第406回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年6月29日(木)13:00~14:21

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員、黒木委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、木村委員、清水委員、星野委員
  • 【説明者】
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会大迫委員長
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会島副委員長
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会神野委員
    日本弁護士連合会消費者問題対策委員会平野委員
    総務省総合通信基盤局電気通信事業部井上消費者行政第二課長
    一般財団法人日本情報経済社会推進協会坂下常務理事
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. SNS を利用した消費者トラブルについて
  2. その他

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第406回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、黒木委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、木村委員、清水委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. SNSを利用した消費者トラブルについて》

○後藤委員長 本日の議題は「SNSを利用した消費者トラブルについて」です。

デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループの昨年8月の報告書では、今後の検討課題の一つとして情報開示請求を挙げており、弁護士法第23条の2に基づく照会制度の活用について言及をしていたところです。

この点に関して、日本弁護士連合会を始め、多くの弁護士会から、この問題への意見書を頂いております。

そこで本日は、日本弁護士連合会から、本年3月に同連合会が発出された意見書について説明を伺い、電気通信事業を所管する総務省から関連法令等について御説明いただいた上で、意見交換を行いたいと思います。

本日は御説明者として、日本弁護士連合会消費者問題対策委員会より、大迫様、島様、神野様、平野様。総務省総合通信基盤局電気通信事業部消費者行政第二課、井上課長にオンラインにて御出席いただいております。

また、本日の議題には、情報通信技術の観点から、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループのオブザーバーである、一般財団法人日本情報経済社会推進協会常務理事、坂下哲也様にも会議室にて御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

最初に日本弁護士連合会、それから総務省の順で、それぞれ15分程度発表いただき、最後にまとめて質疑応答、意見交換の時間を30分程度取らせていただきます。

それでは、最初に、日本弁護士連合会、島様、よろしくお願いいたします。

○消費者問題対策委員会 島副委員長 御紹介いただき、ありがとうございます。日弁連の消費者問題対策委員会副委員長の島と申します。今日は、よろしくお願いいたします。

資料としては、意見書と、簡単に説明をするためのポンチ絵を用意させていただいております。

ポンチ絵に従いまして、まず、本意見書の背景から説明をさせていただきます。

ポンチ絵の1ページ目に記載したとおり、2021年12月以降、各地の弁護士会からSNSを利用した詐欺行為やSNS事業者の本人確認義務等に関する意見書や会長声明が、続けて発出されております。

このように、全国の弁護士会が同じような問題意識による意見書を発出した理由ですけれども、SNSを利用した詐欺被害の増加と、そのような事案の多くのケースで被害回復が困難になっているという実態を、現場で相談に当たっている弁護士が肌で感じているということだと思います。

意見書の中でも紹介しておりますが、SNSを利用した詐欺行為のうち、特にロマンス詐欺、国際ロマンス詐欺と呼ばれるような詐欺事案や、投資詐欺などが非常に増加しております。

それだけでなく、近時は若年層を中心に、SNSでの闇バイトの募集から加害者側に引き込まれるケースも多発しております。

このことは、政府が開催する犯罪対策閣僚会議で、本年3月17日にSNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランを策定したことからも、喫緊の課題と言えると思います。

他方でSNSにおいては、本人確認や弁護士会照会などへの開示が不十分な面があり、これが被害回復を困難とする要因となっているのではないかという問題があります。

電話をきっかけとするものであれば、法令に基づく本人確認義務があり、これによって相手方情報を特定、取得することが一定程度可能ですが、SNSの場合、電話と同様のサービスを提供していながら、適切な本人確認や開示対応がなされていないケースが多いと実感しております。

要するに、SNS関連のトラブルをめぐっては、法による救済がなされるべき多くの紛争において、詐欺行為を行った相手方が分からず、司法制度による救済が図られないままになっているという現状があると言えます。

このような現状を放置することは、SNSユーザーの被害回復の観点からはもちろん、SNS事業者にとっても好ましくない事態であると考えます。

本日は、意見書とポンチ絵に従いまして、SNSを利用した詐欺行為などの実態について説明した上で、安心・安全なデジタル社会という共通の目標の実現という視点から、どのような実態調査がなされるべきか、調査の結果を踏まえて、どのような対策が具体的に検討されるべきかについて、建設的な意見交換ができればと考えております。

まず、ポンチ絵に従いまして、2ページ目ですけれども、被害の実態等です。

本意見書2ページ目から5ページ目までは、SNSを利用した詐欺被害の実態等について、まとめております。

御承知のとおり、近時はスマートフォンの普及に伴いまして、SNSの利用率が増加しており、利用者層も幅広い年代へと広がっております。

令和4年の情報通信白書によれば、2022年1月時点の全世界のSNSの月間アクティブユーザー数は、Facebookが約29億人、Instagramが約15億人、Twitterが約4億人となっております。

他方で我が国においてはLINEの月間アクティブユーザー数が、同社のホームページによれば、2023年3月末時点で約9,500万人となっており、日本の成人人口に匹敵する規模となっております。

このように、SNSが利便性の高いツールとして国内外で広まる一方、電話やEメールを経由しないSNSのみをきっかけとするトラブルによる法律相談も増加しております。

意見書では、令和4年版までの数字をまとめていますが、2017年と2021年を比較すると、5年で3倍以上になっております。

令和5年6月13日に閣議決定された令和5年版消費者白書によれば、SNS関連の消費生活相談の件数は、2022年で6万552件となっており、過去最多を記録しました。

この件に関しては、特に若者世代の相談件数が増加傾向にありましたが、2022年の最新データでは、50歳代の相談が最多となった旨の報告もあります。

特にSNSの勧誘が契機となるケースとして、先ほど触れたロマンス詐欺の事案が目立ち、意見書の脚注で記載した国民生活センターの報道資料や、日弁連に提供された投資被害を扱う弁護士団体の統計などからも、極めて深刻な被害が生じていることが明らかになっています。

日本で最も使われているSNSと言えるLINEのデータによっても、捜査機関の開示請求の要請件数が増加傾向にあり、特に金銭被害の割合が増えていることが指摘されております。

他方で、昨今詐欺などの消費者被害では、本人確認義務のある電話が用いられるケースは相対的に減少しており、この点については、日々相談に当たっている弁護士としても実感しているところです。

安心・安全なデジタル社会という共通の目標の実現のためには、まずは消費者庁などにおいても、SNSをめぐる被害の実態を調査することが、具体的な対策を検討するための第一歩と考えます。

そこで本意見書、意見の趣旨の1の(1)では、この点についての調査を求めたところです。

具体的には、SNSが詐欺行為などの消費者被害の誘引手段として使用されている実態について、国民生活センターや警察庁などとも連携しつつ、各SNS事業者からも実態調査、確認をすることなどが必要であると考えます。

また、昨今の報道などからすると、いわゆる闇バイトなどの加害者側の事象も含め、具体的な手口や問題を実態調査することが望ましいと考えます。

次にポンチ絵の3ページ目、なぜSNSが詐欺行為や消費者被害の誘引手段として悪用され、被害回復も困難になっているのか、その原因についてですけれども、SNS利用者増加のほか、主にこれから述べる2点が指摘できると考えます。

1つ目は、SNS事業について、法律による本人確認が義務付けられておらず、実際にSNS事業者による本人確認も不十分であるという点です。

先ほど述べましたように、電話によるトラブルであれば、携帯電話不正利用防止法や犯罪収益移転防止法などに基づく本人確認義務があり、これによって相手方を特定することが、一定程度可能です。

このためもあってか、先ほども述べましたように、固定電話、携帯電話を利用する詐欺行為などの被害が減少傾向にあることは、本意見書6ページ、脚注の警察庁の資料などからも指摘できます。

なお、本年6月以降の報道などによれば、犯罪で悪用されることの多いIP電話やデータ通信SIMについて、契約時の本人確認を義務化する制度改正に向けて準備を進めるとのことで、ちょうど昨日、IP電話について省令案のパブコメが公表されておりました。

電話に関わるサービスについては、既に対策がなされ、今後更に具体的な対策が進められようとしているとのことで、この点は迅速に進められるべきと考えます。

他方で、SNS事業者に対しては、音声で通話できる機能やメッセージのやり取りなど、電話と同等の機能を有するものが多数存在しているにもかかわらず、固定電話や携帯電話と異なって、現状、法律に基づく本人確認義務がありません。

この点、本意見書6ページから8ページにかけては、主要なSNSの本人確認の方法等についてまとめております。

各SNSの本人確認の方法を確認しますと、LINEについては、基本的には電話番号との紐付け、SMS認証を行うようになっておりますが、その他のSNSにおいては、SMS認証すら不要で、メール認証などのより緩やかな確認方法でも利用可能となっており、本人確認として不十分ではないかという問題があります。

2つ目の要因ですけれども、詐欺行為などの誘引手段として悪用された相手方のアカウントを、被害者側から特定することが困難であったり、弁護士会照会に対して回答しないなどの対応を取るSNS事業者が多いために、被害者が相手方を知ることができない場合があるという点です。

この点について、本意見書ではLINEを例に挙げて、メッセージ画面からLINE IDなどの相手方アカウント情報を特定することが困難であること、LINE社が弁護士会照会への報告に極めて消極的であること、詐欺行為などに関与した加害者がLINEアカウントを削除することで、弁護士会照会への回答がなされないことなどを説明しております。

これらの要因から、SNS関連の詐欺事案が増加の一途をたどっているにもかかわらず、被害を受けた当事者がトラブルの相手方を特定して裁判を起こすことができないという事態が発生しているものと考えます。

そこで、日弁連の意見書の意見の趣旨1、(2)、(3)は、SNS事業者による本人確認の実態、その記録の保管状況、弁護士会照会などがなされた場合のSNS事業者の対応状況などについて、調査をするよう求めました。

なお、この点に関しましては、本意見書を発出した後、日弁連の消費者委員会において、LINE社と二度ほど意見交換を行い、1回目の意見交換に際して、当方の問題意識や、LINEにおける相手方アカウントの特定方法などについて協議いたしました。

そして、2回目の意見交換に際して、LINE社から23条照会に関する内部基準を改めたことや、その後の照会に対して回答する方向で検討されている事例が複数あることなどの報告を受けました。

LINE社が一定の対応をしていただけたことは日弁連として評価しておりますが、いまだLINEにおいても、公式アカウントについての問題や、アカウントが削除されてしまうと特定が困難になるなどの問題は残されているようです。

また、ほかのSNS、例えばFacebookを運営するMetaなども開示に積極的でないとの報告があり、課題は残されていると思います。

最後にポンチ絵、4ページ目ですけれども、実態調査につきましては、先ほど説明させていただきましたので、実態調査を踏まえた実効性ある対策の検討という観点から述べさせていただきます。

まず、今ある法制度を生かすという観点からは、弁護士会照会への対応改善ということになります。

弁護士会照会制度は、弁護士が基本的人権を擁護し、社会正義を使命とすることに鑑み、国民の権利救済の実現に資するという司法制度の根幹に関わる公法上の役割が認められるものです。

平成28年の最高裁判決でも、弁護士会照会制度について、照会先は、正当な理由のない限り、照会事項について報告すべき公法上の義務を負う旨の判示をしているところです。

また、電気通信事業における個人情報などの保護に関するガイドラインでも、個々の通信とは無関係の加入者の住所、氏名などは、通信の秘密の保護の対象外であるから、基本的に法律上の照会権限を有する者からの照会に応じることが可能であるとされています。

我が国の最高裁判決や電気通信ガイドラインの趣旨がグローバルに展開するSNS事業者によって軽視されているとすれば、強い危機感を抱かざるを得ないところです。

今ある制度を生かすという観点からは、総務省において、我が国で事業を展開するSNS事業者に対し、最高裁判決やガイドラインの趣旨を踏まえ、弁護士会照会がなされた場合には、適切な対応をすべきであること、一律の回答拒否や、原則回答拒否の対応は許されない点を周知徹底すべきではないかと考えます。

また、今後、データ通信SIMなどについて、本人確認を厳格化することになった場合でも、SNS事業者が取得した情報の適切な開示がなされなければ、被害者の被害回復にはつながらないと思います。

さらに、SNS事業者は弁護士会照会への対応に関する内部基準を公開していただけておりませんが、この点につきましては、消費者庁や総務省などで調査を行い、各社の基準が適切でなければ対応を促すなどの働き掛けが適切ではないかと思います。

次に、新たな制度設計などについてですが、携帯電話や電話転送サービスについて、本人確認義務を導入したことによって、一定の犯罪抑止効果が得られた実績などを踏まえますと、SNSについても、アカウント登録時ないし利用継続時における本人確認や、本人確認記録の保管など、より適切に行わせる制度設計が検討されるべきと考えます。

この点につきましては、同一の機能、同一のリスクには、同一のルールを横断的に適用するという視点が適切であると思います。

言葉を変えて言えば、電話と同等の機能を有し、電話と同等のトラブルリスクが発生しているSNSについても、安心・安全なデジタル社会の実現のため、電話と同等の本人確認がなされることが、本来、公平・公正であると考えます。

そして、SNS関連のトラブルリスクが増加の一途をたどっている現状を見ますと、SNS事業者は利用者の身元確認として、必要に応じ、本人の氏名や住所などについて公的書類などで確認することが望ましいと言えますが、最低限、電話番号との紐付けやSMS認証を確実に実施することは不可欠と考えます。

新たな規制の方法につきまして、法規制によるのか、業界団体による自主規制などによるのかという議論はあり得ると思います。

本意見書では、取引デジタルプラットフォーム消費者保護法3条などの規定も参考になると記載しておりますが、法律で努力義務を定めてガイドラインで具体化するなどの方法もアイデアの一つです。

いずれにせよ、これだけたくさんの被害が発生していることからすれば、新たな取組について検討を行うべき状況に来ていることは間違いないと思います。

併せて、被害者が加害者のアカウントを特定する情報を容易に確認できるような措置の導入を、SNS事業者に促すような対策も検討されるべきと思います。

以上、日弁連の意見書に関する御説明とさせていただきます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

続きまして、総務省、井上課長、よろしくお願いいたします。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部 井上消費者行政第二課長 本日は、お時間いただきまして、ありがとうございます。総務省消費者行政第二課の井上と申します。

本日は、総務省のほうから、本人確認等に関する制度について、御説明させていただきたいと思います。

資料を投映させていただきます。

弁護士会の皆様から頂いた意見書に言及してある制度について、簡単に説明させていただきたいと思います。

1ページめくりまして、まずは、携帯電話不正利用防止法に関する説明でございます。

こちらにつきましては、平成17年4月、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律が成立してございます。

その後、レンタル携帯電話事業者による本人確認の厳格化等を内容とする改正法が平成20年6月に成立してございます。

携帯電話不正利用防止法の概要でございますけれども、契約者の管理体制の整備の促進、それから、携帯音声通信サービスの不正利用の防止のため、以下の措置を盛り込んでおるところでございます。

1つ目につきましては、これまでも言及いただいていますように、契約締結時、それから譲渡時の本人確認義務等でございます。

携帯電話事業者及び代理店に対しまして、運転免許証等の公的証明書による契約者本人確認、それから本人確認記録の作成保存を義務付けてございます。

そのほか、2番にございますように、警察署長からの契約者確認の求め、それから貸与業者の貸与時の本人確認義務。

それから、4ポツのところでございますけれども、携帯電話の無断譲渡、それから譲り受けの禁止といったことを盛り込んでございます。

そして、5番のところで、他人名義の携帯電話の譲渡・譲り受けの禁止といったものを盛り込んでございます。

次のページでございますけれども、もう一つ法定されている本人確認義務に関するものでございますが、犯罪による収益の移転防止に関する法律でございます。

こちらにつきましては、目的といたしましては、犯罪による収益の移転の防止を図り、国民生活の安全と平穏を確保するとともに、経済活動の健全な発展に寄与することを目的として制定されたものでございます。

特定事業者に対しまして、顧客等の取引時の確認、それから疑わしい取引の届出のほか、本人確認義務を義務付けてございます。

この特定事業者の中に、コメ印の下線のところにございますように、総務省関係で、特に通信関係で申し上げますと、電話受付代行業者、それから、電話転送サービス事業者を対象としてございます。

具体的に、この犯罪による収益の移転防止に関する法律の中で義務付けている事項でございますが、特定事業者に対しまして、1番のところでございますけれども、取引時の確認義務を設けてございます。

運転免許証等の公的証明書等による顧客等の氏名・名称、住居・本店又は主たる事務所の所在地、生年月日、目的、職業・事業内容、実質的支配者の確認などを義務付けてございます。

2ポツのところでございますけれども、確認した記録については作成・保存義務を課してございます。

こちらについては、契約が終了した日から7年間保存することを義務付けてございます。

それ以外にも取引記録の作成・保存義務、それから、疑わしい取引の届出、取引時の確認等を的確に行うための措置といったことを法律に設けてございます。

次の3ページ目でございます。

こちらは、先ほど言及がございましたが、データ通信専用SIMカードの本人確認の取組でございます。

今、申し上げました携帯電話不正利用防止法、それから犯収法につきましては、法定により本人確認をしてございますが、データ通信の専用のSIMカードにつきましては、本人確認義務といったものを事業者団体、業界団体による申し合わせに基づきまして、自主的な本人確認を実施しているところでございます。

主な業界団体でございますけれども、1つ目は、一般社団法人電気通信事業者協会でございますが、いわゆるMNO、大きなキャリアが属しているところでございますけれども、こちらも平成23年に、原則音声契約と同一の本人確認方法により、データ通信契約の受付を行うことを旨とする申し合わせ書を締結してございます。

それから、一般社団法人テレコムサービス協会MVNO委員会、こちらは主としてMVNOが所属する業界団体でございますけれども、こちらにつきましても、令和3年3月に同委員会加盟のMVNO事業者の自主的な取組として、SMS機能付きデータSIM契約時の本人確認について、音声SIM契約時と同一の本人確認を実施する方針を申し合わせてございます。

先ほど御指摘いただきました、このようにデータ通信専用SIMカードにつきましては、現在、業界団体の自主的な取組により、本人確認を行っているところでございます。

また、下のところで、こちらも先ほど言及いただきましたが、本年3月17日に犯罪対策閣僚会議で、SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランを決定してございます。

その中で、本人確認に関するところでございますけれども、実行を容易にするツールを根絶するための対策として、悪用されるSMS機能付きデータ通信契約での本人確認の推進としてございます。

法律上、契約時の本人確認が義務化されていないSMS機能付きデータ通信SIMカードにつきまして、電気通信事業者に対して、契約時における本人確認の実施を更に推進するとしてございます。

また、併せまして、SMS機能付きデータ通信SIMカードにつきましては、闇バイト等、情報の発信や、犯行の指示等の手段の利用を含め、不正利用の実態について分析を行い、これを踏まえて、制度改正を含めた検討を行うこととしてございます。

先ほども御指摘いただきましたように、まずは不正利用の実態について分析を進めようとしているところでございます。

次のページでございます。

こちらは、参考でございます。先ほど言及いたしました、緊急対策プランの全体像でございます。

次のページでございます。

5ページ以降は、あと弁護士会照会のお話がございましたけれども、それに関する制度の説明でございます。

関連する文書といたしまして、総務省と個人情報保護委員会で、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインというのを制定してございます。

経緯といたしましては、個人情報の保護に関する法律の以前に、電気通信事業に関するガイドラインがございまして、それについて、その後も特定分野のガイドラインとして、今でも存続しているところでございます。

3つ目の箱にございますように、令和2年、令和3年に個人情報保護法が改正されましたが、その際、電気通信事業ガイドライン、それから、その解説を改正いたしまして、個人情報保護委員会と総務省の共管とされているところでございます。

最後が弁護士会照会に関連するところでございます。

先ほど申し上げました、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインの中で、ガイドラインの規定、それから解説を公表してございます。

その規定の中では、第17条の1項のところで、電気通信事業者は次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない。

(1)で法令に基づく場合としてございます。

その解説につきましては、明朝のところでございますけれども、法令に基づく場合には、裁判官の発付する令状による強制処分として、捜査、押収等がなされる場合には、令状で特定された範囲内の情報を提供するものである限り、提供を拒むことができないとした上で、他方、法律上の照会権限を有する者からの照会で、こちらで弁護士法第23条第2項を言及してございますが、等がなされた場合において、原則として照会に応じるべきであるが、2パラ目の3行目ぐらいですが、電気通信事業者には、通信の秘密を保護すべき義務があることから、通信の秘密に関する事項について、少し括弧は飛びますが、提供することは原則として適当ではない。

その上で、なお書きで、先ほども言及いただきましたように、個々の通信とは無関係の加入者の住所、氏名等は、通信の秘密の保護の対象外であるから、基本的に法律上の照会権限を有する者からの照会に応じることは可能であると、明記させていただいてございます。

このように、我々どもといたしましては、電気通信事業における個人情報保護に関するガイドラインにおきまして、このようなことを明記しているところでございます。

総務省のほうからは、以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

それでは、全体を通しての質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は30分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

いかがでしょうか、御意見等ございませんでしょうか。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 御説明ありがとうございました。

今日参加の愛知県弁護士会の平野先生とは、もう数年前から、私の勤務先の名古屋市消費生活センターで、愛知県弁護士会と連携して相談をやっていただいているものですから、この問題点については、もう数年前から悩ましくて、本当に被害回復ができない、いかがなものかと、日弁連から意見書を出していただいたときは、本当に形になって一歩進むのかなと思いました。

今日は、総務省の方もいらっしゃっていますので、今や言うまでもなく、SNSは生活の基盤、インフラです。是非とも一歩、消費者のためになる立法というか、今日はそれに導くような議論ができたらいいと思っています。

本当にいつも弁護士会にはお世話になっております。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございました。

増えることはあっても減ることのない、SNSのこうした被害だと思うのですが、利用者からの視点の質問になりますが、そういった怪しいメールが自分に届いたときに、ぱっと通報できる先というのがあるのでしょうか。デジタルの良さというのは、簡単にぽちっと押して連絡できることが可能なわけですから、逆に言えば、その効果を簡単に通報できるようシステムに生かせないかと思うのです。あるいは、そのメールが信頼できるものなのかどうかを確認したいときに、確認する先があれば良いのにと思います。そういった通報や確認への対策はあるのでしょうか。もしもう既に取られていらしたら教えていただきたいのと、また、今後どのような対策をお考えなのか、お聞きしたいと思いました。

○後藤委員長 この点に関しては、御回答いただける方に、坂下様、よろしくお願いいたします。

○日本情報経済社会推進協会 坂下常務理事 生駒委員の御質問ですけれども、例えば、一般財団法人日本データ通信協会では、迷惑メール相談窓口を設置し、そういうものが来たときに相談できるようになっています。

また、プロバイダー等にも窓口がありまして、メール等でおかしいなと思ったら連絡をくださいという普及啓発はしておりますが、そんなには浸透していないのではないかと思います。

以上です。

○生駒委員 そういった情報は、是非浸透させていただけると有り難いです。これだけ詐欺の被害が広まっているという現状を考えますと、あらゆる危険性を告知していくことも重要ですし、と同時に、そういった局面に利用者が直面したときに、どのように対応すればいいのかを考えていくべきだと思います。判断がつかないままに半分の気持ちでぽちっと押して参加してしまうのではなくて、必ず客観的なフィルターを通して判断してくださいというアナウンスメントも必要かなと思いましたのでお聞きしました。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

SNSに関する消費者被害というのは、本当に年々増えているのですが、被害回復に向けては通信の秘密という壁があるのだというのは、デジタルのワーキング・グループでも聞いておりました。しかしここに来て、闇バイトなども極端に増えてきているのを見ますと、これは国民全体の安全のために何かしなければいけない時期に来ていると、毎回ひしひしと感じているところです。

それで、どなたにお聞きしていいのか分からないのですけれども、今のいろいろな消費者被害の中には、国際ロマンス詐欺のように国際的なものもあります。SNS自体も、国際的に使われているものだと思うのですけれども、日本において、海外と違う点があれば教えていただければと思います。例えば通信の秘密などについて、海外では、そこまで厳しく求められないけれども、日本では個人情報という意味でその点が難しいなど、海外と日本との違いといいますか、日本が越えなければいけないような課題というのが、もし何かありましたら、弁護士会でも、総務省でも教えていただけると有り難いと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、これは弁護士会で御経験の範囲で、コメントできることがありましたら、お願いしたいのですが、いかがでしょうか。

弁護士の先生方、どなたでも。

では、お願いいたします。

○消費者問題対策委員会 島副委員長 海外の法令等について、網羅的に調査しているわけではないので、その点は、是非今後の検討課題としていただければと思いますが、例えばということですけれども、ドイツなどでは、いわゆるフェイクニュース対策のようですけれども、SNS法、SNS執行法と呼ばれるような、目的は違いますけれども、SNSを対象とする法令などがあって、それもドイツ国内で200万人以上の登録者がいる事業者を対象として、違法なコンテンツに対する対策や報告などを義務付けているものがあると認識しております。

SNS事業者を対象とする法令については、外国の例なども踏まえながら、検討をしていくことが適切ではないかと考えております。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

○消費者問題対策委員会 島副委員長 あと、すみません、先ほどの質問に関連して、日弁連からも1点だけコメントさせていただきますと、例えば、SNS事業者においても、LINEであれば、通報というような制度、Twitterなどでも同じようなものがあるようですけれども、ユーザーが通報をSNS事業者にするサービスがあると認識しています。

それによって、相手方のアカウントをSNS事業者に知らせたり、特定したりすることの一助になるようですが、先ほども少しコメントしましたが、当該加害者側がアカウントを削除してしまうと、その通報ができないと。それによって、結局、誰が相手方か特定できないという問題点があるのではないかと、実務に当たっている者からすると、認識しているところでございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

外国の状況等について、更にコメントを頂ける方がおられましたら、お願いしたいのですが、総務省の井上課長からは、何かございますでしょうか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部 井上消費者行政第二課長 総務省でございます。

すみません、正確に具体的な制度を承知しているわけではないので、あくまでも一般論ということになってしまって、大変恐縮でございますけれども、欧米の先進国などでは、通信の秘密のお話もございましたが、通信の秘密、それからプライバシー、それから表現の自由といった、その3つを、それぞれバランスを取りながら、もちろんさっきドイツのお話もございましたように、犯罪対策であったり、その一方で、重要となる表現の自由とかプライバシーの保護とかも、バランスを取りながら、各国で取り組んでいると承知してございます。

せっかく御質問を頂いたのに、具体的な回答になってございませんが、以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

坂下様は、何かございますでしょうか。

○日本情報経済社会推進協会 坂下常務理事 ありがとうございます。

海外の例で言いますと、日本は、電気通信事業者と一つにくくってしまうのですけれども、例えばEUでは、電子商取引指令の中で、導管、いわゆる線(通信ネットワーク)を提供する人、キャッシュというデータを中継する人、コンテンツプロバイダと区分けして制度がつくられています。

また、通信の秘密については、日本では通信秘密という論点が出ると議論が止まってしまう面が見受けられますが、EUの場合ですと、ネットワークの中立性という観点で議論され、特定のコンテンツ、アプリケーション、サービス、又は特定のカテゴリ間のブロック、原則、変更、制限、干渉、劣化、差別を行うことを禁止というような議論になっています。そこが、日本と欧米では大きな違いではないかと、私は認識しています。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

私もSNSによる、こういったトラブルが大変増えていることを懸念しております。自分でもSNSを利用しているのですが、最初はそんなに登録もいろいろされなかったのですけれども、いつの間にか、いろいろなことを登録しなくてはならなくなって、例えば、パソコンなどの端末から使おうと思うと、いちいちスマホのほうに本人確認があってと、どんどん厳格になっているというのを感じているところです。

以前、子供たちに通信のリテラシー教育をしていたときに、通信には匿名性はないと、よく言っていたのですけれども、やはり通信に匿名性はないということで、徹底していく必要が、更に強くなってきたと感じているところです。

一方で、きちんと個人情報は管理していただいて、SNS事業者にきちんと管理していただくというのを担保した上で、いざというときに、相手を特定できるような、そういった取組というのは必要ではないかと思っているところです。

諸外国の取組も、今お話しいただきましたけれども、また、そういったことでも、是非知りたいと思いますし、今後、少しでも消費者被害が少なくなるように、様々な取組が必要であるということは同意いたします。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

御意見として御発言いただきましたけれども、今の御発言に対して、何かコメントがある方がいらっしゃいましたら、お願いいたします。

よろしいでしょうか。それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 青木でございます。御説明ありがとうございました。

少し今後の方向性について確認したいと思っているのですけれども、日弁連から出されている意見書においては、先ほど総務省から御説明がありました携帯電話の不正利用、あるいは現行法でも対応が取れるのか、新たにSNSの悪質利用、不正利用に関する、ある程度法規制まで必要ではないかという認識を持っておられるのかどうかという点が1点です。

それと、事業者に対して様々な自主規制ですとか、それぞれの各社の努力とか、基準とかがあるのですけれども、法規制まで、新たなものまでつくる必要性があるか、あるいは業界の自主基準をもっと強化する、あるいは啓発、啓蒙、この辺の方向性として、それぞれどういう方向性まで持っておられるかというのを確認したいと思っております。

総務省でもSNSの闇バイトを焦点に入れた緊急対策プラン等も立てておられますので、これらのことで、今、非常に増えているここを何とか押し止められるのかどうかという、そこら辺のお考えを確認したいなと思っております。いかがでしょうか。

○後藤委員長 それでは、まず、総務省様にお伺いして、その後、日弁連様にお尋ねしたいと思いますが、井上課長、いかがでしょうか。将来の方向性というようなことに関してですが。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部 井上消費者行政第二課長 どうも御質問ありがとうございます。

将来の方向性ということで申し上げますと、今日説明した3ページ、4ページ辺りの緊急対策プラン、これは犯罪対策閣僚会議でございまして、警察とか総務省とか、関係する省庁が入った中で決めておるものでございます。全体として、この方向性に沿って取り組むこととしてございます。

先生御指摘の啓発、法規制、いろいろな話がございましたが、例えば、啓発は啓発で当然やらなければいけないというか、並行して取り組む必要があると思っています。

先ほど木村先生がおっしゃっていただいたように、子供たちに対して、ネット上は匿名性がないのだよと、悪いことをしたら何らかの形で特定されることがあるのだよといった子供たちへの啓発。それから、先ほどの日弁連さんの意見書にもございましたとおり、今、高齢者の方が被害に遭うケースもございます。そこは年齢層にかかわらず、いろいろな方に啓発という行動、政策は取っていく必要があると思っております。

併せまして、法規制のところにつきましては、先ほどの3ページのところで申し上げましたとおり、音声のところについては、今、一定の法規制がございますが、SMS機能付きデータ通信については、繰り返しになって恐縮でございますけれども、緊急対策プランの中で言及していまして、契約時における本人確認の実施を更に推進して、まず、不正利用の実態について分析を行いまして、これを踏まえて、制度改正を含めた検討を行うということとしてございます。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

日弁連様は、いかがでしょうか。

○消費者問題対策委員会 島副委員長 ありがとうございます。

日弁連としても、まずは被害の現状を改善するところを一番の目的としておりまして、そのためには、まず、現行の制度に基づく運用改善は、現状でも必要であると考えておりまして、その観点から、先ほど23条照会に対する対応について、LINE社は対応していただいたという報告をいたしましたけれども、他の主要なSNS事業者においても、適切な対応をしていただきたいと考えております。

新しい制度のところで、法制度によるべきか、自主規制によるべきかというところについては、日弁連内でもいろいろな議論があるところでございますので、なかなか簡単に結論を出せるところではないと思いますけれども、総務省の方もおっしゃっていたように、いろいろなバランスを取った上で、適切な対応を検討していく、議論していくことが必要であると考えます。

○青木委員 ありがとうございます。

非常に方向性としては、それぞれのお考えを伺えたのですけれども、やはり、この数年で非常に急増しているし、ますます被害が非常に広がりますので、まずは、被害救済による本人確認、現行法の中でもここの徹底と、それから先ほど出ていました緊急対策プランによるものと、やはりスピード軸を持って、是非進めていただければと思います。非常に懸念している喫緊の問題だと思います。どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、日弁連の大迫様、よろしくお願いいたします。

○消費者問題対策委員会 大迫委員長 今回の日弁連の意見書は、LINE社に対する本人確認についての弁護士会照会に焦点を当てた内容となっておりますけれども、その背景には、LINE社だけではなく、その他のSNS全体についても、同じような懸念があるということを指摘させていただきます。

ただ、私どもの承知しているところでは、他のSNSでは、個人情報を全く持っていないという実情があると聞いております。LINE社は電話番号と紐付いて、アカウントが開設されているようですけれども、それ以外のところは、そういった個人情報につながる情報さえも持っていないので、私どもとしては、実務の中では、23条照会で、そこに問い合わせることもしないという現実があります。

ですから、個人情報を持っているLINE社に対しての開示を主に念頭に置いて意見書がつくられているわけですけれども、この種の新しい方法が、これまでの電話の通信に代わるものとして現れている以上、やはり電話のときと同じレベルでの事業者の責任とか、個人情報の保存とか、それから、それに対する開示の基準だとかを統一的につくるということが、本来的な在り方ではないかと思っております。

新しいものが出るたびに、今までと全然違う状況になってしまって、右往左往するというようなことでは、とても詐欺被害のようなものを回復していくのに役立たないと思います。ですから、今回の意見書は、対象を具体的に絞った形になっておりますけれども、その根底には、全てのSNSの在り方として、これまでの電話通信と同程度の義務とか、同程度の開示だとか、そういったものがあることが望ましいという日弁連の考え方があることを御理解ください。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、星野委員、よろしくお願いいたします。

○星野委員 御説明ありがとうございます。

お話を聞いていると、いつも違和感があるのは、電話ではなくてネットなので、いろいろなことができるだろうと、機械学習とかAIとかを研究している側からしたら思っておりまして、例えば、誹謗中傷があったら、その誹謗中傷のあるような投稿は出さないようにするということは、今、通信の秘密を守りながらやるということは、容易にできる時代のわけです。ですから、特定のキーワードだけでもいいかもしれませんし、もう少し込み入った言い方でもいいですけれども、例えば、先ほどの総務省様の5ページ目の闇バイトに対するものでしたら、そういった機械学習、AIを使って、何か闇バイトに関連するような投稿があったら、それを警告するとか、見せないとかというのを、通信の秘密を守りながらやるというようなシステムをつくるのは、本当に容易にできるはずです。

ですから、それも技術的に非常に簡単にできるものなので、それを、なぜやらないのだということをアピールしていただくと、LINEさんとか、ほかのFacebookでもいいかもしれませんが、それができるのにやっていないのですねというのを見せていただくだけで、国民側からしたら、何でこうやって稼げているのに、そういったものに投資しないのということになると思います。

是非、そういうことを政府として、そういった情報提供をされるなり、また、北風対応と申しますか、法律で全部規制するとなかなか難しいので、やはりインセンティブに訴えかけるという点では、ちゃんとしたことをやってくれる業者を表彰する制度を設けるみたいな、何かそういった取組をしていただけますと、非常にそういったものが進むのではないかと。

ちなみに、3ページの犯罪収益移転防止法の疑わしい取引は、私も金融機関と協力して、こういう構造だったら疑わしい取引だ、みたいなのを自動的に検知するアルゴリズムみたいなのをつくったりしたことがありますけれども、これはデータがあると、本当にかなり容易にできますので、いや、できるはずなのです。ですから、是非そういったことが、まず簡単にできますよ。何でやっていないのとか、やっている事業者に対して、それを顕彰するようなことを、是非政府として進めていただければと思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ただいまのコメントに関して、総務省様から何か御意見等を頂くことはできますでしょうか。井上課長、いかがでしょうか。

○総務省総合通信基盤局電気通信事業部 井上消費者行政第二課長 どうもありがとうございます。

政府として、個別にこの投稿は危ないから削除しろとか、そういうことはできないと思いますが、星野先生から御指摘いただいたように、事業者の自主的な取組でいろいろすることは可能だと思います。

そういったことも、技術の状況とかを踏まえて、我々どもとしても勉強していきたいと思います。

以上でございます。

○後藤委員長 技術的なことに関わりますので、坂下様からも何かありましたら、コメントをいただけたらと思いますが。

○日本情報経済社会推進協会 坂下常務理事 ありがとうございます。

フェイクニュースなどと情報の信頼性の議論は総務省で検討会が開かれており、現状を把握し、どういう対策を打つかということが議論されていますから、そういうものを実際に社会に発信して、消費者の方々に、今、こういうことが起きているということを分かりやすく伝えていくということも大事だろうと思います。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

委員の方々から、御意見あるいは御質問はございますでしょうか。

日弁連の神野様、よろしくお願いいたします。

○消費者問題対策委員会 神野委員 日弁連の神野と申しますけれども、あくまでも現場的に感じたところでのお話にはなるのですけれども、今回はLINE社の対応というところに関してもお話が少し及んだのですが、要するに、なぜLINE会社が問題になっているかというところについては、もちろん、いろいろなSNS事業者がいる中でも、LINE社というのは、非常に日本の様々な組織、自治体であるとか、そういったところでも広く活用されていて、日本国内では、大体そういった特定のSNS事業者に割と人気が集まる傾向があったりもするので、そういった中で非常に影響力が大きい事業者であると。それが今後、ある意味そういった役割を担うであろうことを予想されるところから、今回そういったところが先頭に立って、きちんと開示であるとか、そういったことをやっていただきたいところが一つあるかなと。

その中でも、やはり公式アカウントのお話も出ましたけれども、公式アカウントに関しても、更に分類をしてLINE社に関しては、要は、審査を通った公式アカウントと、審査を通っていない公式アカウントというような形で分けて、未承認のアカウントの場合には、こういうサービスの制限がありますとしておきながらも、にもかかわらず、実際にはそれでメールができないかとか、通話ができないかというと、必ずしもそうでもない、それが実際にメールとして使えてしまっているというような現状があると。

そうであるならば、そういった公式アカウントであろうと、そうではなかろうと、また、その公式の中でも未承認か承認か、その区別なく、アカウントの情報をきちんと管理して、それに対してきっちり回答ができるような体制を是非整備していただきたいと、現場としては感じているところでございます。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

日弁連様からの今の御発言に加えて、ほかの先生方、何か御発言がありましたら、よろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。どうもありがとうございます。

それでは、委員の方々に、今日の議論全体を通じてでも結構ですが、何か付け加えるような御質問とか御意見がありましたら、お願いいたします。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 本日は、日弁連の意見書も対象としていただいた審議を頂きまして、ありがとうございます。

こういう形で日弁連の意見書を、消費者委員会の本会議で議論の対象としていただいたことは、なかなかなかったと思いますので、その意味でも、また、総務省のほうからも、そのことについて的確な御説明を頂きまして、ありがとうございました。

今、デジタル化ワーキング・グループのほうでも議論をしているところではありますけれども、SNSをどう定義するかという問題が、恐らく今後問題になると思います。仮に法規制として、SNSで実行犯を募集する手口による強盗や特殊詐欺事案に関する緊急対策プランという形で犯罪の問題について議論をしていくのだとすれば、運用だけではなく法制度を考えていくとすれば、SNSをどう定義して、どういうものだと考えていくのか、大論点になるだろうと思っております。

その点について、今回はLINE社の本人確認について意見書を出していただきましたけれども、日弁連におかれましても、SNSというものをもう少し深掘りして、これをどういうふうに電気通信事業法の中で位置付けるのかとか、その辺りも含めて意見を頂ければと思っています。

併せて、総務省におかれましても、世界中のいろいろなところで、各種法制が検討されており、事業者名を特定しての規制というのもあるようです。我が国でどのようにして規制するのかということについても、今後議論を深めていかないといけないと思います。SNSというのは、もうみんな巷間には広がっていますけれども、法律家から見ると、非常にまだ鵺的なものになっているという感じがありますので、その点、今後とも御検討いただければと思っていますし、委員会としても考えていかなくてはいけないと思っています。

以上、感想みたいなことで、もしも何かコメントがありましたら、頂ければ幸甚です。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

ただいま黒木委員から御発言がありましたけれども、それに関連して、何かコメントがございましたら、よろしくお願いいたします。

坂下様、お願いいたします。

○日本情報経済社会推進協会 坂下常務理事 ありがとうございます。

今の黒木先生の御指摘というのは、とても重要で、もともと通信というものがあって、その通信を使って様々な悪いことをやる人が出てきて、法律ができ、また、携帯電話が世に出てきて、悪いことをやる人が出てきて、不正利用防止法等ができて、今、その基盤にSNSが乗っているわけですね。

そのSNSというものが、社会インフラになろうとしている中でどういうルールをつくるのか。今日、日弁連の提言を拝見していて、また、御意見も伺っていて、なるほどと思いました。

LINE社のような事業者も頑張っているのですけれども、提言を拝見したり、皆さんの話を聞いていると、十分ではないとおっしゃっている。では、その要求事項に対して何をすれば十分なのかということを議論し、それを事業者にちゃんと伝えていかないと、SNSというのは社会基盤にならないと思います。

そのような議論を消費者委員会の中でもやっていただけると良いのではないかと考えます。

以上です。

○黒木委員 大変的確な御意見をありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御質問とか御意見はございますでしょうか、全体を通じてということでも結構ですが。

よろしいでしょうか。本日の御報告、それから質疑応答、意見交換、ありがとうございました。

消費者委員会では、デジタル化に伴う消費者問題ワーキング・グループで、チャットを利用した勧誘の規制等の在り方について議論を重ねておりまして、報告書を取りまとめる段階になっておりますが、本日は、本人確認の問題について、委員の中で問題意識を共有するため、日弁連様と総務省様、それから坂下様にお越しいただいて議論をしたところです。

本人確認の問題につきまして、本日は、外国との比較についても議論が及びまして、この点は、従来、ワーキング・グループでもあまり議論はしてこなかったのですけれども、それに関して検討すべき点を示していただきました。

それから、通信の秘密ということが重要な問題としてあるわけですけれども、技術的な側面から通信の秘密を守りながらの対応ができるのではないかという視点も示していただきまして、技術的なことですから、なかなかついていくのも大変なのですが、考えなければいけない問題だと思いました。

デジタル化の進展により、利便性の良さからSNSを利用することが多くなる一方で、詐欺行為等にSNSが使われてしまって消費者被害が多いこと、本日、その実態について伺うことができまして、非常に貴重な機会であったと思います。

また、SNSの電気通信事業法上の位置付けや関連する制度について、総務省様から御紹介いただき、私たちの理解を深めることができました。

SNSを利用した詐欺行為等による被害の防止及び被害救済に向けて、様々な観点から引き続き取り組んでいただくことを期待するとともに、消費者委員会としましても、関係省庁等の取組を注視し、必要に応じて調査審議を行ってまいりたいと思います。

本日の議論は、その際に非常に参考になるものだと思います。どうもありがとうございました。

日本弁護士連合会、総務省、坂下様におかれましては、本日は、お忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(説明者 退室)


《3. その他》

○後藤委員長 次の議題は、地域公共交通活性化再生法等の改正に伴う特定商取引法施行令の改正についてです。

事務局から簡単に説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、資料2-1と2-2と2-3を御覧いただけますでしょうか。

まず、資料の2-3のほうが分かりやすいかなと思いますので、こちらを御覧いただけますか。

1ページ目でございます。

特商法の規定におきまして、政令の制定又は改正に当たっては、消費者委員会への諮問が必要になっているものがございます。

そこに64条と、点線括弧のところにありますけれども、その中の「26条第1項第8号二」と記載されています。

ページは飛びまして、3ページ目のところを見ていただきますと、適用除外というのが、この26条のところで定められています。

水色のところですが、特商法においては、ほかの法律の規定によって、訪問販売、通信販売、電話勧誘販売に係る取引を行う購入者等の利益を保護することができると認める場合は、適用除外とすることができると規定されています。

そして、具体的に適用除外とされる法律名については、26条の別表の形で指定されています。

今回、その別表の中にある法律について、条ずれが起こっておりますので、基本的には諮問・答申を不要ということの御確認を頂くための御提案でございます。

その中身なのですけれども、資料の2-2を御覧いただけますか。実際に条ずれが起こっていて、政令の改正が起こっている部分は、この表にあるとおりでございます。

下のところが現行になっていまして、上のところが改正案でございます。比べてみますと、別表の2の16のところに、道路運送法の法律の条文名が書いておりまして、道路運送法第4条第1項の許可を受けた同法9条第6項第3号に規定すると、もともとなっていたものを特商法の適用除外にしておりました。

それが、今度、項ずれが起きたことによって、第9条第7項第3号に規定するという、この部分だけが変わっております。中身は変わらず、項ずれが起きているだけでございますので、諮問・答申を不要としてよろしいかということを確認するものでございます。

簡単に道路運送法が変わったもともとの法律のところについてでございますが、地域公共交通の活性化及び再生に関する法律等の一部を改正する法律というものが、この4月28日に公布されております。

背景としては、人口減少によって利用者の落ち込みに加え、コロナによって地域交通を取り巻く状況が年々悪化していると。それについての対策というものが盛り込まれている法律でございます。

その中で基本的には、地域公共交通活性化及び再生法というものが改正されたのですが、その関連で、道路運送法も改正されました。改正される中で、そういったずれが起きたということでございます。

これについて、諮問・答申を不要としてよいか、省略してよいか、委員の先生方にお諮りいたします。

以上でございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

何か御意見等がございましたら、よろしくお願いいたします。

黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 不要でいいと思います。

○後藤委員長 よろしいでしょうか。

(首肯する委員あり)

○後藤委員長 それでは、ありがとうございます。諮問・答申を省略することについて、省略するということでよろしいということで取り扱わせていただきます。

次の議題に移りますけれども、消費者委員会に寄せられた意見書等の概要につきまして、事務局から説明をお願いいたします。

○友行参事官 それでは、参考資料を御覧いただけますでしょうか。

5月1日から1か月間、31日までの間に消費者委員会に寄せられた要望書、意見書でございます。

今回は、取引・契約関係が11件、それから、その他又は個人情報保護制度関連で、それぞれ1件ずつとなっております。

1ページ目からでございますけれども、5月1日に頂いたものは、特商法の抜本的な法改正を求める会長声明ということで、これまでも内容の類似のものが幾つか意見書として寄せられております。

連鎖販売に関することですとか、訪問販売、電話勧誘販売について、それから通信販売について、規制を新たに入れるべきではないかという内容になっております。

それから、5月2日の分は、SNSを利用した詐欺行為等ということで、今日議論していただいたものの内容と同じとなっております。

次のページにまいりまして、特商法の抜本改正を求める意見書、それから5月12日に全国消団連から、景表法の改正の成立に当たっての意見も頂いております。

右側に意見案の内容を書いておりますけれども、例えば、確約手続が今回導入されましたけれども、課徴金納付命令などの執行力が弱まることのないようにといったことなどが、御意見として書かれております。

この景表法については、5月に公布されまして、この後施行されるということでございます。まず、施行状況をしっかり見ていくことかなと感じております。

5月15日からの意見書は、特商法の見直しに関する意見、その次に、先物取引被害全国研究会意見書や、内閣府消費者委員会の建議発出を求める意見書ということでございます。

この先物研と、それから内閣府消費者委員会の建議発出を求める意見書につきましては、現在行っているルール形成のワーキング・グループにおいて議論していることなどに関連して、建議などを発出すべきだという内容の意見となっております。

続きまして、飛びますけれども、その他の意見に入ります、個人情報保護制度に関するもので、5月18日にマイナンバーカードの利用拡大に関する御意見や、最後に、ワクチンの有効性に関する意見書、要望書も頂いております。

5月に頂いた意見については、ただいま申し上げたような内容となっております。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございます。

委員の方々から何か御意見等ございましたら、よろしくお願いいたします。

よろしいでしょうか。

清水委員、よろしくお願いいたします。

○清水委員 清水です。

特に特商法の抜本的な法改正を求めるというのは、各弁護士会から出ているのですが、この中で、訪問販売、電話勧誘について、拒絶した場合は訪問するなとか、電話するなというところなのですけれども、もう長年、名古屋市消費生活センターでも、お断りシールを、平成21年頃につくって配布しているのですが、その後、条例をつくってほしいって言っても、名古屋市においては、条例をつくることは、なかなかしてもらえずに、現在に至っています。

20年ぐらい思っているのですが、各地方自治体で条例をつくるというのは、大変なことなので、やはり特商法で、きちんとした厳しい法律で、意思をシールで表示したのであればもう訪問しないという法改正というのも、喫緊に求められるのではないかと思っております。

もう一つ、特商法関係ですが、昨日初めて定期購入業者の行政処分がされました。やっていただいて有り難いと思うのですが、遅過ぎます。もう既に、あと5、6社は続けて行政処分しなくてはいけない業者がいると、現場では思っています。

しかし、とても処分するのは大変だと思います。1つ提案なのですが、特商法ではなく消費者安全法で注意喚起するのはいかがかと思います。それもやりにくいというのは承知しておりますが、PIO-NETに事業者別で、毎月毎月定期購入の悪質な事業者が出てきます。そういうところを実名公表することを、消費者庁には頑張ってもらいたいなと思いました。

意見書が毎回毎回出てきているというのは、もう喫緊の課題だと思いました。

以上です。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかに御意見等ございますでしょうか。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 今、清水委員からお話があった点、私もずっと以前から思っていたことですが、PIO-NETなどで極端に名前が増えている事業者については、やはり消費者にそういう情報提供や注意喚起を、なるべく早く出す必要があるのではないでしょうか。しかし、そこができないというのは、何がネックになって進まないのかということを、もし、清水委員、お分かりになれば、是非教えていただけますと有り難いです。

○清水委員 正解かどうか分かりませんが、現場では、こういった悪質な定期購入業者の実態を消費者から聞き出して、聞き出すだけではなく、自分たちのスマホで再現したりするのですが、あっせんすると、すぐに改ざんされてしまうのです。画面をどんどん変えていく。場合によっては、地方自治体が弱いところは、悪いままにしていますが、処分するような強いところの地方自治体だと、どんどん変えているということが起きているのが現状で、消費者庁の取引対策課も、証拠をつかむのが、非常に難しいところがあるというのは承知しておりますが、せめてPIO-NETのデータをもう少し利用していただけたらいいのではないかと思っているところです。

○大石委員 ありがとうございます。

私も本当にそう思います。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございますでしょうか。

よろしいですか。ただいま頂きました委員の方々の御意見も含めて、意見書等については、今後の動向を注視するとともに、必要に応じて消費者委員会の調査審議において取り上げることにしたいと思います。


《4. 閉会》

○後藤委員長 それでは本日の議題は以上になります。

最後に事務局より、今後の予定について説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程などにつきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただきまして、ありがとうございました。

(以上)