第405回 消費者委員会本会議 議事録

日時

2023年6月22日(木)13:00~14:21

場所

消費者委員会会議室及びテレビ会議

出席者

  • 【委員】
    (会議室)後藤委員長、生駒委員、大石委員、黒木委員、清水委員
    (テレビ会議)青木委員、飯島委員、受田委員長代理、木村委員、星野委員
  • 【説明者】
    消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当)
  • 【事務局】
    小林事務局長、岡本審議官、友行参事官

議事次第

  1. 消費者白書について

配布資料 (資料は全てPDF形式となります。)

  • 議事次第(PDF形式:150KB)PDFを別ウィンドウで開きます
  • 【資料1】令和4年度 消費者政策の実施の状況、令和4年度 消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果の報告(概要)
    ※資料は消費者庁ウェブサイト(https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/#white_paper_2023)の
    【概要】令和5年版 消費者白書[PDF:3.9MB](https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_research/white_paper/assets/2023_whitepaper_summary.pdf)を御参照ください

《1. 開会》

○後藤委員長 本日は、お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございます。

ただいまから、第405回「消費者委員会本会議」を開催いたします。

本日は、生駒委員、大石委員、黒木委員、清水委員、私が会議室にて出席、受田委員長代理、青木委員、飯島委員、木村委員、星野委員がテレビ会議システムにて御出席です。

開催に当たり、会議の進め方等について、事務局より説明をお願いいたします。

○友行参事官 本日は、テレビ会議システムを活用して進行いたします。

配付資料は、議事次第に記載のとおりでございます。もしお手元の資料に不足等がございましたら、事務局までお申し出くださいますようお願いいたします。

以上です。


《2. 消費者白書について》

○後藤委員長 本日の議題は「消費者白書について」です。

消費者基本法では、政府は毎年国会に消費者政策の実施の状況に関する報告書を提出しなければならないと規定されております。

また、消費者安全法では、内閣総理大臣は、消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果を、国会及び消費者委員会に報告することとされております。

これらの消費者基本法に基づく報告と、消費者安全法に基づく報告を合冊した令和5年版の消費者白書が6月13日に閣議決定されたとのことですので、消費者庁からその概要について、御報告いただきたいと思います。

本日は御説明者として、消費者庁調査研究・国際担当、爲藤参事官に御出席いただいております。本日は、ありがとうございます。

それでは、20分程度で御説明をお願いいたします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

今、御紹介いただきました消費者庁で調査研究と国際担当の参事官をしております、爲藤と申します。よろしくお願いいたします。

本日、お手元の資料1、消費者白書の概要に沿って御報告をさせていただきます。

今、委員長より御紹介いただきましたとおり、消費者白書は消費者基本法と消費者安全法に基づく国会報告ということになっております。

1ページ表紙からおめくりいただきまして、まず、構成でございますけれども、例年同様の構成となっておりますが、2部構成とさせていただいております。

第1部では「消費者問題の動向と消費者の意識・行動」ということで、この部分に消費者安全法に基づく国会報告に関する部分ですとか、消費生活相談に関する報告、あと毎年特集を組んでおりまして、また、後ほど御説明いたしますけれども、今年は「高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組」という特集を組んでおります。

第2部で、消費者政策の実施状況を御報告する形とさせていただいております。

次に、2ページに進ませていただきます。

まず、消費者庁に通知された消費者事故等に関する情報の集約及び分析の取りまとめ結果についてです。

2022年度に消費者庁に通知された消費者事故等の件数は、約1万5,000件となっておりまして、2021年と比較して、ほぼ同程度ということになっております。

昨年の報告の際にも御説明があったかもしれませんけれども、2020年度から2021年度の間で割と大きく件数が増えているように見えますが、これについては、備考の3にございますけれども、食品衛生法及び食品表示法の改正で、2021年6月から食品リコールの届出が義務化されたということで、2020年度と2021年度の間に差が出ていて、2021年度と2022年度は大体同程度の件数ということになってございます。

3ページになります。

消費者庁が集めた事故情報をどのように活用しているかという一例になりますけれども、消費者庁に消費者安全調査委員会、いわゆる事故調と呼ばれているものがございまして、もちろん全て事故ということではないですけれども、事故について調査を行って報告書を公表しておりまして、22年度は2件公表しております。

そのうちの1件をここで御紹介しておりまして、それがエステサロン等でのHIFUによる事故になります。

HIFUというのは、エステサロンなどで痩身やたるみ改善を目的として、集束超音波を照射するHIFUという技術を用いた施術のことですけれども、それによって、神経・感覚の障害とか、そういった事故情報というのが寄せられていたということを踏まえて、事故調で調査をしたものになります。

本年3月に調査報告書を取りまとめて、厚生労働大臣、経産大臣、消費者庁長官に対して、意見具申を行っておりまして、その中でも厚生労働大臣については、HIFUの取扱いについて、医師法上の取扱いを整理して、施術者がきちんとそれを扱える人に限定されるようにするといったことが、意見具申されております。

続きまして、4ページに行かせていただきまして、「消費生活相談の概況」でございます。

2022年の消費生活相談件数は87万件ということで、前年より少し増加している形になっております。

大体例年90万件前後ということになっておりますので、その意味では90万件前後の範囲内ということになります。

商品・サービス別の上位の件数をお示ししたのが、右側の図表1-3になりますけれども、1位は商品一般といいまして、迷惑メールですとか、不審な電話ですとか、そういったものを含む相談が最多となっておりますけれども、2022年の特徴としては、美容関連の相談が増加していることがございます。

第4位に基礎化粧品、第6位にエステティックサービスが入っておりますけれども、これらは2021年、前の年の白書のランキングでは10位以内に入っていなかったものですので、こういった美容関連の相談が増加したというのが、特徴として挙げられると考えております。

5ページになります。

こちらは、2022年の消費生活相談のトピックスを取り上げております。

左側が、昨年度は成年年齢引下げがございましたので、18歳、19歳の消費生活相談の状況について、お示ししております。

図表1-4のピンク色になっている部分が、成年年齢引下げ後の相談件数ということになりますが、その前、青色の部分と比べて、大幅な変化はなかったと考えております。

相談があった内容としては、図表1-5にありますとおり、女性のほうで脱毛エステが1番に来ておりますけれども、これは、白書の本体には記載がございますけれども、男性のほうでも9位となっておりまして、男女ともに割と多い相談となっております。

脱毛エステは、例えば、昨年度は倒産した会社が多かったから、そういった影響もあるのかなと考えておりますけれども、成年年齢引下げで、新しい詐欺被害、新しい悪質商法が出てきたというよりは、そういった脱毛エステなどの相談件数の増加による影響があったのかなと考えております。

では、続いて、右側の図表1-6と1-7で、定期購入とSNS関連の消費生活相談件数をお示ししております。

まず、図表1-6の定期購入に関してですけれども、通信販売の定期購入に関する相談件数は、2022年に最多で約7万5,000件ということになりました。

その中の特徴として、高齢者が占める割合というのが増加してきているというのもございまして、2022年は33.3パーセントでした。

図表1-7で、SNS関連の消費生活相談件数をお示ししておりますけれども、こちらは、幅広い年齢層でトラブルが発生していると考えておりまして、特に近年、中高年の増加が顕著になってきております。

SNSといいますと、やはり若い人が使うというイメージがあるかと思うのですけれども、2022年については年齢層で見ると、50歳代の相談件数というのが最多になっておりまして、2021年までは20歳代が一番多かったのですけれども、2022年の特徴としては、50歳代が初めて最多となったということがございました。

続きまして、6ページに行かせていただきます。

「消費者被害・トラブルの経験と被害・トラブル額の推計」ということで、こちらは白書で毎年お示ししている推計になりますけれども、2022年の消費者被害・トラブル推計額、真ん中の列の既支払額というものを御覧いただきますと、2022年は6.5兆円ということで、前年より増加しております。

これは、トラブルに遭った割合もやや増えておりますし、あと1件当たりの金額が増加していることもありますし、商品別で見ますと、例えば、コロナ禍で盛んではなくなってきていた旅行なども、昨年は多くなってきたことの影響ですとか、健康食品を含む食料品、例えば定期購入に係るものですとか、そういった案件が増えていることが影響して、2021年よりは増えているのではないかと考えております。

続きまして、7ページに行かせていただきまして、ここから今回の白書の特集部分の「高齢者の消費と消費者市民社会の実現に向けた取組」になります。

今回、高齢者の特集の中で、大きく申し上げて「消費者トラブルについて」と、「社会貢献活動について」という2つのパートに、あえて分けてございます。

今、御覧いただいているページは、「消費者トラブルについて」のほうになりますけれども、まず、高齢者の消費生活相談の傾向ですが、高齢者は、今回、白書の中では基本的に65歳以上としておりますけれども、その消費生活相談は、大体1年間で25万件程度ということで推移しておりまして、相談全体約90万件の約3割程度となっております。

図表2-2は、販売購入形態別数で見たときに、それぞれの販売購入形態で、高齢者がどれぐらいの割合を占めているかというのをお示ししたものになりますけれども、例えば、左側の訪問購入では6割以上、訪問販売では約5割が高齢者となっておりまして、やはりこういった販売形態は、家にいると被害に遭いやすいものかと思いますので、そういったものについては、高齢者の占める割合が高い傾向にありました。

図表2-3は、高齢者の消費生活相談の商品・サービス別の上位件数をお示ししておりますけれども、ここで見られる特徴としては、今回65歳以上をひとくくりではなくて、65から74歳、75から84歳、85歳以上というように分けて、ここでお示ししておりますけれども、高齢者の相談のどの年齢層で見ても、緑色が健康食品ですが、健康食品は大体どの年齢層でも上位にあるということがあります。紫色が住宅修理関連の相談になりますけれども、これについては、高齢者の中でも年齢層が高くなるほど、上位の中のランキングが上がってくるという状況になっておりまして、高齢者の中でも年齢層によって、消費者トラブルの傾向に違いがあるということを白書の中でお示ししております。

続きまして、8ページを御覧ください。

高齢者を今後も含めて考えていくときに、インターネットというのも避けられない課題かなと思いまして、今回、白書の中で高齢者のインターネット通販のトラブルについても取り上げております。

高齢者の方も図表2-4で、インターネットの利用頻度をお示ししておりますけれども、65から74歳ですと6割以上の方が使っておりまして、75歳以上になると3割強ということで低くなる傾向がございます。

図表2-5で、高齢者のインターネット通販の相談件数をお示ししておりますけれども、こちらが2022年は大体5万件ということになっておりまして、ここは近年最多ということになっています。

また、高齢者の中では65から74歳のほうがインターネットを使っているということで、相談の3分の2を65から74歳が占めております。

右側の図表2-6は、高齢者の消費生活相談の販売購入形態別割合をお示ししておりますけれども、一番下が年齢層全てを含めた全体で、その1つ上が65から74歳ですけれども、御覧いただくと、65から74歳は全体と大体同じような傾向になっておりまして、紫色のインターネット通販の部分は65から74歳だと、相談の26.6パーセントを占めております。

ただ、インターネット通販については、その割合というのは、年齢層が上がっていくほど低くなる傾向がありまして、85歳以上だと5パーセント程度となっておりまして、高齢者の中でもインターネットを利用している人と、利用していない人というのでは、かなりトラブル傾向などにも違いがありますので、それぞれの傾向に合わせた対策や取組が必要であるということを白書で書かせていただいております。

9ページにお進みください。

今回、白書を執筆するに当たって、消費者意識基本調査の中では、高齢者がインターネット通販で気を付けていることについても、調査をしております。

インターネット通販で、トラブルに遭わないためには、例えば、複数のサイトから情報を集めるとか、御自身でトラブルの未然防止するためにできることも、いろいろあるかと思いますけれども、そういったことについて、確認している、確認していないかといったことをお聞きしたところ、図表2-7になりますけれども、高齢者の方は、複数のサイトから情報収集ですとか、口コミや評価、それらに気を付けている割合が低くて、事前調査が十分でない可能性というのが分かりました。

あと、図表2-8で、インターネット通販の広告でよく見るようなものとして、例えば、残りわずか、売り切れ間近のような表示とか、そういった表示もございますけれども、高齢者の方は、例えば、解約が分かりにくいとか、不要な商品やオプションが勝手にセットになっていたということが、インターネット通販の広告で困ったりしたことがあることの上位に来ているという結果も、お示ししております。

インターネットを利用している高齢者の中には、トラブル防止の観点からのデジタルリテラシーに課題がある方も存在するのではないかと考えております。

図表2-9は、当たり前と言えば当たり前かもしれないのですけれども、高齢者の方の健康への不安について調査したところ、ほかの年代の方と比べると、高齢者のほうが健康への不安を感じているという結果でしたので、先ほど相談の上位に、大体健康食品が入ってくるということを申し上げましたけれども、やはり、そういった健康への不安というのが、健康食品のトラブルに巻き込まれやすくなることにつながっているのではないかと考えております。

次に、10ページに進んでいただきまして、今までインターネットの話をしておりましたけれども、ここのページは、インターネットに限らない話も含めて、高齢者の性質と消費者トラブルとの関連をお示ししています。

今、申し上げたデジタルリテラシーの課題も、もちろんございますし、例えば、図表2-10を御覧いただきますと、消費者トラブルへの不安を感じるかどうかということを調査で聞いてみたところ、高齢になればなるほど、不安を感じると考えている人の割合が減っていっておりました。

ただ、高齢者だから消費者トラブルに遭っていないかというと、そういうわけではございませんので、消費者トラブルに対する警戒心といいますか、そういったものが高齢になってくると薄れてくる傾向があるのかなと考えております。

あと、ほかの課題として、もちろん高齢者の人数自体も増えているのですけれども、その中でも一人暮らしの人が増えていることから、孤独・孤立の話ですとか、あと、図表2-12は認知症等の高齢者の方の話になりますけれども、認知症等の高齢者の方は、今後も増えていく見込みで、認知症等の高齢者の方ですと、トラブル内容も、例えば、訪問販売とか電話勧誘販売が、ほかの高齢者の方と比べて一気に割合が増えたり、認知症ならではのトラブルの傾向というのもございます。

高齢者の方に見られる性質とか特徴というのは様々ございますので、そういった脆弱性には、また、年齢差や個人差もありますので、多様な高齢者が存在するということを意識して対応していくことが重要ではないかと考えております。

11ページです。

消費者トラブルに遭った際に、どのような対処をしますかということを、今回調査をしておりますけれども、高齢者の方の傾向として、特に75歳以上の方は、事業者に問い合わせたり、交渉したりするといった積極的な対応をしなくなるという傾向があったことと、身近な人に相談する割合は6割を超えるという結果でございました。

そういったことを踏まえますと、高齢者一人一人の状況や脆弱性に対応できる見守り活動を進めていくことが重要であるということを、白書の中では書かせていただいております。

また、右側の写真でお示ししておりますけれども、見守り活動は、もちろん行政もやっていくものなのですけれども、こちらは、とくし丸という移動スーパーの事例で、移動スーパーは、高齢者の方がお客様として非常に多いのですけれども、そして、多いゆえに、日々、高齢者の方と話をする機会というのも多いということで、その販売時に消費者トラブルの被害をヒアリングしたりして、そこで何か気付いたことがあったら、例えば、行政とかに伝えてもらうといった取組もできます。やはり行政だけではなくて、民間事業者も含めた地域の様々な主体が参加することが重要ではないかと考えております。

また、高齢者の多様な脆弱性、トラブル傾向があるということも申し上げましたけれども、そういったことも踏まえた注意喚起や消費者教育も必要ではないかということを白書では書かせていただいております。

続きまして、12ページにお進みください。

今までのところが消費者トラブルの部分になりまして、ここからは、高齢者の「社会貢献活動について」の部分になります。

もちろん、高齢者の消費者トラブルの防止というのは重要なのですけれども、最近、元気な高齢者の方も増えてきておりますので、高齢者が社会貢献をする、それをできる人については促進していくことも重要ではないかという視点で書かせていただいております。

今回、社会貢献活動への参加状況を調査してみましたところ、図表2-14ですけれども、高齢者では、特に65から74歳のほうが高いのですけれども、大体16パーセントということで、全体よりも多くの方が、社会貢献活動に参加しているということです。

その内容としては、図表2-15にありますけれども、地域の活動に参加している人が多いという結果でした。

一方で、興味はあるのだけれども、参加していないという方も多くいらっしゃいますけれども、高齢者の方は、健康上の理由、体力に自信がないという回答が多い傾向がございました。

ですので、社会貢献活動への参画を促進するためには、地域という視点ですとか、健康状態といった高齢者の方の多様性に合わせた配慮が必要だということを書かせていただいております。

13ページを御覧ください。

社会貢献活動というときに、消費者庁でエシカル消費を推進しておりますけれども、エシカル消費をしていただくことも、非常に重要な社会貢献活動だと考えております。

高齢者の方にエシカル消費という言葉を知っていますかと聞くと、知らないという方が多いは多いのですけれども、エシカル消費に当たる取組、例えば、マイバックを使うとか、衣服を買い過ぎないようにするとか、食品ロスの削減ですとか、そういった具体的な項目をお示ししてやっているかどうかということを質問いたしますと、全体よりも高齢者の方のほうが多くの項目でやっている方の割合が高いということで、エシカル消費につながる身近な取組は、高齢者の方は活発にやっているという結果を白書の中でお示ししております。

ですので、消費者教育によってエシカル消費という言葉や考え方、こういうことをすると社会課題の解決につながるということを、より浸透させることができれば、高齢者の取組が、更に活性化する可能性があるのではないかと考えております。

14ページを御覧ください。

今回の白書の中で、高齢者の方の社会貢献の事例というのを幾つか取り上げております。

先ほど地域の活動をしている人が多いということを申し上げましたけれども、例えば、左側の「土佐観光ガイドボランティア協会」もそうですけれども、身近な地域への貢献意欲が高い方がやるボランティアというのもやりますし、あと、真ん中の「みんなの使いやすさラボ」というのは、商品を高齢者の方に使っていただいて、高齢者の視点から、ここは使いにくいという意見を、高齢者の方にボランティアとして言っていただくことで、より良い商品・サービスの改善につなげていくという取組になりますけれども、そういった高齢者の視点を生かした取組ですとか、「鹿児島市地域消費者リーダー」は消費者トラブルの防止に向けて、高齢者の方自身が地域消費者リーダーとなって、消費者トラブル防止の出張講座をやっておりまして、高齢者同士が同じ目線で支え合うといった取組もございました。

ですので、社会貢献活動の在り方は様々であるという認識を持つことが重要ではないかと書かせていただいております。

続いて、15ページを御覧ください。

そうした様々な活動がある中で、それをどのように支援していくかということも少し書かせていただいておりまして、事例としては、GBERと左上にも書かせていただいておりますけれども、デジタル技術で、例えば、高齢者がどこの時間帯ならできるとか、どういう能力があるということを登録した上で、活動とマッチングするような仕組みになりますけれども、最近、インターネットを使う高齢者の方も増えてきておりますので、こういうデジタル技術を使って、高齢者の地域活動を支援するといった取組もあります。

あと「街のお助け隊コンセルジュ」というのは、困っている高齢者と、助けたい高齢者をつなぐ活動をされておりまして、高齢者同士で助け合う取組もございますので、そういう高齢者の多様性に合わせた支援と、そうした様々な活動があるということの情報発信が必要ではないかと考えております。

以上が特集部分になります。白書の部分としては、16ページの第2部第1章が消費者庁の主な政策について記載しているパートとして、書いてある項目についてだけ、簡単にですが、お示ししております。

最後の17ページが、第2部第2章の消費者政策の実施の状況の詳細ということで、こちらは消費者庁に限らず、ほかの省庁も含めまして、政府全体として消費者政策の実施の状況を報告する部分になっておりまして、昨年度の消費者基本計画の工程表に書かれていた記載の項目に沿って、実施の状況というのを御報告させていただいているパートになっております。

御説明としては以上になります。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、質疑応答と意見交換をお願いいたします。時間は40分程度を予定しております。よろしくお願いいたします。

清水委員、よろしくお願いします。

○清水委員 清水です。説明ありがとうございました。

まず、概要の4ページです。相談件数の推移ということで、図1-2で示していただいているのですが、赤の部分と青の部分を逆にしてしまったのですね、非常に見にくくなった理由は、恐らく本文のほうに、詐欺的な件数が減ったことに対して、架空請求対策パックが2018年ですね。そして、これが減ってきたということを強調したいがために、逆にしたのでしょうかという質問です。

というのは、私たち、この表をすごく啓発に使っていまして、やはり今までのような架空請求が上に来たほうが説明しやすいのです。架空請求がどんどん減ってきているというのは上の部分で見えて、下の部分で、普通の相談が高止まりであると説明してきたのですけれども、今年、これを貼り付けようと思ったら逆転になっているので、見にくくなったというのが、私たち相談員の声ということです。

恐らく、趣旨としては、2018年に画期的な架空請求対策パッケージをやって、成果が出たということを見えやすくするために、このようにしたのですねという確認が一つ。

もう一つは、定期購入の話です。

概要でいくと5ページで、白書本体でいくと、31ページ、定期購入に関する相談件数は過去最多ということで、まさしく2022年6月に改正特商法が施行されたにもかかわらず、減ってはいないというのは、現場の数字が見て取れると思いました。すばらしい白書の分析と、PIO-NETはすばらしいと思っております。

しかしながら、後半の部分の特商法の強化の部分の執行件数、これは149ページです。特商法及び預託法の厳正かつ適切な執行ということで、数字が出ているのですが、訪販とか連鎖しか行政処分されていないと、通信販売業者が、行政処分が難しいことは分かっております。消安法によって実名公表で注意喚起もなされていますけれども、やはり、この分析からすると、前半部分に定期購入が増えている、それも高齢化に基づいて、65歳以上の定期購入の被害も増えている。

私たち相談員は、詐欺的な定期購入が生き残っているという感覚でおりますので、やはり分析から見ると、もう少し消費者庁には頑張ってもらいたいなと思ったところです。

あとは、私たち現場が思っているところなのですが、白書を手にして数字を見ると、やはり詐欺的な定期購入に対しては、もはやチャットで、フォーマットで先に進んで契約してしまうとか、一旦契約が確定されてから、また、違う契約をされるというような悪質なものがありますので、もはや通信販売ではなくて、不意打ち性が高いということからすると、訪問販売とか、電話勧誘だと思いますので、詐欺的な定期購入に対しては、現場としては、クーリング・オフが使えるようになることを切に思っております。

これは、意見です。前半の部分だけ、よろしくお願いします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

まず、最初の概要の4ページの消費生活相談件数の推移のグラフについてですけれども、ここ近年は、この配色は変えていないです。

○清水委員 色は変わっていないですか、上と下が。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) 上と下も変わっていなかったと認識しておりまして、架空請求の部分が減っているというのが下で見えて、上が赤い部分で、それ以外をお示ししている形だったかと認識しておりまして、特に今年何か意識して、上下を逆転したということではございませんでした。

あと、2点目の定期購入の部分についてですけれども、白書の本文でもお示ししていますけれども、過去最多の件数と高齢者の割合も多いということで、内容としては、化粧品と健康食品、特に中高年の女性の方で、化粧品に関する定期購入の相談が多いということになっております。

御指摘のとおり、特商法を改正しておりますけれども、相談がなぜ増えたのか、なかなか詳細まで分析するのは難しい面がございますけれども、特商法が改正されたことで、こういう商法が問題であるということを認知したことが、増えた原因となっている可能性もございますし、手口がまた変わって巧妙化している可能性もございますし、そこはなかなか何が本当の原因でというのを、特定し切ることは難しいのですけれども、増えていることについては、課題として白書の中でお示しして、消費者庁でいうと、取引対策課が特定商取引法の担当課になりますけれども、消費者庁において、今後、どのように進めていくかになるのではないかと考えております。

○清水委員 ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにいかがでしょうか。

生駒委員、よろしくお願いします。

○生駒委員 御説明ありがとうございます。

とりわけ、高齢者のエシカル消費への意識のところに注目しているのですが、13ページです。

図表2-17の「エシカル消費の認知度」というところなのですけれども、全体としても、まだこんなに低いのだなと、正直26.9パーセントの方しか認知されていないというのが、エシカルを推進している立場からすると衝撃というか、いろいろな白書なり統計では、何となくは知ってはおりまして、3割ぐらいの認知度、何か4割ぐらいは行っているという数値も出ていますので、これは、どの方を対象にして取られた調査なのかというのは、少し知りたいところではありますね。やや低めの数字かなと思いました。と同時に、これは変えていかなくてはいけないなと思っています。

実際には、ものを大切に使ったりされていていろいろな行動をとられているのが、逆に高齢者の方に多いという数値が、図表の2-19などには示されていますので、スピリットといいますか、その大切さは皆さんお分かりなのです。とはいえ、言葉としては伝わっていないというのを感じましたので、その点は改善していければと思います。もしそのことが、知識として理解が深まると、具体的な行動にもっとつながっていくのではないかと感じています。

以前からZ世代の方々、若い世代の方々がエシカルに興味があるというのは言われていますが、最近、私の見た調査結果では、実際には高齢者の60代以上の方が、例えばオーガニックなものや、フェアトレードのものを意識的に買われていたりしますので、世代的には二極化した形で広まっているのです。

真ん中の30代、40代、50代ぐらいの方が逆に、あまり購入されていないという数値も出ていたりします。

いずれにせよ、エシカル消費を推し進めていきたいと、消費者教育の中でも重要なポイントとして考えられていると思いますので、また、高齢者の方は、お元気であれば、時間の余裕もありますし、いろいろ行動も起こしていただける余地があると思うのです。

そのために、社会貢献への取組というのも書かれていまして、とても良い事例が紹介されているなと思いました。

高齢者の方々のそういう力が、逆にある意味で社会を支えていくようなことになっていくと良いのではないかと、この白書の結果をお聞きして思った次第です。

ただ、もう少し正確にといいますか、情報がそういった方々に行き渡るようにしていく工夫が必要かなと感じました。

その辺り、高齢者の65歳以上の方に向けての、何か具体的な消費者教育の予定なりプランが、もし、おありでしたら教えていただければと思います。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

まず、概要の13ページの調査の対象ですけれども、これは、消費生活意識調査という当庁でやっている調査ですけれども、こちらは、インターネットの調査になっておりまして、年齢層としては、今回、白書は高齢者で特集しておりますけれども、この調査そのものは、基本的に、日本の人口構成に従って、各年齢層に聞いていくという形になっておりまして、聞いている相手の方は、インターネット調査をやっている企業のモニターさんに聞いているものということになります。

ですので、お示ししているのは、高齢者と全体という比較になっておりますけれども、日本の人口構成比に沿った形で調査を行っておりまして、あと、生駒委員から、今、御指摘を頂いたように、やはり高齢者の方は非常に積極的に取組をされていて、それは、ある意味エシカル消費という言葉を御存じなくてもされているので、エシカル消費という言葉があって、それにはこういう意味があって、御自身が既にやられている取組は、そういうエシカル消費に当たって、環境問題、社会課題の解決につながるということを、より意識をしていただくことができれば、今でも既に活発ではあるのですけれども、高齢者の方の中でも、エシカル消費がより活発になっていくのではないかと考えております。

エシカル消費の普及啓発そのものは、私が直接担当しているわけではないのですけれども、もちろん消費者庁としてはやっておりますので、どちらかというと、SDGsは、若者がというイメージがあるかと思うのですけれども、そこは高齢者も含めて、全体として推進していくことをやっていくことが、今後エシカル消費を国全体で盛り上げていくために重要なことになってくるのではないかと考えております。

○生駒委員 ありがとうございます。

かつてのエコポイントではないのですけれども、エシカルポイントのようなものを設けていらっしゃる企業や、ブランドも出てきていると聞いております。

そういう楽しみがあると、より積極的に関わろうと思っていただけるかもしれませんし、例えば、認証ラベルも、皆さん普段何となく見てお感じかもしれませんけれども、もう少しその物語や背景を伝える努力というか、それが持っている意味、環境や人権に対して、どのように貢献できているか、これからの社会をつくる上で重要な貢献になるのですよということが、お買い物でできるということが分かれば、日々の楽しみにもしていただけるかなと思います。そうした視点で推進していっていただけますと有り難いと思います。私もエシカルを推進する協議会を運営していますので、協議会でもそうした取組を進めていきたいと思っております。引き続き、よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、木村委員、よろしくお願いいたします。

○木村委員 木村です。御説明ありがとうございます。

いろいろな政策とその効果、消費者白書は毎年楽しみにしています。概要のところで、まず、5ページなのですけれども、消費生活相談のトピックスというところで、定期購入に関する消費生活相談件数というのが、対策を行っていただいているにもかかわらず、2022年は多くなっていて、しかも65歳以上の割合が増えているというところは、大変着目すべきところだと思っております。

定期購入に関しては、以前から大変問題が多いということで、最終確認画面をきちんとするとか、いろいろな対策をしていて、まだその効果が現れていないのか、これから、その効果が出てくるのかどうか分からないのですけれども、まだまだ被害が多い、相談件数が多いというところは大変驚きました。

それから、その下のSNS関連の消費生活相談なのですけれども、やはり50代が最多ということで、若い人だけではなくて、本当にあらゆる年代の方が、こうした通信関係のいろいろな手段を使うことがよく表れていると思っております。

一つ質問なのですけれども、SNS関連とおっしゃっているのですけれども、このSNSの定義というのは、どのようなものなのかを教えていただきたいというのが質問です。

もう一つは、消費者基本計画の工程表についてなのですけれども、今回、重点項目を決めたことで、それ以外のことは、消費者白書に載せますということで御回答を頂いているのですが、やはり今回後ろを見まして、確かに政策に、こういうことでしたというのは載っているのですけれども、重点項目そのものは、大変良いことだと思うのですが、それ以外のところに意見ができなかったという国民からの声がありますので、どうやってその政策に対して国民の意見を取り入れるのかというところを御検討いただきたいと思っているところです。

よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

まず、最初に頂いていた、概要の5ページのSNS関連の消費生活相談の部分ですけれども、一般的に、いわゆるSNSと言われているものということになってしまうのですけれども、基本的に消費生活相談の件数ですので、相談員の方が相談を受けてSNSに関わると思ったものについては、そういう登録をされているということだと思っておりますので、何かこういう厳密というよりは、一般的にSNSと捉えられているものについては、ここに、SNSが関わってくる消費生活相談であれば、入ってくるということかなと考えております。

あと、2点目の御質問で頂いた工程表との関係についてですけれども、御指摘のとおり、今回、消費者基本計画の工程表については重点化をしておりまして、重点化した項目も白書に入ってはいるのですけれども、それ以外については、主に白書の第2部第2章で実施の状況の御報告をする形になっております。

重点項目に入らなかったものについて、どのように広く、一般の方から意見を受け付けられないのかということについては、正直、白書の場合は、あくまで実施状況の御報告ということですので、それ自体で意見の公募をするということはしておりません。

それで、消費者政策に対してどのような形で意見を言っていただくのが良いのかということについては、調査研究の私の立場として、こうすべきということは、なかなか申し上げにくいというのが、申し訳ないですが、正直なところなのですけれども、そういった御意見があるということについては、消費者庁内でも共有させていただきたいと思っております。

○木村委員 是非よろしくお願いします。ここで意見を言うのは、少しポイントが違っていて申し訳ありませんでした。

ただ、やはり国民の声をどうやって拾っていけばいいのかというところは、是非消費者庁のほうで共有していただければと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。

○後藤委員長 それでは、受田委員長代理、よろしくお願いいたします。

○受田委員長代理 受田です。御説明ありがとうございました。

大変興味深く今の御説明を伺うとともに、本体のほうも、まだ読み込めているというところまでは行っておりませんけれども、いろいろ興味深いデータを拝見して、これからも理解を深めていこうと思っております。

私のほうから、まず1点目は、興味の範囲内での質問なのですけれども、資料1の5ページにあります右下の図表1-7「SNS関連の消費生活相談件数の推移」に関するグラフについてです。

ここのトピックスは、御説明にもありましたし、また、白書本体にも50歳代が推移の上では最大になったというのが、1つの結果として特筆すべきポイントであるということかと思います。

よく見ると、この変化というのは、50代以上が件数で伸びていて、結果として50代の伸び率が最大であることを反映しているように見て取れます。

非常に興味深いと同時に、この50歳代に何があったのかなというのが1つ興味でございます。もし、お分かりいただければ、その点、後ほどお答えいただければというのが1点。

2つ目、これは、いろいろなものを結び付けて見えてくる世界で、コメントをさせていただきたいと思います。

資料1の同じく7ページに、右側に「高齢者の消費生活相談の商品・サービス別上位件数」というのがあって、結論としては、高齢者全体で健康食品が上位にある。これは、これまでの傾向あるいは現状を鑑みると、非常に合理的というよりも理解しやすい結果かなと思っております。

一方で、こういった健康食品に関する世代別の受け止め方が大きく変わっているということに基づいて、本体のほうの53ページに、あなた自身の現在や将来への不安や心配という非常に興味深いデータがあるので、ここと結び付けて少し私の推論をお話ししたいと思うのですけれども、実はさっき申し上げた、消費者の健康食品に関する受け止め方が変わっているというのは、6月15日にも日経新聞に記事が出ていて、電通の調査によると、昨年の特定保健用食品や機能性表示食品を定期的に購入する世代別、性別別の比率が相当変化したという記事がありました。

一番定期的に購入している世代は60代で、女性ということだったのですけれども、2位が20代男性、3位が30代男性ということで、その記事によりましても、人生100年時代を控えて、特に若い世代、さらに男性の健康に対する意識が変わってきていることが、数字で取り上げられていたのです。

その点から見ていくと、53ページの、正に現在の不安と将来の不安や心配というグラフを見たときに、結構糖尿病やがん等の病気、それから物忘れ等、認知機能の低下、各世代将来不安は抱えているのだけれども、20代、30代の将来に対する不安というのが、何か相当膨らんできているような気がして、このグラフを興味深く拝見したところです。

トータルで考えていきますと、こういった変化というのは、やがて、もしかすると、若い世代の健康食品に対する様々な、先ほどの7ページにあるような、消費生活相談員の皆様にお世話にならなければならない比率が増えてくる懸念といいますか、可能性もあるのではないかと、私、これらをトータルで見て感じていたところです。

ここまでこれらを見てコメントということなのですけれども、今後、こういった消費者白書等を踏まえて、過去を見るということではなく、ここから未来を推測する、あるいは可能性のある懸念というものについて、先手を打っていくという考え方もあり得るのではないかと思うところです。

こういう考え方を、恐らく消費者庁の皆さんも、これらを考察することによって描いておられると思うのですけれども、そういった可能性の芽、予見性というところについては、どのように御覧になられているかというところを伺えればと思っております。

以上です。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

まず、最初が概要の5ページのSNSのところの御質問であったかと思うのですけれども、50歳代の相談件数が最多ということで、御指摘いただいたとおり、50歳代の件数が最多ということでありますけれども、50歳代だけではなくて、60歳代、70歳代でも増えてきているということはございます。

なかなか消費生活相談の件数からだけですと、その背景についてまでは、どうしても推測にはなってしまうのですけれども、やはりSNSを利用している中高年の方が増えてきているというのは、背景としてあるかと思っております。

去年当課で行った調査で、SNSを利用しているか、していないかという調査を行ってみたところ、若い人だけが使っているわけではないという結果がございましたので、SNSの利用が若者に限られていないということは、あるのだろうと考えております。

あと、相談の内容としては、中高年の方、例えば、SNSでどこかのデパートの閉店セールで、このブランドのものを安く買えるといった広告で、そこのURLをクリックすると、偽サイトに行ってしまうというようなものですとか、あと定期購入につながるようなものですとか、そういった相談が多いということはございます。

若者の方では、SNSのトラブルの種類というのが、若干高齢者の方とは違う傾向というのはあるかなと考えております。

若者ですと、SNSでの勧誘がきっかけとなってトラブルに遭ったりですとか、あと、SNSで知り合った間での個人間取引のケースというのが、もちろん広告関係のトラブルがないということではないのですけれども、傾向としては、そちらは若者のほうが多いのかなと、その傾向の違いもあるかなと思っております。

2点目は、当方が53ページにお示ししたデータを引いていただいて、いろいろ御意見を頂いたところで、御質問としては、こういったデータを踏まえて、未来を推測する、先手を打つといったことについての考えと理解しておりますけれども、我々も未来を予測するのはなかなか難しいなと思っておりまして、やはり、この先何をやっていくべきかということを考える上で、まず、現状を分析することが非常に重要だと思っておりますので、白書を作成するに当たって、まず、現状をいかに正確に分析できるかというところに力点を置いているところであります。

それを踏まえて、将来を予測するということはなかなか難しいですけれども、こういう心配があるのではないかという点が見えてくるところもあると思いますので、そういった点は政策に生かしていくことができればと考えております。

○受田委員長代理 ありがとうございます。おっしゃっておられるとおりだと思います。

被害というのは、不安や心配をあおることによって生じてくるとすると、不安が特に顕在化している世代や個人、ここが将来のリスクであると考えていったときに、この53ページのグラフは、相当示唆に富んでいるなと思いましたので、あえて指摘をさせていただきました。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

それでは、青木委員、よろしくお願いいたします。

○青木委員 御説明ありがとうございました。

私から3点ほど確認させていただきたいことがあります。

まず1点目なのですが、やはり消費者問題、消費者事故のところは、非常にいつも気になるところで、今回もかなり詳細に見させていただいているのですが、いわゆる重大事故と、起こった事象別の分析は、かなりされているのですが、事故原因とか、事故の要因別については、どう見ておられるか、なかなか特定できないものもあるかもしれませんが、いわゆる製品や事業者側にあるもの、それから消費者側の使い方あるいは誤使用的なものにあるもの等々、やはり事故をなくすに当たって、1件ずつは、かなり注意喚起等、丁寧に対応されているのですが、かなり見ていると、件数自体は横ばい、あるいは増加しているという状況の中で、要因別の分析等々をされていたら、それを教えていただきたいというのが1点目です。

2点目は、やはり定期購入の件数増加というのが、5ページですかね、今回かなり印象的なのですが、これは、昨年の白書では逆に、今まで増加であった定期購入のトラブルが減ったというまとめになっているのですね。それが突然2022年に急激に増えていると、ここは、どういう要因があったと見ておられるか、これも伺いたいと思うのが2点目です。

非常に、この辺の定期購入の、実際にトラブルに遭っている世代のところ等々も関係するかもしれないのですが、それをお願いしたいというのが2点目です。

3点目は、今回の高齢者のところ、特集としてかなり多面的に、いろいろ現状を整理されていて、私も非常に興味深く見させていただいているのですが、これから特に高齢者というくくりが非常に難しくなってきているなと。

1つは、団塊世代の塊が75歳、後期高齢者にちょうどなる時期ですね。それから、先ほど50代と出ていましたが、50代というのは第二次ベビーブームの塊の世代なので、この辺がどう動くかというのについては、非常に大きく傾向が変わるものとして、やはり注目しておかないといけないのではないかと、価値観ですとか、あるいは行動様式も、そこら辺に1つ大きく特徴的な塊があるので、これから、是非高齢者という見方も、世の中的にも超高齢化社会に向けてなので、高齢者という塊をどう見ていくかという議論も一度していただいて、やはり整理の仕方とか、事象の問題あるいは対策のところも、もう少し分類した形が必要なのではないかと感じます。

本当に団塊世代ですとか、第二次ベビーブームのところというのは、デジタルもかなり浸透してきている世代でもありますし、それから、先ほど来出ていましたように、世の中的にも2025年問題とか2050年問題というのは、年金、医療だけではなくて、労働力不足のところもあるので、今回、高齢者がSDGsといいますか、非常に社会課題、貢献活動、いろいろな形で取り組んでいる事例の紹介など、非常に興味深く、やはりそういうものをできるだけ経験ですとか、知見ですとか、そこを活用できるような多様な活用の仕方、ただ、体力は少し自信がないところなので、非常に柔軟にそういう能力あるいは経験を発揮していただけるようなやり方というのも、今回の事例など見ていても、非常にこういう辺りが展開していくといいなと感じた次第です。

以上3点、御質問なり意見なりが混ざっているのですが、コメントを頂ければと思います。よろしくお願いいたします。

○後藤委員長 お願いいたします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

まず、最初の消費者事故の部分についてでございますけれども、重大事故を始めとして、それぞれの事故が、消費者の誤使用によるものなのか、それ以外なのかといった要因ですかね、その背景にある要因までは、分析はあまりできていなくて、その点は申し訳ございません。

あと、2点目の定期購入の部分ですけれども、確かに5ページの図表1-6でも、2021年は2020年と比べると、件数的に減っているということで、去年の白書の時点でいうと、前年より減ったという書き方をさせていただいております。

そこは、2021年から2022年にかけて、なぜ、過去最高になったのかということについては、正直白書の中でも、なかなか消費生活相談の情報の分析の上からだけでは、やはり確たることは、なかなか申し上げにくいところではあるのですけれども、繰り返しになってしまいますけれども、特商法が改正されて、そういった商法に対する認知が上がると、相談が増えてくるという可能性もありますし、高齢者の割合が増えてきているということで、あと、内容的にも、かつて健康食品が多かったものが、化粧品のほうが多くなってきている変化もございますので、そういった変化が件数全体の増加にも影響している可能性はあるのかなとも考えますけれども、すみません、どの要因が一番でということは、なかなかそこまでは消費生活相談の状況から分析し切れていないというのが、正直なところでございます。

最後に、高齢者の部分についてコメントを頂きまして、ありがとうございます。

今回、高齢者を白書で取り上げるに当たって、どう高齢者を定義するかというか、どう捉えるかというのは、分析するに当たって難しかった点でございます。

年齢も何歳からが高齢者というのも、絶対にこれというものはない状況なので、今回、65歳以上ということで分析をさせていただきましたけれども、今回分析の中では65歳以上を高齢者としてひとくくりにするのではなくて、その中でも多様な人がいることはお示しするようにしたつもりです。

簡単な分け方のところでは、65歳以上をひとくくりにするのではなくて、分析において65から74歳と、75歳以上に分けて分析をしていった結果、例えば、御説明させていただきましたように、トラブル傾向が異なるとか、社会貢献活動についても、興味はあるのだけれども参加をしていないという理由について、65から74歳と75歳以上で異なる理由が一番多くなっているということもお示ししていて、そこは今後、高齢者をどう見ていくかということで、ひとくくりで入れるのではないということは、白書の中でお示ししたところであります。年齢だけではない別の高齢者の見方というのも、もちろんあると思いますので、高齢者ということを、ただ、一つの年齢で切って、それで全員一緒ということではない見方をしていくことが、トラブルの防止についても、社会貢献活動についても、今後、重要になってくるのかなということを白書でお示ししているところでございます。

○青木委員 ありがとうございます。

特に定期購入のところは、消費者としてのマーケティングのターゲットとしても、高齢者といいますか、65歳以上のところというのは、非常に魅力的な大きな塊にどんどんなっていくので、恐らく、先ほど出ていました健康、それから美容、この辺のところに関しては、巧みないろいろな形での勧誘とか、あるいは高齢者向けの商品も非常に増えてくる、サービスもそうだと思いますので、是非ここら辺は、我々も注意深く見ていきたいと思っております。

私自身もそうなのですが、高齢者の中でも社会貢献の部分を含めて、どういう形で多様な高齢者を見ていくかというのを、是非また継続的に議論をさせていただけたらと思います。ありがとうございました。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

大石委員、よろしくお願いします。

○大石委員 御説明ありがとうございました。

私も今の青木委員の質問とかなり近いところがあるのですけれども、やはり、今は人生100年時代になって、65歳以上が高齢者というのも、かなり無理があるというか、やはり今後は、その辺りもしっかり政府としては、高齢者の定義というのも考えていかなくてはいけないと思っております。70歳にするかというような議論もあったりするのですけれども、そういう意味で、今後こういう統計を取るときに、是非その辺りの参考になるような年齢区分のアンケートの取り方になると良いのではと思ったのが1つです。

次に質問なのですけれども、8ページのところに、図表の2-4で「インターネットの利用頻度」というのがあって、全体、それから65歳から74歳、75歳以上という3区分あって、75歳以上は62パーセントが、ほとんど全く利用しないということですが、これは定期購入の話ではなくて、インターネットそもそもの利用のことでしょうか。

それ以外のところで、いろいろなグラフもありますが、インターネットで尋ねているので、インターネットで答えた人の中の割合が、このグラフになっているという認識でよろしいでしょうか。

ということは、逆に言うと、インターネットを使わない75歳以上の62パーセントというのは、PIO-NETの情報以外は、なかなか実際に統計の中には反映できていない部分もあるのだという認識でいいのかというのが、2つ目の質問です。

もう一つ、今回ということではないですけれども、消費者白書と言ったときに、やはり今一番消費者が直面しているのが、電気代や食料品を含めて物価の高騰ということではないかと思います。コロナを乗り越えて、やっと少し落ち着いたということもありますけれども、やはり消費生活に与える影響ということで、今後の課題として、消費者の声を聴くなど、是非取り組んでいただけると有り難いと思いました。

以上です。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

御質問として頂いたのは、インターネットの利用の頻度のところですけれども、説明が分かりにくくて申し訳なかったのですけれども、今回、白書をつくるに当たって使っている調査が大きく2つありまして、先ほど、私は生駒委員からの質問でお答え申し上げた消費生活意識調査というインターネット調査と、あと消費者意識基本調査という、こちらは郵送とインターネットを併用している調査がございます。

今、御指摘いただいたインターネットの利用頻度については、消費者意識基本調査という、基本は郵送調査でやっているもので聞いているので、インターネットを全く利用していない人でも、紙で記入して答える形になっております。

今回白書で主に利用をしているのはもちろんPIO-NETの情報なのですけれども、例えば、図表2-9の「自身の現在の不安や心配を『感じる』と回答した割合」といった部分は、紙で、郵送でやる調査のほうでやっているので、インターネットを使っていない高齢者とか、そのほかの人の回答が漏れているということではございません。

例えば、インターネットで商品を買ったことがある人にだけ聞いている質問、インターネット通販についての質問とかは、そうなってくるのですけれども、一度インターネットで商品・サービスを購入しているかと限定した上で、その人だけ聞いた結果になっている質問というのもありますので、インターネットを使っていない人でも聞くべき質問については、消費者意識基本調査では郵送で回答できる形になっております。

あと、御意見として頂いた物価高騰ですとか、消費者がほかにも関心を持っている課題というのは、様々あるというのは認識しております。なかなか全てを白書の中で、1回でお示しすることができていないところでございますけれども、今後の白書についても、消費者の方が特に気にしておられるとか、知りたいと思える内容を白書で取り上げていきたいとは考えております。

○後藤委員長 それでは、黒木委員、よろしくお願いします。

○黒木委員 ありがとうございます。

質問は2点あります。1つは、特集で高齢者の問題を取り上げられたことの意図、今回、どうして消費者白書の中で高齢者の問題を取り上げられたのか、何か意図があったら、その点を教えてください。

それから、先ほどから101ページの消費者安全確保地域協議会の設置の問題とかコラムを大変興味深く読ませていただいています。見守りネットワークのところについては、「とくし丸」の取組とか、いろいろ出てきていますけれども、福祉との連携というのが少し書いてあるだけなのですけれども、厚生労働省の重層的支援事業というのは、行政の現場に行けば、一人の人が2つの局に所属していて、同じ人が両方でやっているみたいなことが、現状としてあったりするのです。

そのような福祉との連携について、今後、もう少し深掘りをしていくのかということ。このような形で、こういった資料を深掘りして議論をしていくのか、消費者基本計画の工程表の中でも、そういう議論をしているところがありますので、データとして、そういう形を取っていくのかという点を、少し教えていただければと思っています。2点です。

○後藤委員長 お願いします。

○消費者庁爲藤参事官(調査研究・国際担当) ありがとうございます。

1点目の御指摘の、なぜ今回高齢者を特集したのかという点ですけれども、高齢者の消費者トラブルですとか、そういった点は、ずっと課題となってきている点かと思うのですけれども、今年の白書で取り上げた1つの理由としては、先ほど団塊世代というお話もありましたけれども、団塊世代の方々が、今、75歳を迎え始めて、ちょうど去年が75歳以上の総人口に占める割合が15パーセントを超えたという、それを節目と言っていいのかというのはありますけれども、そういったこともございますので、そういった時期を捉えて高齢者について取り上げて、それをさらにトラブルの面についてだけではなくて、社会貢献活動を主体として捉えるというのを、今年の特集としてやってはどうかというのを考えたというのが、背景としてはございます。

あと、もう一点の御指摘の101ページのコラム、消費者安全確保地域協議会の設置によって期待される効果というところについてですけれども、重層的支援のところの部分を書かせていただいて、今回は、この特集の中で取り上げさせていただいて、今後、これを来年の白書でどう分析していくのかという点については、おそらく、来年の白書は、また別の特集を取り上げることになると思いますので、この部分、今後、どう白書の中で書いていくのかということについて、正直まだ、全く未定の状態でございますけれども、御意見として賜りましたので、ありがとうございます。

○黒木委員 ありがとうございます。

消契法の改正のところも踏まえていただいていて、つけ込み型の問題とかも、白書のテーマのときに議論されていたと思いますので、そういうことも含めて、高齢者の問題は、大きくは脆弱な消費者というくくりをどう考えるかという、非常に重要な消契法を考える上での資料になると思っています。ありがとうございます。

○後藤委員長 どうもありがとうございました。

ほかにございませんでしょうか。よろしいでしょうか。

それでは、本日も重要な意見交換をどうもありがとうございました。

消費生活相談の件数について、定期購入の件数の増加ということが、複数の委員の方々から指摘されておりまして、特商法が改正されたにもかかわらず、定期購入についての相談件数が増えているのは、どうしてなのかと、そういう原因をめぐって、意見交換がなされました。

それから、消費者基本計画工程表の重点項目化に伴って、重点項目から漏れたものについて、基本的な姿勢としては、消費者白書のほうで補っていくということなのですけれども、その漏れた部分について、例えば、工程表についてのパブリックコメントの段階で意見を出しにくいようなこともあって、重点項目化された項目以外の項目についての意見表明の場ということ、そういうことも考える必要があるのではないか、こういう御指摘も出ております。

それから、特集に関して、高齢者の消費者保護の問題でありますけれども、ここについても委員の方々は注目なさっておりまして、資料1の13ページにありますけれども、エシカル消費の認知度、エシカル消費という言葉の理解ということも含まれると思いますけれども、これについては、高齢者は、そう高くはないのだけれども、実際にエシカル消費の取組ということから見ると、高齢者は、非常に取り組んでいるという状況でありまして、むしろ高齢者が、一つはエシカル消費の問題でありますけれども、次の世代の方々に、一つの見本を見せていく、そういうようなこともあるのではないか、更に進んで、高齢者の方の社会的な役割ということから見ると、社会への貢献とか、社会を支えるとか、そういうことで高齢者を捉えるというのは大事な視点ではないか、そういう御意見もありました。

高齢者は、なかなか捉え方が難しいわけでありますけれども、高齢者という枠で考えたときに、それをどういう塊として捉えるのか、それをどう捉えて、どのように分析していくかというのは、重要な課題だと思います。

既に消費者庁でも高齢者の多様化や、脆弱性ということについても個人個人で差があるということを打ち出しておられますけれども、そこについては、より詳しい分析が必要なのではないかという意見が出ておりまして、私もそのとおりだと思います。

消費者白書の中で、今回特集で高齢者ということを取り上げていただいたことを契機として、先ほどの見守りとの関連なども含めて、高齢者への分析がより進むこと、そういうことが期待されると感じました。

消費者白書は、消費者問題の現状と課題、消費者政策の実施状況等について、国民に分かりやすく説明するという重要な役割を果たしております。当委員会としても、この点に関して高い関心を持っています。

消費者を取り巻く環境は目まぐるしく変化しております。課題にスピード感を持って対応すると同時に、国民、消費者に分かりやすく、かつ丁寧に説明していくことが一層求められると思います。消費者白書の内容が国民、消費者に伝わるよう、積極的な周知啓発に取り組んでいただきたいと思います。

それから、一点、未来を見据えるということも出ておりまして、なかなか難しい課題であると思いますけれども、受田委員長代理の全体を大きく俯瞰した御知見も、本日示していただきまして、資料を見ていくと、白書の53ページの、あなた自身の現在や将来への不安や心配という項目で、20代、30代の将来に対する不安ということから見て、見方によっては健康食品に対するトラブルが増えていくということも予測できるのではないか、未来を見据えて先手を打つと、こういう御提言、御意見もありますので、そういう点、なかなか難しい課題だとは思いますけれども、そういうことも含めて考えていただけたらと思います。

消費者庁におかれましては、本日はお忙しいところ審議に御協力いただきまして、ありがとうございました。どうぞ御退席ください。

(説明者 退室)


《3. 閉会》

○後藤委員長 本日の議題は、以上になります。

最後に、事務局より今後の予定について、説明をお願いいたします。

○友行参事官 次回の本会議の日程と議題につきましては、決まり次第、委員会ホームページを通してお知らせいたします。

以上です。

○後藤委員長 それでは、本日は、これにて閉会とさせていただきます。

お忙しいところお集まりいただき、ありがとうございました。

(以上)