第416回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年11月14日(火)10:00~12:22

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、中田委員、山本委員
    (テレビ会議)今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員
  • 【説明者】
    独立行政法人国民生活センター相談情報部 加藤相談第2課長
    独立行政法人国民生活センター相談情報部 飯田相談第2課課長補佐
    経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ 豊田商取引監督課長
    金融庁総合政策局総合政策課 桑田金融経済教育推進室長
    金融庁総合政策局 清水フィンテック参事官
    池本弁護士
    坂弁護士
    桜井弁護士
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者基本計画の検証・評価・監視(決済制度の透明化)

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○鹿野委員長 本日は、御多忙のところお集まりいただきまして、誠にありがとうございます。

ただいまから、第416回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日の出席者ですが、黒木委員長代理、中田委員、山本委員、そして私、鹿野が会議室にて出席しております。

今村委員、大澤委員、小野委員、柿沼委員、原田委員がテレビ会議システムにて御出席です。

星野委員は御欠席とのことであります。

それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。

○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。


《2. 消費者基本計画の検証・評価・監視(決済制度の透明化)》

○鹿野委員長 本日は、消費者基本計画の検証・評価・監視の一環として、決済制度の透明化について御議論いただきます。

社会のデジタル化の進展に伴い、支払いのキャッシュレス化が進み、支払手段が多様化して、全体の仕組みの把握が消費者にとって困難になっています。また、支払いを規律する法律も分散しております。

我が国では、政府においてキャッシュレス比率を2025年度までに4割程度、将来的には8割とすることを目指すとされており、キャッシュレス化は、今後ますます進むものと思われます。

このような状況の中で、消費者保護の観点から、キャッシュレス決済制度の現状を確認することが重要であります。

つまり、現在、キャッシュレス決済としてどのような手段があり、どのようなトラブルが見られるのか、消費者保護の規律がどのような形で設けられており、どこまで対応できているのか、また、課題はどこにあるのか。

さらに、決済に関わる消費者被害の発生・拡大防止等を図る観点から、金融経済教育の取組がどのように進められているのか等を確認することが重要だと考えております。

そこで、本日は、キャッシュレス決済制度を取り巻く現状、課題等につきまして、国民生活センター、関係省庁、また、この問題に詳しい有識者から御報告いただき、消費者の視点に立ち、行政が取り組むべき点、決済事業者に対応が求められる点などについて意見交換を行いたいと思います。

本日、御発表いただく方の御紹介をさせていただきます。

本日は、オンラインで、国民生活センターから、相談情報部相談第2課の加藤課長、飯田課長補佐にお越しいただいております。

また、経済産業省から、商務・サービスグループ、商取引監督課の豊田課長に、金融庁から、総合政策局の清水フィンテック参事官に御出席いただいております。

また、有識者として、池本弁護士、坂弁護士、桜井弁護士に御出席いただきます。

さらに、会議室には、金融庁総合政策局総合政策課、金融経済教育推進室の桑田室長にお越しいただいております。

皆様、御多忙のところ御出席いただきまして、誠にありがとうございます。

なお、桜井様におかれましては、所用のため、途中からの御出席と伺っております。

本日の進め方ですが、最初に国民生活センター、それから経済産業省、金融庁、池本様、坂様、桜井様の順で、それぞれ15分程度で御発表いただき、全ての発表が終了したところで、全体としての質疑応答、意見交換の時間を、予定としては30分程度取らせていただきたいと思います。

それでは、最初に、国民生活センターの加藤様、飯田様から御説明をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。

○国民生活センター相談情報部加藤相談第2課長 ただいま御紹介に預かりました、国民生活センター相談情報部相談第2課の加藤でございます。

資料に則りまして、御説明をさせていただきます。

まず、4ページを御覧いただけますでしょうか。相談件数の推移をまとめております。

こちらは信用供与の有無別に分けて、支払方法別の相談件数の割合を集計しております。

特徴的な箇所だけ御説明をいたしますと、2022年度におきまして、個別信用が増加をしております。

この背景につきましては、脱毛エステの倒産等のトラブルが増加したことが大きな要因でございます。

それから、2か月内払いにつきましても、前年と比べますと増加しておりますけれども、この2か月内払いの中には、後ほど御紹介しますBNPL(後払い決済)につきましても含まれております。

御存じのとおり、定期購入のトラブルが増加しておりまして、2022年度においても9万件を超えている状況でございます。

この定期購入の支払手段として、後払い決済というのが多く利用されておりますために増加の大きな要因となっています。

この後、キャッシュレス決済ということで御依頼を頂きましたので、私どものほうから、後払い決済とキャリア決済、コード決済、プリペイド式電子マネー、それぞれにつきまして、相談件数や特徴等を御紹介させていただきます。

5ページを御覧いただけますでしょうか。

まず、後払い決済の年度別相談件数でございます。このキーワードが2021年度から新設されたものですから、2021年度以降の件数になっております。

2022年度が4万件を超える状況で、2023年度は今年度途中でございますけれども、2万2,000件ほどということで、前年同時期に比べますと、増加をしている状況でございます。

次に、6ページを御覧いただけますでしょうか。

商品・役務等別の相談件数でございますが、化粧品ですとか健康食品といった類いのものが上位に上がってきております。

これは、定期購入のトラブルが先ほど申し上げたとおり多く寄せられております。その商品として、ほとんどが健康食品とか化粧品というものでございますので、そういった商品が上位に上がってきている状況でございます。

図2で契約当事者の年代別件数と割合なのですけれども、50歳代以上が全体の約7割を占めております。

繰り返しになりますけれども、健康食品や化粧品などが多くて、定期購入に関する相談が寄せられているという状況でございます。

本資料で挙げています4つの決済手段の中でも、最も多い状況になっております。

では、7ページを御覧いただけますでしょうか。

引き続きまして、キャリア決済の年度別の相談件数でございます。キャリア決済につきましては、年間5,000件台を推移しておりまして、本年度は3,000件ということで、前年同時期に比べますと微増という状況でございます。

8ページには、表3で、同様に商品・役務等別の相談件数を挙げております。

1位がインターネットゲーム、これは、いわゆるオンラインゲームなのですけれども、子供のオンラインゲームの課金トラブルというのが、依然として多く寄せられております。

よくあるのが、カード決済なのですけれども、スマホに紐付けているキャリア決済で決済してしまったというケースも多くありまして、図4の契約当事者の年代別件数と割合に、円グラフに示しておりますとおり、20歳未満が最も多いような状況でございます。

要は、これは子供の課金トラブルによって、この割合が高くなっております。

続きまして、9ページでございます。

こちらは、コード決済の年度別相談件数でございます。コード決済を使われる方も増えてきていることも背景にありまして、相談件数としては増加してきておりまして、2023年度は1,900件ということで、このままいくと前年度を超えるのではないかと思っております。

10ページに、商品・役務等別の相談件数でございますが、第1位は商品一般ということで、これは、心当たりのない利用、不正に利用されたという申出が結構多いものですから、何を買ったのか分からないということで商品一般という形で、1位になっております。

そのほか、様々な機会でこの決済を使うことがありますので、コンサートのチケットの個人間の売買で、コード決済でやり取りをしたのだけれども、チケットをもらえなかったとか、食事宅配などでも使われる方が多かったりということで、様々な商品で使われているというのが、この表から見て取れるかと思います。

ですので、20歳代から60歳代、各年代それぞれ全体の1、2割を占めておりまして、幅広い方に使われている実態というのが見て取れます。

続きまして、11ページを御覧ください。

プリペイド式電子マネーの件数でございます。こちらは1万件台を推移しておりまして、2023年度5,760件ということで、ほぼ前年同時期と同じような件数で推移をしている状況でございます。

12ページ、商品・役務等別の相談件数の表を御覧いただければと思うのですが、これも先ほどと同様に1位が商品一般となっております。

いわゆる架空請求とか、当選金詐欺とか、何を買ったのか把握できないような相談の場合に、商品一般というのを入力するものですから、1位に上がってきております。

それから、2位は出会い系サイト・アプリです。昔に比べれば、大分相談件数は減りましたけれども、いわゆるサクラサイトのトラブルで、ポイントを購入させられるというトラブルがありまして、その決済手段として電子マネーを買わせるという手口が依然として寄せられているものですから、2位に出会い系サイト・アプリが上がってきております。

それから、3位や4位のところは、パソコンのサポート詐欺みたいなもの、被害は高齢者に多いのですけれども、昔に比べると、クレジットカードよりも、電子マネーでお金を支払わせるという手口のほうが増えてきておるために、上位に上がってきております。

そのために、円グラフを御覧いただければと思うのですけれども、70歳以上が最も多く、50歳以上で全体の6割を占めるというようなものでございます。

繰り返しになりますけれども、商品一般が最も多く、送られてきたメールをきっかけに、プリペイド式電子マネーの購入を指示された、金銭を搾取されたというケース、詐欺的なトラブルで、悪用されてしまっている実態があります。

続きまして、14ページ以降に、事例を御紹介しているのですけれども、読み上げておりますと時間がなくなりますので、先ほど申し上げてきたようなトラブルの具体的な事例を幾つか御紹介しておりますので、後ほど御覧いただければと思っております。

18ページに飛びまして、相談事例や相談対応などから見る特徴や課題につきまして、少しお話をさせていただければと思います。

19ページを御覧いただけますでしょうか。

後払い決済につきましてなのですが、繰り返しになりますけれども、定期購入のトラブルが多いということで、その相談の中で、後払い決済で支払ったというお申出をよく頂きます。

課題としまして、2つ目に記載しましたとおり、通信販売での定期購入に関するトラブルでは、サイトの表示や広告の内容が問題となっているケースが目立っております。

割販法の規制が及ばない後払い決済の場合には、決済サービス提供事業者による加盟店審査や、加盟店管理が十分と言えないケースがあるのかなと考えます。

もちろん、業界団体を作られ、割販法に準じた加盟店審査に取り組んでおられる事業者さんもあるのですけれども、定期購入のトラブルの場合には、加盟店の契約をしたときから、サイトの作りを変えていったりということがありまして、できれば、途上審査みたいなものをしていただき、定期的にチェックいただき、相談件数の減少に、引き続き御協力いただきたいと思っているところでございます。

また、下の3つ目に書きましたとおり、身に覚えのない請求に関する相談もありますので、不正利用対策といった辺りもお願いしたいなと思っているところでございます。

20ページを御覧ください。キャリア決済でございます。

キャリア決済は、先ほどの後払い決済と同様、上限額が一定の金額ですので、何十万円も使ってしまったということはないのですけれども、子供のオンラインゲームやサブスクの契約で、キャリア決済を利用しましたというお申出を頂くことがよくございます。

2つ目のところに記載しましたけれども、子供のオンラインゲームのトラブルでは、親のスマホを使って、ゲームで課金してしまったということで、親のアカウントに紐付けているキャリア決済が成人のものになっていますので、未成年者としての利用限度額が適用されずに、高額になってしまったという相談ケースがあります。

また、キャリア決済の不正利用に関しましては、利用規約によって補償される場合もあるのですけれども、プラットフォーム事業者等を利用して決済された場合には、その補償が適用されないというケースがあって、たまにですけれども、問題になるということでございます。

また、4つ目は、相談現場においても、やはり引き続きキャリアの事業者さんには、お願いをしているところなのですけれども、通信料の支払い等、合算払いになります。通信料については、支払いたいけれども、そのキャリア決済の部分については納得できないという御相談の場合に、それを分けて支払うということができないので、結局、見覚えのない請求分と通信料を一括で支払わざるを得なくなってしまうという、そういった問題があります。

不払いになりますと、不払い者情報が共有され、今後通信契約ができなくなるということもあって、納得できないのだけれども支払わなければいけないような状況に、消費者が陥るというところが課題として挙げられます。

21ページを御覧ください。コード決済です。

コード決済においては、いろいろな場面で使われて、なかなか特徴というのは難しいのですけれども、強いて整理しますと、身に覚えのない請求などに見られる不正利用に関するトラブルとか、あとチャージ残高などに関して、システムに関する問題が見られております。

2つ目に記載しましたけれども、先日、我々でも注意喚起をしたのですが、ネットショップで商品を購入した消費者が、商品が届かないと。それで、販売業者の方から、こういうことなので、コード決済アプリを使って返金しますよと言われて、スマートフォンで返金手続を電話でやり取りされているうちに、結果的に、消費者がお金を受け取るはずが、相手方に送金してしまったという、新手の詐欺に関する相談も見られております。

1つのアプリの中で、送金と受け取りを両方できるものですから、消費者にとっては、指示されながらですと、意図せず送金してしまったという相談が寄せられておりますので、消費者にとって分かりやすい表示ですとか、注意喚起の表示などを是非お願いしたいと思っているところでございます。

続きまして、22ページを御覧ください。プリペイド式電子マネーでございます。

こちらは、先ほども申し上げましたとおり、当選金が当たりましたということで、電子マネーの購入を指示させる当選金詐欺みたいなトラブル。あと、出会い系や副業を目的としたトラブル、それからサポート詐欺、こういったところで悪用されてしまっている実態があります。

こうしたトラブルを防ぐためにはどうしたらいいか、なのですけれども、電子マネー発行事業者さんですとか、コンビニ事業者さん、関係事業者が引き続き連携して、注意喚起を行っていく必要があるのかなと思っております。

我々も以前に注意喚起をしました際に、コンビニの事業者さんと、いろいろお話をさせていただいて、コンビニの中のラックのところに注意喚起の注意の表示を出してもらったりですとか、レジの操作パネルのところで、注意表示が出るような取組をしてくださったりといった事業者さんもありますが、引き続き、高齢者が何度も買いに行ったりしている場合には、お声掛けいただくといった取組を、是非引き続きお願いしたいと思っております。

最後は、国民生活センターのこれまでの取組、注意喚起等を整理したものですので、説明は割愛させていただきます。

説明は以上とさせていただきます。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、経済産業省の豊田様、御説明をよろしくお願いします。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ豊田商取引監督課長 経済産業省商取引監督課長の豊田と申します。よろしくお願いいたします。

本日は、割賦販売法の現状と課題ということで、御説明というお話がありましたので、資料は2つ、1つにとじていますが、お送りさせていただいております。

こちらの資料は、直近の割賦販売法の改正であります、令和2年改正、その後の動向と課題をまとめた我々の審議会の資料ということになります。

数字のほうを一部アップデートするとともに、最後に、今年の1月まで経産省のほうで、クレジットカードのセキュリティに関して検討会をやっていましたので、そのダイジェストの資料を付けるという形の構成になっております。

早速ですが、資料を御覧いただきながら御説明できればと思います。

まず、令和2年改正の振り返りということでございますが、3ページを御覧いただければと思います。

令和2年の改正でございますが、クレジットカードの進展がどんどん進む中で、クレジットカード会社で利用者の支払実績などの膨大なデータに基づいて、工夫しながら与信審査を行うという実態があること。

また、少額かつ多頻度の決済への後払いサービスであったり、異業種企業の参入というものがありましたし、さらに、インターネットやスマートフォン端末による決済が拡大したというのが一つ大きな背景。

また、決済サービス、その提供主体の多様化によって、クレジットカード番号等の情報漏えいリスクというものが高まったのも一つの背景ということでございまして、こういった状況を踏まえて、利用者の皆様が安全・安心に多様な決済手段を利用できる環境として、新たな決済サービス提供事業者にも、クレジット番号等の漏えい事故への対応、こういったものを求めることを大きな柱として、割販法改正を令和2年に行ったところでございます。

割販法の改正自体は、これまでも随時行ってきておりまして、すみません、大部の資料なので時間の関係上飛ばさせていただきますが、10ページを御覧いただければと思います。

今、申し上げた令和2年の改正に至るまでも、累次の改正をしてございます。

割販法は、先ほども少し申し上げましたが、安全・安心な決済手段の確保、これが大きな目的になっておりますので、過剰与信や、加盟店管理などの取引における消費者保護、これを充実させてきたというのが歴史的な経緯ということになります。

他方で、令和2年改正もそういう要素が大きいのですが、昨今、クレジットカード番号などや、信用情報の情報管理、セキュリティ対策で信頼性確保の対応も比重が高まっているというところで、改正の中身のほうが、そういった形になってきているというのが大きな流れでございます。

すみません、多少過去を振り返りますが、今の御説明を具体的に申し上げますと、2008年改正がまずありまして、これは悪質加盟店、過剰与信に関する消費者トラブルの対応であったり、クレジットカード情報、個人情報の漏えいへの対応ということで措置をしてございます。

16年改正は、今度は悪質加盟店に係る消費者トラブルへの対応でありましたり、引き続き、番号漏えいとかの課題がございましたので、番号漏えいや、あとは不正利用被害への対応、さらに、これらを管理する形で、アクワイアラーの登録制、加盟店調査等の導入をしたということでございます。

直近2年の改正につきましては、先ほど申し上げましたとおりで、セキュリティであったりとか、新しい技術・サービスへの対応ということで改正をさせていただいているということになります。

すみません、大部の資料なので、飛び飛びで恐縮ですが、14ページを御覧いただければと思います。

今、割販法の御説明をさせていただいたのですが、今のクレジット業者を規律する関係法令、現状ということで御説明させていただければと思います。

クレジット決済の状況なのですが、一番下の丸囲みをまず見ていただければと思いますが、少し古いデータですが、加盟店数は約1,400万店、決済金額81兆になりますが、これは、令和4年で言いますと94兆円で、国内EC市場は19兆円とありますが、令和4年では23兆円ということで、どんどん拡大してきているということでございます。

クレジット業者に関しては、割販法で大きく規制しているというのは、正にこの図の示すところでございますが、それ以外も我々は課題を多く対応させていただいているというのが現状ということになります。

割販法以外で申し上げると、幾つかございますが、例えばサイバーセキュリティの問題というのがございます。

左の上のほうに囲みでございますが、第3次行動計画の中で、クレジット、重要インフラと指定されていますので、関連51社と、サイバー被害を想定した訓練などの取組を鋭意進めているところでございます。

また、その下の犯罪収益移転防止法でございますが、第4次審査で、日本がフォローアップ国ということに、令和3年されましたので、ガイドラインの改定とかをしまして、マネロン対策を、今、鋭意進めているところでございます。

ガイドラインに沿った対応を、令和6年3月までに、しっかり体制整備するようにということをうたっておりますので、割販法に基づく検査などでも重点的に見させていただいているところでございます。

あと、直近で言いますと、経済安保法、これが令和4年に成立しまして、クレジットカードも、その中でしっかりと位置付けられておりますので、その施行に向けた対応を進めているところでございます。

また、右上のほうでございますが、個人情報保護法との関係も出てきておりまして、令和4年の改正が施行されて以降、信用ガイドラインの改訂などを行いまして、こちらについても、割販法に基づく検査の中でも、よく対応ができているかというのはチェックをさせていただいているということでございます。

また、民法改正が、直近、令和4年に施行されておりますが、これに伴いまして、18歳まで成年年齢が引き下げられましたので、クレジットカードの利用についても、18歳までできるということになりましたので、そういった利用者の拡大に応じて、被害実態が増えていないかとか、この辺りというのは、よく監督上見させていただいているところでございます。

特商法改正との関係というのは、常に論点でございまして、よく連携をさせていただきながら対応しているというのが、まず、割販法とその他の法制の関係ということで、我々が監督行政をする上で、よく連携したりとか、考慮しながら対応させていただいているという事項になります。

その上で、24ページ、さらに直近で抱えている大きな課題ということで、少し特出しして御説明させていただければと思います。

具体的には、24ページ以降で御説明させていただいておりますが、EC取引、キャッシュレスの決済の増加の中で、正にEC取引に起因する不正利用が増えているというのが、大きな課題ということでございます。

EC取引は、ここは正に御参考でございますが、政府としてもクレジットカード、キャッシュレス決済比率を高めていくということを施策として掲げておりまして、将来的には世界最高水準の80パーセントを目指すというのが右のグラフでございます。

実際、どんどんキャッシュレス決済が増えてきておりまして、その中でもクレジットカードの占める割合というのは、8割強になっているというのが現状でございます。

ただ、これに伴いまして、クレジットカードの不正利用が増えてきているというのも、また実態でございます。

25ページを御覧いただければと思います。

クレジットカード自体は、番号などが入手できると、ある種、利用できてしまう構造になっておりますので、番号などを窃取するフィッシング攻撃、これが大幅に増加しているというのが現状でございます。

もちろん、フィッシングだけではないのですが、その番号を窃取する犯罪が、どんどん増加しているという中で、この窃取した番号を使った不正利用が増えているというのが現状でございます。

26ページは、不正利用がどれぐらい増えてきているかということの御説明になります。

不正利用につきましては、2022年、昨年、437億円ということでピークに達してございます。

実際、94.3パーセントが、先ほど申し上げたようなフィッシングなりで窃取した番号を使ったものということになっておりますので、この番号窃取と、あとはその不正利用を防ぐというのを同時に並行的に2本柱で進めていく必要があるだろうというのが、直近、課題として抱えている大きなところということになります。

少し進んでいただきまして、33ページでございます。

セキュリティ問題自体は、割販法でも従来から大きな論点でございまして、クレジットカードの20年改正から番号漏えい、番号を窃取されないようにといったものの義務化だったり、あとは、それを随時拡大する形で、今度は加盟店に義務を広げるという形だったりとか、令和2年に、直近に関して言いますと、決済代行業者とか、QRコード決済事業者についても、この管理義務、番号漏えい防止義務というものを課してきているというのが大きな流れになってございます。

というのが大きな流れなのですが、現状、やはりこの不正利用が大きく伸びているという中で、今年の1月まで、経産省のほうで有識者の皆様に集まっていただきまして検討会をしてまいりました。

それをまとめたのが、最後のページのクレジットカード決済システムの更なるセキュリティ対策強化に向けた、失礼いたしました、資料3を御覧いただければと思います。

「クレジットカード決済システムの更なるセキュリティ対策強化に向けた主な取組のポイント」ということでございます。

先ほど申し上げましたとおり、不正利用が過去最大になるという中で、昨年の8月から今年の1月まで、経産省のほうで検討会をさせていただいたものの取りまとめのポイントということになります。

柱は3つございます。1つ目が漏えい防止ということで、番号等の適切管理の強化ということを掲げております。

これは先ほど申し上げましたとおり、不正利用の94パーセントが窃取された番号を使ったものであるということなので、番号を取られないようにするというのが大きな柱になっているところでございます。

不正利用のほうは、取られた番号が使われないようにするという使用局面での対策、これを講じていく必要があるだろうということで、柱に立てております。

最後の3番が、犯罪防止・広報周知ということで、なかなかフィッシングとか、対策が極めて難しい、完全な対策を取れるのかという論点のある犯罪もございますので、これについて、利用者への働き掛けであったり、そういうことをしていることが3本目の柱ということになっています。

少し具体的に御説明すると、漏えい防止のところでございますが、大きな柱は、EC加盟店、ここでの漏えいが多く言われておりますので、ここに対する規律の強化をさせていただいています。

具体的には、一部紹介をさせていただきますと、1つ目の黒ポツでございますが、ECサイトの脆弱性を突いた攻撃、番号窃取があるということでございましたので、これをセキュリティ対策ガイドラインというものを改訂させていただきまして、脆弱性対策強化を義務付けると、必須にするということを、今、やっているところでございます。

右のほう、不正利用に関しましては、本人認証、番号が取られても、最後はワンタイムパスワードだったりとか、いろいろな認証の仕方がありますが、本人認証をすれば、そこは、ある種、なりすまされないということができますので、これについて、本人認証の仕組みを、通常、EMV3DSと、特に最新のツールとして言われていますが、これの導入を加盟店では原則導入してくださいという改定を行って、これも義務付けるということをしております。

加えて、まだ議論中のところではございますが、さらに、PSP、すみません、少し戻りますが、漏えい防止のほうに関して言いますと、決済代行業者と言われますPSPの監督の在り方がどうかとか、あとは不正利用防止のほうに関して言いますと、このEMV、加盟店だけではなくて、イシュアーのほうに導入する必要があるかどうかとか、義務付ける必要があるかどうかとか、そういった論点も引き続き検討するということで、当面でできる対策は、今、ガイドラインを改訂という形で、すぐにさせていただいているのですが、引き続き、その他についても検討を進めて、不正利用を減らすという方向で取り組んでいきたいと思っているのが現状ということになります。

すみません、資料が行ったり来たりして大変恐縮でしたが、私からの説明は以上になります。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、金融庁の桑田様、よろしくお願いします。

○金融庁総合政策局総合政策課桑田金融経済教育推進室長 金融庁の桑田です。本日は、御説明のお時間を頂戴してありがとうございます。

資料4を御覧ください。

ページをおめくりいただきまして、2ページ目ですけれども、足元の金融経済教育をめぐる課題ということで、これまで金融庁を始め、政府あるいは日銀の金融広報中央委員会、その他、日本証券業協会、全国銀行協会などの金融関係団体が、学校や職場などで、この金融経済教育を積極的に進めてきたところです。

しかしながら、左下の円グラフにありますとおり、金融経済教育を受けたことがありますかという質問に対しては、わずか7パーセントの人しか認識していないという回答が得られているということで、教育が広がっていないことを示すものと認識しております。

上のほうのポツに戻りまして、その他職域でも、確定拠出年金加入者向けの継続投資教育が不十分という指摘があるほか、長期投資・分散投資などのリスク抑制効果というものを知っている方も4割にとどまっている。

その他、投資詐欺などの被害事案、近時はSNSを通じた投資勧誘トラブルというのも発生していますけれども、こういうものも引き続き発生しております。

また、政府、金広委、金融関係団体の取組について連携を強化すべきではないかという指摘があります。

ここに記載しておりませんが、金融関係団体が金融経済教育のために個別の企業に授業しますよと声掛けをしても、最終的に営業につながるのではないかという懸念があるためか、敬遠されてしまうということもありまして、最近では個別企業における人的投資であるとか、ファイナンシャル・ウェルネスであるとか、こういったお金に関する教育というものの重要性が指摘されているわけですけれども、今のような状態では、なかなか教育が広がらないということで、国を挙げて官民一体で、こうした教育をしっかり中立的な形で進めていくことが必要ではないか、そういった議論が去年からより強く展開されまして、昨年11月、政府で資産所得倍増プランが公表されるに至りました。

そこで盛り込まれたのが、次のページに記載しております、金融経済教育推進機構の設立になります。

上のほうに書いておりますが、設立のために必要な関連法案、現在、参議院で継続審議中という状況になっておりますけれども、こちらの関連法案が国会で成立、施行となった場合には、金融庁が所管する新たな認可法人として、この金融経済教育推進機構を来年春に設立いたしまして、その後、夏に本格稼働をするというスケジュール感で、今、関係団体と準備を進めているところでございます。

左のほうにイメージを書いております。政府(金融庁)が認可・監督する金融経済教育推進機構でありますけれども、政府(金融庁)の下、民間団体、具体的には日証協、全銀協、それから投資信託協会に関しましては、今、団体として行っている金融経済教育の事業それ自体を、新しく設立される認可法人の機構に移管する予定です。それに併せまして、資金、人員も拠出するということを前提として準備を進めております。

また、日銀が事務局を担っております金融広報中央委員会、これに関しましても、この機能を移管・承継するという形で、また、その資金、人員というのも拠出していただくということで準備を進めております。

一方で、各都道府県にも金融広報委員会が存在しておりまして、都道府県によって日銀が事務局を担っていたり、あるいは県庁、例えば消費生活課といったところが事務局を担っている県もございますが、ここは、引き続き存置するという形で、これまで中央委と都道府県の金広委という関係が、今後は機構と都道府県の金広委という形になります。

この教育は、東京だけでやるわけではなくて、全国津々浦々に広げていくことが重要でありますので、こういった都道府県の金広委とも引き続き連携を密にして、しっかりやっていくということでございます。

左下に注釈を書いております。最終的には経営陣の方に決定していただくということではありますけれども、現在想定している機構のイメージとしましては、役職員数約70名、年間の予算規模は約20億円、うち9割以上は民間の方からの拠出金で賄うといったことを想定しております。

この機構で行う事業に関してですが、右側に6点ほど記載させていただいております。

1つ目が、顧客の立場に立ったアドバイザーの普及・支援ということで、中立的な立場で教育を行っていく機構でありますけれども、世の中にはいろいろな形のアドバイザーという方がおられるわけですが、個人といたしましては、金融商品を売っている方から専門的な知識に基づいたアドバイスを受けるのは、もちろんいいのですけれども、一方で、そういう商品を売っている方ではなくて、完全に顧客の立場に立った側の方からアドバイスを受けたいと、特定の金融事業者、金融商品に偏らないアドバイスを受けたいというニーズもございますので、そういったものに応えるべく、どのような場所に、どのような顧客の立場に立ったアドバイザーというのがいるのかということを機構として認定し、リスト化して公表する予定です。

また、認定されたアドバイザーに対しては、機構としても支援をして、顧客が気軽に相談できる環境というものを整備してまいりたいと考えております。

「②金融経済教育活動の重複排除・抜本的拡大」になります。先ほど課題のところで申し上げましたとおり、金融経済教育は7パーセントの方しか受けたことがないという結果もございますので、全体として、この量の拡大というのは、非常に重要な課題であると認識しています。

とりわけ、先ほども申し上げましたけれども、企業の従業員向けセミナーなどは強化する余地がまだまだありますし、学校での教育、昨年より高校の公民や家庭科などで学習指導要領が改訂されたなどの動きもございますが、そういったところも中立的な機構において、全国的に拡大できるよう取り組んでいきたいと思っております。

③番目は、質の向上です。量だけではなくて質ということでありますけれども、①で御紹介した認定アドバイザーという方々に、機構においては講師の役割を担っていただいて、出張授業などで御活躍いただくということを想定しておりますが、全国的に金融リテラシーマップに基づく分野横断的な教育を展開していこうと思いますと、その講師役の方の質といいますか、対応できる範囲というものも、しっかり拡大して、いろいろな知識を習得して、より多くの方に教育を届けていただけるような形にすることが必要でございますので、機構におきましては、そういった講師役を担う方を含め、認定アドバイザー向けの体系的な養成プログラムを導入し、提供していきたいと思っております。

④番は教材・コンテンツの充実になります。よく言われますのが、各団体で同じような内容の、同じような教材を作っているのではないか、各ホームページで同じような情報発信をしているのではないか、学校現場からすると結局どれを使っていいのか分からないので、実際に教育をするに当たって二の足を踏むなど、そういった御意見も聞かれるところです。

実際に重複しているところもありますので、機構として各団体も集約・統合していく流れの中で、こういった教材・コンテンツの精査・充実といった形も進めていきますし、金融トラブル、新たな手口、事案なども起こっているところが続いていると思いますので、そういったところも、消費者庁とも連携しながら最新事例を取り入れつつ、これは若年層、高齢者に問わず、広く教えていかないといけないことであると思っていますので、そういったところの充実に向けてしっかりやっていきたいと思っております。

⑤番、個人の悩みに寄り添ったアドバイスの提供になります。講師が出張授業を行って、60分なり90分なり授業をするということも、もちろん意味はあるのですけれども、なかなか個人の属性や資産状況などの置かれている状況を踏まえて、一人一人に寄り添った形でアドバイスをしなければ、なかなか具体的な行動変容にはつながらないといった課題認識もございますので、機構といたしましては無料の個別相談事業というものを展開し、実際にこういったアドバイスを受けるということの価値を少しでも見出していただき、今後の自分のお金の向き合い方についてプラスになればと思っております。

最後、⑥番目です。調査・統計を踏まえた戦略的な教育の展開ということでありますけれども、教育活動の目標とかKPIとか、そういったことも設定しながらPDCAサイクルを回し、戦略的な教育の在り方、望ましい教育の在り方というものを継続的に追求していくといった形で機構の運営がなされることを目指したいと思っております。

私からは以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、池本様、よろしくお願いします。

○池本弁護士 池本でございます。

まず、レジュメに入ります前に、私の問題意識と取り上げるテーマの範囲のことを申し上げます。

冒頭の国民生活センターの御報告は、法規制のない新たなキャッシュレス決済に関するトラブルという観点で報告されたのだと思うのですが、個別式の後払い決済の話題はありましたが、クレジットカード決済のトラブルの話は入っていなかったように思います。

それから、経産省の報告は、令和2年改正後の課題という設定をされていたこともあってか、同じく、悪質加盟店にクレジットカード決済が提供されているという問題については触れておられませんでした。

しかし、現在の消費生活相談あるいは私たち弁護士が取り組む中で、悪質サイト業者にクレジットカード決済が提供され、被害が拡大していると、この問題を無視するわけにはいきません。

その観点と、それから、経産省でも取り組んでいるセキュリティ対策のこと、実はその両方を含めて、同じような課題につながっていますので、そういう観点でお話ししていきたいと思います。

まず、レジュメの2ページ、3ページ、この辺りは確認程度です。もともとは3者間のクレジット決済を想定して、クレジットカード会社がトラブルが発生したときには加盟店調査、対処をするという、そういう制度でした。

3ページでは、セキュリティ対策の問題は、さすがにマンスリークリアを疎かにするわけにいかない、その取引が圧倒的に多いですから、マンスリークリアを含めて、カード会社、イシュアーとアクワイアラーの両方を規制対象にすると、こういう位置付けでした。

それに対して4ページ目は、国際ブランド、VISA、マスターなどを経由したイシュアー、アクワイアラーの役割分担が広がっている、さらには決済代行業者が介在する、そういった取引のほうが、むしろ多くを占めて、カード発行会社が直接加盟店を指導、対処するというだけでは到底おぼつかない。直接カード加盟店を指導できる関係にない状態のほうが多くを占めたという問題が生じていました。

それに対して、5ページ目にありますが、クレジットカード番号等取扱契約締結事業者という非常に長々しい呼び名ですので、アクワイアラー等と略称しますと、そのアクワイアラー等が加盟店と契約をしているはずだから、そこが加盟店調査などをするのだという位置付けの下で、登録制と加盟店調査措置義務というものを導入しました。

その代わり、カード発行会社である包括信用購入あっせん業者は、苦情を受け付けたら、それを速やかにアクワイアラーに伝達すると、こうすることによって、イシュアーとアクワイアラーが連携して、悪質加盟店を排除する、こういう制度設計に変えたわけです。

ただ、残念なことに、この時点でマンスリークリアについて、アクワイアラーについては適用対象にしてあるのに、イシュアーについては入っていないという、非常にアンバランスな問題があります。

それが、6ページに指摘しているところですが、苦情は全てイシュアーに来るわけですから、それがアクワイアラーに伝達されなければ、実効性はありません。そこが非常に問題だということで、衆議院、参議院の附帯決議の中でも、イシュアーからアクワイアラーにきちんと苦情が伝達されるように自主規制を促すこと、その実施状況を検証して、必要に応じて、翌月一括払い、マンスリークリアについても、苦情伝達の在り方、法制度の問題も考えること、という宿題が投げ掛けられていたわけです。

日本クレジット協会では、自主規制の中で、二月払購入あっせん、マンスリークリアについても同じように苦情伝達を行うという規定を入れてあります。

それから、同じ2016年改正では、セキュリティ対策も大きな課題になっておりました。

そこでは、カード加盟店からの漏えい事故が多いということで、加盟店に対してカード番号の適切管理義務、そして不正利用を防止する、なりすましで利用するものを防ぐと、こういう規定が入りました。

ただ、膨大な数に及ぶカード加盟店を経産省の割販法の部局が監督するということも、現実問題難しい。むしろ、カード会社がきちんとそれをチェックすべきだということで、先ほどのアクワイアラー等が加盟店調査義務という形で、不正利用や漏えい防止を、加盟店に対して指導監督措置を講ずると、こういう位置付けにしてあったわけです。

加えて、2020年、令和2年改正では、決済代行業者、ECモール業者、QRコード決済業者などの中間の業者も増えているということで、そういう業者についても、漏えい防止ということが必要であるし、むしろそのとき議論された中では、加盟店に直接アプローチするのは、その中間の業者なのだから、加盟店契約を締結している、直接関わる者が加盟店調査、指導をするということも必要ではないか、そういう議論がありました。

今のことも踏まえて、2020年改正の附帯決議で幾つかのことがあるのですが、実は悪質加盟店の問題について附帯決議があるというのを8ページに引用しておきました。

これは、個別方式の2か月内払いの後払い決済についてトラブルが多いので対策を講じることと、カード決済についても2か月内払いについて消費者トラブルが増加しているということについて、自主規制をきちんと把握して、必要な対策を講じることが、衆議院でも参議院でも同じような点が指摘されました。

それが現実にどうなっているかということが、9ページ以降ですが、まず、カード決済が大きくこのところ伸びているというのは、これは経産省の資料でも出ているところです。

このキャッシュレス決済全体の中でも80数パーセント、圧倒的多数は、やはりカード決済です。利用件数で言うと、プリペイド決済の件数も結構割合的には増えているということですが、利用高で言いますと、やはりカード決済が、被害の深刻さもそこに集中していると思います。

それから、10ページの相談件数の推移というところで見ても、一番下の2か月内払い、これがマンスリークリアカードの数字で、私のデータは16万9,000件ですが、先ほどの国民生活センターの最新の情報では、17万件を超えている数字が紹介されていました。どんどん増えている、あるいは今年も同じようなペースで増えているということです。

注目していただきたいのは、11ページなのですが、マンスリークリア決済というのは、取引高そのものが増えている、利用件数も増えているからトラブルもある程度増えるのはやむを得ないと、こういう見方をしていただきたくないということです。

カード決済の利用件数を、業界団体で公表した2017年度以降のマンスリークリアとマンスリークリア以外を含めた2か月内払いの合計を、2017年度を1として、2022年度は1.81倍に増えていました。

その右側、先ほどの国民生活センターの販売信用に関する相談のうちの2か月内払いは、5万9,000件から16万9,000件、これは16万9,000件を前提ですが、2.85倍です。これは明らかに契約件数の増加率を超えています。これは、やはり制度的な問題として考えていただく必要がある。

では、何がそれかというのが12ページです。

まず、第1には、2016年改正で大きな課題であった、マンスリークリアカードのカード発行会社、イシュアーについては自主規制だけで、法的な苦情の処理義務、伝達義務がない。この点は、サイト被害弁護団の認識あるいは消費生活センターの相談の現場の話を聞くと非常に切実です。

この辺りをしっかりと調査し、対処が必要だと思いますし、クレジット協会も実態を把握しているのではないか、あるいは加盟店情報報告制度ではどうなっているのか、あるいは、国民生活センターから経産省にデータ提供がある仕組みが、2016年に作られているはずなのですが、どうなっているのか、こういうところが知りたいことです。

それから、海外経由の無登録決済代行業者が横行していると、この点は、たしか経産省の資料にも入っていたように思うのですが、直前に見ただけなので、うまく照合できないのですが、これも大きな課題として、現場で発生しています。

つまり、2016年改正では、やはり実効性が不十分だということが言えるわけです。無登録のアクワイアラーが横行している、あるいは無登録の決済代行業者、国内で言えばですね、ただ、その相談件数がどのくらいかという形での内訳は、今、私どもには分かりません。

そこでもう一つの課題、セキュリティ対策ですが、これは経産省のほうでかなり詳しく説明がありますので、ごく簡単にとどめたいと思いますが、14ページでセキュリティ対策を講じた、あるいは加盟店だけではない中間の業者にもセキュリティ対応の義務規定を置いたけれども、被害は一向に減っていない。減っていないどころか、2020年度は更に増えて400億を超えているという数字です。

これについて、昨年から、本年1月、2月までの経産省での検討会に私も参加させていただいたのですが、そこでは、やはり、決済代行業者等がたくさん増えていて、アクワイアラー等の登録した事業者が直接加盟店を監視できない。そうだとすると、決済代行業者等、実は決済代行業者というのは、「等」と付けておきましたが、ECモール業者とか、あるいはコード決済業者とか、様々な業者が中間にいますので、現実に加盟店を契約し、指導できる者が、セキュリティについても、ちゃんと監視できるように、その加盟店調査義務を入れるべきではないか。

実は、悪質加盟店のところで私が問題提起したのと同じ課題が、セキュリティのところにも仕組みとしてあるということが議論されたわけです。

時間もありませんので、15ページに進んでください。

国民生活センターからも紹介された個別式の2か月内後払い決済です。

仕組みとしては、個別式のクレジット決済、立替払いのクレジット決済と全く同じです。

そして、16ページに書いておきましたが、個別信用購入あっせん、個別式クレジットは同じく2か月を超える後払いについては、これは2008年改正のときに、加盟店の販売方法の調査義務というのが、特に特商法の適用対象については非常に厳しく入り、その他の店舗取引や通信販売についても、(2)のイ)にあるように、苦情発生時の適切処理義務、加盟店調査義務というのが規定としては入っております。

個別式の場合は、3者間というのが基本的な仕組みですので、これで対処できるという前提ではあるのですが、残念ながら17ページにあるように、トラブルが現実に発生しているのは2か月内払いの部分、つまり割販法の適用対象外の部分のわけです。それが詐欺的な情報商材業者とか、詐欺的定期購入業者で、従来クレジット決済でやっていたところが、切られた者がこちらに移動するというような事態も生じていると思います。

それで、法制度がそもそも非常にアンバランスだということを、ここで確認しておきたいと思います。

クレジット決済のうちの2か月を超える後払いは個別式も包括式もそれなりの制度が入っています。ただ包括式では、アクワイアラーとイシュアーとでのアンバランスがあるというのは、先ほど申し上げたとおりです。

それに対して2か月内後払いについては、個別式もカード方式も全く規制がありません。そもそも悪質加盟店の排除ということは、支払時期、回数を問わない問題として位置付けるべきではないか。

ちなみに、前払式支払手段提供事業者、プリペイドカード決済については、資金決済法21条の3に、苦情の適切処理義務の条文があります。つまり、前払いと2か月を超える後払いにはあるのに、2か月内後払いのここだけが何もないという非常にアンバランスなわけです。

資金決済法のほうは、アクワイアラーが入った場合の仕組みのところ、ここは割販法のほうが、仕組みとしては進んでいると思います。

それから、経産省の資料で、たしか自主規制団体ができているという話がありましたが、たしかあれは、7業者ぐらいで、今、問題が起きているのはアウトサイダーのところです。むしろ、自主規制団体は、加盟店調査義務というものを入れようということが、自主規制の中にたしか入っていたはずですから、むしろアウトサイダーも含めた法規制をすることによって、逆に自主規制でしっかりやる事業者が救われると、こういう関係にあると思います。

そして最後に、もう時間がありませんが、安心・安全なクレジット決済を考えるときには、現実に問題が発生したときの民事効についても考えていただく必要があります。

本来であれば、抗弁接続という最も安心できる制度が望ましいところでありますが、これについては、適用対象や要件でいろいろ議論があるということも聞き及んでいます。

ただ、少なくとも不適正取引について損害が発生して、それについて加盟店調査、苦情処理などをきちんとやっていないイシュアー、アクワイアラー、決済代行業者が連携して苦情処理をし、悪質加盟店を排除する、ということに懈怠があった場合には、支払拒絶あるいは損害賠償責任が発生すると、こういうことを考えていくことが最高裁の判決の考え方とも共通するのではないか。これは少なくとも速やかに、政府の検討課題の中にも位置付けていただきたいと思います。

それから、セキュリティの問題でも、これまであるのは、カードを紛失、盗難した場合に60日以内の損害を補償するという部分です。今、起きているのはカードが手元にあるのに、どこかで情報が取られ、不正利用されるということです。

この辺りについても、これは法律上の規定ではないですが、業界のルールも含めて、きちんと議論するということを位置付けていただく必要があると思います。

すみません、超過しました。以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、坂様、よろしくお願いします。

○坂弁護士 弁護士の坂です。よろしくお願いいたします。

私のほうからは、決済制度の現状と課題ということで、全体を見つつ、資金決済法関連を中心にお話をさせていただければと思っております。

まず、2ページを御参照ください。

報告の全体像ですけれども、まず第1に、決済制度全体の概要と仕組みについて概観をし、決済法制の課題について確認したいと思います。

次に、第2にて総論的な枠組みとして、規制の横断化の意義を確認するとともに、収納代行について考えたいと思います。

第3以降が各論でありまして、決済法制の課題項目に従って、主として前払い及び即時払いの決済について、現行制度とその課題について横断的に検討したいと思います。

3ページにお進みください。

決済制度の概要と仕組みというところですけれども、決済サービスは、前払い、即時払い、後払いに分類でき、銀行法のほか、資金決済法及び割賦販売法により規制され、金融庁又は経済産業省が監督を行っております。収納代行、BNPL等、必ずしも規制対象と扱われていないサービスも存在します。

4ページですが、より詳細に決済サービスの法規制を概観すると、このようになります。

5ページ、それぞれの決済サービスの中で、関連事業者による分業が進んでいることも現在の特徴です。

包括クレジットでは、主として顧客管理、顧客に対してサービス提供を行うイシュアーと、加盟店管理、加盟店に対するサービス提供を行うアクワイアラー、さらにはアクワイアラーと加盟店の間に決済代行業者が入ることも多く行われております。

前払式支払手段は、少なくとも法制上はイシュアーとアクワイアラーの分離を前提としていないと認識しております。また、資金移動は、加盟店管理業務は基本的に規制対象となっておりません。

6ページ、包括クレジットの分業を図示した例がこちらになります。

7ページですけれども、決済については、コード決済、あるいはQRコード決済等の言葉が使われることがございます。このコード決済事業者の提供するサービスは、決済に関する情報の伝達でありまして、前払式支払手段や包括クレジット等の決済に関する情報を、コード技術を使って伝達するということになっております。

法制との関係では、前払式支払手段等の登録業者あるいは登録業者からの受託業者として位置付けられるものと考えられます。

このような立ち位置から8ページですけれども、コード決済事業者は法制上複数の立場を有し得るということになります。

9ページ、決済サービスの特徴は、4点指摘できると思います。規制の対象となっていない決済サービスがある。それから複数の決済サービスを組み合わせたサービス提供が行われている。決済代行業者が介在するようになってきている。1つの事業者が複数の決済サービスを提供している。

それから、この間の変化の特徴として3点留意すべきと考えます。

1点目は、分業が更に高度に発達し、決済サービスが複雑化・多様化していること。

2点目は、加盟店管理業務を行うプラットフォーム業者が登場しているということ。

3点目は、顧客管理、加盟店管理の双方において、情報産業化の傾向・可能性があるということです。

10ページですけれども、以上を念頭に、決済サービスにおいて対応が必要と考えられる課題としては、次の7点が挙げられます。

まず、1点目ですが、決済サービスが確実に行われること。セキュリティも含みます。

2点目、利用者資金の預入れを伴う決済では、利用者資金が確保されること。

3点目、与信を行う決済では、過剰な与信が行われないこと。

4点目、無権限者による不正利用が行われないこと。行われた場合に適切に救済されること。

5点目、悪質加盟店による被害が生じないこと。生じた場合に適切に救済されること。

6点目、個人情報保護・プライバシーの保護。

7点目、マネー・ローンダリングに用いられないこと。

こうした視点は、決済に関する金融経済教育における視点ともなり得るのではないかと考えるところです。

現行制度の枠組みですけれども、前払式支払手段・資金移動は、決済サービスの確実な履行と利用者資金の保全を柱とした制度となっております。

他方、クレジットは、決済サービスの確実な履行と過剰与信の防止、それから悪質加盟店による被害の防止を柱とした制度となっております。

11ページ目ですが、課題への現行法の対応を一覧すると、このようになります。

規制対象と扱われていない、収納代行やBNPLが法規制によるバックアップがないという状況にあります。

12ページ目に、参考までに日弁連から発出されている意見書の主なものを挙げておきました。

13ページ目ですが、規制の横断化の必要性、重要性について確認をしたいと思います。

この点については、金融審議会の金融制度スタディ・グループの中間整理で述べられていたところです。

その意義は、規制の回避の防止、利用者保護や公正な競争条件の確保にあります。金融規制の体系を機能別・横断的なものとし、同一の機能、同一のリスクには同一のルールを適用するということ。それから14ページに移っていただいて、業務の内容やリスクに差異がある場合には、それらに応じてルールの内容を調整するという観点が重要とされております。

15ページですが、横断化につきましては、令和2年の割販法の改正の際にも附帯決議で指摘をされているところでもあります。

規制の横断化につきましては、経産省や金融庁の皆様も大事ですけれども、やはり内閣府の消費者委員会の動きというのは極めて重要と考えております。

求められる対応ですけれども、規制の横断化を進めること、規制の漏れが生じないようにすること、そしてシンプルなシステムアーキテクチャの構築を促進するという観点が重要ではないかと考えております。また、具体的検討には欧州のPSD2を参考にすることも考えられます。

17ページに移っていただきまして、収納代行についてですが、収納代行は、先ほどの決済代行とは別の概念で、債権者の依頼を受けて債務者から代金等の回収を図るサービス、送金の一部を担うものですとか、コンビニ収納代行、運送会社の代引き、エスクローやプラットフォーム等があるものと認識しております。

収納代行は、従前より必ずしも規制対象と扱われてきませんでしたが、令和2年の資金決済法改正によって、その一部が規制対象であることが明確化されました。

他方、それ以外の部分は規制対象外とされたわけではなく、また、将来にわたって規制されないわけでもなく、規制対象になるかを個別に判断するとされております。

もっとも、現状、一般には必ずしも規制対象と扱われていないのではないかと認識しております。

18ページですが、現行の規制状況の概要は、こちらのとおりです。

必ずしも規制対象と扱われていないものとしては、支払い時に債務が消滅するサービスのうち、消費者個人が受取人となるエスクローやプラットフォーム、それから、受取人が法人等であるものであります。

19ページですけれども、収納代行については問題事案が発生しております。

阿武隈町の誤振込事案における決済代行業者の利用は、必ずしも消費者事件ではございませんけれども、決済代行業者を介したオンラインカジノへの資金移転について、マネー・ローンダリングということが指摘されております。

それから、海外投資被害事案における収納代行では、顧客からの海外送金において介在した収納代行業者の行為について、客観的には投資詐欺における違法な勧誘等をほう助したものとの指摘もされております。

20ページですが、さらに収納代行を利用した詐欺事案も多数発生しております。収納代行につきましては、概念的な議論もございますが、具体的に実態把握をした上で、必要に応じて、類型を分けて合理的な規制の在り方を検討する必要があると考えております。

21ページ、求められる対応ですけれども、送金の一部を担うもの、代理受領でないものは、為替取引規制の対象となることを明確化し、法執行を強化すべきと考えます。

それから、受取人が法人等である収納代行も規制対象とすべきです。

エスクローやプラットフォームについては、受取人が法人である場合も含め、利用者の資金の保全、それからセキュリティ、加盟店管理、マネロン対策等について、各論的に実態を把握し、決済法制上の適切な規制を検討すべきと考えます。

22ページ、利用者資金の保全です。

現行法制の全体状況は、こちらのとおりです。

求められる対応としては23ページですが、第三者型かつIC型サーバ型の前払式支払手段につきましては、全額の保全を求めるべきと考えます。

それから、5万円以下の分別管理預金については、利用者の優先弁済権を認めるべきと考えられます。

24ページです。この後、セキュリティ、加盟店管理、本人確認、取引確認等を見ていきますが、これらは相互に連携、関連する課題で、分業が進んだ決済サービス全体のガバナンスの問題でもあると考えております。

セキュリティですけれども、一覧にすれば、こちらのとおりです。

27ページ、求められる対応ですけれども、前払式支払手段や資金移動についても、包括クレジットが目指す水準と同レベルのセキュリティが確保されているのかどうかということを検証し、必要な制度整備を行うことが必要かと思います。

セキュリティの確保においては、特に発行者のシステム、決済関連業者のシステム及び利用者の利用する端末の全過程において、安全性の確保が必要であるということを指摘しておきたいと思います。

28ページ、加盟店管理ですけれども、現行法では、前払式支払手段と包括クレジットに制度がございます。

前払式支払手段では、発行者の登録拒否事由として加盟店が公序良俗に反するおそれのある取引を行わないための措置を求めております。

この公序良俗に反するおそれのある取引は、社会的妥当性を欠き、また欠くおそれがある場合を広く含むとされておりまして、ここに消費者被害等も含まれるものと認識しております。

29ページ、事務ガイドラインでは、加盟店管理に求められる措置を具体化しております。

それから、前払式支払手段発行者は、決済代行業者が介在する場合も、委託先への指導等を通じて、登録業者が自ら業務を行う場合と同様の権利が利用者に確保されることが求められているというところは、再度確認する必要があろうかと思います。

30ページ、加盟店管理については、今一度その意義を検討すべきと思います。加盟店管理は、悪質加盟店の排除のみならず、加盟店の業務改善にも寄与し得るものであり、これらを通じて、社会的に経済成長を促し得るということにも着目すべきです。

悪質加盟店への対応を社会的に進めるためには、加盟店に関する情報が広く決済事業者に寄せられ、共有されることも必要と考えます。

求められる対応ですけれども、前払式支払手段の加盟店管理義務については、実効性の検討が必要です。それに応じて必要な対応の検討も必要かと思います。

それから、加盟店契約を締結して行う資金移動や、収納代行も含め、横断的な加盟店管理の制度が望まれます。この点に関しては、加盟店へ決済サービスを提供するプラットフォーム業者が出てきているということも注目すべきかと思います。

33ページですが、消費者被害・犯罪行為の抑止についてです。

犯罪収益移転防止法は、犯罪行為や消費者被害の抑止及びこうした行為の摘発や損害賠償に重要な役割を果たしております。

他方で、犯収法の規制対象にない取引は、行為者は匿名性を確保しつつ行為を行うことができます。こうした匿名性が犯罪集団や悪質な事業者にとって使い勝手の良いものとなっていて、犯罪行為や消費者被害の背景となっております。

34ページですけれども、令和4年の改正法では、高額電子移転可能型前払式支払手段について、取引時確認が求められるようになりました。もっとも、これは1回当たりの利用が10万円超等ということになっておりまして、これ以下の水準、少額であっても犯罪や消費者被害に悪用されるおそれはあります。

実際、より低額のレンジでのサクラサイトや架空請求の被害は生じているところです。

また、収納代行については、阿武隈町の誤振込事案や、海外投資被害事案、詐欺事案等が生じているところです。

35ページ、必要とされる対応ですけれども、高額電子移転可能型前払式支払手段の範囲を拡大すべきと考えます。

それから収納代行についても、取引時確認の対象とすべきです。

それから、責任追及や被害回復を推進するためには、弁護士からの照会請求や、あるいは裁判所の調査嘱託に対する情報提供をより積極的に促すべきと考えます。

36ページ、不正利用の補償ですけれども、預金については、預金者保護法がありますが、その他の決済については、規制法による対応はなく、利用規約や一般手法によっております。

37ページ、求められる対応ですけれども、不正利用については、過失のある利用者の責任を、一定額に限定するルールを横断的に設ける等の整備が望まれます。

それから、不正利用については、その原因や機序について決済業者から情報を得ないと、なかなか利用者側には分からないところがありますので、ここは業者からの情報提供を積極的に促進することが必要と思います。

不正利用につきましては、欧州のPSD2における規律を参考に整備をすることが考えられるところと思います。

39ページですけれども、個人情報、プライバシーが重要な課題になっていると考えます。

決済情報は、個人に関する情報の中でも重要な意義を持ちます。現行の法制は個人情報の管理・漏えい防止に重点がありますが、個人情報の集中・集積、プロファイリングによりプライバシーの保護への脅威が懸念されます。

ターゲティング広告による自己決定権への影響も懸念されるところです。

この状況も踏まえ、管理、漏えいの防止の観点から、より利活用の適正確保を旨とした規律・運用が必要です。

また、透明性の確保、特に個人情報の管理への個人の関与(可能性)の確保が必要と考えます。

より具体的な内容は、41ページのとおりです。

以上です。ありがとうございました。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

続きまして、桜井様、よろしくお願いします。

○桜井弁護士 桜井です。

私の都合で途中からの参加になり、金融庁の御説明以降しか伺えていませんが、最初にちょっとあれですけれども、金融庁の金融経済教育推進機構のお話を、ここで出されただけで言いっぱなしになってしまって深める機会も作れないので、また、別の機会で、是非、金融経済教育推進機構、その他、金融経済教育に関しては、当委員会でいろいろと御検討いただければと思います。

次に、私のお話のほうに移ります。今日、私が提出しましたレジュメ及び私がお話ししようとする内容は、大変大ざっぱな話なので、順番として最初に来るのが一番良かったのかなと思いますが、この順番でお話しさせていただきます。

中身としては、「支払手段の多様化と消費者問題」、「支払いの意義と構造」、「支払いに関する法律」、「支払法制の課題」、この4つについてお話しさせていただきます。

最初に3コマ目ですが、これは、具体的にこんな消費者被害が支払い関係で出ていますと、最後のキは、一部予測もあります。

4ページ目、これは全く同じ内容について、少し一般化して表現したものです。これを見ていただきます。

まず、アです。関与者が増加して支払完了までの経路が複雑化したことで、支払いの止め方、通知先、クレーム先に戸惑うという問題が起きています。

それから、イ、夜中の詐取手段、隠れたままの詐取手段を提供することで、悪質商法を助長するという問題があります。

ウ、デジタル情報による支払いが可能となったことによる不正利用問題。

エ、支払関与業者が破綻することにより、損失を被る問題。現に、前払式支払手段発行をしていたスーパーが潰れたという事件が起きています。

次は、オ、容易に後払いできることによる遣い過ぎの問題。それから、後払いでなくとも、オートチャージの電子マネー、これも遣い過ぎる傾向にあると言われています。

キ、決済情報の集積・利用による監視資本主義への懸念。こういったような消費者問題が起きている。

法律を見ますと、法規制の隙間や規制間のアンバランスが生じています。

まず、法律について基本的なところから見ていきましょうということで、支払いの意義と構造、5コマ、6コマ目を見てください。

これは、法律の専門家からすれば当たり前のことなのですが、支払いとは、金銭債務の履行である。金銭債務の履行というのは、文字どおり金銭を渡すことで、金銭イコール通貨で、現金のほか、預金も同じ扱いがされます。それによって金銭債務は消滅する。

通貨以外の支払手段による支払いになると、取引相手方が通貨でなくとも受け入れる意思を表明すれば、それも可能となる。最終的に通貨を取得できればよいという考えに基づきます。

デジタルデータの形で行われるものは、キャッシュレス支払いという形で言われますが、具体的に見ると、店頭支払いではスマートフォンやカードを支払道具、物理的には、それを使っている。それから、オンライン支払いだと、スマホやパソコンを支払いのために使っているということです。いずれも背後で預金の移動がある、預金で最後は決済されるということです。

ただ、その支払者等の預金を動かす銀行との間に、スマホ会社、アプリ会社、コード支払業者、電子マネー会社、カード会社、国際ブランド、決済代行会社、通信キャリアなどのプラットフォーマーが重層的に介在して、複雑かつ高コストな構造となっているものが多いということになります。

次に、8コマ目ですけれども、そうしますと、キャッシュレス支払いというのは、現金、通貨による支払いと違って、支払行為だけでは債務は消滅しない。支払行為と決済と合わせて初めて債務が消滅するということになります。支払行為というのは、支払手段を働かせること、決済は、決済手段、預金が多いですけれども、その移転である。支払行為により支払手段が働いて、決済手段が移転して決済されると支払いが完了し、債務は消滅する。これがキャッシュレス支払いの構造である。

具体的に9コマで見ていただきますと、一番左が物理的なもの。現金、預金カード、スマホ、パソコンで、次に支払アプリなど、これは主にスマホを念頭に置いた項目です。

次、右側3つ目、支払行為。これが現金だと渡す、入れる、送る、振り込む。カードだとタッチ、差し込むなど。それからスマホだと、まずアプリを起動して、店頭でタッチしたり、コード読み取りをしたり、コード表示をしたり、あるいはオンラインで入力したりと、これは様々なアプリによって、それぞれ、いろいろなことができる。

その右側を見ていただきますと、そういうタッチ等によって、実際に働く支払手段は何なのかというので、電子マネーだったり、クレジットカードだったり、デビットカードだったり、あるいはデジタルマネーだったり、あるいはキャリア支払いだったりと、いろいろなものが支払手段として働く。

その結果、最後に決済が行われ、決済手段としては、ほとんどが預金です。資金移動業者だと未達債務が決済手段、それから電子決済手段だとデータが決済手段ということになります。

次、10コマ目ですが、重層的利用、利用者と支払手段提供者の間に様々な業者が入っている。

同じ支払アプリの中に、クレジットカードとデビットカードグループ、それから電子マネー、デジタルマネーを入れて、クレジットカードやデビットカードでチャージして、電子マネー又はデジタルマネーで、店頭で支払うということが行われています。それでクレジットカードを使うと全体が後払いとなります。

それから、また、具体例としてApple Payに入れたクレジットカードで電子マネーにチャージして、コンタクトレス支払いのためにQUICPay等を経由するということで、いろいろなものを経由して、最後に支払いがされるという流れになります。

こういう重層的な利用で問題が増幅するということで、高コスト構造、それからクレジットカードの有因性が切れる。チャージについて、クレジットカードをチャージに使うと、そのチャージ自体にチャージバックというのは、従来の理屈だと出てこない。それから関与者が多く、スキが増える。不正利用、システム障害も増える要因、それから関与者が多く、責任の所在が曖昧になる、巻き戻しも大変になると、そういうことになります。

10コマ目は、販売店と支払手段提供者の間に決済代行プラットフォームや決済代行会社が入るという例を書いています。

12コマ目は、これらを更にもっとぎゅっと1つにしてみたものとして、組込型支払いというものが行われています。

これは、消費行動の動線に支払システムが埋め込まれて、消費者は支払いをほとんど意識せずに購入する、Amazonのワンクリック購入などということです。

こういうような状況になっていることに対して、法律はどうなっているのかというのを見ていただきますと、15コマです。

支払いに関する法律は、支払手段ごとに作られている、縦割りですということで、預金、デビットカード、デジタルマネー預金型が銀行法で、電子マネー、デジタルマネー未達債務型、電子決済手段が資金決済法。クレジットカードは割販法で、あとは手形、小切手、電子記録債権なども独自の法律があります。

16コマ目が銀行法の関係図で、これは銀行代理業、電子決済等代行業、電子決済等取扱業というものが存在、規定されていますということをお示ししています。

次の17コマ目は、資金決済法の全体像を1コマで書いたもので、電子マネーに関するものが、①前払式支払手段発行業務の第三者型になります。②資金移動業がデジタルマネー未達債務型に関する法律。③電子決済手段等取引業務、これが電子決済手段に関するもの。あと、暗号資産に関する業務も、この資金決済法は規定している。

この中に、先ほど坂さんからも指摘がありましたが、供託について、前払式支払手段だと、発行保証金が未使用残高の2分の1で、資金移動業だと全額ということで、同じような使い方をされているのですが、ここが違っているという規制のアンバランスがあります。

それから、18コマ目、19コマ目、これは、クレジットカード番号の適切な管理という経産省の図をそのまま持ってきただけのものなのですが、割賦販売法の中でもクレジットカードの関係で、こんな多様な関わり方について、今は規定していて、当初想定したものから、相当膨れ上がっているものを対象にしています。これは番号の適切な管理などに限られます。

それから、20コマ目でBNPLについては、割販法の規制の対象にかからないように、2か月以内の信用供与という形でやっているものがほとんどなので、規制漏れとなっていることを書いています。

次に、支払法制の課題です。

まず、特徴としては、先ほどお話ししたようなことがある。そのために課題が起きるということで、まず、24コマ目、多様な支払行為・支払手段の組み合わせがあって、複雑・重層的であるこの関係では、法規制が縦割りかつ断片的なものであることが問題であるということになります。

具体的には、同じようなものに異なる規制がされている、あるいは、横断的な国際カードだと、1つのカードで、ちょっとした払い方の指示1つで、適用法が資金決済法、銀行法、割販法と異なってくる。最も普及しているクレジットカードのマンスリークリアについては、番号等適切管理のみしか規定がない。

そこで、縦割り規制なので横断的規制をしないといけないと、先ほど坂さんが話したことと同じことをお話ししたいと思います。

次の25コマで、やはり縦割りなので規制の漏れがあるということで、BNPL、キャリア支払い、収納代行、代引き、ポイントは対応する法律がありません。それなりの規模になっているので、横断的規制で捕捉すべきです。捕捉の「ソク」の字が、お配りしたものは手偏が抜けていましたので、入れておいていただければと思います。

次に、26コマ目、法的課題、組込型支払いを前提とした規制がない。重層的利用・提供を前提とした規制がないということで、これも考える必要がある。

それから、27コマの支払いが容易であるということに起因して、遣い過ぎます。それから悪質商法や詐欺を助長しています。また、不正利用がたくさん行われています。

これについての法的課題として、信用情報規制を後払い全体に拡充すべきだろう。それから、詐欺などでは経路をたどれるようにする必要がある。あと、合理的なリスクの分配を実現しなくてはならない。フィッシングについては、とにかく最近は、個人は防ぎきれないのではないか。それを前提とした制度も考える必要があるだろうと思います。

次、28コマ目、決済情報が電子データの形で残ること。

自分で使う分には、家計簿代わり、支払いの管理に使える。それから、トレーサビリティで資金巻き戻しによる消費者被害回復のために使える。

業者が使う場合は、金融データの利活用、金融データスペース、銀行間での共有みたいなものがEUで行われたりしていますが、そういう使い方で、そこでは個人情報保護と監視資本主義の視点からの問題があるということを意識しなければならない。

行政が使う場合は、マネロン対策としては意味があるのですが、国家による監視の問題、中国のようなことにならないようにする必要がある。

それから、法的課題としては、トレーサビリティの確保、マネロンと被害回復の視点。個人情報保護法、これはプロファイリングについて、もう少しちゃんとした規制をすべきだという話です。

それから、システムが支えることになっていることによる法的課題としては、集中型で全銀システムとか、あるいは日本カードネットワークとか、最近、そのシステム自体の支障で問題が起きたこともありますが、分散型システムについて電子決済手段をつくったけれども、それが機能するかどうか、まだ分からない。

それから、CBDC、中央銀行デジタル通貨を分散型でもし発行するのだと、法的課題として、それ用の法律が必要だということになります。その場合に、実務的な技術的課題のほうがまだ残っているということだと思います。

制度を考える視点としては、まず、支払いに伴うリスクの分配。今、電子マネー、クレジットカードで有因、無因の違いがあることで、背後でどんなことを考えるべきなのか。それから、不正使用のリスクに関しては、これを最小化できる立場のものは、一体誰なのかから考える必要があります。

31コマ目、目指す姿を描くということです。現状は、複雑かつ高コスト構造である。ネット詐欺が跋扈している。日常的にフィッシング被害の危機に直面している。それから、ターゲティング広告に対して無防備である。そういうことで、望ましい状態ではないので、望ましい状態を描きましょうと。

その関係で、32コマの国際的調和、これは、もう不可欠なことです。最後、目指す姿を描くというところで、組込型支払いが進展すると、支払いを意識せずに買えるようになる。そうなると、経産省のキャッシュレス将来像の検討会の表現で言うと、目指す姿は支払いを意識しない決済が広がり、データがシームレスに連携されるデジタル社会。買い物の過程で支払行為が省略されるということですが、これを目指していいのかという疑問があります。

支払いを意識しないということについて、34コマ目を見ていただきますと、支払行為が省略されると遣い過ぎます。それからデータによる支配がされやすくなる。行うべき行為が少なくなればなるほど、データによる支配の力が強まるということになります。

それから、何が幸せなのか、支払いは煩わしいことで、なくなったほうがいいのかという根源的な問題があります。

それから、地球環境の視点だと、支払いを意識しないことによる、これは風が吹けば桶屋がもうかるよりは、もっと強い関連だと思いますが、遣い過ぎで地球環境への悪影響がある。これを経済の活性化と言うのは本末転倒なのではないかということです。

望ましい支払法制とはということで、35ページに書いておきました。

以上で終わります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

以上で、皆様からの御説明、御発表が終了しました。これから、全体を通しての質疑応答や意見交換を行いたいと思います。少し時間が押していますが、意見交換の時間は30分程度と申しておりましたので、それぐらい時間を取りたいと思います。

いかがでしょうか。

柿沼委員、お願いします。

○柿沼委員 意見とお願いということなのですけれども、まず、消費生活センターに私は勤めておりますが、まず、最近多いのがクレジットカード会社、それから、BNPL会社についてです。

何か不正があった場合に電話がつながらないといった相談が多く寄せられています。不正利用や身に覚えのない請求があった場合、更に利用されてしまうのではないかなど、消費者は不安な状態です。ネットでも手続が可能な場合もございますが、回答が来るまで時間が掛かる場合や、自分の話したい内容がうまく伝わっていないと懸念する消費者も多いです。不正利用についての窓口の拡大をお願いしたいです。

また、高齢者では、音声ガイダンスの音が聞き取りにくいとか、番号をプッシュする時間が短く、窓口に連絡が取れないといった相談もあります。

高齢化の中、脆弱な消費者に対応できるような仕組みづくりをお願いしたいと思います。

また、クレジットカードなのですけれども、悪質な事業者の場合、国際ブランドにおけるチャージバック期間を外れると、急に対応が変わる場合があります。その辺りについても、何か対応の仕組みを持っていただきたいなと思っております。

それから、個別信用についてなのですけれども、特商法の特役(特定継続的役務提供)の中途解約をしても、返金に応じない業者であるにもかかわらず、新規の契約に対して応じているということで、やはり問題かと思っておりますので、その辺りについても、何か対応していただきたいなと思いました。

それから、御質問なのですが、EMV3DSの導入をされて、1年ぐらい経過していると思うのですが、こちらについて効果検証の結果などがあれば教えていただきたいと思います。これは、経済産業省になるかと思います。

それから、フィッシング詐欺についてなのですけれども、警察に相談しても被害者は金融機関であると言われて、対応してもらえないという事案も寄せられているところなので、その辺りについて関係部署に、実際にどういう対応が取られているのかというのをお聞きしたいです。また、取引関係において、サイバーセキュリティについてどのような取組がされているのかというのが、今回のお話の中には出てこなかったので、もう少し深めたお話をお聞きしたいと思いました。

まずは、以上となります。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

経済産業省様に質問がありましたので、お願いできますでしょうか。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ豊田商取引監督課長 経産省の豊田でございます。

EMV3DSが、効果がどうなっているかということかと思います。EMV3DSの導入の義務付けのお話をさせていただきましたが、25年3月を目標にやるということになっていまして、今、事業者さんのほうで、どんどん導入を進めていただいているということなので、まだ、効果がどうこうというのは、まだ早いのかなと思っていますが、適時適切なタイミングで、導入状況とか、効果というのは見ていきたいと思っております。

○鹿野委員長 柿沼委員、よろしいですか。

ほかの点についても、どちらかにお聞きしますか。

○柿沼委員 カード会社や、BNPL会社の連絡が取れないものについては、意見として述べるにとどめます。

○鹿野委員長 最初のほうにおっしゃったところは、意見という性質のものが多かったように思います。

御質問は、先ほどお答えいただいたところで大丈夫ですか。

○柿沼委員 はい、大丈夫です。

○鹿野委員長 分かりました。

それでは、ほかにいかがでしょうか。

では、黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 まず、少しずつお尋ねしたいのですけれども、池本先生にお尋ねしたいと思っています。

御報告の際にですけれども、クレジット決済における法制度の不十分さについて、マンスリークリア決済におけるイシュアー、アクワイアラーの規制のアンバランスの問題と、決済代行業者に対する規制の必要性と個別式の後払い型決済の規制が欠如している問題について問題提起をされていました。

坂先生から、それから桜井先生からも、その他のキャッシュレス決済の問題点がたくさんあることを指摘されました。

これを踏まえまして、キャッシュレス決済全体の課題を、今、どうお考えなのかということについて、まず、お話しいただければと思います。よろしくお願いいたします。

○池本弁護士 御質問ありがとうございます。

本当に時間が限られていて、じっくりとした議論ができなかったのですが、特にクレジット決済は、長年の法制度の積み重ねがあって、ほかの分野よりは一歩進んだ制度になっているだろうと思います。

しかし、それにもかかわらず、被害はどんどん広がっている。割販法そのものでも不十分なところがたくさんあって、それをもっと規制を強化してほしいということを、割賦販売小委員会の中でも発言するのですが、どうも業界や、場合によっては行政当局も含めて、最近の法規制のあまりない分野でどんどん広がっている事業者との競争関係もあるので、なかなか一挙に法規制を加えることはいかがなものかと、こういうトーンが議論の端々で聞こえてくるわけです。

むしろ逆に、安心・安全なクレジット決済システムをきちんと作り、それと同等の、もちろん制度上、全て同じにはならないところはあるかもしれませんが、安心・安全なキャッシュレス決済を横断的に広げる。単に全体の平均値を探るというのではなくて、やはり持続可能で安心・安全に利用できる制度を作って、それを広げるという観点で進めていただく必要があるのだろうと思います。

少し抽象的な回答になりますが、取りあえず、御質問に対しては以上です。

○黒木委員長代理 ありがとうございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

山本委員、お願いします。

○山本委員 いろいろとプレゼンを頂きまして、ありがとうございました。

私も、桜井先生の話に少し触発をされましたけれども、共通して言えるのは、やはり余りに便利でスムーズになってきている、一連の動作の中で、クリックしたり、タッチしたりと、非常にファストで、スピード感が上がってきているというところが1つ、これは良い面もあれば課題というのもあるのかなと、なかなか熟慮したり、自分の預金額であるとか、財務状況というのを踏まえて検討するということがなかなか難しくなってきている。これは、以前、私がここでお話をしたところだと、システムⅡというよりもシステムⅠですね、非常にファストな思考モードがうまく使われているところなのかなと感じました。

2点御質問なのですけれども、1点は、どちらかというと、デジタルウォレット的なものとか、そういったものというのは、お金をうまく便利に使ってもらうような方向で思考しているものが多いように思うのですけれども、そうではなくて、例えば遣い過ぎについて警告をしたりとか、あるいは、あなたの預金は、今、総額がこうなのでという金額が、例えば表示されて、熟慮を少し促す、ナッジするような、例えばそういう技術が今どれぐらい開発されているのかとか、あるいはそういう技術が実際に実装されているのかとか、私、その辺り存じ上げないので、もし、今日のプレゼンで報告してくださった方の中に、そういった技術がどれぐらい進んでいるのか、もし御存じでしたら教えていただきたいなと思いました。

もう一点は、決済のシステムと、広告のネットワークとが、現状どれぐらい連動しているのかということについても、御知見がもしおありでしたら伺えればと思いました。

この決済の仕組みと、広告の仕組みというのは、法律的に考えると、むしろ分離しなくてはいけないような気はしていまして、結局それが連動してしまうことによって、監視資本主義ですとか、本当にその人の属性ですとかということはよく分かって、要は効果的なターゲティング広告を送れるということになるので、この両者が今どれくらい近いところにあるのかということで、どなたか御知見があれば伺えればと思いました。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

2点御質問がありましたが、まず、1点目の遣い過ぎとか、不正等に対する警告の技術というようなものがどこまで進んでいるのかについては、省庁の方でも結構ですし、あるいは有識者の方でも結構ですが、もし御存じの方がいらっしゃいましたら、お願いしたいと思いますが、いかがでしょうか。

では、よろしくお願いします。

○金融庁総合政策局清水フィンテック参事官 金融庁でございます。

我々が知っている範囲で少し御説明したいと思うのですけれども、前払式支払手段であったり、資金移動業のサービスの中には、月々の使用上限を設けたりするというサービスを提供しているところも一部あると承知しております。

それから、また、業態としては違うのですけれども、私どもが所管しているフィンテック参事官室の中で、電子決済等代行業というものがありまして、この中で、正に家計簿アプリのようなものを提供しているような業者がございまして、月々にどういう支払いを銀行のもので行ったとか、クレジットカードで行ったというものを集計して、分析できるようにしているようなサービスを提供しているところもあると承知しております。

以上でございます。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

ほかは、よろしいですか。

それでは、2番目の御質問に移っていいですか。2番目は、決済と広告が連動しているのかということについての御質問だったように思います。本来は、連動すべきではないのではないかという問題意識に基づく御質問だったと思います。この点については、いかがでしょうか。

○山本委員 恐らく、プロファイリングについて取り上げてくださっている弁護士の先生方が、もしかしたら、お答えいただけるかと。

○鹿野委員長 有識者として、桜井様、どうぞ。

○桜井弁護士 桜井です。

支払決済情報の交流情報などと広告を連動させるというのは、3流業者ですか、物流、商流、金流と3つの流れを全部1社でやっているようなところで、自社内でそれをやって、それによって、その人の与信限度を判断して、このぐらいの金額まで与信できますということで、そういう広告を打つということで、1社で少なくとも連動は可能ということになると思います。

それをよそに出すかどうかということになると、また、そこでの法規制と実情をちゃんと把握する必要があって、そこは私のほうも把握できておりません。

以上です。

○鹿野委員長 山本委員、お願いします。

○山本委員 すみません、意見のような形で、ありがとうございます。

大体何となくお答えを想定はしていたのですけれども、1点目について、やはり、正に桜井先生のお言葉を借りると適度に便利というのが非常に重要だと思うので、ある程度遣い過ぎですとか、自分の予算額ですとかを踏まえた形での決済ということをナッジするような、そういう技術に関する情報を消費者委員会なのかどうなのか分かりませんけれども、集めたり、そういった技術がありますよということを情報提供でも、そういった遣い過ぎて、実際に何か困ったことが起きたような人に提供するような仕組みですとか、この技術の発展を促進したり、情報を提供したりということが重要なのかなと思いました。

2点目については、先ほど申し上げたように、そもそもそういった決済の仕組みというのは、割とニュートラルである必要もあるのかなと思うので、そこをどう広告のような仕組みと連動させるべきなのかというのは、本質的に議論をしてもいいのかなと感じた次第です。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

黒木委員長代理、お願いします。

○黒木委員長代理 坂先生にお尋ねしたいのですけれども、坂先生のプレゼン資料の33ページ以下のところで、私としては、決済手段というのは、ある意味では最も取引の中の脆弱なところというか、財が最終的に移転して、経済的な利益が確定する部門だということも言えると思うのですけれども、そこについて、ここでは犯収法の中で、収納代行とBNPLが、全く法規制がないということを御指摘いただいておりまして、それにつきましては、35ページ以下で必要とされる対応というのを御指摘いただいていますと。

この実効性がどれくらいあるのかということを、もう少しお話しいただきたいのが第1点と、第2点として、これを、どの法を変えていったらいいのか、金融庁所管であれば、金融庁所管のこの法律だというところまで、もしも言っていただけると、非常に重要であると思います。

最終的に多少のトラブルというよりも、もうこの犯収法のレベルの人たちというのは、極悪層ですので、極悪層がこういうところに入り込んでいて、それを国家として何も対応できないということになると、これはもう制度自体の信頼性が崩壊するという大変深刻な御指摘ではないかと思うわけですけれども、そこについて、坂先生の御見識と、それから、もしもそこについて金融庁なりに何か御見解があれば教えていただきたいということです。よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 それでは、まず、坂様、お願いします。

○坂弁護士 私も共通の問題意識といいますか、ある種の危機感みたいなものを少し持っているところではございまして、ある意味、書かせていただきましたとおり、匿名性を狙って行為をしているということが、あちこちに見られます。

かつ、少額のものもありますが、かなり多額のものについても、これが生じているというところからしますと、やはりここの漏れをきちんと押さえていくということが非常に重要な課題かと思います。

特に事例にも挙げさせていただきましたが、預金につなぐという形にはなっているのですけれども、事実上送金の一部を担っているようなケースでは、かなり多額のものがございまして、ここは是非検討が必要かと思います。

具体的な法律的な対応としては、資金決済法の規制範囲を広げるということが一つ考えられるところかと思いますし、第三者型の前払式支払手段ですとか、あるいは収納代行については、一部については、こういったアプローチが考えられるところかと思います。

他方で、そこが十分に迅速にできないという場合には、必ずしも資金決済法が対象になっていない部分についても、独自にきちんと手当をする必要もあるのではないかと思います。

これは犯収法のほうの話になろうかと思いますけれども、そういった観点も含めて、まずは、その実態把握をするとともに、きちんと手当をしていくと。

それから、マネロン対策については、先に新しい制度ができて、情報を金融機関の間で集めるような制度もできておりますけれども、そこに集まる情報に偏りというか、漏れがある場合には、きちんとそれが機能しないということにもなりますので、そういった観点からの検討も必要かと思っております。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございました。

金融庁様にもお聞きしますか。

○黒木委員長代理 もしも金融庁さんが、何かこの問題について御見解があれば。

○金融庁総合政策局清水フィンテック参事官 金融庁でございます。収納代行のところについて、一言言及させていただきたいと思います。

収納代行等について、2019年の金融審議会の金融決済法制、金融サービス仲介法制に関するワーキング・グループの報告書において、それぞれのサービスの機能や実態に着目した上で、為替取引に関する規制を適用する必要性の有無を判断していくことが適当である旨が示されたところでございます。

こうしたことを踏まえまして、一般的に申し上げますと、海外に所在する者との間で支払いを行う収納代行につきましては、金銭債権を有する債権者から委託又は債権譲渡を受けて債務者から資金を収受し、当該資金を直接輸送することなく債権者に移転させる国内の典型的な収納代行と比較いたしまして、資金の流れが複雑であること等により、類型的に利用者のほうは生じる問題があるリスクがあったり、また、御指摘のようなマネー・ローンダリングや、テロ資金供与のリスク等が高いことが、為替取引に関する規制を適用する必要が高いと判断するところもございまして、海外に所在する者との間で支払いを行う収納代行の事業者の方に対しては、資金移動業の登録をしていただく場合が多いと考えている次第でございます。

この点、資金移動業者になれば、当然犯収法の対象にもなりますので、こういう対応を金融庁としてはさせていただいているところでございます。

以上でございます。

○鹿野委員長 よろしいでしょうか。

○黒木委員長代理 ありがとうございました。

○鹿野委員長 先ほどから、中田委員からお手が挙がっていたので、お願いします。

○中田委員 ありがとうございます。

桜井弁護士の33ページの資料に、経産省のキャッシュレス将来像の検討会において、キャッシュレスの目指す姿として、支払いを意識しない決済が広がるというところの御紹介があったのですが、私もこの表現に少し驚きを覚えまして、やはり消費者の方が支払いを意識しない決済を行うということは、消費者保護の観点からのリスクにもつながるように感じました。

このような議論になられた背景と、逆に消費者の方が意思を持って判断できるために、事業者の方がより分かりやすく、シンプルにそういった決済における注意事項を表示、説明していくような指導をしていくという必要性の議論はございましたでしょうか。

○鹿野委員長 議論、経緯等についての御質問ということですが、経産省様から、お答えいただけますか。

○経済産業省商務情報政策局商務・サービスグループ豊田商取引監督課長 経産省でございます。

今の御指摘の点でございますが、すみません、私もこの検討会の詳細は、違う部署で、縦割りの話みたいで恐縮ですけれども、詳細は存じ上げないのですが、その検討会の中での1つのキャッシュレスを推進するという前提の中での御議論で、今みたいな書きぶりが、最後に出てきたのかなと理解しておりますが、すみません、どういう議論があったかというのは、この場ではお返事できないのですが、議事録とか、もし公表しているようであれば、そういったものの提供等は後でさせていただければと思います。

○鹿野委員長 それでは、後で、資料が見つかれば、御提供いただけるということで、よろしいでしょうか。

ほかに、御質問等ございませんでしょうか。

黒木委員長代理、どうぞ。

○黒木委員長代理 これは、基本的には有識者の3名の先生方ということになると思いますけれども、大澤先生の消費者法という教科書の217ページ以下に、こういう記述があります。資金決済手段が多様化している現在、クレジットカードや個別信用あっせんを前提として展開されてきた解釈論や、立法が多様な決済手段にどこまで妥当するのか検討の余地があろう。その際には、多様な決済手段に関する規定が割賦販売法、資金決済法といった複数の法律に分散しており、しかも、その内容も不統一であること自体の是正を問い直す必要があると、御著書の中では記載がありまして、このお考えにつきまして、池本先生、坂先生、それから桜井先生、何か、このお考えについて御意見がありましたら、お知らせください。

以上、よろしくお願いいたします。

○鹿野委員長 池本様、お願いします。

○池本弁護士 池本です。今、引用されたところ、基本的な考え方としては、私も賛同するところです。

仕組みとして、全てを同じにする必要は、もちろんないと思いますが、支払いの契約形式が少し違うので、規制があったり、なかったりということ、あるいは支払回数とか、時期、それによって保護のレベルが、がらっと違ってしまうというのは、これは消費者からすると、全く想定できない話になると思います。

その意味では、契約形式に様々なものがあることはある程度は許容しつつ、それに対しての消費者保護の制度、あるいはそれの決済の効果をどう整理するかというところについては、統一的で、なおかつ消費者にとって安心・安全なものであるということが必要ではないかと考えます。

以上です。

○黒木委員長代理 坂先生、桜井先生は、いかがでしょう。

○坂弁護士 ありがとうございます。

私も基本的には、救済制度といいますか、こういった制度が横断的に必要だと思っておるのですけれども、ただ、一つ法律的な枠組みとの関係では、やはり分析的に少し検討する必要があろうかとは思っています。

他方で、実態としてどういったことが行われ、どういったことが求められているかという観点からの、ある意味、政策的な観点からの議論は必要かと思っています。

それから、法律的な枠組みとしては、例えば、債権譲渡の法制が変わってきているとか、あるいは不法行為法の幾つかの裁判例が出されたりもしておりますので、多面的な観点からの検討も必要かと思っております。

以上です。

○黒木委員長代理 桜井先生、一言お願いします。

○桜井弁護士 私の25コマ、26コマの法的課題、そこに書いたことと同じようなことを大澤先生も書かれていると認識しました。

やはり、実情の把握と国際的な整合性、お金は国境を越えますので、それを意識しながら、その辺りを検討すべきかなと思います。

以上です。

○鹿野委員長 大澤委員から何かございますか。

○大澤委員 大澤です。すみません、私の事情で少し帰国が遅れてしまいまして、こんな格好で失礼いたします。

あと、3先生の御報告を伺っていないので発言を控えておりましたが、資料を拝見させていただいておりました。

あと、黒木先生に御引用いただいたので、そういったことを申し上げたいのですが、法制度については、今、先生方の御意見を頂いたので、私も今後検討させていただきたいと思っていますが、もう一点は、消費者にとっての決済システムはいろいろなものがありますが、その分かりやすさというのを、具体的に、例えば若者向けに、私は以前、東京都の消費生活センターを学生と見学に行ったときに、クレジットにこんな危険がありますよということを、ビデオを使って説明をしてくださったのですが、そういう形で、これは別に若者に限らず、例えば日本ではクレジットカード以外にも、スマホ決済とか、本当にいろいろな決済手段がありますが、特にスマホ決済に関して、例えばポイント等と紐付けて、消費者に利用を促すということも行われていると思います。自治体とか、あるいは商工会と一緒にやっていることもあると思いますが、ただ、実際、それに伴ってどういうリスクがあるか、例えばスマホをもし取られてしまったらどうするかとか、そういうリスクについて、消費者にあまり情報提供とか、消費者教育としてはされていないように思います。

そういった観点につきまして、今後、若者ですとか、あるいは若者に限らない消費者に向けて、多様な決済手段について、そのリスク、その仕組みをどのように伝えていくことが望ましいかということについて、御知見を伺えればと思います。よろしくお願いします。

○鹿野委員長 どなたへの御質問ですか。

○大澤委員 3先生方、どなたかに御意見を頂ければと思います。

○鹿野委員長 3人の弁護士の有識者の先生にということで。

○大澤委員 はい、そうです。すみません、申し訳ありません。

○鹿野委員長 それでは、池本様、お願いします。

○池本弁護士 池本でございます。

PL法、製造物責任法の分野では、製品事故を防ぐために警告表示というものを、取扱説明書だけではなくて、当該製品について分かりやすく表示する。こうなった場合は、こういう問題が発生するという、単なる注意表示ではなくて、警告表示を出しているということが広がっていると思います。

ところが、サービス提供の分野というのは、特にネットでの分野は、クリックすればすぐに取引が始まる、決済が完了するというところで、正にそういう警告表示に当たるものを出すシステムがそもそもない。むしろ、最後にもう一回こうなりますということを表示することが必要だろうと思います。ただ、何回も利用している蓄積による、例えば、多重債務の問題とかになると、1個だけの警告表示では足りなくなる。そうすると、月間の支払明細なり、そういうものが出るときに、単にそれはアクセスして読んでくださいだけではなくて、通知をしたところの一番分かりやすいところに警告表示を出すとか、そういった消費者に対する注意喚起の仕方そのものを根本的に考え直す必要があるのではないかと思います。

以上です。

○鹿野委員長 ありがとうございます。

予定した時間も経過しましたので、本日の意見交換はこれにて終了とさせていただきたいと思います。御説明、御回答いただき、ありがとうございました。

皆様からの御説明と意見交換を通じて、決済の仕組みや法制度、その課題について理解を深めることができました。

本日、委員からは、複数の視点から御指摘、御意見等もありましたが、そこに私の意見も含めて、若干、最後にまとめさせていただきたいと思います。

第1に、規制の対象外となっている支払手段の法整備についてです。もう既に御指摘がありましたとおり、BNPLやキャリア決済など、規制の対象外となっている支払手段が存在し、トラブルが生じていることが改めて確認できました。

これについては、所管の省庁を決め、消費者保護の措置などを整備すべく検討をする必要があるのではないかと思います。

第2に、横断的な法制度を検討する必要性についてでございます。決済を規律する法律が複数に分散しているということから、消費者にとって非常に分かりにくい状態になっております。

新たな支払手段が発生した場合に、それを規律する法制度がどれに当たるのかということも分かりにくいということになります。

しかも、分かりにくいというだけでは済まされない事態が、既に起きているということだろうと思います。複数に分散した現状の法体系の下では、規律が後追い的になってしまって、追いついていない部分が既に存在しているのではないかと思いますし、また、制度間のアンバランスがあるということも多く指摘されたところでございます。

既に金融審議会の金融制度スタディ・グループにおいて、同一リスクには同一ルールをという御議論もあったという御紹介も、本日、有識者から頂きました。

そこで、決済制度の透明性、安全性という観点からも、横断的な法制度の構築の検討が要請されると思います。

この横断的という観点は、悪質事業者の排除という観点からも重要だと思われます。悪質事業者が、規律の弱い支払手段に消費者を誘導し、それを利用することによって、言わば詐欺的な行為を働いているという御指摘もありました。

この点からも、まず規制の抜け穴があるということについては、もちろんこれを防ぐ必要があるわけですが、支払手段の違いによって、消費者保護のレベルに合理性のない違いが生じているところも問題なのだろうと思います。

こういった理由から、抜け穴のない横断的な制度の検討が求められます。もちろん、これは、先ほど坂様がおっしゃったように、ルールを全く同一にするということを必ずしも意味するものではありません。合理的な違いを設けるとしたら、どこなのかということなどについて、分析をする必要はもちろんあると思います。それを含め、横断的で整合的な制度ということを検討し、さらには、国境を越える決済ということによる問題も指摘されましたので、そのような点も併せて検討する必要があると思ったところであります。

以上の2つが大きな観点ですけれども、さらに、一部重複しますが、より具体的な点を若干申し上げたいと思います。

第3点としましては、決済代行業者に関する法的な規律についてです。

クレジットを利用した加盟店の悪質な行為を原因とする消費者被害の発生・拡大の防止や被害回復を図るために、従来から法的な対応が図られ、法改正なども進められてきたところではあります。しかし、近時のクレジット取引の仕組みに照らすと、加盟店管理の徹底という観点から、まだ問題があるのではないかという御指摘がありました。

アクワイアラーと同様、決済代行業者について、登録制や加盟店調査義務の導入などを検討していくべきではないかと思われるところであります。

第4は、マンスリークリア払いに関する実態調査の必要性についてです。マンスリークリア払いについては、苦情の適切処理義務が法律上規定されていないことから、イシュアーにおいて適切な対応がなされていない場合もありそうであります。法的措置の必要性の有無を見極めるためにも、マンスリークリアのトラブルと、自主規制による実効性がどこまで確保できているのか等について、実態調査を進めるべきだと思います。

そのため、PIO-NETについても、PIO-NETにキーワードを追加するなど、詳細な事例を抽出できる仕組みが工夫できないか、必要なのではないかと考えております。

第5は、セキュリティ対策の強化についてです。これは政府としても、既にかなり取り組んでこられたところだとは思いますけれども、カード番号の不正利用被害は増加しております。そこで、情報漏えい、フィッシング対策等を一層強化していくべきだと考えております。

第6に、キャッシュレス決済による遣い過ぎの問題について御指摘がありました。意識せずに使わせるということが、果たして目指すべきゴールなのかという御批判等もあったところでございます。

私からは、この問題の実態把握と消費者教育の必要性ということについて、更に一言申し上げたいと思います。

まず、後払い、キャリア決済なども含め、キャッシュレス決済は、お金の遣い過ぎを助長するおそれもあるところであります。若年層を始めとする、こうした問題の実態について、きちんと把握していくべきだと思います。

また、決済に係る消費者被害の発生・拡大防止等を図るため、金融経済教育を、学校はもちろんその他の場所でも、一層推進していくべきだと考えております。

その点、来年春に新たに設置が予定されているという金融経済教育推進機構には、大いに期待しているところでございます。

ただ、くれぐれも金融経済教育の内容が、投資や資産形成偏重とならないよう、消費者被害の未然防止にも十分な力点を置いた形で行われることを要望しますし、消費者委員会としても、その点も含めて注目していきたいと考えております。

更に付け加えると、本日、消費者被害を防ぐために、技術を活用する手段についての質疑応答もございました。このような点についても、消費者委員会で、更に何かできないかということを検討していきたいと考えております。

以上が、私の意見も含めた本日の議論のまとめでございます。

令和7年度から始まる次期消費者基本計画については、消費者庁を中心に策定に向けた準備が進められていると承知しているところです。

当委員会としましては、決済制度に関して、本日、委員から出た意見も踏まえ、次期基本計画に盛り込むべき中長期的な課題等について検討し、取りまとめを行っていきたいと考えております。

御出席いただいた皆様におかれましても、ここでの情報や意見の交換が、それぞれの取組や研究等で、早速にでも御活用いただくことがあれば幸いだと思っております。

本日は、審議に御協力いただきまして、誠にありがとうございました。


《3. 閉会》

○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について御説明をお願いします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題などにつきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

本日、特に国民生活センター、各省庁、それから有識者の皆様に、御多忙のところ御出席いただき、貴重な御説明を頂きました。誠にありがとうございます。

それでは、閉会とさせていただきます。どうもありがとうございました。

(以上)