第409回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年8月10日(木)13:36~14:34

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、青木委員、飯島委員、大石委員、木村委員
    (テレビ会議)生駒委員、受田委員長代理、黒木委員、清水委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官、小沼企画官

議事次第

  1. デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループの報告書等について
  2. 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの報告書等について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第409回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、青木委員、飯島委員、大石委員、木村委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、生駒委員、黒木委員、清水委員がテレビ会議システムにて御出席、星野委員は御欠席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループの報告書等について》

○後藤委員長 本日1つ目の議題は、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループについてです。

デジタル化の進展に伴い、通信販売において、消費者と事業者がSNSのメッセージを利用したやり取りを行った結果、当初の動機とは異なる契約の締結に至るといった消費者問題が発生しています。

本ワーキング・グループでは、特に消費生活相談の事例が多く見られる、いわゆるチャットを利用した勧誘による販売に焦点を当てて、特定商取引法における規制等の在り方を中心に検討してまいりました。

本年1月から計6回の調査審議を経て、今般、報告書を取りまとめましたので、本日はワーキング・グループから委員会へ報告いただきます。

飯島座長代理から、よろしくお願いいたします。

○飯島委員 ただいま御紹介いただきました、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ座長代理の飯島でございます。

本ワーキング・グループは、昨年8月の報告書に続き、2つ目の報告書を取りまとめましたので御報告いたします。

本報告書は、昨年9月に消費者委員会が発出した、SNSを利用して行われる取引における消費者問題に関する建議において指摘された、積極的な勧誘がなされる通信販売における規制等の検討の必要性について、いわゆるチャットを利用した勧誘による販売の特定商取引法における規制等の在り方を中心に検討を行ってまいりました。

本ワーキング・グループでは、チャットとは何か、また、チャットの特徴や心理的影響についてヒアリングを行い、チャットを利用した勧誘による販売に必要と考えられる規制対象と内容について検討し、その結果を取りまとめたものでございます。

本報告書で示された内容を起点として、消費者被害の未然防止、早期の被害回復の観点から、消費者庁において特定商取引法における規制等の在り方についての検討が速やかに行われ、それを受けて、必要な措置が講じられることを期待したいと思います。

報告書の詳細については、事務局から説明をお願いいたします。

○小沼企画官 それでは、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書につきまして、御説明させていただきます。企画官の小沼でございます。

時間も限られておりますので、資料1-3「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書(概要)」を御覧ください。

まず、1枚目でございます。

左上に「経緯」を記載しております。昨年9月に消費者委員会から建議が発出されたこと。建議におきまして、積極的な勧誘がなされる通信販売における規制等の必要性の指摘がなされ、それを踏まえ、本年1月にワーキング・グループを再開し、いわゆるチャットを利用した勧誘による販売の特定商取引法における規制等の在り方を中心に検討がなされたことを記載しております。

また、「経緯」の右の中ほどに、「チャットを利用した勧誘による販売」の特定商取引法の位置付けの図表を掲載しております。特定商取引法におきまして、チャットを利用した勧誘による販売は、現在は通信販売の一形態となっており、広告規制がかかっていること。他方で、訪問販売、電話勧誘販売には、勧誘規制がかかっていることをお示ししております。

さらに、「経緯」の下に「定義」を記載しております。本報告書におきまして、「チャット」とは、「受信者を特定して情報を伝達するために用いられる双方向の通信であって、通信内容の記録が受信者に提供されるもの」。「チャットを利用した勧誘等」とは、「通信販売においてチャット利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為」としております。

最後に、「定義」の下に、「チャットを利用した勧誘による販売の特徴」、「チャットを利用した勧誘の心理学的観点からの示唆」のそれぞれのポイントを記載しております。

2枚目でございます。

左上に「事例」がございまして、青い矢印でチャットを利用した勧誘のイメージをお示ししております。

チャットを利用して、はじめまして、Aです、と個人名をうたった事業者が登場し、簡単にお金を稼げるといった勧誘がなされるというものでございます。

右上に、「電話勧誘販売」と「通信販売」の取引形態と規則等を比較した図表を掲載しております。

電話勧誘販売には、勧誘規制があり、事業者名や販売目的等の明示、再勧誘の禁止、不実告知や故意の事実不告知の禁止、適合性原則違反等が規定されており、また、民事規定として、取消権やクーリング・オフがある。

一方で、通信販売には、広告への表示義務や誇大広告等の禁止が規定されていますが、勧誘規制はない。また、民事規定にも違いがあり、クーリング・オフもないということをお示ししております。

真ん中の黄色い部分でございます。1枚目、2枚目で御説明したことを踏まえ、チャットを利用した勧誘は、一般的な通信販売の広告とは異なり、短文で断片的なメッセージを送り、相手の反応に応じて情報を変更でき、一覧性がない。チャットを利用した勧誘による販売の特徴である、不意打ち性、密室性など、その心理的な影響を考慮すると、現行の通信販売の広告規制ではなく、勧誘に対する規制が必要ということを記載しております。

その下で、オレンジ色の部分が必要と考えられる規制でございます。真ん中の黄色い部分の記載を受け、規制対象は括弧の中で、チャットを利用した勧誘のうち、不意打ち性のあるもの。規制内容は大きく3つお示ししております。

規制内容の1つ目、「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」でございます。

チャットを利用した勧誘に先立って、事業者名や販売目的等を明らかにしないということは、消費者がそのような勧誘を受けるか拒否するか、判断する最初の重要な機会を奪うものであると考えられることから、訪問販売や電話勧誘販売の規定を参照し、事業者名・販売目的等の明示義務を設けることが求められるとしております。

2つ目、「(2)禁止行為の創設」でございます。

チャットを利用した勧誘は、消費者が事業者からの圧力を受けずに、契約締結の意思の形成を行う状況にはなく、また、適合性原則違反等や契約後に解除を妨げる行為が見られることから、通信販売に関する規制に基づく対応には限界があると考えられることから、訪問販売や電話勧誘販売の規定を参照し、再勧誘の禁止、禁止行為、指示対象行為等の行政規制を設けることが求められるとしております。

3つ目、「(3)民事ルールの創設」でございます。

消費者の被害回復の観点からは、自らが自己の権利を守り、損害を回復することができるようにすることが必要と考えられることから、訪問販売や電話勧誘販売の規定を参照し、取消権やクーリング・オフといった民事ルールについても検討することが求められるとしております。

最後に、枠の下になりますが、承諾をしていない者に対するチャットによる広告の提供の禁止、表示事項の項目追加についても、論点と記載しております。

また、情報商材への対応、契約不適合責任の検討、チャットを利用した勧誘以外の通信販売における規制の在り方の検討については、今後の対応や検討が必要とされる事項として記載しております。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、ただいま御報告いただきました報告書について、消費者委員会としてどのように扱うかという点の検討に移りたいと思います。

委員間打合せにおきまして、委員の皆様と意見交換を行い、取りまとめた報告書の内容に鑑みて、当委員会として本件については、意見という形で消費者庁長官宛てに送付することが良いのではないかという方向で、合意を頂いております。

本日は、資料1-1として意見案を配付しております。それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○小沼企画官 それでは「チャットを利用した勧誘の規制等の在り方に関する消費者委員会意見(案)」について、御説明させていただきます。

資料1-1を御覧ください。

内容といたしましては、先ほど資料1-3「報告書(概要)」で御説明させていただきました、必要と考えられる規制の検討を求めるというものでございます。

1ページ目、経緯でございます。

2ページ目、第1が意見でございます。

消費者庁は、チャットを利用して、事業者が消費者の契約意思の形成に影響を与える行為により、消費者被害が発生していることを踏まえ、以下について、チャットの定義を必要に応じて明確にすること等も含め、その在り方等について十分に検討することを求めるとしております。

1として、特定商取引法の通信販売において、チャットを利用して事業者が消費者の契約締結の意思の形成に影響を与える行為に対して、勧誘の規制等の導入に向けた検討を行うこと。

2として、上記1に当たっては、以下の内容を含め、検討を行うこととして、(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示、(2)禁止行為等の創設、(3)民事ルールの創設、でございます。

第2が理由でございます。

いずれも、資料1-2「デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループ報告書」からの抜粋でございます。

2ページ目、「1 チャットとは」として、チャットの定義を記載しております。報告書の該当ページは、12ページからになります。

3ページ目、「2 チャットを利用した勧誘及び同勧誘による販売とは」として、「チャットを利用した勧誘」及び「チャットを利用した勧誘による販売」の定義を記載しております。報告書の該当ページは、15ページからになります。

4ページ目、「3 チャットを利用した勧誘による販売の心理学的観点からの示唆」について記載しております。報告書の該当ページは、17ページになります。

また、「4 チャットを利用した勧誘に対する規制の対象」を記載しております。報告書の該当ページは、18ページになります。

先ほど御説明した規制の対象、不意打ち性のあるものということを記載しております。

5ページ目以降が「5 チャットを利用した勧誘に対する規制の内容」を記載しております。報告書の該当ページは、19ページからになります。

「(1)勧誘に先立っての事業者名・販売目的等の明示」、「(2)禁止行為等の創設」、「(3)民事ルールの創設」についてでございます。

9ページ目で、(4)が、規制の設け方でございます。報告書の該当ページは、25ページになります。

規制の設け方として、現行の通信販売の中に規制を設けるほか、通信販売から切り出した上で規制を設けることが考えられるということを記載しております。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は20分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 ありがとうございます。

この報告書のとおりです。ワーキングでは現場の声を、委員の皆さんによく聞いていただき、現場に答えがあるということで、この意見書がまとまりました。是非早急に消費者庁におかれましては、法整備をしていただくようにと思っております。

SNS関連の消費生活相談の件数は、日々増加しており、今や自主規制とか現行の法律ではなかなか防止が困難であり、一刻の猶予も許されないと私たちは思っています。

チャットの規制は第一歩であり、次には、私たち現場では、チャット機能による勧誘だけではなく、動画を何本も何本も送って勧誘させたりとか、メール送信を繰り返し行って勧誘したりというような解決困難な事案が、もう既に出ております。この意見書は、まず一歩ということですので、消費者庁には、是非早急な法整備をお願いしたいところであります。

現状のPIO-NETにおいて、チャット機能におけるキーワードがないということから、チャット機能を利用した勧誘の消費生活相談の件数が明確に確認できないとしても、国民生活センターが提供している事例や、既に今まで実名公表をしている事例とか、また、当協会、全相協も週末電話相談をしております。こちらとか私たち会員の中でも、情報交換をしていますが、いかにチャット機能を利用した勧誘が多発しているかというのは、事実として私たちは受け止めていて、特に情報商材分野に多く見られ、その被害回復が困難ということは、もう明らかなのです。

そこで、電話勧誘販売の規制の導入の頃の話を思い出しました。電話である以上、断りたければ切ることができるのではないかという意見が当時ありました。しかし、勧誘目的や、氏名等を明示することなく、不実の説明をしたり、事実を説明しないことで誤認してしまい、話を継続して聞いてしまったり、電話番号を知らされていることから繰り返し電話勧誘され、断りきれないといった事例が数多くあったのです。

そのため、電話勧誘販売としては、再勧誘の禁止、クーリング・オフ、書面交付義務等の規制が取られて今に至ると。そして、消費生活相談の現場では、それなりの効果が発揮されています。

今、チャット機能を利用した勧誘というのは、まさしく電話勧誘販売と同様の問題があります。今回この意見書に、ここが詳細に書かれておりますが、現状の通信販売や景品表示法における広告表示規制では、チャット機能による勧誘の問題は解決できないのです。そのほか、デジタルを活用した広告のうち、ダークパターンの問題も取り残されています。

こういうことから、今回、早急に消費者庁には、法整備に取り掛かっていただくよう要望したいと思います。インターネットにおける不適切な広告は、一対一の勧誘に近い手法である場合であったり、多くの人がトラブルに遭遇していることから、誰にでも起こり得る問題だということを、今一度現場の声として捉えていただいて取り組んでいただきたいと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。

私もこのワーキングにオブザーバーとして参加しておりました。急速にデジタル化が進んでいる私たちの生活の中で、誰もがSNSを利用するという状況になっております。SNSは大変便利なツールではあるのですが、そうした中で、SNSのチャット勧誘による消費者被害が増加しているため、対応が急がれているところです。

今回、この報告書の内容を皆様に公にすることで、問題提起を行い、そして消費者庁には必要な調査及び検討を設けるなど、一刻も早い実効的な対応をしていただくことを改めて要望いたします。

先日のワーキングで消費者庁からは、エビデンスが重要だというお話があったのですけれども、現状につきましては、先ほど清水委員からもお話がありましたけれども、既に被害が広まっています。エビデンスを調査している間にも被害に遭って困っている消費者がいて、そして、それを助けたいと献身的に対応している相談員がいらっしゃるということを忘れてはいけないと思っております。

現在の規制での執行強化は、もちろん大切ですし、強化していただきたいのですが、それに加えて、スピード感を持った規制の対応が必要だと考えております。

これに限らず、消費者被害は未然防止が重要です。被害に遭うということは、消費者にとって大変心身ともに負担になります。そのためのリテラシー教育は重要であり、安全に利用することが基本です。

しかし、デジタル化によって、これまででは対応できない問題が増えていることは事実です。時代に合わせてデジタル化に対応した消費者被害の対応と、その救済について検討していただくことを要望いたします。そして、まずは、この意見書がその一歩だと考えております。消費者庁には、早急に規制に取り組んでいただきたいと思います。

加えまして、先ほどの清水委員のお話と重なりますけれども、消費者の脆弱性は、子供や高齢者などに限りません。誰でも起こります。気持ちが弱っていたり、見たことがないもの、新しいものですとか、本物そっくりで間違えることなど様々な原因で、困惑する状況は誰にでも起こることですし、そこで判断を誤ってしまうこともあります。誰でも被害者、そして加害者になってしまうことがデジタル化の怖さの一つだと思っております。

こうした場合に、消費者に寄り添った規制を、是非お願いしたいと思いますし、引き続き、消費者委員会としては、消費者庁と連携して消費者被害の防止、救済について対応できるようにフォローアップをしていきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 黒木です。

私もオブザーバーとして、このワーキング・グループに参加しておりました。

その中で、この意見書について大賛成なのですけれども、特に私が追加して申し上げたいことを申し上げたいと思います。

消費者庁は、令和5年5月26日付けで、令和4年度における消費者安全法の運用状況についてという報告をされています。それによると情報商材に関して10件注意喚起をしているということが発表されています。

本報告書では、正にチャットを使って情報商材から被害が生じるという事例が挙げられておりますけれども、この消費者庁の発表からも現行法制下では消費者安全法でしか対応できていないという点が、この消費者庁の発表でも明らかではないかなと思います。

ワーキング・グループでまとめられた本報告書、そしてこの意見書の中では、チャットについて、明確な定義がなされていると考えております。

この定義の問題につきましては、第15回ワーキング・グループにおいて、消費者庁からチャットの定義に関するコメントが資料2-1という形で出ております。

この内容というものは、今後議論を深めていくときに検討しなければならない内容であると思います。しかし、この報告書では、この問題提起に関して、十分な答えを出している、そして、これに基づいて、このワーキング・グループの報告書、消費者委員会の意見書が発出できるのだと考えております。

あとは、消費者庁の資料2-2で示されたその他のコメントで指摘された論点は、ワーキング・グループで深められており、そして我々が意見書として、この論点について一定の答えを出しているということだろうと思います。この意見書を今後どう考えていくのか、そして、この意見書で示された内容を利用すれば、特商法がeコマースの事業者と消費者との取引のラストワンマイルを、きちんとした形で法規制できる法体系をつくると思っております。

その意味で、特商法はeコマースの基本法になる可能性があるのです。本意見書は、特商法の社会的な重要性も併せて明示したような意見でありますので、是非ともこれを社会に発出して、あとは多くの方々に、この意見と報告書をより深く深掘りしていただいて、検討を加えていただきたいと思っております。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、生駒委員、よろしくお願いいたします。

○生駒委員 報告書の取りまとめ、御報告、ありがとうございました。非常に緊急に対応しなくてはいけない案件について、重要なセッションと、そして取りまとめをしていただいたと思います。

今やチャットというプラットフォームは、大手企業も非常に有効な広告を打つプラットフォームとして活用されているという状況です。そこに個人的なメールのやり取りも混ざってくるという、本当に多様な情報が飛び交う、行き交っている身近なプラットフォームなのです。

そこに勧誘あるいは販売を誘う、あるいは副業をいざなうような悪質なメールが混じってくるというのは、消費者にとっては、身近に迫ってくる危険な状況だと思います。

通信販売や電話での勧誘とも、また違う状況かと思うのです。非常に個人的な世界で向き合わなくてはいけないのが、このチャットの世界だと思うのです。こうした個人的なやり取りから重大な犯罪につながっていってしまうという事実が、今、起こっているわけで、その意味で、このワーキング・グループの取りまとめ、取り組んでくださっている内容は、非常に重要な意味を持っていると思います。私個人的には、「意見」ではありながらも、「建議」にも値する内容ではないかと考えております。

先ほどから消費者庁が一刻も早く法整備をしていただきたいという期待する委員の声がたくさん出ておりますけれども、私も全く同意見で、引き続き、これを「意見」の発出だけに終わらせずに、法整備に向けて一刻も早くこの論議が深まって、高められていくことを期待したいと思っています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

大石委員、よろしくお願いいたします。

○大石委員 ありがとうございます。

私もこのワーキングにオブザーバーとして参加しておりましたので、一言述べさせていただきたいと思います。

もう今まで委員の皆様がおっしゃいましたように、デジタルというのは、社会にとって大変有用なものである一方、いろいろな消費者被害が実際に起きている、しかもそれが本当にかなりのスピードで勢いをもって増えていて、その被害に遭っている消費者が現実に大勢いるというのは、事実です。

その中で、今回このワーキングで取りまとめた内容というのは、やはり今すぐに取り組まなければいけない内容が網羅されていると思います。ワーキングの中でも、チャットですとか、チャットを利用した勧誘の定義というのが、まだ、もう一つ確定できない、という話もありましたけれども、ワーキングの中でいろいろと検討する中で、その定義を今つくり、そして法改正につなげるということは、かなり進められる方向が見えてきていると思います。

私たちが、今、考えなければいけないのは、実際に被害を受けている人たちをいかに救うか、逆に未然にどうやって防ぐかということだと思います。

そういう意味で、今回の取りまとめというのは大変重要なものであり、消費者庁のみならず、省庁横断で、是非このワーキングで取りまとめた内容をただの意見ということではなく、とにかく真剣に迅速に取り込んでいただきたいというのが今の気持ちです。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

ワーキングの取りまとめ、大変御苦労様でした。貴重なワーキング・グループの取りまとめが行われたものと、心から敬意を表したいと存じます。

その上で、消費者委員会としての取りまとめについては、私は賛成いたします。一言添えておきたいのは、ほかの委員からも御発言が出ておりますけれども、消費者庁の受け止め方についてです。

このワーキングにおいて、エビデンスの必要性等を消費者庁が発言されたということでございますけれども、これについては、やはり未然防止の観点から、もう感覚が全くずれている、危機意識の欠如ということになるのではないかと思っております。

そういう意味で、今回の意見を通じて、消費者庁が消費者の現場に立った危機意識を共有していただいて、直ちにこの意見に対する対応をしていただくことを強く希望したいと存じます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木です。

今回、ワーキング・グループで取りまとめていただいた内容は、特商法における類型のきちんとした整理ですとか、課題がどこにあるかということと、具体的な提言まで高めていただいていて、私も内容的には賛同しております。

デジタル化は、消費者にとっては、逆に言うと、個々のコミュニケーションの手法として、もう既に定着しておりますし、メリットあるいは多様性、いろいろな意味で享受もしている中で、やはり取引関係においては、今回指摘があったような、いわゆる勧誘のところでこういう使い方がされることにおける、どう防ぐかというところが、少し後付けのような形にならざるを得ないのかなと感じております。

ただ、デジタル化における消費者問題を取り扱うときには、常に全部分かっているわけではなくて、日々いろいろな情報の技術も、それから、いわゆるコミュニケーション手法も、データ分析も、国際化も含めて非常に目まぐるしく動くところなので、グレーゾーンだとか、明確にしきれない部分というのが常にある状態だと思います。

ですので、そこをはっきりさせてからと言っていると、全部後付けになってしまうと感じておりまして、今回整理いただいたところについては、言われている内容は、目的の表示あるいは事業所名を最初からきちんと述べること、あるいは勧誘の禁止事項などは当たり前の内容であって、ただ、こういうグレーゾーンが非常に存在する中、健全な事業者にとっても、いろいろな新しい手法をやっているので、禁止する対象をどういう内容というところは、これは、しっかり議論をしていただき、業界あるいは事業者ともしっかり共有した中で、消費者の利益になるような、あるいは保護をしっかりしながら、デジタル化のコミュニケーション力を上げていくような取組を、是非お願いしたいと思っています。

これは、消費者庁のほうも、今回の提言の中で具体的に出された内容について、異論はないと私は思っております。ただ、対象だとか、法的にしたときに、除外規定とか、その辺りを、是非早急に詰めていただいて、現行法の中でもそうなのですが、執行強化をしていただきたいと思っております。

これは意見となっておりますが、具体案にもなりますので、私は、これは明確な提言に近い消費者委員会からの依頼だと思っております。どうぞよろしくお願いいたします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。各委員から今回の意見案につきまして、強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことを御発言いただきました。

この意見案自体については、特に異論はなかったと思いますので、皆様に御了解いただいたものとして、消費者庁宛てに送付したいと思いますが、よろしいでしょうか。御異論ございませんでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、これをもちまして意見として、消費者庁宛てに送付することにしたいと思います。


《3. 消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの報告書等について》

○後藤委員長 続いての議題は、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループについてです。

本ワーキング・グループは、公正な市場を実現するための消費者法におけるルール形成の在り方や、ルールの実効性確保に資する方策、行政・事業者・消費者の役割について検討することを目的として、第5次委員会より活動しております。

今次は、事業者の自主的取組や民事ルールでは対応しきれない悪質商法に関して、実効的な法整備や違法収益のはく奪、財産保全等の制度について議論を重ねてまいりました。

今般報告書を取りまとめましたので、本日、ワーキング・グループから委員会へ報告いただきます。

黒木座長代理、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 ただいま御紹介いただきました、消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループの座長代理を務めております黒木でございます。

近年、消費者取引の国際化や急速なデジタル化の進展のもと、消費者被害はこれまで以上に複雑化、多様化しております。また、消費者の脆弱性、デジタル化や複雑化する消費者取引に対する消費者のリテラシーの限界などを踏まえまして、消費者が安全・安心に生活していくためのセーフティネットを整備することが必要だと考えられます。

さらに、悪質商法による大規模な消費者被害は、近年も発生しており、そうした場合、一度発生した被害を十分に回復することは難しいのが現実です。

そのような動向の中、昨年3月、ルール形成の在り方検討ワーキング・グループを再開しまして、昨年8月に中間取りまとめを行い、さらに、自主的取組や民事ルールでは対応しきれない悪質商法への対応にスポットを当てて審議を行ってまいりました。

審議においては、制度的手当の必要性を基礎付ける事情といたしまして、①消費者庁及び消費者委員会設置法附則第6項の検討条項の存在、②横断的・一元的な対応の必要性、③新たな消費者被害の発生抑止、④消費者の被害回復、⑤行政の主体的・迅速な対応の必要性が挙げられました。

この度、取りまとめました報告書は、有識者や関係省庁からのヒアリングや、委員、オブザーバーの皆様による意見交換による調査審議の結果を踏まえまして、制度の対象とすべき事案、いわゆる破綻必至商法の要件を整理し、当該事案については、行政が主導して、その事業を止めて被害を回復するための具体的な方策、例えば、行政庁による破産申立権限の創設などについて提起するものであります。

関係省庁においては、破綻必至商法を行う事業者の取締りに関して、現行法を迅速かつ厳正に執行することに加えて、当該事業者への対応の観点から、消費者法の制度の整備、その他政策を立案、実施するに当たっては、本報告書が提起する観点や内容を踏まえることが期待されております。

報告書の詳細につきましては、事務局から御説明をお願いしたいと思います。

以上です。

○友行参事官 それでは、資料の2-3を御覧いただけますでしょうか。「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書(概要)」でございます。

1ページ目の左側でございます。本報告書が念頭に置くいわゆる「破綻必至商法」事案の実態と制度的手当の必要性のところです。

最初のマルですが、ここで念頭に置いているのは、高配当、高利益が得られるとうたって多数の消費者を誘引し、多額の出資をさせて、多数の消費者の被害回復が困難になっている事案でございます。

消費者の被害の実態を見てみますと、以下のとおりでございます。

古くは豊田商事でありますが、被害者数は、2万9,000人、被害総額は2,000億円となっておりました。

ジャパンライフについては、被害者数が7,000人、被害総額は2,000億円となり、単純平均すると1人当たりが2,800万円となっております。

「現行制度の課題」のところです。行政処分を潜脱して事業を継続したと見られる事業者が存在しています。

また、被害回復のための手段が欠けていることも見られます。

刑事的な手法では、迅速な対応が困難な面もあるということでございます。

こうしたことを受けて、「以下の視点を踏まえた制度的手当が必要」ということで、5つの項目を挙げております。

以下5つの項目につきましては、先ほど黒木座長代理から御説明があったことと同じとなっております。

右側が、制度の対象とすべき「破綻必至商法」についてでございます。

このワーキング・グループが対象と考える破綻必至商法については、以下の①から④の全てを備えることが必要と考えております。

①として事業の実体がないにもかかわらず、②として金銭の出資もしくは拠出又は物品もしくは権利の提供をすれば、事業の収益により一定期間経過後に金銭その他経済的利益の配当等を行う旨を示して消費者を勧誘し、③多数の消費者に金銭出資等をさせ、④そのため、新たな消費者を勧誘して金銭出資等をさせ、当該金銭出資等を原資として、先行の出資者への配当等を継続的に行わざるを得ないスキームでございます。

①の事業実体がないにもかかわらずのところは、点線四角囲みで判断要素の例を挙げております。事業の実体がないとは、例えば、事業が対象とする契約類型における本質的要素、目的物などが大幅に欠けていることや、事業を行うための人員が大幅に不足している、事業計画が極めてずさんであるといったことなどを踏まえて判断するということでございます。

2ページ目でございます。

「破綻必至商法を止めて被害を回復するための具体的方策」について述べています。

①として「破綻必至商法の禁止の明確化」ということでございます。

②として「破綻必至商法を停止するための行政処分の創設」でございます。

こうした商法を行う事業者に対して、その事業の全部又は一部を停止する旨の行政処分を創設することや、行政処分の潜脱防止のための手当を設けること、そのための報告徴求や立入検査等の調査権限を与える必要があるということでございます。

更に具体的な方策として、③から右側に行きまして、④、⑤と述べております。

③として「行政庁による破産申立権限の創設」です。

最初のポツですが、行政庁は、破綻必至商法を行う事業者に破産手続開始原因がある場合には、破産手続開始の申立ができる旨の制度を創設してはどうかということでございます。

右側にまいりまして、④です。「違法収益はく奪のための行政手法の創設」です。

破綻必至商法に該当する取引がなかった状態への原状回復を内容とする返金計画措置命令でございます。

また、3つ目の黒ポツですが、繰り返しの違反行為を抑止するため、違法収益額に一定割を乗じた額を加算金として納付させる制度を創設することもあるのではないかということでございます。

⑤として「会社法の解散命令の活用・拡充」でございます。

まず、現行制度の活用として、破綻必至商法を行う会社に会社法824条第1項に該当する事由がある場合には、行政庁は会社法826条の法務大臣への通知を行うといったことも考えられます。

次の段落ですが、「上記方策の実効性を高めるための方策」でございます。

左側が「現行制度の運用」でございます。事業者の内部に協力者を確保することや、関係行政機関、例えば国民生活センターなどが相互に連携すること。

運用面として、現行PIO-NETがございますが、更なる改善といったことも考えられます。

右側の「制度的手当」でございます。行政に行政処分に必要な限度で報告徴求や立入検査の調査権限を付与しますが、調査を拒まれた場合に備えて、例えば臨検といった強い権限を与えることを検討してはどうかといったことや、不実証広告規制類似の制度を設けることについて検討も行ったらどうかということが提案されています。

御説明としては、以上です。

○後藤委員長 ありがとうございました。

続きまして、ただいま御報告いただきました報告書について、消費者委員会としてどのような扱いにするかという点の検討に移りたいと思います。

委員間打合せにおいて、委員の皆様と意見交換を行い、取りまとめた報告書の内容に鑑みて、当委員会として本件については、意見という形で消費者庁長官及び関係行政機関宛てに送付することが適切ではないかという方向で合意いただいております。本日は、資料2-1として意見案を配付しております。

それでは、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 資料2-1を御覧いただけますでしょうか。

「多数消費者被害に係る消費者問題に関する意見」でございます。この「消費者法分野におけるルール形成の在り方等検討ワーキング・グループ報告書を受けて」としています。

1つ目のところは、取りまとめの経緯でございます。

2番でございます。深刻な多数消費者被害対策の一環として、令和3年に預託法が改正されております。販売預託を原則禁止とし、内閣総理大臣の確認を受けないで締結等をした契約は無効とされ、行政処分の権限を規定するなど、破綻必至商法を行う事業者への対処として有効な制度が導入されたものと評価できます。

消費者庁は、改正後の預託法を適切に執行するとともに、被害の未然防止、再発防止、拡大防止及び被害回復の観点から、同法の施行の状況について検証を行うことが必要であると考えます。

また、破綻必至商法を行う事業者を市場からより効果的に排除するべく、行政による破産手続開始の申立、その他の手法による消費者の被害の拡大防止等に資する措置を取ることが可能となる制度整備又は拡充に向けた検討を行うことが必要であるとしています。

3つ目は、ここで言う破綻必至商法とは、①から④までの全てを備えるものをいう、ということでございます。先ほど御説明いたしました、①から④でございます。

2ページ目に移ります。

4番として「過去に多数消費者被害をもたらしたジャパンライフ事件では」としています。

消費者庁の第2回目の行政処分において、その預託等取引契約の目的物となる本件商品の数に比して大幅に不足していて、約定どおり顧客に割り当てる本件商品が存在しないにもかかわらず、複数の顧客に対して、その旨を故意に告げず、顧客の判断に影響を及ぼすこととなる重要な事項である預託等取引契約の目的とするために購入させる本件商品の保有の状況について故意に事実を告げていませんでしたとあります。

また、平成26年度の負債額は、少なくとも合計287億7,600万円で、本来、これは会社法に基づく負債の部に計上すべきものでしたが、負債の合計は94億5,000万円しか計上されていませんでしたということが認定されています。

こうした事柄によれば、消費者庁はジャパンライフ事件において、預託法に基づく調査の過程で、事業が行われていないなど、事業の実体がないことを把握し得たと評価できます。財産の状況をある程度把握することが可能であったと考えられます。

したがって、事業者を市場から排除する制度が存在すれば、その後の新たな被害者を生じさせることなく、また、財産を散逸させることなく、消費者被害を小さくできる可能性があったと考えられます。

5番です。

もっとも、上記3について、正常な経済活動への萎縮効果を生じさせないようにするため、更に精査すべきであることは、報告書でも指摘しています。

また、行政がより事業者に対して強い権限を持つとして、それは行政庁による破産申立がよいのか、その他どのような方策が考えられるのか、具体的な方策の検討に当たっては、達成すべき目的との関連性や目的達成との関係での均衡について留意する必要があると考えます。

6番です。

加えて、民-民の問題に行政がどこまで入っていくことが許されるのか、生命・身体の被害ではなく、金銭的な被害の回復を求める消費者行動について、行政が入っていくことの正当性についてどのように整理すべきかという問題があります。

この点、消費者委員会では、消費者法においては、国家が形成する法令や事業者・事業者団体が形成する自主規制などの種々のルールが、被害の予防と救済の両面に機能を果たしている。これらのルールを、被害の予防・救済という目的を実現する手段として、どのように組み合わせることが最善かという観点から検討が必要であるということを考えています。

上記3の場合のように、かなり限定的な場面になること、公益的な事項であること、裁判所の判断が入るということで、行政の恣意的な判断を防止し得る等の条件が満たされる場合であれば、民-民の問題に行政が一定の役割を果たすこともあり得ることであり、消費者法の分野では、この点が特に重要であると考えます。

消費者委員会としては、以上の残された課題にも留意しつつ、引き続き、多数消費者被害に係る消費者問題への取組について、消費者庁を始めとする関係行政機関の取組を注視していくとされています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は25分程度でお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

この報告書のとおりだと思います。私たち現場の相談員は、豊田商事、安愚楽牧場、ジャパンライフ、ケフィア事業振興会と聞くと、もう生々しい当時の相談者の声を、特に家族の方の痛々しい声を思い出します。今でも夜が寝られないぐらい、なぜ被害が続いたのか、なぜ国は止められなかったのか、そして、その声を聴いているのは消費生活センターの相談員だったのです。

私たちができることは、PIO-NETに書くこと、そして、そこで国に分かってもらうことということだったのですが、同様な消費者被害の発生が、今なお続けられていると思っています。もちろん、改正預託法がありますので、その後を検証していただいて、本当に消費者庁が言われるように、こういう問題が果たして終わったのかどうか検証していただきたいと思います。

私たち消費生活センターの相談員は、常に民-民の問題にどこまで行政が入るべきかを毎日毎日考えています。そこには格差があるという問題で、やはり民-民の問題だけではなく、行政も協働してやっていくときだと思っています。今や被害回復は、私たち消費生活センターではとても追い付かないです。そして、弁護団ができれば弁護士の先生たちと協働してということもありますが、そういうことも一部の被害者しか救済されない現状にあります。特にこれはとても重たい問題であり、そこを明確に報告書にまとめたということは重要だと思いますので、消費者庁におかれましては、是非是非、中身を熟知していただき、検討していただきたいと思います。

また、消費生活相談の現場では、3年後にPIO-NETの刷新があります。どうかPIO-NETの利活用につながる、いわゆる国民の方がいち早く破綻必至商法を知ることができる仕組みについても、PIO-NETの利活用、そして今後のDXのために、いかに消費生活センターの情報が明確に現場に伝えられる仕組みについても、重ねて検討していただきたい。これも喫緊の課題だと思います。どうぞよろしくお願いします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 ありがとうございます。

私もこのワーキングに参加させていただきましたので、一言述べたいと思います。

このルール形成ワーキングというのは、継続して行われているわけですけれども、今回の一番の課題意識としては、いかに迅速に被害回復を図るかというところでした。

今回取り上げてある破綻必至商法の被害者というのは、一見すると、利益を求めて被害に遭っているという見え方もするかもしれませんが、やはり一旦受けた被害によって、その人の人生が変わってしまうようなことがある場合に、それをいかに未然に防止する、回復につなげるというのは、国の責務の一つだと思っています。

そういう意味で、今回、報告書の内容に書かれておりますように、もっとこのときに、こういう法律があれば、こういう手法があれば、被害がここまで拡大するのは防げたのではないかと、そういう視点に立っての報告書になっておりますので、今後、消費者庁を始め、各省庁は、是非、この報告書を基にして、具体的な対策を至急取っていただくようにお願いできればと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。

私もこのワーキングに参加しておりましたので、一言お願いします。

消費者が被害に気が付くことが遅くなって、被害が大きくなってしまうということが、まず問題です。本当に巧妙な手段で、もちろん、もうけようと思ったりとか、いろいろな気持ちはあるにしても、やはり、これが被害になっているということに気が付かない、それで被害額が大きくなっているというところは、本当に問題だと思っています。

消費者被害の拡大防止と被害回復について、本当に実効的、そして具体的な対応を消費者庁や関係行政機関に取り組んでいただけるように、是非お願いしたいと思います。

報告書の内容については、本当に書いてあるとおりだと思っております。

以上です。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 他の委員の意見と重なるところではあるのですが、被害拡大防止のために、これだけの話し合いを重ねてきてくださって報告を受けました。本当に貴重な、重要な取組として受け止めておりますが、先ほど、清水委員がおっしゃったかと思うのですが、消費者の側からして、事件としてニュースで取り扱われて事実としては知っていても、こういった案件に対して、国がどのように対応しているか、法整備が変わってきているという情報までは、一般の消費者には行き届いていないと思うのです。

ですので、是非、こういった報告書が、何らかの形で実際に消費者の耳にも届くようにしていっていただきたいと思っております。

どうしてもニュースでは、こういった事件が起こりましたというところで終わってしまいがちですが、消費者に、こうした犯罪に対して国や消費者庁がどのように対応しているか、そしてもし被害に遭ったときに、どのように対処すればいいのか、そういったことまで消費者の耳に届くように、この報告書が機能を果たすべきではないかと思っています。消費者に還元されるような報告書ということで、今後も期待したいと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、黒木委員、よろしくお願いいたします。

○黒木委員 私は、座長代理ですので、この点であまり発言するのもどうかなと思うのですが、一言だけお伝えしたいと思います。

この意見案、これはワーキング・グループの報告書を極めて精緻にエッセンスをまとめていただいた意見になっております。そして、私として強調したいのは、以下の点です。

まず第2項と第3項を合わせて読むと、例えば、破綻必至商法の①から④を、もしも金銭だけでやるのだと、出資法に違反していたり、あるいは金商法に違反していて、既に行政的に、金商法で緊急措置命令が出るという形になります。その意味で、金銭のみの破綻必至商法については、行政上の手当ができている。これが、販売預託商法という形になった場合、今回の預託法の改正で販売預託商法は禁止されたので、解決したということかもしれません。しかし、販売預託商法が無効となると、販売預託商法を行っている事業者のところにあるお金は、全部不当利得ということになりますので、これをどうするのかという問題が、やはり突き付けられているのだと思います。この点は、破綻必至商法の要件②、③で出している。同時に③の要件からは、いわゆる破産法の支払不能に、無理算段で資金調達した場合に該当するのかという問題点についても検討した上で、仮に中小企業が無理算段で資金調達したとしても、破綻必至商法ではないこと、そして、ベンチャー企業等々の出資も、これには当たらないということが明確になっているということであります。

そして、この意見書の中で重要なのは6でありまして、いわゆる公法、私法の域を超えてどこまで行政が介入するのかということについて、この意見の中では、ワーキング・グループの報告書、それから、新しく消費者庁から出ています有識者懇談会の検討も踏まえて、ここまでのことを書いております。

私は、これらを考えますと、倒産法の分野で考えていますが、2002年に現行倒産法の改正の中間試案で、行政庁が破産申立権限ということを検討し、2009年の消費者庁及び消費者委員会設置法の附則の6項で、この問題について検討することが義務付けられ、2013年に消費者庁は、行政手続に関する研究会を開催しております。

そして、2023年、正にその10年後に、今回、こういう形で消費者委員会が意見をまとめることの意義というのは、非常に大きいと思っております。

以上であります。すみません、座長代理が手前みそでありましたけれども、気持ちがあるものですから、失礼いたしました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。

どうもありがとうございました。各委員から今回の意見案につきまして、強調しておきたいこと、あるいは補足しておきたいことなどを御発言いただきました。

この意見案自体につきましては、特に異論はなかったと思いますので、皆様に御了解いただいたものとして、消費者庁及び関係行政機関宛てに送付したいと思います。よろしいでしょうか、御異論ございませんでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、これをもちまして意見といたします。


《4. 閉会》

○後藤委員長 本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、決まり次第、ホームページを通じてお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)