第408回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年8月3日(木)13:00~14:02

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、飯島委員、生駒委員、受田委員長代理、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員
    (テレビ会議)青木委員、星野委員
  • 【事務局】
    小林事務局長、後藤審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者団体調査の結果及び今後に向けた論点整理(案)について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第408回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、受田委員長代理、飯島委員、生駒委員、大石委員、木村委員、黒木委員、清水委員、私が会議室にて出席、青木委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

なお、星野委員と生駒委員は、少し遅れて御出席の予定です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 消費者団体調査の結果及び今後に向けた論点整理(案)について》

○後藤委員長 本日の議題は「消費者団体調査の結果及び今後に向けた論点整理(案)について」です。

当委員会では、我が国における消費者団体の現状と課題等を明らかにすることを目的として、国や都道府県の審議会に消費者代表として参画している団体や、適格消費者団体について可能な範囲で調査を実施してまいりました。

これらの調査を踏まえ、消費者団体が担ってきた政策提言機能を維持していくために重要と考えられる論点を整理いたしました。

本日は、この報告書案について議論の上、取りまとめをしたいと思います。

それでは、事務局より、20分程度で説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、資料1を御覧いただけますでしょうか。

まず、「消費者団体の現状及び今後に向けた論点整理」でございます。副題として「政策提言機能を担う消費者団体を中心とした調査報告」としております。

ページをおめくりいただきまして、2ページ、3ページが目次となっております。

4ページ目のところから「はじめに」でございます。

2つ目のポツですが、これまで、消費者行政における消費者の意見を表明する役割は、主に消費者団体が担ってきたとしています。

適格団体や特定適格団体が事業者に対して行う差止請求、それから被害回復訴訟なども、ある意味、政策提言とも捉えられるとしています。

消費者団体は、団体数・会員数が減少するなど、その活動が縮小しているとの見方もあります。

仮に、消費者の意見を行政につなげる役割を担う力が弱まると、消費者の権利が十分に配慮されないことも考えられます。

高齢化、脆弱な消費者の存在、デジタル化の進展による商取引の複雑化、こういったことを背景に、消費者団体の社会的役割やその期待は、ますます高まっており、重要なものとなっています。

そもそも消費者団体をどのように定義付けるかは難しいという面もございますが、消費者委員会は、我が国における消費者団体の現状と課題を明らかにすることを目的に、国や都道府県の審議会に消費者代表として参画している団体や、適格団体について可能な範囲で調査を実施いたしました。本調査報告は、これらを取りまとめたものでございます。

したがって、我が国の全ての消費者団体の現状を把握したものではないということに留意が必要でございます。

5ページ目でございます。

「第1 我が国の消費者団体の概要」です。

「1 類型」です。活動範囲に着目しますと、全国域、市町村で活動する団体に分類することができます。

活動テーマに着目いたしますと、生活全般に関わるテーマ、または特定のテーマに特化して取り組む団体が見受けられます。

会員に着目すると、個人を会員とする団体や、消費者団体を会員とする連絡会組織、相談員などの有識者、有資格者、専門家に会員を限定している専門家団体に分類することができます。

また、生協も消費者運動を支えているところでございます。

「2 役割」としては、消費者基本法8条では、消費者団体の役割について、消費生活に関する情報の収集、提供、消費生活に関する意見表明、消費者に対する啓発教育などと定められております。

3番として「政策提言に関する主な活動の経緯」でございます。

1990年代頃までは、デモ、集会といったキャンペーン型中心の運動であったということが言えるかと思います。

一番下の行ですが、1994年に成立した製造物責任法の制定に向けた活動の頃から、6ページ目にまいりますが、専門家とも連携した政策提言型の運動が展開したということも言えるかと思います。

そして、2007年6月には、消費者契約法を改正して、差止請求制度が導入されています。また、2016年には、消費者裁判手続特例法が施行されているなど、消費者被害の拡大防止、被害回復に関して、消費者団体の活動領域は着実に広がっているところでございます。

7ページ目です。

第2の「消費者団体を取り巻く環境の変化」です。

1つ目として「消費者問題の多様化・複雑化」が挙げられます。

2つ目のポツですが、国際化・デジタル化、それから、エシカル、人権等にも消費者の関心事項は広がってきています。また、生活のインフラである通信・電力・ガスなどは、制度自体がとても複雑になってきています。

2番として「インターネットの普及等による情報入手・発信方法の多様化」です。

これまでの消費者団体の活動は、対面型の活動が中心だったと言えますが、そうした状況が変わってきています。

3番として「中心的な担い手の変化」です。

従来、消費者団体の活動は、主婦が生活の質の向上のために団結したものであったということも言えます。

8ページ目の上のところに、図表を掲載しております。赤の点線が、いわゆる専業主婦世帯です。水色の線が、いわゆる共働き世帯です。ちょうど1990年から1995年頃を境に、その線がクロスしていて、現在では共働き世帯が多くなっています。

8ページ目の4番のところです。「行政のパラダイム(価値規範)転換、事業者の消費者志向の高まり」です。

消費者団体を取り巻く環境の変化として、2003年の消費者基本法の制定により、消費者の権利が制定されています。また、2009年9月には、消費者庁及び消費者委員会が発足しています。

次のポツですが、2015年には国連でSDGsが世界共通の目標として採択され、これは、2030年までに達成することとされました。また、2023年4月末時点で、事業者による消費者志向自主宣言を行っている事業者は、467事業者に達しています。

9ページ目にまいります。

こうした事柄を背景に、「また」というところでございますが、また、行政や事業者に相談窓口が整備されたことで、消費者個人として意見を届ける場が増え、消費者団体として声を上げなくても消費者の安全や選択の権利が確保されることにつながり、相対的に消費者団体の政策提言活動の必要性が低下したとする見方もあるということが言えるかどうか、こういうような記載にしております。

5番でございます。「消費者団体への社会的役割・期待の高まり」でございます。

消費者団体を取り巻く環境は変化しておりますが、依然として消費者行政においては、消費者団体訴訟制度の拡充、消費者政策における官民連携の広がり、例えば、官民協議会の場の創設などが見られます。

官民協議会においては、事業者団体、学識経験者、関係行政機関とともに、消費者団体も構成員として参画しています。

こうしたことから、消費者団体の社会的役割・期待は依然として高い状況にあると言えるとしています。

10ページ目にまいります。

「第3 消費者団体の組織・活動状況等に関する消費者団体ヒアリングの概要」でございます。

ここのところは、全国域で活動する消費者団体や都道府県域などで活動する消費者団体、全国域は7団体、都道府県域は27団体に対してヒアリングを行った結果をまとめています。

また、適格消費者団体、この時点では23団体でございましたが、その団体からも状況を頂きまして、それをまとめたものが、この第3段落となっています。

図表2は、それらを総括したものとなっています。

まず、「1 構成員」のところです。全国域等で活動する団体ですが、その構成員については、団体によって幅があります。

また、その構成員の増減の傾向は、多くの団体で変化がないか、減少傾向にあります。減少の理由としては、会員の高齢化や、それから、これまで活動を担ってきた世代が、活動から離れる傾向があるためといった理由が挙げられています。

11ページ目にまいります。

年齢構成としては、こうした団体は、60代、70代以上が中心ということであります。また、女性比率が8割以上を占めているところが多いとなっています。

「(2)適格消費者団体」についてです。

会員数を見てみますと、100名から150名程度である団体が過半数を占めています。

12ページ目にまいります。

会員の年齢構成を見ますと、40代から60代が多くを占めています。また、男性比率が6割以上となっています。これは、先ほどの全国域等で活動する団体とは若干差異が見られます。

会員属性としては、弁護士等の専門家や消費生活相談員が中心であるといったところもございます。

「2 財政状況」でございます。

都道府県域で活動する団体については、年間収入について、約4割の団体が100万円を下回るということでございます。

「(2)適格消費者団体」です。

こちらについては、過半数の団体が500万円未満となっています。

13ページのところに、適格消費者団体の2021年度の経常収益の状況について、棒グラフで示したものがございます。

一番下の薄い線が5,000と書いてありますが、これは500万円の線になっています。このデータは、各団体の活動計算書などから拾ってきた、既に公表されているデータを基に、事務局の責任において取りまとめたものでございます。

経常収益とあるのは、内訳としては、会費や寄付金、それからスマイル基金などからによる助成金、それと事業収益、例えば被害回復業務を行ったことによる収益であったり、セミナーを行ったり、受託事業などによる、そういったものが事業収益となっています。

こうしたデータについては、後ろに資料5として付けております。詳細な説明は省略いたしますけれども、資料5を見ていただきますと、全国域の団体からの回答を取りまとめたものや、今、紹介いたしました適格団体の収入についての具体的な数字を掲載しております。

本文に戻りまして、3でございます。13ページの一番下の行ですが、「活動、団体間ネットワークに関わる事項等」でございます。

まず、全国域等で活動する団体ですが、14ページを見てみますと、ポツの2つ目では、活動の時間帯は、平日昼間中心となっています。

また、次のポツですけれども、これまで会員のボランティアに支えられてきたが、このままでは、適切な人材が確保できなくなる可能性があるといった意見も見られています。

次のポツですが、デジタル化を始め、社会の変化に即して活動を変化させていくことができていないというような意見も見られました。

活動の中心が60代、70代以上と、現時点ではそういうことだということもあり、デジタル化への対応が難しいといった面が見られるのかもしれません。

「(2)適格消費者団体」です。

こちらについては、2つ目のポツでございますが、学識者・弁護士・相談員などの本業を持つ専門家も多く参画しているため、会議等は平日夜間が多いとのことであるといった回答が見られました。

15ページにまいります。

「4 国または都道府県審議会等への参画」でございます。

国の審議会に参画する消費者団体は、全国域で活動している団体が大半を占めています。個々にお名前を記載しておりますが、全国消団連や、全相協、NACS、主婦連、日本生協連、日本消費者協会などとなっています。

また、都道府県の消費生活系審議会に参画する団体は、こうした全国域で活動する団体の会員団体や地方支部が多くを占めています。

最近では、消費者団体に加えて、いわゆる隣接分野と言われる子育て団体や老人クラブなどを参画させている都道府県もあります。

資料の1において、国の審議会等に参画する消費者の意見を代表する者の所属団体一覧を掲載しています。

本日、今、御覧いただいている資料の後ろのほうに、この表を付けておりますけれども、国の審議会として、内閣府の審議会ではどういうところが参画しているかということや、金融庁ではどういった団体に参画していただいているといったことを、事務局の責任において公表資料から整理したものでございます。

また、都道府県の審議会に参画する団体の一覧という表も掲載しております。そういうところから見てみますと、15ページにあるように、審議会に参画している団体は、こうした団体が多いことが見られることが分かりました。

報告書の16ページにまいります。

「第4 消費者団体の認知度等に関する消費者アンケートの概要」でございます。

この論点整理の中では、消費者アンケートということを、ウェブにより実施いたしました。インターネット調査を行いまして、10代から70代以上までの各年代の人々から、合計1,400名から回答を得ております。それをまとめたものが、この第4章となっております。

「1 消費者団体に関する認知度」でございます。

円グラフがあるかと思います。少し濃くなって字が見えにくくなっているところもあるかもしれませんが、消費者団体がどのようなものか知っていたかというのは、9.9パーセントとなっています。約1割です。

そのほかの方々は、消費者団体という言葉を聞いたことはあるけれども、どのようなものか知らなかったという方が55.3パーセント。消費者団体という言葉を、残念ながら聞いたこともないといった回答は34.9パーセントございました。

アンケートに当たっては、消費者団体ということを一応定義付けて、本調査で言う消費者団体とは、こういうものですよとか、本調査で言う消費者とは、こういうものですよということを、きちんとアンケートの中には記載しまして、その上で回答していただいております。

まず、認知度としては、こういうようなことが分かりました。

17ページにまいります。

「2 活動への参加状況や関心度」です。

2つ目のポツですが、現在、消費者団体の活動に参加していない理由を聞いたところ、団体がどのようなものかと知っていたと回答した方々は、組織の実情が分からないためや、生活上特に問題を感じていない、多忙で時間がないためといったような回答が多く見られました。

その次のポツですが、関心のある社会課題としてどのようなものがありますかということを、選択肢を示して選んでいただいたところ、消費者問題は、上から数えて8番目となっていました。

順位としては、上から地域安全、災害救援、環境の保全、子どもの健全育成、保健、医療、経済活動の活性化、まちづくり、その次として、消費者問題というような位置付けでありました。

次のポツですが、どのような環境があれば、消費者団体の活動に参加してみようと思いますかというような問いに対しては、場所や時間帯にとらわれず、参加が可能である、団体の活動内容や組織運営が透明であるといった選択肢を選んだ方が多く見られました。

「3 消費者の意見反映を行う活動に関する認知度」です。

自らの意見を事業者の事業活動や行政の政策決定に反映させるための消費者の意見発信の状況を聞いたところ、何もしていないという方が60.7パーセントでありました。

18ページにまいります。

上のポツですが、行政が行っているパブリックコメントや公聴会の認知度については、そもそもそういうことが行われていることを知らないといった回答が75パーセントを占めました。

その一方で、消費者の意見が事業者の事業運営に反映されていないと思うかということについては、反映されていないといったような回答が多くを占めていました。

19ページにまいります。

「第5 消費者の意見表明や消費者団体の活動の活性化に向けた論点」をまとめたところでございます。

これまで、第1章や第4章までで見てきたことを踏まえて言えることということでございます。

「1 消費者団体に関わる論点」です。

最初に、「消費者団体の活動・役割の認知度の向上」が大事だということでございます。

最初のポツの下から2行目辺りからですが、取組に関しては、広く消費者に認知されるよう、周知広報に努めることが求められるとしています。

上から3つ目のポツですが、2行目のところ、海外では消費者団体に所属することが消費者問題に関する専門性を身に付けていることの象徴となっているという指摘があった。その団体に所属することが社会的に評価され、ステータスにつながるようになると、消費者団体への参画者増加につながる可能性があるといった指摘もございました。

「(2)消費者団体に蓄積された知見、経験等の活用」です。

これまで団体が培った経験やネットワークなどのリソースは貴重なものであり、それを活用して実現できる環境があるということを、社会に示していくといったことが重要ではないかという指摘がございました。

20ページ目のところでございます。

その関連で、最初のポツの下から5行目ぐらいからでございますが、これまで消費者団体が培ってきた政策提言に関わる知識・経験・ネットワークは有用なものである。それらを活用し、消費者の声から社会課題を見つけて、世論を盛り上げ、課題解決につなげていくことが求められるという意見もございました。

「(3)多様化・複雑化する消費者問題に対応可能な専門性の維持、充実」でございます。

消費者団体のうち、特に適格団体においては、現在でも弁護士や司法書士さんなどのボランタリーな活動に支えられています。プロボノの活用が進んでいると言えるという御指摘がありました。

プロボノとは、脚注を下に付けておりますが、各分野の専門家等が、職業上持っている知識、スキルを無償提供して、社会貢献する活動のことでございます。

「(4)消費者団体の活動時間、活動方法の工夫」でございます。

最初のポツですが、平日昼間に限らない活動、IT技術を活用し、場所にとらわれない活動を行うことが求められるといったことを指摘しています。

21ページです。

「2 国、地方公共団体に関わる論点」です。

上から2つ目のポツです。下から2行目ですが、行政側から消費者に対し分かりやすい情報提供などを積極的に行っていると言えるか、そういうことが大事ではないかといった指摘がありました。

また、次のポツですが、消費者団体は、エビデンスを集めるための調査力において、企業などとの格差があることを踏まえて、活動に利用可能なデータを公開する形を通じた支援なども考えられるといった意見がございました。

22ページにまいります。

「3 事業者・事業者団体に関わる論点」です。

2つ目のポツですが、海外では、事業者と消費者との問題が速やかに解決できれば、社会的なコストが抑えられ、事業者にとってもビジネスの効率が上がるといった考え方があります。

そういった意味で、消費者問題の解決を手助けする消費者団体は、重要な役割を担っているという考え方もあるとの指摘がありました。

事業者、事業者団体においては、消費者団体との対話、人材・財政・情報面での消費者団体への活動支援といった取組が期待されるところでございます。

「4 今後に向けて」でございます。

(1)として、専門型消費者団体の存在です。

網羅的な問題に取り組むといったことだけでなく、専門的に活動や意見表明を行っていくという団体が見られます。

23ページです。

「(2)SDGs・エシカルへの取組」です。

最初のポツですが、エシカルの推進に取り組む団体が近年増加しているといった事実が見られます。

「(3)民間の政策提言プラットフォーム」です。

こういった団体は、2つ目のポツですが、より多くの意見募集を行うための工夫として、情報を整理し読みやすくすることや、選択肢を設け回答をしやすくする、意見募集ページの工夫、参考情報として専門家にコメントしてもらうこと、ITツールの活用、そういった意見募集においても参考になる取組をしているところでございます。

24ページです。

「(4)SNSの活用」です。

こういった事柄も、今後に向けては、着目される点だと思われます。

「(5)審議会参画団体の広がり」です。

最初のポツですが、学生を委員に入れていたり、若年者の意見を反映させるといった取組も重要だと考えられます。

25ページ「5 まとめ」になります。

上から3つ目のポツの3行目のところでございますが、日本の消費者団体においても、会員のボランティアに依存するだけでなく、事務局職員に報酬が支払われ、安定的に活動に取り組めるような環境整備が社会的に進められることが重要であると考えられます。業界団体からの寄付、それから中間団体を通じて各消費者団体の活動支援に生かされるといったことなどが考えられます。

一番下のポツです。消費者団体職員と行政職員との人材交流や、消費者団体職員がその経験を生かして、消費者問題の専門家として民間企業へ転職、それから研修する人材交流など、消費者問題に関わる人材育成に社会的に取り組む環境整備が重要と考えられます。

27ページは「おわりに」になります。

改めましてですが、本調査報告は、我が国の消費者団体のうち、国・都道府県の審議会に参画している団体、適格団体など限られた団体を対象とし、その調査結果を取りまとめたものとなっています。全ての団体の活動、役割、現状、課題を整理したものではございませんといったことに留意が必要です。

審議会に参画しない形で政策提言に取り組む団体、消費者教育や見守りなどの政策提言機能以外の活動に取り組む消費者団体もあり、そうした団体の活動は、消費者市民社会の活動において重要な役割を担っていると考えられます。

次のポツですが、消費者団体が担ってきた役割の一つに、消費者の意見を表明する、政策提言機能があります。それは行政のみならず、事業者、消費者全体にとっても重要で、公益的な活動と考えられます。

この点に関して、消費者庁を始めとする各行政機関は、政策への消費者の意見反映をより実効的に進める観点から、継続的に消費者団体の現状について把握し、活動の環境整備に努めるべきであると考えられます。

本調査報告が、今後、全てのステークホルダーに届き、消費者団体の担ってきた役割、その重要性に目を向け、消費者市民社会の構築に資する持続可能な仕組みの構築に向けた動きを生むことを期待するという形でまとめています。

報告書の説明は、以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は40分程度を予定しております。よろしくお願いします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。

この報告は、アンケートについても一部の団体のみとはなっていますが、地方にいますと、消費者団体が弱体化していくというのを見ていますので、この報告書で大方まとめられていると思っております。

「おわりに」というところに書いてありますが、やはり一人でも多くの国民に、この報告書を見てもらって考えてもらいたいというのが一番思うところです。

また、私たち消費者行政にいますと、消費者団体の意見があって、ここまで大きく消費者行政がなってきたと思います。

それがここ最近、地方に、私も中部にいるのですが、消費者団体が活動をやめると言われて、10年前一緒にチラシを配ったりしていたのに、本当に悲しいなと思うところです。

そういう消費者団体の方たちが、いつも相談員に頑張れとか、一人でも多くの市民を助けてほしいという強い言葉をもらっていたので、これからこういう人たちがいなくなると、私たち消費生活相談員もどうなるのかなと、少し心配しているところです。

そういう意味で、この時期、こういうものを消費者委員会として出せたということは、良かったなと思っております。これから私もこれを使って、地方でいろいろ対話をしていくのが、私の役割かなと思っています。

個別のところなのですけれども、適格消費者団体の現状というのもあると思います。ページで言うと、財政のところです。

ちょうど13ページの上の組織運営費用に関して、事務所運営の負担が重いという意見や、地方公共団体に対して活動場所確保への協力を求めるという意見があったというのは、本当に重要だと思っています。

適格消費者団体が、これから持続可能でやり続けるためには、消費生活センターのそばにいて、一緒に活動していけたらいいと思っています。

もう既に、適格消費者団体と地方公共団体は、情報交換の場は持ってはいますが、例えば、消費生活センターで相談をして解決できなくても、そこの契約書の内容が適格消費者団体に持っていってほしいというときに、同じビル内にあったらいいなというのは、日頃思っているところです。

私たち相談員が代わりに情報提供ということもできるのですが、やはり一人でも多くの市民、相談者が自分事として、自分の解決が終わったら終わるのではなくて、やはりそういう契約書が使われているのを、もっと社会のためにしたいという行動を一人でも増やすことについて、広がっていくことを望んでいます。適格消費者団体の財政支援とか、地方公共団体との連携というのは、これから密にやっていくべきだと思いました。意見です。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

木村委員、よろしくお願いします。

○木村委員 木村です。報告ありがとうございます。

私も今回改めて、消費者団体の調査ということで、自分自身が消費者団体の会員でもあるのですけれども、かなり問題点は網羅されていると思います。

消費者団体は、御存じのとおり、報告書では11ページにありますけれども、個人会員が大体60代、70代、80代ということで、本当に高齢化が進んでおります。

主婦連合会もそうなのですけれども、連合会というのは、いろいろ団体が合わさって活動をしているのが、ここ10年ばかりを見ていますと、どんどん地方の団体が、私たちはもう活動ができなくなるので解散しますということで、本当に参加してくださる団体が少なくなって、私どもの連合会も参加団体が減ってきたという経緯があります。やはり高齢化ということは避けて通れない問題だと思っております。

それを防ぐために、私たちの活動を次の世代にどうやってつなげていくかと、本当にいつも考えているのですけれども、若い人たちとどうやってつながっていけばいいのかというのが課題だと思っております。

消費者団体というのは、自分たちの生活が安全・安心に送れるように、本当にボランティアというか、自分のためではなくて、皆さんのために活動しているという団体です。そういうことを本当に分かっていただきたいと思うところです。

そのためにも、どういうことをやっているかというところで、地域の暮らし展などに積極的に参加するなど、いろいろな活動をしているのですけれども、なかなか会員数の増加とか、活動をしてくださる方の増加にはつながっていないというのが正直なところです。

一つには、このアンケートにもありましたけれども、消費者団体のイメージが、怖いですとか、圧力団体ではないかとか、そういうマイナスのイメージを持っている方がすごく多くて、例えば教科書にも、主婦連合会は圧力団体だと書かれていたこともあります。

圧力団体そのものが悪いわけではないのですけれども、そういう悪いイメージがついているところが原因の一つではないかと思うところもありますし、企業などでも、よくクレームを言ったら、クレームをきちんと聞くことが仕事だという話もあるのですけれども、やはり行政機関とか企業などでも、消費者団体もしくは消費者からの意見をクレームと取るのではなくて、消費者の意見を前向きに捉えるという形で検討していただきたいですし、そのことによって、自分たちの社会、会社、そして行政、地域を良くしていくと捉えるということで、消費者団体のイメージがネガティブなものではないようにしていくことも一つの方法ではないかと思っているところです。

消費者団体というのは、消費者が一人一人では、やはり声も小さいですし、どこに訴えていいか分からないというところから、集まってみんなで声を上げていこうということから始まっています。

一つ一つの消費者団体は小さいですけれども、やはり連携して大きくみんなで声を上げていこう、例えば、一つ一つの団体は、主義主張は違うけれども、ここなら一緒に頑張っていけるということで、連帯して今まで活動してまいりました。

そういったことを考えますと、連携のための機会をつくっていくということも必要ではないかと思っています。

まとめにもありましたけれども、消費者庁は消費者団体の現状把握と、活動の環境整備についてきちんと考えて、進めていただきたいと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

今も2人の委員から、消費者団体の現状について、それから、この報告書について御意見があり、私も消費者団体に属しておりますので、同じような意見なのですが、改めて述べさせていただきたいと思います。

自分が消費者団体に所属しておりまして、だんだん高齢化、それから会員の減少が進んでいるということは、肌身に染みて感じてはいましたが、社会全体として、実際にどうなっているかということをきちんと把握するという意味で、今回の調査というのは、大変大きな意味があったと思っております。

最後にまとめていただいておりますように、消費者団体の役割というのが、今の社会において大変重要であると、まず知っていただく、認識していただくためにも、今回の調査は大変効果があったのではと思っておりますし、最後の「おわりに」に書いてありますけれども、消費者庁を始めとする各行政、それから地方自治体、これらがいかに消費者団体の活動を支えていくかということを、是非考えるきっかけにしていただければ有り難いと思います。

一方、時代というのも少しずつ変わってきておりまして、報告書の7ページのところに消費者団体を取り巻く環境の変化というのがあり、2番目のところにインターネットの普及等による情報入手・発信方法というのがあるのですけれども、特にコロナをきっかけにして、いろいろな情報入手・発信方法というのが変わってきております。

消費者団体自体も、今後、自分たちで変わっていかなければいけないと思いますけれども、この発信方法が多様化していることにより、今まで参画できなかった地域の小さな消費者団体も参画ができるようになっているということは、逆に言うと、良い方向もあるのかなと思っております。もし、ここの部分で可能であれば、発信方法も多様化しており、地域からの参加も容易になっていると、プラスの方向も入れていただければ有り難いと思いました。

あと、最後の27ページの「おわりに」のところ、重ねてになりますけれども、2ポツ目ですが、「消費者団体が担ってきた役割の一つに、消費者の意見を表明する、いわゆる政策提言機能があり、それは行政のみならず、事業者や消費者全体」と書いてあるのですけれども、事業者や消費者、それから社会全体にとっても重要で公益的な活動と考えられるということで、ここもすみません、今更ですけれども、社会全体という「社会」という言葉を入れていただけると有り難いかなと思いました。

行政への期待も大きいのですが、加えて、この調査をきっかけにして消費者団体自体も変わり、発信もしていかなければいけないと思っております。それから学者の先生方、いろいろな企業の方たちとも連携して、更に消費者団体から出る意見というのが、社会に貢献できるようにつながればと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

今、修文の御提案が2つあったということでよろしいでしょうか。

○大石委員 はい。

○後藤委員長 事務局いかがでしょうか、2つの点について御指摘がありましたが。

○友行参事官 はい、承知いたしました。

○後藤委員長 委員の方々、よろしいでしょうか。

(異議なしの意思表示あり)

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 黒木です。

今回の報告書は、現在の消費者団体について、いわゆる昔から活動を担っていた消費者団体の構成員の変化、今後に向けての活動のところで、いろいろな新しい消費者団体の捉え方、そして、私も適格消費者団体の理事をやっていますけれども、適格消費者団体についても踏まえていただいて、非常に意味のあるものだと思っています。

消費者庁の消費者基本計画工程表のKPI、アウトプット指標の中に消費者団体に触れているものがあります。例えば景表法ですが、事業者団体、消費者団体に対する景品表示法の研修や講師派遣の実施、受講者5,000人以上/年というもの、同様のKPIが特商法にもあり、事業者あるいは消費者団体に対する講習会等があります。すなわち、消費者庁が消費者団体を相手としてのKPIを設定しているのです。

そういう意味では、消費者団体について、消費者庁が、工程表のKPIを設定している以上、消費者団体について、正確に把握し、どういうところが消費者団体なのかということを考えた上で、自分たちの工程表をつくっていただいているのだと思っています。

そうすると、消費者庁は、今回消費者委員会がこういう形で報告書を取りまとめたわけですが、自分たちのKPIの客体というか、それが一体どんなことになっているのかということについては、より深掘りをしていかなければならないのではないかと思いました。

その意味でも、今回、委員会が報告書をまとめたということの意味は、今後消費者庁が、自ら設定したKPIを深掘りしていったりするためにも、大変重要な一つのマイルストーン、あるいは一里塚といいますか、そういうものになるのだろうなと思っています。その意味でも、大変今回意義があったと思っております。

私が本日、消費者庁は工程表で多数の消費者団体を対象としたKPIを設定していると言ったということの発言を記録していただいて、今後のKPIを評価書でどのように評価するかというところと、この報告書がフィードバックしていく形で、正のフィードバックが起こってくることを期待しております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。非常に現状がよく伝わってくる報告書だと思います。

第一印象として、これだけ認知度が低いということは、消費者が、消費者問題はどこか他人事と思っているのではないかという印象が、まず一つあります。

もう一つは、日本の消費者の場合、声を上げることによって、クレーマーみたいに扱われるのではないかという心配が大きくあるように思えます。

海外ですと、例えばフランスとかは、デモが頻発していまして、それが良いか悪いかというのは別として、一般の市民が声を上げることが、全然抵抗がないのです。

そういう考え方、風土が国によって違いますので、簡単に比較はできないのですけれども、どこか日本の消費者は声を上げることを恐れているように感じますのと、それによって、例えば詐欺の問題に関しても、簡単にノーと言えない、という心理が日本人にはあるように思えます。最終的に自立した消費者を考えるときには、必要な精神的な風土みたいなものも育てていかなくてはいけないのかと感じており、そこで、自分の意見をはっきり表明できる消費者を育てる消費者教育が非常に重要なのではないかと思っております。

消費者教育は、小、中、高と今既に行われているようなのですけれども、単にルールや社会で起こっていることを伝えるだけではなくて、消費者のマインドも育成していく、刺激して自立した考えを持てるようにナビゲートしていく、導いていくような消費者教育が必要ではないかと考えます。

また、小、中、高の現在の消費者教育の項目を見ますと、エシカル消費というのが、それほど強調されていないように感じます。消費には大変な力がありまして、この社会や地球を救うことさえできる。私もエシカル推進の活動に関わっていますと、ショッピングにそういう力があるのだ、消費にはそういう力があるのだということを常日頃感じて、皆さんに伝えるようにしております。

そうした視点を、消費者教育の中に積極的に盛り込んでいただけると、消費者問題が他人事ではないという状況に至れるのではないかと思いました。

若い方だと、自分が消費者だという意識すらないような現状もあると思いますので、是非、消費の持つパワーや、自立した消費者が社会を支えるという側面を伝える消費者教育を、今一度見直していただければと思っております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

受田委員長代理、お願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。

この論点整理については、しっかりまとめていただいて、今後、この論点整理をどのように活用していくか、この後、期待を申し上げたいところでございます。

1点だけコメントとして「おわりに」のところとか「まとめ」のところに、消費者市民社会の構築に資する持続可能なエコシステム実現という、このエコシステムという言葉が散見されます。

この言葉は、いろいろなところで使われるのですけれども、エコシステムそのものは、それぞれの分野において共有されているイメージなのかどうかというところが、ともすれば、ぼやけている部分もあるのではないかなと、少し心配するところです。

このエコシステムの実現という点については、具体的に脚注などもありますけれども、これを御覧になられた方というのが、イメージできる言葉なのかどうか、若干不安だなと思いましたので、その点、コメントをさせていただきます。

○後藤委員長 以上でよろしいですか、どうもありがとうございました。

エコシステムについては、事務局で何かコメントはございますでしょうか。

○友行参事官 最近いろいろなところで使われている言葉でありまして、自然とそういう仕組みになっているという、生態系の一部というようなスタイルに、仕組みに出来上がっているということで、一番広い意味では、そういうことだなと思うのですけれども、確かにいろいろな捉え方があるところだと思います。

これは、ヒアリングした先生が、こういう言葉を使われまして、消費者行政の分野にも、こういう観点が必要ではないかということで、一応頑張って脚注を付けて、言葉としては入れ込んだらどうかなということで、ここのところに記載させていただいたところであります。

○後藤委員長 よろしいですか。

○受田委員長代理 ありがとうございます。

そうだろうなと思いつつ、いろいろな自然科学系でもエコシステムと、そこから出てきているということだと思うので、便利な言葉であり、共有されるであろうと期待をしつつ、この言葉に関する意味合いというところは、また、これに限らず、しっかりと消費者の皆様にお伝えをする努力を、また不断にお願いできれば幸いです。

以上です。

○後藤委員長 清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 今、受田先生が言われたエコシステムなのですけれども、この間、別の内閣官房の方から私どもの団体の勉強会があって、携帯電話のエコシステムと書いてあって、全く分からなくてネットで調べたのですけれども、エコシステムというと、私たちはどちらかというと、この10年来、環境のシステムだと思っていたので、どうやらもっと大きいことなのですね。

今、私もここに注釈がほしいと思いました。最近、非常にこだわった言葉でございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

飯島委員、よろしくお願いします。

○飯島委員 飯島でございます。

精力的な調査を行ってくださり、貴重なヒアリングをも踏まえて整理分析し、このような形でおまとめいただき、ありがとうございました。

この報告書は「消費者団体が担ってきた政策提言機能を維持していくために重要と考えられる論点について」整理したもので、これに直接呼応するのは、第5だろうと思います。

第5のうち、1、2、3は主体別にまとめられているのに対し、4の「今後に向けて」は、それぞれ新しい動きとして注目されるべきものだと思いますが、これは、言わば従来型として消費者団体が果たしてきた政策提言機能との関係で、補完的に組み合わせていくべきものであるという理解でよろしいか、確認的にお教えいただけましたら幸いでございます。

加えて、大ざっぱな感想にとどまりますが、団体というものは、法学的な位置付けが非常に難しく、面白いものだと思います。なかでも消費者法の分野では、人は誰でも消費者であり、24時間365日消費者であるという中で、消費者団体というものが、どういう役割を果たしていくべきなのか、その特殊性も含めて考え続けていかなければならないと思っております。

報告書の中では、公益的活動という言葉も何回も出てきます。単なる部分利益ではないという意味で、公益的という性格付けがなされているだろうと思いますし、また、行政との関係につきましても、先ほど清水委員が適格団体についてお話しくださいましたが、主婦連は法人格すら拒否するなど、国家との関係も様々であると思います。消費者分野における団体の位置付けについて現段階でまとめてくださったものは、今後の実務と理論にとって貴重な素材になるだろうと思い、重要なものだと考えております。

どうもありがとうございました。

○後藤委員長 それでは、事務局、お願いいたします。

○友行参事官 先生が最初に、こういう御理解でよろしいでしょうかとおっしゃられていたことは、そのとおりでございます。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

よろしいでしょうか。それでは、議論は以上にさせていただきたいと思います。

8ページの4のところなのですが、「2003年の消費者基本法制定により」というところ、これは、2004年ではないかと思うのですが、訂正をしていただけたらと思いますが。

○友行参事官 失礼いたしました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

今回の消費者団体調査に当たっては、各都道府県の担当者の方、それから多くの消費者団体の方にヒアリング等の御協力を頂きました。まずは、御協力いただきました皆様へ、この場を借りて御礼を申し上げます。どうもありがとうございました。

そういう多くの方々の御協力で、本報告書が成り立ったわけでありますけれども、この報告書というのは、非常に価値が高いものであって、多くの人に知ってほしい、読んでいただきたいということを、多くの委員の方々が意見として述べております。

消費者団体について、認知度ということで、この論点整理のページで言いますと、16ページにあるわけですが、消費者団体の認知度等に関する消費者アンケートの概要というところに記載がありますけれども、やはり認知度が低いということです。認知度が低いということは一体どういうことなのか、今後どうすればいいのかということ、これを委員の方々が共通の問題意識としてお出しになっているのではないかと思います。

認知度が低いということに関して、消費者団体ということを他人事として捉えているのではないかという御指摘、それから消費者団体に、ややマイナスイメージがあるのではないかということ、消費者として一定の声を届けることに関しては、クレーマーと捉えられる傾向が、もしかしたら日本社会にあるのではないか、そういうことに関して御指摘がありました。また、現在活動されている方が高齢化して、世代交代がうまくいっていない。

それから財政について、かなりきつい状態にあって、地方公共団体との連携とか、あるいは国・地方公共団体の支援ということが必要だということ、これも委員の方々共通の問題意識と感じました。

先ほどの認知度ということとも関係しますけれども、皆様の活動を次の世代にどうつなげていくかということ、そういうことについても問題点として出されました。

消費者基本計画の工程表で、消費者団体を対象とするKPIの設定というのはたくさんあるわけであって、そこに生かしていくことを十分考えていくべきであり、国の政策として非常に重要な問題だということ、こういう御指摘もありました。

そういうことで、認知度との関係もありますけれども、消費者問題を他人事でなく自分事として捉えていく、そういう意味から、消費者教育の重要性も指摘されております。

消費者団体は公益活動を担っていくということでありますが、その公益ということに関しても考えていくべきで、団体というのは非常に大きなテーマでありますけれども、その中の消費者団体ということについて、どのように捉えていくのかということ、これは根本的な問いだと思いますけれども、そういう御指摘もありました。

消費者団体は非常に期待されていて、今後に向けて、この報告書を活用していただきたいということが、委員の方々の共通認識でありますけれども、消費者団体の弱体化、これも現状として認識すべき問題であって、これにどう対応していくのかということ、先ほどの財政支援等も含めて、非常に重要な問題として提示されています。

このように消費者団体についての調査を、政策提言を担う消費者団体を中心にということで、今回はまとめたということでありますけれども、行政の審議会等に参加しなくても、政策提言に取り組む団体とか、それから消費者教育、見守り等、政策提言機能以外の活動に取り組む消費者団体も多数存在するわけでありまして、それらの団体も消費者市民社会の構築において、重要な役割を果たしているということになります。

そういう意味では、この論点整理には限界がありまして、今後また新たな展開をしていくという課題が残っておりますけれども、現時点として、なかなかこういうまとまったもの、消費者団体についての調査というのはありませんので、これを活用していただいて、これによって消費者市民社会の構築に向けた動きが推進される、こういうことができたらいいなと期待しております。

この調査報告について、具体的な修文案というのは、2か所出していただいていまして、事務局、それから委員の方も、その方向でということでありますので、そういう方向で直していただく。

それから、先ほど私の少し気が付いたところも直していただくということで、報告書にしたいと思います。よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○後藤委員長 事務局もよろしいでしょうか、何かございますでしょうか。

○友行参事官 特にございません。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。


《3. 閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程等につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

○後藤委員長 それでは、本日はこれにて閉会とさせていただきます。お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)