第413回 消費者委員会本会議 議事録
日時
2023年10月18日(水)10:00~11:25
場所
消費者委員会会議室及びテレビ会議
出席者
- 自見内閣府特命担当大臣
- 田和内閣府事務次官
-
- 【委員】
- (会議室)鹿野委員長、黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、中田委員、星野委員
- (テレビ会議)原田委員
-
- 【事務局】
- 小林事務局長、後藤審議官、友行参事官
議事次第
- 自見内閣府特命担当大臣 御挨拶
- 委員からのプレゼンテーション①
- その他
配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)
- 議事次第(PDF形式:68KB)
- 【資料1】 柿沼委員提出資料(PDF形式:867KB)
- 【資料2】 黒木委員長代理提出資料(PDF形式:617KB)
- 【資料3】 星野委員提出資料(PDF形式:737KB)
《1. 開会》
○鹿野委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございます。
ただいまより、第413回「消費者委員会本会議」を開催いたします。
本日は、黒木委員長代理、小野委員、柿沼委員、中田委員、星野委員、そして、私、鹿野が会議室にて出席しております。
また、オンラインにおいて、原田委員が出席されております。
本日、今村委員、大澤委員、山本委員は御都合がつかず、欠席と伺っております。
《2. 自見内閣府特命担当大臣 御挨拶》
○鹿野委員長 本日は、自見内閣府特命担当大臣、そして、田和内閣府事務次官にお越しいただいております。お忙しいところ、誠にありがとうございます。
それでは、自見大臣より御挨拶を頂戴したいと思います。よろしくお願いします。
○自見内閣府特命担当大臣 着座にて失礼いたします。
消費者及び食品安全担当大臣の自見はなこでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
第8次消費者委員会の委員の皆様に、一言御挨拶を申し上げます。
消費者庁及び消費者委員会は、9月1日に設立15年目を迎えたところであります。消費者庁及び消費者委員会は、霞が関の中に供給サイドだけではなく、消費者の側に立った役所をつくろうという趣旨で設立、設置をされたものであります。
急速なデジタル化の進展や高齢化等により、消費者取引が複雑化、多様化しており、消費者を取り巻く環境が変化していく中で、消費者行政には新たな課題が次々と現れております。
こうした中で、消費者庁及び消費者委員会の果たさなければいけない役割は、ますます大きくなっているところでございます。
消費者委員会は、独立をしている第三者機関といたしまして、様々な消費者問題に迅速に対応するために、これまで多くの建議や意見表明を行っていると伺っております。
委員の皆様には、積極的な御議論をいただき、消費者行政全般についての監視機能を十分に果たすとともに、消費者行政の司令塔である消費者庁の取組を力強く後押ししていただくことをお願いいたしまして、私からの御挨拶とさせていただきます。
どうぞよろしくお願いいたします。
○鹿野委員長 自見大臣、ありがとうございました。
大臣は公務がございますので、ここで御退席されます。お忙しい中、どうもありがとうございました。
○自見内閣府特命担当大臣 ありがとうございました。どうぞよろしくお願いいたします。
(自見大臣 退室)
○鹿野委員長 田和事務次官におかれましては、本日、お時間の許す限りで御出席いただけると伺っております。どうぞよろしくお願い申し上げます。
それでは、本日の会議の進め方等について、事務局より御説明をお願いします。
○友行参事官 本日もテレビ会議システムを活用して進行いたします。
配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もし、お手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。
以上でございます。
《3. 委員からのプレゼンテーション》
○鹿野委員長 それでは、本日は委員からのプレゼンテーションということで、今回から全3回に分けて、委員の皆様の専門分野や、御関心事項等について、お一人ずつプレゼンテーションをお願いする予定でございます。
本日は、トップバッターとして、柿沼委員、黒木委員長代理、そして、星野委員の3名に御発表いただきます。
それぞれ恐縮ですが、15分程度で御発表いただき、全ての発表が終了しましたところで、全体としての質疑応答、意見交換等の時間を30分程度取らせていただきたいと思います。
それでは、まず、最初に柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 全国消費生活相談員協会の柿沼由佳と申します。トップバッターということで、大変緊張しているのですけれども、よろしくお願いいたします。
資料ですが、まず本報告につきましては、協会の意見ではなく、私の個人の意見として発表させていただきます。
次のスライドをお願いいたします。
まず、関心事として、デジタルにおける消費者トラブルを挙げさせていただきます。
現在、インターネットは社会基盤として定着しております。情報技術の発展により、消費者は高い利便性の恩恵を受けています。消費者行動においてもインターネットを用いた取引は増加傾向にあります。
情報入手の簡便性、取引時間や取引場所を選ばないなどの高い利便性を有することから、消費者に広く受け入れられています。生活インフラとして定着したことにより、事業者も市場参入が容易であることから、あらゆる業種・業態において、新しい製品やサービス、ビジネスモデルを展開しようとする新規参入業者が登場しております。
政府においてもデジタル化を推進しており、消費生活の場面において、デジタル化はこれからも加速していくと考えられます。
デジタル化が急速に進展する中、ネットを介した消費生活トラブルが増大しています。ネットは必要以上に消費者欲求がかき立てられやすい傾向にあります。インターネットでの取引自体はシンプルではありますが、契約に事業者が多数介在している場合も少なくありません。
非対面取引のため、トラブルが発生した際に、販売形態や支払い方法等の複雑巧妙化により、自分がどの事業者とどのような契約をしたのか分からず、申出先の特定ができないなどの問題が起こっております。
また、決済手段においても複数の事業者が関わっており、解決には多くの手続が必要な場合があります。
事業者と消費者間の情報の非対称性や交渉力の格差が拡大し、消費者が十分に契約内容やサービスの品質を理解して契約することには、まだまだ困難さがあります。また、情報漏えい、フィッシング詐欺、架空請求による不正利用なども起こっています。
このポンチ絵を御覧いただきたいのですけれども、複数のネットを介在する消費者トラブルが挙げられています。
特性別にトラブル内容についてカテゴライズされており、その特性ごとに検討していく必要がありますが、上のところに、小さい文字なのですけれども、記載の一文につき、目が留まりました。
こちらの部分を少し大きく示させていただきますが、ここにはどのようなことが書いてあるかといいますと「デジタル時代ではスピードが速いことも含め、その特有性によって誰でも脆弱になる可能性があることを共通認識として持たなければならない」と示されています。
インターネットの消費者取引が始まったのは、二十数年前からということです。それ以前になかった契約形態であることから、従前の契約知識だけでは判断できないことが一要因であるとも思われます。消費者は、デジタル社会の課題に向き合う必要があります。
次のスライドをお願いします。
また、課題も多くあることからも、一時的なものではなく、人生100年時代の今日において、生まれてから最期のときを迎えるまで常に意識する必要があるのではないかと思います。
現時点では、問題なく消費行動をしていたり、問題が起こっても自己で解決できていたとしても、実際に将来にわたり、常に平穏のまま生活できるとは限りません。
脆弱さを感じていない消費者も老年になり、新たな情報通信技術が誕生した際には、操作ができないとか、サービスを受けられないなどの問題を抱えることも予測できます。
そこで、私は一生を通じて消費者がデジタルを利活用することを「デジタル・ジェロントロジー」と定義することといたしました。
ジェロントロジーについては、加齢に伴う心身の変化や高齢社会の様々な課題を解決することを目的とした学問として定義していることもありますが、私はもう少し広く捉えて、生まれてから最期のときを迎えるまでの課題解決として挙げさせていただきました。
社会のデジタル化に取り残されず、そのメリットを最大限享受し、安全・安心な消費生活を送るための基盤づくりとして、消費者としての教育やデジタルの恩恵を受けるためのモラルやリテラシーの教育が必要と思います。
しかしながら、消費者教育を学んだ機会はないと回答する者が多いのが現状となっています。
一般人向けや高齢者に消費者講座を実施する際に、契約クイズなどを行うのですけれども、契約は契約書がないと成立していないとか、レシートがあれば、いつでも返品可能であると思っている方もまだまだ多くおられます。教育を受ける機会が、万全とは言えない状況です。
デジタル時代には、その脆弱性を補強するような情報、モラル、リテラシー、消費者教育を実施していく必要があると考えます。
また、消費者だけではなく、消費者に関わる事業者、行政などもともに行っていく必要があると考えております。
次のスライドです。
こちらは、昨年度、高齢者のネット利用のリサーチを実施した際のまとめのものになります。60歳から80歳までの参加者にアンケートを取った結果です。
2つ目のポツのところを御覧ください。
インターネットトラブルや困った経験はないとの回答が圧倒的に多かったのですが、実際には、後ほど御紹介させていただきますが、消費者トラブルに気付いていないだけということがよく分かりました。
また、現在の消費者講座は、集団で受講するというスタイルが主流ですが、集団教育は、受講者同士の情報の共有、ほかの人の意見を聞く機会など、コミュニティづくりにもつながって、とても良い方法ではあるのですが、他方で、講座に参加をしたくても、耳が遠い、動作についていけないなど、身体的、精神的な問題から集団教育に消極的な者もいるということが分かりました。集団教育と個の教育を重層的に実施していく必要性を感じております。
次のスライドです。
こちらは、ヒアリング調査の結果となります。ネットの利用はしているものの、マークの意味が分からない、QRコードを読み込むと、サイトに接続されるという認識がなかったり、大手通販サイトから何度もメールが来ているが、連絡方法が分からないという結果がありました。
私が実際にそのメールを見てみると、架空請求メールでした。このように、消費者トラブルに遭った経験がないわけではなくて、実際に気付いていないということも、調査結果で分かったことになります。
次のスライドです。もう一つ、スライドをおめくりいただければと思います。
そのほかのデジタルトラブルにおける関心事として、消費生活相談の現場から解決が難しかったり、悩ましいものを列挙させていただきました。
左上の支払い方法について、先ほども述べましたが、キャッシュレス決済の複雑化、多様化により、返金交渉が難しく、事業者と連絡が取りづらかったり、法規制が十分とは言えないものが多々あります。
また、未成年者が後払い決済サービスを利用し、実際に請求されたけれども払えないとか、未成年者が多重債務に陥ってしまったというケースも実際に起こっております。
それから2つ目です。若年社会人をターゲットとした副業トラブルがあります。こちらは、SNS、チャットからの誘導によるものが多く、相手が特定できず、解決につながらなかったり、借金だけが残るという悩ましい問題が起こっております。
また、投資用不動産を持ち掛けられ、断りきれず、コンサルタント契約をしてお金を渡したが、すぐに消費生活センターに相談をして、クーリング・オフを伝えたとしても、返金されず、事業者と連絡が取れないというケースも多々消費生活センターに入ってきております。
このような解決困難な案件が増大しているということを認識しております。実効性のある法改正や民事取引とはいえども、詐欺的なものについては、警察や金融機関などとの更なる連携が必要と感じております。連携についてのマニュアルなどを作成するのも良い方法かと思います。そして、左下にありますが、分かりやすい表示の在り方についても検討の余地があると思います。取扱説明書、契約書、カタログ、パンフレット、広告などについて、もう少し大きな字で分かりやすく、理解されるような記載が望まれるのではないかと思っております。
次のスライドをお願いいたします。
人生100年時代の暮らしに、デジタルを用いたり、補っていくことについての検討は、まだまだ途上な状態であると思っております。
しかし、今後のデジタル社会を見据えると、デジタルの利活用は必要不可欠なものです。
それには、1つ目として、学びの多様化が必要であると考えております。
2つ目、情報通信機器やアプリデザインに関しては、多様な利用者のニーズを効果的かつ効率的に行うために、利用者中心のデザインにし、脆弱な消費者に対応した使いやすいアクセシビリティに配慮したものが必要であると思います。
そして3つ目です。危険回避や抑制を前提としたものだけではなく、コンシューマーやデジタル・シチズンシップという考え方が必要であると思います。達成には、地域や学校、行政、事業者など、多様な人々の結び付きやコミュニケーションを行う環境づくりが求められ、トラブルがあったらすぐに消費生活センターにつなぐということが最も大切と考えております。
そして最後のスライドなのですが、消費生活相談デジタル・トランスフォーメーションアクションプランが作成されております。
消費生活相談員の不足の解消、それから消費生活相談員の待遇面について抜本的な改革を行うことを期待するとともに、消費者の相談しやすい環境づくり、それから取りこぼしのない情報提供が必要と思います。
このアクションプランについては、実際に何をどのように行うのか、透明感があると良いと考えております。EBPMなどの様々なロジックツールを活用して検討いただいていることは承知しておりますが、特に事前の分析、それから実際のシステムのデザイン構築はとても重要と考えております。多くのことを基に、分析して反映していくということをお願いしたいと思っております。
消費者、国民に満足できるプランニングを行っていただくことを望むということで、ちょうど15分になったと思いますので、私の発表をこちらで終了とさせていただきます。
以上です。
○鹿野委員長 柿沼委員、ありがとうございました。
続きまして、黒木委員長代理、よろしくお願いします。
○黒木委員長代理 委員長代理を拝命しております、弁護士の黒木と申します。
私は、わずか3枚なのですけれども、この中身は非常にいろいろ考えて作っております。まず、私は個人的なお話をしますと、平成元年に弁護士登録をいたしました。その頃は、弁護士の中では、ワープロかパソコンかという議論が非常に大きくて、すなわち、どう清書するために電子機器を使うのかということを議論していたという時代でした。
そのときに考えなくてはいけなかったのは、和文タイプは字が書いてあるわけですけれども、ワードプロセッサーあるいはパソコンというのはキーボードを通じて、その画面が出るということです。
このバックグラウンドに走っているのは機械語です。これは0と1しかありません。人間は一切それを直ちに認識することはできません。したがって、これを人間が使うためには、この機械語をアプリケーションによって、あるいは機械によって了解可能なものにする必要が絶対必要です。
その意味で、初めからデジタル化というのは、事業者のサービスに我々人間の認識が依存するという点で、これは、消費者と事業者の典型的なものだと考えられると思っています。
現在、政府はSociety5.0ということを目標とされています。このSociety5.0の理念、それ自体は大変すばらしいものでありまして、私自身もデジタル化によって、Society4.0から5.0に移っていくということそれ自体に関して、理想的なものだとは考えております。
しかし、先ほど申しましたとおり、我々は全く自分では認識できない、そのデジタル化というものが何をもたらすのかということについても、特に消費者問題という観点で、まず、議論を進めていくべきではないかと思っています。
その点で、下のところを見ていただけると、初めは限定された領域のみに妥当していた機械語というものが、全てを包摂した社会が、逆に言うとSociety5.0ということになります。
日本の法制度の中で、私が分析している限りによりますと、特定DPF透明性公正性法というのがあります。これ自身が、どのような法制度なのかということについては議論が分かれると思いますけれども、いわゆるデジタル・プラットフォーマーと言われる事業者は、多くの場合は無料で利用することができます。しかし、この人たちは別に社会の公共財として自分たちがやっているというのではなく、営利目的のためにやっています。
したがって、社会のインフラとなっているデジタル社会の中で、自分たちの利益を得なければならないデジタル・プラットフォーマーに大きく依存した社会が、今、始まっています。
そういった点でも、特定DPF透明性公正性法の立法目的をどのように考えたらよいのか。DPFは媒介者なのか、情報の伝達者だけなのか、あるいは、例えば、アマゾンのように自らも事業者となり、それと同時にプラットフォームとして様々なマーケットプレイスをやって、いろいろな事業者を呼び込むといったこともしているわけです。このように考えるとDPFの公共性というか、公共的なインフラになっているのと同時に、DPFはその機能を利用させることで利益を得ているという二律背反性というものが必ずあるわけです。しかし、特定DPF透明性公正性法の立法目的というのは、よく分からない法律だと思います。これは何がしたいのだというところが、実はよく分からない、非常に抽象的な法体系になっていると考えています。
では、その中で、デジタル化を消費者の側で考えるときに、非常に多様な問題があります。その中で、今回はeコマースに限定させていただきたいと思います。
このeコマースにつきましてですけれども、この市場規模は非常に広がっておりまして、現在、経済産業省の今年の8月31日付けの発表によりますと、2022年度の電子商取引による市場規模です。このBtoC市場は20兆から22.7兆、21年の20.7兆から9.9パーセント増えている。また、21年の国内取引のBtoB、企業間電子取引市場については420兆を超えているということになっています。
すなわち、平成の初めの頃は当たり前だった、20世紀の頃は当たり前だった取引が、消費者の購入行動としての店舗販売といった形の極めて素朴な形の取引が、どんどんこういう形で、デジタルを介して我々は様々なサービスの提供を受け、あるいはそこに対してアクセスしているということになっています。
しかし、先ほど申しましたとおり、どういう形でそれがプログラムされているのかということについて、実は、我々は無知のまま、この取引の社会の中にいなければならないという問題があります。
取引DPF消費者保護法が昨年から施行されております。これは、消費者がマーケットプレイスというか、そこで買った場合に、誰から買ったのかを、一応、取引DPFが開示するということが規定されています。どこまで実効性があるのか、まだ、施行されて1年間ですので、何とも言いませんけれども、通常の店舗販売では誰が売っているのか分からないということは考えられませんが、コンピュータの中で、モールの中にいる売主とは一体誰なのということ自体が分からないわけです。そのため、特商法もありますが、販売者自らが行う特商法の表示では嘘をつかれている場合だってあるわけですので、取引DPF消費者保護法による情報開示が必要ですが、まだまだ進んでいないことになると思っています。
それから、続けてですけれども、こういう形で新しい商取引が始まってきますと、ネット上の広告というものの市場規模が非常に大きくなってきています。
ネット広告ですが、実はパソコンを利用すると必ずアルゴリズム上取得されてしまうクッキーという形で、どういうものに関心があるのかというのは、ずっとトレースされています。これはアルゴリズム上、しようがないところがありますけれども、これを事業者がどう利用するのかということに関して、これも分かりません。
私は福岡から東京に来るので、よく飛行機を利用するわけですけれども、恐らく私のパソコン上の広告画面では、頻繁に航空券が出てくるのですけれども、恐らく東京の人はそんな広告は出ないのだと思います。それは、なぜかというと、私のクッキーを全て利用されているからであります。
そのようなターゲティング広告がなされているわけですが、こういう形のクッキー利用についてどう考えるのかということは、改正電子通信事業法によってクッキー規制が一定入りましたし、個人情報保護法でも一定の手当がされていますけれども、本当にそれで良いのかという問題もあると思っています。
続けて、このデジタル化によって何が変わったかということになりますと、マスメディアという1つの情報元から一方的に多数に発信するというのが、昔の社会であったと思いますけれども、個人がデジタル機器を媒介することによって、世界に発信できるという形になってきました。このため、情報の多様な送り手が出てきました。このような発信力のある個人をうまく広告の中に入れてきているというのが、いわゆるステルスマーケティングと、それからアフィリエイト広告の問題であると考えています。
広告規制として、今年の10月1日からステルスマーケティングについても景品表示法の告示7号が施行されております。また、アフィリエイト広告に関しても、昨年、景品表示法のガイドラインで問題点を指摘するということになってきています。しかしながら、これについても非常に難しい問題があって、みんなが自由にネット上で発言できるという問題と広告をどう考えるのか、そして、それによって形成される問題のある意思形成というはどう考えるのかという問題は、今後も重要な問題として考えていかなければならない。
しかも、発信している人自身も、誰一人として実は機械語までのレベルが分かっていませんので、そこで様々な形でアルゴリズムが走っている可能性もあるわけでして、そういう点も含めてどうなるのかということは、eコマースについての重要な問題の一つですので、やはり消費者委員会として考えていかなければならないと考えています。
そして、前年度、第7次で報告書をつくり、意見書を出しましたけれども、特定商取引法において、通信販売と電話勧誘販売の2つの側面を持っているのが、SNSを利用した勧誘ではないのかという意見を述べたところであります。
これは非常に重要な問題であると考えています。特定商取引法は、事業者と消費者の間のラストワンマイル、取引の最後のお金のやりとりを行う場面の中で、一番問題がありそうな取引類型を抽出して、そこについて規制をかける法律だと理解しています。
昔は、特商法は訪問販売法だったのです。押売がやってくるから何とかしてくれという法律だったのです。それが、どんどんいろいろな取引類型を規制することになっていて、今の特定商取引法になっているわけです。もちろん、押売の問題は、不招請勧誘の問題としてないわけではありません。しかし、今、eコマースがこれだけ増えている中になってくると、そこの中で消費者が、いろいろな形で意思形成される際に、どういった問題点があるのかというのは、第7次の意見書の中でも、かなり詳細に分析いたしました。
そして、安心・安全なeコマース市場の基礎的なインフラとなる最後のラストワンマイルのところについて、SNSを利用した働き掛けが通信販売規制と同じ規律しかないというのは大きな規制の穴があるのではないかというのが、第7次の委員会で申し上げたことです。この問題について考えていかなければならない。
最後に決済制度です。
決済法制に関して、民法は弁済の規定がありこれは法定通貨を払った場合と、銀行預金に振り込まれたときに債権が消滅するという法効果を規定しているだけです。
それで、決済法制を考えていったときに、例えば、キャリア決済といった場合は、法定通貨を全く利用しません。すなわち、eコマースで法定通貨、すなわち、つまり現金で決済をするということは考えられないわけです。ほかの事業者のサービスを媒介していって、最終的に何らかの形で預金としてその分が減り、あるいは増えるというところになって初めて、債権債務関係が終了するわけです。それまでの間は様々な事業者のサービスを、様々な契約に基づいて、正にドミノ倒しのように動いていくと、資金決済法であったり、割賦販売法であったりといったものから、資金預託の問題から、そういう様々な債権債務関係が移り変わりながら、決済法制が移動しているというのが、eコマースの特徴であります。そのため、eコマースを安心・安全にしていくにはどうしたらいいのか。契約を巡るトラブルは、民法上の様々な契約不適合責任とか、いろいろな問題があります。しかし、単純な弁済ではなく、これが様々なプレーヤー、関係者の中で、それぞれの債権債務関係に分解されてしまったときに、適正に取引を巡るトラブルを解決していくのかという問題があると思っています。
この問題につきましては、消費者庁が今年の7月に公表された消費者法の現状を検証し将来の在り方を考える有識者懇談会の議論の整理の中でも、技術が果たす役割と法と技術の関係の整理、あるいは金銭を支払う人としての消費者以外の消費者といったような問題点があるということも指摘されているところであります。したがって、このような消費者庁の動きと連動していく必要があります。
次に行きます。私の問題意識の2つ目は、高齢化社会の問題であります。
高齢者問題というのは、消費者問題の典型です。なぜなら、高齢者になるということについては、人が生産活動から身を引いていって、他者のサービスに依存しながら自らの生活圏を維持していくということにほかなりません。
したがって、これは、対事業者との問題ということも必要になりますし、同時に、高齢者は様々な体力的、知力的な問題点を抱えることになりますので、そこについて、より消費者、一般的・平均的・合理的な消費者というものは何なのかということは、高齢化社会の中においては、むしろ大きく問われなければなりません。
しかも、この国は、もう人口統計上、間違いなく超高齢化社会を迎えることが決まっております。そうなってくると、事業者によって役務の提供をされることによって生活を維持しながら、かつ、それだけではなく、社会福祉制度をどう考えていくのかということについても、この問題は考えなければならない問題だと私は考えております。
このことにつきましては、消費者委員会が平成29年1月31日に身元保証等高齢者サポート事業に関する消費者問題についての建議を発出しております。
この建議との関係で、私は7次の委員の任期中は全然進んでいないのではないかと、ずっと思っていました。しかし、今年の7月に総務省が、身元保証等高齢者サポート事業における消費者保護の推進に関する調査を行っています。そして、今、官邸の中で、このことについて、今、検討会が立ち上がっているということになっております。
それで、平成29年の消費者委員会の建議ですけれども、今、考えても非常に歴史的な評価に耐える建議をされていたと思っています。それが平成29年から令和5年まで、ほとんど進んでいなかったこと自体が、むしろ驚愕の事実であります。総務省で、この問題の議論を始められたということですので、この問題についてしっかりと検討していく必要があります。例えば認知症と向き合う「幸齢社会」実現会議というのが、令和5年9月27日に第1回が行われているようです。しかし、超高齢化社会の消費者問題というのは、単なる認知症の問題だけではなく、様々な身体的な制限が出てくることや、住環境が変わっていくということを考えていくべきです。
あと3年経つと団塊の世代の方々が75歳を超えていきます。そして、団塊の世代というのは、我々の1つ上の世代ですけれども、あの方々が、老後に子供と一緒に住むというよりも、子供が独立した後も、自分たちだけで独立世代を続けていって、そして配偶者が亡くなったら独居となるのではないか、独居している高齢者の割合がすごく増えると思っています。
そのように高齢者の生活環境が変わっていく中で、この問題をどう考えていくのかということ、高齢者が、様々なそのサービスを受けるとして、身体的や社会的に様々な制約を受けていることがあるのだとすると、それを社会でどうサポートするのかというのは、避けて通れない問題だと考えております。
加えて、これは社会保障制度と密接不可分の問題であると考えています。厚生労働省が重層的支援体制整備事業というものをされています。それと、この消費者庁は消費者安全法に基づいて、消費者安全確保地域協議会というものを設置しています。
これは、機能としてかなり重なっているのです。したがって、これについては、令和3年10月1日に、重層的支援体制整備事業と消費者安全確保地域協議会制度との連携についてという文書を厚生労働省と消費者庁が連名で発出されています。
先ほど柿沼委員もおっしゃっていましたけれども、同時に、今、消費生活相談のデータ、アクションプランが立ち上がっています。
ただ、消費者安全確保地域協議会の中核組織として消費生活センターが位置付けられています。これは、基礎自治体の基本的な社会福祉に関する機能を消費生活センターも一定の役割を果たそうという形でやっているのですけれども、しかしながら、このアクションプランとの関係がどうなっているのでしょうか。高齢化社会において地域の見守りをやっていくという機能は極めて、アナログ的です。高齢者を見守るというのは、極めてアナログな機能だと思うのですが、地域の地方公務員の数も減っていくという中で、これをどう維持するのかという問題があります。他方、消費生活センターの相談機能のデジタル化を進めていきましょうということになってくると、この消費者安全確保地域協議会をどう考えていくのかという問題も、実は消費生活センターの問題と密接不可分の問題ではないかと私は考えているところであります。
最後は、羅列的にいたしました。これから、第5期の消費者基本計画を策定していくことになります。これは非常に重要な問題で、閣議決定を経て、令和7年以降の消費者行政を検討していくことになります。第4期の消費者基本計画については、工程表をかなり第4期中に変えています。第4期中に工程表について、ロジックモデルとかEBPMを使ったものになっておりますので、この知見をどう第5期の消費者基本計画に対応するのかということが必要だと思います。
それから、行政と民間の役割についての再検討を、第7次の消費者委員会で行いました。それについては、今年の8月10日に多数消費者被害に係る消費者問題に関する意見というものを発出しております。
この中で、民間と行政の役割というものについて、どう考えるのかということについて問題提起をしたつもりであります。
先ほどの有識者懇談会による議論の整理においても、事業者の悪質性の程度においてグラデーションがあるので、規制のやり方も変わるという指摘がされています。
しかし、有識者懇談会による議論の整理の中では、行政庁が司法制度を利用するという選択肢がすっぽり抜け落ちています。
ところが、今回のルール形成ワーキング・グループの中では、行政庁が破産の申立てをするといったようなことも含めた規制の在り方を議論しておりまして、その問題については、残された非常に重要な問題だと思っておりますので、私としては、この問題はずっと考えていかなければならないと思っております。
それから、先ほどの有識者懇談会における議論の整理は、非常に多方面にわたる様々な社会事象の問題点を網羅的に議論されております。これは実現されなければならない課題だと考えています。ところが、第4期消費者基本計画を受けた工程表の重点項目3、社会経済情勢の変化に対応した消費者契約法を含めた消費者法制の整備等では、ただ単にどれだけ論文が引用されるかしかKPIに設定されておりませんけれども、そんなことではなく、これをどう実現するのかというのは、非常に重要なことだと思います。
あと、最後に2つだけ申しますと、改正公益通報者保護法が施行されておりまして、昨年から300名以上のところの事業者は、公益通報者保護の制度の導入が必要となっていますが、喫緊の課題としては、ビッグモーターといった事業者に関する報道を見ると、実は公益通報者保護法がちゃんと理解されていなかったのではないかと考えられます。
消費者問題と、それから事業者問題というのは、あたかも二項対立のように議論されていますけれども、実は、公益通報者保護法といったような問題を考えていくと、むしろ正しい消費者に対する情報は、事業者に対するまともな事業経営に対しても大変重要なインフラなのだということを、この公益通報者保護法が支持しているのではないかと考えています。
最後に、第7次の委員の経験を踏まえて言いますと、消費者庁が所管している法律だけを相手にしていると、なかなか難しいところがあります。私の問題関心事として述べたことは、様々な官庁が所管する法律に及びます。行政庁全体に対する司令塔機能というのが、消費者委員会の本来持っているものであります。したがって、先に述べました決済制度については、キャリア決済だとか、そういった問題について、電気通信事業法ですから総務省でしょうとか、それから総務省で取り上げられました身元保証サービスの問題といった問題についても、独立した観点で意見を述べていくことを考えていったらいいのではないかと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
黒木委員長代理には、かなり幅広く、様々な問題提起をしていただきました。
続きまして、星野委員、よろしくお願いします。
○星野委員 では、私のほうから共有させていただきます。
慶應義塾大学の星野と申します。ほかにも、理化学研究所で人工知能のセンターのチームリーダー等もしておりまして、かなり幅広なことを申し上げているので、どういったバックグラウンドかということを申し上げたいのですが、計量経済学とか、EBPMのこともやっておりますし、あと、行動経済学会の会長といたしましても、行動経済学に関する研究も行っております。
また、内閣官房等で、EBPM関係のワーキングなどで様々なことに関して出させていただいております。
私の関心事項といたしまして、4つというか、②と③は併せてというか、③は、今日はあまり時間がございませんので述べられませんが、まず、消費者保護行政におけるEBPMの推進が非常に重要なのではないかと思っております。
政府の資源、予算がどんどん制約が厳しくなっていく中で何をすべきかと、どのように効率的にすべきかということは非常に重要かと思っておりまして、これは、他省庁でもかなり様々、この間、取組があるところと思います。
私は、先ほど申し上げた内閣官房と経産省、総務省などで、そういった仕事をさせていただいておりまして、ただ、ここでいつも申し上げるのは、ロジックモデルが全てではないということと、どうしても投入に対して、その効果がどうなのかという評価、そこの部分ばかりをどうしても議論されると、何か政策実行をして評価をすると、そこだけだと、改善するというのは、もちろん重要なのですけれども、そもそも課題発見をすると、何が問題になっていて、どのように対応すべきなのか、そして、それに対してどういう政策的な選択肢があるのかと、そこをちゃんと調べていきましょうというのが、本来のEBPMということでございまして、もちろん、やりやすいところはやりやすいということで、まず、投入に対して、結果はどうなったのかというのは、やりやすいところでございますが、やはりモニタリング、それからどんな選択肢があり得るかということを考えるのが重要だということでございます。
EBPM基盤法は、米国の2018年のものでもございますけれども、当然ながらプログラム評価といいますか、日本でいうところのロジックモデルみたいなことを考えて、投入に対して成果はどうだったのかというのを調べるのは、もちろん大事だと。
ただ、それだけではなくて、そもそもモニタリングしましょうと、現状どうなっているのかと、何が課題なのかというのを見ていきましょうというのは、非常に大事だということでございます。
また、政策効果の推定ということに関しましては、計量経済学者等で非常に、最近、霞が関の各省庁で、私も仕事をさせていただいておりますけれども、何かの施策をしたら、結果がどうなったかという、このつながりは、本当にあるのかどうかということを言うのは非常に大事でございまして、景気が良くなったからとか、コロナのせいでという、要は、何かしらほかの要因をいかに排除するかということが非常に大事かということでございます。
なかなかこれを調べるのは非常に難しいということで、ですから相関関係と因果関係と申しますが、何かこの2つの現象が、実は単にほかの要因で、たまたま景気が良かったから、どっちも良くなったのだとか、あまり悪徳業者が活躍するようなことは、必要なくなったのだということはあるかもしれませんし、そうではなくて、特定の施策が本当に影響を与えたかということを調べるというのは非常に重要だと。
それをしないと、何かの施策をやったことで、何か結果が得られた、例えば、補助金を出したことで生産性が上がったみたいなことというのは言いたいわけですが、実は単純に、生産性が低い企業に対して補助金を出しているだけですとしますと、逆の関係が出てしまうと。補助金の効果は全くマイナスだったと。なぜなら、補助金対象となっている企業というのは、そもそも体力が弱いので、やっているところとやっていないところの実際に差があって、うまくいかないと言っても、実は、効果はあったのですけれども、それはもともとのターゲットが、そういったターゲットだから仕方ない面がございます。そういったことがございます。
ということで、例えば、消費者保護行政に限定するとしますと、これは、よく消費者庁の方と議論をさせていただいて、PIO-NETのデータを見ても分からないとおっしゃるのですけれども、というのは何かというと、消費生活相談件数が増えたから行政処分が行われたとか、行政処分の結果、ネットニュースなどで、こういう問題があったと思って、どんどん相談が増えるのかと、この関係はどっちなのだということがあって、これは分からないではないかとおっしゃるのですが、それをやる方法は幾らでもございます。これは、やはりデータの整備をちゃんとするということです。
より具体的には政策投入、どのように、どれぐらい投入したのかということをちゃんとつかまえていくということがございます。これをちゃんとやっていない某省庁では、特定のものに関して、そういったことをさせていただいておりますが、実際、データを取っていないということは結構ありまして、あまり細かく言うと、公表できませんけれども、作業員の方がどれだけ働いていたのかということを考えずに、単純に、旅行者が増えたことで、何か問題が起きるといった状況なのですけれども、問題がどんどん増えてくるみたいなことがありますが、本当にちゃんと投入を取っているのかというと、取っていなかったりすることがございます。
そのような観点で考えますと、やはりきちんとデータを取っていくということが非常に必要でございまして、御存じかもしれませんけれども、米国のConsumer Sentinelという、Federal Trade Commissionが中心となってつくったネットワークがございまして、これは一応PIO-NETと同じようなものだと言われますが、それよりもはるかに大規模で、FBIとか州政府も使っておりますし、インディードとかウォルマートまでデータを提供するということです。その提供した見返りに、いろいろな情報が手に入ると。それが、かつ、実際に行政処分とか、法執行にちゃんと利用されているということを、彼らはニューズレターとかでよく示したりしていますけれども、そんなことはできないのかということでございまして、やはり各省庁で、この間、実現されてやられていることは、消費者保護行政においても、それを実現していくことは非常に重要なのではないかと。
時間がございますので、あまり細かくは申し上げられませんけれども、まず、行政の無謬性というのもありまして、この施策をやったら、それに対して責任を持たなくてはいけないという感じで、政策変更はなかなかできないというのはおかしいでしょうと、うまくいかなかったら、うまくいかなかったと認めて、ちゃんとほかの面に資源を投入すべきではないかということです。そういった意識改革が必要だろうと。
それから、体制です。これは正直申しまして、財務省に対する予算折衝みたいなものが、今後大事になってくることは分かって頑張っている省庁、例えば経産省など、非常に若手に対して、そういったことをチームでやりましょうみたいなことを促すようなことをかなりやっておりますので、省内のデータの棚卸しをするとか、私もその委員会とかに入らせていただいていますけれども、例えば割賦販売法などは、実はデータがいっぱいあるわけですね、業者のデータを毎回取り寄せておりますので。そういったデータは、実はほかで使っていないという、実は、例えば消費者保護行政で使える可能性はかなりございますね。
そういったところを、なかなか霞が関外だと難しいですけれども、中の方々で頑張ってやっていただくということは結構できるかなと思います。
あと、消費者被害額の算定というのを、きちんとやるということをしますと、どれだけそういった不法行為が、実際に経済的な被害をもたらしているのかということが非常に分かると思います。これは、数兆とかというレベルを超えていると思いますので、そういったものをちゃんとデータを取っていって、どれだけ被害があるのかということを認識するというのは非常に重要かと思います。
そういった観点から、次期PIO-NETで、要件定義等をちゃんとやっていただいて、EBPMに使えるデータ、先ほどの被害額の算定などにも使えるデータをちゃんとつくっていくことが大事かと思います。
ほかにも、他省庁のデータ、これは米国の研究事例でございますけれども、法執行事案での被害者の年齢とか、属性みたいなものをちゃんと取っていくと、それは司法当局からデータを頂いてちゃんとやっていくことをすることによって、単なる相談情報というのが、ちゃんとした情報になっていくということでございます。
ほかにも様々ございますけれども、是非積極的に、そういったことをしていただきたいというために、何かこちらの委員会で御助言をさせていただくことができたら幸いと思っております。
また、言い方の問題ということでございますが、消費者保護は、消費者に対する保護だけではないと、先ほど黒木先生もおっしゃいましたけれども、やはり社会公正を失わせているわけです。詐欺的な業者が活動することによって、健全な業者の取引機会を奪ってしまっているわけです。そして、人々の時間も奪ってしまっているということです。
米国でFederal Trade Commissionの中に公的機能と消費者保護機能のどちらもあるので、これは機能的に連携しておりますけれども、この消費者保護というのは、消費者保護のためだけではないと、経済政策でもあるということですので、そこら辺、言い方の問題というか、海外事例もかなりございますので、是非経産省と公取委と共同の企画というのをばんばんやっていただくことがあるのではないかと思っております。
時間も限られておりますが、もう少しだけ言いたいことがございまして、行動経済学を活用するということでございまして、やはり人というのは合理的ではないと、合理的な経済人というのを仮定するのはなかなか難しいということで、ですから、行動経済学の研究は膨大に行われておりますし、それを政策に生かすナッジみたいなこと、イギリスの内閣府を中心に、こういったものは非常に進んでいて、世界中がそれを真似しているという現状でございまして、例えば、納税を徴収する67パーセントが、その言い方を変えるだけ、全く資源が変わらないと、特段何かお金をかけるものではなく、言い方を変えるだけでこれだけ上がるということです。人々は、非常にちょっとしたことに動かされるということでございます。
あまり時間がございませんが、結局、我々が仮定している合理的な経済人というのは、実は複雑型思考と言われまして、本当に嫌なときにしか発言しないわけです。多くの場合は、日常生活は様々、子育てがあったり、仕事のことがあったりということで、例えば、買い物行動をしているわけですので、それに対して、認知資源を投入するのは本当にごく一部ですので、これまでやっていることを繰り返すだとか、そういったことしかしていないということが、様々な膨大な研究で分かっているところでございまして、ですから、賢い消費者では位置付けられないということを認識した上で、様々なシステムを組んでいくとか、ナッジを活用するということはあるかなと思っております。
消費者保護政策に関しましては、行動経済学の活用というのは、非常に膨大に諸外国で行われております。例えば、電力プランですね、年間推定請求額を出せみたいなことです。
というのは、例えば電力会社、携帯電話でもそうですけれども、例えば引っ越しをして何か選ぼうというときに、膨大なプランがあって、そこから選ぶのはまず難しいですし、そして企業は容易にそれが分かった上で、何か一時的な1万円のクーポンとかを出すわけです。
それで、彼らが得するようなプランに誘導すると、それによって彼らが得る利益が、例えば10年ですと、何十万とか何百万というわけですから、費用対効果は100倍とかというレベルなのです。それを分かってやっているわけですよ。
だから、それに対してどうやってそれを止めさせるかというのは、人々にとって分かりやすい形でコミュニケーションするという方法もかなり分かっておりますし、それを実際に表示義務化している国もございます。
そのような、今回、パーソナルAIの話はできませんけれども、積極的に人々のバイアスを利用するような企業活動、それを排除する、遮断するといった研究もございますので、是非そのようなものを、なかなか資源がない中で、あまりお金をかけずにということでございますと、それができるのではないか。
その1つとして優良事業者の表彰などはいかがかと思います。どうしても政策手段として、法規制、あと直接供給、実際に政府がやるとか、あと補助金を出すというインセンティブはありますけれども、補助金以外のインセンティブなどは膨大にあるではないかということです。
なかなか特定の手段を禁じると、その手段と違う手段を使っていくと、いたちごっこが繰り返されるだけということでございますので、それをいかに排除するかということで、法規制以外の手段というのも積極的に利用できるのではないかと。
当然ながらインセンティブとして補助金もございますが、補助金以外のものとして、先ほど申し上げたみたいに、人々はそれほど時間を掛けたくないと、なるべく簡単に意思決定をしたい。例えば、某巨大ECサイトでも、サクラがいっぱいあって、もうそのサイトを使いたくないという人はいっぱいいるわけですので、そういう人たちに対して、例えば自主的な基準を策定したり、あと、消費者庁等に統計情報をちゃんと出してくれるような企業にスタンプを付けてあげて、こういう企業だったら安心だからどうですかという、例えば、経産省のホワイト500などと少し似たような、全然分野が違いますけれども、スタンプを押して後押しをすると。
これは、今、ESG投資が非常に盛り上がっておりますので、環境に関しては幾らでも指標があるわけですけれども、ソーシャルにはかなり欠落していると。そういう中でソーシャルの指標として、例えば、社会的に望ましい行動をしてくださるということを政府が後押しするということは、別にお金はほとんどかからないわけですし、企業側のほうで、なるべく経営陣としては、株価を上げるためにESG投資を積極的に入れたいという、そういったインセンティブを促すことは、かなり可能かと思います。
是非、そういったお金はかからないが、非常に有力な政策手段も考えていただければと思っております。ありがとうございます。
○鹿野委員長 星野委員、ありがとうございました。
経済学の御専門の立場から、消費者保護行政におけるEBPMの推進について、あるいは行動経済学の活用、そして最後には表彰制度という形での消費者の利益保護の促進や事業者の行動の改善ということについての御提言を頂きました。
個人的には、特に、消費者保護は消費者の保護だけではなく、健全な産業育成を促すツールであるということが、先進国では理解されているという御指摘がありましたところに共感を覚えました。私も時々海外に行っていろいろな調査をすることがございますが、本当におっしゃるとおりで、日本ではともすると、消費者の保護のための政策というのが、産業育成のブレーキをかけているかのように、消費者と事業者の利益対立という形で捉えられがちなのですが、そうではなく、消費者政策は健全な産業育成を促すものであること、あるいは取引分野で言うと、健全な市場を確保することによって、持続的で健全な事業の育成が促され、また国際競争力もそれを通して確保されていくのだと考えており、星野委員の御指摘に、とても共感を覚えたという次第でございます。
柿沼委員からは、先ほどトップバッターで、デジタル化を中心に、特に教育の問題等に関する問題提起も頂いたところでございます。
3名の方々にまとめてお話いただきましたので、あと残る時間において、質疑応答あるいは意見交換をさせていただきたいと思います。いかがでしょうか。
かなりいろいろな分野にまたがる話がございましたが、デジタル化という点は、柿沼委員もそうですし、あるいは黒木委員もかなり力を入れてお話しくださったところです。それらについて何かございませんか。
中田委員、お願いします。
○中田委員 御説明ありがとうございます。
柿沼委員のプレゼンについて御質問ということで伺わせていただければと思います。プレゼン資料の4ページ目に、高齢者のネット利用のリサーチということで、本当に現場の生の声ということを御共有いただいた中で、私は個人的に高齢者の方が困った経験がないとおっしゃっていて、実際に消費者トラブルに遭われていることにも気付かれていないといったお声があるといったところに、潜在的な消費者の問題の課題ということがあるのかなと非常に感じました。
それに対して、そういった方々はニーズを感じていらっしゃらないと同時に、集団研修に参加したくなく、個々の教育を求めている、求めているのかどうか分からないのですけれどもという御発言があったのですが、もし、柿沼委員のほうから、個々の教育ということで、具体的にこういった啓蒙の仕方、御説明の仕方が効果的であるというような、実体験からでも御経験があれば御共有いただければと思います。
○鹿野委員長 柿沼委員、お願いします。
○柿沼委員 柿沼です。
御質問いただきまして、ありがとうございました。
私もいろいろな講座を実際に行っているわけなのですけれども、このアンケート調査につきましては、あるボランティア団体のスマートフォンの教室に参加させていただいて、そこでいろいろお聞きした上で、こういうトラブルが実際に浮き彫りになっているということ、また、スマートフォンを教える立場の方々も、あまりよく消費者トラブルについて存じ上げていないということも分かっております。
ですから、そういうボランティアだけではないのですけれども、接する機会があるような相談できる窓口の門戸をもう少し広げていただくこと、あとは、高齢者だけではなく、一般社会人などが、なかなか消費生活センターに相談をしにくいという現状がございますので、その辺りについては、例えば、オンラインを活用していただく、SNSの相談の活用をしていただくなど、そういうところを利用して消費者トラブルなどについても、積極的に利用ができるようなことを考えていく必要があるのではないかなと思っております。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
小野委員、お願いします。
○小野委員 柿沼委員からは、デジタル・ジェロントロジーや消費者教育について、そのとおりだなと思いながらお話を聞かせていただきました。
黒木委員におかれましては、例えば、高齢化社会の被害というところと併せて考えることができるなど、アプローチが異なりながらも、目指すところがかなり共通していることが確認できました。
また、星野委員からは、EBPM、エビデンスに基づく政策立案評価からの建設的な方向性のための手法ということで共感をしました。
一方で、行動経済学とか合理的に動くことが難しい消費者の方も捉えていく、これは、正に特性のある消費者についてこの委員会で検討する意味でも重要なテーマだと思います。
そこで、教えていただきたいのは、特に星野委員なのですけれども、高齢者とか、特性のある消費者について把握をしていくためにデータを取る工夫とか、例えば、道筋としては、こういう方法があるのではないかとか、海外の事例などがあれば教えていただきたいです。
と申しますのは、消費者教育の研究をしていますと、それが一体どんな効果があるのか、いつも問われるわけです。
私自身、知的障害などがある方に、特別支援学校の教材を開発したり、講座に出向く機会があるのですが、当事者の方は、今日来てよかったなどの良い評価をしてくれます。しかしながら、こうして測定した満足度や教育効果をデータとして示すのはアンフェアだと自重しています。繰り返しになりますが、そういった特性のある消費者の方々からの証拠といいますか、データを取るときの工夫あるいは何か海外でやっておられるような事例などがありましたら、御教示をお願いいたします。
○鹿野委員長 星野委員、お願いします。
○星野委員 御質問ありがとうございます。
私としまして、特性のある消費者というより、人、一般、基本的に、あまり時間を掛けないで意思決定をしてしまう傾向が、まずそもそもあるということでございまして、実は、我々全てが脆弱な消費者ということで、なかなか賢い消費者で居続けることは、そもそもほぼ難しいということがございます。それに関する研究は膨大にされております。
あと、最近ですと、特に高齢者というのは、どういった特性を持っているのかということに関しては、様々な研究がございまして、基本的な損失回避といって、基本的に同じことを損失側で言うのか、利得側で言うのか、例えば1万円もらえますと、今、何かしなくては、1万円を失ってしまいますみたいな、反対側ですね、損失回避側に振るということがございまして、後者のほうが、損失回避フレームと行動経済学では言いますけれども、非常に高齢者では、その影響が強く出てくるといったことはございます。ほかにもタイムプレッシャーを与えるだとか、様々なことがございますが、基本的には、人、一般そもそも、そういった脆弱になりやすい、特にどういった状況でなりやすいかとか、高齢者だとか、あと知的障害者に関しては、私のほうで事例は存じ上げておりませんが、様々な属性に関して、文化差だとか、そういったことも結構調べられておりまして、基本的に個人主義よりも集団主義の社会のほうが、社会同調というか、みんなやっていますよというのを促すようなものが、当然ながら強く効くだとかといったことは、日本の場合は、まだまだ、もちろん若者だと違うかもしれませんけれども、我々は少なくとも、かなり社会的な規範を守れと言われてきた人間ですから、そういった人に対しては、社会同調を促すような形で、コミュニケーションを取るだけで、かなり行動が変わってくるみたいなこともございます。
特性があるというところに関しては、あまり申し上げることはできませんが、様々な研究というのは、蓄積をされているところでございますので、私もその件に関して調べていきたいと思います。ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
今の御議論の中にも少し出てきた、消費者の脆弱性は重要な点であるように思います。私は、もともと民法を専門としておりますが、そこでは、基本的に抽象的、合理的人間像を前提にしてルールがつくられておりました。しかし、民法でも解釈を通してふくらみが出てきておりますし、特に消費者問題においては、生身の人間が有するところの脆弱性、限定合理性等が、行動経済学とか、あるいは心理学などの知見を踏まえて、だんだん注目されてきており、いまや消費者像や消費者概念の見直しが迫られているのではないかと認識しているところです。
星野委員の行動経済学の御知見を、更に今後の議論にも反映させていき、また御教示いただきたいと思っているところです。
ほかにございますか。
○星野委員 私がというか、そもそも諸外国で、OECD、EU等でもかなり活用されておりますし、膨大な報告書まで出ている状況ですので、これを、なぜ日本でやらないのかなというのが、少し残念なところで、あとドリッププライシングという、最初のうち、例えば10万円で提示されるわけですけれども、何かオプションを入れないと、基本的には難しいような取引だったりとか、だんだんお金が積み上がってきますね。ただ、一度そこにコミットしてしまった場合に、では高いからやめるというのは、なかなか難しかったりします。
そういったものを利用するということを禁じるみたいなことまで、結構、海外の当局では、そういったものをするために、まず実験をして、本当にそういったことが、人々の意思決定に影響を与えているのかどうかというのをちゃんと調べた上で、証拠があった上でちゃんとやるという、これもエビデンス・ベースドだと思いますけれども、そのようなことが結構行われているということでございますので、是非、こういった消費者保護行政、申し訳ないけれども、後進国である我々は、是非先進国の事例も膨大にございますので、そこを見ていくというのはできるかと思います。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
消費者政策において重要なのは、法律だけではないとは思いますが、法律をつくる際も、従来から、エビデンスはどこにあるのだということが言われてきました。ただ、そのエビデンスの捉え方が、日本では少し乏しかったのではないかと思います。従来は、判例等があるということだと、判例でもこのような考え方で判断されているからということで、割と法改正などでも理解を得られやすいのですが、今、おっしゃったような形でのエビデンスということについては、私が見る限り、やはり日本の消費者法をつくっていくという段階においては、かなり弱かった部分ではないかと思っています。だからエビデンスということの意味そのものについても、やはりもう一度大きく見直していかなくてはいけないのではないかと、改めて感じた次第です。
ほかにございませんでしょうか。
黒木委員長代理とか、言いたいことがいっぱいおありなのではないかなと思いますが、いかがでしょうか。
○黒木委員長代理 自分のプレゼンでも全ての精力を使い尽くした感があって、少し放心しておりましたが、正に星野委員からおっしゃっていただいたのですけれども、一般的・平均的・合理的消費者というのは、恐らく、行動経済学の議論では、伝統的経済学が前提としていた、極めて計算高い、エコンというのですかね、セーラーの本でエコンと書いてあったのですけれども、エコンみたいな人間を前提としていて、そんな人はどこにもいないということを行動経済学は、恐らく非常に実証的に御説明いただいたのかなと思って、大変、星野委員のお話は興味深く聞いておりました。僕の発表が終わったからというのもあるのですけれども。
それは冗談として、今、委員長からも頂いたところでして、今回の議論の整理の中でも現実の消費者というのは、そういうものではないねというのは、有識者懇談会の議論の整理の中でも取り上げられているところでして、やはりそういう行動経済学の知見とかを利用して、伝統的経済学が前提としていた人間像、エコンみたいな形で非常に分かりやすい言葉で、一般的・平均的・合理的な消費者というものの虚構性を指摘するべきではないかと思います。判決文の中では、一般的・平均的・合理的な消費者が誤認するかどうかみたいなことを、平気で規範定立して書かれています。しかし、それは、裁判官が裁判官室で一生懸命システムで考えて判断して、自分は一般的・平均的・合理的な消費者像が分かるから、このようなものに誤認する消費者はとっても限られた消費者であって、これは規範としては成り立たないみたいなことを、今でも平気で判決文では書かれているわけです。そのようなところを、どう考えていくのか、非常に重たい大きなテーマではありますけれども、しかし、それを考えていかなくてはいけないなということは、非常に思ったところでした。
あと、私としては、やはりデジタルに関する部分というのは、先ほど申しましたとおり、国全体がSociety5.0という1つの大きな社会政策を掲げていて、それ自体に関して、その方向性が間違っているということは一切思っていないのですけれども、ただ、そこに至るインフラと、そこの法制度の分析をちゃんとしていかないといけないのではないかという問題が非常に強いところがあります。特に社会の隅々、私が弁護士になった頃のパソコンは、恐らくこの机全体を使用してやっと使えたと思います。しかし、現在のスマートフォンは、既にそのときのパソコン以上の能力を持っているという社会になってしまっているわけですので、その社会的な技術のインフラの革新自体は、便益性は非常に高いところもありますから、それを利用すべきではないとは考えていません。しかし、それを法制度として落とし込んだときに、何が必要なのかということについて、やはり政府全体でお考えいただいているのでしょうけれども、我々は消費者委員会ですので、そこを消費者が利用しなければ、Society5.0というのは、最終的な受益者は、国民イコール消費者ですので、そういった観点でデジタルの問題というのを考えていかなくてはいけないなというのは、常々思っていたところです。それから、消費者というか国民自体が、みんなして高齢化になっていくという、これも避けられない事実ですので、そこでの社会保障の在り方といった点も含めて、きれいにリンクさせていかないといけないのかなと思っているところです。
一言で言うとそんな感じなのですけれども、それを一筆書きでしゃべってしまいまして申し訳ありませんでした。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
オンラインで原田委員が御参加ですが、原田委員から何かございますか。
○原田委員 いずれの御報告も大変興味深く伺いました。
感想は、今、皆さん方がおっしゃったことと近いのですけれども、星野委員がおっしゃったことについて、若干違ったことを申しますと、表彰制度は、確かにほかと比べるとコストは低いかもしれないのですけれども、表彰制度をどうつくるかによって、例えば、行政機関が絡むようなつくり方をした場合には、行政機関の運営コストもそれなりに掛かる可能性もあるなという気がいたしました。
ですので、行政機関の執行コストというものをどう把握するかということについて、我々も行動経済学の勉強をしなくてはいけないのですけれども、行政法の側からも、例えば、こういうコストが掛かるということをもう少し明示的に言ったほうが、議論が活性化するかなという印象を持ちました。
以上です。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
何か星野委員のほうでございますか。
○星野委員 先生、ありがとうございます。大変おっしゃるとおりだと思いますので、ただ、例えば、経産省の先ほどのホワイト500みたいな制度も、他省庁では別の目的で行われていますので、例えば、そういったものがどれだけコストが掛かり、かつ、実際にそれによってどのように企業が動いたのかということも、何かうまい具合にデータを取ることができると、その費用対効果というか、それがどれだけのものだったのかということも分かると思いますので、そういった情報収集も、是非、消費者庁のほうにしていただけると有り難いかなと思っております。
ありがとうございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。
小野委員、お願いします。
○小野委員 企業についての表彰制度、既存のものを少しバージョンアップしていただくというのも方法かなと思っていまして、消費者庁で消費者志向経営の推進をしていますが、消費者志向自主宣言をしている企業でも取組の度合いが少しずつ違うのですけれども、そういった取組の評価項目を増やす、あるいはそれを検証しやすくデータを取ることもお願いするといった、既存しているものも調べ、それを活用していくという方向もあるのかなと思いました。
以上でございます。
○鹿野委員長 ありがとうございます。
ほかにいかがでしょうか。よろしいでしょうか。
それでは、ほぼ予定した時間になりましたので、ここで3人の委員からのプレゼンテーションに関する意見交換等については、一応終わりにさせていただきたいと思います。
3名の委員におかれましては、非常に興味深い御報告をいただきましてありがとうございました。今の議論も通して、それぞれの委員から御発表いただいた問題関心について、委員間で共有をさせていただきました。さらに、黒木委員がお話しくださったeコマースの問題などについては、また、今後具体的な形で議論を進めていく必要があるかとも思いました。
デジタル化、高齢化が進む中で、もちろん一方では、法律以外のいろいろな仕組みということを工夫していかなければならないと思いますが、他方で、最後には法律できちんと支えるところは支え、押さえるところは押さえるということも、同時に考えなければいけないと思っております。
先ほど黒木委員長代理がおっしゃったように、例えば、特定商取引法に関して言いますと、かなり昔に、いわゆる悪質事業者対策的な趣旨でつくられた法律が、次第に対象とする取引類型も拡大してきたところでございますし、特定商取引法の通信販売に関するルールも何度かにわたって改正はされてきたのですが、デジタル化の時代において、より総合的にこれを検討する必要があるのではないかという気もいたしました。
3名の委員の皆様には、本日のプレゼンテーション、どうもありがとうございました。
《4. その他》
○鹿野委員長 それでは、続きまして、新開発食品調査部会から報告事項がございます。新開発食品調査部会については、第412回本会議において、部会長として今村委員を指名したところですが、先般、今村部会長において、部会長代理を中田委員にお願いするという旨の指名が行われました。まずはその点につき、今回御報告を申し上げます。
本日は、先ほど冒頭で確認しましたように、今村委員は御都合が悪いということで御欠席ですので、中田部会長代理から同部会からの御報告をお願いしたいと思います。よろしくお願いします。
○中田委員 委員長、ありがとうございます。
それでは、特定保健用食品の表示許可に関わる答申について御報告いたします。
令和5年8月17日に開催した第65回新開発食品調査部会の議決について、新開発食品調査部会設置・運営規程第7条に基づき、委員長の同意を得て委員会の議決とし、令和5年8月31日付け及び10月2日付けで内閣総理大臣へ答申を行いました。
まず、参考資料1の答申書を御覧ください。
内閣総理大臣より諮問を受け、第65回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、了承することとされ、特定保健用食品として認めることといたしました。
次に、参考資料2の答申書を御覧ください。
内閣総理大臣より諮問を受け、第65回新開発食品調査部会において、安全性及び効果について審議を行った結果、指摘事項を確認の上、了承することが部会長に一任され、申請者からの回答書を確認し、特定保健用食品として認めることといたしました。
私からの報告は以上になります。
○鹿野委員長 ありがとうございました。
以上、御報告ということになります。
《5. 閉会》
○鹿野委員長 本日の議題は以上になります。
最後に、事務局より今後の予定等について御説明をお願いいたします。
○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。
以上です。
○鹿野委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。
皆様、お忙しいところお集まりいただきまして、どうもありがとうございました。
(以上)