の策定に向けた検討状況」であります。
食品ロスの削減の推進に関する法律に基づき、令和2年3月に閣議決定された食品ロス削減の推進に関する基本的な方針では、食品ロス量を2030年度までに2000年度比で半減させるという目標が掲げられております。
そして、本目標の着実な達成に向けて、この年末までに、食品ロス削減目標達成に向けた施策パッケージを策定するべく検討が進められていると伺っております。
本日は、この検討状況につきまして、消費者庁から御説明いただき、意見交換を行いたいと思います。
本日は、オンラインにて消費者庁の依田審議官に御出席いただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。
それでは、依田審議官から20分程度で御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○消費者庁依田審議官 よろしくお願いいたします。
ただいま御紹介いただきました、消費者庁で食品を担当しております、依田と申します。
本日は、先ほど委員長からございましたように、食ロスの施策パッケージに向けた検討状況について御報告したいと思います。
資料がいろいろございますけれども、ただいま委員長からも少し御紹介がございましたが、まず簡単に、食品ロス削減の推進をめぐる事情などを御説明した上で、この施策パッケージに向けた検討状況について御説明したいと思います。
資料1から6までございますけれども、資料6を御覧いただければと思います。
先生方、委員の皆様方も御存じの事実かと思いますけれども、さらりと現状を御報告いたします。
この食品ロスの問題につきましては、特に1ページにございますように、2015年の国連のSDGs目標のところで、特に12.3ということで、2030年までに小売・消費レベルにおける食料の廃棄を半減させるという、言わば、数値目標が掲げられているわけでございます。
また、生産段階も含めた収穫後損失などの生産・サプライチェーンにおける食料、これをフードロスと英語では定義してございますけれども、こちらのほうは数量目標ではなく、食料の損失を機会費用といいますか、そういうものを全体的に減少させるという努力目標になっているということでございます。
こういった動きを受けまして、2ページにございますように、令和元年に国会の議員立法で食品ロスの削減の推進に関する法律が成立しているところでございます。
こちらにございますように、左側のほうの第2条で食品ロスの削減の定義ということで、まだ食べることができる食品という概念を定義しているところでございます。これが廃棄されないようにするための社会的な取組を推進していこうということでありまして、責務としては、国・地方公共団体・事業者の責務、消費者の役割、関係者相互の連携協力などが規定されております。
また、基本方針11条から13条に規定をしておりますが、先ほど委員長からございましたように、令和2年3月に、この法律に基づいた基本方針が閣議決定されているところでございます。
右側のほうの基本的施策のところでは、消費者あるいは関連事業者の取組について、あるいは教育、表彰、こういった事項が規定されておりますが、赤字でフォーカスしておりますフードバンク活動の支援、フードバンク活動のための食品提供に伴って生ずる責任の在り方に関する調査・検討を行うようにということ、ここの部分だけが、政府に対して調査・検討を行うようにという規定になっているところでございます。
また、20条から25条、右側の一番下でございますけれども、内閣府の特別機関として、消費者担当大臣を会長とします食品ロス削減推進会議を設置するということでございます。閣僚委員と有識者全体で20名の委員ということになってございます。
3ページ目のほうで、その基本的な方針、令和2年3月の閣議決定におきまして、先ほどのフードウェイスト、食品廃棄物の半減目標ということを閣議決定しているわけでございます。
具体的には中段にございますように、家庭系、事業系を合わせて2000年の980万トンを2030年までに半減させるということで、2030年度までに489万トンという数値目標を掲げております。
4ページ目のほうは、現在の足元の状況でございます。実は2020年度、2021年度、令和2年、3年という数字におきましては、現在の食品ロス全体で523万トン、522万トン前後の数量ということでありまして、一見、2030年の489万トンは、あとわずかという状況にも見えるのですが、一方で、御案内のとおり、令和2年度、3年度は、特に外食を中心としてコロナの影響で、飲食店がほとんど活動されていないという状況でございますので、この令和2年、3年の数量は、言わば異常値、この数量は、ある意味特殊な事情という数値と捉えますと、令和2年度、3年度を除いた年の直近5年間の平均を見ますと、やはり600万トンぐらいの食品ロスが発生しているということでございますので、2030年までの489万トンまで、これを減らしていくということについては、なお100万トン近くの削減が必要だということになるわけでございます。
5ページ目のほうで、その内訳でございますが、大別しまして、左側のほうの家庭系のごみと、事業系のごみといいますか、食品ロスは、半々の状況でございます。
この図で申し上げたいのは、いわゆる商品化された後の食品ということでございます。商品化された後で廃棄になっているものというのが、どのぐらいの数量、ボリューム感を占めているのかということでございます。
今回、推計した数字を御紹介いたしますと、事業系の中で3分の1を占める外食部門のうち、約8割ぐらいが食べ残しと言われておりまして、その食べ残し食品の種類の内訳は、生鮮食品とか、そういうものもあるわけですけれども、調理加工食品、から揚げとか火を通したものが3分の1ほど占めているということでございますので約20万トン、こういった外食で出る調理加工食品の類いは、場合によっては、持ち帰り運動を推進していくことによって、潜在的に食品ロスから剥落できる数量ではないかということで、20万トンと推計してございます。
また、食品製造業と小売との間で、いわゆる納品期限に伴う3分の1ルールというものがございますけれども、どうしても食品メーカーは、納品期限を守るために過剰に生産をしていく傾向がございます。
その中で結果的に、まだ食べられるにもかかわらず、廃棄せざるを得ないという食品が約24万トンぐらいあると推計してございます。
また、左側のほうの家庭系のごみ、200あまりの市町村に環境省が委託調査して組成調査をしているわけでございますけれども、実際、一般廃棄物の袋を開けてみますと、割合として10万トンぐらいは、まだ食べられる賞味期限も到来していないような食品が家庭ごみとして捨てられているということが、環境省の推計でございまして、今、申し上げました20万、24万トン、10万トンを合わせて約60万トンが、いわゆる商品化された後の廃棄になるということを推計してございます。
6ページ目のほうは、食品リサイクル法におきまして、特に事業系のほうは、再生利用等をある意味、義務付けておりますので、事業系のごみについては、大半の約9割弱が、いわゆる飼料、肥料あるいはバイオ燃料に仕向けられているということでございますが、このグラフで申し上げたいのは、特に外食産業が目標5割に向けて、足元で3割ぐらいしか再生利用等が進んでいないという状況でございます。
これは、消費者の皆さんに一番近い状況ということがありまして、結果として食べ残し等については廃棄せざるを得ないという業態の属性を反映した数字ということでございますが、仮に持ち帰り等を推進していくことによって、再生利用等の抑制の取組の中にカウントできますので、持ち帰りの運動が推進されれば、発生抑制の取組ということで、外食の目標、再生利用等の取組の割合は上がっていくことが期待されるということでございます。
その上で、7ページでございます。
これは、食品ロス削減推進法が成立した際に、国会のほうから決議を頂いております。今回関係するのは、5番と6番のところでございまして、5番は、飲食店における料理の食べ残しが食品ロスの発生の要因の大きな一つの事項になっているということに鑑みて、食べ残し料理の持ち帰りを消費者の自己責任を前提に促進されるように取り組むことということ。
そして、6号のほうは、食品関連事業者等から未利用食品の提供を受けて、貧困、災害等により食べ物の支援が必要な者に提供するための活動、これをフードバンク活動と定義しておりますけれども、こういった社会的な意義にも鑑みて、提供した食品により、仮に食品衛生上の事故が生じた場合の関連事業者、つまり寄附者と、それを仲介するフードバンク活動を行う団体のそれぞれの法的責任の在り方について早急に検討すると。
また、最終受給者が、事故が発生した場合に支援を受けられるような措置も併せて検討すること。こういう決議がなされているところでございます。
これを受けまして、先ほど申し上げました基本指針、閣議決定の中で海外の調査を早急に検討するということで、政府としては、令和2年度から海外の調査を実施したところでございます。
令和2年度につきましては、アメリカ、イギリス、フランス等の、いわゆる欧米諸国におけるフードバンク活動の財政支援、免責制度、そして廃棄規制の状況を調べてまいりました。
また、令和4年度は韓国、欧米ではないのですが、お隣の韓国の状況を調査しております。その概括をこの表で整理しているということでございます。
海外において、特に特色的なことを申し上げますと、アメリカにつきましては、上から2段目のところで、寄附した食品に起因する意図しない事故の免責制度というもの、これを、いわゆる「善きサマリア人食品寄附法」という形で、連邦制定法で、善意による余剰食品の寄附者あるいはフードバンクの仲介非営利組織は、故意又は重過失の場合を除き、寄附した食品に起因する被害について、民事・刑事上の法的責任を問われないと、こういう法律ができているところでございます。
また、韓国は、アメリカの、いわゆる善きサマリア人の民事・刑事上の免責制度を踏襲しまして、一定の要件の下で、寄附者・提供者の免責を規定すると。
同時に、一定量の取扱いを行っている仲介業者、フードバンク活動については、逆に免責をせずに、被害が生じた場合の責任を集中させるような制度になっておりまして、ただし、その場合の損害賠償請求に対応する場合の保険の加入を義務付けると同時に、それを公的に支援するというスキームができておるところでございます。
また、フランスなどは、食品の寄附に特化したような免責制度はないのですけれども、3番目のほうで、食品廃棄規制、売れ残りの食品、まだ食べられる食品を廃棄してはならないという規定がございます。
また、外食の関係では、顧客が持ち帰りたいと言ったときに、断ってはならないというような規制を事業者に課すという規制措置を講じているところでございます。
一番下の寄附の規模ということでございますが、数量と金額がごっちゃになっておりまして恐縮ですけれども、特にアメリカのほうは、寄附量が、これは寄附の文化が定着しているということもありまして、年間740万トンぐらいの食品が寄附に回されているということでございます。
また、韓国も、これは金額ベースでございますけれども、毎年240億円相当の寄附が行われているということで、寄附文化が定着しているという国の御紹介ということでございます。
一方、日本におきましては、フードバンク団体の試算によれば、いわゆるフードバンク団体が扱っている寄附食品の数量が1万程度ということであります。
また、いわゆる民事上の責任については、日本の民法におきまして、悪意、重過失の場合を除き、民事上の損害賠償責任を負わないという明文規定は、民法698条の、いわゆる緊急事務管理の規定しかないという状況でございます。
その上で、本題といいますか、すみません、もう10分過ぎてしまいましたけれども、先ほども委員長から御紹介いただきましたように、この食品ロスの削減目標に向けた施策パッケージというものを、年末までに政府として取りまとめることにしております。
令和2年3月に、この基本方針が閣議決定されまして、令和6年度で5年を迎えるわけでございます。
そうしますと、別に期限はございませんけれども、令和7年度ぐらいを目途に、この基本方針を改定し、5年間かけて2030年までの目標達成という道行きが描けるわけでございますけれども、それに向けて、この施策パッケージを年末までに取り決めるということにしてございます。
時間の関係で、資料1と、あと、特に法的措置の検討ということで資料4を中心に御説明させていただければと思います。
まず、資料1でございますが、この施策パッケージの全体像でございます。今、申し上げたとおりでございまして、やはり2030年までの489万トンまで食品ロスを削減するために、どのような施策を行っていくかということで、柱としては2本柱ということで、食品廃棄物の抑制対策を(2)と規定して位置付けております。
こちらのほうは、いわゆる企業における商慣行の見直し、特に3分の1ルールを2分の1にしていこうと、こういうものは農水省を中心に、商慣行の見直しを促進しているという状況でございますし、消費者庁を中心に賞味期限の正確な理解、消費期限と異なりまして、賞味期限は、あくまでも品質保障、昔で言うと品質保持期間ということで、いわゆる安全上の期限ではないということでありますので、過度に賞味期限の日数にこだわらずに、むしろ食品ロス削減のために、消費者行動として、例えばコンビニ協会の御協力を頂きながら、手前取りを推進するということ、これはポスター等の啓発の取組を、消費者庁を中心に進めているところでございます。
逆転しましたけれども、(1)が未利用食品の提供の部分でございまして、先月10月13日に食品ロス削減推進会議におきまして、この中間報告を行ったところでございます。その資料が資料1ということになりますけれども、この2本柱ということを想定して、その時点における検討状況を報告したということでございます。
今回、特に検討の中で、令和元年の法律制定時から附帯決議で言われております、寄附食品、食品の提供あるいは食べ残しの持ち帰りに伴う提供側の法的責任ということについての検討状況を、最後に手短に御説明いたします。
資料4を御覧いただければと思います。
繰り返しになる部分は省かせていただきますけれども、緑Ⅱの四角に囲った部分の2つ目のポツでございます。現在、いわゆる食品提供、食品の寄附あるいは食べ残しに伴う法的関係を改めて整理しているところでございます。
まず、商品の寄附に由来する事故が起きた場合に、①としまして、民事上は、いわゆる食品の寄附といった場合に、相手方と贈与契約が成立しているということでございますけれども、仮に贈与ということであったとしても、有償の売買契約と同じような法的責任を求められる可能性があるということでございます。
また、食べ残しの持ち帰りについては、いろいろ先生方、有識者の御議論もありましたけれども、仮に消費者が自分の責任で持ち帰るという意向を示した場合であっても、事業者として持ち帰るという、本来であれば施設内で飲食の調理を提供するという前提での契約が履行された後に、消費者の意向に応じて持ち帰りを承諾することによって、場合によっては債務不履行責任を問われる可能性があるということでございます。
以上が民事上の責任ということになります。
そして、②としまして、これは、いわゆる食品関係の規制措置ということでございます。特に食品衛生に関する措置としましては、食品衛生法、そして、食品衛生法の昔の表示部分を引き継いだ食品表示法、こういった規制におきましては、販売に着目しまして、異物混入の食品を、健康被害を及ぼすような食品を販売してはならない、という食品衛生法上の規制でございます。
また、食品表示法におきましては、食品を販売する際には、アレルゲンとか期限表示を、いわゆる容器・包装上にラベル表示をしなければならないという形の規制を講じているわけですが、この販売、いわゆる有償譲渡を前提とした規制ではございますけれども、無償譲渡、食品を寄附する場合でも、やはりそれぞれの規制は、同様にかかってくるということでございます。
そして、3ポツのところで、関係者に関して、この提供側の法的責任についての御議論というか、御意見を簡単にまとめておりますけれども、食品を寄附する側の食品企業等の御意見ということ、寄附者の御意見としましては、食品寄附をする際に、本来であれば、もう売り物にならないものを無償で譲渡する際に、経理上は用途廃棄をしているということで、本来であれば、廃棄物処理法に基づいて、廃棄物として処分するというところを、これを、まだ食べられるということで寄附をしていくということなのですが、それを仲介するフードバンクさんの情報が不足していると、経理状況、財務状況、あとは、一番食品を取り扱う企業として懸念材料としましては、特によく要冷蔵の食品を中心に、保管状況はどうなのか、きちんと当該食品が遵守すべき保存方法を遵守してくれるのかどうか、こういう体制が整っているのかどうか、こういった情報が不透明であるということであります。
また、フードバンクの団体からは、それぞれ、すごく非営利の活動として取り組んでおりまして、業務運営費を基本的には寄附で賄っている状況の中で、やはり社会的信認、信頼を高めて、更なる寄附なり、自治体を中心とした支援というものを受ける必要があるといった御議論がございました。
また、食事の提供に関しましては、先ほど申し上げたように、飲食店において、施設内で食事を提供し、お客様のほうが、正に持ち帰りたいという意思表示で、それを承諾するということを、食事の持ち帰りと定義した場合に、やはり法的リスクは、食事の持ち帰りを承諾した店側にもあり得るということになりますと、では、どういうことに留意して、この運動、活動を取り組めばいいのかということを、もう少し行政が明確に示してもらわないと、法的リスクが怖くて活動に踏み切れないという議論がございました。
また、食品に関する法的責任を減免することについては、やはり財産上の被害というよりは、生命身体に関わる被害に関わることでございますので、慎重に検討すべきということを、これは法曹関係者の有識者を中心に御議論、意見が提起されたところでございます。
その上で、最後でございますが、現在の検討状況の報告でございまして、食品寄附と食べ残しの持ち帰り、2つを分けて論点を整理してございます。
Ⅲを御覧いただきたいと思います。
1つ目のところでは、今、申し上げた食品寄附に係る民事上あるいは行政法上の法的責任あるいは規制については、これを一定の要件で緩和することは、寄附促進という効果は当然期待できるわけですが、それに伴って、結果として健康被害に直結するような事故が生じた場合については、やはり慎重な議論が必要であるということ、これを前提とすると。
特に消費者団体の方からも、ペーパーでこの推進会議の場でも御披露いただきましたけれども、これを全て被害に遭った消費者の責任に全部転嫁するということは、本末転倒ではないかという御意見も提示されたわけでございます。
ですので、アメリカがやっておりますように、一律に、提供が善意であるからといって法的責任を軽減させるということではなくて、やはり一定の行動規範みたいなものを示した上で、まずは、サプライチェーン全体の信頼性確保が必要ではないかといった御議論ということでございます。
それで、このまとめのところにいろいろ書いてございますけれども、御意見の大宗としましては、アメリカ型の免責は、善意に基づく提供に関して、刑事上、民事上の免責を行うということについては、アメリカのように食品の寄附文化が既に定着している社会で確認的に、そういった規定を置くということならまだしも、先ほど御披露しましたように、日本において、ほとんど食品の寄附が進んでいないという状況下の中で、こういった提供側の民事上の責任を問わないという制度をいきなり導入しますと、まずは、それぞれフードバンクの方たちも含めた、食品の管理に関してモラルハザードのようなことが起きて、結果として食品事故が発生する、乱発するというときに、結局、食品寄附というものは、販売と異なって、やはり衛生面では危ないという妙なデファクトが定着してしまいまして、かえって食品寄附が進まなくなるのではないか、こういった御議論が、これは寄附者から仲介業者のフードバンクあるいは有識者の先生方からも提起されたところでございます。
むしろ、日本で今は、まずは、それぞれフードバンク、フードパントリーといった活動をされている方たちの活動を、ある意味、見える化をした上で、食品寄附に関わる方たちの相互の信頼関係、最終的には、それを利用する消費者の方との信頼関係を構築するような枠組みができないか、こういう御議論がございました。
そして、食べ残しのほうでございますけれども、そもそも飲食店においては、店内で食事の提供をするということで、営業の許可をもらっていますし、製造物責任もその限りにおいて、製造物責任を負うということの中で、その契約が履行された後に、お客様の意思表示、持ち帰りたいということで承諾してしまうということについて、活動としては、促進したい思いはあるわけでございますけれども、やはり衛生上、あるいは、今、信義則違反等の民事上のリスクというものが飲食店側にあるわけでございますので、これについて留意すべきガイドライン、また、持ち帰るということについての消費者として留意すべき事項、こういうものをガイドラインとして示すことが必要ではないか、こういった問題提起が提示されまして、食品ロス削減推進会議で了承されたということでございます。
現在、この検討上の論点を踏まえまして、政府内において最終的な検討を進めておりまして、来月になりますけれども、年内の施策パッケージの取りまとめを、今、急ピッチで進めているという状況でございます。
少し時間をオーバーして申し訳ありません。私のほうからは、以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
それでは、質疑応答と意見交換を行いたいと思います。12時半頃までを予定していますが、まず、冒頭でお伝えしましたように、原田委員と小野委員が途中で退席されると伺っていますので、まずは、原田委員から何かございましたら、お願いします。
○原田委員 食品の問題というのは、非常に難しい問題といいますか、健康被害に直結していますので、簡単に無駄があるから寄附してくださいとは言えないだろうと思います。
ですので、第一には無駄な食品が生まれないようにする、発生抑制を中心に考えるべきだろうと思います。
次に、食品の現在の表示制度が、消費期限、賞味期限になっているのですけれども、これは、本気で廃棄ロスを避けようというのであれば、更に安全に食べられる期限をもう一つ表示して、ここまでなら大丈夫ですという表示をしないことには、食べ物については、人間関係の上で信頼できるから、このフードバンクからもらったら大丈夫ですという話には多分ならず、客観的に、科学的にといいますか、ここまでは大丈夫だろうというのが明らかになっていないと、現在廃棄されているものについて、それを口の中に入れるのは、なかなか難しいところがあるのではないかと思いますので、表示制度そのものを変えていくということについても、検討する必要があるのではないかと思います。
最後に免責についてですけれども、これもいろいろな法的なリスクをかなり無視した議論になってしまうので、いきなり免責ということにはならず、できるとしたら、例えば、適正な管理を行っているフードバンクについて、政府ないし公的な組織が保険制度を用意して、そこにある程度公費を投入して、被害が仮に出たら被害を肩代わりするという程度までしかできないのではないかと思います。
私のほうからは以上です。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、続きまして、小野委員からお願いします。
○小野委員 小野でございます。
私、お話を伺っていて、大きな方向性としては、特に違和感はないのですけれども、やはり少し気になっていますのは、フードバンク活動の支援や、食品提供の責任の在り方、やはり、ここはきっちり整理をしていただかないといけない重要なテーマだと思っています。
私自身も学生を連れて、こういった活動をしているところに、お手伝いをさせてもらっているのですが、やはりせっかく善意でやったことが大きな事故につながりますと、それはとても残念なことだなと思っています。
それで、先ほど原田委員もおっしゃっていましたように、やはり保険制度のようなものをつくっていく必要があると思いますし、それはどんな食品にもリスクがあるということを大前提としたときには、制度としては必要だと思ってお話を伺っていました。
それから、やはり関わる事業者、例えば研修などに出ていただいて、そして一定の出席状況とは言いませんけれども、理解いただいているかどうかを確認するという啓発を進めていく、そのことによる、例えば、評価といいますか、推進会議である委員がおっしゃっていたということで、お墨付きということの1つになるかなと思ってお話を聞いておりました。
以上、コメントでございます。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
ほかに、今村委員、お願いします。
○今村委員 食品は、私の分野ですので、コメントをさせてもらいますと、私自身が食品衛生法を何年か持っていたことと、保健所長もやっていた経験から、食べ残しを持って帰るというのは、ものすごく難しいと思います。
基本的には、食品衛生法というのは、作る側の責任を明確にしているものなので、店の中で食べてもらう分には大丈夫というところまでは、保証しているものなのですけれども、それを持って帰った後、何が起こるかというと、必ず食中毒や健康被害が起こるのです。それは、その人の管理ミスなのかもしれないし、作った側かもしれないのですけれども、それを作った側の責任を明確にしているのが、食品衛生法の役割なのだと思います。
それを作った側から渡した側に免責をするということというのは、なかなか作る側の責任回避になる話なので、法律上は、多分、厚労省は、簡単にはうんと言わないと思いますし、免責するのだったら丸ごと免責してくださいという話になると思います。
作ったときには大丈夫でも、1時間経ったら食べられなくなるものというのはたくさんあって、食中毒菌の種類によっては、1時間で100倍、1,000倍に増えるものもたくさんあって、多分、目の前で食べる分には何も起きないけれども、では、家に持って帰るまでの間、30度の電車や車の中で置いておいたらどうなるかというところまでは、多分、保証の限りではないのですね。
だから、そういう意味で、食品ロスをなくすことは重要だと思うのですけれども、それは必ず食中毒が増えるという前提の下に議論をする必要があって、そうすると、免責とか、保険とか、実際に食中毒が起こったとしても我慢していただくということだと思います。
実際、今、自然食品という名の下に、添加物フリーのものがたくさん出ているのですけれども、添加物が加わらないということは、すぐ腐るという意味で、自然食品の店の持ち帰りなどというのは、ものすごくリスクが高いです。
普通、保存食は、保存料が入っていますから、普通は3日ぐらい持つと、皆さんは思っているものが多いのですけれども、実際には腐らないようにしているから腐らないのであって、入っていないものは、やはり早く腐るので、そういう社会の風潮等を考えると、食品ロスの、特に食べ残しを持って帰るというのは、難しい問題がすごく大きいと思います。
コメントです。以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
黒木委員長代理、お願いします。
○黒木委員長代理 黒木です。
農水省の事業だったと思うのですけれども、食品ロス削減及びフードバンク支援緊急対策事業というのが、令和4年度の補正予算についていて、それによると、要するにフードバンクに対して食品の受入れ、提供を拡大するために必要となる経費を支援して、フードバンクの活動強化に向けて、食品供給元の確保の課題解決に資するよう、専門家派遣とかマッチングネットワークを強化すると、支援を強化するということで、令和4年にそういう予算がついて事業が行われていると、農林水産省で書いてあるのですけれども、ホームページだけの議論なのですが、これがどういう形で機能しているのか、フードバンクの食品管理とか、その辺りのところについて、どれくらいフードバンクを運営している人たちのクオリティといいますか、そういうものが、このような事業も含めて、今、政府としては、どうフードバンクのクオリティを考えていて、今回の提言になっているのかということについて、少し教えていただければ有り難いと思います。よろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 今のは御質問ということなので、依田審議官、御回答をお願いできますか。
○消費者庁依田審議官 ありがとうございます。
黒木委員長代理のほうから、今、御指摘がありました。確かに農水省辺りが、フードバンク活動の支援ということで、今、御指摘がありましたとおり、令和4年度からは保険料の補助とか、あと倉庫とか運賃補助といったものの活動支援を行っているところでございます。
その予算の執行状況については、令和4年度補正の状況について整理したものは、まだ公にされておりませんが、農水省の取組は、国として支援する以上、やはり先進的な取組を支援するという言い方になっておりまして、優良事例を把握するということでは、農水省が、このパッケージの中の、今の案にも入れておりますが、優良事例を整理しまして、それの横展開を図るという取組、具体的な優良事例集の作成は、来年度にかけてやっていくと、そういう内容になっておりますけれども、こういったものを整理していくということは、予算事業で得られた情報を整理するということの取組を行うことにしてございます。
一方で、今の法的措置の検討との関係でございます。正に、先生御指摘のとおりでございまして、アメリカの免責のような制度をつくるに当たって、正直申し上げまして、フードバンク活動の実態といったものが、断片的に国の補助事業で把握できる部分はございますけれども、ある意味、私ども国の行政サイドのほうで、悉皆的にその状況を把握できるような行政ツールがないという状況でございます。
ですので、今回の提言にもございましたように、まずは食品寄附に携わる方たちが、どういう活動を行っているかということを、どうにかして見える化ができるような仕掛けができないかと、まず、そういうことを捕捉した上で、それぞれの方たちの活動に伴う、いわゆる事故等の責任を誰が負うのか、それぞれが、まずはどういう責任があるのかを認識した上で、どういう責任を果たす体制ができているのかというものを特定させていただいた上で、善意の活動に伴って仮に事故が起きた場合に、それを全部消費者の被害を受けた方たちに転嫁するわけにいかないので、全体で、その補償をする仕組み、究極的には、納税者で補償するみたいな議論もあり得ると思いますけれども、先ほど、原田先生もおっしゃったとおり、この食品ロスは、本来は、無駄な食品を排出しないということが、まず一丁目一番地でございまして、この寄附のほうは、食品ロスの文脈では、どちらかというと、それでも発生してしまった食品をどうやって有効活用していくかという話でありますので、寄附促進のために事故が発生した場合に、全て国が補償するという制度の正当性を説明できるのかどうか、こういった議論を内部ではさせていただいているところでございます。
いずれにしましても、申し上げたいのは、予算事業で実態を捕捉するものの、行政として、どうにかして、この善意の活動を行っている方たち、具体的には、法令的に言えば、食品の無償譲渡を、いわゆる生業、業と継続反復している方たちを特定する仕組み、捕捉する仕組みができないか、まず、この制度設計をした上で、その上で将来的には、食品寄附がしやすくなるような形の、社会全体あるいは特定のグループ全体で、その被害救済の仕組みをつくっていく、こういう検討をしていくことが必要ではないかと考えてございます。
○鹿野委員長 よろしいですか。
○黒木委員長代理 では一言、ホームページでは、令和2年3月に公益財団法人流通経済研究所というところが、フードバンク実態調査報告書というのをまとめられていて、そこで主体を見ると、いろいろなところが主体になっているのですけれども、アンケートの属性ですが、6割がNPO法人で、2割は法人格のない任意団体だと書かれているのです。
したがって、参入規制もなければ、どこかの監督官庁がいろいろな形で見ているということも、まだ全くないのだと思います。善意なのでしょうけれども、そうすると、例えば、先ほど原田委員もおっしゃったみたいに安全に食べられる期間というのも、やはりある程度冷蔵とかをちゃんとしない限りは、そこまで行かないということもあるでしょうから、食品ロス削減のために、そして、善意でフードバンクをつくるということについて、それはあれではないのですけれども、これを食品ロス削減と重ねてやっていくとすると、やはり、国の実態把握に関して、ネットで調べている限りにおいては、令和2年の報告書が一番新しいのだと思うのですけれども、まだ、それでもその程度と言っては申し訳ないけれども、まだ、任意団体とかが2割もやっているという形になってくると、そこから食品を受ける人たちの安全という関係について、どう考えるのかというのは、まだ、もう少し検討が要るのではないかと、これは感想です。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
今村委員、お願いします。
○今村委員 食品ロスの問題と健康被害の問題は非常に難しくて、賞味期限内のものを再利用する話と、賞味期限を超えたものを再利用する話は全く別だと思うのです。
レストランで食べ残しを持って帰るのも、ある意味、消費期限の外の話なので、それをアウト・オブ・ローになったときにどうするかということが難しい問題です。
自分自身が、ずっと食品事件に携わってきて、食中毒というのは、基本的にはなくならないので、事件化はしにくいのですけれども人が亡くなると大事件になります。人が亡くなるたびに、規制が強くなっていくので、今、もったいないから、できるだけ免罪にしましょうという話になったとしても、多分、人が亡くなるような事件は必ず起きますから、すると、社会で大問題化して、また規制が強くなるという流れになるのではないかなと、少し危惧するところで、そこまで、亡くなった場合というのを、是非想定していただいて検討していただく必要があると思います。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。
まず、意見なのですけれども、やはり食品ロスが出ないようにするためには、1つ目として、消費者側の意識を変化させる必要があると思います。やはり購入する前に、手前取りをするとか、あと外食では、食べられる量を自ら伝える、これが、とても大切だと思いますので、その辺りについて、まず、意識転換をしていったほうが良いと思います。
あと、もう一つなのですけれども、例えば、外食店に行って、御飯が出てくる場合、どれくらいの量が出てくるか分からないわけですね。ですので、例えば、御飯は100グラムを提供していますなどといった表示があれば、消費者側も、それでは多いのでとか、お伝えすることができると思いますので、その辺りの仕組みや、あとは、もしも持ち帰りをする場合には、このような注意が必要ですという一言を添えることも大切だと思いますし、これは、添加物が入っていないので、持ち帰りはお断りしていますなどといった、なぜ持ち帰ることができないのかとか、持ち帰る際の注意については、やはりきちんとしていただきたいなと思いました。
御質問なのですけれども、1点、先ほどお示しいただいた各国の法制度の比較の表ですが、これは寄附についての各国の比較だったと思うのですけれども、持ち帰りできるものについての各国の比較や、あとは持ち帰りできる範囲、先ほどお伝えしたように、できるものと、できないものが法律で何か記載があるとか、決められているとか、あと寄附についても、こういうものについては寄附できますよとか、その辺りの比較が、もしもあれば、分かれば教えていただければと思います。
以上です。
○鹿野委員長 今の点について、依田審議官、御存じの範囲でお答えいただけますか。
○消費者庁依田審議官 まず、持ち帰りの諸外国の制度でございますけれども、当方が把握している限りにおいては、フランスにおいて、先ほど少し言及いたしましたけれども、店側、いわゆるエガリム法の文脈の中で、飲食店は、消費者というか顧客が持ち帰りたいという意思表示をした場合に断ってはならないという規制をかけていると承知しております。
ただ、どういう食品でもいいのかとか、そういう運用状況も含めて、これはJETRO等を通じて実態調査を継続中ということでございます。
また、寄附食品の種類に関しましては、いわゆる民事上の責任を問わないというアメリカとか韓国の法律は、食品の種類については問わないということでございます。
一方で、それぞれ食品衛生法規でございますが、アメリカは、いわゆるフードコード、あとはEUなどですと、EU規則がございますけれども、それぞれ食品に関してドネーション、寄附の場合において、ある意味、通常の販売を前提とした規定と異なる規定を置いている国もございますが、いずれにしましても、公衆衛生上の確保という観点で、寄附だからといって衛生上の措置を緩和するということは、各国とも慎重な形になっていると承知してございます。
○鹿野委員長 柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 すみません、消費者側に対して、このフードロスの取組について、各国では、何か日本で参考となるような事例とかが、もしもお分かりになれば、教えていただければと思うのですけれども。
○消費者庁依田審議官 先ほど冒頭でも申し上げましたように、この問題は、SDGs目標ということで、国連が各国に呼び掛けておって、2030年に向けてフードウェイストを消費・小売段階で半減させるということでございまして、ある意味、日本は先進的な取組を、手前みそになって恐縮でございますけれども、閣議決定で2030年目標、数値目標を掲げているということ。閣議決定をしているのは、私たちが把握している限りにおいて、日本と韓国ぐらいでありまして、EUも一生懸命、加盟国に半減目標を法定するようにと呼び掛けておりますけれども、いまだに政府として数字をコミットするという国は、私どもの調査においては、把握していないというところでございます。
その意味では、日本は、ある意味よくやってはいるとは思うものの、この食品寄附ということについては、食品ロス削減推進会議のほうでも出ましたが、いわゆる食品ロスの削減という文脈と少し異なる要素といいますか、いろいろ御議論がありましたのは、いわゆる食品アクセスみたいな、経済的、あるいは地理的に食品にアクセスできない、あるいは孤食問題等々の社会福祉的な観点からこの問題をどう取り扱っていくのかという議論は、別途あるのかなということを感じる次第でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか、オンラインで参加の委員におかれまして、何かございますでしょうか。
それでは、星野委員、お願いします。
○星野委員 御説明ありがとうございます。
原田先生とほかの先生もおっしゃったように、発生を抑制するのが大事だということもございますが、結構、私は実際に実務で、某食べ放題のお店のデータ分析などをさせていただいたことがありまして、結構ポーションの量を変えることによって、かなり抑制できるみたいなことは分かっております。例えば、そういうものは、データがあったり、もちろん、当然ながら零細飲食事業者は、そういったことは結構できないかもしれませんが、どういう方に対して、どういったポーションで出すかということは、実は非常に最適化できるのに、なかなかそういうことはやっていないということがございます。
例えば、食べ放題ですと、もちろん、しかも大規模なチェーンですと、そういったことに取り組むことが非常にコストを下げるということが分かるので頑張るわけですが、なかなかそういったことに対して思い至らないような事業者、つまり、材料を減らしたほうが、そもそもの食材使用量が減ったほうが、廃棄コストも減って良いということのわけなので、利益に直結すると。ですから、インセンティブを訴えかけるみたいなことは、結構、事業者に対してはやれると思うのですが、そういったことに対する取組というのは、もっとできるのではないかと思いました。例えば、どのような形で食品に関して、ボリュームとかサイズとかを決めるかみたいなものに関して、指針だとか、そういった情報提供をするということも結構重要かと思います。
コメントでございます。
○鹿野委員長 コメントということですね、ありがとうございました。
中田委員、お願いします。
○中田委員 依田審議官、御説明ありがとうございます。
お話を伺っておりまして、圧倒的に作る側、提供する側の法的責任であり、リスクが高いという、これは常識なのかもしれませんが、感じました。
そういったハードルを乗り越えてまで、寄附であったりとか、残ったものを持ち帰るような促進をするということは、非常にハードルが高いなと感じており、まずはガイドラインをということで理解ができたのですが、一方では、消費者側にも判断をする知識、例えば、品質に関する知識でありますとか、食中毒に対する知識、あと賞味期限、消費期限の表示の見方についての知識などを啓発していき、消費者が自分自身で自身の食の安全についても考え、行動し、最終的には、食というのは楽しむものだと思いますので、そういった食品ロスをなくして、食生活を楽しんでいくというところまでの啓発についても、是非強化をしていくことが必要かなと感じました。
コメントとしては以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかはいかがでしょうか。
よろしいでしょうか。御議論ありがとうございました。ちょうど予定した時間も近付いてきました。ただいま委員から様々な観点から意見等が出されましたので、それに私の意見も若干加えて、最後にまとめを申し上げたいと思います。
まず、大きくは食品ロス削減の取組というのは、SDGsの観点から、つまりは消費者にとっても大切なことだと考えております。
しかし、一方で、それによって食中毒などの食品事故が拡大するということになってはなりません。そのようにならないよう、十分に安全が確保される仕組みづくりを考えていただきたいと思います。
それから、2点目ですが、食品寄附に関わる民事上の責任の免責について、資料の6の8ページのところで、海外の制度の状況について御説明いただきました。
これについては、慎重に検討しているということで御説明があったところではありますが、改めてこの点について、念押し的に申し上げたいと思います。
この免責ないし責任の緩和ということが、消費者が被害に遭った場合に、本来、一般法であれば賠償の請求ができるはずであったところを、賠償請求が否定されることにつながり、そのリスクが消費者に転嫁されるということになるとすれば、それは消費者被害の救済という観点から問題が大きいと思います。
本日も指摘があったように、事業者の責任緩和ということを考えるのは一方で重要なのかもしれませんけれども、その場合、被害の補償とか、あるいは保険制度と結び付けるようなことも含めて、一方的に、消費者にリスクが転嫁されるようなことにはならないよう、より慎重な検討をお願いしたいと考えております。
それから、食べ残しの持ち帰りについては、食品衛生上、非常に取扱いが難しいという御指摘もございました。
これについても、持ち帰りたいと希望をする消費者の自己責任というだけではなく、むしろ大きな食品事故につながることがないように、十分に注意をしたガイドラインの策定等を行っていただきたいと思います。
その中では、事業者として最低限なすべき事柄を明確化するとともに、消費者に対する情報の提供や警告などの記載も含めて、様々な方面から検討を行っていただきたいと考えております。
また、食品ロスの削減に向けては、法的な措置に加えて、事業者の商慣習の見直しを促すことや、消費者の行動変容を促すような広報・啓発の在り方についても御検討を引き続きお願いしたいと考えております。
いずれにしても、まだ実態把握が十分にできていない部分もあるということでしたので、引き続き、今後のことを考える上でも実態把握を進めていただきたいと思います。
それから、原田委員からは、食品の表示の在り方についても、このこととの関連で検討する必要があるのではないかという御指摘もあったところでございます。
以上のように、食品ロス削減は、冒頭申し上げましたように、消費者にとっても重要な課題でありますが、同時に推進に当たっては、消費者の健康被害のリスクが増大することがないよう、あるいは、万が一事故が起こった場合でも被害の救済が図られないということにならないよう、十分に配慮した仕組みづくりが必要だと思いますし、その方向で、是非慎重な検討を進めていただきたいと思います。
年末までに施策パッケージをまとめられるということでしたけれども、本日、今まとめた点も含めて、委員から出されました意見を踏まえてより良い制度となるよう、引き続き御検討を進めていただきたいと願っております。よろしくお願いします。
消費者庁の依田審議官におかれましては、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。
○消費者庁依田審議官 ありがとうございました。
《3. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に事務局より、今後の予定等について御説明をお願いします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページにてお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございました。
(以上)